放射線画像撮影装置
【課題】電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】被写体12を透過した放射線16を電気信号に変換する放射線検出パネル54と、放射線検出パネル54にて変換された電気信号を伝送するフレキシブル基板66と、フレキシブル基板66にて伝送された電気信号を処理する電気処理部62と、放射線検出パネル54、フレキシブル基板66、及び電気処理部62を収容する筐体32と、放射線検出パネル54と電気処理部62の間に配置され、導電性メッシュからなり、前記電気処理部62のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材60とを備える。
【解決手段】被写体12を透過した放射線16を電気信号に変換する放射線検出パネル54と、放射線検出パネル54にて変換された電気信号を伝送するフレキシブル基板66と、フレキシブル基板66にて伝送された電気信号を処理する電気処理部62と、放射線検出パネル54、フレキシブル基板66、及び電気処理部62を収容する筐体32と、放射線検出パネル54と電気処理部62の間に配置され、導電性メッシュからなり、前記電気処理部62のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材60とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影システムが広汎に使用されている。この場合、放射線変換パネルとしては、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネル等が知られている。そして、前記蓄積性蛍光体パネルを小型の筐体に収容することで、持ち運べるようにしたCR(Computed Radiography)カセッテ(放射線画像撮影装置)が広く普及している。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能なものとして、放射線を直接電気信号に変換する放射線変換パネル、又は、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器を小型の筐体に収容したFPD(Flat Panel Detector)カセッテが開発されている。
【0004】
これらカセッテには、筐体内に多数の脆弱な電子部品等が収容されているので、該カセッテが落下した時の耐衝撃性や、被写体を乗せた時の耐荷重性が必要になる。
【0005】
耐衝撃性等に対応したFPDカセッテとしては、筐体のトッププレートを変位可能な材質で構成し、光電変換装置が載置固定される基台の剛性を前記トッププレートの剛性よりも大きく設定するもの(特許文献1参照)や、高剛性の材質で構成された支持部材に変換基板と連通する複数の空間を形成し、前記複数の空間内に制御素子を配置したもの(特許文献2参照)が知られている。
【0006】
耐衝撃性等に対応したCRカセッテとしては、輝尽性蛍光体層が設けられた支持板と筐体との間に複数の緩衝材を配置するものが知られている(特許文献3参照)。
【0007】
また、FPDカセッテにおいて、撮像パネルが取り付けられた支持構造体と、前記支持構造体を保持する内部支持体とを収容する非導電性の筐体に導電性部材を含めることにより、筐体内の電子部品等が筐体外部から受ける電気ノイズを低減した技術(特許文献4参照)や、基台を省略すると共に、シンチレータを筐体の上面に貼り付けた技術(特許文献5参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3815766号公報
【特許文献2】特開2007−300996号公報
【特許文献3】特開2004−219705号公報
【特許文献4】特開2008−304460号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0122959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、FPDカセッテは、既に広く普及しているCRカセッテに対応した撮影装置を流用するために、該CRカセッテの規格に従った大きさに設定することが望ましい。
【0010】
しかしながら、特許文献1では、基台の剛性をトッププレートの剛性よりも大きくしているので、基台の厚みが大きくなる。そのため、FPDカセッテ全体の厚みが大きくなり、該FPDカセッテをCRカセッテに対応した撮影装置に適用することができないことがある。
【0011】
また、特許文献3の構成をFPDカセッテに用いた場合、筐体と支持板との間に複数の緩衝材を配置する必要があるため、FPDカセッテ全体の厚みが大きくなる。よって、特許文献1と同様の理由により、汎用性がない。
【0012】
一方、特許文献2によれば、制御素子を支持部材の空間に配置しているので、FPDカセッテ全体の厚みをある程度抑えることができる。しかしながら、前記空間が変換基板と連通しているので、該変換基板及び制御素子が互いに発する電気ノイズ(電磁波)の影響により、良好な放射線画像を得ることができないことがある。つまり、特許文献2では、EMC(Electro Magnetic Compatibility)対策が十分でない。
【0013】
通常、FPDカセッテにおいて、基台は、例えば、放射線変換パネル及び電子回路基板の間の電気ノイズをシールドする機能や、FPDカセッテの耐衝撃性を高める機能を有している。
【0014】
特許文献5によれば、基台を省略しているのでFPDカセッテ全体の厚みを薄くすることができるが、電子回路基板がより狭い空間に配備されることになるので、EMC対策や耐衝撃性に対する対策が一層重要な課題となる。
【0015】
なお、特許文献4には、EMC対策に関して記載されているが、耐衝撃性や汎用性に関しては考慮されていない。
【0016】
そこで、本発明は、耐衝撃性及び汎用性を高めると共に、電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する変換部と、前記変換部にて変換された電気信号を伝送する伝送部と、前記伝送部にて伝送された電気信号を処理する電気処理部と、前記変換部、前記伝送部、及び前記電気処理部を収容する筐体と、前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、導電性メッシュで形成され、前記電気処理部のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材と、を備えることを特徴とする。
【0018】
前記放射線画像撮影装置では、前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、前記変換部を透過した前記放射線のバック散乱線を吸収する放射線遮蔽部材を備えることが好ましい。
【0019】
さらに、前記電気処理部のグランドパターンは、前記筐体に電気的接続されていることが好ましい。
【0020】
またさらに、前記シールド部材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス鋼のうちいずれか1つを含んでいることが好ましい。
【0021】
この場合、シールド部材と電気処理部とはブラケットを介して電気的に接続されていると好適である。
【0022】
またさらに、シールド部材と電気処理部の間の隙間にはスペーサが設けられていると一層好ましい。
【0023】
一方、導電性メッシュは銅メッシュであるとより一層好適である。しかも、シールド部材は導電性樹脂又は導電処理されたカーボンであるとさらに好適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の放射線画像撮影装置によれば、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する変換部と伝送部を介して伝送された電気信号を処理する電気処理部との間に導電性メッシュで形成され、且つ電気処理部のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材を設けているので、変換部及び電気処理部が互いに発する電気ノイズを前記シールド部材で受け、これによって電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係るカセッテが適用された放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図2】第1実施形態に係るカセッテの斜視図である。
【図3】図2のカセッテ本体の分解斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った一部省略拡大断面図である。
【図5】放射線検出パネルが貼り付けられる第1部材の内面を示す斜視図である。
【図6】放射線の照射方向に関するシールド部材、電気処理部、及び筐体の投影図である。
【図7】カセッテ本体及びケーブル部の接続構造を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係るカセッテが適用された放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図9】第2実施形態に係るカセッテの斜視図である。
【図10】第2実施形態に係るカセッテの一部省略拡大断面図である。
【図11】第3実施形態に係るカセッテ本体の分解斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った一部省略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態例について図1〜図12を参照しながら説明する。
【0027】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置が適用された放射線画像撮影システムについて図1〜図7を参照しながら説明する。本実施形態に係る放射線画像撮影装置は、立位撮影、臥位撮影、又は特殊撮影等に兼用される。
【0028】
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、病院の床面等に載置された状態で被写体12が横臥する撮影台14と、撮影条件に従った線量からなる放射線16を被写体12に照射するための放射線源18と、被写体12を透過した放射線16を電気信号(放射線画像情報)に変換する放射線画像撮影装置(カセッテ、放射線検出カセッテ、放射線検出装置)20と、放射線源18及びカセッテ本体28を制御する制御部としてのコンソール22と、コンソール22に設けられたモニタ24とを備える。
【0029】
撮影台14には、運搬可能なカセッテ本体28が配置されるカセッテ配置部26が形成されている。カセッテ配置部26は、例えば、JIS規格(JIS Z 4905)に規定されている大きさ(厚み)のCRカセッテが配置できる程度の大きさに設定されている。
【0030】
放射線画像撮影装置20は、FPDカセッテとして構成され、被写体12を透過した放射線16が照射されるカセッテ本体28と、カセッテ本体28及びコンソール22の間を結ぶケーブル部30とを有している。コンソール22は、ケーブル部30を介してカセッテ本体28に電力を供給すると共に、放射線画像撮影装置20で得られた電気信号に基づいてモニタ24に放射線画像を表示する。
【0031】
図2に示すように、カセッテ本体28には、四隅の角部が切り落とされた、平面視で略八角形の形状(概略長方形状)を有する筐体32と、筐体32の各角部に接着剤等で装着される衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dとが設けられている。
【0032】
筐体32は、第1部材36及び第2部材38を備えており、第1部材36は、放射線16が照射される照射面部40と、照射面部40の周縁に立設された第1側面部42とを有し、第2部材38は、照射面部40と対向する背面部44と、第1側面部42に対応するように背面部44の周縁に立設された第2側面部46とを有する。なお、照射面部40及び第1側面部42と、背面部44及び第2側面部46は、それぞれ一体に形成されている。これにより、筐体32内部には、放射線16を電気信号に変換する種々の部品を収容する空間が形成されることとなる。
【0033】
筐体32は、カセッテ20全体の軽量化を図るために、例えば、カーボンファイバ(炭素繊維)、アルミニウム、マグネシウム、バイオナノファイバ(セルロースミクロフブリル)、又は複合材料等で構成されている。
【0034】
複合材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、発泡材を炭素繊維でサンドイッチした構造のもの、又は発泡材の表面に炭素繊維をコーティングしたもの等が用いられる。
【0035】
但し、強度重量比、及びコスト等の観点から炭素繊維で筐体32を構成することが好ましい。この場合、カセッテ20の落下時等に、荷重が集中的に生じる箇所(例えば、筐体32の角部)に対して炭素繊維の積層数を増加して、荷重が集中的に生じない箇所(例えば、背面部44)に比べて補強することが可能である。
【0036】
また、放射線16の透過度の観点からも、アルミニウムやマグネシウム等よりも放射線16の透過率が良好な炭素繊維で照射面部40を構成することが好ましい。但し、照射面部40は、複数の材料で構成してもよい。例えば、照射面部40は、被写体12と接する外面が含まれる部位を熱伝導率の低いCFRPで構成し、カセッテ本体28の内部に位置する内面が含まれる部位を熱伝導率の高い(金属と同程度の熱伝導率を有する)CFRPで構成してもよい。これにより、放射線画像の撮影時に被写体12にカセッテ本体28内部で発生した熱が伝わることを抑制することができる。なお、熱伝導率の低いCFRPは、PAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維を利用して形成し、熱伝導率の高いCFRPは、異方性ピッチ系炭素繊維を紡糸して形成すればよい。これにより、前者のCFRPは、後者のCFRPよりも剛性が高く且つ熱伝導率が低くなり、後者のCFRPは、前者のCFRPよりも弾性的になる。また、筐体32は、被写体12と接触する照射面部40を熱伝導率の低いCFRPで構成し、第1側面部42及び第2部材38を熱伝導率の高いCFRPで構成してもよい。
【0037】
衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dは、弾性部材で構成されており、円弧状に形成された外面を含んでいる。弾性部材としては、例えば、ゴム等が用いられる。これにより、外部からの荷重による衝撃を衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dで吸収することができる。
【0038】
衝撃緩和部材34aの近傍には、第1及び第2側面部42、46に跨るようにしてケーブル部30が接続されている。ケーブル部30は、コンソール22からカセッテ本体28に電力を供給する第1外部接続ケーブル48と、カセッテ本体28とコンソール22との間で電気信号を伝送する第2外部接続ケーブル50と、第1及び第2外部接続ケーブル48、50の筐体32側端部を保護する保護ブッシュ52とを有している。
【0039】
また、ケーブル部30は、第1及び第2外部接続ケーブル48、50の少なくともいずれか一方(図では第1及び第2外部接続ケーブル48、50の両方)が、衝撃緩和部材34aの外面と対向する位置に指向するようにケーブル部30を設定するとよい(図7も参照)。これにより、衝撃緩和部材34aを鉛直下方に向けた状態でカセッテ20が落下した場合に、第1及び第2外部接続ケーブル48、50の弾性によってカセッテ本体28に生じる荷重を低減することができる。
【0040】
保護ブッシュ52は、弾性部材で構成されている。弾性部材としては、例えば、ゴム等が用いられる。これにより、外部からの荷重による衝撃を保護ブッシュ52で吸収することができる。また、保護ブッシュ52は、筐体32に取り付けられた状態で第1及び第2外部接続ケーブル48、50を囲むようにして形成されており、保護ブッシュ52の第1及び第2外部接続ケーブル48、50の取出口が、衝撃緩和部材34aの外面と対向する位置に指向している。
【0041】
図3〜図5に示すように、筐体32内部には、変換部としての放射線検出パネル54、放射線遮蔽シート56、断熱シート58、導電部材としての導電性のシールド部材60、及び電気処理部62が、放射線16の照射方向にこの順番で並んで配置されている。また、図4に示すように、シールド部材60及び背面部44の間には、ミドルコア部材64が設けられ、図3に示すように、放射線検出パネル54及び電気処理部62は、伝送部としてのフレキシブル基板66で接続されている。
【0042】
図4及び図5に示すように、放射線検出パネル54は、照射面部40の内面に接着部材68を介して剥離可能に貼り付けられており、被写体12を透過した放射線16を電気信号(アナログ信号)に変換する。
【0043】
接着部材68としては、例えば、両面テープや接着剤等を利用することができる。また、図5から諒解されるように、接着部材68は、帯状に形成されており、照射面部40の内面に照射面部40の外形に沿って設けられている。そして、放射線検出パネル54を接着部材68上に配置することにより、放射線検出パネル54が接着部材68を介して照射面部40に貼り付けられる。なお、接着部材68の放射線検出パネル54と接触する側の面を微弱粘着性に設定することで、必要に応じて放射線検出パネル54を照射面部40から剥離することができる。
【0044】
また、図4及び図5に示すように、接着部材68には、照射面部40、放射線検出パネル54、及び接着部材68に囲まれた内部空間Aとカセッテ本体28内部の内部空間A以外の空間(以下、外部空間Bと称することがある。)とを連通する連通路70が筐体32の角部に対応して形成されている。これにより、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けた状態で筐体32内の気圧が変化した場合でも、内部空間Aと外部空間Bを同一気圧に保つことができる。よって、筐体32内の気圧の変動によって、放射線検出パネル54が照射面部40から剥離する懸念を排除することができる。なお、図4において、内部空間Aの大きさは、理解を容易にするために誇張して示している。実際には、内部空間Aは、非常に小さいので、照射面部40及び放射線検出パネル54が略一体化している。
【0045】
さらに、連通路70は、折り曲げられた構造(ラビリンス構造)を有している。そのため、外部空間Bから内部空間Aにゴミ等が混入することを防止することができる。
【0046】
図3〜図5に示すように、放射線検出パネル54は、シンチレータ54a及び光電変換層54bが積層されるようにして形成されている。シンチレータ54aは、GOS(Gd202S:Tb)又はCsI:Tlを母体とする蛍光体で構成されており、被写体12を透過した放射線16を一旦可視光に変換する。光電変換層54bは、アモルファスシリコン等の物質からなる固体検出素子を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のアレイ上に配置した構造を有し、シンチレータ54aで変換された可視光を電気信号に変換する。
【0047】
なお、放射線検出パネル54は、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けた状態で、照射面部40側に光電変換層54bが位置し、背面部44側にシンチレータ54aが位置するように構成されている。但し、放射線検出パネル54は、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けた状態で、照射面部40側にシンチレータ54aが位置し、背面部44側に光電変換層54bが位置するように構成されていてもよい。
【0048】
図3及び図4に示すように、放射線遮蔽シート56は、放射線検出パネル54に接しており、例えば、鉛、タングステン、又はステンレス鋼等で構成されている。これにより、放射線遮蔽シート56は、放射線16のバック散乱線を吸収し、被写体12を透過した放射線16が電気処理部62に照射されることを防止する。
【0049】
断熱シート58は、放射線遮蔽シート56に接しており、例えば、ウレタン又は発泡ポリエチレン等で構成されている。これにより、電気処理部62で生じた熱が放射線検出パネル54に伝達することを抑制することができるので、電気処理部62で生じた熱によって放射線検出パネル54が不具合を起こすことを防止することができる。
【0050】
図4に示すように、シールド部材60は、接触部材72を介して断熱シート58に接すると共に、ミドルコア部材64を介して背面部44に接している。これにより、カセッテ本体28内部でシールド部材60を保持することができる。また、ミドルコア部材64を配置することで、カセッテ本体28の放射線16の照射方向に対する耐荷重性を向上させることができるので、カセッテ本体28に被写体12を直接乗せた状態で撮影した場合でも被写体12の荷重でカセッテ本体28に不具合が生じることがない。
【0051】
ミドルコア部材64は、軽量化の観点、寸法偏差を吸収する観点から、例えば、発泡材で構成されている。この場合、ミドルコア部材64は、単一の厚さのシートを複数枚貼り合わせる方法、又は、切削加工による方法によって複雑形状に形成される。
【0052】
図3に示すように、フレキシブル基板66は、放射線検出パネル54にて変換された電気信号を電気処理部62に伝送する。
【0053】
図4に示すように、電気処理部62は、電子回路基板73と、電子回路基板73に実装された電子部品74とを有する。電子回路基板73のシールド部材60と対向する面には、グランドパターン75が設けられている。電子部品74は、フレキシブル基板66にて伝送された電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換したり、第1外部接続ケーブル48から供給された電力を各種部品に分配したり、変換したデジタル信号を第2外部接続ケーブル50に出力したりする。
【0054】
シールド部材60は、板状に構成されている。そして、シールド部材60は、導電性のブラケット76を介して電子回路基板73のグランドパターン75に接しており、ブラケット76及び電子回路基板73は、固定ねじ78によって固定されている。なお、ブラケット76には、固定ねじ78による締め付けを確実にするためにバーリング加工が施されている。但し、電気処理部62及びブラケット76の電気的な接続は、導電テープ、シールドガスケット、又はシールドフィンガー等で行ってもよい。また、シールド部材60及びブラケット76は、例えば、スポット溶接で接合されている。
【0055】
これにより、電気処理部62及びブラケット76の接触抵抗を抑えた状態で電気処理部62をシールド部材60で支持することができると共に、ブラケット76にてシールド部材60及び電気処理部62を電気的に接続することができる。
【0056】
シールド部材60の周縁部には、放射線16の照射方向に延びた折り返し部80が形成されており、押し返し部80には、第1側面部42に接続された導電性のシールドフィンガー82が取り付けられている。
【0057】
また、シールド部材60は、筐体32の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有するように、その材質及び板厚が定められている。具体的には、シールド部材60は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス鋼等のうちのいずれか1の金属を含んで構成するとよい。これにより、筐体32を炭素繊維で構成した場合に、導電性を確保しつつ板厚を薄く(例えば0.3〜0.5mmの板厚に)することが可能となる。但し、シールド部材60は、撮影時にシールド部材60が変形しない程度の剛性を有するのが好ましい。撮影時にシールド部材60が変形すると、シールド部材60と電気処理部62とが接触して短絡が生じるおそれがあるからである。
【0058】
図6に示すように、本実施形態において、電気処理部62が例えば3つの電子回路基板73a、73b、73cを含む場合を想定したとき、シールド部材60及び電気処理部62を放射線16の照射方向に投影した場合、シールド部材60の投影面積が電気処理部62の投影面積よりも大きくなるようにシールド部材60及び電気処理部62の大きさが設定されている。なお、本実施形態では、シールド部材60の投影面積が、3つの電子回路基板73a、73b、73cに外接する1つの外形(図中の破線aで示す外形)の面積以上となる範囲内であればシールド部材60の大きさを任意に設定してもよい。
【0059】
また、図7にも示すように、シールド部材60には、筐体32の角部に対応する部位に切り欠き部84、84、84、84が形成されている。なお、図6に示すように、切り欠き部84、84、84、84の幅dは10mm以上に設定してもよい。
【0060】
次に、ケーブル部30及びカセッテ本体28の接続構造について図7を参照しながら説明する。
【0061】
第1及び第2外部接続ケーブル48、50は、同軸ケーブルとして構成されている。そして、第1外部接続ケーブル48は、電源線86及びグランド線88を有し、第2外部接続ケーブル50は、入力信号線90及び出力信号線92を有している。電源線86、グランド線88、及び入出力信号線90、92は、カセッテ本体28内部にて、中間部材94を介して配設されている。
【0062】
中間部材94は、アルミニウム又はステンレス鋼で構成されたシールドボックス96にて囲まれており、シールドボックス96は、ねじ又は導電テープ等によってシールド部材60に固定されている。これにより、電気ノイズの混入によって放射線画像の品質が低下することを抑えることができる。なお、シールドボックス96は、シールドフィンガーやシールドガスケット等を利用して筐体32に対しても接触していてもよい。この場合、シールドボックス96をシールド部材60にのみ固定したときよりもインピーダンスを低下させることができるので、シールドボックス96の電気ノイズのシールド効果を向上させることができる。
【0063】
また、中間部材94は、導電性のケーブルクランプ98を介してシールド部材60に固定されている。ケーブルクランプ98としては、樹脂で構成されたケーブルクランプに導電性部材をめっきしたものを利用することができる。これにより、ケーブルクランプ98のコストを抑えることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るカセッテ20によれば、放射線検出パネル54と電気処理部62との間にシールド部材60が位置しているので、放射線検出パネル54及び電気処理部62が互いに発する電気ノイズをシールド部材60で受けてシールドフィンガー82を介して筐体32に逃がすことができる。これにより、電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる。
【0065】
また、シールド部材60の曲げ剛性を筐体32の曲げ剛性よりも低く設定しているので、シールド部材60の厚みを薄くすることが可能になる。そのため、筐体の曲げ剛性よりも高い曲げ剛性を有する基台に電気処理部等を保持させた従来の方法と比べて、カセッテ本体28の厚みを薄くすると共にカセッテ本体28を軽くすることができる。そのため、既に普及しているCRカセッテ用の撮影台14のカセッテ配置部26に本実施形態のカセッテ20を配置することができる。よって、FPDカセッテ専用の撮影台等を必要としないので、汎用性を高めることができる。
【0066】
さらに、シールド部材60の曲げ剛性を筐体32の曲げ剛性よりも低く設定することで、電気処理部62の耐衝撃性を高めることが可能になることが本願発明者によって見出されている。つまり、カセッテ本体28の落下時に、筐体32の弾性変形に応じてシールド部材60も弾性変形することができ、このようなシールド部材60の弾性変形範囲内(弾性限度内)であれば電気処理部62の性能は維持することができる。
【0067】
本実施形態によれば、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けているので、照射面部40と放射線検出パネル54とを密着させることができる。これにより、照射面部40の剛性を利用して放射線検出パネル54を保持することができると共に、放射線検出パネル54の強度を高めることができる。よって、カセッテ20の運搬時や落下時に放射線検出パネル54が動いて損傷する懸念を排除することができる。また、ねじや治具等の固定手段を利用して放射線検出パネル54を照射面部40に保持する場合と比較して、カセッテ本体28の重量を抑えることができると共に、厚みを薄くすることができる。
【0068】
さらに、放射線検出パネル54の照射面部40への貼り付けを剥離可能としているので、照射面部40の外面に傷が付いた場合に高価な放射線検出パネル54を再利用したり、放射線検出パネル54が故障した場合に該放射線検出パネル54を修理したりすることが可能となる。
【0069】
本実施形態では、シールド部材60と電子回路基板73とをブラケット76を介して電気的に接続しているので、電気処理部62の基準電位をシールド部材60及び筐体32の電位とすることができる。つまり、シールド部材60及び筐体32をグランドとすることができるので、電気処理部62の電気信号の処理を安定化させて、放射線画像の品質を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、シールド部材60の投影面積が電気処理部62の投影面積よりも大きいので、シールド部材60の投影面積が電気処理部62の投影面積よりも小さい場合と比較して、放射線検出パネル54及び電気処理部62から互いに生じる電気ノイズのシールド効果(EMC効果)を高めることができる。
【0071】
ところで、例えば、技師等がカセッテ20の運搬時やセッティング時にカセッテ本体28を落下させた場合、カセッテ本体28は衝撃緩和部材34aを鉛直下方に向けた状態で落下することが多い。そして、この場合、カセッテ本体28への衝撃は衝撃緩和部材34aにて緩和される。しかし、落下の態様によっては、筐体32の角部が塑性変形する可能性も否定できない。
【0072】
本実施形態において、シールド部材60には、衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dが装着される筐体32の角部に対応する部位に切り欠き部84、84、84、84が形成されているので、カセッテ本体28が落下した場合に、筐体32の角部が塑性変形してもシールド部材60が塑性変形する可能性を低減することができる。また、筐体32の角部に対応する部位のみを切り欠いているので、シールド部材60の電気ノイズのシールド性能も確保することができる。
【0073】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。カセッテは、ケーブル部がカセッテ本体に対して着脱自在となるように構成してもよい。この場合、保護ブッシュと隣り合う衝撃緩和部材のうち遠い側に位置する衝撃緩和部材(図2を参照した場合、衝撃緩和部材34b)側に第1及び第2外部接続ケーブルが指向するようにケーブル部をカセッテ本体に装着してもよい。言い換えると、第1実施形態の保護ブッシュの向きが180度回転させた状態になるようにケーブル部をカセッテ本体に装着してもよい。これにより、第1実施形態と比較して、保護ブッシュの第1及び第2外部接続ケーブルの取出口が180度回転した方向に指向するので、第1及び第2外部接続ケーブルを筐体の長辺方向に沿って円滑に取り出すことができる。よって、ケーブル部が湾曲することがないので、ケーブル部の劣化を防止することができる。
【0074】
また、カセッテは、ケーブル部が筐体の長辺と短辺との間を移動可能となるように構成してもよい。これにより、カセッテ配置部に配置するカセッテの向きを90度回転させても、ケーブル部がカセッテ配置部の壁面等に当たって湾曲することがない。よって、ケーブル部の劣化を防止することができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るカセッテが適用された放射線画像撮影システムについて図8〜図10を参照しながら説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付し重複する説明を省略する。
【0076】
本実施形態の放射線画像撮影システム200は、カセッテ及びコンソールの構成が第1実施形態と異なっている。具体的には、図8に示すように、ケーブル部30が省略されて、カセッテ本体128(カセッテ120)とコンソール122との間の電気信号の伝送を電波で行っている。そのため、コンソール122には、無線信号を発信及び受信可能なコンソール用アンテナ201が設けられている。
【0077】
図9及び図10に示すように、カセッテ本体128の背面部144には、複数(図では3つ)の穴部202が形成され、各穴部202には、電波を発信及び受信可能なカセッテ用アンテナ204が配設されている。これにより、カセッテ用アンテナ204を電波状況の優れたアンテナを利用するダイバーシティアンテナとして機能させ、ノイズ等が多い通信環境であっても動作支障を避けることができる。カセッテ用アンテナ204としては、フィルムアンテナを利用するとよい。フィルムアンテナにすることで、薄厚の筐体にも対応することができるからである。
【0078】
また、カセッテ用アンテナ204が配置されている穴部202は、電波を妨げない材質で構成されたカバー206によって外部から覆われている。電波を妨げない材質としては、例えば、樹脂等が用いられる。これにより、電波を通し難い材質で筐体132を構成した場合でも、カバー206が電波を通すので、カセッテ用アンテナ204の電波の発信受信を円滑に行うことができる。この場合、穴部202の開口面積(カバーの大きさ)を大きくする程電波障害の影響が低減する。但し、筐体132の第2部材138を樹脂で構成することでカセッテ用アンテナ204の電波の発信受信を円滑にしてもよい。
【0079】
さらに、図9に示すように、カセッテ本体128の背面部144には、電力を供給するためのバッテリー208が配置されるバッテリー配置穴210が形成され、バッテリー配置穴210は、バッテリー208が配置された状態でバッテリカバー212にて覆われる。バッテリー208としては、例えば、リチウムイオンバッテリー又はリチウムポリマーバッテリー等が利用される。リチウムイオンバッテリーを利用することで低コスト化を図ることができ、リチウムポリマーバッテリーを利用することで耐衝撃性を確保することができるからである。
【0080】
図10に示すように、シールド部材60及び電子回路基板73の間の隙間には、複数のスペーサ214が設けられている。これらスペーサ214は、例えば、樹脂等の非導電性部材で構成されている。これにより、シールド部材60が弾性変形した際にシールド部材60と電気処理部62とが接触することを防ぐことができる。よって、撮影時にシールド部材60が弾性変形してシールド部材60と電気処理部62との間で短絡が生じることを防止することがきる。
【0081】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、カセッテ本体の背面部に複数のバッテリー配置穴を形成し、各バッテリー配置穴にバッテリーを装着してもよい。これにより、1つのバッテリーが用いられる形態と比べて、カセッテ本体を利用(作動)することができる時間を長くすることができる。また、バッテリーは、バッテリー配置穴から着脱可能であってもよい。これにより、バッテリーのみを取り出して該バッテリーを充電することができる。さらに、筐体には、バッテリーの残量を表示する表示部を設けてもよい。これにより、技師等は、表示部に表示されるバッテリー残量を参照して効率的にバッテリーを充電することができる。
【0082】
本実施形態の放射線画像撮影システムでは、病院内や手術室等の所定の場所に、カセッテ本体を装着した状態でバッテリーを充電することが可能なクレードルを設置してもよい。これにより、バッテリーの充電を円滑に行うことができる。また、クレードルとコンソールとを有線通信又は無線通信可能にすることで、カセッテ本体をクレードルに装着した状態で、カセッテ本体及びコンソール間のデータの送受信を行えるようにしてもよい。
【0083】
カセッテ本体とコンソールとの間のデータの送受信は、赤外線を用いた光無線通信であってもよい。
【0084】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るカセッテ320について図11及び図12を参照しながら説明する。なお、第3実施形態は、第1実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付し重複する説明を省略する。
【0085】
図11及び図12に示すように、本実施形態の筐体332は、第1部材336、第2部材338、及びカバー部材400を備えている。第1部材336は、炭素繊維で構成されており、被写体12を透過した放射線16が照射される照射面部340を有し、且つ第1実施形態の第1側面部42が省略されている。第2部材338は、例えば、アルミニウム等で構成されており、照射面部340と対向する背面部344と、背面部344の周縁に立設された側面部346とを有している。
【0086】
背面部344及び側面部346は一体に形成されている。背面部344は、カセッテ本体328を組み立てた状態で照射面部340側に向けて押し出すようにして変形した保持部402を含んでいる。図11から諒解されるように、保持部402は、側面部346に沿って形成されている。
【0087】
カバー部材400は、側面部346の外面に固定されると共に、照射面部340の外面にかしめられている。カバー部材400は、例えば、ステンレス鋼で構成されている。これにより、カバー部材400を介して第1部材336と第2部材338を電気的に接続することができる。なお、カバー部材400は、照射面部340の周縁を全て覆うように形成してもよい。この場合、外部から筐体332内部にゴミ等が侵入することを防止することができる。
【0088】
筐体332内部には、断面コの字状に形成された中間固定部材404と、シールド部材60及び電気処理部62の間に設けられた複数のスペーサ406が追加され、第1実施形態のミドルコア部材64が省略されている。
【0089】
図11に示すように、中間固定部材404は、例えば、ステンレス鋼等で構成されており、シールド部材60の各辺に2つずつ設けられている。中間固定部材404は、シールド部材60の照射面部340側に位置する面及び保持部402の内面に接触するように配置されている。
【0090】
また、中間固定部材404と保持部402とは、固定ねじ408によって固定されている。照射面部340とシールド部材60の間には、照射面部340と接するように中間固定部材404にインサートされたナット410が設けられており、照射面部340、中間固定部材404、及びシールド部材60が固定ねじ412によって固定されている。ナット410は、例えば、ステンレス鋼で構成されている。これにより、シールド部材60が筐体332に保持される。そのため、放射線遮蔽シート56、断熱シート58、及び電気処理部62等がシールド部材60を介して筐体332に保持される。
【0091】
なお、図12に示すように、本実施形態では、放射線検出パネル54と放射線遮蔽シート56の間に隙間が形成されているが、放射線検出パネル54と放射線遮蔽シート56を接触させてもよい。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るカセッテ30によれば、放射線検出パネル54及び電気処理部62の間に位置するシールド部材60が中間固定部材404を介して第2部材338と接触すると共に、中間固定部材404及びナット410を介して照射面部340に接触しているので、放射線検出パネル54及び電気処理部62が互いに発する電気ノイズをシールド部材60で受けて中間固定部材404等を介して照射面部340及び第2部材338に逃がすことができる。これにより、電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することがきる。
【0093】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、シールド部材は、銅で構成されていてもよい。この場合、シールド部材で放射線を遮蔽することも可能となるので、放射線遮蔽シートを省略することができる。これにより、部品点数を削減して、カセッテ本体の厚みを一層薄くすることができると共に、カセッテ本体を鉛フリーにすることができる。
【0094】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。筐体は、非導電性部材と導電性部材を組み合わせて構成してもよいし、非導電性部材又は導電性の低い部材に導電塗装を行うことで構成してもよい。導電塗装を行う場合、第1側面部、第2側面部、及び背面部の内面にのみ導電塗装を施せばよい。照射面部の内面への導電塗装は、放射線を透過可能な材料を利用すればよく、前記材料としては、無電解ニッケル等を用いることができる。但し、照射面部の内面への導電塗装は、電気ノイズのシールド効果及び照射面部の放射線の透過性を考慮した上で行うか否かを決めてもよい。
【0095】
シールド部材は、複数の板を積層して構成してもよいし、導電性シート又は導電性メッシュであってもよい。なお、導電性メッシュとしては、例えば銅メッシュが用いられる。また、シールド部材は、導電性樹脂、カーボンに導電処理を施したものや、非導電性の樹脂に導電処理を施したものを利用してもよい。この場合、金属で構成したシールド部材に比べて弾性限界が高くなる。
【0096】
放射線検出パネルは、被写体を透過した放射線を直接電気信号に変換するように構成してもよい。この場合、放射線検出パネルは、アモルファスセレン等の物質からなる固体検出素子を有する。
【0097】
電気処理部は、複数の電子回路基板を有する例に限らず、電子回路基板を1つだけ有してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10、200…放射線画像撮影システム
12…被写体 14…撮影台
16…放射線 18…放射線源
20、120、320…放射線画像撮影装置
22、122…コンソール 32、132、332…筐体
40、340…照射面部 54…放射線検出パネル(変換部)
60…シールド部材(導電部材) 62…電気処理部
66…フレキシブル基板(伝送部) 76…ブラケット
82…シールドフィンガー
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影システムが広汎に使用されている。この場合、放射線変換パネルとしては、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネル等が知られている。そして、前記蓄積性蛍光体パネルを小型の筐体に収容することで、持ち運べるようにしたCR(Computed Radiography)カセッテ(放射線画像撮影装置)が広く普及している。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能なものとして、放射線を直接電気信号に変換する放射線変換パネル、又は、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器を小型の筐体に収容したFPD(Flat Panel Detector)カセッテが開発されている。
【0004】
これらカセッテには、筐体内に多数の脆弱な電子部品等が収容されているので、該カセッテが落下した時の耐衝撃性や、被写体を乗せた時の耐荷重性が必要になる。
【0005】
耐衝撃性等に対応したFPDカセッテとしては、筐体のトッププレートを変位可能な材質で構成し、光電変換装置が載置固定される基台の剛性を前記トッププレートの剛性よりも大きく設定するもの(特許文献1参照)や、高剛性の材質で構成された支持部材に変換基板と連通する複数の空間を形成し、前記複数の空間内に制御素子を配置したもの(特許文献2参照)が知られている。
【0006】
耐衝撃性等に対応したCRカセッテとしては、輝尽性蛍光体層が設けられた支持板と筐体との間に複数の緩衝材を配置するものが知られている(特許文献3参照)。
【0007】
また、FPDカセッテにおいて、撮像パネルが取り付けられた支持構造体と、前記支持構造体を保持する内部支持体とを収容する非導電性の筐体に導電性部材を含めることにより、筐体内の電子部品等が筐体外部から受ける電気ノイズを低減した技術(特許文献4参照)や、基台を省略すると共に、シンチレータを筐体の上面に貼り付けた技術(特許文献5参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3815766号公報
【特許文献2】特開2007−300996号公報
【特許文献3】特開2004−219705号公報
【特許文献4】特開2008−304460号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0122959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、FPDカセッテは、既に広く普及しているCRカセッテに対応した撮影装置を流用するために、該CRカセッテの規格に従った大きさに設定することが望ましい。
【0010】
しかしながら、特許文献1では、基台の剛性をトッププレートの剛性よりも大きくしているので、基台の厚みが大きくなる。そのため、FPDカセッテ全体の厚みが大きくなり、該FPDカセッテをCRカセッテに対応した撮影装置に適用することができないことがある。
【0011】
また、特許文献3の構成をFPDカセッテに用いた場合、筐体と支持板との間に複数の緩衝材を配置する必要があるため、FPDカセッテ全体の厚みが大きくなる。よって、特許文献1と同様の理由により、汎用性がない。
【0012】
一方、特許文献2によれば、制御素子を支持部材の空間に配置しているので、FPDカセッテ全体の厚みをある程度抑えることができる。しかしながら、前記空間が変換基板と連通しているので、該変換基板及び制御素子が互いに発する電気ノイズ(電磁波)の影響により、良好な放射線画像を得ることができないことがある。つまり、特許文献2では、EMC(Electro Magnetic Compatibility)対策が十分でない。
【0013】
通常、FPDカセッテにおいて、基台は、例えば、放射線変換パネル及び電子回路基板の間の電気ノイズをシールドする機能や、FPDカセッテの耐衝撃性を高める機能を有している。
【0014】
特許文献5によれば、基台を省略しているのでFPDカセッテ全体の厚みを薄くすることができるが、電子回路基板がより狭い空間に配備されることになるので、EMC対策や耐衝撃性に対する対策が一層重要な課題となる。
【0015】
なお、特許文献4には、EMC対策に関して記載されているが、耐衝撃性や汎用性に関しては考慮されていない。
【0016】
そこで、本発明は、耐衝撃性及び汎用性を高めると共に、電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する変換部と、前記変換部にて変換された電気信号を伝送する伝送部と、前記伝送部にて伝送された電気信号を処理する電気処理部と、前記変換部、前記伝送部、及び前記電気処理部を収容する筐体と、前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、導電性メッシュで形成され、前記電気処理部のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材と、を備えることを特徴とする。
【0018】
前記放射線画像撮影装置では、前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、前記変換部を透過した前記放射線のバック散乱線を吸収する放射線遮蔽部材を備えることが好ましい。
【0019】
さらに、前記電気処理部のグランドパターンは、前記筐体に電気的接続されていることが好ましい。
【0020】
またさらに、前記シールド部材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス鋼のうちいずれか1つを含んでいることが好ましい。
【0021】
この場合、シールド部材と電気処理部とはブラケットを介して電気的に接続されていると好適である。
【0022】
またさらに、シールド部材と電気処理部の間の隙間にはスペーサが設けられていると一層好ましい。
【0023】
一方、導電性メッシュは銅メッシュであるとより一層好適である。しかも、シールド部材は導電性樹脂又は導電処理されたカーボンであるとさらに好適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の放射線画像撮影装置によれば、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する変換部と伝送部を介して伝送された電気信号を処理する電気処理部との間に導電性メッシュで形成され、且つ電気処理部のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材を設けているので、変換部及び電気処理部が互いに発する電気ノイズを前記シールド部材で受け、これによって電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係るカセッテが適用された放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図2】第1実施形態に係るカセッテの斜視図である。
【図3】図2のカセッテ本体の分解斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った一部省略拡大断面図である。
【図5】放射線検出パネルが貼り付けられる第1部材の内面を示す斜視図である。
【図6】放射線の照射方向に関するシールド部材、電気処理部、及び筐体の投影図である。
【図7】カセッテ本体及びケーブル部の接続構造を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係るカセッテが適用された放射線画像撮影システムのブロック説明図である。
【図9】第2実施形態に係るカセッテの斜視図である。
【図10】第2実施形態に係るカセッテの一部省略拡大断面図である。
【図11】第3実施形態に係るカセッテ本体の分解斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った一部省略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態例について図1〜図12を参照しながら説明する。
【0027】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置が適用された放射線画像撮影システムについて図1〜図7を参照しながら説明する。本実施形態に係る放射線画像撮影装置は、立位撮影、臥位撮影、又は特殊撮影等に兼用される。
【0028】
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、病院の床面等に載置された状態で被写体12が横臥する撮影台14と、撮影条件に従った線量からなる放射線16を被写体12に照射するための放射線源18と、被写体12を透過した放射線16を電気信号(放射線画像情報)に変換する放射線画像撮影装置(カセッテ、放射線検出カセッテ、放射線検出装置)20と、放射線源18及びカセッテ本体28を制御する制御部としてのコンソール22と、コンソール22に設けられたモニタ24とを備える。
【0029】
撮影台14には、運搬可能なカセッテ本体28が配置されるカセッテ配置部26が形成されている。カセッテ配置部26は、例えば、JIS規格(JIS Z 4905)に規定されている大きさ(厚み)のCRカセッテが配置できる程度の大きさに設定されている。
【0030】
放射線画像撮影装置20は、FPDカセッテとして構成され、被写体12を透過した放射線16が照射されるカセッテ本体28と、カセッテ本体28及びコンソール22の間を結ぶケーブル部30とを有している。コンソール22は、ケーブル部30を介してカセッテ本体28に電力を供給すると共に、放射線画像撮影装置20で得られた電気信号に基づいてモニタ24に放射線画像を表示する。
【0031】
図2に示すように、カセッテ本体28には、四隅の角部が切り落とされた、平面視で略八角形の形状(概略長方形状)を有する筐体32と、筐体32の各角部に接着剤等で装着される衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dとが設けられている。
【0032】
筐体32は、第1部材36及び第2部材38を備えており、第1部材36は、放射線16が照射される照射面部40と、照射面部40の周縁に立設された第1側面部42とを有し、第2部材38は、照射面部40と対向する背面部44と、第1側面部42に対応するように背面部44の周縁に立設された第2側面部46とを有する。なお、照射面部40及び第1側面部42と、背面部44及び第2側面部46は、それぞれ一体に形成されている。これにより、筐体32内部には、放射線16を電気信号に変換する種々の部品を収容する空間が形成されることとなる。
【0033】
筐体32は、カセッテ20全体の軽量化を図るために、例えば、カーボンファイバ(炭素繊維)、アルミニウム、マグネシウム、バイオナノファイバ(セルロースミクロフブリル)、又は複合材料等で構成されている。
【0034】
複合材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、発泡材を炭素繊維でサンドイッチした構造のもの、又は発泡材の表面に炭素繊維をコーティングしたもの等が用いられる。
【0035】
但し、強度重量比、及びコスト等の観点から炭素繊維で筐体32を構成することが好ましい。この場合、カセッテ20の落下時等に、荷重が集中的に生じる箇所(例えば、筐体32の角部)に対して炭素繊維の積層数を増加して、荷重が集中的に生じない箇所(例えば、背面部44)に比べて補強することが可能である。
【0036】
また、放射線16の透過度の観点からも、アルミニウムやマグネシウム等よりも放射線16の透過率が良好な炭素繊維で照射面部40を構成することが好ましい。但し、照射面部40は、複数の材料で構成してもよい。例えば、照射面部40は、被写体12と接する外面が含まれる部位を熱伝導率の低いCFRPで構成し、カセッテ本体28の内部に位置する内面が含まれる部位を熱伝導率の高い(金属と同程度の熱伝導率を有する)CFRPで構成してもよい。これにより、放射線画像の撮影時に被写体12にカセッテ本体28内部で発生した熱が伝わることを抑制することができる。なお、熱伝導率の低いCFRPは、PAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維を利用して形成し、熱伝導率の高いCFRPは、異方性ピッチ系炭素繊維を紡糸して形成すればよい。これにより、前者のCFRPは、後者のCFRPよりも剛性が高く且つ熱伝導率が低くなり、後者のCFRPは、前者のCFRPよりも弾性的になる。また、筐体32は、被写体12と接触する照射面部40を熱伝導率の低いCFRPで構成し、第1側面部42及び第2部材38を熱伝導率の高いCFRPで構成してもよい。
【0037】
衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dは、弾性部材で構成されており、円弧状に形成された外面を含んでいる。弾性部材としては、例えば、ゴム等が用いられる。これにより、外部からの荷重による衝撃を衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dで吸収することができる。
【0038】
衝撃緩和部材34aの近傍には、第1及び第2側面部42、46に跨るようにしてケーブル部30が接続されている。ケーブル部30は、コンソール22からカセッテ本体28に電力を供給する第1外部接続ケーブル48と、カセッテ本体28とコンソール22との間で電気信号を伝送する第2外部接続ケーブル50と、第1及び第2外部接続ケーブル48、50の筐体32側端部を保護する保護ブッシュ52とを有している。
【0039】
また、ケーブル部30は、第1及び第2外部接続ケーブル48、50の少なくともいずれか一方(図では第1及び第2外部接続ケーブル48、50の両方)が、衝撃緩和部材34aの外面と対向する位置に指向するようにケーブル部30を設定するとよい(図7も参照)。これにより、衝撃緩和部材34aを鉛直下方に向けた状態でカセッテ20が落下した場合に、第1及び第2外部接続ケーブル48、50の弾性によってカセッテ本体28に生じる荷重を低減することができる。
【0040】
保護ブッシュ52は、弾性部材で構成されている。弾性部材としては、例えば、ゴム等が用いられる。これにより、外部からの荷重による衝撃を保護ブッシュ52で吸収することができる。また、保護ブッシュ52は、筐体32に取り付けられた状態で第1及び第2外部接続ケーブル48、50を囲むようにして形成されており、保護ブッシュ52の第1及び第2外部接続ケーブル48、50の取出口が、衝撃緩和部材34aの外面と対向する位置に指向している。
【0041】
図3〜図5に示すように、筐体32内部には、変換部としての放射線検出パネル54、放射線遮蔽シート56、断熱シート58、導電部材としての導電性のシールド部材60、及び電気処理部62が、放射線16の照射方向にこの順番で並んで配置されている。また、図4に示すように、シールド部材60及び背面部44の間には、ミドルコア部材64が設けられ、図3に示すように、放射線検出パネル54及び電気処理部62は、伝送部としてのフレキシブル基板66で接続されている。
【0042】
図4及び図5に示すように、放射線検出パネル54は、照射面部40の内面に接着部材68を介して剥離可能に貼り付けられており、被写体12を透過した放射線16を電気信号(アナログ信号)に変換する。
【0043】
接着部材68としては、例えば、両面テープや接着剤等を利用することができる。また、図5から諒解されるように、接着部材68は、帯状に形成されており、照射面部40の内面に照射面部40の外形に沿って設けられている。そして、放射線検出パネル54を接着部材68上に配置することにより、放射線検出パネル54が接着部材68を介して照射面部40に貼り付けられる。なお、接着部材68の放射線検出パネル54と接触する側の面を微弱粘着性に設定することで、必要に応じて放射線検出パネル54を照射面部40から剥離することができる。
【0044】
また、図4及び図5に示すように、接着部材68には、照射面部40、放射線検出パネル54、及び接着部材68に囲まれた内部空間Aとカセッテ本体28内部の内部空間A以外の空間(以下、外部空間Bと称することがある。)とを連通する連通路70が筐体32の角部に対応して形成されている。これにより、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けた状態で筐体32内の気圧が変化した場合でも、内部空間Aと外部空間Bを同一気圧に保つことができる。よって、筐体32内の気圧の変動によって、放射線検出パネル54が照射面部40から剥離する懸念を排除することができる。なお、図4において、内部空間Aの大きさは、理解を容易にするために誇張して示している。実際には、内部空間Aは、非常に小さいので、照射面部40及び放射線検出パネル54が略一体化している。
【0045】
さらに、連通路70は、折り曲げられた構造(ラビリンス構造)を有している。そのため、外部空間Bから内部空間Aにゴミ等が混入することを防止することができる。
【0046】
図3〜図5に示すように、放射線検出パネル54は、シンチレータ54a及び光電変換層54bが積層されるようにして形成されている。シンチレータ54aは、GOS(Gd202S:Tb)又はCsI:Tlを母体とする蛍光体で構成されており、被写体12を透過した放射線16を一旦可視光に変換する。光電変換層54bは、アモルファスシリコン等の物質からなる固体検出素子を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のアレイ上に配置した構造を有し、シンチレータ54aで変換された可視光を電気信号に変換する。
【0047】
なお、放射線検出パネル54は、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けた状態で、照射面部40側に光電変換層54bが位置し、背面部44側にシンチレータ54aが位置するように構成されている。但し、放射線検出パネル54は、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けた状態で、照射面部40側にシンチレータ54aが位置し、背面部44側に光電変換層54bが位置するように構成されていてもよい。
【0048】
図3及び図4に示すように、放射線遮蔽シート56は、放射線検出パネル54に接しており、例えば、鉛、タングステン、又はステンレス鋼等で構成されている。これにより、放射線遮蔽シート56は、放射線16のバック散乱線を吸収し、被写体12を透過した放射線16が電気処理部62に照射されることを防止する。
【0049】
断熱シート58は、放射線遮蔽シート56に接しており、例えば、ウレタン又は発泡ポリエチレン等で構成されている。これにより、電気処理部62で生じた熱が放射線検出パネル54に伝達することを抑制することができるので、電気処理部62で生じた熱によって放射線検出パネル54が不具合を起こすことを防止することができる。
【0050】
図4に示すように、シールド部材60は、接触部材72を介して断熱シート58に接すると共に、ミドルコア部材64を介して背面部44に接している。これにより、カセッテ本体28内部でシールド部材60を保持することができる。また、ミドルコア部材64を配置することで、カセッテ本体28の放射線16の照射方向に対する耐荷重性を向上させることができるので、カセッテ本体28に被写体12を直接乗せた状態で撮影した場合でも被写体12の荷重でカセッテ本体28に不具合が生じることがない。
【0051】
ミドルコア部材64は、軽量化の観点、寸法偏差を吸収する観点から、例えば、発泡材で構成されている。この場合、ミドルコア部材64は、単一の厚さのシートを複数枚貼り合わせる方法、又は、切削加工による方法によって複雑形状に形成される。
【0052】
図3に示すように、フレキシブル基板66は、放射線検出パネル54にて変換された電気信号を電気処理部62に伝送する。
【0053】
図4に示すように、電気処理部62は、電子回路基板73と、電子回路基板73に実装された電子部品74とを有する。電子回路基板73のシールド部材60と対向する面には、グランドパターン75が設けられている。電子部品74は、フレキシブル基板66にて伝送された電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換したり、第1外部接続ケーブル48から供給された電力を各種部品に分配したり、変換したデジタル信号を第2外部接続ケーブル50に出力したりする。
【0054】
シールド部材60は、板状に構成されている。そして、シールド部材60は、導電性のブラケット76を介して電子回路基板73のグランドパターン75に接しており、ブラケット76及び電子回路基板73は、固定ねじ78によって固定されている。なお、ブラケット76には、固定ねじ78による締め付けを確実にするためにバーリング加工が施されている。但し、電気処理部62及びブラケット76の電気的な接続は、導電テープ、シールドガスケット、又はシールドフィンガー等で行ってもよい。また、シールド部材60及びブラケット76は、例えば、スポット溶接で接合されている。
【0055】
これにより、電気処理部62及びブラケット76の接触抵抗を抑えた状態で電気処理部62をシールド部材60で支持することができると共に、ブラケット76にてシールド部材60及び電気処理部62を電気的に接続することができる。
【0056】
シールド部材60の周縁部には、放射線16の照射方向に延びた折り返し部80が形成されており、押し返し部80には、第1側面部42に接続された導電性のシールドフィンガー82が取り付けられている。
【0057】
また、シールド部材60は、筐体32の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有するように、その材質及び板厚が定められている。具体的には、シールド部材60は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス鋼等のうちのいずれか1の金属を含んで構成するとよい。これにより、筐体32を炭素繊維で構成した場合に、導電性を確保しつつ板厚を薄く(例えば0.3〜0.5mmの板厚に)することが可能となる。但し、シールド部材60は、撮影時にシールド部材60が変形しない程度の剛性を有するのが好ましい。撮影時にシールド部材60が変形すると、シールド部材60と電気処理部62とが接触して短絡が生じるおそれがあるからである。
【0058】
図6に示すように、本実施形態において、電気処理部62が例えば3つの電子回路基板73a、73b、73cを含む場合を想定したとき、シールド部材60及び電気処理部62を放射線16の照射方向に投影した場合、シールド部材60の投影面積が電気処理部62の投影面積よりも大きくなるようにシールド部材60及び電気処理部62の大きさが設定されている。なお、本実施形態では、シールド部材60の投影面積が、3つの電子回路基板73a、73b、73cに外接する1つの外形(図中の破線aで示す外形)の面積以上となる範囲内であればシールド部材60の大きさを任意に設定してもよい。
【0059】
また、図7にも示すように、シールド部材60には、筐体32の角部に対応する部位に切り欠き部84、84、84、84が形成されている。なお、図6に示すように、切り欠き部84、84、84、84の幅dは10mm以上に設定してもよい。
【0060】
次に、ケーブル部30及びカセッテ本体28の接続構造について図7を参照しながら説明する。
【0061】
第1及び第2外部接続ケーブル48、50は、同軸ケーブルとして構成されている。そして、第1外部接続ケーブル48は、電源線86及びグランド線88を有し、第2外部接続ケーブル50は、入力信号線90及び出力信号線92を有している。電源線86、グランド線88、及び入出力信号線90、92は、カセッテ本体28内部にて、中間部材94を介して配設されている。
【0062】
中間部材94は、アルミニウム又はステンレス鋼で構成されたシールドボックス96にて囲まれており、シールドボックス96は、ねじ又は導電テープ等によってシールド部材60に固定されている。これにより、電気ノイズの混入によって放射線画像の品質が低下することを抑えることができる。なお、シールドボックス96は、シールドフィンガーやシールドガスケット等を利用して筐体32に対しても接触していてもよい。この場合、シールドボックス96をシールド部材60にのみ固定したときよりもインピーダンスを低下させることができるので、シールドボックス96の電気ノイズのシールド効果を向上させることができる。
【0063】
また、中間部材94は、導電性のケーブルクランプ98を介してシールド部材60に固定されている。ケーブルクランプ98としては、樹脂で構成されたケーブルクランプに導電性部材をめっきしたものを利用することができる。これにより、ケーブルクランプ98のコストを抑えることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るカセッテ20によれば、放射線検出パネル54と電気処理部62との間にシールド部材60が位置しているので、放射線検出パネル54及び電気処理部62が互いに発する電気ノイズをシールド部材60で受けてシールドフィンガー82を介して筐体32に逃がすことができる。これにより、電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することができる。
【0065】
また、シールド部材60の曲げ剛性を筐体32の曲げ剛性よりも低く設定しているので、シールド部材60の厚みを薄くすることが可能になる。そのため、筐体の曲げ剛性よりも高い曲げ剛性を有する基台に電気処理部等を保持させた従来の方法と比べて、カセッテ本体28の厚みを薄くすると共にカセッテ本体28を軽くすることができる。そのため、既に普及しているCRカセッテ用の撮影台14のカセッテ配置部26に本実施形態のカセッテ20を配置することができる。よって、FPDカセッテ専用の撮影台等を必要としないので、汎用性を高めることができる。
【0066】
さらに、シールド部材60の曲げ剛性を筐体32の曲げ剛性よりも低く設定することで、電気処理部62の耐衝撃性を高めることが可能になることが本願発明者によって見出されている。つまり、カセッテ本体28の落下時に、筐体32の弾性変形に応じてシールド部材60も弾性変形することができ、このようなシールド部材60の弾性変形範囲内(弾性限度内)であれば電気処理部62の性能は維持することができる。
【0067】
本実施形態によれば、放射線検出パネル54を照射面部40に貼り付けているので、照射面部40と放射線検出パネル54とを密着させることができる。これにより、照射面部40の剛性を利用して放射線検出パネル54を保持することができると共に、放射線検出パネル54の強度を高めることができる。よって、カセッテ20の運搬時や落下時に放射線検出パネル54が動いて損傷する懸念を排除することができる。また、ねじや治具等の固定手段を利用して放射線検出パネル54を照射面部40に保持する場合と比較して、カセッテ本体28の重量を抑えることができると共に、厚みを薄くすることができる。
【0068】
さらに、放射線検出パネル54の照射面部40への貼り付けを剥離可能としているので、照射面部40の外面に傷が付いた場合に高価な放射線検出パネル54を再利用したり、放射線検出パネル54が故障した場合に該放射線検出パネル54を修理したりすることが可能となる。
【0069】
本実施形態では、シールド部材60と電子回路基板73とをブラケット76を介して電気的に接続しているので、電気処理部62の基準電位をシールド部材60及び筐体32の電位とすることができる。つまり、シールド部材60及び筐体32をグランドとすることができるので、電気処理部62の電気信号の処理を安定化させて、放射線画像の品質を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、シールド部材60の投影面積が電気処理部62の投影面積よりも大きいので、シールド部材60の投影面積が電気処理部62の投影面積よりも小さい場合と比較して、放射線検出パネル54及び電気処理部62から互いに生じる電気ノイズのシールド効果(EMC効果)を高めることができる。
【0071】
ところで、例えば、技師等がカセッテ20の運搬時やセッティング時にカセッテ本体28を落下させた場合、カセッテ本体28は衝撃緩和部材34aを鉛直下方に向けた状態で落下することが多い。そして、この場合、カセッテ本体28への衝撃は衝撃緩和部材34aにて緩和される。しかし、落下の態様によっては、筐体32の角部が塑性変形する可能性も否定できない。
【0072】
本実施形態において、シールド部材60には、衝撃緩和部材34a、34b、34c、34dが装着される筐体32の角部に対応する部位に切り欠き部84、84、84、84が形成されているので、カセッテ本体28が落下した場合に、筐体32の角部が塑性変形してもシールド部材60が塑性変形する可能性を低減することができる。また、筐体32の角部に対応する部位のみを切り欠いているので、シールド部材60の電気ノイズのシールド性能も確保することができる。
【0073】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。カセッテは、ケーブル部がカセッテ本体に対して着脱自在となるように構成してもよい。この場合、保護ブッシュと隣り合う衝撃緩和部材のうち遠い側に位置する衝撃緩和部材(図2を参照した場合、衝撃緩和部材34b)側に第1及び第2外部接続ケーブルが指向するようにケーブル部をカセッテ本体に装着してもよい。言い換えると、第1実施形態の保護ブッシュの向きが180度回転させた状態になるようにケーブル部をカセッテ本体に装着してもよい。これにより、第1実施形態と比較して、保護ブッシュの第1及び第2外部接続ケーブルの取出口が180度回転した方向に指向するので、第1及び第2外部接続ケーブルを筐体の長辺方向に沿って円滑に取り出すことができる。よって、ケーブル部が湾曲することがないので、ケーブル部の劣化を防止することができる。
【0074】
また、カセッテは、ケーブル部が筐体の長辺と短辺との間を移動可能となるように構成してもよい。これにより、カセッテ配置部に配置するカセッテの向きを90度回転させても、ケーブル部がカセッテ配置部の壁面等に当たって湾曲することがない。よって、ケーブル部の劣化を防止することができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るカセッテが適用された放射線画像撮影システムについて図8〜図10を参照しながら説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付し重複する説明を省略する。
【0076】
本実施形態の放射線画像撮影システム200は、カセッテ及びコンソールの構成が第1実施形態と異なっている。具体的には、図8に示すように、ケーブル部30が省略されて、カセッテ本体128(カセッテ120)とコンソール122との間の電気信号の伝送を電波で行っている。そのため、コンソール122には、無線信号を発信及び受信可能なコンソール用アンテナ201が設けられている。
【0077】
図9及び図10に示すように、カセッテ本体128の背面部144には、複数(図では3つ)の穴部202が形成され、各穴部202には、電波を発信及び受信可能なカセッテ用アンテナ204が配設されている。これにより、カセッテ用アンテナ204を電波状況の優れたアンテナを利用するダイバーシティアンテナとして機能させ、ノイズ等が多い通信環境であっても動作支障を避けることができる。カセッテ用アンテナ204としては、フィルムアンテナを利用するとよい。フィルムアンテナにすることで、薄厚の筐体にも対応することができるからである。
【0078】
また、カセッテ用アンテナ204が配置されている穴部202は、電波を妨げない材質で構成されたカバー206によって外部から覆われている。電波を妨げない材質としては、例えば、樹脂等が用いられる。これにより、電波を通し難い材質で筐体132を構成した場合でも、カバー206が電波を通すので、カセッテ用アンテナ204の電波の発信受信を円滑に行うことができる。この場合、穴部202の開口面積(カバーの大きさ)を大きくする程電波障害の影響が低減する。但し、筐体132の第2部材138を樹脂で構成することでカセッテ用アンテナ204の電波の発信受信を円滑にしてもよい。
【0079】
さらに、図9に示すように、カセッテ本体128の背面部144には、電力を供給するためのバッテリー208が配置されるバッテリー配置穴210が形成され、バッテリー配置穴210は、バッテリー208が配置された状態でバッテリカバー212にて覆われる。バッテリー208としては、例えば、リチウムイオンバッテリー又はリチウムポリマーバッテリー等が利用される。リチウムイオンバッテリーを利用することで低コスト化を図ることができ、リチウムポリマーバッテリーを利用することで耐衝撃性を確保することができるからである。
【0080】
図10に示すように、シールド部材60及び電子回路基板73の間の隙間には、複数のスペーサ214が設けられている。これらスペーサ214は、例えば、樹脂等の非導電性部材で構成されている。これにより、シールド部材60が弾性変形した際にシールド部材60と電気処理部62とが接触することを防ぐことができる。よって、撮影時にシールド部材60が弾性変形してシールド部材60と電気処理部62との間で短絡が生じることを防止することがきる。
【0081】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、カセッテ本体の背面部に複数のバッテリー配置穴を形成し、各バッテリー配置穴にバッテリーを装着してもよい。これにより、1つのバッテリーが用いられる形態と比べて、カセッテ本体を利用(作動)することができる時間を長くすることができる。また、バッテリーは、バッテリー配置穴から着脱可能であってもよい。これにより、バッテリーのみを取り出して該バッテリーを充電することができる。さらに、筐体には、バッテリーの残量を表示する表示部を設けてもよい。これにより、技師等は、表示部に表示されるバッテリー残量を参照して効率的にバッテリーを充電することができる。
【0082】
本実施形態の放射線画像撮影システムでは、病院内や手術室等の所定の場所に、カセッテ本体を装着した状態でバッテリーを充電することが可能なクレードルを設置してもよい。これにより、バッテリーの充電を円滑に行うことができる。また、クレードルとコンソールとを有線通信又は無線通信可能にすることで、カセッテ本体をクレードルに装着した状態で、カセッテ本体及びコンソール間のデータの送受信を行えるようにしてもよい。
【0083】
カセッテ本体とコンソールとの間のデータの送受信は、赤外線を用いた光無線通信であってもよい。
【0084】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るカセッテ320について図11及び図12を参照しながら説明する。なお、第3実施形態は、第1実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付し重複する説明を省略する。
【0085】
図11及び図12に示すように、本実施形態の筐体332は、第1部材336、第2部材338、及びカバー部材400を備えている。第1部材336は、炭素繊維で構成されており、被写体12を透過した放射線16が照射される照射面部340を有し、且つ第1実施形態の第1側面部42が省略されている。第2部材338は、例えば、アルミニウム等で構成されており、照射面部340と対向する背面部344と、背面部344の周縁に立設された側面部346とを有している。
【0086】
背面部344及び側面部346は一体に形成されている。背面部344は、カセッテ本体328を組み立てた状態で照射面部340側に向けて押し出すようにして変形した保持部402を含んでいる。図11から諒解されるように、保持部402は、側面部346に沿って形成されている。
【0087】
カバー部材400は、側面部346の外面に固定されると共に、照射面部340の外面にかしめられている。カバー部材400は、例えば、ステンレス鋼で構成されている。これにより、カバー部材400を介して第1部材336と第2部材338を電気的に接続することができる。なお、カバー部材400は、照射面部340の周縁を全て覆うように形成してもよい。この場合、外部から筐体332内部にゴミ等が侵入することを防止することができる。
【0088】
筐体332内部には、断面コの字状に形成された中間固定部材404と、シールド部材60及び電気処理部62の間に設けられた複数のスペーサ406が追加され、第1実施形態のミドルコア部材64が省略されている。
【0089】
図11に示すように、中間固定部材404は、例えば、ステンレス鋼等で構成されており、シールド部材60の各辺に2つずつ設けられている。中間固定部材404は、シールド部材60の照射面部340側に位置する面及び保持部402の内面に接触するように配置されている。
【0090】
また、中間固定部材404と保持部402とは、固定ねじ408によって固定されている。照射面部340とシールド部材60の間には、照射面部340と接するように中間固定部材404にインサートされたナット410が設けられており、照射面部340、中間固定部材404、及びシールド部材60が固定ねじ412によって固定されている。ナット410は、例えば、ステンレス鋼で構成されている。これにより、シールド部材60が筐体332に保持される。そのため、放射線遮蔽シート56、断熱シート58、及び電気処理部62等がシールド部材60を介して筐体332に保持される。
【0091】
なお、図12に示すように、本実施形態では、放射線検出パネル54と放射線遮蔽シート56の間に隙間が形成されているが、放射線検出パネル54と放射線遮蔽シート56を接触させてもよい。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るカセッテ30によれば、放射線検出パネル54及び電気処理部62の間に位置するシールド部材60が中間固定部材404を介して第2部材338と接触すると共に、中間固定部材404及びナット410を介して照射面部340に接触しているので、放射線検出パネル54及び電気処理部62が互いに発する電気ノイズをシールド部材60で受けて中間固定部材404等を介して照射面部340及び第2部材338に逃がすことができる。これにより、電気ノイズによる放射線画像の品質低下を抑制することがきる。
【0093】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、シールド部材は、銅で構成されていてもよい。この場合、シールド部材で放射線を遮蔽することも可能となるので、放射線遮蔽シートを省略することができる。これにより、部品点数を削減して、カセッテ本体の厚みを一層薄くすることができると共に、カセッテ本体を鉛フリーにすることができる。
【0094】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。筐体は、非導電性部材と導電性部材を組み合わせて構成してもよいし、非導電性部材又は導電性の低い部材に導電塗装を行うことで構成してもよい。導電塗装を行う場合、第1側面部、第2側面部、及び背面部の内面にのみ導電塗装を施せばよい。照射面部の内面への導電塗装は、放射線を透過可能な材料を利用すればよく、前記材料としては、無電解ニッケル等を用いることができる。但し、照射面部の内面への導電塗装は、電気ノイズのシールド効果及び照射面部の放射線の透過性を考慮した上で行うか否かを決めてもよい。
【0095】
シールド部材は、複数の板を積層して構成してもよいし、導電性シート又は導電性メッシュであってもよい。なお、導電性メッシュとしては、例えば銅メッシュが用いられる。また、シールド部材は、導電性樹脂、カーボンに導電処理を施したものや、非導電性の樹脂に導電処理を施したものを利用してもよい。この場合、金属で構成したシールド部材に比べて弾性限界が高くなる。
【0096】
放射線検出パネルは、被写体を透過した放射線を直接電気信号に変換するように構成してもよい。この場合、放射線検出パネルは、アモルファスセレン等の物質からなる固体検出素子を有する。
【0097】
電気処理部は、複数の電子回路基板を有する例に限らず、電子回路基板を1つだけ有してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10、200…放射線画像撮影システム
12…被写体 14…撮影台
16…放射線 18…放射線源
20、120、320…放射線画像撮影装置
22、122…コンソール 32、132、332…筐体
40、340…照射面部 54…放射線検出パネル(変換部)
60…シールド部材(導電部材) 62…電気処理部
66…フレキシブル基板(伝送部) 76…ブラケット
82…シールドフィンガー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線を電気信号に変換する変換部と、
前記変換部にて変換された電気信号を伝送する伝送部と、
前記伝送部にて伝送された電気信号を処理する電気処理部と、
前記変換部、前記伝送部、及び前記電気処理部を収容する筐体と、
前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、導電性メッシュで形成され、前記電気処理部のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線画像撮影装置において、
前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、前記変換部を透過した前記放射線のバック散乱線を吸収する放射線遮蔽部材を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の放射線画像撮影装置において、
前記電気処理部のグランドパターンは、前記筐体に電気的接続されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス鋼のいずれか1つを含んでいることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材と前記電気処理部とはブラケットを介して電気的に接続されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材と前記電気処理部の間の隙間にはスペーサが設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記導電性メッシュは銅メッシュであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材は導電性樹脂又は導電処理されたカーボンからなることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項1】
被写体を透過した放射線を電気信号に変換する変換部と、
前記変換部にて変換された電気信号を伝送する伝送部と、
前記伝送部にて伝送された電気信号を処理する電気処理部と、
前記変換部、前記伝送部、及び前記電気処理部を収容する筐体と、
前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、導電性メッシュで形成され、前記電気処理部のグランドパターンに電気的に接続されたシールド部材と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線画像撮影装置において、
前記変換部と前記電気処理部の間に配置され、前記変換部を透過した前記放射線のバック散乱線を吸収する放射線遮蔽部材を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の放射線画像撮影装置において、
前記電気処理部のグランドパターンは、前記筐体に電気的接続されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材は、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、ステンレス鋼のいずれか1つを含んでいることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材と前記電気処理部とはブラケットを介して電気的に接続されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材と前記電気処理部の間の隙間にはスペーサが設けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記導電性メッシュは銅メッシュであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記シールド部材は導電性樹脂又は導電処理されたカーボンからなることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−103268(P2012−103268A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16309(P2012−16309)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2009−210520(P2009−210520)の分割
【原出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2009−210520(P2009−210520)の分割
【原出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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