説明

放熱ユニットおよびこれを用いた電子機器

【課題】電子機器に活用される放熱ユニットにおいて、この放熱ユニットに使用される送風機の消費電力を削減することを目的とする。
【解決手段】筐体4内部に高発熱部材6と放熱板5を備えた電子機器の前記筐体4に装着する放熱ユニット7において、前記放熱ユニット7は複数の熱交換体9と複数の送風機12と第一空間13を備え、前記第一空間13は前記熱交換体9と前記送風機12の間に設け、前記熱交換体9は通風路14と前記通風路14の一端に設けた循環風吸込口15と前記通風路14の他端に設けた循環風吹出口16を有し、前記送風機12は送風機吸込口10と送風機吹出口11を有し、前記第一空間13において前記送風機12から吹出される循環風あるいは前記送風機12に吸込まれる循環風を仕切る仕切部17を設けた構成にしたことにより、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力削減という効果を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば屋外において設置される電子機器に活用される放熱ユニットおよびこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば画像表示装置では、筐体の表側に表示部が設けられ、またこの筐体の内部には高発熱部材例えば電子部品が設けられ、筐体の裏側は仕切板で覆っていた。
【0003】
また、この電子機器は、筐体内部を塵埃及び水滴から保護するためにほぼ密閉構造とし、筐体内部に設けた送風機と、熱交換体を備えた放熱ユニットを用い、送風機により筐体内部の空気を循環及び攪拌し、筐体内部の発熱を熱交換体を介して放熱する構造となっている場合もあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−96910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の放熱ユニットを用いて電子機器を放熱する構造において、筐体内部の冷却に必要な循環風量を得るためには筐体内部の循環風路の通風抵抗が高くなり、その結果として送風機の消費電力が高くなるという課題を有していた。
【0006】
そこで本発明は筐体内部の循環風路の通風抵抗を小さくし、筐体内部の冷却に必要な送風機の消費電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明の放熱ユニットは筐体内に高発熱部材と放熱板を備えた電子機器の前記筐体に装着する放熱ユニットにおいて、前記放熱ユニットは複数の熱交換体と複数の送風機と第一空間を備え、前記第一空間は前記熱交換体と前記送風機の間に設け、前記熱交換体は通風路と前記通風路の一端に設けた循環風吸込口と前記通風路の他端に設けた循環風吹出口を有し、前記送風機は送風機吸込口と送風機吹出口を有し、前記第一空間において前記送風機から吹出される循環風あるいは前記送風機に吸込まれる循環風を仕切る仕切部を設けたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の放熱ユニットによれば、筐体内に高発熱部材と放熱板を備えた電子機器の前記筐体に装着する放熱ユニットにおいて、前記放熱ユニットは複数の熱交換体と複数の送風機と第一空間を備え、前記第一空間は前記熱交換体と前記送風機の間に設け、前記熱交換体は通風路と前記通風路の一端に設けた循環風吸込口と前記通風路の他端に設けた循環風吹出口を有し、前記送風機は送風機吸込口と送風機吹出口を有し、前記第一空間において前記送風機から吹出される循環風あるいは前記送風機に吸込まれる循環風を仕切る仕切部を設けた構成にしたことにより、筐体内部の循環風路の通風抵抗を小さくすることができるため、送風機の消費電力削減という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1の画像表示装置の設置例を示す図
【図2】同画像表示装置の背面側の斜視図
【図3】同画像表示装置の背面側の分解斜視面図
【図4】同放熱ユニットの一部の構成を示す図((a)斜視図、(b)断面を示す構成図)
【図5】同熱交換体と仕切板の構成を示す図((a)斜視図、(b)正面図)
【図6】同放熱ユニットのA−A断面を示す構成図
【図7】同放熱ユニットのC―C断面を示す構成図
【図8】同画像表示装置の断面を示す構成図
【図9】E部分を拡大した同画像表示装置の断面を示す構成図
【図10】F部分を拡大した同画像表示装置の断面を示す構成図
【図11】本発明の実施の形態1の仕切部を設けない場合の同放熱ユニットのG―G断面を示す構成図
【図12】本発明の実施の形態1の仕切部を設けず、通風路の幅が上流と下流で一定の場合の同放熱ユニットのA−A断面を示す構成図
【図13】本発明の実施の形態1の仕切部を設けず、通風路の幅が上流と下流で一定の場合の同放熱ユニットのC―C断面を示す構成図
【図14】本発明の実施の形態1の整流風路と整流部を設けない場合のE部分を拡大した同画像表示装置の断面を示す構成図
【図15】本発明の実施の形態2の同放熱ユニットの一部の構成を示す断面を示す構成図
【図16】同放熱ユニットのH−H断面を示す構成図
【図17】本発明の実施の形態2の仕切部を設けず、通風路の幅が上流と下流で一定の場合の同放熱ユニットのH−H断面を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の請求項1記載の放熱ユニットは、筐体内に高発熱部材と放熱板を備えた電子機器の前記筐体に装着する放熱ユニットにおいて、前記放熱ユニットは複数の熱交換体と複数の送風機と第一空間を備え、前記第一空間は前記熱交換体と前記送風機の間に設け、前記熱交換体は通風路と前記通風路の一端に設けた循環風吸込口と前記通風路の他端に設けた循環風吹出口を有し、前記送風機は送風機吸込口と送風機吹出口を有し、前記第一空間において前記送風機から吹出される循環風あるいは前記送風機に吸込まれる循環風を仕切る仕切部を設けた構成を有する。これにより、送風機と隣合う送風機から吹出された循環風と循環風が干渉するのを防ぎ、あるいは送風機と隣合う送風機へ吸込まれる循環風同士が干渉するのを防ぎ、通風抵抗を削減することができるので、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0011】
また、請求項2記載の放熱ユニットは、前記循環風吸込口と隣合う前記循環風吸込口との間の中心線及び前記循環風吸込口に対して垂直かつ、前記循環風吸込口に交わる断面において、前記熱交換体の前記通風路の幅を下流から上流に向かって大きくした構成を有する。これにより、循環風が循環風路吸込口へ突入する際の突入抵抗を削減することができ、通風抵抗を削減することができるので、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0012】
また、請求項3記載の放熱ユニットは、前記循環風吹出口と隣合う前記循環風吹出口との間の中心線及び前記循環風吹出口に対して垂直かつ、前記循環風吹出口に交わる断面において、前記熱交換体の前記通風路の幅を上流から下流に向かって大きくした構成を有する。これにより、循環風が循環風吹出口から吹出される際の風路の急拡大による吹出抵抗を削減することができ、通風抵抗を削減することができるので、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0013】
また、請求項4記載の放熱ユニットは、前記送風機と前記第一空間を前記循環風吸込口側に設け、前記送風機吸込口に整流風路を備え、前記整流風路は整流風路吸込口と整流風路吹出口を有した構成を有する。これにより、整流風路がない場合において送風機吸込口近傍で発生する流れの乱れを抑制できるため、通風抵抗を削減することができ、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0014】
また、請求項5記載の放熱ユニットは、前記整流風路は、前記整流風路吸込口の開口面積を前記整流風路吹出口の開口面積より大きくした構成を有する。これにより、整流風路がない場合において送風機吸込口近傍で発生する流れの乱れを抑制できるとともに、整流風路吸込口の開口面積を整流風路吹出口の開口面積より大きくしたことで、整流風路上流側の風速を低減し、整流風路吸込口近傍で発生する流れの乱れ、及び整流風路内での風の剥離を抑制することができ、より高い整流効果を得ることができるため、通風抵抗を削減でき、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0015】
また、請求項6記載の放熱ユニットは、前記整流風路吸込口に整流部を設け、前記整流部は前記送風機の外形方向に広がる構成を有する。これにより、整流風路がない場合において送風機吸込口近傍で発生する流れの乱れを抑制できるとともに、整流風路吸込口に前記送風機の外形方向に広がる整流部を設けたことで、整流風路吸込口近傍で発生する流れの乱れを抑制できるため、通風抵抗を削減することができ、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0016】
また、請求項7記載の放熱ユニットは、前記送風機が軸流送風機であって、前記送風機を前記筐体との装着面から前記通風路循環方向に傾斜して設けた構成を有する。これにより、これにより、傾斜して設けない場合と比較して送風機から吹出された循環風が通風路を循環する際の循環方向の変化が小さくなるため、通風抵抗を削減することができ、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0017】
また、請求項8記載の電子機器は、請求項1から7のいずれか一つに記載の放熱ユニットを前記筐体に装着した構成を有する。これにより、電子機器は送風機の消費電力を削減する効果を有した放熱ユニットを装着した構成であるため、電子機器の消費電力削減という効果を奏する。
【0018】
また、請求項9記載の電子機器は、第一整流板を前記放熱板上の前記循環風吸込口の上流に設けた構成を有する。これにより、循環風が第一整流板を沿いながら循環風吸込口に吸込まれることで、前記循環風吸込口の上流で発生する流れの乱れを抑制できるため、通風抵抗を削減することができ、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0019】
また、請求項10記載の電子機器は、前記第一整流板は高熱伝導性部材で構成し、前記放熱板と接触させた構成を有する。これにより放熱板の熱が第一整流板へと伝導しさらに循環風へ伝達するため、循環風の熱回収率を向上することができる。その結果、循環風量を削減することができるため、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0020】
また、請求項11記載は、第二整流板を前記放熱板上の前記循環風吹出口の下流に設けた構成を有する。これにより循環風が第二整流板に沿いながら電子機器内に吹出されることで、循環風吹出口近傍で発生する流れの乱れを抑制できるため、通風抵抗を削減することができ、送風機の消費電力を削減するという効果を奏する。
【0021】
また、請求項12記載の電子機器は、前記第二整流板は高熱伝導性部材で構成し、前記放熱板と接触させた構成を有する。これにより放熱板の熱が第二整流板へと伝導しさらに循環風へ伝達するため、効率的に放熱することができる。その結果、放熱に必要な循環風量を削減することができるため、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0022】
また、請求項13記載の電子機器は、前記筐体内の前記循環風吸込口近傍に循環風温度計測手段を設け、前記循環風温度計測手段で計測した循環風温度をもとに前記送風機の送風量を決定する構成を有する。これにより、例えば筐体内部の高発熱部材を循環した循環風を吸込む送風機の風量を増やすことで、効率よく熱交換体部分で放熱を行うことができるため、筐体内部の放熱に必要な循環風量を削減でき、送風機の消費電力削減という効果を奏する。また、高発熱部材を循環しない循環風を吸込む送風機の風量を減らすことができるため、送風機の消費電力削減という効果を奏する。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1において、電子機器の一例として用いた画像表示装置1はテレビジョン受像機としての機能以外に、広告用の表示も行えるようになっている。
【0025】
したがって、この図1では、画像表示装置1は商店2の屋外に設置され、この屋外において表示部3が表出した状態となっている。
【0026】
図2および図3に示すように、画像表示装置1は前面と背面が開口した筐体4と、この筐体4の前面開口部に密閉状態で配置された表示部3と、この筐体4の内部に配置された放熱板5と高発熱部材6と、筐体4の背面開口部に密閉状態で配置された放熱ユニット7とを備えている。
【0027】
なお、本実施の形態1では図2のように三つの放熱ユニット7を左右に並べることで、筐体4の背面開口部を密閉状態に覆う構成としている。
【0028】
また、放熱板5は表示部3の背面に配置され、表示部3から発生する熱を吸収し高温となっている。
【0029】
また、高発熱部材6、例えば電子部品は放熱板5上に配置され、表示部3の制御を行っている。
【0030】
図3および図4に示すように、放熱ユニット7は筐体4背面開口部に装着して、筐体4の内部と外部を密閉状態で仕切る仕切板8と、筐体4の外部側に配置した複数の熱交換体9と、送風機吸込口10と送風機吹出口11を有した複数の送風機12と、熱交換体9と送風機12の間に第一空間13を備えた構成となっている。
【0031】
また、図3および図4に示すように、熱交換体9は縦長の通風路14とこの通風路14の両端に循環風吸込口15と循環風吹出口16を有しており、筐体4の外部側において、循環風吸込口15と循環風吹出口16を通風路14によって縦方向に連通させた筒状の構成となっている。
【0032】
図3に示すように複数の熱交換体9は横方向に所定間隔をおいて連結した構造となっている。また、熱交換体9は縦方向において直線形状であるため、循環風吸込口15と循環風吹出口16も同様に横方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0033】
また、図5に示すように、仕切板8は熱交換体9に循環風を吸込ませるための横長手に形成した上部の開口と、熱交換体から循環風を吹出させるための下部の開口を有する。
【0034】
そして、上部の開口には複数の循環風吸込口15を、下部の開口には複数の循環風吹出口16を取付けることができる構成となっている。
【0035】
ここで、図6は、図4(b)、図5(b)で示すような、循環風吸込口15と隣合う循環風吸込口15との間の中心線B及び循環風吸込口15に対して垂直かつ、循環風吸込口15に交わるA−A断面を示す構成図で、仕切部17と通風路14の詳細図である。
【0036】
図6に示すように、第一空間13において隣合う送風機12間に各々の送風機12から吹出される循環風を仕切る仕切部17を備えた構成となっている。
【0037】
また、図6に示すように、循環風吸込口15側の通風路14の形状は熱交換体9の通風路14の幅を下流から上流に向かって大きくした形状となっている。
【0038】
ここで、図7は、図4(b)、図5(b)で示すような、循環風吹出口16と隣合う循環風吹出口16との間の中心線D及び循環風吹出口16に対して垂直かつ、循環風吹出口16に交わるC−C断面を示す構成図で、通風路14の詳細図である。
【0039】
図7に示すように、循環風吹出口16側の通風路14の形状は、熱交換体9の通風路14の幅を上流から下流に向かって大きくした形状となっている。
【0040】
図8に示すように、筐体4内部の循環風は送風機12によって吹出され、循環風吸込口15から熱交換体9内部へ吸込まれる。吸込まれた循環風は通風路14を循環し循環風吹出口16から筐体4内部へ吹出される。そして、吹出された循環風は高発熱部材6を循環し再び送風機12に吸込まれる。このように、循環風は筐体4内部と熱交換体9を循環している。
【0041】
ここで、図9は図8で示している円Eを拡大した図である。
【0042】
図9に示すように、軸流送風機である送風機12は筐体4における放熱ユニット7の装着面から通風路14循環方向Xに傾斜角度αをつけて設けられており、筐体4内部の循環風が循環風吸込口15から熱交換体9へ吸込まれるような構成となっている。
【0043】
また、図9に示すように、筒状の整流風路18を送風機吸込口10に備えている。
【0044】
ここで、整流風路18は循環風の上流側に整流風路吸込口19と循環風の下流側に整流風路吹出口20を有しており、整流風路吸込口19の開口面積を整流風路吹出口20の開口面積より大きくした構成となっている。
【0045】
図9に示すように、前記整流風路吸込口19には送風機12の外形方向に広がる整流部21を設けている。
【0046】
図9に示すよう、循環風吸込口15の上流に、循環風を循環風吸込口15に向かわせるような第一整流板22が配置されている。
【0047】
ここで、第一整流板22は放熱板5に接触させ、高熱伝導性部材、例えば金属としている。
【0048】
図10は図8で示している円Fを拡大した図である。
【0049】
図10に示すよう、循環風吹出口16の下流に、吹出された循環風を高発熱部材6に向かわせるような第二整流板23が配置されている。
【0050】
ここで、第二整流板23は放熱板5に接触させ、高熱伝導性部材、例えば金属としている。
【0051】
また、図8に示すように、循環風吸込口15に吸込まれる循環風の温度を計測する循環風温度計測手段24、例えばサーミスタを循環風吸込口15の上流に設けた。
【0052】
本実施の形態1では、筐体4は、その前面開口部が表示部3で、また背面開口部が仕切板8により密閉状態で覆われているので、表示部3や高発熱部材6の熱がこの筐体4内部にこもることになる。
【0053】
そこで本実施の形態1では上述の放熱ユニット7を設けたものであり、送風機12を駆動すると、図8のごとく、筐体4内部の熱は温風として循環風吸込口15から熱交換体9内部へと、つまり筐体4外部へと搬送される。
【0054】
その後、熱交換体9部分で放熱された温風が循環風吹出口16から筐体4内部に搬送され、これで高発熱部材6の冷却が行われることになる。
【0055】
ここで、図11は図9で示すような、送風機吹出口11面と平行かつ第一空間13に交わるG−G断面を示す構成図で、送風機12の詳細図である。
【0056】
上記構成において図6に示すように、第一空間13内部に仕切部17を設けた構成にしたことにより、図11に示すような、送風機12から吹出された循環風と隣合う送風機12から吹出された循環風の干渉を防ぎ、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0057】
また、図6のように循環風吸込口15側の通風路14の幅を下流から上流に向かって大きくした形状にすることで、筐体4内から通風路14への急激な断面積変化を低減するとともに、循環風の通風路14間への衝突による渦(図12)の発生を低減できる。結果として、循環風が循環風吸込口15へ突入する際の突入抵抗を削減することができ、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0058】
この突入抵抗とは、図12で示すような、循環風が熱交換体9に吹込まれる直前、循環風による粘性により発生する循環風吸込口15の外側近傍渦による通風抵抗と、循環風が熱交換体9に吹込まれた直後、循環風による粘性により発生する循環風吸込口15の内側近傍に発生する渦とによる通風抵抗である。
【0059】
また、図7のように循環風吹出口16側の通風路14の幅を上流から下流に向かって大きくした形状にしたことにより、循環風が循環風吹出口16から吹出される際の通風路14の急拡大による吹出抵抗を削減することができ、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0060】
この吹出抵抗とは、図13で示すような、循環風が熱交換体9から吹出された直後に発生する、循環風吹出口16近傍の渦による通風抵抗である。
【0061】
また、図9に示すように、軸流送風機である送風機12を筐体4における放熱ユニット7の装着面から通風路14循環方向Xに傾斜角度αをつけて設けた構成にすることにより、傾斜して設けない場合と比較して送風機12から吹出された循環風が通風路14を循環する際の循環方向の変化が小さくなるため、通風抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0062】
さて、図14で示すように、送風機吸込口10の外側近傍では送風機12の吸込み方向と同じ方向の循環風とそれ以外の方向の循環風により渦が発生しており、その渦は送風機12に影響を及ぼすとともに、吸込抵抗を増大させている。
【0063】
そこで、図9に示すように、送風機吸込口10に整流風路18を備えることで、整流風路吸込口19の外側近傍に渦を発生させることができるため、送風機吸込口10の外側近傍で発生していた渦を防ぐことができる。結果として、渦を送風機吸込口10から遠ざけることができるので、渦による送風機12への影響を低減できるとともに、送風機吸込口10近傍の循環風の乱れを低減することができるため、吸込抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0064】
また、整流風路吸込口19の開口面積を整流風路吹出口20の開口面積より大きくした構成により、整流風路吸込口19の外側近傍の循環風の風速が遅くなるため、発生する渦を小さくできとともに、循環風が整流風路18に沿いながら吸込まれるようになるため、整流風路18内部の通風抵抗の増加を防ぐことができる。その結果、より高い整流効果を得ることができるため、通風抵抗を削減でき、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0065】
さらに、整流風路吸込口19に外形方向に広がる整流部21を設けたことにより、整流部21の外側近傍に渦を発生させることができるため、整流風路吸込口19の外側近傍で発生していた渦を防ぐことができる。結果として、さらに渦を送風機吸込口10から遠ざけることができ、より高い整流効果を得ることができるため、吸込抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0066】
また、図9に示すように循環風吸込口15の上流に第一整流板22を設置することで、筐体4内部を循環してきた循環風を第一整流板22に沿わせて整流風路吸込口19に吸込ませることができる。つまり、筐体4内部を循環してきた循環風の方向を送風機12の吸込み方向にすることができるため、送風機12の吸込抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0067】
ここで、この第一整流板22は高熱伝導性部材、例えば金属で構成し、放熱板5と接触させている。
【0068】
そのため、第一整流板22は、例えばフィンのように放熱板5の熱を直接伝導し、伝導した熱を循環風へと伝達する。その結果、効率的に放熱でき、放熱に必要な循環風量を削減することができるため、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0069】
また、図10に示すように、第二整流板23を設置することで、循環風吹出口16から吹出された循環風を第二整流板23に沿わせて循環させることができる。つまり、循環風吹出口16から吹出された循環風を高発熱部材6へスムーズに循環させることができるため、通風抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0070】
ここで、この第二整流板23は高熱伝導性部材、例えば金属で構成し、放熱板5と接触させている。
【0071】
そのため、放熱板5の熱は第二整流板23を介して直接伝導し、さらに循環風に伝達する。その結果、第一整流板22は、例えばフィンのように放熱板5の熱を直接伝導し、伝導した熱を循環風へと伝達する。その結果、効率的に放熱でき、放熱に必要な循環風量を削減することができるため、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0072】
また、図8に示すように、循環風吸込口15に吸込まれる循環風の温度を計測する循環風温度計測手段24、例えばサーミスタを循環風吸込口15の上流に設けることで、循環風吸込口15に吸込まれる循環風の温度を計測し、その温度をもとに送風機12の送風量を制御する構成を持つことができる。
【0073】
これにより、例えば筐体4内部の高発熱部材6を循環した循環風を吸込む送風機12の風量を増やすことで、効率よく熱交換体9部分で放熱を行うことができるため、筐体4内部の放熱に必要な循環風量を削減でき、送風機12の消費電力を削減することができる。また、高発熱部材6を循環しない循環風を吸込む送風機12の風量を減らすことができるため、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0074】
なお、図6では仕切部17と循環風吸込口15との間に間隔を設けたが、仕切部17を循環風吸込口15と連結させ隣合う送風機12から吹出される各々の循環風と循環風とを完全に仕切る構成としても、送風機12と隣合う送風機12から吹出された循環風と循環風とによる干渉するのを防ぎ、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0075】
なお、図9では、整流部21の形状を外形方向に広がる円弧形状としているが、外形方向に広がる直線形状にしても、整流部21の外側近傍に渦を発生させることができるため、整流風路吸込口19の外側近傍で発生していた渦を防ぐことができる。結果として、さらに渦を送風機吸込口10から遠ざけることができ、より高い整流効果を得ることができるため、吸込抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0076】
なお、図9では第一整流板22と放熱板5と間に間隔を設けて設置しているが、放熱板5に連結させても、筐体4内部を循環してきた循環風の方向を送風機12の吸込み方向にすることができるため、送風機12の吸込抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0077】
なお、図10では第二整流板23と放熱板5と間に間隔を設けて設置しているが、放熱板5に連結させても、循環風吹出口16から吹出された循環風を高発熱部材6へ循環させることができるため、通風抵抗を削減することができ、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0078】
(実施の形態2)
図15は本発明の実施の形態2を示しており、上記実施の形態1と同一部分には同一番号を付して、説明を簡略化する。
【0079】
この実施の形態2では、図15に示すように複数の送風機12と第一空間13を循環風吹出口16側に取付けた構成としている。ここで、第一空間13は送風機吸込口10と熱交換体9との間に設けている。
【0080】
ここで、図16は図15で示すような、循環風吹出口16と隣合う循環風吹出口16との間の中心線D及び循環風吹出口16に対して垂直かつ、循環風吹出口16に交わるH−H断面を示す構成図で、仕切部17と通風路14の詳細図である。
【0081】
図16に示すように、第一空間13において隣合う送風機12間に各々の送風機12に吸込まれる循環風を仕切る仕切部17を備えた構成となっている。
【0082】
この実施の形態2では、図15に示すように、送風機12が循環風吹出口16から熱交換体9内部の循環風を吸込むことで、循環風を循環させている。
【0083】
図16に示すように、第一空間13内部に仕切部17を設けた構成にしたことにより、送風機12と隣合う送風機12に吸込まれる各々の循環風と循環風とによる干渉と、図17に示すような、送風機12に吸込まれる循環風により発生していた渦による通風抵抗の増大を防ぎ、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0084】
なお、図16では仕切部17と循環風吹出口16との間に間隔を設けたが、仕切部17を循環風吹出口16と連結させ、隣合う送風機12に吸込まれる各々の循環風と循環風とを完全に仕切る構成としても、送風機12と隣合う送風機12に吸込まれる各々の循環風と循環風とによる干渉と、図17に示すような、送風機12に吸込まれる循環風により発生していた渦による通風抵抗の増大を防ぎ、通風抵抗を削減することができるので、送風機12の消費電力を削減することができる。
【0085】
なお、図示してはいないが、この実施の形態2でも循環風吸込口15の上流に第一整流板22を、循環風吹出口16の下流に第二整流板23を設けている。
【0086】
これら第一整流板22と第二整流板23の作用効果は、実施の形態1での第一整流板22と第二整流板23の作用効果に差異を生じない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、筐体内に高発熱部材と放熱板を備えた電子機器の前記筐体に装着する放熱ユニットにおいて、前記放熱ユニットは複数の熱交換体と複数の送風機と第一空間を備え、前記第一空間は前記熱交換体と前記送風機の間に設け、前記熱交換体は通風路と前記通風路の一端に設けた循環風吸込口と前記通風路の他端に設けた循環風吹出口を有し、前記送風機は送風機吸込口と送風機吹出口を有し、前記第一空間において前記送風機から吹出される循環風あるいは前記送風機に吸込まれる循環風を仕切る仕切部を設けた放熱ユニットという構成にしたことにより、筐体内部の循環風路の通風抵抗が小さくなり、効率よく筐体内部を冷却することができるため、送風機の消費電力削減という効果を得ることができる。
【0088】
したがって、電子機器に活用される放熱ユニットにおいて、この放熱ユニットに使用される送風機の消費電力を削減することができ、極めて有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 画像表示装置
2 商店
3 表示部
4 筐体
5 放熱板
6 高発熱部材
7 放熱ユニット
8 仕切板
9 熱交換体
10 送風機吸込口
11 送風機吹出口
12 送風機
13 第一空間
14 通風路
15 循環風吸込口
16 循環風吹出口
17 仕切部
18 整流風路
19 整流風路吸込口
20 整流風路吹出口
21 整流部
22 第一整流板
23 第二整流板
24 循環風温度計測手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に高発熱部材と放熱板を備えた電子機器の前記筐体に装着する放熱ユニットにおいて、前記放熱ユニットは複数の熱交換体と複数の送風機と第一空間を備え、前記第一空間は前記熱交換体と前記送風機の間に設け、前記熱交換体は通風路と前記通風路の一端に設けた循環風吸込口と前記通風路の他端に設けた循環風吹出口を有し、前記送風機は送風機吸込口と送風機吹出口を有し、前記第一空間において前記送風機から吹出される循環風あるいは前記送風機に吸込まれる循環風を仕切る仕切部を設けた放熱ユニット。
【請求項2】
前記循環風吸込口と隣合う前記循環風吸込口との間の中心線及び前記循環風吸込口に対して垂直かつ、前記循環風吸込口に交わる断面において、前記熱交換体の前記通風路の幅を下流から上流に向かって大きくした請求項1に記載の放熱ユニット。
【請求項3】
前記循環風吹出口と隣合う前記循環風吹出口との間の中心線及び前記循環風吹出口に対して垂直かつ、前記循環風吹出口に交わる断面において、前記熱交換体の前記通風路の幅を上流から下流に向かって大きくした請求項1または2に記載の放熱ユニット。
【請求項4】
前記送風機と前記第一空間を前記循環風吸込口側に設け、前記送風機吸込口に整流風路を備え、前記整流風路は整流風路吸込口と整流風路吹出口を有した請求項1から3のいずれか一つに記載の放熱ユニット。
【請求項5】
前記整流風路は、前記整流風路吸込口の開口面積を前記整流風路吹出口の開口面積より大きくした請求項4に記載の放熱ユニット。
【請求項6】
前記整流風路吸込口に整流部を設け、前記整流部は前記送風機の外形方向に広がる請求項4または5に記載の放熱ユニット。
【請求項7】
前記送風機が軸流送風機であって、前記送風機を前記筐体との装着面から前記通風路循環方向に傾斜して設けた請求項4から6のいずれか一つに記載の放熱ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の放熱ユニットを前記筐体に装着した電子機器。
【請求項9】
第一整流板を前記放熱板上の前記循環風吸込口の上流に設けた請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第一整流板は高熱伝導性部材で構成し、前記放熱板と接触させた請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
第二整流板を前記放熱板上の前記循環風吹出口の下流に設けた請求項8から10のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項12】
前記第二整流板は高熱伝導性部材で構成し、前記放熱板と接触させた請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記筐体内の前記循環風吸込口近傍に循環風温度計測手段を設け、前記循環風温度計測手段で計測した循環風温度をもとに前記送風機の送風量を決定する請求項1から12のいずれか一つに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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