放射線画像検出装置
【課題】バッテリーの着脱が容易であり、かつバッテリーを確実に固定することができる放射線画像検出装置を提供する。
【解決手段】放射線画像検出装置1は、放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサ2と、前記放射線画像センサを支持する基台3と、前記放射線画像センサ及び前記基台を収容するフロント部材12とバック部材13で構成する筺体と、前記筐体に設けられたバッテリー収容部14に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリー5と、前記バッテリー収容部14に収容された前記バッテリー5を係止するロック機構40とを備え、前記ロック機構40は前記基台によって支持されている。
【解決手段】放射線画像検出装置1は、放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサ2と、前記放射線画像センサを支持する基台3と、前記放射線画像センサ及び前記基台を収容するフロント部材12とバック部材13で構成する筺体と、前記筐体に設けられたバッテリー収容部14に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリー5と、前記バッテリー収容部14に収容された前記バッテリー5を係止するロック機構40とを備え、前記ロック機構40は前記基台によって支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いた撮影は、医療診断や非破壊検査等の分野において広く普及している。一般的なX線撮影においては、被写体にX線を照射し、被写体の各部において減衰を受けて該被写体を透過したX線を検出し、その強度分布に基づいて被写体のX線画像を得ている。
【0003】
X線を検出する検出媒体としては、例えば、X線に露光されることにより蛍光を発する増感紙とこの蛍光に感光するフイルムとを組み合わせたものや、X線に露光されることによってX線の強度分布を潜像として蓄積し、後にレーザー光等の励起光を照射されることによって潜像に応じた蛍光を発する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)が用いられている。
【0004】
また、検出媒体として、近年では、X線を検出して電気信号に変換する半導体素子を用いてデジタル画像データを生成するフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)もまた用いられており、このFPDが可搬型の筐体に収納されて構成された、いわゆる電子カセッテが実用化されている。
【0005】
電子カセッテには、典型的には、FPDに動作電力を供給するバッテリーが搭載される。バッテリーは、充電のため、あるいは充放電の繰り返しによる劣化に伴う交換のため、カセッテに対して着脱可能に構成される(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
特許文献1に記載されたカセッテにおいて、バッテリーは、筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、収容部の開口を塞ぐ蓋体の開放を筺体に取り付けられたスライド式の留め金により規制することよって固定される。
【0007】
特許文献2に記載されたカセッテにおいて、バッテリーは、筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、収容部の開口を塞ぐバッテリー用外装部材を電気剥離性接着剤により筺体に接合することによって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006‐250729号公報
【特許文献2】特開2009‐058733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
X線撮影用カセッテの外形サイズは規格によって定められており、FPD等を収納する筐体内部の容積を確保するために、カセッテの筐体壁の厚みは比較的薄く形成される。特許文献1に記載されたカセッテにおいて、バッテリー収容部は筐体に設けられ、このバッテリー収容部に収容されたバッテリーのロック機構を構成する留め金は、バッテリー収容部が設けられた筐体部分の筺体壁に取り付けられている。バッテリーの装着及び留め金の操作の際に、留め金が取り付けられた筐体壁には局所的に力が作用するが、それによって、筐体壁に撓みが生じ、留め金の操作、及び留め金によるロックが阻害される可能性がある。
【0010】
特許文献2に記載されたカセッテにおいて、バッテリーのロック機構を構成するバッテリー用外装部材は、電気剥離性接着剤により筐体に接合され、筐体壁の厚みを増加させることなくバッテリーを固定し得るように構成されているが、バッテリー用外装部材と筐体との接着と剥離を要し、バッテリーの着脱が容易ではない。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、バッテリーの着脱が容易であり、かつバッテリーを確実に固定することができる放射線画像検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る放射線画像検出装置は、放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサと、前記放射線画像センサを支持する基台と、前記放射線画像センサ及び前記基台を収容する筺体と、前記筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリーと、前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを係止するロック機構とを備え、前記ロック機構は前記基台によって支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筐体よりも基台の方が剛性を確保しやすいため、ロック機構がより安定して支持され、より確実にバッテリーを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の一例の構成を分解して示す斜視図である。
【図2】図1の放射線画像検出装置の放射線画像センサの構成を示す模式図である。
【図3】図1の放射線画像検出装置の内部構成を示す断面図である。
【図4】図1の放射線画像検出装置のバッテリー収容部及びその周辺の構成を拡大して示す断面図である。
【図5】図1の放射線画像検出装置に用いられるロック機構の一例の構成を示す斜視図である。
【図6】図5のロック機構の動作示す模式図である。
【図7】ロック機構の他の例の構成を示す斜視図である。
【図8】ロック機構の他の例の構成を示す斜視図である。
【図9】ロック機構の他の例の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例の構成を示す断面図である。
【図11】ロック機構の配置の一例を示す放射線画像検出装置の背面図である。
【図12】ロック機構の配置の他の例を示す放射線画像検出装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の一例の構成を分解して示す。
【0016】
図1に示すX線画像検出装置1は、いわゆる電子カセッテであって、FPD2、FPD2を支持する基台3、FPD2及び基台3を収納する筐体4と、FPD2に動作電力を供給するバッテリー5とを備えている。
【0017】
筐体4は、略矩形状の天板部10及び天板部10の四辺の縁部に立設された枠状の側壁部11を有するフロント部材12と、天板部11とは反対側のフロント部材12の開口を塞ぐバック部材13とで構成されている。フロント部12材及びバック部材13が互いに組み合わされることにより、遮光された箱型の閉空間が形成され、FPD2及び基台3は、閉空間に収納されている。
【0018】
被写体を透過したX線は、フロント部材12の天板部10を透過して、筐体内部に収納されたFPD2に入射する。天板部10は、X線透過率に優れる材料によって形成され、強度重量比なども考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、炭素繊維強化樹脂(CFRP:carbon fiber reinforced plastics)などの樹脂材料が用いられる。
【0019】
そして、本X線画像検出装置1においては、フロント部材12の側壁部11は、天板部10と同一の材料によって一体に形成されている。天板部10及び側壁部11が一体に形成されることによって、フロント部材12の強度が向上し、特に天板部10のねじれに対する耐性が向上する。
【0020】
天板部10及び側壁部11を形成する材料として、上記のアルミニウムやマグネシウムを用いる場合には、例えばダイカスト成形により、また、炭素繊維強化樹脂を用いる場合には、例えば圧縮成形により、天板10部及び側壁部11を一体に形成することができる。
【0021】
天板部10及び側壁部11が一体に形成されることにより、図示の例のように、フロント部材12の四隅の角部に容易に面取り施すことができる。
【0022】
バック部材13には、詳細は後述するが、バッテリー収容部14が設けられており、バッテリー5は、このバッテリー収容部14に収容される。
【0023】
なお、バック部材13についても、強度重量比などを考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料を用いて形成されている。
【0024】
図2は、FPD2の構成を示す。
【0025】
FPD2は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素20が、アクティブマトリクス型の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)アレイ基板上に2次元状に配列されてなる受像部21と、受像部21からの電荷の読み出しタイミングを制御する走査回路22と、各画素20に蓄積された電荷を読み出し、読み出された電荷を画像データに変換して記憶する信号処理回路23と、画像データを外部機器に送信するデータ送信回路24とから構成されている。走査回路22と各画素20とは、行毎に走査線25によって接続されており、信号処理回路23と各画素20とは、列毎に信号線26によって接続されている。
【0026】
各画素20は、アモルファスセレン等の変換層(図示せず)でX線を電荷に直接変換し、変換された電荷を変換層の下部の電極に接続されたキャパシタに蓄積する直接変換型の素子として構成することができる。なお、各画素20は、酸化ガドリニウム(Gd2O3)や硫酸化ガドリウム(Gd2O2S)やヨウ化セシウム(CsI)等からなるシンチレータ(図示せず)でX線を一旦可視光に変換し、変換された可視光をフォトダイオード(図示せず)で電荷に変換して蓄積する間接変換型のX線検出素子として構成することも可能である。
【0027】
各画素20には、TFTスイッチ素子(図示せず)が接続され、TFTスイッチのゲート電極が走査線25に、ソース電極がキャパシタに、ドレイン電極が信号線26にそれぞれ接続される。TFTスイッチが走査回路22からの駆動パルスによってON状態になると、キャパシタに蓄積された電荷が信号線26に読み出される。
【0028】
信号処理回路23は、積分アンプ回路、A/D変換器、補正回路、及び画像メモリ(いずれも図示せず)により構成されている。積分アンプ回路は、各画素20から信号線26を介して出力された電荷を積分して電圧信号(画像信号)に変換して、A/D変換器に入力する。A/D変換器は、入力された画像信号をデジタルの画像データに変換して補正回路に入力する。補正回路は、画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正などの補正処理を行い、補正後の画像データを画像メモリに記憶させる。
【0029】
以上の各画素20及び各回路22,23,24には、バッテリー5を含む電源部27から動作電力が供給される。なお、電源部27と各画素20及び各回路22,23,24を接続する配線は図示を省略されている。
【0030】
図3は、X線画像検出装置1の構成を断面で示し、図4は、バッテリー収容部14及びその周辺の構成を示す。
【0031】
FPD2は、天板部10に対向する基台3の表面に受像部21を、また、基台3の裏面に走査回路22(図2)や信号処理回路23などが実装された回路基板28を、それぞれ取り付けられて基台3に支持されている。受像部21と回路基板28とは、フレキシブル回路基板29を用いて接続されている。
【0032】
基台3は、比較的剛性に優れる基材30を含んで構成され、図示の例においては、さらに基台3の裏面に取り付けられる回路基板28をX線から遮蔽するためのX線遮蔽材31が基材30に積層されて構成されている。また、基台3は、その剛性により、FPD2のTFTアレイ基板の補強の役割も果たす。
【0033】
基材30としては、強度重量比を考慮して、例えば、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料を用いることができる。また、X線遮蔽材31としては、例えば、鉛やタングステンやモリブデンなどのX線吸収能に優れる重金属材料を用いることができる。
【0034】
基台3は、バック部材13に設けられるバッテリー収容部14に干渉しないように、バック部材13との間に適宜なスペーサ32を介在させ、バック部材13に固定されている。
【0035】
本X線画像検出装置1において、バッテリー収容部14は、バック部材13の一部がフロント部材12の天板部10側に突出するように成形されることによって形成された凹部として構成されている。なお、バッテリー収容部14は、バック部材13とは別に、同様の凹部を有するハウジング部材によって構成されてもよく、その場合には、バック部材13には、上記のハウジング部材が装着される適宜な開口部が設けられ、ハウジング部材は、接着等の適宜な手段によって、その開口部に装着される。
【0036】
バッテリー収容部14の四方を囲む側壁部のうち一の側壁部には、対向するバッテリー5の縁部に設けられた爪5aが係合する係合凹部14cが設けられている。そして、係合凹部14cが設けられた側壁部を除く他の側壁部(図示の例においては、係合凹部14cが設けられた側壁部とは反対側の側壁部)には、バッテリー収容部14に収容されたバッテリー5を係止するためのロック機構40が設けられている。バッテリー5は、爪5aを係合凹部14cに係合させ、ロック機構40により係止されることによって、バッテリー収容部14内において固定される。
【0037】
ロック機構40は、バッテリー収容部14に収容されたバッテリー5に係合する凸部41、及び操作部42が設けられた係合部材43を有している。バッテリー収容部14を囲む四方の側壁部において、ロック機構40が隣設される側壁部14aには窓14bが形成されており、係合部材43の凸部41は、窓14bを通してバッテリー収容部14内に突出している。また、係合部材43の操作部42は、バック部材13に設けられた窓13aを通して、バック部材13の外面に露呈している。
【0038】
本X線画像検出装置1において、基台3は、バッテリー収容部14が設けられたバック部材13よりも高剛性に構成されており、ロック機構40は、この基台3に固定され、基台3によって支持されている。基台3を構成する基材30及びバック部材13は、典型的には、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料やCFRPなどの樹脂材料を用いて形成され、例えば、基材3及びバック部材13が同一の材料によって形成される場合には、基材3をバック部材13に比べて厚く形成することによって基台3を高剛性に構成することができる。一般に、X線画像検出装置は規格によって定められた外形サイズとされ、その制約下においてFPD2等を収容する筐体内部の容積をなるべく多く確保するため、フロント部材12やバック部材13は比較的薄く形成される。そのようにして容積を確保された筐体内部に収納される基台3は、フロント部材12やバック部材13に比較して、その厚みを大きく取り易い。
【0039】
なお、バック部材13の外面に対して垂直な方向に関するロック機構40の寸法は、バッテリー収容部14を構成する凹部の深さと同等か、あるいは凹部の深さよりも小さくすることが好ましい。これは、ロック機構40の寸法を凹部の深さよりも大きくしてしまうと凹部のへこみ面と基台3との間に無駄な隙間を生じてしまうことになるためである。ロック機構40の寸法を凹部の深さと同等か、あるいは凹部の深さよりも小さくすることで、図3からもわかるように無駄な隙間を生じずX線画像検出装置1の全体の厚みを最も薄くすることができる。言い換えれば規格によって定められた外形サイズにおいてはX線画像検出装置の中の空間を最大限とすることができ、これにより例えば前述したように基台3の厚みを大きめに確保でき落下の衝撃に強いX線画像検出装置とすることができる等のメリットがある。
【0040】
図5は、ロック機構40の構成を示す。
【0041】
ロック機構40は、上記の係合部材43と、ガイドレール44と、バネ45とで構成されている。係合部材43は、ガイドレール44に沿って移動するスライダとして構成され、ガイドレール44は、スライダ43を移動可能に支持している。バネ45は、ガイドレール44に沿って移動するスライダ43を、その移動方向に付勢する。以上の構成において、ガイドレール44は基台3に固定されており、ロック機構40は基台3によって支持されている。
【0042】
ガイドレール44は、バッテリー収容部14が設けられたバック部材13の外面(筐体の底部に相当)と略平行に、かつロック機構40が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに沿う直線方向(図中x軸方向)に延びて設けられている。スライダ43もまた、側壁部14aに沿う直線方向(図中x軸方向)に移動する。
【0043】
ロック機構40が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに対向するバッテリー5の側部には、スライダ43の凸部41と係合する凹部46が設けられている。スライダ43がガイドレール44の一方の端部側(係合位置P1)にあるときに、スライダの凸部とバッテリーの凹部とが係合し、スライダがガイドレールの他方の端部側(非係合位置P2)にあるときには、スライダ43の凸部41とバッテリー5の凹部46との係合が解除される。バネ45は、スライダ43が非係合位置から係合位置に向けて移動するようにスライダ43を付勢している。ロック機構40は、スライダ43の凸部41をバッテリー5の凹部46に係合させることによって、バッテリー5をロックし、バッテリー収容部14内に保持する。
【0044】
図6は、ロック機構40の動作を示す。
【0045】
バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される場合に、まず、スライダ43は、バネ45に付勢されて係合位置P1にある(FIG.6A)。バッテリー5がバッテリー収容部14内に挿入されると、スライダ43の凸部41は、バッテリー5の凹部46に連なる肩部47に当接する。凸部41における肩部47との当接面41aはx軸方向に勾配を有する傾斜面とされており、バッテリー5の挿入に伴って、肩部47は凸部41の傾斜面41a上を摺動しつつ、バネ45の付勢に抗してスライダ43を非係合位置P2に向けて押し込む(FIG.6B)。バッテリー5がバッテリー収容部14内に完全に挿入されると、凸部41は、相対的に肩部47を乗り越え、スライダ43の移動方向に凹部46を臨む位置に達し、そこでスライダ43がバネ45に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻され、凸部41が、凹部46内に進入して、凹部46と係合する(FIG.6C)。また、無理に押し込んだ場合に、傾斜面41aがあることにより、力が分散され破損防止にもなる。
【0046】
バッテリー5がバッテリー収容部14から取り外される場合には、バック部材13の外面に露呈したスライダ43の操作部42がユーザによって操作され、スライダ43が係合位置P1から非係合位置P2に移動される。それにより、スライダ43の凸部41とバッテリー5の凹部46との係合が解除され、バッテリー5は取り外し可能な状態となる。バッテリー5が取り外され、操作部42の操作が解除されると、スライダ43は、バネ45に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻される。
【0047】
図7は、ロック機構の他の例の構成を示す。
【0048】
図7に示すロック機構50は、ロック機構が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに略直交する直線方向(図中y軸方向)にガイドレール44が延びて設けられており、スライダ43もまた、側壁部14aに略直交する直線方向(図中y軸方向)に移動する点で、図5に示すロック機構40と異なる。その他の構成は、図5に示すロック機構と共通している。
【0049】
バッテリー5がバッテリー収容14部に装着される場合に、まず、スライダ43は、バネ45に付勢されて係合位置P1にある。バッテリー5がバッテリー収容部14内に挿入されると、スライダ43の凸部41は、バッテリー5の凹部46に連なる肩部47に当接する。凸部41における肩部47との当接面41aはy軸方向に勾配を有する傾斜面とされており、バッテリー5の挿入に伴って、肩部47は凸部41の傾斜面41a上を摺動しつつ、バネ45の付勢に抗してスライダ43を非係合位置P2に向けて押し込む。バッテリー5がバッテリー収容部14内に完全に挿入されると、凸部41は、相対的に肩部47を乗り越え、スライダ43の移動方向に凹部46を臨む位置に達し、そこでスライダ43がバネ45に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻され、凸部41が、凹部46内に進入して、凹部46と係合する。
【0050】
図8は、ロック機構の他の例の構成を示す。
【0051】
図8に示すロック機構60は、係合部材63と、軸部材64と、バネ65とで構成されている。係合部材63は、軸部材64の軸まわりに回転する回転部材として構成され、軸部材64に支持される被支持部63aと、被支持部63aから伸びる腕部63bとを有し、凸部61及び操作部62は腕部63bの先端部に設けられている。バネ65は、軸部材64を中心に回転する係合部材63を、その回転方向に非係合位置P2から係合位置P1に向けて付勢する。以上の構成において、軸部材64は基台3に固定されており、ロック機構60は基台3によって支持されている。
【0052】
軸部材64は、バッテリー収容部14が設けられたバック部材13の外面に略直交する方向(図中z軸方向)に延びて設けられている。従って、係合部材63は、バック部材13の外面に略平行な平面(xy平面)内における軸部材64を中心とする円弧方向に回転移動する。
【0053】
バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される場合に、まず、係合部材63は、バネ65に付勢されて係合位置P1にある。バッテリー5がバッテリー収容部14内に挿入されると、係合部材63の凸部61は、バッテリーの凹部46に連なる肩部47に当接する。凸部61における肩部47との当接面61aはy軸方向に勾配を有する傾斜面とされており、バッテリー5の挿入に伴って、肩部47は凸部61の傾斜面61a上を摺動しつつ、バネ65の付勢に抗して係合部材63を非係合位置P2に向けて押し込む。バッテリー5がバッテリー収容部14内に完全に挿入されると、凸部61は、相対的に肩部47を乗り越え、係合部材63の回転方向に凹部46を臨む位置に達し、そこで係合部材63がバネ65に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻され、凸部61が、凹部46内に進入して、凹部46と係合する。
【0054】
なお、ロック機構としては、上述のものに限られず、例えば、図5に示すロック機構(スライダ43及びガイドレール44並びにバネ45)と図8に示すロック機構(係合部材63及び軸部材64並びバネ65)とを組み合わせて、図9に示す構成とすることもできる。図9に示すロック機構70は、係合部材63と、z軸方向に延びる軸部材64と、スライダ43と、x方向に延びるガイドレール44と、第1バネ45及び第2バネ65とで構成されている。スライダ43は、ガイドレール44に沿って移動し、ガイドレール44は、スライダ43を移動可能に支持している。軸部材64はスライダ43に固定されており、スライダ43と一体に、ガイドレール44に沿って移動する。係合部材63は、軸部材64の軸まわりに回転する回転部材として構成され、軸部材64に支持される被支持部63aと、被支持部63aから伸びる腕部63bとを有し、凸部61及び操作部62は腕部63bの先端部に設けられている。第1バネ45は、ガイドレール44に沿って移動するスライダ43を、その移動方向に非係合位置P2aから係合位置P1aに向けて付勢し、第2バネ65は、軸部材64を中心に回転する係合部材63を、その回転方向に非係合位置P2bから係合位置P1bに向けて付勢する。以上の構成において、ガイドレール44が基台3に固定されており、ロック機構70は基台3によって支持されている。
【0055】
図9に示す例において、係合部材63は、バック部材13の外面に略平行な平面(xy平面)内における軸部材64を中心とする円弧方向の回転移動と、ロック機構70が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに沿う直線方向(x軸方向)の移動との合成により、側壁部14aに対して傾斜した略直線方向に移動する。
【0056】
図5、図7、図8、及び図9に示す上記のロック機構40,50,60,70によれば、バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される際などに収容部14が設けられたバック部材13に局所的な外力が作用してバック部材13に撓みが生じた場合にも、これらのロック機構は、バック部材13よりも高剛性の基台3によって安定に支持され、その動作が円滑に保たれる。それにより、ロック機構によるバッテリー5のロックを確実に行うことができる。特に、これらのロック機構においては、バネ45,65に付勢されることによって係合部材43,63が自動的に係合位置に復帰してバッテリー5をロックするように構成されており、かかる動作を円滑に保つうえで、ロック機構を安定に支持することは有用である。
【0057】
また、上記のロック機構40,50,60,70においては、バネ45,65に付勢されることによって係合部材43,63が自動的に係合位置に復帰してバッテリー5をロックするように構成されており、バッテリー5をバッテリー収容部14に押し込むワンアクションでバッテリー5の装着が完了し、取り扱いが容易となる。
【0058】
上記のロック機構40,50,60,70は、いずれもガイドレール44ないし軸部材64が基台3に固定され、直接的に基台3に支持されているが、以下に説明するロック機構は、バック部材13に固定され、バック部材13を介して間接的に基台3に支持される。
【0059】
図10は、図5に示すロック機構の変形例の構成を示す。
【0060】
図10に示すロック機構80は、バッテリー収容部14の内においてバッテリー収容部14の側壁部14aに隣設されており、ロック機構80を構成するガイドレール44は、収容部14の底壁部14bに固定されている。そして、ガイドレール44が固定されたバッテリー収容部14の底壁部14bは、ガイドレール44が固定される側とは反対側の面を基台3によって支持されている。以上の構成において、ロック機構80は、バック部材13を介して間接的に基台3に支持される。
【0061】
なお、バッテリー収容部14の開口部には、バッテリー5が抜き差しされる開口81a及びスライダ43の凸部41及び操作部42をそれぞれ露出させる窓81b,81cが設けられた適宜な外装部材81が固着されており、ロック機構80は、この外装部材81によって覆われている。
【0062】
ロック機構80の動作は、図5に示すロック機構40の動作と同様であるので、説明は省略する。
【0063】
ロック機構80によれば、バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される際などにバック部材13に撓みが生じた場合にも、ロック機構80は、バック部材13に加えて基台3によっても支持されており、バック部材13にのみ支持されている場合に比べて安定に支持され、その動作が円滑に保たれる。それにより、ロック機構80によるバッテリー5のロックを確実に行うことができる。なお、ロック機構80がバック部材13を介して間接的に基台3に支持される構成においては、必ずしも基台3はバック部材13に比べて高剛性である必要はないが、ロック機構80を安定に支持する観点においては、基台3は高剛性であることが好ましい。
【0064】
図7に示すロック機50構及び図9に示すロック機構70についても、ガイドレール44を収容部14の底壁部14bに固定し、この底壁部14bを基台3によって支持することにより、バック部材13を介して間接的に基台3に支持されるように構成することができる。また、図8に示すロック機構60についても、軸部材64を収容部14の底壁部14bに固定し、この底壁部14bを基台3によって支持することによって、バック部材13を介して間接的に基台3に支持されるように構成することができる。
【0065】
図11は、X線画像検出装置1の背面図であって、ロック機構の配置の一例を示す。
【0066】
図11に示す例においては、ロック機構40が二つ用いられており、これらのロック機構40は、バッテリー5の爪5aが係合するバッテリー収容部14の側壁部とは反対側の側壁部に隣設されている。
【0067】
図12は、X線画像検出装置1の背面図であって、ロック機構の配置の他の例を示す。
【0068】
図12に示す例においては、ロック機構50が二つ用いられており、これらのロック機構50は、バッテリー5の爪5aが係合するバッテリー収容部14の側壁部と交わる互いに平行な一対の側壁部の各々に隣設されている。
【0069】
図11や図12に示すように、ロック機構は、爪5aが設けられたバッテリー5の縁部とは反対側の縁部を係止する、つまりは、バッテリー5の爪5aとバッテリー収容部14の側壁部との係合箇所から出来る限り離した方が好ましい。離すことにより、バッテリー5を止める力は少なくてよく、カセッテを持ち運びなどで動かして際に、より外れにくくなる。また、図示の例においては、二つのロック機構が設けられているが、ロック機構は二つに限られず、一つ、又は三つ以上設けられていてもよい。
【0070】
以上説明したバッテリーのロック機構は、特に医療用の電子カセッテで利便性が高い。電子カセッテは従来のカセッテに比較して連続撮影が可能であるために、従来のように一人の患者の撮影に一つのカセッテを使うというわけではなく、複数患者の撮影に一つの電子カセッテで撮影ができる。このために、一の撮影室に一つの電子カセッテがあればよいわけだが、バッテリー切れになった場合に充電する時間使用できなくなると困るため一つの電子カセッテに対してバッテリーは複数用意し、バッテリー切れになった時に次々と交換して撮影することが普通に考えられる。またそもそも電子カセッテは医療機器であり、一般的な民生機器に比較し高額になりがちなことも、この一つの電子カセッテに対して複数のバッテリーを交換して使用する運用にせざるを得ない理由の一つである。このため、バッテリーの交換回数が多いことが想定され、着脱が簡便であることの運用面での利便性の効果は非常に大きい。また撮影中にバッテリーが誤って外れてしまうと撮影が失敗し患者が無駄なX線の被ばくをしてしまうため、これを確実に防止することも重要である。これらに鑑み、簡便に取り付け取り外しができ、かつ誤って外れてしまわない本発明のロック機構を設ければ撮影の作業効率と安全性が向上し利便性が著しく向上するものである。
【0071】
以上の説明においては、放射線として一般的なX線を用いる場合について説明したが、本発明はX線に限られるものではなく、α線、γ線等のX線以外の放射線を用いることも可能である。
【0072】
以上、説明したように、本明細書には、下記(1)〜(13)の放射線画像検出装置が開示されている。
【0073】
(1) 放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサと、前記放射線画像センサを支持する基台と、前記放射線画像センサ及び前記基台を収容する筺体と、前記筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリーと、前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを係止するロック機構とを備え、前記ロック機構は前記基台によって支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(2) 上記(1)の放射線画像検出装置において、前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に配置され、前記基台は、前記筐体の前記底部よりも剛性が高いことを特徴とする放射線画像検出装置。
(3) 上記(1)又は(2)の放射線画像検出装置において、前記ロック機構は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(4) 上記(1)又は(2)の放射線画像検出装置において、前記ロック機構は、前記筐体の底部に設けられ、前記ロック機構が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの1つの放射線画像検出装置において、前記ロック機構は、前記バッテリーに係合する係合部材と、前記係合部材を係合位置及び非係合位置の間で移動可能に支持する支持部と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする放射線画像検出装置。
(6) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、前記支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(7) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(8) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、前記支持部材は前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(9) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(10) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、前記第二支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(11) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、前記第二支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、前記第二支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(12) 上記(1)から(11)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に凹設されており、前記バッテリー収容部の深さ方向に関する前記ロック機構の寸法は、前記バッテリー収容部の深さ以下である放射線画像検出装置。
(13) 上記(1)から(12)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記バッテリーは、前記バッテリー収容部を囲む側壁部に係合する爪を縁部に有しており、前記ロック機構は、前記爪が設けられた前記バッテリーの縁部とは反対側の縁部を係止する放射線画像検出装置。
【符号の説明】
【0074】
1 X線画像検出装置
2 FPD(X線画像センサ)
3 基台
4 筐体
5 バッテリー
10 天板部
11 側壁部
12 フロント部材
13 バック部材
14 バッテリー収容部
40 ロック機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いた撮影は、医療診断や非破壊検査等の分野において広く普及している。一般的なX線撮影においては、被写体にX線を照射し、被写体の各部において減衰を受けて該被写体を透過したX線を検出し、その強度分布に基づいて被写体のX線画像を得ている。
【0003】
X線を検出する検出媒体としては、例えば、X線に露光されることにより蛍光を発する増感紙とこの蛍光に感光するフイルムとを組み合わせたものや、X線に露光されることによってX線の強度分布を潜像として蓄積し、後にレーザー光等の励起光を照射されることによって潜像に応じた蛍光を発する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)が用いられている。
【0004】
また、検出媒体として、近年では、X線を検出して電気信号に変換する半導体素子を用いてデジタル画像データを生成するフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)もまた用いられており、このFPDが可搬型の筐体に収納されて構成された、いわゆる電子カセッテが実用化されている。
【0005】
電子カセッテには、典型的には、FPDに動作電力を供給するバッテリーが搭載される。バッテリーは、充電のため、あるいは充放電の繰り返しによる劣化に伴う交換のため、カセッテに対して着脱可能に構成される(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
特許文献1に記載されたカセッテにおいて、バッテリーは、筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、収容部の開口を塞ぐ蓋体の開放を筺体に取り付けられたスライド式の留め金により規制することよって固定される。
【0007】
特許文献2に記載されたカセッテにおいて、バッテリーは、筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、収容部の開口を塞ぐバッテリー用外装部材を電気剥離性接着剤により筺体に接合することによって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006‐250729号公報
【特許文献2】特開2009‐058733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
X線撮影用カセッテの外形サイズは規格によって定められており、FPD等を収納する筐体内部の容積を確保するために、カセッテの筐体壁の厚みは比較的薄く形成される。特許文献1に記載されたカセッテにおいて、バッテリー収容部は筐体に設けられ、このバッテリー収容部に収容されたバッテリーのロック機構を構成する留め金は、バッテリー収容部が設けられた筐体部分の筺体壁に取り付けられている。バッテリーの装着及び留め金の操作の際に、留め金が取り付けられた筐体壁には局所的に力が作用するが、それによって、筐体壁に撓みが生じ、留め金の操作、及び留め金によるロックが阻害される可能性がある。
【0010】
特許文献2に記載されたカセッテにおいて、バッテリーのロック機構を構成するバッテリー用外装部材は、電気剥離性接着剤により筐体に接合され、筐体壁の厚みを増加させることなくバッテリーを固定し得るように構成されているが、バッテリー用外装部材と筐体との接着と剥離を要し、バッテリーの着脱が容易ではない。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、バッテリーの着脱が容易であり、かつバッテリーを確実に固定することができる放射線画像検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る放射線画像検出装置は、放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサと、前記放射線画像センサを支持する基台と、前記放射線画像センサ及び前記基台を収容する筺体と、前記筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリーと、前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを係止するロック機構とを備え、前記ロック機構は前記基台によって支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筐体よりも基台の方が剛性を確保しやすいため、ロック機構がより安定して支持され、より確実にバッテリーを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の一例の構成を分解して示す斜視図である。
【図2】図1の放射線画像検出装置の放射線画像センサの構成を示す模式図である。
【図3】図1の放射線画像検出装置の内部構成を示す断面図である。
【図4】図1の放射線画像検出装置のバッテリー収容部及びその周辺の構成を拡大して示す断面図である。
【図5】図1の放射線画像検出装置に用いられるロック機構の一例の構成を示す斜視図である。
【図6】図5のロック機構の動作示す模式図である。
【図7】ロック機構の他の例の構成を示す斜視図である。
【図8】ロック機構の他の例の構成を示す斜視図である。
【図9】ロック機構の他の例の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例の構成を示す断面図である。
【図11】ロック機構の配置の一例を示す放射線画像検出装置の背面図である。
【図12】ロック機構の配置の他の例を示す放射線画像検出装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の一例の構成を分解して示す。
【0016】
図1に示すX線画像検出装置1は、いわゆる電子カセッテであって、FPD2、FPD2を支持する基台3、FPD2及び基台3を収納する筐体4と、FPD2に動作電力を供給するバッテリー5とを備えている。
【0017】
筐体4は、略矩形状の天板部10及び天板部10の四辺の縁部に立設された枠状の側壁部11を有するフロント部材12と、天板部11とは反対側のフロント部材12の開口を塞ぐバック部材13とで構成されている。フロント部12材及びバック部材13が互いに組み合わされることにより、遮光された箱型の閉空間が形成され、FPD2及び基台3は、閉空間に収納されている。
【0018】
被写体を透過したX線は、フロント部材12の天板部10を透過して、筐体内部に収納されたFPD2に入射する。天板部10は、X線透過率に優れる材料によって形成され、強度重量比なども考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、炭素繊維強化樹脂(CFRP:carbon fiber reinforced plastics)などの樹脂材料が用いられる。
【0019】
そして、本X線画像検出装置1においては、フロント部材12の側壁部11は、天板部10と同一の材料によって一体に形成されている。天板部10及び側壁部11が一体に形成されることによって、フロント部材12の強度が向上し、特に天板部10のねじれに対する耐性が向上する。
【0020】
天板部10及び側壁部11を形成する材料として、上記のアルミニウムやマグネシウムを用いる場合には、例えばダイカスト成形により、また、炭素繊維強化樹脂を用いる場合には、例えば圧縮成形により、天板10部及び側壁部11を一体に形成することができる。
【0021】
天板部10及び側壁部11が一体に形成されることにより、図示の例のように、フロント部材12の四隅の角部に容易に面取り施すことができる。
【0022】
バック部材13には、詳細は後述するが、バッテリー収容部14が設けられており、バッテリー5は、このバッテリー収容部14に収容される。
【0023】
なお、バック部材13についても、強度重量比などを考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料を用いて形成されている。
【0024】
図2は、FPD2の構成を示す。
【0025】
FPD2は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素20が、アクティブマトリクス型の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)アレイ基板上に2次元状に配列されてなる受像部21と、受像部21からの電荷の読み出しタイミングを制御する走査回路22と、各画素20に蓄積された電荷を読み出し、読み出された電荷を画像データに変換して記憶する信号処理回路23と、画像データを外部機器に送信するデータ送信回路24とから構成されている。走査回路22と各画素20とは、行毎に走査線25によって接続されており、信号処理回路23と各画素20とは、列毎に信号線26によって接続されている。
【0026】
各画素20は、アモルファスセレン等の変換層(図示せず)でX線を電荷に直接変換し、変換された電荷を変換層の下部の電極に接続されたキャパシタに蓄積する直接変換型の素子として構成することができる。なお、各画素20は、酸化ガドリニウム(Gd2O3)や硫酸化ガドリウム(Gd2O2S)やヨウ化セシウム(CsI)等からなるシンチレータ(図示せず)でX線を一旦可視光に変換し、変換された可視光をフォトダイオード(図示せず)で電荷に変換して蓄積する間接変換型のX線検出素子として構成することも可能である。
【0027】
各画素20には、TFTスイッチ素子(図示せず)が接続され、TFTスイッチのゲート電極が走査線25に、ソース電極がキャパシタに、ドレイン電極が信号線26にそれぞれ接続される。TFTスイッチが走査回路22からの駆動パルスによってON状態になると、キャパシタに蓄積された電荷が信号線26に読み出される。
【0028】
信号処理回路23は、積分アンプ回路、A/D変換器、補正回路、及び画像メモリ(いずれも図示せず)により構成されている。積分アンプ回路は、各画素20から信号線26を介して出力された電荷を積分して電圧信号(画像信号)に変換して、A/D変換器に入力する。A/D変換器は、入力された画像信号をデジタルの画像データに変換して補正回路に入力する。補正回路は、画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正などの補正処理を行い、補正後の画像データを画像メモリに記憶させる。
【0029】
以上の各画素20及び各回路22,23,24には、バッテリー5を含む電源部27から動作電力が供給される。なお、電源部27と各画素20及び各回路22,23,24を接続する配線は図示を省略されている。
【0030】
図3は、X線画像検出装置1の構成を断面で示し、図4は、バッテリー収容部14及びその周辺の構成を示す。
【0031】
FPD2は、天板部10に対向する基台3の表面に受像部21を、また、基台3の裏面に走査回路22(図2)や信号処理回路23などが実装された回路基板28を、それぞれ取り付けられて基台3に支持されている。受像部21と回路基板28とは、フレキシブル回路基板29を用いて接続されている。
【0032】
基台3は、比較的剛性に優れる基材30を含んで構成され、図示の例においては、さらに基台3の裏面に取り付けられる回路基板28をX線から遮蔽するためのX線遮蔽材31が基材30に積層されて構成されている。また、基台3は、その剛性により、FPD2のTFTアレイ基板の補強の役割も果たす。
【0033】
基材30としては、強度重量比を考慮して、例えば、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料を用いることができる。また、X線遮蔽材31としては、例えば、鉛やタングステンやモリブデンなどのX線吸収能に優れる重金属材料を用いることができる。
【0034】
基台3は、バック部材13に設けられるバッテリー収容部14に干渉しないように、バック部材13との間に適宜なスペーサ32を介在させ、バック部材13に固定されている。
【0035】
本X線画像検出装置1において、バッテリー収容部14は、バック部材13の一部がフロント部材12の天板部10側に突出するように成形されることによって形成された凹部として構成されている。なお、バッテリー収容部14は、バック部材13とは別に、同様の凹部を有するハウジング部材によって構成されてもよく、その場合には、バック部材13には、上記のハウジング部材が装着される適宜な開口部が設けられ、ハウジング部材は、接着等の適宜な手段によって、その開口部に装着される。
【0036】
バッテリー収容部14の四方を囲む側壁部のうち一の側壁部には、対向するバッテリー5の縁部に設けられた爪5aが係合する係合凹部14cが設けられている。そして、係合凹部14cが設けられた側壁部を除く他の側壁部(図示の例においては、係合凹部14cが設けられた側壁部とは反対側の側壁部)には、バッテリー収容部14に収容されたバッテリー5を係止するためのロック機構40が設けられている。バッテリー5は、爪5aを係合凹部14cに係合させ、ロック機構40により係止されることによって、バッテリー収容部14内において固定される。
【0037】
ロック機構40は、バッテリー収容部14に収容されたバッテリー5に係合する凸部41、及び操作部42が設けられた係合部材43を有している。バッテリー収容部14を囲む四方の側壁部において、ロック機構40が隣設される側壁部14aには窓14bが形成されており、係合部材43の凸部41は、窓14bを通してバッテリー収容部14内に突出している。また、係合部材43の操作部42は、バック部材13に設けられた窓13aを通して、バック部材13の外面に露呈している。
【0038】
本X線画像検出装置1において、基台3は、バッテリー収容部14が設けられたバック部材13よりも高剛性に構成されており、ロック機構40は、この基台3に固定され、基台3によって支持されている。基台3を構成する基材30及びバック部材13は、典型的には、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料やCFRPなどの樹脂材料を用いて形成され、例えば、基材3及びバック部材13が同一の材料によって形成される場合には、基材3をバック部材13に比べて厚く形成することによって基台3を高剛性に構成することができる。一般に、X線画像検出装置は規格によって定められた外形サイズとされ、その制約下においてFPD2等を収容する筐体内部の容積をなるべく多く確保するため、フロント部材12やバック部材13は比較的薄く形成される。そのようにして容積を確保された筐体内部に収納される基台3は、フロント部材12やバック部材13に比較して、その厚みを大きく取り易い。
【0039】
なお、バック部材13の外面に対して垂直な方向に関するロック機構40の寸法は、バッテリー収容部14を構成する凹部の深さと同等か、あるいは凹部の深さよりも小さくすることが好ましい。これは、ロック機構40の寸法を凹部の深さよりも大きくしてしまうと凹部のへこみ面と基台3との間に無駄な隙間を生じてしまうことになるためである。ロック機構40の寸法を凹部の深さと同等か、あるいは凹部の深さよりも小さくすることで、図3からもわかるように無駄な隙間を生じずX線画像検出装置1の全体の厚みを最も薄くすることができる。言い換えれば規格によって定められた外形サイズにおいてはX線画像検出装置の中の空間を最大限とすることができ、これにより例えば前述したように基台3の厚みを大きめに確保でき落下の衝撃に強いX線画像検出装置とすることができる等のメリットがある。
【0040】
図5は、ロック機構40の構成を示す。
【0041】
ロック機構40は、上記の係合部材43と、ガイドレール44と、バネ45とで構成されている。係合部材43は、ガイドレール44に沿って移動するスライダとして構成され、ガイドレール44は、スライダ43を移動可能に支持している。バネ45は、ガイドレール44に沿って移動するスライダ43を、その移動方向に付勢する。以上の構成において、ガイドレール44は基台3に固定されており、ロック機構40は基台3によって支持されている。
【0042】
ガイドレール44は、バッテリー収容部14が設けられたバック部材13の外面(筐体の底部に相当)と略平行に、かつロック機構40が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに沿う直線方向(図中x軸方向)に延びて設けられている。スライダ43もまた、側壁部14aに沿う直線方向(図中x軸方向)に移動する。
【0043】
ロック機構40が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに対向するバッテリー5の側部には、スライダ43の凸部41と係合する凹部46が設けられている。スライダ43がガイドレール44の一方の端部側(係合位置P1)にあるときに、スライダの凸部とバッテリーの凹部とが係合し、スライダがガイドレールの他方の端部側(非係合位置P2)にあるときには、スライダ43の凸部41とバッテリー5の凹部46との係合が解除される。バネ45は、スライダ43が非係合位置から係合位置に向けて移動するようにスライダ43を付勢している。ロック機構40は、スライダ43の凸部41をバッテリー5の凹部46に係合させることによって、バッテリー5をロックし、バッテリー収容部14内に保持する。
【0044】
図6は、ロック機構40の動作を示す。
【0045】
バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される場合に、まず、スライダ43は、バネ45に付勢されて係合位置P1にある(FIG.6A)。バッテリー5がバッテリー収容部14内に挿入されると、スライダ43の凸部41は、バッテリー5の凹部46に連なる肩部47に当接する。凸部41における肩部47との当接面41aはx軸方向に勾配を有する傾斜面とされており、バッテリー5の挿入に伴って、肩部47は凸部41の傾斜面41a上を摺動しつつ、バネ45の付勢に抗してスライダ43を非係合位置P2に向けて押し込む(FIG.6B)。バッテリー5がバッテリー収容部14内に完全に挿入されると、凸部41は、相対的に肩部47を乗り越え、スライダ43の移動方向に凹部46を臨む位置に達し、そこでスライダ43がバネ45に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻され、凸部41が、凹部46内に進入して、凹部46と係合する(FIG.6C)。また、無理に押し込んだ場合に、傾斜面41aがあることにより、力が分散され破損防止にもなる。
【0046】
バッテリー5がバッテリー収容部14から取り外される場合には、バック部材13の外面に露呈したスライダ43の操作部42がユーザによって操作され、スライダ43が係合位置P1から非係合位置P2に移動される。それにより、スライダ43の凸部41とバッテリー5の凹部46との係合が解除され、バッテリー5は取り外し可能な状態となる。バッテリー5が取り外され、操作部42の操作が解除されると、スライダ43は、バネ45に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻される。
【0047】
図7は、ロック機構の他の例の構成を示す。
【0048】
図7に示すロック機構50は、ロック機構が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに略直交する直線方向(図中y軸方向)にガイドレール44が延びて設けられており、スライダ43もまた、側壁部14aに略直交する直線方向(図中y軸方向)に移動する点で、図5に示すロック機構40と異なる。その他の構成は、図5に示すロック機構と共通している。
【0049】
バッテリー5がバッテリー収容14部に装着される場合に、まず、スライダ43は、バネ45に付勢されて係合位置P1にある。バッテリー5がバッテリー収容部14内に挿入されると、スライダ43の凸部41は、バッテリー5の凹部46に連なる肩部47に当接する。凸部41における肩部47との当接面41aはy軸方向に勾配を有する傾斜面とされており、バッテリー5の挿入に伴って、肩部47は凸部41の傾斜面41a上を摺動しつつ、バネ45の付勢に抗してスライダ43を非係合位置P2に向けて押し込む。バッテリー5がバッテリー収容部14内に完全に挿入されると、凸部41は、相対的に肩部47を乗り越え、スライダ43の移動方向に凹部46を臨む位置に達し、そこでスライダ43がバネ45に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻され、凸部41が、凹部46内に進入して、凹部46と係合する。
【0050】
図8は、ロック機構の他の例の構成を示す。
【0051】
図8に示すロック機構60は、係合部材63と、軸部材64と、バネ65とで構成されている。係合部材63は、軸部材64の軸まわりに回転する回転部材として構成され、軸部材64に支持される被支持部63aと、被支持部63aから伸びる腕部63bとを有し、凸部61及び操作部62は腕部63bの先端部に設けられている。バネ65は、軸部材64を中心に回転する係合部材63を、その回転方向に非係合位置P2から係合位置P1に向けて付勢する。以上の構成において、軸部材64は基台3に固定されており、ロック機構60は基台3によって支持されている。
【0052】
軸部材64は、バッテリー収容部14が設けられたバック部材13の外面に略直交する方向(図中z軸方向)に延びて設けられている。従って、係合部材63は、バック部材13の外面に略平行な平面(xy平面)内における軸部材64を中心とする円弧方向に回転移動する。
【0053】
バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される場合に、まず、係合部材63は、バネ65に付勢されて係合位置P1にある。バッテリー5がバッテリー収容部14内に挿入されると、係合部材63の凸部61は、バッテリーの凹部46に連なる肩部47に当接する。凸部61における肩部47との当接面61aはy軸方向に勾配を有する傾斜面とされており、バッテリー5の挿入に伴って、肩部47は凸部61の傾斜面61a上を摺動しつつ、バネ65の付勢に抗して係合部材63を非係合位置P2に向けて押し込む。バッテリー5がバッテリー収容部14内に完全に挿入されると、凸部61は、相対的に肩部47を乗り越え、係合部材63の回転方向に凹部46を臨む位置に達し、そこで係合部材63がバネ65に付勢されて自動的に係合位置P1に押し戻され、凸部61が、凹部46内に進入して、凹部46と係合する。
【0054】
なお、ロック機構としては、上述のものに限られず、例えば、図5に示すロック機構(スライダ43及びガイドレール44並びにバネ45)と図8に示すロック機構(係合部材63及び軸部材64並びバネ65)とを組み合わせて、図9に示す構成とすることもできる。図9に示すロック機構70は、係合部材63と、z軸方向に延びる軸部材64と、スライダ43と、x方向に延びるガイドレール44と、第1バネ45及び第2バネ65とで構成されている。スライダ43は、ガイドレール44に沿って移動し、ガイドレール44は、スライダ43を移動可能に支持している。軸部材64はスライダ43に固定されており、スライダ43と一体に、ガイドレール44に沿って移動する。係合部材63は、軸部材64の軸まわりに回転する回転部材として構成され、軸部材64に支持される被支持部63aと、被支持部63aから伸びる腕部63bとを有し、凸部61及び操作部62は腕部63bの先端部に設けられている。第1バネ45は、ガイドレール44に沿って移動するスライダ43を、その移動方向に非係合位置P2aから係合位置P1aに向けて付勢し、第2バネ65は、軸部材64を中心に回転する係合部材63を、その回転方向に非係合位置P2bから係合位置P1bに向けて付勢する。以上の構成において、ガイドレール44が基台3に固定されており、ロック機構70は基台3によって支持されている。
【0055】
図9に示す例において、係合部材63は、バック部材13の外面に略平行な平面(xy平面)内における軸部材64を中心とする円弧方向の回転移動と、ロック機構70が隣設されるバッテリー収容部14の側壁部14aに沿う直線方向(x軸方向)の移動との合成により、側壁部14aに対して傾斜した略直線方向に移動する。
【0056】
図5、図7、図8、及び図9に示す上記のロック機構40,50,60,70によれば、バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される際などに収容部14が設けられたバック部材13に局所的な外力が作用してバック部材13に撓みが生じた場合にも、これらのロック機構は、バック部材13よりも高剛性の基台3によって安定に支持され、その動作が円滑に保たれる。それにより、ロック機構によるバッテリー5のロックを確実に行うことができる。特に、これらのロック機構においては、バネ45,65に付勢されることによって係合部材43,63が自動的に係合位置に復帰してバッテリー5をロックするように構成されており、かかる動作を円滑に保つうえで、ロック機構を安定に支持することは有用である。
【0057】
また、上記のロック機構40,50,60,70においては、バネ45,65に付勢されることによって係合部材43,63が自動的に係合位置に復帰してバッテリー5をロックするように構成されており、バッテリー5をバッテリー収容部14に押し込むワンアクションでバッテリー5の装着が完了し、取り扱いが容易となる。
【0058】
上記のロック機構40,50,60,70は、いずれもガイドレール44ないし軸部材64が基台3に固定され、直接的に基台3に支持されているが、以下に説明するロック機構は、バック部材13に固定され、バック部材13を介して間接的に基台3に支持される。
【0059】
図10は、図5に示すロック機構の変形例の構成を示す。
【0060】
図10に示すロック機構80は、バッテリー収容部14の内においてバッテリー収容部14の側壁部14aに隣設されており、ロック機構80を構成するガイドレール44は、収容部14の底壁部14bに固定されている。そして、ガイドレール44が固定されたバッテリー収容部14の底壁部14bは、ガイドレール44が固定される側とは反対側の面を基台3によって支持されている。以上の構成において、ロック機構80は、バック部材13を介して間接的に基台3に支持される。
【0061】
なお、バッテリー収容部14の開口部には、バッテリー5が抜き差しされる開口81a及びスライダ43の凸部41及び操作部42をそれぞれ露出させる窓81b,81cが設けられた適宜な外装部材81が固着されており、ロック機構80は、この外装部材81によって覆われている。
【0062】
ロック機構80の動作は、図5に示すロック機構40の動作と同様であるので、説明は省略する。
【0063】
ロック機構80によれば、バッテリー5がバッテリー収容部14に装着される際などにバック部材13に撓みが生じた場合にも、ロック機構80は、バック部材13に加えて基台3によっても支持されており、バック部材13にのみ支持されている場合に比べて安定に支持され、その動作が円滑に保たれる。それにより、ロック機構80によるバッテリー5のロックを確実に行うことができる。なお、ロック機構80がバック部材13を介して間接的に基台3に支持される構成においては、必ずしも基台3はバック部材13に比べて高剛性である必要はないが、ロック機構80を安定に支持する観点においては、基台3は高剛性であることが好ましい。
【0064】
図7に示すロック機50構及び図9に示すロック機構70についても、ガイドレール44を収容部14の底壁部14bに固定し、この底壁部14bを基台3によって支持することにより、バック部材13を介して間接的に基台3に支持されるように構成することができる。また、図8に示すロック機構60についても、軸部材64を収容部14の底壁部14bに固定し、この底壁部14bを基台3によって支持することによって、バック部材13を介して間接的に基台3に支持されるように構成することができる。
【0065】
図11は、X線画像検出装置1の背面図であって、ロック機構の配置の一例を示す。
【0066】
図11に示す例においては、ロック機構40が二つ用いられており、これらのロック機構40は、バッテリー5の爪5aが係合するバッテリー収容部14の側壁部とは反対側の側壁部に隣設されている。
【0067】
図12は、X線画像検出装置1の背面図であって、ロック機構の配置の他の例を示す。
【0068】
図12に示す例においては、ロック機構50が二つ用いられており、これらのロック機構50は、バッテリー5の爪5aが係合するバッテリー収容部14の側壁部と交わる互いに平行な一対の側壁部の各々に隣設されている。
【0069】
図11や図12に示すように、ロック機構は、爪5aが設けられたバッテリー5の縁部とは反対側の縁部を係止する、つまりは、バッテリー5の爪5aとバッテリー収容部14の側壁部との係合箇所から出来る限り離した方が好ましい。離すことにより、バッテリー5を止める力は少なくてよく、カセッテを持ち運びなどで動かして際に、より外れにくくなる。また、図示の例においては、二つのロック機構が設けられているが、ロック機構は二つに限られず、一つ、又は三つ以上設けられていてもよい。
【0070】
以上説明したバッテリーのロック機構は、特に医療用の電子カセッテで利便性が高い。電子カセッテは従来のカセッテに比較して連続撮影が可能であるために、従来のように一人の患者の撮影に一つのカセッテを使うというわけではなく、複数患者の撮影に一つの電子カセッテで撮影ができる。このために、一の撮影室に一つの電子カセッテがあればよいわけだが、バッテリー切れになった場合に充電する時間使用できなくなると困るため一つの電子カセッテに対してバッテリーは複数用意し、バッテリー切れになった時に次々と交換して撮影することが普通に考えられる。またそもそも電子カセッテは医療機器であり、一般的な民生機器に比較し高額になりがちなことも、この一つの電子カセッテに対して複数のバッテリーを交換して使用する運用にせざるを得ない理由の一つである。このため、バッテリーの交換回数が多いことが想定され、着脱が簡便であることの運用面での利便性の効果は非常に大きい。また撮影中にバッテリーが誤って外れてしまうと撮影が失敗し患者が無駄なX線の被ばくをしてしまうため、これを確実に防止することも重要である。これらに鑑み、簡便に取り付け取り外しができ、かつ誤って外れてしまわない本発明のロック機構を設ければ撮影の作業効率と安全性が向上し利便性が著しく向上するものである。
【0071】
以上の説明においては、放射線として一般的なX線を用いる場合について説明したが、本発明はX線に限られるものではなく、α線、γ線等のX線以外の放射線を用いることも可能である。
【0072】
以上、説明したように、本明細書には、下記(1)〜(13)の放射線画像検出装置が開示されている。
【0073】
(1) 放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサと、前記放射線画像センサを支持する基台と、前記放射線画像センサ及び前記基台を収容する筺体と、前記筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリーと、前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを係止するロック機構とを備え、前記ロック機構は前記基台によって支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(2) 上記(1)の放射線画像検出装置において、前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に配置され、前記基台は、前記筐体の前記底部よりも剛性が高いことを特徴とする放射線画像検出装置。
(3) 上記(1)又は(2)の放射線画像検出装置において、前記ロック機構は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(4) 上記(1)又は(2)の放射線画像検出装置において、前記ロック機構は、前記筐体の底部に設けられ、前記ロック機構が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの1つの放射線画像検出装置において、前記ロック機構は、前記バッテリーに係合する係合部材と、前記係合部材を係合位置及び非係合位置の間で移動可能に支持する支持部と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする放射線画像検出装置。
(6) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、前記支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(7) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(8) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、前記支持部材は前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(9) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(10) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、前記第二支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(11) 上記(5)の放射線画像検出装置において、前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、前記第二支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、前記第二支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
(12) 上記(1)から(11)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に凹設されており、前記バッテリー収容部の深さ方向に関する前記ロック機構の寸法は、前記バッテリー収容部の深さ以下である放射線画像検出装置。
(13) 上記(1)から(12)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記バッテリーは、前記バッテリー収容部を囲む側壁部に係合する爪を縁部に有しており、前記ロック機構は、前記爪が設けられた前記バッテリーの縁部とは反対側の縁部を係止する放射線画像検出装置。
【符号の説明】
【0074】
1 X線画像検出装置
2 FPD(X線画像センサ)
3 基台
4 筐体
5 バッテリー
10 天板部
11 側壁部
12 フロント部材
13 バック部材
14 バッテリー収容部
40 ロック機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサと、
前記放射線画像センサを支持する基台と、
前記放射線画像センサ及び前記基台を収容する筺体と、
前記筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを係止するロック機構とを備え、
前記ロック機構は前記基台によって支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線画像検出装置において、
前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に配置され、
前記基台は、前記筐体の前記底部よりも剛性が高いことを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項3】
請求項1あるいは2に記載の放射線画像検出装置において、
前記ロック機構は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項4】
請求項1あるいは2に記載の放射線画像検出装置において、
前記ロック機構は、前記筐体の底部に設けられ、
前記ロック機構が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの1項に記載の放射線画像検出装置において、
前記ロック機構は、前記バッテリーに係合する係合部材と、前記係合部材を係合位置及び非係合位置の間で移動可能に支持する支持部と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、
前記支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、
前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項8】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、
前記支持部材は前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項9】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、
前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項10】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、
前記第二支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項11】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、
前記第二支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記第二支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に凹設されており、
前記バッテリー収容部の深さ方向に関する前記ロック機構の寸法は、前記バッテリー収容部の深さ以下である放射線画像検出装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記バッテリーは、前記バッテリー収容部を囲む側壁部に係合する爪を縁部に有しており、
前記ロック機構は、前記爪が設けられた前記バッテリーの縁部とは反対側の縁部を係止する放射線画像検出装置。
【請求項1】
放射線を検出して画像データを生成する放射線画像センサと、
前記放射線画像センサを支持する基台と、
前記放射線画像センサ及び前記基台を収容する筺体と、
前記筐体に設けられたバッテリー収容部に収容され、前記放射線画像センサに動作電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを係止するロック機構とを備え、
前記ロック機構は前記基台によって支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線画像検出装置において、
前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に配置され、
前記基台は、前記筐体の前記底部よりも剛性が高いことを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項3】
請求項1あるいは2に記載の放射線画像検出装置において、
前記ロック機構は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項4】
請求項1あるいは2に記載の放射線画像検出装置において、
前記ロック機構は、前記筐体の底部に設けられ、
前記ロック機構が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの1項に記載の放射線画像検出装置において、
前記ロック機構は、前記バッテリーに係合する係合部材と、前記係合部材を係合位置及び非係合位置の間で移動可能に支持する支持部と、前記係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、
前記支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を直線移動可能に支持する支部部材を含み、
前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項8】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、
前記支持部材は前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項9】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する支持部材を含み、
前記支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項10】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、
前記第二支持部材は、前記基台上に設けられていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項11】
請求項5に記載の放射線画像検出装置において、
前記支持部は、前記係合部材を回転移動可能に支持する第一支持部材と、前記第一支持部材を直線移動可能に支持する第二支部部材と、を含み、
前記第二支持部材は、前記筐体の底部に設けられ、
前記第二支持部材が設けられた前記底部は、前記基台に支持されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記バッテリー収容部は、前記筐体の底部に凹設されており、
前記バッテリー収容部の深さ方向に関する前記ロック機構の寸法は、前記バッテリー収容部の深さ以下である放射線画像検出装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記バッテリーは、前記バッテリー収容部を囲む側壁部に係合する爪を縁部に有しており、
前記ロック機構は、前記爪が設けられた前記バッテリーの縁部とは反対側の縁部を係止する放射線画像検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−72809(P2013−72809A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213316(P2011−213316)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]