説明

改質したイコデキストリンを含む腹膜透析溶液

【課題】安定な浸透圧剤を提供すること
【解決手段】本発明は、熱安定性浸透圧剤(例えば、イコデキストリンの還元、酸化またはグリコシル化によりそれぞれ提供されるD−グルシトール、グルコン酸およびアルキルグルコシド)を含む腹膜透析溶液を提供する。結果として、オートクレービングまたは熱滅菌条件下で安定な浸透圧剤が提供され、これは滅菌した腹膜透析溶液中の生体適合性材料の量を減少させる。D−グルシトール、グルコン酸およびアルキルグルコシドを調製する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に腹膜透析およびそれに用いる溶液に関する。より詳細には、本発明は、腹膜透析溶液中の改質したイコデキストリン(icodextrin)の使用に関し、このイコデキストリンは浸透圧剤として、および浸透圧剤としてのグルコースの使用の代替物としてのものである。本発明はさらに、オートクレーブ条件下で安定である腹膜透析溶液を調製する方法に関する。
【0003】
透析は、特定の患者における腎機能を補助するまたは肩代わりするための方法を提供する。主に、血液透析および腹膜透析は、現在利用されている2つの方法である。
【0004】
血液透析において、患者の血液は人工腎透析機に通される。この機器の膜は、血液を浄化するための人工腎として働く。それは特殊な機械を必要とする体外処置であるので、血液透析は透析機の有効性、ならびに感染および汚染の可能性などの特定の固有の不利益を伴う。
【0005】
血液透析に関するこの不利益を克服するため、腹膜透析が開発された。腹膜透析は、患者自身の腹膜を半透膜として利用する。この腹膜は、身体の腹骨盤壁の膜状内層である。腹膜は、その大多数の血管および毛細血管のために天然の半透膜として作用し得る。
【0006】
操作において、腹膜透析溶液はカテーテルを利用して腹膜キャビティへ導入される。十分な時間の後、透析液と血液との間の溶質の交換が達成される。液体の除去が透析液から血液まで適切な浸透圧勾配を提供することによって達成され、水分が血液から流出することが可能になる。これは適切な酸−塩基、電解質および液体バランスを血液中に達成させることを可能にする。適切なドウェル期間の後、透析溶液または透析液はカテーテルによって身体から抜き出される。
【0007】
従来の腹膜透析溶液は、生理的浸透圧(約285mOsmol/kg)より高い溶液の浸透圧を維持するために、浸透圧剤としてグルコースを含む。グルコースは浸透圧剤として好ましい。なぜなら、それは迅速な限外濾過速度を与えるからである。しかし、グルコースの使用に関して特定の不利益がある。
【0008】
例えば、グルコースはオートクレービングまたは蒸気滅菌の間に水溶液中で、5−ヒドロキシメチル−フルフラール(5−MHF)へ分解することが知られている。Smithら、AM.J. Hosp. Pharm.,34:205−206(1977)。5−HMFは腹膜に有害であると考えられているので(Hendersonら、Blood Purif.,7:86−94(1989))、グルコースと同等の効果を有するが、オートクレービングまたは滅菌の間に5−HMFまたは他の有害な分解生成物を生じない浸透圧剤を含む腹膜透析溶液を有することが所望される。要するに、グルコースに代わる浸透圧剤が必要とされる。
【0009】
腹膜透析溶液中で浸透圧剤として作用し得る化合物の1つのファミリーに、イコデキストリン(マルトデキストリン(maltodextrin)を含む)がある。しかし、これらの化合物が浸透圧剤としての使用に適する一方で、これらはまた、熱滅菌の間に分解してアルドン酸およびホルムアルデヒドになることが知られている。腹膜透析溶液中のホルムアルデヒドの存在は、その乏しい生体適合性のために適切でないので、浸透圧剤としてグルコースの代わりのイコデキストリン(マルトデキストリンを含む)の使用は、十分ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Smithら、AM.J. Hosp. Pharm.,34:205−206(1977)
【非特許文献2】Hendersonら、Blood Purif.,7:86−94(1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、グルコース以外の浸透圧剤を利用し、オートクレービングまたは蒸気滅菌条件下で安定である改良された腹膜透析溶液が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、溶液に、α−1,4結合によって優勢に連結されるグルコースポリマーを含む滅菌した腹膜透析溶液を提供することで前述の必要性に対する解決策を提供する。ポリマー分子内に他の結合(例えば、α−1,6結合)が同様に存在する(より少量であるが)ことが予測されるので、用語「優勢に」を使用する。従って、本明細書中で使用される、用語「優勢に」は、少なくとも85%を意味する。このように、α−1,4結合によって優勢に連結されるグルコースポリマーは、少なくとも85%の、番号でα−1,4結合を含む。
【0013】
1つの実施態様において、α−1,4結合によって優勢に連結されるグルコースポリマーは、以下の式
【0014】
【化7】

を有するD−グルシトール、以下の式
【0015】
【化8】

を有するグルコン酸、および以下の式
【0016】
【化9】

を有するアルキルグリコシドからなる群から選択され、ここで、RはCH3、CH3CH2
および(CH2OH)2CH、CH2(OH)CH(OH)CH2、ならびに(CH2OH)
(CHOHCH2OH)CHからなる群から選択される。
【0017】
1つの実施態様において、α−1,4結合によって優勢に連結される、腹膜透析溶液のグルコースポリマーは、他の結合(α−1,6結合を含むが、これに限定されない)を10%まで含有し得る。
【0018】
1つの実施態様において、本発明の腹膜透析溶液は、実質的にホルムアルデヒドを含まない。
【0019】
1つの実施態様において、本発明の腹膜透析溶液は、実質的にフルフラールを含まない。
【0020】
1つの実施態様において、浸透圧剤として使用されるデンプンは、実質的に末端アルデヒド基を含まない。
【0021】
1つの実施態様において、本発明は、腹膜透析溶液の安定化した浸透圧剤を調製する方法を提供し、この方法は、水に溶解したデンプンの溶液を提供し、そして部分的に加水分解したこのデンプンの溶液にデンプンを還元するためにNaBH4を添加する工程を包含
する。
【0022】
1つの実施態様において、本発明の方法は、還元したデンプン溶液を、陰イオン交換樹脂に通すことによって、還元したデンプン溶液を精製する工程をさらに包含する。
【0023】
1つの実施態様において、本発明の方法の溶解する工程および添加する工程は室温で実施される。
【0024】
1つの実施態様において、本発明の方法は、NaBH4をデンプン溶液に添加してこの
デンプンを還元した後、この溶液を約10時間スキャンさせる工程をさらに包含する。
【0025】
1つの実施態様において、本発明のデンプンは、マルトデキストリンである。
【0026】
1つの実施態様において、本発明の方法はマルトデキストリンを、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式
【0027】
【化10】

を有するD−グルシトールに還元する。
【0028】
1つの実施態様において、本発明は腹膜透析溶液の安定化した浸透圧剤を調製する方法を提供し、この方法は、水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、NaOClの溶液を提供する工程、およびこのNaOCl溶液をデンプン溶液に添加して、このデンプンを酸化する工程を包含する。
【0029】
1つの実施態様において、本発明の方法は、酸化したデンプン溶液を、ゲル浸透クロマトグラフに通すことによって、酸化したデンプン溶液を精製する工程をさらに包含する。
【0030】
1つの実施態様において、デンプンを酸化する工程は室温で実施される。
【0031】
1つの実施態様において、合わせた溶液を約2時間放置させる。
【0032】
1つの実施態様において、デンプンはマルトデキストリンである。
【0033】
1つの実施態様において、本発明の方法はマルトデキストリンを、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式
【0034】
【化11】

を有するグルコン酸に酸化する。
【0035】
1つの実施態様において、マルトデキストリンは電気化学的に酸化され得る。
【0036】
1つの実施態様において、本発明は腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法を提供し、この方法は酸、ならびにメタノール、ブタノール、グリセロールおよび他のアルコールからなる群から選択されるアルコールにデンプンを溶解させる工程を包含する。
【0037】
1つの実施態様において、この方法はデンプン、アルコールおよび酸を2〜16時間攪拌する工程をさらに包含する。
【0038】
1つの実施態様において、この方法はデンプン、アルコールおよび酸を約100℃の温度で攪拌する工程をさらに包含する。
【0039】
1つの実施態様において、デンプンはマルトデキストリンである。
【0040】
1つの実施態様において、酸は塩酸、または硫酸のような他の酸である。
【0041】
1つの実施態様において、本発明の方法はデンプンを、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式
【0042】
【化12】

を有するアルキルグリコシドに加水分解およびアルキル化し、ここで、RはCH3、CH3CH2および(CH2OH)2CHからなる群から選択される。過ヨウ素酸塩で前処理され
たデンプンに加水分解が起こる場合、Rはグリコール−分裂(split)グルコース単位の残余である。
【発明の効果】
【0043】
それゆえ、オートクレービングおよび蒸気滅菌条件下で安定である改良された腹膜透析溶液を提供することは、本発明の利点である。
【0044】
本発明の別の利点は、グルコースの代替として、改良された浸透圧剤を提供することである。
【0045】
本発明のさらに別の利点は、腹膜透析溶液を調製する改良された方法を提供することである。
【0046】
本発明のさらに別の利点は、オートクレービングまたは蒸気滅菌条件下で安定である腹膜透析溶液用の改良された浸透圧剤を提供することである。
【0047】
本発明のさらなる特徴および利点が本明細書中に記載され、これは本発明の好ましい実施態様の詳細な説明および添付の図面を参照することで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明に従って、グリコシル化によって調製された浸透圧剤の13C NMRスペクトルの図示である。
【図2】図2は、本発明に従って、グリコシル化によって調製された浸透圧剤の13C NMRスペクトルの図示である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(本発明の好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明は、オートクレーブおよび蒸気滅菌の条件下で安定な、浸透圧剤を含有する腹膜透析溶液を提供する。本発明の安定な浸透圧剤は、還元、酸化またはグリコシル化によって調製され得る。マルトデキストリンのような、還元性の末端単位を有するイコデキストリンが用いられる場合、本発明の還元、酸化またはグリコシル化手順は、このイコデキストリンを、それぞれ対応するD−グルシトール、グルコン酸およびアルキルグリコシドに変換する。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
還元型イコデキストリンは、20mlの水に溶解させた15gのマルトデキストリンを用いて開始することによって調製した。この溶液に1gのNaBH4を、室温で添加し、
この溶液を10時間静置した。次いで、この溶液を陰イオン交換樹脂を通して精製した。
【0051】
3つの異なるマルトデキストリン出発物質を利用した。1%グルコース、37%マルトース、20%マルトテトラオース(maltotetraose)および42%高分子量オリゴ糖を含有する、3%の重合度(DP)を有する低分子量(LMW)を使用した。2番目に、1%グルコース、2%マルトース、4%マルトテトラオースおよび94%高分子量オリゴ糖を含有する、14%の重合度を有する高分子量マルトデキストリン(HMW1)を利用した。3番目に、1%グルコース、3%マルトース、7%マルトテトラオースおよび90%高分子量オリゴ糖を含有する、9%の重合度を有する第2の高分子量マルトデキストリン(LMW2)を利用した。生成物および出発物質は、13C NMR分光法を使用して分析した。生成物のスペクトルには、出発物質の還元性末端単位に関係するシグナルは完全に消失した。いくらかの解重合が観察された。
【0052】
生成物を、中性のpHでの滅菌条件下で、安定性について試験した。滅菌後、還元型化合物について、284nmでの吸光度の変化の著しい減少(ΔAbs)が観測される。実施例1からの還元型化合物は、表1中で、HMW1 red、HMW2 redおよびLMW redと記載する。
【0053】
(実施例2)
実施例1に関して上に記載されたマルトデキストリンの3つの異なるサンプルを利用して、マルトデキストリン(15g)を水(30ml)に溶解し、デンプン溶液を、43℃の温度で、8±0.5のpHを有する、水酸化ナトリウムを含有する溶液(70ml)中の有効量のNaOClと合わせて、各サンプルで酸化反応を行った。合わせた溶液を約2時間静置し、そして生成溶液をゲル透過クロマトグラフィーによって精製した。また、生成物は13C NMR分光法を使用して分析し、表1に示すような滅菌条件下で、安定性について試験した。酸化生成物、HMW1 ox、HMW2 oxおよびLMW oxは、対照的な結果を示すが、これは、完全に精製されていない高分子量酸化生成物が原因である。
【0054】
【表1】

*グルコースおよびD(+)−グルコノラクトン溶液は2.5%、pH7である。
ΔAbs=滅菌後と滅菌前の吸光度の差
(実施例3)
本発明に従って安定な浸透圧剤を調製する第3の方法において、イコデキストリンをグリコシル化した。出発物質としてデンプン、およびアルキル化剤としてアルコールを使用して、グリコシル化反応を行った。ブタノールおよびグリセロールは、その生物的適合性のため選択した。反応生成物の分子量は、使用した温度、時間および酸の濃度に依存する。
【0055】
メタノールおよびブタノールによる加水分解は、約100℃の温度にて、酸(60mg)を含有するアルコール(540mg)中のデンプン(200mg)の懸濁液を、約2時間撹拌することによって行った。それぞれメタノールおよびブタノールを用いて、この反応から得られた2つの生成物の13C NMRスペクトルを、図1および2に示す。表2は、重合度(DP)および置換されていない還元性末端の割合を、反応条件の関数として提示する。このデータは、適切なNMRシグナル間(DP値については1H NMR、およ
び置換されていない還元性末端の割合については13CNMR)の比から得た。
【0056】
【表2】

(実施例4)
グリセロールを用いるアルコーリシスの場合、乾燥していないデンプン(1g)(湿気9%)およびグリセロール(2.7g)を使用し、異なる量の塩酸と共に、異なる期間、この混合物を100℃で撹拌して、反応を行った。過剰なグリセロールを、減圧下でエバポレートすることによって除去し、ゲル濾過によってさらなる精製を行った。この結果を表3に示す。
【0057】
【表3】

* 反応条件: デンプン200mg、グリセロール540mg
** 反応条件: デンプン600mg、グリセロール1.62g
*** 反応条件: 乾燥デンプン1g、グリセロール2.7g
完全に解重合した生成物、および4.7の重合度を有する生成物の13C NMRスペクトルを、図2に示す。グリコシドのアノマーのシグナルα(100.9ppm)およびβ(105.1ppm)、両方置換されたCH2シグナル(α=71.3ppm、β=73
ppm)およびグリセロールの非置換1級ヒドロキシル基(65.3ppm)、グリセロールの2級置換ヒドロキシル基のCHシグナル(α=81.5ppm、β=83ppm)を観察し得る。
【0058】
表3に示された1つの生成物の安定性を、滅菌条件下で安定性について試験し、284nmにおいて観測された変化をグルコースおよびメチルグリコシドの変化と比較する。
【0059】
【表4】

上記の浸透圧剤の透析効率を予測するインビトロ試験において、切り捨てて500ダルトンのSpectra Pore膜を有する小さな透析バッグ(直径15mm、高さ15cm)を、異なる濃度(サンプルの2.5、5.0%w/v)の水溶液(3ml)で満たした。余分な透析溶液を撹拌しながら、このバッグを37℃の蒸留水(200ml)に浸した。所定の時間(0、1、2、3、4、5、6時間)にて、透析バッグ内の容積の増加を重量により評価し、初めの容積と比較した増加割合(ΔW%)として表した。その平均結果を、表5に示し、グルコースおよびグルコース−1−ホスフェートについての結果と比較する。
【0060】
【表5】

従って、本発明は、グルコースに適切な置換基を提供する多数の熱安定性浸透圧剤、安定な浸透圧剤を含有する改善された腹膜透析溶液、ならびに改善された腹膜透析溶液を生成する種々の方法を提供する。
【0061】
本明細書中に記載された本発明の好ましい実施態様の、様々な変化および改変は、当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変化および改変は、本発明の精神および請求の範囲から逸脱することなく、そして、それに伴う利点が減少することなく行われ得る。従って、このような変化および改変は、添付の請求の範囲により網羅されることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、以下の溶液等が提供される。
(項1) 滅菌した腹膜透析溶液であって、以下:
複数の結合によって連結され、そして以下の式
【化1】

を有するD−グルシトール、以下の式
【化2】

を有するグルコン酸、および以下の式
【化3】

を有するアルキルグリコシドからなる群から選択されるグルコースポリマーであって、ここで、RはCH3、CH3CH2、(CH2OH)2CH、CH2(OH)CH(OH)CH2
、および[CH2(OH)CH(OH)CH2(OH)]CHからなる群から選択され、そして前記ポリマーを連結する前記複数の結合は、少なくとも85%の、番号でα−1,4結合を含む、ポリマー、
を含む、デンプンを含む、溶液。
(項2) 前記溶液がホルムアルデヒドを含まない、上記項1に記載の腹膜透析溶液。
(項3) 前記溶液がフルフラールを含まない、上記項1に記載の腹膜透析溶液。
(項4) 前記部分的に加水分解されたデンプンが末端アルデヒド基を含まない、上記項1に記載の腹膜透析溶液。
(項5) 腹膜透析溶液用の滅菌した浸透圧剤を調製する方法であって、前記方法は、以下の工程:
水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、
NaBH4を前記デンプン溶液に添加して、前記デンプンを還元する工程、
を包含する、方法。
(項6) 上記項5に記載の方法であって、前記方法は、以下の工程:
前記還元したデンプン溶液を、陰イオン交換樹脂に通すことによって、前記還元したデンプン溶液を精製する工程、
をさらに包含する、方法。
(項7) 前記溶解する工程および添加する工程が室温で実施される、上記項5に記載の方法。
(項8) 上記項6に記載の方法であって、前記方法は、添加する工程の後であって、かつ精製する工程の前に、以下の工程:
前記溶液を約10時間放置させる工程、
をさらに包含する、方法。
(項9) 前記デンプンがマルトデキストリンである、上記項5に記載の方法。
(項10) 上記項5に記載の方法であって、ここで、前記デンプンが、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式:
【化4】

を有するイコデキストリンに還元される、方法。
(項11) 腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法であって、以下の工程:
水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、
NaOClの溶液を提供する工程、
前記NaOCl溶液を前記デンプン溶液に添加して、前記デンプンを酸化する工程、
を包含する、方法。
(項12) 上記項11に記載の方法であって、前記方法は、以下の工程:
前記酸化したデンプン溶液を、ゲル浸透クロマトグラフに通すことによって、前記酸化したデンプン溶液を精製する工程、
をさらに包含する、方法。
(項13) 前記添加する工程が室温で実施される、上記項11に記載の方法。
(項14) 上記項12に記載の方法であって、前記方法は、添加する工程の後であって、かつ精製する工程の前に、以下の工程:
前記溶液を約2時間放置させる工程、
をさらに包含する、方法。
(項15) 前記デンプンがマルトデキストリンである、上記項11に記載の方法。
(項16) 上記項11に記載の方法であって、ここで、前記デンプンが、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式:
【化5】

を有するイコデキストリンに酸化される、方法。
(項17) 腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法であって、以下の工程:
酸、およびメタノール、ブタノールおよびグリセロールからなる群から選択されるアルコールにデンプンを溶解する工程、
を包含する、方法。
(項18) 上記項17に記載の方法であって、前記方法は、以下の工程:
前記デンプン、アルコールおよび酸を約2時間攪拌する工程、
をさらに包含する、方法。
(項19) 前記攪拌する工程が約100℃の温度で実施される、上記項17に記載の方法。
(項20) 前記デンプンがマルトデキストリンである、上記項17に記載の方法。
(項21) 前記酸がHClである、上記項17に記載の方法。
(項22) 上記項17に記載の方法であって、ここで、前記デンプンが、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式:
【化6】

を有するイコデキストリンにグリコシル化され、ここで、RがCH3、CH3CH2、および(CH2OH)2CHからなる群から選択される、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌した腹膜透析溶液であって、以下:
複数の結合によって連結され、そして以下の式
【化11】

を有するD−グルシトール、および以下の式
【化12】

を有するグルコン酸からなる群から選択されるグルコースポリマーであって、ここで、該ポリマーを連結する該複数の結合は、少なくとも85%の、番号でα−1,4結合を含む、ポリマー、
を含む、デンプンを含む、溶液。
【請求項2】
前記溶液がホルムアルデヒドを含まない、請求項1に記載の腹膜透析溶液。
【請求項3】
前記溶液がフルフラールを含まない、請求項1に記載の腹膜透析溶液。
【請求項4】
前記部分的に加水分解されたデンプンが末端アルデヒド基を含まない、請求項1に記載の腹膜透析溶液。
【請求項5】
腹膜透析溶液用の滅菌した浸透圧剤を調製する方法であって、該方法は、以下の工程:
水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、
NaBH4を該デンプン溶液に添加して、該デンプンを還元する工程、
を包含する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、該方法は、以下の工程:
前記還元したデンプン溶液を、陰イオン交換樹脂に通すことによって、該還元したデンプン溶液を精製する工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項7】
前記溶解する工程および添加する工程が室温で実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、該方法は、添加する工程の後であって、かつ精製する工程の前に、以下の工程:
前記溶液を約10時間放置させる工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項9】
前記デンプンがマルトデキストリンである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
請求項5に記載の方法であって、ここで、前記デンプンが、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式:
【化14】

を有するイコデキストリンに還元される、方法。
【請求項11】
腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法であって、以下の工程:
水に溶解したデンプンの溶液を提供する工程、
NaOClの溶液を提供する工程、
該NaOCl溶液を該デンプン溶液に添加して、該デンプンを酸化する工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、該方法は、以下の工程:
前記酸化したデンプン溶液を、ゲル浸透クロマトグラフに通すことによって、該酸化したデンプン溶液を精製する工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項13】
前記添加する工程が室温で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、該方法は、添加する工程の後であって、かつ精製する工程の前に、以下の工程:
前記溶液を約2時間放置させる工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項15】
前記デンプンがマルトデキストリンである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、ここで、前記デンプンが、α−1,4結合によって優勢に連結され、そして以下の式:
【化15】

を有するイコデキストリンに酸化される、方法。
【請求項17】
腹膜透析溶液用の安定化した浸透圧剤を調製する方法であって、以下の工程:
酸、およびメタノール、ブタノールおよびグリセロールからなる群から選択されるアルコールにデンプンを溶解する工程、
を包含する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、該方法は、以下の工程:
前記デンプン、アルコールおよび酸を約2時間攪拌する工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項19】
前記攪拌する工程が約100℃の温度で実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記デンプンがマルトデキストリンである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記酸がHClである、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−1309(P2010−1309A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219817(P2009−219817)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2008−259107(P2008−259107)の分割
【原出願日】平成11年11月18日(1999.11.18)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】