説明

放射線照射システム

【課題】放射線の照射時間を短縮することが可能な放射線照射システムを提供する。
【解決手段】照射位置制御部44は、線量を積算する線量積算部44aと、照射位置変更完了信号を取得する照射位置変更完了信号取得部44bと、一の照射位置において、積算された線量が照射すべき線量に達し、かつ、照射位置変更完了信号が取得されない場合に、制御渋滞であると判定し、その後に照射位置変更完了信号が取得された場合に、制御渋滞が解消されたと判定する制御渋滞判定部44cと、照射位置変更装置31へ照射位置変更開始信号を出力する照射位置変更開始信号出力部44dと、を備え、制御渋滞であると判定された場合には、線量積算部44aは、モニタリングされた線量を次の照射位置における線量として積算し、照射位置変更開始信号出力部44dは、制御渋滞が解消されたと判定された際に、次の照射位置に関する照射位置変更開始信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関し、特に三次元スキャニング法によって放射線を照射する放射線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陽子線、重粒子線等といった放射線を用いた放射線治療(粒子線治療)が注目されている。放射線治療は、放射線の照射エネルギを調節することによって、被照射体(人体)の深層にある、予め設定された照射領域に対して選択的に放射線を照射することによって、照射領域以外の正常な組織における障害の発生を低減することができる治療法である。
【0003】
かかる放射線治療における放射線の照射法に一つに、三次元スキャニング法がある(例えば、特許文献1参照)。三次元スキャニング法を用いた放射線照射システムは、加速器から出射された細い粒子線を拡大することなく、被照射体の照射領域を当該粒子線の進行方向に対して垂直平面方向及び深さ方向の三次元方向にスキャンし、複雑な形状の照射領域を塗りつぶすように放射線を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−087649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の放射線照射システムは、放射線の照射位置を変更する装置(例えば、電磁石)の性能によって、線量の制約を受けている。すなわち、照射される放射線の線量を大きくすることができないため、照射時間を短縮することは困難であった。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであり、放射線の照射時間を短縮することが可能な放射線照射システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の放射線照射システムは、放射線出射装置から出射された放射線の照射位置を変更する照射位置変更装置と、前記放射線の線量をモニタリングする線量モニタリング装置と、モニタリングされた前記線量に基づいて前記照射位置変更装置を制御する制御装置と、を備える放射線照射システムであって、前記制御装置は、モニタリングされた前記線量に基づいて前記照射位置変更装置を制御する照射位置制御部と、前記放射線の照射位置と、当該照射位置において照射すべき線量と、が関連付けて記憶される記憶部と、を備え、前記照射位置制御部は、モニタリングされた前記線量に基づいて、一の照射位置における線量を積算する線量積算部と、前記照射位置変更装置から照射位置変更完了信号を取得する照射位置変更完了信号取得部と、一の照射位置において、前記線量積算部によって積算された線量が前記記憶部に記憶された前記照射すべき線量に達し、かつ、前記照射位置変更完了信号が取得されない場合に、制御渋滞であると判定し、制御渋滞であると判定された後に前記照射位置変更完了信号が取得された場合に、制御渋滞が解消されたと判定する制御渋滞判定部と、前記照射位置変更装置へ照射位置変更開始信号を出力することによって、前記照射位置変更装置を制御して照射位置を変更させる照射位置変更開始信号出力部と、を備え、制御渋滞であると判定された場合には、前記線量積算部は、前記線量モニタリング装置によってモニタリングされた線量を、次の照射位置における線量として積算し、前記照射位置変更開始信号出力部は、制御渋滞が解消されたと判定された際に、前記次の照射位置に関する照射位置変更開始信号を出力することを特徴とする。
【0008】
従来の放射線照射システムにおいては、照射位置変更完了信号が取得されていない状態において制御装置が照射位置変更開始信号を出力すると、電磁石用電源が異常判定を行うことによってシステム全体が停止していた。そのため、照射位置変更完了信号が取得されるまでに積算された線量が照射すべき線量に達しないように、荷電粒子ビームの線量が抑えられていた。これに対し、本発明の放射線照射システムは、制御渋滞という概念を採用することにより、照射位置変更完了信号が取得されていない状態においても線量の積算を行うことができるので、荷電粒子ビームの線量を大きくし、照射時間を短縮することができる。
【0009】
また、前記制御装置は、前記放射線出射装置を制御する放射線出射制御部と、制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したか否かを判定する制御渋滞回数判定部と、をさらに備え、制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したと判定された場合に、前記放射線出射制御部は、前記放射線出射装置からの放射線の出射を停止させる構成であってもよい。
【0010】
また、前記制御装置は、前記放射線出射装置を制御する放射線出射制御部と、制御渋滞中に前記線量モニタリング装置によってモニタリングされた線量である制御渋滞中線量を積算し、積算された前記制御渋滞中線量が所定値に達したか否かを判定する制御渋滞中線量判定部と、をさらに備え、積算された前記制御渋滞中線量が所定値に達したと判定された場合に、前記放射線出射制御部は、前記放射線出射装置からの放射線の出射を停止させる構成であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放射線の照射時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る粒子線照射システムを模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る照射系を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る粒子線照射システムを示すブロック図である。
【図4】記憶部に記憶された照射パラメータファイルの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る放射線照射システムの第一の動作例を説明するための図であり、(a)は時刻と荷電粒子ビームの照射位置との関係を示すグラフ、(b)は時刻と制御渋滞回数判定部のカウンタとの関係を示すグラフ、(c)は時刻と荷電粒子ビームの線量の積算位置との関係を示すグラフ、(d)は時刻と積算位置における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフ、(e)は時刻と制御渋滞中における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施形態に係る放射線照射システムの第二の動作例を説明するための図であり、(a)は時刻と荷電粒子ビームの照射位置との関係を示すグラフ、(b)は時刻と制御渋滞回数判定部のカウンタとの関係を示すグラフ、(c)は時刻と荷電粒子ビームの線量の積算位置との関係を示すグラフ、(d)は時刻と積算位置における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフ、(e)は時刻と制御渋滞中における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係る放射線照射システムの第三の動作例を説明するための図であり、(a)は時刻と荷電粒子ビームの照射位置との関係を示すグラフ、(b)は時刻と制御渋滞回数判定部のカウンタとの関係を示すグラフ、(c)は時刻と荷電粒子ビームの線量の積算位置との関係を示すグラフ、(d)は時刻と積算位置における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフ、(e)は時刻と制御渋滞中における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係る放射線照射システムの第四の動作例を説明するための図であり、(a)は時刻と荷電粒子ビームの照射位置との関係を示すグラフ、(b)は時刻と制御渋滞回数判定部のカウンタとの関係を示すグラフ、(c)は時刻と荷電粒子ビームの線量の積算位置との関係を示すグラフ、(d)は時刻と積算位置における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフ、(e)は時刻と制御渋滞中における荷電粒子ビームの線量Iとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る放射線照射システム1は、三次元スキャニング法によって放射線を照射するシステムであり、加速器10と、ビーム輸送系20と、照射系30と、制御装置40と、を備える。
【0015】
<加速器及びビーム輸送系>
加速器10は、放射線の一例である荷電粒子ビームBを加速して出射する。ビーム輸送系20は、加速器10から出射された荷電粒子ビームBを輸送する。これら加速器10及びビーム輸送系20の組み合わせが、特許請求の範囲における「放射線出射装置」の一例である。
【0016】
<照射系>
照射系30は、ビーム輸送系20によって輸送された荷電粒子ビームBを被照射体(人体)50の照射対象51(例えば、腫瘍部)に照射する。図2及び図3に示すように、照射系30は、照射位置変更装置31と、線量モニタリング装置32と、エネルギ調整装置33と、を備える。
【0017】
≪照射位置変更装置≫
照射位置変更装置31は、加速器10から出射されてビーム輸送系20によって輸送された荷電粒子ビームBの照射位置を変更するための装置であり、図2及び図3に示すように、電磁石31a,31bと、電磁石用電源31cと、を備える。
電磁石31aは、電磁石用電源31cから供給される電力によって、荷電粒子ビームBの進行方向(Z軸方向)に垂直な平面におけるX軸方向に荷電粒子ビームBを偏向させるためのものである。
電磁石31bは、電磁石用電源31cから供給される電力によって、荷電粒子ビームBの進行方向(Z軸方向)に垂直な平面においてX軸に垂直なY軸方向に荷電粒子ビームBを偏向させるためのものである。
電磁石用電源31cは、電源及び電源制御部を備えて構成されており、後記する制御装置40の照射位置変更完了信号出力部44dから出力された照射位置変更開始信号に基づいて、電磁石31a,31bに電力を供給し、荷電粒子ビームBの照射位置(X軸方向、Y軸方向)を所望の位置へ変更する。
また、電磁石用電源31cは、荷電粒子ビームBの照射位置を所望の位置へ変更し終えた際に、照射位置変更終了信号を後記する制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bへ出力する。
【0018】
本実施形態において、電磁石用電源31cの電源制御部は、図示しない電流センサによって測定された電磁石31a,31bの電磁石電流値を取得し、当該電磁石電流値が前記した所望の位置に相当する値になったときに、照射位置変更終了信号を出力する。なお、電源駆動部31cの電源制御部には、電磁石31a,31bの電磁石電流値と荷電粒子ビームBの照射位置との関係が予め記憶されており、電源駆動部31cの電源制御部は、かかる関係を参照して、電磁石電流値が電磁石電流値が前記した所望の位置に相当する値になったか否かを判定する。
【0019】
なお、照射位置変更装置31は、図示しないビームモニタ部を電磁石31a,31bの下流側に備え、ビームモニタ部によってモニタリングされた荷電粒子ビームBの照射位置が前記した所望の位置に対応する位置となったときに、照射位置変更終了信号を出力する構成であってもよい。なお、ビームモニタ部には、ビームモニタ部によってモニタリングされた荷電粒子ビームBの照射位置と荷電粒子ビームBの照射対象51への照射位置との関係が予め記憶されており、電源駆動部31cの電源制御部は、かかる関係を参照して、モニタリングされた荷電粒子ビームBの照射位置が前記した所望の位置に対応する位置となったか否かを判定する。
【0020】
≪線量モニタリング装置≫
線量モニタリング装置32は、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングする装置である。モニタリングされた線量は、後記する制御装置40の線量積算部44aへ出力される。
【0021】
≪エネルギ調整装置≫
エネルギ調整装置33は、Z軸方向における荷電粒子ビームBの停止位置を調整するとともに、荷電粒子ビームBのエネルギを調整する装置である。本実施形態において、エネルギ調整装置33は、図2及び図3に示すように、複数のエネルギ吸収体からなるレンジシフタ33aと、当該レンジシフタ33aを駆動するレンジシフタ駆動部33bと、を備える。
【0022】
<制御装置>
制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、入出力回路等から構成されており、機能部として、記憶部41と、加速器制御部42と、エネルギ制御部43と、照射位置制御部44と、を備える。
【0023】
記憶部41には、図4に示すような照射パラメータファイルが記憶されている。照射パラメータファイルは、照射位置に固有のスポットNo.と、当該照射位置のX軸方向の座標と、当該照射位置のY軸方向の座標と、当該照射位置に照射すべき線量と、当該照射位置に照射される荷電粒子ビームBのエネルギと、を関連付けて格納するファイルであり、Z軸方向の座標ごとに設けられている。かかる照射パラメータファイルにおいて、例えばスポットNo.1〜No.1217に対応する照射位置には、同じエネルギの荷電粒子ビームBが異なる線量だけ照射されるように設定されている。
【0024】
加速器制御部42は、特許請求の範囲における「放射線出射制御部」の一例であり、加速器10及びビーム輸送系20の駆動をON/OFF制御する。
【0025】
エネルギ制御部43は、記憶部41に記憶された照射パラメータファイルを参照して、エネルギ調整装置33のレンジシフタ駆動部33bを制御することによって、照射位置に応じたエネルギが照射されるようにレンジシフタ33aを駆動させる。
【0026】
照射位置制御部44は、記憶部41に記憶された照射パラメータファイルを参照して、電磁石用電源31cを制御することによって、照射位置を所望の位置(X軸方向、Y軸方向)と一致させるように電磁石31a,31bに電力を供給させる。照射位置制御部44は、詳細な機能ブロックとして、線量積算部44aと、照射位置変更完了信号取得部44bと、制御渋滞判定部44cと、照射位置変更開始信号出力部44dと、を備える。
【0027】
線量積算部44aは、線量モニタリング装置32から出力された線量に基づいて、一の照射位置における線量を積算する。
【0028】
照射位置変更完了信号取得部44bは、照射位置変更装置31の電磁石用電源31cから出力された照射位置変更完了信号を取得する。
【0029】
制御渋滞判定部44cは、一の照射位置において、照射位置変更完了信号が取得された後に、線量積算部44aによって積算された線量が記憶部41に記憶された照射すべき線量に達した場合に、制御渋滞ではないと判定する。また、制御渋滞判定部44cは、一の照射位置において、線量積算部44aによって積算された線量が記憶部41に記憶された照射すべき線量に達し、かつ、照射位置変更完了信号が取得されない場合に、制御渋滞であると判定する。さらに制御渋滞判定部44cは、制御渋滞であると判定された後に照射位置変更完了信号が取得された場合に、制御渋滞が解消されたと判定する。
【0030】
照射位置変更開始信号出力部44dは、制御渋滞ではないと判定された場合に、記憶部41を参照し、次の照射位置に関する照射位置変更開始信号を出力する。また、照射位置変更開始信号出力部44dは、制御渋滞が解消されたと判定された場合にも、記憶部41を参照し、次の照射位置に関する照射位置変更開始信号を出力する。
【0031】
ここで、線量積算部44aは、制御渋滞ではないと判定された場合に、次の照射位置における線量の積算を開始する。また、線量積算部44aは、制御渋滞であると判定された場合にも、制御渋滞が解消されて次の照射位置に関する照射位置変更開始信号の出力を待たずに、次の照射位置における線量の積算を開始する。
【0032】
制御装置40は、制御渋滞回数判定部45と、制御渋滞中線量判定部46と、をさらに備える。
【0033】
制御渋滞回数判定部45は、制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したか否かを判定する。制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したと判定された場合には、加速器制御部42は、加速器10及びビーム輸送系20を停止させることによって、荷電粒子ビームBの出射を停止させる。
【0034】
制御渋滞中線量判定部46は、制御渋滞中に線量モニタリング装置32によってモニタリングされた線量である制御渋滞中線量を積算し、積算された制御渋滞中線量が所定値に達したか否かを判定する。積算された制御渋滞中線量が所定値に達したと判定された場合には、加速器制御部42は、加速器10及びビーム輸送系20を停止させることによって、荷電粒子ビームBの出射を停止させる。
【0035】
<第一の動作例>
続いて、本発明の実施形態に係る放射線照射システム1の第一の動作例について、図5を参照して説明する。第一の動作例は、制御渋滞が発生しない場合を説明するための動作例である。なお、後記する各動作例において、照射位置SP1,SP2,SP3,SP4における荷電粒子ビームBのエネルギは同じ値であり、時刻t=0において、荷電粒子ビームBの照射位置は照射位置SP1に設定されているものとする。
【0036】
まず、時刻t=0において、制御部40の加速器制御部42が、加速器10及びビーム輸送系20の駆動をONにすることによって、加速器10が荷電粒子ビームBを出射し、ビーム輸送系20が出射された荷電粒子ビームBを輸送する。また、制御装置40のエネルギ制御部43が、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、レンジシフタ駆動部33bを制御することによって、照射位置SP1における荷電粒子ビームBのエネルギを調整する。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP1(=積算位置SP1)における線量Iとして積算し始める。
【0037】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP1において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP2に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP2(=積算位置SP2)における線量Iとして積算し始める。
【0038】
続いて、時刻t=t11において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP2に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。
【0039】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP2において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP3に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP3(=積算位置SP3)における線量Iとして積算し始める。
【0040】
続いて、時刻t=t12において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP3に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。
【0041】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP3において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP4に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP4(=積算位置SP4)における線量Iとして積算し始める。
【0042】
続いて、時刻t=t13において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP4に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。
【0043】
第一の動作例では、時刻t=t,tにおいて制御渋滞は発生していないので、制御渋滞回数判定部45におけるカウンタ値は常に0であり、制御渋滞中線量判定部46における制御渋滞中線量も常に0である。
【0044】
<第二の動作例>
続いて、本発明の実施形態に係る放射線照射システム1の第二の動作例について、図6を参照して説明する。第二の動作例は、制御渋滞が発生した場合を説明するための動作例である。
【0045】
まず、時刻t=0において、制御部40の加速器制御部42が、加速器10及びビーム輸送系20の駆動をONにすることによって、加速器10が荷電粒子ビームBを出射し、ビーム輸送系20が出射された荷電粒子ビームBを輸送する。また、制御装置40のエネルギ制御部43が、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、レンジシフタ駆動部33bを制御することによって、照射位置SP1における荷電粒子ビームBのエネルギを調整する。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP1(=積算位置SP1)における線量Iとして積算し始める。
【0046】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP1において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP2に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP2(=積算位置SP2)における線量Iとして積算し始める。
【0047】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP2において照射すべき線量Iに達すると、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞であると判定する。また、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP3(=積算位置SP3)における線量Iとして積算し始める。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を1とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iを積算し始める。
【0048】
続いて、時刻t=t21において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP2に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。また、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞が解消されたと判定する。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を0とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iの積算を中断する。さらに、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP3に移動させる。
【0049】
続いて、時刻t=t22において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP3に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。
【0050】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP3において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP4に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP4(=積算位置SP4)における線量Iとして積算し始める。
【0051】
第二の動作例では、時刻t=t〜t21の間に制御渋滞が発生しているので、時刻t=t〜t21の間において、制御渋滞回数判定部45におけるカウンタ値は1となり、制御渋滞中線量判定部46における制御渋滞中線量Iが積算される。
【0052】
<第三の動作例>
続いて、本発明の実施形態に係る放射線照射システム1の第三の動作例について、図7を参照して説明する。第三の動作例は、制御渋滞が連続して発生した場合を説明するための動作例である。
【0053】
まず、時刻t=0において、制御部40の加速器制御部42が、加速器10及びビーム輸送系20の駆動をONにすることによって、加速器10が荷電粒子ビームBを出射し、ビーム輸送系20が出射された荷電粒子ビームBを輸送する。また、制御装置40のエネルギ制御部43が、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、レンジシフタ駆動部33bを制御することによって、照射位置SP1における荷電粒子ビームBのエネルギを調整する。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP1(=積算位置SP1)における線量Iとして積算し始める。
【0054】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP1において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP2に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP2(=積算位置SP2)における線量Iとして積算し始める。
【0055】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP2において照射すべき線量Iに達すると、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞であると判定する。また、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP3(=積算位置SP3)における線量Iとして積算し始める。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を1とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iを積算し始める。
【0056】
続いて、時刻t=t31において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP2に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。また、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞が解消されたと判定する。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を0とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iの積算を中断する。さらに、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP3に移動させる。
【0057】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP3において照射すべき線量Iに達すると、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞であると判定する。また、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP4(=積算位置SP4)における線量Iとして積算し始める。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を1とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iを積算し始める。
【0058】
続いて、時刻t=t32において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP3に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。また、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞が解消されたと判定する。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を0とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iの積算を中断する。さらに、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP4に移動させる。
【0059】
第三の動作例では、時刻t=t〜t31,t〜t32の間に制御渋滞が発生しているので、時刻t=t〜t21,t〜t32の間において、制御渋滞回数判定部45におけるカウンタ値は1となり、制御渋滞中線量判定部46における制御渋滞中線量Iが積算される。
【0060】
<第四の動作例>
続いて、本発明の実施形態に係る放射線照射システムの第四の動作例について、図8を参照して説明する。第四の動作例は、制御渋滞が連続して発生した場合を説明するための他の動作例である。
【0061】
まず、時刻t=0において、制御部40の加速器制御部42が、加速器10及びビーム輸送系20の駆動をONにすることによって、加速器10が荷電粒子ビームBを出射し、ビーム輸送系20が出射された荷電粒子ビームBを輸送する。また、制御装置40のエネルギ制御部43が、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、レンジシフタ駆動部33bを制御することによって、照射位置SP1における荷電粒子ビームBのエネルギを調整する。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP1(=積算位置SP1)における線量Iとして積算し始める。
【0062】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP1において照射すべき線量Iに達すると、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP2に移動させる。さらに、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP2(=積算位置SP2)における線量Iとして積算し始める。
【0063】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP2において照射すべき線量Iに達すると、制御渋滞判定部44cが、制御渋滞であると判定する。また、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP3(=積算位置SP3)における線量Iとして積算し始める。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を1とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iを積算し始める。
【0064】
続いて、時刻t=tにおいて、積算された線量Iが照射位置SP3において照射すべき線量Iに達すると、制御渋滞判定部44cが、さらに制御渋滞が発生したと判定する。また、線量モニタリング装置32が、荷電粒子ビームBの線量をモニタリングして出力し、制御装置40の線量積算部44aが、モニタリングされた線量を照射位置SP4(=積算位置SP4)における線量Iとして積算し始める。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を2とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iを積算し続ける。
【0065】
続いて、時刻t=t41において、荷電粒子ビームBの照射位置が照射位置SP2に移動し終えると、電磁石用電源31cが、照射位置変更完了信号を出力し、制御装置40の照射位置変更完了信号取得部44bが、照射位置変更完了信号を取得する。また、制御渋滞判定部44cが、最初の制御渋滞が解消されたと判定する。さらに、制御渋滞回数判定部45が、カウンタ値を1とし、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中線量Iの積算を継続する。さらに、照射位置変更開始信号出力部44dが、記憶部41の照射パラメータファイルを参照し、照射位置変更開始信号を出力して電磁石用電源31cを制御することによって、荷電粒子ビームBの照射位置を照射位置SP3に移動させる。
【0066】
第四の動作例では、時刻t=t以降に制御渋滞が継続して発生しているので、時刻t=t以降において、制御渋滞回数判定部45におけるカウンタ値は1以上となり、制御渋滞中線量判定部46における制御渋滞中線量Iが積算される。
【0067】
なお、第二〜第四の動作例において、制御渋滞回数判定部45が、制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差(図6(b)、図7(b)、図8(b)のカウンタ値に相当)が所定回数に達したか否かを判定し、制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したと判定された場合には、加速器制御部42が、加速器10及びビーム輸送系20を停止させてもよい。かかる所定回数は、照射パラメータファイルの策定後にシミュレーションを行うことによって、荷電粒子ビームBの線量分布が悪化しない回数に設定される。
【0068】
また、第二〜第四の動作例において、制御渋滞中線量判定部46が、制御渋滞中に線量モニタリング装置32によってモニタリングされた線量である制御渋滞中線量Iを積算し、積算された制御渋滞中線量Iが所定値に達したか否かを判定し、積算された制御渋滞中線量Iが所定値に達したと判定された場合には、加速器制御部42が、加速器10及びビーム輸送系20を停止させてもよい。かかる所定値は、照射パラメータファイルの策定後にシミュレーションを行うことによって、荷電粒子ビームBの線量分布が悪化しない値に設定される。
【0069】
従来の放射線照射システムにおいては、照射位置変更完了信号が取得されていない状態において制御装置が照射位置変更開始信号を出力すると、電磁石用電源が異常判定を行うことによってシステム全体が停止していた。そのため、照射位置変更完了信号が取得されるまでに積算された線量が照射すべき線量に達しないように、荷電粒子ビームの線量が抑えられていた。これに対し、本発明の実施形態に係る放射線照射システム1は、制御渋滞という概念を採用することにより、照射位置変更完了信号が取得されていない状態においても線量の積算を行うことができるので、荷電粒子ビームの線量を大きくし、照射時間を短縮することができる。すなわち、放射線照射システム1は、照射時間の短縮によって、患者負担を低減することができるとともに、臓器の位置及びサイズ変化に対するリスクを低減することができる。
【0070】
ここで、照射すべき線量が小さい照射位置においては制御渋滞が発生しやすく、照射すべき線量が大きい照射位置においては制御渋滞が解消されやすい。照射すべき線量が小さい照射位置は、全ての照射位置における線量の加算によって生成される線量分布に与える影響が小さく、照射すべき線量が大きい照射位置は、全ての照射位置における線量の加算によって生成される線量分布に与える影響が大きい。本発明の実施形態に係る放射線照射システム1は、制御渋滞に関する情報を管理することによって、線量分布の悪化を防ぎつつ、システムの性能を最大限に活かした照射を実現することができる。
【0071】
本発明の実施形態に係る放射線照射システムは、本願と同一の出願人によって出願されて公開された特開2008−136523号公報に開示されているような、荷電粒子ビームの強度変調機能を有する加速器を備えるシステムに適用可能である。強度変調機能を有する加速器においては、その設定強度と実際の荷電粒子ビームの強度との間には、加速器の性能に依存したズレが生じるが、本発明を荷電粒子ビームの強度変調機能を有する加速器を備えるシステムに適用することによって、強度(線量)のズレに起因したシステムの停止を抑制することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について実施形態を参照して説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、加速器10がエネルギ調整部を一体的に備えており、エネルギ制御部43が加速器10に一体的に設けられたエネルギ調整部を制御することによって荷電粒子ビームBのエネルギを調整する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 放射線照射システム
10 加速器
20 ビーム輸送系
30 照射系
40 制御装置
41 記憶部
42 加速器制御部(放射線出射制御部)
44 照射位置制御部
44a 線量積算部
44b 照射位置変更完了信号取得部
44c 制御渋滞判定部
44d 照射位置変更開始信号出力部
45 制御渋滞回数判定部
46 制御渋滞中線量判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線出射装置から出射された放射線の照射位置を変更する照射位置変更装置と、
前記放射線の線量をモニタリングする線量モニタリング装置と、
モニタリングされた前記線量に基づいて前記照射位置変更装置を制御する制御装置と、
を備える放射線照射システムであって、
前記制御装置は、
モニタリングされた前記線量に基づいて前記照射位置変更装置を制御する照射位置制御部と、
前記放射線の照射位置と、当該照射位置において照射すべき線量と、が関連付けて記憶される記憶部と、
を備え、
前記照射位置制御部は、
モニタリングされた前記線量に基づいて、一の照射位置における線量を積算する線量積算部と、
前記照射位置変更装置から照射位置変更完了信号を取得する照射位置変更完了信号取得部と、
一の照射位置において、前記線量積算部によって積算された線量が前記記憶部に記憶された前記照射すべき線量に達し、かつ、前記照射位置変更完了信号が取得されない場合に、制御渋滞であると判定し、制御渋滞であると判定された後に前記照射位置変更完了信号が取得された場合に、制御渋滞が解消されたと判定する制御渋滞判定部と、
前記照射位置変更装置へ照射位置変更開始信号を出力することによって、前記照射位置変更装置を制御して照射位置を変更させる照射位置変更開始信号出力部と、
を備え、
制御渋滞であると判定された場合には、
前記線量積算部は、前記線量モニタリング装置によってモニタリングされた線量を、次の照射位置における線量として積算し、
前記照射位置変更開始信号出力部は、制御渋滞が解消されたと判定された際に、前記次の照射位置に関する照射位置変更開始信号を出力する
ことを特徴とする放射線照射システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記放射線出射装置を制御する放射線出射制御部と、
制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したか否かを判定する制御渋滞回数判定部と、
をさらに備え、
制御渋滞であると判定された回数と制御渋滞が解消されたと判定された回数との差が所定回数に達したと判定された場合に、前記放射線出射制御部は、前記放射線出射装置からの放射線の出射を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線照射システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記放射線出射装置を制御する放射線出射制御部と、
制御渋滞中に前記線量モニタリング装置によってモニタリングされた線量である制御渋滞中線量を積算し、積算された前記制御渋滞中線量が所定値に達したか否かを判定する制御渋滞中線量判定部と、
をさらに備え、
積算された前記制御渋滞中線量が所定値に達したと判定された場合に、前記放射線出射制御部は、前記放射線出射装置からの放射線の出射を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線照射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−227464(P2010−227464A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80857(P2009−80857)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】