説明

放射線測定装置およびその測定方法

【課題】建物の床や複雑な大型形状物等の測定対象から放射される放射線の強度および放射線の強度分布を測定精度よく簡便かつ正確に測定することができるもの。
【解決手段】本発明に係る放射線測定装置10は、気体を取り入れる気体取入手段33と気体を取り出す気体取出手段34と電極13を備えたイオン収集手段14と、気体を吸引して気体取入手段33から気体を取り込む気体吸引手段36と、電極13に電圧を印加させる電源17と、電極13で収集された気体中のイオンによる電流を測定する電流測定手段15と、電流測定手段15で測定された電流値から放射線の強度を算出する処理手段16とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象が放出する放射線およびその強度分布を精度よく測定する放射線測定技術に係り、特に被測定機器や被測定物等の測定対象から放出される放射線およびその強度分布を簡便に精度よく測定することができる放射線測定装置およびその測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、環境(外気中)に散在する放射性物質を検出し、放射線の強度分布を測定する装置としてα線やβγ線を対象としたサーベイメータがある。大型で複雑な形状物や建物の床面の被測定物を測定対象とした場合、α線は飛程が数cmと短いので、測定者はサーベイメータを測定対象に密着接近させて走査し、測定する必要がある。
【0003】
また、一般に、測定対象から放出される放射線によりその近傍の気体が電離(イオン化)されてイオン対が生成され、生成されたイオンは数秒から数10秒の寿命で測定対象の近傍に存在することが知られている。測定対象近傍に存在するイオンを収集して放射線強度を求める放射線測定技術に特許文献1や非特許文献1に記載された放射線測定装置がある。
【0004】
特許文献1に記載の放射線測定装置は、測定対象近傍からの空気を吸気通路を介して吸引ポンプで吸引し、吸気通路の途中に設けられた電離電流測定装置により、測定対象近傍から吸引された空気の電離電流(イオン化電流)を測定して測定対象の放射線を測定するものである。
【0005】
また、非特許文献1に記載された放射線測定装置は、図12に示すように、ボックス状の測定チャンバ1内に測定対象2を設置し、この測定チャンバ1内の気体を配管を通してイオン収集手段3に接続し、このイオン収集手段3には内部の電極4に電源5から電圧を印加可能に構成される。
【0006】
放射線測定装置は、測定対象2からの放射線の電離作用(イオン化作用)で生成したイオンを、測定チャンバ1内の気体とともにイオン収集手段3まで輸送し、イオン収集手段3で収集したイオンを電流測定手段6で電流として測定し、測定された電流値からデータ処理手段7で放射線の強度を測定するものである。なお、符号8および9は気体輸送手段および気体浄化手段である。
【特許文献1】特開2003−194946号公報
【非特許文献1】日本原子力学会「2003年春の年会」予稿集 D17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に記載された放射線測定装置は、ボックス状測定チャンバ1内に測定対象2を収容し、測定対象1周囲の空気と一括して吸引してイオン収集手段3に収集させ、イオン収集手段3にて全放射能を測定しているので、測定対象1の放射線強度は測定できるが、測定対象の放射線強度分布(放射能分布)を測定することが困難であった。
【0008】
また、特許文献1に記載された放射線測定装置は、測定対象近傍のイオンを収集して測定対象の放射能分布を測定する技術であるが、測定対象と電離電流測定装置に複雑で長い吸引通路が存在するために、途中でイオンの減衰が大きな課題となり、測定対象の放射能分布を正確に測定精度よく測定することが難しかった。
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、建物の床や大型で複雑形状物等の測定対象の放射線およびその強度分布を簡便に測定精度よく正確に測定することができる放射線測定装置およびその測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放射線測定装置は、上述した課題を解決するために、気体を取り入れる気体取入手段と気体を取り出す気体取出手段と電極を備えたイオン収集手段と、気体を吸引して前記気体取入手段から気体を取り込む気体吸引手段と、前記電極に電圧を印加させる電源と、前記電極で収集された気体中のイオンによる電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段で測定された電流値から放射線の強度を算出する処理手段とを備えるものである。
【0011】
また、本発明に係る放射線測定方法は、上述した課題を解決するために、測定対象の電離部からの気体を取り入れる気体取入手段を配置し、気体吸引手段を作動させて気体取入手段から気体を取り込み、取り込んだ気体中のイオンによる電流を測定し、測定された電流値から放射線の強度を算出する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の放射線測定装置およびその測定方法によれば、測定対象の放射線の強度および放射線の強度分布を簡便な装置で測定精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る放射線測定装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る放射線測定装置の第1実施形態を示す全体構成図である。
【0015】
この放射線測定装置10は、大型で複雑な被測定機器や建物の床等の測定面積が大きな測定対象11から放出される放射線およびその強度分布を測定精度よく測定する装置である。
【0016】
放射線測定装置10は、測定対象11近傍にイオン化空間領域として形成される電離部12に向けて開口し、電極13を内部に備えたイオン収集手段14と、このイオン収集手段14で収集されたイオンによる電流を測定する電流測定手段15と、この電流測定手段15で測定された電流値から放射線の強度を算出するデータ処理手段16と、イオン収集手段14の電極13に電圧を印加させる電源17とを有して構成される。
【0017】
電離部12は、測定対象11および測定対象11に付着された放射線源20から放出される放射線により、その近傍の気体が電離(イオン化)される空間領域を指称する。放射線がα線の場合、測定対象11の表面領域から数cm以内の空間領域をいう。
【0018】
また、イオン収集手段14は、例えば一端が開口した金属円筒のような外筒21と、この外筒21内の略中心に軸方向に設置されたバー状あるいはプレート状の電極13と、この電極13の両端部を外筒21内に絶縁状態で保持する電極固定装置22とを有する。電極固定装置22は、電極13の一端を保持する第1の固定保持手段23と、電極13の他端を外筒21の開口側で保持する第2の固定保持手段24とを備える。
【0019】
第1の固定保持手段23は、電極13の一端側を軸支するボス状あるいはスリーブ状の絶縁材26と、この絶縁材26の外周側を覆い、漏洩電流を減少させるガードリング27と、このガードリング27の外周側に装着された筒状絶縁材28と、この絶縁材28を外筒21に固定させる支持手段29から構成される。
【0020】
第2の固定保持手段24は、電極13の他端側を軸支するボス状絶縁材30と、この絶縁材30を外筒21の内周壁に固定させる放射状支持脚としての支持手段31とを有する。電極13は第1および第2の固定保持手段23,24により両端支持される。
【0021】
さらに、外筒21の一端は開口しており、この開口側に気体取入手段33が形成される。電極13の第2の固定保持手段24は、気体取入手段33の近傍で電極13を外筒21に絶縁状態で固定している。
【0022】
また、外筒21には第1の固定保持手段23側に気体取出手段34が設けられ、この気体取出手段34が気体取出口として開口しており、この気体取出手段34はフレキシブルチューブのような自在輸送経路35を介して気体吸引手段36に連結される。気体吸引手段36は、例えば吸引ポンプであり、ポンプ作動により、気体取入手段33からイオンを気体とともに吸引し、外筒21内に流通させることができる。イオン収集手段14は電離部12で発生したイオンを電極13に吸着し、収集するように案内している。符号37は整流手段である。
【0023】
また、電極17は、イオン収集手段14の外筒21と電極13の間に電圧を印加しており、この電圧印加により、外筒21内の電極13に、収集された負イオンがイオン化電流として流れ、このイオン化電流を例えばエレクトロメータのような電流測定手段15で測定するようになっている。
【0024】
次に、放射線測定装置10の作用を説明する。
【0025】
測定対象11に付着して放射線源20から放射された放射線で気体を電離するとイオン対(負イオンと正イオン、あるいは正イオンと電子)が生成され、このイオンは、数秒から数十秒の寿命で測定対象11の近傍領域、すなわち電離部12に存在する。
【0026】
そこで、気体収集手段14の気体取入口である気体取入手段33を電離部12に近付ける。すなわち、外筒21の気体取入手段33を測定対象11の近傍領域、すなわち電離部12に近付け、気体吸引手段36で気体を吸引すると、気体(外気)取入手段33から気体がイオンとともに外筒21内に取り込まれ、外筒21内部を移動せしめられる。
【0027】
外気が外筒21内を移動せしめられる際、電源17から正の電圧が中心の電極13に印加されていると、気体中の負のイオンが電極13に収集される。収集されたイオンは電極13内をイオン化電流として流れ、この電流は電流測定手段15に測定される。測定された電流値から予め求められた電流値の放射能換算定数(既知)を使用し、演算処理することで放射線の強度を求めることができる。
【0028】
この放射線測定装置10は、電極13の両端が絶縁材26,30により外筒21に絶縁して固定されているので、電極13の軸方向長さを長くすることにより、電極表面積が大きくなり、放射線照射により生成されるイオンを高効率で収集することができる。さらに、外筒21内を流れる気体による電極13の振動を両端支持することで有効的に防止でき、イオン化電流を低ノイズで測定することができる。
【0029】
また、イオン収集手段14は、気体吸引手段36にフレキシブルな自在輸送経路35にて連結されており、イオン収集手段14を自由に移動させて測定対象11に容易に近付けることができる。イオン収集手段14は、気体吸引手段36、電流測定手段15およびデータ処理手段16を停止させて測定対象11に自由にかつ容易に近付けることができるので、生成されたイオン収集を効率よく行なうことができる。イオンは生成後時間の経過とともに減衰するが、このイオン減衰が少ない状態でイオンを収集することができる。
【0030】
本実施形態の放射線測定装置10によれば、イオン収集手段14を測定対象11に接近させることができるため、イオンを高効率、低ノイズかつ低減衰で収集し、そのイオン化電流を精度よくかつ安定して測定することができ、放射線強度の測定精度を向上させることができる。
【0031】
また、イオン収集手段14を測定対象11近傍の電離部12に沿って順次あるいは段階的に移動させることで、測定対象11近傍の電離部12の放射線の強度分布を測定することができる。
【0032】
特に、イオン収集手段14の気体取入手段33を測定対象11の近傍に近付け、測定対象11の全領域(全ての電離部領域)に沿って走査させ、各走査位置の放射線強度を測定することで、放射線の強度分布(放射能分布)をイオン減衰が少ない条件で測定することができる。
【0033】
なお、この放射線測定装置10の一実施形態では、外筒21の一端に気体取入手段33を、外筒21の他端側外周に気体取出手段34を設けた例を示したが、気体取入手段33と気体取出手段34とを逆に形成し、気体取入手段33に自在輸送経路を連結し、気体取出手段34の近傍に測定対象11を設置し、気体を吸引してイオン収集し、放射線測定を行なってもよい。
【0034】
[第2の実施形態]
図2は、本発明に係る放射線測定装置の第2の実施形態を示すものである。
【0035】
この実施形態に示された放射線測定装置10Aは、イオン収集手段14をリニア状あるいはマトリクス状に複数個配列してイオン収集手段14の群を構成し、イオン収集装置40を構成している。他の構成は、第1実施形態に示された放射線測定装置10と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
イオン収集装置40を構成する個々のイオン収集手段14も図1に示されたイオン収集手段と異ならないので、同じ符号を付して説明を省略あるいは簡略にする。各イオン収集手段14は、一端が開口した円筒状の外筒21とバー状あるいはプレート状の中心の電極13と、この電極13の両端部を外筒21に絶縁支持する電極固定装置22とから構成される。
【0037】
電極固定装置22は電極13の外筒21の閉塞側を絶縁固定する第1の固定保持手段と外筒21の開口側を絶縁固定する第2の固定保持手段24から構成される。第2の固定保持手段24は、電極13を開口側で軸支するボス状絶縁部材30とこの絶縁部材30を外筒21の内周壁に固定させる放射状支持脚としての支持手段31とを有する。
【0038】
個々のイオン収集手段14は外筒21の開口側に形成される気体取入(吸引)手段33に連絡しており、測定対象の電離部(図1の符号12)に臨んでいる。個々のイオン収集手段14を束ねるイオン収集装置40は測定対象の全領域に沿って走査し、それぞれの走査位置の放射線を測定することで、測定対象が大きな面積を有する床圧であっても、放射線の強度分布をイオン減衰が少ない条件で測定することができる。
【0039】
また、個々のイオン収集手段14は、吸引ポンプ等の気体吸引手段(図示せず)に接続され、放射線測定装置10Aは、個々のイオン収集手段14の各電極13に電圧を印加する電源、各電極13で収集したイオンを電流として測定する各電流測定手段および各電流測定手段で測定した電流値を演算処理して放射能分布を求めるデータ処理手段で構成される。
【0040】
本実施形態における放射線測定装置10Aは、それぞれのイオン収集手段14に各気体吸引手段36(図1参照)で気体を吸引しつつイオンを電極13に収集し、各電極13に収集されたイオンをそれぞれの電流測定手段15(図1参照)で電流として測定し、この電流値をデータ処理手段16(図1参照)で演算処理すれば、各イオン収集手段14の位置に対応した放射能の分布を精度よく測定することができる。
【0041】
また、リニア配列あるいはマトリクス配列のイオン収集手段14群からなるイオン収集装置40を測定対象に沿って近接状態で移動走査させ、各イオン収集手段14に電離作用で生成したイオンを空気とともに吸引すれば、測定対象の広い表面積に亘って放射線の強度分布を能率よく測定することができ、測定対象の放射線による表面汚染状態を正確に制度よく、測定することができる。
【0042】
なお、放射線測定装置10Aは、各イオン収集手段14を構成する外筒21が円形の例を示したが、円形に代えて六角形のように多角形で形成することもできる。
【0043】
[第3の実施形態]
図3は、本発明に係る放射線測定装置の第3実施形態を示すものである。
【0044】
この実施形態に示された放射線測定装置10Bは、複数個のイオン収集手段14aを格子状あるいはマトリクス状に配設してイオン収集手段14aの群からなるイオン収集装置40aを構成している。他の構成は、第1実施形態に示された放射線測定装置10と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
イオン収集装置40aを構成するイオン収集手段14aも基本的原理は図1に示されたイオン収集手段14と異ならない。各イオン収集手段14aは、一端が開口した角筒状の外筒21と、バー状あるいはプレート状の中心の電極13と、この電極13の両端部を外筒21aに絶縁支持する電極固定装置22とから構成される。
【0046】
電極固定装置22は、電極13の外筒21の閉塞側を絶縁固定する第1の固定保持手段と、外筒21の開口側を絶縁固定する第2の固定保持手段24から構成される。第2の固定保持手段24は、外筒21の軸線方向に延設された電極13を開口側で軸支するボス状絶縁部材30とこの絶縁部材30を外筒21の内周壁に固定させる放射状支持脚としての支持手段31とを有する。
【0047】
この放射線測定装置10Bは、格子状あるいはマトリクス状に配置されたイオン収集手段14aの群を有し、各イオン収集手段14aには気体吸引手段(図1の符号33)が接続される。各気体吸引手段を作動させてイオン収集手段14aに気体を吸引しつつイオンを電極13に収集させ、各イオン収集手段14aの電極13に収集されたイオンの電流をそれぞれの電流測定手段(図1の符号15)で測定し、測定された電流からデータ処理手段(図1の符号16)で演算処理することにより、イオン収集手段14aの位置に対応した放射能分布を精度よく測定することができる。
【0048】
イオン収集装置40aはイオン収集手段14aを格子状あるいはマトリクス状に構成し、各格子寸法を例えば10cm×10cmの矩形形状とすると、1つのイオン収集手段14aで100cmの放射線の強さを測定できる。複数のイオン収集手段14aを格子状あるいはマトリクス状に構成することで放射線の強度分布を測定することができる。
【0049】
また、イオン収集装置40aはイオン収集手段14aが格子状あるいはマトリクス状を保って測定対象(図11の符号11)の表面近傍を相対的に移動走査することで、測定対象の広い表面積あるいは放射線の強度分布を正確に精度良く測定することができる。
【0050】
[第4の実施形態]
図4は、本発明に係る放射線測定装置の第4実施形態を示す概略的な構成図である。
【0051】
この実施形態に示された放射線測定装置10Cは、イオン収集手段14の外筒21の開口側に電離捕捉手段44を設けたものであり、他の構成は図1に示された放射線測定装置10の構成と異ならないので同じ符号を付して説明を省略ないし簡略化する。
【0052】
この放射線測定装置10Cは、外筒21の開口側に測定対象11に向けて開口する電離捕捉手段44が設けられる。電離捕捉手段44は外筒21の開口側に設けられた椀状あるいは筒状の捕捉ボックス45を有する。この捕捉ボックス45は測定対象11の放射線源20側にボックス開口部が開口し、ボックス内部が電離空間領域46を形成している。電離捕捉手段44の電離空間領域46は測定対象11の表面上に電離部12を構成している。
【0053】
測定対象11は放射線源20を備えた対象表面側に電離部12が形成され、この電離部12は捕捉ボックス45内に形成される電離空間領域46を含めて、測定対象11の放射線源20から放射される放射線領域に形成される。捕捉ボックス45は所要の開口面積、例えば10cm×10cmの開口を有し、測定対象11とする電離部12の測定領域を限定している。
【0054】
捕捉ボックス45の奥行きは測定対象11の放射線の種類およびエネルギに応じて定められる。放射線を、例えば5MeVのα線を対象とする場合、捕捉ボックス45の奥行きはα線の飛程と同程度、例えば5cm程度に設定される。
【0055】
この放射線測定装置10Cにおいては、測定対象11の放射線源20から放射される放射線(α線)により電離部12が測定対象表面近傍に形成され、この電離部12に向けて電離捕捉手段44の捕捉ボックス45が近接状態で開口している。
【0056】
捕捉ボックス45の開口を経て電離空間領域46に入射した放射線は、そのエネルギを電離空間領域46の気体(大気)に付与し、気体を電離(イオン化)させる。
【0057】
電離空間領域46の気体の電離によりイオンが生成され、生成されたイオンは、気体吸引手段36の作動により、気体とともにイオン収集手段14の外筒21内に吸引(輸送)される。イオン収集手段14の電極13に収集されたイオンは、電流測定手段15によりイオン電流として測定される。イオン収集手段14で収集されたイオンからイオン電流を測定し、この電流値から放射能の演算定数を使用してデータ処理手段16により、測定対象11の電離部領域の放射線の強さを高効率で測定することができる。
【0058】
この放射線測定装置10Cは電離捕捉手段44の電離ボックス45の開口面積に応じた電離部12領域の放射線を測定することができ、この電離捕捉手段44をイオン収集手段14とともに測定対象表面に沿って移動走査させることで、測定対象11の放射線の強度分布も容易に測定することができる。
【0059】
このように、電離捕捉手段44の電離ボックス45により、ボックス開口部で測定対象の位置を限定(特定)することにより、定められた電離部領域の放射線(放射線の強度)を精度よく測定することができる。
【0060】
[第5の実施形態]
図5は、本発明に係る放射線測定装置の第5実施形態を示す部分的な構成図である。
【0061】
この実施形態に示された放射線測定装置10Dは、電離捕捉手段47の構成を図4に示された放射線測定装置10Cと異にし、他の構成は異ならないので同一符号を付して説明を省略ないし簡略化する。図5に示された放射線測定装置10Dは、測定対象50が建物の床面等の放射線測定に適したものである。
【0062】
この放射線測定装置10Dは、イオン収集手段14の外筒21の開口側に電離捕捉手段47が設けられる。電離捕捉手段47は、外筒21の先端開口側に椀状あるいは筒状の捕捉ボックス48を有する。この捕捉ボックス48は測定対象50の表面側にボックス開口が臨んでおり、ボックス内部に電離空間領域49が形成される。測定対象50の表面上には電離空間領域49を含めて電離部12が形成される。
【0063】
電離捕捉手段47は、ボックス開口部が測定対象11の表面側を向くボックス状の捕捉ボックス48と、この捕捉ボックス48のボックス開口部に設けられたイオン吸着ブラシ51と、捕捉ボックス48の側面に設けられた外気取入手段52と、この外気取入手段52の外気取入口からボックス内部に混入される外気を浄化する外気浄化手段53と、捕捉ボックス48を測定対象50の表面上で一定の距離を保って走査できる、例えば走行車輪のような移動走査手段54とから構成される。
【0064】
イオン吸着ブラシ51は、樹脂製ブラシで形成され、測定対象50の表面と捕捉ボックス48のボックス開口との間隙を減少させ、測定対象50の表面から混入するイオンを吸着させる一方、外気浄化手段53は、外気取入手段52から混入する外気に含まれるイオンや塵芥等の異物を吸着するようになっている。また、移動走査手段54は、測定対象表面とボックス開口部の距離を一定に保ち、かつ電離捕捉手段47が測定対象50の全域に亘って相対的に移動走査できるように構成された、電離捕捉手段47の移動手段である。
【0065】
図5に示された放射線測定装置10Dは、電離捕捉手段47を測定対象50の表面上に設置することで、測定対象50の表面領域を限定する。測定対象50の表面領域に付着する放射線源から気体を電離させることで、測定対象表面近傍に電離部12が構成される。
【0066】
次に、気体吸引手段(図1の符号36)を作動させて測定対象50の表面領域を限定(特定)し、その表面領域に付着する放射線源が気体を電離して生成したイオンを電離捕捉手段47で捕捉し、イオン収集手段14に収集される。
【0067】
イオン収集手段14の電極(図1の符号13)に収集されたイオンを電流として電流測定手段(図1の符号15)で測定し、この測定された電流値をデータ処理手段(図1の符号16)により、予め定められた電流値から放射能への換算定数を使用して放射能を算出することができる。
【0068】
この放射線測定装置10Dは、電離捕捉手段47の捕捉ボックス48のボックス開口部に樹脂製ブラシ51を、また、外気取入手段52に外気浄化手段53をそれぞれ備え、このブラシ51や外気浄化手段53で大気中に存在するイオンが電離空間領域49に流入するのを未然に防止し、流入イオンがバックグランドとなって放射線の測定精度を低下させるのを防止している。また、移動走査手段54により電離捕捉手段47を測定対象50の表面に対して正確かつ高精度に位置決めを行なって移動走査させることで、測定対象50表面の放射線の強度分布を測定精度よく測定することができる。
【0069】
[第6の実施形態]
図6は、本発明に係る放射線測定装置の第6実施形態を示す部分的な構成図である。
【0070】
この実施形態に示された放射線測定装置10Eは、イオン収集手段14の外筒21開口側に設けられる電離捕捉手段47aに除電ブラシ57を備えた構成が、図5に示された放射線測定装置10Dと異なり、他の構成は異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略ないし簡略化する。
【0071】
この放射線測定装置10Eは、電離捕捉手段47aを構成する捕捉ボックス48のボックス開口部に除電ブラシ57を設け、この除電ブラシ57で測定対象50との間隙を減少させるとともに、大気中に存在するイオンが捕捉ボックス48の電離空間領域49に流入するのを防止している。除電ブラシ57は、所要値、例えば直径12μmφ程度のステンレスワイヤで構成される。
【0072】
第6実施形態に示された放射線測定装置10Eが電離捕捉手段47aの捕捉ボックス48のボックス開口部を覆うように除電ブラシ57を設け、この除電ブラシ57により、大気中に存在するイオンが捕捉ボックス48内に流入し、流入したイオンがバックグランドとなって測定精度が低下するのを有効的に防止でき、測定対象50の放射線の強度およびその強度分布を精度よく測定することができる。
【0073】
[第7の実施形態]
図7は、本発明に係る放射線測定装置の第7実施形態を示す部分的な構成図である。
【0074】
この実施形態に示された放射線測定装置10Fは、図5に示された放射線測定装置10Dとは電離捕捉手段47に帯電絶縁手段60を設けた構成を異にし、他の構成は異ならないので同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0075】
図7に示された放射線測定装置10Fは、電離捕捉手段47の捕捉ボックス48の外側に帯電絶縁手段60を間隔をおいて設けたものである。帯電絶縁手段60は、高電圧に帯電可能なプレート状の帯電絶縁体61と、この帯電絶縁体61を外気取入手段52および樹脂製ブラシ等のイオン吸着ブラシ51の近くに設ける絶縁体支持具62により構成される。
【0076】
帯電絶縁体61は、例えばテフロン(登録商標)等の絶縁材で構成され、表面に高電圧を帯電させ、外気取入手段52および樹脂製ブラシ51の近傍に存在する大気中のイオンを電気力で散逸もしくは吸着させるものである。このため、帯電絶縁手段60は、大気中のイオンが捕捉ボックス48内に流入する可能性が大きな外気取入手段52および樹脂製ブラシ51(ボックス開口部)を外側あるいは周辺から覆うように設けられる。
【0077】
この放射線測定装置10Fによると、帯電絶縁手段60に高電圧に帯電した帯電絶縁体61により、外気取入手段52近傍に存在するイオンおよび樹脂製ブラシ51近傍に存在するイオンを電気力(クーロン力)で散逸もしくは吸着させることができ、大気中に存在するイオン濃度を低下させ、外気取入手段52および樹脂製ブラシ51で吸着できず、捕捉ボックス48内の電離空間領域49に流入する外気中のイオンを減少させることができる。
【0078】
このため、電離捕捉手段47の電離ボックス48内に流入する外気中のイオンを有効的に防止し、バックグランドの要因となる流入イオンを低減でき、測定対象50表面からの放射線の強度およびその強度分布を精度よく正確に測定することができる。
【0079】
[第8の実施形態]
図8は、本発明に係る放射線測定装置の第8実施形態を示す部分的な構成図である。
【0080】
この実施形態に示された放射線測定装置10Gは、イオン収集手段14の外筒21の開口側に設けられる電離捕捉手段47に帯電絶縁手段60を着脱自在に設けるとともに、電離捕捉手段47から取り外された帯電絶縁手段60に帯電させる帯電手段65を設けた構成が、図5に示された放射線測定装置10Dと異なり、他の構成は実質的に異ならないので、同じ符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0081】
帯電絶縁手段60は電離捕捉手段47の捕捉ボックス48に外側から取り付けられる絶縁体支持具62と、この絶縁体支持具62に着脱自在に固定されるプレート状あるいはメッシュ状の帯電絶縁体61から構成される。帯電絶縁体61は、例えばテフロンのような絶縁材で構成され、表面に高電圧が帯電せしめられるようになっている。帯電絶縁体61は、外気取入手段52の近傍および樹脂製ブラシ51の近傍に設けられ、外気取入手段52で形成される外気取入口および捕捉ボックス48のボックス開口部を外側あるいは外周側から覆うようになっている。
【0082】
また、帯電手段65は、絶縁体支持具62から取り外された帯電絶縁体61を装着する摩擦ホルダ66と、この摩擦ホルダ66を回転軸67廻りに回動させる回転手段68と、も回転手段68および摩擦ホルダ66をサポートするサポート手段69とを有する。
【0083】
摩擦ホルダ66は摩擦係数の大きな摩擦物体で構成され、帯電絶縁体61の材質と帯電剤を考慮し、帯電絶縁体61から電位差が大きな摩擦物質が選択される。
【0084】
例えば、帯電絶縁体61がテフロンの場合、摩擦ホルダ66には電位差が大きく入手し易い、例えばナイロン等の摩擦物質が選択される。ナイロンの摩擦物体からなる摩擦ホルダ66を駆動モータ等の回転手段47で回転させつつ、絶縁体支持具62から取り外した帯電絶縁体61を接触させて、帯電絶縁体61表面に高電圧を帯電させる。
【0085】
高電圧が帯電された帯電絶縁体61を再び絶縁体支持具62に取り付けて電離捕捉手段47に捕捉ボックス48の外側あるいは外周側に帯電絶縁手段60を取り付ける。
【0086】
この帯電絶縁手段60の取付により、外気取入手段52の近傍に存在するイオンおよび樹脂製ブラシ51の近傍に存在するイオンを、帯電絶縁手段60の帯電絶縁体61に帯電された電気力で散逸もしくは吸着させ、捕捉ボックス48内に流入する大気中のイオンを減少させることができる。
【0087】
したがって、測定対象50の放射線源から電離捕捉手段47に放射される放射線の電離により生じるイオンに外気中のイオンが流入することが少なく、バックグランドの要因となる流入イオンを低減でき、放射線の強度およびその強度分布を精度よく測定することができる。
【0088】
[第9の実施形態]
図9は、本発明に係る放射線測定装置の第9実施形態を示す部分的な構成図である。
【0089】
この実施形態に示された放射線測定装置10Hは、図7に示された帯電絶縁手段60を帯電させる帯電手段70を移動走査手段54に装着したものであり、その他の構成は図7の放射線測定装置10Fと異ならないので同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0090】
図9に示された放射線測定装置10Hは、電離捕捉手段47に帯電させる帯電手段70を設けたものである。帯電手段70は移動走査手段54を構成する回転手段に装着されたプレート状の摩擦物体71を備え、この摩擦物体71が帯電絶縁手段60の帯電絶縁体61と摩擦接触し、帯電絶縁体61に高電圧を帯電させるようになっている。
【0091】
この放射線測定装置10Hは、図5に示された放射線測定装置10Dに帯電絶縁手段60と帯電手段70とを備えたものであり、帯電絶縁手段60は電離捕捉手段47の捕捉ボックス48に外側あるいは外周側から帯電絶縁体61が取り付けられて構成され、この帯電絶縁体61に帯電手段70の摩擦物体71が摩擦接触し、帯電絶縁体61に電荷を帯電させるようになっている。
【0092】
この放射線測定装置10Hによると、測定対象50全体に亘って放射線分布を測定するために、電離捕捉手段47を測定対象50の表面に沿って移動させる移動走査手段54を備え、この移動走査手段54で電離捕捉手段47を移動させると、移動走査手段54の回転とともに帯電手段70の摩擦物体71も回転する。この摩擦物体71の回転により、摩擦物体71に摩擦接触する帯電絶縁体61に電荷が帯電せしめられる.
帯電絶縁手段60の帯電絶縁体61に摩擦物体71の摩擦接触により電荷が帯電せしめられると、帯電した帯電絶縁体61により、外気取入手段(外気取入口)52近傍に存在するイオンおよび樹脂製ブラシ51の近傍に存在するイオンを電気力で散逸あるいは吸着し、電離捕捉手段47の捕捉ボックス48内に流入する外気中のイオンを減少させることができる。
【0093】
したがって、電離捕捉手段47に流入し、バックグランドの要因となる大気中の流入イオンを低減でき、放射線の強度および強度分布を精度よく測定することができる。
【0094】
[第10の実施形態]
図10は、本発明に係る放射線測定装置の第10実施形態を示す部分的な構成図である。
【0095】
この実施形態に示された放射線測定装置10Iは、図7に示された放射線測定装置10Fにイオン発生器74を付設したものである。他の構成は図7の放射線測定装置10Fと異ならないので、同じ構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化させる。
【0096】
この放射線測定装置10Fは、帯電絶縁手段60の帯電絶縁体61にイオンを付着させるイオン発生器74を設置したものである。イオン発生器74は帯電絶縁体61にイオンを付着させるもので、電離捕捉手段60の近くに設けられる。
【0097】
図10に示された放射線測定装置10Iは、イオン発生器74により帯電絶縁手段60の帯電絶縁体61にイオンを付着させ、帯電させる。帯電絶縁体61にイオンを帯電させることにより、外気取入手段52の近傍に存在するイオンおよび樹脂製ブラシ51の近傍に存在するイオンを電気力で散逸もしくは吸着させることができ、外気中に混在するイオンが電離捕捉手段47の捕捉ボックス48内に流入するのを効果的に防止できる。
【0098】
電離捕捉手段47の捕捉ボックス48内に大気中のイオンが流入するのを有効的に防止できるので、バックグランドの要因となる大気中のイオン流入を低減でき、測定対象50表面からの放射線の強度およびその強度分布を精度よく測定することができる。
【0099】
[第11の実施形態]
図11は、本発明に係る放射線測定装置の第11実施形態を示す全体構成図である。
【0100】
この実施形態に示された放射線測定装置10Jは、イオン収集手段14の外筒24を保持可能な絶縁保持手段75を備えるとともに、図5に示された電離捕捉手段47を両側からあるいは全体的に覆う帯電絶縁手段60を設け、操作台車76上に電源17、気体吸引手段36、電流測定手段15およびデータ処理手段16をまとめて設置したものであり、他の構成は図7に示す放射線測定装置10Dと異ならないので、同じ構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0101】
この放射線測定装置10は電離捕捉手段47が測定対象50の表面に沿ってスムーズかつ円滑に移動できるように、捕捉ボックス48の両側下部に移動走査手段54が設けられるとともに、イオン収集手段14の外筒21の後部側(閉塞側)を安定的にサポートする補助回転手段77が設けられる。
【0102】
電離捕捉手段47は移動走査手段54と補助回転手段77に案内されて測定対象50の表面上を円滑に安定的に移動できるようになっている。移動走査手段54は電離捕捉手段47の捕捉ボックス48の両側下部に一対ずつ設けられた例えば走行車輪で構成される。移動走査手段54は、電離捕捉手段47と測定対象50の間隔を一定に保ち、かつ電離空間の容積を一定に保って電離捕捉手段47を移動自在に支持している。
【0103】
また、図11に示された外気取入口(外気取入手段)52に、流入する外気のイオンを除去する外気浄化装置53が設けられる一方、電離捕捉手段47の捕捉ボックス48内に外気中のイオンが流入するのを防ぐために、外気浄化手段53の外側あるいは外周側、また樹脂製ブラシ51の外周側に、帯電絶縁手段60が設けられる。
【0104】
第11実施形態に示された放射線測定装置10Jでは、電離捕捉手段54内に流入する外気中のイオンは、帯電絶縁手段60で捕獲させる一方、樹脂製ブラシ51および外気浄化手段53で捕捉される。樹脂製ブラシ51および外気浄化手段53の近傍外側に高圧に帯電したボックス状あるいはプレート状の帯電絶縁体61を設けると、この帯電絶縁体61により外気浄化手段53および樹脂製ブラシ51近傍のイオンは積極的に吸着もしくは離散させて低イオン濃度状態となる。
【0105】
低濃度イオン状態のイオンは樹脂製ブラシ51や外気浄化手段53でさらに減少せしめられるので、電離捕捉手段47内の電離空間領域49に流入する外気イオンを大きく低減させることができる。
【0106】
この放射線測定装置10Jは、測定対象50の放射線により電離部を構成する電離捕捉手段47の電離空間領域49内で電離したイオンをS/N比よく測定することができる。
【0107】
その際、イオン収集手段14に設けられる絶縁保持手段75を測定者が保持して、例えば車輪のような移動走査手段574および補助移動手段77で電離捕捉手段47を移動させれば、イオン収集手段14と測定者が保持することによるノイズの増加を低減させることができる。
【0108】
また、補助移動手段77を設けたので、測定者がイオン収集手段14を保持しない場合でも、イオン収集手段14を転倒させることなく、一定の位置関係に保つことができ、位置決めに起因する誤差を低減させることができる。
【0109】
この放射線測定装置10Jは、イオン収集手段14で測定対象50表面から放射される放射線により発生するイオンを収集し、電流測定手段15でイオン電流を測定し、データ処理手段16で演算処理すれば、測定対象50の放射線の強度およびその強度分布を正確にかつ精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係る放射線測定装置の第1実施形態を示す全体構成図。
【図2】本発明に係る放射線測定装置の第2実施形態を示す部分的な構成図。
【図3】本発明に係る放射線測定装置の第3実施形態を示す部分的な構成図。
【図4】本発明に係る放射線測定装置の第4実施形態を示す全体構成図。
【図5】本発明に係る放射線測定装置の第5実施形態を示す部分的な構成図。
【図6】本発明に係る放射線測定装置の第6実施形態を示す部分的な構成図。
【図7】本発明に係る放射線測定装置の第7実施形態を示す部分的な構成図。
【図8】本発明に係る放射線測定装置の第8実施形態を示す部分的な構成図。
【図9】本発明に係る放射線測定装置の第9実施形態を示す部分的な構成図。
【図10】本発明に係る放射線測定装置の第10実施形態を示す部分的な構成図。
【図11】本発明に係る放射線測定装置の第11実施形態を示す全体構成図。
【図12】従来の放射線測定装置を示す図。
【符号の説明】
【0111】
10,10A〜10J 放射線測定装置
11 測定対象
12 電離部
13 電極
14,14a イオン収集手段
15 電流測定手段
16 データ処理手段
17 電源
20 放射線源
21 外筒
22 電極固定装置
23 第1の固定保持手段
24 第2の固定保持手段
26 絶縁材
27 ガードリング
28 絶縁材
29 支持手段
30 絶縁材
31 支持手段
33 気体取入手段
34 気体取出手段
35 自在輸送経路
36 気体吸引手段
37 整流板
40,40a イオン収集装置
44,47 電離捕捉手段
45,48 捕捉ボックス
46,49 電離空間領域
50 測定対象
51 イオン吸着ブラシ(樹脂製ブラシ)
52 外気取入手段
53 外気浄化手段
54 移動走査手段
57 除電ブラシ
60 帯電絶縁手段
61 帯電絶縁体
62 絶縁体支持具
65 帯電手段
66 摩擦ホルダ(摩擦物体)
67 回転軸
68 回転手段
69 サポート手段
70 帯電手段
71 摩擦物体
74 イオン発生器
75 絶縁保持手段
76 操作台車
77 補助回転手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を取り入れる気体取入手段と気体を取り出す気体取出手段と電極を備えたイオン収集手段と、
気体を吸引して前記気体取入手段から気体を取り込む気体吸引手段と、
前記電極に電圧を印加させる電源と、
前記電極で収集された気体中のイオンによる電流を測定する電流測定手段と、
前記電流測定手段で測定された電流値から放射線の強度を算出する処理手段とを備えることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
前記イオン収集手段を複数個配設してイオン収集装置を構成し、複数のイオン収集手段でそれぞれ収集されたイオンから放射線の強度を求め、放射線の強度分布を測定することを特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
【請求項3】
前記イオン収集手段は気体取入手段側に電離捕捉手段が設けられ、この電離捕捉手段は測定対象に向けて開口する開口部から入射した放射線が電離する電離空間領域が形成され、この電離空間領域で生成されたイオンをイオン収集手段に吸引して収集せしめられることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線測定装置。
【請求項4】
前記電離捕捉手段は、開口部から入射された放射線が電離される電離空間領域を有する捕捉ボックスと、測定対象上に電離捕捉手段を相対的に移動走査させる移動走査手段と、前記捕捉ボックス内に外気を取り入れる外気取入手段と、捕捉ボックス内に流入する外気中のイオンを吸着する外気浄化手段と、測定対象に面するボックス開口部から流入するイオンを吸着するブラシとを有することを特徴とする請求項3記載の放射線測定装置。
【請求項5】
前記電離捕捉手段には、捕捉ボックスの外側あるいは外周側から外気取入手段および開口部のブラシを覆う帯電絶縁手段を設け、この帯電絶縁手段は帯電される帯電絶縁体を前記捕捉ボックスに絶縁支持具で保持させたことを特徴とする請求項4記載の放射線測定装置。
【請求項6】
前記帯電絶縁手段はプレート状あるいはボックス状帯電絶縁体が前記電離捕捉手段の捕捉ボックスに着脱自在に設けられるとともに、前記帯電絶縁体に帯電させる帯電手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の放射線測定装置。
【請求項7】
前記帯電手段は、前記電離捕捉手段から取り外される帯電絶縁体と摩擦接触し帯電させる摩擦物体あるいは電離捕捉手段の移動走査手段に装着されて前記帯電絶縁体に摩擦接触する摩擦物体を有することを特徴とする請求項6記載の放射線測定装置。
【請求項8】
前記帯電絶縁手段の帯電絶縁体にイオンを付着させるイオン発生器を備えたことを特徴とする請求項7記載の放射線測定装置。
【請求項9】
前記電離捕捉手段には、この電離捕捉手段を測定対象の表面に沿って相対的に移動走査させる移動走査手段を備えるとともに、前記イオン収集手段を電離捕捉手段とともに移動案内させる補助回転手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の放射線測定装置。
【請求項10】
測定対象の電離部からの気体を取り入れる気体取入手段を配置し、
気体吸引手段を作動させて気体取入手段から気体を取り込み、
取り込んだ気体中のイオンによる電流を測定し、
測定された電流値から放射線の強度を算出することを特徴とする放射線測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−198980(P2007−198980A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19761(P2006−19761)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】