説明

放射発生器において放射線を制御するための装置

【課題】絶縁特性及び放射線遮蔽特性を維持しながら容易に製造し供給することが可能な放射線遮蔽を提供する。
【解決手段】放射発生器(100及び600)において発生させる電磁波放射の送出を制御するための装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)を提供する。本装置は、サブストレート層(205、305、406、408、525、705)を有するプリント回路基板(202、302、402、502、616、805、810、815、905、910及び915)と、該サブストレート層にバインドさせた少なくとも1つの媒質層(210、310、315、410、412、505、510、710、825、830)と、を含む。プリント回路基板は電磁波放射の送出を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載した主題は全般的には放射発生器に関し、またさらに詳細には放射発生器で発生させる放射線を制御するように構成させた放射制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波放射を発生させるためには様々な種類の放射発生器が開発されている。こうして発生させた電磁波放射は、医学的撮像を含め様々な目的で利用することができる。こうした放射発生器の一例はX線発生器である。典型的なX線発生器はポートを通過させ目標物に向けてX線を放出するために一般に、電磁波放射(例えば、X線)を発生させるためのX線管と、該X線管を従来方式で付勢するように構成させた電源回路と、を備える。X線ポートの周りには、望ましくないX線のオペレータへの到来を防止するための放射線遮蔽が設けられている。放射線の遮蔽は通常、鉛などの重金属材料を含む遮蔽物質を用いて実現される。この遮蔽物質に絶縁体を混合させて放射線遮蔽が設けられる。
【0003】
従来のX線発生器の電源回路は一般に、X線管を付勢するために高い電圧を電力供給するように構成させた高電圧導体を含む。あるケースでは、放射線遮蔽がX線管と電源回路の間に配置されておりかつその高電圧導体がこの放射線遮蔽を通過するため、遮蔽物質だけではなく絶縁材料の使用も必要となる。高電圧を伝達する導体が接地ポテンシャルに維持した遮蔽物質のごく近傍に置かれると、高電圧導体と放射線遮蔽の遮蔽物質の間に大きな電気的な応力が存在することになる。この電気的応力を安全値に保つためには、遮蔽物質の位置決め及び寸法制御が不可欠である。これら周知のある種の放射線遮蔽に関する欠点の1つは、鉛材料に関する(特に、これを絶縁表面上や該表面に沿って用いる際に)寸法のバラツキやその位置決めの制御が困難なことである。鉛材料の配置制御に関するこうした困難によって、高電圧電力が望ましくない電気的アーク発生を起こしX線発生器に障害を生じる恐れが高まる。
【0004】
従来の放射線遮蔽に関する別の欠点は、鉛などの重金属材料に関する(特に、これを絶縁表面上や該表面に沿って用いる場合の)接地に関連した技術的困難にある。鉛を接地するためのはんだ付け過程は一般に、鉛材料の一部をX線発生器で利用されることが多い絶縁オイルに曝すことによって実施されており、これにより絶縁オイルが汚染する恐れが増大する。この両者(放射線遮蔽の製造過程、すなわち絶縁表面上またはこれに沿って遮蔽物質を配置させること、並びにこの鉛材料をはんだ付けして該材料を電気的に接地させること)は、極めて熟練度が高い作業である。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0018817号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、絶縁特性及び放射線遮蔽特性を維持しながら容易に製造し供給することが可能な放射線遮蔽を提供することに対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上で言及した欠点及び上述の限界は本発明によって対処することができる。
【0007】
一実施形態では、放射発生器において電磁波放射の送出を制御するための放射制御装置を提供する。本放射制御装置は、サブストレート層を有するプリント回路基板と、該サブストレート層にバインドさせた少なくとも1つの媒質層と、を備える。このプリント回路基板は放射発生器における電磁波放射の送出を制御するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、放射発生器を提供する。本放射発生器は、放射線源と、該放射線源を付勢して電磁波放射を発生させるように電気的に結合させた電源回路と、少なくとも1つの放射制御装置と、を備える。この少なくとも1つの放射制御装置は少なくとも1つのプリント回路基板を含む。このプリント回路基板は、放射発生器における電磁波放射の送出を制御するように構成されている。
【0009】
さらに別の実施形態では、X線管と、該X線管を付勢するように電気的に結合させた電源回路と、増倍器(multiplier)回路基板と、を備えたX線発生器を提供する。この増倍器回路基板は、X線発生器における電磁波放射の送出を制御するように適応させている。
【0010】
様々な趣旨のシステム及び方法について本明細書に記載している。添付の図面を参照し以下の詳細な説明を参照すれば、この要約に記載した態様及び利点以外の別の態様及び利点も明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成すると共に、実施可能な特定の実施形態を一例として図示している添付の図面を参照することにする。これらの実施形態は、当業者が実施形態を実現できるように十分に詳細に記載しており、さらにこれら実施形態の趣旨を逸脱することなく、別の実施形態が利用されることがあること、並びに論理的、機械的、電気的その他の変更が実施されることがあること、を理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定を意味するものと理解すべきではない。
【0012】
図1は、電磁波放射を発生させるように構成した放射線源102を備えた放射発生器100の一実施形態を表している。図示した実施形態では、放射発生器100がX線発生器であり、かつ放射線源102が電源回路104と電気的に結合させたX線を発生させるためのX線管である。図示した放射線源102は一般に、放射線源102の中心長軸109に沿って陽極110の反対側に概して整列状態で配置させた陰極108を含む。
【0013】
電源回路104は一般に、放射線源102から電磁波放射(例えば、X線)を放出させるように電力を供給するために従来方式で構成させた1つまたは複数の電気的構成要素(例えば、ダイオード、コンデンサ、変圧器、抵抗器、その他)を含む。図示した電源回路104は、陽極110と電気的に接続された第1の電源回路部分115と、陰極108と電気的に接続された第2の電源回路部分116と、を含む。陽極110向けの第1の電源回路部分115は、放射線源102の陰極108と反対側にある陽極110から軸方向外方111で陽極110の直ぐ背後に配置させている。電源回路部分116は、同様の方式で陰極108の背後に配置させている。電源回路104の第1の電源回路部分105は、陽極110に対して高電位ポテンシャルを提供するように電気的に結合させた少なくとも1本の導体またはケーブル112を含む。放射線源102に対して提供される高電位ポテンシャルは、40〜100キロボルトの範囲にある。しかし電位ポテンシャルの大きさは様々とさせることができる。
【0014】
陰極108は一般に、従来の方式で電子を放出することが可能な電子放出フィラメントを含む。電源回路104によって供給される高電位ポテンシャルによって、陰極108から陽極110に向かって電子が加速される。加速された電子は陽極110と衝突してX線放射を発生させる。陰極108及び陽極110は、ゾーン120において放射線源102からの電磁波放射の送出を低減するすなわち部分的に減衰させる。シャドウゾーン120は、電磁波放射が部分的に減衰される予測レンジを表した一例である。図示したゾーン120は全体として円錐形であるが、シャドウゾーン120の形状は様々とすることができる。
【0015】
放射発生器100はさらに、放射線源102からの電磁波放射の送出を少なくとも低減させ制御するように構成された放射制御装置125を含む。放射制御装置125は一般に、放射線源102と電源回路104の第1の電源回路部分105の間で電磁波放射または散乱放射線の部分的な減衰が予期されるゾーンであるシャドウゾーン120の域内に配置させた電磁波放射の送出をさらに低減させ制御するための少なくとも1つのプリント回路基板130を含む。プリント回路基板130は、放射線源102の長軸109と直交する面内でゾーン120全体に及ぶか、あるいはゾーン120の少なくとも一部にわたって拡がるようなサイズとさせることができる。さらに、放射線源102を基準とした放射制御装置125の配置は様々とすることができる。
【0016】
図2は、プリント回路基板202からなる放射制御装置200の一実施形態の模式図を示している。プリント回路基板202はサブストレート層205及び媒質層210を含む。媒質層210は様々な処理過程(機械プレス処理、加熱処理、加圧式噴霧、接着剤、別の従来の処理過程、あるいはこれらの組み合わせなど)を用いてサブストレート層205にバインドさせることが可能である。
【0017】
サブストレート層205は、エポキシ化合物、ウレタン化合物、セラミック及びシリコン注封材料からなる群より選択される少なくとも1つの絶縁組成または材料からなる。例えば、サブストレート層205は、エポキシ貼り合わせガラス布シート(FR4とも呼ばれる)を含むことが可能である。しかし別の種類の絶縁材料を利用することも可能である。
【0018】
媒質層210は、金属、金属化合物(金属酸化物、金属のリン酸塩、金属の硫酸塩など)、金属合金、あるいはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む放射線不透過材料からなる。媒質層210は容易にエッチングまたははだ付けすることが可能であり、またタングステン、カルシウム、タンタル、スズ、モリブデン、真鍮、銅、ストロンチウム、クロム、アルミニウム及びビスマス、あるいはこれらの混合物や化合物または合金からなる群より選択することができる。しかし、媒質層210の組成は上で提示した例に限定されないことを理解されたい。
【0019】
プリント回路基板202はさらに、放射線源102(図1参照)の陽極110の位置において電気的接続するように電源回路104からの導体112のための通路を提供している開口またはコンジットまたはスロット215を含む。プリント回路基板202上における開口215の箇所は様々とすることができる。導体112と媒質層210の間には、電源回路104の第1の電源回路部分105の導体112とプリント回路基板202の媒質層210との間における電気的応力並びに望ましくない電気アーク発生の可能性を低減し制御するためにサブストレート層205の沿面距離(creepage distance)220が設けられている。このプリント回路基板202の製造処理過程によって、その構造並びにサブストレート層205上での導体112を基準とした媒質層210の配置に関する寸法制御を強化することができる。
【0020】
媒質層210は、露出した外層または中間の囲繞層とすることが可能である。導体112(図1参照)は、プリント回路基板202のサブストレート層205に突き当たるようにさせること、あるいは望ましくない電気的アーク発生の可能性を低減するようにプリント回路基板202の媒質層210との接触からある所定の離間距離の位置で少なくともサブストレート層205のごく近傍に来るようにさせることができる。プリント回路基板202の外部で放射線源102から軸方向外方111(図1参照)に媒質層210を配置させることによって媒質層210の厚みのうちのより多くを利用でき、これによってプリント回路基板202を通過する放射線の送出を低減し制御するための放射線遮蔽効率が向上する。プリント回路基板202の媒質層210は、サブストレート層205にバインドさせる媒質層210の所望の厚みを得るために様々な厚さとした上述した1つまたは複数の放射線不透過材料を互いに積み重ねた(または、重ね合わせた)一体の単一層または複数層から構成することが可能である。図示した媒質層210はサブストレート層205の外面の位置にバインドしているが、本明細書に記載した主題は媒質層210がサブストレート205の外部にバインドできることや内部に埋め込めることも包含することを理解されたい。
【0021】
図3は、上述したプリント回路基板200のサブストレート層205及び媒質層210の構成と同様のサブストレート層305及び媒質層310を有するプリント回路基板302を含む放射制御装置300の別の実施形態を表している。媒質層310は、媒質層310の所望の厚みを得るために様々な厚さとした上述の放射線不透過材料を互いに積み重ねた(または、少なくとも部分的重ね合わせた)同一物または組み合わせ物からなる一連の媒質層315及び320からなる。上述した媒質層315及び320によって、プリント回路基板302に対する電気的または機械的接続を提供する作業を簡略化するように構成させた1つまたは複数の標準コネクタ325及び330(例えば、クリップ、ねじ、その他)の装着が容易になる。標準コネクタ325及び330は、導体112(図1参照)に対して電気的接続を提供すること、電気的接続を延長すること、あるいはプリント回路基板300を通る電気的接地接続を提供することを実行するように構成させている。例えば、導体112(図1参照)またはその一部は、上述した開口215と同様に製作された開口335を通過して延びることができる。導体112(図1参照)は、電源回路104の第1の電源回路部分105からの電力を放射線源102(例えば、X線管)に提供するように標準コネクタ325及び330を介して電気的に接続させることが可能である。標準コネクタ325及び330のそれぞれは、同じ媒質層315及び320上に装着することも、別の媒質層315及び320上に装着することも可能である。標準コネクタ325及び330の配置及び種類は様々とすることができる。さらには、2つの媒質層315及び320を表しているが、媒質層の数は様々とすることができる。
【0022】
図4は、複数のプリント回路基板402及び404からなる放射制御装置400の別の実施形態を表している。プリント回路基板402及び404は、上述したプリント回路基板200のサブストレート層205及び媒質層210の製作の場合と同様に所望の厚みを得るために様々な方式で一体に組み上げられた様々な厚さを有するそれぞれ少なくとも1つのサブストレート層406及び408と少なくとも1つの媒質層410及び412とからなる。少なくとも1つのサブストレート層406は、放射線源102に対面しかつこれの最も近くに配置させた1つの絶縁表面となるように配列させている。サブストレート層406及び408によってそれぞれ複数の媒質層410及び412が分離されるようにして複数のプリント回路基板402及び404からなる放射制御装置400を製作することによって、媒質層410及び412のそれぞれを互いに異なる電位ポテンシャル及び/または電気的接地と異なる電位ポテンシャルに維持することができる。プリント回路基板402及び404のうちの少なくとも一方は、導体112をその内部に貫通して受け入れるような上述した開口215の製作と同様とした開口422に加えて、媒質層410及び412のうちの1つまたは幾つかに電気的または機械的接続を提供するように構成させた少なくとも1つの開口またはポイント貫通穴(PTH)425を含む。例えば、複数のプリント回路基板402及び404の媒質層410及び412のうちの一方または両方に対する電気的接続のために、開口425を通過させて電気的接地接続430を受け入れることが可能である。
【0023】
さらに図4を参照すると、プリント回路基板402及び404のうちの一方には、電源回路104(図1参照)の第1の電源回路部分105の1つまたは複数の電気的構成要素435(例えば、ダイオード、コンデンサ、抵抗器、変圧器、など)を装着することができる。電気的構成要素435の数及び種類は様々とすることができることを理解すべきである。プリント回路基板402及び404は、放射線遮蔽の提供に加えて、プリント回路基板402及び404上に装着した電気的構成要素435のうちの1つまたは幾つかにまたがる浮遊容量を調節するための電気的遮蔽を提供するように構成させることができる。
【0024】
図5は、複数の媒質層505及び510からなるプリント回路基板502を含んだ放射制御装置500の別の実施形態を表している。単一の媒質層505が複数の媒質領域515及び520を備えており、該複数の媒質領域515及び520は長軸109(図1参照)と直交した全体として単一の面に沿っているが、その各々を互いに異なる電位ポテンシャル及び/または電気的接地と異なる電位ポテンシャルとし得るように離間させて位置させている。媒質層510は、媒質層505の媒質領域515及び520から(例えば、空気、オイルまたはサブストレート層525によって)ある距離だけ離間させた面内に整列させている。しかし図5に示すように、媒質領域515及び520のそれぞれは、放射線源102(図1参照)から軸方向外方111で観察した際に媒質層510を基準として部分的に重なり合うような分布で配置されている。放射制御装置500のこの実施形態によって、電磁放射遮蔽が強化される一方でプリント回路基板502の位置で複数の電位ポテンシャルが可能となる。媒質層505及び510のうちの1つまたは幾つかにおける媒質領域515及び520の数及び配列は様々とすることができることを理解すべきである。
【0025】
図1に戻ると、放射制御装置550も放射制御装置200と同様に、放射線源102の陰極108から軸方向外方(矢印及び参照番号555で示す)に配置させることができる。放射制御装置550は、上述した放射制御装置200、300、400、500あるいはこれらの組み合わせに関する1つまたは複数の実施形態と同様の方式で製作し動作させることができる。放射制御装置550は、第2の電源回路部分106から陰極108への導体565を受け入れるように構成させた、上述した開口215と同様の方式で製作された少なくとも1つの開口560を含む。
【0026】
図6は、上述した放射発生器100と同様に、陰極608及び陽極610を電源回路612及び放射制御装置614と組み合わせて有する放射線源602(例えば、X線管)を備えた放射発生器600の別の実施形態を表している。放射制御装置614は、電磁波放射の送出を低減し制御するように構成させた増倍器回路基板616を含む。増倍器回路基板616は、上述した放射発生器100のシャドウゾーン120内におけるプリント回路基板130の配置と同様に、電磁波放射の減衰が予測されるレンジを示すシャドウゾーン620の域内に配置させる。増倍器回路基板616はさらに、放射線源602の長軸625に沿って陽極610から軸方向外方(矢印及び参照番号622で示す)に配置させる。ここでも、増倍器回路基板616は別の箇所(例えば、放射線源602の反対側で陰極608の軸方向外方)に配置できること、並びにそのサイズ及び形状を様々にできることを理解すべきである。
【0027】
図7は、増倍器回路基板702を含む放射制御装置700の一実施形態の模式図を表している。増倍器回路基板702は一般に、少なくとも1つのサブストレート層705と、該サブストレート層705にバインドさせた少なくとも1つの媒質層710と、放射発生器600(図6参照)の放射線源602に伝達する電位ポテンシャルがあるレンジに及ぶような方式で電源回路612(図6参照)の一部としてまたはその追加として電気的に接続させた増倍器回路730の複数の電気的構成要素725と、を備える。電気的構成要素725は少なくとも1つの媒質層710と電気的に接続した状態で装着される。増倍器回路基板702は、放射線遮蔽の強化に加えて、増倍器回路基板702の電気的構成要素725にかかる電気的浮遊容量を調節するように電気的遮蔽も強化している。
【0028】
図7は単一の媒質層710を有する増倍器回路基板702を表しているが、上述したプリント回路基板202の製作の場合と同様に媒質層の数は様々とすることができることを理解されたい。さらに、媒質層710にバインドさせたサブストレート層705を有する単一の増倍器回路基板702を参照し例証しているが、増倍器回路基板702は、上述したプリント回路基板402の製作の場合と同様に、複数の媒質層710のうちの1つまたは幾つかの位置で互いに異なる及び/または電気的接地と異なる電位ポテンシャルを維持できるようにその各々が1つまたは複数の媒質層710を分離させる1つまたは複数のサブストレート層705を有する複数の増倍器回路基板702からなることも包含することを理解されたい。同様に、増倍器回路基板702の少なくとも1つの媒質層710は、上述したプリント回路基板502の製作の場合と同様に同じ全体面に沿って整列させているがサブストレート層によって分離されているような複数の媒質領域を様々な配列及び製作方式(例えば、部分的に重ね合わせた分布、均一な積み重ね整列式、その他)で構成することが可能である。
【0029】
図8は、複数のプリント回路基板810及び815と結合させた少なくとも1つの増倍器回路基板805を含む放射制御装置800の別の実施形態を表している。増倍器回路基板805の製作は、上述した増倍器回路基板616及び702の製作と同様としている。同様に、プリント回路基板810及び815の製作は上述したプリント回路基板130、202、302、402及び502の製作と同様であり、電磁波放射の放出すなわち送出を低減し制御するように構成されている。導体820は、電源回路612(図6参照)と放射線源602(図6参照)を上述のような方式で電気的に接続している。導体820は、放射線源602(図6参照)の位置における電気的接続のために増倍器回路基板805からプリント回路基板810及び815を通過して延びている。増倍器回路基板805並びにプリント回路基板810及び815のうちの1つまたは幾つかに導体820を電気的に接続するために標準コネクタ325(図3参照)を設けることが可能である。プリント回路基板810及び815のそれぞれの媒質層825及び830は、中心長軸109(図1参照)に沿って互いに向かい合うように方向付けされる。放射制御装置800のこの構成によれば、絶縁及び放射線遮蔽が強化されるのみならず、増倍器回路基板805の位置に装着させた増倍器回路840の電気的構成要素835にわたって望ましくない電気的浮遊容量が伝わるのが制御される。ここでも、増倍器回路基板805並びにプリント回路基板810及び815の数は様々とすることができることを理解されたい。
【0030】
図9は、上述した増倍器回路基板616及び702と同様の製作とした増倍器回路908の種々の電気的構成要素906を備えた少なくとも1つの増倍器回路基板905を、上述したプリント回路基板130、202、302、402及び502と同様の製作としたプリント回路基板910及び915と組み合わせて含む放射制御装置900の別の実施形態を表している。導体918は、電源回路612(図6参照)から放射線源602(図6参照)に電力を提供するために増倍器回路基板905からプリント回路基板910及び915を通過して延びている。金属製脚部920と留め具925(例えば、ボルトとナット)の組み合わせによって増倍器回路基板905がプリント回路基板910及び915に対して確保される。少なくとも1つの増倍器回路基板905及び/またはプリント回路基板910及び915の間に間隔を設けるために、1つまたは複数の座金930をスペーサとして配置させている。座金930はさらに、少なくとも1つの増倍器回路基板905並びにプリント回路基板910及び915の媒質層のうちの1つまたは幾つかを電気的接地接続935の位置に電気的に接続している。
【0031】
さらに図9を参照すると、増倍器回路908の種々の電気的構成要素906のうちの1つまたは幾つか及び/または電源回路612(図6参照)は、プリント回路基板910及び915のうちの少なくとも1つの上において電気的に接続した状態で装着させることができる。プリント回路基板910及び915は、電気的構成要素906に及ぶ電気的浮遊容量を調節することによって電気的遮蔽を強化させることができる。増倍器回路908の1つまたは複数の電気的構成要素906及び/または電源回路612を少なくとも1つの増倍器回路基板905からプリント回路基板910及び915のうちの1つまたは幾つかに移転することによってさらに、密度が小さくなり、またこれによって放射制御装置900の関連する熱効率を向上させることができる。
【0032】
電磁波放射の放出すなわち送出を低減する、遮蔽するあるいは制御するように構成させた放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900の様々な実施形態について、それぞれ放射線源102及び602を有する放射発生器100及び600と関連させて上で記載した。放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900の配置に関する実施形態を示しているが、これらの実施形態はこれに限定されるものではなく、放射線源102及び602を基準とした放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900の配置は様々とすることができる。さらに、放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900の実施形態は、別の用途と連係して実現されることもある。放射線遮蔽に関する放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900の適用は別の分野や種類の放射発生器に拡張することが可能である。上述した放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900は様々な種類の電磁波放射の遮蔽に関する広範な考え方を提供している。さらに、放射制御装置125、200、300、400、500、614、700、800及び900は、種々の電気的構成要素435、725、835及び906を装着するために、並びに様々な種類の放射発生器100及び600で適応させることが可能な種々の電気的構成要素435、725、835及び906に及ぶ浮遊容量の調節時に使用することが可能である。
【0033】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による本発明の製作及び使用を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は添付の特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】プリント回路基板を含む放射制御装置を有する放射発生器の一実施形態の模式図である。
【図2】放射制御装置の一実施形態の模式図である。
【図3】放射制御装置の別の実施形態の模式図である。
【図4】放射制御装置のさらに別の実施形態の模式図である。
【図5】放射制御装置のさらに別の実施形態の模式図である。
【図6】増倍器回路基板を含む放射制御装置を有する放射発生器の別の実施形態の模式図である。
【図7】増倍器回路基板の一実施形態の模式図である。
【図8】プリント回路基板を組み合わせた増倍器回路基板を含む放射制御装置の一実施形態の模式図である。
【図9】プリント回路基板を組み合わせた増倍器回路基板を含む放射制御装置の別の実施形態の模式図である。
【符号の説明】
【0035】
100 放射発生器
102 放射線源
104 電源回路
108 陰極
109 中心長軸
110 陽極
111 軸方向外方
112 導体
115 電源回路104の第1の部分
116 電源回路104の第2の部分
120 シャドウゾーン
125 制御装置の一実施形態
130 少なくとも1つのプリント回路基板の一実施形態
200 放射制御装置の別の実施形態
202 プリント回路基板
205 サブストレート層
210 媒質層
215 開口
220 沿面距離
300 放射制御装置の別の実施形態
302 プリント回路基板
305 サブストレート層
310 媒質層
315 媒質層
320 媒質層
325 標準コネクタ
330 標準コネクタ
335 開口
400 放射制御装置の別の実施形態
402 プリント回路基板
404 プリント回路基板
406 サブストレート層
408 サブストレート層
410 媒質層
412 媒質層
422 導体を貫通させて受け入れる開口
425 ポイント貫通穴(PTH)
430 電気的接地
435 電気的構成要素
500 放射制御装置の別の実施形態
502 プリント回路基板
505 媒質層
510 媒質層
515 媒質領域
520 媒質領域
525 サブストレート層
550 放射制御装置
555 軸方向外方
560 少なくとも1つの開口
565 導体
600 放射発生器
602 放射線源
608 陰極
610 陽極
612 電源回路
614 放射線遮蔽
616 増倍器回路基板
620 シャドウゾーン
622 軸方向外方
625 長軸
700 制御装置の別の実施形態
702 増倍器回路基板
705 少なくとも1つのサブストレート層
710 少なくとも1つの媒質層
725 複数の電気的構成要素
730 増倍器回路
800 放射制御装置の別の実施形態
805 少なくとも1つの増倍器回路基板
810 プリント回路基板
815 プリント回路基板
820 導体
825 媒質層
830 媒質層
835 電気的構成要素
840 増倍器回路
900 放射制御装置
905 少なくとも1つの増倍器回路基板
906 種々の電気的構成要素
908 増倍器回路
910 プリント回路基板
915 プリント回路基板
918 導体
920 金属製脚部
925 留め具
930 座金
935 電気的接地接続

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射発生器(100及び600)で発生させる電磁波放射の送出を制御するように適応させた放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)であって、
サブストレート層(205、305、406、408、525、705)を有するプリント回路基板(130、202、302、402、502、616、805、810、815、905、910及び915)と、該サブストレート層(205、305、406、408、525、705)にバインドさせた少なくとも1つの媒質層(210、310、315、410、412、505、510、710、825、830)と、を備えており、該プリント回路基板(130、202、302、402、502、616、702、805、810、815、905、910及び915)は前記放射発生器(100及び600)における電磁波放射の送出を制御するように構成されている放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)。
【請求項2】
前記サブストレート層(205、305、406、408、525、705)はエポキシ、ウレタン及びシリコン注封材料からなる群より選択される、請求項1に記載の放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)。
【請求項3】
前記媒質層(210、310、315、410、412、505、510、710、825、830)は、タングステン、カルシウム、タンタル、スズ、モリブデン、銅、真鍮、ストロンチウム、クロム、アルミニウム、及びビスマスからなる群より選択される放射線不透過材料を含む、請求項1に記載の放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)。
【請求項4】
前記プリント回路基板(130、202、302、402、502、616、702、805、810、815、905、910及び915)には、少なくとも1つの電気的構成要素(435、725、835及び906)が装着されている、請求項1に記載の放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)。
【請求項5】
前記放射発生器(100及び600)は放射線源(102)を備えており、かつ前記媒質層(210、310、315、410、412、505、510、710、825、830)は該放射線源(102及び602)と反対側にある前記サブストレート層(205、305、406、408、525、705)の外方に配置されると共に該放射線源(102、602)の長軸(109及び625)と概して直交する面内に整列させている、請求項1に記載の放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)。
【請求項6】
前記媒質層(210、310、315、410、412、505、510、710、825、830)は、その各々が互いに異なる電位ポテンシャルに維持された少なくとも2つの媒質層(410、412、510、515、520、825、830)を含む、請求項1に記載の放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)。
【請求項7】
電磁波放射を発生させるように動作可能な放射線源(102及び602)と、
前記放射線源(102、602)を付勢するための電力を提供するように電気的に結合された電源回路(104及び612)と、
前記放射線源(102及び602)が発生させた電磁波放射の送出を制御するための放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)と、を備えた放射発生器(100及び600)であって、
前記放射制御装置(125、200、300、400、500、614、700、800、900)は該放射発生器(100及び600)における電磁波放射の送出を制御するように構成させた少なくとも1つのプリント回路基板(130、202、302、402、502、616、702、805、810、815、905、910及び915)を含む、放射発生器(100及び600)。
【請求項8】
前記電源回路(104及び612)は複数の電気的構成要素(435、725、835及び906)を備えており、かつ該電源回路(104及び612)の少なくとも1つの電気的構成要素(435、725、835及び906)はプリント回路基板(402、616、702、805、905)上に装着されている、請求項7に記載の放射発生器(100及び600)。
【請求項9】
前記放射制御装置(614及び900)はさらに、前記プリント回路基板(910及び915)に対して概して平行に整列した面内に整列させると共に留め具(925)によって互いに取り付け合わせた増倍器回路基板(905)を含み、該増倍器回路基板(905)には前記電源回路(612)によって前記放射線源(602)に提供される電位ポテンシャルがあるレンジに及ぶように動作可能な増倍器回路(908)の少なくとも1つの電気的構成要素(906)が装着されている、請求項7に記載の放射発生器(600)。
【請求項10】
前記増倍器回路基板(905)とプリント回路基板(910及び915)の間に配置されている、該増倍器回路基板(905)と留め具(925)の間に電気的接続を提供するための座金(930)をさらに含む請求項9に記載の放射発生器(600)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−47531(P2008−47531A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211194(P2007−211194)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】