改良複合体の微小配列スライド
微量分析診断用途に使用する改良複合体微小配列スライドが開示される。特に、表面に生体高分子の微小配列を担持するために有用な複合体微小配列スライドは、アンカー/リンカー部分を含む化学薬剤による共有結合により基材に効果的に付着され、転相法により形成された多孔性膜を有する複合体微小配列スライドを含む。そのようにつくられた結合体が微小配列用途に有用であるように、転相法により形成された多孔性膜に十分に結合する基材を準備する。複合体微小配列スライドは、例えば、ガラス又はマイラーの顕微鏡スライドのような固体基礎部材に共有結合で結合される結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。複合体微小配列スライドを作製する装置と方法も、開示される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
この出願は、2000年7月9日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の微孔性膜と固体支持体との改良結合体」と題する米国特許仮出願第60/216,390号、2001年7月3日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の微孔性膜と固体支持体との結合体」と題する米国特許出願第09/898,102号、2000年7月5日出願のアンドレオリ外(Andreoli et al)の「改良された非発光性基材」と題する米国特許仮出願第60/216,229号、2001年7月2日出願のアンドレオリ外(Andreoli et al)の「非発光性基材」と題する米国特許出願第09/897,333号、2000年8月10日出願のオストライシャ外(Ostreicher et al)の「微量分析診断用途用の改良された低蛍光性ナイロン/ガラス複合体」と題する米国特許仮出願第60/224,141号、2001年7月5日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の改良された低蛍光性ナイロン/ガラス複合体」と題する米国特許出願第09/898,102号の系属出願であり、各開示が、本明細書に、本開示と矛盾しない程度に参照により組入れている。
【0002】
発明の背景
本開示は、表面に生体高分子の微小配列を担持するに有用な、改良された複合体微小配列スライドに関し、さらに具体的には、つくられた結合体が微小配列用途に有用であるように微孔性膜に十分に結合した結果付着層が生じるように基材を調製する表面処理剤を形成する化学薬剤を介して結合することにより基材上に作用可能に付着され、転相法により形成された、多孔性膜を有する改良複合体微小配列スライドに関し、最も具体的には、つくられた結合体が微小配列用途に有用であるように、多孔性ナイロン膜が、例えば、ガラス又はマイラーの顕微鏡スライドのような固体基礎部材に共有結合により結合される改良複合体微小配列スライドに関し、且つ、そのような改良複合体微小配列スライドを製造する方法に関する。
【0003】
種々の方法が、核酸分子、タンパク質、又は酵素のような生体巨大分子と生体高分子の配列をつくるために目下利用される。DNAの規則配列を多孔性膜の上につくる方法1つのは、「ドット・ブロット」法である。この方法では、真空マニホールドが、3mm直径のウェルから多孔性膜へDNAの複数、例えば96個の水性試料を転移する。この手順の一般的な変形が、ウェルが高度に細長い楕円形を有する「スロット・ブロット」法である。
【0004】
DNAは、膜を焼くこと又は膜をUV照射に露出することにより多孔性膜上に固定される。これは、1度の1配列をつくる教則的手順慣行であり、通常、配列当たり96個の試料に限定される。「ドット・ブロット」手順は、それ故、非常に多くの試料を決定する用途には不適切である。
【0005】
ゲノムのフラグメント(例えば、PCR産物)の規則配列の作製に採用されるさらに効率的な技法は、多孔性膜のような基材に試料の配列を転移するために、ウェル、例えばミクロタイトレ板の96個のウェル中に浸漬されたピンの配列を使用する。1つの配列は、22×22cmの面積に9,216個のスポットの配列をつくるために、ジグザグ配置された形式で膜にスポットするように設定されるピンを含む(レーラ(Lehrach, et al.),1990)。この方法の限界は、各配列の各素子にスポットされるDNAの容量が大きく変動することである。加えて、各浸漬に関してつくられ得る配列の数が、通常、極めて小さい。
【0006】
核酸シーケンスの規則配列をつくる代わりの方法が、ピラング外(Pirrung, et al.)(1992年)とホド(Fodor, et al.)(1991年)外により述べられている。その方法は、支持体の異なる隔離領域で異なる核酸シーケンスを合成することを含む。この方法は、詳細な合成スキームを採用し、一般的には、例えば、20塩基より少ない比較的短い核酸試料に限られる。関連の方法が、サザーン外(Southern, et al.)(1992年)により述べられている。
【0007】
クラプコ(Khrapko, et al.)(1991年)外は、ポリアクリルアミドの薄層上にDNAをスポットすることによりオリゴヌクレオチド・マトリックスをつくる方法を述べている。スポットすることは、微量ピペットで教則的になされる。
【0008】
ロダ外(Roda, et al.)(2000年)は、市販のインク・ジェット・プリンターを用いて10−100スポット/cm2の密度でセルロス紙上に西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)の2次元配列をつくる方法を述べる。
【0009】
上述の先行技術に述べられた方法又は装置のいずれも、(i)50−200μm以下の間隔で分離される多数の微量サイズ配列領域、及び(ii)配列の各領域と協同する分析物の、典型的にはピコモルの範囲で、十分に規定される量を特徴とする微小配列の大量作製のためには設計されていない。
【0010】
さらに、現在の技術は、DNA分子の単独配列に対して1度に1つそのような検定を実施することに向けられる。例えば、多孔性膜上にスポットされる配列にDNAハイブリダイゼイションを行う最も一般的な方法は、プラスチックの袋に(マニアティス外(Maniatis, et al.)、1989年)、又は、封止された室内でラベルされたハイブリダイゼイション・プローブと共に回転ガラス・シリンダ(Robbin s Scientific)に、膜を封止すること含む。顕微鏡スライドのような、非多孔性表面上につくられる配列に関して、各配列は、カバーガラス下に封止されたラベル付きハイブリダイゼイション・プローブと共に培養される。これらの技法は、各配列に対して個別に封止された室を必要とする。このことにより、多くのそのような配列のスクリーニングと取扱いが不都合で時間集約的になる。
【0011】
アボウジド外(Abouzied, et al.)(1994年)は、抗体の水平線をニトロセルロース膜上に転写して疎水性物質の垂直な筋で膜の領域を分離する方法を述べる。各垂直な筋は、次に、異なる抗原と反応し、且つ、固定された抗体と、抗原の間の反応が、標準ELISA測色計技法を用いて検出される。アボウジド技法により、多くの1次元配列を同時にニトロセルロースの単独シート上でスクリーニングすることが可能になる。アボウジド技法により、PAPペンを用いて線を用いてニトロセルロースが幾分疎水性になる(リサーチ・プロダクツ・インターナショナル(Research Products International))。しかしながら、アボウジド技法は、ニトロセルロースの孔を完全に封止することができる技術を述べていない。ニトロセルロースの孔は、依然として物理的に開いており、従って、検定試薬が、長い高温培養の間に又は洗浄剤の存在下で疎水性バリヤーを通って漏れる可能性がある。これにより、アボウジド技法が、DNAハイブリダイゼイション検定に許容できなくなる。
【0012】
親水性/疎水性領域のプリントされたパターン付きの多孔性膜は、バクテリア・コロニーの規則配列のような用途のために存在する。キューエー・ライフ・サイエンス(QA Life Sciences)(カリフォルニア州、サン・ディエゴ)は、表面にプリントされた格子パターン付きのそのような膜を製造する。しかしながら、この膜は、アボウジド技法と同じ欠点を有する。試薬が、依然として、格子化された配列の間に流れて、試薬が個別のDNAハイブリダイゼイション検定に使用できなくなる可能性があるのである。
【0013】
ポール社(Pall Corporation)は、プレートの底部に熱封止された多孔フィルター付きの96−ウェル・プレートを製造する。これらのプレートは、交差汚染なしに各ウェルに異なる試薬を含むことができる。各ウェルは、1つの目的要素のみを保持するように意図される。さらに、96−ウェル・プレートは、1cmの厚さであり、膜が検出表面に対して平坦に置かれることを必要とする多くの色度、蛍光及び放射能の検出フォーマットに対する装置の使用を妨げる。
【0014】
さらに最近、ポール社は、「ビビッド(Vivid)」と称されるスライドに着手した。このスライドは、ナイロンをガラスに取付けるためにテープと積層された膜を使用する。代わりのプラットホームは、微小配列に適する疎水性表面をつくるためにオルガノシランで処理されるガラス・スライドを使用する。代わりのガラス・プラットホームの具体例は、GAPSスライド(コーニング社(Corning))、ネックステリオン(Nexterion)・スライド(ショット社(Schott Inc))、及びアレイット(ArrayIt)・スライド(テレケム・インターナショナル社(Telechem International))を含む。
【0015】
ハイセク社(Hyseq Corporation)は、ハイブリダイゼイション技法によるシーケンスと共に使用する非多孔性固体支持体上に「配列の配列」をつくる方法を述べた。ハイセク社により述べられた方法は、各細分化領域が、生体分子の微小配列を含む疎水性格子パターンを形成するために、固体支持体物質の化学剤を変性することを含む。ハイセク社の平坦な疎水性パターンは、交差汚染防止する付加手段として、物理的閉鎖を使用しない。
【0016】
いくつかの特許は、微小配列用途における微小配列スライドの使用を記述している。これらには、「未変性核酸のシラン処理固体相表面への付着」という名称の米国特許第5,919,626号明細書、「核酸ハイブリダイゼイション検定用固体支持体」という名称の米国特許第5,667,976号明細書、及び「DNAのガラス基材へのアミノシラン/カーボジイミド・カップリング」という名称の米国特許第5,760,130号明細書が含まれ、各特許の開示事項は、本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組入れられている。
【0017】
微小配列スライドは、当該技術に良く知られている。シュライシャーとシュエル(Schleicher & Schuel)は、彼らの市販のキャスト(CAST)(登録商標)・スライドにグルー又は同様の接着剤を用いてナイロン膜をガラス・スライドに付着させようとしようとした。しかしながら、グルー又は接着剤の層が、増加量の追加の、変動する厚さをナイロン膜/ガラス・スライド結合体に加えた。グルー/接着剤処理工程は、スクリム補強ナイロン膜の使用を要することがある。グルー/接着剤と補強用スクリムにより引起される追加の変動厚さの増加量が、ナイロン膜/ガラス・スライド結合体の願望されない、特別な総括厚さの結果になり、微小配列用途に不利である。さらに、スクリムは、ナイロン膜/ガラス・スライド結合体の膜の表面を、非平坦であると共に美的透視図から理想的でないようにする。なお又、ナイロン膜をガラス・スライドへの付着に使用するグルーまたは接着剤の化学剤は、結合体を有効にするに必ずしも最適ではなく、又は、それは、産物が受けようとする生体分子、分析物、溶媒又は緩衝剤系と必ずしも両立しない。それが、結合抑制すること又は溶媒と緩衝剤に溶解することにより、分析物を妨害する、又は分析物と反応する、又は一体性を失うことがあるからである。
【0018】
同様に、目下市販されている他の製品に含まれるものは、膜を使用せずに核酸又はタンパク質を結合する修正ガラス;例えば、CMT−GAPS(登録商標)被覆スライドのようなコーニング(Corning)GAPSスライド;FAST(登録商標)スライドとしてシュライシャー&シュエル社(Schleicher & Schuell)から入手できる、ガラス上にキャスト(流延)されたニトロセルロース多孔性膜;シュライシャー&シュエル社のCAST(登録商標)スライドのような、ガラス基材にグルーで付着された又は接着剤で付着されたスクリム補強ナイロン;ビビッド(Vivid)(登録商標)スライドのようなポール(Pall)社から入手できる、ガラス基材にテープ止めされた非補強ナイロン膜である。これらの市販製品の詳細な記述は、それぞれの製造業者から容易に入手可能であり、当該技術に知られる。
【0019】
しかしながら、微小配列用途では、核酸又はタンパク質を直接ガラス基材に結合することは、多少の欠点を有する。特に、匹敵する大きさの微孔性膜/ガラス・スライド結合体よりも、核酸又はタンパク質を結合する著しく小さな面積が、使用可能である。結合する表面積が大きければ大きいほど、生体分子又は分析物のシグナル強さが、より良好になることにより、生体分子又は分析物のより少ない試料の検出が可能になる。また、微孔性膜/ガラス・スライド結合体の多孔性部分が、生体分子又は分析物を自然に吸着し、それらを微孔性膜/ガラス・スライド結合体上の適切な位置に保持する。一方、スライドの微孔性膜部分なしでは、生体分子又は分析物は、ガラス表面の頂部に置かれるだけであろう。これは、生体分子又は分析物の吸着が起きないからである。ガラス上への生体分子の固定の効率は、また、ナイロン上への目的物の固定に比較して、実質的に100%よりも少なく、50%より少ないこともあるようである。このことが重要になるのは、引続く検出工程が、ラベルしたプローブで(DNA検出具体例にて)ハイブリダイゼイションに利用する、可能な限り多くの分析物又は目的生体分子を必要とする場合である。
【0020】
固定に引続いて、ブロッキング、洗浄、ハイブリダイゼイション緩衝液露出等の、典型的にいくつかの液体浸漬工程が存在する。各工程は、分析物をガラス表面から取除き、シグナルの潜在する強さを厳守する可能性を有する。
【0021】
ナイロンは、一般的に、市販の高分子又は薬品処理された基材に比較して、最も高い生体分子結合効率を有すると見なされる。ナイロンは、又、このようにナイロン表面に結合される分析物の官能基の最も高いアクセシビリティを与えると見なされる。
【0022】
ナイロン膜、転相法で形成される特定の種類の微孔性膜は、ナイロンが本来親水性である点で、ニトロセルロース膜よりも優れるいくつかの利点を有する。ナイロン膜は、また、ニトロセルロースよりも大きなタンパク質とDNA結合容量を有する。この大きな結合容量は、検定におけるより良いシグナル強さとより低い検出限界を意味する。
【0023】
ナイロン膜の孔構造は、ニトロセルロース膜孔構造よりも容易に制御可能であり、ニトロセルロース膜よりも物理的に強靭である。ニトロセルロース膜は、ナイロン膜と比較して、より脆く、より大きな孔変動性を持ち、極めて可燃性である。ニトロセルロース膜の物理的脆弱性、変動性及び可燃性は、協同して、ニトロセルロース膜の作製をナイロン膜よりもさらに高価にする。
【0024】
上述のように、ガラス基材に対してグルーにより、テープにより、又は他の非共有結合で接着されたスクリム補強ナイロンには、少なくとも3つの主要な欠点が存在する。第一に、結合体であるスクリム補強ナイロン/ガラス・スライドに対してグルー、テープ又は接着剤の層が望ましくない変動性厚さを増加する。ナイロン膜にブロットする配列ロボットは、狭い空間許容性を有し、任意の大きな変動性厚さは、配列ロボットに対する結合体であるスクリム補強ナイロン/ガラス・スライドの正確な位置決めに関して付加的不確実性を表す。同一の大きな変動性厚さ問題は、顕微鏡検出光学の焦点面と正確性に影響を及ぼすことがある。顕微鏡は、微小配列スライドの表面の読み取りに典型的に使用される。
【0025】
第二の欠点は、結合体であるスクリム補強ナイロン/ガラス・スライド上のスクリム補強膜が、微小な大きさで不規則な表面を有することである。これは、エンド・ユーザーの観点から重要な美的問題であるが、膜上のスポットの大きさが似た大きさであるためである。
【0026】
第三に、グルー/接着剤と分析物は、両立しないことがある。具体的には、付着のために官能基化された部分の過剰分を含む接着剤は、(DNA具体例にて)ハイブリダイゼイションを妨害する分子に結合することによって、又は、付着が永久的であるように分析物の逆に結合することによって、分析物を検出には利用できないように無差別に分析物を結合する可能性があり、且つ分析物は、検出に先立ち液体浸漬にて抜け落ちる。最後に、接着剤自身は、検出に至る多段工程で分解して、抽出又他の手段で、移動する種になる可能性がある。接着剤フラグメントは、分析物の結合された場合、検出位置を越えた位置または領域に置き換えられる、又は自体が、実施される検出操作の種類によっては、誤差バックグラウンド・シグナルになることがある。
【0027】
これらの種類の微小配列スライドでは、平坦で、均質且つ薄いナイロン微孔性層を有することが望ましい。電化修正スライドの場合、電化修正の程度は、全スライド表面に渡り均一でなければならない。使用環境では、本開示に記述される革新的スライドにつき想像されるように、ナイロンと例えばガラス又はマイラー・シートのような基礎材料との間の結合は、水、水酸化ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、高温度、他の厳しい化学薬品及び長時間の条件に耐えなければならない。ナイロン膜が湿潤時には、ナイロン膜とガラス基材との間に発生する高空気圧の故に、それらの間の結合は、また、物理的に強くなければならない。
【0028】
現在では、機能化されたガラス製顕微鏡スライドは、微小配列に対し選択できる支持体である。この物品の制約は、表面の壊れやすさ、均一でないこと、分析物に対する低い表面容量、及び、スポット・サイズ、密度、及び定量分析に関する制約を含む。大部分のガラス・スライドは、大部分が平坦なガラス表面の低い容量の故に、ハイブリダイゼイション事象の存在または不存在に関する好都合及び不都合な情報を提供する。上述の先行技術のガラス製顕微鏡スライドは、微小配列表面上にスポットされるオリゴヌクレオチド・プローブに対する強い結合、高い容量及び小さなスポット・フットプリントを与えることができないようである。それは、プローブが、次に、純粋でラベルされた遺伝子フラグメントまたはcDNAの目的試料でハイブリダイゼイション事象にアクセス可能でなければならないからである。
【0029】
平坦で平滑なガラスまたはプラスチックの基材(具体例はガラス製顕微鏡スライドである。)のナイロン微孔性膜へ結合された複合体である改良物品は、本開示で上述した関連特許出願に既に記述されている。これらの特許出願では、付着の主要形式は、共有化学結合であり、第2の形式は、化学的樹脂硬化に支援される物理的表面連結である。これらの特許出願に記述された1つの実施例では、表面部分は、例えばアミノシランのような「アンカー」として化学薬剤を用いて(ガラスまたはプラスチックの)基材表面の化学処理により基材上に与えられる。ナイロン膜は、自己の機能的表面を提供する。ナイロンの末端官能基(アミンまたはカルボキシル)が、結合にも利用されるのである。処理された基材表面とナイロン上の末端官能基との間に、例えば二官能性エポキシ・ポリマーのような「リンカー」部分が、導入される。前述の特許出願の潜在的制約は、過酷な化学的環境化での複合体結合の残存と、そのような機能化されたガラス製顕微鏡スライドの製造に要する多工程化学処理とを含む。
【0030】
このようにして、微量分析診断用途に役立つ比較的平坦で均一で且つ薄い複合体微小配列スライドに対する継続しているニーズが存在する。そのような複合体微小配列スライド構造体は、本来的に親水性であるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、容易に制御される性質を有するべきである。そのような複合体微小配列スライドは、先行技術のニトロセルロース膜スライドよりも物理的により強靭であるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、比較的容易で安価に製造されるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、膜/基材結合体に望ましくない厚さを加える、膜と固体基材間の如何なる付着層をも少なくとも最小にするべきである。そのような複合体微小配列スライドは、最小の厚さ又は重量を有する付着層となるアンカー/リンカー部分を含む化学薬剤を含むべきである。ここで、付着層は、転相方法により形成され微小配列用途に有用な多孔性膜を有する複合体微小配列スライドにより、除去されない場合、生体高分子の結合又は検出において(即ち分析物は核酸又はタンパク質を含むがこれらに限定されない。)付着層の関与を少なくとも最小にする。そのような複合体微小配列スライドは、転相方法により形成され微小配列用途に有用な多孔性膜を含むことができる。ここで、多孔性膜は、アンカー/リンカー部分を含み多孔性膜を固体基材に接続する付着層の形成に至る化学薬剤を含み、固体基材は、分析物の検出に使用する多孔性膜部分に固体基材部を接続するために使用するアンカー/リンカー部分を含む化学薬剤の妨害を最小にする。そのような複合体微小配列スライドは、転相方法により形成され微小配列用途に有用な多孔性膜を含むべきである。ここで、多孔性膜は、アンカー/リンカー部分を含み、除去されない場合、基材/膜複合構造体の総括厚さの許容できない不均一性を少なくとも十分に低減する付着層となる化学薬剤を含む。そのような複合体微小配列スライドは、微小スケールで十分に規則的な表面を有するべきである。そのような複合体微小配列スライドは、標準処理ガラス・スライドに比べて、より強い結合と、より高い容量と、微小配列表面にスポットされるオリゴヌクレオチド・プローブに対するより小さいスポット・フットプリントとを与えるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、アンカー/リンカー部分を含み付着層となる化学薬剤と分析物との両立性問題を取除くべきである。
【発明の開示】
【0031】
開示の概要
本開示の微小配列分析用改良複合体微小配列スライドは、比較的均一で平滑な表面を有する、分析及び診断用途用多孔性媒体を含む。この表面は、改良アンカー/リンカー部分を含み、基材と多孔性媒体の間に形成される平坦で均一で比較的薄い付着層になる表面処理剤を含む化学薬剤を用いて基材又は基礎部材に実質的に結合される。例えば微孔性膜のような多孔性媒体は、遺伝子配列の分子生体検定に用いる微小配列プラットホームのような微量分析検定に有用な特性を有する。基材は、剛性と強さを与える一方、アンカー/リンカー部分を含み付着層になる改良化学薬剤は、強く、化学的に抵抗性があり、多孔性媒体の基材への実質的に永久の(検定と使用に対して相対的に)物理的付着を与える。
【0032】
本開示の目的は、転相方法により形成される多孔性膜と、アンカー/リンカー部分を含み、多孔性膜を固体基材に作用可能に結合する付着層になる化学薬剤とを有する複合体微小配列スライドを提供することである。その結果、そのようにつくられた結合体が微小配列用途に有用である。
【0033】
本発明の別の目的は、転相方法により形成された多孔性膜を有し、最小限度の厚さ又は重量を持ち複合体微小配列スライドの総括厚さに均一性を与える付着層になる化学薬剤を含む複合体微小配列スライドを提供することである。
【0034】
本開示のさらなる目的は、転相方法により形成され、アンカー/リンカー部分を含む化学薬品を含み、核酸又はタンパク質の分析物の結合又は分析において化学薬品の妨害を最小にする、付着層になる複合体微小配列スライドを提供することである。
【0035】
本開示のさらなる目的は、転相方法により形成された多孔性膜を有し、微小配列用途に有用な複合体微小配列スライドを提供することである。ここで、多孔性膜は、アンカー/リンカー部分を含み、分析物の検出に関し固体基材部分を多孔性膜部分に作用可能に結合するために使用する化学薬品の妨害を最小にする付着層になる化学薬品を含む。その結果として、このようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0036】
本開示のさらなる別の目的は、転相方法により形成された多孔性膜と、基材を微孔性膜に十分に結合するためのアンカー/リンカー部分を含み付着層になる化学薬品とを有する結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である、複合体微小配列スライドの作製方法を提供することである。
【0037】
本開示のさらなる目的は、カーボン・ブラックのような顔料を含み、転相方法により形成された多孔性膜を有する、複合体微小配列スライドを提供することである。ここで、そのような顔料配合膜は、複合体微小配列スライドの蛍光を減少すべきであり、その結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0038】
本開示のさらに別の目的は、カーボン・ブラックのような顔料を含み、転相方法により形成された多孔性膜を有する、複合体微小配列スライドを提供することである。ここで、そのような顔料配合膜は、複合体微小配列スライドの反射を減少すべきであり、その結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0039】
本開示のさらなる別の目的は、転相方法により形成され微小配列用途に有用で、アンカー/リンカー部分を含み、除去しない場合、接続剤として制限される厚さ又は重量を有する第3の構成要素の使用と協同する、基材/膜結合構造体の総括厚さの不均一性を低減する、付着層になる化学薬品を含む複合体微小配列スライドを提供することである。その結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0040】
本開示の複合体微小配列スライドの他の利点は、補強層の不存在を含むが、これに限定されない。補強層は、平坦性と美的特性に実質的な不均一性を追加することが見出された。ガラスの全体表面は、「膜切取り片」ではなく、膜によって覆うことができる(膜の切取り片は、ガラスの一部のみを覆う膜である。)。膜と基材間に形成される付着層になる表面処理剤に関する化学剤は、2001年6月4日出願の核酸結合マトリックスに関する米国特許出願第09/873,67号明細書に開示されるように、例えば、カーボン・ブラック充填ナイロン、又はエクストラ・バインド(Xtra bind)(登録商標)ナイロンのような新膜タイプと共に首尾よく使用されることがある。この開示事項は、本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組入れている。
【0041】
これらの及びさらなる目的に従えば、本開示の1つの局面は、以下を含む生体高分子の微小配列の実施に有用な複合体微小配列スライドを含む。即ち、転相方法により形成された微孔性膜と、非多孔性基材と、付着層とである。付着層は、少なくとも1つのアンカーと少なくとも1つのリンカーとを含み、付着層は、微孔性膜と非多孔性基材との間に作用可能に配置され、付着層は、非多孔性基材を微孔性膜に十分に結合し、その結果、結合体である複合体微小配列スライドが、微小配列用途に有用である。
【0042】
本開示の別の局面は、以下の工程を含む生体高分子の微小配列の実施に使用する複合体微小配列スライドを作製する方法を含む。即ち、非多孔性基材を準備する工程と;転相方法により形成された微孔性膜を準備する工程と;表面処理剤を準備する工程と、ここで表面処理剤が有機シランを含み;表面処理剤を非多孔性基材に付与する工程と;付着相を形成するために、付与された表面処理剤を有する非多孔性基材を微孔性膜と作用可能に統合させる工程と;を含み、その結果、非多孔性基材が、微孔性膜に十分に結合して、微小配列用途で遭遇する挑戦的環境に耐えるのである。
【0043】
本開示のさらに別の局面は、膜が大きな正電荷を含むように微孔膜の後処理を含むことがある。そのような処理は、主として負に荷電される生体高分子を保留する微孔膜能力の増大に有用である。
【0044】
開示の他の目的と利点は、以下の記述、添付の図面及び付属の特許請求の範囲から明らかである。
【0045】
代表的実施例の詳細な説明
別に指示がなければ、次に規定する用語は、以下の意味を有する。
【0046】
「分析物」又は「分析物分子」は、その存在、量及び/又は同一性が決定されようとしている、分子、典型的には、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、cDNA、mRNA、PNA、LNAを含むがこれらに限定されない。)又はポリペプチド、又はペプチドのような生体巨大分子を称する。分析物は、リガンド/アンチリガンド対の一員である。あるいは、分析物は、相補的なハイブリダイゼイション事象の一員であることがある。
【0047】
「分析物特異性検定試薬」は、分析物分子に特異的に結合するに有効な分子を称する。この試薬は、リガンド/アンチリガンド結合対の他方の一員である。
【0048】
「固体支持体上の領域の配列」は、好ましくは隔離領域の、一次元の又は二次元の配列であり、各々が、有限の面積を有し、固体支持体の表面に形成される。
【0049】
「微小配列」は、少なくとも約100/cm2、好ましくは少なくとも約1000/cm2の隔離領域の密度を有する、領域の配列である。微小配列における領域は、例えば、約10〜250μmの間の範囲の直径のような、典型的な寸法を有し、およそ同じ間隔で配列の他の領域から分離されている。
【0050】
「転相方法」は、「転相膜」をつくるための、その変形形態を含む多孔膜製造技法の既知技術を包含することを意味する。「転相膜」により、「転相ドープ」から高分子構造体のゲル化又は沈積により形成される多孔性膜を意味する。「転相ドープ」は、連続相内に分散する1つ以上の非溶媒の隔離相と共存する、良溶媒中における溶解高分子の連続相からなる。一般的に認められる産業慣行によれば、高分子膜構造体の形成は、一般的に、高分子の沈積と隔離体(非溶媒相)の連続的相互接続構造体への転換を有効に行うための、管理される条件下でドープの薄層を流延して急冷却する工程を含む。1つの方法の説明では、非溶媒(「孔形成体」と称されることもある。)の隔離相から相互接続孔の連続体へのこの転換は、一般的に、「転相」として知られる。そのような膜は、当該技術に広く知られる。場合よっては、そのような膜と方法は、3つの主要成分である、高分子、溶媒及び非溶媒の用語におけるドープの組成を記述する能力に特に参照して、「三次元転相」の膜と方法と呼ばれる。3つの主要成分の存在は、「三次元」系を構成する。この系の変形は、液体転相、蒸発転相、熱転相(ここでは、溶解は、流延と急冷却に先立ち、高い温度で行われ維持される。)又はその他を含む。
【0051】
用語「シラネーション」は、ガラス又は他の表面に対して、有機シランの加水分解性官能基により有機シランをグラフトする又はカップリングする工程を称する。
【0052】
本明細書で使用の「アンカー」は、加水分解性基を含む有機シランを含む分子を記述する。加水分解性基は、ガラス又は他の表面に結合することができる。当業者が理解するように、アミン系、エポキシ系、グリシド系、イソシアネート系、ビニル系、及びその他を含むがこれらに限定されない、リンカー分子の末端基と反応することができる有機シランの少なくとも1つの他の基が存在する。
【0053】
用語「リンカー基」又は「リンカー分子」は、2つの他の分子の間のコネクターとして役立つ有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、芳香族、直鎖アルキル、又はこれらの任意の結合体を含む主鎖と、窒素、酸素又は硫黄、−NH−、−CH2−、−C(O)−、−C(O)NH−のようなユニット、又はアンカーの両立性末端基と結合することができるアルキリジン鎖のような原子の鎖、のような原子/官能基を含む主鎖両側末端基と、ナイロン膜の末端基と結合することができるリンカーの他の末端基と、から構成される。アンカー及びナイロン膜にそれぞれ結合するリンカーの末端基は、同一である又は異なることが可能である。
【0054】
「化学薬剤」は、直鎖及び/又は分岐鎖のアルキル基、アリル基、アラルキル基、置換アリル基、置換及び/又は非置換シクロアルキル基、及びヘテロサイクリック基、及び有機シランを含む群から選択される任意の分子である。
【0055】
用語「層剥離」又は「層剥離する」は、固体基材からの膜の分離を称する。
【0056】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好適には1〜7個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖非置換炭化水素基を称する。表現「低級アルキル」は、1〜4個の炭素原子の非置換アルキル基を称する。
【0057】
用語「アリル」は、置換されることがある、フェニル、ナフチル、ビフェニル、及びジフェニル基のような6〜12個の炭素原子を環状部に有する単環式又は二環式芳香族炭化水素基を称する。
【0058】
用語「アラルキル」は、ベンジル基のような、アルキル基によって直接結合されるアリル基を称する。
【0059】
用語「置換アリル」は、例えば、アルキル、置換アルキル、フェニル、置換フェニル、ヘテロシクロ、ハロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキロキシ、ヘテロシクロキシ、アルカノイル、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、ウレイド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアリル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、スルフォアミノ、アリロキシのような1〜4個の置換基により置換されたアリル基を称する。置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリル、置換アリル、置換アルキル又はアラルキルでさらに置換されることがある。
【0060】
用語「シクロアルキル」は、好適には不飽和の炭素数3〜7個の炭素環式環と縮合することがある1〜3個の環と環当たり3〜7個の炭素とを含む、任意に置換された飽和環式炭化水素環系を称する。代表的な基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、及びアダマンチルを含む。代表的置換基は、上述の1つ以上のアルキル基、又は上述のアルキル置換基のような1つ以上の基である。
【0061】
用語「ヘテロサイクル(複素環式)」「ヘテロサイクリック」及び「ヘテロシクロ」は、任意に置換され、十分に飽和された又は不飽和の芳香族の又は非芳香族のサイクリック基であり、例えば、4〜7員の単環式、7〜11員の二環式、又は、10〜15員の三環式系であり、これらは、少なくとも1つの炭素原子を環に少なくとも1つのヘテロ原子(複素原子)を有する。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含むことがある。ここで、窒素と硫黄の複素原子は、任意に酸化されることがあり、窒素ヘテロ原子は、任意に4級化されることもある。ヘテロサイクリック基は、任意のヘテロ原子又は炭素原子で取付けられることがある。
【0062】
代表的置換基は、上述の1つ以上のあるキル基、又は、アルキル置換基として先に述べた1つ以上の基を含む。また、含まれるものには、エポキシド及びアジリジンのような小さなヘテロシクロがある。
【0063】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄及び窒素を含む。
【0064】
用語「均一な」は、表面処理剤の付与後に、付着層表面の規則性が、基材の頂面上で最小の偏差になるような、非多孔性基材上の付着層の規則的分布を称する。均一な厚さも、非多孔性基材の全長に渡るそのような規則的分布を称する。
【0065】
複合体微小配列スライドは、固体裏打ち、典型的にはガラス製顕微鏡スライドに結合された多孔性ナイロン又は他の高分子膜を含む。微小配列スライドは、遺伝子のシーケンシング及び発現分析の用途に使用され、そこでは、数千のハイブリダイゼイション検定が1枚の微小配列スライド上で行われる。
【0066】
転相方法により形成された微孔性ナイロン膜が、流延後に未だ湿潤しているとき、ナイロン膜は、乾燥後よりも大きな厚さを有する。膜が、表面全体に伸張され次に乾燥される場合、ナイロン膜は、厚さ方向に縮む。ナイロン膜は、また、それが接触する表面に強固に結合する。ナイロン膜が、一旦乾燥されてから再湿潤される場合、ナイロン膜は、上述の結合性を発揮しない。さらに重要なことは、一旦ナイロン膜が、表面に強固に結合された後に湿潤されると、ナイロン膜は、結合性を失う。
【0067】
ナイロン膜の上記の性質を前提にすると、実際に経験された種々の既知の苛酷な条件に曝露された後に、ナイロン膜と基材の間の結合が完全なままであるように、ナイロン膜を基材に付着させる機構を見出すことが決定される。例えば、実際の商業用途を考慮すると、ナイロン/固体複合スライドは、4x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)に60℃で少なくとも15時間の浸漬に耐えなければならない。
【0068】
2001年7月3日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の微孔性膜と固体支持体との結合体」という名称の米国特許出願第09/898,102号明細書は、微小配列用途と得られる複合スライドとのために、ナイロン膜を基材に結合する系の開示を詳述している。典型的な基材は、代わりのプラスチック基材の具体例もあったけれども、この出願に記述するように、ガラス製顕微鏡スライドであった。
【0069】
アミン外の特許出願の代表的実施例では、表面部分が、例えばアミノシランのような化学的「アンカー」を用いる、平滑で平坦なガラス基材表面の処理によって基材上に備えられた。リンカー分子が、リンカー分子の一端がアンカー分子に結合すると共にリンカー分子の他端がナイロン膜に結合するように、導入された。ナイロンの末端官能基(アミノ又はカルボキシル)結合に有用であるので、ナイロン膜は、自己の官能性表面を備える。処理された基材表面とナイロン膜上の末端官能基との間に、レジカート(Resicart)E第4アミンエピクロロヒドリン高分子が、リンカー分子として導入された。ナイロンが依然として湿潤し膨潤している間に、ナイロンをリンカー分子に接触させた。硬化と共のナイロンの抑制した(XとY方向に)乾燥と縮小(Z方向)、「リンカー」によるナイロンの化学的付着と結合形成は、実質的に同時であると信じられた。得られたものは、微小配列検定に提出される、最小結合層と官能性ナイロン表面とを有する平坦で、均一で、美的に許容できるナイロン−ガラス複合体であった。個のナイロン−ガラス複合体は、良好な一般的結合強さを示し、ある条件下で、革新的化学発光検出系に対する原理証明を示すために使用された。
【0070】
折悪しく、スライドが、4xSSCに60℃で2時間以上浸漬されたときに、ナイロンとガラス化の結合強さについて、問題が発見された。2時間以上浸漬された後に、ナイロンが、ガラスから分離又は剥離した。これは、中間の結合層の分解を示している。この問題を解決する又は軽減するために、上記の化学剤又は更なる好適な結合化学剤の再最適化が、開発される必要があった。
【0071】
上述のように、解決すべき新しい問題は、4xSSCに60℃で約2時間浸漬後の微孔性膜とガラス・スライド間の結合の破壊であった。他の設計基準の全てが、参照により組入れられた関連特許出願から提供されたスライドを用いて遭遇したようであったので、上述の問題を解決するための努力において、成功する方法の変形を試行することが決定された。この観点において、ガラス/アンカー/リンカー部分を使用するコンセプトがさらに開発された。
【0072】
参照により組入れている特許出願に使用されるオリジナル・アンカー部分は、トリエトキシシラン・フットプリントと、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシランのような末端のアミン官能性を持つn−アルカン・スペーサー・アームと、適切な担体溶媒系と、ガラスへ付着する簡単な方法とを含んだ。本開示の新規で改良された複合体微小配列スライドでは、オリジナルのアミン官能性は、残っているが、例えば、3−アミノプロピルジメチルエトキシシランのような異なる反応部分が、より均一な表面分布のために、ガラスに付着する。先のアンカー部分、3−アミノプロピルトリエトキシシランは、目下好適な代表的実施例において依然として官能性である。
【0073】
オリジナルのリンカー化学剤、例えば、レジカートE(チバ−ガイギ社)のような第4級アミンエポキシ湿潤強さ向上樹脂(ポリアミノポリエピクロロヒドリン樹脂)とは対照的に、本開示の改良複合スライドは、当業者に知られるように、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのようなn−グリシジルエーテルと、例えばグルタルアルデヒドのようなアルデヒドと、アクリリックと、ポリエステルシランと、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのようなエポキシと、その他を含む。
【0074】
アミン外の特許出願の図6と図8に示されるように、有機シランは、リンカー分子に連結される「アンカー」として特徴付けられた化学薬剤であり、リンカー分子は、更なる任意のリンカー分子の結合を与えるポリアミン架橋剤に任意に結合される。末端のリンカーは、ナイロンに共有結合するようである。アドコテ(Adcote)89R3(具体例3)の場合、結合が、確認されていないけれども、水素結合により起きるようである。このようにして、ナイロンへの結合は、水素結合、ファン・デア・ワールス結合、又は好適には共有結合である可能性がある。
【0075】
強固な性能を送達するが、参照により組入れている上述の特許出願では調査されなかった、いくつかの代わりのリンカー化学剤(及び、アンカー、リンカー、及び任意の架橋剤部分の結合体)が、存在することが信じられている。更なる実験により、適切な製剤と付与条件が、上述の条件下で失敗から集積されたように、多孔性膜と固体基材の間の優れた結合強さを送達することを見出す可能性があることが信じられる。その結果、本開示の複合体微小配列スライドは、4x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)に60℃で少なくと15時間の浸漬に耐える。
【0076】
オリジナルの架橋剤化学剤に関し、適正な溶媒と、例えば、改良された架橋剤のテトラエチレンペンタアミン(TEPA)のようなポリアミンとを用いて、不溶性固定結合を与えるオリジナルの架橋剤は、例えば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社(Resolution Performance Products)(テキサス州、ヒューストン)から入手するエピクレ(Epikure)3125、エピクレ3115、又はエピクレ8535−W50のような適正な「硬化剤」処方を使用する。
【0077】
本開示の提案される複合体微小配列スライドは、前述の特許出願に記載されるように、レジカートE系に等価の美的性質を提供する、しかし、SSCとDMFのような有機溶媒とにおける改良された結合残存性のために代わりにリンカーを使用する。本開示は、結合体のスクリム補強ナイロン/ガラス・スライドに変動する厚さを加える、他のタイプの接着層の技術における課題に向けられる。本開示の付着層は、本明細書に記述されたアンカーとリンカーを含み、膜をスライドに付着する、平坦で均一で比較的薄い表面を備える。そのような付着層の均一性により、膜の頂面における最小の偏差が得られる。
【0078】
以下は、本開示のそのような代表的改良修正された複合体微小配列スライドの概略の記述であり、以下に一般的な記述により記載される。
【0079】
第一に、ガラス・スライドが、選択され、当業者に理解される任意の適正手段で清浄にされる。正常化に引続き、アンカー機能を行う化学薬剤が、ガラス・スライドに付与され、任意の過剰な物質又は薬剤を除去するために洗われ、且つ常温硬化、高温硬化、又は、当業者に理解されるこれらの任意の組み合わせにより硬化される。アンカーとして機能する1つの適切な化学薬品は、3−アミノプロピルトリエトキシシランである。過剰の物質/薬剤が除去され、残部がガラス・スライド上で硬化されてから、リンカー機能を行う適正化学薬剤の溶液が、以下のように準備される。
【0080】
本開示の新しく改良された系で使用され、リンカーとして機能する目下好適な1つの化学薬剤は、エポン(Epon)828として商業的に知られるビスフェノールAタイプのエポキシである。
【0081】
硬化を有効にするために、任意の数の硬化剤が使用されることがあるが、この点では、ポリアミド・ベースの硬化剤、特にエピクレ3115の使用が、目下好適である。2つの成分が、当業者に理解される任意の適正手段を用いて、混合される。最後に、適正エポキシ官能性シランが、化学薬剤の上述の混合物に加えられることがある。1つのそのような目下好適なエポキシ官能性シランは、3−グリシドプロピルトリメトキシシランである。一旦混合されると、全ての3つの化学成分は、ガラス・スライドに付与するために、例えば、キシレンのような適正溶媒に溶解される。エポキシ混合物の薄層が、次に、スピン塗工によりガラス・スライドに付与される。ナイロン微孔膜が、次に、当業者に理解されるように、処理されたガラス・スライドに対して作用可能に配置され、x−方向とy−方向に抑制され、次にオーブン硬化される。
【0082】
理論に拘束されることを望まないけれども、図3に示すように、アミノシランが、ガラスと反応すると目下信じられている。救核性アミンが、エポキシキと反応すると、当業者に広く知られている。それ故、「アンカー」のアミノシランが、図4に示すように、ビスフェノールAのエポキシド環を開いて、共役反応生成物を形成するであろう。ビスフェノールA分子の反対方向の端部が、次に、ポリアミド硬化剤の遊離アミンと反応して、図5に示す構造体を形成するであろう。一旦、ナイロン膜が、ガラス上に置かれると、ナイロンのアミン基が、ビスフェノールAの末端エポキシ基と反応して、図6に示す完全構造体を形成すると信じられている。
【0083】
図7は、典型的なグリシドシランを示す。遊離グリシドシランは、図8に示すように、溶液で硬化剤と反応して、次に、ガラス上に残存する任意の非シラネート・サイトに結合するであろうことが信じられている。混合物におけるエポキシ、アミン及びシランの比を均衡することは、微妙であり、形成される複合付着層の究極の結合強さに影響すると信じられている。グリシドシランは、任意成分であると目下信じられていることに注目すべきである。十分な結合強さが、グリシドシランを含む又は含まない製剤において示し得ると目下信じられている。グリシドシランを使用する1つの別の利点は、アンカーに適用するに先立つリンカー化学剤の作用時間における明らかな改良である。
【0084】
図9Aと図9Bは、上述の化学剤を用いてつくられた典型的なスライドの電子顕微鏡写真(SEM)である。2つの他の構成要素、ガラスと微孔性膜間の接着層の厚さが、約1−2μmに過ぎず、大部分の市販の接着剤に通常要する約10μmより十分に低いことに注目するべきである。図9Aと図9Bは、薄くて、均一な付着層が、例え有るにしても、膜の頂表面に最小の偏差を加えることを示す。これは、グルーのような別の接着層により提供される変動性厚さよりも優れる利点である。
【0085】
図10Aは、本開示に用いる「アンカー」部分の一般的形を示す。この特定の表示は、ガラス表面上に官能基により結合するように設計される任意の鎖長の有機シランである。シランは、ガラスに結合する1つのエポキシ基を含むことがある(この場合、基X1とX2が、通常1−2個の炭素の長さの通常アルカンである。)、又は、位置X1とX2にそれ以上のエポキシ基を有することがある。R1は、次の工程でR2で「リンカー」と結合する一連の官能基から選択される。これらの化学薬剤は、当業者が理解する、アミン系、エポキシ系、グリシド系、イソシアネート系、ビニル系、及びその他の基を含むがこれらに限定されない。
【0086】
アドコテ(Adcote)89R3化学剤に関するように、シラン基をリンカー分子に直接カップリングすることにより、「アンカー」部分が、リンカー部分に含まれることがあることに注目するべきである。
【0087】
図10Bは、「リンカー」分子の一般的形を示す。X3は、リンカーの「主鎖」を示し、芳香族、直鎖、又はこれらの任意の結合体であることがある。一般的には、リンカーは、高分子であり、飽和高分子が、優れる化学抵抗性で一般的に好ましい。R2は、図10Aの「アンカー」の官能基R1と結合するように選択され、且つ、アミン系、エポキシ系、アクリル系、イソシアネート系、グリシド系、エステル系、及びその他を含むがこれらに限定されない群から一般的に選択される。
【0088】
R3は、ナイロン微孔性膜と結合するように選択され、R2に同一であることがある。一般的に、ナイロン膜上の官能基(アミン基とカルボキシル基)との共有結合は、目下好適である。しかしながら、これは必要ではない。代わりに、ナイロン膜とのリンカーの機械的インターロッキングは、ナイロン−ガラス層の良好な結合強さの接着に十分なこともある。
【0089】
図10Cは、一般的な「硬化」分子、架橋剤、又は第2リンカーを示す。第2リンカーは、リンカーに結合できる少なくとも2つの官能基を含む任意の分子であり得る。この分子の目的は、リンカーと架橋してマトリクスをつくることによりリンカー分子に更なる長さを付加して、リンカーを膜の孔構造中により良く浸透させることである。この「第2リンカー」は、具体例3(アドコテ89R3)のような本開示の一部の代表的実施例にて排除されることがある。不幸なことには、第2リンカー構造体は、元来一般的に知的所有権が付随しており、従って、化学組成が、即座には認識されず、又は公に入手できない。図10Cでは、X4は、芳香族、又は脂肪族、又はこれらの任意の結合体、又は、目的リンカー分子と結合する反復官能基を含む任意の分子であることがある。R4は、第1リンカー分子のR2又はR3基との付着体から選択される適正官能基を示す。架橋剤分子は、第2リンカーの機能を助けることもある。この場合、第2リンカーは、ナイロンに結合することが出来るであろう。
【0090】
上述の方法を用いてつくられる複合体微小配列スライドは、SSCハイブリダイゼイション溶液中で60℃にて一夜露出に、優れる残存性を示したが、一部の競合スライド(S&S CASTスライド)は、これらの条件にて2時間以下で層剥離した。上述の競合スライドの美的外観は、アンカー及びリンカーとして作用する化学薬剤の結果としてガラス・スライドと微孔膜とのあいだの最小付着層により逆に影響されるとは信じられない。アンカーとリンカーとして作用する化学薬剤が、極めて薄い塗膜(〜1μm)として非多孔性基材、目下好適にはガラスに付与されるからである。同様につくられたガラス・スライドも、DMFのような有機溶媒により影響を受けない。DMFは、ガラス・スライドと微孔性膜との間の接続機構として使用のために入手できる多くの市販の接着剤を溶解することで知られる。
【0091】
本開示に従えば、多孔性膜と基材との間に付着層を与える表面処理剤を含むと共に、当業者に知られるようにシラン(アンカー)部分への変形を含むがこれに限定されない、開示された化学薬剤に多くの可能な変形が存在する。さらに、アミノシラン又はグリシドシランが、表面処理系を含み本開示の付着層になる化学薬剤から除外されることがある。さらに、シランの多くの代わりの官能基が、アミン系、エポキシ系及び多くのその他を含むが、これらに限定されず、ガラスとの反応に使用されることがある。
【0092】
リンカー部分に関しては、エポン828ビスフェノールAタイプの化学剤を使用することが、複数の可能性の1つである。可能であると信じられる別のリンカーは、同一の「アンカー−リンカー」化学薬剤を用い、アクリル系、ポリエステル−シラン系、ポリエステル系、交互エポキシ系、イソシアネート系、及び等価物質を含むが、これらに限定されない。
【0093】
表面処理剤の化学薬剤を付与して付着層を得る方法に関しては、スピン塗工は、表面処理剤を基材表面に付与する複数の可能な方法の1つに過ぎない。他の可能性は、ドローダウン(ナイフ−スタイル)、スプレー、スロット−ダイ塗工、又は等価な手段を含むが、これらに限定されない。スピン塗工の目下認知される主要な利点は、微小規模で表面処理剤を含む化学薬剤の高均一性の結果である
膜のタイプに関しては、高アミン及び低アミンのナイロン66が、アンカーとリンカーを含み本開示の付着層になる化学薬剤を用いて首尾よく試験された。しかしながら、代わりのナイロン(例えば、ナイロン46のような)を含むがこれに限定されない代わりの膜のタイプが、本開示の範囲内にあると考えられる。さらに、当業者が理解するように、ポリスルフォン系、ポリエーテルスルフォン系、ポリ二弗化ビニリデン系(PVDF)、及びニトロセルロース系を含むが、これらに限定されない、代わりの高分子タイプの使用も、可能なことがある。
【0094】
本開示の実施では、膜は、湿潤で又は乾燥で適用されることがある。湿潤膜の使用は、膜と基材間の付着体の付加する結合強さと均一性で目下好ましい。
【0095】
本開示の実施では、荷電されるか、又は荷電されないことがあり、膜の孔径と厚さは、当業者が理解するように、任意の所望の範囲に操作することが出来る。
【実施例】
【0096】
具体例 1
ナイロン膜のガラス基材への付着方法
ビスフェノールA
生体高分子の微小配列を行う複合体微小配列スライドとして用いるナイロン/ガラス複合体の調製が、以下のように実施された。
【0097】
この代表的具体例は、ナイロン/ガラス複合スライドの試料バッチを調製する方法を記述する。調製された代表的ナイロン/ガラス複合スライドは、7.62×2.54cm(3×1in)のガラス製顕微鏡スライドの表面に作用可能に結合された多孔性ナイロン膜の薄層(〜0.051mm(〜2mil))から構成された。そのようなスライドは、生体高分子の微小配列の実施に用いる複合体微小配列スライドとして有効であると判明した。
【0098】
代表的な方法は、1包のノクロミックス(NoChromix)(ゴダックス・ラボ社(Godax Labs, Inc))を約2.5Lの濃硫酸中に溶解することにより開始され、次に、全結晶が溶解するまで、十分に撹拌して、クリーニング溶液を調製した。次に、先に調製したクリーニング溶液は、ガラス皿(サーモ・シャンドン(Thermo Shandon)・モデル102)中に注ぎ、約10分間静置した。ガラス製顕微鏡スライド(エリー・サイエンティフィック(Erie Scientific) #C16−5218)が、2枚スライド・ラック(サーモ・シャンドン(Thermo Shandon)・モデル100)中に置かれ、次に、上記のクリーニング溶液に約3分間浸漬され、次に、約18mΩDI水で満たされた別の皿に移され、そのまま約20分間維持された。スライドは、次に、HPLC級変性エタノール(ブランド−ヌ(Brand-Nu)#HP612)にしばらく浸漬され、下記の手順でシラネートされた。代わりに、スライドは、アルコノックス(Alconox)の約1wt%DI水溶液でクリーニングされ、約30分間空気撹拌され、引き続き、頻繁にフレッシュされる18mΩDI水浴にて約30分間スパージ(sparge)することがある。
【0099】
スライドは、以下の代表的手順によりシラネートされた。即ち、第1に、約95%のエタノールと約5%(容量%)の水からなる約100mLの溶液が、調製された。次に、約2mlの3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(ユナイテド・ケミカル・テクノロジズ #A0735)が上記溶液に添加され、十分に撹拌され、且つ、約5分間静置された。先の約5分間手順が終了後に、得られた溶液がガラス皿に注がれ、スライドが、その中に約2分間浸漬された。スライドは、次に、シラン溶液から取出され、エタノール入りの皿中に約7秒浸漬され、皿から取出された。スライドは、次に、オーブン内に約110℃で約10分間置かれ、一夜で反応を終了させた。
【0100】
エタノールによる微量スライドの過剰な洗浄は、硬化前のシランの一時的水素結合を破壊するようにみえることが先の工程の間に決定された。
【0101】
反応が終了した後に、スライドは、目に見える汚点、又は他の欠点につき検査された。目に見える汚点、又は他の欠点を持ついずれのスライドも、排除され、使用されなかった。
【0102】
翌日、代表的ビスフェノールA「リンカー」溶液が、250mLエーレンマイヤー・フラスコに以下を添加して、新しい成分が添加される各工程後毎に十分に撹拌して、つくられた。
【0103】
約10gのエポン828(ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂)と、
約34gのキシレン。
【0104】
別の250mLエーレンマイヤー・フラスコに以下も添加された。
【0105】
約4.1gのエピクレ3115(ポリアミド基剤の硬化剤)と、
約34gのキシレンと、
約1.8gの3−グリシドプロピルトリメトキシシランと。
【0106】
第1フラスコの内容物(エポキシ)が、次に、第2フラスコに注がれ、封止され、実験用スターラーで約60℃でさらに約15時間撹拌された。上述の2つのフラスコの結合から得られた溶液は、約12wt%のビスフェノールA「リンカー」溶液でなった。
【0107】
この工程の間に、混合の最小時間に至ることは、意にかなう美的特性と接着性を持つ複合スライドをつくることに関連しているようであることが決められた。エポキシが、混合に先立ち、約60℃で約1〜約3日密閉容器に貯蔵される場合に、最適結果が達成されることも決められた。
【0108】
エポキシをこのように貯蔵することにより、表面処理剤として使用される塗膜の隆起部に至ることがあるエポキシ溶液の再結晶が防止されることが信じられる。この特定の代表的溶液は、約30時間の保存期間を有していた。この時点を越えて付与される場合、溶液は、意図する目的には使用できなくなった。混合サイクルに引続き、1つの清浄にされシラネートされたスライドが、次に、スピン・コーター(スペシャルティ・コーティング・システム(Specialty Coating Systems)モデルP6708)の上に置かれた。表面が、上記のように調製されたエポキシ溶液で覆われ、次に次記のサイクルでスピンされた。
RPM 時間(秒)
〜500 〜10
〜900 〜10
〜3000 〜20
次に、スライドが、スピン・コーターから取外され、12.7×25.4cm(5×10in)の金属板の上に置かれた。このスピン塗工サイクルは、次に、2つの更なるスライドにつき繰り返された。次に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜(米国特許第3,876,738号明細書と米国特許第4,707,265号明細書に記載されるように)が、スライドの全面に作用可能に配置され、伸張された。手袋をはめた人が、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜を取り扱った。使用されたキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、キャスト(流延)され、急冷却され、DI水で水洗されたが、乾燥工程に曝露されなかったので、用語が、「キャスト後の湿潤した状態」である。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、およそ0.038mm(1.5mil)の厚さと、約0.2μmよりも小さい名目孔径と、約931kPa(135psi)の目標の水中初期バブルポイント値と(一旦乾燥された)を有する。このキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜のベース高分子は、ビダイン(Vydyne)66Zナイロン(ソルシア社(Solutia, Inc))であり、アミン末端基により優先的に停止されている高分子量ナイロンである。
【0109】
キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜の薬品処理スライドへの適用の間に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜と各スライド間の任意の気泡の除去を保証するために、注意が払われた。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、各スライド上で平坦にされ、全ての皺が、取除かれた。
【0110】
一旦スライド上に配置されると、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、当該技術に知られるように適切な位置にクリップ止めされた。全組立体が、次に、対流オーブンで約110℃に約45分加熱された。加熱後、過剰の、今では乾燥された、多孔性ナイロン膜が、当該技術に知られるトリミングによりスライドから取除かれた。
【0111】
トリミングに引き続き、スライドが、エポキシ樹脂をさらに硬化するために一夜静置された。上記の方法を用いてつくった付着層による、基材への膜の接着強さを試験するために、4xSSC(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム)の溶液が、貯蔵20x溶液(シグマ#S6639)を稀釈して調製された。
【0112】
スライドは、タッパウエア(Tupperware)容器に入れられ、SSC溶液が、スライドの頂部の上に注がれ、容器が封止された。容器が、次に、ハイブリダイゼイション・オーブン内に約60℃で最短約12時間緩やかに揺らしながら置かれた。
【0113】
溶液から取出したとき、複合スライドの全ての膜構成要素が、基材からの膜の剥離なしに、基材構成要素に確実に結合されていることが分かった。60℃で72時間過剰に長期間曝露されたスライドも、基材からのナイロン剥離がないことを示した。
【0114】
膜と基材間の接着の更なる試験が、以下の方法により行われた。第1に、2枚のスライドが選択され、60ml薬びんに入れられた。次に、n−ジメチルフォルムアミド(DMF、アルドリッチ31、993−7)の溶液スライドを覆って注がれ、蓋で封止された。DMFは、種々の化学剤をスライド表面に付与するために使用され得る活発な溶媒であり、アクリレート系、ウレタン系、及びポリエステル系のような普通の接着剤を攻撃することが知られている。スライドは、最短約6時間室温に静置され、次に取除かれ、しっかりと擦られた。
【0115】
上記処理後に、スライドは、室温で約2週間露出後でさえ、DMFに浸漬後に膜と基材間の結合の接着強さの如何なる損失をも発揮しなかった。
【0116】
具体例 2
ナイロン膜のガラス基材への付着方法
ビスフェノールA/エピクレ3125
生体高分子の微小配列を行う複合体微小配列スライドとして用いるナイロン/ガラス複合スライドの調製は、以下の例外の除き、具体例1と同様な方法で行われた。
【0117】
代表的エポキシ溶液の処方は、以下の通りであった。
【0118】
約10gのエポン(Epon)828(ビスフェノールAタイプ・エポキシ樹脂)と、
約35gのキシレン。
【0119】
第2の250mLエーレンマイヤー・フラスコ中に、以下を加えた。
【0120】
約6gのエピクレ3125(ポリアミド基剤の硬化剤)と、
約35gのキシレンと、
約1.8gの3−グリシドプロピルトリメトキシシランと。
【0121】
代表的エポキシ溶液が、第2フラスコに注入され、溶液が、約60℃で約5時間混合された。溶液は、次に、混合され、具体例1と同様にスライドに付与された。具体例1の代表的溶液と異なる1つの注目すべき点は、具体例2の得られた溶液が、短時間で使用できるようになったが、約3時間しか作用ライフを持っていなかったことである。
【0122】
上記の手順によりつくられた代表的スライドは、また、約60℃で4xSSCに一夜浸漬して破壊されなかった。
【0123】
具体例 3
ナイロン膜のガラス基材への付着方法
アドコテ89R3(ローム・アンド・ハースから入手)
この代表的具体例は、ナイロン/ガラス複合スライドの試料バッチをつくる別の代表的方法を記述する。つくられたナイロン/ガラス複合スライドは、7.62×2.54cm(3×1in)のガラス製顕微鏡スライドの表面に作用可能に結合された多孔性ナイロン膜の薄層0.10mm(〜4mil)で構成された。そのようなスライドは、生体高分子の微小配列の実施に使用する複合体微小配列スライドとして有効であると判明した。
【0124】
生体高分子の微小配列を行う複合体微小配列スライドとして有用なナイロン/ガラス複合スライドの調製は、以下の通りである。
【0125】
代表的方法は、1包のノクロミックス(NoChromix)(ゴダックス・ラボ社(Godax Labs, Inc))を約2.5Lの濃硫酸中に溶解することにより開始され、次に、全結晶が溶解するまで十分に撹拌される。次に、得られた溶液が、ガラス皿(サーモ・シャンドン(Thermo Shandon)モデル102)に注がれ、約10分静置された。ガラス製顕微鏡スライド(エリー・サイエンティフィック(Erie Scientific)#CI6−5218)が、20枚スライド・ラック(センノ・シャンドン(Then-no Shandon)モデル100)中に置かれた。スライドは、酸−ノクロミックス(NoChromix)クリーニング溶液に約30分浸漬され、次に、約18mΩDI水で満たされた別の皿に約20分移された。スライドは、次に、HPLC級の変性エタノール(ブランド−ヌ(Brand-Nu)#HP612)に短時間浸漬され、次に、取出され、オーブン内に約110℃で10分置かれた。
【0126】
次に、スライドが、以下の手順によりシラネートされた。第1に、約95%のエタノールと約5%の水(容量%)の約100mL溶液が、調製された。次に、約2mLの3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(UCT#A0735)が、上記溶液に添加され、十分に混合され、約5分静置された。次に、得られた溶液が、ガラス皿中に注がれ、スライドが、約2分浸漬された。スライドが、次に、シラン溶液から取出され、エタノールを含む皿中に浸漬され、皿から取出された。このことが、約7秒の全浸漬時間でエタノールの第2の皿で反復された。エタノール皿から取り出し後、スライドは、オーブン内に約110℃で約10分置かれ、次に、一夜反応を終了した。
【0127】
この工程の間に、エタノールによる微量スライドの過剰な洗浄は、硬化に先立つ、シランの一時的水素結合を破壊して、結合を低下する結果になるようであることが判明した
最短約4時間後に、目に見える汚点又は他の欠点に付き4枚のスライドが、検査された。4枚のスライドのうち目に見える汚点又は他の欠点を持つ何れも除外され、使用されなかった。
【0128】
翌日、アドコテ89R3溶液の約20wt%溶液が、以下を250mLビーカーに加え、新成分が添加される各工程後に十分に撹拌して調製された。
【0129】
約10gのアドコテ89R3(ローム・アンド・ハース)と、
約40gのトルエン(ブランド−ヌ(Brand-Nu)#9460−03)と。
【0130】
上記工程の終わりに、先に挙げたシラネートされたスライドが、次に、スナップ・ゲージ(三豊モデル7326)を用いて測定され、0.0051mm(0.2mil)の増分の厚さで群分けされた。スライドは、次に、5つの群でガラス板上に置かれた。ナイフ−エッジ型のドローダウン(drawdown)装置(ポール・ガードナー(Paul Gardner)モデル#A−P−MO6)が、スライドを覆って置かれ、全ての5つのスライドをクリアーするための最小間隙に調整された。一旦最小間隙が決められると、間隙は、スライドの表面上に液体の適正層を得るために約0.0254mm(1mil)毎に増加された。間隙調整をした後、次に、約3mlのリンカー溶液が、始めのスライド上に滴下された。次に、液体が、全5つのスライドを覆って「ドロー−ダウン」された。溶液をスライド上にドローした後、スライドが、次に、直ちに金属網板上に置かれた。
【0131】
この工程の間に、間隙クリアランスの特性と接着剤混合物の固形分とが、出来上がったスライドの優れた美的特性を達成するために全て関連していたことが決められた。加えて、これらあの条件は、また、膜とスライド間の結合強さに影響を与えた。
【0132】
次に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜(米国特許第3,876,738号明細書と米国特許第4,707,265号明細書に記載のように)は、スライドを覆って作用可能に配置され、伸張された。手袋をはめた人が、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜を扱った。使用されるキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、キャストされ、急冷却され、DI水で水洗されたが、乾燥工程に未だ曝露されなかったので、用語「キャスト後の湿潤した状態」を用いる。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、約0.2μm未満の最小孔径と約931kPa(135psi)の目標初期バブルポイント値(一旦乾燥後)とを有した。このキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜の基剤高分子は、ビダイン(Vydyne)66Zナイロン(ソルシア社(Solutia, Inc))であり、アミン末端基により優先的に停止されている高分子量ナイロンである。
【0133】
キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜の薬品処理スライドへの適用の間に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜と各スライド間の全ての気泡の除去を保証するために、注意が払われた。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、各スライド上で平坦にされ、全ての皺が、取除かれた。
【0134】
一旦スライド上に配置されると、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、当該技術に知られるように適切な位置にクリップ止めされた。全組立体が、次に、対流オーブンで約110℃に約45分加熱された。加熱後、過剰の、目下乾燥された、多孔性ナイロン膜が、当該技術に知られるトリミングによりスライドから取除かれた。トリミングに引き続き、スライドが、ポリエステル・リンカーをさらに硬化するために一夜静置された。
【0135】
膜の基材への接着を試験するために、4xSSCの溶液が、以下を500mLエーレンマイヤー・フラスコに添加して調製された。
【0136】
約40mLの20xSSC(貯蔵溶液、シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)S6639)と、
約160mLのDI水と。
【0137】
スライドは、次に、タッパウエア(Tupperware)容器に入れられ、溶液が、スライドの頂部の上に注がれ、容器が封止された。
【0138】
容器が、次に、ハイブリダイゼイション・オーブン内に約60℃で最短約12時間で一夜緩やかに揺らしながら置かれた。
【0139】
溶液から取出したとき、全ての膜が、基材からの膜の剥離なしに、基材に確実に結合されていることが分かった。60℃で72時間過剰に長期間曝露されたスライドも、基材からの剥離がないことを示した。
【0140】
具体例 4
低い反射及び蛍光とハイブリザイゼイション化学剤への抵抗性を持つ灰色微孔性膜複合体の調製が、以下の代表的方法により達成された。
【0141】
キャスト用ドープが、調製された。微小配列膜の調製に使用するドープを調製する方法と装置は、当該技術に知られる。ドープ調製のいくつかの既知の方法が、1975年4月8日発行の代表的米国特許第3,876,738号明細書、1982年7月20日発行の代表的米国特許第4,340,480号明細書、1988年9月13日発行の代表的米国特許第4,770,777号明細書、及び1993年6月1日発行の代表的米国特許第5,215,662号明細書に記述され、各開示事項が、本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組入れている。顔料をキャスト用ドープ中に有効に配合する手順をつくるドープの変形は、一般的に所有される係属中の特許出願第09/897,333号明細書に記載されるが、本明細書に記載されるようにより大きなボリュウームに拡大された。第1に、430g(0.948lb)のカーボン・ブラック(ダグサ−ハル(Dersa-Huls)製品プリンテックスU)が、シルバーソン(Silverson)高シェア・ミキサー(1LのSS混合室付き、モデル#14T−SU)を用いて、6320g(13.9lb)のギ酸中に分散された。分散は、カーボン・ブラックとギ酸を、約700gのギ酸中に分散された50gのカーボン・ブラックという個別のアリコートに分割することにより達成された。8個のアリコートが、調製され、引き続き、約700gのギ酸中に分散された30gのカーボン・ブラックという1個のアリコートを調製した。分散されたカーボン・ブラックの分けられたアリコートが、全6320g(およそ、13.9lb)のギ酸中に全430g(およそ、0.948lbカーボン・ブラック)で、移し容器に結合された。次に、約109.3kg(241.0lb)のギ酸が、151L(40gal)容量の封止され、水ジャケット付きステンレス鋼製タービン・ミキサー型ドープ容器に添加され、低速(150RPM)で約15分約11.11kg(24.5lb)のメタノールと混合された。
【0142】
ギ酸とメタノールの混合後に、先に分散されたカーボン/ギ酸混合物が、容器に注入され、低速(150RPM)で約2分混合された。次に、約21.5kg(47.3lb)のビダイン(Vydyne)66Z(ソルシア社)、高アミン、高分子量ナイロン66が、ギ酸/カーボン/メタノール混合物に添加され、約450rpmで約28℃で約4時間混合された。上記は、代表的ナイロン「ドープ」の調製を含む。
【0143】
少量(およそ20ml)の代表的ドープが、実験装置で、引き続きキャストされ、急冷却され、米国特許第3,876,738号明細書に記載のキャスト方法をシミュレートして、約0.13mm(5mil)厚さの単層の非補強微孔性ナイロン膜をキャスト後の湿潤した状態で調製した。キャスト後の湿潤した状態の膜は、DI水で洗われ、両露出外側表面が、キャスト後の湿潤した状態の膜の急冷却側を表すように、折りたたまれた。乾燥二層が、約0.10mm(4mil)の厚さを有した。乾燥二層膜試料の乾燥表面のL値(明度)は、上記の一般に所有される係属中の特許出願に記載されるように、マクベス・カラーアイ3100色度計を用いて測定され、およそ50ユニットであることが判明した(0−100のスケール、D65電球使用)。
【0144】
孔径は、乾燥二層膜試料を60%イソプロピルアルコール、40%水(容量で)の混合物にて湿潤し、既述の終期バブルポイント値(FAOP)につき試験することにより測定された。得られたFAOP値は、およそ379kPa(55psi)であり、工業標準によれば、約0.2μmよりも小さい公称膜孔径を持つ微孔膜を示した。
【0145】
次に、代表的ドープは、米国特許第3,876,738号明細書に開示された方法を使用し水平ドラム・タイプ・キャスターを用いてキャスト(流延)された。膜の厚さは、キャスティング・ナイフとドラム間の間隙を変更して調整され、0.134mm(5.5mil)の最終膜湿潤厚さが達成されるまで、0.254mm(10mil)の湿潤厚さから徐々に減少された。湿潤単一層膜が、二層にされ、先のように緊張下で乾燥された。膜は、60/40v/vIPA/H2Oにて345kPa(50psi)の終期バブルポイント値(FAOP)と約0.102mm(4.0mil)の厚さ(約0.051mm(2mil)、単一層)を有することが判明した。
【0146】
上記の工程は、灰色と孔構造体中に一様に分散したカーボン・ブラックとを有する湿潤して膨潤した微孔性膜をつくる手順を記載する。前述の微孔性膜は、次に、具体例1と同じようにスライドに付着された。スライドは、洗浄され、シラネートされ、エポキシ層が均一に表面を覆って広がり、次に、0.051mm(2mil)厚さの湿潤ナイロン膜が、スライドに被せられ、xとy方向に伸張された。スライドは、次に、オーブン乾燥され、不要部が切り取られ、次に、美的欠点に付き検査され、L値に付き測定された。
【0147】
実験の驚くべき結果は、膜の表面配向に関する色差の発見であった。単一層膜の試料は、膜のキャスティング・ドラム側をガラスに向けて下向き配向にすると共に急冷却側表面を上向きに(露出面)配向して、上述のようにガラスに付着された。この配向では、露出された急冷却表面が、色につき測定され、およそ48ユニットのL値を有することが判明した。
【0148】
試料が別の配置で調製された(急冷却側が、ガラスに付着されると共にドラム側が、上向きで)。これらの試料が、約58ユニットの平均L値を有することが判明した。配向のこの効果は、目下完全には理解されないけれども、膜表面の平坦性とテクステャー(きめの粗さ)が、これらの配向により影響を受けることが注目される。
【0149】
これらの技法でつくられたナイロン微孔膜の孔構造は、孔構造(即ち、スキンレス)に関して正常に対称的で等方性であるが、表面の平坦性が、キャスティング基材の存在に影響されることが注目された。キャスティング基材として使用された、磨かれたステンレス鋼ドラムにより、ステンレス鋼ドラムに接触して急冷却された膜表面により光沢のある外観が得られるであろう。反対表面(即ち、急冷却流体接触面)は、より大きな3次元表面非平坦性を発揮して、より小さい光沢の外観を有する。このようにして、顔料の均一な分布を持つキャスティング・ドープは、一旦急冷却されると、表面非平坦性により影響される明らかな色差を表すことがある。本発明の場合、非平坦性の少ないドラム面により、より高い外見のL値が示される。これは、より明るい(より少なく暗い)外観である。一方、よりきめの粗い急冷却面により、より低い外見のL値が示される。これは、暗い色である。この観察の故に、本開示の複合体微小配列スライドを用いる特定の用途に最良に利するような使用のために、膜の外向きに面する表面を、表面のきめの粗さにより、又は色により、又は両方により、選択することが可能である。
【0150】
代わりに、更なる各面の色の操作を望む場合、米国特許第6,513,666号明細書に記載のように代わりのキャスティング方法と生成物が、当業者に知られるように、色対称又は色非対称を達成するために採用される。さらに、米国特許第6,513,666号明細書に記載の同じ方法と生成物が、また、当業者に知られるように、孔径の点で、対称膜、非対称膜、又は他の複数ゾーン膜をつくるために採用されることがある。
【0151】
ドラム側が外側向きの膜面の6個のスライドが、更なる試験のために選択された。先の具体例の白色面に比較して、本具体例の灰色面は、スライド表面を横切って一様な色分布を持ち、58ユニットの平均L値を持ち、許容できる美的特性を示す。
【0152】
既に本明細書に組入れている係属中の一般的に所有される特許出願第09/897,333号明細書と第09/899,607号明細書に記載されるように、核酸がスポットされる支持材料からの蛍光性バックグラウンド(自動蛍光)は、配列に関する蛍光検出技法の感度に害になる。配列を横切るハイブリダイゼイション・シグナルの効率は、配列に関する矛盾したバックグラウンドにより影響を受ける可能性がある。これが、動作範囲を減少し、DNA微小配列に関するシグナル比の変動係数を増加し、低レベルで発現した遺伝子の検出を疑わしいものにする。
【0153】
同様に、化学発光が、ハイブリダイゼイション事象を検出する好適な方法として採用される場合、基材からの非特定の化学発光と配列に関する特定のシグナルからの、より重要な反射とが、感度、作動範囲を減少する一方、配列に関するシグナル比の中で変動係数を増加する。それだけで、反射は、遺伝子間のシグナルの少ない差異を分別する能力を否定し得る。さらに、強いシグナルから生じた反射(高い遺伝子発現レベルに関する特徴)は、隣接する特徴を不明瞭にし得る。さらに、配列表面を横切る強いシグナルの分布が、特徴から発せられる光からの総括的バックグラウンド・ノイズを生じ得る。それゆえ、反射の減少が、配列プラットホームに対する望ましい特性である。本明細書に記載の顔料添加ナイロン膜複合体微小配列スライドは、化学発光・シグナルからのバックグラウンド・光発光を減少することに極めて有効である。
【0154】
上に見られるように、これらの具体例は、生体高分子の微小配列を表面に担持するに有用な複合体微小配列スライドは、キャスト後の湿潤した状態のナイロン膜とガラス基材とを用いて、表面処理剤として高分子中間層を含むことがある、化学薬剤でガラス基材を処理することによりつくられ;微小配列用途に有用であるように、キャスト後の湿潤した状態のナイロン膜とガラス基材間の共有結合又は別のタイプの結合を容易にする付着層をつくったことを示す。
【0155】
当業者が理解するように、上述の具体例は、本開示が教示する概念に従って準備され得る複数の可能な具体例を代表しているに過ぎない。同様に、上述の具体例の特定のメカニズム内の変化が、生産設計図の必要なしに当業者により理解されることがさらに理解される。
【0156】
以下の表2に示すように、本開示の改良複合体微小配列スライドの残存性が、競合するスライドと比較して明瞭に示される。表1に詳述するように、残存性の因子は、膜の相対的剥離によって決められる値である。以下に示す全ての条件で、スライドは、2枚同時に、所望の溶液で満たした60mLビーカー中に入れられ、封止された。各条件の3枚のスライドが、次に、ハイブリダイゼイション・オーブン中に置かれ、所望に曝露時間の間所望の温度に平衡させた。曝露に引き続き、スライドは、所望の溶液から取出され;所望の溶液で処理後に、撹拌、引き続く洗浄工程、又はスライド表面に対する顧客実施の別の手順に類似する最悪の場合の評価をシミュレートする努力として、手袋をはめた指でオペレーターによりしっかりと擦られた。
【0157】
スライドは、次に、以下の表1に記載するように「残存性因子」に従って評価された。
【0158】
【表1】
評価の間に、上述の具体例1でつくったスライドは、試験されなかった。具体例4でつくったスライドが、具体例1と同じ、付着層作成用化学剤を使用されたからである。以下の表2から分かるように、試験された競合ナイロン−ガラス複合体は、すべて、種々の適さない環境に曝露後に実質的な結合強さの低下又は剥離を発揮した。このように、以下の表2は、競合スライドが、これらの適さない環境下での使用に安定ではないことを示し、実用的操作の分野で剥離に関する問題に遭遇するようであると信じられている。
【0159】
【表2】
表2で使用の化学的両立性試験に供した溶液は、以下に従って定義される。
【0160】
4xSSC(クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、アルドリッチ(Ardrich)#93017)は、ハイブリダイゼイションと微小配列とナイロン膜の洗浄に頻繁に使用される。
【0161】
ロゼッタ(Rosetta)は、既知のハイブリダイゼイション溶液であり、合成手順が、ネイチャー・バイオテクノロジ(Nature Biotechnology)2001年第19巻、342−34頁に記述され、この開示事項が、本開示に矛盾しない程度に参照により本明細書に取り込んでいる
DMF(n−ジメチルフォルムアミド、シグマ・アルドリッチ #22、705−6)は、一般的有機溶媒である。
【0162】
DMSO(ジメチルスルフォキシド、シグマ・アルドリッチ #D1435)は、生体用途に頻繁に使用される別の一般的有機溶媒である。
【0163】
1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)は、湿潤ナイロン膜に頻繁に使用される界面活性剤溶液である。
【0164】
本開示の改良複合体微小配列スライドは、種々の適さない環境を用いて試験されるとき、目的の適さない環境で残存するために十分強い付着を明らかに示す。類似の全ての場合に、本開示の改良複合体微小配列スライドは、例え有ったにしても、極めてしっかり擦っても基材と微小配列膜との間の結合強さの弱化を殆ど示さなかった。ただ1つの重要な例外は、DMFとDMSOのような有機溶媒に両立しがたいとして知られる代わりのリンカーを使用する具体例3であった。しかしながら、付着結合強さは、表2から明らかなように、試験した他の溶媒では安定に維持された。
【0165】
このようにして、本開示の改良複合体微小配列スライドは、微小配列膜に結合する基材を準備するために代表的で好適な表面処理剤を用いてつくられたとき、所望の溶液で処理後の厳しい洗浄サイクルを伴う顧客試験の間と、更に重要なことには、本開示の改良複合微量配列スライドを用いる実際の商業用途の間とに膜から基材の剥離を確実に防止する付着層を得ることが上述のデータから明らかであるようにか見える。
【0166】
具体例4の複合体微小配列スライドが、次に、蛍光バックグラウンドにつき試験された。ナイロン微孔性膜の基本構造が、カーボン・ブラックの添加により変更されたので、具体例1と4のナイロン膜間の蛍光の任意の減少が、カーボン・ブラックによる蛍光シグナルの吸着に専ら依ることが理論付けられた。蛍光と反射(化学発光検定にて)が関連するであろうことと、一般的な蛍光波長(約500−700nm)で光を吸着することが知られる黒色物質が、化学発光(およそ460nm)で典型的に使用される、少なくとも全可視光領域(約100乃至約700nm)で光を吸着することがさらに期待された。
【0167】
この試験で、各々、上記の具体例1と4(カーボン・ブラックが具体例4の膜に添加されたことのみで異なる)由来の3個のスライドが、アクソン・ジェネピクス(Axon Genepix)4000Bスキャナーを用いて蛍光バックグラウンドにつきスキャンされた。このレーザー・ベースの装置は、正確に固定された刺激波長にて光でスライドを攻撃し、次に、「蛍光ユニット」にて上記の振動数で応答強さを測定した。スライド当たり5点が、選択され、次に、「蛍光ユニット」を測定し、全体が、各波長で平均化された。試験は、33%出力と600光電倍増管(PMT)の装置設定を用いて行われた。
【0168】
【表3】
表3に示すように、具体例4の複合体微小配列スライドは、膜へのカーボン・ブラックの添加により実質的に減少したバックグラウンド蛍光を示した。この実質的に減少したバックグラウンド蛍光が、当業者が期待するように、膜の反射における対応する減少を強く示すであろうことが信じられる。
【0169】
要するに、複合体微小配列スライドを作製する、代表的で目下好適な方法のいくつかの変形が、微小配列用途の厳密さに耐えることと、DNA及び他の遺伝子生成物の生体分子分析物、タンパク質等を結合するに有用な薄くて均質なナイロン層の利点を有することと、目下入手できる微小配列スライドのいずれの欠点をも蒙らないこととが出来る、微孔性膜、特にナイロン微孔性膜の種々の固体基材への永続性で強固な結合を与える。そのような欠点は、如何なる膜をも有しないこと(機能化されたガラス)、又は、あまり好適でない膜としてニトロセルロースの使用、又は、目下要求される許容度を超える変動厚さ特性を有する補強ナイロン膜の使用、又は、微小配列用途の厳しさに耐えることができない、膜とガラス基材間の接着層の使用を含むが、これらに限定されない。
【0170】
上記に明らかに見られるように、本開示によれば、代表的微小配列膜、特にナイロン膜は、ナイロンと基材間に結合を与えて付着層になる化学薬剤から選択される表面処理剤で、例えば、ガラス・スライドのような基材に作用可能に結合される。この表面処理剤は、ハイブリダイゼイション条件と複合体微小配列スライドを作製するための意図された環境で使用される市販の溶媒とにおいて弾性/残存性であることが分かった。競合するナイロン・ガラススライドの全ては、先の表2に示したこれらの条件下で剥離すると信じられている。
【0171】
本開示の表面処理剤を含む化学薬剤は、薄くて、均一なナイロン・スライド付着層(およそ、1−2μm)を生じる。この層は、最も多く市販される接着剤(典型的に最小10−25μm)よりも大幅に薄く、ナイロンと基材の間に置かれた表面処理剤を含む化学的リンカーとアンカーの連合体により形成される。ナイロン/表面処理剤/基材の結合体は、平坦性の変動を減少し、また、最終用途で使用される種々の基材と付着層になる表面処理剤を含む化学薬剤との間の有害な妨害又は反応性の可能性を低減することが判明した。
【0172】
上述の特性に加えて、本開示の複合体微小配列スライドは、良好に管理される付着層厚さと、緊張乾燥の間に、乾燥されない微孔性転相ナイロンの膨潤して湿潤した構造体の、収縮すると共にガラスのような基部基材に物理的に合致する傾向とにおそらく間違いなく起因して、平坦性と厚さの均一性を示す。
【0173】
さらに、本開示の複合体微小配列スライドに関し、ガラスへ膜付与前に多大の費用を要する乾燥工程の必要はない。このような乾燥は、「ベルト・ライン」と他の美的欠点を加えることが判明した。
【0174】
転相方法によりつくられた構成要素、特にガラスの代わりに高分子基材に結合されたナイロン膜を有する複合体微小配列スライドは、多くの潜在性微小配列用途を有する。次の記述は、転相方法により形成されると共に、目下好適な共有結合により、付着層になる表面処理剤、目下好適には高分子中間層を介して高分子基材に作用可能に付着される、多孔性膜を有するそのような代表的複合体微小配列スライドの製造に関する代表的方法を記述しようとする試みである。その結果、このようにつくられた結合体は、微小配列用途に有用である。
【0175】
以下の代表的仮想具体例は、ナイロン/非多孔性支持材料の複合体と(先の具体例1−4に記述されるように)つくられた複合体とをつくることに必要であると信じられる工程を記述する。つくられたナイロン/非多孔性支持材料複合体は、非多孔性支持材料の表面に結合された薄い(約0.10mm(4mil)以下)多孔性ナイロン膜を含むであろう。
【0176】
予期されるように、異なる非多孔性支持材料は、異なる方法で前処理されなければならない。以下は、本開示の本質事項に有用性を持つと信じられる、異なる非多孔性材料の前処理を記述する。
【0177】
1)セラミック製非多孔性材料: 約95mLのエタノール、約5mLの水、及び約2mLの3−アミノプロピルトリメトキシシランを混合して、約5分そのままにする。基材を溶液中に約2分沈め、取出してエタノールで洗浄する。基材を約120℃で約10分加熱し、一夜静置する。この特定の溶液は、リンカー化学剤とナイロンとのための著しい数の結合サイトをセラミック製非多孔性支持材料に生じる。
【0178】
2)アクリル系非多孔性支持材料: アクリル系高分子(アクリルニトリル)は、最も多い反復ユニット(ユニットが共重合するする傾向があるので、各反復ユニットではない。)でニトリル結合を含む。ナイロンと結合するそのような支持材料を調製するために、約5MのHCl(酸又は塩基が反応を触媒する)に約10分沈めることによりニトリルをカルボキシル基に加水分解する。この特定の溶液が、リンカーとナイロンのための多くの数の結合サイトをアクリル高分子に与えるであろう。
【0179】
3)ポリプロピレン非多孔性支持材料: ポリプロピレンは、相対的に非反応性材料である。ポリプロピレンを結合のためにオープンにするには、ポリプロピレンの表面を約0.4kwのコロナ放電で処理する。コロナ放電は、ポリプロピレン非多孔性支持材料の表面上にカルボキシル基とカルボニル基を生成することによって一部の結合サイトを遊離化することがあることが信じられる。コロナ処理の効果は、時と共に徐々に減少する故に、以下に述べるように、直ちに次の工程に進むことが最良と信じられる。代わりに、プラズマ処理が、結合に適する表面へのカルボキシル又はカルボニル基の導入に使用されることもある。処理用適正ガスは、ヘリウム、酸素、アセチレン、及び二酸化炭素を含むことがある。
【0180】
4)ポリカーボネート及びポリスルフォン非多孔性支持材料: ポリカーボネート及びポリスルフォン非多孔性支持材料は、例えば、ブロモ酢酸のような臭素置換カルボキシル基を有する約1MのNaOH水溶液に入れられる。ブロモ酢酸は、高分子のフェノール末端基と縮合重合し、副産物としてHBrを放出する。縮合重合反応の得られた産物は、リンカー及びナイロンと次に結合することが出来るカルボキシル基で停止する鎖を有する。
【0181】
5)ポリアミド及びポリアラミド非多孔性支持材料: これらの高分子は、既に、次に工程の反応で使用され得るカルボキシル基とアミン末端基を含む。これらは、目下、前処理を要しないと信じられている。
【0182】
上述の適正前処理に引き続いて、エポキシ溶液が、以下の成分を用いて調製される。
【0183】
約10gのエポン(Epon)828(ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂)と、
約35gのキシレンと。
【0184】
別の250mlのエーレンマイヤー・フラスコに、以下が、また、添加される。
【0185】
約6gのエピクレ(Epikure)3125(ポリアミド基剤硬化剤)と、
約35gのキシレンと、
約1.8gの3−グリシドプロピルトリメトキシシランと。
【0186】
得られた溶液は、次に、約60℃で約5時間混合され、次に、当業者が理解するように、スピン塗工又は任意の他の手段で特定の表面処理剤として適正非多孔性支持材料の表面に付与される。
【0187】
ビスフェノールA分子のエポキシ基は、代表的非多孔性支持材料のアミノ基又はカルボキシル基と、及びナイロンのアミノ基およびカルボキシル基と結合することにより、ナイロンと代表的非多孔性支持材料とを結合してこれらの間に付着層を生成しなければならない。
【0188】
特定の非多孔性支持材料が、上述のように前処理された後、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜(米国特許第3,876,738号明細書及び第4,707,265号明細書に記述されるように)が、特定の非多孔性支持材料に被せされ、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜が、伸張される。手袋をはめた人のみが、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜を取り扱う。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜が、キャストされ、急冷却され、DI水で洗浄された後に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜が、特定の非多孔性支持材料に適用するために得られる。この膜は、未だ乾燥工程に曝露されていないゆえ、用語「キャスト後の湿潤した状態」を用いる。使用する高分子の種類は、目下、好適には、高分子量高アミンのナイロンである。
【0189】
注意が払われるべきことは、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜と特定の非多孔性支持材料との間の全ての気泡である。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、特定の非多孔性支持材料上で平坦にされ、全てのしわが、キャスト後に湿潤した状態のナイロン膜/特定の(透き通っていない)非多孔性支持材料結合体から除去される。キャスト後の湿潤した状態のナイロン膜は、次に、半ドラム上の適切な位置にクリップ止めされる。全組立体が、約110℃で約1時間対流オーブン内で加熱される。加熱後、過剰な多孔性ナイロン膜が、当該技術に知られるように、特定の非多孔性支持材料から多孔性ナイロン膜の端部を切り取って特定の非多孔性支持材料から除去される。
【0190】
得られる多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持材料複合体は、付着層を介して特定の非多孔性支持材料に作用可能に結合された多孔性ナイロン膜の極めて薄く、平滑な層を持つべきである。多孔性ナイロン膜表面は、変形、傷跡、又は粒子を有してはならない。
【0191】
DI水、約0.4M水酸化ナトリウム水溶液、及び約1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液にて試験されたとき、ナイロンは、容易に湿潤すべきである。多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持基材複合体が得られる、多孔性ナイロン膜構成要素と特定の非多孔性支持基材と間の結合は、強い結合を発揮するべきであり、多孔性ナイロン膜構成要素は、特定の非多孔性支持基材構成要素から剥がれてはならない、または層間剥離してはならない。
【0192】
多孔性ナイロン膜構成要素と特定の非多孔性支持基材と間の結合は、得られた多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持基材複合体が水又はSDSの沸騰溶液中に垂直に急速に沈められた時でさえ、強さを維持するべきである。この処理の苛酷さにかかわらず、充填されずに得られた多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持基材複合体は、その引き剥がし強さを維持するべきである。即ち、多孔性ナイロン膜構成要素は、特定の非多孔性支持材料構成要素から引き剥がされる又は層間剥離する前に、破れるべきである。
【0193】
上述の代表的仮想具体例は、本開示に記述されるように、二官能性の結合性化学剤への受容性に対する表面の準備に関して、種々の基材(無機の又は有機の高分子)の合成とこの表面反応性の許容される原則に基づいている。合成のこれらの受容される原則は、特定の非多孔性支持材料構成要素の調製に関する限定であるとは意味しない。合成の受容される原則は、本開示の実施において出発点を規定する示唆に過ぎず、当業者に修正されることがあるが、依然として、本開示の進歩性のある教示によっている。
【0194】
上述の具体例と他の記述から明白なように、以下の特定の化学剤が、アンカー表面処理成分、シラン表面「アンカー」として有効であることが判明した。、即ち、これらは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルジメチルエトキシシランである。
【0195】
以下の特定の代表的化学剤が、リンカー表面処理成分(「リンカー」)として有効であることが判明した。即ち、これらは、一般的には、エポキシ官能性長鎖高分子、特にビスフェノールA、さらに特には、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社(Resolution Performance Products)のエポン(Epon)828である。さらに、アドコテ(Adcote)89R3高分子として商業的に知られ、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)製のポリエステルシラン・タイプの高分子が、有効であると判明した。
【0196】
当業者に明白なように、ナイロンは、核酸検出検定に使用する目下好適な基材である。ナイロンが、ニトロセルロースよりも目下好適である理由は、高い固有正電荷を有することである。ナイロンは、ペプチド主鎖結合と明確な末端基化学性とを有し、ニトロセルロースが提供できない電荷相互作用を提供することが一般的に認められている。ニトロセルロースへの生体分子結合は、主に疎水的相互作用に依存している。ナイロンへの生体分子結合は、電荷の機能であると信じられている。さらに、ナイロンは、修正して荷電され得ることにより、核酸に対するナイロンの結合容量を増加する。また、ナイロンは、ニトロセルロースより格段に強固であり、容易には破断せず、再片化、再プローブが可能であり、ニトロセルロースのような極端な火災危険性もなく、多数回の厳格な水洗とハイブリダイゼイション条件に対して扱いやすい。
【0197】
本開示の表面処理剤を構成する化学薬剤のアンカーとリンカーの成分は、基材/膜結合構造体の総括厚さに不均一性を追加したかもしれないが、最小の識別可能な極限の厚さと重量を有する付着層を生成し、核酸又はタンパク質分析物の結合又は検出に関与しない。このことは、厚さの不均一性を排除することにより接着層の存在に由来する物理的妨害の可能性を排除すると共に、化学反応に関与する可能性のあった、添加物質の存在による化学的妨害の可能性を排除する。
【0198】
上述の具体例に照らすと共に本開示によれば、付着層を生成する表面処理剤の成分を含む種々の化学薬剤に対する以下の一般的記述が、特定の用途と本明細書に記載の特定の目的に有用な特定の化学薬剤に代表的であると信じられる。
【0199】
アンカー
本開示による目下好適な代表的実施例の有機シランは、以下の構造体である。
【0200】
1.SiR1X3
2.SiR1XA2
3.SiR1X2A
式中、R1は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々は、末端官能基R2を持ち、ここで、R2は、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキルヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、二置換アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミノ、置換スルフォンアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシである。
【0201】
R1の具体例は、3−アミノプロピル、3−アミノプロピルメチル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチル、アミノフェニル、4−アミノブチルジメチル、アミノエチルアミノメチルフェネチル、又はこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0202】
シランの具体例は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチルー3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、又はこれらの混合物を含む。また、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(−4−ビニルベンジル)エチレンジアミン、トリエトキシビニルシラン、トリエチルビニルシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリメチルシランである。
【0203】
Aは、任意のアルキル、エーテル、ハライド、R5−O−、及び/又はR6−O−であり、ここでR5及びR6は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロである。具体例は、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチルビニル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、メチルビニル、クロロ、エトキシビニル、ビニルトリクロロ、ビニルトリメトキシ、ビニルトリメチル、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0204】
Xは、ガラス表面に縮合重合できる加水分解性基であり、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、R5−O−、及び/又はR6−O−を含み、ここでR5及びR6は、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロ基である。
【0205】
リンカー分子
好適実施例での使用に適するリンカー分子は、ナイロンに結合できる官能基を有する、任意の架橋結合できる分子を含む。適切な分子は、ビスフェノール「A」、また、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、
イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレート、又はポリエステル(飽和及び不飽和)を含むがこれらに限定されない。
【0206】
適正リンカーの特定の具体例は、レゾルーション・パフォーマンス・プロヅクツ社から市販されるエポン(Epon)828(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)とローム・アンド・ハース社から市販されるアドコテ(Adcote)89R3、ポリエステルシランを含む。
【0207】
架橋剤
架橋用適正分子は、リンカーに結合できる、少なくとも2つの官能基を持つ任意の分子を含む。分子の非官能性鎖の長さ延在部(又は「主鎖」)は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、および類似分子のような重合することができるモノマー又はn−マーを含むことがある。さらに、架橋分子は、また、第2リンカーの機能を行うことにより、架橋剤が、意図するリンカー及びナイロンに結合することがある。
【0208】
さらなる「主鎖」は、目的リンカー分子と結合する反復官能基を含むことができる任意の脂肪族又は芳香族分子を含む。適正官能基は、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキル−ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシから選択される(が、これらに限定されない)。
【0209】
特定の具体例は、レゾルーション・パフォーマンス・プロヅクツ社から市販されるエピクレ(Epikure)3125、3115及びW50、及びテトラエチレンペンタアミン(ダウ社)のような市販される架橋剤を含む。
【0210】
本開示により可能な最も広い説明に教示するように、当業者が、容易に決定できることが明白でなければならないことは、異なる二官能性シランがガラス中に又は二官能性反応高分子がガラス(又は他の固体基材)中に如何にしてアンカーするのか、及び、結合可能な官能基を有する任意の多孔性基材に対して直接にまたは中間体を介して結合する他末端基を如何にして使用するのか、である。全てのそのような作用可能な結合は、当業者が不当に実験せずに同じことを完成するに十分に本開示により教示されたと信じられる。
【0211】
本開示について、アンカー及びリンカーとして、他の薬剤をもちいたときに同一のまたは同様の結果を立証するために実験が未だ行われていないけれども、本開示の他の化学薬剤が、同様の化学組成、両立性官能基、及び開示された化学薬剤の構造の故に、有用な目的のために複合体微小配列スライドをつくるための多数の表面処理剤の処理に有用であり得るということが目下信じられている。
【0212】
このようにして、上述から明らかでなければならないことは、本開示が、表面に生体高分子の配列を担持するに有用な改良複合体微小配列スライドを提供したことであり、さらに具体的には、転相方法により形成され表面処理剤を含む化学薬剤を介して共有結合又は水素結合により作用可能に基材に付着される多孔性膜を持つ改良複合体微小配列スライドを提供したことであり、表面処理剤が、表面処理剤から得られ中間に形成された付着層を介して微孔性膜に十分に結合するように基材を調製した結果、このようにしてつくられた結合体が、微小配列用途に有用であるということである。特に、本開示の改良複合体微小配列スライドは、多孔性媒体と基材を含み、種々の試験溶液、特に、例えば、4xSSCのようなハイブリダイゼイション溶液におけるナイロン−ガラス・スライドの残存性の主要な機能問題を克服する付着層を形成する結果となる化学薬剤を含む表面処理剤により結合される。さらに、許容可能な美的特性と均一性を維持するという問題であったが、溶媒抵抗性(例えば、DMF)が、また、克服された。さらに、顔料添加膜が、低い反射性と低い蛍光の結果を与えた。
【0213】
本明細書に含まれる物品をつくるための物品、装置及び方法が、本発明の好適実施例を構成するけれども、開示は、これらの正確な物品、装置及び方法に限定されず、変更が、付属の特許請求の範囲に規定される開示の範囲から逸脱しない範囲でなされ得ることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本開示に有用な代表的有機シランのグラフ図である。
【図2】ガラス表面に結合する代表的アミノシランの代表的グラフ図である。
【図3】代表的エポキシ基の代表的カルボキシル及びアミンとの結合の代表的グラフ図である。
【図4】代表的エポキシ・リンカーの代表的アミノシラネートされたスライドとの結合の代表的グラフ図である。
【図5】代表的エポキシ・リンカーの代表的ポリアミド架橋剤への結合の代表的グラフ図である。
【図6】代表的ナイロン膜の、代表的エポキシ・リンカーと代表的ポリアミド架橋剤とを用いる、ガラスへの結合の代表的グラフ図である。
【図7】代表的グリシドシランの代表的グラフ図である。
【図8】代表的グリシドシランによって、ガラスに共有結合された代表的ポリアミド架橋剤の代表的グラフ図である。
【図9A】上に列挙した代表的エポキシ化学剤を用いる、代表的スライドについて写された電子顕微鏡写真である。
【図9B】上に列挙した代表的エポキシ化学剤を用いる、代表的スライドについて写された電子顕微鏡写真である。
【図10A】本開示に有用な「アンカー」部分の代表的一般形態を示す。
【図10B】本開示に有用な「リンカー」分子の代表的一般形態を示す。
【図10C】本開示に有用な、代表的一般の「硬化用」分子、架橋剤、又は第2リンカーを示す。
【背景技術】
【0001】
関連出願
この出願は、2000年7月9日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の微孔性膜と固体支持体との改良結合体」と題する米国特許仮出願第60/216,390号、2001年7月3日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の微孔性膜と固体支持体との結合体」と題する米国特許出願第09/898,102号、2000年7月5日出願のアンドレオリ外(Andreoli et al)の「改良された非発光性基材」と題する米国特許仮出願第60/216,229号、2001年7月2日出願のアンドレオリ外(Andreoli et al)の「非発光性基材」と題する米国特許出願第09/897,333号、2000年8月10日出願のオストライシャ外(Ostreicher et al)の「微量分析診断用途用の改良された低蛍光性ナイロン/ガラス複合体」と題する米国特許仮出願第60/224,141号、2001年7月5日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の改良された低蛍光性ナイロン/ガラス複合体」と題する米国特許出願第09/898,102号の系属出願であり、各開示が、本明細書に、本開示と矛盾しない程度に参照により組入れている。
【0002】
発明の背景
本開示は、表面に生体高分子の微小配列を担持するに有用な、改良された複合体微小配列スライドに関し、さらに具体的には、つくられた結合体が微小配列用途に有用であるように微孔性膜に十分に結合した結果付着層が生じるように基材を調製する表面処理剤を形成する化学薬剤を介して結合することにより基材上に作用可能に付着され、転相法により形成された、多孔性膜を有する改良複合体微小配列スライドに関し、最も具体的には、つくられた結合体が微小配列用途に有用であるように、多孔性ナイロン膜が、例えば、ガラス又はマイラーの顕微鏡スライドのような固体基礎部材に共有結合により結合される改良複合体微小配列スライドに関し、且つ、そのような改良複合体微小配列スライドを製造する方法に関する。
【0003】
種々の方法が、核酸分子、タンパク質、又は酵素のような生体巨大分子と生体高分子の配列をつくるために目下利用される。DNAの規則配列を多孔性膜の上につくる方法1つのは、「ドット・ブロット」法である。この方法では、真空マニホールドが、3mm直径のウェルから多孔性膜へDNAの複数、例えば96個の水性試料を転移する。この手順の一般的な変形が、ウェルが高度に細長い楕円形を有する「スロット・ブロット」法である。
【0004】
DNAは、膜を焼くこと又は膜をUV照射に露出することにより多孔性膜上に固定される。これは、1度の1配列をつくる教則的手順慣行であり、通常、配列当たり96個の試料に限定される。「ドット・ブロット」手順は、それ故、非常に多くの試料を決定する用途には不適切である。
【0005】
ゲノムのフラグメント(例えば、PCR産物)の規則配列の作製に採用されるさらに効率的な技法は、多孔性膜のような基材に試料の配列を転移するために、ウェル、例えばミクロタイトレ板の96個のウェル中に浸漬されたピンの配列を使用する。1つの配列は、22×22cmの面積に9,216個のスポットの配列をつくるために、ジグザグ配置された形式で膜にスポットするように設定されるピンを含む(レーラ(Lehrach, et al.),1990)。この方法の限界は、各配列の各素子にスポットされるDNAの容量が大きく変動することである。加えて、各浸漬に関してつくられ得る配列の数が、通常、極めて小さい。
【0006】
核酸シーケンスの規則配列をつくる代わりの方法が、ピラング外(Pirrung, et al.)(1992年)とホド(Fodor, et al.)(1991年)外により述べられている。その方法は、支持体の異なる隔離領域で異なる核酸シーケンスを合成することを含む。この方法は、詳細な合成スキームを採用し、一般的には、例えば、20塩基より少ない比較的短い核酸試料に限られる。関連の方法が、サザーン外(Southern, et al.)(1992年)により述べられている。
【0007】
クラプコ(Khrapko, et al.)(1991年)外は、ポリアクリルアミドの薄層上にDNAをスポットすることによりオリゴヌクレオチド・マトリックスをつくる方法を述べている。スポットすることは、微量ピペットで教則的になされる。
【0008】
ロダ外(Roda, et al.)(2000年)は、市販のインク・ジェット・プリンターを用いて10−100スポット/cm2の密度でセルロス紙上に西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)の2次元配列をつくる方法を述べる。
【0009】
上述の先行技術に述べられた方法又は装置のいずれも、(i)50−200μm以下の間隔で分離される多数の微量サイズ配列領域、及び(ii)配列の各領域と協同する分析物の、典型的にはピコモルの範囲で、十分に規定される量を特徴とする微小配列の大量作製のためには設計されていない。
【0010】
さらに、現在の技術は、DNA分子の単独配列に対して1度に1つそのような検定を実施することに向けられる。例えば、多孔性膜上にスポットされる配列にDNAハイブリダイゼイションを行う最も一般的な方法は、プラスチックの袋に(マニアティス外(Maniatis, et al.)、1989年)、又は、封止された室内でラベルされたハイブリダイゼイション・プローブと共に回転ガラス・シリンダ(Robbin s Scientific)に、膜を封止すること含む。顕微鏡スライドのような、非多孔性表面上につくられる配列に関して、各配列は、カバーガラス下に封止されたラベル付きハイブリダイゼイション・プローブと共に培養される。これらの技法は、各配列に対して個別に封止された室を必要とする。このことにより、多くのそのような配列のスクリーニングと取扱いが不都合で時間集約的になる。
【0011】
アボウジド外(Abouzied, et al.)(1994年)は、抗体の水平線をニトロセルロース膜上に転写して疎水性物質の垂直な筋で膜の領域を分離する方法を述べる。各垂直な筋は、次に、異なる抗原と反応し、且つ、固定された抗体と、抗原の間の反応が、標準ELISA測色計技法を用いて検出される。アボウジド技法により、多くの1次元配列を同時にニトロセルロースの単独シート上でスクリーニングすることが可能になる。アボウジド技法により、PAPペンを用いて線を用いてニトロセルロースが幾分疎水性になる(リサーチ・プロダクツ・インターナショナル(Research Products International))。しかしながら、アボウジド技法は、ニトロセルロースの孔を完全に封止することができる技術を述べていない。ニトロセルロースの孔は、依然として物理的に開いており、従って、検定試薬が、長い高温培養の間に又は洗浄剤の存在下で疎水性バリヤーを通って漏れる可能性がある。これにより、アボウジド技法が、DNAハイブリダイゼイション検定に許容できなくなる。
【0012】
親水性/疎水性領域のプリントされたパターン付きの多孔性膜は、バクテリア・コロニーの規則配列のような用途のために存在する。キューエー・ライフ・サイエンス(QA Life Sciences)(カリフォルニア州、サン・ディエゴ)は、表面にプリントされた格子パターン付きのそのような膜を製造する。しかしながら、この膜は、アボウジド技法と同じ欠点を有する。試薬が、依然として、格子化された配列の間に流れて、試薬が個別のDNAハイブリダイゼイション検定に使用できなくなる可能性があるのである。
【0013】
ポール社(Pall Corporation)は、プレートの底部に熱封止された多孔フィルター付きの96−ウェル・プレートを製造する。これらのプレートは、交差汚染なしに各ウェルに異なる試薬を含むことができる。各ウェルは、1つの目的要素のみを保持するように意図される。さらに、96−ウェル・プレートは、1cmの厚さであり、膜が検出表面に対して平坦に置かれることを必要とする多くの色度、蛍光及び放射能の検出フォーマットに対する装置の使用を妨げる。
【0014】
さらに最近、ポール社は、「ビビッド(Vivid)」と称されるスライドに着手した。このスライドは、ナイロンをガラスに取付けるためにテープと積層された膜を使用する。代わりのプラットホームは、微小配列に適する疎水性表面をつくるためにオルガノシランで処理されるガラス・スライドを使用する。代わりのガラス・プラットホームの具体例は、GAPSスライド(コーニング社(Corning))、ネックステリオン(Nexterion)・スライド(ショット社(Schott Inc))、及びアレイット(ArrayIt)・スライド(テレケム・インターナショナル社(Telechem International))を含む。
【0015】
ハイセク社(Hyseq Corporation)は、ハイブリダイゼイション技法によるシーケンスと共に使用する非多孔性固体支持体上に「配列の配列」をつくる方法を述べた。ハイセク社により述べられた方法は、各細分化領域が、生体分子の微小配列を含む疎水性格子パターンを形成するために、固体支持体物質の化学剤を変性することを含む。ハイセク社の平坦な疎水性パターンは、交差汚染防止する付加手段として、物理的閉鎖を使用しない。
【0016】
いくつかの特許は、微小配列用途における微小配列スライドの使用を記述している。これらには、「未変性核酸のシラン処理固体相表面への付着」という名称の米国特許第5,919,626号明細書、「核酸ハイブリダイゼイション検定用固体支持体」という名称の米国特許第5,667,976号明細書、及び「DNAのガラス基材へのアミノシラン/カーボジイミド・カップリング」という名称の米国特許第5,760,130号明細書が含まれ、各特許の開示事項は、本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組入れられている。
【0017】
微小配列スライドは、当該技術に良く知られている。シュライシャーとシュエル(Schleicher & Schuel)は、彼らの市販のキャスト(CAST)(登録商標)・スライドにグルー又は同様の接着剤を用いてナイロン膜をガラス・スライドに付着させようとしようとした。しかしながら、グルー又は接着剤の層が、増加量の追加の、変動する厚さをナイロン膜/ガラス・スライド結合体に加えた。グルー/接着剤処理工程は、スクリム補強ナイロン膜の使用を要することがある。グルー/接着剤と補強用スクリムにより引起される追加の変動厚さの増加量が、ナイロン膜/ガラス・スライド結合体の願望されない、特別な総括厚さの結果になり、微小配列用途に不利である。さらに、スクリムは、ナイロン膜/ガラス・スライド結合体の膜の表面を、非平坦であると共に美的透視図から理想的でないようにする。なお又、ナイロン膜をガラス・スライドへの付着に使用するグルーまたは接着剤の化学剤は、結合体を有効にするに必ずしも最適ではなく、又は、それは、産物が受けようとする生体分子、分析物、溶媒又は緩衝剤系と必ずしも両立しない。それが、結合抑制すること又は溶媒と緩衝剤に溶解することにより、分析物を妨害する、又は分析物と反応する、又は一体性を失うことがあるからである。
【0018】
同様に、目下市販されている他の製品に含まれるものは、膜を使用せずに核酸又はタンパク質を結合する修正ガラス;例えば、CMT−GAPS(登録商標)被覆スライドのようなコーニング(Corning)GAPSスライド;FAST(登録商標)スライドとしてシュライシャー&シュエル社(Schleicher & Schuell)から入手できる、ガラス上にキャスト(流延)されたニトロセルロース多孔性膜;シュライシャー&シュエル社のCAST(登録商標)スライドのような、ガラス基材にグルーで付着された又は接着剤で付着されたスクリム補強ナイロン;ビビッド(Vivid)(登録商標)スライドのようなポール(Pall)社から入手できる、ガラス基材にテープ止めされた非補強ナイロン膜である。これらの市販製品の詳細な記述は、それぞれの製造業者から容易に入手可能であり、当該技術に知られる。
【0019】
しかしながら、微小配列用途では、核酸又はタンパク質を直接ガラス基材に結合することは、多少の欠点を有する。特に、匹敵する大きさの微孔性膜/ガラス・スライド結合体よりも、核酸又はタンパク質を結合する著しく小さな面積が、使用可能である。結合する表面積が大きければ大きいほど、生体分子又は分析物のシグナル強さが、より良好になることにより、生体分子又は分析物のより少ない試料の検出が可能になる。また、微孔性膜/ガラス・スライド結合体の多孔性部分が、生体分子又は分析物を自然に吸着し、それらを微孔性膜/ガラス・スライド結合体上の適切な位置に保持する。一方、スライドの微孔性膜部分なしでは、生体分子又は分析物は、ガラス表面の頂部に置かれるだけであろう。これは、生体分子又は分析物の吸着が起きないからである。ガラス上への生体分子の固定の効率は、また、ナイロン上への目的物の固定に比較して、実質的に100%よりも少なく、50%より少ないこともあるようである。このことが重要になるのは、引続く検出工程が、ラベルしたプローブで(DNA検出具体例にて)ハイブリダイゼイションに利用する、可能な限り多くの分析物又は目的生体分子を必要とする場合である。
【0020】
固定に引続いて、ブロッキング、洗浄、ハイブリダイゼイション緩衝液露出等の、典型的にいくつかの液体浸漬工程が存在する。各工程は、分析物をガラス表面から取除き、シグナルの潜在する強さを厳守する可能性を有する。
【0021】
ナイロンは、一般的に、市販の高分子又は薬品処理された基材に比較して、最も高い生体分子結合効率を有すると見なされる。ナイロンは、又、このようにナイロン表面に結合される分析物の官能基の最も高いアクセシビリティを与えると見なされる。
【0022】
ナイロン膜、転相法で形成される特定の種類の微孔性膜は、ナイロンが本来親水性である点で、ニトロセルロース膜よりも優れるいくつかの利点を有する。ナイロン膜は、また、ニトロセルロースよりも大きなタンパク質とDNA結合容量を有する。この大きな結合容量は、検定におけるより良いシグナル強さとより低い検出限界を意味する。
【0023】
ナイロン膜の孔構造は、ニトロセルロース膜孔構造よりも容易に制御可能であり、ニトロセルロース膜よりも物理的に強靭である。ニトロセルロース膜は、ナイロン膜と比較して、より脆く、より大きな孔変動性を持ち、極めて可燃性である。ニトロセルロース膜の物理的脆弱性、変動性及び可燃性は、協同して、ニトロセルロース膜の作製をナイロン膜よりもさらに高価にする。
【0024】
上述のように、ガラス基材に対してグルーにより、テープにより、又は他の非共有結合で接着されたスクリム補強ナイロンには、少なくとも3つの主要な欠点が存在する。第一に、結合体であるスクリム補強ナイロン/ガラス・スライドに対してグルー、テープ又は接着剤の層が望ましくない変動性厚さを増加する。ナイロン膜にブロットする配列ロボットは、狭い空間許容性を有し、任意の大きな変動性厚さは、配列ロボットに対する結合体であるスクリム補強ナイロン/ガラス・スライドの正確な位置決めに関して付加的不確実性を表す。同一の大きな変動性厚さ問題は、顕微鏡検出光学の焦点面と正確性に影響を及ぼすことがある。顕微鏡は、微小配列スライドの表面の読み取りに典型的に使用される。
【0025】
第二の欠点は、結合体であるスクリム補強ナイロン/ガラス・スライド上のスクリム補強膜が、微小な大きさで不規則な表面を有することである。これは、エンド・ユーザーの観点から重要な美的問題であるが、膜上のスポットの大きさが似た大きさであるためである。
【0026】
第三に、グルー/接着剤と分析物は、両立しないことがある。具体的には、付着のために官能基化された部分の過剰分を含む接着剤は、(DNA具体例にて)ハイブリダイゼイションを妨害する分子に結合することによって、又は、付着が永久的であるように分析物の逆に結合することによって、分析物を検出には利用できないように無差別に分析物を結合する可能性があり、且つ分析物は、検出に先立ち液体浸漬にて抜け落ちる。最後に、接着剤自身は、検出に至る多段工程で分解して、抽出又他の手段で、移動する種になる可能性がある。接着剤フラグメントは、分析物の結合された場合、検出位置を越えた位置または領域に置き換えられる、又は自体が、実施される検出操作の種類によっては、誤差バックグラウンド・シグナルになることがある。
【0027】
これらの種類の微小配列スライドでは、平坦で、均質且つ薄いナイロン微孔性層を有することが望ましい。電化修正スライドの場合、電化修正の程度は、全スライド表面に渡り均一でなければならない。使用環境では、本開示に記述される革新的スライドにつき想像されるように、ナイロンと例えばガラス又はマイラー・シートのような基礎材料との間の結合は、水、水酸化ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、高温度、他の厳しい化学薬品及び長時間の条件に耐えなければならない。ナイロン膜が湿潤時には、ナイロン膜とガラス基材との間に発生する高空気圧の故に、それらの間の結合は、また、物理的に強くなければならない。
【0028】
現在では、機能化されたガラス製顕微鏡スライドは、微小配列に対し選択できる支持体である。この物品の制約は、表面の壊れやすさ、均一でないこと、分析物に対する低い表面容量、及び、スポット・サイズ、密度、及び定量分析に関する制約を含む。大部分のガラス・スライドは、大部分が平坦なガラス表面の低い容量の故に、ハイブリダイゼイション事象の存在または不存在に関する好都合及び不都合な情報を提供する。上述の先行技術のガラス製顕微鏡スライドは、微小配列表面上にスポットされるオリゴヌクレオチド・プローブに対する強い結合、高い容量及び小さなスポット・フットプリントを与えることができないようである。それは、プローブが、次に、純粋でラベルされた遺伝子フラグメントまたはcDNAの目的試料でハイブリダイゼイション事象にアクセス可能でなければならないからである。
【0029】
平坦で平滑なガラスまたはプラスチックの基材(具体例はガラス製顕微鏡スライドである。)のナイロン微孔性膜へ結合された複合体である改良物品は、本開示で上述した関連特許出願に既に記述されている。これらの特許出願では、付着の主要形式は、共有化学結合であり、第2の形式は、化学的樹脂硬化に支援される物理的表面連結である。これらの特許出願に記述された1つの実施例では、表面部分は、例えばアミノシランのような「アンカー」として化学薬剤を用いて(ガラスまたはプラスチックの)基材表面の化学処理により基材上に与えられる。ナイロン膜は、自己の機能的表面を提供する。ナイロンの末端官能基(アミンまたはカルボキシル)が、結合にも利用されるのである。処理された基材表面とナイロン上の末端官能基との間に、例えば二官能性エポキシ・ポリマーのような「リンカー」部分が、導入される。前述の特許出願の潜在的制約は、過酷な化学的環境化での複合体結合の残存と、そのような機能化されたガラス製顕微鏡スライドの製造に要する多工程化学処理とを含む。
【0030】
このようにして、微量分析診断用途に役立つ比較的平坦で均一で且つ薄い複合体微小配列スライドに対する継続しているニーズが存在する。そのような複合体微小配列スライド構造体は、本来的に親水性であるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、容易に制御される性質を有するべきである。そのような複合体微小配列スライドは、先行技術のニトロセルロース膜スライドよりも物理的により強靭であるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、比較的容易で安価に製造されるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、膜/基材結合体に望ましくない厚さを加える、膜と固体基材間の如何なる付着層をも少なくとも最小にするべきである。そのような複合体微小配列スライドは、最小の厚さ又は重量を有する付着層となるアンカー/リンカー部分を含む化学薬剤を含むべきである。ここで、付着層は、転相方法により形成され微小配列用途に有用な多孔性膜を有する複合体微小配列スライドにより、除去されない場合、生体高分子の結合又は検出において(即ち分析物は核酸又はタンパク質を含むがこれらに限定されない。)付着層の関与を少なくとも最小にする。そのような複合体微小配列スライドは、転相方法により形成され微小配列用途に有用な多孔性膜を含むことができる。ここで、多孔性膜は、アンカー/リンカー部分を含み多孔性膜を固体基材に接続する付着層の形成に至る化学薬剤を含み、固体基材は、分析物の検出に使用する多孔性膜部分に固体基材部を接続するために使用するアンカー/リンカー部分を含む化学薬剤の妨害を最小にする。そのような複合体微小配列スライドは、転相方法により形成され微小配列用途に有用な多孔性膜を含むべきである。ここで、多孔性膜は、アンカー/リンカー部分を含み、除去されない場合、基材/膜複合構造体の総括厚さの許容できない不均一性を少なくとも十分に低減する付着層となる化学薬剤を含む。そのような複合体微小配列スライドは、微小スケールで十分に規則的な表面を有するべきである。そのような複合体微小配列スライドは、標準処理ガラス・スライドに比べて、より強い結合と、より高い容量と、微小配列表面にスポットされるオリゴヌクレオチド・プローブに対するより小さいスポット・フットプリントとを与えるべきである。そのような複合体微小配列スライドは、アンカー/リンカー部分を含み付着層となる化学薬剤と分析物との両立性問題を取除くべきである。
【発明の開示】
【0031】
開示の概要
本開示の微小配列分析用改良複合体微小配列スライドは、比較的均一で平滑な表面を有する、分析及び診断用途用多孔性媒体を含む。この表面は、改良アンカー/リンカー部分を含み、基材と多孔性媒体の間に形成される平坦で均一で比較的薄い付着層になる表面処理剤を含む化学薬剤を用いて基材又は基礎部材に実質的に結合される。例えば微孔性膜のような多孔性媒体は、遺伝子配列の分子生体検定に用いる微小配列プラットホームのような微量分析検定に有用な特性を有する。基材は、剛性と強さを与える一方、アンカー/リンカー部分を含み付着層になる改良化学薬剤は、強く、化学的に抵抗性があり、多孔性媒体の基材への実質的に永久の(検定と使用に対して相対的に)物理的付着を与える。
【0032】
本開示の目的は、転相方法により形成される多孔性膜と、アンカー/リンカー部分を含み、多孔性膜を固体基材に作用可能に結合する付着層になる化学薬剤とを有する複合体微小配列スライドを提供することである。その結果、そのようにつくられた結合体が微小配列用途に有用である。
【0033】
本発明の別の目的は、転相方法により形成された多孔性膜を有し、最小限度の厚さ又は重量を持ち複合体微小配列スライドの総括厚さに均一性を与える付着層になる化学薬剤を含む複合体微小配列スライドを提供することである。
【0034】
本開示のさらなる目的は、転相方法により形成され、アンカー/リンカー部分を含む化学薬品を含み、核酸又はタンパク質の分析物の結合又は分析において化学薬品の妨害を最小にする、付着層になる複合体微小配列スライドを提供することである。
【0035】
本開示のさらなる目的は、転相方法により形成された多孔性膜を有し、微小配列用途に有用な複合体微小配列スライドを提供することである。ここで、多孔性膜は、アンカー/リンカー部分を含み、分析物の検出に関し固体基材部分を多孔性膜部分に作用可能に結合するために使用する化学薬品の妨害を最小にする付着層になる化学薬品を含む。その結果として、このようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0036】
本開示のさらなる別の目的は、転相方法により形成された多孔性膜と、基材を微孔性膜に十分に結合するためのアンカー/リンカー部分を含み付着層になる化学薬品とを有する結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である、複合体微小配列スライドの作製方法を提供することである。
【0037】
本開示のさらなる目的は、カーボン・ブラックのような顔料を含み、転相方法により形成された多孔性膜を有する、複合体微小配列スライドを提供することである。ここで、そのような顔料配合膜は、複合体微小配列スライドの蛍光を減少すべきであり、その結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0038】
本開示のさらに別の目的は、カーボン・ブラックのような顔料を含み、転相方法により形成された多孔性膜を有する、複合体微小配列スライドを提供することである。ここで、そのような顔料配合膜は、複合体微小配列スライドの反射を減少すべきであり、その結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0039】
本開示のさらなる別の目的は、転相方法により形成され微小配列用途に有用で、アンカー/リンカー部分を含み、除去しない場合、接続剤として制限される厚さ又は重量を有する第3の構成要素の使用と協同する、基材/膜結合構造体の総括厚さの不均一性を低減する、付着層になる化学薬品を含む複合体微小配列スライドを提供することである。その結果、そのようにつくられた結合体が、微小配列用途に有用である。
【0040】
本開示の複合体微小配列スライドの他の利点は、補強層の不存在を含むが、これに限定されない。補強層は、平坦性と美的特性に実質的な不均一性を追加することが見出された。ガラスの全体表面は、「膜切取り片」ではなく、膜によって覆うことができる(膜の切取り片は、ガラスの一部のみを覆う膜である。)。膜と基材間に形成される付着層になる表面処理剤に関する化学剤は、2001年6月4日出願の核酸結合マトリックスに関する米国特許出願第09/873,67号明細書に開示されるように、例えば、カーボン・ブラック充填ナイロン、又はエクストラ・バインド(Xtra bind)(登録商標)ナイロンのような新膜タイプと共に首尾よく使用されることがある。この開示事項は、本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組入れている。
【0041】
これらの及びさらなる目的に従えば、本開示の1つの局面は、以下を含む生体高分子の微小配列の実施に有用な複合体微小配列スライドを含む。即ち、転相方法により形成された微孔性膜と、非多孔性基材と、付着層とである。付着層は、少なくとも1つのアンカーと少なくとも1つのリンカーとを含み、付着層は、微孔性膜と非多孔性基材との間に作用可能に配置され、付着層は、非多孔性基材を微孔性膜に十分に結合し、その結果、結合体である複合体微小配列スライドが、微小配列用途に有用である。
【0042】
本開示の別の局面は、以下の工程を含む生体高分子の微小配列の実施に使用する複合体微小配列スライドを作製する方法を含む。即ち、非多孔性基材を準備する工程と;転相方法により形成された微孔性膜を準備する工程と;表面処理剤を準備する工程と、ここで表面処理剤が有機シランを含み;表面処理剤を非多孔性基材に付与する工程と;付着相を形成するために、付与された表面処理剤を有する非多孔性基材を微孔性膜と作用可能に統合させる工程と;を含み、その結果、非多孔性基材が、微孔性膜に十分に結合して、微小配列用途で遭遇する挑戦的環境に耐えるのである。
【0043】
本開示のさらに別の局面は、膜が大きな正電荷を含むように微孔膜の後処理を含むことがある。そのような処理は、主として負に荷電される生体高分子を保留する微孔膜能力の増大に有用である。
【0044】
開示の他の目的と利点は、以下の記述、添付の図面及び付属の特許請求の範囲から明らかである。
【0045】
代表的実施例の詳細な説明
別に指示がなければ、次に規定する用語は、以下の意味を有する。
【0046】
「分析物」又は「分析物分子」は、その存在、量及び/又は同一性が決定されようとしている、分子、典型的には、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、cDNA、mRNA、PNA、LNAを含むがこれらに限定されない。)又はポリペプチド、又はペプチドのような生体巨大分子を称する。分析物は、リガンド/アンチリガンド対の一員である。あるいは、分析物は、相補的なハイブリダイゼイション事象の一員であることがある。
【0047】
「分析物特異性検定試薬」は、分析物分子に特異的に結合するに有効な分子を称する。この試薬は、リガンド/アンチリガンド結合対の他方の一員である。
【0048】
「固体支持体上の領域の配列」は、好ましくは隔離領域の、一次元の又は二次元の配列であり、各々が、有限の面積を有し、固体支持体の表面に形成される。
【0049】
「微小配列」は、少なくとも約100/cm2、好ましくは少なくとも約1000/cm2の隔離領域の密度を有する、領域の配列である。微小配列における領域は、例えば、約10〜250μmの間の範囲の直径のような、典型的な寸法を有し、およそ同じ間隔で配列の他の領域から分離されている。
【0050】
「転相方法」は、「転相膜」をつくるための、その変形形態を含む多孔膜製造技法の既知技術を包含することを意味する。「転相膜」により、「転相ドープ」から高分子構造体のゲル化又は沈積により形成される多孔性膜を意味する。「転相ドープ」は、連続相内に分散する1つ以上の非溶媒の隔離相と共存する、良溶媒中における溶解高分子の連続相からなる。一般的に認められる産業慣行によれば、高分子膜構造体の形成は、一般的に、高分子の沈積と隔離体(非溶媒相)の連続的相互接続構造体への転換を有効に行うための、管理される条件下でドープの薄層を流延して急冷却する工程を含む。1つの方法の説明では、非溶媒(「孔形成体」と称されることもある。)の隔離相から相互接続孔の連続体へのこの転換は、一般的に、「転相」として知られる。そのような膜は、当該技術に広く知られる。場合よっては、そのような膜と方法は、3つの主要成分である、高分子、溶媒及び非溶媒の用語におけるドープの組成を記述する能力に特に参照して、「三次元転相」の膜と方法と呼ばれる。3つの主要成分の存在は、「三次元」系を構成する。この系の変形は、液体転相、蒸発転相、熱転相(ここでは、溶解は、流延と急冷却に先立ち、高い温度で行われ維持される。)又はその他を含む。
【0051】
用語「シラネーション」は、ガラス又は他の表面に対して、有機シランの加水分解性官能基により有機シランをグラフトする又はカップリングする工程を称する。
【0052】
本明細書で使用の「アンカー」は、加水分解性基を含む有機シランを含む分子を記述する。加水分解性基は、ガラス又は他の表面に結合することができる。当業者が理解するように、アミン系、エポキシ系、グリシド系、イソシアネート系、ビニル系、及びその他を含むがこれらに限定されない、リンカー分子の末端基と反応することができる有機シランの少なくとも1つの他の基が存在する。
【0053】
用語「リンカー基」又は「リンカー分子」は、2つの他の分子の間のコネクターとして役立つ有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、芳香族、直鎖アルキル、又はこれらの任意の結合体を含む主鎖と、窒素、酸素又は硫黄、−NH−、−CH2−、−C(O)−、−C(O)NH−のようなユニット、又はアンカーの両立性末端基と結合することができるアルキリジン鎖のような原子の鎖、のような原子/官能基を含む主鎖両側末端基と、ナイロン膜の末端基と結合することができるリンカーの他の末端基と、から構成される。アンカー及びナイロン膜にそれぞれ結合するリンカーの末端基は、同一である又は異なることが可能である。
【0054】
「化学薬剤」は、直鎖及び/又は分岐鎖のアルキル基、アリル基、アラルキル基、置換アリル基、置換及び/又は非置換シクロアルキル基、及びヘテロサイクリック基、及び有機シランを含む群から選択される任意の分子である。
【0055】
用語「層剥離」又は「層剥離する」は、固体基材からの膜の分離を称する。
【0056】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好適には1〜7個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖非置換炭化水素基を称する。表現「低級アルキル」は、1〜4個の炭素原子の非置換アルキル基を称する。
【0057】
用語「アリル」は、置換されることがある、フェニル、ナフチル、ビフェニル、及びジフェニル基のような6〜12個の炭素原子を環状部に有する単環式又は二環式芳香族炭化水素基を称する。
【0058】
用語「アラルキル」は、ベンジル基のような、アルキル基によって直接結合されるアリル基を称する。
【0059】
用語「置換アリル」は、例えば、アルキル、置換アルキル、フェニル、置換フェニル、ヘテロシクロ、ハロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキロキシ、ヘテロシクロキシ、アルカノイル、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、ウレイド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアリル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、スルフォアミノ、アリロキシのような1〜4個の置換基により置換されたアリル基を称する。置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリル、置換アリル、置換アルキル又はアラルキルでさらに置換されることがある。
【0060】
用語「シクロアルキル」は、好適には不飽和の炭素数3〜7個の炭素環式環と縮合することがある1〜3個の環と環当たり3〜7個の炭素とを含む、任意に置換された飽和環式炭化水素環系を称する。代表的な基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、及びアダマンチルを含む。代表的置換基は、上述の1つ以上のアルキル基、又は上述のアルキル置換基のような1つ以上の基である。
【0061】
用語「ヘテロサイクル(複素環式)」「ヘテロサイクリック」及び「ヘテロシクロ」は、任意に置換され、十分に飽和された又は不飽和の芳香族の又は非芳香族のサイクリック基であり、例えば、4〜7員の単環式、7〜11員の二環式、又は、10〜15員の三環式系であり、これらは、少なくとも1つの炭素原子を環に少なくとも1つのヘテロ原子(複素原子)を有する。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含むことがある。ここで、窒素と硫黄の複素原子は、任意に酸化されることがあり、窒素ヘテロ原子は、任意に4級化されることもある。ヘテロサイクリック基は、任意のヘテロ原子又は炭素原子で取付けられることがある。
【0062】
代表的置換基は、上述の1つ以上のあるキル基、又は、アルキル置換基として先に述べた1つ以上の基を含む。また、含まれるものには、エポキシド及びアジリジンのような小さなヘテロシクロがある。
【0063】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄及び窒素を含む。
【0064】
用語「均一な」は、表面処理剤の付与後に、付着層表面の規則性が、基材の頂面上で最小の偏差になるような、非多孔性基材上の付着層の規則的分布を称する。均一な厚さも、非多孔性基材の全長に渡るそのような規則的分布を称する。
【0065】
複合体微小配列スライドは、固体裏打ち、典型的にはガラス製顕微鏡スライドに結合された多孔性ナイロン又は他の高分子膜を含む。微小配列スライドは、遺伝子のシーケンシング及び発現分析の用途に使用され、そこでは、数千のハイブリダイゼイション検定が1枚の微小配列スライド上で行われる。
【0066】
転相方法により形成された微孔性ナイロン膜が、流延後に未だ湿潤しているとき、ナイロン膜は、乾燥後よりも大きな厚さを有する。膜が、表面全体に伸張され次に乾燥される場合、ナイロン膜は、厚さ方向に縮む。ナイロン膜は、また、それが接触する表面に強固に結合する。ナイロン膜が、一旦乾燥されてから再湿潤される場合、ナイロン膜は、上述の結合性を発揮しない。さらに重要なことは、一旦ナイロン膜が、表面に強固に結合された後に湿潤されると、ナイロン膜は、結合性を失う。
【0067】
ナイロン膜の上記の性質を前提にすると、実際に経験された種々の既知の苛酷な条件に曝露された後に、ナイロン膜と基材の間の結合が完全なままであるように、ナイロン膜を基材に付着させる機構を見出すことが決定される。例えば、実際の商業用途を考慮すると、ナイロン/固体複合スライドは、4x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)に60℃で少なくとも15時間の浸漬に耐えなければならない。
【0068】
2001年7月3日出願のアミン外(Amin et al)の「微量分析診断用途用の微孔性膜と固体支持体との結合体」という名称の米国特許出願第09/898,102号明細書は、微小配列用途と得られる複合スライドとのために、ナイロン膜を基材に結合する系の開示を詳述している。典型的な基材は、代わりのプラスチック基材の具体例もあったけれども、この出願に記述するように、ガラス製顕微鏡スライドであった。
【0069】
アミン外の特許出願の代表的実施例では、表面部分が、例えばアミノシランのような化学的「アンカー」を用いる、平滑で平坦なガラス基材表面の処理によって基材上に備えられた。リンカー分子が、リンカー分子の一端がアンカー分子に結合すると共にリンカー分子の他端がナイロン膜に結合するように、導入された。ナイロンの末端官能基(アミノ又はカルボキシル)結合に有用であるので、ナイロン膜は、自己の官能性表面を備える。処理された基材表面とナイロン膜上の末端官能基との間に、レジカート(Resicart)E第4アミンエピクロロヒドリン高分子が、リンカー分子として導入された。ナイロンが依然として湿潤し膨潤している間に、ナイロンをリンカー分子に接触させた。硬化と共のナイロンの抑制した(XとY方向に)乾燥と縮小(Z方向)、「リンカー」によるナイロンの化学的付着と結合形成は、実質的に同時であると信じられた。得られたものは、微小配列検定に提出される、最小結合層と官能性ナイロン表面とを有する平坦で、均一で、美的に許容できるナイロン−ガラス複合体であった。個のナイロン−ガラス複合体は、良好な一般的結合強さを示し、ある条件下で、革新的化学発光検出系に対する原理証明を示すために使用された。
【0070】
折悪しく、スライドが、4xSSCに60℃で2時間以上浸漬されたときに、ナイロンとガラス化の結合強さについて、問題が発見された。2時間以上浸漬された後に、ナイロンが、ガラスから分離又は剥離した。これは、中間の結合層の分解を示している。この問題を解決する又は軽減するために、上記の化学剤又は更なる好適な結合化学剤の再最適化が、開発される必要があった。
【0071】
上述のように、解決すべき新しい問題は、4xSSCに60℃で約2時間浸漬後の微孔性膜とガラス・スライド間の結合の破壊であった。他の設計基準の全てが、参照により組入れられた関連特許出願から提供されたスライドを用いて遭遇したようであったので、上述の問題を解決するための努力において、成功する方法の変形を試行することが決定された。この観点において、ガラス/アンカー/リンカー部分を使用するコンセプトがさらに開発された。
【0072】
参照により組入れている特許出願に使用されるオリジナル・アンカー部分は、トリエトキシシラン・フットプリントと、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシランのような末端のアミン官能性を持つn−アルカン・スペーサー・アームと、適切な担体溶媒系と、ガラスへ付着する簡単な方法とを含んだ。本開示の新規で改良された複合体微小配列スライドでは、オリジナルのアミン官能性は、残っているが、例えば、3−アミノプロピルジメチルエトキシシランのような異なる反応部分が、より均一な表面分布のために、ガラスに付着する。先のアンカー部分、3−アミノプロピルトリエトキシシランは、目下好適な代表的実施例において依然として官能性である。
【0073】
オリジナルのリンカー化学剤、例えば、レジカートE(チバ−ガイギ社)のような第4級アミンエポキシ湿潤強さ向上樹脂(ポリアミノポリエピクロロヒドリン樹脂)とは対照的に、本開示の改良複合スライドは、当業者に知られるように、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのようなn−グリシジルエーテルと、例えばグルタルアルデヒドのようなアルデヒドと、アクリリックと、ポリエステルシランと、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのようなエポキシと、その他を含む。
【0074】
アミン外の特許出願の図6と図8に示されるように、有機シランは、リンカー分子に連結される「アンカー」として特徴付けられた化学薬剤であり、リンカー分子は、更なる任意のリンカー分子の結合を与えるポリアミン架橋剤に任意に結合される。末端のリンカーは、ナイロンに共有結合するようである。アドコテ(Adcote)89R3(具体例3)の場合、結合が、確認されていないけれども、水素結合により起きるようである。このようにして、ナイロンへの結合は、水素結合、ファン・デア・ワールス結合、又は好適には共有結合である可能性がある。
【0075】
強固な性能を送達するが、参照により組入れている上述の特許出願では調査されなかった、いくつかの代わりのリンカー化学剤(及び、アンカー、リンカー、及び任意の架橋剤部分の結合体)が、存在することが信じられている。更なる実験により、適切な製剤と付与条件が、上述の条件下で失敗から集積されたように、多孔性膜と固体基材の間の優れた結合強さを送達することを見出す可能性があることが信じられる。その結果、本開示の複合体微小配列スライドは、4x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)に60℃で少なくと15時間の浸漬に耐える。
【0076】
オリジナルの架橋剤化学剤に関し、適正な溶媒と、例えば、改良された架橋剤のテトラエチレンペンタアミン(TEPA)のようなポリアミンとを用いて、不溶性固定結合を与えるオリジナルの架橋剤は、例えば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社(Resolution Performance Products)(テキサス州、ヒューストン)から入手するエピクレ(Epikure)3125、エピクレ3115、又はエピクレ8535−W50のような適正な「硬化剤」処方を使用する。
【0077】
本開示の提案される複合体微小配列スライドは、前述の特許出願に記載されるように、レジカートE系に等価の美的性質を提供する、しかし、SSCとDMFのような有機溶媒とにおける改良された結合残存性のために代わりにリンカーを使用する。本開示は、結合体のスクリム補強ナイロン/ガラス・スライドに変動する厚さを加える、他のタイプの接着層の技術における課題に向けられる。本開示の付着層は、本明細書に記述されたアンカーとリンカーを含み、膜をスライドに付着する、平坦で均一で比較的薄い表面を備える。そのような付着層の均一性により、膜の頂面における最小の偏差が得られる。
【0078】
以下は、本開示のそのような代表的改良修正された複合体微小配列スライドの概略の記述であり、以下に一般的な記述により記載される。
【0079】
第一に、ガラス・スライドが、選択され、当業者に理解される任意の適正手段で清浄にされる。正常化に引続き、アンカー機能を行う化学薬剤が、ガラス・スライドに付与され、任意の過剰な物質又は薬剤を除去するために洗われ、且つ常温硬化、高温硬化、又は、当業者に理解されるこれらの任意の組み合わせにより硬化される。アンカーとして機能する1つの適切な化学薬品は、3−アミノプロピルトリエトキシシランである。過剰の物質/薬剤が除去され、残部がガラス・スライド上で硬化されてから、リンカー機能を行う適正化学薬剤の溶液が、以下のように準備される。
【0080】
本開示の新しく改良された系で使用され、リンカーとして機能する目下好適な1つの化学薬剤は、エポン(Epon)828として商業的に知られるビスフェノールAタイプのエポキシである。
【0081】
硬化を有効にするために、任意の数の硬化剤が使用されることがあるが、この点では、ポリアミド・ベースの硬化剤、特にエピクレ3115の使用が、目下好適である。2つの成分が、当業者に理解される任意の適正手段を用いて、混合される。最後に、適正エポキシ官能性シランが、化学薬剤の上述の混合物に加えられることがある。1つのそのような目下好適なエポキシ官能性シランは、3−グリシドプロピルトリメトキシシランである。一旦混合されると、全ての3つの化学成分は、ガラス・スライドに付与するために、例えば、キシレンのような適正溶媒に溶解される。エポキシ混合物の薄層が、次に、スピン塗工によりガラス・スライドに付与される。ナイロン微孔膜が、次に、当業者に理解されるように、処理されたガラス・スライドに対して作用可能に配置され、x−方向とy−方向に抑制され、次にオーブン硬化される。
【0082】
理論に拘束されることを望まないけれども、図3に示すように、アミノシランが、ガラスと反応すると目下信じられている。救核性アミンが、エポキシキと反応すると、当業者に広く知られている。それ故、「アンカー」のアミノシランが、図4に示すように、ビスフェノールAのエポキシド環を開いて、共役反応生成物を形成するであろう。ビスフェノールA分子の反対方向の端部が、次に、ポリアミド硬化剤の遊離アミンと反応して、図5に示す構造体を形成するであろう。一旦、ナイロン膜が、ガラス上に置かれると、ナイロンのアミン基が、ビスフェノールAの末端エポキシ基と反応して、図6に示す完全構造体を形成すると信じられている。
【0083】
図7は、典型的なグリシドシランを示す。遊離グリシドシランは、図8に示すように、溶液で硬化剤と反応して、次に、ガラス上に残存する任意の非シラネート・サイトに結合するであろうことが信じられている。混合物におけるエポキシ、アミン及びシランの比を均衡することは、微妙であり、形成される複合付着層の究極の結合強さに影響すると信じられている。グリシドシランは、任意成分であると目下信じられていることに注目すべきである。十分な結合強さが、グリシドシランを含む又は含まない製剤において示し得ると目下信じられている。グリシドシランを使用する1つの別の利点は、アンカーに適用するに先立つリンカー化学剤の作用時間における明らかな改良である。
【0084】
図9Aと図9Bは、上述の化学剤を用いてつくられた典型的なスライドの電子顕微鏡写真(SEM)である。2つの他の構成要素、ガラスと微孔性膜間の接着層の厚さが、約1−2μmに過ぎず、大部分の市販の接着剤に通常要する約10μmより十分に低いことに注目するべきである。図9Aと図9Bは、薄くて、均一な付着層が、例え有るにしても、膜の頂表面に最小の偏差を加えることを示す。これは、グルーのような別の接着層により提供される変動性厚さよりも優れる利点である。
【0085】
図10Aは、本開示に用いる「アンカー」部分の一般的形を示す。この特定の表示は、ガラス表面上に官能基により結合するように設計される任意の鎖長の有機シランである。シランは、ガラスに結合する1つのエポキシ基を含むことがある(この場合、基X1とX2が、通常1−2個の炭素の長さの通常アルカンである。)、又は、位置X1とX2にそれ以上のエポキシ基を有することがある。R1は、次の工程でR2で「リンカー」と結合する一連の官能基から選択される。これらの化学薬剤は、当業者が理解する、アミン系、エポキシ系、グリシド系、イソシアネート系、ビニル系、及びその他の基を含むがこれらに限定されない。
【0086】
アドコテ(Adcote)89R3化学剤に関するように、シラン基をリンカー分子に直接カップリングすることにより、「アンカー」部分が、リンカー部分に含まれることがあることに注目するべきである。
【0087】
図10Bは、「リンカー」分子の一般的形を示す。X3は、リンカーの「主鎖」を示し、芳香族、直鎖、又はこれらの任意の結合体であることがある。一般的には、リンカーは、高分子であり、飽和高分子が、優れる化学抵抗性で一般的に好ましい。R2は、図10Aの「アンカー」の官能基R1と結合するように選択され、且つ、アミン系、エポキシ系、アクリル系、イソシアネート系、グリシド系、エステル系、及びその他を含むがこれらに限定されない群から一般的に選択される。
【0088】
R3は、ナイロン微孔性膜と結合するように選択され、R2に同一であることがある。一般的に、ナイロン膜上の官能基(アミン基とカルボキシル基)との共有結合は、目下好適である。しかしながら、これは必要ではない。代わりに、ナイロン膜とのリンカーの機械的インターロッキングは、ナイロン−ガラス層の良好な結合強さの接着に十分なこともある。
【0089】
図10Cは、一般的な「硬化」分子、架橋剤、又は第2リンカーを示す。第2リンカーは、リンカーに結合できる少なくとも2つの官能基を含む任意の分子であり得る。この分子の目的は、リンカーと架橋してマトリクスをつくることによりリンカー分子に更なる長さを付加して、リンカーを膜の孔構造中により良く浸透させることである。この「第2リンカー」は、具体例3(アドコテ89R3)のような本開示の一部の代表的実施例にて排除されることがある。不幸なことには、第2リンカー構造体は、元来一般的に知的所有権が付随しており、従って、化学組成が、即座には認識されず、又は公に入手できない。図10Cでは、X4は、芳香族、又は脂肪族、又はこれらの任意の結合体、又は、目的リンカー分子と結合する反復官能基を含む任意の分子であることがある。R4は、第1リンカー分子のR2又はR3基との付着体から選択される適正官能基を示す。架橋剤分子は、第2リンカーの機能を助けることもある。この場合、第2リンカーは、ナイロンに結合することが出来るであろう。
【0090】
上述の方法を用いてつくられる複合体微小配列スライドは、SSCハイブリダイゼイション溶液中で60℃にて一夜露出に、優れる残存性を示したが、一部の競合スライド(S&S CASTスライド)は、これらの条件にて2時間以下で層剥離した。上述の競合スライドの美的外観は、アンカー及びリンカーとして作用する化学薬剤の結果としてガラス・スライドと微孔膜とのあいだの最小付着層により逆に影響されるとは信じられない。アンカーとリンカーとして作用する化学薬剤が、極めて薄い塗膜(〜1μm)として非多孔性基材、目下好適にはガラスに付与されるからである。同様につくられたガラス・スライドも、DMFのような有機溶媒により影響を受けない。DMFは、ガラス・スライドと微孔性膜との間の接続機構として使用のために入手できる多くの市販の接着剤を溶解することで知られる。
【0091】
本開示に従えば、多孔性膜と基材との間に付着層を与える表面処理剤を含むと共に、当業者に知られるようにシラン(アンカー)部分への変形を含むがこれに限定されない、開示された化学薬剤に多くの可能な変形が存在する。さらに、アミノシラン又はグリシドシランが、表面処理系を含み本開示の付着層になる化学薬剤から除外されることがある。さらに、シランの多くの代わりの官能基が、アミン系、エポキシ系及び多くのその他を含むが、これらに限定されず、ガラスとの反応に使用されることがある。
【0092】
リンカー部分に関しては、エポン828ビスフェノールAタイプの化学剤を使用することが、複数の可能性の1つである。可能であると信じられる別のリンカーは、同一の「アンカー−リンカー」化学薬剤を用い、アクリル系、ポリエステル−シラン系、ポリエステル系、交互エポキシ系、イソシアネート系、及び等価物質を含むが、これらに限定されない。
【0093】
表面処理剤の化学薬剤を付与して付着層を得る方法に関しては、スピン塗工は、表面処理剤を基材表面に付与する複数の可能な方法の1つに過ぎない。他の可能性は、ドローダウン(ナイフ−スタイル)、スプレー、スロット−ダイ塗工、又は等価な手段を含むが、これらに限定されない。スピン塗工の目下認知される主要な利点は、微小規模で表面処理剤を含む化学薬剤の高均一性の結果である
膜のタイプに関しては、高アミン及び低アミンのナイロン66が、アンカーとリンカーを含み本開示の付着層になる化学薬剤を用いて首尾よく試験された。しかしながら、代わりのナイロン(例えば、ナイロン46のような)を含むがこれに限定されない代わりの膜のタイプが、本開示の範囲内にあると考えられる。さらに、当業者が理解するように、ポリスルフォン系、ポリエーテルスルフォン系、ポリ二弗化ビニリデン系(PVDF)、及びニトロセルロース系を含むが、これらに限定されない、代わりの高分子タイプの使用も、可能なことがある。
【0094】
本開示の実施では、膜は、湿潤で又は乾燥で適用されることがある。湿潤膜の使用は、膜と基材間の付着体の付加する結合強さと均一性で目下好ましい。
【0095】
本開示の実施では、荷電されるか、又は荷電されないことがあり、膜の孔径と厚さは、当業者が理解するように、任意の所望の範囲に操作することが出来る。
【実施例】
【0096】
具体例 1
ナイロン膜のガラス基材への付着方法
ビスフェノールA
生体高分子の微小配列を行う複合体微小配列スライドとして用いるナイロン/ガラス複合体の調製が、以下のように実施された。
【0097】
この代表的具体例は、ナイロン/ガラス複合スライドの試料バッチを調製する方法を記述する。調製された代表的ナイロン/ガラス複合スライドは、7.62×2.54cm(3×1in)のガラス製顕微鏡スライドの表面に作用可能に結合された多孔性ナイロン膜の薄層(〜0.051mm(〜2mil))から構成された。そのようなスライドは、生体高分子の微小配列の実施に用いる複合体微小配列スライドとして有効であると判明した。
【0098】
代表的な方法は、1包のノクロミックス(NoChromix)(ゴダックス・ラボ社(Godax Labs, Inc))を約2.5Lの濃硫酸中に溶解することにより開始され、次に、全結晶が溶解するまで、十分に撹拌して、クリーニング溶液を調製した。次に、先に調製したクリーニング溶液は、ガラス皿(サーモ・シャンドン(Thermo Shandon)・モデル102)中に注ぎ、約10分間静置した。ガラス製顕微鏡スライド(エリー・サイエンティフィック(Erie Scientific) #C16−5218)が、2枚スライド・ラック(サーモ・シャンドン(Thermo Shandon)・モデル100)中に置かれ、次に、上記のクリーニング溶液に約3分間浸漬され、次に、約18mΩDI水で満たされた別の皿に移され、そのまま約20分間維持された。スライドは、次に、HPLC級変性エタノール(ブランド−ヌ(Brand-Nu)#HP612)にしばらく浸漬され、下記の手順でシラネートされた。代わりに、スライドは、アルコノックス(Alconox)の約1wt%DI水溶液でクリーニングされ、約30分間空気撹拌され、引き続き、頻繁にフレッシュされる18mΩDI水浴にて約30分間スパージ(sparge)することがある。
【0099】
スライドは、以下の代表的手順によりシラネートされた。即ち、第1に、約95%のエタノールと約5%(容量%)の水からなる約100mLの溶液が、調製された。次に、約2mlの3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(ユナイテド・ケミカル・テクノロジズ #A0735)が上記溶液に添加され、十分に撹拌され、且つ、約5分間静置された。先の約5分間手順が終了後に、得られた溶液がガラス皿に注がれ、スライドが、その中に約2分間浸漬された。スライドは、次に、シラン溶液から取出され、エタノール入りの皿中に約7秒浸漬され、皿から取出された。スライドは、次に、オーブン内に約110℃で約10分間置かれ、一夜で反応を終了させた。
【0100】
エタノールによる微量スライドの過剰な洗浄は、硬化前のシランの一時的水素結合を破壊するようにみえることが先の工程の間に決定された。
【0101】
反応が終了した後に、スライドは、目に見える汚点、又は他の欠点につき検査された。目に見える汚点、又は他の欠点を持ついずれのスライドも、排除され、使用されなかった。
【0102】
翌日、代表的ビスフェノールA「リンカー」溶液が、250mLエーレンマイヤー・フラスコに以下を添加して、新しい成分が添加される各工程後毎に十分に撹拌して、つくられた。
【0103】
約10gのエポン828(ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂)と、
約34gのキシレン。
【0104】
別の250mLエーレンマイヤー・フラスコに以下も添加された。
【0105】
約4.1gのエピクレ3115(ポリアミド基剤の硬化剤)と、
約34gのキシレンと、
約1.8gの3−グリシドプロピルトリメトキシシランと。
【0106】
第1フラスコの内容物(エポキシ)が、次に、第2フラスコに注がれ、封止され、実験用スターラーで約60℃でさらに約15時間撹拌された。上述の2つのフラスコの結合から得られた溶液は、約12wt%のビスフェノールA「リンカー」溶液でなった。
【0107】
この工程の間に、混合の最小時間に至ることは、意にかなう美的特性と接着性を持つ複合スライドをつくることに関連しているようであることが決められた。エポキシが、混合に先立ち、約60℃で約1〜約3日密閉容器に貯蔵される場合に、最適結果が達成されることも決められた。
【0108】
エポキシをこのように貯蔵することにより、表面処理剤として使用される塗膜の隆起部に至ることがあるエポキシ溶液の再結晶が防止されることが信じられる。この特定の代表的溶液は、約30時間の保存期間を有していた。この時点を越えて付与される場合、溶液は、意図する目的には使用できなくなった。混合サイクルに引続き、1つの清浄にされシラネートされたスライドが、次に、スピン・コーター(スペシャルティ・コーティング・システム(Specialty Coating Systems)モデルP6708)の上に置かれた。表面が、上記のように調製されたエポキシ溶液で覆われ、次に次記のサイクルでスピンされた。
RPM 時間(秒)
〜500 〜10
〜900 〜10
〜3000 〜20
次に、スライドが、スピン・コーターから取外され、12.7×25.4cm(5×10in)の金属板の上に置かれた。このスピン塗工サイクルは、次に、2つの更なるスライドにつき繰り返された。次に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜(米国特許第3,876,738号明細書と米国特許第4,707,265号明細書に記載されるように)が、スライドの全面に作用可能に配置され、伸張された。手袋をはめた人が、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜を取り扱った。使用されたキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、キャスト(流延)され、急冷却され、DI水で水洗されたが、乾燥工程に曝露されなかったので、用語が、「キャスト後の湿潤した状態」である。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、およそ0.038mm(1.5mil)の厚さと、約0.2μmよりも小さい名目孔径と、約931kPa(135psi)の目標の水中初期バブルポイント値と(一旦乾燥された)を有する。このキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜のベース高分子は、ビダイン(Vydyne)66Zナイロン(ソルシア社(Solutia, Inc))であり、アミン末端基により優先的に停止されている高分子量ナイロンである。
【0109】
キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜の薬品処理スライドへの適用の間に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜と各スライド間の任意の気泡の除去を保証するために、注意が払われた。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、各スライド上で平坦にされ、全ての皺が、取除かれた。
【0110】
一旦スライド上に配置されると、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、当該技術に知られるように適切な位置にクリップ止めされた。全組立体が、次に、対流オーブンで約110℃に約45分加熱された。加熱後、過剰の、今では乾燥された、多孔性ナイロン膜が、当該技術に知られるトリミングによりスライドから取除かれた。
【0111】
トリミングに引き続き、スライドが、エポキシ樹脂をさらに硬化するために一夜静置された。上記の方法を用いてつくった付着層による、基材への膜の接着強さを試験するために、4xSSC(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム)の溶液が、貯蔵20x溶液(シグマ#S6639)を稀釈して調製された。
【0112】
スライドは、タッパウエア(Tupperware)容器に入れられ、SSC溶液が、スライドの頂部の上に注がれ、容器が封止された。容器が、次に、ハイブリダイゼイション・オーブン内に約60℃で最短約12時間緩やかに揺らしながら置かれた。
【0113】
溶液から取出したとき、複合スライドの全ての膜構成要素が、基材からの膜の剥離なしに、基材構成要素に確実に結合されていることが分かった。60℃で72時間過剰に長期間曝露されたスライドも、基材からのナイロン剥離がないことを示した。
【0114】
膜と基材間の接着の更なる試験が、以下の方法により行われた。第1に、2枚のスライドが選択され、60ml薬びんに入れられた。次に、n−ジメチルフォルムアミド(DMF、アルドリッチ31、993−7)の溶液スライドを覆って注がれ、蓋で封止された。DMFは、種々の化学剤をスライド表面に付与するために使用され得る活発な溶媒であり、アクリレート系、ウレタン系、及びポリエステル系のような普通の接着剤を攻撃することが知られている。スライドは、最短約6時間室温に静置され、次に取除かれ、しっかりと擦られた。
【0115】
上記処理後に、スライドは、室温で約2週間露出後でさえ、DMFに浸漬後に膜と基材間の結合の接着強さの如何なる損失をも発揮しなかった。
【0116】
具体例 2
ナイロン膜のガラス基材への付着方法
ビスフェノールA/エピクレ3125
生体高分子の微小配列を行う複合体微小配列スライドとして用いるナイロン/ガラス複合スライドの調製は、以下の例外の除き、具体例1と同様な方法で行われた。
【0117】
代表的エポキシ溶液の処方は、以下の通りであった。
【0118】
約10gのエポン(Epon)828(ビスフェノールAタイプ・エポキシ樹脂)と、
約35gのキシレン。
【0119】
第2の250mLエーレンマイヤー・フラスコ中に、以下を加えた。
【0120】
約6gのエピクレ3125(ポリアミド基剤の硬化剤)と、
約35gのキシレンと、
約1.8gの3−グリシドプロピルトリメトキシシランと。
【0121】
代表的エポキシ溶液が、第2フラスコに注入され、溶液が、約60℃で約5時間混合された。溶液は、次に、混合され、具体例1と同様にスライドに付与された。具体例1の代表的溶液と異なる1つの注目すべき点は、具体例2の得られた溶液が、短時間で使用できるようになったが、約3時間しか作用ライフを持っていなかったことである。
【0122】
上記の手順によりつくられた代表的スライドは、また、約60℃で4xSSCに一夜浸漬して破壊されなかった。
【0123】
具体例 3
ナイロン膜のガラス基材への付着方法
アドコテ89R3(ローム・アンド・ハースから入手)
この代表的具体例は、ナイロン/ガラス複合スライドの試料バッチをつくる別の代表的方法を記述する。つくられたナイロン/ガラス複合スライドは、7.62×2.54cm(3×1in)のガラス製顕微鏡スライドの表面に作用可能に結合された多孔性ナイロン膜の薄層0.10mm(〜4mil)で構成された。そのようなスライドは、生体高分子の微小配列の実施に使用する複合体微小配列スライドとして有効であると判明した。
【0124】
生体高分子の微小配列を行う複合体微小配列スライドとして有用なナイロン/ガラス複合スライドの調製は、以下の通りである。
【0125】
代表的方法は、1包のノクロミックス(NoChromix)(ゴダックス・ラボ社(Godax Labs, Inc))を約2.5Lの濃硫酸中に溶解することにより開始され、次に、全結晶が溶解するまで十分に撹拌される。次に、得られた溶液が、ガラス皿(サーモ・シャンドン(Thermo Shandon)モデル102)に注がれ、約10分静置された。ガラス製顕微鏡スライド(エリー・サイエンティフィック(Erie Scientific)#CI6−5218)が、20枚スライド・ラック(センノ・シャンドン(Then-no Shandon)モデル100)中に置かれた。スライドは、酸−ノクロミックス(NoChromix)クリーニング溶液に約30分浸漬され、次に、約18mΩDI水で満たされた別の皿に約20分移された。スライドは、次に、HPLC級の変性エタノール(ブランド−ヌ(Brand-Nu)#HP612)に短時間浸漬され、次に、取出され、オーブン内に約110℃で10分置かれた。
【0126】
次に、スライドが、以下の手順によりシラネートされた。第1に、約95%のエタノールと約5%の水(容量%)の約100mL溶液が、調製された。次に、約2mLの3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(UCT#A0735)が、上記溶液に添加され、十分に混合され、約5分静置された。次に、得られた溶液が、ガラス皿中に注がれ、スライドが、約2分浸漬された。スライドが、次に、シラン溶液から取出され、エタノールを含む皿中に浸漬され、皿から取出された。このことが、約7秒の全浸漬時間でエタノールの第2の皿で反復された。エタノール皿から取り出し後、スライドは、オーブン内に約110℃で約10分置かれ、次に、一夜反応を終了した。
【0127】
この工程の間に、エタノールによる微量スライドの過剰な洗浄は、硬化に先立つ、シランの一時的水素結合を破壊して、結合を低下する結果になるようであることが判明した
最短約4時間後に、目に見える汚点又は他の欠点に付き4枚のスライドが、検査された。4枚のスライドのうち目に見える汚点又は他の欠点を持つ何れも除外され、使用されなかった。
【0128】
翌日、アドコテ89R3溶液の約20wt%溶液が、以下を250mLビーカーに加え、新成分が添加される各工程後に十分に撹拌して調製された。
【0129】
約10gのアドコテ89R3(ローム・アンド・ハース)と、
約40gのトルエン(ブランド−ヌ(Brand-Nu)#9460−03)と。
【0130】
上記工程の終わりに、先に挙げたシラネートされたスライドが、次に、スナップ・ゲージ(三豊モデル7326)を用いて測定され、0.0051mm(0.2mil)の増分の厚さで群分けされた。スライドは、次に、5つの群でガラス板上に置かれた。ナイフ−エッジ型のドローダウン(drawdown)装置(ポール・ガードナー(Paul Gardner)モデル#A−P−MO6)が、スライドを覆って置かれ、全ての5つのスライドをクリアーするための最小間隙に調整された。一旦最小間隙が決められると、間隙は、スライドの表面上に液体の適正層を得るために約0.0254mm(1mil)毎に増加された。間隙調整をした後、次に、約3mlのリンカー溶液が、始めのスライド上に滴下された。次に、液体が、全5つのスライドを覆って「ドロー−ダウン」された。溶液をスライド上にドローした後、スライドが、次に、直ちに金属網板上に置かれた。
【0131】
この工程の間に、間隙クリアランスの特性と接着剤混合物の固形分とが、出来上がったスライドの優れた美的特性を達成するために全て関連していたことが決められた。加えて、これらあの条件は、また、膜とスライド間の結合強さに影響を与えた。
【0132】
次に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜(米国特許第3,876,738号明細書と米国特許第4,707,265号明細書に記載のように)は、スライドを覆って作用可能に配置され、伸張された。手袋をはめた人が、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜を扱った。使用されるキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、キャストされ、急冷却され、DI水で水洗されたが、乾燥工程に未だ曝露されなかったので、用語「キャスト後の湿潤した状態」を用いる。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、約0.2μm未満の最小孔径と約931kPa(135psi)の目標初期バブルポイント値(一旦乾燥後)とを有した。このキャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜の基剤高分子は、ビダイン(Vydyne)66Zナイロン(ソルシア社(Solutia, Inc))であり、アミン末端基により優先的に停止されている高分子量ナイロンである。
【0133】
キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜の薬品処理スライドへの適用の間に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜と各スライド間の全ての気泡の除去を保証するために、注意が払われた。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、各スライド上で平坦にされ、全ての皺が、取除かれた。
【0134】
一旦スライド上に配置されると、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、当該技術に知られるように適切な位置にクリップ止めされた。全組立体が、次に、対流オーブンで約110℃に約45分加熱された。加熱後、過剰の、目下乾燥された、多孔性ナイロン膜が、当該技術に知られるトリミングによりスライドから取除かれた。トリミングに引き続き、スライドが、ポリエステル・リンカーをさらに硬化するために一夜静置された。
【0135】
膜の基材への接着を試験するために、4xSSCの溶液が、以下を500mLエーレンマイヤー・フラスコに添加して調製された。
【0136】
約40mLの20xSSC(貯蔵溶液、シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)S6639)と、
約160mLのDI水と。
【0137】
スライドは、次に、タッパウエア(Tupperware)容器に入れられ、溶液が、スライドの頂部の上に注がれ、容器が封止された。
【0138】
容器が、次に、ハイブリダイゼイション・オーブン内に約60℃で最短約12時間で一夜緩やかに揺らしながら置かれた。
【0139】
溶液から取出したとき、全ての膜が、基材からの膜の剥離なしに、基材に確実に結合されていることが分かった。60℃で72時間過剰に長期間曝露されたスライドも、基材からの剥離がないことを示した。
【0140】
具体例 4
低い反射及び蛍光とハイブリザイゼイション化学剤への抵抗性を持つ灰色微孔性膜複合体の調製が、以下の代表的方法により達成された。
【0141】
キャスト用ドープが、調製された。微小配列膜の調製に使用するドープを調製する方法と装置は、当該技術に知られる。ドープ調製のいくつかの既知の方法が、1975年4月8日発行の代表的米国特許第3,876,738号明細書、1982年7月20日発行の代表的米国特許第4,340,480号明細書、1988年9月13日発行の代表的米国特許第4,770,777号明細書、及び1993年6月1日発行の代表的米国特許第5,215,662号明細書に記述され、各開示事項が、本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組入れている。顔料をキャスト用ドープ中に有効に配合する手順をつくるドープの変形は、一般的に所有される係属中の特許出願第09/897,333号明細書に記載されるが、本明細書に記載されるようにより大きなボリュウームに拡大された。第1に、430g(0.948lb)のカーボン・ブラック(ダグサ−ハル(Dersa-Huls)製品プリンテックスU)が、シルバーソン(Silverson)高シェア・ミキサー(1LのSS混合室付き、モデル#14T−SU)を用いて、6320g(13.9lb)のギ酸中に分散された。分散は、カーボン・ブラックとギ酸を、約700gのギ酸中に分散された50gのカーボン・ブラックという個別のアリコートに分割することにより達成された。8個のアリコートが、調製され、引き続き、約700gのギ酸中に分散された30gのカーボン・ブラックという1個のアリコートを調製した。分散されたカーボン・ブラックの分けられたアリコートが、全6320g(およそ、13.9lb)のギ酸中に全430g(およそ、0.948lbカーボン・ブラック)で、移し容器に結合された。次に、約109.3kg(241.0lb)のギ酸が、151L(40gal)容量の封止され、水ジャケット付きステンレス鋼製タービン・ミキサー型ドープ容器に添加され、低速(150RPM)で約15分約11.11kg(24.5lb)のメタノールと混合された。
【0142】
ギ酸とメタノールの混合後に、先に分散されたカーボン/ギ酸混合物が、容器に注入され、低速(150RPM)で約2分混合された。次に、約21.5kg(47.3lb)のビダイン(Vydyne)66Z(ソルシア社)、高アミン、高分子量ナイロン66が、ギ酸/カーボン/メタノール混合物に添加され、約450rpmで約28℃で約4時間混合された。上記は、代表的ナイロン「ドープ」の調製を含む。
【0143】
少量(およそ20ml)の代表的ドープが、実験装置で、引き続きキャストされ、急冷却され、米国特許第3,876,738号明細書に記載のキャスト方法をシミュレートして、約0.13mm(5mil)厚さの単層の非補強微孔性ナイロン膜をキャスト後の湿潤した状態で調製した。キャスト後の湿潤した状態の膜は、DI水で洗われ、両露出外側表面が、キャスト後の湿潤した状態の膜の急冷却側を表すように、折りたたまれた。乾燥二層が、約0.10mm(4mil)の厚さを有した。乾燥二層膜試料の乾燥表面のL値(明度)は、上記の一般に所有される係属中の特許出願に記載されるように、マクベス・カラーアイ3100色度計を用いて測定され、およそ50ユニットであることが判明した(0−100のスケール、D65電球使用)。
【0144】
孔径は、乾燥二層膜試料を60%イソプロピルアルコール、40%水(容量で)の混合物にて湿潤し、既述の終期バブルポイント値(FAOP)につき試験することにより測定された。得られたFAOP値は、およそ379kPa(55psi)であり、工業標準によれば、約0.2μmよりも小さい公称膜孔径を持つ微孔膜を示した。
【0145】
次に、代表的ドープは、米国特許第3,876,738号明細書に開示された方法を使用し水平ドラム・タイプ・キャスターを用いてキャスト(流延)された。膜の厚さは、キャスティング・ナイフとドラム間の間隙を変更して調整され、0.134mm(5.5mil)の最終膜湿潤厚さが達成されるまで、0.254mm(10mil)の湿潤厚さから徐々に減少された。湿潤単一層膜が、二層にされ、先のように緊張下で乾燥された。膜は、60/40v/vIPA/H2Oにて345kPa(50psi)の終期バブルポイント値(FAOP)と約0.102mm(4.0mil)の厚さ(約0.051mm(2mil)、単一層)を有することが判明した。
【0146】
上記の工程は、灰色と孔構造体中に一様に分散したカーボン・ブラックとを有する湿潤して膨潤した微孔性膜をつくる手順を記載する。前述の微孔性膜は、次に、具体例1と同じようにスライドに付着された。スライドは、洗浄され、シラネートされ、エポキシ層が均一に表面を覆って広がり、次に、0.051mm(2mil)厚さの湿潤ナイロン膜が、スライドに被せられ、xとy方向に伸張された。スライドは、次に、オーブン乾燥され、不要部が切り取られ、次に、美的欠点に付き検査され、L値に付き測定された。
【0147】
実験の驚くべき結果は、膜の表面配向に関する色差の発見であった。単一層膜の試料は、膜のキャスティング・ドラム側をガラスに向けて下向き配向にすると共に急冷却側表面を上向きに(露出面)配向して、上述のようにガラスに付着された。この配向では、露出された急冷却表面が、色につき測定され、およそ48ユニットのL値を有することが判明した。
【0148】
試料が別の配置で調製された(急冷却側が、ガラスに付着されると共にドラム側が、上向きで)。これらの試料が、約58ユニットの平均L値を有することが判明した。配向のこの効果は、目下完全には理解されないけれども、膜表面の平坦性とテクステャー(きめの粗さ)が、これらの配向により影響を受けることが注目される。
【0149】
これらの技法でつくられたナイロン微孔膜の孔構造は、孔構造(即ち、スキンレス)に関して正常に対称的で等方性であるが、表面の平坦性が、キャスティング基材の存在に影響されることが注目された。キャスティング基材として使用された、磨かれたステンレス鋼ドラムにより、ステンレス鋼ドラムに接触して急冷却された膜表面により光沢のある外観が得られるであろう。反対表面(即ち、急冷却流体接触面)は、より大きな3次元表面非平坦性を発揮して、より小さい光沢の外観を有する。このようにして、顔料の均一な分布を持つキャスティング・ドープは、一旦急冷却されると、表面非平坦性により影響される明らかな色差を表すことがある。本発明の場合、非平坦性の少ないドラム面により、より高い外見のL値が示される。これは、より明るい(より少なく暗い)外観である。一方、よりきめの粗い急冷却面により、より低い外見のL値が示される。これは、暗い色である。この観察の故に、本開示の複合体微小配列スライドを用いる特定の用途に最良に利するような使用のために、膜の外向きに面する表面を、表面のきめの粗さにより、又は色により、又は両方により、選択することが可能である。
【0150】
代わりに、更なる各面の色の操作を望む場合、米国特許第6,513,666号明細書に記載のように代わりのキャスティング方法と生成物が、当業者に知られるように、色対称又は色非対称を達成するために採用される。さらに、米国特許第6,513,666号明細書に記載の同じ方法と生成物が、また、当業者に知られるように、孔径の点で、対称膜、非対称膜、又は他の複数ゾーン膜をつくるために採用されることがある。
【0151】
ドラム側が外側向きの膜面の6個のスライドが、更なる試験のために選択された。先の具体例の白色面に比較して、本具体例の灰色面は、スライド表面を横切って一様な色分布を持ち、58ユニットの平均L値を持ち、許容できる美的特性を示す。
【0152】
既に本明細書に組入れている係属中の一般的に所有される特許出願第09/897,333号明細書と第09/899,607号明細書に記載されるように、核酸がスポットされる支持材料からの蛍光性バックグラウンド(自動蛍光)は、配列に関する蛍光検出技法の感度に害になる。配列を横切るハイブリダイゼイション・シグナルの効率は、配列に関する矛盾したバックグラウンドにより影響を受ける可能性がある。これが、動作範囲を減少し、DNA微小配列に関するシグナル比の変動係数を増加し、低レベルで発現した遺伝子の検出を疑わしいものにする。
【0153】
同様に、化学発光が、ハイブリダイゼイション事象を検出する好適な方法として採用される場合、基材からの非特定の化学発光と配列に関する特定のシグナルからの、より重要な反射とが、感度、作動範囲を減少する一方、配列に関するシグナル比の中で変動係数を増加する。それだけで、反射は、遺伝子間のシグナルの少ない差異を分別する能力を否定し得る。さらに、強いシグナルから生じた反射(高い遺伝子発現レベルに関する特徴)は、隣接する特徴を不明瞭にし得る。さらに、配列表面を横切る強いシグナルの分布が、特徴から発せられる光からの総括的バックグラウンド・ノイズを生じ得る。それゆえ、反射の減少が、配列プラットホームに対する望ましい特性である。本明細書に記載の顔料添加ナイロン膜複合体微小配列スライドは、化学発光・シグナルからのバックグラウンド・光発光を減少することに極めて有効である。
【0154】
上に見られるように、これらの具体例は、生体高分子の微小配列を表面に担持するに有用な複合体微小配列スライドは、キャスト後の湿潤した状態のナイロン膜とガラス基材とを用いて、表面処理剤として高分子中間層を含むことがある、化学薬剤でガラス基材を処理することによりつくられ;微小配列用途に有用であるように、キャスト後の湿潤した状態のナイロン膜とガラス基材間の共有結合又は別のタイプの結合を容易にする付着層をつくったことを示す。
【0155】
当業者が理解するように、上述の具体例は、本開示が教示する概念に従って準備され得る複数の可能な具体例を代表しているに過ぎない。同様に、上述の具体例の特定のメカニズム内の変化が、生産設計図の必要なしに当業者により理解されることがさらに理解される。
【0156】
以下の表2に示すように、本開示の改良複合体微小配列スライドの残存性が、競合するスライドと比較して明瞭に示される。表1に詳述するように、残存性の因子は、膜の相対的剥離によって決められる値である。以下に示す全ての条件で、スライドは、2枚同時に、所望の溶液で満たした60mLビーカー中に入れられ、封止された。各条件の3枚のスライドが、次に、ハイブリダイゼイション・オーブン中に置かれ、所望に曝露時間の間所望の温度に平衡させた。曝露に引き続き、スライドは、所望の溶液から取出され;所望の溶液で処理後に、撹拌、引き続く洗浄工程、又はスライド表面に対する顧客実施の別の手順に類似する最悪の場合の評価をシミュレートする努力として、手袋をはめた指でオペレーターによりしっかりと擦られた。
【0157】
スライドは、次に、以下の表1に記載するように「残存性因子」に従って評価された。
【0158】
【表1】
評価の間に、上述の具体例1でつくったスライドは、試験されなかった。具体例4でつくったスライドが、具体例1と同じ、付着層作成用化学剤を使用されたからである。以下の表2から分かるように、試験された競合ナイロン−ガラス複合体は、すべて、種々の適さない環境に曝露後に実質的な結合強さの低下又は剥離を発揮した。このように、以下の表2は、競合スライドが、これらの適さない環境下での使用に安定ではないことを示し、実用的操作の分野で剥離に関する問題に遭遇するようであると信じられている。
【0159】
【表2】
表2で使用の化学的両立性試験に供した溶液は、以下に従って定義される。
【0160】
4xSSC(クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、アルドリッチ(Ardrich)#93017)は、ハイブリダイゼイションと微小配列とナイロン膜の洗浄に頻繁に使用される。
【0161】
ロゼッタ(Rosetta)は、既知のハイブリダイゼイション溶液であり、合成手順が、ネイチャー・バイオテクノロジ(Nature Biotechnology)2001年第19巻、342−34頁に記述され、この開示事項が、本開示に矛盾しない程度に参照により本明細書に取り込んでいる
DMF(n−ジメチルフォルムアミド、シグマ・アルドリッチ #22、705−6)は、一般的有機溶媒である。
【0162】
DMSO(ジメチルスルフォキシド、シグマ・アルドリッチ #D1435)は、生体用途に頻繁に使用される別の一般的有機溶媒である。
【0163】
1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)は、湿潤ナイロン膜に頻繁に使用される界面活性剤溶液である。
【0164】
本開示の改良複合体微小配列スライドは、種々の適さない環境を用いて試験されるとき、目的の適さない環境で残存するために十分強い付着を明らかに示す。類似の全ての場合に、本開示の改良複合体微小配列スライドは、例え有ったにしても、極めてしっかり擦っても基材と微小配列膜との間の結合強さの弱化を殆ど示さなかった。ただ1つの重要な例外は、DMFとDMSOのような有機溶媒に両立しがたいとして知られる代わりのリンカーを使用する具体例3であった。しかしながら、付着結合強さは、表2から明らかなように、試験した他の溶媒では安定に維持された。
【0165】
このようにして、本開示の改良複合体微小配列スライドは、微小配列膜に結合する基材を準備するために代表的で好適な表面処理剤を用いてつくられたとき、所望の溶液で処理後の厳しい洗浄サイクルを伴う顧客試験の間と、更に重要なことには、本開示の改良複合微量配列スライドを用いる実際の商業用途の間とに膜から基材の剥離を確実に防止する付着層を得ることが上述のデータから明らかであるようにか見える。
【0166】
具体例4の複合体微小配列スライドが、次に、蛍光バックグラウンドにつき試験された。ナイロン微孔性膜の基本構造が、カーボン・ブラックの添加により変更されたので、具体例1と4のナイロン膜間の蛍光の任意の減少が、カーボン・ブラックによる蛍光シグナルの吸着に専ら依ることが理論付けられた。蛍光と反射(化学発光検定にて)が関連するであろうことと、一般的な蛍光波長(約500−700nm)で光を吸着することが知られる黒色物質が、化学発光(およそ460nm)で典型的に使用される、少なくとも全可視光領域(約100乃至約700nm)で光を吸着することがさらに期待された。
【0167】
この試験で、各々、上記の具体例1と4(カーボン・ブラックが具体例4の膜に添加されたことのみで異なる)由来の3個のスライドが、アクソン・ジェネピクス(Axon Genepix)4000Bスキャナーを用いて蛍光バックグラウンドにつきスキャンされた。このレーザー・ベースの装置は、正確に固定された刺激波長にて光でスライドを攻撃し、次に、「蛍光ユニット」にて上記の振動数で応答強さを測定した。スライド当たり5点が、選択され、次に、「蛍光ユニット」を測定し、全体が、各波長で平均化された。試験は、33%出力と600光電倍増管(PMT)の装置設定を用いて行われた。
【0168】
【表3】
表3に示すように、具体例4の複合体微小配列スライドは、膜へのカーボン・ブラックの添加により実質的に減少したバックグラウンド蛍光を示した。この実質的に減少したバックグラウンド蛍光が、当業者が期待するように、膜の反射における対応する減少を強く示すであろうことが信じられる。
【0169】
要するに、複合体微小配列スライドを作製する、代表的で目下好適な方法のいくつかの変形が、微小配列用途の厳密さに耐えることと、DNA及び他の遺伝子生成物の生体分子分析物、タンパク質等を結合するに有用な薄くて均質なナイロン層の利点を有することと、目下入手できる微小配列スライドのいずれの欠点をも蒙らないこととが出来る、微孔性膜、特にナイロン微孔性膜の種々の固体基材への永続性で強固な結合を与える。そのような欠点は、如何なる膜をも有しないこと(機能化されたガラス)、又は、あまり好適でない膜としてニトロセルロースの使用、又は、目下要求される許容度を超える変動厚さ特性を有する補強ナイロン膜の使用、又は、微小配列用途の厳しさに耐えることができない、膜とガラス基材間の接着層の使用を含むが、これらに限定されない。
【0170】
上記に明らかに見られるように、本開示によれば、代表的微小配列膜、特にナイロン膜は、ナイロンと基材間に結合を与えて付着層になる化学薬剤から選択される表面処理剤で、例えば、ガラス・スライドのような基材に作用可能に結合される。この表面処理剤は、ハイブリダイゼイション条件と複合体微小配列スライドを作製するための意図された環境で使用される市販の溶媒とにおいて弾性/残存性であることが分かった。競合するナイロン・ガラススライドの全ては、先の表2に示したこれらの条件下で剥離すると信じられている。
【0171】
本開示の表面処理剤を含む化学薬剤は、薄くて、均一なナイロン・スライド付着層(およそ、1−2μm)を生じる。この層は、最も多く市販される接着剤(典型的に最小10−25μm)よりも大幅に薄く、ナイロンと基材の間に置かれた表面処理剤を含む化学的リンカーとアンカーの連合体により形成される。ナイロン/表面処理剤/基材の結合体は、平坦性の変動を減少し、また、最終用途で使用される種々の基材と付着層になる表面処理剤を含む化学薬剤との間の有害な妨害又は反応性の可能性を低減することが判明した。
【0172】
上述の特性に加えて、本開示の複合体微小配列スライドは、良好に管理される付着層厚さと、緊張乾燥の間に、乾燥されない微孔性転相ナイロンの膨潤して湿潤した構造体の、収縮すると共にガラスのような基部基材に物理的に合致する傾向とにおそらく間違いなく起因して、平坦性と厚さの均一性を示す。
【0173】
さらに、本開示の複合体微小配列スライドに関し、ガラスへ膜付与前に多大の費用を要する乾燥工程の必要はない。このような乾燥は、「ベルト・ライン」と他の美的欠点を加えることが判明した。
【0174】
転相方法によりつくられた構成要素、特にガラスの代わりに高分子基材に結合されたナイロン膜を有する複合体微小配列スライドは、多くの潜在性微小配列用途を有する。次の記述は、転相方法により形成されると共に、目下好適な共有結合により、付着層になる表面処理剤、目下好適には高分子中間層を介して高分子基材に作用可能に付着される、多孔性膜を有するそのような代表的複合体微小配列スライドの製造に関する代表的方法を記述しようとする試みである。その結果、このようにつくられた結合体は、微小配列用途に有用である。
【0175】
以下の代表的仮想具体例は、ナイロン/非多孔性支持材料の複合体と(先の具体例1−4に記述されるように)つくられた複合体とをつくることに必要であると信じられる工程を記述する。つくられたナイロン/非多孔性支持材料複合体は、非多孔性支持材料の表面に結合された薄い(約0.10mm(4mil)以下)多孔性ナイロン膜を含むであろう。
【0176】
予期されるように、異なる非多孔性支持材料は、異なる方法で前処理されなければならない。以下は、本開示の本質事項に有用性を持つと信じられる、異なる非多孔性材料の前処理を記述する。
【0177】
1)セラミック製非多孔性材料: 約95mLのエタノール、約5mLの水、及び約2mLの3−アミノプロピルトリメトキシシランを混合して、約5分そのままにする。基材を溶液中に約2分沈め、取出してエタノールで洗浄する。基材を約120℃で約10分加熱し、一夜静置する。この特定の溶液は、リンカー化学剤とナイロンとのための著しい数の結合サイトをセラミック製非多孔性支持材料に生じる。
【0178】
2)アクリル系非多孔性支持材料: アクリル系高分子(アクリルニトリル)は、最も多い反復ユニット(ユニットが共重合するする傾向があるので、各反復ユニットではない。)でニトリル結合を含む。ナイロンと結合するそのような支持材料を調製するために、約5MのHCl(酸又は塩基が反応を触媒する)に約10分沈めることによりニトリルをカルボキシル基に加水分解する。この特定の溶液が、リンカーとナイロンのための多くの数の結合サイトをアクリル高分子に与えるであろう。
【0179】
3)ポリプロピレン非多孔性支持材料: ポリプロピレンは、相対的に非反応性材料である。ポリプロピレンを結合のためにオープンにするには、ポリプロピレンの表面を約0.4kwのコロナ放電で処理する。コロナ放電は、ポリプロピレン非多孔性支持材料の表面上にカルボキシル基とカルボニル基を生成することによって一部の結合サイトを遊離化することがあることが信じられる。コロナ処理の効果は、時と共に徐々に減少する故に、以下に述べるように、直ちに次の工程に進むことが最良と信じられる。代わりに、プラズマ処理が、結合に適する表面へのカルボキシル又はカルボニル基の導入に使用されることもある。処理用適正ガスは、ヘリウム、酸素、アセチレン、及び二酸化炭素を含むことがある。
【0180】
4)ポリカーボネート及びポリスルフォン非多孔性支持材料: ポリカーボネート及びポリスルフォン非多孔性支持材料は、例えば、ブロモ酢酸のような臭素置換カルボキシル基を有する約1MのNaOH水溶液に入れられる。ブロモ酢酸は、高分子のフェノール末端基と縮合重合し、副産物としてHBrを放出する。縮合重合反応の得られた産物は、リンカー及びナイロンと次に結合することが出来るカルボキシル基で停止する鎖を有する。
【0181】
5)ポリアミド及びポリアラミド非多孔性支持材料: これらの高分子は、既に、次に工程の反応で使用され得るカルボキシル基とアミン末端基を含む。これらは、目下、前処理を要しないと信じられている。
【0182】
上述の適正前処理に引き続いて、エポキシ溶液が、以下の成分を用いて調製される。
【0183】
約10gのエポン(Epon)828(ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂)と、
約35gのキシレンと。
【0184】
別の250mlのエーレンマイヤー・フラスコに、以下が、また、添加される。
【0185】
約6gのエピクレ(Epikure)3125(ポリアミド基剤硬化剤)と、
約35gのキシレンと、
約1.8gの3−グリシドプロピルトリメトキシシランと。
【0186】
得られた溶液は、次に、約60℃で約5時間混合され、次に、当業者が理解するように、スピン塗工又は任意の他の手段で特定の表面処理剤として適正非多孔性支持材料の表面に付与される。
【0187】
ビスフェノールA分子のエポキシ基は、代表的非多孔性支持材料のアミノ基又はカルボキシル基と、及びナイロンのアミノ基およびカルボキシル基と結合することにより、ナイロンと代表的非多孔性支持材料とを結合してこれらの間に付着層を生成しなければならない。
【0188】
特定の非多孔性支持材料が、上述のように前処理された後、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜(米国特許第3,876,738号明細書及び第4,707,265号明細書に記述されるように)が、特定の非多孔性支持材料に被せされ、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜が、伸張される。手袋をはめた人のみが、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜を取り扱う。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜が、キャストされ、急冷却され、DI水で洗浄された後に、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜が、特定の非多孔性支持材料に適用するために得られる。この膜は、未だ乾燥工程に曝露されていないゆえ、用語「キャスト後の湿潤した状態」を用いる。使用する高分子の種類は、目下、好適には、高分子量高アミンのナイロンである。
【0189】
注意が払われるべきことは、キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜と特定の非多孔性支持材料との間の全ての気泡である。キャスト後の湿潤した状態の多孔性ナイロン膜は、特定の非多孔性支持材料上で平坦にされ、全てのしわが、キャスト後に湿潤した状態のナイロン膜/特定の(透き通っていない)非多孔性支持材料結合体から除去される。キャスト後の湿潤した状態のナイロン膜は、次に、半ドラム上の適切な位置にクリップ止めされる。全組立体が、約110℃で約1時間対流オーブン内で加熱される。加熱後、過剰な多孔性ナイロン膜が、当該技術に知られるように、特定の非多孔性支持材料から多孔性ナイロン膜の端部を切り取って特定の非多孔性支持材料から除去される。
【0190】
得られる多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持材料複合体は、付着層を介して特定の非多孔性支持材料に作用可能に結合された多孔性ナイロン膜の極めて薄く、平滑な層を持つべきである。多孔性ナイロン膜表面は、変形、傷跡、又は粒子を有してはならない。
【0191】
DI水、約0.4M水酸化ナトリウム水溶液、及び約1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液にて試験されたとき、ナイロンは、容易に湿潤すべきである。多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持基材複合体が得られる、多孔性ナイロン膜構成要素と特定の非多孔性支持基材と間の結合は、強い結合を発揮するべきであり、多孔性ナイロン膜構成要素は、特定の非多孔性支持基材構成要素から剥がれてはならない、または層間剥離してはならない。
【0192】
多孔性ナイロン膜構成要素と特定の非多孔性支持基材と間の結合は、得られた多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持基材複合体が水又はSDSの沸騰溶液中に垂直に急速に沈められた時でさえ、強さを維持するべきである。この処理の苛酷さにかかわらず、充填されずに得られた多孔性ナイロン膜/特定の非多孔性支持基材複合体は、その引き剥がし強さを維持するべきである。即ち、多孔性ナイロン膜構成要素は、特定の非多孔性支持材料構成要素から引き剥がされる又は層間剥離する前に、破れるべきである。
【0193】
上述の代表的仮想具体例は、本開示に記述されるように、二官能性の結合性化学剤への受容性に対する表面の準備に関して、種々の基材(無機の又は有機の高分子)の合成とこの表面反応性の許容される原則に基づいている。合成のこれらの受容される原則は、特定の非多孔性支持材料構成要素の調製に関する限定であるとは意味しない。合成の受容される原則は、本開示の実施において出発点を規定する示唆に過ぎず、当業者に修正されることがあるが、依然として、本開示の進歩性のある教示によっている。
【0194】
上述の具体例と他の記述から明白なように、以下の特定の化学剤が、アンカー表面処理成分、シラン表面「アンカー」として有効であることが判明した。、即ち、これらは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルジメチルエトキシシランである。
【0195】
以下の特定の代表的化学剤が、リンカー表面処理成分(「リンカー」)として有効であることが判明した。即ち、これらは、一般的には、エポキシ官能性長鎖高分子、特にビスフェノールA、さらに特には、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社(Resolution Performance Products)のエポン(Epon)828である。さらに、アドコテ(Adcote)89R3高分子として商業的に知られ、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)製のポリエステルシラン・タイプの高分子が、有効であると判明した。
【0196】
当業者に明白なように、ナイロンは、核酸検出検定に使用する目下好適な基材である。ナイロンが、ニトロセルロースよりも目下好適である理由は、高い固有正電荷を有することである。ナイロンは、ペプチド主鎖結合と明確な末端基化学性とを有し、ニトロセルロースが提供できない電荷相互作用を提供することが一般的に認められている。ニトロセルロースへの生体分子結合は、主に疎水的相互作用に依存している。ナイロンへの生体分子結合は、電荷の機能であると信じられている。さらに、ナイロンは、修正して荷電され得ることにより、核酸に対するナイロンの結合容量を増加する。また、ナイロンは、ニトロセルロースより格段に強固であり、容易には破断せず、再片化、再プローブが可能であり、ニトロセルロースのような極端な火災危険性もなく、多数回の厳格な水洗とハイブリダイゼイション条件に対して扱いやすい。
【0197】
本開示の表面処理剤を構成する化学薬剤のアンカーとリンカーの成分は、基材/膜結合構造体の総括厚さに不均一性を追加したかもしれないが、最小の識別可能な極限の厚さと重量を有する付着層を生成し、核酸又はタンパク質分析物の結合又は検出に関与しない。このことは、厚さの不均一性を排除することにより接着層の存在に由来する物理的妨害の可能性を排除すると共に、化学反応に関与する可能性のあった、添加物質の存在による化学的妨害の可能性を排除する。
【0198】
上述の具体例に照らすと共に本開示によれば、付着層を生成する表面処理剤の成分を含む種々の化学薬剤に対する以下の一般的記述が、特定の用途と本明細書に記載の特定の目的に有用な特定の化学薬剤に代表的であると信じられる。
【0199】
アンカー
本開示による目下好適な代表的実施例の有機シランは、以下の構造体である。
【0200】
1.SiR1X3
2.SiR1XA2
3.SiR1X2A
式中、R1は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々は、末端官能基R2を持ち、ここで、R2は、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキルヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、二置換アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミノ、置換スルフォンアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシである。
【0201】
R1の具体例は、3−アミノプロピル、3−アミノプロピルメチル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチル、アミノフェニル、4−アミノブチルジメチル、アミノエチルアミノメチルフェネチル、又はこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0202】
シランの具体例は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチルー3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、又はこれらの混合物を含む。また、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(−4−ビニルベンジル)エチレンジアミン、トリエトキシビニルシラン、トリエチルビニルシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリメチルシランである。
【0203】
Aは、任意のアルキル、エーテル、ハライド、R5−O−、及び/又はR6−O−であり、ここでR5及びR6は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロである。具体例は、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチルビニル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、メチルビニル、クロロ、エトキシビニル、ビニルトリクロロ、ビニルトリメトキシ、ビニルトリメチル、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0204】
Xは、ガラス表面に縮合重合できる加水分解性基であり、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、R5−O−、及び/又はR6−O−を含み、ここでR5及びR6は、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロ基である。
【0205】
リンカー分子
好適実施例での使用に適するリンカー分子は、ナイロンに結合できる官能基を有する、任意の架橋結合できる分子を含む。適切な分子は、ビスフェノール「A」、また、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、
イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレート、又はポリエステル(飽和及び不飽和)を含むがこれらに限定されない。
【0206】
適正リンカーの特定の具体例は、レゾルーション・パフォーマンス・プロヅクツ社から市販されるエポン(Epon)828(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)とローム・アンド・ハース社から市販されるアドコテ(Adcote)89R3、ポリエステルシランを含む。
【0207】
架橋剤
架橋用適正分子は、リンカーに結合できる、少なくとも2つの官能基を持つ任意の分子を含む。分子の非官能性鎖の長さ延在部(又は「主鎖」)は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、および類似分子のような重合することができるモノマー又はn−マーを含むことがある。さらに、架橋分子は、また、第2リンカーの機能を行うことにより、架橋剤が、意図するリンカー及びナイロンに結合することがある。
【0208】
さらなる「主鎖」は、目的リンカー分子と結合する反復官能基を含むことができる任意の脂肪族又は芳香族分子を含む。適正官能基は、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキル−ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシから選択される(が、これらに限定されない)。
【0209】
特定の具体例は、レゾルーション・パフォーマンス・プロヅクツ社から市販されるエピクレ(Epikure)3125、3115及びW50、及びテトラエチレンペンタアミン(ダウ社)のような市販される架橋剤を含む。
【0210】
本開示により可能な最も広い説明に教示するように、当業者が、容易に決定できることが明白でなければならないことは、異なる二官能性シランがガラス中に又は二官能性反応高分子がガラス(又は他の固体基材)中に如何にしてアンカーするのか、及び、結合可能な官能基を有する任意の多孔性基材に対して直接にまたは中間体を介して結合する他末端基を如何にして使用するのか、である。全てのそのような作用可能な結合は、当業者が不当に実験せずに同じことを完成するに十分に本開示により教示されたと信じられる。
【0211】
本開示について、アンカー及びリンカーとして、他の薬剤をもちいたときに同一のまたは同様の結果を立証するために実験が未だ行われていないけれども、本開示の他の化学薬剤が、同様の化学組成、両立性官能基、及び開示された化学薬剤の構造の故に、有用な目的のために複合体微小配列スライドをつくるための多数の表面処理剤の処理に有用であり得るということが目下信じられている。
【0212】
このようにして、上述から明らかでなければならないことは、本開示が、表面に生体高分子の配列を担持するに有用な改良複合体微小配列スライドを提供したことであり、さらに具体的には、転相方法により形成され表面処理剤を含む化学薬剤を介して共有結合又は水素結合により作用可能に基材に付着される多孔性膜を持つ改良複合体微小配列スライドを提供したことであり、表面処理剤が、表面処理剤から得られ中間に形成された付着層を介して微孔性膜に十分に結合するように基材を調製した結果、このようにしてつくられた結合体が、微小配列用途に有用であるということである。特に、本開示の改良複合体微小配列スライドは、多孔性媒体と基材を含み、種々の試験溶液、特に、例えば、4xSSCのようなハイブリダイゼイション溶液におけるナイロン−ガラス・スライドの残存性の主要な機能問題を克服する付着層を形成する結果となる化学薬剤を含む表面処理剤により結合される。さらに、許容可能な美的特性と均一性を維持するという問題であったが、溶媒抵抗性(例えば、DMF)が、また、克服された。さらに、顔料添加膜が、低い反射性と低い蛍光の結果を与えた。
【0213】
本明細書に含まれる物品をつくるための物品、装置及び方法が、本発明の好適実施例を構成するけれども、開示は、これらの正確な物品、装置及び方法に限定されず、変更が、付属の特許請求の範囲に規定される開示の範囲から逸脱しない範囲でなされ得ることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本開示に有用な代表的有機シランのグラフ図である。
【図2】ガラス表面に結合する代表的アミノシランの代表的グラフ図である。
【図3】代表的エポキシ基の代表的カルボキシル及びアミンとの結合の代表的グラフ図である。
【図4】代表的エポキシ・リンカーの代表的アミノシラネートされたスライドとの結合の代表的グラフ図である。
【図5】代表的エポキシ・リンカーの代表的ポリアミド架橋剤への結合の代表的グラフ図である。
【図6】代表的ナイロン膜の、代表的エポキシ・リンカーと代表的ポリアミド架橋剤とを用いる、ガラスへの結合の代表的グラフ図である。
【図7】代表的グリシドシランの代表的グラフ図である。
【図8】代表的グリシドシランによって、ガラスに共有結合された代表的ポリアミド架橋剤の代表的グラフ図である。
【図9A】上に列挙した代表的エポキシ化学剤を用いる、代表的スライドについて写された電子顕微鏡写真である。
【図9B】上に列挙した代表的エポキシ化学剤を用いる、代表的スライドについて写された電子顕微鏡写真である。
【図10A】本開示に有用な「アンカー」部分の代表的一般形態を示す。
【図10B】本開示に有用な「リンカー」分子の代表的一般形態を示す。
【図10C】本開示に有用な、代表的一般の「硬化用」分子、架橋剤、又は第2リンカーを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転相方法により形成される微孔性膜と、
非多孔性基材と、
付着層と、前記付着層が、少なくとも1つのアンカーと少なくとも1つのリンカーを含み、前記付着層が、前記微孔性膜と非多孔性基材との間に作用可能に配置され、前記付着層が、微孔性膜に非多孔性基材を十分に結合する結果、結合体複合体微小配列スライドが、微小配列用途に有用であり、
を含む生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライド。
【請求項2】
前記付着層が、0.1〜12μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項3】
前記付着層が、2〜5μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項4】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項5】
前記付着層が、均一な厚さを有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項6】
前記付着層が、最小限度の厚さ又は重量を有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項7】
前記付着層が、前記微小配列スライドの総括厚さの不均一性を排除する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項8】
前記微孔性膜が、十分な量の顔料を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項9】
前記顔料が、カーボン・ブラックを含む、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項10】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項11】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項12】
微孔性膜が、非対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項13】
微孔性膜が、対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項14】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項15】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の結合にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項16】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項17】
前記生体高分子が、核酸を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項18】
前記生体高分子が、タンパク質を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項19】
前記生体高分子が、ペプチドを含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項20】
前記生体高分子が、酵素を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項21】
前記生体高分子が、抗体を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項22】
前記生体高分子が、核酸を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項23】
前記生体高分子が、タンパク質を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項24】
前記生体高分子が、ペプチドを含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項25】
前記生体高分子が、酵素を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項26】
前記生体高分子が、抗体を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項27】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項28】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項29】
60℃で2週間 4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項30】
前記付着層が、ポリアミド−ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂と作用可能に反応した有機シランを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項31】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン又はこれらの等価物質を含む群から選択される、請求項30に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項32】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シラン、SiR1X3含み、
式中、R1が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々が、末端官能基を有し、ここで、前記末端官能基が、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アリルヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アクリルハライド、又はカルボキシル基、アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシであり、
Xが、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、水素、アルキル、R5−O−、及び/又はR6−O−からなる群から選択され、ここでR5及びR6は、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、ヘテロシクロ、又これらの等価基である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項33】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シラン、SiR1XmAnを含み、
式中、mが、1又は2であり、nが、1又は2であり、
R1が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々が、末端官能基を有し、ここで、前記末端官能基が、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキルヒドロキシ、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシであり、
Aが、アルキル、エーテル、ハライド、R5−O−、及び/又はR6−O−からなる群から選択され、ここでR5及びR6は、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロであり、
Xが、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、水素、アルキル、R5−O−、及び/又はR6−O−を含み、ここでR5及びR6が、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、ヘテロシクロ、又これらの等価基である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項34】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シランを含み、前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシランを含む群から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項35】
前記リンカーが、前記アンカーに結合することができる少なくとも1つの官能基と、ナイロンに結合することができる少なくとも1つの官能基とを含む高分子を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項36】
前記リンカーが、飽和ポリエステル又は不飽和ポリエステルを含む、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項37】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、アドコテ89R3、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、又はトリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレートを含む群から選択される、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項38】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」を含む、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項39】
前記リンカーが、アドコテ89R3を含む、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項40】
前記付着層が、架橋剤を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項41】
前記架橋剤が、主鎖と少なくとも2つの官能基を含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項42】
前記架橋剤の前記主鎖が、リンカー分子に結合する少なくとも2つの官能基を含む脂肪族部分又は芳香族部分を含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項43】
前記架橋剤の前記主鎖が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ABS(アクリロニトリルブタジエン−スチレン共重合体)、又は等価物質を含む群から選択される、請求項41に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項44】
前記官能基が、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキル−ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、エポキシ、又は等価基を含む群から選択される、請求項42に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項45】
前記官能基が、前記微孔性膜に第2リンカー機能を提供する、請求項42に記載の架橋剤。
【請求項46】
前記架橋剤が、ポリアミンを含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項47】
前記架橋剤が、エピクレ3125、エピクレ3115、エピクレW50、又はテトラエチレンペンタミンを含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項48】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、又はポリアラミドを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項49】
前記微孔性膜が、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン6−12、ナイロン高分子配合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ニトロセルロース、ポリ二弗化ビニリデン(PVDF)、又は等価物質を含む群から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項50】
非多孔性基材を準備する工程と、
転相方法により形成された微孔性膜を準備する工程と、
表面処理剤を準備する工程と、ここで、前記表面処理剤が、有機シランを含み、
前記表面処理剤を前記非多孔性基材に付与する工程と、
前記非多孔性基材が、微小配列用途にて遭遇する厳しい環境に耐えるに十分に前記微孔性膜に結合するように、前記非多孔性基材と前記多孔性膜との間に付着層を形成するために、付与された前記表面処理剤を有する前記非多孔性基材を前記多孔性膜と作用可能に統合する工程と、
を含む、生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライドを作製する方法。
【請求項51】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材の表面を覆っている、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
表面処理剤を付与することにより最小厚さを有する付着層がつくられる、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記付着層が、0.1〜12μmの間の厚さである、請求項53に記載の表面処理剤。
【請求項55】
前記付着層が、2〜5μmの間の厚さである、請求項53に記載の表面処理剤。
【請求項56】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項53に記載の表面処理剤。
【請求項57】
前記多孔性基材が前記微孔性膜に作用可能に統合されることにより均一な付着層が形成される、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記付着層が、非多孔性基材に付与され、前記複合体微小配列スライドの総括厚さに均一性を加える最小限度の厚さ又は重量を生成する、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
付着層を付与することにより基材/膜結合構造体の前記総括厚さの不均一性を排除する、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
十分な量の顔料を含む微孔性膜を準備することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記顔料が、カーボン−ブラックである、請求項60に記載の微孔性膜。
【請求項62】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項60の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項63】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項60の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項64】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、キャスト後のように湿潤した状態である、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、乾燥している、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記微孔性膜が、非対称である、請求項50に記載の微孔性膜。
【請求項67】
前記微孔性膜が、対称である、請求項50に記載の微孔性膜。
【請求項68】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の結合において最小の妨害になる、請求項50に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項69】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出において最小の妨害になる、請求項50に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項70】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項50に記載の方法。
【請求項71】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項50に記載の方法。
【請求項72】
60℃で2週間4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項50に記載の方法。
【請求項73】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン、又は等価物質を含む群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項74】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、又はポリアラミドを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項75】
前記非多孔性基材が、ガラスを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項76】
前記非多孔性基材が、ポリエステルを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項77】
前記非多孔性基材が、マイラーを含む、請求項50に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転相方法により形成される微孔性膜と、
非多孔性基材と、
付着層と、前記付着層が、少なくとも1つのアンカーと少なくとも1つのリンカーを含み、
ここで、前記付着層が、前記微孔性膜と非多孔性基材との間に作用可能に配置され、前記付着層が、結合体複合体微小配列スライドが微小配列用途に有用であるように、微孔性膜に非多孔性基材を十分に結合し、且つ、前記付着層が、0.1〜12μmの厚さであり、
を含む生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライド。
【請求項2】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、アドコテ89R3、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、又はトリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレートを含む群から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項3】
前記付着層が、2〜5μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項4】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項5】
前記付着層が、均一な厚さを有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項6】
前記付着層が、最小限度の厚さ又は重量を有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項7】
前記付着層が、前記微小配列スライドの総括厚さの不均一性を排除する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項8】
前記微孔性膜が、十分量の顔料を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項9】
前記顔料が、カーボン・ブラックを含む、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項10】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項11】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項12】
微孔性膜が、非対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項13】
微孔性膜が、対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項14】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項15】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の前記結合にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項16】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項17】
前記生体高分子が、核酸、タンパク質、酵素、及び/又は抗体から選択される、請求項15又は16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項18】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項19】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項20】
60℃で2週間 4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項21】
前記付着層が、ポリアミド−ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂と作用可能に反応した有機シランを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項22】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン又はこれらの等価物質を含む群から選択される、請求項21に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項23】
前記少なくとも1つのアンカーが、SiR1X3又はSiR1XmAnから選択される式を有する有機シランを含み、
式中、mが、1又は2であり、nが、1又は2であり、
R1が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々が、末端官能基を有し、ここで、前記末端官能基が、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキルヒドロキシ、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシであり、
Xが、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、水素、アルキル、R5−O−、及び/又はR6−O−から選択され、ここでR5及びR6が、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、ヘテロシクロ、であり、且つ、
Aが、アルキル、エーテル、ハライド、R5−O−、及び/又はR6−O−から選択され、ここでR5及びR6が、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロ、又はこれらの等価基である、
請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項24】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シランを含み、前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシランから選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項25】
前記リンカーが、前記アンカーに結合することができる少なくとも1つの官能基と、ナイロンに結合することができる少なくとも1つの官能基とを含む高分子を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項26】
前記リンカーが、飽和ポリエステル又は不飽和ポリエステルを含む、請求項25に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項27】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、又はアドコテ89R3を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項28】
前記付着層が、架橋剤を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項29】
前記架橋剤が、主鎖と少なくとも2つの官能基を含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項30】
前記架橋剤の前記主鎖が、リンカー分子に結合する少なくとも2つの官能基を含む脂肪族部分又は芳香族部分を含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項31】
前記架橋剤の前記主鎖が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ABS(アクリロニトリルブタジエン−スチレン共重合体)、又は等価物質から選択される、請求項29に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項32】
前記官能基が、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキル−ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、エポキシ、又は等価基から選択される、請求項30に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項33】
前記架橋剤が、前記微孔性膜に第2リンカー機能を提供する官能基を含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項34】
前記架橋剤が、ポリアミンを含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項35】
前記架橋剤が、エピクレ3125、エピクレ3115、エピクレW50、又はテトラエチレンペンタアミンを含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項36】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、又はポリアラミドを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項37】
前記微孔性膜が、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン6−12、ナイロン高分子配合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ニトロセルロース、ポリ二弗化ビニリデン(PVDF)、又は等価物質から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項38】
非多孔性基材を準備する工程と、
転相方法により形成された微孔性膜を準備する工程と、
表面処理剤を準備する工程と、ここで、前記表面処理剤が、付着層を与えることを含み、前記表面付着層が、少なくとも1つの有機シラン・アンカーと少なくとも1つのリンカーを含み、且つ、前記付着層が、0.1〜12μmの厚さであり、
前記表面処理剤を前記非多孔性基材に付与する工程と、
前記非多孔性基材が、微小配列用途にて遭遇する厳しい環境に耐えるに十分に前記微孔性膜に結合するように;前記非多孔性基材と前記多孔性膜との間に前記付着層を形成するために、付与された前記表面処理剤を有する前記非多孔性基材を前記多孔性膜と作用可能に統合する工程と、
を含む、生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライドを作製する方法。
【請求項39】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材の表面を覆っている、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
表面処理剤を付与することにより最小厚さを有する付着層がつくられる、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、アドコテ89R3、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、又はトリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレートから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記付着層が、2〜5μmの間の厚さである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記多孔性基材が前記微孔性膜に作用可能に統合されることにより、均一な付着層が、形成される、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記付着層が非多孔性基材に付与され、前記複合体微小配列スライドの総括厚さに均一性を加える最小限度の厚さ又は重量を生成する、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
付着層を付与することにより、基材/膜結合構造体の前記総括厚さの不均一性を排除する、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
十分量の顔料を含む微孔性膜を準備することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記顔料が、カーボン−ブラックである、請求項48に記載の微孔性膜。
【請求項50】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項48の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項51】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項48の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項52】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、キャスト後の湿潤した状態である、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、乾燥している、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記微孔性膜が、非対称である、請求項38に記載の方法。
【請求項55】
前記微孔性膜が、対称である、請求項38に記載の方法。
【請求項56】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の前記結合において最小の妨害になる、請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出において最小の妨害になる、請求項38に記載の方法。
【請求項58】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
60℃で2週間4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項38に記載の方法。
【請求項61】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン、又は等価物質から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、ポリエステル、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、及びポリアラミドから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、又はポリエステルを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項1】
転相方法により形成される微孔性膜と、
非多孔性基材と、
付着層と、前記付着層が、少なくとも1つのアンカーと少なくとも1つのリンカーを含み、前記付着層が、前記微孔性膜と非多孔性基材との間に作用可能に配置され、前記付着層が、微孔性膜に非多孔性基材を十分に結合する結果、結合体複合体微小配列スライドが、微小配列用途に有用であり、
を含む生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライド。
【請求項2】
前記付着層が、0.1〜12μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項3】
前記付着層が、2〜5μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項4】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項5】
前記付着層が、均一な厚さを有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項6】
前記付着層が、最小限度の厚さ又は重量を有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項7】
前記付着層が、前記微小配列スライドの総括厚さの不均一性を排除する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項8】
前記微孔性膜が、十分な量の顔料を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項9】
前記顔料が、カーボン・ブラックを含む、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項10】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項11】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項12】
微孔性膜が、非対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項13】
微孔性膜が、対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項14】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項15】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の結合にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項16】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項17】
前記生体高分子が、核酸を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項18】
前記生体高分子が、タンパク質を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項19】
前記生体高分子が、ペプチドを含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項20】
前記生体高分子が、酵素を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項21】
前記生体高分子が、抗体を含む、請求項15に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項22】
前記生体高分子が、核酸を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項23】
前記生体高分子が、タンパク質を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項24】
前記生体高分子が、ペプチドを含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項25】
前記生体高分子が、酵素を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項26】
前記生体高分子が、抗体を含む、請求項16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項27】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項28】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項29】
60℃で2週間 4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項30】
前記付着層が、ポリアミド−ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂と作用可能に反応した有機シランを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項31】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン又はこれらの等価物質を含む群から選択される、請求項30に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項32】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シラン、SiR1X3含み、
式中、R1が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々が、末端官能基を有し、ここで、前記末端官能基が、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アリルヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アクリルハライド、又はカルボキシル基、アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシであり、
Xが、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、水素、アルキル、R5−O−、及び/又はR6−O−からなる群から選択され、ここでR5及びR6は、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、ヘテロシクロ、又これらの等価基である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項33】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シラン、SiR1XmAnを含み、
式中、mが、1又は2であり、nが、1又は2であり、
R1が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々が、末端官能基を有し、ここで、前記末端官能基が、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキルヒドロキシ、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシであり、
Aが、アルキル、エーテル、ハライド、R5−O−、及び/又はR6−O−からなる群から選択され、ここでR5及びR6は、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロであり、
Xが、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、水素、アルキル、R5−O−、及び/又はR6−O−を含み、ここでR5及びR6が、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、ヘテロシクロ、又これらの等価基である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項34】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シランを含み、前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシランを含む群から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項35】
前記リンカーが、前記アンカーに結合することができる少なくとも1つの官能基と、ナイロンに結合することができる少なくとも1つの官能基とを含む高分子を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項36】
前記リンカーが、飽和ポリエステル又は不飽和ポリエステルを含む、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項37】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、アドコテ89R3、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、又はトリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレートを含む群から選択される、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項38】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」を含む、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項39】
前記リンカーが、アドコテ89R3を含む、請求項35に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項40】
前記付着層が、架橋剤を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項41】
前記架橋剤が、主鎖と少なくとも2つの官能基を含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項42】
前記架橋剤の前記主鎖が、リンカー分子に結合する少なくとも2つの官能基を含む脂肪族部分又は芳香族部分を含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項43】
前記架橋剤の前記主鎖が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ABS(アクリロニトリルブタジエン−スチレン共重合体)、又は等価物質を含む群から選択される、請求項41に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項44】
前記官能基が、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキル−ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、エポキシ、又は等価基を含む群から選択される、請求項42に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項45】
前記官能基が、前記微孔性膜に第2リンカー機能を提供する、請求項42に記載の架橋剤。
【請求項46】
前記架橋剤が、ポリアミンを含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項47】
前記架橋剤が、エピクレ3125、エピクレ3115、エピクレW50、又はテトラエチレンペンタミンを含む、請求項40に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項48】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、又はポリアラミドを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項49】
前記微孔性膜が、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン6−12、ナイロン高分子配合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ニトロセルロース、ポリ二弗化ビニリデン(PVDF)、又は等価物質を含む群から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項50】
非多孔性基材を準備する工程と、
転相方法により形成された微孔性膜を準備する工程と、
表面処理剤を準備する工程と、ここで、前記表面処理剤が、有機シランを含み、
前記表面処理剤を前記非多孔性基材に付与する工程と、
前記非多孔性基材が、微小配列用途にて遭遇する厳しい環境に耐えるに十分に前記微孔性膜に結合するように、前記非多孔性基材と前記多孔性膜との間に付着層を形成するために、付与された前記表面処理剤を有する前記非多孔性基材を前記多孔性膜と作用可能に統合する工程と、
を含む、生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライドを作製する方法。
【請求項51】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材の表面を覆っている、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
表面処理剤を付与することにより最小厚さを有する付着層がつくられる、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記付着層が、0.1〜12μmの間の厚さである、請求項53に記載の表面処理剤。
【請求項55】
前記付着層が、2〜5μmの間の厚さである、請求項53に記載の表面処理剤。
【請求項56】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項53に記載の表面処理剤。
【請求項57】
前記多孔性基材が前記微孔性膜に作用可能に統合されることにより均一な付着層が形成される、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記付着層が、非多孔性基材に付与され、前記複合体微小配列スライドの総括厚さに均一性を加える最小限度の厚さ又は重量を生成する、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
付着層を付与することにより基材/膜結合構造体の前記総括厚さの不均一性を排除する、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
十分な量の顔料を含む微孔性膜を準備することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記顔料が、カーボン−ブラックである、請求項60に記載の微孔性膜。
【請求項62】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項60の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項63】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項60の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項64】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、キャスト後のように湿潤した状態である、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、乾燥している、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記微孔性膜が、非対称である、請求項50に記載の微孔性膜。
【請求項67】
前記微孔性膜が、対称である、請求項50に記載の微孔性膜。
【請求項68】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の結合において最小の妨害になる、請求項50に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項69】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出において最小の妨害になる、請求項50に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項70】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項50に記載の方法。
【請求項71】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項50に記載の方法。
【請求項72】
60℃で2週間4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項50に記載の方法。
【請求項73】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン、又は等価物質を含む群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項74】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、又はポリアラミドを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項75】
前記非多孔性基材が、ガラスを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項76】
前記非多孔性基材が、ポリエステルを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項77】
前記非多孔性基材が、マイラーを含む、請求項50に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転相方法により形成される微孔性膜と、
非多孔性基材と、
付着層と、前記付着層が、少なくとも1つのアンカーと少なくとも1つのリンカーを含み、
ここで、前記付着層が、前記微孔性膜と非多孔性基材との間に作用可能に配置され、前記付着層が、結合体複合体微小配列スライドが微小配列用途に有用であるように、微孔性膜に非多孔性基材を十分に結合し、且つ、前記付着層が、0.1〜12μmの厚さであり、
を含む生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライド。
【請求項2】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、アドコテ89R3、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、又はトリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレートを含む群から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項3】
前記付着層が、2〜5μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項4】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項5】
前記付着層が、均一な厚さを有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項6】
前記付着層が、最小限度の厚さ又は重量を有する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項7】
前記付着層が、前記微小配列スライドの総括厚さの不均一性を排除する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項8】
前記微孔性膜が、十分量の顔料を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項9】
前記顔料が、カーボン・ブラックを含む、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項10】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項11】
顔料を含まない微孔性膜を持つ微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項8に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項12】
微孔性膜が、非対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項13】
微孔性膜が、対称である、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項14】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項15】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の前記結合にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項16】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出にて最小の妨害になる、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項17】
前記生体高分子が、核酸、タンパク質、酵素、及び/又は抗体から選択される、請求項15又は16に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項18】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項19】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項20】
60℃で2週間 4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項21】
前記付着層が、ポリアミド−ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂と作用可能に反応した有機シランを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項22】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン又はこれらの等価物質を含む群から選択される、請求項21に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項23】
前記少なくとも1つのアンカーが、SiR1X3又はSiR1XmAnから選択される式を有する有機シランを含み、
式中、mが、1又は2であり、nが、1又は2であり、
R1が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり;各々が、末端官能基を有し、ここで、前記末端官能基が、オレフィン、ビニル、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキルヒドロキシ、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、又はエポキシであり、
Xが、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリロキシ、アルカノイロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、水素、アルキル、R5−O−、及び/又はR6−O−から選択され、ここでR5及びR6が、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、ヘテロシクロ、であり、且つ、
Aが、アルキル、エーテル、ハライド、R5−O−、及び/又はR6−O−から選択され、ここでR5及びR6が、独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリル、又はヘテロシクロ、又はこれらの等価基である、
請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項24】
前記少なくとも1つのアンカーが、有機シランを含み、前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシランから選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項25】
前記リンカーが、前記アンカーに結合することができる少なくとも1つの官能基と、ナイロンに結合することができる少なくとも1つの官能基とを含む高分子を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項26】
前記リンカーが、飽和ポリエステル又は不飽和ポリエステルを含む、請求項25に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項27】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、又はアドコテ89R3を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項28】
前記付着層が、架橋剤を含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項29】
前記架橋剤が、主鎖と少なくとも2つの官能基を含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項30】
前記架橋剤の前記主鎖が、リンカー分子に結合する少なくとも2つの官能基を含む脂肪族部分又は芳香族部分を含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項31】
前記架橋剤の前記主鎖が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ABS(アクリロニトリルブタジエン−スチレン共重合体)、又は等価物質から選択される、請求項29に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項32】
前記官能基が、アクリレート、メタクリレート、又はアリルアミノ基;アルキル−ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、ハロ、アシルハライド、又はカルボキシル基;アリロキシ、アルカノイロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリルアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、置換アミン、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、アリルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、アルキルチオノ、アリルチオノ、アルキルスルフォニル、アリルスルフォニル、アラルキルスルフォニル、スルフォンアミド、置換スルフォンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、アルコキシカルボニル、エポキシ、又は等価基から選択される、請求項30に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項33】
前記架橋剤が、前記微孔性膜に第2リンカー機能を提供する官能基を含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項34】
前記架橋剤が、ポリアミンを含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項35】
前記架橋剤が、エピクレ3125、エピクレ3115、エピクレW50、又はテトラエチレンペンタアミンを含む、請求項28に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項36】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、又はポリアラミドを含む、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項37】
前記微孔性膜が、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン6−12、ナイロン高分子配合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ニトロセルロース、ポリ二弗化ビニリデン(PVDF)、又は等価物質から選択される、請求項1に記載の複合体微小配列スライド。
【請求項38】
非多孔性基材を準備する工程と、
転相方法により形成された微孔性膜を準備する工程と、
表面処理剤を準備する工程と、ここで、前記表面処理剤が、付着層を与えることを含み、前記表面付着層が、少なくとも1つの有機シラン・アンカーと少なくとも1つのリンカーを含み、且つ、前記付着層が、0.1〜12μmの厚さであり、
前記表面処理剤を前記非多孔性基材に付与する工程と、
前記非多孔性基材が、微小配列用途にて遭遇する厳しい環境に耐えるに十分に前記微孔性膜に結合するように;前記非多孔性基材と前記多孔性膜との間に前記付着層を形成するために、付与された前記表面処理剤を有する前記非多孔性基材を前記多孔性膜と作用可能に統合する工程と、
を含む、生体高分子の微小配列を担持するに有用な複合体微小配列スライドを作製する方法。
【請求項39】
前記付着層が、前記非多孔性基材と前記微孔性膜を共有結合で結合する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材の表面を覆っている、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
表面処理剤を付与することにより最小厚さを有する付着層がつくられる、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記リンカーが、ビスフェノール「A」、アドコテ89R3、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アリルアミン、アリルエチルアミン、4−アミノスチレン、2−アミノエチルメタクリレート、クロロスチレン、ジクロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルベンジルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリアリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、N,N’−フェニレンジアクリルアミド、3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(14/3EO/OH)トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート(7/3EO/OH)トリアクリレート、トリエチロールプロパンプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、又はトリメチロールプロパンプロポキシレート(2PO/PH)トリアクリレートから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記付着層が、2〜5μmの間の厚さである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記付着層が、3μmの厚さである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記多孔性基材が前記微孔性膜に作用可能に統合されることにより、均一な付着層が、形成される、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記付着層が非多孔性基材に付与され、前記複合体微小配列スライドの総括厚さに均一性を加える最小限度の厚さ又は重量を生成する、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
付着層を付与することにより、基材/膜結合構造体の前記総括厚さの不均一性を排除する、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
十分量の顔料を含む微孔性膜を準備することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記顔料が、カーボン−ブラックである、請求項48に記載の微孔性膜。
【請求項50】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い蛍光が、観察される、請求項48の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項51】
顔料を有しない微孔性膜付き微小配列スライドに比較して、低い反射が、観察される、請求項48の方法によりつくられた複合体微小配列スライド。
【請求項52】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、キャスト後の湿潤した状態である、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記微孔性膜が、前記非多孔性基材に作用可能に統合されるに先立ち、乾燥している、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記微孔性膜が、非対称である、請求項38に記載の方法。
【請求項55】
前記微孔性膜が、対称である、請求項38に記載の方法。
【請求項56】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の前記結合において最小の妨害になる、請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記付着層の存在が、前記生体高分子の検出において最小の妨害になる、請求項38に記載の方法。
【請求項58】
6時間を越えて有機溶媒系に委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
60℃で10時間を越えて4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
60℃で2週間4xSSCに委ねられたとき、前記微孔性膜が、前記非多孔性基材からはっきりとは剥離されない、請求項38に記載の方法。
【請求項61】
前記有機シランが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン、又は等価物質から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、ポリエステル、セラミック、アクリル、ポロプロピレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアミド、及びポリアラミドから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
前記非多孔性基材が、ガラス、マイラー、又はポリエステルを含む、請求項62に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2006−522936(P2006−522936A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508903(P2006−508903)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/006031
【国際公開番号】WO2004/095025
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(399044506)キュノ、インコーポレーテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】CUNO INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/006031
【国際公開番号】WO2004/095025
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(399044506)キュノ、インコーポレーテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】CUNO INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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