説明

放流警報装置

【課題】放流警報局の機器の異常を迅速に監視局に通知することが可能な放流警報装置を提供する。
【解決手段】ダムの下流の河川に設置され、ダムの放流制御を監視する監視装置10に接続された放流警報装置20において、自装置に接続されたスピーカに異常があるか否かをインピーダンスの測定結果に基づいて判定するインピーダンス判定部23と、自装置に接続された電源装置から電源異常信号が取得された否かを判定する電源異常信号取得部24と、インピーダンス判定部23においてスピーカに異常があると判定されたかまたは、電源異常信号取得部24において電源異常信号が取得されたと判定すると、これらの異常に関するイベントを起動するイベント起動部25と、イベント起動部においてイベントが起動されると、この起動されたイベントに関する情報を出力させるための異常通知情報を生成し、監視装置10に送信する異常通知情報送信部26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダムに設置された監視局からの制御により放流警報を鳴動する放流警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダムに設置された監視局では、ダムの水位に応じて放流制御を行うとともに、ダムの下流域の複数箇所に設置された放流警報局へ、放流警報を流すための遠隔制御を行っている。
【0003】
放流警報とは、ダムから放流が行われる際、下流域で洪水などが起こるおそれがある場合に、下流域の住民や、釣りやキャンプに訪れている人等へ注意や避難を促すために放流警報局から流すアナウンスである。
【0004】
このような放流警報を確実に行うため、放流警報局の機器が正常に動作可能な状態であるかどうかを定期的に点検する必要があるが、放流警報局は人間が行きづらい場所に設置されていることがあり、またその数が多数であるため、通常は監視局から無線により点検を行っている。
【0005】
監視局で放流警報局の機器の点検を無線で行う技術については、例えば特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−59198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この監視局から放流警報局の機器の点検を行う間隔は通常1日1回程度であり、この程度の間隔では機器の異常をリアルタイムに検知することができない。
【0008】
そこで危険防止のため、放流警報局の機器の異常をさらに迅速に検知できる技術が望まれていた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、放流警報局の機器の異常を迅速に監視局に通知することが可能な放流警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の放流警報装置は、ダムの下流の河川に設置され、ダムの放流制御を監視する監視装置に接続され、自装置に接続された機器に異常があるか否かを判定する機器異常判定部と、機器異常判定部において前記機器の異常があると判定されると、この機器の異常に関するイベントを起動するイベント起動部と、イベント起動部においてイベントが起動されると、この起動されたイベントに関する情報を出力させるための異常通知情報を生成し、前記監視装置に送信する異常通知情報送信部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、この放流警報装置の一の形態では、前記機器異常判定部が、自装置に接続されたスピーカのインピーダンスを測定し、この測定結果に基づいて異常があるか否かを判定し、前記イベント起動部が、前記機器異常判定部において前記スピーカの異常があると判定されると、このスピーカの異常に関するイベントを起動することを特徴とする。
【0012】
また、この放流警報装置の他の形態では、前記機器異常判定部が、自装置に接続された電源装置から異常が発生したことを通知する電源異常信号が取得されたか否かを判定し、前記イベント起動部が、前記機器異常判定部において前記電源装置から前記電源異常信号が取得されたと判定されると、この電源装置の異常に関するイベントを起動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の放流警報装置によれば、放流警報局の機器の異常を迅速に監視局に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による放流警報装置を利用した放流警報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による放流警報装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈一実施形態による放流警報システムの構成〉
本発明の一実施形態による放流警報装置を利用した放流警報システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0016】
放流警報システム1は、ダム等の監視局に設置された監視装置10と、ダムの下流の河川に所定間隔で設けられた放流警報局にそれぞれ設置された複数の放流警報装置20とが、無線で通信可能な状態で構成されている。図1においては、説明を簡略化するため、監視装置10に接続された放流警報装置20が1台の場合について示している。
【0017】
また、放流警報装置20に接続される機器として、放流警報を出力するスピーカ30および放流警報装置20に電気を供給する電源装置40がある。
【0018】
監視装置10は、監視員の操作等により、放流警報を鳴動させるための放流警報信号を無線で各放流警報装置20に送信する放流警報制御部11と、いずれかの放流警報装置20からスピーカ30または電源装置40の異常を知らせる異常通知情報が送信されたときにこの情報を受信する異常通知情報受信部12と、この異常通知情報受信部12で異常通知情報を受信したときに、この異常通知情報に基づいてスピーカ30または電源装置40の異常に関する情報を監視員に知らせるために出力する異常通知情報出力部13とを有する。
【0019】
また、放流警報装置20は、監視装置10から送信された放流警報信号を受信する放流警報信号受信部21と、この放流警報信号受信部21で放流警報信号を受信したときにこの放流警報信号に基づいた放流警報をスピーカ30から出力させる放流警報出力部22と、所定時間間隔でスピーカ30のインピーダンスを測定し、この測定結果に基づいてスピーカ30に関する異常の有無を判定する機器異常判定部としてのインピーダンス判定部23と、放流警報装置20に接続された電源装置から電源状態の異常を知らせる電源異常信号が送信されたときにこの信号を取得する機器異常判定部としての電源異常信号取得部24と、インピーダンス判定部23でインピーダンスの測定結果が異常であると判定されたとき、または電源異常信号取得部24で電源異常信号が取得されたときにこれらの異常に関するイベントを起動するイベント起動部25と、このイベント起動部25で起動されたイベントに関する情報を出力させるための異常通知情報を生成し、監視装置10に送信する異常通知情報送信部26とを有する。
【0020】
〈一実施形態による放流警報システムの動作〉
次に、本実施形態による放流警報システム1において、(a)放流警報が鳴動されるときの動作、および(b)放流警報装置20に接続された機器の異常が検出されるときの動作について説明する。
【0021】
(a)放流警報が鳴動されるときの動作
監視局の監視装置10において、監視員の操作等により放流警報の鳴動が指示されると、放流警報を鳴動させるための放流警報信号が放流警報制御部11から各放流警報装置20に送信される。
【0022】
放流警報装置20では、監視装置10の放流警報制御部11から送信された放流警報信号が放流警報信号受信部21で受信され、放流警報出力部22に出力される。放流警報出力部22において放流警報信号が取得されると、この放流警報信号に基づいた放流警報をスピーカ30から出力させ鳴動させる。
【0023】
(b)放流警報装置20に接続された機器の異常が検出されるときの動作
放流警報装置20の機器であるスピーカ30および電源装置40の異常が検出されるときの動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
まず、放流警報装置20のインピーダンス判定部23において、所定時間間隔でスピーカ30のインピーダンスが測定され(S1)、この測定結果に基づいてスピーカ30に関する異常の有無が判定される(S2)。このインピーダンスが測定される所定時間間隔とは、スピーカの異常が発生してから検知されるまでに要する時間の許容最大値であり、例えば1分間隔である。また、インピーダンスの測定によりスピーカの異常を検出する方法については、周知の技術(例えば、特開昭57−142100号公報)に記載の技術を用いることができる。
【0025】
一方、電源異常信号取得部24では、電源装置40から電源状態の異常を知らせる電源異常信号が送信されたか否かが監視されている(S3)。この電源状態の異常とは、例えばバッテリ電圧低下や停電などによる異常である。
【0026】
次に、インピーダンス判定部23において測定されたインピーダンスの測定結果が異常であると判定されたとき(S2の「YES」)、または電源異常信号取得部24において電源異常信号が取得されたと判定されたときには(S3の「YES」)、イベント起動部25においてスピーカ30の異常に関するイベントが起動される(S4)。
【0027】
イベント起動部25においてイベントが起動されると、異常通知情報送信部26において、当該イベントに関する情報を出力させるための異常通知情報が生成されて監視装置10に送信される(S5)。
【0028】
異常通知情報送信部26から異常通知情報が送信されると、監視装置10の異常通知情報受信部12で受信される。
【0029】
異常通知情報受信部12で異常通知情報が受信されると、この異常通知情報に基づいて異常通知情報出力部13から当該異常に関する情報が出力される。この異常に関する情報とは、例えばスピーカが正常に作動しない、電源電圧が低下している、停電が起こっている、等の情報である。また出力方法としては、例えばブザーの鳴動、ボタンの点滅、ポップアップ画面による警告の表示等がある。
【0030】
このように異常通知情報出力部13から異常に関する情報が出力されることにより、監視員はスピーカ30や電源装置40の異常を認識することができる。
【0031】
以上の本実施形態によれば、スピーカや電源装置で異常が発生したときに迅速に検知して監視局で異常通知情報を出力するため、監視員に迅速にこれらの機器の異常を認識させることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…放流警報システム
10…監視装置
11…放流警報制御部
12…異常通知情報受信部
13…異常通知情報出力部
20…放流警報装置
21…放流警報信号受信部
22…放流警報出力部
23…インピーダンス判定部
24…電源異常信号取得部
25…イベント起動部
26…異常通知情報送信部
30…スピーカ
40…電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダムの下流の河川に設置され、ダムの放流制御を監視する監視装置に接続された放流警報装置において、
自装置に接続された機器に異常があるか否かを判定する機器異常判定部と、
機器異常判定部において前記機器の異常があると判定されると、この機器の異常に関するイベントを起動するイベント起動部と、
イベント起動部においてイベントが起動されると、この起動されたイベントに関する情報を出力させるための異常通知情報を生成し、前記監視装置に送信する異常通知情報送信部と、
を備えることを特徴とする放流警報装置。
【請求項2】
前記機器異常判定部は、自装置に接続されたスピーカのインピーダンスを測定し、この測定結果に基づいて異常があるか否かを判定し、
前記イベント起動部は、前記機器異常判定部において前記スピーカの異常があると判定されると、このスピーカの異常に関するイベントを起動する
ことを特徴とする請求項1に記載の放流警報装置。
【請求項3】
前記機器異常判定部は、自装置に接続された電源装置から異常が発生したことを通知する電源異常信号が取得されたか否かを判定し、
前記イベント起動部は、前記機器異常判定部において前記電源装置から前記電源異常信号が取得されたと判定されると、この電源装置の異常に関するイベントを起動する
ことを特徴とする請求項1に記載の放流警報装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate