説明

放射線撮影装置および放射線撮影システム

【課題】キャリブレーション処理の実施中に撮影要求が発生した場合であっても、撮影までの待ち時間を短縮することができる放射線撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線撮影装置は、放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を2以上の異なる期間に分けて実施するものであって、放射線画像の撮影履歴情報を記録する履歴記録部と、キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割する処理分割部と、撮影履歴情報に基づいて、放射線画像の撮影終了から次の撮影開始までの空き時間の期間を計算し、それぞれの単位処理が空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの単位処理の実施タイミングを空き時間の期間内に割り当てる処理割当部と、それぞれの単位処理を、それぞれの単位処理に割り当てられた空き時間の期間内の実施タイミングで実施する処理実施部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を実施する放射線撮影装置およびこの放射線撮影装置を備える放射線撮影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線撮影装置では、診断に適した放射線画像を得るために、撮影前に放射線検出器のキャリブレーション処理を行う必要がある。従来、キャリブレーション処理は、撮影のワークフローに関係なく、撮影装置単独の運用に基づいて実施されていた。従って、キャリブレーション処理の実施中に撮影要求が発生すると、キャリブレーション処理が終了するまで待たなければならず、すぐに撮影を行うことができずに患者の待ち時間負担や業務効率の低下につながっていた。
【0003】
また、キャリブレーション処理は、目的に応じて、種類の異なる複数のキャリブレーション、例えば、オフセット補正のためのキャリブレーション、欠陥補正(欠陥画素補正)のためのキャリブレーション等を実施する必要がある。また、同じ補正処理のためのキャリブレーションであっても、撮影条件の異なる複数の撮影モードでキャリブレーションを実施する必要がある。そのため、これら一連のキャリブレーション処理が終了するまでには多くの時間を必要とする。
【0004】
これらの対策として、例えば、キャリブレーション処理の実施中に撮影要求が発生した場合に、実施中のキャリブレーション処理を中止して撮影実施可能とする撮影装置が考えられる。しかし、このような撮影装置では、本来実施すべきキャリブレーション処理が実施されない状態で撮影が行われることになるため、撮影された放射線画像の品質を保証できなくなるという問題がある。
【0005】
ここで、本発明に関連性のある先行技術文献として、特許文献1,2がある。
【0006】
特許文献1には、間欠的に行なわれるX線撮影の非撮影期間において得られた複数枚の暗時画像データを加算平均処理してオフセット補正データを生成し、この順次生成されるオフセット補正データの中の最新のオフセット補正データを保存し、撮影期間において得られた各々の画像データと最新のオフセット補正データとの減算処理によりオフセット補正を行うX線診断装置が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、基準画像Prefを複数の分割領域DRに分割し、例えば、基準画像Prefを中央領域CRと周辺領域ARとに分割し、例えば、中央領域CRよりも、被写体を介さずに直接放射線が照射される場合が多く光導電層の結晶化が進みやすい周辺領域ARを多い頻度で選択し、キャリブレーション処理を行う放射線画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−75359号公報
【特許文献2】特開2010−17209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、キャリブレーション処理の実施中に撮影要求が発生した場合であっても、撮影までの待ち時間を短縮することができる放射線撮影装置および放射線撮影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して該被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を2以上の異なる期間に分けて実施する放射線撮影装置であって、
前記放射線画像の撮影履歴情報を記録する履歴記録部と、
前記キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割する処理分割部と、
前記撮影履歴情報に基づいて、前記放射線画像の撮影終了から次の撮影開始までの空き時間の期間を計算し、それぞれの前記単位処理が該空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの該単位処理の実施タイミングを該空き時間の期間内に割り当てる処理割当部と、
それぞれの前記単位処理を、それぞれの該単位処理に割り当てられた空き時間の期間内の実施タイミングで実施する処理実施部とを備えることを特徴とする放射線撮影装置を提供するものである。
【0011】
ここで、前記キャリブレーション処理は、種類の異なる複数のキャリブレーションを実施することを含み、
前記処理分割部は、前記キャリブレーションの種類を単位処理として、前記キャリブレーション処理を分割するものであることが好ましい。
【0012】
また、前記キャリブレーションの種類は、オフセット補正および欠陥補正を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記キャリブレーションは、撮影条件の異なる複数の撮影モードを実施することを含み、
前記処理分割部は、前記撮影モードを単位処理として、前記キャリブレーション処理を分割するものであることが好ましい。
【0014】
また、前記撮影モードの撮影条件は、前記キャリブレーション処理で前記放射線画像を撮影する場合に、前記放射線源から放射線を照射する時間の長さであることが好ましい。
【0015】
また、前記処理割当部は、2以上の前記単位処理が前記空き時間の期間内に実施可能であると判断した場合に、該2以上の単位処理の実施タイミングを該空き時間の期間内に割り当てるものであることが好ましい。
【0016】
さらに、前記キャリブレーション処理の実施中に、該キャリブレーション処理の実施中であることを警告する警告発生部を備えることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の放射線撮影装置と、
前記キャリブレーション処理の実施中に、指示入力部を介して入力された撮影指示に応じて、該キャリブレーション処理の実施を中止し、前記放射線画像を撮影するように制御する撮影制御部とを備えることを特徴とする放射線撮影システムを提供する。
【0018】
ここで、前記撮影制御部は、前記放射線画像の撮影が終了した後、前記中止したキャリブレーション処理の実施を該中止した単位処理の最初から再度実施するように制御するものであることが好ましい。
【0019】
また、前記撮影制御部は、前記放射線画像を撮影する複数の放射線撮影装置の放射線検出器のキャリブレーション処理の実施を制御するものであることが好ましい。
【0020】
また、前記撮影制御部は、前記放射線画像の撮影開始予定時間と前記キャリブレーション処理の終了までの待ち時間との差が最も小さい放射線撮影装置で該放射線画像の撮影が行われるように制御するものであることが好ましい。
【0021】
また、前記撮影制御部は、同じ用途で使用されている放射線撮影装置を、所定の時間帯に同時にキャリブレーション処理が実施されないように制御するものであることが好ましい。
【0022】
また、前記撮影制御部は、第1放射線撮影装置から第1キャリブレーション処理の実施状況を取得し、該取得した第1キャリブレーション処理の実施状況を第2放射線撮影装置に供給することにより、該第2放射線撮影装置が前記第1放射線撮影装置におけるキャリブレーション処理の実施状況を確認できるように制御するものであることが好ましい。
【0023】
また、本発明は、放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して該被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を2以上の異なる期間に分けて実施する放射線撮影装置と、
前記放射線画像の撮影履歴情報を記録する履歴記録部、前記キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割する処理分割部、および、前記撮影履歴情報に基づいて、前記放射線画像の撮影終了から次の撮影開始までの空き時間の期間を計算し、それぞれの前記単位処理が該空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの該単位処理の実施タイミングを該空き時間の期間内に割り当てる処理割当部を有するリモートメンテナンス装置とを備え、
前記放射線撮影装置は、それぞれの前記単位処理を、それぞれの該単位処理に割り当てられた空き時間の期間内の実施タイミングで実施する処理実施部を備えることを特徴とする放射線撮影システムを提供する。
【0024】
ここで、前記リモートメンテナンス装置は、複数の放射線撮影装置の撮影履歴情報に基づいて、前記空き時間の期間を計算するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、撮影が実施されないタイミングでキャリブレーションを実施できるので、キャリブレーション処理待ちのために撮影ができない期間を短縮することができる。また、必要な単位処理のみを適切なタイミングで実施できるため、全てのキャリブレーション処理を待たずに、かつ精度の維持も十分な状態で撮影をすることが可能になる。また、他の放射線撮影装置との連動のないシステムでも、過去の実績を参照することにより、キャリブレーションのタイミングをより適切なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の放射線撮影システムの構成を表す一実施形態のブロック図である。
【図2】図1に示す撮影装置の構成を表す一例のブロック図である。
【図3】図2に示す制御装置の構成を表す一例のブロック図である。
【図4】一連のキャリブレーション処理の流れを表す一例のフローチャートである。
【図5】図1に示す放射線撮影システムの動作を表す一例のフローチャートである。
【図6】従来の放射線撮影システムの動作を表す一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の放射線撮影装置および放射線撮影システムを詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の放射線撮影システムの構成を表す一実施形態のブロック図である。同図に示す放射線撮影システム10は、放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を、放射線画像の撮影が行われていない2以上の異なる期間に分けて実施するものであって、複数の放射線撮影装置12(12a、12b、…)と、サーバ14、15とによって構成されている。
【0029】
各々の放射線撮影装置12(12a、12b、…)は、同図に示すように、撮影装置18(18a、18b、…)と、コンソール20(20a、20b、…)とによって構成されている。そして、全ての放射線撮影装置12の撮影装置18およびコンソール20、ならびに、サーバ14、15は、病院内ネットワーク16を介して相互に接続され、互いに通信が可能となっている。
【0030】
図2は、図1に示す撮影装置の構成を表す一例のブロック図である。各々の撮影装置18(18a、18b、…)は、各々対応するコンソール20(20a、20b、…)の制御により、被検者36の放射線画像を撮影するものであり、放射線源22と、吊り下げ装置24と、放射線制御装置26と、撮影台28と、放射線検出器30と、移動装置32と、制御装置34とを備えている。
【0031】
放射線源22は、放射線制御装置26の制御により、被検者36の放射線画像の撮影時に、所定強度の放射線を所定の時間だけ照射する。つまり、所定の照射量(線量)の放射線を照射する。放射線源22は、吊り下げ装置24により、撮影室の天井から吊り下げられている。放射線源22の位置および高さは、撮影部位に応じて、吊り下げ装置24により、手動で自由に調節することができる。
【0032】
放射線制御装置26は、制御装置34の制御により、撮影条件に応じて、放射線源22の動作(放射線の照射開始、照射強度、照射時間等)を制御する。
【0033】
図示例の撮影台28は、臥位撮影台であって、放射線画像の撮影時に、被検者36を位置決めするための台である。なお、撮影台28として、立位撮影台を使用することもできる。放射線検出器30は、撮影台28の下側に配置されている。
【0034】
放射線検出器30は、例えば、フラットパネル型のもの(FPD:フラットパネルディテクタ)であり、放射線源22から照射され、被検者36を透過した放射線を検出することにより、被検者36が撮影された放射線画像の画像信号(画像データ)を出力する。放射線検出器30は、撮影部位に応じて、制御装置34により制御される移動装置32により、図2中左右方向の任意の位置に移動することができる。
【0035】
制御装置34は、コンソール20の制御により、撮影装置18全体の動作を制御するものである。制御装置34は、放射線画像の撮影時に、コンソール20から送信される撮影条件を放射線制御装置26に設定し、放射線画像の撮影を制御する。また、制御装置34は、放射線画像の撮影が行われていない期間に、放射線検出器30の一連のキャリブレーション処理を実施する。さらに、制御装置34は、撮影された放射線画像に対してオフセット補正、欠陥補正、ゲイン補正、残像補正等を含む各種の補正処理を実施する。
【0036】
図3は、図2に示す制御装置の構成を表すブロック図である。制御装置34は、同図に示すように、履歴記録部38と、処理分割部40と、処理割当部42と、処理実施部44と、警告発生部46とを備えている。なお、同図では、説明を容易にする目的で、放射線画像の撮影を制御する部分の記載を省略し、キャリブレーション処理の実施を制御する部分だけを表している。
【0037】
履歴記録部38は、放射線画像の撮影履歴情報として、撮影、放射線源22の移動、放射線検出器30の移動等を含む各処理の開始時間および終了時間を記録する。また、撮影履歴情報として、被検者36が変わったか否か、どの撮影メニューからどの撮影メニューに移行したか、撮影技師は誰か、忙しい時間帯か、同じ目的の放射線撮影装置12が同時に何台稼働していたか、被検者36の年齢等の情報を記録してもよい。
【0038】
履歴記録部38は、例えば、曜日別に10週間程度の撮影履歴情報を収集する。撮影履歴情報の収集タイミングは、例えば、毎日の装置の起動時もしくは終了時であるが、撮影技師からの要求に応じて撮影履歴情報の収集を開始してもよい。
【0039】
処理分割部40は、キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割する。本実施形態では、後述するように、キャリブレーション処理を、キャリブレーションの種類(オフセット補正のためのキャリブレーション、欠陥補正のためのキャリブレーション等)、もしくは、撮影条件が異なる複数の撮影モードで分割する。処理分割部40からは、キャリブレーション処理を分割した複数の単位処理の情報(単位処理情報)が出力される。
【0040】
処理割当部42は、撮影履歴情報に基づいて、放射線画像の撮影終了から次の撮影開始までの放射線画像の撮影が行われていない空き時間の期間を計算し、単位処理情報で表されるそれぞれの単位処理が空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの単位処理の実施タイミングを空き時間の期間内に割り当てる。処理割当部42からは、キャリブレーションの実施スケジュールが出力される。
【0041】
処理割当部42は、撮影履歴情報に基づいて、例えば、1日のうち撮影が実施される時間帯の分布状況を統計的に分析し、キャリブレーションの実施に適した時間帯を計算する。さらに、計算した時間帯の位置(早朝か終了間際か等)やその時間帯の長さ、時間の散らばり具合等の情報から、実施すべき単位処理を決定し、キャリブレーション実施スケジュールを生成する。
【0042】
処理割当部42は、例えば、吊り下げ装置24または移動装置32が動き始めたタイミング、もしくは、動作中を単位処理の実施タイミングに割り当てることができる。また、コンソール20が放射線画像に対して画像処理を開始したタイミング、もしくは、画像処理中、コンソール20が放射線画像の送受信を開始したタイミング、もしくは、送受信中等を単位処理の実施タイミングに割り当てることができる。
【0043】
キャリブレーション実施スケジュールは、キャリブレーション処理の内容および撮影履歴情報から自動的に生成される。ただし、実績上、キャリブレーションに十分な空き時間がうまく取れない場合は撮影技師が単位処理の実施タイミングを任意に決めてもよいし、分割を諦めて従来通り一括でキャリブレーション処理を実施するキャリブレーション実施スケジュールが生成されるようにしてもよい。
【0044】
また、単位処理が、必ずしも空き時間の期間に収まらないキャリブレーション実施スケジュールを生成することも可能である。例えば、単位処理に要するキャリブレーション時間が5分で、撮影間隔が4分の場合、撮影可能な状態となるまでに1分の待ち時間が生じるが、待ち時間を覚悟の上であれば、このような実施スケジュールを生成してもよい。ただし、被検者36の位置決めを行う間の空き時間の期間に限っては、待ち時間が発生しないように実施スケジュールを生成することが望ましい。
【0045】
また、処理割当部42は、2以上の単位処理が空き時間の期間内に実施可能であると判断した場合に、この2以上の単位処理の実施タイミングを空き時間の期間内に割り当てることもできる。
【0046】
続いて、処理実施部44は、キャリブレーション実施スケジュールに従って、それぞれの単位処理を、それぞれの単位処理に割り当てられた空き時間の期間内の実施タイミングで実施する。
【0047】
警告発生部46は、キャリブレーション処理の実施中に、キャリブレーション処理の実施中であることを警告する。警告は、キャリブレーション処理の実施中であることを表すメッセージを表示してもよいし、音声で通知してもよい。警告として、実施中の単位処理が終了するまでの残り時間を表示、ないし、音声で通知することが望ましい。
【0048】
続いて、コンソール20は、被検者36の放射線画像の撮影要求(撮影オーダ)をサーバ14に受け取りに行き、受け取った撮影オーダをコンソール20の撮影メニュー(撮影オーダのリスト)に登録する。その後、撮影技師により撮影メニューの中から選択された撮影オーダに対応する撮影条件を撮影装置18に送信し、撮影の指示を行う。また、コンソール20は、撮影装置18で撮影された放射線画像の画像信号(画像データ)を受信し、受信した放射線画像に対して各種の画像処理を施した後、必要に応じて、画像処理後の放射線画像をプリントしたり、画像処理後の放射線画像の画像信号をサーバ15へ送信する。
【0049】
続いて、サーバ14は、RIS(放射線情報システム)やHIS(病院情報システム)等のサーバであり、図示していない端末装置から被検者36の放射線画像の撮影依頼を受信し、各々の放射線撮影装置12における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものである。コンソール20は、サーバ14で受信された撮影依頼、つまり、被検者36の放射線画像の撮影要求(撮影オーダ)を受け取りに行く。
【0050】
最後に、サーバ15は、PACS(画像保存通信システム)等のサーバであり、コンソール20から画像処理後の放射線画像の画像信号を受信して保存するものである。コンソール20は、必要に応じて、サーバ15に保存された放射線画像の画像信号を読み出し、例えば、コンソール20の表示装置上に表示したり、プリントを作成したりすることができる。
【0051】
次に、キャリブレーション処理について説明する。
まず、撮影装置18で行われるキャリブレーションの種類について説明する。
【0052】
撮影装置18の制御装置34では、撮影された放射線画像に対して、例えば、オフセット補正、欠陥補正(欠陥画素補正)、ゲイン補正、残像補正等を含む各種の補正処理が行われる。
【0053】
ここで、オフセット補正は、放射線が照射されていない状態で放射線検出器30の各画素(放射線検出素子)に流れる暗電流(ダーク電流)の違いが、撮影された放射線画像に与える影響を補正する処理である。
【0054】
欠陥補正は、放射線検出器30の画素のうち、放射線を検出することができない、もしくは、放射線の線量に対応した画像信号を生成することができない画素(欠陥画素)により撮影された画像信号を補正する処理である。
【0055】
ゲイン補正は、放射線検出器30の画素のうち、他の画素(正常画素)とは検出感度が異なり、受光した放射線の線量に比例した画像信号を出力することができない画素(ゲイン不良画素)により撮影された画像信号を補正する処理である。
【0056】
放射線検出器30では、放射線撮影の後、撮影された放射線画像の読み出し間隔が短い場合、前の放射線撮影時の放射線画像の残像(電荷の残り)が読み出される場合がある。残像補正は、前の放射線撮影時の放射線画像による残像の影響を補正する処理である。
【0057】
なお、各々の補正処理の具体的な実施方法は各種のものが公知であり、本発明においても公知の実施方法を利用することができる。また、制御装置34は、上記以外の補正処理を行うものであってもよい。
【0058】
撮影装置18では、制御装置34で行われる補正処理に対応して、表1に示すように、各々の補正処理のための一連のキャリブレーション処理が行われる。
【0059】
【表1】

【0060】
ゲイン補正および残像補正のためのキャリブレーションは、設置時および定期メンテナンス時等の特定の条件でのみ実施される(実施頻度が低い)ため、本発明に従って撮影装置18で行われる一連のキャリブレーション処理に加えなくてもよい。以下、撮影装置18では、一連のキャリブレーション処理として、図4に示すように、オフセット補正のためのキャリブレーションが行われた後、欠陥補正のためのキャリブレーションが行われるものとする。図4には、キャリブレーション処理の分割位置が矢印で示されている。
【0061】
オフセット補正のためのキャリブレーションは、表1に示すように、設置時、定期メンテナンス時、装置起動時、および、起動中定期に実施される。このキャリブレーションは、撮影条件の異なる6種類の撮影モード(モード0〜5)を含み、1つの撮影モードごとに、放射線検出器30から画像信号の読み出しが16回行われる。また、図4に示すように、放射線検出器30から画像信号が読み出される毎に、オフセット補正のためのオフセットデータが生成され、16回分のオフセットデータの平均値がオフセット補正のための補正データとして使用される。
【0062】
ここで、撮影モードの撮影条件は、例えば、放射線画像を撮影する場合に、放射線源22から放射線を照射する時間の長さである。
【0063】
また、欠陥補正のためのキャリブレーションは、表1に示すように、設置時、定期メンテナンス時、および、装置起動時に実施される。このキャリブレーションは、3種類の撮影モード(モード0〜2)を含み、1つの撮影モードごとに、放射線検出器30から画像信号の読み出しが5回行われる。また、図4に示すように、放射線検出器30から画像信号が読み出される毎に、欠陥補正のための欠陥補正データが生成され、5回分の欠陥補正データの平均値が欠陥補正のための補正データとして使用される。
【0064】
つまり、本実施形態の場合、オフセット補正のためのキャリブレーションで16回×6モード=96回、欠陥補正のためのキャリブレーションで5回×3モード=15回、合計で96+15=111回、放射線検出器30から画像信号の読み出しが行われる。
【0065】
従来は、補正処理のためのキャリブレーション処理として、例えば、この放射線検出器30からの111回の画像信号の読み出しが、連続的に一括で行われていた。この場合、キャリブレーション処理の途中で放射線画像の撮影要求が受信されると、キャリブレーション処理が終了するまでの長い待ち時間の後に撮影が行われていた。もしくは、キャリブレーション処理を中止して撮影を行うことも考えられる。
【0066】
これに対して、本実施形態では、キャリブレーションの種類、もしくは、撮影モードを単位処理として、キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割し、それぞれの単位処理を2以上の異なる期間で実施する。
【0067】
つまり、キャリブレーションの種類でキャリブレーション処理を分割する場合、オフセット補正のためのキャリブレーションと、欠陥補正のためのキャリブレーションとの2つの単位処理に分割する。また、撮影モードでキャリブレーション処理を分割する場合、オフセット補正のためのキャリブレーションを6つ、欠陥補正のためのキャリブレーションを3つ、合計で9つの単位処理に分割する。
【0068】
このように、キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割し、放射線画像の撮影が行われていない2以上の異なる期間に分けて実施することにより、キャリブレーション処理の途中で放射線画像の撮影要求を受信した場合であっても、単位処理が終了するまでの短時間の後に撮影を行うことができる。また、撮影終了後、撮影前に終了した単位処理の次の単位処理からキャリブレーション処理を続けて実施することができる。
【0069】
なお、キャリブレーション処理の実施中に、撮影技師の判断により、キャリブレーション処理の実施を途中で中止し、放射線画像を撮影することもできる。この場合、放射線画像の撮影が終了した後、実施を中止した単位処理の最初から再度実施する。
【0070】
また、補正処理のための補正データを生成するための演算処理を分割してもよい。本実施形態では、補正データ、つまり、オフセットデータおよび欠陥補正データの平均値を求めるために、例えば、加算処理、除算処理等が行われる。このような演算処理は、撮影終了後であっても、撮影前に終了した演算処理の次の演算処理から続けて実施することができる。
【0071】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、放射線撮影システム10の動作を説明する。
【0072】
本実施形態の放射線撮影システム10では、同図のフローチャートに示すように、次の撮影オーダの受信前に1つ目の単位処理が実施される。撮影オーダの受信前は撮影が行われていない期間であるから、1つ目の単位処理を実施するための十分な期間がある。
【0073】
この1つ目の単位処理の実施中に、コンソール20は、被検者36の放射線画像の撮影オーダをサーバ14に受け取りに行き、受け取った撮影オーダをコンソール20の撮影メニューに登録する。その後、撮影技師により、コンソール20の撮影メニューの中から所望の撮影オーダが選択されると、次に撮影が行われる撮影オーダが決定される。これにより、コンソール20は、選択された撮影オーダに対応する撮影条件を撮影装置18の制御装置34に対して送信し、撮影の指示を行う。
【0074】
撮影オーダは1つ目の単位処理の実施中に受信されるため、撮影をすぐに開始することはできないが、1つ目の単位処理に要する時間は従来と比べて短いため、短い待ち時間で撮影可能な状態になる。
【0075】
続いて、撮影技師が、コンソール20で次の撮影メニューの内容を確認し、撮影準備を開始する。撮影準備として、例えば、被検者36が呼び出され、撮影台28の上に位置決めされる。また、放射線源22の位置および高さが、撮影部位に応じて、吊り下げ装置24により、手動で調節され、放射線の照射野が設定される。また、放射線検出器30が、撮影部位に応じて、移動装置32により、図2中左右方向の所定の位置に移動される。
【0076】
この撮影準備中に2つ目の単位処理が実施される。撮影準備中は撮影が行われていない期間であるから、2つ目の単位処理を実施するための十分な期間がある。
【0077】
なお、実施する単位処理の内容や単位処理の分割単位(処理時間の長さ)によっては、撮影準備が終了するまでに単位処理が終了しない場合がある。この場合、被検者36が位置決めされた状態で待ち時間が発生することになり特に好ましくない。そのため、撮影準備が終了するまでに単位処理が終了しない場合には、現在処理中の単位処理を中止し、中止した単位処理の最初から撮影終了後に再実施することが望ましい。
【0078】
ただし、実施中の単位処理が残り数秒で終了するのであれば、単位処理の終了を待って撮影を開始した方がよい場合も考えられる。従って、撮影技師が、警告発生部46による警告に基づいて、単位処理を中止するか最後まで実施するかを判断してもよい。
【0079】
また、過去実績(撮影履歴情報、経験等)からの予測時間に基づいて、撮影準備に要する時間よりも、実施しようとする単位処理に要する時間の方が長くなると考えられる場合、撮影準備中にその単位処理を実施しないようにしてもよい。
【0080】
ここで、予測時間は、撮影準備に要する時間として想定される最短時間に合わせておけば、単位処理の実施中に撮影可能な状態となり待ち時間が発生する可能性を少なくすることができる。また、過去実績がなくても、例えば、同一の被検者36でほぼ撮影条件を変更せずに繰り返し撮影する場合には次の撮影までの時間が短いため、繰り返しの撮影の途中で単位処理を行わないようにすることが望ましい。
【0081】
単位処理が終了すると撮影可能な状態になる。前述のように、単位処理の実施中は、警告発生部46により警告が発生されているが、これだけでなく、警告の発生期間中は撮影ができないようにロックをかけてもよい。
【0082】
続いて、撮影技師は、装置および被検者36の配置と撮影メニューとの対応を確認し、放射線画像の撮影を開始する。撮影技師の指示(放射線の曝射ボタン等の押下)に応じて、撮影装置18では、放射線制御装置26の制御により、放射線源22から放射線が被検者36に照射され、被検者36を透過した放射線が放射線検出器30で検出されて被検者36の放射線画像が撮影される。
【0083】
撮影が終了すると、撮影された放射線画像の画像信号が放射線検出器30から制御装置34に対して送信される。制御装置34では、受信した放射線画像の画像信号に基づいて、撮影された放射線画像に、オフセット補正、欠陥補正等を含む各種の補正処理が施され、補正処理後の放射線画像の画像信号が制御装置34からコンソール20に対して送信される。
【0084】
本実施形態では、一連のキャリブレーション処理を分割した各々の単位処理によって得られた最新(最後)の処理結果が記憶装置に記憶される。そして、放射線画像の撮影の前までに実施された単位処理よりも前の、一連のキャリブレーション処理に相当する複数の単位処理の処理結果が記憶装置から読み出され、読み出された複数の単位処理の処理結果を用いて、各種の補正処理が行われる。
【0085】
コンソール20では、受信した放射線画像の画像信号に基づいて、補正処理後の放射線画像に各種の画像処理が施される。画像処理後の放射線画像はコンソール20の表示装置に表示され、撮影技師により確認される。そして、画像処理後の放射線画像に問題がなければ、必要に応じて、プリントが作成され、その画像信号がコンソール20からサーバ15に送信されて保存される。その後、次の撮影が開始される。
【0086】
このコンソール20での画像処理中に3つ目の単位処理が実施される。画像処理中は撮影が行われていない期間であるから、3つ目の単位処理を実施するための十分な期間がある。
【0087】
放射線撮影システム10では、撮影が実施されないタイミングでキャリブレーションを実施できるので、キャリブレーション処理待ちのために撮影ができない期間を短縮することができる。また、必要な単位処理のみを適切なタイミングで実施できるため、全てのキャリブレーション処理を待たずに、かつ精度の維持も十分な状態で撮影をすることが可能になる。また、他の放射線撮影装置との連動のないシステムでも、過去の実績を参照することにより、キャリブレーションのタイミングをより適切なものにすることができる。
【0088】
次に、本実施形態との比較ために、図6に示すフローチャートを参照して、従来の放射線撮影システムの動作を簡単に説明する。
【0089】
従来の放射線撮影システムでは、同図のフローチャートに示すように、次の撮影オーダの受信前に一連のキャリブレーション処理が一括で実施される。
【0090】
このキャリブレーション処理の実施中に、コンソールは、撮影オーダをサーバに受け取りに行き、受け取った撮影オーダをコンソールの撮影メニューに登録する。その後、撮影技師により、コンソールの撮影メニューの中から所望の撮影オーダが選択されると、コンソールは、選択された撮影オーダに対応する撮影条件を制御装置に対して送信し、撮影の指示を行う。
【0091】
撮影オーダはキャリブレーション処理の実施中に受信されるため、撮影をすぐに開始することができない。撮影オーダの受信タイミングによっては、撮影可能な状態になるまでに長い待ち時間を要する。
【0092】
続いて、撮影技師が、コンソールで次の撮影メニューの内容を確認し、撮影準備を開始する。
【0093】
撮影の準備は、主に人手で行われるために長時間を要するが、この撮影準備中に撮影が実施されることはない。
【0094】
撮影準備が終了すると、撮影装置により被検者の放射線画像が撮影され、その画像信号が放射線検出器から制御装置に対して送信される。
【0095】
制御装置では、受信した放射線画像の画像信号に基づいて、撮影された放射線画像に各種の補正処理が施され、その画像信号が制御装置からコンソールに対して送信される。
【0096】
コンソールでは、受信した放射線画像の画像信号に基づいて、補正処理後の放射線画像に各種の画像処理が施される。画像処理後の放射線画像はコンソールの表示装置に表示され、撮影技師により確認される。そして、画像処理後の放射線画像に問題がなければ、必要に応じて、プリントが作成され、その画像信号がコンソールからPACS等のサーバに送信されて保存される。その後、次の撮影が開始される。
【0097】
このコンソールでの画像処理、撮影技師による画像確認にも長時間を要するが、同様に、この処理および確認中に撮影が行われることはない。
【0098】
このように、従来の放射線撮影システムでは、キャリブレーション処理の実施中に撮影要求が発生すると、キャリブレーション処理に要する時間が本実施形態の場合と比べて長いため、撮影可能な状態になるまでに長い待ち時間を必要とする。
【0099】
なお、本実施形態のように、履歴記録部38、処理分割部40および処理割当部42を各々の放射線撮影装置12に設ける代わりに、放射線撮影システム10全体で1つのリモートメンテナンス装置を設けてもよい。リモートメンテナンス装置は、履歴記録部38、処理分割部40および処理割当部42と同等の役割を果たすものであり、病院内ネットワーク16を経由して、複数の放射線撮影装置12の撮影履歴情報を収集し、管理する。
【0100】
すなわち、リモートメンテナンス装置は、全ての放射線撮影装置12の撮影履歴情報を収集して記録し、キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割し、撮影履歴情報に基づいて、放射線画像の撮影が行われていない空き時間の期間を計算し、それぞれの単位処理が空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの単位処理の実施タイミングを空き時間の期間内に割り当て、キャリブレーションの実施スケジュールを作成する。
【0101】
リモートメンテナンス装置は、キャリブレーション実施スケジュールの作成に当たって、1台の放射線撮影装置12の撮影履歴情報だけでなく、所定の条件を満足する複数の装置の撮影履歴情報に基づいて空き時間の期間を計算してもよい。
【0102】
リモートメンテナンス装置は、作成したキャリブレーション実施スケジュールを放射線撮影装置12の制御装置34にアップロードし、制御装置34の処理実施部44は、アップロードされたキャリブレーション実施スケジュールに従ってキャリブレーションを実施する。
【0103】
その日の業務状況が過去実績に基づくキャリブレーション実施スケジュールと乖離する場合には、キャリブレーション処理を中止して撮影をすることも可能である。キャリブレーション処理が中止された場合、中止された単位処理の最初からやり直すことになるため、キャリブレーション実施スケジュールも再調整が必要となる。通常は、中止した単位処理の分だけ全ての単位処理を後ろにシフトし、実施順序は計画通り進める。
【0104】
また、放射線撮影装置12の追加や運用ルールの変更などで、従来計画したキャリブレーション実施スケジュールでは最新の実施環境に不適合となる可能性がある。そのため、リモートメンテナンス装置は継続して撮影履歴情報を記録し、キャリブレーション実施スケジュールを更新する。
【0105】
また、放射線撮影システム10は、キャリブレーション処理の実施、中止を制御する撮影制御装置を備えていてもよい。
【0106】
撮影制御装置は、例えば、キャリブレーション処理の実施中に、撮影制御装置が有する指示入力装置を介して入力された撮影指示に応じて、実施中のキャリブレーション処理を途中で中止し、放射線画像を撮影するように制御することができる。この場合、撮影制御装置は、放射線画像の撮影が終了した後、実施を中止した単位処理の最初から再度実施するように制御する。
【0107】
また、撮影制御装置は、放射線画像を撮影する複数の放射線撮影装置12の放射線検出器30のキャリブレーション処理の実施を制御することができる。
【0108】
例えば、撮影制御装置は、放射線画像の撮影開始予定時間とキャリブレーション処理の終了までの待ち時間との差が最も小さい放射線撮影装置12で放射線画像の撮影が行われるように制御する。また、撮影制御装置は、同じ用途で使用されている複数の放射線撮影装置12を、所定の時間帯に同時にキャリブレーション処理が実施されないように制御する。
【0109】
さらに、撮影制御装置は、例えば、第1放射線撮影装置12aの制御装置34から第1キャリブレーション処理の実施状況を取得し、取得した第1キャリブレーション処理の実施状況を第2放射線撮影装置12bの制御装置34に供給することにより、第2放射線撮影装置12bが第1放射線撮影装置12aにおけるキャリブレーション処理の実施状況を確認できるように制御することも可能である。
【0110】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0111】
10 放射線撮影システム
12 放射線撮影装置
14、15 サーバ
16 病院内ネットワーク
18 撮影装置
20 コンソール
22 放射線源
24 吊り下げ装置
26 放射線制御装置
28 撮影台
30 放射線検出器
32 移動装置
34 制御装置
36 被検者
38 履歴記録部
40 処理分割部
42 処理割当部
44 処理実施部
46 警告発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して該被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を2以上の異なる期間に分けて実施する放射線撮影装置であって、
前記放射線画像の撮影履歴情報を記録する履歴記録部と、
前記キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割する処理分割部と、
前記撮影履歴情報に基づいて、前記放射線画像の撮影終了から次の撮影開始までの空き時間の期間を計算し、それぞれの前記単位処理が該空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの該単位処理の実施タイミングを該空き時間の期間内に割り当てる処理割当部と、
それぞれの前記単位処理を、それぞれの該単位処理に割り当てられた空き時間の期間内の実施タイミングで実施する処理実施部とを備えることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記キャリブレーション処理は、種類の異なる複数のキャリブレーションを実施することを含み、
前記処理分割部は、前記キャリブレーションの種類を単位処理として、前記キャリブレーション処理を分割するものである請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記キャリブレーションの種類は、オフセット補正および欠陥補正を含む請求項2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記キャリブレーションは、撮影条件の異なる複数の撮影モードを実施することを含み、
前記処理分割部は、前記撮影モードを単位処理として、前記キャリブレーション処理を分割するものである請求項2または3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記撮影モードの撮影条件は、前記キャリブレーション処理で前記放射線画像を撮影する場合に、前記放射線源から放射線を照射する時間の長さである請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記処理割当部は、2以上の前記単位処理が前記空き時間の期間内に実施可能であると判断した場合に、該2以上の単位処理の実施タイミングを該空き時間の期間内に割り当てるものである請求項1〜5のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
さらに、前記キャリブレーション処理の実施中に、該キャリブレーション処理の実施中であることを警告する警告発生部を備える請求項1〜6のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の放射線撮影装置と、
前記キャリブレーション処理の実施中に、指示入力部を介して入力された撮影指示に応じて、該キャリブレーション処理の実施を中止し、前記放射線画像を撮影するように制御する撮影制御部とを備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項9】
前記撮影制御部は、前記放射線画像の撮影が終了した後、前記中止したキャリブレーション処理の実施を該中止した単位処理の最初から再度実施するように制御するものである請求項8に記載の放射線撮影システム。
【請求項10】
前記撮影制御部は、前記放射線画像を撮影する複数の放射線撮影装置の放射線検出器のキャリブレーション処理の実施を制御するものである請求項8または9に記載の放射線撮影システム。
【請求項11】
前記撮影制御部は、前記放射線画像の撮影開始予定時間と前記キャリブレーション処理の終了までの待ち時間との差が最も小さい放射線撮影装置で該放射線画像の撮影が行われるように制御するものである請求項10に記載の放射線撮影システム。
【請求項12】
前記撮影制御部は、同じ用途で使用されている放射線撮影装置を、所定の時間帯に同時にキャリブレーション処理が実施されないように制御するものである請求項10に記載の放射線撮影システム。
【請求項13】
前記撮影制御部は、第1放射線撮影装置から第1キャリブレーション処理の実施状況を取得し、該取得した第1キャリブレーション処理の実施状況を第2放射線撮影装置に供給することにより、該第2放射線撮影装置が前記第1放射線撮影装置におけるキャリブレーション処理の実施状況を確認できるように制御するものである請求項10に記載の放射線撮影システム。
【請求項14】
放射線源から照射され、被検者を透過した放射線を検出して該被検者の放射線画像を撮影する放射線検出器のキャリブレーション処理を2以上の異なる期間に分けて実施する放射線撮影装置と、
前記放射線画像の撮影履歴情報を記録する履歴記録部、前記キャリブレーション処理を複数の単位処理に分割する処理分割部、および、前記撮影履歴情報に基づいて、前記放射線画像の撮影終了から次の撮影開始までの空き時間の期間を計算し、それぞれの前記単位処理が該空き時間の期間内に実施可能かどうかを判定して、それぞれの該単位処理の実施タイミングを該空き時間の期間内に割り当てる処理割当部を有するリモートメンテナンス装置とを備え、
前記放射線撮影装置は、それぞれの前記単位処理を、それぞれの該単位処理に割り当てられた空き時間の期間内の実施タイミングで実施する処理実施部を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項15】
前記リモートメンテナンス装置は、複数の放射線撮影装置の撮影履歴情報に基づいて、前記空き時間の期間を計算するものである請求項14に記載の放射線撮影システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate