放送波受信機、半導体集積回路、および放送波受信機のプリセット登録方法
【課題】車載端末のような移動を伴う放送波受信機で、アンテナ直下などの強入力環境下における相互変調歪によるオートプリセット機能の誤動作の防止。
【解決手段】
AGC回路の動作レベルを第1動作レベルおよび第1動作レベルよりも低い第2動作レベルに設定するようAGC回路に指示するとともに、第1動作レベルでの出力信号の周波数、および第2動作レベルでの出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう検出部に指示する周波数サーチ指示部と、第1動作レベルでの検出信号の電界強度と、第2動作レベルでの検出信号の電界強度とに基づき、検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた検出信号の周波数を、受信可能な受信信号の周波数としてプリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、を有する放送波受信機。
【解決手段】
AGC回路の動作レベルを第1動作レベルおよび第1動作レベルよりも低い第2動作レベルに設定するようAGC回路に指示するとともに、第1動作レベルでの出力信号の周波数、および第2動作レベルでの出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう検出部に指示する周波数サーチ指示部と、第1動作レベルでの検出信号の電界強度と、第2動作レベルでの検出信号の電界強度とに基づき、検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた検出信号の周波数を、受信可能な受信信号の周波数としてプリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、を有する放送波受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放送波受信機のオートプリセット機能に関し、特に、たとえば車載端末のような移動を伴う受信機であって、送信アンテナ直下などの強入力環境下におけるオートプリセット機能に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用ラジオでは、受信可能な周波数をあらかじめメモリに記憶しておくプリセットメモリ機能がある。そして、このプリセットメモリを自動的に設定する方法として、オートプリセットという機能があり、この機能は、数秒間、帯域内をサーチし、受信可能な放送局の電界強度を識別して、プリセットメモリを更新するというものである。
【0003】
しかしながら、従来のオートプリセットでは、受信地域の電波環境、とくに送信アンテナ直下などの強入力環境下において、放送局の存在しない周波数を検出するなど、誤動作を生じる場合があった。
【0004】
このような車載ラジオのプリセットメモリ機能において、GPS(Global Positioning System)やVICS(Vehicle Information Communication System)を利用して車両の現在地を識別することで、受信地域の電波環境によって変更されるべきプリセットメモリを現在地によって切り替える方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−202641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プリセットメモリを現在地によって切り替える方法は、
1 GPSやVICSなどの現在地を特定する手段を持たない端末では使用できないこと、
2 地域ごとのプリセットメモリを網羅的に保持するためプリセットメモリのサイズが大きくなること、
3 アンテナが新設されたり、新たな放送局が追加されるなど、電波環境が大きく変わった場合にはプリセットメモリを更新する必要が発生すること、
などが問題となる。
【0007】
そこで本発明は、プリセットメモリを現在地によって切り替えるのではなく、オートプリセットにおいて、放送局の存在しない周波数を検出するなどの誤動作を防止できるラジオ受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明である放送波受信機は、アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機であり、前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、を有するものである。
【0009】
ここで、「検出部」とは、AGC回路の出力信号の周波数を検出するものであるが、局部発信器、ミキサ、増幅器、DSP等で構成される回路で実現される機能の一つに着目したものである。
また、「非線形歪」とは、受信波の影響で受信機内部で生成される受信波以外の信号成分をいい、例えば相互変調歪、AM波混変調歪がこれに含まれる。
さらに、「電界強度に基づき」とは、出力信号の電界強度を受信機で検出したSメータ値を用いることであるが、これを変換したり補正することによって得た数値を用いることも含まれる。
【0010】
第2の発明である放送波受信機は、第1の発明である放送波受信機であって、前記判定部は、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度との差分が、前記第1の動作レベルと前記第2の動作レベルの差分に対して非線形となるかどうかを判定することを特徴とするものである。
【0011】
第3の発明である放送波受信機は、第1の発明である放送波受信機であって、前記判定部は、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度が検出されないことをもって前記検出信号が非線形歪によって発生したものと判定することを特徴とするものである。
【0012】
第4の発明である放送波受信機は、第2または第3の発明である放送波受信機であって、前記非線形歪は3次の相互変調歪であることを特徴とするものである。
【0013】
第5の発明である放送波受信機は、第1の発明である放送波受信機であって、前記AGC回路は、前記第1の動作レベルで動作する第1のAGC回路、および前記第2の動作レベルで動作する第2AGC回路からなり、前記検出部は、前記第1のAGC回路に接続された第1の検出部、および前記第2のAGC回路に接続された第2の検出部からなることを特徴とするものである。
【0014】
第6の発明である半導体集積回路は、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリを制御する半導体集積回路であり、前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、を有するものである。
【0015】
第7の発明である放送波受信機のプリセット登録方法は、アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機のプリセット登録方法であり、前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する検出ステップと、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定ステップと、前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
第1、第6、第7の発明によれば、AGCの動作レベルを変更すると、非線形歪の電界強度が変化することを利用して受信信号と非線形歪とを区別するものであり、現在位置の情報を必要とせずに非線形歪みを除いて放送局の周波数のみをプリセットメモリに登録できるものである。
【0017】
第2の発明によれば、AGCの動作レベルを変更すると、放送波等の受信信号と相互変調歪等の非線形歪とでは変化率が異なることを利用して受信信号と非線形歪とを区別することができるものであり、非線形歪を精度よく判別することができるものである。
【0018】
第3の発明によれば、複雑な演算を必要とせず、検出信号の電界強度の検出結果の有無をもって非線形歪に起因する信号か否かを判別することが可能である。
【0019】
第4の発明によれば、f2×2−f1の周波数で出現する3次の相互変調歪は、受信信号の周波数f1、f2に近く、またレベルも大きいので、受信信号に対する干渉となりやすく、これを精度よく判別できるものである。
【0020】
第5の発明によれば、第1の動作レベルによる動作と第2の動作レベルによる動作をパラレルで処理することができ、オートプリセット動作の時間を短縮させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1、第2の実施の形態におけるラジオ受信機のブロック図
【図2】本発明の第1、第2の実施の形態におけるラジオ受信機の要部ブロック図
【図3】受信環境のスペクトラムを示す説明図
【図4】AGC動作レベル=Vagc1のときのアンテナ入力電界強度を示す説明図
【図5】AGC動作レベル=Vagc1のときのAGC減衰量補正前のSメータ値を示す説明図
【図6】AGC動作レベル=Vagc1のときのSメータ値を示す説明図
【図7】AGC動作レベル=Vagc2のときのアンテナ入力電界強度を示す説明図
【図8】AGC動作レベル=Vagc2のときのAGC減衰量補正前のSメータ値を示す説明図
【図9】AGC動作レベル=Vagc2のときのSメータ値を示す説明図
【図10】本発明の第1、第2の実施の形態におけるラジオ受信機の動作を示すフロチャート
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるラジオ受信機のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態におけるラジオ受信機について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のラジオ受信機のブロック図である。なお、本実施例では、ラジオ放送を受信する放送波受信機であるラジオ受信機を例に挙げて説明するが、ラジオ放送とテレビ放送音声の両方を受信可能な放送波受信機、あるいはテレビ放送音声とテレビ放送画像を受信可能なテレビ受信機にも適用できるものである。
【0023】
図1において、1.は受信信号を受信するアンテナ、2.はアンテナとのインピーダンスマッチングを行うアンテナ入力回路、3.は高周波増幅回路、4.は中間周波数への変換を行うミキサ、5.は希望周波数に同調させるための局部発振器、6.は中間周波増幅回路、7−1.は中間周波数に変換された信号をサンプリングしデジタルデータ列に変換するA/D変換器、7−2.は7−2−1.のROMに書き込まれたプログラムコードに従って動作するDSP(Digital Signal Processor)、7−3.は7−2.で復調されたデジタル音声データをアナログ音声に変換するD/A変換器、8.はアナログ音声を出力するスピーカーである。そして、A/D変換器7−1、DSP7−2、D/A変換器7−3をもって、復調処理部7を構成する。9.は高周波増幅回路への入力レベルが一定レベル以上にならないように減衰させて高周波増幅回路3に出力信号として出力するAGC(Auto Gain Control)回路、10.は、10−1.のROMに書き込まれたプログラムコードに従って動作するマイクロコンピュータ、10−2.はマイクロコンピュータが計算結果を格納するRAM、11.はマイクロコンピュータによって受信可能であると判断された周波数を書き込むプリセットメモリであり、12.はユーザからのキー入力受け付けるキー入力部である。
そして、高周波増幅回路3、ミキサ4、局部発信器5、中間周波増幅回路6、A/D変換器7−1、DSP7−2で本発明の検出部をなすものである。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるラジオ受信機のマイクロコンピュータ10を本発明の機能から見たブロック図である。
【0025】
10−3は、周波数サーチ指示部であり、周波数変更コマンドおよびAGCレベル変更コマンドをDSP7−2に出力する。周波数変更コマンドを受け取ったDSP7−2は、局部発信器5を制御して受信帯域内の周波数をサーチしSメータ値を求める。また、AGCレベル変更コマンドを受けとったDSPは、AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベルまたは第2の動作レベルに変更する。
【0026】
10−4は、判定部であり、第1の動作レベルおよび第2の動作レベルの元でAGC回路9から出力された検出信号の電界強度を反映した後述のSメータ値として受け取り、検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する、すなわち、電界強度に基づいて判定するものである。判定部の動作の詳細は後述する。
【0027】
10−5は、記録指示部であり、判定部10−4の判定結果に基づいて、非線形歪によって発生したと判定された検出信号を除いた検出信号の周波数を、受信可能な受信信号の周波数としてプリセットメモリ11に記録指示を行う。
【0028】
以上のように構成されたラジオ受信機における動作、およびラジオ受信機のプリセット登録方法について、図1および図2のラジオ受信機の構成、および図10のフロチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0029】
まず、ユーザからキー入力部12にオートプリセット要求が入力される。
これに対して、マイクロコンピュータ10の周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対してAGCレベル変更コマンドを発行し、AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベル(Vagc1)に設定する(S101)。なお、デフォルトが第1の動作レベルに設定されているときは、この動作は必要ない。
【0030】
そして、周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対して周波数変更コマンドを発行する。すると、DSP7−2は、帯域内の周波数をサーチするため、局部発振器5のVCO(Voltage Controlled Oscillator)の制御電圧を変化させ、ある周波数に同調させる。つまり、まず、帯域の下限の周波数に局部発信器5の出力を設定し(S102)、受信周波数の電界強度を示すSメータ値[dBuV]を取得し(S103)、同調周波数を1ステップ上げて(S104)、帯域の上限の周波数に至るまでこれを繰り返す(S105)。なお、Sメータ値[dBuV]とは、受信周波数の電界強度を受信機の内部で検出した値であり、A/D変換器7−1によってサンプリングされた入力レベルを、DSP7−2でAGC回路9の減衰量を補正して、アンテナ入力換算のレベルに変換したものである。
【0031】
ここで、従来のプリセット動作であれば、Sメータ値は、マイクロコンピュータ10によって読みだされ、このSメータの値が、ROM10−1内に格納されたプログラムで設定された閾値Vth[dBuV]以上であった場合、その周波数は十分な受信電界レベルがあると判定され、プリセットメモリ11に記録される。
例として、図3のスペクトラムに示すような受信環境を仮定する。このとき、Vth[dBuV]以上の電界強度の放送局を受信可能と判断し、プリセットメモリ11に登録する場合、オートプリセット動作により、周波数f1、f2、f3がプリセットメモリに登録されることになる。
しかし、図4に示すように、Vagc1[dBuV]以上の入力に対して、高周波増幅回路3の入力レベルが一定となるようにAGCを動作させた場合、f2のレベルがVagc1となるように減衰がかかるので、AGC回路9での減衰量を補正する前のDSP7−2で計算されるSメータ値は、図5のようになる。つまり、高周波増幅回路3、ミキサ4、中間周波増幅回路6で歪が発生し、f2×2−f1の周波数に相互変調成分を発生してしまう。したがって、AGC回路9の減衰量を補正すると、図6のようにf1、f2、f3だけでなく、f2×2−f1もVth[dBuV]以上のレベルとなり、プリセットメモリ11に記録されてしまう。
【0032】
そこで、続けて、マイクロコンピュータ10の周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対してAGCレベル変更コマンドを発行し、AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベル(Vagc2)に設定する(S106)。
【0033】
そして、周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対して周波数変更コマンドを発行する。すると、DSP7−2は、第1の動作レベルでの動作のときと同様、帯域内の周波数をサーチするため、局部発振器5のVCO(Voltage Controlled Oscillator)の制御電圧を変化させ、ある周波数に同調させる。つまり、まず、帯域の下限の周波数に局部発信器5の出力を設定し(S107)、受信周波数の電界強度を示すSメータ値[dBuV]を取得する(S108)。そして、S103において第1の動作レベルで得たSメータ値と比較し、Sメータ値の変化量が3次の勾配を有するかどうかを判定部10−4で判定する(S109)。もし、3次の勾配を有していなければ、検出信号は受信信号であるとして、記録指示部10−5はS108で得たSメータ値の周波数をプリセットメモリ11に記録する(S110)。これに対し、もし3次の勾配を有していれば、検出信号は相互変調歪であるとして、プリセットメモリ11に記録は行わず、同調周波数を1ステップ上げる(S111)。そして、帯域の上限の周波数に至るまでこれを繰り返す(S112)。
ここでは、帯域の下限から上限へサーチアップする場合について説明したが、帯域の上限から下限へサーチダウンする場合についても、全く同様である。
【0034】
なお、本実施形態では、第2の動作レベルにおいてSメータ値を求める毎に第1の動作レベルで求めたSメータ値と逐一比較したが(S109)、まず、第2の動作レベルで帯域の全ての周波数でサーチを完了してから、最後に対応するSメータ同士を比較、判定してもよい。
【0035】
次に、判定部10−4の動作を詳述する。
AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベル(Vagc2)とすると、図7に示すように、f2×2−f1の周波数の相互変調成分は3次の歪なので、入力レベルに対して3次(dBスケールで3倍)の勾配で変化する。それゆえ、第1の動作レベルと第2の動作レベルの差分であるVagc1−Vagc2の変化量に対して急激にレベルが小さくなり、例えば図8に示すようにAGC減衰量補正前のSメータで、f2×2−f1の相互変調歪成分が発生せず、AGC減衰量を補正したSメータについても、図9のように、f2×2−f1の相互変調歪成分が発生しない。あるは、f2×2−f1の相互変調歪成分が発生したとしても、第1の動作レベルの時よりも相当小さい相互変調歪成分しか発生しない。そこで、以下のような判定方法を採ることができる。
【0036】
(実施例1)
第2の動作レベルにおいてf2×2−f1の相互変調歪成分が発生する場合は、S109の通り、Sメータ値の変化量が3次の勾配を有するかどうかを判定すればよい。3次の勾配を有するとは、例えばAGC回路9の動作レベルを10dB小さくしたときに、Sメータ値が30dB小さくなっていることをいう。つまり、デシベル単位で、
S1[f_tune]―S2[f_tune]=3×(Vagc1−Vagc2)
を満たせば、相互変調歪成分だと判定できる。
【0037】
(実施例2)
第2の動作レベルにおいてf2×2−f1の相互変調歪成分が発生しない場合は、正確に3倍とはならない。ただ、第1の動作レベルと第2の動作レベルの差分に対して非線形であれば相互変調歪成分であると判定できるのであるから、
S1[f_tune]―S2[f_tune]>p×(Vagc1−Vagc2)
ここで、pは1より大きい定数
を満たせば相互変調歪成分であると判定してもよい。pは受信回路や受信環境により適宜定めてもよいし、受信環境に応じて変化させるようにしてもよい。
【0038】
(実施例3)
第2の動作レベルにおいてf2×2−f1の相互変調歪成分が発生しない場合は、そのことをもって相互変調歪成分であると判定してもよい。f2×2−f1の周波数の相互変調成分は3次の歪なので、急激にレベルが小さくなることから、このような判定はほとんどの場合正しい結果を示している。
【0039】
以上、実施例1から3のような判定方法は、非線形歪一般に適用できる。非線形歪とは、受信波の影響で受信機内部で生成される受信波以外の信号成分をいい、例えば相互変調歪、AM波混変調歪がこれに含まれる。
このうち、相互変調歪については、様々な周波数で発生するが、f2×2−f1の周波数で出現する相互変調歪は、受信信号の周波数f1、f2に近く、また3次の歪みでありレベルも大きいので、受信信号に対する干渉となりやすい。もちろんそれ以外の周波数で発生する高次(5次、7次等)の歪に対しても本発明を適用することは可能である。
また、AM波混変調歪は2次の歪であるから非線形歪であり、AM波混変調歪に対しても本発明を適用することが可能である。
【0040】
また、第1の動作レベルと第2の動作レベルの差分(Vagc1−Vagc2)は、ラジオ受信機の特性にもよるが、3次の相互変調歪を検出する場合、10dB程度が好ましい。
【0041】
なお、図1では、スーパーヘテロダイン方式のラジオ受信機の場合を示したが、ダイレクトコンバージョン方式(中間周波数への変換を行わず、A/D変換を行う)としてもよい。
また、D/A変換器7−3とスピーカー8の間に音声信号を増幅するアンプが挿入されてもよい。
さらに、図1では、DSP7−2の内部にROM7−2−1が存在する構成となっているが、外部にプログラムコードが格納されたROMを用意し、そこからDSPの内部RAMにダウンロードして動作させるようにしてもよい。
同様に、図1では、マイクロコンピュータ10の内部にROM10−1が存在する構成となっているが、外部にプログラムコードが格納されたROMを用意し、そこからマイクロコンピュータの内部RAMにダウンロードして動作させるようにしてもよい。
そして、図1では、プリセットメモリ11は、マイクロコンピュータ10の外部に存在するものとなっているが、マイクロコンピュータ10の内部RAM10−2に格納するようにしてもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、ラジオ受信機に搭載される半導体集積回路である。その構成は、第1の実施形態とほぼ同様であるので、図1を用いて説明する。
【0043】
図1の要素のうち、高周波増幅回路3、ミキサ4、局部発振器5、中間周波増幅回路6、復調処理部7、マイクロコンピュータ10は、ワンチップの半導体集積回路13に搭載されている。つまり、本発明のプリセット登録を実現する主要な構成である周波数サーチ指示部10−3、判定部10−4、および記録指示部10−5もすべてワンチップの半導体集積回路13に含まれている。
【0044】
なお、本発明の第2の実施形態である半導体集積回路は、半導体集積回路の外にあるAGC回路9に対して制御を行うのみならず、半導体集積回路の中に含まれる検出部に対しても制御を行なっているが、制御の対象が半導体集積回路の内か外かは本発明の本質とは何ら関係がなく、任意に変更し得る。
【0045】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、ダブルチューナータイプのラジオ受信機に関するものである。以下、本発明の第3の実施形態におけるラジオ受信機について、図面を参照しながら説明する。図11は、本発明のラジオ受信機のブロック図である。なお、第1の実施形態と同じ構成については、同じ番号を付与している。
【0046】
第3の実施形態のラジオ受信機は、第1の実施形態のラジオ受信機に加えて、さらにもう一つのチューナーを有する。つまり、アンテナ21、アンテナ入力回路22、高周波増幅回路23、ミキサ24、局部発振器25、中間周波増幅回路26、復調処理部27、AGC回路29をさらに備えるものである。
【0047】
そして、AGC回路9は、第1の動作レベルで動作するのに対し、AGC回路29は、第2の動作レベルで動作するように構成されている。
【0048】
このように構成することにより、第1の実施形態では、第1の動作レベルの動作の次に、動作レベルを切り替えて第2の動作レベルでAGC回路をシーケンシャルに動作させていたが、本実施形態では、第1の動作レベルによる動作と第2の動作レベルによる動作をパラレルで処理することができる。この場合、オートプリセット動作の時間を短縮させることが可能である。
【0049】
なお、本実施例の場合、2つのチューナーのフロントエンドの特性が一致していることが望ましい。したがって、図11の2本のアンテナ1、およびアンテナ21に代えて、一本のアンテナとし、そこから分岐させてアンテナ入力回路2およびアンテナ入力回路22に受信信号を入力するようにすることがより望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のラジオ受信機は、車載端末のような移動を伴う受信機で、アンテナ直下などの強入力環境下におけるオートプリセット動作時、回路の相互変調歪による誤動作を防ぐために有用であるが、そのほか通常のラジオ受信機、さらには相互変調歪をはじめとする非線形歪が問題となるような放送波受信機、例えばテレビ受信機などにおいても適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 アンテナ
2 アンテナ入力回路
3 高周波増幅回路
4 ミキサ
5 局部発振器
6 中間周波増幅回路
7 復調処理部
7−1 A/D変換器
7−2.DSP
7−2−1.ROM(DSP)
7−3.D/A変換器
8 スピーカー
9 AGC回路
10 マイクロコンピュータ
10−1 ROM(マイクロコンピュータ)
10−2 RAM(マイクロコンピュータ)
10−3 周波数サーチ指示部
10−4 判定部
10−5 記録指示部
11 プリセットメモリ
12 キー入力部
【技術分野】
【0001】
本発明は放送波受信機のオートプリセット機能に関し、特に、たとえば車載端末のような移動を伴う受信機であって、送信アンテナ直下などの強入力環境下におけるオートプリセット機能に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用ラジオでは、受信可能な周波数をあらかじめメモリに記憶しておくプリセットメモリ機能がある。そして、このプリセットメモリを自動的に設定する方法として、オートプリセットという機能があり、この機能は、数秒間、帯域内をサーチし、受信可能な放送局の電界強度を識別して、プリセットメモリを更新するというものである。
【0003】
しかしながら、従来のオートプリセットでは、受信地域の電波環境、とくに送信アンテナ直下などの強入力環境下において、放送局の存在しない周波数を検出するなど、誤動作を生じる場合があった。
【0004】
このような車載ラジオのプリセットメモリ機能において、GPS(Global Positioning System)やVICS(Vehicle Information Communication System)を利用して車両の現在地を識別することで、受信地域の電波環境によって変更されるべきプリセットメモリを現在地によって切り替える方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−202641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プリセットメモリを現在地によって切り替える方法は、
1 GPSやVICSなどの現在地を特定する手段を持たない端末では使用できないこと、
2 地域ごとのプリセットメモリを網羅的に保持するためプリセットメモリのサイズが大きくなること、
3 アンテナが新設されたり、新たな放送局が追加されるなど、電波環境が大きく変わった場合にはプリセットメモリを更新する必要が発生すること、
などが問題となる。
【0007】
そこで本発明は、プリセットメモリを現在地によって切り替えるのではなく、オートプリセットにおいて、放送局の存在しない周波数を検出するなどの誤動作を防止できるラジオ受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明である放送波受信機は、アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機であり、前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、を有するものである。
【0009】
ここで、「検出部」とは、AGC回路の出力信号の周波数を検出するものであるが、局部発信器、ミキサ、増幅器、DSP等で構成される回路で実現される機能の一つに着目したものである。
また、「非線形歪」とは、受信波の影響で受信機内部で生成される受信波以外の信号成分をいい、例えば相互変調歪、AM波混変調歪がこれに含まれる。
さらに、「電界強度に基づき」とは、出力信号の電界強度を受信機で検出したSメータ値を用いることであるが、これを変換したり補正することによって得た数値を用いることも含まれる。
【0010】
第2の発明である放送波受信機は、第1の発明である放送波受信機であって、前記判定部は、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度との差分が、前記第1の動作レベルと前記第2の動作レベルの差分に対して非線形となるかどうかを判定することを特徴とするものである。
【0011】
第3の発明である放送波受信機は、第1の発明である放送波受信機であって、前記判定部は、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度が検出されないことをもって前記検出信号が非線形歪によって発生したものと判定することを特徴とするものである。
【0012】
第4の発明である放送波受信機は、第2または第3の発明である放送波受信機であって、前記非線形歪は3次の相互変調歪であることを特徴とするものである。
【0013】
第5の発明である放送波受信機は、第1の発明である放送波受信機であって、前記AGC回路は、前記第1の動作レベルで動作する第1のAGC回路、および前記第2の動作レベルで動作する第2AGC回路からなり、前記検出部は、前記第1のAGC回路に接続された第1の検出部、および前記第2のAGC回路に接続された第2の検出部からなることを特徴とするものである。
【0014】
第6の発明である半導体集積回路は、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリを制御する半導体集積回路であり、前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、を有するものである。
【0015】
第7の発明である放送波受信機のプリセット登録方法は、アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機のプリセット登録方法であり、前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する検出ステップと、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定ステップと、前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
第1、第6、第7の発明によれば、AGCの動作レベルを変更すると、非線形歪の電界強度が変化することを利用して受信信号と非線形歪とを区別するものであり、現在位置の情報を必要とせずに非線形歪みを除いて放送局の周波数のみをプリセットメモリに登録できるものである。
【0017】
第2の発明によれば、AGCの動作レベルを変更すると、放送波等の受信信号と相互変調歪等の非線形歪とでは変化率が異なることを利用して受信信号と非線形歪とを区別することができるものであり、非線形歪を精度よく判別することができるものである。
【0018】
第3の発明によれば、複雑な演算を必要とせず、検出信号の電界強度の検出結果の有無をもって非線形歪に起因する信号か否かを判別することが可能である。
【0019】
第4の発明によれば、f2×2−f1の周波数で出現する3次の相互変調歪は、受信信号の周波数f1、f2に近く、またレベルも大きいので、受信信号に対する干渉となりやすく、これを精度よく判別できるものである。
【0020】
第5の発明によれば、第1の動作レベルによる動作と第2の動作レベルによる動作をパラレルで処理することができ、オートプリセット動作の時間を短縮させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1、第2の実施の形態におけるラジオ受信機のブロック図
【図2】本発明の第1、第2の実施の形態におけるラジオ受信機の要部ブロック図
【図3】受信環境のスペクトラムを示す説明図
【図4】AGC動作レベル=Vagc1のときのアンテナ入力電界強度を示す説明図
【図5】AGC動作レベル=Vagc1のときのAGC減衰量補正前のSメータ値を示す説明図
【図6】AGC動作レベル=Vagc1のときのSメータ値を示す説明図
【図7】AGC動作レベル=Vagc2のときのアンテナ入力電界強度を示す説明図
【図8】AGC動作レベル=Vagc2のときのAGC減衰量補正前のSメータ値を示す説明図
【図9】AGC動作レベル=Vagc2のときのSメータ値を示す説明図
【図10】本発明の第1、第2の実施の形態におけるラジオ受信機の動作を示すフロチャート
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるラジオ受信機のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態におけるラジオ受信機について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のラジオ受信機のブロック図である。なお、本実施例では、ラジオ放送を受信する放送波受信機であるラジオ受信機を例に挙げて説明するが、ラジオ放送とテレビ放送音声の両方を受信可能な放送波受信機、あるいはテレビ放送音声とテレビ放送画像を受信可能なテレビ受信機にも適用できるものである。
【0023】
図1において、1.は受信信号を受信するアンテナ、2.はアンテナとのインピーダンスマッチングを行うアンテナ入力回路、3.は高周波増幅回路、4.は中間周波数への変換を行うミキサ、5.は希望周波数に同調させるための局部発振器、6.は中間周波増幅回路、7−1.は中間周波数に変換された信号をサンプリングしデジタルデータ列に変換するA/D変換器、7−2.は7−2−1.のROMに書き込まれたプログラムコードに従って動作するDSP(Digital Signal Processor)、7−3.は7−2.で復調されたデジタル音声データをアナログ音声に変換するD/A変換器、8.はアナログ音声を出力するスピーカーである。そして、A/D変換器7−1、DSP7−2、D/A変換器7−3をもって、復調処理部7を構成する。9.は高周波増幅回路への入力レベルが一定レベル以上にならないように減衰させて高周波増幅回路3に出力信号として出力するAGC(Auto Gain Control)回路、10.は、10−1.のROMに書き込まれたプログラムコードに従って動作するマイクロコンピュータ、10−2.はマイクロコンピュータが計算結果を格納するRAM、11.はマイクロコンピュータによって受信可能であると判断された周波数を書き込むプリセットメモリであり、12.はユーザからのキー入力受け付けるキー入力部である。
そして、高周波増幅回路3、ミキサ4、局部発信器5、中間周波増幅回路6、A/D変換器7−1、DSP7−2で本発明の検出部をなすものである。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるラジオ受信機のマイクロコンピュータ10を本発明の機能から見たブロック図である。
【0025】
10−3は、周波数サーチ指示部であり、周波数変更コマンドおよびAGCレベル変更コマンドをDSP7−2に出力する。周波数変更コマンドを受け取ったDSP7−2は、局部発信器5を制御して受信帯域内の周波数をサーチしSメータ値を求める。また、AGCレベル変更コマンドを受けとったDSPは、AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベルまたは第2の動作レベルに変更する。
【0026】
10−4は、判定部であり、第1の動作レベルおよび第2の動作レベルの元でAGC回路9から出力された検出信号の電界強度を反映した後述のSメータ値として受け取り、検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する、すなわち、電界強度に基づいて判定するものである。判定部の動作の詳細は後述する。
【0027】
10−5は、記録指示部であり、判定部10−4の判定結果に基づいて、非線形歪によって発生したと判定された検出信号を除いた検出信号の周波数を、受信可能な受信信号の周波数としてプリセットメモリ11に記録指示を行う。
【0028】
以上のように構成されたラジオ受信機における動作、およびラジオ受信機のプリセット登録方法について、図1および図2のラジオ受信機の構成、および図10のフロチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0029】
まず、ユーザからキー入力部12にオートプリセット要求が入力される。
これに対して、マイクロコンピュータ10の周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対してAGCレベル変更コマンドを発行し、AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベル(Vagc1)に設定する(S101)。なお、デフォルトが第1の動作レベルに設定されているときは、この動作は必要ない。
【0030】
そして、周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対して周波数変更コマンドを発行する。すると、DSP7−2は、帯域内の周波数をサーチするため、局部発振器5のVCO(Voltage Controlled Oscillator)の制御電圧を変化させ、ある周波数に同調させる。つまり、まず、帯域の下限の周波数に局部発信器5の出力を設定し(S102)、受信周波数の電界強度を示すSメータ値[dBuV]を取得し(S103)、同調周波数を1ステップ上げて(S104)、帯域の上限の周波数に至るまでこれを繰り返す(S105)。なお、Sメータ値[dBuV]とは、受信周波数の電界強度を受信機の内部で検出した値であり、A/D変換器7−1によってサンプリングされた入力レベルを、DSP7−2でAGC回路9の減衰量を補正して、アンテナ入力換算のレベルに変換したものである。
【0031】
ここで、従来のプリセット動作であれば、Sメータ値は、マイクロコンピュータ10によって読みだされ、このSメータの値が、ROM10−1内に格納されたプログラムで設定された閾値Vth[dBuV]以上であった場合、その周波数は十分な受信電界レベルがあると判定され、プリセットメモリ11に記録される。
例として、図3のスペクトラムに示すような受信環境を仮定する。このとき、Vth[dBuV]以上の電界強度の放送局を受信可能と判断し、プリセットメモリ11に登録する場合、オートプリセット動作により、周波数f1、f2、f3がプリセットメモリに登録されることになる。
しかし、図4に示すように、Vagc1[dBuV]以上の入力に対して、高周波増幅回路3の入力レベルが一定となるようにAGCを動作させた場合、f2のレベルがVagc1となるように減衰がかかるので、AGC回路9での減衰量を補正する前のDSP7−2で計算されるSメータ値は、図5のようになる。つまり、高周波増幅回路3、ミキサ4、中間周波増幅回路6で歪が発生し、f2×2−f1の周波数に相互変調成分を発生してしまう。したがって、AGC回路9の減衰量を補正すると、図6のようにf1、f2、f3だけでなく、f2×2−f1もVth[dBuV]以上のレベルとなり、プリセットメモリ11に記録されてしまう。
【0032】
そこで、続けて、マイクロコンピュータ10の周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対してAGCレベル変更コマンドを発行し、AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベル(Vagc2)に設定する(S106)。
【0033】
そして、周波数サーチ指示部10−3は、DSP7−2に対して周波数変更コマンドを発行する。すると、DSP7−2は、第1の動作レベルでの動作のときと同様、帯域内の周波数をサーチするため、局部発振器5のVCO(Voltage Controlled Oscillator)の制御電圧を変化させ、ある周波数に同調させる。つまり、まず、帯域の下限の周波数に局部発信器5の出力を設定し(S107)、受信周波数の電界強度を示すSメータ値[dBuV]を取得する(S108)。そして、S103において第1の動作レベルで得たSメータ値と比較し、Sメータ値の変化量が3次の勾配を有するかどうかを判定部10−4で判定する(S109)。もし、3次の勾配を有していなければ、検出信号は受信信号であるとして、記録指示部10−5はS108で得たSメータ値の周波数をプリセットメモリ11に記録する(S110)。これに対し、もし3次の勾配を有していれば、検出信号は相互変調歪であるとして、プリセットメモリ11に記録は行わず、同調周波数を1ステップ上げる(S111)。そして、帯域の上限の周波数に至るまでこれを繰り返す(S112)。
ここでは、帯域の下限から上限へサーチアップする場合について説明したが、帯域の上限から下限へサーチダウンする場合についても、全く同様である。
【0034】
なお、本実施形態では、第2の動作レベルにおいてSメータ値を求める毎に第1の動作レベルで求めたSメータ値と逐一比較したが(S109)、まず、第2の動作レベルで帯域の全ての周波数でサーチを完了してから、最後に対応するSメータ同士を比較、判定してもよい。
【0035】
次に、判定部10−4の動作を詳述する。
AGC回路9の動作レベルを第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベル(Vagc2)とすると、図7に示すように、f2×2−f1の周波数の相互変調成分は3次の歪なので、入力レベルに対して3次(dBスケールで3倍)の勾配で変化する。それゆえ、第1の動作レベルと第2の動作レベルの差分であるVagc1−Vagc2の変化量に対して急激にレベルが小さくなり、例えば図8に示すようにAGC減衰量補正前のSメータで、f2×2−f1の相互変調歪成分が発生せず、AGC減衰量を補正したSメータについても、図9のように、f2×2−f1の相互変調歪成分が発生しない。あるは、f2×2−f1の相互変調歪成分が発生したとしても、第1の動作レベルの時よりも相当小さい相互変調歪成分しか発生しない。そこで、以下のような判定方法を採ることができる。
【0036】
(実施例1)
第2の動作レベルにおいてf2×2−f1の相互変調歪成分が発生する場合は、S109の通り、Sメータ値の変化量が3次の勾配を有するかどうかを判定すればよい。3次の勾配を有するとは、例えばAGC回路9の動作レベルを10dB小さくしたときに、Sメータ値が30dB小さくなっていることをいう。つまり、デシベル単位で、
S1[f_tune]―S2[f_tune]=3×(Vagc1−Vagc2)
を満たせば、相互変調歪成分だと判定できる。
【0037】
(実施例2)
第2の動作レベルにおいてf2×2−f1の相互変調歪成分が発生しない場合は、正確に3倍とはならない。ただ、第1の動作レベルと第2の動作レベルの差分に対して非線形であれば相互変調歪成分であると判定できるのであるから、
S1[f_tune]―S2[f_tune]>p×(Vagc1−Vagc2)
ここで、pは1より大きい定数
を満たせば相互変調歪成分であると判定してもよい。pは受信回路や受信環境により適宜定めてもよいし、受信環境に応じて変化させるようにしてもよい。
【0038】
(実施例3)
第2の動作レベルにおいてf2×2−f1の相互変調歪成分が発生しない場合は、そのことをもって相互変調歪成分であると判定してもよい。f2×2−f1の周波数の相互変調成分は3次の歪なので、急激にレベルが小さくなることから、このような判定はほとんどの場合正しい結果を示している。
【0039】
以上、実施例1から3のような判定方法は、非線形歪一般に適用できる。非線形歪とは、受信波の影響で受信機内部で生成される受信波以外の信号成分をいい、例えば相互変調歪、AM波混変調歪がこれに含まれる。
このうち、相互変調歪については、様々な周波数で発生するが、f2×2−f1の周波数で出現する相互変調歪は、受信信号の周波数f1、f2に近く、また3次の歪みでありレベルも大きいので、受信信号に対する干渉となりやすい。もちろんそれ以外の周波数で発生する高次(5次、7次等)の歪に対しても本発明を適用することは可能である。
また、AM波混変調歪は2次の歪であるから非線形歪であり、AM波混変調歪に対しても本発明を適用することが可能である。
【0040】
また、第1の動作レベルと第2の動作レベルの差分(Vagc1−Vagc2)は、ラジオ受信機の特性にもよるが、3次の相互変調歪を検出する場合、10dB程度が好ましい。
【0041】
なお、図1では、スーパーヘテロダイン方式のラジオ受信機の場合を示したが、ダイレクトコンバージョン方式(中間周波数への変換を行わず、A/D変換を行う)としてもよい。
また、D/A変換器7−3とスピーカー8の間に音声信号を増幅するアンプが挿入されてもよい。
さらに、図1では、DSP7−2の内部にROM7−2−1が存在する構成となっているが、外部にプログラムコードが格納されたROMを用意し、そこからDSPの内部RAMにダウンロードして動作させるようにしてもよい。
同様に、図1では、マイクロコンピュータ10の内部にROM10−1が存在する構成となっているが、外部にプログラムコードが格納されたROMを用意し、そこからマイクロコンピュータの内部RAMにダウンロードして動作させるようにしてもよい。
そして、図1では、プリセットメモリ11は、マイクロコンピュータ10の外部に存在するものとなっているが、マイクロコンピュータ10の内部RAM10−2に格納するようにしてもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、ラジオ受信機に搭載される半導体集積回路である。その構成は、第1の実施形態とほぼ同様であるので、図1を用いて説明する。
【0043】
図1の要素のうち、高周波増幅回路3、ミキサ4、局部発振器5、中間周波増幅回路6、復調処理部7、マイクロコンピュータ10は、ワンチップの半導体集積回路13に搭載されている。つまり、本発明のプリセット登録を実現する主要な構成である周波数サーチ指示部10−3、判定部10−4、および記録指示部10−5もすべてワンチップの半導体集積回路13に含まれている。
【0044】
なお、本発明の第2の実施形態である半導体集積回路は、半導体集積回路の外にあるAGC回路9に対して制御を行うのみならず、半導体集積回路の中に含まれる検出部に対しても制御を行なっているが、制御の対象が半導体集積回路の内か外かは本発明の本質とは何ら関係がなく、任意に変更し得る。
【0045】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、ダブルチューナータイプのラジオ受信機に関するものである。以下、本発明の第3の実施形態におけるラジオ受信機について、図面を参照しながら説明する。図11は、本発明のラジオ受信機のブロック図である。なお、第1の実施形態と同じ構成については、同じ番号を付与している。
【0046】
第3の実施形態のラジオ受信機は、第1の実施形態のラジオ受信機に加えて、さらにもう一つのチューナーを有する。つまり、アンテナ21、アンテナ入力回路22、高周波増幅回路23、ミキサ24、局部発振器25、中間周波増幅回路26、復調処理部27、AGC回路29をさらに備えるものである。
【0047】
そして、AGC回路9は、第1の動作レベルで動作するのに対し、AGC回路29は、第2の動作レベルで動作するように構成されている。
【0048】
このように構成することにより、第1の実施形態では、第1の動作レベルの動作の次に、動作レベルを切り替えて第2の動作レベルでAGC回路をシーケンシャルに動作させていたが、本実施形態では、第1の動作レベルによる動作と第2の動作レベルによる動作をパラレルで処理することができる。この場合、オートプリセット動作の時間を短縮させることが可能である。
【0049】
なお、本実施例の場合、2つのチューナーのフロントエンドの特性が一致していることが望ましい。したがって、図11の2本のアンテナ1、およびアンテナ21に代えて、一本のアンテナとし、そこから分岐させてアンテナ入力回路2およびアンテナ入力回路22に受信信号を入力するようにすることがより望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のラジオ受信機は、車載端末のような移動を伴う受信機で、アンテナ直下などの強入力環境下におけるオートプリセット動作時、回路の相互変調歪による誤動作を防ぐために有用であるが、そのほか通常のラジオ受信機、さらには相互変調歪をはじめとする非線形歪が問題となるような放送波受信機、例えばテレビ受信機などにおいても適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 アンテナ
2 アンテナ入力回路
3 高周波増幅回路
4 ミキサ
5 局部発振器
6 中間周波増幅回路
7 復調処理部
7−1 A/D変換器
7−2.DSP
7−2−1.ROM(DSP)
7−3.D/A変換器
8 スピーカー
9 AGC回路
10 マイクロコンピュータ
10−1 ROM(マイクロコンピュータ)
10−2 RAM(マイクロコンピュータ)
10−3 周波数サーチ指示部
10−4 判定部
10−5 記録指示部
11 プリセットメモリ
12 キー入力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機であり、
前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、
前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、
を有する放送波受信機。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度との差分が、前記第1の動作レベルと前記第2の動作レベルの差分に対して非線形となるかどうかを判定することを特徴とする請求項1記載の放送波受信機。
【請求項3】
前記判定部は、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度が検出されないことをもって前記検出信号が非線形歪によって発生したものと判定することを特徴とする請求項1記載の放送波受信機。
【請求項4】
前記非線形歪は3次の相互変調歪であることを特徴とする請求項2または3記載の放送波受信機。
【請求項5】
前記AGC回路は、前記第1の動作レベルで動作する第1のAGC回路、および前記第2の動作レベルで動作する第2AGC回路からなり、
前記検出部は、前記第1のAGC回路に接続された第1の検出部、および前記第2のAGC回路に接続された第2の検出部からなることを特徴とする請求項1記載の放送波受信機。
【請求項6】
アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリを制御する半導体集積回路であり、
前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、
前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、
を有する半導体集積回路。
【請求項7】
アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機のプリセット登録方法であり、
前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する検出ステップと、
前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録ステップと、
を有する放送波受信機のプリセット登録方法。
【請求項1】
アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機であり、
前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、
前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、
を有する放送波受信機。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度との差分が、前記第1の動作レベルと前記第2の動作レベルの差分に対して非線形となるかどうかを判定することを特徴とする請求項1記載の放送波受信機。
【請求項3】
前記判定部は、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度が検出されないことをもって前記検出信号が非線形歪によって発生したものと判定することを特徴とする請求項1記載の放送波受信機。
【請求項4】
前記非線形歪は3次の相互変調歪であることを特徴とする請求項2または3記載の放送波受信機。
【請求項5】
前記AGC回路は、前記第1の動作レベルで動作する第1のAGC回路、および前記第2の動作レベルで動作する第2AGC回路からなり、
前記検出部は、前記第1のAGC回路に接続された第1の検出部、および前記第2のAGC回路に接続された第2の検出部からなることを特徴とする請求項1記載の放送波受信機。
【請求項6】
アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリを制御する半導体集積回路であり、
前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する周波数サーチ指示部と、
前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録指示部と、
を有する半導体集積回路。
【請求項7】
アンテナと、アンテナで受信した受信信号のレベルを調整するAGC回路と、前記AGC回路の出力信号の周波数を検出する検出部と、および前記検出部にて検出された前記出力信号である検出信号の周波数を記憶するプリセットメモリとを有する放送波受信機のプリセット登録方法であり、
前記AGC回路の動作レベルを第1の動作レベルおよび前記第1の動作レベルよりも低い第2の動作レベルに設定するよう前記AGC回路に指示するとともに、前記第1の動作レベルでの前記出力信号の周波数、および前記第2の動作レベルでの前記出力信号の周波数をそれぞれ検出するよう前記検出部に指示する検出ステップと、
前記第1の動作レベルでの前記検出信号の電界強度と、前記第2の動作レベルでの前記検出信号の電界強度とに基づき、前記検出信号が非線形歪によって発生したものかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定部の判定結果に基づき、非線形歪みによって発生したものを除いた前記検出信号の周波数を、受信可能な前記受信信号の周波数として前記プリセットメモリに記録するよう指示する記録ステップと、
を有する放送波受信機のプリセット登録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−212977(P2012−212977A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76401(P2011−76401)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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