説明

放射加熱器を用いてアルミニウム含有ハニカム体を製造するためのプロセス

アルミニウム含有ハニカム体(1)を製造するための方法を開示する。当該方法は以下のステップを含む。すなわち、少なくとも部分的に構造化されたアルミニウムベースの金属膜が選択され、チャネル(5)を囲むハニカム構造(3)を形成するように、少なくとも部分的に構造化された金属膜(2)が積重ねられかつ/または巻かれ、少なくとも1つの放射加熱器(8)を用いて、金属膜(2)が、チャネル(5)の開口面(26)から加熱され、ハニカム構造が、少なくとも1つの小区域において、約2〜30秒後に約450℃〜600℃の温度になるように加熱され、金属膜(2)が接合技術によって少なくとも1つの小区域(9)において繋ぎ合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルミニウム含有ハニカム体を製造するためのプロセスに関し、少なくとも部分的に構造化された金属箔が、軸に対してほぼ平行に伸びる通路を備えたハニカム構造を形成するよう積重ねられかつ/または巻かれており、これらの金属箔は、少なくとも部分的に管状ケーシングに導入され、接合技術によって少なくとも小区域において互いに接続されている。この種類の金属ハニカム体は、たとえば、内燃機関からの排気ガスを浄化するための触媒支持体として用いられる。
【背景技術】
【0002】
公知のハニカム体、特に金属製の触媒支持体は、たとえば壁の薄い、滑らかなかつ/または波形の金属薄板箔を備えたハニカム構造を有し、当該金属薄板箔は、螺旋形またはS字型に巻かれ、円筒形または楕円の円筒形の管状ケーシングにおいて、溶接、はんだ付け、焼結、接着などの接合技術によって互いに接続されている。
【0003】
変動する熱応力を受けるこの種類のハニカム体の安定性を高めるために、ハニカム構造の金属薄板箔をたとえば端部側の或る小区域においてのみ接合技術によって互いに接続し、適切な場合には管状ケーシングにも接続することにより、熱応力が発生した場合に管状ケーシングおよびハニカム構造が妨げられずに膨張することを可能にし、結果として、ハニカム構造の分解および分離に繋がるハニカム構造の変動する塑性変形が回避されることが既に知られている。
【0004】
さらに、管状ケーシングに配置されたハニカム構造の端部側を接合技術によって接続するためのプロセスが公知であり、接合技術による接続は、高温炉において数時間にわたって続く不連続なプロセスにおいて実行される。個々のハニカム体は、この場合、バッチごとに炉に投入される。たとえば、特に金属薄板箔の表面における結晶の不所望な形成または酸化などの化学反応の発生を防止するために、接合プロセスは、たとえば、アルゴンおよび/または水素を含む遮蔽ガス雰囲気下の炉の中または真空中で実行される。これにより、特に、装置に対する経費が比較的高くなり、これに応じてコストが高くなる。
【0005】
さらに、誘導コイルを用いて、接合技術によって金属薄板箔の間に接続部を作製する連続したプロセスが公知である。誘導コイルを用いて少なくとも小区域を加熱するが、接合技術による金属薄板箔の接続部は、最終的には、たとえば、小区域に配置されたはんだが流れ始め、冷却後にこの種類の接続部を作り出すように作製されるべきである。接合技術による接続部の形に応じて、誘導コイルは、異なるAC電圧周波数で動作し、ハニカム体の対応する小区域に比較的近接して動かされなければならない。これにより、それぞれの小区域における接合技術による接続部の形成が不均一になる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このことに基づくと、この発明の目的は、アルミニウムを含有する金属箔の処理を可能にし、接合技術によって品質の改善された接続部を作製することのできる特に連続的な製造に適したハニカム体を製造するためのプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、請求項1に記載の特徴を有するプロセスによって達成される。当該プロセスのさらなる有利な構成が従属請求項に記載される。
【0008】
金属ハニカム体を製造するための、この発明に従ったプロセスは以下のステップを含む。すなわち、
− アルミニウムを基にした少なくとも部分的に構造化された金属箔を選択するステップと、
− 通路を備えたハニカム構造を形成するよう、少なくとも部分的に構造化された金属箔を積重ね、かつ/または、巻くステップと、
− 少なくとも1つの放射加熱器を使って通路の開口端面から金属箔を加熱するステップとを含み、ハニカム構造は、少なくとも1つの小区域において、当該少なくとも1つの小区域が約2〜30秒後に約450℃〜600℃の温度になるように加熱され、当該プロセスはさらに、
− 少なくとも1つの小区域において接合技術によって金属箔を互いに接続するステップを含む。
【0009】
以下の文脈においては、アルミニウムを基にした金属箔は、少なくとも90重量%のアルミニウムを含有する金属箔を意味するものと理解されるべきである。アルミニウムの含有量は、有利には、平均して少なくとも約95重量%であるか、または、さらには少なくとも約99重量%である。ある状況下では、さらに高いアルミニウム含有量、たとえば、99.9重量%を超えるアルミニウムを含む金属箔を選択することも必要かもしれない。特別に規定されない限り、以下の文脈においては、「金属箔」という語は、常に、この種類のアルミニウム含有金属箔を意味するのに用いられる。
【0010】
加えて、金属箔は、以下の化学成分、すなわち、マンガン(Mn)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)のうちの少なくとも1つを含み得る。一例として、以下の金属箔、すなわち、AA3005(Al Mn 1
Mg 0.5);AA3003(Al Mn 1 Cu);AA3103(Al Mn
1);およびAA8001(Al Fe Si)が用いられてもよい。
【0011】
驚いたことに、この種類のハニカム体で比較的高い加熱速度を達成できることが、試験によって示された。たとえば、以下に記載されるように、好適な熱源を用いて、わずか2秒以内で金属箔を所望の温度に加熱することができる。このようにして、極めて短い製造サイクルを達成することができる。たとえば、金属箔間におけるかまたはこれらを囲む管状ケーシングとの接触ゾーンの構成が完全に均一ではない場合、それでも、15〜30秒後にしか所望の温度範囲に到達しないように、わずかによりゆっくりと加熱することも必要になるかもしれない。さらに、ある一定の条件しか用いられるべきではない。というのも、金属箔の表面における酸化の増加が認められると、熱をさらに均一に導入することがより一層難しくなるからである。
【0012】
この発明に従うと、温度は約450℃〜600℃の間である。この文脈においては、適切な場合に、接合技術によって金属箔の間に接続部を形成するためにどんなはんだが用いられるかが極めて重要である。たとえば、亜鉛ベースのはんだが用いられる場合、ある状況下においては、単に約450℃〜約530℃の温度で十分であり、この場合、必要とされる昇温時間も好ましくはより短くなる。しかしながら、金属箔が、たとえばアルミニウム/シリコンを基にしたはんだを用いて互いに接続される場合、約560℃〜約600℃の温度に設定する必要があり、より長い加熱時間を用いる必要があるかもしれない。特に、後者のはんだの場合には、これに応じて、金属箔自体の融点よりもわずかに低い温度にまで加熱する必要がある。特に、温度の範囲は70℃未満、特に50℃未満、または、さらには、互いに接続されるべき金属箔の融点よりも低い30℃未満である。
【0013】
これらの高温への短い昇温時間や、予め設定可能な小区域の目標とされる加熱のために
、結果として、非常に効率的でエネルギ節約型の方法がもたらされる。これはまた、提案されるプロセスが、特に金属ハニカム体の連続生産または大量生産に適しているといった利点を有する。
【0014】
さらに、目標とされる赤外線加熱放射線を発生させる放射加熱器を用いてハニカム構造を加熱し、少なくとも1つの小区域の外側付近に明確な温度の低下を引起すことが提案される。赤外線加熱放射線が実質的に平行であるために、空間的に非常に厳密に制限して熱を導入することにより熱エネルギが極めて均一に分散され、したがって、加熱された小区域内において接続部が極めて均一に形成される。結果として、この発明に従ったプロセスにより、ほんの短期間のこの加熱プロセスを用いて、接合技術によって金属箔間に形成される高品質の接続部を有する金属ハニカム体が製造される。
【0015】
当該プロセスのさらなる構成に従うと、ハニカム構造は軸に対してほぼ平行に伸びる通路を備え、加熱放射線は、ハニカム構造が、通路の軸方向の長さ未満である軸方向の深さを有する小区域においてのみ加熱されるように、ハニカム構造の端部側に向けられる。これにより、特に、金属箔の、互いに対する熱誘導される補償膨張を確実にしつつ、たとえば、端部側付近のみが互いに接続されている金属箔を備えたハニカム構造を製造することが可能となる。この文脈においては、端部側という語は、通路の端面が実質的に配置されている表面を意味するものと理解されるべきである。
【0016】
この場合、金属箔は、加熱前に少なくとも部分的に管状ケーシングに導入され、接合技術によって互いに接続され、次いで、管状ケーシングに完全に挿入され、いくつかの金属箔が接合技術によって管状ケーシングに接続される。この場合、たとえば、異なる放射加熱器を用いることができ、その場合には、少なくとも金属箔を互いに接続する間、小区域において熱容量を比較的均一に分散させることが確実にされる。したがって、この接続部のために、管状ケーシングとハニカム構造との間におけるその後の接続部の作製中よりもいくらかエネルギが低い放射加熱器を用いることができる。
【0017】
当該プロセスのさらなる構成に従うと、加熱前に、金属箔は管状ケーシングに完全に導入されるが、当該管状ケーシングは、好ましくは、ハニカム構造の端部側を超えて突き出ている。これは、接続部が接合技術によって形成された後、金属箔がもはや管状ケーシングと相対的に動かされなくてもよいという利点を有する。
【0018】
当該プロセスのさらに別の構成に従うと、金属箔は、金属箔が内管に対して実質的に横方向に伸びる通路を形成し、いくつかの金属箔が接合技術によって内管に接続されるように、加熱前に内管の外側に配置される。したがって、この発明はまた、たとえば、流体がそこを通って半径方向に流れ得るハニカム体を製造するためのプロセスを提供し、当該プロセスにおいては、内管は特に開口部を有し、中心に流入する流れを有する当該内管は、当該開口部を通じて、気体が半径方向外向きに向けられた通路に流れ出すことを可能にするか、またはこの逆を可能にする。
【0019】
適切な場合、誘導的に作用する加熱の助けを借りて管状ケーシングまたは内管の隣接した部分を同時に加熱することが特に有利である。このようにして、いくつかの金属箔と管状ケーシングまたは内管との間に接合技術によって接続部を作製することも可能であり、結果として、1つのプロセスステップで、接合技術によって金属箔の間と、金属箔から管状ケーシングまたは内管までの間とに接続部が作製され、これにより、特に製造時間が短縮される。しかしながら、この文脈においては、管状ケーシングまたは内管も加熱されるべきである場合、規定された温度に達するのに必要な昇温時間を長くする必要があるかもしれないことを考慮に入れなければならない。これは、特に金属箔と管状ケーシングまたは内管との熱容量が異なることに起因する。
【0020】
当該プロセスのさらに別の構成に従うと、ハニカム構造の少なくとも1つの端部側は、予め設定可能な深さにまで完全に加熱される。これにより、金属箔の端部側が完全に接続されて、たとえば、当該端部側に配置された金属箔の端部が、排気ガスの流れの中に発生する圧力変動のために振動するのを防ぐ。というのも、このような振動により、接合技術によって形成された隣接した接続部が、機械的な疲労応力のせいで外れる可能性があるからである。したがって、接合技術によってハニカム構造の端部側全体にわたって金属箔間に接続部を形成することにより、たとえば、排気システムにおいて触媒支持体として用いられるハニカム体の耐用年数が伸ばされる。
【0021】
ハニカム構造が軸に対してほぼ平行に伸びる通路を有する場合、当該プロセスのさらなる構成に従うと、加熱された小区域の深さが変化して、好ましくは、半径方向外向きに配置されたハニカム構造の小区域において、半径方向内向きに配置された小区域におけるよりも深くまで加熱される。媒体がそこを通って半径方向に流れ得るハニカム体の構成に関して、当然、ハニカム体の軸方向および/または円周方向の深さがこれに対応して変化することもあり得る。このようにして、たとえば、ハニカム体と管状ケーシングまたは内管との間において、接合技術によって金属箔間に形成される接続部よりも安定した接続部を実現することができる。
【0022】
当該プロセスのさらなる構成に従うと、加熱放射線は、10°〜80°の間の角度でハニカム構造の少なくとも1つの端部側に当たる。この場合、選択される角度は、ハニカム構造が加熱されるべき深さに影響を及ぼす。10°未満の角度では、加熱放射線は、当該端部側の比較的大きな小区域に広がり、結果として、放射加熱器によって生成される熱エネルギがより広い小区域にわたって分散され、これにより、単位面積当りのエネルギの導入が減じられ、加熱プロセスが遅くなる。同様に、80°を超える角度は避けなければならない。というのも、この場合、加熱放射線または熱エネルギの大部分がハニカム構造を真直ぐ通り抜けるので、金属箔を加熱するのに用いることができないからである。さらに、角度を選択する場合、端部側の外部形状を考慮に入れなければならない。これが、たとえば、隣接する金属箔が互いに対して部分的にずれて配置されている伸縮式の構造の金属箔を含む場合、一例として、当該種類の伸縮式の構造に応じて比較的大きいかまたは比較的小さな角度が用いられるべきであるのに対して、端部側が実質的に平面である場合、30°〜60°の範囲の角度が好ましい。
【0023】
当該プロセスのさらに別の構成に従うと、ハニカム体は、加熱作業中に少なくとも1つの放射加熱器と相対的に動かされ、結果として、空間的に制限された加熱放射線を発する放射加熱器を用いて、適切な場合、ハニカム構造の広い小区域、特にハニカム構造の端部側全体が加熱される。プロセスの変形例に従うと、ハニカム体の軸を中心にして少なくとも1つの放射加熱器を相対的に回転運動させることにより、同様に、確実にハニカム構造の面積を広くしかつ加熱を均一にすることが提案される。
【0024】
ハニカム体と少なくとも1つの放射加熱器との間の相対運動が、その軸を中心にして回転するハニカム体および/または少なくとも1つの放射加熱器の放射軸とハニカム体の軸との間の変化する角度によって引起されることが好ましい。これにより、加熱されるべき小区域が、突き出た管状ケーシングに近接して位置しているかまたは端部側の中央に配置された小区域に位置しているかどうかに関わらず、加熱放射線がハニカム構造の所望の深さにまで達することが確実となる。
【0025】
当該プロセスのさらに別の構成に従うと、接合技術による接続部は、はんだ付け、焼結および/または拡散溶接によって作製される。この場合、接合技術によって接続部を形成するのに用いられる加熱前に、はんだ、拡散助触媒などを当該小区域に配置することが特
に有利である。接合技術によって作製される接続部をはんだ付けによって形成することが好ましく、この場合、はんだは、加熱作業の前に小区域に配置される。結果として、接合技術によって作製される接続部を形成するのに必要な温度は、接続部を形成するためのサイクル時間を比較的短く維持できるように、比較的低いレベルに維持される。
【0026】
接合技術による接続部の作製中に特に高い(特に550℃よりも高い)温度が発生した場合、これらの接続部を遮蔽ガス下で作製することが有利である。特にアルゴンを含む公知の遮蔽ガスはこの目的に適している。
【0027】
以下の文脈においては、この発明に従ったプロセスが、当該プロセスを実行するのに適した装置に関連してより詳細に説明される。
【0028】
特にこの発明に従ったプロセスを実行するための金属ハニカム体を製造するための装置は、加熱作業中にハニカム体を位置決めするための位置決め面と、放射軸を備えた少なくとも1つの放射加熱器とを含む。当該装置は、当該位置決め面と当該放射加熱器の放射軸とが10°〜80°の角度を含むという点で識別される。この場合、放射加熱器は、特に、位置決め面上に固定されたハニカム体の端部側に対して10°〜80°の角度で放射するように構成される。放射加熱器は、ハニカム体の小区域を急速に加熱して、接合技術によって作製される接続部を形成することを可能にする。
【0029】
ハニカム体の小区域を可能な限り均一に加熱することを確実にするために、当該位置決め面は、その角度が特に加熱作業中でも調整可能となるように好ましくは回動可能である。これはまた、少なくとも1つの赤外線放射加熱器が回動可能である装置のさらなる構成によって達成され得る。
【0030】
当該装置においては、位置決め面と少なくとも1つの赤外線放射加熱器との間の距離は変化し得る。この文脈においては、少なくとも1つの赤外線放射加熱器が、位置決め面に対して予め設定可能な経路上で移動可能であることが特に有利である。このようにして、たとえば、接合技術によって作製された接続部が、加熱された端部側の異なる小区域におけるさまざまな深さにわたって作製されることを確実にすることができる。ハニカム体と少なくとも1つの赤外線放射加熱器との複数の相対運動を重ね合せる目的で、これらの運動を、特に計測学的手段よって記録されかつ/または一般的な好ましくはコンピュータ制御の制御部によって調整される個々の運動によって互いに適合させることが特に有利である。
【0031】
位置決め面はまた、たとえば、ハニカム体を固定するための保持手段を含む。これにより、少なくとも1つの赤外線放射加熱器に対するハニカム体の所望の位置決めが維持されることが確実となる。この種類の保持手段は、特に位置決め面が組立ラインの一部である場合、重要である。この種類の組立ラインは、赤外線放射加熱器によってもたらされるハニカム体の昇温時間が短いために特に適している連続的なプロセスで金属ハニカム体を製造することを可能にする。
【0032】
さらに、加熱放射線を逸らすかまたは反射するための鏡を設けることができる。これは、特に、既に金属箔によって反射された加熱放射線の一部を意味するものと理解されるべきである。したがって、この種類の鏡を用いると、赤外線放射加熱器によって生成される加熱放射線の利用が改善されることとなる。しかしながら、放射線を直接に鏡に放射して、こうして、加熱されるべき小区域に逸らせることも可能であり、この場合、たとえば、ハニカム体の端部側付近における真直ぐな放射軸に突き出た突起または肩部が「迂回」され得る。
【0033】
接合技術によって作製される接続部が非常に高い温度で作製される場合、当該装置は、局所的な遮蔽ガス雰囲気を発生させるための手段、特にハウジング、を備える。この場合、ハウジングは、赤外線放射加熱器を用いて加熱されるハニカム体の小区域に近接した部分を少なくとも囲んでおり、この場合、直接の加熱放射線が妨げられないようにしなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
当該プロセスは、添付の図面に基づいてより詳細に説明される。しかしながら、この文脈において提示される説明は、この点について、この発明の限定を構成するものではない。
【0035】
図1は、S字型に巻かれた積重ねられた金属箔2を備えたアルミニウム含有ハニカム体1を示す概略斜視図である。ハニカム体1は、滑らかな、および波型の金属箔2を用いて形成される通路5を有する。通路5および金属箔2は対応するハニカム構造3を形成する。ハニカム構造3は、ハニカム体1の端部側7を超えて突き出る管状ケーシング6で囲まれている。通路5の個々の開口端面26は、この場合、実質的にハニカム体1の平面の端部側7において配置される。
【0036】
図示されるアルミニウム含有ハニカム体1の製造は、たとえば以下のステップを含む。すなわち、
− アルミニウムを基にした少なくとも部分的に構造化された金属箔を選択するステップと、
− 軸4(図示せず)に対してほぼ平行に伸びる通路5を備えたハニカム構造3を形成するよう、少なくとも部分的に構造化された金属箔を積重ね、S字型に巻くステップと、
− ハニカム構造3の端部側7を超えて突き出ている管状ケーシング6に金属箔2を完全に導入するステップと、
− 少なくとも1つの放射加熱器8(図示せず)を用いて、ハニカム構造3の端部側7を完全に加熱するステップとを含み、加熱放射線は、ハニカム構造3が、(通路5の軸方向の長さ11よりも短い)軸方向の深さ10を有する小区域9において、この小区域9がわずか約2〜約30秒後に約450℃〜約600℃の温度になるように加熱されるような態様で、通路5の開口端面26に向けられ、当該ステップはさらに、
− 接合技術によって金属箔2を互いに接続し、かつ、金属箔2の半径方向13の外側領域を管状ケーシング6に接続するステップを含み、接続部は、はんだ付けによってもたらされる接合技術によって作製される。
【0037】
図2は、金属製のアルミニウム含有ハニカム体1を製造するための装置の第1の実施例を示す概略斜視図である。当該装置は、加熱作業中にハニカム体1を位置決めするための位置決め面16と、放射軸15を備えた赤外線放射加熱器8とを含む。ハニカム体1の放射軸15および端部側7は、位置決め面16に対してほぼ平行であるが、少なくとも、時として10°〜80°の角度14を有する。この場合、ハニカム体1は保持手段19によって固定される。赤外線放射加熱器8から、加熱放射線がハニカム体1の端部側7に当たる点までの距離17は、ハニカム構造3が可能な限り急速に所定の深さ10まで加熱されることを確実にするように選択されるべきである。
【0038】
この文脈においては、好ましくは角度14を変化させて、経路18上でハニカム体1と相対的に赤外線放射加熱器8を動かすことが特に有利である。経路18は円形で示されているが、特に、コンピュータ制御の動きを用いて所望の経路18を作り出すこともできる。加熱放射線の利用を向上させるために、当該装置は、反射された加熱放射線をハニカム構造3に戻す鏡21を備える。このようにしてハニカム体1の小区域を極めて急速に加熱することができるので、接合技術によるこの種類の接続部の形成は、連続プロセスとして
用いるのに推奨される。位置決め面16は、この場合、組立ライン22の一部を形成する。
【0039】
図3は、媒体がそこを通って半径方向に流れ得る金属ハニカム体1を製造するための装置の第2の実施例を示す。ハニカム体1は、この場合、構造化された、および滑らかな金属箔2の複数の層を備え、これらにより、中央に配置された内管27に対して実質的に横方向に伸びるかまたは半径方向外向きに伸びる通路5が形成される。ハニカム体1は、当該ハニカム体が位置決め面16を通って延在する状態で、保持手段19を用いて位置決め面16に対して固定される。ハニカム体1は、特に内部において遮蔽ガス雰囲気を形成するのに役立つハウジング22で囲まれる。このために、一例として、アルゴン含有遮蔽ガスが、ノズル22によってハニカム体1の端部側7から中央の内管27の内部に供給され、通路5の開口端面26から再び出てくる。接合技術によって作製される接続部が、赤外線放射加熱器8を用いて遮蔽ガス雰囲気中に形成されている。この目的のために、ハウジングは開口部24を備えており、これにより、放射軸15に沿ってハニカム構造3を妨げられずに加熱することが確実にされる。この文脈においては、矢印25は、ハニカム体1がたとえば加熱作業中に回転することを示しており、この場合、放射加熱器8は、好ましくは、10°〜80°の範囲内の異なる角度14でハニカム体1の端部側7上に放射する。このようにして、均一な加熱と、これによって、接合技術による高品質の接続部とが確実にされる。さらに、図示される実施例は、ハニカム体1の両方の端部側7の両面を同時に加熱する可能性を提供する。このようにして、この種類のアルミニウム含有ハニカム体1のための製造時間をさらに短縮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】製造されたハニカム体の実施例を示す図である。
【図2】製造装置の実施例を示す図である。
【図3】製造装置の第2の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ハニカム体、2 金属箔、3 ハニカム構造、4 軸、5 通路、6 管状ケーシング、7 端部側、8 放射加熱器、9 小区域、10 深さ、11 長さ、12 部分、13 半径、14 角度、15 放射軸、16 位置決め面、17 距離、18 経路、19 保持手段、20 組立ライン、21 鏡、22 ハウジング、23 ノズル、24 開口部、25 矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム含有ハニカム体(1)を製造するためのプロセスであって、
− アルミニウムを基にした少なくとも部分的に構造化された金属箔を選択するステップと、
− 通路(5)を備えたハニカム構造(3)を形成するよう、少なくとも部分的に構造化された金属箔(2)を積み重ねかつ/または巻くステップと、
− 少なくとも1つの放射加熱器(8)を用いて前記通路(5)の開口端面(26)から前記金属箔(2)を加熱するステップとを含み、前記ハニカム構造(3)は、少なくとも小区域(9)において、前記少なくとも1つの小区域(9)が、約2秒〜約30秒後に約450℃〜約600℃の温度になるように加熱され、前記プロセスはさらに、
− 前記少なくとも1つの小区域(9)において接合技術によって前記金属箔(2)を互いに接続するステップを含む、プロセス。
【請求項2】
目標とされる赤外線加熱放射線を発生させる放射加熱器を用いて前記ハニカム構造(3)を加熱し、前記少なくとも1つの小区域(9)の外側付近に明確な温度の低下を引起す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ハニカム構造(3)は、軸(4)に対してほぼ平行に伸びる通路(5)を備え、前記加熱放射線は、前記ハニカム構造(3)が、前記通路(5)の軸方向(4)の長さ(11)未満である軸方向の深さ(10)を有する小区域(9)においてのみ加熱されるように前記ハニカム構造(3)の端部側(7)に向けられる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記金属箔(2)が、加熱前に、少なくとも部分的に管状ケーシング(6)に導入され、接合技術によって互いに接続され、前記管状ケーシング(6)に完全に挿入され、いくつかの前記金属箔(2)が接合技術によって前記管状ケーシングに接続される、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記金属箔(2)は前記管状ケーシング(6)に完全に導入され、前記管状ケーシング(6)は、好ましくは、前記ハニカム構造(3)の前記端部側(7)を超えて突き出ている、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記金属箔(2)は、加熱前に、前記金属箔(2)が内管(27)に対して実質的に横方向に伸びる通路(5)を形成し、いくつかの金属箔(2)が接合技術によって前記内管(27)に接続されるように前記内管(27)の外側に配置される、請求項1および2のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記管状ケーシング(6)または前記内管(27)の部分(12)は前記ハニカム構造(3)の小区域(9)に隣接しており、付加的に誘導的に加熱される、請求項4から6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記ハニカム構造(3)のうち少なくとも1つの端部側(7)は、予め設定可能な深さ(10)まで完全に加熱される、請求項1から7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記ハニカム構造(3)は、軸(4)に対してほぼ平行に伸びる通路(5)を有し、前記加熱された小区域(9)の前記深さ(10)は変化し、好ましくは、半径方向(13)外向きに配置された前記ハニカム構造(3)の小区域(9)において、半径方向(13)内向きに配置された小区域(9)におけるよりも深い深さ(10)まで加熱される、請求項1から8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
加熱放射線は、10°〜80°の角度(14)で前記少なくとも1つの端部側(7)に当たる、請求項1から9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記ハニカム体(1)は、加熱作業中に前記少なくとも1つの放射加熱器(8)と相対的に動かされる、請求項1から10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの放射加熱器(8)の相対的な回転運動は、前記ハニカム体(1)の前記軸(4)を中心に行なわれる、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ハニカム体(1)はその軸(4)を中心に回転する、請求項11または12に記載のプロセス。
【請求項14】
放射軸(15)と前記ハニカム体(1)の前記軸(4)との間の角度(14)が変化する、請求項11から13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
接合技術による接続部は、はんだ付け、焼結および/または拡散溶接によって作製される、請求項1から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
接合技術によって前記接続部を形成するのに用いられる加熱の前に、はんだ、拡散助触媒などが前記小区域(9)に配置される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
接合技術による前記接続部は遮蔽ガス下で作製される、請求項1から16のいずれかに記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505731(P2007−505731A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526593(P2006−526593)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010453
【国際公開番号】WO2005/030420
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(594174493)エミテク・ゲゼルシャフト・フュール・エミシオーンテクノロギー・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【Fターム(参考)】