説明

改良布

(1)少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)と少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)とからなるブレンド物(B12)と、(2)スルホン基、ケトン基およびアリーレン基を含むポリマー(P3)と、(3)それらのブレンド物(B123)とからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー材料(P)を含む複数の繊維(F)を含む布。かかる布を含むフィルタアセンブリおよび濾過システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、両出願の全内容が参照により本明細書に援用される、2007年3月23日出願の米国仮特許出願第60/896,567号明細書および2007年12月18日出願の米国仮特許出願第61/014,485号明細書の優先権を主張するものである。
本発明は、多くの用途で、特に工業、医療および浄化用途で有用な、改善された特性を特色とする布に関する。本発明はまた、かかる布を組み込んだフィルタアセンブリおよび濾過システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙、自動車、医療、軍隊および安全産業などの要求が厳しい産業からの、特有の特性を特色とする高性能布に対するニーズがある。
医療分野における幾つかの用途では、特にクリーンルームでは、布は、様々な医薬品および/または化学薬品と繰り返し接触し、例えば、滅菌プロセスによって要求されるように、厳しい条件に暴露されるため、このような理由により、布は、高い強靱性、高い耐摩耗性、高い靱性、高い熱安定性、および高い耐加水分解性をはじめとする高い耐化学薬品性を望ましくは示すべきである。
類似の要件は、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンおよび酢酸エチルなどの有機溶剤、または硫酸もしくは硝酸などの酸をはじめとする様々な化学薬品と布が繰り返し接触する化学工業などの多くの産業では当然のことである。
【0003】
さらに、かかる布の別の具体的なおよび要求が厳しい用途は、燃料発電所の煙道ガス排出物からの粒子状物質濾過である。国際エネルギー機関(International Energy Agency)などの国際組織および国際機関は、化石燃料の燃焼が環境に与える影響を懸念している。化石燃料の燃焼は、燃料の不純物および化学組成物のために酸性雨、地球温暖化および大気汚染に影響を及ぼす。石炭燃焼発電所運転の主要な副産物の1つである、石炭燃焼からの煙道ガスは、煙道ガス煙突を通って大気に排出される。石炭の燃焼中に生成する煙道ガスは、高温、典型的には125℃より上、多くの場合に160℃より上で排出される。煙道ガスは典型的には、二酸化炭素、窒素、酸素、飛散灰、および水蒸気、ならびに窒素酸化物、硫黄酸化物、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、亜硫酸、硝酸、硫酸、水銀、硝酸硫黄(SNO3)、低レベルのウラン、トリウム、ならびに他の天然産放射性同位元素およびさらに多くの他の毒性物質を含有する。煙道ガスは典型的には、5容量%より十分に上のCO2、頻繁に10容量%より上のCO2、および多くの場合に12.5容量%以上のCO2を含有する。煙道ガスは典型的には、150ppmより十分に上の窒素酸化物(NOx)、頻繁に300ppmより上のNOx、多くの場合に少なくとも400ppmのNOxを含有し、それはまた、石炭組成物の性質に依存して、400ppmより上、600ppmより上、800ppmより上、1000ppmより上、1200ppmより上、または1400ppmより上さえの硫黄酸化物(SOx)を含み得る。「SOx」は、硫黄酸化物の混合物に与えられる一般用語であり、その2つの主成分は二酸化硫黄(SO2)および三酸化硫黄(SO3)である。一方、「NOx」は、窒素酸化物の混合物に与えられる一般用語であり、その2つの主成分一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO2)である。煙道ガスの固体粒子負荷は典型的には、1mg/m03(m03=273Kおよび101.3kPaでのm3)より十分に上、頻繁に5mg/m03より上、多くの場合に15mg/m03より上であり、それは時々少なくとも20、またさらには少なくとも25mg/m03であってもよい。石炭燃焼に関連した主な危険の1つは、上記の化学的に攻撃的な煙道ガス中に同伴する固体粒子状物質の排出である。公衆衛生にとって危険であるかかる固体物質の例には、重力によって煙道ガスから容易に分離しない飛散灰、微細噴煙タイプ粒子、様々なタイプの煤煙、ダストなどが挙げられる。発電所は一般に、バグハウスとして一般に知られる、様々な布濾過材料を用いて煙道ガスから粒子状物質を除去する。ガスは、布中へ、そしてそれを通って流れ、固体粒子状物質を内部に残す。バグハウスの運転資本コストは高いが、それらの効率は優れており、そのためそれらはより普及しつつある。しかしながら、バグハウスの製造のために使用される布の具体的な選択は、関係する効率およびコストに大きく影響を与え得る。
【0004】
バグハウスは、石炭燃焼プラントによって生成する煙道ガスの熱い、研磨性のおよび化学的に攻撃的な環境に長期間暴露されるので、それらの製造のために使用される布はかかる環境に耐えることが極めて望ましいであろう。
セメント工場は、それらもまた一般に一次燃料として石炭を使用するので、石炭燃焼発電所に関連したものと類似の環境問題を引き起こす。
ポリエチレン(PE)繊維、ポリイミド(PI)繊維、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、芳香族ポリアミド繊維およびガラス繊維でできた布が、工業および大気汚染防止システムをはじめとする、様々な用途で使用されてきた。他のポリマー材料から製造された布が、用途の温度および酸性レベルをはじめとする環境に依存して、異なる用途向けに使用されてきた。ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)でできた布が今まで、石炭を燃料とする発電産業でフィルタシステムの一部として広く使用されてきた。
【0005】
しかし残念ながら、市場で入手可能な布では多数の欠点がある。例えば、ある種のポリマー繊維の供給は非常に限定されているため、フィルタ製造業者は代わりのより技術的に機能するポリマー繊維源から利益を得ることを望んでいる。さらに、PPS繊維などの繊維でできたある種の布は、酸性環境中で酸化分解する。かかる布がフィルタへ組み込まれる場合、酸化分解は最終的に、フィルタ孔の閉塞、気流の減少につながり、フィルタを交換するまでより頻繁なクリーニングが必要となる。他の布は、高温および繰り返しの化学処理に対する耐性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、高温においてでさえも、傑出した耐化学薬品性を実現しながら、高い引張特性、高い加水分解安定性および高い耐熱性をもまた特色とするであろう、上記のような工業、医療または空気浄化用途にとりわけ好適な改良布が必要とされている。かかる布はさらに、繊維へ容易に造形できる材料でできているべきである。かかる材料の具体的な選択は、包含される用途にとってそれが極めて重要であると同じくらいに困難である。
本発明は、高温、厳しい化学および研磨環境での用途において特に好適とされる、高い引張特性、高い加水分解安定性、高い耐熱性、および傑出した耐化学薬品性などの優れた特性を備える新規の布をここで利用可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、(1)少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(P1)と少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)とからなるブレンド物(B12)と、(2)スルホン基、ケトン基およびアリーレン基を含むポリマー(P3)と、(3)それらのブレンド物(B123)とからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー材料(P)を含む複数の繊維(F)を含む布に関する。
本発明による布は、繊維工業、航空宇宙、自動車、医療、軍隊および安全産業で有用な用途を見いだす可能性がある。従って、本発明の別の態様は、上述の用途のいずれかにおける本発明による布の使用に関する。
本発明の布は、異なるデバイスおよびシステムへ組み込むことができる。例えば、布は、フィルタ素子へ組み込むことができる。従って、本発明の別の態様は、上記のような布を含むフィルタ素子に関する。本発明のこれに密接に関連した態様は、フレームと前記フレーム上に取り付けられた布とを含むフィルタアセンブリであって、前記布が上記のような布であるフィルタアセンブリに関する。
【0008】
フィルタアセンブリは、石炭燃焼発電所およびセメント工場などの、工業プラント用のフィルタアセンブリを含むが、それらに限定されない、多数の用途に使用することができる。従って、本発明のさらに別の態様は、それらの少なくとも1つが上記のようなフィルタアセンブリである、複数のフィルタアセンブリを含み、おそらく、各フィルタアセンブリが上記のようなものである濾過システムに関する。
本発明によるフィルタアセンブリは、石炭燃焼発電所またはセメント工場におけるガス/流体用の濾過システムに組み込まれてもよい。従って、本発明のさらに別の態様は、上記のような濾過システムを含む石炭燃焼発電所をまたはセメント工場に関する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、酸性ガスから固体粒子を除去するための上記のような布またはフィルタ素子またはフィルタアセンブリの使用に関する。酸性ガスは、H+イオンを発生するように水と反応することができる任意のガスであってもよい。水と反応するガスの能力は通常、水性媒体を得るために前記水を前記ガスの雰囲気下に約1時間置き、次に前記水性媒体のpHを測定することによって室温(23℃)および大気圧(1気圧)で評価することができ、実質的に7.0より下のpH値は、そのガスが酸性であることを示唆し、6.0、5.0、4.0または3.0さえより下のpH値がある種の場合に観察され得る。酸性ガスは、石炭燃焼発電所からの煙道ガスであってもよい。酸性ガスは任意のガスである。酸性ガスは二酸化炭素を含有してもよい。前記酸性ガスの二酸化炭素含有率は、1容量%、2容量%、5容量%、10容量%または20容量%さえを超える場合がある。前記酸性ガスの固体粒子負荷は1μg/m03、10μg/m03、100μg/m03、1000μg/m03、10mg/m03、20mg/m03、50mg/m03または、極端な状況では、1g/m03さえを超える場合がある。
【0010】
本発明およびそれの付随する利点の多くは、添付の図面に関連して考える場合に以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解され、そのより完全な理解が容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による布を含むフィルタアセンブリを例示する概略図である。
【図2】本発明によるフィルタアセンブリを含む濾過システム(バグハウス)を例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
布の説明
用語「布」は、多くの場合にスレッドまたは糸と言われる繊維の網状構造からなる織物材料を意味することを意図される。糸は通常、紡ぎ車で原料繊維を紡績して長いより糸を生成することによって製造される。布は一般に、繊維を一緒に織る、編む、かぎ針編みする、節止めする、またはプレスすることによって形成される。
【0013】
本発明による布は、布の総質量を基準として、1%、2%、5%、10%、20%、30%、50%、75%、90%または95%より上の質量で複数の繊維(F)を含み、布は本質的に、繊維(F)と同一の複数の繊維からなるか、またはなってさえもよく、布は、布の総質量を基準として、99%、98%、95%、90%、80%、70%、50%、25%、10%または5%未満の質量で繊維(F)と同一の複数の繊維を含んでもよい。布がフィルタアセンブリへ組み込まれるとき、それは、布の総質量を基準として、一般に10%より上、好ましくは50%より上、より好ましくは80%より上、さらにより好ましくは95%より上の質量で繊維(F)と同一の複数の繊維を含む。
【0014】
布は、繊維(F)以外の繊維などの、布の他の通常の成分をさらに含んでもよい。かかる繊維の非限定的な例には、ガラス繊維;アスベスト繊維;ポリ(ベンゾチアゾール)繊維、ポリ(ベンゾイミダゾール)繊維、ポリ(ベンゾオキサゾール)繊維、ポリアリールエーテル繊維およびアラミド繊維のような高温エンジニアリング樹脂から形成された有機繊維;炭素繊維;PTFE繊維;(例えば、タングステンまたはカーボネート糸上へのホウ素微細顆粒の沈着によって得られた)ホウ素繊維;金属繊維;窒化ケイ素Si34のようなセラミック繊維;タルク−ガラス繊維;ウォラストナイト・マイクロファイバーのようなケイ酸カルシウム繊維;炭化ケイ素繊維;金属ホウ化物繊維(例えば、TiB2)およびそれらの混合物が挙げられ;炭素繊維は、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミドまたはフェノール樹脂などの、異なるポリマー前駆体の熱処理および熱分解によってとりわけ得ることができ;本発明に有用な他の炭素繊維は、ピッチの多い材料から得ることができる。用語「グラファイト繊維」は、(2000℃より上の)高温熱分解によって得られた炭素繊維であって、炭素原子がグラファイト構造に類似のやり方で配置される炭素繊維を意味することを意図される。本発明に有用なある種の炭素繊維は、PANベースの炭素繊維、ピッチベースの炭素繊維、グラファイト繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
本発明の布は不織布または織布であってもよい。この布は、繊維工業、航空宇宙、自動車、医療、軍隊および安全産業で有用な用途を見いだす可能性がある。かかる用途の非限定的な例には、耐燃性材料、防火フェルト、ガスケット、ホース、ベルト、ロープ、再充電可能な電池セパレータ、in−situウェビングを含む、滅菌可能布、軍服、ジオテキスタイル、保護布、スレッド、および複合フィラー材料、公益事業、セメント工場、および化学プロセスプラント用のフィルタ、化学スクラバー装置、難燃性織物、環境上攻撃的な環境用の保護服、化学薬品ハンドリング、危険有害性廃棄物、放射線、耐引裂性品、耐衝撃性品、保護布、カーペット、寝具類、室内装飾品、織および不織衣、衣服、ならびにベルトが挙げられる。
【0016】
ポリマー材料(P)の説明
本発明による複数の繊維(F)を含む布は、(1)少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(P1)と少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)とからなるブレンド物(B12)と、(2)スルホン基、ケトン基およびアリーレン基を含むポリマー(P3)と、(3)それらのブレンド物(B123)とからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー材料(P)を含む。
【0017】
本明細書で用いるところでは、用語「ブレンド物」は、塊状構造を形成するように2つ以上の異なるポリマーが互いに化学的に結合している、および/または2つ以上の異なるタイプの重合した繰り返し単位がポリマー鎖中にランダムに分布している「コポリマー」とは対照的に、2つ以上の異なるポリマーの物理的な組み合わせを意味する。通常、ブレンド物の異なるポリマー成分は、繊維(F)の内部で互いにある程度拡散し、多くの場合に、それらは、繊維中でのそれらの個体性が曖昧になるように繊維の内部で密に拡散する。
本明細書で用いるところでは、用語「ポリマー材料」は、上に定義された通り、単一ポリマー、または2つ以上のポリマーからなるブレンド物を差別せずに意味することを意図される。
【0018】
本発明による複数の繊維(F)を含む布は、上に挙げたもの以外の1つ以上のポリマー(P*)をさらに含むことができる。繊維(F)において、ポリマー(P*)とポリマー材料(P)との質量比[(P*):(P)]は通常、0〜5、好ましくは0〜1.00未満、より好ましくは0〜0.30、さらにより好ましくは0〜0.10の範囲である。好ましいかもしれない本発明のある種の実施形態では、繊維(F)は、本質的にポリマー(P*)を含まないか、またはまさに含まない。
【0019】
ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)
本発明の目的のためには、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)は、その繰り返し単位の50質量%超が、スルホン基を含まない、かつ、少なくとも1つのアリーレン基、少なくとも1つのエーテル基[−O−]と少なくとも1つのケトン基[−C(=O)−]とを含有する1つ以上の式の繰り返し単位(R1)である任意のポリマーである。一般に、繰り返し単位(R1)に含有される少なくとも1つのケトン基は、2つのアルーレン基の間に、特に下に示されるように2つのフェニレン基の間にある。
【化1】

【0020】
繰り返し単位(R1)だけでなく全体ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)も多くの場合にスルホン基を含まない。その上、ある種の特定の場合には、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)は、スルホン基をさらに含有してもよく、この場合、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)において、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は、典型的には0.5より下であり、典型的にはまた、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の繰り返し単位の5質量%未満または2.5質量%未満でさえがスルホン基を含有する。
【0021】
ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)は好ましくは75質量%より上、より好ましくは90質量%より上、さらにより好ましくは95質量%より上の繰り返し単位(R1)を含む。最も好ましくは、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)は、たとえ唯一ではなくても、本質的に唯一の繰り返し単位として繰り返し単位(R1)を含有する。
【0022】
ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)は有利には、その全内容が参照により本明細書に援用される、米国仮特許出願第60/835,430号明細書に記載されている通りである。このように、繰り返し単位(R1)は有利には、次式:
【化2】

(式中、
・Arは独立して、フェニレン、ビフェニレンまたはナフチレンから選択される2価の芳香族ラジカルであり、
・Xは独立してO、C(=O)または直接結合であり、
・nは0〜3の整数であり、
・b、c、dおよびeは0または1であり、
・aは1〜4の整数であり、そして
・好ましくは、dは、bが1であるとき0である)
の1つ以上のものである。
【0023】
繰り返し単位(R1)は好ましくは、
【化3】

【化4】

【化5】

および
【化6】

から選択される。
【0024】
より好ましくは、繰り返し単位(R1)は、
【化7】

および
【化8】

から選択される。
【0025】
さらにより好ましくは、繰り返し単位(R1)は、
【化9】

である。
【0026】
本発明の目的のためには、ポリ(エーテルエーテルケトン)は、その繰り返し単位の50質量%超が式(VII)の繰り返し単位(R1)である任意のポリマーを意味することを意図される。
【0027】
優れた結果は、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)がポリ(エーテルエーテルケトン)ホモポリマー、すなわち、繰り返し単位が、たとえ全てではなくても、本質的に全て式(VII)のものであるポリマーであるときに得られる。ヴィクトレックス・マニュファクチャリング社(Victrex Manufacturing Ltd.)製のヴィクトレックス(VICTREX)(登録商標)150P、ヴィクトレックス(登録商標)380P、ヴィクトレックス(登録商標)450Pおよびヴィクトレックス(登録商標)90P、デグッサ(Degussa)製のヴェスタキープ(VESTAKEEP)(登録商標)PEEK、ならびにソルベー・アドバンスト・ポリマーズ、L.L.C.(SOLVAY ADVANCED POLYMERS,L.L.C.)製のケタスパイア(KETASPIRE)(登録商標)およびガトン(GATONE)(登録商標)PEEKがポリ(エーテルエーテルケトン)ホモポリマーの例である。
【0028】
ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)
ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)としての使用に好適な多くのポリ(アリールエーテルスルホン)は、その全内容が参照により本明細書によって援用される、国際公開第2006/094988号パンフレットに開示されている。
【0029】
本発明の目的のためには、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は、その繰り返し単位の少なくとも5質量%が2つのアリーレン基の間に少なくとも1つのスルホン基[−S(=O)2−]と、少なくとも1つのエーテル基[−O−]とを含む1つ以上の式の繰り返し単位(R2)である任意のポリマーである。特に、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)において、少なくとも1つのスルホン基[−S(=O)2−]が下に示されるように2つのフェニレン基の間にあってもよい。
【化10】

【0030】
ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は、好ましくは25質量%より上、より好ましくは50質量%より上、さらにより好ましくは90質量%より上、さらにより好ましくは95質量%より上の繰り返し単位(R2)を含む。最も好ましくは、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は、たとえ唯一ではなくても、本質的に唯一の繰り返し単位として繰り返し単位(R2)を含有する。
【0031】
ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は一般に、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)とは異なる。特に、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は多くの場合にケトン基を含まない。その上、ある種の特定の場合には、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は、ケトン基をさらに含有してもよく;この場合、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)において、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は、典型的には1より大きく、2を超えることができ、そして典型的にはまた、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)の繰り返し単位の25質量%未満がケトン基を含有する。
【0032】
後ほど詳述されるように、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は、ポリフェニルスルホンなどの、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)であってもよい。あるいはまた、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホンまたはビスフェノールAポリスルホンであってもよい。
ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)はまた、少なくとも1つのポリ(ビフェニルエーテルスルホン)とポリエーテルスルホンなどの、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)以外の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)とからなるブレンド物であってもよい。
【0033】
本明細書のある種の実施形態では、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)はポリエーテルスルホンである。本発明の目的のためには、ポリエーテルスルホンは、その繰り返し単位の50質量%超が式(1):
【化11】

の繰り返し単位(R2−a)である任意のポリマーを意味することを意図される。
【0034】
ポリエーテルスルホンはとりわけホモポリマー、またはランダムもしくはブロックコポリマ−などのコポリマーであってもよい。ポリエーテルスルホンがコポリマーであるとき、その繰り返し単位は有利には、式(1)の繰り返し単位(R2−a)のおよび、本明細書で以下に表される式(2)、(3)または(4):
【化12】

およびそれらの混合物
の繰り返し単位などの、繰り返し単位(R2−a)とは異なる繰り返し単位(R2−a*)のミックスである。
【0035】
好ましくは、ポリエーテルスルホンはホモポリマーであるか、またはそれは、その繰り返し単位が式(1)の繰り返し単位(R2−a)からおよび式(2)の繰り返し単位(R2−a*)からなるミックスであるコポリマーであるか、またはそれは前述のホモポリマーとコポリマーとのブレンド物であってもよい。
ポリエーテルスルホンは、ラデル(RADEL)(登録商標)Aとしてソルベー・アドバンスト・ポリマーズ、L.L.C.(SOLVAY ADVANCED POLYMERS,L.L.C.)からとりわけ商業的に入手可能である。
【0036】
本発明のある種の実施形態では、ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)はポリエーテルエーテルスルホンである。本発明の目的のためには、ポリエーテルエーテルスルホンは、その繰り返し単位の50質量%超が式(2):
【化13】

の繰り返し単位(R2−b)である任意のポリマーを意味することを意図される。
ポリエーテルエーテルスルホンはとりわけホモポリマー、またはランダムもしくはブロックコポリマ−などのコポリマーであってもよい。
【0037】
本発明のある種の実施形態では、ポリ(アリールエーテルスルホン)はビスフェノールAポリスルホンである。本発明の目的のためには、ビスフェノールAポリスルホンは、その繰り返し単位の50質量%超が式(3):
【化14】

の繰り返し単位(R2−c)である任意のポリマーを意味することを意図される。
【0038】
ビスフェノールAポリスルホンは、75質量%超または90質量%の式(3)の繰り返し単位を含んでもよい。ビスフェノールAポリスルホンはホモポリマーであってもよく、またはそれはランダムもしくはブロックコポリマ−などのコポリマーであってもよい。ビスフェノールAポリスルホンがコポリマーであるとき、その繰り返し単位は有利には、繰り返し単位(R2−c)のおよび
【化15】

などの、繰り返し単位(R2−c)とは異なる繰り返し単位(R2−c*)のミックスならびにそれらの混合物である。
【0039】
好ましくは、ビスフェノールAポリスルホンはホモポリマーである。ビスフェノールAポリスルホンは、ウデル(UDEL)(登録商標)としてソルベー・アドバンスト・ポリマーズ、L.L.C.(SOLVAY ADVANCED POLYMERS,L.L.C.)からとりわけ商業的に入手可能である。
ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)は好ましくはポリ(ビフェニルエーテルスルホン)である。
【0040】
米国仮特許出願第60/835,430号明細書に記載されているように、用語「ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)」は、任意のポリマー、一般に、その繰り返し単位の50質量%超が少なくとも1つのp−ビフェニレン基:
【化16】

少なくとも1つのエーテル基(−O−)および少なくとも1つのスルホン基(−SO2−)を含有する1つ以上の式の繰り返し単位(R2−d)である、重縮合物を意味することを意図される。
【0041】
好ましくは、繰り返し単位(R2−d)は、一般タイプ:
【化17】

(式中、R1〜R4は−O−、−SO2−、−S−、−CO−であり、ただし、R1〜R4の少なくとも1つは−SO2−であり、かつ、R1〜R4の少なくとも1つは−O−であり;Ar1、Ar2およびAr3は、6〜24個の炭素原子を含有するアリーレン基であり、かつ、好ましくはフェニレンまたはp−ビフェニレンであり;そしてaおよびbは0または1のいずれかである)
の1つ以上の式の繰り返し単位である。
【0042】
より好ましくは、繰り返し単位(R2−d)は、
【化18】

およびそれらの混合物から選択される。
【0043】
さらにより好ましくは、繰り返し単位(R2−d)は、
【化19】

もしくは
【化20】


【化21】


【化22】

とのミックスかのいずれかであり、
ここで、ミックスを構成する繰り返し単位(7)および(9)の総量を基準として、ミックスに含有される繰り返し単位(9)の質量は、10〜99%、好ましくは50〜95%である。
【0044】
最良の特性は、繰り返し単位(7)かまたは繰り返し単位(7)と(9)とのミックスを繰り返し単位(R2−d)として使用するときに達成され得る。一方、繰り返し単位(4)を繰り返し単位(R2−d)として使用すると、一般に、最良の全体コスト特性バランスを提供する。
【0045】
本発明の目的のためには、ポリフェニルスルホンは、その繰り返し単位の50質量%超が式(4)の繰り返し単位(R2−d)である任意の重縮合ポリマーを意味することを意図される。
【0046】
ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)はとりわけホモポリマー、ランダム、交互またはブロックコポリマ−であってもよい。ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)がコポリマーであるとき、その繰り返し単位はとりわけ、(i)式(4)、(6)、(7)、(8)もしくは(9)から選択される少なくとも2つの異なる式の繰り返し単位(R2−d)、または(ii)式(4)、(6)、(7)、(8)もしくは(9)から選択される1つ以上の式の繰り返し単位(R2−d)(特に、式(4)の繰り返し単位)および
【化23】

および
【化24】

などの、繰り返し単位(R2−d)とは異なる、繰り返し単位(R2−d*)からなってもよい。
【0047】
ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)の繰り返し単位の好ましくは70質量%超、より好ましくは85質量%超が繰り返し単位(R2−d)である。さらにより好ましくは、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)の繰り返し単位は本質的に全て繰り返し単位(R2−d)である。最も好ましくは、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)の繰り返し単位は全て繰り返し単位(R2−d)である。
【0048】
優れた結果は、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)がポリフェニルスルホンホモポリマー、すなわち、繰り返し単位が、たとえ全てではなくても、本質的に全て式(4)のものであるポリマーであるときに得られた。ソルベー・アドバンスト・ポリマーズ、L.L.C.(SOLVAY ADVANCED POLYMERS,L.L.C.)製のラデル(RADEL)(登録商標)Rポリフェニルスルホンがポリフェニルスルホンホモポリマーの例である。
【0049】
ブレンド物(B12)
ある種の好ましい実施形態では、ポリマー材料(P)はブレンド物(B12)である。前述のように、前記ブレンド物(B12)は、少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(P1)と少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)とからなる。
【0050】
ブレンド物(B12)に関して、ブレンド物(B12)の総質量を基準とする[すなわち、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の質量プラス・ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)の質量を基準とする]、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の質量は有利には少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにさらにより好ましくは少なくとも45%であり;加えて、ブレンド物(B12)の総質量を基準とする、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の質量は有利には多くとも90%、好ましくは多くとも80%であり;ある種の実施形態では、それは多くとも70%、そしておそらく多くとも55%であり;ある種の他の実施形態では、それは55%より上、そしておそらく少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%さえである。
【0051】
ポリマー(P3)
ポリマー(P3)は、スルホン基、ケトン基およびアリーレン基を含む。
ポリマー(P3)において、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は、大幅に変わってもよい。
【0052】
ポリマー(P3)としての使用に好適なある種のポリマーは、その全内容が参照により本明細書に援用される、米国仮特許出願第61/014,485号明細書に記載されている。従って、ポリマー(P3)は、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比が1より大きい、スルホン基、ケトン基およびポリアリーレン基(下に定義されるような「ポリアリーレン基」の)を含むポリマーであってもよく;前記特定のポリマー(P3)において、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は1.25より大きくても、1.5より大きくても、または2より大きくてさえよく;加えて、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比はとりわけ5より下、4より下、3より下または2より下である。
【0053】
米国仮特許出願第61/014,485号明細書に記載されているもの以外のある種のポリマーもまた、ポリマー(P3)としての使用に、より好適ではないにしても、少なくとも好適である。従って、ポリマー(P3)は、スルホン基、ケトン基およびポリアリーレン基を含むポリマーであってもよく、ここで、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は多くとも1であり;加えて、ポリマー(P3)において、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は、0.8より下、0.65より下、0.5より下、0.35より下または0.25より下でさえあってもよく;加えて、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は、とりわけ0.1より上、0.2より上、0.25より上、または0.5以下であってもよい。
【0054】
ポリマー(P3)としての使用に好適なさらに他のポリマーは、スルホン基、ケトン基およびポリアリーレン基以外のアリーレン基を含むポリマーである。ポリマー(P3)がかかるタイプのものであるとき、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比は、1より上か多くとも1かのいずれかであってもよく、上に明記された下限および上限のいずれかに適合してもよい。
【0055】
ポリマー(P3)は好ましくはポリアリーレン基を含む。用語「ポリアリーレン基」は、多数のベンゼン環構造を含有し、各ベンゼン環が少なくとも1つの単結合によって少なくとも1つの他のベンゼン環に直接結合している基を意味することを意図される。かかるポリアリーレン基の非限定的な例には、2,6−ナフチレン、2,6−アントリレン、2,7−フェナントリレン、ビフェニレン、およびビナフチレンが挙げられる。より好ましくは、ポリマー(P3)はビフェニレン基を含む。さらにより好ましくは、ポリマー(P3)はp−ビフェニレン基を含む。
【0056】
ポリマー(P3)のケトン基は通常ケトン含有モノマーに由来する。かかるケトン含有モノマーの非限定的な例には、
【化25】

(式中、Xはハロゲン、ニトロ、ヒドロキシルまたはチオール基であり、かつ、式中、Yはアルキレル、アリーレン、ケトン、−O−、または−S−基である)
が挙げられる。
【0057】
ポリマー(P3)のスルホン基は通常スルホン含有モノマーに由来する。かかるスルホン含有モノマーの非限定的な例には、
【化26】

(式中、Xはハロゲン、ニトロ、ヒドロキシルまたはチオール基であり、かつ、式中、Yはアルキレン、アリーレン、ケトン、−O−、または−S−基である)
が挙げられる。
【0058】
ポリマー(P3)は一般に、
【化27】

を含む。
ポリマー(P3)は好ましくは少なくとも
【化28】

を含む。
【0059】
ポリマー(P3)としての使用に好適な米国仮特許出願第61/014,485号明細書に記載されているある種のポリマーの場合のように、(G1)のモル数と(G2)のモル数の比は、1より大きくても、1.25より大きくても、より好ましくは2より大きくてもよく;一方、それはとりわけ15より低くても、または10より低くてもよい。同様に、ポリマー(P3)としての使用に好適な米国仮特許出願第61/014,485号明細書に記載されているある種のポリマーの場合のように、ポリマー(P3)は、ポリマーの1kg当たり100g超、200g超、300g超または350g超の基(G1)を含んでもよく;ポリマー(P3)は、ポリマーの1kg当たり25g超、75g超または100g超の基(G2)を含んでもよく;ポリマー(P3)は、ポリマーの1kg当たり100g超、200g超、250g超または300g超の基(G3)を含んでもよい。
【0060】
米国仮特許出願第61/014,485号明細書に記載されているもの以外のある種のポリマーもまた、ポリマー(P3)としての使用に、より好適ではなくても、少なくとも好適である。従って、ポリマー(P3)において、(G1)のモル数と(G2)のモル数の比は多くとも1であってもよく;加えて、ポリマー(P3)において、(G1)のモル数と(G2)のモル数の比は0.8より下、0.65より下、0.5より下、0.35より下または0.25より下でさえあってもよく;加えて、(G1)のモル数と(G2)のモル数の比はとりわけ0.1より上、0.2より上、0.25より上、または0.5以下であってもよい。同様に従って、ポリマー(P3)は、ポリマーの1kg当たり25g超、50g超、75g超または100g超の基(G1)を含んでもよく;ポリマー(P3)は、ポリマーの1kg当たり100g超、200g超、250g超、300g超または350g超の基(G2)を含んでもよく;ポリマー(P3)は、ポリマーの1kg当たり100g超、200g超、250g超または300g超の基(G3)を含んでもよい。
【0061】
ポリマー(P3)はホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。それは好ましくは、少なくとも2つの違った式の繰り返し単位を含むコポリマーである。より好ましくは、それは、2つの、2つだけの違った式の繰り返し単位を含む。ポリマー(P3)は、下に詳述されるような繰り返し単位(R3−a)、(R3−b)、(R3−c)、(R3−d)、(R3−e)または(R3−f)を含んでもよい。繰り返し単位(R3−a)、(R3−b)、(R3−c)、(R3−d)、(R3−e)および(R3−f)は、下で詳述されるように、異なるモノマー間の反応によって得られ;ただし、前記繰り返し単位は、実用上の見地から、一般に前記反応によって得られる。
【0062】
繰り返し単位(R3−a)
繰り返し単位(R3−a)は、少なくとも1つの基(G1)を含む少なくとも1つの芳香族ジハロ化合物(D1−1)と、少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシ化合物との反応によって得られる。
繰り返し単位(R3−a)は、少なくとも1つの基(G1)を含むが、それらはまた基(G2)および/または(G3)を含んでもよい。それらはまた基(G2)および(G3)を含まなくてもよい。優れた結果は、基(G1)と(G2)または(G3)とを含む繰り返し単位(A)で得られた。
【0063】
少なくとも1つの基(G1)の繰り返し単位(R1)を含む芳香族ジハロ化合物(D1−1)は好ましくは、4,4’−ジハロジフェニルスルホンまたは4,4’−ビス[(4−クロロフェニル)スルホニル]−1,1’−ビフェニルである。より好ましくは、それは4,4’−ジハロジフェニルスルホンである。さらにより好ましくは、4,4’−ジハロジフェニルスルホンは、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
繰り返し単位(R3−a)の芳香族ジヒドロキシ化合物は好ましくは4,4’−ビフェノールまたは4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
【0064】
繰り返し単位(R3−b)
上記のようなポリマーは、少なくとも1つの基(G1)を含む少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシ化合物(D1−2)と、少なくとも1つの芳香族ジハロ化合物との反応によって得られる繰り返し単位(R3−b)をさらに含んでもよい。
繰り返し単位(R3−b)は少なくとも1つの基(G2)を含むが、それはまた基(G1)および/または(G3)を含んでもよい。それはまた基(G1)および(G3)含まなくてもよい。優れた結果は、例えば、両方の基(G2)および(G1)を含む繰り返し単位(R1)で得られた。
少なくとも1つの基(G1)の繰り返し単位(R3−b)を含む芳香族ジヒドロキシ化合物(D1−2)は、好ましくはジヒドロキシジフェニルスルホンである。
【0065】
繰り返し単位(R3−c)
上記のようなポリマーは、少なくとも基(G2)を含む少なくとも1つの芳香族ジハロ化合物(D2−1)と少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシ化合物との反応によって得られる繰り返し単位(R3−c)をさらに含んでもよい。
繰り返し単位(R3−c)は少なくとも1つの基(G2)を含むが、それはまた基(G1)および/または(G3)を含んでもよい。それはまた基(G1)および(G3)を含まなくてもよい。優れた結果は、例えば、両方の基(G2)および(G1)を含む繰り返し単位(R3)で得られた。
繰り返し単位(R3−c)の芳香族ジヒドロキシ化合物は好ましくは4,4’−ビフェノールである。
芳香族ジハロ化合物(D2−1)は好ましくは4,4’−ジハロベンゾフェノンである。より好ましくは、4,4’−ジハロベンゾフェノンは、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0066】
繰り返し単位(R3−d)
上記のようなポリマーは、少なくとも基(G2)を含む少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシ化合物(D2−2)と少なくとも1つの芳香族ジハロ化合物との反応によって得られる繰り返し単位(R3−d)をさらに含んでもよい。
繰り返し単位(R3−d)は少なくとも1つの基(G2)を含むが、それはまた基(G1)および/または(G3)を含んでもよい。それはまた基(G1)および(G3)を含まなくてもよい。優れた結果は、例えば、両方の基(G2)および(G1)を含む繰り返し単位(R4)で得られた。
繰り返し単位(R3−d)の芳香族ジヒドロキシ化合物(D2−2)は好ましくは4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
【0067】
繰り返し単位(R3−e)
上記のようなポリマーは、少なくとも基(G3)を含む少なくとも1つの芳香族ジハロ化合物(D3−1)と少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシ化合物との反応によって得られる繰り返し単位(R3−e)をさらに含んでもよい。
繰り返し単位(R3−e)は少なくとも1つの基(G3)を含むが、それはまた基(G1)および/または(G2)を含んでもよい。それはまた基(G1)および(G2)を含まなくてもよい。優れた結果は、例えば、両方の基(G3)および(G1)を含む繰り返し単位(R5)で得られた。
繰り返し単位(R3−e)の芳香族ジヒドロキシ化合物は好ましくは4,4’−ビフェノールである。
【0068】
繰り返し単位(R3−f)
上記のようなポリマーは、少なくとも基(G3)を含む少なくとも1つの芳香族ジヒドロキシ化合物(D3−2)と少なくとも1つの芳香族ジハロ化合物との反応によって得られる繰り返し単位(R3−f)をさらに含んでもよい。
繰り返し単位(R3−f)は少なくとも1つの基(G3)を含むが、それはまた基(G1)および/または(G2)を含んでもよい。それはまた基(G1)および(G2)を含まなくてもよい。優れた結果は、例えば、両方の基(G3)および(G1)を含む繰り返し単位(R3−f)で得られた。
繰り返し単位(R3−f)の芳香族ジヒドロキシ化合物(D3−2)は好ましくは4,4’−ビフェノールである。
特定の実施形態では、ポリマー(P3)は好ましくはヒドロキノン基を含まない。
【0069】
繰り返し単位(R3−a)、(R3−b)、(R3−c)、(R3−d)、(R3−e)および(R3−f)は、同じものであっても異なるものであってもよい。例えば、両方の基(G1)および(G2)を含む繰り返し単位は、繰り返し単位(R3−a)および(R3−d)の両定義の分類に入る。
【0070】
上記のような繰り返し単位の非限定的な例を以下に挙げる;
【化29】

【0071】
繰り返し単位(i)は、同時に繰り返し単位(R3−a)および(R3−f)である繰り返し単位の例である。繰り返し単位(ii)〜(v)はそれぞれ、同時に繰り返し単位(R3−b)および(R3−c)、(R3−a)および(R3−b)、(R3−a)および(R3−d)、ならびに最後に(R3−a)および(R3−f)である。
【0072】
繰り返し単位(R3−a)、(R3−b)、(R3−c)、(R3−d)、(R3−e)および(R3−f)の総質量とポリマーの総質量の比は、有利には0.5より上である。この比は好ましくは0.7より上、より好ましくは0.9より上、さらにより好ましくは0.95より上である。最も好ましくは、ポリマー(P3)は、繰り返し単位(R3−a)、(R3−b)、(R3−c)、(R3−d)、(R3−e)および(R3−f)以外の繰り返し単位を全く含まない。
【0073】
優れた結果は、次の構造:
【化30】

または
【化31】

(式中、
・「a」は、全ポリマーの少なくとも10モル%、20モル%、30モル%、40モル%、50モル%を表してもよく、かつ、「a」はまた、全ポリマーの多くとも70モル%、60モル%、50モル%、40モル%、30モル%を表してもよく;「a」は好ましくは全ポリマーの10モル%〜60モル%を表し;
・「b」は、全ポリマーの少なくとも30モル%、40モル%、50モル%、60モル%、70モル%を表してもよく、かつ、「b」はまた、全ポリマーの多くとも95モル%、90モル%または80モル%を表してもよく;「b」は好ましく全ポリマーの40モル%〜90モル%を表し;
・「c」は、全ポリマーの少なくとも10モル%、20モル%、30モル%、40モル%、50モル%を表してもよく、かつ、「c」はまた、全ポリマーの多くとも70モル%、60モル%、50モル%、40モル%、30モル%を表してもよく;「c」は好ましくは全ポリマーの10モル%〜60モル%を表し;
・「d」は、全ポリマーの少なくとも30モル%、40モル%、50モル%、60モル%、70モル%を表してもよく、かつ、「d」はまた、全ポリマーの多くとも95モル%、90モル%または80モル%を表してもよく;「d」は好ましくは全ポリマーの40モル%〜90モル%を表す)
を含むポリマーで得られた。
【0074】
ポリマー(P3)としての使用に好適である、米国仮特許出願第61/014,485号明細書に記載されているある種のコポリマーの場合のように、「a」および「c」はまた、全ポリマーの75〜90モル%を表してもよく、「b」および「d」は、全ポリマーの10〜25モル%を表してもよい。
【0075】
ブレンド物(B123)
ポリマー材料(P)は、既定のような少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(P1)と、少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)と少なくとも1つのポリマー(P3)とからなるブレンド物(B123)であってもよい。
【0076】
ブレンド物(B123)に関して、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の質量は、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)とポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)との総合質量を基準として、有利には少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、さらにより好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも45%であり;加えて、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の質量は、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)とポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)との総合質量を基準として、有利には多くとも90%、好ましくは多くとも80%、さらにより好ましくは多くとも70%である。一方、ポリマー(P3)の質量は、ブレンド物(B123)の総質量[すなわち、ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の質量プラス・ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)の質量プラス・ポリマー(P3)の質量]を基準として、大幅に変わってもよく;それは、ブレンド物(B123)の総質量を基準として、少なくとも20%、40%、60%または80%であってもよく;それはさらに、ブレンド物(B123)の総質量を基準として、多くとも80%、60%、40%または20%であってもよい。
【0077】
繊維を製造するための方法およびシステムの説明
繊維(F)は溶融紡糸法によって得られてもよい。かかる方法では、ポリマー材料(P)のペレット(または粉末)を予備乾燥することができる。ペレットは次に押出機へ供給される。押出ポリマー材料(P)は溶融され、溶融ポリマー材料(P)は、ダイ穴を通過させられる。繊維のより糸は、例えば、一連のローラーを用いてダイ穴から引っ張ることができる。引っ張られたより糸は次に糸巻きに巻き取ることができる。より糸の粘度、強度および伸展性は、ポリマー材料(P)中の添加剤のレベル、ポリマー分子量、分子量分布および分子構造などの異なるパラメータを変えることによって制御することができる。これらの流動パラメータはまた、温度と、ローラーによる引張の速度などの、剪断条件とによって制御することもできる。
【0078】
溶融紡糸法は、一般に容易に溶融加工することができ、かつ、溶融紡糸に適する樹脂について特に有効に働く。好ましくは、溶融紡糸されるポリマー材料(P)は、比較的きれいである(ゲル、ブラックスペック、炭などの汚染物質を含まない)。例えば、ウデル(UDEL)(登録商標)などのビスフェノールAポリスルホン、ラデル(RADEL)(登録商標)Aなどのポリエーテルスルホン、ラデル(RADEL)(登録商標)R、アキュデル(ACUDEL)(登録商標)などのポリフェニルスルホン、アヴァスパイア(AVASPIRE)(登録商標)などのポリマー材料、ケタスパイア(KETASPIRE)(登録商標)などのポリエーテルエーテルケトン、エピスパイア(EPISPIRE)(登録商標)などのポリ(ビフェニルエーテルスルホン)、ガトン(GATONE)(登録商標)などのポリエーテルエーテルケトンおよびガフォン(GAFONE)(登録商標)などのポリ(アリールエーテルスルホン)は溶融紡糸することができる。
【0079】
繊維(F)の製造システムは、押出機、例えば、1.5インチ直径押出機を含むことができる。押出機は、それぞれがダイ穴の房付きダイに供給する、2つの溶融ポンプに供給することができる。例えば、各溶融ポンプは、それぞれが直径0.8mmの、20のダイ穴の2つの房に供給することができる。繊維のより糸は、ローラーのセットによって引っ張ることができる。ローラーの最初のセットの引張線速度は、例えば、約600m/分であることが可能である。ローラーの一連のセットは、例えばローラーの各一連のセットについて引張線速度を上げることによって、より糸をさらに引っ張ることができる。例えば、ローラーの4番目のセットは約900m/分の引張線速度を有することができる。引っ張られたより糸は次に高速糸巻きに巻き取ることができる。
【0080】
繊維(F)は、上の方法およびシステムに限定されない。例えば、紡糸する前にポリマー材料(P)を溶解させるために溶剤を使用して繊維(F)を製造することが可能である。この溶剤ベースの方法は、ポリマー材料(P)を溶融させるための高温を必要としないという利点を提供する。この方法は、取り扱うのが比較的困難であるおよび/または熱に反応するポリマー材料(P)に好適であり得る。表面活性繊維、すなわち、その表面上に活性化学を提供する繊維は、溶液紡糸によって製造されてもよい。例えば、ヒドロキシル、アミン、シロキサンなどのタイプの活性基を含む繊維は、溶液紡糸法で製造することができる。加えて、添加剤などの、第2材料が第1材料の溶融温度に耐えることができない場合、溶液紡糸を用いて両材料を含む繊維を製造することができる。一方、溶融紡糸法は、溶剤の使用なしに流体ポリマー材料(P)を提供し、このことは、環境問題に応じるために溶剤が追加の工程を必要とし得ることから、有益である可能性がある。
【0081】
繊維(F)はまた、スパンボンド法を用いて製造することもできる。スパンボンド布は、押し出して引っ張られ、次に連続ベルト上にレイダウンされたフィラメントによって形成された不織布である。接合は、ホット−カレンダー処理などの幾つかの方法によってかまたはウェブを高温の飽和水蒸気室に通すことによって成し遂げることができる。スパン布は、1つの繊維タイプまたは2つ以上の混合の繊維タイプを含有してもよいステープルファイバーから製造された布である。スパンレース布は、繊維を繰り返しパターンで絡み合わせてバインダーを含まない強い布を形成することによって製造された不織布である。ステープルは、天然繊維かまたはフィラメントからのカット長さの繊維から構成することができる。ステープル長さは、1インチ未満から数フィートまで変わることができる。人造ステープルファイバーは、それらが紡績システムで加工できるように一定の長さにカットすることができる。用語ステープルは、カットファイバーをフィラメントから区別するために繊維工業で用いられる。メルトブローンは、溶融樹脂が小さいオリフィスを強引に通され、基材またはコンベアベルト上へ「ブローン」ダウンされたものと考えることができる。これは、ランダムに行い、材料の不織またはフェルト様スワッチを製造することができる。
【0082】
繊維(F)は、ローブ、ストライプ、セグメントなどを含むが、それらに限定されない任意の数の断面形を有することができる。繊維(F)はまた、1つまたは複数の樹脂で製造することもできる。例えば、1樹脂が繊維のコアを形成することができ、そして別の樹脂が繊維の外殻を形成することができる。繊維(F)は、数平均直径が一般に1nmほどに低いから100μmほどに高いまでの状態で、直径が非常に広範囲内の繊維を製造することができる。繊維(F)はとりわけナノファイバー、すなわち、その数平均直径が1μm(1000nm)より下である繊維であってもよく;ナノファイバーは少なくとも2、5、10、20、50、100または200nmの数平均直径を有してもよく;ナノファイバーは多くとも500、200、100、50、20または10nmの数平均直径を有してもよい。繊維(F)はまたマイクロファイバー、すなわち、その数平均直径が少なくとも1μm(1000nm)のものである繊維であってもよく;マイクロファイバーは少なくとも2、4、8または12μmの数平均直径を有してもよく;マイクロファイバーは多くとも50、30または20μmの数平均直径を有してもよい。ある種の実施形態では、好ましい繊維は、12〜20μmの範囲の数平均直径を有する。繊維(F)の数平均長さは有利には少なくとも10cm、好ましくは少なくとも25mm、より好ましくは少なくとも50mmのものである。少なくとも50mmの数平均長さの繊維は、良好な濾過効率を有する。繊維(F)の数平均長さは特に限定されない。それは、多くとも100、200または500mmのものでもよいが、それはまた連続繊維の場合のようにはるかに高いものでもよい。さらに他の直径および長さも可能である。
【0083】
2成分系で、1ポリマー材料(P)の多く(多くの場合、少なくとも100)のより糸(例えば、600)を、ポリマー材料(P)とは異なるポリマー材料(P2)のマトリックス中に形成することができ、全てが数平均直径で合計して2、3ミクロン(多くの場合、少なくとも2.0μm)、例えば、10μmになる。かかる技法は時々「海中の島」技法と言われる。マトリックスポリマー材料(P2)が洗い流される(例えば、それが溶剤によって溶解される)場合、マトリックス中に形成されたより糸の数と同じほど多くのナノファイバー(ここでは、600ナノファイバー)を得ることができる。
【0084】
一般に、繊維(F)はナノメートルからミリメートルの直径を有することができ、長さの点で糸巻きには非常に短いものであり得る。繊維は、布または織物構造物の基本要素を形成する材料の単位である。繊維(F)は、その数平均直径の少なくとも10、100、1,000倍または、ある種の場合には、10,000倍さえの数平均長さを有することができる。
さらに、繊維(F)は、円形、卵形、星様、コア/シェルなどの、異なる断面形を有することができる。本出願者は、本発明のある種の実施形態では、非円形繊維断面形、特に星様断面形の繊維が強化された濾過能力を提供するので、好ましいという意見である。
加えて、繊維(F)は、異なる値、例えば、11〜12のクリンプ/インチを取る波形(または単位長さ当たりのクリンプ)を有することができる。他のクリンプ値は可能である。
【0085】
繊維を組み込んだフィルタアセンブリの説明
上述の複数の繊維(F)を含む布は、多数の用途について利益を提供する。これらの用途は、フィルタアセンブリ、集塵機、汚染防止システム、例えば、吸収剤塔内の、ミスト分離器翼またはバッフルを含むが、それらに限定されない。本発明の別の態様はこのように、フレームと前記フレーム上に取り付けられた布とを含むフィルタアセンブリであって、前記布が本発明による布であるフィルタアセンブリに関する。
【0086】
図1は、繊維110を含む本発明によるフィルタアセンブリ100の非限定的な実施形態を例示する概略図である。図1に見られるように、フィルタアセンブリ100は、繊維110でできた濾布(典型的には、バッグ)を含む。濾布は、繊維110から製造された、織布だけでなく、フェルト布、または不織布でもよい。好ましい実施形態では、濾布120は、アヴァスパイア(AVASPIRE)(登録商標)ポリマーブレンド物などの、上に定義されたようなブレンド物(B12)を含む繊維110を組み込む。別の好ましい実施形態では、濾布120は、既定のようなポリマー(P3)を含む繊維110を組み込む。その上別の好ましい実施形態では、濾布120は、ポリ(フェニレンスルフィド)などの、ポリマー材料(P)とは異なるいかなるポリマー材料も含まない。
【0087】
フィルタアセンブリ100は、ガスが各フィルタアセンブリ100を通過するときに粒子状物質を粒子状物質負荷ガスから濾過することができる。各フィルタアセンブリ100は、濾過システム200(図2)のチューブシート250に連結したフランジ140でその上端を支持することができ、かつ、実質的に垂直方向に下方に垂れ下がることができる。フランジ140は、チューブシート250に取り付けられたときにフィルタアセンブリ100の質量に耐えることができる。フランジは、型打ちした、延伸したまたは別の方法で成形した金属などの、好適な材料から製造される。
【0088】
フィルタアセンブリ100の長さは、例えば2、3センチメートルから2、3メートルで変わることができる。また、フィルタアセンブリ100は直列に連結することができる。例えば、フィルタアセンブリ100は、幾つかのフィルタアセンブリでできた濾過システムのモジュールでもよい。フィルタアセンブリ100は好ましくは両端で開いている。あるいはまた、フィルタアセンブリ100は一端かまたは両端で閉じていることができる。フィルタアセンブリ100は、例えば円形、卵形または正方形などの、任意の好適な形状断面を有することができる。
【0089】
濾布120は、半径方向に濾布120を支持するために配置構成されたフレーム130上に取り付けることができる。フレーム130は、濾布120に縫い込まれた支持リングを含むことができる。あるいはまた、または加えて、フレーム130は、支持ケージまたは穿孔チューブを含むことができ、そのチューブ上に濾布120が取り付けられる。支持リング130および/または支持ケージおよび/またはチューブは、金属、穿孔シート金属、エキスパンドメタルもしくはメッシュスクリーン、または他の好適な材料でできていることができる。支持リング、チューブおよび/またはケージはフランジ140に連結することができる。
【0090】
濾布120は、実質的にチューブ状形状で形成することができる。好ましくは、濾布120は、その内周および外周でアコーディオン折りの必須(pleaded)要素を含む。濾布120は、例えば、注封材料によって、フランジおよび/または支持リング/ケージ/チューブに取り付けることができる。
【0091】
フィルタアセンブリ100は、例えば、石炭を燃料とする発電所またはセメント工場などの、その排出物を管理するおよび/またはきれいにする必要がある任意の製造または生産工場の、濾過システム、またはバグハウスに組み込むことができる。その点において、フィルタアセンブリ100は、ポリ(フェニレンスルフィド)繊維を含む現在使用されているフィルタアセンブリに有益にも取って代わることができる。本発明による繊維110はこのように、さらに定期的に交換する必要がある、工業フィルタアセンブリに使用される従来のポリマー繊維(特に、PPS繊維)の限定された供給に対処するために代わりの、より技術的に機能するポリマー繊維源を提供することができる。繊維110はまた、高い運転温度および酸性環境に耐えることができるフィルタアセンブリ100を提供することができる。
【0092】
上述のように、繊維110は、上述のポリマー材料(P)から製造される。繊維110は、それらが良好な酸化安定性、耐加水分解性および様々な化学薬品に対する耐性を有するような化学組成を有する。こうして、高温および/または酸性および/または塩基性雰囲気の非常に厳しい環境中で、本発明によるフィルタアセンブリ100は、工業フィルタアセンブリのために多数の利益を提供することができる。特に、繊維110は酸化分解せず、こうしてフィルタアセンブリ100の寿命を向上させ、フィルタアセンブリは、それほど早く閉塞せず、頻繁に取り換える必要がない。フィルタアセンブリ100は、より高い温度で動作することができ、こうして全体装置の向上した運転効率を提供する。フィルタアセンブリ100は、より多い振盪機サイクルによって運転することができ、それによってフィルタアセンブリ寿命を延ばす。さらに、繊維110の物理的特質は、新しい、改良されたデザイン選択肢を提供し、さらなる濾過改良さえも可能にする。本発明によるフィルタアセンブリは好ましくは、硫酸の存在下に、または約375°Fの温度環境中で酸化分解しない繊維を含む。ある種の実施形態では、それはまた表面活性繊維を含む。
【0093】
フィルタアセンブリを組み込んだ濾過システムの説明
本発明による濾過システムは、複数のフィルタアセンブリを含み、それらの少なくとも1つは、上記のようなフィルタアセンブリである。ある種の実施形態では、本発明による濾過システムは、複数のフィルタアセンブリを含み、それらのそれぞれは上記のようなフィルタアセンブリである。
【0094】
本発明による濾過システムは、石炭燃焼発電所またはセメント工場からのガスを受け入れるために配置構成されたガス入口をさらに含んでもよい。ある種の実施形態では、本発明による濾過システムは、石炭燃焼発電所またはセメント工場からのガスを受け入れる。
【0095】
図2は、繊維110のフィルタアセンブリ100を含む本発明による濾過システム(またはスクラバシステム、またはバグハウス)200を例示する概略図である。濾過システム200は、石炭燃焼発電所にまたは、ぼたおよび/またはセメント工場にならびにスチールおよび/またはコークス工場などの、処理工場に組み込むことができる。濾過システム200は、ガス入口210を含み、その中に濾過されるべき煙道ガスが挿入される。ガスは次に、多数のフィルタアセンブリ(またはフィルタバッグ)220に通される。フィルタアセンブリ220のそれぞれは、図1に示される濾布120のフィルタアセンブリ100に類似のものでもよいが、他の形状も可能である。フィルタアセンブリ220は、本発明に従って製造された繊維110でできた布を含む。フィルタアセンブリ220は、それらのフランジによってチューブシート250に取り付けることができる。フィルタアセンブリ220は装置の内部に垂直に垂れ下がることができ、締め具、留め金バンドまたはホールドダウンによって適所に保持することができる。フィルタアセンブリ220は、SO2、SO3、CO2、水銀、二酸化窒素、ならびに他の汚染分子および燃焼残渣をはじめとする、様々な成分をガスから捕捉することができる。フィルタアセンブリ220は、機械的におよび/または、例えば表面活性繊維によって化学的にこれらの成分を捕捉することができる。濾過ガスは次に、ガス出口290を通って濾過システム200を出る。
【0096】
フィルタアセンブリ220は、高温環境中で、例えば約375°Fで、および酸性環境中で(例えば、硫酸の存在下に)長期間(例えば、3年以上)機能することができる。この期間中に、フィルタアセンブリ220は、パルスジェット、振盪機システム、逆洗空気またはそれらのいくつかの組み合わせなどの、あるタイプのかき混ぜシステムによって、定期的にきれいするか、または破片を排出させることができる。例えば、濾過システム200は、圧縮空気の噴出を発生させるために配置構成されたパルスジェット・システム260を含むことができ、圧縮空気の噴出はフィルタアセンブリ220の開口部の最上部中へ注入される。空気は、フィルタアセンブリの上に置かれたベンチュリに注ぐブローパイプから供給することができる。空気噴出は衝撃波を生み出し、衝撃波はバッグを収縮させ、粒子状物質を下のホッパー270中へ放出させる。時間の経過に伴う破片の蓄積、フィルタアセンブリのかき混ぜおよび苛酷な環境のために、フィルタアセンブリ220は劣化し、最終的には取り換える必要がある。フィルタアセンブリは、最上部アクセスハッチ280を通して補修し、取り換えることができる。
【0097】
濾過システム200は、数千のかかるフィルタアセンブリ220を含むことができる。例えば、電力工場では、濾過システム200は、数千ポンドの繊維を意味する、10,000のフィルタアセンブリ220を含むことができる。このように、フィルタが閉塞し、取り換える必要がある場合、その取り換えに非常に費用がかかる可能性がある。これは、フィルタの寿命の増加がこれらの用途において特に有益であり得、かつ、本発明の繊維が顕著な費用効果につながり得る別の理由である。
【実施例】
【0098】
サンプル
表1に挙げるように、3つの原材料、すなわち、高メルト−フローのヴィクトレックス(VICTREX)(登録商標)150P PEEK(粉末形態、PEEK 150と称される)、中メルト−フローのヴィクトレックス(VICTREX)(登録商標)381G PEEK(ペレット、溶融濾過、PEEK 381と称される)およびラデル(RADEL)(登録商標)R 5100 NT中フローPPSU(ペレット、溶融濾過)を、様々なポリエーテルエーテルケトン(本明細書では以下、PEEK)/ポリフェニルスルホン(本明細書では以下、PPSU)ブレンド物を調製するために使用した。対照CE1およびCE2に加えて、計3つのブレンド物を、表1に挙げる、処方E1、E2およびE3で配合した。各調合物をドライブレンドし、押し出した。
【0099】
【表1】

【0100】
配合条件
PEEK/PPSUブレンド物は、ダイプレートに20/40/60/230メッシュ・スクリーンパックを使用するバーストーフ(Berstorff)B 25mm押出機を用いて配合した。条件に関する詳細を表2に示す。材料押出量は18〜20ポンド/時をターゲットとし、溶融温度は、スクリューrpmおよびバレル温度を最適化することによって405℃より下であるように制御した。ペレットが得られた。
【0101】
【表2】

【0102】
動的溶融レオロジーによる繊維溶融紡糸加工性の比較
サンプルは、380℃の平行プレートの動的レオメータを用いて特性化した。そのように得たペレットからの圧縮成形プラークサンプルを160℃の真空オーブン中で一夜乾燥させた。結果を表3に報告するが、表3でη°はPa.s単位のゼロ剪断溶融粘度である。Sωは剪断速度に対する溶融粘度感受性を示唆する(無単位)。より大きいSω値は、ポリマーの剪断速度に対するより高い溶融粘度感受性を示唆する。
【0103】
ニートのCE2(中メルト−フロー)と比較して、E2およびE3材料は、剪断減粘挙動の低下、(溶融強度に関連した)ゼロ剪断速度の低下および温度に対する溶融粘度感受性の改質を特色とする。それらはこのように、繊維溶融紡糸について広いプロセスウィンドウを有し、そして頻度のより少ないより糸切断を与えると思われる。エンジニアリングポリマーおよびそれらの製造の分野で大きな専門的知識を取得してきた本出願者は、3000Pa.sより低いη°値、および0.25より低い10ラジアン/秒でのSω値を特色とするポリマー材料が繊維および布の製造に特に好適であることを経験してきた。
【0104】
【表3】

【0105】
溶融紡糸
繊維紡糸試行を、24:1のL/Dおよび3:1の圧縮比の、2つの溶融ポンプおよび4つの延伸ローラー付きの、標準1.5インチ単軸スクリュー押出機を含む機械で行った。スクリューは、ミキサーなしの7.5/13.5/15インチ長さの供給、移行および計量供給ゾーンを有した。各溶融ポンプは、それぞれが計80のより糸のための直径0.8mmの20の穴の2つの房を有する紡糸口金中へ材料を供給した。全材料滞留時間は、5ポンド/時押出量速度で約10分であった。より糸を、4つのローラーで引っ張り、それらの速度および温度は独立して制御した。第1ローラーは、ポリマーの溶融状態でより糸を延伸した(「熱」延伸)。残りのローラーからのより糸延伸は、ポリマーの固体状態で行った(「冷」延伸)。325×60×20×20×20メッシュの組み合わせの4つのスクリーンパックを紡糸口金の前に使用した。
【0106】
PEEKサンプルCE1およびPEEK/PPSUサンプルE1についての繊維紡糸条件を表4に示す。PEEK/PPSUブレンド物E1は、同様なプロセス条件で、ニートのPEEKサンプルCE1より良好な繊維溶融紡糸加工性(または、より少ないより糸切断)を実証した。
【0107】
【表4】

【0108】
引張特性
マルチフィラメント繊維についての引張試験は、ASTM 2256に従って行った、繊維サンプルを、23℃および50%湿度で少なくとも24時間順化させた。検体グリップ間の開始位置は250mmに設定し、クロスヘッド速度は300mm/分であった。デニールは、繊維の線質量密度についての尺度の単位である。それは、9,000メートル当たりのグラム単位の質量と定義される。フィラメントデニールと全体デニールとを区別することができる。両方とも、上記のように定義されるが、1番目は、繊維の単一フィラメントに関する(また、フィラメント当たりのデニール、すなわちD.P.F.として一般に知られる)にすぎないが、2番目は、フィラメントの集塊に関する。次の関係式が直線の、一様なフィラメントに適用される:D.P.F.=全体デニール/一様なフィラメントの量。
【0109】
引張試験から報告される特性は、靱性、弾性率、および強靱性を含む。PEEK(CE1)、PPSU(CE3)およびPEEK/PPSU(E1)繊維に関する引張試験からの特性を表5に示す。
【0110】
【表5】

サンプルE1は、ニートのPEEKおよびPPSUサンプルと比較して優れた結果を出し、意外にも向上した特性を特色とした。
【0111】
熱安定性
本研究で議論される、熱安定性特性は、170℃の熱い空気オーブン中で長期間暴露させた後の繊維サンプルの%靱性保持率によって測定する。この試験用の全ての繊維サンプルは、オーブン暴露前に仕上げ化学薬品を除去するために水洗した。結果を表6に示す。
【0112】
【表6】

E1から製造した繊維は、約2000時間の劣化後でも、目立つ靱性低下は全く示さない。しかしながら、CE1から製造した繊維は、劣化の早期段階(<約300時間)の間に顕著な靱性低下(約30%)を示す。
【0113】
耐化学薬品性
繊維の耐化学薬品性は、繊維を試験試薬中に24時間浸漬し、次に引張特性、具体的には化学薬品処理繊維の靱性保持率を測定することによって評価した。試験手順の詳細を以下に示す。
繊維を1インチ直径のガラスチューブに巻き付け(底部へ2/3まで下方へ)、仕上げ剤を除去するために1分間リンスし、次に繊維を紙タオルで乾燥させた。異なる繊維サンプルを装填した6つのチューブを、化学試薬を満たしたガラス製1000ml広口ジャー中へ浸漬した。ジャーに蓋をかぶせ、フード内に室温で24時間放置した。チューブをジャーから取り出し、初期クリーニングのため繊維から残存化学試薬をリンスするためにイソプロパノール(有機試薬について)または脱イオン水(無機溶液について)でリンスした。チューブを次に、第2段階の洗浄としてイソプロパノールまたは水浴中へ浸けた。繊維を次に、引張試験を行う前に1日の間順化させた。
【0114】
耐化学薬品性結果の詳細を表7に示す。PPSU繊維(CE3)は、幾つかの有機溶剤に対して良好な耐性を持たないが、それらは、室温での強塩基および酸溶液に対して、ならびに高温での中間濃度の塩基および酸溶液に対して秀でた耐性を示す。高メルトフローのPEEK繊維(CE1)は、室温での強酸か、高温での中間濃度の酸かのいずれに対しても不十分な耐性を示す。PEEK/PPSU繊維は、PPSU(CE3)およびPEEK(CE1)繊維と対比して、室温での有機溶剤に対しておよび強酸に対してまたは高温での中間濃度の酸に対して著しく向上した耐化学薬品性を示す。
【0115】
試験温度:23℃
【表7】

【0116】
試験温度:80℃

【0117】
スルホン、ケトンおよびポリアリーレン基を含むコポリマーであって、スルホン基のモル数とケトン基のモル数の比が1より大きいコポリマー(本明細書では以下、PPSKコポリマー)コポリマーの製造。
オーバーヘッドかき混ぜ機、窒素入口、ディーン・スタークトラップ付き還流冷却器を備え付けた1リットルの樹脂ケトルに、76.3gの4,4’−ビフェノール、89.2gのジクロロジフェニルスルホン、22.6gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、58.3gの無水炭酸カリウム、および375gのジフェニルスルホンを装入した。反応混合物を3回排気し、乾燥窒素で再び満たした。温度を2〜2.5時間にわたって275℃に上げた。重合反応を、撹拌しながら、窒素の正の流れ下に進行させた。水を、重合の間ずっとディーン・スタークトラップ中に集めた。ジクロロジフェニルスルホン、2.5gを次に加え、反応をもう1時間進行させた。熱い反応混合物を、ステンレススチールパンへ注ぎ込み、冷却させ、凝固させ、固体状態のPPSKコポリマーを回収した。そのように回収したPPSKコポリマーを、グラインダーで自由に流れる粉末に磨り潰した。PPSK粉末を次に、それぞれ1時間6回のアセトン洗浄、引き続き6回の酸性水洗浄にかけた。最後に、PPSK粉末を脱イオン水で2回洗浄し、それにメタノール洗浄が続き、真空オーブンで乾燥させた。
【0118】
ESCR試験
サンプルの耐環境応力亀裂性は、ISO 22088に従って試験した。ラデル(RADEL)(登録商標)R 5100 NT PPSUを対照としてさらに試験した。試験バーの瞬間曲率半径の関数として試験検体に可変の応力を加える放物線状試験バーにサンプルを取り付けた。約340ksiの弾性率のPPSUなどの材料に対する相当する応力は、約1000psi(最小曲率のバーの終わりでの)から約5000psi(最大曲率のバーの終わりでの)の範囲である。サンプルの表面を異なる試薬に暴露させた。
【0119】
ESCR試験結果
30秒間のMEKへの暴露後に、ニートのラデル(RADEL)(登録商標)R 5100 NT PPSUは直ちにひび割れし、幾つかの片に割れた。PPSKコポリマーへの影響は全くなかった。PPSKコポリマーは、完全なひび割れを示す前にさらに2分間MEK中に浸漬しなければならなかった。
また、シクロヘキサノンを使用したとき、ラデル(RADEL)(登録商標)R 5100 NT PPSUは同様に耐ひび割れ性を全く示さなかったが、PPSKは良好な耐ひび割れ性を示した。
【0120】
同様な結果はまた、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル中への浸漬後にも得られ、PPSKコポリマーの秀でた特性を裏付けた。
30秒間のTHFへの暴露後に、全体のPPSU検体はひび割れを示したが、PPSKサンプルは、約4000psiより上の応力に相当するバーの領域でのみひび割れを示した。
さらに他のサンプルを2−エトキシエタノール中に30分間浸漬した。20分後に、全体PPSU検体はひび割れを示したが、PPSKサンプルはまたしても、約4000psiより上の応力に相当するバーの領域でのみひび割れを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(P1)と少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)とからなるブレンド物(B12)と、
(2)スルホン基、ケトン基およびアリーレン基を含むポリマー(P3)と、
(3)それらのブレンド物(B123)と
からなる群から選択される少なくとも1つのポリマー材料(P)を含む複数の繊維(F)を含む布。
【請求項2】
前記ポリマー材料(P)が前記ブレンド(B12)である、請求項1に記載の布。
【請求項3】
前記ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)の繰り返し単位の50質量%超が次式:
【化1】

(式中、Arは独立して、フェニレン、ビフェニレンまたはナフチレンから選択される2価の芳香族ラジカルであり;Xは独立してO、C(=O)または直接結合であり;nは0〜3の整数であり;b、c、dおよびeは0または1であり;aは1〜4の整数であり;そして好ましくは、dは、bが1であるとき0である)
の1つ以上の繰り返し単位である、請求項1または2に記載の布。
【請求項4】
前記ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)がポリ(ビフェニルエーテルスルホン)であり、前記ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)の繰り返し単位の50質量%超が一般タイプ:
【化2】

(式中、R1〜R4は−O−、−SO2−、−S−、−CO−であり、ただし、R1〜R4の少なくとも1つは−SO2−であり、かつ、R1〜R4の少なくとも1つは−O−であり;Ar1、Ar2およびAr3は、6〜24個の炭素原子を含有するアリーレン基であり、かつ、好ましくはフェニレンまたはp−ビフェニレンであり;そしてaおよびbは0または1のいずれかである)
の1つ以上の式の繰り返し単位(R2−d)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の布。
【請求項5】
前記ポリ(アリールエーテルケトン)(P1)がポリ(エーテルエーテルケトン)であり、そして、前記ポリ(アリールエーテルスルホン)(P2)がポリフェニルスルホンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の布。
【請求項6】
前記ポリマー材料(P)が前記ポリマー(P3)である、請求項1に記載の布。
【請求項7】
前記ポリマー(P3)のアリーレン基がポリアリーレン基であり、そしてスルホン基のモル数とケトン基のモル数の比が1より大きい、請求項6に記載の布。
【請求項8】
前記ポリマー(P3)が次の構造:
【化3】

または
【化4】

(式中、「a」および「c」は全ポリマーの10モル%〜60モル%を表し、そして「b」および「d」は全ポリマーの40モル%〜90モル%を表す)
を含むポリマーである、請求項6または7に記載の布。
【請求項9】
前記繊維(F)が溶融紡糸法によって得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の布。
【請求項10】
前記繊維(F)が不織布である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の布。
【請求項11】
前記繊維(F)が織布である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の布。
【請求項12】
前記繊維(F)がマイクロファイバーかまたはナノファイバーである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の布。
【請求項13】
航空宇宙、自動車、医療、軍隊または安全用途での請求項1〜12のいずれか一項に記載の布の使用。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の布を含むフィルタ素子。
【請求項15】
フレームと前記フレーム上に取り付けられた布とを含むフィルタアセンブリであって、前記布が請求項1〜12のいずれか一項に記載の布であるフィルタアセンブリ。
【請求項16】
複数のフィルタアセンブリを含み、それらの少なくとも1つが請求項15に記載のフィルタアセンブリである、濾過システム。
【請求項17】
複数のフィルタアセンブリを含み、それらのそれぞれが請求項15に従っている、濾過システム。
【請求項18】
石炭燃焼発電所またはセメント工場からのガスを受け入れるために配置構成されたガス入口をさらに含む、請求項16または17に記載の濾過システム。
【請求項19】
石炭燃焼発電所またはセメント工場からのガスを受け入れる、請求項18に記載の濾過システム。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の濾過システムを含む石炭燃焼発電所またはセメント工場。
【請求項21】
酸性ガス、おそらく石炭燃焼発電所からの煙道ガスから固体粒子を除去するための請求項1〜12のいずれか一項に記載の布または請求項14に記載のフィルタ素子または請求項15に記載のフィルタアセンブリまたは請求項16〜19のいずれか一項に記載の濾過システムの使用。
【請求項22】
酸性ガスが二酸化炭素を含有し、前記酸性ガスの二酸化炭素含有率が1容量%を超え(おそらく、10容量%を超え)、かつ前記酸性ガスの固体粒子負荷が100μg/m03を超える(おそらく、1000μg/m03を超える)、請求項21に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−521596(P2010−521596A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554041(P2009−554041)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053432
【国際公開番号】WO2008/116844
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(502030880)ソルヴェイ アドバンスド ポリマーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (39)
【Fターム(参考)】