放電プラズマ焼結(SPS)法によって耐火セラミック部品を接合するための方法
本発明は、放電プラズマ焼結法によって少なくとも二つの耐火セラミック部品(各部品は放電プラズマ焼結法によってアセンブリされる少なくとも一つの表面を有する)をアセンブリするための方法に関し、以下の段階を備える。即ち、その間に何も追加せずにアセンブリされる部品の表面同士を接触させる段階と、1から200MPaの間のアセンブリ圧を部品に印加する段階と、少なくとも1300℃のアセンブリ温度に部品の温度を上昇させるように500から8000Aの強度のパルス電流を部品に印加する段階と、電流及び圧力を同時に除去して部品を冷却する段階と、アセンブリされた部品を回収する段階とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放電プラズマ焼結(SPS,spark plasma sintering)によって耐火セラミック部品を接合するための方法に関する。
【0002】
本発明の技術分野は、一般的に、セラミック(更に正確には耐火セラミック)の接合分野であると定義可能である。
【背景技術】
【0003】
“耐火セラミック”との表現は、一般的に、1300℃を超える焼結温度を有するセラミックを意味するものと解される。
【0004】
その耐火性及び脆性によって、セラミックは成形し難い物質である。
【0005】
炭化物や窒化物等の高耐火セラミックを焼結させねばならない場合、現状の処理方法は比較的長くて高価である。
【0006】
セラミックで複雑な形状の部品を製造することは一般的に困難であり、特に耐火セラミックの場合はそうである。
【0007】
従って、単純な形状のセラミック要素または部品から構造体を製造して、それらの要素を接合してより複雑な形状の最終的な構造体を形成することが好ましい場合が多い。
【0008】
炭化シリコン等のセラミック応用で使用される高温(例えば1000℃付近またはそれ以上)のせいで、有機物での結合によってセラミックを接合することは想定されない。
【0009】
更に、はんだを用いて又は用いずにエネルギービームを利用して溶接すること(TIG、電子又はレーザー溶接)及び接合される部品の部分的な溶融を含むことによる従来の接合方法は、セラミックを接合することには使用できない。
【0010】
この理由は、局所的な加熱中に、熱衝撃によって、溶融開始が起こり得る前にセラミックの突然の崩壊がもたらされるからである。
【0011】
従って、固相拡散溶接、焼結接合及び反応性鑞付けが、現状では、耐火セラミック接合を生じさせるための最も一般的な方法となっている。
【0012】
固相拡散溶接並びに焼結接合は、その実施の観点から制限的なものになってしまうという欠点を有する。
【0013】
固相拡散溶接に対しては、一軸加圧を用いる場合、部品の形状が単純でなければならず、又は、複雑な仕上げ及び準備が必要とされる。例えば、HIP(熱間等方圧加圧,hot isostatic pressing)を用いる場合、エンベロープの生成、真空下での漏れ止め密封、熱間等方圧加圧、及び、エンベロープの最終的な機械加工が必要とされる。
【0014】
焼結接合の場合にも同じ問題があり(部品の形状、実施の複雑さ)、更に、接合される二つの物質の間に挿入されるはんだ粉末の焼結の制御が必要とされる。
【0015】
また、これら二つの方法では、用いられる手順に固相拡散が含まれるので、高温での長期間保持、安定状態(一から数時間)の使用も必要とされる。こうした長期間は、耐火合金の粒の巨大化を促進して、これらを脆化し得る。
【0016】
反応性鑞付けは安価で使い易い方法であり、現状において最も一般的に用いられている。毛細管鑞付けを実施することによって複雑な形状の部品を製造することができるが、その動作は、接合部の間又は近傍にはんだを置いて、鑞を溶融することに限定される。
【0017】
こうした訳で、現在、SiC等の耐火セラミックを接合するための方法として最も知られているものは、コミツサリア・タ・レネルジー・アトミーク(仏国原子力委員会)の“BRASIC”法として知られている方法である。
【0018】
この方法は(特に特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)、耐火セラミック部品(例えば、炭化シリコン製の部品)を、耐火性鑞付けによって接合することを可能にする。
【0019】
接合される部品を金属間鑞と接触させて、部品と鑞を、鑞の融点に等しい鑞付け温度で加熱することによって、耐火接合部を形成する。この方法は、工業規模で開発されてきたが、特定の制限を有する。
i)鑞付けされたアセンブリの動作温度は、鑞の融点を超えることがない。
ii)鑞は、場合によっては物質の使用にとって許容できなくなり得てまた例えば鑞の中性子不適合を生じさせ得る第二相に対応する。
iii)鑞の性質は、鑞付けされる物質の性質に本質的に関連している。つまり、アセンブリされる各セラミックに対して、新型の特定の鑞を開発する必要があるが、これには、長期にわたり費用のかかる開発期間が必要である。
【0020】
更に、放電プラズマ焼結(SPS,Spark Plasma Sintering)法が知られている。この技術に関する最初の特許出願(特許文献5、特許文献6)は、1960年代の終わりに、K.INOUEによって出願された。
【0021】
しかしながら、SPS法が実験的なブームを享受するには、1990年代の終わりまで待たなければならなかった。
【0022】
SPSは、バルクサンプルまたは圧縮される粉末サンプルに対して、または、接合される部品に対して、一軸性加圧と高強度電流パルスを同時に加えるという焼結方法である。
【0023】
粉末または部品は、金属、セラミックまたはポリマー製であり得る。
【0024】
グラファイト製のピストン及びプレートのアセンブリを介してサンプルを温度上昇させて、粉末を、グラファイトペレット成形プレス機の内側に挿入する。ペレット成形プレス機、ピストン及びプレートから成るアセンブリは、温度を上昇させるための真空チャンバ中の唯一のアセンブリである。
【0025】
より詳細には、SPS機及びその主要構成要素の動作原理が図1に示されている。粉末(1)が、二つのピストン(3)間のグラファイトスリーブ(2)中に配置されている。圧力(4)がこれらのピストン(3)に印加され、直流電流(5)が電極(6)に印加される。粉末(1)、ピストン(3)、グラファイトスリーブ(2)、及び、電極(6)の一部は、真空チャンバ(7)内部に配置される。粉末の代わりに、二つのピストンの間に接合される二つのセラミック部品を配置することが可能であり、型の中に、ピストン‐第1のセラミック‐第2のセラミック‐ピストンの順序となる。
【0026】
温度は、アセンブリ中に注入される電力も制御する光学高温計を介して、モニタリングされる。焼結中に用いられる電流は、最大8000Aに及び得る。
【0027】
SPS法の主要な利点は、数分(例えば5から10分)のオーダの比較的短期間でサンプルを圧縮できる点にある。
【0028】
焼結が速いことによって、結晶粒成長を最小化させ、また、特定の物質に対して100%に近い密度を得ることができる場合が多い。
【0029】
しかしながら、放電プラズマ焼結(SPS)は、耐火セラミックにはほとんどまたは全く応用されてきておらず、また、二つの耐火セラミック部品の接合には応用されてこなかった。
【0030】
米国特許第6515250号明細書は、部品を接合するための方法及び装置に関し、その第一段階において、アセンブリされる部品の表面を、グラファイトの型を用いることなく、接触させる。その後、部品に圧力を印加しながら、パルス電流、又は、パルス電流及び直流電流の組み合わせをその表面に印加して、部品を一時的に接合する(“段階1”)。
【0031】
次に、一時的に接合された部品に熱処理を行って、この接合を永続的なものとし、また、接合された部品のそれぞれの物質の強度に等しい接合強度を得る。
【0032】
この文献の方法は、金属部品同士を互いに接合すること可能にし、また、金属部品を非金属部品に接合、非金属部品同士を接合することも可能にするものであると記載されている。
【0033】
この文献の例から、同一の物質製(例えば、ステンレス鋼(SUS304)製又は合金工具鋼(SKD61)製)のバーの接合が行われる。
【0034】
更に、異なる物質製の金属部品間の接合も行えることが示されており、例えば、SKD61製の部品とアルミニウム合金製の部品との間、SUS304製の部品とSUS420J2製の部品との間、銅合金製の部品とSUS420J2製の部品との間、SKH51(高速度工具鋼)製の部品とSKD61製の部品との間が挙げられ、また、金属製の部品と非金属部品との間、又は、非金属部品間接合が、溶接物質若しくは鑞付け金属を用いずに行われる。
【0035】
また、この方法を異なる物質(例えば、金属、セラミック、プラスチック)製の部品を接合するために用いる場合、勾配特性を有する部品、つまり、部品の一方の側から他の側に向けてその特性が段階的に変化する特性を有する部品が、接合される部品間に配置されると記載されている。
【0036】
最後に、この文献の方法は、“多様な種類の接合”、例えば、超硬金属及び普通の金属の接合や、アルミニウム製の部品及び耐腐食耐摩耗性部品の接合に応用可能であると記載されている。
【0037】
結論として、この文献には、セラミック製の二つの部品同士の接合については開示・示唆がなく、ましてや耐火セラミック製の二つの部品同士の接合については開示・示唆がなく、また、二つのセラミック、特に二つの耐火セラミックの接合によって課される特定の問題については述べられていない。
【0038】
更に、接合(段階1)は、グラファイトの型を用いずに行われる。しかしながら、セラミックは、優れた電気伝導体ではないので、電流のパルスを接合されるセラミックに通すことができない。従って、この第一段階は、金属、より一般的には導電物質に対してのみ機能する。
【0039】
更に、SPSに似ているパルス電流による接合は、一時的な接合をもたらす中間段階を成すのみであり、この段階に続く熱処理が、界面の良好な凝集を確実にするために絶対的に必要である。
【0040】
実際のところ、この文献の方法において、第一段階は、部品の単純な位置決めを成すのみであり、真の接合は得られないものと考えられる。
【0041】
米国特許第6384365号明細書には、放電プラズマ焼結(SPS)法によってタービン翼等のタービンの構成部品を統合又は修理する方法が記載されている。
【0042】
この翼は、従来のコバルト超合金製又は単結晶ニッケルベース超合金製であり得る。
【0043】
翼が、例えばMCrAlY製のベースコート及び/又は安定ジルコニアコーティング等の外側の熱障壁セラミックコーティングで覆われている場合、このコーティングを完全に除去しなくてはならない。タービンの部品の接合される両面がセラミック物質製である場合には、その両面の間にセラミック粉末が配置されると記載されている。セラミック製、特に耐火セラミック製の二つの部品の接合に関しては特に例示的な実施形態が与えられていない。
【0044】
SPS処理時間は1500℃未満の温度で5分未満である。
【0045】
結論として、この文献においては、上述の鑞付けプロセスにおいて、セラミックを接合するために、第三の中間層フェイズを使用することが必須となる。
【0046】
更に、この文献には、耐火セラミックの接合については開示・示唆がないことになる。何故ならば、1300℃の温度は、例えば炭化物や窒化物型の耐火セラミックを接合するには不十分だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】仏国特許発明第2749787号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2748471号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2728561号明細書
【特許文献4】仏国特許発明第2707196号明細書
【特許文献5】米国特許第3241956号明細書
【特許文献6】米国特許第3250892号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
前述の点に鑑み、耐火セラミック部品、具体的には1900℃超の焼結温度を有する耐火セラミック部品を接合することを可能にする放電プラズマ焼結(SPS)によってセラミック部品を接合するための方法が必要とされている。
【0049】
また、単純で信頼でき高速かつ安価な方法でこうした部品を接合することを可能にし、また、優れた凝集及び優れた強度の結合または接合を得ることを可能にする方法が必要とされている。
【0050】
本発明の目的は、特に、このような必要にこたえ、従来技術の方法の欠点、欠陥、制限及び不都合を有さず、従来技術の方法の問題を解決する放電プラズマ焼結(SPS)によるセラミック部品を接合するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0051】
本目的及び他の目的は、本発明に従って、放電プラズマ焼結による少なくとも二つの耐火セラミック部品(各部品は接合されるべき少なくとも一つの表面を有する)を接合するための方法によって達成される。本方法では以下の逐次的段階が行われる:
‐ 部品の接合される表面を、その表面間に何ものも追加されることなく接触させる;その後、
‐ 1から200MPa(つまり2000bar)の圧力(接合圧として知られている)をそれらの部品に印加する;
‐ 500から8000Aの強度を有するパルス電流を、それらの部品に印加して、少なくとも1300℃の温度(接合温度として知られている)に部品の温度を上昇させる;その後、
‐ 電流の印加を中断するのと同時に圧力の印加を中断し、部品を冷却する;その後、
‐ 接続された部品を回収する。
【0052】
本発明による方法は、セラミック部品を接合するための従来技術の方法とは本質的に区別される。
【0053】
本発明による方法は、限定された数の単純で用い易い段階を備える。
【0054】
本発明の方法のおかげで、最終的で永続的な高強度の接合又は凝集性結合が、最終的で永続的で固相で強い凝集性結合を得るための補助的な熱処理を用いる必要なく、SPS法による単一オペレーションにおいて得られる。
【0055】
従って、本発明による方法は、顕著な時間及びエネルギーの節約を可能にする。
【0056】
本発明の方法は、接合される部品の界面に、何らかの種類の物質(例えば粉末)の追加を必要としない。従って、相間における第二または第三相の存在が、それに起因する全ての問題と共に、回避される。
【0057】
本発明によると、SPS法の特定のオペレーションパラメータの特定の範囲の選択によって、耐火セラミック、つまり1300℃超の焼結温度を有するセラミックの焼結が、SPS法のみを用いた単一段階の凝集性で強力な方法において、連続処理(特に熱処理)なしで、また、界面における追加、挿入なしで、初めて可能になった。
【0058】
従って、本発明に従って、印加される圧力は、一般的に1から200MPaであり、印加される強度は、一般的に500から8000Aである。従って、一方では圧力範囲に関する、他方では強度範囲に関する、二回の選択がなされる。
【0059】
従来技術においては、耐火セラミック部品の接合は従来技術において明示的に記載されておらず、また、こうしたセラミックの接合に固有の問題について触れられていないので、特に耐火セラミックに対して、補助的な処理なしで、固相で強力な接合を可能にするこの二回の選択については開示・示唆がないということになる。
【0060】
好ましくは、圧力は10から150MPaであり、更に好ましくは20から100MPaであり、より良くは50から75MPaである。
【0061】
好ましくは、強度は500から6000Aであり、更に好ましくは1000から3000Aである。
【0062】
圧力及び強度の値は、接合される部品の温度が1300℃超、好ましくは1400から2000℃、更に好ましくは1600から1950℃、例えば1750℃に上昇するように、上述の特定の範囲内で選択される。
【0063】
例えば1750℃の上述の温度(保持温度、安定温度、接合温度とも称される)が維持されている間の時間(保持時間とも称され得る時間)は、一般的に、0から10分間であり、好ましくは0から7分間であり、例えば5分間である。
【0064】
その時間が0である場合、これは、最大温度までの温度上昇が行われ、保持が維持されることなく、大気温度まで戻されるということを意味する。
【0065】
この保持時間はいずれにしろ、他の焼結法に対して非常に短く、同様に、方法の全体、全所要時間として表されるサイクル時間が減少するという点には留意されたい。このサイクル時間は、例えば、10から30分間、特に20分間であり、この点が、本発明による方法の他の利点を成す。
【0066】
部品の冷却は一般的に、当業者が理解するように、急激なものになり過ぎないように行われる。従って、毎分80から600℃であり、例えば100から200℃/分である冷却速度は、一般的に、温度保持を開始点として観測される。
【0067】
好ましくは、冷却は、異なる勾配を有する連続的な傾斜を介して行われる。従って、例えば、冷却は以下のように行われ得る:初めは600℃/分で、その後、100℃/分で600℃に下げ、40℃/分で大気温度に下げる。
【0068】
部品同士を接触させ、圧力を印加し、次に、圧力を維持しながら、部品の温度を上昇させるために部品にパルス電流を印加することが可能である。
【0069】
有利には、温度つまりは強度、圧力(つまり印加される力、圧力は周知の方程式P=F/Sに従って座面に依存する)のパラメータは、大気温度及び0MPaの圧力を開始点として突然又は瞬間的に加えられるのではなくて、大気温度及び0MPaの圧力から徐々に上昇させられる。
【0070】
温度(強度によって支配されている)に対しては、好ましくは一つの勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の勾配での段階的な上昇が行われ、上述の最大温度(保持又は接合温度とも称される)に到達する。
【0071】
温度勾配は好ましくは、50℃から200℃/分、例えば100℃/分の傾斜を有する。
【0072】
圧力に対しても同様に、有利には、一つの勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の勾配での段階的な上昇が行われ、上述の最大圧力(保持又は接合圧とも称される)に到達する。
【0073】
圧力勾配は好ましくは、1MPa/分から20MPa/分、好ましくは5から10MPa/分の傾斜を有する。
【0074】
温度上昇及び圧力上昇は、段階的なものであろうとなかろうと、同一の期間にわたって、同時に行われることが有利であり得る。
【0075】
複数の圧力勾配及び複数の温度勾配が実施される場合、対応する圧力及び温度勾配は同一の期間を有することが好ましい。
【0076】
温度(つまりは強度)及び/又は圧力(つまりは印加される力)のパラメータを突然に、不意に又は瞬間的にではなく段階的に加えることによって、耐火セラミック部品が非常に高い応力に晒されることが回避され、悲嘆すべきセラミック部品の破損がなくなる。
【0077】
驚異的なことに、本発明者によって、大気温度から一般的には、その温度効果で接合される表面が軟化する、より軟らかくなる温度までの顕著な温度上昇の後に、接合を生じさせるために必要な圧力(つまり力)を加えさえすれば、結果がより良いものになり、より良質の接合が得られるということが示された。
【0078】
軟化が生じるこの温度は、上述の保持/接合温度未満であるが、この軟化を可能にするのに十分高くなければならない;一般的に、この温度は50から300℃であり、好ましくは100から250℃、更に好ましくは150から200℃であり、上述の保持/接合未満である。
【0079】
この温度効果下での接触表面の軟化は、接合作業中に表面がより良い挙動を示すことを可能にする。
【0080】
例えば、この保持温度が1750℃である場合、部品の温度は1600℃付近にまで段階的に上昇させられる(好ましくは2つの連続的な温度勾配を介して)。同様に、部品の温度が1600℃に達した時に、効果的な部品の接合(具体的には、75.6MPaの圧力(接合される直径8mmの表面に印加される3.8kNの力に対して))を可能にする圧力(つまり保持圧)のみが印加されるように、部品に印加される圧力(力)が段階的に上昇させられる。
【0081】
例として、大気温度(一般的に20から25℃)から1750℃までの温度上昇は以下のようにして行うことができる:
‐ 大気温度から600℃ : 3分間;
‐ 600から1600℃ : 10分間;
‐ 1600から1750℃ : 3分間;
‐ 1750℃で5分間保持。
【0082】
同じ時間にわたって、圧力は以下のように発展する:
‐ 0から19.9MPa : 13分間;
‐ 19.9MPaから75.6MPa : 3分間
‐ 75.6MPaで5分間保持。
【0083】
接合される表面は直径8mm(A=5・10−5m2)であり、19.9MPa及び75.6MPaの圧力がそれぞれ、1kN及び3.8kNの印加される力に対応する。
【0084】
上述の温度及び圧力の段階的な上昇(特に、上述の温度上昇の好ましい実施形態(軟化温度までの中間的な加熱が行われる場合)におけるもの)は、永続的な接合を得るために従来技術の場合のように補助的な加熱段階を使用することを確実に回避すること、従って、単一の段階で接合を直接得ること、また、界面において目に見える表面のない二つの部品の接合の質を更に改善することを可能にする。
【0085】
更に、電流パルス“列”の形状も、得られる接合の界面の質に影響を与えるものと考えられる。
【0086】
電流は、パルスの組又は列の形状で印加される;各組又は列は、一組の調整可能な数のパルスから成る。組(列)は、その間は印加電流がゼロとなる期間によって、互いに分離されている。
【0087】
本発明による方法において、一般的に、1から5msのパルスが用いられ(例えば3.3msのピリオドを有する)、一般的に、1から15の列が接続されて(例えば12パルス)、各列は一般的に1から15ピリオドによって分離されていて(例えば3ピリオド)、ここでピリオドは上述の期間(3.3ms等)であり、電流が印加されない。
【0088】
これらの値は変更可能であるが、電流は常に同一の形状を保たなければならない:具体的には、数が多いか少ないパルスの列が、電流が印加されない変更可能な期間によって分離される。
【0089】
印加電圧は数ボルトであり、一般的には1から8ボルト、好ましくは2から7ボルトであり、典型的には5ボルトである。
【0090】
接合される部品は全て同一の耐火セラミック製であるか、又は、部品は異なる耐火セラミック製であり得る。
【0091】
耐火セラミックは、炭化物、窒化物及び酸化物セラミックから選択され得る。このようなセラミックの例としては、SiC、TiN、ZrC、TiCが挙げられる。
【0092】
本発明による方法は、高速で汎用で安価な方法を介して制御された微細構造を有する複雑な形状体を製造することを視野に入れてセラミック/セラミック接合を生じさせることが望まれる全分野において応用されるものである。
【0093】
本発明による方法は、第四世代原子炉心用の構造材料、将来的な燃料のアセンブリ、燃料電池のアセンブリ、ナノスケール微細構造を有する物質を得ることといった分野、耐火セラミック部品の接合が障壁、克服できない技術的な行き詰まりにぶつかる分野における物質の処理を可能にする。
【0094】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、例示的で非限定的な下記の説明を読むことによって更に明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明による方法を実現するためのSPS装置の一例の概略的な縦断面図である。
【図2A】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図2B】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図2C】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図2D】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3A】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT,heat treatment)後の図2AのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3B】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT)後の図2BのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3C】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT)後の図2CのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3D】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT)後の図2DのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図4A】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたTiN部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図4B】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたTiN部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本発明による方法は、例えば図1に示されるような従来の放電プラズマ焼結(SPS)機又は装置において一般的には行われる。
【0097】
本発明による方法においては、一般的に、初めに、接合される二つ以上の部品をSPS装置内、SPS装置のグラファイトの型の内部に配置する。
【0098】
接合される部品の数は一般的に二つであるが、より多数の部品を同時に接合することも可能であり、例えば、最大100に及ぶ。
【0099】
“耐火セラミック部品”との表現は、一般的に、あらゆる形状のあらゆる要素又は存在(好ましくは単純な形状のもの)を意味すると解され、例えば一つ以上の他の部品に接合された後で、より大きな寸法の構造(好ましくはより複雑な形状のもの)に組み込まれるものを意味すると解される。本発明による方法のおかげで、接合後には、本発明の方法固有の利点を全て備えた非常に複雑な形状の部品でさえ、短期間で得ることができる。得られる接合部品のサイズは、当業者に周知であるSPS装置の容量のみに制限される。
【0100】
接合される二つ以上の部品は、同一のセラミック製であるか、又は、接合される部品のそれぞれが異なるセラミック製であり得る。
【0101】
その後、接合される表面同士を、その表面の間に何かを配置すること一切なく、接触させる。
【0102】
接合される表面は研磨された鏡面型表面または、機械加工された表面のような粗いものであり得る。一般的に、接合される表面は、まず、有機溶媒(例えば、ケトン、エステル、エーテル若しくはアルコール型又はそれらの混合物等)中で油脂が除去されて、その後乾燥されて、その後、1から150MPaの圧力が一般的に、それらの部品に印加される。言い換えると、接合される両側の表面間の接触が圧力によって確立される。
【0103】
一般的に、圧力を維持しながら、500から8000Aの強度を有するパルス電流がこれらの部品に印加されて、部品の温度を少なくとも1300℃にまで上昇させる。
【0104】
言い換えると、全てが接触している場合、温度上昇を生じさせるために電流を発生させることが可能である。一般的に、型の耐えることができる最大アンペア数は、特にその直径に関連している。従って、例えば、8mmのサンプル直径に対しては、型を破壊する危険性なく、2000Aを印加することが可能である。20mm超の直径に対しては、4000A以上を印加することが可能である。接合が行われてしまえば、電流また圧力の印加を中断して、部品を、一般的には大気温度(例えば20から25℃)まで冷却する。SPS装置内で製造された部品を回収する。
【0105】
本発明を、例示的で非限定的な下記の実施例を参照して、説明する。
【0106】
[実施例]
これらの実施例において、SiC製又はTiN製の部品は直径8mm、厚さ5mmのディスクであり、本発明の方法によるSPSによって接合された。SiC又はTiNの各物質に対して、六つの接合サンプルを製造した。
【0107】
使用したSPS装置は住友製の“SPS2080”型装置であった。
【実施例1】
【0108】
・ 本実施例において、二つのSiC部品(ディスク)を、上述の装置内で、以下の条件下で接合した:
‐ 50MPa下で5分間にわたる1800℃の温度;
‐ 3.2msのパルス列
【0109】
・ 接合後に得られたSiCサンプルの特性評価
‐ 光学観測
得られたサンプルは優れた凝集を示した。目視観測では欠陥は明らかとならなかった。
【0110】
‐ 破壊検査
切断及び研磨後のサンプルの観測を走査型電子顕微鏡を用いて行った。図2Aから2Dは、金属組織学的準備の後の研磨された表面上に得られたサンプルの顕微鏡写真を示す。
【0111】
サンプルの縁の観測によって、二つのSiCペレットの位置合わせ中の差、ギャップに対応する初期界面を画定することができた(図2A)。
【0112】
SiCの表面は、一様に分布した高い多孔性を有しており(図2C)、界面領域の視覚化も同様であり(図2D)、初期界面を表示することはできなかった。
【0113】
サーマルアタック(Ar6.0下で1550℃、5時間)後の微細構造の観測が図3に示されている。図3Aは図2Aと対比されるものである。サーマルアタックにも関わらず、界面を辛うじて見ることができる。このことは図3C及び3Dによって確かめられる。即ち、多孔性または粒径の変更は界面において示されていない。
【実施例2】
【0114】
この実施例において、二つのTiN部品(ディスク)を、上述の装置内で、以下の条件下で接合した:
‐ 10MPa下で5秒間にわたる1500℃の温度;
‐ 3.2msのパルス列。
【0115】
・ 接合後に得られたTiNサンプルの特性評価
‐ 光学観測
得られたサンプルは優れた凝集を示した。目視観測では欠陥は明らかにならなかった。
【0116】
‐ 破壊検査
切断及び研磨後のサンプルの観測を走査型電子顕微鏡を用いて行った。
【0117】
図4A及び4Bは、金属組織学的準備の後の研磨された表面上に得られたサンプルの顕微鏡写真を示す。結合が見られ、いくつかの欠陥(結晶粒の脱離や多孔性)を有している。しかしながら、結合を形成する結晶粒に対しては凝集性がある。
【0118】
[結論]
本発明の方法によるSPSによって接合したSiC及びTiNのサンプルは、微細構造の変形なく、凝集性の界面を示す。
【符号の説明】
【0119】
1 粉末
2 グラファイトスリーブ
3 ピストン
4 圧力
5 直流電流
6 電極
7 真空チャンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は放電プラズマ焼結(SPS,spark plasma sintering)によって耐火セラミック部品を接合するための方法に関する。
【0002】
本発明の技術分野は、一般的に、セラミック(更に正確には耐火セラミック)の接合分野であると定義可能である。
【背景技術】
【0003】
“耐火セラミック”との表現は、一般的に、1300℃を超える焼結温度を有するセラミックを意味するものと解される。
【0004】
その耐火性及び脆性によって、セラミックは成形し難い物質である。
【0005】
炭化物や窒化物等の高耐火セラミックを焼結させねばならない場合、現状の処理方法は比較的長くて高価である。
【0006】
セラミックで複雑な形状の部品を製造することは一般的に困難であり、特に耐火セラミックの場合はそうである。
【0007】
従って、単純な形状のセラミック要素または部品から構造体を製造して、それらの要素を接合してより複雑な形状の最終的な構造体を形成することが好ましい場合が多い。
【0008】
炭化シリコン等のセラミック応用で使用される高温(例えば1000℃付近またはそれ以上)のせいで、有機物での結合によってセラミックを接合することは想定されない。
【0009】
更に、はんだを用いて又は用いずにエネルギービームを利用して溶接すること(TIG、電子又はレーザー溶接)及び接合される部品の部分的な溶融を含むことによる従来の接合方法は、セラミックを接合することには使用できない。
【0010】
この理由は、局所的な加熱中に、熱衝撃によって、溶融開始が起こり得る前にセラミックの突然の崩壊がもたらされるからである。
【0011】
従って、固相拡散溶接、焼結接合及び反応性鑞付けが、現状では、耐火セラミック接合を生じさせるための最も一般的な方法となっている。
【0012】
固相拡散溶接並びに焼結接合は、その実施の観点から制限的なものになってしまうという欠点を有する。
【0013】
固相拡散溶接に対しては、一軸加圧を用いる場合、部品の形状が単純でなければならず、又は、複雑な仕上げ及び準備が必要とされる。例えば、HIP(熱間等方圧加圧,hot isostatic pressing)を用いる場合、エンベロープの生成、真空下での漏れ止め密封、熱間等方圧加圧、及び、エンベロープの最終的な機械加工が必要とされる。
【0014】
焼結接合の場合にも同じ問題があり(部品の形状、実施の複雑さ)、更に、接合される二つの物質の間に挿入されるはんだ粉末の焼結の制御が必要とされる。
【0015】
また、これら二つの方法では、用いられる手順に固相拡散が含まれるので、高温での長期間保持、安定状態(一から数時間)の使用も必要とされる。こうした長期間は、耐火合金の粒の巨大化を促進して、これらを脆化し得る。
【0016】
反応性鑞付けは安価で使い易い方法であり、現状において最も一般的に用いられている。毛細管鑞付けを実施することによって複雑な形状の部品を製造することができるが、その動作は、接合部の間又は近傍にはんだを置いて、鑞を溶融することに限定される。
【0017】
こうした訳で、現在、SiC等の耐火セラミックを接合するための方法として最も知られているものは、コミツサリア・タ・レネルジー・アトミーク(仏国原子力委員会)の“BRASIC”法として知られている方法である。
【0018】
この方法は(特に特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)、耐火セラミック部品(例えば、炭化シリコン製の部品)を、耐火性鑞付けによって接合することを可能にする。
【0019】
接合される部品を金属間鑞と接触させて、部品と鑞を、鑞の融点に等しい鑞付け温度で加熱することによって、耐火接合部を形成する。この方法は、工業規模で開発されてきたが、特定の制限を有する。
i)鑞付けされたアセンブリの動作温度は、鑞の融点を超えることがない。
ii)鑞は、場合によっては物質の使用にとって許容できなくなり得てまた例えば鑞の中性子不適合を生じさせ得る第二相に対応する。
iii)鑞の性質は、鑞付けされる物質の性質に本質的に関連している。つまり、アセンブリされる各セラミックに対して、新型の特定の鑞を開発する必要があるが、これには、長期にわたり費用のかかる開発期間が必要である。
【0020】
更に、放電プラズマ焼結(SPS,Spark Plasma Sintering)法が知られている。この技術に関する最初の特許出願(特許文献5、特許文献6)は、1960年代の終わりに、K.INOUEによって出願された。
【0021】
しかしながら、SPS法が実験的なブームを享受するには、1990年代の終わりまで待たなければならなかった。
【0022】
SPSは、バルクサンプルまたは圧縮される粉末サンプルに対して、または、接合される部品に対して、一軸性加圧と高強度電流パルスを同時に加えるという焼結方法である。
【0023】
粉末または部品は、金属、セラミックまたはポリマー製であり得る。
【0024】
グラファイト製のピストン及びプレートのアセンブリを介してサンプルを温度上昇させて、粉末を、グラファイトペレット成形プレス機の内側に挿入する。ペレット成形プレス機、ピストン及びプレートから成るアセンブリは、温度を上昇させるための真空チャンバ中の唯一のアセンブリである。
【0025】
より詳細には、SPS機及びその主要構成要素の動作原理が図1に示されている。粉末(1)が、二つのピストン(3)間のグラファイトスリーブ(2)中に配置されている。圧力(4)がこれらのピストン(3)に印加され、直流電流(5)が電極(6)に印加される。粉末(1)、ピストン(3)、グラファイトスリーブ(2)、及び、電極(6)の一部は、真空チャンバ(7)内部に配置される。粉末の代わりに、二つのピストンの間に接合される二つのセラミック部品を配置することが可能であり、型の中に、ピストン‐第1のセラミック‐第2のセラミック‐ピストンの順序となる。
【0026】
温度は、アセンブリ中に注入される電力も制御する光学高温計を介して、モニタリングされる。焼結中に用いられる電流は、最大8000Aに及び得る。
【0027】
SPS法の主要な利点は、数分(例えば5から10分)のオーダの比較的短期間でサンプルを圧縮できる点にある。
【0028】
焼結が速いことによって、結晶粒成長を最小化させ、また、特定の物質に対して100%に近い密度を得ることができる場合が多い。
【0029】
しかしながら、放電プラズマ焼結(SPS)は、耐火セラミックにはほとんどまたは全く応用されてきておらず、また、二つの耐火セラミック部品の接合には応用されてこなかった。
【0030】
米国特許第6515250号明細書は、部品を接合するための方法及び装置に関し、その第一段階において、アセンブリされる部品の表面を、グラファイトの型を用いることなく、接触させる。その後、部品に圧力を印加しながら、パルス電流、又は、パルス電流及び直流電流の組み合わせをその表面に印加して、部品を一時的に接合する(“段階1”)。
【0031】
次に、一時的に接合された部品に熱処理を行って、この接合を永続的なものとし、また、接合された部品のそれぞれの物質の強度に等しい接合強度を得る。
【0032】
この文献の方法は、金属部品同士を互いに接合すること可能にし、また、金属部品を非金属部品に接合、非金属部品同士を接合することも可能にするものであると記載されている。
【0033】
この文献の例から、同一の物質製(例えば、ステンレス鋼(SUS304)製又は合金工具鋼(SKD61)製)のバーの接合が行われる。
【0034】
更に、異なる物質製の金属部品間の接合も行えることが示されており、例えば、SKD61製の部品とアルミニウム合金製の部品との間、SUS304製の部品とSUS420J2製の部品との間、銅合金製の部品とSUS420J2製の部品との間、SKH51(高速度工具鋼)製の部品とSKD61製の部品との間が挙げられ、また、金属製の部品と非金属部品との間、又は、非金属部品間接合が、溶接物質若しくは鑞付け金属を用いずに行われる。
【0035】
また、この方法を異なる物質(例えば、金属、セラミック、プラスチック)製の部品を接合するために用いる場合、勾配特性を有する部品、つまり、部品の一方の側から他の側に向けてその特性が段階的に変化する特性を有する部品が、接合される部品間に配置されると記載されている。
【0036】
最後に、この文献の方法は、“多様な種類の接合”、例えば、超硬金属及び普通の金属の接合や、アルミニウム製の部品及び耐腐食耐摩耗性部品の接合に応用可能であると記載されている。
【0037】
結論として、この文献には、セラミック製の二つの部品同士の接合については開示・示唆がなく、ましてや耐火セラミック製の二つの部品同士の接合については開示・示唆がなく、また、二つのセラミック、特に二つの耐火セラミックの接合によって課される特定の問題については述べられていない。
【0038】
更に、接合(段階1)は、グラファイトの型を用いずに行われる。しかしながら、セラミックは、優れた電気伝導体ではないので、電流のパルスを接合されるセラミックに通すことができない。従って、この第一段階は、金属、より一般的には導電物質に対してのみ機能する。
【0039】
更に、SPSに似ているパルス電流による接合は、一時的な接合をもたらす中間段階を成すのみであり、この段階に続く熱処理が、界面の良好な凝集を確実にするために絶対的に必要である。
【0040】
実際のところ、この文献の方法において、第一段階は、部品の単純な位置決めを成すのみであり、真の接合は得られないものと考えられる。
【0041】
米国特許第6384365号明細書には、放電プラズマ焼結(SPS)法によってタービン翼等のタービンの構成部品を統合又は修理する方法が記載されている。
【0042】
この翼は、従来のコバルト超合金製又は単結晶ニッケルベース超合金製であり得る。
【0043】
翼が、例えばMCrAlY製のベースコート及び/又は安定ジルコニアコーティング等の外側の熱障壁セラミックコーティングで覆われている場合、このコーティングを完全に除去しなくてはならない。タービンの部品の接合される両面がセラミック物質製である場合には、その両面の間にセラミック粉末が配置されると記載されている。セラミック製、特に耐火セラミック製の二つの部品の接合に関しては特に例示的な実施形態が与えられていない。
【0044】
SPS処理時間は1500℃未満の温度で5分未満である。
【0045】
結論として、この文献においては、上述の鑞付けプロセスにおいて、セラミックを接合するために、第三の中間層フェイズを使用することが必須となる。
【0046】
更に、この文献には、耐火セラミックの接合については開示・示唆がないことになる。何故ならば、1300℃の温度は、例えば炭化物や窒化物型の耐火セラミックを接合するには不十分だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】仏国特許発明第2749787号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2748471号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2728561号明細書
【特許文献4】仏国特許発明第2707196号明細書
【特許文献5】米国特許第3241956号明細書
【特許文献6】米国特許第3250892号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
前述の点に鑑み、耐火セラミック部品、具体的には1900℃超の焼結温度を有する耐火セラミック部品を接合することを可能にする放電プラズマ焼結(SPS)によってセラミック部品を接合するための方法が必要とされている。
【0049】
また、単純で信頼でき高速かつ安価な方法でこうした部品を接合することを可能にし、また、優れた凝集及び優れた強度の結合または接合を得ることを可能にする方法が必要とされている。
【0050】
本発明の目的は、特に、このような必要にこたえ、従来技術の方法の欠点、欠陥、制限及び不都合を有さず、従来技術の方法の問題を解決する放電プラズマ焼結(SPS)によるセラミック部品を接合するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0051】
本目的及び他の目的は、本発明に従って、放電プラズマ焼結による少なくとも二つの耐火セラミック部品(各部品は接合されるべき少なくとも一つの表面を有する)を接合するための方法によって達成される。本方法では以下の逐次的段階が行われる:
‐ 部品の接合される表面を、その表面間に何ものも追加されることなく接触させる;その後、
‐ 1から200MPa(つまり2000bar)の圧力(接合圧として知られている)をそれらの部品に印加する;
‐ 500から8000Aの強度を有するパルス電流を、それらの部品に印加して、少なくとも1300℃の温度(接合温度として知られている)に部品の温度を上昇させる;その後、
‐ 電流の印加を中断するのと同時に圧力の印加を中断し、部品を冷却する;その後、
‐ 接続された部品を回収する。
【0052】
本発明による方法は、セラミック部品を接合するための従来技術の方法とは本質的に区別される。
【0053】
本発明による方法は、限定された数の単純で用い易い段階を備える。
【0054】
本発明の方法のおかげで、最終的で永続的な高強度の接合又は凝集性結合が、最終的で永続的で固相で強い凝集性結合を得るための補助的な熱処理を用いる必要なく、SPS法による単一オペレーションにおいて得られる。
【0055】
従って、本発明による方法は、顕著な時間及びエネルギーの節約を可能にする。
【0056】
本発明の方法は、接合される部品の界面に、何らかの種類の物質(例えば粉末)の追加を必要としない。従って、相間における第二または第三相の存在が、それに起因する全ての問題と共に、回避される。
【0057】
本発明によると、SPS法の特定のオペレーションパラメータの特定の範囲の選択によって、耐火セラミック、つまり1300℃超の焼結温度を有するセラミックの焼結が、SPS法のみを用いた単一段階の凝集性で強力な方法において、連続処理(特に熱処理)なしで、また、界面における追加、挿入なしで、初めて可能になった。
【0058】
従って、本発明に従って、印加される圧力は、一般的に1から200MPaであり、印加される強度は、一般的に500から8000Aである。従って、一方では圧力範囲に関する、他方では強度範囲に関する、二回の選択がなされる。
【0059】
従来技術においては、耐火セラミック部品の接合は従来技術において明示的に記載されておらず、また、こうしたセラミックの接合に固有の問題について触れられていないので、特に耐火セラミックに対して、補助的な処理なしで、固相で強力な接合を可能にするこの二回の選択については開示・示唆がないということになる。
【0060】
好ましくは、圧力は10から150MPaであり、更に好ましくは20から100MPaであり、より良くは50から75MPaである。
【0061】
好ましくは、強度は500から6000Aであり、更に好ましくは1000から3000Aである。
【0062】
圧力及び強度の値は、接合される部品の温度が1300℃超、好ましくは1400から2000℃、更に好ましくは1600から1950℃、例えば1750℃に上昇するように、上述の特定の範囲内で選択される。
【0063】
例えば1750℃の上述の温度(保持温度、安定温度、接合温度とも称される)が維持されている間の時間(保持時間とも称され得る時間)は、一般的に、0から10分間であり、好ましくは0から7分間であり、例えば5分間である。
【0064】
その時間が0である場合、これは、最大温度までの温度上昇が行われ、保持が維持されることなく、大気温度まで戻されるということを意味する。
【0065】
この保持時間はいずれにしろ、他の焼結法に対して非常に短く、同様に、方法の全体、全所要時間として表されるサイクル時間が減少するという点には留意されたい。このサイクル時間は、例えば、10から30分間、特に20分間であり、この点が、本発明による方法の他の利点を成す。
【0066】
部品の冷却は一般的に、当業者が理解するように、急激なものになり過ぎないように行われる。従って、毎分80から600℃であり、例えば100から200℃/分である冷却速度は、一般的に、温度保持を開始点として観測される。
【0067】
好ましくは、冷却は、異なる勾配を有する連続的な傾斜を介して行われる。従って、例えば、冷却は以下のように行われ得る:初めは600℃/分で、その後、100℃/分で600℃に下げ、40℃/分で大気温度に下げる。
【0068】
部品同士を接触させ、圧力を印加し、次に、圧力を維持しながら、部品の温度を上昇させるために部品にパルス電流を印加することが可能である。
【0069】
有利には、温度つまりは強度、圧力(つまり印加される力、圧力は周知の方程式P=F/Sに従って座面に依存する)のパラメータは、大気温度及び0MPaの圧力を開始点として突然又は瞬間的に加えられるのではなくて、大気温度及び0MPaの圧力から徐々に上昇させられる。
【0070】
温度(強度によって支配されている)に対しては、好ましくは一つの勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の勾配での段階的な上昇が行われ、上述の最大温度(保持又は接合温度とも称される)に到達する。
【0071】
温度勾配は好ましくは、50℃から200℃/分、例えば100℃/分の傾斜を有する。
【0072】
圧力に対しても同様に、有利には、一つの勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の勾配での段階的な上昇が行われ、上述の最大圧力(保持又は接合圧とも称される)に到達する。
【0073】
圧力勾配は好ましくは、1MPa/分から20MPa/分、好ましくは5から10MPa/分の傾斜を有する。
【0074】
温度上昇及び圧力上昇は、段階的なものであろうとなかろうと、同一の期間にわたって、同時に行われることが有利であり得る。
【0075】
複数の圧力勾配及び複数の温度勾配が実施される場合、対応する圧力及び温度勾配は同一の期間を有することが好ましい。
【0076】
温度(つまりは強度)及び/又は圧力(つまりは印加される力)のパラメータを突然に、不意に又は瞬間的にではなく段階的に加えることによって、耐火セラミック部品が非常に高い応力に晒されることが回避され、悲嘆すべきセラミック部品の破損がなくなる。
【0077】
驚異的なことに、本発明者によって、大気温度から一般的には、その温度効果で接合される表面が軟化する、より軟らかくなる温度までの顕著な温度上昇の後に、接合を生じさせるために必要な圧力(つまり力)を加えさえすれば、結果がより良いものになり、より良質の接合が得られるということが示された。
【0078】
軟化が生じるこの温度は、上述の保持/接合温度未満であるが、この軟化を可能にするのに十分高くなければならない;一般的に、この温度は50から300℃であり、好ましくは100から250℃、更に好ましくは150から200℃であり、上述の保持/接合未満である。
【0079】
この温度効果下での接触表面の軟化は、接合作業中に表面がより良い挙動を示すことを可能にする。
【0080】
例えば、この保持温度が1750℃である場合、部品の温度は1600℃付近にまで段階的に上昇させられる(好ましくは2つの連続的な温度勾配を介して)。同様に、部品の温度が1600℃に達した時に、効果的な部品の接合(具体的には、75.6MPaの圧力(接合される直径8mmの表面に印加される3.8kNの力に対して))を可能にする圧力(つまり保持圧)のみが印加されるように、部品に印加される圧力(力)が段階的に上昇させられる。
【0081】
例として、大気温度(一般的に20から25℃)から1750℃までの温度上昇は以下のようにして行うことができる:
‐ 大気温度から600℃ : 3分間;
‐ 600から1600℃ : 10分間;
‐ 1600から1750℃ : 3分間;
‐ 1750℃で5分間保持。
【0082】
同じ時間にわたって、圧力は以下のように発展する:
‐ 0から19.9MPa : 13分間;
‐ 19.9MPaから75.6MPa : 3分間
‐ 75.6MPaで5分間保持。
【0083】
接合される表面は直径8mm(A=5・10−5m2)であり、19.9MPa及び75.6MPaの圧力がそれぞれ、1kN及び3.8kNの印加される力に対応する。
【0084】
上述の温度及び圧力の段階的な上昇(特に、上述の温度上昇の好ましい実施形態(軟化温度までの中間的な加熱が行われる場合)におけるもの)は、永続的な接合を得るために従来技術の場合のように補助的な加熱段階を使用することを確実に回避すること、従って、単一の段階で接合を直接得ること、また、界面において目に見える表面のない二つの部品の接合の質を更に改善することを可能にする。
【0085】
更に、電流パルス“列”の形状も、得られる接合の界面の質に影響を与えるものと考えられる。
【0086】
電流は、パルスの組又は列の形状で印加される;各組又は列は、一組の調整可能な数のパルスから成る。組(列)は、その間は印加電流がゼロとなる期間によって、互いに分離されている。
【0087】
本発明による方法において、一般的に、1から5msのパルスが用いられ(例えば3.3msのピリオドを有する)、一般的に、1から15の列が接続されて(例えば12パルス)、各列は一般的に1から15ピリオドによって分離されていて(例えば3ピリオド)、ここでピリオドは上述の期間(3.3ms等)であり、電流が印加されない。
【0088】
これらの値は変更可能であるが、電流は常に同一の形状を保たなければならない:具体的には、数が多いか少ないパルスの列が、電流が印加されない変更可能な期間によって分離される。
【0089】
印加電圧は数ボルトであり、一般的には1から8ボルト、好ましくは2から7ボルトであり、典型的には5ボルトである。
【0090】
接合される部品は全て同一の耐火セラミック製であるか、又は、部品は異なる耐火セラミック製であり得る。
【0091】
耐火セラミックは、炭化物、窒化物及び酸化物セラミックから選択され得る。このようなセラミックの例としては、SiC、TiN、ZrC、TiCが挙げられる。
【0092】
本発明による方法は、高速で汎用で安価な方法を介して制御された微細構造を有する複雑な形状体を製造することを視野に入れてセラミック/セラミック接合を生じさせることが望まれる全分野において応用されるものである。
【0093】
本発明による方法は、第四世代原子炉心用の構造材料、将来的な燃料のアセンブリ、燃料電池のアセンブリ、ナノスケール微細構造を有する物質を得ることといった分野、耐火セラミック部品の接合が障壁、克服できない技術的な行き詰まりにぶつかる分野における物質の処理を可能にする。
【0094】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、例示的で非限定的な下記の説明を読むことによって更に明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明による方法を実現するためのSPS装置の一例の概略的な縦断面図である。
【図2A】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図2B】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図2C】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図2D】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3A】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT,heat treatment)後の図2AのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3B】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT)後の図2BのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3C】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT)後の図2CのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図3D】アルゴン6.0下での1550℃で5時間にわたるサーマルアタックつまり熱処理(HT)後の図2DのSiC部品の接合部の走査型電子顕微鏡を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図4A】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたTiN部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【図4B】切断及び研磨後の本発明による方法によって得られたTiN部品の接合部の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮った顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本発明による方法は、例えば図1に示されるような従来の放電プラズマ焼結(SPS)機又は装置において一般的には行われる。
【0097】
本発明による方法においては、一般的に、初めに、接合される二つ以上の部品をSPS装置内、SPS装置のグラファイトの型の内部に配置する。
【0098】
接合される部品の数は一般的に二つであるが、より多数の部品を同時に接合することも可能であり、例えば、最大100に及ぶ。
【0099】
“耐火セラミック部品”との表現は、一般的に、あらゆる形状のあらゆる要素又は存在(好ましくは単純な形状のもの)を意味すると解され、例えば一つ以上の他の部品に接合された後で、より大きな寸法の構造(好ましくはより複雑な形状のもの)に組み込まれるものを意味すると解される。本発明による方法のおかげで、接合後には、本発明の方法固有の利点を全て備えた非常に複雑な形状の部品でさえ、短期間で得ることができる。得られる接合部品のサイズは、当業者に周知であるSPS装置の容量のみに制限される。
【0100】
接合される二つ以上の部品は、同一のセラミック製であるか、又は、接合される部品のそれぞれが異なるセラミック製であり得る。
【0101】
その後、接合される表面同士を、その表面の間に何かを配置すること一切なく、接触させる。
【0102】
接合される表面は研磨された鏡面型表面または、機械加工された表面のような粗いものであり得る。一般的に、接合される表面は、まず、有機溶媒(例えば、ケトン、エステル、エーテル若しくはアルコール型又はそれらの混合物等)中で油脂が除去されて、その後乾燥されて、その後、1から150MPaの圧力が一般的に、それらの部品に印加される。言い換えると、接合される両側の表面間の接触が圧力によって確立される。
【0103】
一般的に、圧力を維持しながら、500から8000Aの強度を有するパルス電流がこれらの部品に印加されて、部品の温度を少なくとも1300℃にまで上昇させる。
【0104】
言い換えると、全てが接触している場合、温度上昇を生じさせるために電流を発生させることが可能である。一般的に、型の耐えることができる最大アンペア数は、特にその直径に関連している。従って、例えば、8mmのサンプル直径に対しては、型を破壊する危険性なく、2000Aを印加することが可能である。20mm超の直径に対しては、4000A以上を印加することが可能である。接合が行われてしまえば、電流また圧力の印加を中断して、部品を、一般的には大気温度(例えば20から25℃)まで冷却する。SPS装置内で製造された部品を回収する。
【0105】
本発明を、例示的で非限定的な下記の実施例を参照して、説明する。
【0106】
[実施例]
これらの実施例において、SiC製又はTiN製の部品は直径8mm、厚さ5mmのディスクであり、本発明の方法によるSPSによって接合された。SiC又はTiNの各物質に対して、六つの接合サンプルを製造した。
【0107】
使用したSPS装置は住友製の“SPS2080”型装置であった。
【実施例1】
【0108】
・ 本実施例において、二つのSiC部品(ディスク)を、上述の装置内で、以下の条件下で接合した:
‐ 50MPa下で5分間にわたる1800℃の温度;
‐ 3.2msのパルス列
【0109】
・ 接合後に得られたSiCサンプルの特性評価
‐ 光学観測
得られたサンプルは優れた凝集を示した。目視観測では欠陥は明らかとならなかった。
【0110】
‐ 破壊検査
切断及び研磨後のサンプルの観測を走査型電子顕微鏡を用いて行った。図2Aから2Dは、金属組織学的準備の後の研磨された表面上に得られたサンプルの顕微鏡写真を示す。
【0111】
サンプルの縁の観測によって、二つのSiCペレットの位置合わせ中の差、ギャップに対応する初期界面を画定することができた(図2A)。
【0112】
SiCの表面は、一様に分布した高い多孔性を有しており(図2C)、界面領域の視覚化も同様であり(図2D)、初期界面を表示することはできなかった。
【0113】
サーマルアタック(Ar6.0下で1550℃、5時間)後の微細構造の観測が図3に示されている。図3Aは図2Aと対比されるものである。サーマルアタックにも関わらず、界面を辛うじて見ることができる。このことは図3C及び3Dによって確かめられる。即ち、多孔性または粒径の変更は界面において示されていない。
【実施例2】
【0114】
この実施例において、二つのTiN部品(ディスク)を、上述の装置内で、以下の条件下で接合した:
‐ 10MPa下で5秒間にわたる1500℃の温度;
‐ 3.2msのパルス列。
【0115】
・ 接合後に得られたTiNサンプルの特性評価
‐ 光学観測
得られたサンプルは優れた凝集を示した。目視観測では欠陥は明らかにならなかった。
【0116】
‐ 破壊検査
切断及び研磨後のサンプルの観測を走査型電子顕微鏡を用いて行った。
【0117】
図4A及び4Bは、金属組織学的準備の後の研磨された表面上に得られたサンプルの顕微鏡写真を示す。結合が見られ、いくつかの欠陥(結晶粒の脱離や多孔性)を有している。しかしながら、結合を形成する結晶粒に対しては凝集性がある。
【0118】
[結論]
本発明の方法によるSPSによって接合したSiC及びTiNのサンプルは、微細構造の変形なく、凝集性の界面を示す。
【符号の説明】
【0119】
1 粉末
2 グラファイトスリーブ
3 ピストン
4 圧力
5 直流電流
6 電極
7 真空チャンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電プラズマ焼結によって接合される少なくとも一つの表面をそれぞれ有する少なくとも二つの耐火セラミックの部品を放電プラズマ焼結によって接合するための方法であって、
‐ 前記表面の間に何も追加することなく前記部品の接合される表面同士を接触させる段階と、
‐ 1から200MPaの接合圧として知られる圧力を前記部品に印加する段階と、
‐ 前記部品の温度を少なくとも1300℃の接合温度として知られる温度に上昇させるように前記部品に500から8000Aの強度を有するパルス電流を印加する段階と、
‐ 圧力の印加を中断すると同時に電流の印加を中断し、前記部品を冷却する段階と、
接合された前記部品を回収する段階とが実行される、方法。
【請求項2】
10から150MPa、好ましくは20から100MPa、より良くは50から75MPaの圧力を印加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
500から6000A、好ましくは1000から3000Aの強度を有するパルス電流を印加する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
接合される前記部品の温度を、1400から2000℃、好ましくは1600から1950℃、例えば1750℃に上昇させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1300℃の温度を、0から10分間、好ましくは0から7分間、例えば5分間の期間にわたって維持する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
方法の全所要時間が10から30分間、特に20分間である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
80℃/分から600℃/分の冷却速度で前記部品を冷却する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
圧力及び温度を0MPaの圧力及び大気温度から段階的に上昇させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接合温度に到達する単一の温度勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の温度勾配を用いることによって温度を上昇させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記温度勾配が50℃/分から200℃/分、例えば100℃/分の傾斜を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接合圧に到達する単一の圧力勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の圧力勾配を用いることによって圧力を上昇させる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記圧力勾配が1MPa/分から20MPa/分、好ましくは5から10MPa/分の傾斜を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
温度及び圧力を同一期間にわたって同時に上昇させる、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対応する圧力及び温度勾配が同一期間を有する複数の圧力勾配及び複数の温度勾配を用いる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
接合される前記表面を軟化させることのできる温度にまで温度を上昇させた後に前記接合圧を印加する、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記接合される前記表面を軟化させることのできる温度が、前記接合温度未満の50から300℃、好ましくは100から250℃、より良くは150から200℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1から5msのピリオド、例えば3.3msのピリオドを有し、1から15の列によって接続されていて、例えば12パルス、各列が1から15ピリオド、例えば3ピリオドによって分離されているパルスの形状で、前記パルス電流を印加する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
2から100個の部品が接合される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
接合される前記部品が全て同一の耐火セラミック製である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
接合される前記部品が異なるセラミック製である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
耐火セラミックが炭化物セラミック、窒化物セラミック、酸化物セラミックから選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
耐火セラミックがSiC、TiN、ZrC、TiCから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
放電プラズマ焼結によって接合される少なくとも一つの表面をそれぞれ有する少なくとも二つの耐火セラミックの部品を放電プラズマ焼結によって接合するための方法であって、
‐ 前記表面の間に何も追加することなく前記部品の接合される表面同士を接触させる段階と、
‐ 1から200MPaの接合圧として知られる圧力を前記部品に印加する段階と、
‐ 前記部品の温度を少なくとも1300℃の接合温度として知られる温度に上昇させるように前記部品に500から8000Aの強度を有するパルス電流を印加する段階と、
‐ 圧力の印加を中断すると同時に電流の印加を中断し、前記部品を冷却する段階と、
接合された前記部品を回収する段階とが実行される、方法。
【請求項2】
10から150MPa、好ましくは20から100MPa、より良くは50から75MPaの圧力を印加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
500から6000A、好ましくは1000から3000Aの強度を有するパルス電流を印加する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
接合される前記部品の温度を、1400から2000℃、好ましくは1600から1950℃、例えば1750℃に上昇させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1300℃の温度を、0から10分間、好ましくは0から7分間、例えば5分間の期間にわたって維持する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
方法の全所要時間が10から30分間、特に20分間である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
80℃/分から600℃/分の冷却速度で前記部品を冷却する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
圧力及び温度を0MPaの圧力及び大気温度から段階的に上昇させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接合温度に到達する単一の温度勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の温度勾配を用いることによって温度を上昇させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記温度勾配が50℃/分から200℃/分、例えば100℃/分の傾斜を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接合圧に到達する単一の圧力勾配又は異なる傾斜を任意で有する複数の圧力勾配を用いることによって圧力を上昇させる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記圧力勾配が1MPa/分から20MPa/分、好ましくは5から10MPa/分の傾斜を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
温度及び圧力を同一期間にわたって同時に上昇させる、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対応する圧力及び温度勾配が同一期間を有する複数の圧力勾配及び複数の温度勾配を用いる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
接合される前記表面を軟化させることのできる温度にまで温度を上昇させた後に前記接合圧を印加する、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記接合される前記表面を軟化させることのできる温度が、前記接合温度未満の50から300℃、好ましくは100から250℃、より良くは150から200℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1から5msのピリオド、例えば3.3msのピリオドを有し、1から15の列によって接続されていて、例えば12パルス、各列が1から15ピリオド、例えば3ピリオドによって分離されているパルスの形状で、前記パルス電流を印加する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
2から100個の部品が接合される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
接合される前記部品が全て同一の耐火セラミック製である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
接合される前記部品が異なるセラミック製である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
耐火セラミックが炭化物セラミック、窒化物セラミック、酸化物セラミックから選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
耐火セラミックがSiC、TiN、ZrC、TiCから選択される、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【公表番号】特表2010−504902(P2010−504902A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529704(P2009−529704)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060258
【国際公開番号】WO2008/037765
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060258
【国際公開番号】WO2008/037765
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
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