説明

放送信号受信装置、放送信号受信方法、およびプログラム

【課題】視聴したい番組を探し出すのが視聴者にとってより容易となる放送信号受信装置、放送信号受信方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】放送信号受信装置1は、視聴者により視聴選択されているチャンネル以外の放送信号を受信してTSデータを取得する要約データ用チューナー部21と、要約データ用チューナー部21により取得されたTSデータに基づいて、特徴的な静止画と字幕と特徴的なデータ放送情報とを抽出し、これらを組み合わせて要約データを生成する要約データ生成部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号受信装置、放送信号受信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地上デジタル放送や、BS(Broadcast Satellite)放送や、CS(Communication Satellite)放送などの放送信号を受信して、受信した放送信号に応じた番組の画像を表示画面に表示させる放送信号受信装置が普及している。
【0003】
視聴者は、テレビのチャンネルを頻繁に切り替えるザッピング操作を行うことにより、現在放送中の番組の中から、自分の嗜好により適合した番組を探し出すことができる。ところが、デジタル放送におけるチャンネルの切り替え時間は最大数秒と、従来のアナログ放送よりも長く、また、近年チャンネル数が増加しているため、視聴したい番組を探し出すのが視聴者にとって難しい場合があった。
【0004】
そこで、放送されている番組の静止画を、チャンネルごとに順次取得する放送信号受信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この放送信号受信装置によれば、視聴者は、取得されている静止画を確認することで、各チャンネルで放送されている番組を認識することができるので、視聴したい番組を探し出しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−87668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、視聴したい番組をさらに容易に探し出したい、という視聴者の要請があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、視聴したい番組を探し出すのが視聴者にとってより容易となる放送信号受信装置、放送信号受信方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
【0009】
(1) 本発明は、映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号(例えば、後述の放送信号に相当)を受信する放送信号受信装置(例えば、図1の放送信号受信装置1に相当)であって、前記放送信号を受信する1つ以上の表示用受信手段(例えば、図1の表示用チューナー部11に相当)と、前記放送信号を受信する1つ以上の要約データ用受信手段(例えば、図1の要約データ用チューナー部21に相当)と、前記表示用受信手段により受信された放送信号に基づいて、表示手段(例えば、図1の出力部5に相当)に画像を表示させる表示制御手段(例えば、図1の表示制御部13に相当)と、前記要約データ用受信手段により受信された放送信号から、映像データおよび字幕データを取得するデータ取得手段(例えば、図1のTS記憶制御部22に相当)と、前記データ取得手段により取得された映像データのうち少なくとも一部(例えば、後述の特徴的な静止画に相当)を抽出するとともに、当該データ取得手段により取得された字幕データのうち少なくとも一部(例えば、後述の字幕データに相当)を抽出して、当該抽出した映像データと、当該抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成する要約データ生成手段(例えば、図1の要約データ生成部23に相当)と、を備えることを特徴とする放送信号受信装置を提案している。
【0010】
この発明によれば、映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号を受信する放送信号受信装置に、1つ以上の表示用受信手段と、1つ以上の要約データ用受信手段と、表示制御手段と、データ取得手段と、要約データ生成手段と、を設けた。そして、1つ以上の表示用受信手段のそれぞれと、1つ以上の要約データ用受信手段のそれぞれとにより、放送信号を受信することとした。また、表示制御手段により、表示用受信手段により受信された放送信号に基づいて、表示手段に画像を表示させることとした。また、データ取得手段により、要約データ用受信手段により受信された放送信号から、映像データおよび字幕データを取得することとした。また、要約データ生成手段により、データ取得手段により取得された映像データのうち少なくとも一部を抽出するとともに、データ取得手段により取得された字幕データのうち少なくとも一部を抽出して、抽出した映像データと、抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成することとした。
【0011】
このため、要約データ用受信手段により受信されている放送信号について、映像データのうち少なくとも一部と、字幕データの少なくとも一部と、を抽出し、これらを組み合わせて要約データを生成することができる。したがって、視聴者は、生成された要約データを参照することで、映像だけでなく字幕も確認して、放送信号に応じた番組を認識することができるので、視聴したい番組をさらに容易に探し出すことができる。
【0012】
(2) 本発明は、(1)の放送信号受信装置について、前記放送信号は、前記映像データおよび前記字幕データに加えて、当該映像データに関連する関連情報データ(例えば、後述のデータ放送による情報に相当)を含んで構成され、前記データ取得手段は、前記要約データ用受信手段により受信された放送信号から、映像データおよび字幕データに加えて関連情報データを取得し、前記要約データ生成手段は、前記映像データおよび前記字幕データに加えて、前記データ取得手段により取得された関連情報データのうち少なくとも一部を抽出して、当該映像データと、当該字幕データと、当該抽出した関連情報データと、を組み合わせて要約データを生成することを特徴とする放送信号受信装置を提案している。
【0013】
この発明によれば、放送信号には、映像データおよび字幕データに加えて、映像データに関連する関連情報データが含まれるものとした。そして、データ取得手段により、要約データ用受信手段により受信された放送信号から、映像データおよび字幕データに加えて関連情報データを取得することとした。また、要約データ生成手段により、映像データおよび字幕データに加えて、データ取得手段により取得された関連情報データのうち少なくとも一部を抽出して、映像データと、字幕データと、抽出した関連情報データと、を組み合わせて要約データを生成することとした。
【0014】
このため、要約データ用受信手段により受信されている放送信号について、映像データおよび字幕データだけでなく、映像データに関連する関連情報データも抽出し、これらを組み合わせて要約データを生成することができる。したがって、視聴者は、生成された要約データを参照することで、映像に関連する関連情報も確認して、放送信号に応じた番組を認識することができるので、視聴したい番組をより一層容易に探し出すことができる。
【0015】
(3) 本発明は、(1)または(2)の放送信号受信装置について、前記放送信号は、複数のチャンネルのそれぞれごとに異なっており、前記要約データ用受信手段は、前記表示用受信手段により受信されている放送信号とはチャンネルの異なる放送信号を受信することを特徴とする放送信号受信装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、放送信号は、複数のチャンネルのそれぞれごとに異なっているものとした。そして、要約データ用受信手段により、表示用受信手段により受信されている放送信号とはチャンネルの異なる放送信号を受信することとした。
【0017】
このため、表示手段に画像の表示されているチャンネルとは異なるチャンネルについて、要約データを生成することができる。したがって、視聴者が視聴していないチャンネルについて要約データを生成することができる。
【0018】
(4) 本発明は、(1)〜(3)のいずれかの放送信号受信装置について、前記放送信号は、複数のチャンネルのそれぞれごとに異なっており、前記要約データ用受信手段は、受信する放送信号のチャンネルを順次変更することを特徴とする放送信号受信装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、放送信号は、複数のチャンネルのそれぞれごとに異なっているものとした。そして、要約データ用受信手段により、受信する放送信号のチャンネルを順次変更することとした。このため、要約データを生成するチャンネルについて、順次切り替えることができる。
【0020】
(5) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかの放送信号受信装置について、前記要約データ生成手段は、予め定められたタイミング(例えば、後述のシーンの変化点に相当)で、前記データ取得手段により取得された映像データから静止画を抽出することを特徴とする放送信号受信装置を提案している。
【0021】
この発明によれば、要約データ生成手段により、予め定められたタイミングで、データ取得手段により取得された映像データから静止画を抽出することとした。このため、予め定められたタイミングを適切に設定することで、番組の中から特徴的な静止画を抽出することができる。したがって、視聴者は、視聴したい番組をより一層容易に探し出すことができる。
【0022】
(6) 本発明は、映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号(例えば、後述の放送信号に相当)を受信する放送信号受信方法であって、前記放送信号を受信する第1のステップ(例えば、図1の表示用チューナー部11により放送信号を受信する処理に相当)と、前記放送信号を受信する第2のステップ(例えば、図1の要約データ用チューナー部21により放送信号を受信する処理に相当)と、前記第1のステップにおいて受信した放送信号に基づいて、表示手段(例えば、図1の出力部5に相当)に画像を表示させる第3のステップ(例えば、視聴者に視聴選択されているチャンネルで放送中の番組の画像を図1の表示制御部13により出力部5に出力させる処理に相当)と、前記第2のステップにおいて受信した放送信号から、映像データおよび字幕データを取得する第4のステップ(例えば、図3のステップS23の処理に相当)と、前記第4のステップにおいて取得した映像データのうち少なくとも一部(例えば、後述の特徴的な静止画に相当)を抽出するとともに、当該第4のステップにおいて取得した字幕データのうち少なくとも一部(例えば、後述の字幕データに相当)を抽出して、当該抽出した映像データと、当該抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成する第5のステップ(例えば、図3のステップS26およびステップS32の処理に相当)と、を備えることを特徴とする放送信号受信方法を提案している。
【0023】
この発明によれば、放送信号に基づいて表示手段に画像を表示させるとともに、放送信号から映像データおよび字幕データを取得することとした。そして、取得した映像データのうち少なくとも一部を抽出するとともに、取得した字幕データのうち少なくとも一部を抽出して、抽出した映像データと、抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0024】
(6) 本発明は、映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号(例えば、後述の放送信号に相当)を受信する放送信号受信方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記放送信号を受信する第1のステップ(例えば、図1の表示用チューナー部11により放送信号を受信する処理に相当)と、前記放送信号を受信する第2のステップ(例えば、図1の要約データ用チューナー部21により放送信号を受信する処理に相当)と、前記第1のステップにおいて受信した放送信号に基づいて、表示手段(例えば、図1の出力部5に相当)に画像を表示させる第3のステップ(例えば、視聴者に視聴選択されているチャンネルで放送中の番組の画像を図1の表示制御部13により出力部5に出力させる処理に相当)と、前記第2のステップにおいて受信した放送信号から、映像データおよび字幕データを取得する第4のステップ(例えば、図3のステップS23の処理に相当)と、前記第4のステップにおいて取得した映像データのうち少なくとも一部(例えば、後述の特徴的な静止画に相当)を抽出するとともに、当該第4のステップにおいて取得した字幕データのうち少なくとも一部(例えば、後述の字幕データに相当)を抽出して、当該抽出した映像データと、当該抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成する第5のステップ(例えば、図3のステップS26およびステップS32の処理に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0025】
この発明によれば、プログラムをコンピュータに実行させることで、放送信号に基づいて表示手段に画像を表示させるとともに、放送信号から映像データおよび字幕データを取得することとした。そして、取得した映像データのうち少なくとも一部を抽出するとともに、取得した字幕データのうち少なくとも一部を抽出して、抽出した映像データと、抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、視聴者は、生成された要約データを参照することで、映像だけでなく字幕も確認して、放送信号に応じた番組を認識することができるので、視聴したい番組をさらに容易に探し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る放送信号受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】前記放送信号受信装置が備えるTS記憶制御部が行うTSデータ記憶制御処理のフローチャートである。
【図3】前記放送信号受信装置が備える要約データ生成部が行う要約データ生成処理のフローチャートである。
【図4】出力部における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0029】
[放送信号受信装置1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る放送信号受信装置1の構成を示すブロック図である。放送信号受信装置1は、表示用チューナー部11、デコーダ部12、表示制御部13、記憶部14、要約データ用チューナー部21、TS記憶制御部22、要約データ生成部23、および要約データ整形部24を備える。
【0030】
表示用チューナー部11は、視聴者により視聴選択されているチャンネルで放送中の番組について、画像および音声を出力部5に出力させるために設けられる。この表示用チューナー部11は、視聴者により視聴選択されているチャンネルの放送信号を受信して、TS(Transport Stream)データを取得する。
【0031】
デコーダ部12は、表示用チューナー部11で取得されたTSデータに対してデコード処理を行って、映像信号および音声信号を抽出する。
【0032】
表示制御部13は、デコーダ部12で抽出された映像信号および音声信号に基づいて、視聴者により視聴選択されているチャンネルで放送中の番組の画像および音声を、出力部5に出力させる。また、表示制御部13は、HTML(HyperText Markup Language)形式のデータを表示可能なWebブラウザを搭載しており、要約データ整形部24によりHTML形式に整えられた要約データに基づいて、視聴者により視聴選択されているチャンネル以外の情報を、Webブラウザを用いて出力部5に出力させる。
【0033】
要約データ用チューナー部21は、視聴者により視聴選択されているチャンネル以外で放送中の各番組について、要約データを生成するために設けられる。この要約データ用チューナー部21は、TS記憶制御部22により選択されたチャンネルの放送信号を受信して、TSデータを取得する。
【0034】
TS記憶制御部22は、後述のTSデータ記憶制御処理(図2参照)を行って、視聴者により視聴選択されているチャンネル以外を1つずつ選択し、選択したチャンネルのTSデータを要約データ用チューナー部21で取得して記憶部14に記憶させる。具体的には、例えば、表示用チューナー部11および要約データ用チューナー部21が、それぞれ、チャンネル1〜チャンネル5の5つのチャンネルのうちの1つの放送信号を受信でき、表示用チューナー部11がチャンネル1の放送信号を受信しているものとする。この場合、TS記憶制御部22は、チャンネル2〜チャンネル5のそれぞれを予め定められた時間ずつ順次選択する。すると、要約データ用チューナー部21では、チャンネル2〜チャンネル5のそれぞれのTSデータが予め定められた時間ずつ順次取得されるので、TS記憶制御部22は、取得されたTSデータを記憶部14に記憶させる。
【0035】
要約データ生成部23は、後述の要約データ生成処理(図3参照)を行って、視聴者により視聴選択されているチャンネル以外で放送中の各番組について、記憶部14からTSデータを読み出し、要約データを生成する。
【0036】
要約データ整形部24は、要約データ生成部23により生成された番組ごとの要約データのデータ形式を、HTML形式に整える。
【0037】
記憶部14は、TSデータを記憶する。なお、TSデータを記憶する際には、各チャンネルの番組ごとに区別して、TSデータを記憶する。
【0038】
[放送信号受信装置1の動作]
図2は、TS記憶制御部22が行うTSデータ記憶制御処理のフローチャートである。
【0039】
ステップS1において、TS記憶制御部22は、予め定められたチャンネルを選択し、ステップS2に処理を移す。
【0040】
ステップS2において、TS記憶制御部22は、選択したチャンネルへの切り替えを、要約データ用チューナー部21に指示し、ステップS3に処理を移す。これによれば、要約データ用チューナー部21では、TS記憶制御部22により選択されたチャンネルに応じた放送周波数に受信周波数が設定され、このチャンネルの放送信号が受信され、TSデータが取得されることとなる。
【0041】
ステップS3において、TS記憶制御部22は、要約データ用チューナー部21で取得されているTSデータが有用であるか否かを判別する。そして、有用であると判別した場合には、ステップS5に処理を移し、有用ではないと判別した場合には、ステップS4に処理を移す。なお、要約データ用チューナー部21で取得されているTSデータが有用ではないとは、例えば、放送サービス時間外であったり電波の受信状況が悪かったりすることにより正常にTSデータを取得できない場合や、TSデータを正常に取得できたがCM(Commercial Message)中である場合のことである。
【0042】
ステップS4において、TS記憶制御部22は、選択しているチャンネルを変更し、ステップS2に処理を移す。なお、チャンネルの変更においては、例えば、選択していたチャンネルの次にチャンネル番号が大きく、かつ、選択可能なチャンネルを選択してもよい。また、例えば、予め定められた優先度の高い順番に、チャンネルを選択してもよい。なお、予め定められた優先度の高い順番とは、例えば、過去に視聴者が選択したチャンネルの頻度の高い順番や、過去に視聴者が設定した興味のあるチャンネルの順番を、適用することができる。
【0043】
ステップS5において、TS記憶制御部22は、要約データ用チューナー部21で受信されているTSデータの記憶部14への記憶を開始し、ステップS6に処理を移す。ここで、TSデータには、PESパケットに含まれるPTS(表示時刻)情報、すなわちタイムレコードが含まれる。このため、このタイムレコードと、取得済みであるEPG(電子番組情報)と、により、要約データ用チューナー部21で受信されているTSデータがどのチャンネルのどの番組のものなのかを、特定することができる。そこで、TS記憶制御部22は、要約データ用チューナー部21で受信されているTSデータを、各チャンネルの番組ごとに区別して、記憶部14に記憶させる。
【0044】
ステップS6において、TS記憶制御部22は、チャンネル更新条件を満たすか否かを判別する。そして、満たすと判別した場合には、ステップS7に処理を移し、満たさないと判別した場合には、ステップS6の処理を繰り返す。なお、チャンネル更新条件を満たすとは、例えば、TSデータを記憶中であるチャンネルを選択してから予め定められた時間が経過した場合や、ステップS5においてTSデータの記憶を開始してから予め定められた時間が経過した場合や、TSデータを記憶中であるチャンネルの放送信号の受信が表示用チューナー部11により開始された場合のことである。また、ステップS5においてTSデータの記憶を開始してから予め定められた時間としては、要約データ生成部23において後述のように映像データのデコードを行うために、一般的に約0.5秒間隔で挿入される映像データのイントラフレーム(単独で復号可能な映像フレームデータ)を最低1枚含むように、1秒以上であることが好ましい。
【0045】
ステップS7において、TS記憶制御部22は、要約データ用チューナー部21で受信されているTSデータの記憶部14への記憶を終了し、ステップS8に処理を移す。
【0046】
ステップS8において、TS記憶制御部22は、TS記憶終了条件を満たすか否かを判別する。そして、満たすと判別した場合には、TSデータ記憶制御処理を終了し、満たさないと判別した場合には、ステップS9に処理を移す。なお、TS記憶終了条件とは、例えば、放送信号受信装置1の電源を切る操作が視聴者により行われた場合のことである。
【0047】
ステップS9において、TS記憶制御部22は、ステップS4と同様に、選択しているチャンネルを変更し、ステップS2に処理を移す。
【0048】
以上のTSデータ記憶制御処理によれば、要約データ用チューナー部21で放送信号の受信されるチャンネルが順次切り替わる。そして、放送信号の受信された各チャンネルの番組ごとに、時間の経過に応じて細切れ状にTSデータが記憶される。
【0049】
図3は、要約データ生成部23が行う要約データ生成処理のフローチャートである。なお、図3では、所定のチャンネルで放送されている番組Xについて要約データを生成する場合について、説明している。
【0050】
ステップS21において、要約データ生成部23は、変数iに初期値として「1」を代入し、ステップS22に処理を移す。
【0051】
ステップS22において、要約データ生成部23は、番組Xについて記憶されているTSデータTSiを記憶部14から読み出し、ステップS23に処理を移す。これによれば、TSデータ記憶制御処理により記憶されている番組Xについての細切れ状のTSデータのうち、記憶された時刻の古いものから順に、記憶部14から読み出されることとなる。
【0052】
ステップS23において、要約データ生成部23は、ステップS22において読み出したTSデータTSiをデコードして、復号された映像データ、復号された音声データ、復号された字幕データ、およびBML(Broadcasting Markup Language)データを取得し、ステップS24に処理を移す。
【0053】
ステップS24において、要約データ生成部23は、ステップS23において取得した映像データの中から特徴的な静止画を選択し、選択した特徴的な静止画を単位要約データとして、ステップS25に処理を移す。なお、特徴的な静止画とは、例えば、シーンの変化点、すなわち画像の特徴が大きく変化した直後の画像や、映像に同期して再生される音声の信号レベルが急激に上昇した直後の画像のことである。また、映像に同期して再生される音声の信号レベルが急激に上昇した直後の画像とは、例えば、音声の信号レベルが上昇し、上昇した値が予め定められた閾値以上であった直後の画像のことである。また、選択する特徴的な静止画の枚数は、任意である。
【0054】
ステップS25において、要約データ生成部23は、ステップS23において取得した字幕データが有用であるか否かを判別する。そして、有用であると判別した場合には、ステップS26に処理を移し、有用ではないと判別した場合には、ステップS27に処理を移す。なお、ステップS23において取得した字幕データが有用ではないとは、例えば、TSデータTSiに字幕データが含まれていなかった場合のことである。
【0055】
ステップS26において、要約データ生成部23は、ステップS23において取得した字幕データを単位要約データに付加し、ステップS27に処理を移す。なお、字幕データを単位要約データに付加する際には、PTS情報を用いて、字幕データを単位要約データに同期させる。具体的には、ステップS23において字幕データを取得した時刻を時刻t1とすると、この時刻t1において取得した字幕データを、ステップS24において時刻t1より以前に生成した単位要約データに組み合わせる。
【0056】
ステップS27において、要約データ生成部23は、ステップS23において取得したBMLデータを復号可能であるか否かを判別する。そして、復号可能であると判別した場合には、ステップS28に処理を移し、復号不可能であると判別した場合には、ステップS30に処理を移す。なお、BMLデータは、データ放送を符号化したものであり、カルーセル方式により部分的かつ繰り返し受信されるものである。
【0057】
ステップS28において、要約データ生成部23は、ステップS23において取得したBMLデータを復号し、復号したBMLデータから特徴的なデータ放送情報を選択し、ステップS29に処理を移す。なお、復号したBMLデータから選択する特徴的なデータ放送情報とは、例えば、「プレゼント」や「あらすじ」といった予め定められたキーワードを含むテキスト文字や、リンクされているURL(Uniform Resource Locator)の情報のことである。
【0058】
ステップS29において、要約データ生成部23は、ステップS28において選択した特徴的なデータ放送情報を単位要約データに付加し、ステップS30に処理を移す。
【0059】
ステップS30において、要約データ生成部23は、番組Xについて記憶部14に記憶されている全てのTSデータについて、単位要約データを生成したか否かを判別する。そして、生成したと判別した場合には、ステップS32に処理を移し、生成していないと判別した場合には、ステップS31に処理を移す。
【0060】
ステップS31において、要約データ生成部23は、変数iに1を加算して、ステップS22に処理を移す。
【0061】
ステップS32において、要約データ生成部23は、番組Xに対して生成した全ての単位要約データを組み合わせて要約データを生成し、要約データ生成処理を終了する。
【0062】
以上の要約データ生成処理によれば、特徴的な静止画と、字幕データと、特徴的なデータ放送情報と、が組み合わさって、番組Xの内容を視聴者が短時間に把握できる要約データが生成される。
【0063】
図4は、視聴者により視聴選択されているチャンネル以外の情報を出力部5において表示させた表示例を示す図である。出力部5が図4の表示例を表示するに際して、要約データ整形部24は、要約データ生成部23により生成された要約データのデータ形式をHTML形式に整える。
【0064】
図4では、地上デジタル放送のチャンネルで放送されている各番組を要約した要約情報と、BS放送のチャンネルで放送されている各番組を要約した要約情報と、CS放送のチャンネルで放送されている各番組を要約した要約情報と、についてタブにより表示を切り替えることができるようになっている。そして、BS放送のタブが選択され、BS放送のチャンネルで放送されている各番組を要約した要約情報が表示されている。
【0065】
さらに、図4では、BS放送で放送されているチャンネルとしてチャンネルCh.3、Ch.4、Ch.5が存在しており、チャンネルCh.3で放送されている『家電ナビゲーター』という番組を要約した情報と、チャンネルCh.4で放送されている『お昼のお楽しみ』という番組を要約した情報と、チャンネルCh.5で放送されている『ベースボール』という番組を要約した情報と、についてタブにより表示を切り替えることができるようになっている。そして、チャンネルCh.3のタブが選択され、『家電ナビゲーター』という番組を要約した情報が表示されている。
【0066】
EPG情報Dは、『家電ナビゲーター』の内容および出演者についての情報を示しており、EPGから取得されたものである。
【0067】
静止画A1は、13時10分21秒において、要約データ生成部23により選択された特徴的な静止画である。また、静止画A2は、13時10分25秒において、要約データ生成部23により選択された特徴的な静止画である。
【0068】
字幕情報B1は、要約データ生成部23により静止画A1に組み合わされた字幕であり、字幕情報B2は、要約データ生成部23により静止画A2に組み合わされた字幕である。
【0069】
データ放送情報Cは、要約データ生成部23により選択された特徴的なデータ放送情報である。
【0070】
また、視聴者により『更新ボタン』のクリック操作が行われると、表示制御部13は、要約データ整形部24によりHTML形式に整えられた要約データの再読み出しを行う。これによれば、出力部5に表示される情報が最新のものに更新されることとなる。
【0071】
また、視聴者により『視聴ボタン』のクリック操作が行われると、表示制御部13は、番組を要約した情報の表示されているチャンネルの放送信号を表示用チューナー部11で受信させる。これによれば、出力部5に画像および音声の出力されるチャンネルが、番組を要約した情報の表示されているチャンネルに切り替えられることとなる。
【0072】
以上の放送信号受信装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0073】
放送信号受信装置1は、出力部5で出力されているチャンネルとは異なるチャンネルで放送されている各番組について、特徴的な静止画および字幕データを抽出し、これらを組み合わせて要約データを生成して、出力部5に出力することができる。このため、視聴者は、静止画だけでなく字幕も確認して、各チャンネルで放送されている番組を認識することができるので、視聴したい番組をさらに容易に探し出すことができる。
【0074】
また、放送信号受信装置1は、出力部5で出力されているチャンネルとは異なるチャンネルで放送されている各番組について、特徴的な静止画および字幕データに加えて、データ放送による情報も抽出し、これらを組み合わせて要約データを生成して、出力部5に出力することもできる。このため、データ放送による情報も確認して、各チャンネルで放送されている番組を認識することができるので、視聴したい番組をより一層容易に探し出すことができる。
【0075】
また、放送信号受信装置1は、チャンネル更新条件を満たすたびに、要約データを生成するために記憶部14に記憶させるTSデータのチャンネルを変更する。このため、出力部5で出力可能なチャンネルで放送されている各番組について、順次、要約データを生成することができる。
【0076】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【0077】
例えば、上述の実施形態では、要約データ生成部23は、ステップS24において特徴的な静止画を選択するものとしたが、これに限らず、特徴的な動画像を選択してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態において、表示用チューナー部11は、1つ設けられるものとしたが、これに限らず、2つ設けたり3つ設けたりしてもよい。要約データ用チューナー部21についても表示用チューナー部11と同様に、2つ設けたり3つ設けたりしてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態において、図3の要約データ生成処理では、ステップS25、S26の処理を行った後に、ステップS27〜S29の処理を行うこととしたが、これに限らず、ステップS27〜S29の処理を行った後に、ステップS25、S26の処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1・・・放送信号受信装置
5・・・出力部
11・・・表示用チューナー部
12・・・デコーダ部
13・・・表示制御部
14・・・記憶部
21・・・要約データ用チューナー部
22・・・TS記憶制御部
23・・・要約データ生成部
24・・・要約データ整形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号を受信する放送信号受信装置であって、
前記放送信号を受信する1つ以上の表示用受信手段と、
前記放送信号を受信する1つ以上の要約データ用受信手段と、
前記表示用受信手段により受信された放送信号に基づいて、表示手段に画像を表示させる表示制御手段と、
前記要約データ用受信手段により受信された放送信号から、映像データおよび字幕データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された映像データのうち少なくとも一部を抽出するとともに、当該データ取得手段により取得された字幕データのうち少なくとも一部を抽出して、当該抽出した映像データと、当該抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成する要約データ生成手段と、を備えることを特徴とする放送信号受信装置。
【請求項2】
前記放送信号は、前記映像データおよび前記字幕データに加えて、当該映像データに関連する関連情報データを含んで構成され、
前記データ取得手段は、前記要約データ用受信手段により受信された放送信号から、映像データおよび字幕データに加えて関連情報データを取得し、
前記要約データ生成手段は、前記映像データおよび前記字幕データに加えて、前記データ取得手段により取得された関連情報データのうち少なくとも一部を抽出して、当該映像データと、当該字幕データと、当該抽出した関連情報データと、を組み合わせて要約データを生成することを特徴とする請求項1に記載の放送信号受信装置。
【請求項3】
前記放送信号は、複数のチャンネルのそれぞれごとに異なっており、
前記要約データ用受信手段は、前記表示用受信手段により受信されている放送信号とはチャンネルの異なる放送信号を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の放送信号受信装置。
【請求項4】
前記放送信号は、複数のチャンネルのそれぞれごとに異なっており、
前記要約データ用受信手段は、受信する放送信号のチャンネルを順次変更することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放送信号受信装置。
【請求項5】
前記要約データ生成手段は、予め定められたタイミングで、前記データ取得手段により取得された映像データから静止画を抽出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の放送信号受信装置。
【請求項6】
映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号を受信する放送信号受信方法であって、
前記放送信号を受信する第1のステップと、
前記放送信号を受信する第2のステップと、
前記第1のステップにおいて受信した放送信号に基づいて、表示手段に画像を表示させる第3のステップと、
前記第2のステップにおいて受信した放送信号から、映像データおよび字幕データを取得する第4のステップと、
前記第4のステップにおいて取得した映像データのうち少なくとも一部を抽出するとともに、当該第4のステップにおいて取得した字幕データのうち少なくとも一部を抽出して、当該抽出した映像データと、当該抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成する第5のステップと、を備えることを特徴とする放送信号受信方法。
【請求項7】
映像データおよび字幕データを含んで構成される放送信号を受信する放送信号受信方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記放送信号を受信する第1のステップと、
前記放送信号を受信する第2のステップと、
前記第1のステップにおいて受信した放送信号に基づいて、表示手段に画像を表示させる第3のステップと、
前記第2のステップにおいて受信した放送信号から、映像データおよび字幕データを取得する第4のステップと、
前記第4のステップにおいて取得した映像データのうち少なくとも一部を抽出するとともに、当該第4のステップにおいて取得した字幕データのうち少なくとも一部を抽出して、当該抽出した映像データと、当該抽出した字幕データと、を組み合わせて要約データを生成する第5のステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−216974(P2012−216974A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80287(P2011−80287)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】