説明

放射能標識治療物質注入システム、装置、およびそれを使用する方法

本明細書には、放射性化合物、たとえばイットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物の注入のための方法および装置が記載される。放射性物質を格納するのに適した遮蔽キャビティを画定する放射線シールドが、遮蔽キャビティへの外部アクセスを提供する第一のアパーチャおよび用量バイアルを遮蔽キャビティの中および外に移すために適した第二のアパーチャを含む。脱着可能な遮蔽プラグおよびパネルが、放射線シールドのそれぞれのアパーチャを遮蔽するように適合されている。放射線シールド中のバイアル中に格納された放射能標識された化合物の少なくとも一回用量が流体連通チャネルを通じて約500mL/時の速度で送達される。プロセスが、患者への放射能標識された化合物の注入中に放射線被曝を実質的に減らすよう、送達ののち、流体連通チャネルは洗浄される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、患者への物質の静脈投与の分野に関し、特に、患者への放射性物質の投与に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性薬理学は、放射性薬品、すなわち放射性医薬の研究および調製である。放射性薬品は、核医学の分野で多くの疾病の診断および治療におけるトレーサとして使用されている。
【0003】
放射線治療は、注入(血流への)または摂取によって送達することもできる。例は、神経芽細胞腫を治療するためのメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)の注入、甲状腺ガンまたは甲状腺中毒症を治療するための経口ヨウ素131の注入および神経内分泌腫瘍を治療するためのホルモン結合ルテチウム177およびイットリウム90の注入(ペプチド受容体放射性核種療法)である。もう一つの例は、肝腫瘍または肝転移を放射線閉塞するための肝動脈への放射性ガラスまたは樹脂微小球の注入である。
【0004】
また、放射能標識された高分子がこれまで開発されかつ開発中である。放射線免疫治療剤、たとえばイットリウム90の分子にコンジュゲートしたモノクロナール抗体抗CD20である、FDA認可されたイブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、ヨウ素131の分子をモノクロナール抗体抗CD20にコンジュゲートするトシツモマブヨウ素131(Bexxar(登録商標))が、難治性非ホジキンリンパ腫の治療のために認可された最初の放射線免疫治療剤であった。
【0005】
放射能標識された薬剤が開発され、特定の疾病および障害を治療する際にますます効果的であるが、そのような薬剤は、特に医療従事者にとって、特に大きな用量で求められる場合、ある程度の危険を伴う。放射能標識された治療剤の送達のための改良された方法および装置が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書には、投与を実施する医療従事者が潜在的に有害な量の放射線に被曝しないような、放射性薬剤を対象に送達するための注入システムおよび方法が記載される。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、組み合わせた、すなわち増大した放射線量を対象に送達することを可能にする。本発明のシステムおよび方法は、診断用途または治療的用途のいずれにも有用である。本発明の注入システムは、潜在的に有害な量の放射線を有するいかなる放射性薬剤も、単独で、または一つまたは複数の他の物質と組み合わせて、送達するために使用することができる。
【0007】
本発明の一つの態様は、放射性物質の注入中に放射線被爆を減らすのに適した遮蔽エンクロージャに関する。遮蔽エンクロージャは、放射性物質の少なくとも一回用量を収容するバイアルを格納するのに適した遮蔽キャビティを画定する放射線シールドを含む。放射線シールドはさらに、遮蔽キャビティへの外部アクセスを提供する第一のアパーチャならびにバイアルを遮蔽キャビティの中および外に移すのに適した第二のアパーチャを含む。遮蔽エンクロージャはさらに、遮蔽プラグおよび遮蔽パネルを含む。遮蔽プラグは、放射線シールドに脱着可能に取り付け可能であり、それに取り付けられたとき、第一のアパーチャを遮蔽するように適合されている。同様に、遮蔽パネルもまた、放射線シールドに脱着可能に取り付け可能であり、それに取り付けられたとき、第二のアパーチャを遮蔽するように適合されている。放射線シールドは、取り付けられたときの遮蔽プラグおよび遮蔽パネルといっしょになって、実質的に連続的な遮蔽キャビティを形成して、バイアルから患者への放射性物質の注入中に放射線被曝を減らすのに適した放射線遮蔽を提供する。
【0008】
いくつかの態様において、放射線シールドは複数の異なる遮蔽層を含む。また、遮蔽プラグおよび遮蔽パネルは、放射線シールドに取り付けられたとき、実質的に連続的な遮蔽キャビティの周囲で複数の異なる遮蔽層の連続性を保持するように構成されている。いくつかの態様において、複数の遮蔽層それぞれは、金属、アルミニウム、鉛、鋼、ステンレス鋼、タングステン、チタン、金属合金、鉛ガラス、ポリマー、ポリカーボネート材料、合成樹脂から形成される固体および木からなる材料の群より選択されるそれぞれの材料から形成されている。いくつかの態様において、複数の遮蔽層それぞれは、たとえば、非限定的に、金属、金属合金、アモルファス材料、たとえばガラスおよび硬質プラスチックまたはそれらの誘導体から選択される一つまたは複数の非孔性材料から形成されている。いくつかの態様において、放射線シールドは、ポリカーボネート材料の内層およびアルミニウムのような金属の外層を含む。いくつかの態様において、放射線シールドは、それをたとえば静脈注射(IV)ポールから吊り下げることを可能にするアタッチメント要素を含む。遮蔽キャビティ内に格納されるバイアルは、放射性物質の少なくとも一回用量を収容し、遮蔽キャビティ内に格納されたとき第一のアパーチャと実質的に整合するアクセスポートを有する。放射性物質は、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物であることができる。
【0009】
本発明のもう一つの態様は、放射能標識された化合物を患者に投与するプロセスに関する。プロセスは、放射性化合物の少なくとも一回用量を収容する貯蔵器を、流体アクセスポートを有する遮蔽エンクロージャの中に配置することを含む。貯蔵器と患者との間に流体連通チャネルが提供される。放射能標識された化合物の少なくとも一回用量が流体連通チャネルを通して約500mL/時の速度で送達される。プロセスが、患者への放射能標識された化合物の注入中の放射線被曝を実質的に減らすよう、放射能標識された化合物の送達ののち、流体連通チャネルは洗浄される。
【0010】
いくつかの態様において、流体連通チャネルを洗浄するために食塩水が流体連通チャネルを通して流される。いくつかの態様において、遮蔽エンクロージャは、内部ポリカーボネート層および外部アルミニウム層を含む。いくつかの態様において、放射能標識された物質は、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物である。いくつかの態様において、放射能標識されていない化合物が同じく流体連通チャネルを通して約500mL/時の速度で送達される。放射能標識された化合物および放射能標識されていない化合物の送達は連続的に起こることができる。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、第一の非放射性化合物を格納する第一の貯蔵器、第一の貯蔵器と患者側針との間で流体連通した第一の流体ラインを含む静脈注入装置に関する。注入装置はまた、食塩水を格納する第二の貯蔵器、患者側針と流体連通した第二の流体ライン、および放射性化合物を収容するバイアルを包囲するバイアルシールドを含む。装置が放射性化合物の用量を流体ラインの第二端に動作可能に連結された生体対象に注入するように構成されるよう、バイアルは第二の流体ラインと流体連通している。
【0012】
いくつかの態様において、バイアルシールドは、実質的に連続的なアルミニウム遮蔽層および実質的に連続的なポリカーボネート材料遮蔽層を含み、該遮蔽層を通してアクセスを提供するアクセスアパーチャをさらに含む。いくつかの態様において、放射性化合物は、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートである。いくつかの態様において、非放射性化合物は、アミノ酸を含有する希釈栄養剤を含む。いくつかの態様において、静脈注入装置はデュアルチャネル注入ポンプをさらに含む。ポンプの第一のチャネルは、流体を第一の流体ラインに注入するように適合されており、ポンプの第二のチャネルは、流体を第二の流体ラインに注入するように適合されている。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、患者への放射性化合物の注入中に放射線被曝を減らすプロセスに関する。プロセスは、放射性化合物の少なくとも一回用量を収容するバイアルを、遮蔽アクセスプラグによって塞がれたアパーチャを有する遮蔽エンクロージャの中に格納することを含む。遮蔽アクセスプラグは遮蔽エンクロージャから取り外され、それにより、アパーチャが露出する。静脈注射(IV)流体ラインが、放射性化合物の少なくとも一回用量を収容するバイアルと患者との間に連結され、連結は、露出したアパーチャを介して起こる。放射性化合物の少なくとも一回用量の少なくとも一部分がIV流体ラインを通して患者に注入される。
【0014】
いくつかの態様において、放射性化合物は、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートである。いくつかの態様においては、非放射性化合物がまた、同じくIV流体ラインの少なくとも患者近位部分を通して患者に注入される。放射性化合物および非放射性化合物の両方を注入するいくつかの態様において、非放射性化合物は、アミノ酸を含有する希釈栄養剤であり、放射性化合物は、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートであり、それぞれが、IV流体ラインの少なくとも一部分を通して交互に患者に注入される。いくつかの態様において、放射性化合物の少なくとも一回用量を収容する遮蔽エンクロージャはIVポールから吊り下げられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、以下、添付図面に示される本発明の好ましい態様のより具体的な説明から明らかになるであろう。図中、同じ参照番号が異なる図面を通して同じ部品を示す。図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、本発明の原理を説明することが重視されている。
【0016】
【図1】放射性物質を静脈投与するために構成された注入システムの態様の概略図である。
【図2】バイアルシールドの態様の分解斜視図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、図2に示す例示的な開口した放射線遮蔽容器のそれぞれ側面図および下面図である。
【図4】図4Aおよび4Bは、図2に示す例示的な放射線遮蔽プラグのそれぞれ平面図および側面図である。
【図5】図5Aおよび5Bは、図2に示す例示的な脱着可能な放射線遮蔽カバーのそれぞれ平面図および側面図である。図5Cは、図5Aに示す脱着可能な放射線遮蔽カバーの態様をA-Aから見た断面図である。
【図6】放射性物質を静脈投与するプロセスの態様の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、放射性物質を患者に投与するためのシステムおよびプロセスに関する。本発明のシステムおよびプロセスは、診断用途(たとえばインビボ画像診断)および治療的用途の両方で有用である。放射性物質は、放射能標識された画像診断剤または放射能標識された治療剤として調合されることができる。一つの態様において、放射性物質は、放射能標識された画像診断剤、たとえばイットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物である。代替的または追加的に、放射性物質は、一つまたは複数の他の物質とで調合され、または組み合わされて放射線治療物質を形成する。適当な送達システムは、たとえば、放射性物質を所望の注入速度で送達するためのポンプを含む。たとえば、ポンプは、ペプチドまたは類似体を、たとえば約500mL/時の速度で注入するように構成されることができる。システムおよびプロセスは、場合によっては、放射性物質、たとえば放射能標識されたペプチドまたは類似体の送達ののち、静脈注射(IV)チューブの、少なくとも放射性物質に暴露された部分を洗浄する、または他のやり方で洗い流すための装備を含む。
【0018】
イットリウム90(Y-90)で標識されたオクトレオチド誘導体エドトレオチドからなる放射性コンジュゲートが潜在的な放射線治療用途を有する。イットリウムY-90エドトレオチドは、オクトレオチドと同様、多くのタイプの神経内分泌腫瘍細胞の細胞膜上に存在するソマトスタチン受容体(SSTR)、特にタイプ2受容体に結合して、組織特異的β放射核種Y-90媒介細胞毒性をSSTR陽性細胞に送達する。イットリウムY-90エドトレオチドは、ソマトスタチン類似体オクトレオチドの3位でフェニルアラニンをチロシンで置換し、置換されたオクトレオチドをドデカン四酢酸(DOTA)を介してY-90にキレート化することによって生成される。
【0019】
Onalta(登録商標)(Molecular Insight Pharmaceuticals, Cambridge, MA USA)は、ガン治療のための放射線治療用製品である。Onalta(登録商標)は、以前はOctreoTherとして知られていたが、イットリウム90(Y-90)で放射能標識されたソマトスタチンペプチドであるエドトレオチドの商品名である。ソマトスタチンは、いくつかの他のホルモン、たとえば成長ホルモン、インスリンおよびガストリンの分泌を抑制することによって内分泌および神経系機能の調節因子として働く、体じゅうに分布するホルモンである。Onalta(登録商標)は、従来のソマトスタチン類似体療法によっては症候が抑えられない患者における転移性カルチノイドおよび膵臓神経内分泌ガンの放射線治療に有用である。ソマトスタチン類自体療法(またはオクトレオチドまたはサンドスタチン)は、カルチノイド症候群に伴う症候を緩和するために使用される。
【0020】
放射性物質を静脈投与するために構成された注入システムの態様の概略が図1に示されている。IVセットアップ100は、IVポール104の頂部から吊り下げられた一次IV供給源またはバッグ102を含む。一次IVバッグ102は、一次IVチューブ108の末端に連結された点滴チャンバ106を含む。一次IVチューブ108の基端は、「Yサイト」とも呼ばれる、流体接合部110のそれぞれのポートで終端している。IVチューブ延長部112がYサイト110の各ポートと患者(図示せず)との間に連結されている。一次IVチューブ108は、デュアルチャネル注入ポンプ114の第一のチャネルを経由して配管されている。注入ポンプ114は、一次IVバッグ102とYサイト110との間に配置され、一次IVバッグ102からの第一の非放射性物質を患者に注入するように構成されている。ローラ弁のような流量制御弁116が注入ポンプ114と一次IVバッグ102の点滴チャンバ106との間に配置されており、これを使用して非放射性物質の所望の流量を達成することができる。
【0021】
IVセットアップ100はまた、IVポール104の頂部から吊り下げられた二次IV供給源またはバッグ118を含む。二次IVバッグ118は二次IVチューブ120の末端に連結されている。二次IVチューブ120の基端はYサイト110のポートで終端している。二次IVチューブ120は、デュアルチャネル注入ポンプ114の第二のチャネルを経由して配管されている。注入ポンプ114は、二次IVバッグ118とYサイト110との間に同様に配置され、二次IVバッグ118からの第二の非放射性物質を患者に注入するように構成されている。注入ポートとも呼ばれるアクセスポート122が、二次IVチューブ120上、注入ポンプ114と二次IVバッグ118との間に配置されている。アクセスポート122は、二次IVチューブ120の流体チャネルへの流体アクセスのための場所を提供する。いくつかの態様においては、スライドクランプまたは「Aクランプ」124のような流量制御器具が、二次IVチューブ120上、アクセスポート122と二次IVバッグ118との間に配置されており、これを使用して二次IVバッグからの流体流を遮断する、または他のやり方で制御することができる。代替的または追加的に、ローラ弁のような流量制御弁(図示せず)がアクセスポート122と二次IVバッグ118との間に配置されている。
【0022】
IVセットアップ100はさらに、IVポール104の頂部から吊り下げられた遮蔽容器、たとえばバイアルシールド126を含む。バイアルシールド126は、患者用量バイアル127をその中に収納するサイズおよび形状の内部遮蔽領域を含む。バイアルシールド126中で使用されるための患者用量バイアル127は一般に放射性物質を収容する。各患者用量バイアル127はまた、少なくとも一つの流体アクセスポートを含む。たとえば、流体アクセスポートは、穿孔可能な領域、たとえば一般的な用量バイアルのバイアル隔壁であることができる。患者用量バイアル127がバイアルシールド126内に配置されると、バイアル隔壁は、再シール可能なバイアルシールドアパーチャと整合する。いくつかの態様において、患者用量バイアル127は、患者用量バイアル127の内部と周囲環境との圧力均等化を可能にするベントを含む。バイアルシールド126は、放射性物質の安全な取り扱いおよび投与を可能にし、その具体的な遮蔽性は、患者用量バイアル127内に収容された放射性物質への非患者個人の被曝を大きく減らすように設計されている。
【0023】
遮蔽患者用量バイアル129は補助IVチューブ128の長手の末端に連結されている。患者用量バイアル129に収容された患者用量と補助IVチューブ128との間に流体連通を提供するために、抽出装置133が使用される。抽出装置は吸引または真空作用を使用することができる。いくつかの態様において、抽出装置は、穿孔カニューレ、たとえば皮下針またはIVスパイク133である。通常、点滴チャンバ130が、補助IVチューブ128の末端と遮蔽患者用量バイアル129の再シール可能なアパーチャとの間に配置される。補助IVチューブ128の基端は、アクセスポート122を介する流体連通に適合された流体コネクタ132中で終端して、それにより、補助IVチューブ128と二次IVチューブ120との間の流体アクセスを提供する。ローラ弁のような流量制御弁134が流体コネクタ132と注入遮蔽患者用量バイアル129の点滴チャンバ130との間に配置されており、これを使用して放射性物質の所望の流量を達成することができる。二次IVバッグ118は、遮蔽患者用量バイアル129よりも相対的に低くなるよう、延長部136を介してIVポール104の頂部から吊り下げられている。
【0024】
二次IVバッグ118は、第二の非放射性物質を二次IVバッグ118からYサイト110を経由してIVチューブ延長部112および最終的には患者に注入するように構成されている。注入ポートとも呼ばれるアクセスポート122が、二次IVチューブ120上、注入ポンプ114と二次IVバッグ118との間に配置されている。アクセスポート122は、二次IVチューブ120の流体チャネルへの流体アクセスのための場所を提供する。いくつかの態様において、スライドクランプまたは「Aクランプ」124のような流量制御器具が、二次IVチューブ120上、アクセスポート122と二次IVバッグ118との間に配置される。代替的または追加的に、ローラ弁のような流量制御弁(図示せず)がアクセスポート122と二次IVバッグ118との間に配置される。いくつかの態様において、IVチューブ延長部および二次IVチューブの少なくとも基端部分の一つまたは複数は放射線遮蔽されている。
【0025】
操作において、IVセットアップ100は、放射性溶液を患者用量バイアル127からIVアクセス部位を介して患者に注入することを可能にする。アクセス部位は、非限定的に、肘前静脈または同等な静脈を含むことができる。一般に、中央カテーテルのような任意のIV適当なアクセス部位を使用することもできる。Yサイト110のようなマルチポート流体連結器が、複数のIVソースを同じIVアクセス部位を介して患者に注入することを可能にする。一次IVバッグ102は、IVスタンド104から吊り下げられ、注入ポンプ一次セット108を使用して穿刺される。注入セットは通常、スパイク、点滴チャンバおよびプラスチック高圧チューブを含み、スパイクは、一次IVバッグ102のようなIV流体貯蔵器を穿孔するように構成されている。そして、一次IVチューブは、空気を抜くためにプライミングされる。いくつかの態様において、逆止め弁がIVチューブ上に含まれる。代替的または追加的に、注入セットはベントを含む。たとえば、ベント131をIVスパイク133または点滴チャンバ130の頂部に設けて、必要なときにガス抜きを提供することができる。患者用量バイアル127は硬質または半硬質の壁を有することができるため、遮蔽患者用量バイアル129との流体移送を可能にするためには、壁をはさんでの圧力均等化が必要である。そのような場合、別個のベントを患者用量バイアル129そのものに設けることができる。
【0026】
一次IVチューブ108は、デュアルチャネル注入ポンプの一次チャネルに挿入され、チューブの患者端がYサイト110の第一のポートに取り付けられる。例示的な態様において、一次IVバッグ102は、栄養剤のような非放射性溶液103を含む。たとえば、一次IVバッグ102は、アミノ酸を含有する7%栄養剤103、たとえばAminosyn(登録商標)IIアミノ酸溶液(Aminosynは、Hospira, Inc.(Lake Forest, IL)の登録商標である)約1000mLを含む。
【0027】
一次IVバッグ102から一次IVチューブ108を通って流れる流体の注入速度は、注入速度を調節するための一般によく理解された技術を使用して、好ましい注入速度にセットされる、または他のやり方で調節される。たとえば、7%Aminosyn(登録商標)IIアミノ酸の注入速度は、毎時約500mLの推奨注入速度にセットされる。デュアルチャネル注入ポンプ114の第一のチャネルは、一次ラインを介してAminosyn(登録商標)の注入を開始し、一次注入期間、たとえば少なくとも30分間にわたり注入を維持するように調節される。
【0028】
二次IVバッグ118はIVスタンド104から吊り下げられ、二次IVバッグ118はまた注入ポンプ二次セットを使用して穿刺される。そして、二次チューブ120は、ライン内の空気を実質的に抜くためにプライミングされる。たとえば、二次IVバッグ118は、注入用の0.9%塩化ナトリウム溶液119約100mLを含む。二次IVチューブ120は二次チャネル(チャネル2)に挿入され、デュアルチャネル注入ポンプ114の患者端がYサイト110の第二のポートに取り付けられる。
【0029】
第一の非放射性物質、たとえば7%Aminosyn(登録商標)IIアミノ酸溶液の注入は、一次注入期間で開始され、その後、休止される。二次IVバッグ118の注入速度は、速度をセットする、または他のやり方で調節するための一般によく理解された技術を使用して、その注入速度にセットされる。たとえば、0.9%塩化ナトリウム(チャネル1)の注入速度は毎時約500mLにセットされる。二次IVバッグ内容物119の注入が開始され、比較的短い期間、たとえば数分にわたり作動して、二次IVバッグからの流れが受け入れられる(たとえば所望の流量である)ことを保証する。
【0030】
遮蔽患者用量バイアル129は、患者用量バイアル127を収容する内部遮蔽キャビティを有するバイアルシールド126を含む。患者用量バイアル127は他方で、患者に投与される放射性物質125を含む。遮蔽患者用量バイアル129はIVスタンド104から吊り下げられる。延長ハンガ136を使用して、二次IVバッグ118は、たとえば0.9%塩化ナトリウムを収容する二次IVバッグ118が患者用量バイアル127のレベルよりも下に位置するように下げられる。
【0031】
補助IVチューブ128ラインの基端に取り付けられた二次セット流体コネクタ132は、二次IVチューブ120上、ポンプ114よりも上の高さに配置されたコネクタ122に挿入される。ロールクランプ134のような流量制御器具が補助IVチューブ上に配置され、食塩水が二次IVバッグから補助IVチューブ128をプライミングすることができるように調節される。ひとたび食塩水が補助チューブの点滴チャンバ130に到達すると、ロールクランプ134は閉じられる。
【0032】
放射性物質125、たとえばOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)を収容する患者用量バイアル127は、逆さにされ、注入シールド126内に配置される。アクセスプラグが注入シールド126の底から取り外されて、その中に収容された患者用量バイアル127の注入ポートへのアクセスを提供する。そして、患者用量バイアル127は、注入シールド126の内部で、補助IVセットスパイク133によって穿刺される。遮蔽患者用量バイアル129は、IVスタンド104から吊り下げられ、ベントキャップ131が開かれる。本明細書に記載されるように配置され、取り付けられた塩化ナトリウム溶液119を収容する二次IV118バッグおよび患者用量バイアル127の構造は「ピギーバック」構造と呼ばれることもある。二次IVバッグ118および遮蔽患者用量バイアル129が上記のように接続され、配置されると、はじめに患者用量125(より高圧)が注入され、涸渇したのち、実質的に途切れのないやり方で自動的に二次IVバッグ内容物119の注入が起こる。
【0033】
注入ポンプは、放射性物質125、たとえばOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)の注入速度を所望の注入速度にセットする、または他のやり方で調節するために、たとえばピギーバック設定を使用して適切に構成されている。例示的なOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)の場合、患者用量バイアル中の充填量は約86mLであり、推奨注入速度は毎時約500mLである。Onalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)の注入は、推奨速度で10分にわたり起こるように調節することができる。放射性物質の注入は、補助IVチューブライン上のロールクランプによって調節することができる。注入を開始するためには、補助IVチューブライン上のロールクランプを解放する。
【0034】
ひとたび放射性物質125、たとえばOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)の注入が終了し、食塩水119が再始動したならば、二次ライン120上、注入部位よりも上に配置されたクランプ、たとえばAクランプ124を使用して、食塩水119の流れを中断することができる。食塩水ラインは、補助ライン中に残る幾分かのOnalta(登録商標)を投与するために、提供される場合には、逆止め弁(図示せず)よりも上でクランプされる−幾分かの残留放射性物質の注入が少なくとも補助IVライン128を涸渇させると、食塩水119の注入は止まる。ひとたび補助IVライン128の内容物が投与されたならば、クランプ124は解放される。食塩水の注入を再始動して、二次IVチューブ120の患者端から幾分かの残留Onalta(登録商標)を注入し、一次IV内容物103と放射性薬物125との混合を避けることができる。
【0035】
遮蔽患者用量バイアル129に提供される放射性物質125は、画像診断剤、たとえばインビボ画像診断のための放射性薬学的組成物であることができる。例示的な放射性薬学的組成物は、心臓における代謝変化を画像診断することによって心臓虚血の検出および管理に使用されるZemiva(登録商標)(ヨードフィルト酸(iodofiltic acid) I 123)および前立腺特異的膜抗原(PSMA)への結合を介して前立腺ガンの検出モニタリングまたは治療法に使用されるTrofex(登録商標)を含む。代替的または追加的に、放射性物質は、治療材料、たとえばガン治療のための放射性薬学的組成物であることもできる。例示的な放射線治療剤は、腫瘍のノルエピネフリン取り込み機序を利用する神経内分泌腫瘍の治療に使用されるAzedra(登録商標)(Ultratrace(登録商標)イオベングアンI131)、メラニン結合性小分子に基づいて転移性メラノーマの治療に使用されるSolazed(登録商標)(I-131標識ベンザミド)および受容体ベースの放射線治療を使用してカルチノイド腫瘍の治療に使用されるOnalta(登録商標)(イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチド類似体、たとえばエドトレチド)を含む。Zemiva(登録商標)、Trofex(登録商標)、Azedra(登録商標)、Solazed(登録商標)、Ultratrace(登録商標)およびOnalta(登録商標)は、Molecular Insight Pharmaceuticals, Inc.(Cambridge, MA)の登録商標である。
【0036】
いくつかの態様において、遮蔽患者用量バイアル129中に提供される放射性物質125は、テクネチウム99m(テクネチウム99m)、ヨウ素123、ヨウ素125およびヨウ素131、タリウム201、ガリウム67、イットリウム90、サマリウム153、ストロンチウム89、リン32、レニウム186、ルテニウム177、フッ素18およびインジウム111の一つまたは複数からなる群より選択される同位体および/または以下の表1に要約される同位体で標識された放射性薬理学的薬剤を含むことができる。
【0037】
【表1】



【0038】
代替的または追加的に、放射性物質125は、Bexxar(登録商標)(ヨウ素I-131トシツモマブ)、Zevalin(登録商標)(イットリウムY-90イブリツモマブチウキセタン)、Quadramet(登録商標)(サマリウムSm-153レキシドロナム)、塩化ストロンチウム89、リン32、レニウム186ヒドロキシエチリデン、サマリウム153レキシドロナム、I-131の一つまたは複数からなる群より選択することができる。Bexxar(登録商標)は、SmithKline Beecham Corporation(Philadelphia, PA)の登録商標である。Zevalin(登録商標)は、Cell Therapeutics, Inc.(Seattle, WA)の登録商標であり、Quadramet(登録商標)は、Cytogen Corporation(Princeton, NJ)の登録商標である。
【0039】
患者全用量を満たすために、必要ならば、放射性物質の複数のバイアルを投与することもできる。二つまたはそれ以上の患者用量バイアルを投与する場合、同じピギーバック構造を使用することができる。すなわち、ひとたび第一の患者用量バイアル127の内容物が空になったならば、たとえばOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)の第二の用量を収容する第二の患者用量バイアル127'が逆さにされ、注入シールド126内に正しく配置されたのち、穿刺される。遮蔽患者用量バイアル129第二の患者用量バイアル127'は、IVスタンド104から吊り下げられ、補助IVチューブ128が再びプライミングされる。第二の患者用量バイアル127'の放射性内容物125'は、毎時500mLの同じ速度または、必要ならば、異なる速度で注入することができる。ひとたび患者用量バイアルの内容物が注入されたならば、補助および二次ライン128、120を0.9%塩化ナトリウムバッグ118の残りで洗い流すことができる。ひとたび二次IVチューブライン120が0.9%塩化ナトリウムバッグ118の残りで洗い流されたならば、一次IVバッグ102の内容物、たとえばAminosyn(登録商標)アミノ酸103の注入がその注入速度で再開される。Aminosyn(登録商標)アミノ酸103の注入速度は、以前の毎時約500mLの速度と同じであることもできるし、異なる速度であることもできる。
【0040】
バイアルシールド200の態様の分解斜視図が図2に示されている。注入シールド200は、患者用量バイアル127(図1)を取り出し、交換するための相対的に広い開口204を有する開口した遮蔽容器202を含む。この相対的に広い開口204は、遮蔽容器202の一端、たとえば図示するように上端に配置されることができる。例示的な態様において、注入シールド200は、ほぼ円柱形の形状を有して、実質的に円柱形の内部遮蔽チャンバを画定する。いくつかの態様において、内部遮蔽チャンバの寸法は、その中に格納される患者用量バイアルの寸法および形状にしたがって選択される。たとえば、寸法は、ぴったりの嵌合を保証するためにほとんどまたは全く隙間なく患者用量バイアルを支持的に格納することができるように選択することができる。多角形、楕円形などのような他の容器形状が可能である。
【0041】
注入シールド200は、遮蔽容器202の相対的に広い開口204に脱着可能に取り付けられるように構成された遮蔽ふた208を含む。遮蔽ふた208の取り外しが、たとえば、放射性物質を収容する患者用量バイアルを挿入し、取り出すために、相対的に広い開口204を介して、開口した容器202の内部遮蔽チャンバへアクセスすることを可能にする。遮蔽容器202は、遮蔽容器202からの遮蔽ふた208の脱着可能な取り付けを容易にするためのアタッチメント構造を含む。たとえば、アタッチメント構造は、相対的に広い開口204に対して適切に配置されたねじ206を含み、遮蔽ふた208は、遮蔽容器202からの遮蔽ふた208の脱着可能な取り付けを可能にするための相補的アタッチメント構造、たとえば相補的ねじを含む。いくつかの態様において、遮蔽ふた208は、IVスタンドへの注入シールド200の脱着可能な取り付けを容易にするためのアタッチメント機構を含む。アタッチメント機構は、アイレット210または使用中に注入シールド200を直立位置で支持するために取り付けられる他の適当なアンカ、フック、ハンドルを含むことができる。図示するように、アイレット210は、遮蔽ふた208の上露出面の中央に取り付けられる。
【0042】
注入シールド200はさらに、取り外されたとき注入シールド200の内部領域への制御されたアクセスを可能にする脱着可能な遮蔽プラグ212を含む。たとえば、遮蔽プラグ212の取り外しは、その中に格納された患者用量バイアルへのアクセスチャネルを提供する相対的に小さなアパーチャを露出させる。そのようなアクセスは、IVチューブセットのスパイクにより、その中に格納された患者用量への、IVチューブを介する流体連通を可能にすることによって得ることができる。例示的な態様において、脱着可能な遮蔽プラグ212は、開口した遮蔽容器202の下面に提供された受け座に挿入されるように構成された内部遮蔽栓214を含む。注入シールド200からの遮蔽プラグ212の脱着可能な取り付けのためには、適当な脱着可能な締結構造、たとえばねじ込み構造が使用される。ねじ込み構造はまた、相互接続IVセットの一部分、たとえばルアーロックスタイルねじ込み構造と係合するために使用することもできる。
【0043】
図3Aおよび3Bは、図2に示す例示的な開口した放射線遮蔽容器202の、それぞれ側面図および下面図である。開口した容器202は、相対的に広い開口端204に対向して配置された放射線遮蔽底壁220を含む。細長い放射線遮蔽側壁222が底壁222と開口端224との間に延びている。底壁および側壁220、222は、Onalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)のような放射性物質を含む患者用量バイアルに対し、患者および臨床従事者にとって許容可能なレベルの放射線遮蔽を提供するように適切に形成されている。遮蔽に適した放射線材料は、単独で、または組み合わせて提供される金属、たとえばアルミニウム、鉛、鋼、ステンレス鋼、タングステン、チタン、金属合金、鉛ガラス、ポリマー、Lexan(登録商標)(ポリカーボネート材料)、Plexiglas(登録商標)、Lucite(登録商標)(合成樹脂材料)および木を含む。Plexiglas(登録商標)は、Arkema France Corp.(Colombes, France)の登録商標である。Lexan(登録商標)は、Sabic Innovative Plastics IP B. V. Company(Pittsfield, MA)の登録商標であり、Lucite(登録商標)は、Lucite International, Inc.(Cordova, TN)の登録商標である。図示される態様において、底壁および側壁220、222は、異なる材料の多数の層を使用して形成されている。特に、壁220、222は、アルミニウムのような金属の外層224およびガラスまたはLexan(登録商標)のようなポリマーの内層226を含む。内層および外層226、224は、開口端204および底壁220の中央に位置するアクセスポート228を除き、実質的に途切れずに延びている。アクセスポート228は、底壁220の外側アルミニウム層224を通過して延びるねじ付きアパーチャ230および底壁220の内側Lexan層226を通過して延びる同軸アパーチャ232を含む。
【0044】
注入シールド200の形状および寸法は、患者用量バイアルサイズおよび形状のような要因に依存して選択することができる。例示的な患者用量バイアル240が、シールドのキャビティ内に格納された状態で仮想的に示されている。患者用量バイアル240は、アクセスポート、たとえば隔壁が同軸アパーチャ232に隣接して位置するように配置される。例示的なOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)86mL患者用量の場合、底壁220の外面から開口端204までで計測される側壁222の外部高さ「H」は約4.4インチである。底壁220の内面から開口端204までで計測される側壁222の内部高さ「D」は約3.89インチである。開口した容器202の外径「OD」は約2.98インチである。容器チャンバの開口端204の内径「ID1」は約2.07インチである。アルミニウム層224の内径「ID2」は約2.468(−0.003インチ、+0.002インチ)である。
【0045】
図4Aおよび4Bは、図2に示す例示的な放射線遮蔽プラグの、それぞれ平面図および側面図である。IVポート遮蔽プラグ212は、支持部材217、たとえば図示される平坦なディスク形の支持部材217を含み、その上に二つまたはそれ以上の栓要素216、214が固着されている。各栓要素216、214は、それぞれの放射線遮蔽材料で構成されており、プラグ212がIVアクセスアパーチャ228に挿入されたとき、開口した容器202のシールドのそれぞれの部分を完成させるようにそれぞれが構成されている。図示される例において、外側栓要素216は、アルミニウムのような金属シールド材料のディスク形のプラグであり、IVアクセスアパーチャ228の外側シールド層224のアルミニウムアパーチャにぴったり嵌合するためのサイズおよび形状である。下栓要素216の上面に配置された内側栓要素214は、Lexan(登録商標)のようなポリマーシールド材料の円柱形のプラグである。内側栓要素214は、IVアクセスアパーチャ228の内側シールド層226のLexanアパーチャにぴったり嵌合するためのサイズおよび形状である。
【0046】
各栓要素214、216は支持部材217にしっかりと固着されている。図4Aに示す平頭ねじ221のようなねじを使用して、図示するように遮蔽プラグ212の様々な要素214、216、217を一体に締結させることができる。代替的または追加的に、一つまたは複数の他の締結手段、たとえば化学接着剤およびエポキシ、リベット、ステープル、溶接などを使用してもよい。
【0047】
IVポート遮蔽プラグ212はさらに、開口した遮蔽容器202へのプラグ212の脱着可能な取り付けを可能にするための締結構造を含む。例示的な態様において、外側栓要素216は、ディスクの円周の少なくとも一部分に周辺ねじを含む。ねじは、IVアクセスアパーチャ228の外側シールドに沿って230上に提供された相補的ねじに対応したサイズおよび形状である。したがって、内側栓要素214をIVアクセスアパーチャ228と整合させ、遮蔽プラグ212を部分的にIVアクセスアパーチャ228に挿入し、外側栓要素216のねじをIVアクセスアパーチャ228の外側シールド上のねじと係合させることにより、遮蔽プラグ212を遮蔽容器202の底に締結することができる。ぎざぎざ219のような摩擦面を支持部材217の外周の少なくとも一部分に沿って提供して、サムホイールのためのグリップを形成して、プラグ212の容易な挿入および取り出しを可能にすることができる。他の締結構造、たとえば上栓要素214上のねじ、遮蔽容器202の底壁220上の相補的ねじに係合するための支持部材上のねじおよび他の締結部材、たとえばねじ、クリップなどが可能である。IVアパーチャ228に挿入され、遮蔽容器202に固定されると、遮蔽プラグ212は、内側シールド層および外側シールド層226、224の対応する部分が実質的に連続的であるようなやり方でIVアパーチャ228を実質的に埋める。したがって、この例において、底壁220の内側シールド226は、外側シールド224と同様、実質的に連続的である。
【0048】
図5Aおよび5Bは、図2に示す例示的な脱着可能な遮蔽パネルまたはカバー300の、それぞれ平面図および側面図であり、図5Cは、図5Aに示す脱着可能な放射線遮蔽ふたの態様のA-Aから見た断面図である。遮蔽カバー300は、開口した遮蔽容器202(図3A)の相対的に広い開口204(図3A)を覆うサイズおよび形状であり、開口した遮蔽容器は他方で、患者用量バイアル240(図3A)を容器202の遮蔽内部領域の中および外に移すことを可能にするサイズおよび形状である。
【0049】
例示的な態様において、遮蔽カバー300は、ジャーのふたのようなディスク形である。遮蔽カバー300は、遮蔽容器202の外側層224(図3A)に使用されるものと同じタイプの遮蔽材料の外側層301を含む。同じまたは異なる材料を使用することができる。遮蔽カバー300の下面には第一のキャビティ312が設けられている。第一のキャビティ312は、開口した遮蔽容器202の相対的に広い開口204の外周とで相対的にぴったりの嵌合を形成するためのサイズおよび形状である。いくつかの態様において、第一のキャビティ312の側壁は、相対的に広い開口204の相補的ねじ206とのねじ込み係合を可能にする一つまたは複数のねじを含む。
【0050】
遮蔽カバー300はまた、第一のキャビティ312の開口端から延びる第二のキャビティ313を含む。キャビティは、遮蔽容器202の内層226(図3A)に使用されるものと同じ遮蔽材料のプラグ314または層を収容するためのサイズおよび形状である。例示的な態様において、第二のキャビティは、遮蔽容器202の内層226とほぼ同じ厚さを有するLexan(登録商標)のディスク314を収容するためにディスク形である。Lexanディスク314に隣接する遮蔽カバー300の厚さは、遮蔽カバー300が遮蔽容器202に取り付けられたとき遮蔽キャビティ全体の周囲のシールド均一さを維持するために、少なくとも遮蔽容器202の外層224と同じ厚さまたはそれ以上の厚さである。特に、Lexanディスク314のサイズおよび形状は、たとえば外径ID2(図3A)を有する開口した遮蔽容器202の相対的に広い開口214を覆うのに十分である。
【0051】
いくつかの態様において、遮蔽カバー300は、使用中にバイアルシールドを吊り下げる、または他のやり方で支持することを容易にするためのアタッチメント要素を含む。図示される例において、遮蔽カバー300は、遮蔽カバーの外側上面の中央に位置し、その面から離れて延びるアイレット308を含む。アイレット308は、それを、ふた301に設けられたねじ付きアパーチャ302に締結するためのねじ付きシャンク318を含むことができる。遮蔽カバー300へのアイレット308の取り付けをさらに確実化するために、ロックナット310を含めることもできる。
【0052】
図6は、放射能標識された物質を静脈投与するプロセス400の態様の流れ図である。402で、放射能標識された物質の用量バイアルを遮蔽エンクロージャの中に格納する。404で、遮蔽エンクロージャからアクセスプラグを取り外す。406で、IVチューブを遮蔽バイアルと患者との間に連結する。408で、放射能標識された物質の用量を患者に送達し、410で、IVチューブを食塩水でパージする。
【0053】
注入が完了したのち、補助IVセット、二次IVセットおよび患者用量バイアルを適切に廃棄処分すべきである。たとえば、これらのコンポーネントは、幾分かの残留放射能も計測し、症例報告書(CRF)に記録することができるよう、放射性医薬局に返却すべきである。
【0054】
90Y-DOTA-tyr3-オクトレオチドとも知られるOnalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)が、放射性薬学的療法の大きな量(86mLまたはそれ以上)のせいで、静脈注入によって難治性ソマトスタチン受容体陽性腫瘍の患者に投与される。
【0055】
Onalta(登録商標)(Y-90エドトレオチド)注入システム(図1)は、患者上の同じIVアクセス部位を介しての、アミノ酸溶液およびOnalta(登録商標)療法の容易な投与を可能にする。システムは、最大量のOnalta(登録商標)療法を送達すると同時に、革新的な専用アルミニウムLexan Onalta(登録商標)バイアルシールドによってスタッフへの放射線被曝を最小限にするように設計されている。注入システムは、病院および医院で一般に見られる標準的なデュアルチャネルIVポンプを使用する。Onalta(登録商標)の投与で使用される使い捨て注入コンポーネントはすべて標準的な既製品コンポーネントであり、どの病院でも容易に利用可能であるはずである。
【0056】
物質を患者に注入するためのデュアルチャネル注入ポンプが本明細書に記載されたが、他のポンピング手段、たとえば多数のシングルチャネル注入ポンプ、重力システムおよびこれらの注入ポンピング技術の任意の組み合わせが考えられる。
【0057】
当業者には他の態様が自明である。当然のことながら前記詳細な説明は、理解しやすくするために提供され、単に例を示すものであることが理解されよう。本発明の真意および範囲は、上記例に限定されず、請求の範囲によって包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質の少なくとも一回用量を収容するバイアルを格納するのに適した遮蔽キャビティを画定する放射線シールドであって、該遮蔽キャビティへの外部アクセスを提供する第一のアパーチャおよび該バイアルを該遮蔽キャビティの中および外に移すために適した第二のアパーチャをさらに画定する、放射線シールドと、
該放射線シールドに脱着可能に取り付け可能であり、かつそれに取り付けられたとき、該第一のアパーチャを遮蔽するように適合された、遮蔽プラグと、
該放射線シールドに脱着可能に取り付け可能であり、かつそれに取り付けられたとき、該第二のアパーチャを遮蔽するように適合された、遮蔽パネルと
を含み、
該放射線シールドが、取り付けられたときの該遮蔽プラグおよび該遮蔽パネルといっしょになって、実質的に連続的な遮蔽キャビティを形成し、放射線遮蔽が、該バイアルから患者への該放射性物質の注入中に放射線被曝を減らすのに適したものである、放射性物質の注入中に放射線被爆を減らすのに適した遮蔽エンクロージャ。
【請求項2】
放射線シールドが複数の異なる遮蔽層を含み、遮蔽プラグおよび遮蔽パネルが、該放射線シールドに取り付けられたとき、実質的に連続的な遮蔽キャビティの周囲で前記複数の異なる遮蔽層の連続性を保存する、請求項1記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項3】
複数の異なる遮蔽層それぞれが、金属、アルミニウム、鉛、鋼、ステンレス鋼、タングステン、チタン、金属合金、鉛ガラス、ポリマー、ポリカーボネート材料、合成樹脂から形成される固体、および木からなる材料の群より選択される各材料から形成されている、請求項2記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項4】
放射線シールドがポリカーボネート材料の内層および金属の外層を含む、請求項2記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項5】
金属がアルミニウムである、請求項4記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項6】
遮蔽エンクロージャを静脈注射(IV)ポールから吊り下げることを可能にするアタッチメント要素をさらに含む、請求項1記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項7】
遮蔽キャビティ内に格納されるバイアルをさらに含み、該バイアルが放射性物質の少なくとも一回用量を収容し、該バイアルが該遮蔽キャビティ内に格納されたとき第一のアパーチャと実質的に整合するアクセスポートを含む、請求項1記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項8】
放射性物質が、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートである、請求項7記載の遮蔽エンクロージャ。
【請求項9】
放射性化合物の少なくとも一回用量を収容する貯蔵器を、流体アクセスポートを有する遮蔽エンクロージャの中に配置する段階、
該貯蔵器と患者との間に流体連通チャネルを提供する段階、
該放射能標識された化合物の少なくとも一回用量を、該流体連通チャネルを通じて、約500mL/時の速度で送達する段階、および
該放射能標識された化合物の送達ののち、該流体連通チャネルを洗浄する段階
を含む、放射能標識された化合物を患者に投与する方法であって、患者への該放射能標識された化合物の注入中の放射線被曝が実質的に減る、方法。
【請求項10】
流体連通チャネルを洗浄する行為が、食塩水を該流体連通チャネルに流すことを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
遮蔽エンクロージャが内部ポリカーボネート層および外部アルミニウム層を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
放射能標識された物質が、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
放射能標識されていない化合物を、流体連通チャネルを通じて、約500mL/時の速度で送達する段階をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
放射能標識された化合物および放射能標識されていない化合物の送達が連続的に起こる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
第一の非放射性化合物を格納する第一の貯蔵器と、
該第一の貯蔵器と患者側針との間で流体連通した第一の流体ラインと、
食塩水を格納する第二の貯蔵器と、
該患者側針と流体連通した第二の流体ラインと、
放射性化合物を収容し、該第二の流体ラインと流体連通したバイアルを包囲するバイアルシールドと
を含み、放射性化合物の用量を、該流体ラインの第二端に動作可能に連結された生体対象に注入するように作動可能である、
静脈注入装置。
【請求項16】
バイアルシールドが、実質的に連続的なアルミニウム遮蔽層および実質的に連続的なポリカーボネート材料遮蔽層を含み、該バイアルシールドが、該遮蔽層を通してアクセスを提供するアクセスアパーチャをさらに含む、請求項15記載の静脈注入装置。
【請求項17】
放射性化合物が、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートである、請求項15記載の静脈注入装置。
【請求項18】
非放射性化合物が、アミノ酸を含有する希釈栄養剤を含む、請求項15記載の静脈注入装置。
【請求項19】
デュアルチャネル注入ポンプ、流体を第一の流体ラインに注入するように適合された該ポンプの第一のチャネルおよび流体を第二の流体ラインに注入するように適合された該ポンプの第二のチャネルをさらに含む、請求項15記載の静脈注入装置。
【請求項20】
放射性化合物の少なくとも一回用量を収容するバイアルを、遮蔽アクセスプラグによって塞がれたアパーチャを有する遮蔽エンクロージャの中に格納する段階、
該遮蔽アクセスプラグを遮蔽エンクロージャから取り外し、それにより、該アパーチャを露出させる段階、
静脈注射(IV)流体ラインを、放射性化合物の少なくとも一回用量を収容する該バイアルと患者との間に連結する段階であって、該連結は、該露出したアパーチャを介して起こる、段階、
放射性化合物の少なくとも一回用量の少なくとも一部分を該IV流体ラインを通じて患者に注入する段階
を含む、患者への放射性化合物の注入中に放射線被曝を減らす方法。
【請求項21】
放射性化合物が、イットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
非放射性化合物をIV流体ラインの少なくとも患者近位部分を通じて患者に注入する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
アミノ酸を含有する希釈栄養剤である非放射性化合物およびイットリウム90で放射能標識されたソマトスタチンペプチドまたは類似物を含む放射性コンジュゲートである放射性化合物それぞれが、IV流体ラインの少なくとも一部分を通じて交互に患者に注入される、請求項20記載の方法。
【請求項24】
放射性化合物の少なくとも一回用量を収容する遮蔽エンクロージャをIVポールから吊り下げることをさらに含む、請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−516178(P2011−516178A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503212(P2011−503212)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039482
【国際公開番号】WO2009/124257
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(507412863)モレキュラ インサイト ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】