説明

放射線画像撮影システム、コンソール、コンソールで実行されるプログラム

【課題】カセッテの画像記憶手段が不能なときに撮影の実施を阻止することにより、放射線撮影画像を取得することができず、かつ被写体に本来不要な放射線の照射を防止し、効率的に撮影を行うことができる放射線画像撮影システムを提供すること。
【解決手段】放射線画像撮影システム1000は、コンソール1と無線通信を介して通信するカセッテ通信部52と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、得られた放射線画像データを蓄積するカセッテ記憶部546と、蓄積された放射線画像データをカセッテ通信部52により送信させるカセッテ制御部53とを有するカセッテ5と、カセッテ5と無線通信を介して通信するコンソール通信部14と、カセッテ記憶部546が記憶不能な状態と検知した場合、放射線源4の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを設定するコンソール制御部13とを有するコンソール1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、コンソール、コンソールで実行されるプログラムに係り、特に、画像記憶手段を備えた放射線画像撮影システム、コンソール、コンソールで実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療診断には、X線画像に代表される放射線画像が広く用いられている。放射線画像とは、被写体にX線等の放射線を照射し、この被写体を透過した放射線の強度分布を検出することによって得られる画像のことである。
【0003】
この放射線画像を得るために、CR(Computed Radiography)やフィルムを用いた撮影装置が知られている。しかし、CRを用いた放射線画像撮影システムは、放射線を照射してから撮影した画像を確認するまでに数十秒から数分という長時間を要するため、撮影した画像の不良を確認したときには、撮影室外にいる被写体を呼び戻し、再撮影を行う必要が生ずるおそれがある。
【0004】
このため、近年では、放射線画像を得るために、被写体を透過した放射線を検出して電気信号に変換し、放射線画像情報として蓄積するFPD(Flat Panel Detector)を用い
た放射線画像撮影システムが提案されている。このFPDを用いた放射線画像撮影システムは、放射線を照射してから撮影した画像を数秒という短時間で画像を確認することができる。
【0005】
また、FPDを内蔵して無線通信部と内部電源とが設けられたカセッテの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この配線がされていないカセッテは、コンソールと無線通信により通信することやカセッテ内部の内部電源から電力を供給することが可能であり、また、カセッテの取り扱い性が高く、自由に運搬できる利点がある。
【0006】
さらに、無線通信部と内部電源とが設けられたカセッテに無線モジュールまたはケーブルのいずれかと接続することのできるコネクタが設けられたカセッテの技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これにより、操作者が無線モジュールと接続して取り扱い性の高い状態で放射線画像撮影を行うか、または、ケーブルと接続して内部電源の容量を考慮することなく連続して多数の撮影を行うかを、選択できることができるようになっている。
【0007】
ところで、特許文献1に記載されている技術は、ケーブル通信と比較すると、被写体やカセッテとの配置によって、カセッテとコンソールとの無線通信が通信不能や通信不良になりやすい問題を有しており、特に得られた画像データを転送する際に、画像データを失う可能性が高い。そこで、転送時の画像データの消失を防ぐために、カセッテ内部に画像記憶手段を具備する構成のカセッテの技術が公開されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−180931号公報
【特許文献2】特開2004−173907号公報
【特許文献3】特開平7−140255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この場合、カセッテ内の画像記憶手段が正常に作動していない場合に画像転送異常が生じると、再度撮影を行わなければならず、依然として患者への被曝量を増加させてしまうことに何ら変わりはなかった。
【0009】
そこで、本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、カセッテの画像記憶手段が不能なときに撮影の実施を阻止することにより、放射線撮影画像を取得することができず、かつ被写体に本来不要な放射線の照射を防止し、効率的に撮影を行うことができる放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、放射線画像撮影システムであって、
コンソールと無線通信を介して通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた前記放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部に記憶された前記放射線画像データを前記カセッテ通信部により送信させるカセッテ制御部とを有するカセッテと、
前記カセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、コンソール制御部とを有する前記コンソールと、
を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記カセッテは、前記放射線画像取得部及び前記カセッテ通信部、前記カセッテ制御部、前記カセッテ記憶部のうち、少なくともいずれか一つに電力を供給する内部電源を有し、可搬型のケーブルレスであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記カセッテ通信部と無線通信可能な無線中継器を備え、
前記コンソール通信部が、通信ケーブルを介して前記無線中継器と通信可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールは、前記コンソール通信部が前記無線中継器と無線通信を介して通信する携帯端末であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールが、表示可能な表示部と、前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記インターロック制御部が放射線インターロックの制御を行った場合、前記表示制御部は、その旨を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、放射線画像撮影システムであって、
放射線源と通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能であることを検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、カセッテ制御部とを有するカセッテと、
前記カセッテと無線通信を介して通信する放射線源とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記カセッテは、前記放射線画像取得部及び前記カセッテ通信部、前記カセッテ制御部、前記カセッテ記憶部、前記インターロック制御部のうち、少なくともいずれか一つに電力を供給する内部電源を有し、可搬型のケーブルレスであることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
コンソールを有し、
前記コンソールは、前記カセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部を有し、前記カセッテ通信部は、前記インターロック制御部により放射線インターロックの制御が行われた場合、その旨を前記コンソール通信部に対して送信することを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールが、表示可能な表示部と、前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記コンソール通信部が、前記カセッテ通信部から前記インターロック制御部により前記放射線源に対して放射線インターロックの制御が行われたことを受信した場合に、前記表示制御部は、その旨を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記カセッテ通信部と無線通信可能な無線中継器を備え、
前記コンソール通信部が、通信ケーブルを介して前記無線中継器と通信可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールは、前記コンソール通信部が前記無線中継器と無線通信を介して通信する携帯端末であることを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の発明は、コンソールであって、
無線通信を介してコンソールと通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた前記放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部に記憶された前記放射線画像データを前記カセッテ通信部により送信させるカセッテ制御部とを有するカセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部と、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項13に記載の発明は、カセッテであって、
放射線源と通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能であることを検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、カセッテ制御部とを有することを特徴とする。
【0023】
請求項14に記載の発明は、プログラムであって、
無線通信を介してコンソールと通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部から得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部に記憶された放射線画像データを前記カセッテ通信部により送信させるカセッテ制御部とを有するカセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部を有する前記コンソールに、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあるか否かを検知する記憶状態検知ステップと、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御ステップとを実現させることを特徴とする。
【0024】
請求項15に記載の発明は、プログラムであって、
無線通信を介して放射線源と通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能であることを検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、カセッテ制御部とを有するカセッテに、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあるか否かを検知する記憶状態検知ステップと、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御ステップとを実現させることを特徴とする。
【0025】
以下、請求項に記載する用語について説明する。
放射線は、強い電離作用や蛍光作用を有する電磁波や粒子線のことで、X線、γ線、β線、カセッテ記憶部線、陽子線、重陽子線その他の重荷電粒子線及び中性子線が挙げられる。本発明においては、放射線として、電子線、X線、γ線が好ましく、特にX線が好ましい。
コンソールとは、操作者がカセッテと交信を行うための装置で、別体の表示装置や操作装置が接続可能であってもよいし、表示装置や操作装置が一体であってもよい。
カセッテは、電力を供給する内部電源を有する場合、電力の供給状態が異なる複数の電力供給の状態を有し、適切なタイミングでカセッテの電力供給の状態を変えることが好ましい。このような電力の供給状態としては、例えば、撮影可能状態と、撮影可能状態より電力消費の低い状態を有することが好ましく、特に、撮影可能状態より電力消費の低い状態として、1又は複数の撮影待機モード制御下の状態と、さらに消費電力の低いスリープモード制御下の状態を有することが好ましい。
なお、撮影動作とは、放射線撮影により放射線画像データを得るのに必要な動作のことで、例えば、実施形態で示すパネルであれば、パネルの初期化、放射線照射によって生成された電気エネルギーの蓄積、電気信号の読み取り、及び、画像データ化の各動作が該当する。
そして、撮影可能状態とは、直ちにこの撮影動作により放射線画像データを得ることができる状態のことである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、コンソールに備えられたインターロック制御部が、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、記憶不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えることができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、カセッテは、内部電源を備えた可搬型のケーブルレスであるので、放射線撮影時にケーブルが装置等に絡みつかないように、気を使ってカセッテを取り回す必要が無く、操作者が放射線撮影に集中でき、撮影ミスが少なくなり、被写体への余計な被爆をさせる事態の発生を抑えられつつ、トータルとしての撮影効率を向上させることができる。
【0028】
カセッテは放射線遮蔽部材で覆われた放射線撮影室内に設置され、他方、コンソールは放射線撮影室外に設置される場合が多いが、請求項3に記載の発明では、無線中継器を備えるとともにコンソール通信部が通信ケーブルを介してその無線中継器と通信可能であるから、当該無線中継器を放射線撮影室内に設置することで、カセッテ通信部と無線中継器との間で行われる無線通信を良好に行うことができる。
【0029】
カセッテが放射線撮影室内で、コンソールが放射線撮影室外に設置される通常の場合においては、撮影者は、放射線撮影に際して放射線撮影室内で被写体に撮影位置等の指示を行い、その後放射線撮影室外に移動してその被写体の放射線撮影を開始させながら、放射線画像を確認したり放射線画像データに対する画像処理を開始させたりする。しかし、請求項4に記載の発明では、コンソールが携帯端末であるから、放射線撮影室内で被写体に撮影位置等について指示しながら、当該コンソールで放射線画像を確認したり、放射線画像データの画像処理を開始させたりすることができる。そのため、放射線撮影、放射線画像の確認、画像処理のサイクルを繰り返す放射線撮影全体のトータルの撮影効率を向上させることができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、コンソール通信部とカセッテ通信部との間の無線通信が通信不能な状態と検出した場合、放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、無線通信不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えられる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、カセッテに備えられたインターロック制御部が、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、記憶不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えることができる。
また、カセッテから直接、インターロックの設定の制御を行うことができるので、使用中にカセッテ通信部52や無線中継器6に不具合が生じ、通信不能となった場合であって、さらに操作者のミスが重なった場合においても、適切にインターロック44の設定の制御を行い、確実に放射線源4からX線を照射しないようにすることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、カセッテは、内部電源を備えた可搬型のケーブルレスであるので、放射線撮影時にケーブルが装置等に絡みつかないように、気を使ってカセッテを取り回す必要が無く、操作者が放射線撮影に集中でき、撮影ミスが少なくなり、被写体への余計な被爆をさせる事態の発生を抑えられつつ、トータルとしての撮影効率を向上させることができる。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、カセッテと無線通信が可能なコンソールを有しており、カセッテが放射線撮影室内で、コンソールが放射線撮影室外に設置される通常の場合においては、撮影者は、放射線撮影に際して放射線撮影室内で被写体に撮影位置等の指示を行い、その後放射線撮影室外に移動してその被写体の放射線撮影を開始させながら、放射線画像を確認したり放射線画像データに対する画像処理を開始させたりする。そして、インターロック制御部により放射線インターロックの制御が行われた場合には、その旨を前記コンソール通信部に対して送信するので、カセッテから直接インターロックの制御が行われた場合でもコンソール側で、その旨を把握することができる。
【0034】
また、請求項9に記載の発明では、コンソールに表示部が備えられており、表示部では、コンソール通信部に放射線源に対して放射線インターロックの制御が行われたことを受信した場合に、その旨を表示するので、撮影者はコンソール上で放射線インターロックの制御が行われたことを確認することができる。
【0035】
また、請求項10に記載の発明では、無線中継器を備えるとともにコンソール通信部が通信ケーブルを介してその無線中継器と通信可能であるから、当該無線中継器を放射線撮影室内に設置することで、カセッテ通信部と無線中継器との間で行われる無線通信を良好に行うことができる。
【0036】
また、請求項11に記載の発明では、コンソールが携帯端末であるから、放射線撮影室内で被写体に撮影位置等について指示しながら、当該コンソールで放射線画像を確認したり、放射線画像データの画像処理を開始させたりすることができる。そのため、放射線撮影、放射線画像の確認、画像処理のサイクルを繰り返す放射線撮影全体のトータルの撮影効率を向上させることができる。
【0037】
請求項12に記載の発明によれば、コンソールは、インターロック制御部を備えており、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、記憶不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えることができる。
【0038】
請求項13に記載の発明によれば、カセッテは、インターロック制御部を備えており、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、記憶不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えることができる。
【0039】
請求項14に記載の発明によれば、コンソールに対し、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあるか否かを検知させ、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、記憶不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えることができる。
【0040】
請求項15に記載の発明によれば、カセッテに対し、カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあるか否かを検知させ、カセッテカセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するので、記憶不能なのに被写体に放射線照射して被写体に余計な被爆をさせる事態の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
発明の実施の形態欄の記載は、発明を実施するために発明者が最良と認識している形態を示すものであり、発明の範囲や、特許請求の範囲に用いられている用語を一見、断定又は定義するような表現もあるが、これらは、あくまで、発明者が最良と認識している形態を特定するための表現であり、発明の範囲や、特許請求の範囲に用いられている用語を特定又は限定するものではない。
【0042】
[第一の実施形態]
図1〜図8を参照しながら本発明に係るX線画像撮影システムの第一の実施形態について説明する。なお、X線は放射線の一種である。
【0043】
図1に示すように、第一の実施形態に係るX線画像撮影システム1000は、病院内で行われるX線画像撮影を想定したシステムであり、例えば、被写体にX線を照射するX線撮影室R1と、X線技師が被写体に照射するX線の制御や、X線を照射して取得したX線画像の画像処理等を行うX線制御室R2とに配置されるものである。
【0044】
X線制御室R2には、コンソール1が設けられている。このコンソール1によってX線画像撮影システム全体が制御され、X線画像撮影の制御や取得したX線画像の画像処理が行われる。また、コンソール1は、携帯端末であってもよい。
コンソール1には、操作者が撮影準備指示や撮影指示、指示内容を入力する操作入力部2が接続されている。操作入力部2としては、例えば、X線照射要求スイッチやタッチパネル、マウス、キーボード、ジョイスティック等を用いることが可能であり、操作入力部2を介して、X線管電圧やX線管電流、X線照射時間等のX線撮影条件、撮影タイミング、撮影部位、撮影方法等のX線撮影制御条件、画像処理条件、画像出力条件、カセッテ選択情報、オーダ選択情報、被写体ID等の撮影に関する指示や、後述するX線インターロックに関して、X線インターロックを解除する指示など、各種指示内容が入力される。
さらに、コンソール1には、X線画像などを表示する表示部3が接続されており、コンソール1を構成している表示制御部11により表示が制御される。表示部3としては、例えば、液晶モニタ、CRT(Cathode Ray Tube)モニタ等のモニタ、電子ペーパ、電子フィルム、LEDランプ等を目的に応じて組み合わせて用いることができる。表示部3では、X線撮影条件や画像処理条件等の文字及びポジショニング確認用画像やX線画像等の画像をモニタ表示するとともに、後述するX線源4とカセッテ5の状態をランプ表示する。
【0045】
また、コンソール1には、入力部12、表示制御部11、コンソール通信部14、画像処理部15、画像保存部16、コンソール電源17、ネットワーク通信部18、コンソール制御部13、インターロック制御部19等が備えられている。入力部12、表示制御部11、コンソール通信部14、画像処理部15、画像保存部16、コンソール電源17、ネットワーク通信部18、コンソール制御部13、インターロック制御部19は、それぞれバスに接続しており、データ交換可能である。
【0046】
入力部12は、操作入力部2からの指示内容を受信する。
【0047】
表示制御部11は、コンソール制御部13の制御に基づいて、画像データや文字データなどに基づいて、表示部3が画像や文字などを表示するように制御する。表示制御部11には、例えば、グラフィックボード等を用いることができる。
【0048】
コンソール通信部14は、X線撮影室R1内にあるX線源4及び無線中継器6にそれぞれ通信ケーブルを介して接続されており、無線中継器6を介してカセッテ5と通信可能である。コンソール通信部14は、指示内容に基づいた制御信号をアナログ通信又はデジタル通信によりX線源4及びカセッテ5に送信可能である一方、カセッテ5からのX線画像データを受信可能である。
【0049】
なお、コンソール通信部14とX線源4及び無線中継器6を接続している通信ケーブルは、着脱可能である。通信ケーブルが接続されているときは、画像転送が高速に行えるのでX線撮影によるX線画像取得、X線画像処理、X線画像確認等をより短時間で行うことが可能である。
【0050】
画像処理部15は、コンソール通信部14がカセッテ5から受信したX線画像データを画像処理する。画像処理部15では、指示内容に基づいて画像データの補正処理、拡大圧縮処理、空間フィルタリング処理、リカーシブ処理、階調処理、散乱線補正処理、グリッド補正処理、周波数強調処理、ダイナミックレンジ(DR)圧縮処理等の画像処理が行われる。
【0051】
画像保存部16は、コンソール通信部14がカセッテ5から受信したX線画像データの一時保存や、画像処理されたX線画像データの保存を行う。画像保存部16としては、大容量かつ高速の記憶装置であるハードディスク、RAID(Redundant Array of Independent Disks)等のハードディスクアレー、シリコンディスク等を用いることが可能である。
【0052】
コンソール電源17は、AC電源等の外部電源(図示せず)、又は、バッテリー、電池等の内部電源(図示せず)から電力を供給されており、コンソール1を構成する各部に電力を供給している。また、コンソール電源17の外部電源は、着脱可能である。コンソール電源17が外部電源より電力を供給されるときは、充電の必要がないため長時間撮影を行うことが可能である。
【0053】
ネットワーク通信部18は、LAN(Local Area Network)によりコンソール1と外部装置との間で各種情報の通信を行うものである。外部装置としては、例えば、HIS/RIS(Hospital Information System/Radiology Information System:病院内情報システム/放射線科情報システム)端末71、イメージャ72、画像処理装置73、ビューワ74、ファイルサーバ75等を接続することが可能である。ネットワーク通信部18は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等所定のプロトコルに従ってX線画像データを外部装置に出力する。
HIS/RIS端末71は、HIS/RISから、被写体の情報や撮影部位及び撮影方法などを取得し、コンソール1に提供する。イメージャ72は、コンソール1から出力されたX線画像データに基づいてX線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録する。画像処理装置73は、コンソール1から出力されたX線画像データの画像処理やCAD(Computer Aided Diagnosis:コンピュータ診断支援)のための処理をして、ファイルサーバ75に保存する。ビューワ74は、コンソール1から出力されたX線画像データに基づいてX線画像を表示する。ファイルサーバ75は、処理画像処理されたX線画像データを保存するファイルサーバである。ネットワーク通信部18は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等所定のプロトコルに従ってX線画像データを外部装置に出力する。
【0054】
コンソール制御部13は、コンソール1を構成する各部の動作を制御するものであり、例えば、入力部12が操作入力部2から受信した指示内容やネットワーク通信部18がHIS/RIS71から受信したオーダ情報に基づいて撮影条件を決定し、コンソール通信部14を介してX線源4とカセッテ5に撮影条件に関する撮影条件情報を送信し、X線源4とカセッテ5を制御してX線画像撮影をする。
【0055】
また、コンソール制御部13は、コンソール通信部14が受信したX線画像データに対し、X線画像データを一時保存するように画像保存部16を制御するとともに、入力部12が受信した指示内容やネットワーク通信部18が受信したHIS/RIS71のオーダ情報に基づいた所定の画像処理を行うように画像処理部15を制御する。
【0056】
また、コンソール制御部13は、画像処理が施されたX線画像データを保存させるように画像保存部16を制御するとともに、画像保存部16に保存したX線画像データに基づいてサムネイル画像データを作成するように画像処理部15を制御し、また、得られたサムネイル画像を表示部3に表示させるように、表示制御部11を制御する。
更に、コンソール制御部13は、その後に入力部12が操作入力部2から受信した指示内容に基づいて、X線画像データの再画像処理やその処理結果であるX線画像データを表示したり、又、これらX線画像データをネットワーク上の外部装置に転送、保存、表示する。
【0057】
また、コンソール制御部13は、X線源4とカセッテ5の状態を表示部3に表示させるように、表示制御部11を制御する。ここで、表示部3が表示するX線源4の状態とは、X線源4からX線の照射が可能な状態にあるか否かを表すものであり、カセッテ5の状態とは、カセッテ記憶部546に記憶された記憶容量の残量を表すものである。
【0058】
また、コンソール制御部13は、インターロック制御部19がカセッテ記憶部546が記憶不能な状態であると検出したとき、記憶不能な状態であることを示す表示を表示部3に表示させるように表示制御部11を制御する。
【0059】
また、コンソール制御部13は、インターロック制御部19がインターロックを設定したかどうかを検出している。コンソール制御部13は、インターロック制御部19がインターロックを設定したことを検出すると、インターロックが設定された状態にあることを示す表示を表示部3が表示するように表示制御部11を制御し、インターロック制御部19がインターロックを解除するなどインターロックが設定されていないことを検出すると、インターロックが設定されていない状態にあることを示す表示を表示部3に表示させるように表示制御部11を制御する。
【0060】
ここで、インターロックが設定されている旨の表示は、前述の表示部3のモニター表示によるもので構わないが、インターロックが設定されたときや、記憶容量の残量不足で撮影不可能な状態にあるときにのみ、LEDランプの点灯やブザー音などをモニター表示の代わりに行ってもよいし、モニター表示と併せて行う構成としてもよい。また、表示部3に記憶容量の残量表示がなされることをもってインターロックが設定されている旨の表示を行うとしてもよい。記憶容量の残量で表示をする場合には、記憶容量の具体的な数値「100MB」等として表示してもよいが、「画像10枚分」等のような撮影可能枚数を記憶容量と併せて表示させることが好ましい。
【0061】
このようなコンソール制御部13としては、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリが搭載されているマザーボードを適用することが可能である。
CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムを読み出し、RAM上にプログラムを展開し、展開したプログラムに従ってコンソール1の各部、X線源4、カセッテ5、外部装置を制御する。また、CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているシステムプログラムをはじめとする各種処理プログラムを読み出してRAM上に展開し、後述する各種処理を実行する。
RAMは、揮発性のメモリであり、コンソール制御部13のCPUにより実行制御される各種処理において、ROMから読み出されてCPUで実行可能な各種プログラム、入力もしくは出力データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
ROMは、例えば、不揮発性のメモリであり、CPUで実行されるシステムプログラム、システムプログラムに対応する各種プログラムなどを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また、ROMの代わりにハードディスクを用いてもよい。この場合、ハードディスクは、CPUで実行されるシステムプログラムと各種アプリケーションプログラムを記憶する。また、ハードディスクは、その一部もしくは全部をサーバ等の他の機器からネットワーク回線の伝送媒体を介してコンソール通信部14から、本発明のプログラムなどの各種アプリケーションプログラムを受信して記憶するようにしてもよい。更に、CPUは、ネットワーク上に設けられたサーバのハードディスクなどの記憶装置から本発明のプログラム等の各種アプリケーションプログラムを受信し、RAM上に展開して、本発明の処理などの各種処理をするようにしてもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、表示制御部11とコンソール制御部13とが別体に設けられた例であるが、表示制御部とコンソール制御部とが一体であってもよい。例えば、コンソール制御部としてCPU及びメモリが搭載されているマザーボードを用い、表示制御部としてこのマザーボードに内蔵されたグラフィックサブシステムを用いることが挙げられる。また、コンソール制御部13が表示制御部を兼ねても良い。また、本実施形態では、画像処理部15は、コンソール制御部13と別体であるが、コンソール制御部13が画像処理部を兼ねても良い。
【0063】
インターロック制御部19は、カセッテ5のカセッテ記憶部546の記憶状態を検出するものである。カセッテ記憶部546の記憶状態は、常時カセッテ5から送信されるカセッテ5のカセッテ記憶部546の記憶状態の情報を受信することで検出可能である。この場合、無線中継器6で検出されたカセッテ5のカセッテ記憶部546の記憶状態の情報を、無線中継器6がコンソール通信部14に送信し、コンソール通信部14が受信すると、インターロック制御部19がカセッテ記憶部546の記憶状態を検知する。
【0064】
そして、カセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値以下であることを検出した場合、すなわち、カセッテ記憶部546が画像データの記憶不能な状態にあるとインターロック制御部19が検出したとき、インターロック制御部19はX線管42からX線が照射されないようにX線インターロックの設定を行う。
【0065】
ここで、X線インターロックの設定とは、操作者が撮影指示を入力してもX線管42からX線が照射されないようにする制御のことであり、例えば、インターロック制御部19からコンソール通信部14を介してX線インターロックを設定する旨の信号をインターロック44に送信し、X線源制御部43にX線インターロックを設定する旨の信号が受信されると、インターロック44は、X線源制御部43にX線照射を禁止する制御を行わせるようになっている。
【0066】
なお、X線インターロックの設定としては、前述の例の他に、操作者が操作入力部2から撮影指示を入力しようとしても操作入力部2が動かないようにする制御や、操作者が操作入力部2から撮影指示を入力しても入力部12が受けないようにする制御や、コンソール通信部14にX線照射信号を送信することを禁止する制御などが挙げられるが、操作者が撮影指示を入力してもX線管42からX線が照射されないようにする制御であればなんでもよい。
【0067】
また、インターロック制御部19により、X線インターロックの設定が一旦なされると、入力部12を介して操作入力部2からX線インターロックを解除する旨の指示内容が受信されるまで、その設定は解除されないようになっている。また、X線インターロックが設定される記憶容量の数値は、操作入力部2から設定可能なことが好ましい。また、インターロック制御部19とコンソール制御部とが一体であってもよい。
【0068】
X線撮影室R1には、被写体にX線を照射するX線源4と、被写体に照射されたX線を検出してX線画像データを取得するカセッテ5とが配置される。X線撮影室R1はX線源4のX線が当該X線撮影室R1の外部に漏出しないようにX線遮蔽部材で覆われた室となっている。通常、このようなX線遮蔽部材は、例えば鉛板のような金属製部材すなわち導
電性部材であり、電波の透過を抑える性質や電波を反射する性質を持つ。
本実施形態において、カセッテ5は携帯可能なもので、X線撮影室R1の外部にも持ち出せるようになっている。
【0069】
さらに、X線撮影室R1には、無線中継器6が設置されている。無線中継器6は、カセッテ5との間で無線通信をする。また、無線中継器6は、コンソール1とは通信ケーブルを介して通信する。そして、無線中継器6を介して、カセッテ5が取得した画像データがコンソール1に送信され、又、コンソール1とカセッテ5の間で、制御信号や各種情報が通信される。これにより、コンソール1と無線中継器6とがケーブルにより接続されていて、X線撮影室R1に無線中継器6を配置することで、コンソール1とは放射線遮蔽部材で隔てられたX線撮影室R1でカセッテ5が用いられても、良好な無線通信をすることができる。
【0070】
無線通信の方法としては、電波を用いて通信する方法、赤外線、可視光、紫外線などの光を用いて通信する方法などがある。
【0071】
電波を用いて通信する方法には、例えば2GHz帯を利用した次世代携帯電話による方法、例えば2.4GHz帯や5.2GHz帯を用いた無線LANの規格であるIEEE802.11a、802.11b、802.11g等に適合した無線LANによる方法や、19GHz帯を利用したFWA(Fixed Wireless Access、固定無線アクセス)を用いた
方法や、Bluetoothなどの無線通信規格に基づく方法や、UWB(Ultra Wide Band)すなわち超広帯域の電波を利用した通信方法や、その他の医療用または産業用の通信帯域を利用する方法などがある。また、X線撮影に関する各種信号や情報の通信には、上記以外に、例えば400MHz帯を利用した特定小電力無線による方法、PHSによる方法、800MHz帯や900MHz帯を利用した携帯電話による方法なども挙げられる。
また、同一チャンネルを用いて他の機器が通信をしていないときは大容量の画像データを高速に送信できるが、同一チャンネルを用いて他の機器が通信をしているときは画像データを送信できないので、複数のチャンネルから用いるチャンネルを選択できることが好ましい。
【0072】
光を用いて通信する方法としては、光無線LANを用いた方法、IrDA規格による近赤外線を用いた方法などが挙げられるが、これに限らない。また、光無線LANを用いた方法として、有線LANにリピータを接続し、光通信ハブを介して通信する方法などがある。
【0073】
また、無線中継器6は、カセッテ5の充電器の機能と、カセッテ5の未使用時におけるホルダの機能とを具備していることが好ましい。
例えば、無線中継器6にはコネクタが備えられており、このコネクタとカセッテ5とが接続されるとカセッテ5の内部電源51が充電される。このとき、無線中継器6は、カセッテ5の着脱が容易なように形成されていることが好ましい。また、無線中継器6は、カセッテ5を充電しながら保持する形状であることが好ましく、これにより、カセッテ5が未使用時におけるホルダとして機能しつつ、充電器としても機能することが好ましい。
【0074】
X線源4には、高圧電圧を発生する高圧発生源41及び高圧発生源41により高圧電圧が印加されるとX線を発生するX線管42が配設されている。X線管42のX線照射口には、X線照射範囲を調整するX線絞り装置(図示せず)が設けられており、これに基づいてコンソールからの制御信号に従ってX線照射方向を制御し、X線照射範囲が撮影領域に応じて調整される。また、X線源4には、高圧発生源41及びX線管42とそれぞれ接続されたX線源制御部43が配設されており、X線源制御部43は、コンソール通信部14から送信された制御信号に基づいて、X線源4の各部を駆動制御する。すなわち、高圧発生源41、X線管42を制御する。さらに、X線源4には、X線源制御部43と接続されたインターロック44が配設されており、インターロック44は、X線源制御部43にX線インターロックを設定する旨の信号が受信されると、X線源制御部43にX線照射を禁止する制御を行わせるようになっている。
【0075】
カセッテ5は、図2に示すように筐体55を備えており、筐体55により内部が保護されて携帯可能なものである。筐体55には、アルミニウム、マグネシウムのような軽金属が用いられている。筐体55に軽金属を用いたことにより、筐体55の強度を保持することができるようになっている。
【0076】
なお、カセッテ5とX線源6と被写体は、X線撮影前に、被写体の所望の位置をX線が透過してカセッテに入射するように操作者により位置と向きを調整されて配置される。そして、コンソール1からの指示でX線源4がX線を発生させる。すると、カセッテ5には、X線源4から被写体を透過したX線が入射する。
【0077】
カセッテ5には、内部電源51、カセッテ通信部52、カセッテ制御部53、パネル54、カセッテ記憶部546、チェック手段56が配設されている。内部電源51、カセッテ通信部52、カセッテ制御部53、パネル54、カセッテ記憶部546、チェック手段56は、それぞれカセッテ5内のバスに接続されている。
【0078】
内部電源51は、カセッテ5内に配設された各部に電力を供給する。内部電源51には、充電可能でかつ撮影時に消費する電力に対応可能なコンデンサが設けられている。コンデンサとしては、電解二重層コンデンサを適用することが可能である。また、内部電源51としては、電池交換が必要なマンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池や、充電可能な二次電池を適用することが可能である。
内部電源51の容量は、撮影効率の観点から、最大サイズのX線画像を連続して撮影可能な枚数で換算して、4枚以上(特に7枚以上)であることが好ましい。
また、内部電源51の容量は、小型化・軽量化・低コスト化の観点から、最大サイズのX線画像を連続して撮影可能な枚数で換算して、100枚以下(特に50枚以下)であることが好ましい。
【0079】
カセッテ通信部52は、無線中継器6を介してコンソール通信部14と無線通信が可能なように構成されており、カセッテ通信部52とコンソール通信部14との間で信号を送受信したり、カセッテ通信部52からコンソール通信部14にX線画像データを送信したりすることが可能である。
【0080】
パネル54は、被写体を透過したX線に基づいてX線画像データを出力する。また、本実施形態のパネル5は、間接型フラットパネルディテクタ(FPD:Flat Panel Detector)である。
【0081】
カセッテ記憶部546は、パネル54が出力したX線画像データを記憶する。
【0082】
画像記憶手段チェック手段56は、カセッテ記憶部546の記憶容量など記憶状態を常に検出し、カセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値以下であるかどうかを検出する。
【0083】
カセッテ制御部53は、カセッテを構成する各部の動作を制御するものであり、カセッテ通信部52が受信した制御信号に基づいて、カセッテ5に配設された各部を制御する。例えば、画像記憶手段チェック手段56により、カセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値以下であることが検出された場合には、カセッテ制御部53はカセッテ通信部52に対しカセッテ記憶部546が画像記憶不能であることを示す信号を送信させるようにカセッテ通信部52を制御する。
【0084】
図2にカセッテ5の概略構成を示す斜視図を、図3にパネル54を中心としたカセッテ5の断面図を示す。
なお、本実施形態では、図2及び図3に示した例を説明するが、これに限定されず、シンチレータの厚さや種類が異なるものや、撮像領域の面積であるパネルの面積が異なるものを用いることも適用可能である。シンチレータの厚さが厚いほど感度が高くなり、シンチレータの厚さが薄いほど空間分解能が高くなる。また、シンチレータの種類によって分光感度が異なる。
【0085】
パネル54には、被写体を透過したX線を検出し、検出したX線を可視領域の蛍光(以下「可視光」と称す)に変換するシンチレータ541が層状に設けられている。
シンチレータ541は、蛍光体を主たる成分としている。シンチレータ541は、照射されたX線により蛍光体の母体物質が励起(吸収)し、その再結合エネルギーにより可視光を発光する層である。この蛍光体としては、例えば、CaWO4、CdWO4等の母体物質により蛍光を発光するものや、CsI:Tl、ZnS:Ag等の母体物質内に付加された発光中心物質により蛍光を発光するものなどが挙げられる。
【0086】
シンチレータ541の上層には保護層が設けられている。保護層はシンチレータ541を保護するもので、シンチレータ541の上部および辺縁を完全に覆っている。保護層としては、シンチレータ541の防湿保護の効果を有するものであればいずれの材料を用いてもよい。そして、シンチレータ541として、吸湿性を有する蛍光体(特に、アルカリハライド、更に、アルカリハライドからなる柱状結晶蛍光体)が用いられる場合、例えばUSP 6469305号において開示された、CVD法によって形成されたポリパラキ
シリレン製有機膜や、ポリシラザン、ポリシロキサザンなどのシラザン又はシロキサザンタイプのポリマー化合物を含むポリマーから形成される有機膜や、プラズマ重合法によって形成された有機膜などの防湿性有機膜を用いることが好ましい。
【0087】
シンチレータ541の下層には、アモルファスシリコンにより形成された光検出器542が積層して延在しており、この光検出器542によりシンチレータ541から発光する可視光が電気エネルギーに変換されて出力される。
そして、パネル54は、X線画像による診断の診断性の観点から、1000×1000画素以上(特に2000×2000画素以上)の画素で構成されていることが好ましい。
また、パネル54は、人の視認限界とX線画像の画像処理速度の観点から、1万×1万画素以下(特に6000×6000画素以下)の画素で構成されていることが好ましい。
また、パネル54の撮影領域のサイズは、X線画像による診断の診断性の観点から、10cm×10cm以上(特に、20cm×20cm以上)の面積であることが好ましい。
また、パネル54の撮影領域のサイズは、カセッテとしての取り扱いやすさの観点から、70cm×70cm以下(特に50cm×50cm以下)の面積が好ましい。
また、パネル54の一画素のサイズは、X線被爆量低減の観点から40μm×40μm以上(特に70μm×70μm以上)のサイズが好ましい。
また、パネル54の一画素のサイズは、X線画像による診断の診断性の観点から200μm×200μm以下(特に160μm×160μm以下)が好ましい。
本実施形態では、パネル54が4096×3072の画素から構成されており、撮影領域の面積が430mm×320mmであり、1画素のサイズが105μm×105μmとなっている。
【0088】
ここで、光検出器542を中心とした回路構成について説明する。
【0089】
図4に示すように、光検出器542には、照射されたX線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出すための収集電極5421が二次元配設されている。この収集電極5421には、コンデンサ5424の一方の電極とされて、電気エネルギーがコンデンサ5424に蓄えられるようになっている。ここで、1つの収集電極5421は、X線画像データの1画素に対応するものである。
【0090】
互いに隣接する収集電極5421の間には、走査線5422と信号線5423とが配設されている。走査線5422と信号線5423とは、直交している。
【0091】
コンデンサ5424には、電気エネルギーの蓄電及び読み取りを制御するスイッチング薄膜トランジスタ5425(TFT:Thin Film Transistor、以下トランジスタと称す)が接続される。トランジスタ5425は、ドレイン電極あるいはソース電極が収集電極5421に接続されるとともに、ゲート電極は走査線5422に接続される。ドレイン電極が走査線5422に接続されるときには、ソース電極が信号線5423に接続され、ソース電極が収集電極5421に接続されるときには、ドレイン電極が信号線5423に接続される。また、パネル21では、信号線5423に、例えばドレイン電極が接続された初期化用のトランジスタ5427が設けられている。このトランジスタ5427のソース電極は接地されている。また、ゲート電極はリセット線5426と接続される。
なお、トランジスタ5425とトランジスタ5427は、シリコン積層構造あるいは有機半導体で構成されていることが好ましい。
【0092】
また、走査駆動回路543には、走査駆動回路543からリセット信号RTが送信されるリセット線5426が、信号線5423と直交して接続されている。
リセット線5426には、リセット信号RTによりオン状態となる初期化用トランジスタ5427のゲート電極が接続されている。初期化用トランジスタ5427は、ゲート電極がリセット線5426に接続されるとともに、ドレイン電極が信号線5423と接続され、ソース電極が接地されている。ソース電極が信号線5423に接続されるときには、ドレイン電極が接地されている。
走査駆動回路543からリセット信号RTを供給して初期化用トランジスタ5427をオン状態とするとともに、走査駆動回路543から読み出し信号RSを供給してトランジスタ5425をオン状態とすると、コンデンサ5424に蓄積された電気エネルギーがトランジスタ5425を介して光検出器542外に放出される。以下、リセット信号RTが供給されてコンデンサ5424に蓄積された電気エネルギーが光検出器542外に放出されることを、光検出器542のリセット(初期化)と称する。
また、走査線5422には、走査線5422に読み出し信号RSを供給する走査駆動回路543が接続されている。読み出し信号RSが供給された走査線5422に接続されているトランジスタ5425は、オン状態となり、トランジスタ5425と接続するコンデンサ5424に蓄積された電気エネルギーを読み出して信号線5423に供給する。すなわち、トランジスタ5425を駆動することで、X線画像データの画素毎の信号を生成することができる。
【0093】
信号線5423には、信号読取回路544が接続される。この信号読取回路544には、コンデンサ5424に蓄電されてから信号線5423に読み出された電気エネルギーが供給される。信号読取回路544には、信号読取回路544に供給された電気エネルギー量に比例する電圧信号SVをA/D変換器5442に供給する信号変換器5441と、信号変換器5441からの電圧信号SVをデジタル信号に変換してデータ変換部545に供給するA/D変換器5442とが設けられている。
【0094】
信号読取回路544には、データ変換部545が接続されている。このデータ変換部545は、信号読取回路544から供給されたデジタル信号に基づいてX線画像データを生成する。
【0095】
高分解能の画像データが必要でないときや画像データを速く取得したいときには、操作者が選択した撮影方法に応じて、コンソール制御部13は、受信した間引き、画素平均、領域抽出などの制御信号がカセッテ制御部53に送信する。カセッテ制御部53は、受信した間引き、画素平均、領域抽出などの制御信号に応じて、以下の間引き、画素平均、領域抽出などを実行するように制御する。
間引きは、奇数列又は偶数列のみ読み出すことにより、読み出す画素数を全画素数の1/4に間引いたり、同様にして1/9、1/16などに間引いたりすることにより行われる。なお、間引きの方法は、この方法に限られるものではない。
また、画素平均は、同時に複数の走査線5422を駆動し、同じ列方向の2画素のアナログ加算を行うことにより算出することが可能である。画素平均は、2画素の加算により算出することに限らず、列信号配線方向の複数画素のアナログ加算を行うことにより容易に得ることができる。更に、行方向の加算については、A/D変換出力後に隣り合う画素をデジタル加算することにより、上述のアナログ加算と合わせて、2×2等の正方形画素の加算値を得ることができる。これらによって、照射されたX線を無駄にすることなく、高速にデータを読み出すことが可能である。
また、領域抽出は、画像データの取込領域を制限する手段がある。これは、撮影方法の指示内容などから必要な画像データの取得領域を特定し、この特定された取得領域に基づいてカセッテ制御部53が走査駆動回路543のデータ取込範囲を変更し、この変更した取込範囲をパネル54が駆動するものである。
【0096】
データ変換部545には、メモリ546が接続されている。このメモリ546は、データ変換部545により生成されたX線画像データを保存する。また、メモリ546には、予めゲイン補正用データが保存される。
メモリ546は、RAM(Random Access Memory)及び不揮発性メモリにより構成される。このメモリ546は、データ変換部545により逐次生成されたX線画像データをRAMに逐次書き込みをした後に不揮発性メモリに一括書き込みすることができる。不揮発性メモリは、EEPROM、フラッシュメモリ等のメモリ部品2つ以上により構成されており、このメモリ部品の一方を消去している間に他方に書き込みをすることができる。
【0097】
このように、カセッテ5はX線画像データを一時的に保存するメモリ546を備えているので、取得したX線画像データを一旦メモリ546に保存でき、通信不良や通信不能な状態であっても、通信状態が良くなるまでX線撮影を遅らせる必要がなく、そのメモリ546に保存したX線画像データを、カセッテ5とコンソール1との間の通信状態に応じた通信速度で、カセッテ5からコンソール1に送信することができる。なお、メモリ546の容量は、撮影の効率性の観点から、最大データサイズの画像の保存できる画像数で換算して、4以上(特に10以上)が好ましい。また、メモリ546の容量は、低コスト化の観点から、最大データサイズの画像の保存できる画像数で換算して、1000以下(特に100以下)が好ましい。
【0098】
光検出器542の下層には、ガラス基板により形成された平板上の支持体547が設けられ、支持体547によりシンチレータ541及び光検出器542の積層構造が支持されている。
【0099】
支持体547の下面に、X線量センサ548が設けられている。X線量センサ548は、光検出器542を透過したX線量を検出し、X線量が所定量に達すると、所定X線量信号をカセッテ制御部53に送信する。また、本実施形態では、X線量センサ548として、アモルファスシリコン受光素子を用いている。だが、X線量センサは、これに限られず、結晶シリコンによる受光素子等を用いて直接X線を検出するX線センサや、シンチレータにより蛍光を検出するセンサを用いてもよい。
【0100】
上述のように、カセッテ5は、内部電源51からの電力で駆動し、可搬型のケーブルレスであり、カセッテ通信部52とコンソール通信部14とが無線通信を介して通信するので、コンソール1との連動性を維持しつつ、ケーブルが装置等に絡まらないように注意しながら撮影する必要が無く、操作性が良く、撮影効率を向上させることができる。
【0101】
なお、本実施形態においては、コンソール1がX線制御室R2に設置されている場合について説明したが、コンソール1は無線通信可能な携帯端末であってもよい。この場合、X線制御室R2にも無線中継器を設置し、コンソール通信部14は、X線撮影室R1内の無線中継器6ともX線制御室R2内の無線中継器とも無線通信可能で、その結果、X線撮影室R1内でもX線制御室R2内でもカセッテ5と通信できることが好ましい。これにより、撮影者は、従来のようにX線制御室R2内だけでなく、X線撮影室R1内で撮影者に撮影位置等について指示をしながら当該コンソール1でX線画像を確認したり、X線画像データの画像処理を開始させたりすることができ、また、X線撮影室R1とX線制御室R2の間の移動時間でX線画像を確認したり、X線画像データの画像処理を開始させたりすることもでき、X線撮影からX線画像を確認するサイクルを繰り返すX線撮影全体のトータルの撮影効率を向上させることができる。
【0102】
この場合、無線中継器6は、カセッテ5と無線中継器6との間の無線通信の通信状態を、無線通信の受信電波強度の低下や無線通信帯域でのノイズ量などから検出可能である。この場合、無線中継器6で検出されたカセッテ通信部52と無線中継器6との間の無線通信の通信状態の情報を、無線中継器6がコンソール通信部14に送信し、コンソール通信部14が受信すると、コンソール制御部13が無線通信の通信状態を検知する。一方、コンソール通信部14と無線中継器6との間の無線通信の通信状態を、コンソール通信部14が無線通信の受信電波強度の低下や無線通信帯域でのノイズ量などから検出可能である。
【0103】
また、常時、画像記憶チェックを行うものでなく、画像記憶チェックのタイミングは、一日の撮影サイクル中で撮影装置の主電源が投入された直後と、1つの撮影終了後、のように撮影動作と関連したタイミングでチェックを行ってもよい。但し、定期的に画像チェックを行う場合には、チェックを行う間隔は、1つの撮影動作にかかる時間よりも短い時間の間隔で行う必要がある。
【0104】
また、この場合、インターロック制御部19は、コンソール1ではなく、カセッテ5側に備えられている構成であってもよい。
【0105】
次に、本発明の第一の実施形態によるX線画像撮影システムによる動作について図5を参照して説明する。
【0106】
カセッテ5では、電源が投入されている状態では、コンソール制御部13から撮影準備指示信号を受信するまで、カセッテ制御部52は、走査駆動回路543をオフ状態に保つ(ステップS1)。オフ状態に保つために、走査線5422、信号線5423、リセット線5426の電位を同電位にし、収集電極5421にバイアスを印加しない。また、信号読取回路544の電源をオフ状態に保ち、走査線5422、信号線5423、リセット線5426の電位をGND電位にしてもよい。
【0107】
このような走査駆動回路543及び信号読取回路544にバイアスが印加されていない状態には、撮影待機モードとスリープモードとがある。
【0108】
なお、撮影待機モードでは、フォトダイオードへバイアス電位を印加しないだけでなく、走査駆動回路543及び信号読取回路544は立ち上がりが早いので、走査駆動回路543及び信号読取回路544にも電力供給をしないことが、電力消費を更に抑えることができ好ましい。更に、撮影待機モードでは、信号が発生しないので、データ変換部545にも電力供給しないことが、電力消費を更に抑えることができ好ましい。
また、撮影待機モードよりも更に消費電力の少ないスリープモードを設けることが好ましい。そして、撮影済み画像をコンソール1に完全に送信後、スリープモードに移行することが好ましい。そして、スリープモードでは、コンソール1から指示により撮影待機モードへ立ち上がるのに必要な機能のみ残して、カセッテ通信部52の高速送信機能又は送信機能全体やメモリへの電力供給を停止することが好ましい。すなわち、スリープモードでは、フォトダイオードへのバイアス電位を印加せず、走査駆動回路543、信号読取回路544、データ変換部545、メモリ546、及びカセッテ通信部52の高速送信機能又は送信機能全体に電力供給しないことが好ましい。これにより、無駄な電力消費をより抑えることができる。
【0109】
このように、単位時間当たりの消費電力が撮影可能状態より低い撮影待機モードとスリープモード制御下の状態では、走査線5422、信号線5423、リセット線5426の電位を同電位にし、収集電極5421にバイアスを印加しない状態、すなわち、複数の画素に電圧が実質的に印加されない状態であるので、フォトダイオードやトランジスタに電圧が実質的に印可されることにより劣化、すなわち、複数の画素の劣化を抑えることができる。また、無駄な電力の消費も抑えられる。
【0110】
そして、例えば、X線照射スイッチの1stスイッチがONされたり、操作入力部2を介して、被写体情報や撮影情報等、所定の項目が入力されるなどの入力部12が撮影のための指示内容を受信したり、また、HIS/RIS71からオーダ情報を受信したりすると、コンソール制御部13は、操作者の指示内容やHIS/RIS71などからのオーダ情報に基づいて撮影条件を決定し、この撮影条件に基づいた撮影準備指示信号を、X線源制御部43及びカセッテ制御部53にコンソール通信部14を介して送信する。
【0111】
ここで、撮影準備指示は、例えばX線照射スイッチの1stスイッチのように操作者が操作入力部2を介して入力する指示である。また、被写体情報や撮影情報等、所定の項目が入力されたことを、撮影準備指示としてもよい。
【0112】
一方、X線源制御部43は、撮影準備指示信号を受信すると、高圧発生源41を駆動制御して、X線管42に高圧を印加する状態に移行させる。
【0113】
カセッテ制御部53は、撮影準備指示信号を受信を検知しており、カセッテ通信部52を介して撮影準備指示信号を受信すると(ステップS2:Yes)、メモリチェック動作を行い(ステップS3)、その後、コンソール1の表示部3に撮影可能表示と表示された場合に、撮影可能状態に移行する(ステップS4)。これにより、撮影可能状態において撮影指示が入力されるまで全ての画素のリセットを所定間隔で繰り返し、暗電流によりコンデンサ5424に電気エネルギーが蓄積されることを防止する。また、撮影可能状態が継続する時間は不明なため、この所定間隔は、撮影時よりも長く、また、トランジスタ5425のオン時間が撮影時よりも短く設定される。これにより撮影可能状態では、トランジスタ5425に負荷のかかる読み出し動作が少なくなる。そして、撮影可能状態に移行した後、カセッテ制御部53は、コンソール1に撮影可能状態移行信号を送信する。コンソール制御部13は、撮影可能状態移行信号を受信すると、表示部3がカセッテが撮影可能状態に移行した旨のカセッテ撮影可能状態表示をするように表示制御部11を制御する。
【0114】
撮影指示がコンソール制御部13に入力されると、コンソール制御部13は、操作者の指示内容やHIS/RIS71などからのオーダ情報に基づいて撮影条件を決定し、この撮影条件に関する撮影条件情報を、X線源制御部43及びカセッテ制御部53にコンソール通信部14を介して送信する。
【0115】
その後、コンソール制御部13は、例えばX線照射スイッチの2ndスイッチONなどの操作者からのX線照射指示を受けると、コンソール通信部14に撮影指示信号をカセッテ5に送信するように制御し、また、コンソール通信部14にカセッテ5からの準備終了信号が受信されると、X線照射信号をX線源4に送信するように制御する。そして、コンソール制御部13にX線照射指示が入力された後、コンソール制御部13は、X線源4とカセッテ5とを制御し、同期を取りながら撮影をする。
【0116】
カセッテ制御部53は、撮影指示信号の受信を検知しており、カセッテ通信部52を介して撮影指示信号を受信すると(ステップS5:Yes)、チェック手段56によるメモリチェック動作を行い(ステップ6)、その後、コンソール1の表示部3に撮影可能表示と表示された場合に、パネル54を初期化し、パネル54が電気エネルギーを蓄積することができる状態に移行する。具体的には、リフレッシュを行い、そして、撮像シーケンスの為の専用の全画素のリセットを所定回数および電気エネルギー蓄積状態専用の全画素のリセットを行って電気エネルギー蓄積状態に遷移する。曝射要求から撮影準備完了までの期間は所定時間が短いことが実使用上要求されるので、そのために撮像シーケンス専用の全画素のリセットを行う。さらに、撮影可能状態の駆動のいかなる状態からも曝射要求が発生した場合は、即時撮像シーケンス駆動に入ることにより曝射要求から撮影準備完了までの期間を短くすることにより、操作性の向上を図る。
【0117】
パネル54が電気エネルギーを蓄積できる状態に移行すると、カセッテ制御部53は、コンソール通信部14にカセッテ5の準備終了信号を送信する。コンソール通信部14は、この準備終了信号を受信すると、X線照射信号をX線源4に送信すると同時にコンソール制御部13にカセッテの準備終了信号を伝達する。
【0118】
コンソール制御部13は、このカセッテの準備終了信号を受信すると、X線撮影中であることを示すX線撮影中表示を表示部3がするように表示制御部11を制御する。一方、X線源制御部43は、X線照射信号を受信すると、高圧発生源41を駆動制御してX線管42に高圧を印加し、X線源4からX線を発生させる。X線源4から発生したX線は、X線照射口に設けられたX線絞り装置によりX線照射範囲を調整され、被写体を照射する(ステップS7)。
【0119】
被写体を透過したX線は、カセッテ5に入射する。このカセッテ5に入射したX線は、シンチレータ541によって可視光に変換される。
【0120】
X線量センサ548は、カセッテ5に照射されたX線量を検出する。そして、検出したX線量は、X線量センサ548により検出される。そのX線照射量が所定量に達すると、X線量センサ548が所定X線量信号をカセッテ制御部53に送信する。カセッテ制御部53は所定X線量信号を受信すると、無線中継器6を介してコンソール通信部14にX線終了信号を送信する。コンソール通信部14は、このX線終了信号を受信すると、コンソール制御部13にX線終了信号を伝達するとともに、X線源制御部43にX線照射停止信号を送信する。X線源制御部43は、このX線照射停止信号を受信すると、高圧発生源41を駆動制御し、高圧発生源41がX線管42への高圧の印加を停止する。これによりX線の発生が停止する。
【0121】
カセッテ制御部53は、X線照射終了信号を送信すると、X線照射終了信号に基づいて走査駆動回路543と信号読取回路544とを駆動制御する。走査駆動回路543は、光検出器542が取得した電気エネルギーを読み出し、取得した電気エネルギーを信号読取回路544に入力する。信号読取回路544は、入力された電気エネルギーをデジタル信号に変換する。そして、データ変換部545は、デジタル信号を画像データに構成する。メモリ546は、データ変換部545により構成された画像データを一時保存する(ステップS8)。
【0122】
続いてカセッテ制御部53は、画像データを取得した後に、補正用画像データを取得する。補正用画像データは、X線照射をしない暗画像データであり、高品質のX線画像を取得するためにX線画像の補正に使用するものである。補正用画像データの取得方法は、X線を照射しない点以外は、画像データの取得方法と同じである。電気エネルギー蓄積時間は、画像データを取得するときと補正用画像データを取得するときとで等しくなるように設定する。ここで、電気エネルギー蓄積時間とは、リセット動作が完了したとき、即ちリセット時のトランジスタ5425をオフにしてから、次に電気エネルギー読み出しを行うためにトランジスタ5425をオンにするまでの時間である。よって、各走査線5422により電気エネルギー蓄積が始まるタイミングや電気エネルギー蓄積時間が異なる。
【0123】
データ変換部545は、構成した画像データを、取得した補正用画像データに基づいてオフセット補正し、続いて、予め取得してメモリ546に保存されているゲイン補正用データに基づいてゲイン補正する。そして、不感画素や複数の小パネルで構成されたパネルの場合、小パネルのつなぎ目部などに違和感を生じないように画像を連続的に補間して、パネルに由来する補正処理を完了する。本実施形態では、データ変換部545は、カセッテ制御部53と別体であるが、カセッテ制御部53がデータ変換部545を兼ねても良い。
【0124】
そして、補正処理されメモリ546にX線画像データが一時保存されると、カセッテ制御部53は、カセッテ通信部52、無線中継器6、コンソール通信部14を介してX線画像データを送信する(ステップS9)。その後、カセッテ5は再びオフ状態に戻り(ステップS1)、撮影準備指示信号が受信されるまで待機する。
【0125】
なお、ステップS5で、カセッテ制御部53に、撮影指示信号を受信されない場合には(ステップS5:No)、再びメモリチェックの動作が行われ、ステップS3以降の動作が繰り返される。
【0126】
このように、カセッテ5は内部電源51から電力の供給を受けて機能するメモリ546を備え、パネル54により得られ、カセッテ通信部52により送信されるX線画像データを一時的に保存するので、パネル54からのデータ生成と、カセッテとコンソールとの通信との間のアキュームレータとして機能し、X線画像データを、カセッテとコンソールとの通信状態に応じて、カセッテからコンソールに転送することができる。特に、メモリがRAMであるので、パネル54からのデータ生成速度が高くても良好にデータ保存できる。
【0127】
コンソール制御部13は、X線画像データを受信すると、画像保存部16に一時保存する。そして、コンソール制御部13は、画像処理部15が画像保存部16に一時保存したX線画像データからサムネイル画像データを作成するように制御する。表示制御部11は、作成されたサムネイル画像データに基づいて、表示部3がサムネイル画像を表示するように制御する。
【0128】
その後、画像処理部15は、画像データを操作者の指示内容やHIS/RIS71などからのオーダ情報に基づいて画像処理する。この画像処理された画像データは、表示部3に画像表示されると同時に画像保存部16に送信され、画像データとして保存される。さらに、操作者の指示に基づいて、画像処理部15は画像データを再画像処理し、画像データの画像処理結果は表示部3が表示する。また、ネットワーク通信部18は、画像データをネットワーク上の外部装置であるイメージャ72、画像処理端末73、ビューワ74、ファイルサーバ75等に転送する。コンソール1から画像データが転送されると転送された外部装置は対応して機能する。すなわち、イメージャ72は、このX線画像データをフィルムなどの画像記録媒体に記録する。画像処理端末73は、このX線画像データの画像処理やCAD(Computer Aided Diagnosis:コンピュータ診断支援)のための処理をし、ファイルサーバ75に保存する。ビューワ74は、このX線画像データに基づいてX線画像を表示する。ファイルサーバ75は、このX線画像データを保存する。
【0129】
このように、X線画像撮影システム1000では、カセッテ5とコンソール1との連携により一連の撮影動作が行われて放射線画像データを得ることができる。その際、カセッテ5は、カセッテ制御部53により、適切なタイミングで、撮影可能状態、撮影可能状態より消費電力の低い1又は複数の撮影待機モード制御下の状態、さらに消費電力の低いスリープモード制御下の状態というように、カセッテ5の電力供給の状態を変更しながら自身の動作を進めていくことができ、省エネを図りつつ、良好に撮影を行うことができる。
【0130】
また、X線画像撮影システム1000では、無線通信により放射線画像データの取得が行われるので、従来のようにカセッテ型X線画像検出器にシステム制御部と通信するための無線モジュール又はケーブルと接続可能なコネクタを具備した場合に、画像データの転送時にユーザがコネクタに無線モジュール又はケーブルを着脱することにより選択できるために生じる無線モジュールの着け忘れを防ぎ、トータルとしての撮影効率が低くなるのを防ぐことができる。
【0131】
また、1つの撮影サイクルにおいて、メモリチェック動作を撮影準備指示信号及び撮影指示信号の受信をきっかけとして2回行っている。そのため、撮影準備指示信号の受信により、患者のポジショニング前にX線照射が可能かどうかを知ることができ、操作者は、インターロックの設定がなされる状況において、無駄な作業を行わずに、迅速にメモリエラーへの対応を行うことができる。そして、撮影指示信号の受信により、X線照射の直前の情報をもとにX線照射が可能かどうかを知ることができ、得られる画像記憶状態の情報への信頼性を高めることができる。
【0132】
また、前述のX線画像撮影システム1000では、一日の撮影サイクルの中であるイベントとして、カセッテ5における撮影準備指示信号と撮影開始信号の受信をきっかけにメモリチェックプログラムが行われるようになっている。次に、本発明の第一の実施形態におけるメモリチェックプログラムを行うときの動作について説明する。
【0133】
図6及び図7に、メモリチェックプログラムを行うときのフローチャートを示す。
【0134】
まず、図6のフローチャートについて説明する。図6では、X線インターロックが手動で解除しなければ、X線源がX線照射を行うことができない場合についての動作を説明する。
【0135】
カセッテ5は、電源が投入されて撮影準備指示信号が受信されていない状態では、チェック手段56が常にカセッテ記憶部546の記憶状態を検知している。そして、カセッテ制御部53は、カセッテ通信部52を介して撮影準備指示信号を受信すると、メモリチェック動作として、チェック手段56にカセッテ記憶部546の記憶状態を検出させる(ステップS10)とともに、得られた記憶容量の残量の情報をカセッテ通信部52を介してコンソール1に送信させる。
【0136】
そして、コンソール制御部13は、コンソール通信部14を介してカセッテ5の記憶容量の残量の情報を受信すると、記憶容量の残量の表示をするように表示制御部11を制御するとともに(ステップS11)、カセッテ5が画像記憶不能であるかどうか検出するようにインターロック制御部19を制御する(ステップS12)。具体的には、インターロック制御部19がカセッテ5のチェック手段56で検出されたカセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値以下であることを検出すると、画像記憶不能であると判断して(ステップS12:Yes)、X線インターロックを設定する(ステップS13)。これにより、放射線源4は、X線照射できないように制御される。そして、これに基づき、コンソール制御部13は、撮影不能の表示をするように表示制御部11を制御する(ステップS14)。
【0137】
その後、撮影不能の表示を見た操作者によりカセッテ記憶部546に保存されたメモリが消去され、操作入力部2を介してX線インターロックの設定が解除されると(ステップS15:Yes)、ステップS10に戻り、再びチェック手段56に、カセッテ記憶部546の記憶状態を検出させた後、カセッテ5の記憶容量の残量の情報をコンソール1に送信する。
【0138】
そして、コンソール1では、コンソール制御部13が当該カセッテ5の記憶容量の残量の情報の表示をするように表示制御部11を制御するとともに(ステップS11)、インターロック制御部19にカセッテ5が画像記憶不能であるかどうかを判断させる(ステップS12)。そして、画像記憶可能であると判断されると(ステップS12:No)、コンソール制御部13は、X線照射可能と判断して、撮影可能の表示をするように表示制御部11を制御する(ステップS16)。
【0139】
なお、ステップS12で、インターロック制御部19が、カセッテ5が画像記憶可能であると判断すると(ステップS1:No)、コンソール制御部13は、X線照射可能と判断し、ステップS7以降の動作が繰り返される。
また、ステップS15で、X線インターロックの設定が解除されないと(ステップS15:No)、X線インターロックが設定されたままとなり、ステップS13以降の動作が繰り返される。
【0140】
以上のように、X線インターロックを手動で解除する場合のプログラムを実施する第一の実施形態におけるX線画像撮影システム1000は、インターロック制御部19がカセッテ記憶部546の記憶状態を検出し、X線源4からX線を照射しないようにすることができるので、放射線撮影画像が取得できず、かつ被写体に本来不要な放射線の照射を防止して、効率的に撮影を行うことができる。
【0141】
その際、一旦、X線インターロックが設定されると、手動で設定を解除しない限り、撮影動作への移行を行うことはできないので、チェック手段56が故障した場合など、チェック手段56が誤って画像記憶可能と判断した場合においても、X線源4からX線を照射しないようにすることができ、確実に被写体に本来不要な放射線の照射を防止することができる。
【0142】
また、X線画像データを無線送信する際は、暗号化して送信することが好ましい。すなわち、カセッテ5に、送信するX線画像データを暗号化する暗号化手段を設け、また、コンソール1に暗号化されたX線画像データを復号化する暗号復号化手段を設けることが好ましい。このような暗号化手段は、カセッテ制御部53またはカセッテ通信部52が兼ねてもよいし、これらとは別に暗号化部を設けても良い。また、このような暗号復号化手段は、無線中継器6、コンソール通信部14又はコンソール制御部13が兼ねてもよいし、これらとは別に復号化部を設けてもよい。
【0143】
そして、このような暗号化に適する技術としては、例えば、IEEE802.11で規定されたWEP(Wired Equivalent Privacy:64bitまたは128bitのキー長の共通鍵を用いた暗号化)や、IEEE802.11iで規定されたTKIP(Temporal Key Integrity Protocol:キーを自動的に変更して暗号化を行うようにした暗号化)、WPA(Wi-Fi Protected Access:TKIPとIEEE802.1xを併用した暗号化)、IEEE802.11iに規定されるAES(Advanced Encryption Standard)などが挙げられるがこれらに限らない。
【0144】
また、カセッテ通信部52やコンソール通信部14や無線中継器6に他の機器がアクセスすることを制限することが好ましい。このようなアクセス制限機能は、例えば、SSID (Service Set Identifier:接続する機器固有のIDであり、パケットのヘッダに含まれるSSIDが一致しないパケットを無視する)、MAC(Media Access Control、媒体アクセス制御)アドレス(LANカード固有のアドレス)フィルタリング機能(登録したMACアドレスの端末に対してだけ、接続が可能とする)、ANY接続拒否機能(アクセスポイントに設定する機能で、クライアントのSSID設定が「ANY」となっている場合に、アクセスポイントとの接続を拒否する機能。通常は、クライアントのSSID設定が「ANY」となっている場合、あらゆるSSIDを持つアクセスポイントに対して接続が可能であることに対する)、ビーコン信号にSSIDを含めない機能、IEEE802.1xに規定された認証(RADIUS)サーバによるユーザ認証 (認証されていない端末からの通信をすべて拒否し、認証されたユーザにのみ通信を許可する)などが挙げられるがこれらに限らない。
【0145】
また、通信速度を向上させるために、カセッテ5でX線画像データを圧縮し、コンソール1側で圧縮復号化することが好ましい。すなわち、カセッテ5に、送信するX線画像データを圧縮する圧縮化手段を設け、また、コンソール1に圧縮されたX線画像データを復号化する圧縮復号化手段を設けることが好ましい。このような圧縮化手段は、カセッテ制御部53またはカセッテ通信部52が兼ねてもよいし、これらとは別に圧縮化部を設けても良い。また、このような圧縮復号化手段は、無線中継器6、コンソール通信部14又はコンソール制御部13が兼ねてもよいし、これらとは別に圧縮復号化部を設けてもよい。
この場合に暗号化するときは、圧縮処理した後、暗号化処理し、暗号の復号化処理した後、圧縮の復号化処理することが好ましい。すなわち、圧縮化手段により圧縮されたX線画像データを暗号化手段により暗号化し、暗号復号化手段により暗号復号化されたX線画像データを圧縮復号化手段により圧縮複合化することが好ましい。
【0146】
なお、本実施形態では、パネル54が4096×3072画素を持つ1枚のパネルで構成された例を示したが、これに限定されず、例えば、パネル54が2048×1536画素を持つ4枚の小パネルで構成されたものを用いることもできる。このように複数枚の小パネルからパネルを構成した場合、4つの小パネルを組みあわせて1枚のパネルとする手間が発生するが、各パネルの歩留まりが向上するので、全体としても歩留まりが向上し低コスト化するという利点がある。
【0147】
さらに、本実施形態では、シンチレータ541と光検出器542とを用いて照射されたX線の電気エネルギーを読み出す例を示したが、これに限定されず、X線を電気エネルギーに直接変換できる光検出器を適用することが可能である。例えば、アモルファスSeやPbI2等を用いたX線電気エネルギー変換部とアモルファスシリコンTFT等とにより構成されたX線検出器を用いるようにしてもよい。
【0148】
また、本実施形態では、信号読取回路544に1つのA/D変換器5442が設けられた例を示したが、これに限定されず、複数のA/D変換器を適用することが可能である。
そして、A/D変換器の数は、画像読取時間を短くして所望のS/N比を得るために、4以上、特に8以上であることが好ましい。
また、A/D変換器の数は、低コスト化・小型化のために、64以下、特に32以下であることが好ましい。これにより、アナログ信号帯域及びA/D変換レートを不必要に大きくすることがない。
【0149】
また、本実施形態では、ガラスにより形成された支持体547の例を示したが、これに限定されず、樹脂や金属等によって形成された支持体を適用することが可能である。
【0150】
また、本実施形態では、カセッテ5とコンソール1とが1対1で対応させている例を示したが、これに限定されず、カセッテとコンソールとが1対M、N対1、N対M(N,Mは2以上の自然数)で対応させて用いることが可能である。このときには、カセッテとコンソール間のネットワークを設け、カセッテとコンソールとの対応関係を対応関係情報保持部に保存し、対応関係情報保持部をネットワーク上またはコンソール内に設け、コンソールがカセッテを制御することが好ましい。
【0151】
また、本実施形態では、コンソール1及びカセッテ5のいずれにおいても、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。また、プログラム等を記憶させる記憶媒体としては、不揮発性メモリ、電源バックアップされた揮発性メモリ、ROMメモリ、光ディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク等の記憶媒体に記憶させるようにしてもよい。
【0152】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0153】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0154】
更に、このようなプログラムは、ネットワークや回線などを介して外部から提供されたものであってもよい。そして、外部から供給されるプログラムを使用する場合も、不揮発性メモリ、電源バックアップされた揮発性メモリ、光ディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク等の記憶媒体に記憶されるようにしてもよい。
【0155】
次に、図7のフローチャートについて説明する。図7では、X線インターロックを手動で解除しなければ、X線源4がX線照射を行うことができない場合についての動作を説明する。
【0156】
カセッテ5は、電源が投入されて撮影準備指示信号が受信されていない状態では、チェック手段56が常にカセッテ記憶部546の記憶状態を検知している。そして、カセッテ制御部53は、カセッテ通信部52を介して撮影準備指示信号を受信すると、メモリチェック動作として、チェック手段56にカセッテ記憶部546の記憶状態を検出させる(ステップS20)とともに、得られた記憶容量の残量の情報をカセッテ通信部52を介してコンソール1に送信させる。
【0157】
そして、コンソール制御部13は、コンソール通信部14を介してカセッテ5の記憶容量の残量の情報を受信すると、記憶容量の残量の表示をするように表示制御部11を制御するとともに(ステップS21)、カセッテ5が画像記憶不能であるかどうか検出するようにインターロック制御部19を制御する(ステップS22)。そして、インターロック制御部19がカセッテ5のチェック手段56で検出されたカセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値以下であることを検出して、画像記憶不能であると判断すると(ステップS22:Yes)、X線インターロックを設定する(ステップS23)。これにより、放射線源4は、X線照射できないように制御される。そして、これに基づき、コンソール制御部13は、撮影不能の表示をするように表示制御部21を制御する(ステップS24)。
【0158】
その後、撮影不能の表示を見た操作者によりカセッテ記憶部546に保存されたメモリが消去される。
【0159】
そして、再びチェック手段56は、カセッテ記憶部546の記憶状態を検出して(ステップS20)、その情報をコンソール1に送信しており、受信したコンソール制御部13では、表示制御部11を介してカセッテ5の記憶容量の残量の情報を表示部3に表示するように制御している(ステップS21)。
【0160】
メモリが消去されることで、インターロック制御部19がチェック手段56がカセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値を超えていることを検出し、画像記憶可能であると判断すると(ステップS22:No)、コンソール制御部13は、X線照射可能と判断して、X線インターロックの設定を解除するようにインターロック制御部19を制御した後(ステップS25)、撮影可能の表示をするように表示制御部11を制御する(ステップS26)。
【0161】
なお、ステップS22で、インターロック制御部19が画像記憶可能であると判断すると(ステップS22:No)、コンソール制御部13は、X線照射可能と判断して、X線インターロックの設定を解除するステップS25以降の動作が繰り返される。
【0162】
以上のように、X線インターロックを自動で解除する場合のプログラムを実施する第一の実施形態におけるX線画像撮影システム1000は、カセッテ5のチェック手段56がカセッテ記憶部546の記憶状態を検出し、X線源4からX線を照射しないようにすることができるので、放射線撮影画像が取得できず、かつ被写体に本来不要な放射線の照射を防止して、効率的に撮影を行うことができる。
【0163】
その際、一旦、X線インターロックが設定されても、メモリが消去される等により印トーロック制御手段19が、カセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値を超えていることを検出して、画像記憶可能であると判断すると(ステップS22:No)、X線インターロックの設定が解除され、撮影動作へ移行することができるので、チェック手段56の判断に応じて自動的にX線インターロックの設定を解除することができ、システム全体の使用勝手を向上させつつ、被写体に本来不要な放射線の照射を防止することができる。
【0164】
[第二の実施形態]
続いて、第二の実施形態について図8を参照して説明する。
第二の実施形態では、上記第一の実施形態においてインターロック制御部19がコンソール1ではなく、図8に示すようにカセッテ5側に備えられている点と、インターロック制御部19とインターロック44とがケーブル等の有線で接続されている点で構成が異なる。
これ以外の構成は、上記第一の実施形態と同様である。
第二の実施形態では、X線画像撮影システム2000による動作を中心とした説明を行い、上記第一の実施形態と同一の点は上記と同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0165】
カセッテ5には、内部電源51、カセッテ通信部52、カセッテ制御部53、パネル54、カセッテ記憶部546、チェック手段56、インターロック制御部20が配設されており、これらの各部材は、それぞれカセッテ5内のバスに接続されている。また、インターロック制御部には、ケーブルを介してインターロック44が接続されている
【0166】
なお、インターロック制御部20は、カセッテ5のカセッテ記憶部546の記憶状態を検出するものであるが、ここでは、カセッテ記憶部546の記憶状態の情報を直接検知することで検出を行う。そして、カセッテ記憶部546の記憶容量が最初に設定された値以下であることを検出した場合、すなわち、カセッテ記憶部546が記憶不能な状態であるとインターロック制御部20が検出したとき、インターロック制御部20はX線管42からX線が照射されないようにX線インターロックを設定するように構成されており、ここでは、インターロック制御部20は、自身に接続されたケーブルを介してX線源4にインターロックを設定する旨の信号を送信する。
【0167】
そのため、カセッテ5のカセッテ制御部52にコンソール制御部13からの撮影準備指示信号に基づき、カセッテ記憶部546がカセッテ記憶部546の記憶状態を検出して、インターロック制御部20が、カセッテ記憶部546が記憶不能な状態であると検出すると、X線源4にインターロックを設定する旨の信号が有線を介して送信される。
【0168】
その結果、X線インターロック44が設定され、放射線源4では、X線管42からX線が照射されないように制御される。これにより、パネルが撮影可能な状態に遷移していないのに、操作者が誤ってコンソール1の操作入力部2においてX線照射指示を入力しても、放射線源4のX線管42からX線を照射されるのを防ぐことが可能となる。
【0169】
以上のように、第二の実施形態におけるX線画像撮影システム1000は、カセッテ5にインターロック制御部20が備えられ、メモリチェックの結果に応じて、コンソール1を介さずにX線源4に対し、直接、インターロックの設定の制御を行うことができるので、使用中にカセッテ通信部52や無線中継器6に不具合が生じ、通信不能となった場合であって、操作者のミスが重なった場合においても、適切にインターロック44の設定の制御を行い、放射線源4からX線を照射しないようにすることができる。その結果、放射線撮影画像が取得できず、かつ被写体に本来不要な放射線の照射を防止して、効率的に撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本発明によるX線画像撮影システムの第一の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明によるカセッテの一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明によるパネルを中心としたカセッテの一実施形態の断面図である。
【図4】本発明による光検出器を中心とした回路の一実施形態の構成を示す回路図である。
【図5】本発明によるX線画像撮影システムのフローチャートである。
【図6】本発明によるX線インターロックの解除を手動で行うときのフローチャートである。
【図7】本発明によるX線インターロックの解除を自動で行うときのフローチャートである。
【図8】本発明によるX線画像撮影システムの第二の実施形態の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0171】
1000,2000 X線画像撮影システム
1 コンソール
2 操作入力部
3 表示部
11 表示制御部
12 入力部
13 コンソール制御部
14 コンソール通信部
17 コンソール電源
18 ネットワーク通信部
19,20 インターロック制御部
21 X線照射スイッチ
22 X線源指示内容入力部
23 コンソール指示内容入力部
4 X線源
41 高圧発生源
42 X線管
43 X線源制御部
44 インターロック
5 カセッテ
51 内部電源
52 カセッテ通信部
53 カセッテ制御部
54 パネル
56 チェック部
545 データ変換部
546 カセッテ記憶部
6 無線中継器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンソールと無線通信を介して通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた前記放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部に記憶された前記放射線画像データを前記カセッテ通信部により送信させるカセッテ制御部とを有するカセッテと、
前記カセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、コンソール制御部とを有する前記コンソールと、
を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記カセッテは、前記放射線画像取得部及び前記カセッテ通信部、前記カセッテ制御部、前記カセッテ記憶部のうち、少なくともいずれか一つに電力を供給する内部電源を有し、可搬型のケーブルレスであることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記カセッテ通信部と無線通信可能な無線中継器を備え、
前記コンソール通信部が、通信ケーブルを介して前記無線中継器と通信可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記コンソールは、前記コンソール通信部が前記無線中継器と無線通信を介して通信する携帯端末であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記コンソールが、表示可能な表示部と、前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記インターロック制御部が放射線インターロックの制御を行った場合、前記表示制御部は、その旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
放射線源と通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能であることを検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、カセッテ制御部とを有するカセッテと、
前記カセッテと無線通信を介して通信する放射線源とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記カセッテは、前記放射線画像取得部及び前記カセッテ通信部、前記カセッテ制御部、前記カセッテ記憶部、前記インターロック制御部のうち、少なくともいずれか一つに電力を供給する内部電源を有し、可搬型のケーブルレスであることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
コンソールを有し、
前記コンソールは、前記カセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部を有し、前記カセッテ通信部は、前記インターロック制御部により放射線インターロックの制御が行われた場合、その旨を前記コンソール通信部に対して送信することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記コンソールが、表示可能な表示部と、前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記コンソール通信部が、前記カセッテ通信部から前記インターロック制御部により前記放射線源に対して放射線インターロックの制御が行われたことを受信した場合に、前記表示制御部は、その旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記カセッテ通信部と無線通信可能な無線中継器を備え、
前記コンソール通信部が、通信ケーブルを介して前記無線中継器と通信可能であることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記コンソールは、前記コンソール通信部が前記無線中継器と無線通信を介して通信する携帯端末であることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
無線通信を介してコンソールと通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた前記放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部に記憶された前記放射線画像データを前記カセッテ通信部により送信させるカセッテ制御部とを有するカセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部と、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部とを有することを特徴とするコンソール。
【請求項13】
放射線源と通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能であることを検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、カセッテ制御部とを有することを特徴とするカセッテ。
【請求項14】
無線通信を介してコンソールと通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部から得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部に記憶された放射線画像データを前記カセッテ通信部により送信させるカセッテ制御部とを有するカセッテと無線通信を介して通信するコンソール通信部を有する前記コンソールに、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあるか否かを検知する記憶状態検知ステップと、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御ステップとを実現させるためのプログラム。
【請求項15】
無線通信を介して放射線源と通信するカセッテ通信部と、放射線撮影により放射線画像データを得る放射線画像取得部と、前記放射線画像取得部により得られた放射線画像データを記憶するカセッテ記憶部と、前記カセッテ記憶部が記憶不能であることを検知した場合に放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御部と、カセッテ制御部とを有するカセッテに、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあるか否かを検知する記憶状態検知ステップと、
前記カセッテ記憶部が記憶不能な状態にあると検知した場合、放射線源の放射線照射を防ぐように放射線インターロックを制御するインターロック制御ステップとを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−7243(P2007−7243A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193653(P2005−193653)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】