説明

放電灯点灯装置および、これを用いた車両用前照灯装置

【課題】簡易な構成でインバータ回路のスイッチング素子に印加される電圧を低減し、小型化することができる放電灯点灯装置および、これを用いた車両用前照灯装置を提供する。
【解決手段】直流電源1と、直列接続された平滑コンデンサ241,242の両端に出力電圧Vo1,Vo2を生成するDC−DC変換回路2と、直列接続されたスイッチング素子31,32の接続点と、平滑コンデンサ241,242の接続点との間に接続される放電灯に交番電力を供給するインバータ回路3と、トランス21の二次巻線に生じる電圧を用いて、平滑コンデンサ241を充電する多段整流昇圧回路7とを備え、無負荷時において、多段整流昇圧回路7は、出力電圧Vo1を無負荷電圧VoNまで昇圧し、スイッチング素子31がオン、スイッチング素子32がオフに維持されることで、放電灯5に無負荷電圧VoNを印加して放電灯5を始動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置および、これを用いた車両用前照灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電源とDC−DC変換回路とインバータ回路とイグナイタ回路とを備え、高輝度放電灯(以降、放電灯と称す)を点灯させる放電灯点灯装置が提供されている。図9に、従来の放電灯点灯装置の回路構成図を示す。
【0003】
従来の放電灯点灯装置は、直流電源1とDC−DC変換回路2と低周波インバータ回路3とイグナイタ回路4と制御回路6とで構成されている。
【0004】
直流電源1は、直流の電源電圧ViをDC−DC変換回路2に印加する。
【0005】
DC−DC変換回路2は、フライバックコンバータで構成されており、直流電源1を入力電源としてインバータ回路3に出力電圧Voを出力する。DC−DC変換回路2は、トランス21とスイッチング素子22とダイオード23と平滑コンデンサ24とで構成されている。
【0006】
トランス21は、互いに磁気結合された一次巻線210と二次巻線211とで構成されている。直流電源1の出力端間にトランス21の一次巻線210とスイッチング素子22とからなる直列回路が接続されている。そして、直流電源1と一次巻線210とスイッチング素子22とで一次側閉回路を形成している。また、トランス21の二次巻線211の両端間に、ダイオード23と平滑コンデンサ24とからなる直列回路が接続されており、二次側閉回路を形成している。
【0007】
スイッチング素子22がオン状態では、直流電源1から一次巻線210に電流I1が供給される。すなわち、一次側閉回路に電流I1が流れることで、トランス21に直流電源1からのエネルギーが蓄積される。このとき、ダイオード23に対して逆極性の電圧が二次巻線211に生じるため二次側閉回路に電流は流れない。そして、スイッチング素子22がオン状態からオフ状態に移行すると、電流I1がゼロとなり、トランス21に蓄積されたエネルギーは、二次巻線211からダイオード23を介して平滑コンデンサ24に放出されることで平滑コンデンサ24が充電される。すなわち、スイッチング素子22が高周波でオン・オフを繰り返すスイッチング制御されることで、電源電圧Viを所望の電圧レベルに変換した出力電圧Voが平滑コンデンサ24の両端に生成される。
【0008】
また、DC−DC変換回路2の出力電圧Voは、スイッチング素子22のスイッチング条件が変更されることで可変する。スイッチング素子22のスイッチング制御は、制御回路6に設けられたPWM信号発生部62によって行われる。PWM信号発生部62は、後述する出力フィードバック制御回路61の出力に基づいて、PWM信号からなる制御信号をスイッチング素子22に出力しており、スイッチング素子22は、この制御信号の信号レベルに同期してオン・オフする。すなわち、制御信号のオンデューティが変動し、スイッチング素子22のスイッチング条件が変更されることで、電源電圧Viから負荷が必要とする出力電圧Voに昇降圧した出力が得られる。フライバックコンバータは、入力である一次側閉回路と出力である二次側閉回路とが分離しており、電源電圧Viより低い出力電圧Voをえることができる。また、インダクタ素子は、自己に流れている電流が流れ続けようとする特性を利用して、トランス21の巻数比以上に電圧を昇圧することができる。
【0009】
一次巻線210,二次巻線211の巻数比をN210:N211とした場合、一次側閉回路のスイッチング素子22のオフ時において、Vi+Vo×(N210/N211)となる電圧がスイッチング素子22に印加される。一方、スイッチング素子22のオン時において、Vo+Vi×(N211/N210)となる電圧がダイオード23に印加される。したがって、スイッチング素子22およびダイオード23の耐圧は、電源電圧Vi,出力電圧Voの最大値および、トランス21の巻数比に基づいて設定される。さらに、この電圧にサージ電圧なども考慮して設定される。
【0010】
DC−DC変換回路2の出力電圧Voは、低周波インバータ回路3(以降、インバータ回路3と略称する)によって低周波の交番電圧に変換されて放電灯5に供給される。インバータ回路3は、4つのスイッチング素子31〜34からなるフルブリッジインバータ回路で構成されている。スイッチング素子31,33からなる直列回路と、スイッチング素子32,34からなる直列回路とが、平滑コンデンサ24に並列接続されている。そして、スイッチング素子31,33の接続点とスイッチング素子32,34の接続点とでインバータ回路3の出力端を構成している。各スイッチング素子31〜34は、制御回路6の低周波INV駆動部63(以降、駆動回路63と称す)によってスイッチング制御される。具体的には、スイッチング素子31,34をオン状態に維持しているときはスイッチング素子32,33をオフ状態に維持し、スイッチング素子31,34をオフ状態に切り替えると同時にスイッチング素子32,33をオン状態に切り替える。すなわち、スイッチング素子31,34とスイッチング素子32,33とを交互にオン・オフすることで、DC−DC変換回路2の出力電圧Voを低周波の交番電圧に変換する。インバータ回路3が生成した交番電圧はイグナイタ回路4を介して放電灯5に印加される。
【0011】
イグナイタ回路4は、パルス電圧印加回路41とパルストランス42とで構成されている。パルストランス42は、一次巻線の両端がパルス電圧印加回路41に接続され、二次巻線は一端がスイッチング素子31,33の接続点に接続され、他端が放電灯5の一端に接続されている。イグナイタ回路4は、このような構成でパルス電圧印加回路41によって発生されたパルス電圧をパルストランス42で昇圧し、パルストランス42の二次側に発生した高電圧を放電灯5に印加する。これにより、放電灯5は絶縁破壊され、放電開始する。
【0012】
なお、インバータ回路3は、放電灯5の消灯時において、スイッチング素子31,34をオン状態に維持し、スイッチング素子32,33をオフ状態に維持している。これにより、DC−DC変換回路2の出力電圧Voが放電灯5に印加される極性と、イグナイタ回路4の高電圧が放電灯5に印加される極性とを同一にしている。そして、放電灯5の放電が開始されると、インバータ回路3は、スイッチング素子31,34とスイッチング素子32,33とを交互にオン・オフすることで、DC−DC変換回路2の出力電圧Voを低周波の交番電圧に変換する。
【0013】
また、放電灯5が必要としている電力調整は、制御回路6によって行われる。制御回路6は、DC−DC変換回路2の出力電圧Voおよび出力電流Ioを、ランプ電圧Vlaおよびランプ電流Ilaとして等価的に検出し、スイッチング素子22のスイッチング条件を調整する。具体的には、制御回路6は、出力フィードバック制御回路61を備えており、出力フィードバック制御回路61は、出力電流指令発生部611と電流比較部612と誤差増幅部613とで構成されている。出力指令発生部611には、出力電圧Voの検出値が入力され、検出電圧と目標電力とから目標電流を算出し、電流比較部612の正極端子に出力する。また、電流比較部612の負極端子には、DC−DC変換回路2の出力電流Ioの検出値が入力されている。そして、電流比較部612は、目標電流と検出電流との差分を誤差増幅部613に出力する。誤差増幅部613は、電流比較部612の出力を増幅して、PWM信号発生部62に出力する。
【0014】
PWM信号発生部62は、誤差増幅部63の出力に基づいてスイッチング素子22に出力する制御信号のオンデューティを決定している。そして、PWM信号発生部62は、誤差増幅部63の出力がゼロ、すなわち目標電流と検出電流とが一致するように、制御信号のオンデューティを変動させることで、出力電圧Voの調整を行っている。これにより、DC−DC変換回路2の出力電力が目標電力と一致し、放電灯5に所望の電力を供給することができる。
【0015】
上述の放電灯点灯装置において、インバータ回路3をスイッチング素子31〜34を用いたフルブリッジインバータ回路で構成している。しかし、フルブリッジインバータ回路で構成した場合、スイッチング素子が4つ必要となるうえ、駆動回路63は、各々のスイッチング素子31〜34を駆動する回路を備える必要がある。
【0016】
また、スイッチング素子32,34は、ソース端子の電位が略GND電位で一定であるため、スイッチング素子32,34の駆動回路は比較的容易に構成することができる。しかし、スイッチング素子31,33のソース端子の電位は固定されておらず、GND電位からDC−DC変換回路2の出力電圧Voまで変動するため、スイッチング素子31,33の駆動回路は構成が複雑となる。
【0017】
そこで、インバータ回路をハーフブリッジインバータ回路で構成した放電灯点灯装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の放電灯点灯装置は、インバータの入力電源に対して、2つのコンデンサからなる直列回路と、2つのスイッチング素子からなる直列回路とが並列接続されている。そして、2つのコンデンサの接続点と2つのスイッチング素子の接続点とでインバータ回路の出力端を構成し、この出力端間に負荷である放電灯を接続する構成である。このインバータ回路の出力極性は、2つのスイッチング素子を交互にオン・オフすることで切り替えることができる。
【0018】
この特許文献1に記載の放電灯点灯装置の場合、インバータ回路を2つのスイッチング素子で構成することができるが、電源電圧を2つのコンデンサからなる直列回路で分圧するため、インバータ出力は電源電圧より低くなる。また、インバータ出力が低周波矩形波電圧である場合、安定な出力電圧を得るためにはコンデンサの容量を大きくする必要があり、回路が大型化するという問題がある。
【0019】
そこで、ハーフブリッジインバータ回路の構成でありながら、インバータ回路を構成する2つのコンデンサそれぞれ個別にDC−DC変換回路の出力が接続された構成が開示されている(例えば、特許文献2〜5参照)。以下に、ハーフブリッジインバータ回路を備えた放電灯点灯装置を図10を用いて説明する。
【0020】
図10に示す放電灯点灯装置のDC−DC変換回路2は、フライバックコンバータで構成されており、図9で示した放電灯点灯装置と同様に、直流電源1と一次巻線210とスイッチング素子22とで一次側閉回路を構成している。しかし、二次巻線は中間タップが設けられており、第1,第2の二次巻線211,212に分割されている。第1の二次巻線211の両端間には、ダイオード231と平滑コンデンサ241とからなる直列回路が接続されることで第1の二次側閉回路を形成している。また、第2の二次巻線212の両端間には、ダイオード232と平滑コンデンサ242とからなる直列回路が接続されることで第2の二次側閉回路を形成している。平滑コンデンサ241,242は直列接続されており、平滑コンデンサ241,242の接続点は、DC−DC変換回路2の出力の共通線として、二次巻線の中間タップ(第1,第2の二次巻線211,212の接続点)に接続されている。そして、スイッチング素子22がスイッチング制御されることで平滑コンデンサ241の両端に第1の出力電圧Vo1が生成され、平滑コンデンサ242の両端に第2の出力電圧Vo2が生成される。
【0021】
インバータ回路3は、2つのスイッチング素子31,32からなるハーフブリッジインバータ回路で構成されており、平滑コンデンサ241,242からなる直列回路と並列にスイッチング素子31,32からなる直列回路が接続されている。スイッチング素子31,32の接続点と平滑コンデンサ241,242の接続点とでインバータ回路3の出力端を構成しており、スイッチング素子31,32の接続点と平滑コンデンサ241,242の接続点との間にイグナイタ回路4および放電灯5が接続される。なお、イグナイタ回路4の構成は、図9を用いて説明した構成と同一であるので説明は省略する。
【0022】
そして、スイッチング素子31がオンし、スイッチング素子32がオフしている場合、出力電圧Vo1が放電灯5に印加され、スイッチング素子32がオフし、スイッチング素子32がオンしている場合、出力電圧Vo2が放電灯5に印加される。すなわち、スイッチング素子31,32を交互にオン・オフすることで、放電灯5に交番電圧を印加する。
【0023】
しかし、このようにインバータ回路3を構成した場合、スイッチング素子31,32のうち、オフしているスイッチング素子には、出力電圧Vo1,Vo2を加算した電圧が印加されることとなる。例えば、第1,第2の二次巻線211,212の巻数を同一にした場合、出力電圧Vo1,Vo2が同一となり、インバータ回路3の出力電圧の2倍の電圧がスイッチング素子に印加される。一方、図9に示すようにインバータ回路3をフルブリッジインバータ回路で構成した場合、インバータ回路3に入力されるDC−DC変換回路2の出力電圧Voが、インバータ回路3の出力電圧と等しくなる。そして、オフしているスイッチング素子に印加される電圧も、DC−DC変換回路2の出力電圧Voと等しくなる。したがって、インバータ回路3をハーフブリッジインバータ回路で構成し、フルブリッジインバータ回路と同一の出力電圧を出力する場合、フルブリッジインバータ回路のスイッチング素子の2倍の耐圧を有するスイッチング素子を用いる必要がある。
【0024】
放電灯点灯装置の場合、点灯時(負荷時)におけるインバータ回路3の出力電圧は、比較的低い電圧値(例えば100V以下)となる。しかし、放電開始直後に放電灯5にエネルギーを押し込んで始動を容易にするためには、放電開始前の消灯時(無負荷時)における出力電圧を、負荷時における出力電圧よりも高い電圧値(例えば400V)に設定する必要がある。つまり、スイッチング素子に印加される電圧は、負荷時は低いが、無負荷時は高くなる。また、スイッチング素子に流れる電流は、負荷時が大きいが、無負荷時は低くなる。したがって、スイッチング素子の耐圧は無負荷時を考慮し、電流耐量は負荷時を考慮して選択する必要がある。
【0025】
そこで、2つのDC−DC変換回路を用いて、無負荷時において一方の平滑コンデンサのみ充電し、インバータ回路のスイッチング素子に印加される電圧を低減させる構成がある(例えば、特許文献6参照)。この構成は、図10に示す放電灯点灯装置の構成に加えて、平滑コンデンサ241のみを充電する第2のDC−DC変換回路を備えている。そして、無負荷時において、スイッチング素子22をオフ状態に維持し、第2のDC−DC変換回路を用いて平滑コンデンサ241のみを充電する。これにより、平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1の電圧値が無負荷電圧(400V)となり、平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2の電圧値が0Vまたは点灯電圧等の低い電圧値となる。すなわち、無負荷時において出力電圧Vo1,Vo2の差が大きくなるアンバランス状態となるように制御している。これにより、出力電圧Vo1,Vo2の和が小さくなるので、無負荷時にオフしているスイッチング素子に印加される電圧が低減し、耐圧の低い素子をスイッチング素子に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2004−303689号公報
【特許文献2】特表2005−535086号公報
【特許文献3】特開平01−143192号公報
【特許文献4】特開平01−143195号公報
【特許文献5】特開2000−014171号公報
【特許文献6】特開2007−173130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかし、出力電圧Vo1,Vo2がアンバランスとなるように、上記のように構成した場合、2つのDC−DC変換回路が必要となるうえ、無負荷時と負荷時とで動作させるDC−DC変換回路を切替える必要があり、制御が複雑となる。
【0028】
また、直流電源の両端間に、互いに容量が異なる平滑コンデンサを直列接続することで、平滑コンデンサの両端電圧(出力電圧)をアンバランス状態にする構成がある(例えば、特許文献1)。この構成は、互いに異なる容量の平滑コンデンサを直列接続し、一方のスイッチング素子を高周波でオン・オフ駆動し、オン・オフ駆動するスイッチング素子を低周波で切替える。このように構成することで、インバータ回路を低周波出力すると共に、2つのスイッチング素子ごとに高周波オンデューティを切替え、2つのコンデンサ電圧をアンバランス状態にしている。
【0029】
しかし、インバータ回路の出力端に負荷(放電灯)以外にインダクタとコンデンサとからなる直列回路が必要となるうえ、インバータ制御が複雑となる。また、直流電源をコンデンサで分圧して出力するため、低周波出力にはコンデンサの容量を大きくする必要があり、コンデンサが大型化するおそれがある。
【0030】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成でインバータ回路のスイッチング素子に印加される電圧を低減し、小型化することができる放電灯点灯装置および、これを用いた車両用前照灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の放電灯点灯装置は、直流電圧を出力する直流電源と、互いに磁気結合された一次巻線および二次巻線を具備するトランスおよび、一次側スイッチング素子および、複数の整流ダイオードおよび、複数の平滑コンデンサを有し、前記直流電源と前記一次巻線と前記一次側スイッチング素子とを含んで一次側閉回路を形成し、前記二次巻線の少なくとも一部と前記整流ダイオードと前記平滑コンデンサとを含んだ複数の二次側閉回路を形成し、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで、前記平滑コンデンサの各々の両端に出力電圧を生成し、複数の前記平滑コンデンサのうち、第1の出力電圧が両端に生成される第1の平滑コンデンサと、第2の出力電圧が両端に生成される第2の平滑コンデンサとが直列接続される多出力構成のDC−DC変換回路と、第1,第2の二次側スイッチング素子を有し、当該第1,第2の二次側スイッチング素子の直列回路は、前記第1,第2の平滑コンデンサの直列回路に並列接続され、前記第1,第2の二次側スイッチング素子の接続点と、前記第1,第2の平滑コンデンサの接続点との間に放電灯が接続され、前記第1,第2の二次側スイッチング素子が交互にオン・オフし、前記放電灯に交番電力を供給することで前記放電灯を点灯させるインバータ回路と、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧を用いて、前記第1の平滑コンデンサを充電する充電手段とを備え、前記放電灯が消灯している無負荷時において、前記充電手段は、前記第1の平滑コンデンサを充電することで、前記第1の出力電圧を第1の電圧値から第2の電圧値まで昇圧し、前記インバータ回路は、前記第1の二次側スイッチング素子をオン状態、前記第2の二次側スイッチング素子をオフ状態に維持することで、前記放電灯に前記第2の電圧値を印加して前記放電灯を始動させることを特徴とする。
【0032】
この放電灯点灯装置において、前記トランスの二次巻線は、直列接続された第1,第2の二次巻線を有し、前記DC−DC変換回路は、前記第1の二次巻線と、第1の前記整流ダイオードと、前記第1の平滑コンデンサとを含んで形成された第1の二次側閉回路と、前記第2の二次巻線と、第2の前記整流ダイオードと、前記第2の平滑コンデンサとを含んで形成された第2の二次側閉回路とを有することが好ましい。
【0033】
この放電灯点灯装置において、前記充電手段は、複数の充電用ダイオードと、当該充電用ダイオードの各々を介して多段接続される複数の充電用コンデンサとを有する多段整流昇圧回路で構成され、前段の前記充電用コンデンサは、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで後段に接続された前記充電用コンデンサに電力を供給し、前記多段整流昇圧回路は、前記第2の電圧値が、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで前記第1の二次巻線に生じる電圧より高くなるように、前記第1の平滑コンデンサを充電することが好ましい。
【0034】
この放電灯点灯装置において、前記充電用コンデンサは、前記充電用ダイオードを介して交互に接続される第1,第2の充電用コンデンサで構成され、前記第1の充電用コンデンサは、前記一次側スイッチング素子がオフした場合、前段の前記第2の充電用コンデンサの両端電圧と前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧とを重畳した電圧が前記充電用ダイオードを介して印加され、前記一次側スイッチング素子がオンした場合、自己の両端電圧と前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧とを重畳した電圧を、前記充電用ダイオードを介して後段の前記第2の充電用コンデンサに印加することが好ましい。
【0035】
この放電灯点灯装置において、最後段に接続された前記充電用コンデンサと、前記第1の平滑コンデンサとを兼用することが好ましい。
【0036】
この放電灯点灯装置において、複数の前記充電用ダイオードのうち少なくとも1つと、前記第1の整流ダイオードとを兼用することが好ましい。
【0037】
この放電灯点灯装置において、前記多段整流昇圧回路は、前記一次側スイッチング素子がオフしたとき、前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧が第1の充電用ダイオードを介して印加される第1の充電用コンデンサと、前記一次側スイッチング素子がオンしたとき、前記第1の充電用コンデンサの両端電圧と、前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧とを重畳した電圧が第2の充電用ダイオードを介して印加される前記第1の平滑コンデンサとで構成されることが好ましい。
【0038】
この放電灯点灯装置において、前記多段整流昇圧回路は、前記第1,第2の二次巻線の直列回路の両端間に接続される、前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの直列回路と、前記第1の整流ダイオードを介して前記第1の二次巻線の両端間に接続される前記第1の平滑コンデンサと、前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの接続点と、前記第1の整流ダイオードと前記第1の平滑コンデンサとの接続点との間に接続される前記第2の充電用ダイオードとで構成され、前記第1,第2の充電用ダイオードは、前記第1の平滑コンデンサの両端電圧によって逆バイアスされるように接続されることが好ましい。
【0039】
この放電灯点灯装置において、前記二次巻線は、前記第1,第2の二次巻線の直列回路の一端側に直列接続される第3の二次巻線と、前記第1,第2の二次巻線の直列回路の他端側に直列接続される第4の二次巻線とのうち、少なくともいずれか一方を備え、前記多段整流昇圧回路は、前記二次巻線の両端間に接続される、前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの直列回路と、前記第1の整流ダイオードを介して前記第1の二次巻線の両端間に接続される前記第1の平滑コンデンサと、前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの接続点と、前記第1の整流ダイオードと前記第1の平滑コンデンサとの接続点との間に接続される前記第2の充電用ダイオードとで構成され、前記第1,第2の充電用ダイオードは、前記第1の平滑コンデンサの両端電圧によって逆バイアスされるように接続されることが好ましい。
【0040】
この放電灯点灯装置において、前記第1の二次側スイッチング素子と前記第2の二次側スイッチング素子との接続点を回路グランドに接続することが好ましい。
【0041】
本発明の車両用前照灯装置は、直流電圧を出力する直流電源と、互いに磁気結合された一次巻線および二次巻線を具備するトランスおよび、一次側スイッチング素子および、複数の整流ダイオードおよび、複数の平滑コンデンサを有し、前記直流電源と前記一次巻線と前記一次側スイッチング素子とを含んで一次側閉回路を形成し、前記二次巻線の少なくとも一部と前記整流ダイオードと前記平滑コンデンサとを含んだ複数の二次側閉回路を形成し、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで、前記平滑コンデンサの各々の両端に出力電圧を生成し、複数の前記平滑コンデンサのうち、第1の出力電圧が両端に生成される第1の平滑コンデンサと、第2の出力電圧が両端に生成される第2の平滑コンデンサとが直列接続される多出力構成のDC−DC変換回路と、第1,第2の二次側スイッチング素子を有し、当該第1,第2の二次側スイッチング素子の直列回路は、前記第1,第2の平滑コンデンサの直列回路に並列接続され、前記第1,第2の二次側スイッチング素子の接続点と、前記第1,第2の平滑コンデンサの接続点との間に放電灯が接続され、前記第1,第2の二次側スイッチング素子が交互にオン・オフし、前記放電灯に交番電力を供給することで前記放電灯を点灯させるインバータ回路と、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧を用いて、前記第1の平滑コンデンサを充電する充電手段とを備え、前記放電灯が消灯している無負荷時において、前記充電手段は、前記第1の平滑コンデンサを充電することで、前記第1の出力電圧を第1の電圧値から第2の電圧値まで昇圧し、前記インバータ回路は、前記第1の二次側スイッチング素子をオン状態、前記第2の二次側スイッチング素子をオフ状態に維持することで、前記放電灯に前記第2の電圧値を印加して前記放電灯を始動させる放電灯点灯装置と、前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯とを備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明では、簡易な構成でインバータ回路のスイッチング素子に印加される電圧を低減し、小型化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態1の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図2】実施形態2の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図3】実施形態3の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図4】実施形態4の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図5】実施形態5の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図6】実施形態5の放電灯点灯装置の別構成の回路構成図である。
【図7】本発明の車両用前照灯装置の概略構成図である。
【図8】車両の外観図である。
【図9】従来の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図10】従来の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0045】
(実施形態1)
本実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図を図1に示す。本実施形態の放電灯点灯装置は、直流電源1とDC−DC変換回路2とハーフブリッジインバータ回路3(以降、インバータ回路3と略称する)とイグナイタ回路4と多段整流昇圧回路7とで構成されており、放電灯5に点灯電力を供給することで放電灯5を点灯させる。
【0046】
直流電源1は、直流の電源電圧ViをDC−DC変換回路2に印加する。
【0047】
DC−DC変換回路2は、トランス21とスイッチング素子22とダイオード231〜233(整流ダイオード)と平滑コンデンサ241,242とコンデンサ25とで、多出力構成のフライバックコンバータ回路を構成している。
【0048】
トランス21は、互いに磁気結合された一次巻線210と二次巻線で構成されており、二次巻線は中間タップが設けられ、第1,第2の二次巻線211,212に分割されている。そして、直流電源1の出力端間にトランス21の一次巻線210とスイッチング素子22(一次側スイッチング素子)とからなる直列回路が接続されており、直流電源1と一次巻線210とスイッチング素子22とで一次側閉回路を形成している。
【0049】
また、第1の二次巻線211の両端間には、ダイオード231,233(第1の整流ダイオード)と平滑コンデンサ241(第1の平滑コンデンサ)とからなる直列回路が接続されている。そして、第1の二次巻線211とダイオード231,233と平滑コンデンサ241とで第1の二次側閉回路を形成している。具体的には、第1の二次巻線211の一端はダイオード233のアノードに接続され、ダイオード233のカソードはダイオード231のアノードに接続され、ダイオード231のカソードは平滑コンデンサ241の一端に接続され、平滑コンデンサ241の他端は第1の二次巻線211の他端に接続されている。
【0050】
また、第2の二次巻線212の両端間には、ダイオード232(第2の整流ダイオード)と平滑コンデンサ242(第2の平滑コンデンサ)とからなる直列回路が接続されている。そして、第2の二次巻線212とダイオード232と平滑コンデンサ242とで第2の二次側閉回路を構成している。具体的には、第2の二次巻線212の一端は平滑コンデンサ242の一端に接続され、平滑コンデンサ242の他端はダイオード232のアノードに接続され、ダイオード232のカソードは第2の二次巻線212の他端に接続されている。
【0051】
また、第1,第2の平滑コンデンサ241,242は直列接続されている。そして、トランス21の二次巻線の中間タップ(第1,第2の二次巻線211,212の接続点)は、第1,第2の二次側閉回路の共通線として、第1,第2の平滑コンデンサ241,242の接続点に接続されている。
【0052】
また、本実施形態の多段整流昇圧回路7(充電手段)は、ダイオード231,233(第1,第2の充電用ダイオード)と平滑コンデンサ241(第2の充電用コンデンサ)とコンデンサ25(第1の充電用コンデンサ)で構成されている。トランス21の二次巻線(第1,第2の二次巻線211,212の直列回路)の両端間に、ダイオード233とコンデンサ25とからなる直列回路が接続されている。コンデンサ25は、一端がダイオード233のカソードに接続され、他端が第2の二次巻線212の他端に接続されている。なお、ダイオード231,233および、平滑コンデンサ241は、多段整流昇圧回路7と第1の二次側閉回路とを兼用している。これにより、部品数を減らし、コストを削減することができる。
【0053】
インバータ回路3は、MOSFETからなるスイッチング素子31,32(第1,第2の二次側スイッチング素子)でハーフブリッジ型のインバータ回路を構成している。そして、スイッチング素子31,32の直列回路は、平滑コンデンサ241,242の直列回路に並列接続されている。具体的には、スイッチング素子31は、ドレイン端子が平滑コンデンサ241の一端に接続され、ソース端子がスイッチング素子32のドレイン端子に接続され、スイッチング素子32のソース端子が平滑コンデンサ242の他端に接続されている。なお、スイッチング素子31,32は、ゲート端子が図示しない駆動回路に接続されており、この駆動回路によってオン・オフ駆動される。
【0054】
そして、スイッチング素子31,32の接続点と、平滑コンデンサ241,242の接続点とでインバータ回路3の出力端を構成しており、この出力端間にイグナイタ回路4を介して放電灯5が接続される。なお、イグナイタ回路4は、放電灯5が消灯している無負荷時において、放電灯5に高電圧を印加することで放電開始させるものであり、図9を用いて説明した従来のイグナイタ回路4と同一構成であるので説明を省略する。
【0055】
次に、本実施形態の放電灯点灯装置の動作について説明する。放電灯5が点灯している負荷時は、放電灯5に交番電圧を印加することで放電灯5の点灯状態を維持させる。以下に、この負荷時の動作について説明する。
【0056】
スイッチング素子22がスイッチング制御されることで、平滑コンデンサ241,242の両端に出力電圧Vo1,Vo2(第1,第2の出力電圧)が生成される。具体的には、スイッチング素子22がオフからオンに切り替わると、直流電源1から一次巻線210に電流I1が流れて、トランス21にエネルギーが蓄積される。このとき、ダイオード231〜233の逆極性の電圧が、第1,第2の二次巻線211,212に生じるので、第1,第2の二次側閉回路には電流が流れない。そして、スイッチング素子22がオンからオフに切り替わると、第1,第2の二次巻線211,212に生じる電圧によって第1,第2の二次側閉回路に電流I21,I22が流れることで、平滑コンデンサ241,242が充電される。
【0057】
すなわち、スイッチング素子22がオン・オフを繰り返すスイッチング制御されることで、平滑コンデンサ241,242の両端に出力電圧Vo1,Vo2が生成される。なお、スイッチング素子22のスイッチング制御は、図示しない制御回路によって行われ、例えばスイッチング周波数やオンデューティなどのスイッチング条件を調節することで、出力電圧Vo1,Vo2が所望の値となるように制御している。
【0058】
そして、スイッチング素子31,32が交互にオン・オフし、放電灯5に交番電力を供給することで放電灯5の点灯状態を維持する。スイッチング素子31がオンし、スイッチング素子32がオフしている場合、平滑コンデンサ241の両端に生成される出力電圧Vo1が放電灯5に印加されて、一方の極性の負荷電流(ランプ電流Ila)が流れる。一方、スイッチング素子31がオフし、スイッチング素子32がオンしている場合、平滑コンデンサ242の両端に生成される出力電圧Vo2が放電灯5に印加されて、他方の極性のランプ電流Ilaが流れる。つまり、スイッチング素子31,32が交互にオン・オフされることで、互いに逆極性の出力電圧Vo1,Vo2、すなわち交番電圧(ランプ電圧Vla)が放電灯5に印加されることで放電灯5が点灯状態を維持する。
【0059】
一方、無負荷時は、放電灯5に印加されるインバータ回路3の出力電圧の極性を固定した状態で、イグナイタ回路4から高電圧を放電灯5に印加することで、放電を開始させる。以下に、この無負荷時の動作について説明する。
【0060】
スイッチング素子22がオフからオンに切り替わると、直流電源1から一次巻線210に電流I1が流れて、トランス21にエネルギーが蓄積される。そして、スイッチング素子22がオンからオフに切り替わると、コンデンサ25に、トランス21の二次巻線(第1,第2の二次巻線211,212の直列回路)に生じる電圧がダイオード233を介して印加される。これにより、コンデンサ25が充電され、両端にコンデンサ電圧Vc1が生成される。
【0061】
そして、スイッチング素子22がオフからオンに切り替わると、コンデンサ電圧Vc1と第2の二次巻線212に生じる電圧とを重畳した電圧が、ダイオード231を介して平滑コンデンサ241に印加されることで平滑コンデンサ241が充電される。すなわち、ダイオード233とコンデンサ25との一段目整流平滑回路と、ダイオード231と平滑コンデンサ241との二段目整流平滑回路とで、多段整流昇圧回路7を構成している。
【0062】
平滑コンデンサ241は、第1,第2の二次巻線211,212の直列回路に生じる電圧によって充電されたコンデンサ25のコンデンサ電圧Vc1と、スイッチング素子22のオン時に第2の二次巻線212に生じる電圧とを重畳した電圧で充電される。一方、平滑コンデンサ242は、スイッチング素子22のオフ時に第2の二次巻線212に生じる電圧で充電される。すなわち、平滑コンデンサ241は、平滑コンデンサ242よりも高い電圧で充電される。したがって、平滑コンデンサ241の両端電圧(出力電圧Vo1)が、平滑コンデンサ242の両端電圧(出力電圧Vo2)よりも高い電圧となるアンバランス状態となる。
【0063】
放電灯5が放電開始するために必要なインバータ回路3の出力電圧の電圧値を、無負荷電圧VoNとした場合、無負荷時における出力電圧Vo1の電圧値が無負荷電圧VoNとなるようにトランス21の巻数比やスイッチング素子22のスイッチング条件を設定する。そして、インバータ回路3は、スイッチング素子31をオン状態、スイッチング素子32をオフ状態に維持することで、放電灯5に出力電圧Vo1を印加し、イグナイタ回路4が高電圧を放電灯5に印加することで放電開始させる。
【0064】
例えば、トランス21の一次巻線210および第1,第2の二次巻線211,212の巻数比をN210:N211:N212とし、出力電圧Vo1の電圧値が無負荷電圧VoNであるとする。この場合、コンデンサ25のコンデンサ電圧Vcは、無負荷電圧VoN(出力電圧Vo1)から、スイッチング素子22がオンしたとき第2の二次巻線212に生じる電圧を減算したVoN−Vi×(N212/N210)となる。また、第1,第2の二次巻線211,212の巻数が同一(N211=N212)である場合、第1,第2の二次巻線211,212には、コンデンサ電圧Vcの半分の電圧{VoN−Vi×(N212/N210)}/2が生じる。この電圧によって平滑コンデンサ242が充電されるので、出力電圧Vo2の電圧値は{VoN−Vi×(N212/N210)}/2となる。なお、出力電圧Vo1の電圧値は、多段整流昇圧回路7によって{VoN−Vi×(N212/N210)}/2(第1の電圧値)から無負荷電圧VoN(第2の電圧値)まで昇圧されたこととなる。
【0065】
したがって、オフ状態を維持しているスイッチング素子32には、出力電圧Vo1,Vo2を加算した電圧(1.5×VoN)−0.5×Vi×(N212/N210)が印加される。例えば、N210:N211:N212=2:6:6、Vi=14V、VoN=400Vとした場合、理想条件において平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2は179Vとなり、スイッチング素子32には579Vが印加される。一方、図10を用いて説明した従来の構成では、出力電圧Vo1,Vo2の両方が無負荷電圧VoN=400Vとなるので、スイッチング素子32には800Vが印加される。
【0066】
このように、本実施形態では、無負荷時に放電灯5に印加される出力電圧Vo1が無負荷電圧VoNとなるように出力電圧Vo1のみ昇圧するので、出力電圧Vo2が無負荷電圧VoNよりも低くなり、出力電圧Vo1,Vo2の和が低減する。したがって、耐圧の低い素子をスイッチング素子32に用いることができ、スイッチング素子32を小型化することができる。そして、この小型化されたスイッチング素子32を備えるインバータ回路3および、放電灯装置の小型化を図ることができる。
【0067】
また、無負荷時において、スイッチング素子22がオフしたとき、サージ電圧を除くと{VoN×(N210/N212)+Vi}/2となる電圧がスイッチング素子22に印加される。例えば、N210:N211:N212=2:6:6、Vi=14V、VoN=400Vとした場合、サージ電圧を考慮しない理想条件において、73.7Vがスイッチング素子22に印加される。一方、図10を用いて説明した従来の構成では、133.7Vがスイッチング素子22に印加される。すなわち、本実施形態では、スイッチング素子22に印加される電圧も低減することができるので、耐圧の低い素子をスイッチング素子32に用いることができる。
【0068】
さらに、低耐圧のスイッチング素子ほど損失低減が可能であるため、スイッチング素子22,32に低耐圧の素子を用いることで、回路損失を低減し電力効率を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、無負荷時において、出力極性側ではない平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2の電圧値は、百数十V(上述した条件の場合179V)となっている。この出力電圧Vo2の電圧値は、放電開始して最初に出力極性が反転(スイッチング素子31がオフし、スイッチング素子32がオン)したときも、ほぼ保たれている。したがって、放電開始直後において、一方の電極温度が低く立ち消えしやすい状態であっても、高い再点弧電圧が確保でき、始動直後の立ち消えを抑制し、始動性能を向上することができる。
【0070】
また、一般的に多段整流昇圧回路は、ダイオードとコンデンサと交流電源(二次巻線)との閉回路が多段に積み上げられ、コンデンサに充電された電荷を交流電源の交番作用によって1段上(後段)のコンデンサへと充電する構成である。したがって、高い電圧を得ることは比較的容易であるが、大きな出力電流を得ることは困難である。このため、出力インピーダンスが低い場合、多段整流昇圧回路の昇圧作用で出力電圧を高くすることは難しい。さらに、本実施形態では、平滑コンデンサ241,242の静電容量(例えば0.5μF)に対し、コンデンサ25の静電容量は1/100以下(例えば2000pF)のごく小さい値に設定されている。したがって、放電灯5が消灯している無負荷時は、出力電圧が高くて出力電流が小さい状態であるので、多段整流昇圧回路7の昇圧作用によって、出力電圧Vo1を無負荷電圧VoNまで容易に昇圧することができる。一方、放電灯5が点灯している負荷時は、出力電流が大きく、コンデンサ25に蓄積されるエネルギーが小さいので、必然的に多段整流昇圧回路7から平滑コンデンサ241への電力供給量が低下し、第1の二次巻線211に生じる電圧による電力供給が主となる。
【0071】
このように、本実施形態では、平滑コンデンサ241への電力供給源が、無負荷時と負荷時とで自動的に切り替わるため、切替えのための特別な制御回路を必要としない。さらに、無負荷時と負荷時とで同一のトランス21を用いて平滑コンデンサ241に電力を供給しているので、複数のDC−DC変換回路を備える必要がない。したがって、簡易な構成でインバータ回路3のスイッチング素子に印加される電圧を低減することができ、放電灯点灯装置の回路構成の簡易化を図ることができる。
【0072】
また、放電灯5が点灯している負荷時であっても、スイッチング素子31がオフし、スイッチング素子32がオンしているときは、第1の二次側閉回路が無負荷状態となる。負荷時における出力電圧Vo1の電圧値を負荷電圧VoL(<無負荷電圧VoN)とした場合、スイッチング素子31がオフし、スイッチング素子32がオンしているときは、出力電圧Vo1が負荷電圧VoLから徐々に昇圧される。しかし、第2の二次巻線212に生じる電圧は、無負荷時よりも低い負荷電圧VoLまでしか上昇しないので、多段整流昇圧回路7から平滑コンデンサ241への電力供給量は無負荷時に比べて低く、出力電圧Vo1の昇圧速度が遅い。したがって、コンデンサ25の静電容量と、インバータ回路3の出力周波数とを適切に設定することにより、負荷時における平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1の上昇量を抑制することができる。なお、放電灯5を低周波駆動する場合、極性反転時においてランプ電流Ilaが一時的に低下し、逆極性のランプ電流Ilaが正常に流れ出すために必要な電圧(再点弧電圧)が高くなる。したがって、負荷時においても電力を放電灯5に供給していない平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1の上昇は都合がよい。
【0073】
なお、放電灯5の電極と灯具の電極とを接続する2つの端子が、放電灯5の片側に設けられた構造を有する放電灯5の場合、灯具の電極と近い側の放電灯5の電極(放電電極)は、熱抵抗が小さく放熱しやすい。しかし、放電電極の温度が低下するほど、極性反転時の再点弧電圧が上昇しやすくなる。したがって、出力電圧Vo1の高圧側に放電電極が接続されるように構成することで、立ち消えの発生を抑制することができる。
【0074】
また、無負荷時において、多段整流昇圧回路7による平滑コンデンサ241への電力供給量が低くてもよい場合、コンデンサ25の他端をトランス21の二次巻線の中間タップ(第1,第2の二次巻線211,212の接続点)に接続した構成でもよい。または、第1,第2の二次巻線211,212のうち、いずれか一方に中間タップを設けて、この中間タップにコンデンサ25の他端を接続するように構成してもよい。それによって、多段整流昇圧回路7による平滑コンデンサ241への電力供給量を低減させることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、DC−DC変換回路2をフライバックコンバータで構成しているが、本発明が意図する動作概念が同じであれば回路構成は限定されず、例えばプッシュプル型のDC−DC変換回路で構成されていてもよい。
【0076】
(実施形態2)
本実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図を図2に示す。なお、実施形態1の放電灯点灯装置と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
実施形態1との差異として、実施形態1では、直列接続された平滑コンデンサ241,242のうち、高圧側の平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1を昇圧していたのに対し、本実施形態では低圧側の平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2を昇圧する。そして、無負荷時において、スイッチング素子31をオフ状態、スイッチング素子32をオン状態に維持することで、出力電圧Vo2を放電灯5に印加する。また、実施形態1において、第1の二次側閉回路と多段整流昇圧回路7とを兼用していたダイオードを、本実施形態では、別々に設けている。
【0078】
なお、本実施形態では、第2の二次巻線212,平滑コンデンサ242,ダイオード232および、これらで構成される第2の二次側閉回路が、本発明の第1の二次巻線、第1の平滑コンデンサ,第1の整流ダイオード,第1の二次側閉回路に相当する。そして、出力電圧Vo2が本発明の第1の出力電圧に相当する。また、第1の二次巻線211,平滑コンデンサ241,ダイオード231および、これらで構成される第1の二次側閉回路が、本発明の第2の二次巻線,第2の平滑コンデンサ,第2の整流ダイオード,第2の二次側閉回路に相当する。そして、出力電圧Vo1が本発明の第2の出力電圧に相当する。また、スイッチング素子32が本発明の第1の二次側スイッチング素子に相当し、スイッチング素子31が本発明の第2の二次側スイッチング素子に相当する。
【0079】
本実施形態の多段整流昇圧回路7は、コンデンサ25とダイオード261,262と平滑コンデンサ242とで構成されており、平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2を昇圧する。なお、平滑コンデンサ242は、多段整流昇圧回路7と第2の二次側閉回路(本発明の第1の二次側閉回路に相当)とを兼用している。
【0080】
トランス21の二次巻線(第1,第2の二次巻線211,212の直列回路)の両端間にコンデンサ25(第1の充電用コンデンサ)とダイオード261(第1の充電用ダイオード)とからなる直列回路が接続されている。具体的には、コンデンサ25の一端は第1の二次巻線211の一端に接続され、他端はダイオード261のアノードに接続され、ダイオード261のカソードは第2の二次巻線212の他端に接続されている。また、ダイオード232(第1の整流ダイオード)を介して第2の二次巻線212の両端間に平滑コンデンサ242(第1の平滑コンデンサ)が接続されている。そして、コンデンサ25とダイオード261との接続点と、平滑コンデンサ242とダイオード232との接続点との間にダイオード262が接続されている。具体的には、ダイオード262(第2の充電用ダイオード)は、アノードが平滑コンデンサ242とダイオード232との接続点に接続され、カソードがコンデンサ25とダイオード261との接続点に接続されている。すなわち、ダイオード261,262は、平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2によって、逆バイアスされるように接続されている。
【0081】
このように構成された多段整流昇圧回路7は、無負荷時において、スイッチング素子22がスイッチング制御されることで、平滑コンデンサ22の出力電圧Vo2を昇圧する。具体的には、スイッチング素子22がオフすることでトランス21の二次巻線(第1,第2の二次巻線211,212の直列回路)に生じる電圧がダイオード261を介してコンデンサ25に印加される。これにより、コンデンサ25が充電され、両端にコンデンサ電圧Vc1が生成される。そして、スイッチング素子22がオンすると、コンデンサ電圧Vc1と第1の二次巻線211に生じる電圧とを重畳した電圧が、ダイオード262を介して平滑コンデンサ242に印加される。これにより、平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2が昇圧され、出力電圧Vo2が平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1よりも高い電圧となる。このとき、本実施形態では出力電圧Vo2の電圧値が無負荷電圧VoNとなるように設定されている。
【0082】
そして、インバータ回路3は、スイッチング素子32をオン状態、スイッチング素子31をオフ状態に維持することで、放電灯5に出力電圧Vo2を印加し、イグナイタ回路4が高電圧を放電灯5に印加することで放電開始させる。
【0083】
実施形態1と同様に、無負荷時に放電灯5に印加される出力電圧Vo2が無負荷電圧VoNとなるように出力電圧Vo2のみ昇圧するので、出力電圧Vo1が無負荷電圧VoNよりも低くなり、出力電圧Vo1,Vo2の和が低減する。したがって、耐圧の低い素子をスイッチング素子31に用いることができ、スイッチング素子31を小型化することができる。そして、この小型化されたスイッチング素子31を備えるインバータ回路3および、放電灯装置の小型化を図ることができる。
【0084】
また、本実施形態では、多段整流昇圧回路7と第2の二次側閉回路(本発明の第1の二次側閉回路に相当)とでダイオードを兼用していない。上述のように、多段整流昇圧回路7を構成するダイオード261,262と、第2の二次側閉回路を構成するダイオード232とで別々に設けている。これにより、第2の二次側閉回路を構成するダイオードの数が1つとなるので、負荷時における回路損失を低減することができる。
【0085】
また、第2の二次側閉回路を構成するダイオード232は、負荷時に流れる電流が大きいので、ダイオード231と同様のダイオードが必要である。しかし、多段整流昇圧回路7を構成するダイオード261,262は、流れる電流が小さい。本実施形態のように、多段整流昇圧回路7と第2の二次側閉回路とでダイオードを兼用しない場合、兼用する場合に比べてダイオードの素子数は増加する。しかし、多段整流昇圧回路7を構成するダイオード261,262には小型の素子を用いることができるので、回路全体として小型化が可能となる。
【0086】
(実施形態3)
本実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図を図3に示す。なお、実施形態2の放電灯点灯装置と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
実施形態2との差異として、実施形態2は第1,第2の二次巻線211,212の直列回路の両端間にコンデンサ25が接続されているのに対し、本実施形態では、第1〜第4の二次巻線211〜214の直列回路の両端間にコンデンサ25が接続されている。
【0088】
本実施形態のトランス21の二次巻線は、第1の二次巻線211に直列接続される第3の二次巻線213と、第2の二次巻線212に直列接続される第4の二次巻線214とを備えている。そして、コンデンサ25(第1の充電用コンデンサ)とダイオード261(第1の充電用ダイオード)との直列回路は、トランス21の二次巻線(第1〜第4の二次巻線211〜214の直列回路)の両端間に接続される。具体的には、コンデンサ25の一端は第3の二次巻線213の一端に接続され、他端はダイオード261のアノードに接続され、ダイオード261のカソードは第4の二次巻線214の他端に接続されている。また、ダイオード232(第1の整流ダイオード)を介して第2の二次巻線212の両端間に平滑コンデンサ242(第1の平滑コンデンサ)が接続されている。そして、コンデンサ25とダイオード261との接続点と、平滑コンデンサ242とダイオード232との接続点との間にダイオード262が接続されている。具体的には、ダイオード262(第2の充電用ダイオード)は、アノードが平滑コンデンサ242とダイオード232との接続点に接続され、カソードがコンデンサ25とダイオード261との接続点に接続されている。すなわち、ダイオード261,262は、平滑コンデンサ242の出力電圧Vo2によって、逆バイアスされるように接続されている。
【0089】
すなわち、コンデンサ25に電力を供給する二次巻線が第1〜第4の二次巻線211〜214で構成されており、実施形態2に比べて巻数が多い。さらに、平滑コンデンサ242には、コンデンサ電圧Vc1と、第1,第3の二次巻線211,213に生じる電圧とを重畳した電圧が印加される。すなわち、多段整流昇圧回路7に電力を供給する二次巻線の巻数が増加することで、多段整流昇圧回路7の昇圧能力が増大し、出力電圧Vo2をより高く昇圧することができる。これにより、多段整流昇圧回路7によって昇圧されない平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1をより低くすることができ、出力電圧Vo1,Vo2の和をさらに低減することができる。したがって、無負荷時において、オフするスイッチング素子31に印加される電圧がさらに低減するので、耐圧の低い素子をスイッチング素子31に用いることができ、スイッチング素子31をさらに小型化することができる。そして、この小型化されたスイッチング素子31を備えるインバータ回路3および、放電灯装置の小型化を図ることができる。
【0090】
また、多段整流昇圧回路7の昇圧能力を増大させることで、第1,第2の二次巻線211,212に生じる電圧を低減させることができる。これにより、スイッチング素子22のオフ時に、スイッチング素子22に印加される電圧が低減し、耐圧の低い素子をスイッチング素子22に用いることができ、スイッチング素子22の小型化および、放電灯点灯装置の小型化を図ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、基準電位であるGNDレベルをトランス21の一次側と二次側とで同一にしている。トランス21の一次側では直流電源1の低電位極性端子(負極端子)とスイッチング素子22の駆動信号用基準電位端子(ソース端子)との接続点をGND(回路グランド)に接続している。また、トランス21の二次側では、インバータ回路3のスイッチング素子31,32の接続点、すなわちインバータ回路3の出力端の一端をGNDに接続している。
【0092】
次に、スイッチング素子31,32のスイッチング制御を行う駆動回路63の構成について説明する。
【0093】
駆動回路63は端子LF1,LF2を備えており、図示しない制御回路より低周波駆動信号が端子LF1,LF2に入力される。端子LF1には、スイッチング素子31をスイッチング制御する駆動信号S1、端子LF2には、スイッチング素子32をスイッチング制御する駆動信号S2が入力される。
【0094】
端子LF1は、スイッチング素子630のゲート端子に接続されている。スイッチング素子630は、ソース端子がGNDに接続され、ドレイン端子が、スイッチング素子31のゲート端子および、抵抗を介して図示しない駆動回路電源に接続されており、電圧Vccが印加される。
【0095】
そして、端子LF1に入力される駆動信号S1の電圧レベルがL(ロー)である場合、スイッチング素子630がオフし、スイッチング素子31のゲート−ソース端子間に電圧Vccが印加されて、スイッチング素子31がオンする。一方、駆動信号S1の電圧レベルがH(ハイ)である場合、スイッチング素子630がオンし、スイッチング素子31のゲート端子がGNDに短絡されて、スイッチング素子31がオフする。
【0096】
一方、端子LF2は、スイッチング素子631のゲート端子に接続されている。スイッチング素子631は、ソース端子がGNDに接続され、ドレイン端子が、抵抗および電流ミラー回路632を介して駆動回路電源に接続されている。また、スイッチング素子32のゲート−ソース端子間には、抵抗633とダイオード635の直列回路が接続され、抵抗633とダイオード635の接続点は電流ミラー回路632を介して駆動回路電源に接続されている。
【0097】
そして、端子LF2に入力される駆動信号S2の電圧レベルがHである場合、スイッチング素子631がオンし、駆動回路電源から電流ミラー回路632および抵抗を介してスイッチング素子631に電流が流れる。このとき、スイッチング素子631に流れる電流と略同一または所定倍の電流が電流ミラー回路632によって抵抗633に流れることとなる。この電流によって抵抗633の両端に電圧が発生し、この電圧がダイオード635を介してスイッチング素子32のゲート−ソース端子間に印加されるので、スイッチング素子32がオンする。一方、駆動信号S2の電圧レベルがLである場合、スイッチング素子631に電流が流れないので、抵抗633に電流が供給されず、スイッチング素子32のゲート−ソース端子間に印加される電圧が低減し、スイッチング素子32がオフする。このように、電圧信号である駆動信号S2を電流信号に変換することで、スイッチング素子32のスイッチング制御を行っている。
【0098】
また、スイッチング素子32のゲート端子には、トランジスタ634が接続されており、抵抗633の両端電圧が低下すると、トランジスタ634がオンし、スイッチング素子32のゲート端子の電荷を急速に放電するように構成されている。これにより、スイッチング素子32のオフ速度を向上させることができる。
【0099】
このように、本実施形態では、スイッチング素子31,32の接続点をGND(回路グランド)に接続することで、スイッチング素子31,32のオン・オフ駆動を容易にすることができる。
【0100】
なお、端子LF1,LF2に同一の駆動信号を入力することで、スイッチング素子31,32を交互にオン・オフすることは可能であるが、上述したようにスイッチング素子31側とスイッチング素子32側とで駆動回路構成が異なる。そのため、スイッチング素子31,32でオン速度,オフ速度が異なる可能性もあり、極性反転の瞬間にスイッチング素子31,32が同時にオンして短絡状態になるおそれがある。したがって、駆動信号S1を端子LF1、駆動信号S2を端子LF2に入力し、極性反転時において、スイッチング素子31,32がオフする期間を設けることが望ましい。
【0101】
なお、駆動回路電源の電圧Vccが、スイッチング素子31,32をオンすることができる電圧レベル(例えば10V)であれば、スイッチング素子31,32のどちらであってもオン状態を維持することができる。したがって、無負荷時にスイッチング素子31をオン状態に維持する実施形態1の放電灯点灯装置にも上述の駆動回路63を適応することができる。しかし、スイッチング素子32をオフ状態に維持している場合、電流ミラー回路632にはスイッチング素子32に印加される電圧と電圧Vccとが重畳された電圧が印加されることとなる。そのため、無負荷電圧VoNのように高い電圧が電流ミラー回路632に印加されるので、電流ミラー回路632を構成するトランジスタの耐圧を高くする必要があり、駆動回路63の大型化を招くおそれがある。
【0102】
そのため、無負荷時はスイッチング素子32をオン状態に維持するほうが望ましい。スイッチング素子32がオン状態であれば、スイッチング素子32に印加される電圧は略ゼロであるから、電流ミラー回路632に印加される電圧も電圧Vccのみとなる。なお、この場合、オフ状態であるスイッチング素子31のゲート端子には、高い電圧は生じない。したがって、インバータ回路3の出力極性によって駆動回路63に印加される電圧ストレスが、インバータ回路3の出力電圧に影響される場合、駆動回路63に印加される電圧が低い極性側で動作させることで、駆動回路63の大型化を抑制することができる。
【0103】
また、出力電圧Vo1,Vo2の各々が、少なくとも無負荷電圧VoNより低く、負荷時における出力電圧Vo1,Vo2の最大電圧よりも高い電圧値となった場合における、出力電圧Vo1,Vo2の和を上限電圧とする。この場合、電流ミラー回路632の耐圧が上限電圧よりも高くなるように設計する。そして、出力電圧Vo1,Vo2の和を直接的または間接的な手段で検出し、出力電圧Vo1,Vo2の和が上限電圧以下に低下するまではスイッチング素子32をオフしない制御回路を有するのが望ましい。
【0104】
(実施形態4)
本実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図を図4に示す。なお、実施形態2と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施形態の多段整流昇圧回路7は、コンデンサ251,252と、ダイオード261〜263と、平滑コンデンサ242とで構成されている。実施形態2との差異として、実施形態2は、2段構成の多段整流昇圧回路7であるのに対し、本実施形態は、3段構成の多段整流昇圧回路7を形成している。
【0106】
コンデンサ251は、一端が第1の二次巻線211の一端に接続され、他端がダイオード261を介して第2の二次巻線212の他端に接続されている。また、コンデンサ252は、一端が第2の二次巻線212の他端に接続され、他端がダイオード263を介してコンデンサ251の他端に接続されると共にダイオード262を介して平滑コンデンサ242の他端に接続されている。なお、コンデンサ252が本発明の第2の充電用コンデンサに相当する。
【0107】
そして、スイッチング素子22がオフすることで、トランス21の二次巻線(第1,第2の二次巻線211,212の直列回路)に生じた電圧がダイオード261を介してコンデンサ251に印加される。これにより、コンデンサ251が充電され、両端間にコンデンサ電圧Vc1が生成される。そして、スイッチング素子22がオンすると、コンデンサ電圧Vc1とトランス21の二次巻線(第1,第2の二次巻線211,212の直列回路)に生じた電圧とを重畳した電圧がダイオード263を介してコンデンサ252に印加される。これにより、コンデンサ252が充電され、両端間にコンデンサ電圧Vc2が生成される。そして、再びスイッチング素子22がオンすると、コンデンサ電圧Vc2と第2の二次巻線212に生じる電圧とを重畳した電圧がダイオード262を介して平滑コンデンサ242に印加されることで、平滑コンデンサ242が充電されて出力電圧Vo2が生成される。すなわち、コンデンサ251とダイオード261とで一段目整流回路を構成し、コンデンサ252とダイオード263とで二段目整流回路を構成し、平滑コンデンサ242とダイオード262とで三段目整流回路を構成している。
【0108】
このように、本実施形態では3段構成の多段整流昇圧回路7を形成することで、多段整流昇圧回路7の昇圧能力が増大し、出力電圧Vo2をより高く昇圧することができる。これにより、多段整流昇圧回路7によって昇圧されない平滑コンデンサ241の出力電圧Vo1をより低くすることができ、出力電圧Vo1,Vo2の和をさらに低減することができる。したがって、無負荷時において、オフするスイッチング素子31に印加される電圧がさらに低減するので、耐圧の低い素子をスイッチング素子31に用いることができ、スイッチング素子31をさらに小型化することができる。また、この小型化されたスイッチング素子31を備えるインバータ回路3および、放電灯装置の小型化を図ることができる。
【0109】
また、多段整流昇圧回路7の昇圧能力を増大させることで、第1,第2の二次巻線211,212に生じる電圧を低減させることができる。これにより、スイッチング素子22のオフ時に、スイッチング素子22に印加される電圧が低減し、耐圧の低い素子をスイッチング素子22に用いることができ、スイッチング素子22の小型化および、放電灯点灯装置の小型化を図ることができる。
【0110】
なお、本実施形態では、3段構成の多段整流昇圧回路7を形成しているが、さらに多段構成の多段整流昇圧回路を形成してもよい。この場合、ダイオード232に並列接続された複数のダイオードからなる直列回路と、各ダイオードの接続点とトランス21の二次巻線の端子(中間タップ)との間にコンデンサを接続し、隣り合うコンデンサは異なる二次巻線端子に接続する回路とをn段設ける。このように構成することで、n段構成の多段整流平滑回路を形成することができる。
【0111】
また、本実施形態では、基準電位であるGNDレベルをトランス21の一次側と二次側とで同一にしている。トランス21の一次側では直流電源1の低電位極性端子(負極端子)とスイッチング素子22の駆動信号用基準電位端子(ソース端子)との接続点をGNDに接続している。また、トランス21の二次側では、二次側において最も電位が低くなる点であるスイッチング素子32のソース端子をGNDに接続している。
【0112】
次に、スイッチング素子31,32のオン・オフ駆動を行う駆動回路63の構成について説明する。
【0113】
本実施形態の駆動回路63は、スイッチング素子31を駆動するハイサイド駆動回路636(H側駆動回路636)と、スイッチング素子32を駆動するローサイド駆動回路637(L側駆動回路637)とで構成されている。
【0114】
ローサイド駆動回路637は、電圧Vccを出力する図示しない駆動回路電源とGNDとの間に直列接続される、NPNランジスタとPNPトランジスタとを備えている。NPNトランジスタは、コレクタ端子が駆動回路電源に接続され、エミッタ端子がPNPトランジスタのエミッタ端子に接続され、ベース端子が端子LF2に接続されている。また、PNPトランジスタは、コレクタ端子がGNDに接続され、ベース端子が端子LF2に接続されている、また、NPNトランジスタのエミッタ端子とPNPトランジスタのエミッタ端子との接続点が、スイッチング素子32のゲート端子に接続されている。そして、端子LF2に入力される駆動信号S2の電圧レベルがHである場合、NPNトランジスタがオン、PNPトランジスタがオフし、スイッチング素子32のゲート−ソース端子間に電圧Vccが印加され、スイッチング素子32がオンする。また、駆動信号S2の電圧レベルがLである場合、NPNトランジスタがオフ、PNPトランジスタがオンし、スイッチング素子32のゲート端子の電荷がPNPトランジスタを介して放電され、スイッチング素子32がオフする。このように、スイッチング素子32のソース端子はGNDに接続されているので電位が一定であるので、ローサイド駆動回路637は、駆動回路電源が出力する電圧Vccを直接スイッチング素子32に印加することでスイッチング素子32を駆動することができる。
【0115】
一方、スイッチング素子31は、ソース端子の電位が変動するので、ハイサイド駆動回路636は、ブートストラップ回路を駆動電源としてスイッチング素子31のオン・オフ駆動を行う。ブートストラップ回路は、ダイオード638とコンデンサ639とで構成されており、コンデンサ639は、一端がダイオード639を介して駆動回路電源に接続され、他端がスイッチング素子31のソース端子に接続されている。ハイサイド駆動回路636は、コンデンサ639の両端間に直列接続される、NPNトランジスタとPNPトランジスタとを備えている。NPNトランジスタは、コレクタ端子がコンデンサ639の一端に接続され、エミッタ端子がPNPトランジスタのエミッタ端子に接続され、ベース端子が端子LF1に接続されている。また、PNPトランジスタは、コレクタ端子がコンデンサ639の他端(スイッチング素子31のソース端子)に接続され、ベース端子が端子LF1に接続されている、また、NPNトランジスタのエミッタ端子とPNPトランジスタのエミッタ端子との接続点が、スイッチング素子31のゲート端子に接続されている。
【0116】
そして、スイッチング素子32がオフしている場合、コンデンサ639の他端(スイッチング素子31のソース端子)がGNDと略同電位となる。このとき、駆動電源回路から電圧Vccがダイオード638を介してコンデンサ639に印加されることで、コンデンサ639が充電される。一方、スイッチング素子32がオンしている場合、コンデンサ639の他端(スイッチング素子31のソース端子)の電位が上昇するので、駆動電源回路からコンデンサ639への電力供給が停止する。
【0117】
ハイサイド駆動回路636は、コンデンサ639の両端電圧を駆動電源としている。端子LF1に入力される駆動信号S1の電圧レベルがHである場合、NPNトランジスタがオン、PNPトランジスタがオフし、スイッチング素子32のゲート−ソース端子間にコンデンサ639の両端電圧が印加され、スイッチング素子31がオンする。また、駆動信号S1の電圧レベルがLである場合、NPNトランジスタがオフ、PNPトランジスタがオンし、スイッチング素子31のゲート端子の電荷が、PNPトランジスタを介して放電され、スイッチング素子31がオフする。
【0118】
しかし、無負荷時においてインバータ回路3の出力極性を固定するために、スイッチング素子31をオン状態に維持する場合、上記構成ではコンデンサ639の容量を大きくする必要があり、駆動回路63の大型化を招く。したがって、無負荷時には、駆動回路電源から駆動電源を直接得ることができるローサイド駆動回路637を用いてスイッチング素子32をオン状態に維持することが望ましい。
【0119】
(実施形態5)
本実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図を図5に示す。なお、実施形態2の放電灯点灯装置と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0120】
本実施形態の放電灯点灯装置は、実施形態2の構成に加えて、放電開始時に放電灯5にエネルギーを供給することで放電灯5をアーク放電へ移行させる始動補助回路7を備えている。
【0121】
負荷として接続される、消灯状態の高輝度放電灯(放電灯5)を放電開始させる場合、イグナイタ回路4が生成する高電圧を印加し、放電灯5の電極間を絶縁破壊することで放電開始させる。しかし、イグナイタ回路4が生成する高電圧のエネルギーは小さく、グロー放電からアーク放電へ移行することができず、立ち消えてしまうことがある。そこで、始動補助回路7を用いて、放電開始時に放電灯5にエネルギーを供給することでアーク放電に移行させることで、放電開始時の立ち消えを抑制する。
【0122】
本実施形態の始動補助回路8は、コンデンサ81と抵抗82とダイオード83,84とで構成されている。ダイオード232と並列に、ダイオード83,84の直列回路が接続され、ダイオード83,84の接続点と第2の二次巻線212の一端との間に、ダイオード81と抵抗82との直列回路が接続されている。
【0123】
スイッチング素子22がスイッチング制御されることで、第2の二次巻線212に生じる電圧によってコンデンサ81が充電される。そして、放電灯5が放電開始した瞬間、放電灯5の両端電圧が低下するのでコンデンサ81が放電開始し、ダイオード84を介して放電灯5にエネルギーが供給される。これによって、放電灯5がアーク放電に移行し、放電開始時の立ち消えを抑制することができる。
【0124】
また、抵抗82は、コンデンサ81に直列接続されることで、コンデンサ81の充電電流および放電電流を制限している。すなわち、抵抗82は、DC−DC変換回路2が無負荷状態から点灯電力出力状態に移行するまでの間、コンデンサ81の放電によるエネルギーが放電灯5に供給されるようにするための時定数として機能する。
【0125】
多段整流昇圧回路7を構成するコンデンサ25は容量が小さく、無負荷電圧VoNが生成される平滑コンデンサ242に、容量の大きいコンデンサ81を備える始動補助回路8を設けると、平滑コンデンサ242の充電速度も遅くなる。したがって、本実施形態では、第2の二次巻線212の出力から直接コンデンサ81が充電されるように構成している。
【0126】
なお、コンデンサ81には、無負荷電圧VoNより低い電圧が充電されるが、無負荷時に第2の二次巻線212に生じる電圧が、放電開始時のランプ電圧より十分高くなるように設定することで、始動補助として機能する。また、コンデンサ81の両端電圧を高くするために、コンデンサ81の正極端子を第1の二次巻線211の一端に接続し、第1,第2の二次巻線211,212に生じる電圧によって充電されるように構成してもよい。
【0127】
また、本実施形態では、実施形態3と同様に、基準電位であるGNDレベルをトランス21の一次側と二次側とで同一にしている。トランス21の一次側では直流電源1の負極端子とスイッチング素子22のソース端子との接続点をGND(回路グランド)に接続している。また、トランス21の二次側では、インバータ回路3のスイッチング素子31,32の接続点、すなわちインバータ回路3の出力端の一端をGNDに接続している。これにより、実施形態3と同様にスイッチング素子31,32のオン・オフ駆動を容易にすることができる。なお、図5では、駆動回路の図示を省略している。
【0128】
また、抵抗82は、コンデンサ81の充電経路と放電経路とを構成しているが、ダイオード83,84のうち少なくともいずれか一方に抵抗を直列接続し、充電用の抵抗と放電用の抵抗とを個別に設けても良い。それにより、コンデンサ81の充電時と放電時とで異なる時定数を設定することができる。
【0129】
また、図6に示すように、始動補助回路8を構成するダイオードと、多段整流昇圧回路を構成するダイオードとを兼用化した構成であってもよい。これにより、部品数を減らし、コストを削減することができる。
【0130】
(実施形態6)
実施形態1〜5のうち、いずれか1つの放電灯点灯装置9を用いた車両用前照灯装置10について、図7,8を用いて説明する。図7は、本実施形態の車両用前照灯装置10の概略構成図、図8は、車両用前照灯装置10を用いた車両の外観図である。
【0131】
この車両用前照灯装置10は、前面が開口した略箱状の灯具101を有し、この灯具101の内部に放電灯5を装着するソケット103が適宜の手段(図示せず)を用いて固定されている。灯具101の下面に取着された放電灯点灯装置9とソケット103との間は電灯線105を介して電気的に接続されている。なお灯具101の内部には、放電灯5の光を前方に反射する反射鏡104とグレア防止用の遮光板106とが適宜の取付手段(図示せず)を用いて取り付けられている。そして、放電灯5の発光は灯具101の開口部に取り付けられた透光カバー102を介して外部に照射されるようになっている。
【0132】
なお放電灯点灯装置9は、灯具101の下側に取着されたケース91の内部に、上述の各実施形態で説明した回路を形成した回路基板(図示せず)を収納して構成され、放電灯点灯装置9には点灯スイッチ92とヒューズ93とを介して車載バッテリからなる直流電源1より電源電圧Viが供給されるようになっている。
【0133】
実施形態1〜5で説明したように、インバータ回路3の小型化によって放電灯点灯装置9の小型化を図ることができ、この放電灯点灯装置9を備える車両用前照灯装置10の小型化も実現することができる。車両用前照灯装置10は、図8に示すように車体11の前側の左右両側部に取着される。高輝度放電灯(放電灯5)を車両の前照灯として用いた場合、より小型化が求められているため、本実施形態の車両用前照灯装置10は実施に好適であり、車両用前照灯装置10の取付スペースに大きなスペースを必要としない車両を実現できる。
【符号の説明】
【0134】
1 直流電源
2 DC−DC変換回路
3 インバータ回路
4 イグナイタ回路
5 放電灯
7 多段整流昇圧回路(充電手段)
21 トランス
22 スイッチング素子(一次側スイッチング素子)
210 一次巻線
211,212 第1,第2の二次巻線
231〜233 ダイオード(整流ダイオード,充電用ダイオード)
241,242 平滑コンデンサ(第1,第2の平滑コンデンサ)
25 コンデンサ(充電用コンデンサ)
31,32 スイッチング素子(第1,第2の二次側スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を出力する直流電源と、
互いに磁気結合された一次巻線および二次巻線を具備するトランスおよび、一次側スイッチング素子および、複数の整流ダイオードおよび、複数の平滑コンデンサを有し、前記直流電源と前記一次巻線と前記一次側スイッチング素子とを含んで一次側閉回路を形成し、前記二次巻線の少なくとも一部と前記整流ダイオードと前記平滑コンデンサとを含んだ複数の二次側閉回路を形成し、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで、前記平滑コンデンサの各々の両端に出力電圧を生成し、複数の前記平滑コンデンサのうち、第1の出力電圧が両端に生成される第1の平滑コンデンサと、第2の出力電圧が両端に生成される第2の平滑コンデンサとが直列接続される多出力構成のDC−DC変換回路と、
第1,第2の二次側スイッチング素子を有し、当該第1,第2の二次側スイッチング素子の直列回路は、前記第1,第2の平滑コンデンサの直列回路に並列接続され、前記第1,第2の二次側スイッチング素子の接続点と、前記第1,第2の平滑コンデンサの接続点との間に放電灯が接続され、前記第1,第2の二次側スイッチング素子が交互にオン・オフし、前記放電灯に交番電力を供給することで前記放電灯を点灯させるインバータ回路と、
前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧を用いて、前記第1の平滑コンデンサを充電する充電手段とを備え、
前記放電灯が消灯している無負荷時において、前記充電手段は、前記第1の平滑コンデンサを充電することで、前記第1の出力電圧を第1の電圧値から第2の電圧値まで昇圧し、前記インバータ回路は、前記第1の二次側スイッチング素子をオン状態、前記第2の二次側スイッチング素子をオフ状態に維持することで、前記放電灯に前記第2の電圧値を印加して前記放電灯を始動させることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記トランスの二次巻線は、直列接続された第1,第2の二次巻線を有し、
前記DC−DC変換回路は、前記第1の二次巻線と、第1の前記整流ダイオードと、前記第1の平滑コンデンサとを含んで形成された第1の二次側閉回路と、
前記第2の二次巻線と、第2の前記整流ダイオードと、前記第2の平滑コンデンサとを含んで形成された第2の二次側閉回路とを有することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記充電手段は、複数の充電用ダイオードと、当該充電用ダイオードの各々を介して多段接続される複数の充電用コンデンサとを有する多段整流昇圧回路で構成され、
前段の前記充電用コンデンサは、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで後段に接続された前記充電用コンデンサに電力を供給し、
前記多段整流昇圧回路は、前記第2の電圧値が、前記一次側スイッチング素子がスイッチング制御されることで前記第1の二次巻線に生じる電圧より高くなるように、前記第1の平滑コンデンサを充電することを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記充電用コンデンサは、前記充電用ダイオードを介して交互に接続される第1,第2の充電用コンデンサで構成され、
前記第1の充電用コンデンサは、
前記一次側スイッチング素子がオフした場合、前段の前記第2の充電用コンデンサの両端電圧と前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧とを重畳した電圧が前記充電用ダイオードを介して印加され、
前記一次側スイッチング素子がオンした場合、自己の両端電圧と前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧とを重畳した電圧を、前記充電用ダイオードを介して後段の前記第2の充電用コンデンサに印加することを特徴とする請求項3記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
最後段に接続された前記充電用コンデンサと、前記第1の平滑コンデンサとを兼用することを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
複数の前記充電用ダイオードのうち少なくとも1つと、前記第1の整流ダイオードとを兼用することを特徴とする請求項4または5記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記多段整流昇圧回路は、前記一次側スイッチング素子がオフしたとき、前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧が第1の充電用ダイオードを介して印加される第1の充電用コンデンサと、
前記一次側スイッチング素子がオンしたとき、前記第1の充電用コンデンサの両端電圧と、前記二次巻線の少なくとも一部に生じる電圧とを重畳した電圧が第2の充電用ダイオードを介して印加される前記第1の平滑コンデンサとで構成されることを特徴とする請求項5記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記多段整流昇圧回路は、前記第1,第2の二次巻線の直列回路の両端間に接続される、前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの直列回路と、
前記第1の整流ダイオードを介して前記第1の二次巻線の両端間に接続される前記第1の平滑コンデンサと、
前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの接続点と、前記第1の整流ダイオードと前記第1の平滑コンデンサとの接続点との間に接続される前記第2の充電用ダイオードとで構成され、
前記第1,第2の充電用ダイオードは、前記第1の平滑コンデンサの両端電圧によって逆バイアスされるように接続されることを特徴とする請求項7記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記二次巻線は、前記第1,第2の二次巻線の直列回路の一端側に直列接続される第3の二次巻線と、前記第1,第2の二次巻線の直列回路の他端側に直列接続される第4の二次巻線とのうち、少なくともいずれか一方を備え、
前記多段整流昇圧回路は、前記二次巻線の両端間に接続される、前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの直列回路と、
前記第1の整流ダイオードを介して前記第1の二次巻線の両端間に接続される前記第1の平滑コンデンサと、
前記第1の充電用コンデンサと前記第1の充電用ダイオードとの接続点と、前記第1の整流ダイオードと前記第1の平滑コンデンサとの接続点との間に接続される前記第2の充電用ダイオードとで構成され、
前記第1,第2の充電用ダイオードは、前記第1の平滑コンデンサの両端電圧によって逆バイアスされるように接続されることを特徴とする請求項7記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
前記第1の二次側スイッチング素子と前記第2の二次側スイッチング素子との接続点を回路グランドに接続することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、
前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯とを備えることを特徴とする車両用前照灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110003(P2013−110003A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254843(P2011−254843)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】