説明

放射能標識のための[18F]SFBの単純化ワンポット合成

【課題】[18F]SFB合成を改良し簡略化する。
【解決手段】[18F]SFBの非水性単一ポット合成が説明される。この方法で生成された[18F]SFBは、次に例えばペプチドまたは改変抗体断片(ダイアボディ)を標識し、これは注射可能な組成物としての標識化合物の代表例であるヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を標的として、動物またはヒト内の病的組織、具体的には腫瘍を、PETスキャンを使用して特定するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2008年9月16日に提出された米国仮出願シリアル番号61/097,463および2008年11月20日に提出された米国仮出願シリアル番号61/116,527からの利益が請求される。この発明は、エネルギー省(DOE)によって与えられた許可番号DE−FG02−06ER64249および国立衛生研究所(NIH)によって与えられた許可番号P50CA086306の政府支援でなされた。連邦政府エネルギー省(DOE)および国立衛生研究所(NIH)は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
無水鹸化法を使用した18F標識部分、および人体を含む動物内の病変組織を標的にする際に使用される、F−18で標識された生体分子の調製が説明される。
【背景技術】
【0003】
PET(陽電子放射断層撮影法)は、強力な非侵襲性分子撮像技術であり、これは、体積および標的深さに独立した方式で、体内での生理学的相互作用を視覚化および定量化するのに十分な感度を提供する。PETは、癌、心血管疾患、および神経変性病等の種々の疾患を非侵襲的に検出するのに臨床的に広く使用されている。特定の陽電子放射標識された分子プローブを用いて、PETは生命体の特定の生理学的および生化学的機能の状態を解明することができる。このシステムは、陽電子放出の場合に、互いに約180度で放射されたガンマ線の対を検出する。得られた情報により、トレーサー位置および濃度の三次元画像が数学的に再構築されて、対象となる体内の生物学的システムの生理学的および機能的変化を視覚化することが可能である。
【0004】
PETトレーサーは、短命の陽電子放出同位体で標識された化学的および/または生物学的分子である。PETトレーサーは、スキャンの直前に動物または人間に注射される。トレーサーは体内を通って標的部位に到達し、その放射位置は、標的受容体濃度、標的タンパク質分布または放射能標識された分子の代謝のような特定の生物学的機能についての情報を解明する。体内での生物学的メカニズムに従って異なる生物学的標的と相互作用する種々のPETトレーサーが開発されている。それらの幾つかは、臨床的に利用可能となっており、18F−標識されたPETトレーサー(例えば[18F]FDG、[18F]FLT、および[18F]FDOPA)および11C−標識されたPETトレーサー(例えば[11C]アセテート、[11C]コリン、および[11C]メチオニン)のように、病気の診断および治療効果の監視に有益であることが分かっている。
【0005】
入手可能なPET放射性核種の中で、フッ素−18(F−18)が臨床の場で最も広く使用されている。C−11の半減期は非常に短い(20.4分間しかない)が、F−18はより長い半減期(110分間)を有する。F−18標識された化合物がより望ましい。なぜなら、このより長い半減期が、数時間続くことのある生体内の生物学的研究だけでなく、多工程の放射化学的操作をも可能にするからである。これらの特有の構成は、生物医学的サイクロトロンを使用したその大量生成の容易性、F−18を所望の構造内に組み込むための十分に確立された合成方法、およびその低い陽電子エネルギーによる結果画像の高い空間分解能ゆえに、フッ素−18をPET撮像にとって非常に魅力的な同位体にする。加えて、その多量の陽電子存在量および準単色放射は、単純化された検出、データ加工およびより高感度につながる。F−18は新規なPETトレーサーの開発にも好ましい。なぜなら、それが高い比活性度で利用可能だからである。フッ素−18化学の汎用性は、少量の有機分子を起源とした大量の有用なPETトレーサーをもたらすだけでなく、タンパク質またはペプチド(アネキシンV、VIP、RGD、抗−CEAダイアボディ(diabody)等)等の一定の高特異性標的生体分子を貴重なPETトレーサーに変換する可能性をも有する。
【0006】
ペプチド、タンパク質、抗体、ダイアボディ、ミニボディ(minibodies)およびその他のような生体分子は、PETトレーサーの役割として重要性を獲得している。それらは、例えばF−18等の陽電子放射体で一度標識されると、潜在的な治療としてだけでなく、PET撮像プローブとしても役立つ。放射能標識された生体分子を生体内の標的受容体−(過剰)発現組織に適用する概念は、腫瘍病巣を可視化するための非常に有益な診断ツールとして免疫(Immuno)PETに新しいアプローチを開いている。しかしながら、通常は大抵の生物学的試料と相容れない直接的な放射性フッ化法を伴う過酷な化学的条件のため、放射性核種でタグを付けられた補欠分子族を生体分子内に組み込むことが選択法となる。
【0007】
しかしながら、図面において[18F]4としても同定されているN−スクシンイミジル4−[18F]フルオロベンゾアート([18F]SFB)等の適当な標識タグの利用可能性が制限されていることにより、18F−標識されたペプチドおよびタンパク質のような生体分子の、陽電子放射断層撮影法(PET)への幅広い使用が妨げられている。[18F]SFBは、生体分子の一級アミンと反応することができるため、それは、生体内での安定性および放射能標識収量の観点で、ペプチド、タンパク質、および抗体を放射能標識するための適当かつ万能な18F−補欠分子族であることが実証されている。しかしながら、先行技術で説明されているこの化合物を得るための長々とした合成法は、生体分子をPETプローブとして放射能標識するためのその幅広い使用を妨げている。[18F]SFBを調製する幾つかの先行する利用可能な代表的方法が、表1にまとめられている(図1)。
【0008】
文献で説明されている[18F]SFBの放射化学合成のほとんどは、2から3の反応器および多重SPEまたはHPLC精製を必要とする。図2を参照して、2つの先に説明された前駆体、(4−エトキシカルボニル−フェニル)トリメチルアンモニウムトリフラート(1a)(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)および(4−tert−ブトキシカルボニル−フェニル)トリメチルアンモニウムトリフラート(1b)(非特許文献4;非特許文献5)が、放射化学的収量(RCY)および放射化学的純度と同様に化学的純度の観点で比較された。この比較は、両方の経路における脱保護工程の後で繰り返された。1aの使用が1bよりも優れていることが見出された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wester HJ、Schottelius M.ペプチドおよびタンパク質のフッ素−18標識).PET化学−分子撮影における推進力、Schubiger PA(ed)、Lehmann L(ed)、Fiebe M(ed).Springer:Berlin Heidelberg、(2007)
【非特許文献2】Haka MS、Kilbourn MR、Watkins GL、Toorongian SA.J Label Compd Radiopharm;7:p823−833(1989)
【非特許文献3】Guhlke S、Coenen HH、Stocklin G.Appl Radiat Isot;45、p715−727(1994)
【非特許文献4】Wester HJ、Hamacher K、Stoecklin G.Nucl Med Biol. 23、p365−372(1996)
【非特許文献5】Hostetler ED、Edwards WB、Anderson CJ、Welch MJ J Label Compd Radiopharm、42、pS720−S722(1999)
【非特許文献6】Kabalka G、J Label Compd Radiopharm、51、p68−71(2008)
【非特許文献7】Carroll M、J Nucl Med、49(S):p298P(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
種々の半自動化合成器でモジュール補助された[18F]SFB生成が報告されているが、その一般的な使用には未だ幾つかの欠点がある。特に、Westerら6.(非特許文献1;非特許文献4)により公にされているように、2つの固相抽出(SPE)工程を3つの異なるカートリッジで行うために必要なものは、非常に多くのことを要求する。種々の実施は、SPE工程を行う市販の合成器の修正を含む。これらのハードウェアおよびソフトウェアの変更は、エンジニアリングの専門知識を欠いている研究所および工場がその方法を繰り返すことを困難にしている。近時、Kabalkaら(非特許文献6)は、3工程、ワンポット法に基づく[18F]SFBの効率的な調製を説明した。その全工程は約60分間で行われ、脱保護/加水分解工程は水性テトラプロピルアンモニウム水酸化物溶液で行われる。続いて時間消費する共沸乾燥が水性試薬の利用のため必要である。Carrollらによって公にされたもう1つのアプローチ(非特許文献7)は、ヨードニウム塩前駆体を利用して[18F]SFBを1工程、ワンポット法で調製することである。これは非常に魅力的な経路であるが、全収量が低く前駆体も不安定である。それゆえ、[18F]SFB合成の更なる改良および単純化は、自動化法での使用に非常に有益となるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
18F]SFBの非水性単一ポット合成が説明される。この方法で生成された[18F]SFBは、次に例えばペプチドまたは改変抗体断片(ダイアボディ)を標識し、これは注射可能な組成物としての標識化合物の代表例であるヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を標的として、動物またはヒト内の病的組織、具体的には腫瘍を、PETスキャンを使用して特定するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】5つの異なる前駆体を異なる調製工程で用いた先行技術の反応の特徴を比較した表である。
【図2】[18F]SFBを調製するために使用される4つの代表的な反応スキームを示す。
【図3】本発明の特徴を組み込んだワンポット法を使用した[18F]SFBの合成の反応を説明している。
【図4】図3に示された合成に従って調製された[18F]SFBの分析を描いた液体HPLCおよび放射−TLC(より小さい挿入グラフ)クロマトグラムを示す。
【図5】[18F]SFBおよび[18F]FB−標識されたHER2−標的ペプチドの反応混合物のUV(上方のグラフ)および放射性HPLC(下方のグラフ)図を示す。
【図6】マイクロスピンカラム精製前の[18F]SFBおよび[18F]FB−標識された抗−HER2ダイアボディの反応混合物のサイズ排除クロマトグラムである。放射能は上方の曲線で示されている;下方の曲線はUV−トレースである。
【図7】マイクロスピンカラム精製後の[18F]FB−標識された抗−HER2ダイアボディの反応混合物のサイズ排除クロマトグラムである。放射能は上方の曲線で示されている;下方の曲線はUV−トレースである。
【図8】MCF7−HER2異種移植片中で[18F]FB−標識されたHER2標的ペプチド(左側の像)(2時間注射後)および抗−HER2ダイアボディ(右側の像)(4時間注射後)を使用したマウスの免疫PET/CTである。
【図9】MCF7−HER2異種移植片(冠状(頂部)および横断(底部))を担持したヌードマウスの1時間動的スキャンのマイクロ−PET/CT像の各セットの時系列である。像枠の時間が秒で示されている。三角形の印は腫瘍の位置を示した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
典型的な先行技術の[18F]SFB放射能合成は、約90〜120分間の全合成時間で3つの工程を含む。最終的な生体分子トレーサーの追加的な標識および精製は、全工程を時間消費させるとともに非常に複雑にする。放射化学設備にアクセスできる個人および放射化学の専門知識を有する職員だけが、[18F]SFBを日常的に使用して研究を行うことができる。[18F]SFBの合成への先行技術の一般的なアプローチは、1または2の反応器で行われ得る。しかしながら、公にされている方法のほとんどは、幾つかのカートリッジまたはHPLC精製工程を必要とする。加えて、共沸蒸留乾燥工程がたいていの方法に必要となるが、これは水溶液が脱保護/鹸化反応のために一般に使用されるからである。Kabalkaらにより説明された単一容器の方法において、容器は、活性/N−ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)エステル形成の前に、共沸乾燥を使用して洗浄され湿気除去されなければならない。短い合成時間および同等の放射化学的収量での[18F]SFBの単純合成がそれゆえ非常に望ましい。
【0014】
従来説明されている全ての放射能合成は、主たる中間アルキル4−[18F]フルオロベンゾアートの脱保護のために、水性塩基性溶液を使用して、対応する4−[18F]フルオロベンゾアートを得ている。この溶液中の水は、次に続く[18F]SFBを形成するために使用されるO−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TSTU)との反応と相容れない。それゆえ反応混合物は乾燥させなければならない。これはSPEの溶出液の共沸蒸留またはそれを硫酸ナトリウムカートリッジに通すことにより通常達成される。
【0015】
ここで説明されるのは、これらの全てのアプローチに適用され得るエチル4−[18F]フルオロベンゾアート(「18F」2)の脱保護戦略のための無水系である。ジメチルスルホキシド(DMSO)中のカリウムtert−ブトキシド(t−BuOK)の利用は、水の必要性を無くし、得られた溶液の最終的な塩基性は、N−ヒドロキシスクシンイミド部分とTSTUとのカップリングを触媒するのに十分である。
【0016】
生成された[18F]SFBは、次にMerck ENカートリッジでSPEにより精製され、ジエチルエーテルで溶出され得る。溶媒の蒸発の後、[18F]SFBは水性緩衝液内で溶解され、ペプチドまたはダイアボディ(diabody)の溶液が標識用に添加される。ここで説明される発明に従って標識された短ペプチドのために、放射性トレーサーの精製が逆相HPLCを介して標準的な分取用C18カラムで行われ、生成物溶液の体積が回転蒸留によって減少される。ダイアボディのために、精製はマイクロスピンカラムを使用して行われる。溶出は体内または体外の研究に直接使用される。
【0017】
従来の水性反応スキームとは対照的に、本発明は効率的な無水脱保護方法を含み、[18F]SFB合成は、中間の共沸乾燥の必要性無しで単一の反応器内で行われ得るようになっている。加えて、適用された塩基は、[18F]3の最終的な活性化をすぐに触媒することができる。本発明によって改良された先に公にされた方法の幾つかの特徴は、(1)無水試薬を脱保護工程に適用し、これにより中間化合物のSPE分離および蒸発による溶媒の対応する除去の必要性を排除し、(2)マイクロ波エネルギーを使用して反応を促進し合成時間を短縮することである。
【0018】
本発明の特徴を組み入れた放射能合成方法は、図3に示された反応スキームで描かれる方法に従う。炭酸イオンが塩基として存在する状態で、エチル4−トリメチル−アンモニウム−ベンゾアートトリフラート1aのようなアルキルまたはアリール4−トリメチルアンモニウムベンゾアートトリフラート前駆体を、[18F]フッ化物の乾燥カリウム−クリプトフィクス(Kryptofix)−2.2.2錯塩とDMSO中で100℃で15分間反応させる。適当なアルキル基の例は、メチル、エチル、i−プロピル、ベンジル等を含むがこれらに限定されず、適当なアリール基の例は、フェニルまたは置換フェニルを含むがこれらに限定されない。クリプトフィクス系の代替として、炭酸セシウムを[18F]フッ化物のための活性対イオンの源として使用することができ、それは塩基としても働いて標識および活性反応を可能にすることができる。放射性フッ化が完了した後、塩基性無水/非プロトン性溶媒を添加し、反応容器を再加熱する。適当な無水/非プロトン性溶媒の例は、無水DMSO中のt−BuOK、DMFまたはピリジン中のLiCl、DMSO中のNaCN、KO2、ベンゼン中の18−クラウン−6、EtOAc中のLiI、MeCN中のTMSClまたはNaI、トルエン中のMgI2、およびベンゼン中の(Bu3Sn)2Oを含むがこれらに限定されない。脱保護工程を100℃で10分間行う。最後に、活性化剤、たとえばアセトニトリル中のO−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、(MeCN中のTSTU)の溶液を、反応混合物を含んだ4−[18F]フルオロベンゾアートに添加する。90℃で10分間加熱した後、[18F]SFBを得る。加えて、全工程がマイクロ波エネルギー/加熱を利用することによりさらに短縮化し高速化される(図3のスキーム(b)を参照)。
【0019】
一度[18F]SFBを形成すると、それはペプチドまたはタンパク質を標識するのに使用され得る。例として、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を標的にする短ペプチドの標識が以下に説明される。
【0020】
ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)は、重要な生体指標化合物である。なぜなら、それが乳癌に顕著な割合で過剰発現されるからである。文献で報告されているのは、短ペプチド鎖(KCCYSL)が体内および体外の両方でHER2に特定的に結合し得ることである。この場合ペプチドを、マウス内での単格子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)のため、インジウム−111を具備したキレートリンカーにより放射能標識した。HER2を[18F]SFBで標識するために、アミノ酸鎖KGSGを結合部分KCCYSLに添加して、フッ素−18標識のためのアンカーを提供した。フッ素−18は、[18F]SFBと分子内のレジンの一級アミンとの反応によりこのアンカーに結合して、アミド結合を形成することができる。この反応は生体分子の放射性フッ化のための選択法であることがわかった。
【0021】
説明された[18F]SFBの放射能合成の新規な特徴は、2つのSPEユニットおよび中間の1つの乾燥工程を置き換えてその全体の複雑化を大幅に減少させる無水脱保護戦略である。短縮された全合成時間は、増加した比放射能を有する最終的なプローブともなり、これは標識されたプローブで行われる分析または撮像の質に影響を与える重要な変数である。放射化学者は、かなり低いレベルの開始放射能で作業をすることも可能であり、それでも同じ最終活性レベルを達成することができる(放射性崩壊の時間が減少されるからである)。減少した複雑性は、広い層の調査員がこのプローブをルーチンベースで使用することも可能にする。更に、より単純な合成は、自動化するのにさらにより容易である。加えて、マイクロ波モジュールの使用は、この重要なフッ素−18標識タグの迅速かつ高い信頼性の自動化生成を可能にする。
【0022】
修正された方法が最適化された条件で操作されることは、[18F]SFBのRCYおよび放射化学的純度につながり、これは従来の工程のために文献で説明されたものと少なくとも同等である。加えて、[18F]SFBの化学的純度が最適化されて、図4に示されたUV吸収曲線および高性能液体(HPL)クロマトグラムを提供する。放射化学的収量および純度の改善の他に、工程の自動化は、使用される放射能の量の増大を可能とし、[18F]SFBをよりアクセスしやすくする。より多くの放射能の量が必要であるのは、[18F]SFBが生体分子の放射能標識のための唯一の18Fタグであり、生体分子の最終的な標識工程がしばしば低い放射化学的収量を示すからである。加えて、説明された工程は、顕著な再現性を有し、[18F]SFBルーチン生成のために高い信頼性で使用され得る。
【0023】
改良され簡略化された合成は、[18F]SFBのルーチン生成を放射化学者でない者にとって更により実用的かつ魅力的にする。もし[18F]SFBがより広く利用可能で使用され得るなら、18Fで標識された生体分子を研究ツールとして使用した生物学的発見および臨床研究は、活発になると思われる。多くの生物学者および臨床家は、様々な生体分子に18F−標識を組み込む能力から利益を得ることができるだろう。加えて、PETNETのような市販の放射性医薬は、既に安価なF−18イオンのネットワーク源を提供しており、ここで説明された方法から[18F]SFBを作製する自動化されたアプローチと組み合わせて、その使用は大幅に拡大され得る。ここで説明された方法は、[18F]SFB合成を行う全自動化システムに適用されることが可能であり、動物または人間の臨床前および臨床研究のための種々の18F−標識された生物学的プローブの開発に繋がり得る。
【実施例】
【0024】
実施例1:慣習的な加熱を使用したN−スクシンイミジル4−[18F]フルオロベンゾアート([18F]SFB)のワンポット合成
キャリア未添加の[18F]フッ化物を、RDS−112サイクロトロン(Siemens Medical Solution、Knoxville、TN)を使用した11MeVプロトン線の97%18O濃縮水の放射により、核反応18O(p,n)18Fから生成した。[18O]H2O内の水性[18F]フッ化物溶液10から50μl(37〜370MBq)を、クリプトフィクス222(K222)10mg(26.6μmol)と混合し、1M水性K2CO3溶液13μlおよび無水MeCN(biotech grade:生物工学品質)1mlを、次に90℃に余熱された油浴内のシリコン隔壁で閉鎖されたV−バイアル瓶(Wheaton(Millville、NJ))内に添加した。混合溶液を90℃で5分間加熱し、真空吸引(800mbar)を行って混合物が乾くまで共沸蒸発により水を取り除いた。室温まで冷却した後、無水MeCN1mlをバイアル瓶内に添加し、上記と同じ条件を使用して共沸蒸発を繰り返して、無水([K⊂2.2.2]18[F]F塩を生成した。この標識工程の放射化学的収量は、20分の蒸発の後で80および90%の間である。
【0025】
室温に冷却した後、無水DMSO(300μl)0.3mlのエチル4−トリメチルアンモニウムベンゾアートトリフラート3mgを、乾燥したK222/[18F]Fを含むバイアル瓶内に添加し、その混合物を100℃で15分間加熱してエチル4[18F]フルオロベンゾアートを生成した。冷却後、無水DMSO0.3ml内のt−BuOK10mg(89.1μmol)をバイアル瓶中に添加して、100℃で10分間加熱し、エチルエステルの脱保護を行ってカリウム4−[18F]フルオロベンゾアートを生成した(脱保護工程)。冷却後、無水MeCN2.5ml中のTSTU20mgの溶液を添加し、次に90℃で10分間加熱して、[18F]SFBを生成した(カップリング工程)。冷却後、5%水性酢酸1mlを、バイアル瓶内に注入して反応を停止させ、次に全反応混合物を、5%水性AcOH8mlを含んだ25mlの注入器へ、正圧(15〜20psi)の窒素下で移送して、混合物を希釈した。希釈された溶液を、正圧(5〜10psi)のN2下で、EtOH10mlおよび5%水性AcOH10mlであらかじめ調製されたMerck ENカートリッジ(200mg)を通過させた。カートリッジを、次にMeCN/H2O/(v/v、1/2)10mlの混合溶媒を使用して洗浄した。最後に、捕捉された[18F]SFBを、エチルエーテル3mlを使用してカートリッジから溶出し、水浴(30℃)内に置いたもう1つのV−バイアル瓶内に収集した。エーテル溶媒をN2の軟風および攪拌で除去した。PBS(pH7.4)100から200μlをエーテル除去後に残っている組成物に添加して[18F]SFBを再溶解した。PBS(pH7.4)内の[18F]SFBの最終的な溶液を、HER−2標的ペプチドまたはHER−2ダイアボディのその後の標識のために直接使用した。
【0026】
上記の記載は、複数の操作条件うちの1組を説明している。当業者は、これらの複数の操作条件が変更されて反応の各工程を最適化することが可能であり、これらの操作条件の変更は最終生成物の収量および品質に僅かな相違しかもたらさないことを理解するだろう。例えば、この実施例1の操作条件に関して、代替的な反応温度および時間は、標識について5〜15分間で90〜100℃であり、脱保護は約5〜10分間で約90℃から約100℃であり、カップリング工程は約9〜10分間で85℃〜90℃で行われる。更に、他の弱酸性水溶液を5%水性酢酸に変えて使用することが可能であり、溶出剤はエチルエーテル以外の有機溶媒とすることができる。
【0027】
実施例2:マイクロ波加熱からの[18F]SFBのワンポット合成
市場で入手可能なマイクロ波システム(Discover;CEM,Matthew,NC)のマイクロ波空洞を、5mLのWheaton V−バイアル瓶を受容するように修正した。このバイアル瓶は、磁気攪拌棒およびバイアル瓶内に延在する管類の接続部を備えたPEEK蓋を具備している。この遠隔制御された放射化学的設備は、7つの電気的にスイッチされるソレノイド弁を利用しており、これらを1/16”テフロン管類を通したPEEKアダプタによってV−バイアル瓶に接続した。3つの弁を使用して、ルアーアダプタを具備した管類を通して試薬の搬送を制御した。溶液出口として役立つ1つのポートが管類を具備していて、そのポートがバイアル瓶の底に延在した。もう1つのポートはバイアル瓶の通気を提供する。残りのポートの1つは圧力下の窒素に接続されていて、第2の残りのポートが真空ポンプに接続されている。マイクロ波空洞を制御するために、CEM Synergyソフトウェアを使用した。
【0028】
182O]内の水性[18F]フッ化物溶液10から50μlを、クリプトフィクス222(K222)10mg(26.6μmol)、1M水性K2CO3溶液13μlおよび無水MeCN1mlと混合し、次にマイクロ波空洞内に置いたV−バイアル瓶(Wheaton)内に移送した。真空を混合溶液に与えて、これを、マイクロ波合成器(CEM Discover)を使用して3分間20W出力にさらして、共沸蒸発により水を除去した。冷却空気の強風を使用して室温に冷却した後、無水MeCN1mlをバイアル瓶に添加した。共沸蒸発を、同じ条件を使用して再度繰り返して、無水K222/[18F]F錯体を生成した。
【0029】
室温に冷却した後、無水DMSO0.3ml内のエチル4−トリメチルアンモニウムベンゾアートトリフラート3mgを乾燥したK222/[18F]Fのバイアル瓶内に添加し、その混合物を1分間50Wのマイクロ波エネルギーにさらしてエチル4−[18F]フルオロベンゾアートを生成した(標識工程)。冷却後、無水DMSO0.3mlに溶解されたt−BuOK10mg(89.1μmol)をバイアル瓶に添加し、1分間40W出力にさらして脱保護工程を行い、カリウム4−[18F]フルオロベンゾアートを生成した。冷却後、無水MeCN2.5ml内のTSTU20mgの溶液をバイアル瓶に添加し、次に2分間30W出力にさらしてカップリング反応を行い、[18F]SFBを生成した。冷却後、5%水性酢酸1mlをバイアル瓶内に注入して反応を停止させ、次に混合物を希釈し、全反応混合物を正圧(15〜20psi)の窒素下で5%水性AcOH8mlをも含む25ml注入容器内に移送した。希釈された溶液を、正圧(5〜10psi)のN2下で、EtOH10mlおよび5%水性AcOH10mlであらかじめ調製されたENカートリッジ(Merck)を通過させた。カートリッジをMeCN/H2O(v/v,1/2)混合溶媒10mlを使用して洗浄した。最後に、カートリッジに捕捉された[18F]SFBを、エチルエーテル3mlを使用して溶出し、水浴(30℃)内に置いたもう1つのV−バイアル瓶内に収集した。エーテル溶媒をN2の軟風および攪拌により除去した。PBS(pH7.4)100から200μlをエーテルの除去後に残っている残渣に添加して[18F]SFBを再溶解した。PBS(pH7.4)内の[18F]SFBの最終溶液を、次にペプチドまたはダイアボディの後続の標識のために使用した。
【0030】
上記の説明は、複数の操作条件のうちの1つの組を説明したものである。当業者は、これらの条件が変更されて反応の各工程を最適化し得ること、およびこれらの操作条件の変更は最終生成物の収量および品質に僅かな相違しかもたらし得ないことを理解するだろう。例えば、この実施例2の操作条件に関して、反応容器に与えられるマイクロ波エネルギーおよび時間の代替的なレベルは、標識工程について1〜3分間で20W〜60Wであり、脱保護工程について約1分間で約40W〜50Wであり、カップリング工程は約2分間約30〜40Wで行われる。
【0031】
実施例3:SPE−精製された[18F]SFBを使用したHER−2標的ペプチドの放射能標識
ペプチド標識のために、PBSバッファ(pH7.4)中の[18F]SFBを、pH8.5ホウ酸ナトリウム緩衝液内のHER2標的ペプチド(KGSGKCCYSL、5mg/mL)またはそのスクランブルバージョン(KGSGKYLCSC)の溶液に、2つの溶液の体積比5:1で添加した。標識反応は45分間行われた。最終生成物の放射‐HPLクロマトグラムに基づいて、対応する18F標識されたペプチドの全標識収量は約60から約80%である(図5)。反応混合物の一部を、次に半調製逆相放射性HPLCシステム内に更なる精製のために注入した。ペプチド保持時間に相当する放射能トレース(radiotrace)のピークを収集した。その後、溶液の全体積を遠隔制御されたマイクロロータリー蒸発器内で減少させて、それをマイクロPET調査のために用意された食塩水で希釈した。
【0032】
実施例4:SPE−精製された[18F]SFBを使用した抗HRE2ダイアボディの放射能標識
18F]SFBを、ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.5、50mM)内の抗HER2ダイアボディ溶液(600μL)に添加し、その反応を45分間進行させた。放射能標識された複合体を、Micro Biospin 6クロマトグラフィカラム(Bio−Rad、Hercules、CA)を使用して、ホウ酸ナトリウム緩衝液であらかじめ平衡状態に置いた遊離[18F]SFBおよび[18F]FBAから分離した。マイクロスピンカラム精製の前および後の、[18F]FB標識された抗HER2ダイアボディの反応混合物のサイズ排除クロマトグラフィーが、それぞれ図6および図7に示されている。放射能が上方の曲線で示されており、下方の曲線はUV−トレースである。スピンカラム分離を75μL分割量(aliquots)で行ったが、これは最大カラム体積であった。放射能標識されたダイアボディの追加の分割量を、Jupiter300(C18;Phenomenex、Torrance、CA)を使用して、サイズ排除HPLC精製にかけた。インスタント薄層クロマトグラフィー(ITLC;Biodex、Shirley、NY)を使用して、精製された[18F]FB標識されたダイアボディのマイクロリットルあたりの放射化学的収量および比活性度を決定した。1μLの複合体をインスタント薄層クロマトグラフィーによって評価し、続いて生理食塩水内で流動化(mobilization)した。ストリップが半分(ボトム−バウンド放射能標識、トップ−フリー放射能標識)に切断され、ガンマカウンタ(Wizard3、Perkin Elmer、Waltham、MA)でカウントされた。
【0033】
実施例5:マイクロ−PET調査
マイクロ−PET調査のために、複数の雌のヌードマウス(生後4から5週間)にエストラジオールペレットを2ヶ月間投与し、次にそれらの右脇腹の皮下に腫瘍細胞(MCF−7およそ107細胞)を注射した。腫瘍がおよそ1000mm3に成長した後、この異種移植片担持マウスに、麻酔ベッドにおいて酸素中のイソフルランで麻酔をかけ、次に上述の実施例3に従って生成された18F標識HER−2ペプチド、そのスクランブル類似体または上記実施例4に従って精製された18F標識されたダイアボディ(100μL中40〜80μCi)を、側尾静脈を介して注射した。ヌードマウスを、麻酔下でMicroPET Focus 220スキャナまたはInveon(Siemens Preclinical Solutions、Knoxville、TN)で撮影した。図8は注射後2時間および4時間で10分間の静的捕捉を用いて得られた像を示す。腫瘍が囲まれて矢印で示されている。
【0034】
図9に示されているのは、放射性トレーサーの尾静脈注射の直前に開始された10s時間枠を使用した動的撮像である。動的10s時間枠が注射後10分間にわたって継続された。これらの次に、注射後10分間で9回の5分間時間枠が開始された。像はフィルター逆投影またはMAP双方向再構築(interactive reconstruction)を使用して再構築された。実験の最後に、動物は7分間のスキャンのためにマイクロCTスキャナに移送された。
【0035】
上記に説明されたように、N−スクシンイミジルエステル4−[18F]フルオロベンゾアート([18F]SFB)は、PETスキャンのような診断法において放射能標識標的リガンドに潜在的に使用されて、人間を含む動物の体内の病変細胞を特定することが可能である化合物として良く知られている。このような例において、[18F]SFBはタンパク質のような生体分子に付着され、これは具体的には標的組織に付着される。一般的に言えば、[18F]SFBはアミノ酸の一級アミン残基と反応する。この[18F]SFB標識された生体分子は、体内、典型的には血管内に、通常は注射により導入され、標的組織の部位に移動することを可能にし、これは次に放射能となり、放射能検出スキャンまたはプローブを使用して検知され得る。このように標識された生体分子の主たる使用は、PETスキャンによる特定のために癌組織を標的にすることであるが、このような放射線放出生体分子の使用は制限されていない。体内の標的組織は、一度このように放射能標識された生体分子で標識されると、腹腔鏡法により導入されたまたはカテーテルチップ上の相互操作放射能検出プローブおよび低侵襲性プローブにより特定され得る。加えて、放射能標識された組織は癌組織に限定されず、アテローム硬化(atheroslerotic)プラークの堆積のような他の異常な生理条件と同様に、良性腫瘍および神経変性病と同様に血塊の特定を含んで良い。
【0036】
ここで説明された発明は、[18F]SFBの調製、それに続くペプチドまたは組み換え型抗体断片の[18F]SFBによる標識、および体内の1または複数の腫瘍を特定するための18F標識された生体分子の使用の発明の特徴を組み入れた2つの実施例を提供するが、ここで説明された発明はそのように限定されない。
【0037】
ペプチドまたはHER2の標識は、標識された生体分子の例として提供されるが、他の生体分子は同様なやり方で[18F]SFBで標識され得る。例えば、[18F]SFBは、ウイルス、細胞、ペプチド、タンパク質、抗体、脂質、糖質、ポリマー、ナノワイヤおよびナノロッドを含むナノ粒子、および例えば一級アミンを含有する薬剤である小分子を標識するのに使用され得る。具体例は以下のものを含むがこれらに限定されない:
a)タンパク質− 抗−HER2/抗−EGFRアフィボディ(affibody)、抗HER2/抗−HER3ダイアボディ、アネキシンVおよび抗−CEAダイアボディおよび抗−CD66抗体;
b)ペプチド− プロインスリン架橋ペプチド、C−ペプチド、エンドセリン−1、α−MSH(α−メラニン細胞刺激ホルモン)およびその類似体、ニューロテンシン、ボンベシン(BBN)およびその類似体、血管作用性腸ペプチド(VIP)およびその類似体、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、BBN−RGDヘテロ二量体、およびその類似体、δ―オピオイド受容体作動薬およびウロテンシン−II;
c)小分子− 前立腺特異的膜抗原および(PSMA)阻害剤
更に、実施例は[18F]SFBを調製するための非水性鹸化方法を説明しているが、当業者は、ここでの教示に基づいて他の放射能標識化合物が同様な調製技術を使用して調製されることが可能であり、これらの代替的な放射性化合物が次に使用されて上記されたのと同じやり方で生体分子を標識できることを理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
18F標識された化合物を調製するための無水方法であって、
炭酸イオンの存在下で、アルキルまたはアリール4−トリメチルアンモニウムベンゾアートトリフラートを、[18F]フッ化物のための活性カウンターイオン源としての、[18F]フッ化物の乾燥カリウム−クリプトフィクス−2.2.2.錯塩とジメチルスルホキシド(DMSO)中で、または炭酸セシウムと反応させて、対応するアルキルまたはアリール4−[18F]フルオロベンゾアート溶液を含む反応バイアル瓶を提供し、アルキルまたはアリール4−[18F]フルオロベンゾアートを含む溶液中の水を除去することを含む標識工程、
アルキルまたはアリール4−[18F]フルオロベンゾアートを塩基性無水/非プロトン性溶媒に溶解して、4−[18F]フルオロベンゾアート塩を含む反応混合物を提供することを含む脱保護工程、および
活性化剤の溶液を4−[18F]フルオロベンゾアートを含む反応混合物に添加して活性化されたエステルを提供することを含むカップリング工程
を含む、無水方法。
【請求項2】
18F]SFBが溶媒中に溶解されて固相抽出系を使用して精製され、[18F]SFBが次に固相抽出系から溶出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒が弱酸性水溶液である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
18F]SFBが有機溶媒を使用して溶出される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
標識工程が、90〜100℃で5〜15分間行われ、脱保護工程が約90℃から約100℃で約5〜10分間行われ、カップリング工程が85℃〜90℃で約9〜10分間行われ、加熱が反応バイアル瓶の外にある熱源により提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
マイクロ波源がエネルギーを反応バイアル瓶に提供し、標識工程が20W〜60Wで1〜3分間作動するマイクロ波源で行われ、脱保護工程が約40W〜50Wで約1分間作動するマイクロ波源で行われ、カップリング工程が約30〜40Wで約2分間作動するマイクロ波源で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
18F]SFBを一級アミン含有化合物に反応させて放射線放出化合物を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
一級アミン含有化合物が、ウイルス、細胞、ペプチド、タンパク質、脂質、糖質、ポリマー、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノロッド、小分子または薬剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
一級アミン含有化合物が、抗−HER/抗−EGFRアフィボディ、抗HER2/抗−HER3ダイアボディ、アネキシンVおよび抗−CEAダイアボディおよび抗−CD66抗体からなる群から選択されるタンパク質と、プロインスリン架橋ペプチド、C−ペプチド、エンドセリン−1、α−メラノサイト刺激ホルモンおよびその類似体、ニューロテンシン、ボンベシンおよびその類似体、血管作用性腸ペプチドおよびその類似体、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸ペプチド、BBN−RGDヘテロ二量体およびその類似体、δ−オピオイド受容体アンタゴニストおよびウロテンシン−IIからなる群から選択されるペプチドと;前立腺特異的膜抗原および(PMSA)阻害剤からなる群から選択される小分子とである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アルキル基が、メチル、エチル、i−プロピルまたはベンジルおよびアリール基がフェニルまたは置換フェニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アルキルまたはアリール4−トリメチルアンモニウムベンゾアートトリフラートがエチル4−トリメチルアンモニウムベンゾアートトリフラートである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
塩基性無水/非プロトン性溶媒が、無水DMSO中のカリウムtert−ブトキシド(t−BuOK)、DMFまたはピリジン中のLiCl、DMSO中のNaCN、KO2、ベンゼン中の18−クラウン−6、EtOAc中のLiI、MeCN中のTMSClまたはNaI、トルエン中のMgI2またはベンゼン中の(Bu3Sn)2Oからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
活性化剤がO−(N−スクシンイミジル)−N、N、N’、N’−テトラメである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
弱酸性水溶液が酢酸溶液である、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
有機溶媒がエチルエーテルである、請求項4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−502989(P2012−502989A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527817(P2011−527817)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/005176
【国際公開番号】WO2010/033196
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】