説明

放電ランプの梱包方法

【課題】梱包工数を削減して作業効率を高めることができるとともに、積載効率を高めて放電ランプの輸送本数を増やすことができる放電ランプの梱包方法を提供すること。
【解決手段】複数本(a本)の放電ランプ1を伸縮性の高いストレッチフィルム2で締め上げて束ねることによってランプ束3を作製し、長手方向両端部に滑り止め材4が取り付けられたダンボールパッド5上に複数(b)の前記ランプ束3を載置して両者を伸縮性の高いストレッチフィルム6で締め上げて束ねることによって(a×b)本の放電ランプ1を備えるランプ組7を作製し、複数(c)の前記ランプ組7をダンボールパッド8,9上に並べて梱包箱11内に複数段(d段)に積み重ねて収容することによって(a×b×c×d)本の放電ランプ1を梱包する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦抵抗が小さいガラス製の放電ランプの梱包方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷陰極蛍光管(CCFL)等の放電ランプは、摩擦抵抗が小さい細長いガラス管で構成されているため、輸送時の振動によって梱包箱内で動き、その長手方向両端から突出するリード線が曲がる等の不具合が発生する可能性があり、その梱包には工夫を要する。ここで、図2(a)〜(e)に放電ランプの従来の梱包方法を示す。
【0003】
即ち、図2(a)〜(e)は放電ランプの従来の梱包方法をその工程に沿って示す斜視図であり、輸送に際して多数の放電ランプ101を梱包するには、先ず、図2(a)に示すように、摩擦抵抗の大きなシート102によって放電ランプ101を例えば10本ずつ束にして「の」の字状に巻き、図2(b)に示すように各10本ずつの束を例えば5つ束ね、これらの長手方向3箇所に接着テープ103を巻き付けてロール104を作製する。従って、このロール104には、10×5=50本の放電ランプ101が組み込まれていることになる。
【0004】
次に、図2(c)に示すように、上記ロール104にクッション性の高いウレタンマット105を巻き、その長手方向3箇所に接着テープ106を巻き付けてウレタンマット105を固定する。このとき、ウレタンマット105の幅寸法は放電ランプ101の長さよりも広く、これをロール104に巻き付けた状態では該ウレタンマット105の中に放電ランプ101の全体が収納され、放電ランプ101の長手方向両端から突出するリード線101aが他の物に接触して曲がるという不具合が発生することがない。
【0005】
上述のようにロール104にウレタンマット105が巻き付けられて固定されると、このウレタンマット105が巻き付けられたロール104を図2に示すようにダンボール製の内装箱107に例えば横に4本並べて収容し、同様の内装箱107を例えば2段積みして図2(e)に示すダンボール製の梱包箱111に収納した後、梱包箱111の上面の蓋を接着テープ112で密封すれば、計50×8=400本の放電ランプ101の梱包が完了する。尚、本例のように400本の放電ランプ101を収容する梱包箱111のサイズは縦L:1420mm×幅B:270mm×高さH:180mmである。
【0006】
ところで、放電ランプ等の梱包方法に関しては特許文献1〜3等において種々の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2008/108052号公報
【特許文献2】特開2005−022751号公報
【特許文献3】特開2005−306474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図2(a)〜(e)に示した放電ランプの従来の梱包方法では、摩擦抵抗の小さな放電ランプ101の輸送時の振動による移動を防ぐために10本ずつの束に分けてこれらを摩擦抵抗の大きなシート102で「の」の字状に巻き付ける必要があるため、梱包に多くの時間と工数を要する他、摩擦抵抗を上げるために多くの部材を使用しているために積載効率が悪く、一度に輸送することができる放電ランプ101の本数が少ないという問題があった。
【0009】
又、放電ランプ101の各10本ずつの束を5つ束ねてロール104を作製する際に巻き付けられる接着テープ103やウレタンマット105に巻き付けられる接着テープ106が伸縮性に乏しいものであったため、これらの接着テープ103,106が輸送時の振動によって緩んで締付力が弱くなり、輸送中に放電ランプ101が梱包箱111内で移動し易いという問題もあった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、梱包工数を削減して作業効率を高めることができるとともに、積載効率を高めて放電ランプの輸送本数を増やすことができる放電ランプの梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る放電ランプの梱包方法は、
複数本(a本)の放電ランプを伸縮性の高いストレッチフィルムで締め上げて束ねることによってランプ束を作製し、
長手方向両端部に滑り止め材が取り付けられたダンボールパッド上に複数(b)の前記ランプ束を載置して両者を伸縮性の高いストレッチフィルムで締め上げて束ねることによって(a×b)本の放電ランプを備えるランプ組を作製し、
複数(c)の前記ランプ組をダンボールパッド上に並べて梱包箱内に複数段(d段)に積み重ねて収容することによって(a×b×c×d)本の放電ランプを梱包することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、常に締付力が発生する伸縮性の高いストレッチフィルムで多数の放電ランプを締め上げてランプ束を作製することができるため、作業工数が削減されて作業効率が高められる。又、このようにして作製されたランプ束を長手方向両端部に滑り止め材が取り付けられたダンボールパッド上に複数載置し、両者を伸縮性が高くて常に締付力が発生するストレッチフィルムで締め上げて束ねることによってランプ組を作製するようにしたため、各ランプ組のダンボールパッドに対する移動が確実に阻止され、輸送中の振動によって放電ランプが梱包箱内で移動してリード線が曲がる等の不具合が発生することがない。
【0013】
更に、摩擦抵抗を上げるために多くの部材を使用しないために積載効率が高められ、一度に輸送することができる放電ランプの本数が増えて輸送効率が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)〜(d)本発明に係る放電ランプの梱包方法をその工程に沿って示す斜視図である。
【図2】(a)〜(e)は従来の放電ランプの梱包方法をその工程に沿って示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1(a)〜(d)は本発明に係る放電ランプの梱包方法をその工程に沿って示す斜視図であり、輸送に際して多数の放電ランプ1を梱包するには、先ず、図1(a)に示すように、50本の放電ランプ1(図1には50本を描いていない)を束にしてその長手方向2箇所を伸縮性の高いストレッチフィルム2で締め上げることによってランプ束3を作製する。ここで、ストレッチフィルム2は、伸縮性が高くて常に締付力を発生するものであって、これには例えばポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムやポリオレフィン(PO)樹脂フィルム等が使用される。
【0017】
次に、図1(b)に示すように、長手方向両端部に滑り止め材4が幅方向に取り付けられた矩形のダンボールパッド5上に2つの前記ランプ束3を横2列に並べて載置し、両者をその長手方向2箇所において伸縮性の高いストレッチフィルム6で締め上げて束ねることによって計100(=50×2)本の放電ランプ1を備えるランプ組7を作製する。ここで、ダンボールパッド5の長さ(縦方向長さ)は放電ランプ1の長さよりも長く設定されており、各放電ランプ1の長手方向両端から突出するリード線1aがダンボールパッド5の外へ突出していない。
【0018】
次に、図1(c)に示すように、3組の前記ランプ組7をクッション性の高い矩形のダンボールパッド(下パッド)8上に横方向に並べて載置し、その上に別のダンボールパッド(中パッド)9を載せ、この中パッド9の上に別の3組のランプ組7を横方向に並べて載置し、その上に更に別のダンボールパッド(上パッド)10を重ねる。そして、このように3列ずつ上下2段に重ねられた計6組のランプ組7を図1(d)に示すダンボール製の梱包箱11に収容し、最後に梱包箱11の上面の蓋を閉じて接着テープ12で密封することによって、計600(=100×6)本の放電ランプ1を梱包箱11内に収容して梱包することができる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、常に締付力が発生する伸縮性の高いストレッチフィルム2で多数(50本)の放電ランプ1を締め上げてランプ束3を作製することができるため、作業工数が削減されて作業効率が高められる。そして、このようにして作製されたランプ束3を長手方向両端部に滑り止め材4が取り付けられたダンボールパッド5上に2つ載置し、両者を伸縮性が高くて常に締付力が発生するストレッチフィルム6で締め上げて束ねることによってランプ組7を作製するようにしたため、各ランプ組7のダンボールパッド5に対する移動が確実に阻止され、輸送中の振動によって放電ランプ1が梱包箱11内で移動してリード線1aが曲がる等の不具合の発生が防がれる。この場合、ダンボールパッド5が横方向の振動に対してストッパの役割を果たし、梱包箱11内でのランプ組7の移動を阻止するため、各ランプ組7に含まれる放電ランプ1のリード線1aが梱包箱11の内壁に衝突して曲がる等の不具合が発生することがない。
【0020】
又、本発明によれば、摩擦抵抗を上げるために多くの部材を使用しないため、積載効率が高められて一度に輸送することができる放電ランプ1の本数が例えば従来の400本から600本に1.5倍に増え、輸送効率が飛躍的に高められる。因みに、図2(e)に示す従来の梱包箱111のサイズが縦L:1420mm×幅B:270mm×高さH:180mmであるのに対して、本発明方法によれば、図1(d)に示す梱包箱11のサイズを縦L:1420mm×幅B:270mm×高さH:110mmと高さHを70mmだけ低く抑えることができ、前述の積載効率の向上とも相俟って梱包箱11の体積効率は2.45倍(=600本/400本×180mm/110mm)となった。
【0021】
尚、本実施の形態において示した数値は一例であって、これらの数値によって本発明の適用が限定される訳ではないことは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 放電ランプ
1a 放電ランプのリード線
2 ストレッチフィルム
3 ランプ束
4 滑り止め材
5 ダンボールバッド
6 ストレッチフィルム
7 ランプ組
8 下パッド(ダンボールパッド)
9 中パッド(ダンボールパッド)
10 上パッド(ダンボールパッド)
11 梱包箱
12 接着テープ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本(a本)の放電ランプを伸縮性の高いストレッチフィルムで締め上げて束ねることによってランプ束を作製し、
長手方向両端部に滑り止め材が取り付けられたダンボールパッド上に複数(b)の前記ランプ束を載置して両者を伸縮性の高いストレッチフィルムで締め上げて束ねることによって(a×b)本の放電ランプを備えるランプ組を作製し、
複数(c)の前記ランプ組をダンボールパッド上に並べて梱包箱内に複数段(d段)に積み重ねて収容することによって(a×b×c×d)本の放電ランプを梱包することを特徴とする放電ランプの梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−195186(P2011−195186A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65653(P2010−65653)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】