説明

放射線感応性材料

本発明は結合剤成分およびアルデヒドおよびケトンからなる反応生成物からなる臭いの少ないポリマー反応生成物からなる放射線感応性材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤および放射線感応性ポリマーからなる放射線感応性の臭いの少ない材料、その製造方法および低い揮発性の光開始剤としての使用に関する。
【0002】
放射線硬化性被覆剤は、この系の揮発性有機化合物(VOC)の含量が少ないので、近年重要性が増加している。皮膜形成成分は被覆剤中でかなり低分子であり、従って粘性が低く、高い割合の有機溶剤を省くことができる。被覆剤を塗装後に、例えばUV光線または電子線により開始された架橋反応により高分子ポリマーネットワークを形成することにより、耐久性の被膜が得られる。ネットワーク形成の結果として、体積の収縮を生じ、この収縮が種々の支持体への放射線硬化性塗料の一部の劣悪な付着の理由として文献に示されている[Surface Coatings International PartA、2003/06、221〜228頁]。
【0003】
皮膜形成成分は多くは不飽和基を有するポリマーからなる結合剤である。現在一般に使用される種々のポリマーの概要はInk World、2003年7月、14頁以降に示される。
【0004】
結合剤は、例えばラジカルまたはカチオン反応機構により架橋する。この反応はUV光線により、感光性化合物、いわゆる光開始剤を場合によりラジカルに分解する感光剤の存在で添加することにより開始する。
【0005】
現在一般に使用される光開始剤は、例えばベンゾフェノン、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、モノアシルホスフィンオキシド、またはビスアシルケトンの群からの光開始剤である。関連する文献は、例えばJournal of Coatings Technology、65巻、No819、1993年4月、49頁以降、Surface Coatings International、1999(7)、344頁以降、Farbe und Lack、7/97。28頁以降である。
【0006】
場合により部分基としてアセトフェノンもしくはアセトフェノン基を有するポリマー結果生成物を含有できる放射線感応性化合物は、例えば欧州特許第0346788号、欧州特許第0377199号およびドイツ特許第10206987号に記載される。
【0007】
欧州特許第0346788号は少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステル基を有するエチレン不飽和、共重合可能な、放射線感応性有機化合物を記載する。欧州特許第0377199号は(メタ)アクリル酸エステルコポリマーをベースとするUV架橋性材料を記載する。
【0008】
エステル基は加水分解に安定でないので、これによりポリマーの分解が生じ、この分解は湿ったおよび暖かい環境で、特に塩基性または酸性化合物により加速される。
【0009】
ドイツ特許第10206987号に記載されるビニルエーテル誘導体は空気酸素とともにヒドロペルオキシドを形成し、これが引き続き早すぎる、好ましくない重合を開始し、架橋したポリマーの老化を生じることがある。更に酸性媒体中の安定性が付与されない。
【0010】
ケトン−アルデヒド樹脂は例えば加水分解できない添加剤樹脂として被覆剤に使用され、光沢、硬度または引っ掻き強度のような特定の特性を改良する。通常のケトン−アルデヒド樹脂はそのかなり低い分子量により、低い溶融粘度および溶液粘度を有し、従って被覆剤に、例えば皮膜形成機能充填剤として使用される。
【0011】
ケトン−アルデヒド樹脂は一般にヒドロキシル基を有し、従って例えばポリイソシアネートまたはアミン樹脂とともに架橋することができる。この架橋反応は一般に熱により開始し、もしくは加速する。
【0012】
カチオンおよび/またはラジカル反応機構による放射線開始架橋反応には一般のケトン−アルデヒド樹脂は適さない。従ってケトン−アルデヒド樹脂を、一般に放射線硬化性被覆剤系に、例えば皮膜を形成するが、架橋しない添加剤成分として使用する。
【0013】
この種の被膜はしばしば架橋しない部分により例えばガソリン、化学薬品または溶剤に対する抵抗性が低い。
【0014】
ドイツ特許第2345624号、欧州特許第736074号、ドイツ特許第2847796号、旧東ドイツ特許第240318号、ドイツ特許第2438724号、特開平9−143396号は放射線硬化性系へのケトン−アルデヒド樹脂およびケトン樹脂、例えばシクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂の使用を記載する。これらの樹脂の放射線誘発架橋反応は記載されていない。光開始剤としてのケトン−ホルムアルデヒド樹脂も同様に記載されていない。
【0015】
シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂とアゾ化合物とのポリマー類似反応は,、Die Angewandte Makromolekulare Chemie、168(1989)、129頁以降に記載される。この方法は工業的規模で費用がかかる。アゾ化合物を使用するので、製造は高い安全性の課題と結びつく。更にアゾ化合物は熱に弱いので、保存に費用がかかる。
【0016】
Journal of Applied Polymer Science、Vol72(1999)、927頁以降に、シクロヘキサノン−およびアセトフェノン−ホルムアルデヒド樹脂が記載され、前記樹脂はベンゾインもしくはベンゾインブチルエーテル10モル%の結合により光活性になる。この合成は手間がかかり、それは2工程により行われ、16時間より長い時間がかかるからである。完全な反応は保証されず、揮発性成分が含まれることがある。更に低分子の割合が機械的特性に関して高価な被覆の性能を低下する。
【0017】
本発明の課題は、ポリマー光開始剤として適しており、低い揮発性を有し、種々の原料と広い範囲で相溶性であり、容易に混合することができる、結合剤成分および放射線感応性の臭いの少ないポリマーからなる放射線感応性材料の製造およびその製造方法、および被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材のUV光線誘発ラジカル架橋反応の開始への使用であった。更に本発明の課題は、この放射線硬化ポリマーの使用により、光沢、溶剤安定性、化学薬品安定性およびこの系の硬度を改良することであった。
【0018】
前記課題は、意想外にも、特許請求の範囲により、本発明による放射線感応性材料を提供することにより、例えば被覆剤または接着剤に、場合により他のケトンを使用して、一般式I
【化1】

(式中、RはH、1〜12個の炭素原子を有する非分枝状または分枝状アルキル基、アリール基である)のアルデヒドと、一般式II
【化2】

(式中、Rは1〜12個の炭素原子を有する非分枝状アルキル基であり、

【化3】

であり、上記式中、基R〜RはH、アルキル、OCH,OC、Cl、F、COO(C〜C−アルキル)を表し、
更にR〜RはOH,SHを表すことができる)のケトンからのポリマー反応生成物を製造し、使用することにより解決される。
【0019】
従って、本発明の対象は、放射線硬化性被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材に低い揮発性を有するポリマー光開始剤として使用するための、
A)一般式I
【化4】

(式中、RはH、1〜12個の炭素原子を有する非分枝状または分枝状アルキル基、アリール基である)のアルデヒド、および
B)一般式II
【化5】

(式中、Rは1〜12個の炭素原子を有する非分枝状アルキル基であり、

【化6】

であり、上記式中、基R〜RはH、アルキル、OCH,OC、Cl、F、COO(C〜C−アルキル)を表し、
〜Rは付加的にOH,SHを表す)の少なくとも1種のケトン、および
C)場合により他のCH−酸ケトン、および
からなるポリマー反応生成物を主に含有する放射線感応性の臭いの少ないポリマー反応生成物である。
【0020】
一般式Iによるアルデヒド成分A)として、原則的に非分枝状または分枝状アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒドおよび/またはイソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、およびドデカナールが適している。一般にケトン−アルデヒド樹脂合成に関して文献で適当であるとして記載されたすべてのアルデヒドが使用できる。しかし有利にホルムアルデヒドおよびベンズアルデヒドを単独でまたは混合物で使用する。
【0021】
必要なホルムアルデヒドは一般に約20〜40質量%水性またはアルコール(例えばメタノールまたはブタノール)溶液として使用する。ホルムアルデヒドの他の使用形、例えばパラホルムアルデヒドまたはトリオキサンの使用も同様に可能である。
【0022】
式IIによるケトンB)の例は、アセトフェノン、環置換されたアセトフェノン誘導体、例えばヒドロキシアセトフェノン、メチルアセトフェノン、エチルアセトフェノン、t−ブチルアセトフェノン、シクロヘキシルアセトフェノンである。
【0023】
更に成分B)に対して付加的に他のケトンC)、例えばアセトン、4−t−ブチルメチルケトン、メチルナフチルケトン、ヒドロキシナフチルケトン、メチルエチルケトン、ヘプタノン−2,ペンタノン−3,メチルイソブチルケトン、プロピオフェノン、シクロペンタノン、シクロドデカノン、2,2,4−トリメチルシクロペンタノンおよび2,4,4−トリメチルシクロペンタノンの混合物、シクロヘプタノン、およびシクロオクタノン、シクロヘキサノン、および全部で1〜8個の炭化水素原子を有する1個以上のアルキル基を有するすべてのアルキル置換されたシクロヘキサノンが単独でまたは混合物の形で混合物に含まれていてもよい。アルキル置換されたシクロヘキサノンの例として、4−t−アミルシクロヘキサノン、2−s−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、および3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンを挙げることができる。
【0024】
成分C)として、ケトン成分B)およびC)に対して最大9.9モル%までの副次的な量で、ベンゾインもしくはベンゾインのアルキルエーテル、例えばメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソブチルエーテルを使用できる。
【0025】
一般にケトン−およびケトン−アルデヒド樹脂合成に適していると文献に記載されるすべてのケトン、一般にすべてのCH−酸ケトンを付加的ケトンC)として使用できる。
【0026】
ホルムアルデヒドおよび/またはベンズアルデヒドと、アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、メチルアセトフェノン、t−ブチルアセトフェノンおよび/またはシクロヘキシルアセトフェノンおよび場合により4−t−ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンおよび/またはヘプタノンからなる反応生成物が有利である。
【0027】
成分A)、B)および場合によりC)からのポリマーの合成は縮合反応により、文献に公知の方法で、塩基性媒体中で行う(Dieter Stoye、Werner Freitag、Lackharze、Chemie、Eigenschaften und Anwendungen、Carl Hanser Verlag、Muenchen、Wien、1996、164頁以降、米国特許第2540885号、米国特許第2540886号、ドイツ特許第1155909号、ドイツ特許第12433号、ドイツ特許第1300256号、ドイツ特許第1256898号、ドイツ特許第3324287号、ドイツ特許第10338580.0号、欧州特許第0007106号、ドイツ特許第1265415号)。
【0028】
反応条件
溶剤:
反応は補助溶剤を使用して実施できる。アルコール、例えばメタノールまたはエタノールが適当であることが示された。補助溶剤として、水溶性ケトン、例えばメチルエチルケトンまたはアセトンを使用し、引き続き樹脂に入れて反応することが可能である。
【0029】
塩基:
A)、B)および場合によりC)から本発明の基礎となる生成物を製造するために、使用されるケトンに対して、0.05〜10モル%の少なくとも1種の塩基を使用する。有利に(金属)水酸化物、例えばカチオンNH、Li、Na、Kの水酸化物が有利である。特に有利に水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムを使用する。
【0030】
ケトンとアルデヒド成分の比
ケトン成分(B)+C)の合計)およびアルデヒド成分A)の比は1:0.9〜1:4の間で変動できる。しかし有利にケトン/アルデヒド比は1:1〜1:2.5である。ケトン成分およびアルデヒド成分は純粋な形でまたは前記のような溶剤中でまたは水性で添加することができる。水性またはアルコールホルムアルデヒド溶液、トリオキサンおよび/またはパラホルムアルデヒドを使用することが特に有利である。
【0031】
ケトンB)と成分C)の比
使用されるケトンB)およびC)の全量に対して、ケトン成分B)は10〜100モル%、有利に20〜90モル%、特に25〜80モル%の範囲で含まれていてもよい。成分C)は0〜90モル%、有利に0〜80モル%、特に20〜75モル%の範囲で使用できる。
【0032】
成分の種類および互いの比により簡単な方法で特性、例えば種々の極性溶剤中の溶解特性、他の原料との適合性、軟化範囲、ガラス転位温度、または架橋剤として、光重合性結合剤、OH基含有結合剤および例えばポリイソシアネートからなる二重硬化系の架橋に必要である、他の官能基、例えばOH基を変動できる。
【0033】
A)、B)および場合によりC)からなる本発明に重要な放射線感応性の臭いの少ないポリマー反応生成物は、成分B)およびC)およびアルデヒドA)の種類および比に応じて
30〜160℃、有利に40〜150℃、特に40〜125℃の溶融範囲、
300〜2000g/モル、有利に400〜1500g/モルの平均分子量、
5より小さい、有利に4より小さい、特に3より小さい色数(ガードナーによる、酢酸エチル中50%)、
KOH0〜250mg/g、有利に0〜200KOH/gのOH価
を有する。
【0034】
本発明の対象は更に、放射線硬化性被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材のUV光線誘発ラジカル架橋反応を開始するための本発明の生成物の使用である。
【0035】
全組成物に対して5〜80質量%、有利に10〜70質量%、特に15〜60質量%の割合が有利であると示された。
【0036】
その際本発明による生成物は種々の原料と広く相溶性であり、容易に混合できることが示された。
【0037】
放射線硬化性被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材の結合剤成分として、ラジカル架橋反応を達成できる原則的にすべての文献に適当として記載されたすべての不飽和結合剤が適している。例は芳香族および脂肪族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリアクリレート、ポリエーテルアクリレート、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、アクリル化ケトン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0038】
放射線硬化性被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材は更に反応性希釈剤を含有することができる。
【0039】
反応性希釈剤として使用できる化合物として、アクリル酸および/またはメタクリル酸、メタクリル酸および/またはアクリル酸のC〜C40−アルキルエステルおよび/またはシクロアルキルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、1,2−エポキシブチルアクリレート、1,2−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルアクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメタクリレート、および類似するアミドが有利であり、その際スチレンおよびその誘導体も添加できる。
【0040】
特に有利にフェノキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートである。
【0041】
他の有利な種類の放射線反応性溶剤は、形式的にアクリル酸もしくはメタクリル酸とアルコール成分の反応生成物から水を分離して得られる、ジアクリレート、トリアクリレートおよび/またはテトラアクリレートおよびそのメタクリレート同族体である。このために一般的なアルコール成分として、例えばエチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビス−(1,4−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(シクロヘキサンジメタノール)、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジ−β−ヒドロキシエチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(ジシドール)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス−[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2−メチルプロパンジオール−1,3、2−メチルプロパンジオール−1,5、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンジオール−1,6、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、マンニット、ソルビット、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、キシリレングリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルを単独でまたは混合物の形で使用する。
【0042】
しかし単独または混合物の形のジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)および/またはトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に有利である。
【0043】
一般に文献に放射線硬化性塗料に適していると記載されたすべての反応性希釈剤を使用できる。
【0044】
放射線硬化性被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材は本発明によるポリマーの光反応性化合物と組み合わせて、他の市販された光開始剤および/または感光剤を含有することができる。これは例えばフェニルグリオキシレート、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルジメチルケタール、モノアシルホスフィン、第三級アミン、ビスアシルホスフィン、メタロセンおよびビスアシルケトンの群から誘導される。
例は単独または混合物の形の、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン、α、α−ジメトキシ−α−ヒドロキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(4−メチルフェニルチオフェニル)フェニルメタノン、フェニルトリブロモメチルスルホン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、メチルフェニルグリオキシレート、メチルベンゾイルベンゾエート、ジフェニル(3,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、置換されたベンゾフェノン、例えば4−メチルベンゾフェノンである。
【0045】
放射線硬化性被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材は助剤および添加剤、例えば抑制剤、水および/または有機溶剤、中和剤、界面活性剤、酸素捕捉剤および/またはラジカル捕捉剤、触媒、光保護剤、色抜き剤、チキソトロープ剤、被膜抑制剤、消泡剤、静電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、燃焼防止仕上げ材、内部分離剤、充填剤および/または噴射剤を含有することができる。
【0046】
本発明による臭いの少ない生成物は、放射線誘発架橋反応の開始のほかに、特に被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材の光沢、溶剤安定性、化学薬品安定性および硬度を改良する。
【0047】
空気酸素は遊離ラジカルの抑制剤であり、従ってUV光線誘発架橋反応を遅らせる。空気酸素は更にポリマーの架橋を中断することができる。それにもかかわらず良好な硬化を保証するために、現在の系においては例えば多くの量の光開始剤または空気と被膜の間に遮断層を形成するワックスを使用して作業する。更に幅広い方法は多くの場合は不活性ガス雰囲気、例えば窒素、二酸化炭素または希ガス雰囲気中の空気を遮断する硬化である。完全に硬化する前記方法はすべて高価であるかまたは他の欠点を生じる。ワックスを使用する場合は、表面がつや消しであり、従って場合により研磨しなければならない。更にワックスは表面への引き続く層の良好な付着を阻止する。
【0048】
酸素を排除して硬化しなかった被覆剤の表面硬さが明らかに高いことが特に際立っている。従ってUV光線誘発硬化の場合に不活性ガス雰囲気または前記ワックスを省くことができる。
【0049】
以下の例により本発明を詳細に説明するが、その使用範囲は限定されない。
【0050】
実施例
例1:放射線感応性ポリマー反応生成物の製造
アセトフェノン600g、メタノール108ml、CavasolW7M(メチル化β−シクロデキストリン誘導体、Wacker、Burghausen)200gおよびホルマリン(水中30%)180gを予め入れ、三口フラスコ中で、窒素雰囲気中で、攪拌下に50℃に加熱する。25%水酸化ナトリウム溶液16gを添加し、その際反応混合物を70℃に加熱する。90分間でホルマリン(水中30%)330gを添加し、引き続き95℃に加熱し、反応混合物を還流下に5時間放置する。
【0051】
樹脂相から水相を分離し、100℃で、樹脂を水で中性に洗浄し、真空中150℃で揮発性成分を分離する。
【0052】
黄色い、透明な、脆い樹脂が得られ、この樹脂はメチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、およびキシレンに50%溶解し、軟化温度48℃を有する。ガードナーによる、酢酸エチル中の50%溶液の色数は2.2である。
【0053】
使用例
【表1】

【0054】
溶液を取り出しフレームでガラス板に塗装し、6秒間6回照射した(TECHNIGRAFUV4/120/2、80W)。純粋な溶液A、BおよびCは架橋した皮膜を形成しない。
【0055】
【表2】

1)DINENISO1522による
2)MEK試験において、1kg試験クッションと試験すべき表面の間にメチルエチルケトン(MEK)で硬化した布を表面上で前後に移動する(二行程)。被膜が変化した行程の数を測定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤成分および以下の成分、
A)一般式I
【化1】

(式中、RはH、1〜12個の炭素原子を有する非分枝状または分枝状アルキル基、アリール基である)のアルデヒド、および
B)一般式II
【化2】

(式中、Rは1〜12個の炭素原子を有する非分枝状アルキル基であり、

【化3】

であり、上記式中、基R〜RはH、アルキル、OCH,OC、Cl、F、COO(C〜C−アルキル)を表し、
〜Rは付加的にOH,SHを表す)の少なくとも1種のケトン、および
C)場合により他のCH−酸ケトン
からなる反応生成物からなる臭いの少ないポリマー反応生成物からなる放射線感応性材料。
【請求項2】
アルデヒド成分A)として、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒドおよび/またはイソブチルアルデヒド、バレルアルデヒドおよびドデカナールを単独でまたは組み合わせて使用する請求項1記載の放射線感応性材料。
【請求項3】
成分B)としてアセトフェノンおよび環置換されたアセトフェノン誘導体を単独でまたは組み合わせて使用する請求項1記載の放射線感応性材料。
【請求項4】
環置換されたアセトフェノン誘導体として、ヒドロキシアセトフェノン、メチルアセトフェノン、エチルアセトフェノン、t−ブチルアセトフェノン、またはシクロヘキシルアセトフェノンを単独でまたは組み合わせて使用する請求項3記載の放射線感応性材料。
【請求項5】
C)での他のCH−酸ケトン成分として、アセトン、4−ブチルメチルケトン、メチルナフチルケトン、ヒドロキシナフチルケトン、メチルエチルケトン、ヘプタノン−2,ペンタノン−3,メチルイソブチルケトン、プロピオフェノン、シクロペンタノン、シクロドデカノン、2,2,4−トリメチルシクロペンタノンおよび2,4,4−トリメチルシクロペンタノンからなる混合物、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロヘキサノン、および全部で1〜8個の炭化水素原子を有する1個以上のアルキル基を有するすべてのアルキル置換されたシクロヘキサノンを単独でまたは組み合わせて使用する請求項1記載の放射線感応性材料。
【請求項6】
アルキル置換されたシクロヘキサノンとして、4−t−アミルシクロヘキサノン、2−s−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、および3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンを単独でまたは組み合わせて使用する請求項5記載の放射線感応性材料。
【請求項7】
B)およびC)の合計に対して、ケトン成分C)最大9.9モル%までをベンゾインまたはアルキルエーテルに交換することができる請求項1、5および6のいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項8】
成分A)、B)および場合によりC)からなるポリマー反応生成物が、
30〜160℃の溶融範囲、
300〜2000g/モルの平均分子量、
5より小さい色数(ガードナーによる、酢酸エチル50%中)および
KOH0〜250mg/gのOH価
を有する請求項1から7までのいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項9】
成分A)、B)および場合によりC)からなるポリマー反応生成物が全組成物に対して5〜80質量%の割合で放射線感応性材料に存在する請求項1から8までのいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項10】
結合剤成分として、ラジカル架橋反応に到達できる不飽和結合剤を使用する請求項1記載の放射線感応性材料。
【請求項11】
結合剤成分として、芳香族および脂肪族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリアクリレート、ポリエーテルアクリレート、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、およびアクリル化ケトン−ホルムアルデヒド樹脂を単独でまたは組み合わせて使用する請求項1または10記載の放射線感応性材料。
【請求項12】
放射線感応性材料が反応性希釈剤を含有する請求項1から11までのいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項13】
反応性希釈剤として、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のC〜C40−アルキルエステル、シクロアルキルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、1,2−エポキシブチルアクリレート、1,2−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルアクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメタクリレート、および類似するアミド、スチレンおよびその誘導体、形式的にアクリル酸もしくはメタクリル酸とアルコール成分の反応生成物から水を分離して得られるジアクリレート、トリアクリレートおよび/またはテトラアクリレートおよびそのメタクリレート同族体を単独でまたは組み合わせて使用する請求項1から12までのいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項14】
反応性希釈剤においてアルコール成分として、エチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビス−(1,4−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(シクロヘキサンジメタノール)、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジ−β−ヒドロキシエチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(ジシドール)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス−[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2−メチルプロパンジオール−1,3、2−メチルプロパンジオール−1,5、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンジオール−1,6、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、マンニット、ソルビット、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、キシリレングリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルを単独でまたは混合物の形で使用する請求項13記載の放射線感応性材料。
【請求項15】
放射線感応性材料が他の光開始剤および/または感光剤を含有する請求項1から14までのいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項16】
光開始剤および/または感光剤として、フェニルグリオキシレート、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルジメチルケタール、モノアシルホスフィン、第三級アミン、ビスアシルホスフィン、メタロセンおよびビスアシルケトンを単独でまたは組み合わせて使用する請求項1から15までのいずれか1項記載の放射線感応性材料。
【請求項17】
放射線感応性材料を製造する方法において、結合剤成分および以下の成分
A)一般式I
【化4】

(式中、RはH、1〜12個の炭素原子を有する非分枝状または分枝状アルキル基、アリール基である)のアルデヒド、および
B)一般式II
【化5】

(式中、Rは1〜12個の炭素原子を有する非分枝状アルキル基であり、

【化6】

であり、上記式中、基R〜RはH、アルキル、OCH,OC、Cl、F、COO(C〜C−アルキル)を表し、
〜Rは付加的にOH,SHを表す)の少なくとも1種のケトン、および
C)場合により他のCH−酸ケトン
からなる反応生成物からなる臭いの少ないポリマー反応生成物を使用することを特徴とする、放射線感応性材料を製造する方法。
【請求項18】
被覆剤、接着剤、印刷インキ、およびインキ、ゲルコート、光沢剤、透明塗料、顔料ペースト、パテ塗り材料、化粧品および/または封止材および断熱材への請求項1から16までのいずれか1項記載の放射線感応性材料の使用。
【請求項19】
付加的に助剤、添加剤、抑制剤、水および/または有機溶剤、中和剤、界面活性剤、酸素捕捉剤および/またはラジカル捕捉剤、触媒、光保護剤、色抜き剤、チキソトロープ剤、被膜抑制剤、消泡剤、静電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、燃焼防止仕上げ材、内部分離剤、充填剤および/または噴射剤を単独でまたは組み合わせて含有することができる請求項18記載の放射線感応性材料の使用。

【公表番号】特表2008−510867(P2008−510867A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528813(P2007−528813)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053678
【国際公開番号】WO2006/021479
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】