説明

放射線診断装置

【課題】被検体が載置されるブッキー台の高さ方向の位置決めを容易にできるようにする。
【解決手段】水平方向の発光素子列70は、ブッキー台30の上面の基準高さを示す。基準高さは、ブッキー台30の上面がこの基準高さに合っているとき、解剖学的に見てほとんどの場合に、被検体40の測定対象部位(腰椎42)の左右方向の幅がファンビーム22の幅に合うように定められている。操作者は、装置10の正面側からこの発光素子列70とブッキー台30の上面との位置関係を見て、ブッキー台30の上面の高さが基準高さにあっているか、及びブッキー台30と装置10とが相対的に傾いていないか(ブッキー台30の上面が水平かどうか)を確認する。そして、高さが合っていなかったり、傾きがあったりする場合には、操作者は、装置10又はブッキー台30の高さ又は傾きを調節することで、ブッキー台30の上面が発光素子列70に沿うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線ビームにより被検体の検査を行う放射線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線等の放射線を被検体に照射して測定や撮影を行う放射線診断装置では、被検体の測定範囲を適切に測定し、測定範囲以外の被ばくを減らすために、放射線の照射範囲に対して被検体を正しく位置決めする必要がある。
【0003】
このため、例えば、図12に例示する従来のX線骨塩量(骨密度)測定装置では、本体部100の天板110上に測定範囲の外周線112や中心線114が描かれている。
【0004】
この装置では、本体部100をブッキー台と呼ばれる検査用寝台の下に差し込み(例えば図3参照)、ブッキー台状に寝ている被検者に対して、例えば本体部100内のX線発生器から垂直上方に向けて、検出部120の長手方向に延びる矩形スリット状のX線ビームを照射し、透過したビームを本体部100(及び被検者)の上方に位置する検出部120で検出する。X線発生器と検出部120とをスリット面と垂直な方向に移動させることで、測定範囲内全域の測定を行うことができる。操作者は、例えばブッキー台の透明な天板を通して測定範囲の外周線112や中心線114を視認しつつ被検者を測定範囲に対して位置決めする。
【0005】
特許文献1には、天板の下にあるフラットパネル型X線検出器の位置が操作者から分かるように、X線検出器の上面に発光部材を設け、光を透過する天板を用いた放射線撮像装置が開示されている。
【0006】
特許文献2に開示されるMRI(磁気共鳴画像法)装置は、装置の内腔に扇形の平面光を発するLEDを備えており、そのLEDの光の扇形と患者との交線により、MRIの撮像面の位置を示す。
【0007】
また、例えばX線を用いた骨密度測定装置の中には、X線発生器からファン状に広がるX線を被検体に透過させるものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−296449号公報
【特許文献2】特開2005−517487号公報
【特許文献3】特開2000−116636号公報
【特許文献4】特許第3842169号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放射線発生装置からファン形状の放射線ビームが照射される場合、放射線発生装置からの距離に応じてビーム幅が変化するため、ビーム幅の変化がない矩形スリット状などのビームを用いる場合よりも、被検体をビーム照射範囲に対して正しく位置決めすることが難しい。例えば、ブッキー台の高さはまちまちであり、ブッキー台に横たわった被検者の高さにおけるビーム幅はそのブッキー台の高さによって変わってくる。このため、放射線発生装置の天板にビームの範囲が示されていたとしても、その範囲表示からは被検者の高さでのビーム幅は分からず、ビーム幅に合わせて被検者の測定部位を位置決めすることが困難である。
【0010】
本発明は、被検体が載置されるブッキー台の高さ方向の位置決めを容易にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る放射線診断装置は、放射線ビームを照射する放射線発生器と、前記放射線発生器に対して間隔をあけて配設され、前記放射線ビームを検出する放射線検出器と、前記放射線発生器の前記放射線ビームの照射範囲の一方の側において前記放射線発生器と前記放射線検出器とを連結する連結部材と、を備え、前記放射線発生器の前記放射線ビームの照射範囲の他方の側では、被検体を載置するためのブッキー台を挿入配置するために、前記放射線発生器と前記放射線検出器との間が開放されている放射線診断装置であって、前記連結部材は、前記ブッキー台の高さ合わせの基準を示す指標を有する、ことを特徴とする放射線診断装置である。
【0012】
一つの態様では、前記指標は、前記ブッキー台の上面の基準の高さを表すものである、ことを特徴とする。
更なる態様では、前記指標は、水平方向の線を表すものであることを特徴とする。
【0013】
更なる態様では、前記一方の側から前記他方の側へと見たときの前記放射線ビームの形状がファン形状であることを特徴とする
更なる態様では、前記指標は、前記発光表示器により構成されることを特徴とする。
【0014】
更なる態様では、前記連結部材は、前記他方の側から前記一方の側へと前記連結部材を見たときに前記ブッキー台に載置された被検体の体厚を判定するための体厚指標を更に有する、ことを特徴とする。
更なる態様では、前記連結部材は、前記放射線発生器から照射される前記放射線ビームの、前記他方の側から前記一方の側へと見た場合の形状を示すビーム形状指標、を更に有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放射線診断装置に対するブッキー台の高さ方向についての位置決めが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態の一例としての、支持アーム部にファン形状表示ラインが描かれたX線骨塩量測定装置を斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
【図2】図1のX線骨塩量測定装置を斜め下方向から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図1のX線骨塩量測定装置の本体部をブッキー台の下部に挿入した状態を、当該装置の正面側(すなわちブッキー台を挿入する開放端側)から見た状態を示す斜視図である。
【図4】X線ファンビームと被検体(腰椎)との位置関係を説明するための図である。
【図5】支持アーム部がファン形状となっているX線骨塩量測定装置の例を正面側から見た状態を示す図である。
【図6】支持アーム部にファン形状を示す発光素子列が配設されたX線骨塩量測定装置の例を正面側から見た状態を示す図である。
【図7】図6の装置を用いた測定作業の流れを説明するための図である。
【図8】エラー種類に応じた発光素子列の発光状態の一例を示す図である。
【図9】測定時間の経過に応じて発光素子列の発光状態を切り替える例を示す図である。
【図10】ファインビームの走査位置を表示する発光素子列を備えたX線骨塩量測定装置の例を示す斜視図である。
【図11】ブッキー台の基準面を表す発光素子列、及び被検体厚みの判定のための発光素子列を、備えたX線骨塩量測定装置の例を正面側から見た状態を示す図である。
【図12】従来のX線骨塩量測定装置の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図4に、本発明に係る放射線診断装置の一例であるX線骨塩量測定装置10を例示する。ここでは、人間の腰椎の骨塩量を測定する装置を例にとって説明するが、X線骨塩量測定装置10及び本発明に係る放射線診断装置は、そのような装置に限られるものではない。
【0018】
図1及び図2は、X線骨塩量測定装置10をそれぞれ斜め上方及び斜め下方から見た状態を示す斜視図である。図3は、ブッキー台30に対して本体部12を挿入した状態のX線骨塩量測定装置10を、正面側(すなわちブッキー台を挿入する開放端側)から支持アーム16に向かって見た正面図である。図4は、図3の状態でブッキー台30に被検体(被検査者)40が仰臥したときの被検体40の腰椎42の位置と、X線発生器20から発せられるファンビームとの位置関係を説明する図である。以下の説明では、これら図1〜図4を適宜参照されたい。
【0019】
これらの図に示されるように、X線骨塩量測定装置10は、大きく分けて、本体部12と、検出部14と、それら両者を連結する支持アーム部16とから構成される。
【0020】
本体部12はX線発生器20を内蔵している。X線発生器20(図4参照)は、本体部12の天板13の下に配設されている。本体部12の下部には移動用の車輪11が設けられており、この車輪11により、操作者は、装置10を押して、ブッキー台30の下に本体部12を差し入れることができる(例えば図3及び図4参照)。この例では、本体部12は鉛直上方から見た形状は矩形であり、その矩形の一辺に平行な図中矢印Aで示す方向を、この装置の「前後方向」と呼ぶことにする。この前後方向Aは、X線発生器20から検出部14に向けて放射されるファンビーム22(図では、そのファン形状の輪郭を破線で示している)のファン面(扇形の平面)に垂直な方向でもある。また、この前後方向Aのうち、ファンビーム22から見て支持アーム部16に向かう方向を便宜上「後ろ方向」と呼び、その逆方向を「前方向」と呼ぶこととする。なお、本体部12を上から見た矩形の辺のうち、この前後方向Aに垂直な辺に平行な方向を「左右方向」と呼び、図では矢印Bで表している。左右方向Bは、前後方向A及び鉛直方向の両方に垂直な方向である。
【0021】
図示は省略したが、本体部12内には高さ調整機構が設けられており、この機構により、装置10全体の高さを調整することができる。すなわち、この機構により、本体部12と検出部14とを、互いの間隔を維持したまま上下させることができる。
【0022】
X線発生器20は、X線管と、このX線管から放射されるX線の照射範囲を規定するコリメータとを備える、一般的な構造を持つ。このX線発生器20は、前後方向Aについては薄いスリット状で、左右方向BについてはX線管から鉛直上方に向けて扇(ファン)状に広がるファンビーム22を放射する。X線発生器20は、この例では、左右方向Bについては本体部12の中央に位置し、前後方向Aについては可動式となっている。すなわち、この例では、X線発生器20を前後方向Aに沿って移動させる走査機構が本体部12に内蔵されており、走査機構によりX線発生器20を方向Aに沿って移動させることで、ファンビーム22をそのファン面に垂直な方向Aに沿って走査することができる。図1では、ファンビーム22と天板13の上面との交線がその走査により移動する範囲の輪郭を矩形19で示している。この矩形19を、実際に天板13上に描いてもよい。この場合、操作者は、その描かれた矩形19を参照して、ブッキー台30上の被検体40をファンビーム22の照射範囲に対して位置決めすることができる。
【0023】
支持アーム部16は、本体部12の前後方向Aについての一方の端部から鉛直上方に延びている。この例では、支持アーム部16の天板13側の面17は、前後方向Aに対して垂直な面となっている。支持アーム部16は、検出部14を片持ち支持する。
【0024】
検出部14は、本体部12の鉛直上方に、本体部12の天板13とは間隔をあけて配置される。検出部14は、支持アーム部16に片持ち支持されており、支持アーム部16の上端から前方向に天板13上に張り出し、天板13の上方を部分的に又は全体的に覆っている。検出部14の底板15の面は、本体部12の天板13の面に平行である。検出部14は、X線検出器(図示省略)を内蔵している。骨塩量測定の場合、X線検出器は、多数のX線検出素子が左右方向Bに沿って一直線に並んだリニアアレイを備えている。X線検出器の左右方向Bについての幅は、例えば、当該X線検出器の高さにおけるファンビーム22の左右方向Bについての幅以上である。この例では、X線検出器を前後方向Aに沿って移動させる走査機構が検出部14に内蔵されている。この走査機構は、X線検出器が、本体部12内のX線発生器20の前後方向Aについての位置に対応した位置に来るよう、本体部12内の走査機構と同期してX線検出器を移動させる。これにより、どの走査位置にあっても、X線発生器20から照射されたファンビーム22が、検出部12内のX線検出器により検出されることとなる。
【0025】
図1の装置10では、本体部12と検出部14とが互いに平行に上下に配置されており、それら両者は、前後方向Aについての後ろ方向側の端部にて支持アーム部16により連結されている。また、本体部12と検出部14との前方向側の端部には、支持アームは設けられておらず、開放端となっている。装置10は、この開放端側から、ブッキー台30に差し入れられる。
【0026】
X線骨塩量測定装置10は、図3に示すように、ブッキー台30の長手方向(被検体が横たわったときの、頭と足先を結ぶ体軸の方向)に対して直角に、ブッキー台30に差し込まれる。この状態では、X線骨塩量測定装置10の左右方向Bがブッキー台30の長手方向と平行になる。また、この状態では、ブッキー台30の天板は、本体部12と検出部14の間に挟まれることとなる。ブッキー台30の天板は、本体部12の天板13上に描かれたファンビーム22の走査範囲を示す表示(矩形19など)が見えるように、透明又は半透明な材質としてもよい。
【0027】
被検体40は、図4に示すように、ブッキー台30の天板の上に、ブッキー台30の長手方向、すなわち装置10の左右方向に沿って横たわる。図4の例では、被検体40は、頭を図の右方向に向けた状態で仰臥する。この状態で、測定の対象である被検体40の腰椎42が、ファンビーム22の範囲内に過不足無く入るよう、被検体40と装置10との位置関係を調整する必要がある。
【0028】
そこで、このX線骨塩量測定装置10では、支持アーム部16の天板13側、すなわち前方向側の面17に、一対のガイドライン18(図1〜図3参照)を設けている。一対のガイドライン18は、X線発生器20から放射されるファンビーム22の左右両側の輪郭線を示している。すなわち、装置10の正面(開放端)側から後ろ方向に向かって支持アーム部16の垂直面17を見た場合に、ファンビーム22は、一対のガイドライン18の間を通ることとなる。
【0029】
ガイドライン18は、ファンビーム22のファン面の輪郭線を示すものであればどのようなものであってもよい。すなわち、例えば、面17に対して塗料で描いてもよいし、面17に対してシールとして貼付してもよい。
【0030】
操作者は、例えば、被検体40がブッキー台30上に仰臥している状態で、装置10をブッキー台30に対して図4に示すように差し込む。そして、装置10の正面側から支持アーム部16の面17を見ることで、測定対象である被検体40の腰椎42の部分が、一対のガイドライン18の間に過不足無く収まっているかどうかを判断する。腰椎42の部分が一対のガイドライン18の間の範囲から図中の左又は右方向にずれている場合は、操作者は、装置10を左又は右にずらすか、被検体40に動いてもらうかして、腰椎42の位置を、一対のガイドライン18の間にぴったり収まるようにする。また、ブッキー台30の高さによっては、被検体40の腰椎42が一対のガイドライン18から左右両方にはみ出したり、逆に腰椎42が一対のガイドライン18の間にすっぽり収まって両側にすきまができたりする場合がある。どちらの場合も、腰椎42の骨塩量を正しく測定することができず、後者の場合は、被検体40の測定対象外の部位の被ばくを増大させてしまうことにもつながる。このような場合、操作者は、本体部12の高さ調整機構により、装置10全体を上下させることで、腰椎42が一対のガイドライン18の間にぴったり収まるようにする。なお、装置10の高さを調節する代わりに、或いはこれに加えて、ブッキー台30の高さを調整するようにしてもよい。
【0031】
このように、図1〜図4に示す例では、支持アーム部16の正面側の面17に、ファンビーム22を前後方向Aに沿って後ろ方向に投影したときの輪郭線を示す一対のガイドライン18を示した。このガイドライン18により、操作者は、被検体40の測定対象部位(腰椎42)がファンビーム22にぴったり収まるように、被検体40と装置10との相互の位置関係を調整することができる。
【0032】
なお、ファンビーム22の範囲を一対のガイドライン18で示すのは、あくまで一例に過ぎない。例えばこの代わりに、ファンビーム22の範囲の輪郭線だけでなくその範囲(台形)全体を、その範囲の外とは異なる色とすることなどにより、示すようにしてもよい。
【0033】
また、図5に例示するように、支持アーム部16Aの形状自体を、装置10の正面方向から後ろ方向に見た場合に、ファンビーム22のファン面の形状を示すものとしてもよい。
【0034】
また、図6に示すように、ファンビーム22の範囲を示すガイドラインを、LEDなどの発光素子52の列50により表わしてもよい。すなわち、図6の例では、支持アーム部16の面17上に、ファンビーム22のファン面の左右の輪郭線に沿って、多数の発光素子52を並べる。これら発光素子52は、装置10内の電源から電力供給を受けて発光する。面17は、検査部14の影になっており、一般に暗いため、このように発光素子52の列50によりガイドラインを表示すれば、操作者にとって見やすい。
【0035】
また、発光素子52として、発光色を切り替え可能なもの(例えば、素子内に色の異なるLEDを複数備え、それらLEDのうちの一以上を選択的に発光させるもの)を用い、装置10の状態を列50の発光色で表現してもよい。例えば、一例として、測定準備状態(この間に装置10と被検体40の位置合わせを行う)と、測定状態(X線照射中)とを、発光素子52の発光色により表現するなどである。この場合、装置10の操作手順は、例えば図7に示すようなものとなる。
【0036】
すなわち、図7の手順では、装置10をブッキー台30に差し込んだ後、操作者は被検体40をブッキー台30に載せる(S10)。次に、操作者が、装置10の操作パネル(図示省略)上にある測定準備スイッチを押すと、装置10内の制御装置(図示省略)が、列50の各発光素子52を第1の色(例えば緑色)に発光させる(S12)。操作者は、この発光素子群52が表す第1の色のガイドラインを装置10の正面方向から見ながら、被検体40の体軸方向についての測定部位(図4の例では腰椎42)が、ファンビーム22の内側にぴったり収まるよう、被検体40と装置10との上下方向及び左右方向の相対的な位置関係を調節する(S14)。位置関係の調節が完了すると、操作者は、操作パネル上の測定開始スイッチをオンするなどにより、装置10に対して測定開始を指示する。この指示に応じ、装置10内の制御装置は、X線発生器20にファンビーム22を照射させ、被検体40を透過したファンビーム22を検出部14内のX線検出器に検出させる(S16)。ファンビーム22を前後方向Aに沿って走査する場合には、制御装置は、本体部12及び検査部14内の走査機構を制御して、X線発生器20とX線検出器とを同期的に方向Aに沿って移動させる。
【0037】
以上では、「測定準備」と「測定中」という2つの装置状態を、発光素子52が発光する色という発光状態により表現したが、別の装置状態を発光素子52群の別の発光状態により表現することもできる。例えば、測定中(X線照射中)に装置10にエラーが生じた場合に、そのエラーの種類を発光素子52群の発光状態により表現してもよい。図8の例では、エラーの種類を、発光素子52の時間的な点滅パターンにより表現している。図8の例では、例えば、X線管が照射不能期間に入った場合には、装置10内の制御装置は、発光素子52を、黄色で1秒ずつ点灯と消灯を繰り返す点滅パターンで点滅させ、X線管の管電圧に異常が生じた場合には、1秒点灯2秒消灯を繰り返す点滅パターンで点滅させる。
【0038】
また、図示は省略するが、左右の列50の発光を個別に制御することで、更に多くの発光状態を表現できる。例えば、左側の列50のみを発光させる場合、右側の列50のみを発光させる場合、及び両方の列50を発光させる場合で3つの状態を表現できる。これに、各列50の発光色や、各列50の点滅パターンを組み合わせることで、多数の状態を表現できる。これら多様な発光状態で、装置10の動作状態(動作モードなど)やエラー状態を表現することができる。
【0039】
また、測定開始からの経過時間を、発光素子52群のうち発光させるものの位置により表示するようにしてもよい。図9の例では、測定前(測定準備状態)では、装置10内の制御装置は、発光素子列50の全発光素子を緑色で発光させる。測定(X線照射)を開始すると、時間の経過に応じて列50の下側の発光素子52から順に黄色で発光させていく。例えば、測定開始直後では、左右の列50の最も下の発光素子52のみを黄色にて発光させる。その後、制御装置は、時間の経過に従って、下から順に発光素子52を点灯させていく。例えば、測定期間が半分経過した段階では、列50の下端から中央までの発光素子52が黄色にて点灯し、測定期間がほぼ終了する時点では、下端から上端までのすべての発光素子52が点灯するようにする。このような経過時間表示により、操作者は、測定期間がどの程度経過したかの目安を得ることができる。
【0040】
図6等の例では、支持アーム部16にファンビーム22の左右の輪郭を示す発光素子列50を設けたが、この代わりに、ファンビーム22の台形の範囲を示す面状の発光部を支持アーム部16に設けてもよい。
【0041】
また、図10の例では、検査部14の側面に前後方向Aに沿って発光素子列60を配設し、これによりファンビーム22の走査位置を表示する。すなわち、この例では、装置10内の制御装置は、列60上の発光素子のうち、ファンビーム22のファン面が存在する位置(走査位置)に対応する発光素子のみを発光させることで、走査位置を表示する。操作者は、この表示により、測定中の走査位置を知ることができる。
【0042】
図11の例は、支持アーム部16の面17上に、ファンビーム22の範囲を示す発光素子52の列50の他に、水平方向の発光素子列70と、垂直方向の発光素子列75を設けた例である。
【0043】
水平方向の発光素子列70は、ブッキー台30の上面の基準高さを示す。基準高さは、ブッキー台30の上面がこの基準高さに合っているとき、解剖学的に見てほとんどの場合に、被検体40の測定対象部位(腰椎42)の左右方向の幅がファンビーム22の幅に合うように定められている。操作者は、装置10の正面側からこの発光素子列70とブッキー台30の上面との位置関係を見て、ブッキー台30の上面の高さが基準高さにあっているか、及びブッキー台30と装置10とが相対的に傾いていないか(ブッキー台30の上面が水平かどうか)を確認する。そして、高さが合っていなかったり、傾きがあったりする場合には、操作者は、装置10又はブッキー台30の高さ又は傾きを調節することで、ブッキー台30の上面が発光素子列70に沿うようにする。
【0044】
垂直方向の発光素子列75は、支持アーム部16の面17の左右方向Bについての中心線に沿って、発光素子列70が示す基準高さから上方に向かって、あらかじめ定められた高さ範囲にわたって延びている。この発光素子列75は、被検体40の体厚の判定に用いるものである。すなわち、被検体40を透過するX線の量は、被検体40の体厚が厚くなるほど減衰するので、標準的な体厚より著しく厚い被検体40の骨塩量を測定する場合には、X線の強度を強くするなど、体厚が厚い人用の測定モードにする必要がある。そこで、図11の例では、測定モードを標準とするか体厚が厚い人用とするかの閾値となる体厚を発光素子列75により表現している。操作者は、装置10の正面側から面17を見て、発光素子列75の発光素子が被検体40により隠れて1つも見えなければ、装置10の測定モードを体厚の厚い人用に切り替える。
【0045】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、本発明は以上に説明した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される発明の範囲内で様々な変形、改良などが可能である。
【0046】
例えば以上の各例では、支持アーム部16の正面側の面17は、前後方向Aに対して垂直な面としているが、これは必須のことではない。面17が前後方向Aに対して垂直でない場合でも、ガイドライン18や発光素子列50は、ファンビーム22を装置10の正面側から後ろ方向に向かって、ファンビーム22の左右の輪郭線をその面17に平行投影したときに、各輪郭線の投影が面17を横切る線をガイドライン18又は発光素子列50とすればよい。
【0047】
また、以上では、測定対象として腰椎を例示したが、大腿骨など他の部位を測定する場合や装置についても、上述の各例の方式は適用可能である。また、更に言えば、骨塩量測定装置以外にも、放射線のファンビームを被検体の対象部位に対して正確に位置決めする必要がある装置には、上述の各例の方式は適用可能である。
【0048】
また、以上の例は、X線発生器20が下にありX線検出器が上にある構成であったが、それら両者の配置関係は逆でもよい。また、両者の配置関係が上下でなく左右である場合にも、上記の例の方式は適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 X線骨塩量測定装置、12 本体部、13 天板、14 検出部、15 底板、16 支持アーム部、18 ガイドライン、20 X線発生器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線ビームを照射する放射線発生器と、
前記放射線発生器に対して間隔をあけて配設され、前記放射線ビームを検出する放射線検出器と、
前記放射線発生器の前記放射線ビームの照射範囲の一方の側において前記放射線発生器と前記放射線検出器とを連結する連結部材と、
を備え、
前記放射線発生器の前記放射線ビームの照射範囲の他方の側では、被検体を載置するためのブッキー台を挿入配置するために、前記放射線発生器と前記放射線検出器との間が開放されている放射線診断装置であって、
前記連結部材は、前記ブッキー台の高さ合わせの基準を示す指標を有する、ことを特徴とする放射線診断装置。
【請求項2】
前記指標は、前記ブッキー台の上面の基準の高さを表すものである、ことを特徴とする請求項1に記載の放射線診断装置。
【請求項3】
前記指標は、水平方向の線を表すものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線診断装置。
【請求項4】
前記指標は、前記発光表示器により構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線診断装置。
【請求項5】
前記一方の側から前記他方の側へと見たときの前記放射線ビームの形状がファン形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線診断装置。
【請求項6】
前記連結部材は、前記他方の側から前記一方の側へと前記連結部材を見たときに前記ブッキー台に載置された被検体の体厚を判定するための体厚指標を更に有する、ことを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載の放射線診断装置。
【請求項7】
前記連結部材は、前記放射線発生器から照射される前記放射線ビームの、前記他方の側から前記一方の側へと見た場合の形状を示すビーム形状指標、を更に有する、ことを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載の放射線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−81365(P2012−81365A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21647(P2012−21647)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【分割の表示】特願2010−118186(P2010−118186)の分割
【原出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】