説明

放射線画像読取システム

【課題】装置の大型化を伴うことなく、輝尽性感光体プレートと読取部の読取位置とのアライメントを適正にすること。
【解決手段】カセッテ10は、プレート101とトレーTRが引出部207により引き出される際に、プレート101をトレーTRの基準位置に押圧する押圧部を有する。また引出部207は、プレート101とトレーTRを引き出して、プレート101を保持したトレーTRを搬送部の基準面に当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像を得る方法として、輝尽性感光体プレートを内部に収容したカセッテを利用して放射線画像を検出するものがある。
【0003】
輝尽性感光体プレートを内部に収容したカセッテを利用して放射線画像を検出する方法では、まず、カセッテを利用して放射線画像を撮影し、その後、カセッテを読取装置にセットしてカセッテを開けて輝尽性感光体プレートを取り出し、輝尽性感光体プレートを読取部に搬送させて読取動作を実行する。読取動作が実行されると輝尽性感光体プレートは消去部により残像が消去処理されて、再度カセッテ内に収容される。
【0004】
このような放射線画像を検出する方法を採用した技術は各種提案されており、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−19017号公報
【特許文献2】米国特許第7432512号明細書
【特許文献3】特開2000−272780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
輝尽性感光体プレートを内部に収容したカセッテは、輝尽性感光体プレートの出し入れを円滑に行うために、輝尽性感光体プレートが収容されるハウジング内部の寸法を輝尽性感光体プレートより大きく設定し、カセッテのハウジングと輝尽性感光体プレートとの間に多少の隙間を設けている。
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載の技術では、カセッテを読取装置にセットした後、カセッテの一端に設けたカバーを開けてカセッテ内部から輝尽性感光体プレートを取り出し、輝尽性プレートを読取部に搬送されているが、前述したカセッテのハウジングと輝尽性感光体プレートとの間の隙間が影響して、カセッテから輝尽性感光体プレートを取り出す際に輝尽性感光体プレートの位置がずれ、搬送部により搬送されてきた輝尽性感光体プレートと読取部における読取位置とのアライメント(例えば輝尽性感光体プレートの先端とレーザー主走査方向との平行度)を適正に設定することは出来ない。従って、読取画像の欠陥が生じ、再度、放射線画像を撮影しなければならない恐れがあった。
【0008】
特許文献3では、搬送部において輝尽性感光体プレートの位置規制機構を設けて、輝尽性感光体プレートと読取部における読取位置とのアライメントを適正に設定するようにしているが、位置規制機構を設ける分だけ機械構成が大きくなり、また機械構成が複雑になるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、装置の大型化を伴うことなく、輝尽性感光体プレートと読取部の読取位置とのアライメントを適正にすることが出来る放射線画像読取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る放射線画像読取システムは、
少なくとも、輝尽性感光体プレートと、前記輝尽性感光体プレートを保持するトレーと、前記輝尽性感光体プレートを保持した状態の前記トレーを移動可能に収容するハウジングと、によって構成されるカセッテと、
少なくとも、放射線画像情報を読み取る読取部と、前記カセッテが装填される装填部と、前記装填部に装填された前記カセッテの内部から前記輝尽性感光体プレートと前記トレーを引き出す引出部と、前記引出部により引き出された前記輝尽性感光体プレートを前記読取部に向けて搬送する搬送部と、を有する読取装置と、
を備える放射線画像読取システムであって、
前記カセッテは、前記輝尽性感光体プレートと前記トレーが前記引出部により引き出される際に、前記輝尽性感光体プレートを前記トレーの基準位置に押圧する押圧部を有し、
前記引出部は、前記輝尽性感光体プレートと前記トレーを引き出して、前記輝尽性感光体プレートを保持した前記トレーを前記搬送部の基準位置に当接させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る放射線画像読取システムによれば、装置の大型化を伴うことなく、輝尽性感光体プレートと読取部の読取位置とのアライメントを適正にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】放射線画像読取システムを示す概略図である。
【図2】放射線画像読取システムを示す概略図である。
【図3】カセッテを斜め上方から見た斜視図である。
【図4】図1に示す破線X領域におけるカセッテの側面を示す部分拡大図である。
【図5】プレートとトレーが引き出された状態を示す側面図である。
【図6】プレートとトレーが引き出された状態を示す斜視図である。
【図7】トレーに設置された爪を示すカセッテ側面の部分断面図である。
【図8】トレーに設置された爪を示すカセッテ側面の部分断面図である。
【図9】プレートとトレーをフロント板側から見た平面図である。
【図10】押圧部を示す斜視図である。
【図11】カセッテの後端部側から見たトレー、プレート、押圧部、フロント板との関係を示す部分断面図である。
【図12】カセッテの先端部を示す部分拡大図である。
【図13】トレーがバック板に支持されている構造を示す説明図である。
【図14】トレーの飛び出し防止機構を示す説明図である。
【図15】バック板を拡大した斜視図である。
【図16】突起移動部を示す斜視図である。
【図17】引出部を示す斜視図である。
【図18】押下部を示す斜視図である。
【図19】引出部を示す斜視図である。
【図20】プレートとトレーが引き出された状態を示す側面図である。
【図21】ニップローラ対によりプレートが挟持された状態を示す側面図である。
【図22】プレートが搬送される状態を示す側面図である。
【図23】プレートとトレーをフロント板側から見た平面図である。
【図24】サイド規制部材を示す拡大斜視図である。
【図25】押圧部の詳細構造を示す斜視図である。
【図26】フロント板とバック板が固定される構造を示す側面図である。
【図27】第1固定部、第2固定部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[放射線画像読取システムの概要]
図1、図2は、放射線画像読取システム1を示す概略図である。
【0014】
放射線画像読取システム1は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報を読み取るシステムである。図1に示すように、放射線画像読取システム1は、プレート(輝尽性感光体プレート)101を収容するカセッテ10と、プレート101を通じて放射線画像情報を読み取る読取装置20により構成されている。
【0015】
カセッテ10は、蛍光体層を有するプレート101を内部に収容し、別の場所に設置された臥位撮影台又は立位撮影台等にセットされて放射線画像の撮影に利用される。撮影後に読取装置20で放射線画像情報を読み取る場合は、カセッテ10は図1に示すように横方向に読取装置20の装填部201に装填される。装填部201には複数のサイズのカセッテ10が装填可能である。なお、複数のサイズのカセッテはいずれもセンター基準で構成されている。
【0016】
カセッテ10内のプレート101に記憶されている放射線画像情報を読取装置20で読み取る場合は、装填部201に充填されたカセッテ10からプレート101が取り出され、搬送経路に設置されたニップローラ対(搬送部)NR、搬送ローラ対(搬送部)R1、R2により消去部202を経由して読取部203における読取位置Rに搬送される。プレート101の先端がニップローラ対NR、搬送ローラ対R1、R2により読取位置Rに搬送された際、小サイズのプレートの場合には当該プレートの後端部はカセッテ10内部からは離間しているが、大サイズのプレートは、図2に示すように、プレート101の一部がまだカセッテ10の内部に残っている状態になっており、カセッテ10のハウジングが搬送経路の一部を成している。従って、放射線画像読取システム1全体として小型となっている。
【0017】
プレート101はニップローラ対NR、搬送ローラ対R1、R2により励起光副走査のために定速で搬送される。そして照射部204から出射した励起光としてのレーザビームLが、プレート101上を図1の矢印a方向とほぼ直角な方向に走査(主走査)する。
【0018】
レーザビームLの照射を受けたプレート101から蓄積記録されている放射線画像情報に対応した光量の輝尽発光光が発せられ、この輝尽発光光は光ガイド203Aを介して光電子増倍管等の光検出器203Bによって検出される。したがって光検出器203Bからは、プレート101に蓄積記録されている放射線画像情報を示す出力信号が得られる。この出力信号を例えばCRT表示装置や光走査記録装置等の画像再生装置に送って画像再生に供すれば、プレート101に記録されていた放射線画像が可視像として再生される。
【0019】
放射線画像情報の読取りが終了したプレート101は、ニップローラ対NR、搬送ローラ対R1、R2がそれまでとは逆方向に回転されることにより消去部202に送られる。消去部202をプレート101が通過する際、消去光源が点灯され、それらから発せられた消去光がプレート101に照射される。放射線画像情報読取り後もプレート101に残存していた放射線エネルギーは、この消去光照射によりプレート101から放出され、プレート101は新たに放射線画像撮影に使用され得る状態となる。
【0020】
この消去処理を受けたプレート101は、カセッテ10内に搬入される。この消去が終了したプレート後端部を搬入する際、ニップローラ対NRは、プレート101を勢い良くカセッテ10内に放り込み、プレート後端を図4のTR1よりカセッテ内部側まで搬送すべく、高速で回転される。
【0021】
[プレートの概要]
プレート101は、支持体上に蛍光体層(輝尽性蛍光体粒子とバインダーとから構成される)と保護膜が積層され、その積層体の側面がシリコーン系ポリマーとポリイソシアネートの硬化皮膜により被覆されている。
【0022】
蛍光体層を構成する輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的な面からは波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であることが望ましい。
【0023】
支持体の材料の例としては、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどのプラスチック物質のフィルムが好ましい。
【0024】
保護膜の材料の例としては、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、有機溶媒可溶性のフッ素系樹脂などを挙げることができる。
【0025】
[カセッテの構造]
図3は、カセッテ10を斜め上方から見た斜視図である。
【0026】
カセッテ10は箱形の形状となっており、フロント板102とバック板103によりカセッテ10のハウジングを形成している。バック板103の表面には、第1開口103A、第2開口103B、第3開口103C等の複数の開口が設けられている。
【0027】
図4は、図1に示す破線X領域におけるカセッテ10の側面を示す部分拡大図である。
【0028】
カセッテ10が読取装置20に装填されている状態では、図4に示すようにフロント板102が下方になり、バック板103が上方になっている。プレート101の蛍光体層は下方にセットされプレート101が読取装置20に搬送されるため、蛍光体層にホコリ等の異物が残りにくく、適正な読取画像を得る事が出来る。
【0029】
プレート101の上方にはプレート101を保持するトレーTRが設置されている。プレート101は後述する押圧部PRにより図4に示す矢印b方向に押圧され、トレーTRの基準面(基準位置)TR1にプレート101の先端部101Fが当接している。
【0030】
プレート101がカセッテ10から引き出される場合は、図5に示すようにプレート101がトレーTRに保持された状態で引き出される。図6は、プレート101とトレーTRが引き出された状態を示す斜視図である。図6に示すように、トレーTRの先端の中央部にはトレー開口TR2が形成されており、トレーTRの下方に保持されたプレート101がトレー開口TR2から見える状態となっている。後述するが、トレー開口TR2を通じて、カセッテ10から引き出されたプレート101をニップローラ対NRが挟持し、読取装置20の内部にプレート101が搬送される。
【0031】
図7は、トレーTRに設置された爪NAを示すカセッテ側面の部分断面図である。
【0032】
カセッテ10のハウジングを構成するバック板103には第3開口103C(図6参照)が設置されており、この第3開口103Cの係止部P2にトレーTRに設置された爪NAの係止部P1が接触している。図7に示す状態ではトレーTRは引き出されない。爪NAはNA1を支点として矢印c方向に回動可能であり、爪NAが矢印c方向に回動すると、爪NAの係止部P1が第3開口103Cの係止部P2から離れ、トレーTRは図5、図6に示すように引き出し可能となる。
【0033】
カセッテ10は技師による搬送途中の落下等により突発的な衝撃が加わる恐れがあるため、プレート101を保持したトレーTRが突発的な衝撃により不意に飛び出すことがないよう、爪NAの係止部P1は平坦となっており、第3開口103Cの係止部P2と面接触している。
【0034】
カセッテ10が読取装置20に装填されてトレーTRを引き出す際は、爪NAを後述する押下部206により押し下げてNA1を支点として矢印c方向に回動させるが、爪NAの係止部P1が第3開口103Cの係止部P2と面接触しているため、図7に示す状態では第3開口103Cの係止部P2が邪魔となって爪NAが矢印c方向に回動しない。そこで、カセッテ10が読取装置20に装填されてトレーTRを引き出す際は、図8に示すようにトレーTRを一旦、矢印d方向に移動させて爪NAの係止部P1を第3開口103Cの係止部P2から離間させる。このようにすれば、後述する押下部206により爪NAを矢印c方向に円滑に回動させることが出来る。
【0035】
図9はプレート101とトレーTRをフロント板102側から見た平面図である。
【0036】
カセッテ10からプレート101とトレーTRを引き出す際に、カセッテ10の後端側(図3に示す10R側)に位置する押圧部PRがプレート101の後端部101Rを矢印e方向に押圧し、プレート101の先端部101FをトレーTRの基準面TR1に突き当てる。押圧部PRは図10に示すようにL字形状となっており、押圧部PRの立った部分がプレート101の後端部101Rに接触して押圧する。このような構造により、カセッテ10からプレート101とトレーTRを引き出す際に、プレート101の先端部10FがトレーTRの基準面TR1に突き当たるため、カセッテTRに対してプレート101の位置が正確に固定される。
【0037】
図11は、カセッテ10の後端部側から見たトレーTR、プレート101、押圧部PR、フロント板102との関係を示す部分断面図である。
【0038】
カセッテ10が読取装置20に装填された状態では、図11に示すようにトレーTRの下方にプレート101が位置する。図9、図10で示したようにL字形状の押圧部PRを確実にプレート101の後端部101Rに接触させるため、フロント板102には押圧部PRの両側に部分的な凸部M1が設けられている。当該凸部M1が設けられていることにより、プレート101の先端部が自重やカールにより下方に移動し難くなり、必ず押圧部PRにプレート101の後端部101Rを係止させることができるので、トレー引き出し時にプレート斜行を誘発したり増加させたりすることが無い。但し、フロント板102の厚みの急激な変化により、放射線画像の撮影に影響があるため、凸部M1の高さt1を1mm、幅t2を16mm以上にして斜面の傾きを3.5°以下にすることが好ましい。
【0039】
図12にカセッテ10の先端部の部分拡大図を示すが、プレート101がトレーTRとともに引き出されてもトレーTRからプレート101の先端部101Fが落下しないよう、基準面TR1の下方には全幅あるいは幅手の一部にテーパ部M2が設けられている。
【0040】
また、フロント板102には凸部M3が設けられており、プレート101がカセッテ10に収容されている状態でプレート101を上方に押し上げ、プレート101の先端部101Fが基準面TR1に当接する様にし、点接触ではなく、面接触するようにしている。プレート101の先端部101Fが基準面TR1に点接触すると技師によるカセッテ搬送途中の落下等により突発的な衝撃が加わり、プレート101の端部が損傷する可能性があるため、面接触させて当該損傷を防止している。
【0041】
図13は、トレーTRがバック板103に支持されている構造を示す説明図である。図13に示す矢印e方向は、トレーTRが引き出される方向(図4における矢印b方向)を示している。
【0042】
トレーTRの上方にはフックTR3が設けられており、バック板103の内部に形成された長穴である支持穴MZにフックTR3が引っ掛かって、バック板103にトレーTRが移動可能に支持されている。なお、フックTR3と支持穴MZはカセッテ10内に複数設置されている。
【0043】
図13で示すようにフックTR3が支持穴MZに引っ掛かってもフックTR3は支持穴MZ内でf方向に移動可能である。これにより、引き出された状態でトレーTRはカセッテ10に対して図6で示す矢印方向に移動可能となり、カセッテ10が読取装置20の装填部201に多少斜めに充填されても読取装置20に対するトレーTRの位置が修正出来る。
【0044】
図7、図8で説明した爪NAとともに、トレーTRが不意に飛び出すことを防止するため、カセッテ10内には爪NA以外にトレーTRの飛び出し防止機構が設置されている。図14は、トレーTRの飛び出し防止機構を示す説明図である。図14に示す矢印g方向は、トレーTRが引き出される方向(図4における矢印b方向)を示している。
【0045】
バック板103の内部には、第1ブロックBR1、第2ブロックBR2、付勢バネSPが設置されており、トレーTRの上方には突起TR4が設置されている。
【0046】
第1ブロックBR1はバック板103の内部に設置された状態で図14に示す矢印i方向に移動可能であり、第1ブロックBR1に設置されている突起TKが図15に示すようにバック板103の第2開口103Bを通じてカセッテ10の外側に現れている。
【0047】
第1ブロックBR1の一部に付勢バネSPが係合し、第1ブロックBR1を矢印h方向に付勢している。従って、トレーTRがカセッテ10に収容されている状態では、第1ブロックBR1は矢印i方向に移動せず、付勢バネSPにより矢印h方向に付勢されて図14に示す状態となっている。
【0048】
第1ブロックBR1と隣接して第2ブロックBR2が設置されており、第2ブロックBR2は第1ブロックBR1によりY領域で係止されている。また第2ブロックBR2はBR3を支点として図14に示す矢印j方向又は矢印j方向と逆方向に回動可能である。
【0049】
トレーTRがカセッテ10に収容されている状態では図14に示す状態になっているため、第2ブロックBR2は第1ブロックBR1に係合し矢印j方向に回動しない。そのような状態ではトレーTRの上方に設置された突起TR4が第2ブロックBR2と接触し、突起TR4とともにトレーTRは矢印g方向、つまり、トレーTRの引き出し方向には移動しない。
【0050】
一方、カセッテ10と読取装置20に充填してカセッテ10からトレーTRを引き出す場合は、後述する突起移動部205が第1ブロックBR1の突起TKを付勢バネSPの付勢力に逆らって矢印i方向に移動させる。するとY領域に示す第1ブロックBR1と第2ブロックBR2との係合が解除される。
【0051】
その後、後述する引出部207によりトレーTRが引き出されると、第2ブロックBR2がBR3を支点として矢印j方向に回動し、カセッテ10からトレーTRが引き出される。このような構造によりカセッテ10に加わる突発的な衝撃によるトレーTRの飛び出しを防止している。
【0052】
[プレート及びトレーの引出動作]
次に、カセッテ10が読取装置20の装填部201に装填されてプレート101を保持するトレーTRが引き出され、ニップローラ対NRによりプレート101が読取装置20の内部に搬送される動作について詳しく説明する。
【0053】
まず、任意のサイズのカセッテ10が読取装置20の装填部201に装填されると、図16に示すように、突起移動部205が図14、図15で説明した突起TKを矢印k方向(図14における矢印i方向)に移動させる。その結果、図14に示す第1ブロックBR1と第2ブロックBR2との係合が解除され、トレーTRが引き出し可能な状態となる。
【0054】
そして図7、図8で説明した爪NAを押し下げ可能にするため、図17に示す引出部207が図17の状態から下方に移動し、トレーTRの上方に設置されて第1開口103Aから外側に現れているトレー突起TR5と接触する。その後、引出部207によりトレー突起TR5を矢印m1方向に移動させ、図8に示すように、爪NAの係止部P1を第3開口103Cの係止部P2から離間させる。
【0055】
次に、図18で示すように、第3開口103Cから外側に現れている爪NA(図7、図8参照)を押下部206により押し下げ、トレーTRが引き出し可能な状態となる。
【0056】
突起移動部205、押下部206、引出部207の動作によりトレーTRが引き出し可能な状態になった後、図19に示すようにトレー突起TR5を引出部207により引き出し方向である矢印m2方向に移動させる。するとカセッテ10の先端部からトレーTRが引き出され、トレーTRの先端部が基準板KBの基準面(ニップローラ対NRの基準位置)に当接する。
【0057】
図19に示す状態をカセッテ10の側面からみた図が図20である。図20でも示すように、トレーTRが基準板KBの基準面に当接しており、トレーTRが読取装置20に対して適正な位置となっている。なお、図20に示すトレーの引き出し量Tはどのようなサイズのカセッテ10が読取装置20に装填されても一定となっており、引き出し動作の共通化が図られている。
【0058】
図20に示すようにプレート101とトレーTRが引き出された後は、上方に位置する第1ニップローラNR1(ニップローラ対NRを構成するローラ)が下方に移動して、トレー開口TR2(図6参照)を通じて第1ニップローラNR1がプレート101に接触し、図21に示すように第1ニップローラNR1と第2ニップローラNR2(ニップローラ対NRを構成するローラ)によりプレート101が挟持される。
【0059】
その後、図22に示すように、持上部208によりトレーTRの先端部が持ち上げられ、第1ニップローラNR1と第2ニップローラNR2の駆動力によりプレート101が図22に示す矢印方向に移動する。
【0060】
以上、図3〜図22を用いてカセッテ10の構造、プレート101とトレーTRが引き出される構造を説明したが、カセッテ10内の押圧部PRによりプレート101がトレーTRに対して位置が固定され、引出部207によりトレーTRが基準板KBの基準面に当接するため、プレート101が読取装置20に搬送される際に適正な位置で送り込まれる。その結果、装置の大型化を伴うことなく、プレート101と読取部203の読取位置Rとのアライメント(平行度)を適正範囲に維持することが出来る。
【0061】
[カセッテのその他の構造]
カセッテ10には技術的な工夫が各種なされており、これまで説明した構造以外の構造について説明する。
【0062】
図23は、プレート101とトレーTRをフロント板102側から見た平面図である。
【0063】
トレーTRがカセッテ内に完全に収容された際、図23に示すようにプレート101はバック板23に設置されたサイド規制部材SDによって左右が規制され、カセッテ内でのプレート位置(巾方向)がセンター基準に規制される。
【0064】
図24は、サイド規制部材SDを示す拡大斜視図である。
【0065】
トレーTRに保持されたプレート101は、カセッテ10に収容される際にプレート101の側面部101Sがガイド部SD1に沿って移動し、最終的にプレート101は左右方向にサイド規制部材SD1によって規制される。
【0066】
サイド規制部材SDは緩衝材KSを介してバック板103の固定部KTに固定されている。緩衝材KSの一辺KS1は3mm〜5mmのものであり、ショア硬度は50°〜70°のものが好ましい。技師等がカセッテを落下させるなどして、強い衝撃を加えた場合、プレート101がサイド規制部材SDに接触すると緩衝材KSが変形し、Zの箇所を支点としてサイド規制部材SDが図24の矢印方向に衝撃を吸収しながら傾く。
【0067】
技師等がカセッテを落下させるなどして、強い衝撃を加えた場合、サイド規制部材SDが傾くことなく固定されているとプレート101の側面部101Sがサイド規制部材SDにより損傷する可能性があるが、図24に示すようにサイド規制部材SDが緩衝材KSにより衝撃を吸収しながら傾くことが可能であるため、プレート101の側面部101Sがサイド規制部材SD1によって損傷することはない。
【0068】
プレート101を押圧する押圧部PRは、図23に示すように、プレート101がカセッテ10に完全に収容されると、プレート101の後端部101Rから離間し、隙間t3が生じる。つまり、プレート101がカセッテ10に完全に収容されると、押圧部PRはプレート101の後端部101Rに接触せず、プレート101がトレーTRとともに引き出される際に押圧部PRがプレート101の後端部101Rに接触する構造となっている。これは、プレート101がカセッテ10に収容されている最中、常時押圧部PRがプレート101の後端部101Rを押圧しているとプレート101の後端部101Rが損傷してしまう可能性が高くなるからである。ここで図25を用いて押圧部PRによる押圧を解除する構造を説明する。
【0069】
図25は、押圧部25の詳細構造を示す斜視図である。
【0070】
押圧部PRは二つの付勢バネSRによりn方向に付勢されており、プレート101が引き出させる際にプレート101の後端部101Rに接触してプレート101をn方向に押圧する。
【0071】
押圧部PRの一旦にはKD2を支点として矢印p方向又は矢印p方向と逆方向に回動可能な解除部KD1が設置されている。トレーTRがカセッテ10の内部に収容されるためにカセッテTRとプレート101が矢印o方向に移動してくると、バック板103に設置されたリブ103Tが解除部KD1の一部に接触し、解除部KD1が矢印p方向に回動する。
【0072】
その結果、解除部KD1の一部が押圧部PRの一部に接触して付勢バネSPの付勢力に逆らって押圧部PRが矢印n方向と逆方向に移動し、プレート101とトレーTRがカセッテ10に完全に収容されると、押圧部PRがプレート101の後端部101Rから離間し、押圧部PRにより押圧が解除される。
【0073】
図26は、フロント板とバック板が固定される構造を示す側面図である。
【0074】
バック板103に設けられた係合爪ST1が図25に示す矢印方向に移動して、フロント板102に設けられた係合爪ST2に填り込んで、フロント板102とバック板103が接触する。これによりフロント板102とバック板103の位置規制がなされる。
【0075】
フロント板102には第1固定部KB1が設置されており、第1固定部KB1の内部において図26の上下方向に移動可能な第2固定部KB2に設置されている。第1固定部KB1、第2固定部KB2とも金属で形成されており、一定の強度を確保している。
【0076】
第2固定部KB2にはネジ部が形成されており、バック板103の穴HLを通じてネジBSが第2固定部KB2のネジ部にネジ止めされる。
【0077】
図27は、第1固定部KB1、第2固定部KB2を示す拡大図である。
【0078】
第2固定部KB2の上部には複数の凸部TE1が設けられており、バック板103には複数の凹部TE2が設けられている。ネジBSが第2固定部KB2のネジ部にネジ止めされると、第2固定部KB2が上方に移動し、凸部TE1と凹部TE2が一定の隙間を形成して噛み合う。この凸部TE1と凹部TE2が噛み合うことにより、カセッテ10が曲げられた時に突っ張って剛性を確保することが出来る。また、凸部TE1と凹部TE2が一定の隙間を形成することにより材料収縮時の差を吸収することが出来る。
【0079】
なお、本発明は当該実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 放射線画像読取システム
10 カセッテ
20 読取装置
101 プレート
102 フロント板
103 バック板
201 装填部
202 消去部
203 読取部
204 照射部
205 突起移動部
206 押下部
207 引出部
208 持上部
TR トレー
PR 押圧部
KD1 解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、輝尽性感光体プレートと、前記輝尽性感光体プレートを保持するトレーと、前記輝尽性感光体プレートを保持した状態の前記トレーを移動可能に収容するハウジングと、によって構成されるカセッテと、
少なくとも、放射線画像情報を読み取る読取部と、前記カセッテが装填される装填部と、前記装填部に装填された前記カセッテの内部から前記輝尽性感光体プレートと前記トレーを引き出す引出部と、前記引出部により引き出された前記輝尽性感光体プレートを前記読取部に向けて搬送する搬送部と、を有する読取装置と、
を備える放射線画像読取システムであって、
前記カセッテは、前記輝尽性感光体プレートと前記トレーが前記引出部により引き出される際に、前記輝尽性感光体プレートを前記トレーの基準位置に押圧する押圧部を有し、
前記引出部は、前記輝尽性感光体プレートと前記トレーを引き出して、前記輝尽性感光体プレートを保持した前記トレーを前記搬送部の基準位置に当接させることを特徴とする放射線画像読取システム。
【請求項2】
前記装填部には複数のサイズのカセッテが充填可能であり、
何れのサイズのカセッテが前記装填部に装填されても前記引出部による前記トレーの引き出し量が同一であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取システム。
【請求項3】
前記カセッテは、前記トレーが前記カセッテ内に完全に収容された際に前記押圧部による押圧を解除する解除部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−98645(P2012−98645A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248182(P2010−248182)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】