説明

放電加工機および放電加工方法

【課題】放電加工における被加工物の腐食を抑制することができる放電加工機および放電加工方法を提供する。
【解決手段】材料判別センサ25は被加工物1の金属材料の種類を判別するものである。液性測定センサ24は加工液60の液性を測定するものである。防食剤添加部50は、加工液60に複数の防食剤を互いに独立に添加することができるものである。加工液液性切替システム26は、材料判別センサ25によって判別された金属材料の種類の情報と、液性測定センサ24によって測定された加工液60の液性の情報とに基づいて、防食剤添加部50を制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工機および放電加工方法に関し、特に加工液を用いて放電加工する放電加工機および放電加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料からなる被加工物をワイヤ放電加工機により放電加工する際に用いられる加工液としては、イオン交換水を用いた水系加工液と、油系加工液とが挙げられる。油系加工液の場合、加工精度は劣るが、被加工物である金属材料の防食という利点を有する。一方、水系加工液の場合、火災の危険性がないので安全性が高く、またワイヤ放電加工機の加工精度が高いといった利点がある。
【0003】
しかしながら水系加工液中では金属材料が腐食してしまうことがあり、この腐食の発生により加工精度がかえって低下してしまうことがある。そこで水系加工液中での金属材料の腐食を防止するために、加工液に防食剤が添加されることがある。たとえば特許第3797884号公報(特許文献1)によれば、炭酸イオン、炭酸水素イオン、および水酸化物イオンのうちの1種以上のイオンと、亜硝酸イオンとを固定した陰イオン交換樹脂を用いて腐食性イオンを除去することで、水系加工液中にある鉄系金属材料からなる被加工材を防食する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3797884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法で用いられる加工液は、鉄系材料を防食する効果があるものの、例えば超硬材(WC−Co)または銅タングステン材(Cu−W)など、鉄系材料以外の金属材料を防食する効果が認められず、かえって腐食を促進させてしまうこともある。このように防食剤が被加工物の材料に応じて適切に選択されないと、防食剤による腐食の抑制効果が得られなかったり、かえって腐食が促進されてしまったりし得る。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電加工における被加工物の腐食を抑制することができる放電加工機および放電加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放電加工機は、加工液供給部と、電極と、液質制御装置とを有する。加工液供給部は金属材料からなる被加工物に加工液を供給するものである。電極は加工液が供給された被加工物を放電加工するためのものである。液質制御装置は、加工液の液質を制御するためのものである。液質制御装置は、材料判別センサと、液性測定センサと、防食剤添加部と、加工液液性切替システムとを有する。材料判別センサは被加工物の金属材料の種類を判別するものである。液性測定センサは加工液の液性を測定するものである。防食剤添加部は、加工液に複数の防食剤を互いに独立に添加することができるものである。加工液液性切替システムは、材料判別センサによって判別された金属材料の種類の情報と、液性測定センサによって測定された加工液の液性の情報とに基づいて、防食剤添加部を制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の放電加工機によれば、加工液液性切替システムは、材料判別センサによって判別された金属材料の種類の情報と、液性測定センサによって測定された加工液の液性の情報とに基づいて、加工液に複数の防食剤のうち特定のものを添加する。よって被加工物をなす金属材料の種類に応じて加工液の液性が切り替えられるので、加工液による被加工物の腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における放電加工機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の材料判別センサおよび加工液液性切替システムによって加工液の液性を切り替える方法を概略的に示すフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態2における放電加工装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3における放電加工装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態4における放電加工装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
<放電加工機の構成の概要>
図1を参照して、本実施の形態の放電加工機は、金属材料からなる被加工物1を放電加工するものであり、加工槽8(加工液供給部)と、ワイヤ電極2(電極)と、液質制御装置9とを有する。金属材料は、たとえば、炭素鋼、合金鋼などの鉄系金型材料、超硬材、または銅タングステン材である。
【0011】
加工槽8は、被加工物1が浸漬される水系加工液60を貯めることができるように構成されている。この構成により、水系加工液60を被加工物1に供給することができる。水系加工液60は、防食剤を含む水系加工液である。防食剤は、金属材料からなる被加工物1の表面に酸化被膜を形成することで被加工物1を保護することができる添加剤である。
【0012】
ワイヤ電極2は、水系加工液60が供給された金属材料を放電加工するためのものである。ワイヤ電極2の径寸法は、被加工物1をなす金属材料の種類および加工形状に応じて選択されればよい。
【0013】
液質制御装置9は、水系加工液60の液質を制御するためのものであり、材料判別センサ25と、液性測定センサ24と、防食剤添加部50と、加工液液性切替システム26とを有する。
【0014】
材料判別センサ25は被加工物1をなす金属材料の種類を判別するものである。具体的には、材料判別センサ25は、被加工物1をなす金属材料の磁性の有無を検知することにより金属材料の種類を判別する磁気センサである。この磁気センサを用いることで、被加工物1の金属材料の種類を判別することができる。なぜならば、放電加工機で放電加工される主な金属材料は、鉄系金属材料、超硬材、および銅タングステン材であり、鉄系金属材料および超硬材が磁性を有するのに対し、銅タングステン材は磁性を有しないからである。よって磁気センサを用いることで、被加工物1をなす金属材料が、鉄系金属材料または超硬材なのか、あるいは銅タングステン材なのかを判別することができる。
【0015】
液性測定センサ24は水系加工液60の液性を測定するものである。水系加工液60の液性とは、具体的には、水系加工液60の水素イオン濃度(pH)および導電率であり、液性測定センサ24は、これらの物性値を測定するものである。このため液性測定センサは、pH測定計および導電率計を搭載している。pH測定計は、水系加工液60のpH値の情報が加工液液性切替システム26に入力されるように、加工液液性切替システム26に接続されている。導電率計は、水系加工液60の導電率の情報が加工液液性切替システム26に入力されるように、加工液液性切替システム26に接続されている。
【0016】
防食剤添加部50は、水系加工液60に複数の防食剤を互いに独立に添加することができるものである。本実施の形態においては、防食剤、すなわち防食イオンを生成する防食イオン生成装置として、イオン交換樹脂塔が用いられる。このイオン交換樹脂塔は、水系加工液60が通水されることで水系加工液60に防食剤を供給することができる複数のイオン交換樹脂部を有する。またこの複数のイオン交換樹脂部は、H+型イオン交換樹脂部と、OH-型イオン交換樹脂部とを含む。なお防食剤および防食剤添加部50の詳細は後述する。
【0017】
加工液液性切替システム26は、材料判別センサ25によって判別された被加工物1をなす金属材料の種類の情報と、液性測定センサ24によって測定された水系加工液60の液性の情報とに基づいて防食剤添加部50を制御するものである。材料判別センサ25と加工液液性切替システム26とは、材料判別センサ25により判別された材料の情報が加工液液性切替システム26に入力されるように互いに接続されている。加工液液性切替システム26は、材料判別センサ25によって磁性が検知された場合に水系加工液60が塩基性とされるように防食剤添加部50を制御し、かつ材料判別センサ25によって磁性が検知されなかった場合に水系加工液60が酸性とされるように防食剤添加部50を制御するように構成されている。
【0018】
<加工液>
本実施の形態の加工液は、たとえば、純水化樹脂を用いて製造されるイオン交換水を主成分とする水系加工液である。純水化樹脂とは、H+型イオン交換樹脂とOH-型イオン交換樹脂との混合物である。
【0019】
+型イオン交換樹脂としては、たとえばスチレン‐ジビニルベンゼン共重合体、フェノールホルマリン樹脂などを基体とし、イオン交換基としてスルホン酸基を持つものが挙げられる。これらは、たとえばH+型のアンバーライト(登録商標)IR120B(ローム・アンド・ハース社製)、H+型のダイヤイオン(登録商標)SK1B(三菱化学(株)製)として市販されている。
【0020】
OH-型イオン交換樹脂としては、たとえばスチレン‐ジビニルベンゼン共重合体などを基体とし、イオン交換基としてトリメチルアンモニウム基、β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウム基などを持つものがあげられる。これらは、たとえばOH-型のアンバーライトIRA400J(ローム・アンド・ハース社製)、OH-型のダイヤイオンSA10A(三菱化学(株)製)として市販されている。
【0021】
純水化樹脂におけるH+型イオン交換樹脂とOH-型イオン交換樹脂との混合割合は特に限定されず、たとえばそれぞれの型のイオン交換基が等量となるようにすればよい。
【0022】
イオン交換水は、上記の純水化樹脂を備えた容器などに、水系加工液60の原料となる水道水、工業用水、地下水などの淡水を通水させることによって、淡水中の不純物イオンを除去することで得られる。たとえば不純物陽イオンとしてK+、不純物陰イオンとしてCl-が存在すると、H+型イオン交換樹脂の場合は下記の式(1)の反応により、OH-型イオン交換樹脂の場合は式(2)の反応によって、K+、Cl-が純水化樹脂に捕捉される。
【0023】
R−SO3-+ + K+ → R−SO3+ + H+ ・・・式(1)
R≡N+OH- + Cl- → R≡N+Cl- + OH- ・・・式(2)
ここで、式(1)および式(2)において、Rはポリスチレン樹脂など、上記各型のイオン交換樹脂の基体を示す。
【0024】
<水系加工液に添加される防食剤>
水系加工液60には、被加工物1をなす金属材料を防食するために、防食剤添加部50によって防食剤が添加されている。ここで防食剤とは、金属材料の表面に不働態被膜を形成することにより、金属材料を腐食因子である水や酸素から保護し、結果として金属材料の腐食を抑制するもののことをいう。
【0025】
具体的には、磁性のある材料を用いる場合、例えば鉄系金型材料や超硬材を用いる場合には、水系加工液60の液性が塩基性となるような防食剤が好ましい。液性を塩基性にするものとしては、苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。
【0026】
また磁性を有しない銅タングステン材料を用いる場合、水系加工液60の液性が酸性となるような防食剤が好ましい。液性を酸性にするものとしては、たとえば、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸、または蓚酸が挙げられる。
【0027】
<防食剤添加部>
防食剤添加部50であるイオン交換樹脂塔には、たとえば、Na+交換型イオン交換樹脂部、OH-交換型イオン交換樹脂部、H+型イオン交換樹脂部およびHCO3-型イオン交換樹脂部の4本のイオン交換樹脂部が搭載されている。
【0028】
陽イオン交換樹脂部であるNa+交換型イオン交換樹脂部と、陰イオン交換樹脂部であるOH-交換型イオン交換樹脂部とに水系加工液60が通水されることで、水系加工液60に対してNaOHを添加することができる。これにより水系加工液60の液性をより塩基性とすることができる。
【0029】
また陽イオン交換樹脂部であるH+型イオン交換樹脂部と、陰イオン交換樹脂部であるおよびHCO3-型イオン交換樹脂部とに水系加工液60が通水されることで、水系加工液60に対してH2CO3を添加することができる。これにより水系加工液60の液性をより酸性とすることができる。
【0030】
なお水系加工液60をより塩基性にする場合の陽イオン交換樹脂としては、Na+交換型イオン交換樹脂の代わりに、K+型イオン交換樹脂を用いることができる。この場合、水系加工液60にはNaOHの代わりにKOHが添加される。またこのK+型の代わりに、NH4+型またはMg2+型を用いることもできる。
【0031】
また水系加工液60をより酸性にする場合の陰イオン交換樹脂としては、HCO3-型イオン交換樹脂の代わりに、Cl-型イオン交換樹脂を用いることができる。この場合、水系加工液60にはH2CO3の代わりに塩酸が添加される。またこのCl-型の代わりに、NO3-型またはSO42-型を用いることもできる。
【0032】
<水系加工液の液性の制御の概要>
防食剤添加部50による防食剤の添加は、被加工物1をなす金属材料の磁性の有無によって制御される。具体的には、磁性を有する金属材料である鉄系金型材料、または超硬材が加工される場合、水系加工液60の液性が塩基性となるよう防食剤を添加し、磁性のない銅タングステン材が加工される場合、水系加工液60の液性が酸性となるよう、防食剤の添加が制御される。すなわち被加工物1の磁性の有無によって、水系加工液60のpH値が制御される。所望のpH値が得られているかは、液性測定センサ24が有するpH測定計によって測定される。この測定結果に基づいて防食剤添加部50は添加物の添加を制御する。これにより水系加工液60のpH値を所望の値に近づけることができる。
【0033】
<導電率測定による水系加工液の液性の制御>
防食剤の添加量が過剰となることで水系加工液60の導電率が高くなり過ぎると放電加工の加工精度が低下することがある。特に水系加工液60の導電率が70μS/cmを超えると、加工精度の低下が著しくなる。このため加工液液性切替システム26は、液性測定センサ24が有する導電率計の測定結果が設定値を超えた場合、純水化樹脂、すなわちH+型イオン交換樹脂部とOH-型イオン交換樹脂部とを通過するように水系加工液60を循環させるように構成されている。この循環のために、放電加工装置は、循環システム(ポンプ、フィルタなどを含む)を有してもよい。水系加工液60が純水化樹脂を通過する程度を制御することによって、水系加工液60の導電率を制御することができる。
【0034】
なお純水化樹脂を通過した水系加工液60は、直接加工槽8に流入させてもよいし、別に設けた槽に流入させてから加工槽8に流入させてもよい。
【0035】
<放電加工方法の概要>
本実施の形態の放電加工方法は、以下のA〜F工程を有する。
【0036】
被加工物1の放電加工される部分に水系加工液60を供給するA工程が行われる。材料判別センサ25により被加工物1をなす材料の種類を判別するB工程が行われる。材料判別センサ25により判別した材料の情報を加工液液性切替システム26に入力するC工程が行われる。液性測定センサ24が水系加工液60の液性を測定するD工程が行われる。材料判別センサ25によって判別された材料の種類の情報と、液性測定センサ24によって測定された水系加工液60の液性の情報とに基づき、水系加工液60の液性を調整するか否かを加工液液性切替システム26が判断するE工程が行われる。加工液液性切替システム26の判断に基づいて、加工液液性切替システム26が水系加工液60の液性を調整するF工程が行われる。このF工程によって水系加工液60の液性が調整されることで、水系加工液60の導電率が所定値以下に保持される。
【0037】
上記A工程において、供給される水系加工液60としては、上述のイオン交換水を用いることができる。このA工程は、放電加工中連続して行われていることが好ましい。すなわち水系加工液60が被加工物1の放電加工部分に連続的に供給されることが好ましい。このためには、たとえば、被加工物1全体を、加工槽8に貯められた水系加工液60に浸漬させればよい。
【0038】
また上記B〜F工程において、加工液液性切替システム26は、材料判別センサ25によって判別された金属材料の種類の情報と、液性測定センサ24によって測定された水系加工液60の液性の情報とに基づいて、水系加工液60に複数の防食剤のうち特定のものを添加する。よって被加工物1をなす金属材料の種類に応じて水系加工液60の液性が切り替えられる。
【0039】
以上のA〜F工程により、被加工物1の金属材料表面に形成される不働態被膜を維持することができるので、金属材料表面の腐食を抑制することができる。よって放電加工の精度を高めることができる。
【0040】
なお上記の各工程の名称A〜Fは便宜上のものであり、その順序を示すものではない。工程A〜Fは、繰り返し、または順不同で複数回行われてもよい。また上記EおよびF工程は、上記A工程の前に行われることが好ましい。また上記B〜D工程は、上記A工程の後に行われることが好ましい。
【0041】
<放電加工における金属材料の種類に応じた液性の切替>
図2を参照して、本実施の形態においては、放電加工される被加工物1をなす金属材料が磁性を有する場合に水系加工液60がアルカリ化され、磁性を有しない場合に水系加工液60が酸性化される。これにより金属材料の腐食が防止される。以下に、この作用効果を検証するための検討結果について説明する。
【0042】
放電加工される金属材料のうち磁性を有する鉄系金型材料および超硬材の防食形態について、水系加工液60の液性(pH)への依存性を調べた。金属材料としては鉄系金型材料3種(S45C、SK3、SKH51)および超硬材(KD10)の試験片を、そのpHについて6.2から10となる水系加工液60に4日間浸漬した。その結果、これらの試験片の表面は、加工液60のpHが7.0以上の場合、極めて僅かに変色している程度であり、腐食は軽微であることが確認された。これは防食剤の効果により金属表面に形成された不働態被膜が金属材料を保護するためと考えられる。逆に水系加工液60のpHが7.0よりも小さい場合、試験片の表面が変色しただけではなく、この表面に錆が発生した。すなわち腐食が生じた。この結果を、以下の表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
また放電加工される金属材料のうち磁性を持たない銅タングステン材の防食形態について、同様に水系加工液60の液性(pH)への依存性を調べた。金属材料としては銅タングステン材(NEL150材)の試験片を、そのpHについて4.0から7.5となる水系加工液60に4日間浸漬した。その結果、これらの試験片の表面は、水系加工液60のpHが7.0以下の場合、極めて僅かに変色している程度であり、腐食は軽微であることが確認された。これは防食剤の効果により金属表面に不働態被膜が金属材料を保護するためと考えられる。逆に水系加工液60のpHが7.0よりも大きい場合、試験片の表面が変色しただけではなく、この表面からタングステン成分が溶出し、腐食を呈した。この結果を、以下の表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
なお上記で説明した範囲外のpH、すなわちpH10以上、あるいはpH4以下となるよう防食剤が添加された場合は、防食効果は得られるが、水系加工液60の導電率が過大となるので(導電率70μS/cm以上)放電加工機の精度を損なってしまう。よってpHの値は、4を超え、かつ10未満であることが好ましい。
【0047】
(実施の形態2)
図3を参照して、本実施の形態の放電加工機は、加工槽8(加工液供給部)と、ノズル4、5と、ワイヤ電極2(電極)と、ボビン3と、回収ローラ6と、回収箱7と、定盤28と、液質制御装置9とを有する。ノズル4および5は、加工槽8内において水系加工液60を被加工物1の上部および下部から供給するものである。ワイヤ電極2は、ボビン3から巻き出された後、ノズル4、5、回収ローラ6を経由して、回収箱7に至るように取り付けられている。ワイヤ電極2のノズル4および5の間に張架された部分が、被加工物1との間で水系加工液60を介した放電を行うための部分である。また加工槽8には液性測定センサ24bが取り付けられている。
【0048】
液質制御装置9は、加工槽8に供給される水系加工液60の液質を調整するものである。また液質制御装置9は、材料判別センサ25と、液性測定センサ24a、24bと、加工液液性切替システム26と、ポンプ11、14、16、18、20、22と、流路11a、11b、29と、ろ過フィルタ12と、汚液槽10と、清液槽13と、液面センサ27と、イオン交換樹脂塔23(防食剤添加部)とを有する。
【0049】
汚液槽10は水系加工液60cを貯めるものである。水系加工液60cは、放電加工に用いられることで汚れているか、あるいは導電率が過剰なために、加工槽8から排出された加工液である。汚液槽10は、流路11a、ポンプ11、流路11b、ろ過フィルタ12を介して、清液槽13につながっている。この構成により、水系加工液60cから被加工物1の加工屑などの不純物が濾過された水系加工液60を清液槽13に移すことができる。
【0050】
イオン交換樹脂塔23は、Na+交換型イオン交換樹脂部15と、HCO3-型イオン交換樹脂部17と、H+型イオン交換樹脂部19と、OH-交換型イオン交換樹脂部21とを有する。Na+交換型イオン交換樹脂部15、HCO3-型イオン交換樹脂部17、H+型イオン交換樹脂部19、およびOH-交換型イオン交換樹脂部21のそれぞれは、清液槽13から水系加工液60を取り込み、取り込んだ水系加工液60を通水し、通水した水系加工液60を清液槽13に戻すことができるように取り付けられている。
【0051】
またポンプ16、18、20および22のそれぞれは、Na+交換型イオン交換樹脂部15、HCO3-型イオン交換樹脂部17、H+型イオン交換樹脂部19、およびOH-交換型イオン交換樹脂部21に接続されている。この構成により、ポンプ16、18、20および22のうち特定のポンプを駆動することで、Na+交換型イオン交換樹脂部15、HCO3-型イオン交換樹脂部17、H+型イオン交換樹脂部19、およびOH-交換型イオン交換樹脂部21のうち特定のイオン交換樹脂部に水系加工液60を通水することができる。よってポンプ16、18、20および22の各々を駆動するか否かを選択することで、上記のイオン交換樹脂搭23中の複数のイオン交換樹脂部の各々から生成される防食イオン(防食剤)を互いに独立に添加することができる。
【0052】
また清液槽13には液性測定センサ24aが取り付けられている。
また清液槽13は、ポンプ14を介して加工槽8につながっている。よってポンプ14の作動により水系加工液60を加工槽8に移すことができる。
【0053】
材料判別センサ25は、水系加工液60に浸漬された被加工物1をなす金属材料の磁性の有無を測定するものであり、また測定された磁性の有無の情報が加工液液性切替システム26に送られるように加工液液性切替システム26に接続されている。
【0054】
液性測定センサ24a、24bの各々は、pH測定計を有し、また測定されたpHの値の情報が加工液液性切替システム26に送られるように加工液液性切替システム26に接続されている。また液性測定センサ24a、24bの各々は、導電率測定計を有し、また測定された導電率の情報が加工液液性切替システム26に送られるように加工液液性切替システム26に接続されている。
【0055】
加工液液性切替システム26は、被加工物1が磁性を有する場合に水系加工液60が塩基性となり、磁性を有しない場合に水系加工液60が酸性となるように、ポンプ16、18、20および22を制御するように構成されている。すなわち加工液液性切替システム26は、被加工物1をなす金属材料の種類に応じて水系加工液60のpHを調整することができるように構成されている。またこのpHの値は、液性測定センサ24a、24bの各々が有するpH測定計の測定結果を参照することで、より精確に制御することができる。
【0056】
また加工液液性切替システム26は、導電率が所定の値を超える場合、ポンプ20および22を稼動させることでH+型イオン交換樹脂部19およびOH-交換型イオン交換樹脂部21を用いた純水化が行われるように構成されている。
【0057】
次に、本実施の形態の放電加工方法について説明する。被加工物1とワイヤ電極2との間に電圧が印加されると、ノズル4とノズル5とにより噴出される水系加工液60を介して放電が生じ、この放電によって加工が行われる。このとき、ワイヤ電極2も放電加工にともない放電部分が溶融し、劣化する。したがって放電加工の進行とともに新しいワイヤ電極2が加工部に供給されるように、放電加工中はボビン3に巻回されたワイヤ電極2が、ノズル4、ノズル5、および回収ローラ6を経由して回収箱7に送り続けられる。ノズル4および5より噴出した水系加工液60は放電加工部に生ずるスラッジを流した後、不純物を多く含有した状態となり、加工槽8に一時蓄えられる。この蓄えられた水系加工液60は、適時、液質制御装置9に移され、その液質が制御された上で、加工槽8に戻される。
【0058】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0059】
次に本実施の形態の放電加工装置を用いた放電加工の実施例について、以下に説明する。
【0060】
まず磁性を有する金属材料からなる被加工物1の加工の実施例について説明する。
被加工物1をなす金属材料として、鉄系金型材料であるS45C、SK3、SKH51(いずれもJIS規格により表記した炭素鋼鋼材)および超硬材であるKD10((株)共立合金製作所社製)の各々を用いた。
【0061】
水系加工液60の原水として、導電率147μS/cm、pH7.2の水道水が清液槽13に蓄えられた。この原水がポンプ20、22を用いてイオン交換樹脂塔23中のH+型イオン交換樹脂部19とOH-型イオン交換樹脂部21とに通水された。その結果、導電率8.0μS/cm、pH6.2の水系加工液60が生成された。
【0062】
次に材料判別センサ25によって被加工物1の金属材料が磁性を有すると検知され、その情報が加工液液性切替システム26に送信された。加工液液性切替システム26は、水系加工液60をイオン交換樹脂塔23の中のNa+型イオン交換樹脂部15およびOH-型イオン交換樹脂部21に通水させ、水系加工液60の液性を塩基性に制御した。この通水は、水系加工液60のpHが10.0まで増大すると停止され、7.0まで低下すると再開されるように制御された。このような制御を行いつつ、水系加工液60に浸漬された被加工物1への放電加工を4日間行った。
【0063】
放電加工された表面を観察したところ、この表面は極めて僅かに変色している程度であり、腐食は軽微であることが確認された。また、この表面についてXPS分析(X−ray Photoelectron Spectroscopy)を実施した。その結果、S45C、SK3、SKH51表面には主成分がFeの酸化物からなる不働態被膜が存在し、その厚みは数百ナノメートル以下であることがわかった。そしてその下地にFeの金属層が存在することを確認した。また、KD10表面には主成分がWCおよびCoの酸化物からなる不働態被膜が存在することを確認した。
【0064】
次に、磁性を有しない金属材料からなる被加工物1の加工の実施例について説明する。
被加工物1をなす金属材料として、銅タングステン材であるNEL150材((株)アライドマテリアル社製)を用いた。
【0065】
水系加工液60の原水として、導電率147μS/cm、pH7.2の水道水が清液槽13に蓄えられた。この原水がポンプ20、22を用いてイオン交換樹脂塔23中のH+型イオン交換樹脂部19とOH-型イオン交換樹脂部21とに通水された。その結果、導電率8.0μS/cm、pH6.2の水系加工液60が生成された。
【0066】
次に材料判別センサ25によって被加工物1の金属材料が磁性を有しないないと検知され、その情報が加工液液性切替システム26に送信された。加工液液性切替システム26は、水系加工液60をイオン交換樹脂塔23の中のHCO3-型イオン交換樹脂部17およびH+型イオン交換樹脂部19に通水させ、水系加工液60の液性を酸性に制御した。この通水は、水系加工液60のpHが4.0まで低下すると停止され、7.0まで増大すると再開されるように制御された。このような制御を行いつつ、水系加工液60に浸漬された被加工物1への放電加工を4日間行った。
【0067】
放電加工された表面を観察したところ、この表面は極めて僅かに変色している程度であり、腐食は軽微であることが確認された。また、この表面についてXPS分析を実施した。その結果、NEL150材については、その表面にCuおよびWの酸化物からなる不働態被膜が存在し、その厚みが数百ナノメートルであることを確認した。
【0068】
次に比較例について説明する。
材料判別センサ25、液性測定センサ24a、24b、および加工液液性切替システム26を用いずに、純水化樹脂塔23すなわちH+型イオン交換樹脂部19およびOH-型イオン交換樹脂部21に通水されたイオン交換水(導電率1.6μS/cm、pH6.0)を水系加工液60として、金属材料(S45C、SK3、SKH51、KD10)の各々の試験片が4日間放電加工された。
【0069】
その結果、これらの試験片は、変色していただけでなく、その表面に錆層が形成されており、腐食が生じていることが確認された。また加工後のS45C、SK3、SKH51の試験片の表面についてXPS分析を実施したところ、これらの表面にFeの酸化物であるFe23から構成される被膜が厚さ数百μm以上の広範囲にわたって存在することを確認した。これは、防食剤が添加されていない水系加工液60中の溶存酸素により被加工物1の表面の酸化反応が促進されたために、この表面の腐食が進行したと考えられる。また超硬材の場合についても、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)分析により腐食が生じていることを確認した。
【0070】
以上の結果から、材料判別センサ25、液性測定センサ24a、24b、加工液液性切替システム26、およびそれに連動するイオン交換樹脂塔23を用いることによって、各金属材料に適した防食剤を適量添加し、水系加工液60の液性を制御することができ、結果として被加工物1の金属材料の腐食を抑制できることが確認された。
【0071】
(実施の形態3)
実施の形態2ではイオン交換樹脂によって防食剤を水系加工液60に添加する方法が用いられたが、本実施の形態では、この方法の代わりに、防食剤を含んだ水溶液を水系加工液60に混合する方法が用いられる。
【0072】
図4を参照して、本実施の形態の放電加工装置の液質制御装置9は、防食剤添加部としての防食溶液混合システム31と、純水化樹脂塔30とを有する。
【0073】
防食溶液混合システム31は、防食剤の水溶液を水系加工液60に混合するためのものである。具体的には、防食溶液混合システム31は、防食剤の水溶液を所望量だけ滴下することができるものである。
【0074】
純水化樹脂塔30は、水系加工液60の導電率を制御するために、H+型イオン交換樹脂部19と、OH-交換型イオン交換樹脂部21とを有する。
【0075】
本実施の形態は、被加工物1の金属材料の磁性の有無が材料判別センサ25で判断され、液性測定センサ24a、24bにより水系加工液60の液性が測定されるところまでは実施の形態2と同様である。これらのセンサの情報が加工液液性切替システム26に入力され、加工液液性切替システム26が防食溶液混合システム31を制御しながら防食溶液を清液槽13に滴下する。
【0076】
防食溶液混合システム31は、防食剤が溶解した水溶液として、水系加工液60の液性を塩基性にするものと酸性にするものとの2種類を搭載しており、また各々の水溶液を互いに独立して添加できるように構成されている。水系加工液60を塩基性にする水溶液としては、苛性ソーダ水、水酸化カリウム溶液、水酸化アンモニウム溶液などが挙げられ、酸性にする水溶液としては、上述したように、硫酸、塩酸、炭酸、燐酸、蓚酸などが挙げられる。この防食溶液混合システム31に対して、加工液液性切替システム26が材料判別センサ25および液性測定センサ24a、24bと連動しながら加工液液性を調整するよう制御することにより、被加工物1をなす金属材料の腐食を抑制することができる。
【0077】
(実施の形態4)
実施の形態3では防食剤の水溶液が用いられたが、本実施の形態では、この方法の代わりに、防食剤の固体物が用いられる。
【0078】
図5を参照して、本実施の形態の放電加工装置の液質制御装置9は、防食剤添加部としての防食剤添加システム32を有する。防食剤添加システム32は、固体状態の防食剤34を水系加工液60に溶出させるためのものである。
【0079】
本実施の形態は、被加工物1の金属材料の磁性の有無が材料判別センサ25で判断され、液性測定センサ24a、24bにより水系加工液60の液性が測定されるところまでは実施の形態3と同様である。これらのセンサの情報が加工液液性切替システム26に入力され、加工液液性切替システム26が防食剤添加システム32を制御しながら防食剤34を清液槽13中の水系加工液60に溶出させる。
【0080】
防食剤添加システム32は、防食剤34として、水系加工液60を塩基性にするものと酸性にするものとの2種類を搭載しており、また各々の防食剤34を互いに独立して添加できるように構成されている。水系加工液60を塩基性にする固体の防食剤34としては、苛性ソーダ、水酸化カリウムなどが挙げられ、酸性にする固体の防食剤34としては、無水燐酸などが挙げられる。この防食剤添加システム32に対して、加工液液性切替システム26が材料判別センサ25および液性測定センサ24a、24bと連動しながら加工液液性を調整するよう制御することにより、被加工物1をなす金属材料の腐食を抑制することができる。
【0081】
より具体的には、防食剤添加システム32は骨格基材としての粘着テープ33を有し、防食剤34は、この粘着テープ33上に均一に分布されている。この構成により、防食剤添加システム32が清液槽13中に浸漬されることによって、防食剤34が清液槽13中へと溶出することで、結果として水系加工液60の液性を制御することができる。すなわち、水系加工液60中の防食剤濃度が低下した場合に防食剤添加システム32が清液槽13へ浸漬され、所定の濃度に達した場合に清液槽13から分離されることによって、水系加工液60の液性を制御することができる。また防食剤添加システム32を浸漬させる速度、範囲、あるいは時間を制御することで、水系加工液60中の防食剤濃度を所定の値にすることも可能である。
【0082】
以上、本実施の形態によれば、固体の防食剤34を用いて、実施の形態3と同様に、被加工物1をなす金属材料の腐食を抑制することができる。
【0083】
なお、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
また放電加工される被加工物をなす金属材料としては、放電加工の対象となるものであれば特に限定されないが、水系加工液を用いた場合に腐食しやすい金属材料を対象とした場合、本発明の効果が顕著である。たとえば、炭素鋼、合金鋼などの鉄系金属材料、超硬材、銅タングステン材などの腐食を効率的に抑制することができる。
【0084】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、加工液を用いて放電加工する放電加工機および放電加工方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0086】
1 被加工物、2 ワイヤ電極(電極)、8 加工槽(加工液供給部)、9 液質制御装置、24 液性測定センサ、25 材料判別センサ、26 加工液液性切替システム、31 防食溶液混合システム、32 防食剤添加システム、50 防食剤添加部、60 水系加工液(加工液)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料からなる被加工物に加工液を供給する加工液供給部と、
前記加工液が供給された前記被加工物を放電加工するための電極と、
前記加工液の液質を制御するための液質制御装置とを備え、
前記液質制御装置は、
前記被加工物の前記金属材料の種類を判別する材料判別センサと、
前記加工液の液性を測定する液性測定センサと、
前記加工液に複数の防食剤を互いに独立に添加することができる防食剤添加部と、
前記材料判別センサによって判別された前記金属材料の種類の情報と、前記液性測定センサによって測定された前記加工液の液性の情報とに基づいて、前記防食剤添加部を制御する加工液液性切替システムとを含む、放電加工機。
【請求項2】
前記防食剤添加部はイオン交換樹脂で構成される、請求項1に記載の放電加工機。
【請求項3】
前記イオン交換樹脂は複数のイオン交換樹脂であり、前記複数のイオン交換樹脂はH+型陽イオン交換樹脂とOH-型陰イオン交換樹脂とを含む、請求項2に記載の放電加工機。
【請求項4】
前記材料判別センサは、前記被加工物の磁性の有無を検知することにより前記被加工物の種類を判別する、請求項1〜3のいずれかに記載の放電加工機。
【請求項5】
前記加工液液性切替システムは、前記材料判別センサによって磁性が検知された場合に前記加工液が塩基性とされるように前記防食剤添加部を制御し、かつ前記材料判別センサによって磁性が検知されなかった場合に前記加工液が酸性とされるように前記防食剤添加部を制御するように構成された、請求項4に記載の放電加工機。
【請求項6】
前記材料判別センサにより判別された材料の情報が前記加工液液性切替システムに入力されるように、前記材料判別センサと前記加工液液性切替システムとが接続されている、請求項1〜5のいずれかに記載の放電加工機。
【請求項7】
前記液性測定センサは、前記加工液の液性として水素イオン濃度および導電率を測定する、請求項1〜6のいずれかに記載の放電加工機。
【請求項8】
前記防食剤添加部は、防食剤の水溶液を前記加工液に混合するための防食溶液混合システムを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の放電加工機。
【請求項9】
前記防食剤添加部は、固体状態の前記防食剤を前記加工液に溶出させるための防食剤添加システムを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の放電加工機。
【請求項10】
金属材料からなる被加工物を準備する工程と、
請求項1〜9のいずれかに記載の放電加工機を用いて前記被加工物を放電加工する工程とを備えた、放電加工方法。
【請求項11】
(A)被加工物の放電加工される部分に水系加工液を供給する工程と
(B)材料判別センサにより前記被加工物の材料の種類を判別する工程と、
(C)前記材料判別センサにより判別した材料の情報を加工液液性切替システムに入力する工程と、
(D)液性測定センサが加工液の液性を測定する工程と、
(E)前記材料判別センサによって判別された前記被加工物の材料の種類の情報と、前記液性測定センサによって測定された前記加工液の液性の情報とに基づき、前記加工液の液性を調整するか否かを前記加工液液性切替システムが判断する工程と、
(F)前記加工液液性切替システムの前記判断に基づいて、前記加工液液性切替システムが前記加工液の液性を調整する工程とを含み、
前記工程(F)によって前記加工液の液性が調整されることで、前記加工液の導電率が所定値以下に保持される、放電加工方法。
【請求項12】
前記加工液の導電率の前記所定値は、70μS/cmである、請求項11に記載の放電加工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−20185(P2011−20185A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164817(P2009−164817)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】