説明

放射線厚さ計

【課題】新たな設備を設けないで、被測定物の上下動による誤差を補正し、測定精度の向上を図った放射線厚さ計を提供することを目的とする。
【解決手段】被測定物3を搬送するパスライン平面と垂直な方向で、被測定物を挟むように設けるC型フレーム1dと、C型フレームの対向する一方の腕部に設ける放射線源1aと、他方の腕部に設け、透過放射線を検出する主検出器1bと、主検出器1bの周囲で、被測定物から散乱する散乱線を検出する副検出器1cとを備える検出部1と、主検出器で検出する放射線の増減による出力変化と副検出器で検出される散乱線成分の出力変化とが一致するように予め求められる補正計数を記憶し、前記被測定物が前記パスライン平面と垂直な光軸方向に移動した場合に、副検出器の出力から補正計数を選択して乗じ、さらに、主検出器と副検出器との差を求める補正演算部2aと厚さを求める厚さ演算部2bとを備える演算部2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板等の被測定物に放射線同位元素やX線発生器から発生する放射線を照射して、被測定物を透過した放射線の線量から被測定物の厚さを測定する放射線厚さ計に係り、特に、被測定物が照射放射線の光軸方向で移動した場合の厚さ測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厚板や薄板などの鋼板の圧延ライン、及びその搬送ラインにおける鋼板の厚さ測定には、放射線同位元素を使用したγ線厚さ計や、X線発生装器を使用したX線厚さ計等の放射線厚さ計が使用されている。
【0003】
このような放射線厚さ計は、被測定物に照射する放射線のビーム径が比較的大きいため、空間分解能の向上に限界がある点や、法令に基づく放射線の取り扱い管理が必要であることから、厚板などにおいては、空間分解能の高いレーザ光線を使用した距離計を、鋼板を垂直な方向から挟むC型フレームの上下の腕部に設け、この2つの距離計の距離変化から厚さを測定するレーザ方式厚さ計も採用されている。
【0004】
ところで、鋼板の厚さ測定精度は、鋼板の品質保証及び歩留まりを確保する上で重要であるが、圧延ラインやその搬送ラインにおいては、鋼板の上下動、及び、反りや垂れ等の形状の変化があり、精度向上には限界があった。
【0005】
例えば、放射線厚さ計においては、搬送される鋼板の搬送基準面(以下、パスライン面という)に対して、鋼板がパスライン面に対して垂直な方向に動くと鋼板を透過した放射線の散乱成分が変化するために測定誤差が発生する。
【0006】
また、鋼板のパスライン面に対する搬送方向での鋼板の傾きによる測定誤差を補正する方法には、レーザ距離計を使用して鋼板の傾きを検出して厚さの測定精度を向上させた厚さ測定方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−263819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、鋼板の圧延ラインやその搬送ラインにおいては、搬送される鋼板の先端部や後端部で反りや垂れ等が発生するが、それ以外の中央部分では、主として上下方向の動揺が発生する。
【0009】
放射線厚さ計においては、測定時に鋼板の上下動があると、測定誤差が発生する問題がある。図5を用いてその理由を説明する。
【0010】
図5(a)は、X線を使用したX線厚さ計において、鋼板の基準厚さが0.1mm及び3.5mmの場合、鋼板が測定の基準となるパスライン面(PL−0)に対して上下に移動した場合の基準厚さに対する測定誤差(偏差%)の1例を示したものである。
【0011】
図5(b)はこのX線厚さ計の検出部の光学モデル図を示し、放射線源1aの1点から放射されたX線は、被測定物(鋼板)3を透過し、被測定物3の後部に設けられる検出器1bでは、立体角θmの範囲が検出される。
【0012】
ここで、被測定物3が、パスライン面PL−0から上方向PL+50に移動した場合、例えば、点P1からの散乱線が主検出器1bで検出される受光立体角の範囲は、立体角θd0から立体角θd1に拡大する。即ち、主検出器1bで受光される散乱線の量は、被測定物3と主検出器1b距離の二乗に比例して変化する。
【0013】
したがって、図5(a)に示すように、被測定物3が上方向に移動すると、検出器1bで受光される散乱線成分は増大し、被測定物3の厚さは散乱線成分が増大した分薄くなったと見なされ、基準厚さに対する偏差はマイナス(薄い)方向に出力される。
【0014】
例えば、3.5mmの板厚さの鋼板3がパスライン面0mmから検出器方向に100mm移動すると、その偏差は−1.5%となる。
【0015】
ところで、鋼板の動揺による測定誤差を補正する方法には、特許文献1に開示されたようなレーザ距離計を用いて鋼板の位置を測定して補正する方法や、機械的に鋼板の位置を測定して、鋼板の傾きや、上下動による測定誤差の補正する方法が知られている。
【0016】
しかしながら、鋼板の位置をこのような他の位置検出器で求めて補正する方法は、鋼板搬送ラインに新たな設備を設けるための設置空間が必要になる問題や、放射線厚さ計と位置検出器の時間応答とが異なるため、動的に変動する鋼板上での測定点を一致させて補正することが困難となる問題がある
さらに、特許文献1によるレーザ距離計による方法は、レーザ光線が通過する測定空間が清浄化されている環境でしか使用できないため、測定空間を清浄化する、固有の環境対策設備が必要となる問題がある。
【0017】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、新たな設備を設けないで、被測定物の上下動による誤差を補正し、測定精度の向上を図った放射線厚さ計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明による請求項1に係る放射線厚さ計は、移動する被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の線量から被測定部の厚さを測定する放射線厚さ計であって、前記被測定物を搬送するパスライン平面と垂直な方向で、当該被測定物を挟むように設けるC型フレームと、前記C型フレームの対向する一方の腕部に設ける放射線源と、他方の腕部に設け、前記透過放射線を検出する主検出器と、前記放射線源の照射面の中心点と前記主検出器の受光の面とが成す立体角の光軸中心に設ける前記主検出器の周囲で、前記被測定物から散乱する散乱線を検出する副検出器とを備える検出部と、前記主検出器で検出する放射線の増減による出力変化と前記副検出器で検出される散乱線成分の出力変化とが一致するように予め求められる補正計数を記憶し、前記被測定物が前記パスライン平面と垂直な光軸方向に移動した場合に、前記副検出器の出力から前記補正計数を選択して乗じ、さらに、前記主検出器と前記副検出器との差を求める補正演算部と、前記補正演算部の出力から厚さを求める厚さ演算部とを備える演算部とを備え、前記被測定物がパスライン面から垂直軸方向に移動した場合の散乱成分の変化を検出して、リアルタイムに測定誤差を補正するようにしたことを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明による請求項5に係る放射線厚さ計は、移動する被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の線量から被測定部の厚さを測定する放射線厚さ計であって、前記被測定物を搬送するパスライン平面と垂直な方向で、当該被測定物を挟むように設けるC型フレームと、前記C型フレームの対向する一方の腕部に設け、前記被測定物の表面に対して鉛直方向に放射線を照射する放射線源と、他方の腕部に設け前記透過放射線を検出する主検出器と、前記一方の腕部に設け、前記放射線源の照射面の中心点と前記主検出器の受光の面とが成す立体角の光軸中心の周囲で、前記放射線の照射方向と逆方向に散乱する散乱線を検出する副検出器とを備える検出部と、前記主検出器で検出する放射線の増減による出力変化と前記副検出器で検出される散乱線成分の出力変化とが一致するように予め求められる補正計数を記憶し、前記被測定物が前記パスライン平面と垂直な光軸方向に移動した場合に、前記副検出器の出力から前記補正計数を選択して乗じ、さらに、前記主検出器と補正された前記副検出器との和を求める補正演算部と、前記補正演算部の出力から厚さを求める厚さ演算部とを備える演算部とを備え、前記被測定物がパスライン面から垂直軸方向に移動した場合の散乱成分の変化を検出して、リアルタイムに測定誤差を補正するようにしたことを特徴とする
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、新たな設備を設けないで、被測定物の上下動による誤差を補正し、測定精度の向上を図った放射線厚さ計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1の構成図。
【図2】本発明の実施例2の構成図。
【図3】本発明の実施例3の構成図。
【図4】本発明の検出部の光学モデル図。
【図5】従来の放射線厚さ計の誤差発生の理由説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例を説明する前に、図4に示す検出部の光学モデル図を参照して、本発明の原理について説明する。
【0024】
図4において、被測定物3が測定基準位置であるパスライン面(PL−0)にある場合の主検出器1bの出力、副検出器1cの出力を夫々、Vm、Vsとし、被測定物3がパスライン面(PL−i)の位置に変動した場合の主検出器1bの出力、副検出器1cの出力を夫々、Vm、Vsとすると、主検出器1bで検出される前方散乱線の増加と副検出器1cで検出される前方散乱線の増加は、一定の比例関係にあるので、下記式が成り立つ。
Vm−Vs=Vm−α・Vs・・・(1)
【0025】
ここで、αは、被測定物3の位置が変化した場合の主検出器1bで検出する散乱線の線量の変化と副検出器1cで検出する散乱線の線量の変化が見かけ上同じになるように補正する補正する補正計数である。
【0026】
この補正計数αは、予め設定する検出部の放射線源1a、主検出器1b及び副検出器1cの配置に基づく透過放射線を受光する検出器の光学的設定条件と、被測定物3の材質、厚さ、被測定物3のパスライン面からの移動量により変わってくる。
【0027】
さらに、上記(1)式右辺により厚さ検出信号を補正する場合、主検出器1bと副検出器1cとの感度差、及び被測定物3を透過した放射線の散乱点から主検出器1bまでの距離と副検出器1cまでの距離との相違によっても変わる。
【0028】
したがって、設定された主検出器1bと副検出器1cとを備える放射線厚さ計において、上記補正計数αを求める場合、被測定物3がパスライン面に有る場合の主検出器1bの出力Vmと副検出器1cの出力Vsとの差を基準として厚さ校正を行い、次に、(1)式の関係を満足するように、被測定物3を移動させたときの測定誤差がゼロとなるような補正計数αを予め求め、被測定物の材質、厚さ、パスライン位置をパラメータとしてテーブル化しておく。
【0029】
そして、基準板厚さtが設定されると、この基準板厚さtに対応するテーブルの補正計数αを選択して、主検出器1bの出力を補正し、補正された出力に対して厚さ演算を行なう。
【0030】
次に、このような発明の原理の基づく実施例1の構成について図1を参照して説明する。図1(a)は、本発明のブロック構成図で、図1(b)は主検出器1bと副検出器1cの配置を説明する平面図である。
【0031】
図1において、放射線厚さ計10は、y軸方向で移動する被測定物3に対して、z軸方向に放射線を照射して、被測定物3を透過した透過放射線の線量から被測定部3の厚さを測定する。
【0032】
その構成は、被測定物3を搬送するパスライン平面と垂直なz軸方向で、当該被測定物3を挟むように設けるC型フレーム1dと、C型フレーム1dの対向する一方の下部腕部に設ける放射線源1aと、他方の上部腕部に設ける主検出器1bと、放射線源1aの照射面の中心点と主検出器1bの受光面とが成す立体角の光軸中心に設ける主検出器1bの周囲に円環状の構造で、被測定物3を透過した放射線の散乱線を検出する副検出器1cとを備える検出部1を備える。
【0033】
さらに、被測定物3がパスライン平面(x−y平面)と垂直な方向に移動した場合に、主検出器1bで検出する放射線の増減による出力変化と副検出器1cで検出される散乱成分の出力変化とが一致するように、副検出器1cの出力を補正して、主検出器1bと副検出器1cとの差を求める補正演算部2aと補正演算部2aの出力から厚さを求める厚さ演算部2bとを備える演算部2とを備える。
【0034】
次に、各部の詳細構成について説明する。放射線源1aは、放射線としてX線を選択した場合、被測定物3の厚さを測定するために必要な線量が得られるX線管と、そのX線管電圧を印加するための高電圧電源とを備えるX線発生器が選択される。
【0035】
また、主検出器1a、副検出器1bは、温度変化に強く、その形状と感度とが比較的柔軟な形に成型し易い電離箱を使用し、所定の検出電流が得られるように設定される。
【0036】
副検出器1cは、被測定物3を透過した散乱X線が主検出器1bの周囲において、所定の感度で得られるように設定される。この副検出器1cは、主検出器1bの周囲の特定の領域の散乱線を検出する1つの電離箱で構成しても良いが、主検出器1aの周囲に円環状に複数の電離箱を並べて構成する方が、散乱X線の空間的なバラツキを平均化できるので望ましい。
【0037】
さらに、補正部演算部2aは、予め設定される補正計数αテーブルを記憶し、副検出器1cの出力に被測定物3と副検出器1bの出力とから補正計数αを選択して乗じる補正計数回路2a1と、主検出器1bの出力と補正計数回路2a1の出力との差を求める補正演算回路2a2とを備える。
【0038】
次に、厚さ演算部2bは、補正演算回路2a2の出力から、予め設定される厚さ校正テーブルを参照して、外部から設定される基準板厚さtとの厚さ偏差を求める演算を行なう。
【0039】
厚さ演算部2bでは、補正演算回路2a2の出力から被測定物3の厚さtを、下記式で求める。
=1/μ・ln((Vmn−Vsn)/(Vmx−Vsx))・・・(2)
ここで、Vmn、Vsnは、夫々、被測定物3が無い時の主検出器1bの出力、副検出器1cの出力を補正演算した後の補正計数回路2a1の出力で、Vmx、Vsxは、被測定物3が有る場合の主検出器1b、補正計数回路2a1の出力を示す。
【0040】
そして、この時の厚さ偏差出力Δtは、下記式で求められる。
Δt=t−t・・・(3)
【0041】
尚、(1)式の演算は、一般的には、主検出器1b、補正演算部2aの出力を、夫々デジタル化し、校正用の厚さ基準サンプルを使用して、基準厚さtと(1)式右辺の検出器出力との関係を、予め求めた校正テーブル(検量線とも言う)を参照して厚さtを求める。
【0042】
このように校正された放射線厚さ計10は、被測定物3の位置が光軸方向で上下に移動した場合、主検出器の変化を副検出器の出力から自動的に補正して厚さ測定を行なうので、リアルタイムで補正された放射線厚さ計を提供することができる。
【実施例2】
【0043】
図2を参照して、本発明の実施例2について説明する。図2に示す実施例2について、実施例1と同じ部分は同一の符号を付しその説明を省略する。実施例2が実施例1と異なる点は、実施例1では、主検出器1bの周囲に副検出器1cを設け、被測定物3を透過したX線の散乱X線を検出するようにしたが、実施例2は、副検出器1cを放射線源と1aとC型フレーム1dの同じ側の腕部に設け、放射線源1aの照射面の中心点と主検出器1bの受光の面とが成す立体角の光軸中心の周囲で、放射線の照射方向と逆方向に散乱する散乱線を検出するようにした点が異なる。
【0044】
この場合、被測定物3が主検出器1bの方向に移動すると、主検出器1bの散乱線成分は増加し、副検出器1bの出力は、逆に減少する。したがって、実施例1で説明した補正計数αを用いて補正する上記(1)式に代えて、下記(2)式に示すように、補正計数βを補正計数αと同様の方法で予め求めておき、主検出器1bの出力に加算するように構成する。
Vm+Vs=Vm+β・Vs・・・(4)
【0045】
このように構成した場合、被測定物3の測定空間での移動に対して、散乱X線の増減方向が実施例1とは異なるので、補正演算部2a2では、主検出器1bと副検出器1cの出力を補正した補正計数回路2a1の出力とを加算する。
【0046】
そして、厚さ演算部2bでは、補正演算回路2a2の出力から被測定物3の厚さtを、実施例1の(2)式に代えて下記(5)式で求める。
=1/μ・ln((Vmn+Vsn)/(Vmx+Vsx))・・・(5)
【0047】
このように構成された放射線厚さ計は、被測定物3の上部の空間が大きく取れない場合の設置空間を小さくすることができる。
【実施例3】
【0048】
図3を参照して、本発明の実施例3について説明する。図3に示す実施例3について、実施例1と同じ部分は同一の符号を付しその説明を省略する。実施例3が実施例1と異なる点は、実施例1では、副検出器1cは、主検出器1bの周囲に環状に1つ設け、被測定物3を透過したX線の散乱X線を検出するようにしたが、実施例3は、副検出器1c1と副検出器1c2とを主検出器1bの周囲に同心円状に2重に設けるようにした点が異なる。
【0049】
この構成では、被測定物3からの散乱X線の散乱特性が極端に異なる多品種をその測定対象として厚さ測定を行なう場合、2つの副検出器1c1と副検出器1c2との出力に基づいて、副検出器1c1または副検出器1c2の何れかを予め補正係数選択回路2a3で選択し、選択した副検出器1c1(または1副検出器c2)の出力を予め記憶された補正計数テーブルから選択して補正計数選択回路2a3で補正し、さらに、(1)式に基づく補正演算を補正演算回路2a2で演算して補正する。
【0050】
このように構成された放射線厚さ計10は、被測定物3の前方散乱特性が極端に異なる材質の場合でも、その散乱線の散乱特性に対応して予め副検出器の同心径を調整しておくことで、被測定物の3の移動に対する補正が可能となる。
【0051】
以上説明したように、本発明によれば、被測定物の放射線の散乱特性が極端に異なる材質の場合でも、パスライン面と垂直な方向に移動した場合の測定誤差を自動的にリアルタイムで補正することができる。
【0052】
尚、本発明は上述した実施例のみに限定されるものでなく、被測定物がパスライン平面と垂直な方向で移動した場合に主検出器の出力の増減を、これと独立した副検出器の出力でのリアルタイムに補正するように構成されたものであれば良く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 検出部
1a 放射線源
1b 主検出器
1c、1c1〜1c4 副検出器
1d C型フレーム
2 補正演算部
2a 補正部
2a1 補正計数回路
2a2 補正演算回路
2a3 補正係数選択回路
2b 厚さ演算部
3 被測定物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の線量から被測定部の厚さを測定する放射線厚さ計であって、
前記被測定物を搬送するパスライン平面と垂直な方向で、当該被測定物を挟むように設けるC型フレームと、
前記C型フレームの対向する一方の腕部に設ける放射線源と、他方の腕部に設け、前記透過放射線を検出する主検出器と、前記放射線源の照射面の中心点と前記主検出器の受光の面とが成す立体角の光軸中心に設ける前記主検出器の周囲で、前記被測定物から散乱する散乱線を検出する副検出器とを備える検出部と、
前記主検出器で検出する放射線の増減による出力変化と前記副検出器で検出される散乱線成分の出力変化とが一致するように予め求められる補正計数を記憶し、前記被測定物が前記パスライン平面と垂直な光軸方向に移動した場合に、前記副検出器の出力から前記補正計数を選択して乗じ、さらに、前記主検出器と前記副検出器との差を求める補正演算部と、前記補正演算部の出力から厚さを求める厚さ演算部とを備える演算部と
を備え、
前記被測定物がパスライン面から垂直軸方向に移動した場合の散乱成分の変化を検出して、リアルタイムに測定誤差を補正するようにしたことを特徴とする放射線厚さ計。
【請求項2】
前記補正計数は、前記被測定物の材質、厚さ、被測定物の測定位置をパラメータとして、テーブル化したものである請求項1に記載の放射線厚さ計。
【請求項3】
前記副検出器は、前記主検出器の周囲に円環状の受光面を備え、前記透過放射線の散乱線を検出するようにした請求項1に記載の放射線厚さ計。
【請求項4】
前記副検出器は、前記光軸中心に対して、前記主検出器の周囲に異なる径の円環状の受光面を備える2つの副検出器で構成し、当該2つの副検出器の出力に基づいてその出力のいずれかを選択し、さらに、選択したいずれかの副検出器の出力を対応する前記補正計数を乗じて補正するようにした請求項1に記載の放射線厚さ計。
【請求項5】
移動する被測定物に放射線を照射して、被測定物を透過した透過放射線の線量から被測定部の厚さを測定する放射線厚さ計であって、
前記被測定物を搬送するパスライン平面と垂直な方向で、当該被測定物を挟むように設けるC型フレームと、
前記C型フレームの対向する一方の腕部に設け、前記被測定物の表面に対して鉛直方向に放射線を照射する放射線源と、他方の腕部に設け前記透過放射線を検出する主検出器と、前記一方の腕部に設け、前記放射線源の照射面の中心点と前記主検出器の受光の面とが成す立体角の光軸中心の周囲で、前記放射線の照射方向と逆方向に散乱する散乱線を検出する副検出器とを備える検出部と、
前記主検出器で検出する放射線の増減による出力変化と前記副検出器で検出される散乱線成分の出力変化とが一致するように予め求められる補正計数を記憶し、前記被測定物が前記パスライン平面と垂直な光軸方向に移動した場合に、前記副検出器の出力から前記補正計数を選択して乗じ、さらに、前記主検出器と補正された前記副検出器との和を求める補正演算部と、前記補正演算部の出力から厚さを求める厚さ演算部とを備える演算部と
を備え、
前記被測定物がパスライン面から垂直軸方向に移動した場合の散乱成分の変化を検出して、リアルタイムに測定誤差を補正するようにしたことを特徴とする放射線厚さ計。
【請求項6】
前記副検出器は、前記光軸中心に対して円環状の受光面を備え、前記被測定物から散乱する前記放射線の散乱線を受光するようにした請求項5に記載の放射線厚さ計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59000(P2011−59000A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210545(P2009−210545)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】