放電灯点灯装置及びそれを用いた照明器具
【課題】 始動時に放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる放電灯点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】 スイッチング部1と共振部2とからなるインバータ回路によって直流電源Eの直流電力が変換された交流電力を、バランサTの巻線を介して出力することにより、複数個の放電灯Laを点灯させる。スイッチング部1を構成する各スイッチング素子Q1,Q2を駆動する駆動部3と、駆動部3を制御する制御部4と、複数個の放電灯Laのうち一部の放電灯Laでの点灯の開始を検出する点灯検出部5を備える。制御部4は、点灯検出部5によって点灯の開始が検出されたとき、バランサTを介して各放電灯Laに供給する交流電力の周波数を充分に高くして共振部4の出力電圧Voの実効値を低下させるように駆動部3を制御することで、各放電灯Laにかかる電気的ストレスを抑える。
【解決手段】 スイッチング部1と共振部2とからなるインバータ回路によって直流電源Eの直流電力が変換された交流電力を、バランサTの巻線を介して出力することにより、複数個の放電灯Laを点灯させる。スイッチング部1を構成する各スイッチング素子Q1,Q2を駆動する駆動部3と、駆動部3を制御する制御部4と、複数個の放電灯Laのうち一部の放電灯Laでの点灯の開始を検出する点灯検出部5を備える。制御部4は、点灯検出部5によって点灯の開始が検出されたとき、バランサTを介して各放電灯Laに供給する交流電力の周波数を充分に高くして共振部4の出力電圧Voの実効値を低下させるように駆動部3を制御することで、各放電灯Laにかかる電気的ストレスを抑える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及びそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電灯とともに共振回路を構成する共振部と、直流電源と共振部との間に介在して少なくとも1個のスイッチング素子を含み該スイッチング素子のオンオフに伴って直流電源と共振部との接続を切り替えるスイッチング部とを備え、スイッチング部の動作で上記の共振回路に発生する共振により上記の直流電源の直流電力を交流電力に変換し、この交流電力によって放電灯を点灯させる放電灯点灯装置が提供されている。
【0003】
さらに、図16に示すように、1個のスイッチング部1を用いて複数個(図では2個)の放電灯Laを点灯させる放電灯点灯装置であって、各放電灯LaがそれぞれバランサTを介して共振部2に接続されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
詳しく説明すると、各放電灯Laは、それぞれ熱陰極型の放電灯であり、一対の電極としてのフィラメントを有する。
【0005】
スイッチング部1はそれぞれnチャネル型のMOSFETからなる2個のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路からなり、直流電源Eの両端間に接続されている。また、直流電源Eの低電圧側の出力端は、グランドに接続されている。
【0006】
直流電源Eとしては電池を用いてもよいし、外部から入力された電力を所定電圧の直流電力に変換する直流電源回路を用いてもよい。いずれの場合にも直流電源Eは周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0007】
バランサTは、例えば共通の鉄心(図示せず)に巻回されることにより互いに磁気的に結合された複数本の巻線を有する、いわゆるバランサトランスである。
【0008】
また、共振部2は、スイッチング部1のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に一端が接続されたインダクタL1と、インダクタL1の他端に一端が接続されるとともに他端がグランドに接続された第1コンデンサC1と、一端がインダクタL1と第1コンデンサC1との接続点に接続されて他端がバランサTの各巻線の一端に接続された第2コンデンサC2とを備える。バランサTの各巻線の他端は、それぞれ1本ずつの放電灯Laを介してグランドに接続される。すなわち、第2コンデンサC2の上記他端と、第1コンデンサC1の上記他端とがそれぞれ共振部2の出力端となっており、各放電灯Laは、それぞれ、バランサTの1本ずつの巻線との直列回路として共振部2の出力端間に接続される。
【0009】
すなわち、スイッチング部1と共振部2とでいわゆるハーフブリッジ形のインバータ回路が構成されているのであり、スイッチング部1のスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンオフ駆動されること(つまり、常に少なくとも一方のスイッチング素子Q1,Q2がオフされ、且つ、2個のスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンされるように、各スイッチング素子Q1,Q2が周期的に駆動されること)で、共振部2がバランサTや各放電灯Laとともに構成する共振回路の作用により直流電源Eの直流電力が高周波の交流電力に変換されて各放電灯Laに入力される。
【0010】
さらに、上記の放電灯点灯装置は、スイッチング部1の各スイッチング素子Q1,Q2のゲートに接続されて各スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフ駆動する駆動部3と、駆動部3による上記のオンオフ駆動の周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)を制御する制御部4とを備える。上記のような駆動部3及び制御部4はそれぞれ周知の電気回路で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0011】
上記の制御部4の動作を説明する。いずれの放電灯Laも点灯していない状態(以下、「消灯状態」と呼ぶ。)では、共振部2の出力電圧Vの実効値(以下、「二次電圧」と呼ぶ。)|Vo|と動作周波数fとの関係は、図17に曲線aで示すようなものとなる。制御部4は、消灯状態から各放電灯Laの点灯を開始させる際に、消灯状態での共振周波数(以下、「消灯時共振周波数」と呼ぶ。)fr1よりも充分に高い初期周波数fpから、消灯時共振周波数fr1よりも高く且つ初期周波数fpよりも低い所定の始動周波数fs1まで徐々に動作周波数fを低下させるという始動スイープ動作が行われる。これにより、動作点は図17の点A1から点A2へと徐々に変化し、二次電圧|Vo|は所定の初期電圧Vpから所定の始動電圧Vsまで上昇する。また、制御部4は、始動スイープ動作の終了後は動作周波数fを始動周波数fr1に維持する。上記の始動電圧Vsは、放電灯Laが点灯(放電)を開始(すなわち始動)することができる程度に十分に高い電圧とされる。
【0012】
そして、全ての放電灯Laが点灯した状態(以下、「点灯状態」と呼ぶ。)では、二次電圧Vと動作周波数fとの関係は、図17に曲線cで示すようなものとなり、点灯状態への移行直後の動作点は図17に点C1で示すものとなる。この点灯状態では、制御部4は、例えば外部から入力される調光信号に応じて、動作周波数fを変化させる。これにより、各放電灯Laへの入力電力が変化し、従って各放電灯Laの光出力が変化する。
【0013】
バランサTは、点灯した放電灯Laと未点灯の放電灯Laとが混在している状態(以下、「半点灯状態」と呼ぶ。)では未点灯の放電灯Laへの入力電圧を増加させて点灯状態への移行を促進させ、点灯状態では放電灯La間での入力電力の不均衡を抑えて光出力を平均化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−218333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、上記の半点灯状態では、二次電圧|Vo|と動作周波数fとの関係は、図17に曲線bで示すように、消灯状態での曲線aの共振周波数fr1よりも高い共振周波数fr2を有するものとなる。この結果、動作点がB1で示すようなものとなって二次電圧|Vo|が消灯状態での値Vsよりも高い値Vs1となり、未点灯の放電灯Laに過剰な電気的ストレスがかかってしまう可能性があった。また、上記のような二次電圧Vs1により、点灯中の放電灯Laに流れる電流も増加するから、このとき光出力が一時的に高くなることで使用者に不快感を与える可能性もある。
【0016】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、始動時に放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる放電灯点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の放電灯点灯装置は、複数個の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、それぞれ一端が一個ずつの前記放電灯の一端に接続される複数本の巻線を有するバランサと、前記バランサの各巻線についてそれぞれ前記巻線と前記放電灯との直列回路の両端間に接続されて前記各直列回路とともに共振回路を構成する共振部と、直流電源と前記共振部との間に介在して少なくとも1個のスイッチング素子を含み該スイッチング素子のオンオフに伴って前記直流電源と前記共振部との接続を切り替えるスイッチング部と、前記スイッチング部の前記各スイッチング素子をそれぞれオンオフ駆動することによって前記共振部から前記バランサの巻線を介して前記各放電灯に交流電力を供給させる駆動部と、前記駆動部の動作の周波数を制御することによって前記各放電灯に出力される交流電力の周波数を制御する制御部と、前記複数個の放電灯のうち一部の放電灯での点灯の開始を検出する点灯検出部とを備え、前記制御部は、前記点灯検出部によって点灯の開始が検出されたとき、前記駆動部の動作の周波数を高くするものであって、前記周波数を高くする幅は、前記周波数を変化させなかった場合よりも前記共振部の出力電圧の実効値が低下する程度に充分に大きくされていることを特徴とする。
【0018】
また、この放電灯点灯装置において、両端がそれぞれ前記バランサの一本ずつの巻線と前記放電灯との接続点に接続されたコンデンサを備えることが望ましい。
【0019】
さらに、この放電灯点灯装置において、全ての放電灯が消灯した消灯状態の開始を検出する消灯検出部を備え、前記制御部は前記消灯検出部によって消灯状態の開始が検出されてから所定の遅延時間が経過したときに、前記駆動部の動作の周波数を、前記点灯検出部において半点灯状態の開始が検出される前の周波数まで低下させることが望ましい。
【0020】
また、この放電灯点灯装置において、前記バランサは検出用巻線を有し、前記点灯検出部は、前記検出用巻線の両端電圧の実効値が所定の点灯判定電圧を上回ったときに点灯の開始を検出するものであることが望ましい。
【0021】
さらに、この放電灯点灯装置において、前記制御部は、前記検出用巻線の両端電圧の実効値が所定の消灯判定電圧を下回ったときに、前記駆動部の動作の周波数を低くするものであって、前記消灯判定電圧は、前記点灯判定電圧よりも低くされていることが望ましい。
【0022】
また、この放電灯点灯装置において、前記制御部は、前記検出用巻線の両端電圧の実効値と前記点灯判定電圧との差が大きいほど、前記駆動部の動作の周波数を高くすることが望ましい。
【0023】
さらに、この放電灯点灯装置において、前記点灯検出部は前記放電灯側から前記共振部への入力電流の実効値が所定の点灯判定電流を上回ったときに半点灯状態の開始を検出することが望ましい。
【0024】
本発明の照明器具は、上記いずれかの放電灯点灯装置と、この放電灯点灯装置を保持する器具本体とを備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
点灯の開始が検出されたとき、スイッチング部の各スイッチング素子を駆動する駆動部の動作の周波数を高くすることで共振部の出力電圧の実効値を低下させるので、駆動部の動作の周波数を高くしない場合に比べ、始動時に放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1を示す回路ブロック図である。
【図2】同上において動作周波数fと共振部の出力電圧Voの実効値|Vo|との関係を示す説明図である。
【図3】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図4】同上の変更例を示す回路ブロック図である。
【図5】放電灯が2個である場合における図4の例の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態2を示す回路ブロック図である。
【図7】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態3を示す回路ブロック図である。
【図9】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態4を示す回路ブロック図である。
【図11】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Va及び閾値電圧Vthと、トランジスタQ3のオンオフ状態と、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図12】同上の変更例を示す回路ブロック図である。
【図13】同上の別の変更例を示す回路ブロック図である。
【図14】同上の更に別の変更例を示す回路ブロック図である。
【図15】同上を用いた照明器具の一例を示す斜視図である。
【図16】従来例を示す回路ブロック図である。
【図17】同上において動作周波数fと共振部の出力電圧Voの実効値|Vo|との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
なお、以下では点灯させる放電灯Laが2個の場合を例に挙げているが、バランサTの巻線と放電灯Laとの直列回路を適宜追加すれば、3個以上の放電灯Laを点灯させる構成とすることもできる。
【0029】
(実施形態1)
本実施形態の基本構成は、図16で説明した従来例と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0030】
本実施形態においては、図1に示すように、制御部4は、2個の抵抗R1,R2の直列回路を介してグランドに接続され少なくとも始動スイープ動作の終了後は一定電圧に維持される制御端子Rstrを有し、この制御端子Rstrから流出する電流が多いほど動作周波数fを高くするように駆動部3を制御する。つまり、上記の制御端子Rstrとグランドとの間のインピーダンスが低いほど、動作周波数fが高くされる。
【0031】
また、本実施形態は、放電灯Laの点灯を検出する点灯検出部5を備える。本実施形態における点灯検出部5は、放電灯Laの点灯状態に応じた検出電圧Vaを出力する光センサ51と、抵抗を介して検出電圧Vaがベースに入力されたnpn形のトランジスタQ3とを備える。上記の光センサ51は、出力電圧(以下、「検出電圧」と呼ぶ。)Vaを、放電灯Laのうち少なくとも1個が点灯している期間にはHレベルとし、全ての放電灯Laが消灯している期間にはLレベルとするものである。このような光センサ51は、例えばフォトダイオードのような感光素子を用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。上記のトランジスタQ3は、コレクタが上記の抵抗R1,R2の接続点に接続されるとともにエミッタがグランドに接続されている。
【0032】
つまり、検出電圧VaがHレベルである期間(すなわち放電灯Laの点灯が検出されている期間)にはトランジスタQ3がオンされることで動作周波数fが高くされる。すなわち、検出電圧VaがLレベルからHレベルとなった直後は一方の放電灯Laのみが点灯した半点灯状態であると見なしている。
【0033】
以下、図2及び図3を用いて本実施形態の動作を説明する。なお、図3は、横軸は全て時間であり、縦軸は、上から順に、一方の放電灯Laの両端電圧VL1、一方の放電灯Laに流れる電流IL1、他方の放電灯Laの両端電圧VL2、他方の放電灯Laに流れる電流IL2、検出電圧Va、動作周波数fである。
【0034】
制御部4は、放電灯Laの点灯を開始させる際、従来例と同様に、消灯時共振周波数fr1よりも充分に高い初期周波数fpから、消灯時共振周波数fr1よりも高く且つ初期周波数fpよりも低い所定の始動周波数fs1まで所定の時間(図3でのt1〜t2)をかけて徐々に動作周波数fを低下させるという始動スイープ動作を行う。
【0035】
また、制御部4は、始動スイープ動作の終了後、点灯検出部5において放電灯Laの点灯が検出されて検出電圧VaがHレベルとなるタイミングt4までは動作周波数fを始動周波数fs1に維持する。
【0036】
さらに、制御部4は、一方の放電灯Laが点灯したタイミングt3の直後のタイミングt4において点灯検出部5において放電灯Laの点灯が検出されて検出電圧VaがHレベルとなりトランジスタQ3がオンされると(つまり半点灯状態の開始が検出されると)、動作周波数fを始動周波数fs1よりも高い第2始動周波数fs2とする。この第2始動周波数fs2は、半点灯状態での共振周波数(以下、「半点灯時共振周波数」と呼ぶ。)fr2よりも高く、且つ、動作周波数fを始動周波数fs1のままとした場合の二次電圧(すなわち図2での動作点B1での二次電圧)Vs1よりも低い二次電圧Vs2となるような動作周波数fとされる。これにより、動作点は図2に点B2で示すものとなり、その後に点灯状態に移行すると動作点は点C2で示すものとなる。
【0037】
さらに、点灯状態の開始を検出する点灯完了検出手段(図示せず)を設けるとともに、点灯完了検出手段によって点灯状態の開始が検出された後には制御部4が外部から入力される調光信号に従って駆動部3を制御するようにしたり、動作開始から所定時間が経過しても点灯状態の開始が検出されない場合に制御部4が駆動部3の動作を停止させてスイッチング部1の各スイッチング素子Q1,Q2をそれぞれオフ状態に維持するようにしてもよい。上記のような点灯完了検出手段は周知技術で実現可能であるので、図示並びに説明は省略する。
【0038】
上記構成によれば、半点灯状態の開始が検出されたときに動作周波数fが変更されない場合に比べ、半点灯状態の開始時に二次電圧|Vo|が抑えられることで各放電灯Laにかかる電気的ストレスが抑えられる。同時に、先に点灯した放電灯Laに流れる電流も抑えられることになるから、光出力が一時的に高くなることでの不快感を使用者に与えにくい。
【0039】
なお、点灯検出部5は、上記のような光センサ51が出力する検出電圧Vaに代えて、図4に示すように、放電灯La側から共振部2への入力電流(すなわち、全ての放電灯Laに流れる電流IL1,IL2が合成された電流)IL1+IL2をダイオードにより半波整流した電流を抵抗により変換してコンデンサにより平滑した検出電圧Vaを用いるものとしてもよい。この場合、図5に示すように、上記の検出電圧Vaが、トランジスタQ3においてオンに必要なベース−エミッタ電圧(以下、「オン電圧」と呼ぶ。)Vbeに達したときt4に、トランジスタQ3がオンされて動作周波数fが高くされる。つまり、トランジスタQ3のオン電圧Vbeを、上記の入力電流IL1+IL2の実効値に対する検出電圧Vaの比で除した電流が、点灯判定電流である。
【0040】
ここで、図1の例と図4の例とのいずれにおいても、半点灯状態から放電灯Laの立ち消えにより消灯状態に移行すると、動作周波数fは即座に始動周波数fs1に戻る。従って、消灯状態と半点灯状態との間での移行が頻繁に発生すると、動作周波数fの切替も頻繁に行われることとなり、二次電圧Voの振幅が不安定となって各放電灯Laや各回路部品に過剰な電気的ストレスがかかってしまう可能性がある。そこで、トランジスタQ3のゲートの前段に適宜の遅延回路(図示せず)を挿入し、消灯状態と判定されるような検出電圧Vaの低下状態が所定の遅れ時間だけ継続するまでは動作周波数fが第2始動周波数fs2のままに維持され、検出電圧Vaの低下状態が上記の遅れ時間だけ継続したときに動作周波数fが始動周波数fs1に戻されるようにしてもよい。この構成を採用すれば、上記のような過剰な電気的ストレスを避けつつも、消灯状態の継続時間が上記の遅れ時間以上に及んだときには動作周波数fが始動周波数fs1に戻されることで再度の始動が可能となる。図1の例と図4の例とのいずれでも、上記構成が採用された場合、検出電圧Vaを生成する回路(図1の例では光センサ51)が消灯検出部となり、検出電圧VaがトランジスタQ3のオン電圧Vbeを下回ったことが消灯状態の開始の検出を意味する。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、図6に示すように、バランサTにおいて、それぞれ放電灯Laに接続された他の巻線に対し例えば共通の鉄心に巻回されることで磁気的に結合された検出用巻線が設けられている。
【0043】
また、本実施形態の点灯検出部5は、光センサ51を用いる代わりに、上記の検出用巻線の両端電圧を半波整流及び平滑することで、検出用巻線の両端電圧の実効値に比例する電圧である検出電圧Vaを生成するものである。また、検出電圧Vaは、ツェナーダイオードZDと抵抗とを介してトランジスタQ3のベースに接続されている。すなわち、上記の検出電圧VaがツェナーダイオードZDのツェナー電圧VZDとトランジスタQ3のオン電圧Vbeとの和(以下、「基準電圧」と呼ぶ。)VZD+Vbeを上回っている期間にのみ、トランジスタQ3がオンされて動作周波数fが高くされる。つまり、上記の基準電圧VZD+Vbeを、検出用巻線の両端電圧の実効値に対する検出電圧Vaの比(以下、「検出比」と呼ぶ。)で除した電圧が、点灯判定電圧である。上記のツェナー電圧VZDは、少なくとも消灯状態から半点灯状態への移行時にトランジスタQ3がオンされるように決定されている。つまり、本実施形態でも、トランジスタQ3がオフ状態からオフ状態に切り替えられたことが、半点灯状態の開始が検出されたことを意味する。
【0044】
ここで、本実施形態における検出電圧Vaは、図7に示すように、消灯状態や点灯状態では略0Vとなり、半点灯状態では消灯状態や点灯状態よりも高い値となる。そして、本実施形態では、半点灯状態でのみトランジスタQ3がオンされるように、各回路部品が選択されている。つまり、本実施形態では、消灯状態から半点灯状態への移行直後t4に動作周波数fが高くされた分だけ、半点灯状態から点灯状態への移行直後t6に動作周波数fが低くされる。
【0045】
なお、トランジスタQ3がオン状態になった後に検出電圧Vaに関わらずトランジスタQ3のオン状態を維持するような適宜のラッチ回路(図示せず)を追加すれば、半点灯状態から点灯状態への移行直後t6の放電灯Laの光出力の変化を防ぐことも可能である。上記のようなラッチ回路は例えばRSフリップフロップ回路を用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0046】
(実施形態3)
本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、トランジスタQ3を用いる代わりに、図8に示すように、オペアンプOPを用いて構成された反転増幅回路を用いている。すなわち、上記のオペアンプOPは、反転入力端子に抵抗を介して検出電圧Vaが入力され、非反転入力端子に所定の参照電圧Vref1が入力され、出力端子と反転入力端子とがコンデンサを介して接続され、出力端子はカソードをオペアンプOPに向けたダイオードと抵抗R4とを介して制御部4の制御端子Rstrに接続されている。また、制御部4の制御端子Rstrは、実施形態1や実施形態2での抵抗R1,R2の直列回路と同等の抵抗値を有する抵抗R3を介してグランドに接続されている。つまり、検出電圧Vaが参照電圧Vref1を上回ってオペアンプOPの出力端子が負電圧となることが、半点灯状態が検出されたことを意味し、参照電圧Vref1がすなわち点灯判定電圧である。
【0048】
ここで、定格電力が互いに異なる(つまりインピーダンスが互いに異なる)複数種類の放電灯Laを接続可能とする場合、半点灯状態において、既に点灯した放電灯Laのインピーダンスが低いほど、未点灯の放電灯Laの両端電圧VL2が高くなりやすい。
【0049】
これに対し、本実施形態では、図9に示すように、既に点灯した放電灯Laの両端電圧VL1の実効値と未点灯の放電灯Laの両端電圧VL2の実効値との差が大きいほど、検出電圧Vaと点灯判定電圧としての参照電圧Vref1との差が大きくなることにより、オペアンプOPの出力端子の電圧が低くなって制御部4の制御端子Rstrから流出する電流が増加し、動作周波数fが高くされる。
【0050】
すなわち、半点灯状態において、既に点灯した放電灯Laのインピーダンスが低いほど、動作周波数fが高くされて未点灯の放電灯Laの両端電圧VL2が抑えられる。
【0051】
(実施形態4)
本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、図10に示すように、非反転入力端子に検出電圧Vaが入力され、反転入力端子に所定の制御電圧Vccが抵抗により分圧された閾値電圧Vthが入力されるとともに、出力端子が抵抗を介してトランジスタQ3のベースに接続されたコンパレータCPを備える。
【0053】
また、上記の閾値電圧Vthを分圧する抵抗のうち低電圧側の抵抗には、ベースがコンパレータCPの出力端子に接続されたnpn型のトランジスタ(以下、「閾値変更用トランジスタ」と呼ぶ。)Q4と抵抗との直列回路が並列に接続されている。すなわち、コンパレータCPの出力がHレベルである期間には閾値変更用トランジスタQ4がオンされることで、図11に示すように、閾値電圧Vthが、コンパレータCPの出力がLレベルである期間の閾値電圧(以下、「点灯判定電圧」と呼ぶ。)Vth1よりも低い閾値電圧(以下、「消灯判定電圧」と呼ぶ。)Vth2とされる。つまり、トランジスタQ3がオフ状態である期間中に検出電圧Vaが上昇して点灯判定電圧Vth1に達したときにトランジスタQ3がオンされ、トランジスタQ3がオン状態である期間中に検出電圧Vaが低下して消灯判定電圧Vth2に達したときにトランジスタQ3がオフされる。
【0054】
さらに、トランジスタQ3と抵抗R2との並列回路には、さらに、コンデンサ(以下、「時定数用コンデンサ」と呼ぶ。)C4が並列に接続されている。この時定数用コンデンサC4の時定数により、トランジスタQ3がオフされた直後には動作周波数fは始動周波数fs1まで徐々に低下する。
【0055】
上記構成によれば、点灯検出部5によって点灯の開始が検出された(つまりトランジスタQ3がオンされた)後に検出電圧Vaが低下してトランジスタQ3のオン時の条件を満たさなくなった(つまり、検出電圧Vaが点灯判定電圧Vth1を下回った)タイミングから、トランジスタQ3がオフされて制御部4が動作周波数fを低下させるタイミングまでの時間が、実施形態2よりも長くなる。また、先に点灯した一方の放電灯Laにおいて瞬間的な立ち消えが発生して検出電圧Vaが点灯判定電圧Vth1に達しても、検出電圧Vaがより低い消灯判定電圧Vth2に達しなければ、動作周波数fは、始動周波数fs1に低下されることなく、第2始動周波数fs2に維持される。これにより、閾値電圧Vthの変更が行われない場合に比べ、半点灯状態から立ち消えで消灯状態に移行するといったことが繰り返されたときに各放電灯Laや各回路部品にかかる電気的なストレスが抑えられる。また、検出電圧Vaが消灯判定電圧Vth2まで低下すれば動作周波数fが始動周波数fs1に戻されるので、動作周波数fが始動周波数fs1に戻されることがない場合と違い、半点灯状態から立ち消えが発生して消灯状態に移行した場合であっても再始動が可能である。
【0056】
なお、上記のように閾値電圧Vthが変化する構成を採用する代わりに、コンパレータCPの出力がHレベルからLレベルに変化してから所定の遅れ時間後にトランジスタQ3をオフするような適宜の遅延回路をコンパレータCPとトランジスタQ3との間に挿入しても、同様の効果が得られる。上記のような遅延回路は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明並びに図示は省略する。
【0057】
ところで、バランサTのインダクタンスを大きくすると、点灯状態での放電灯La間の光出力の差をより小さくすることができるが、半点灯状態で未点灯の放電灯Laにかかる電圧も大きくなってしまう。そこで、特許文献1と同様に、上記の各実施形態において、それぞれ、図12に示すように、両端がそれぞれバランサTの一本ずつの巻線と放電灯Laとの接続点に接続されたコンデンサC3を追加してもよい。この構成を採用すれば、バランサTのインダクタンスを過剰に大きくすることなく、点灯状態での放電灯La間の光出力の差を小さくすることができる。ここで、図1のように上記のコンデンサC3を設けない場合、半点灯状態では、未点灯の放電灯La及びバランサTにおいて未点灯の放電灯Laに接続された巻線には電流が流れないことにより、共振部2は、点灯した放電灯LaとバランサTの巻線との直列回路とともに共振回路を構成する。これに対し、上記のコンデンサC3を設けた場合には、半点灯状態で構成される共振回路は、上記の共振回路において、バランサTの巻線のうち未点灯の放電灯Laに接続された巻線と上記のコンデンサC3との直列回路が、バランサTの巻線のうち点灯した放電灯Laに接続された巻線に対して並列に接続されたものとなる。また、上記の場合においては、特許文献1にも記載されているように、想定される動作周波数fの最大値fdimと、バランサTのインダクタンスと上記のコンデンサC3との並列共振周波数f0とが、0.8×fdim≦f0≦1.6×fdimとなるように、コンデンサC3の容量値を決定することが望ましい。
【0058】
さらに、共振部2においてインダクタL1とバランサTの各巻線との間に第2コンデンサC2を設ける代わりに、図13や図14に示すように、バランサTの各巻線と放電灯Laとの間に、それぞれ第2コンデンサC2が等分(図の場合は2等分)されたキャパシタンスを有するコンデンサC2a,C2bを挿入してもよい。
【0059】
ここで、図12〜図14には、それぞれ、実施形態1における図1の例に変更を適用した場合について図示しているが、実施形態1における図4の例や実施形態2〜実施形態4にも同様の変更が適用可能である。
【0060】
なお、回路構成は上記に限られず、例えば、スイッチング部1を1個のスイッチング素子で構成した一石式のインバータ回路を用いてもよい。又は、2個ずつのスイッチング素子からなる直列回路が2個並列に接続されたスイッチング部1と、上記の各直列回路のスイッチング素子同士の接続点間に接続された共振部2とを有する、いわゆるフルブリッジ形のインバータ回路を用いてもよい。さらに、制御部4と点灯検出部5とについても、制御部4は点灯検出部5の出力を直接入力されて該出力に応じて動作周波数fを切り替えるような構成としてもよい。上記のような変更は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0061】
上記の各種の放電灯点灯装置は、図15に示すような照明器具6に用いることができる。詳しく説明すると、図15の照明器具6は、放電灯点灯装置を構成するスイッチング部1や共振部2やバランサT等の各回路部品をそれぞれ収納及び保持した直方体形状の器具本体61と、それぞれ直接又はバランサTの巻線を介して共振部2の出力端に電気的に接続されるとともに器具本体61の一面側に保持されて直管型の放電灯Laの一端ずつに電気的且つ機械的に接続される4個のソケット62とを備える。器具本体61において各ソケット62を保持した面(すなわち各放電灯Laがそれぞれ配置される側の面であり、図15での下面)は、放電灯Laの光を乱反射又は全反射する。上記のような照明器具6は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0062】
1 スイッチング部
2 共振部
3 駆動部
4 制御部
5 点灯検出部
6 照明器具
61 器具本体
E 直流電源
La 放電灯
Q1,Q2 スイッチング素子
T バランサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及びそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電灯とともに共振回路を構成する共振部と、直流電源と共振部との間に介在して少なくとも1個のスイッチング素子を含み該スイッチング素子のオンオフに伴って直流電源と共振部との接続を切り替えるスイッチング部とを備え、スイッチング部の動作で上記の共振回路に発生する共振により上記の直流電源の直流電力を交流電力に変換し、この交流電力によって放電灯を点灯させる放電灯点灯装置が提供されている。
【0003】
さらに、図16に示すように、1個のスイッチング部1を用いて複数個(図では2個)の放電灯Laを点灯させる放電灯点灯装置であって、各放電灯LaがそれぞれバランサTを介して共振部2に接続されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
詳しく説明すると、各放電灯Laは、それぞれ熱陰極型の放電灯であり、一対の電極としてのフィラメントを有する。
【0005】
スイッチング部1はそれぞれnチャネル型のMOSFETからなる2個のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路からなり、直流電源Eの両端間に接続されている。また、直流電源Eの低電圧側の出力端は、グランドに接続されている。
【0006】
直流電源Eとしては電池を用いてもよいし、外部から入力された電力を所定電圧の直流電力に変換する直流電源回路を用いてもよい。いずれの場合にも直流電源Eは周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0007】
バランサTは、例えば共通の鉄心(図示せず)に巻回されることにより互いに磁気的に結合された複数本の巻線を有する、いわゆるバランサトランスである。
【0008】
また、共振部2は、スイッチング部1のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に一端が接続されたインダクタL1と、インダクタL1の他端に一端が接続されるとともに他端がグランドに接続された第1コンデンサC1と、一端がインダクタL1と第1コンデンサC1との接続点に接続されて他端がバランサTの各巻線の一端に接続された第2コンデンサC2とを備える。バランサTの各巻線の他端は、それぞれ1本ずつの放電灯Laを介してグランドに接続される。すなわち、第2コンデンサC2の上記他端と、第1コンデンサC1の上記他端とがそれぞれ共振部2の出力端となっており、各放電灯Laは、それぞれ、バランサTの1本ずつの巻線との直列回路として共振部2の出力端間に接続される。
【0009】
すなわち、スイッチング部1と共振部2とでいわゆるハーフブリッジ形のインバータ回路が構成されているのであり、スイッチング部1のスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンオフ駆動されること(つまり、常に少なくとも一方のスイッチング素子Q1,Q2がオフされ、且つ、2個のスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンされるように、各スイッチング素子Q1,Q2が周期的に駆動されること)で、共振部2がバランサTや各放電灯Laとともに構成する共振回路の作用により直流電源Eの直流電力が高周波の交流電力に変換されて各放電灯Laに入力される。
【0010】
さらに、上記の放電灯点灯装置は、スイッチング部1の各スイッチング素子Q1,Q2のゲートに接続されて各スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフ駆動する駆動部3と、駆動部3による上記のオンオフ駆動の周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)を制御する制御部4とを備える。上記のような駆動部3及び制御部4はそれぞれ周知の電気回路で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0011】
上記の制御部4の動作を説明する。いずれの放電灯Laも点灯していない状態(以下、「消灯状態」と呼ぶ。)では、共振部2の出力電圧Vの実効値(以下、「二次電圧」と呼ぶ。)|Vo|と動作周波数fとの関係は、図17に曲線aで示すようなものとなる。制御部4は、消灯状態から各放電灯Laの点灯を開始させる際に、消灯状態での共振周波数(以下、「消灯時共振周波数」と呼ぶ。)fr1よりも充分に高い初期周波数fpから、消灯時共振周波数fr1よりも高く且つ初期周波数fpよりも低い所定の始動周波数fs1まで徐々に動作周波数fを低下させるという始動スイープ動作が行われる。これにより、動作点は図17の点A1から点A2へと徐々に変化し、二次電圧|Vo|は所定の初期電圧Vpから所定の始動電圧Vsまで上昇する。また、制御部4は、始動スイープ動作の終了後は動作周波数fを始動周波数fr1に維持する。上記の始動電圧Vsは、放電灯Laが点灯(放電)を開始(すなわち始動)することができる程度に十分に高い電圧とされる。
【0012】
そして、全ての放電灯Laが点灯した状態(以下、「点灯状態」と呼ぶ。)では、二次電圧Vと動作周波数fとの関係は、図17に曲線cで示すようなものとなり、点灯状態への移行直後の動作点は図17に点C1で示すものとなる。この点灯状態では、制御部4は、例えば外部から入力される調光信号に応じて、動作周波数fを変化させる。これにより、各放電灯Laへの入力電力が変化し、従って各放電灯Laの光出力が変化する。
【0013】
バランサTは、点灯した放電灯Laと未点灯の放電灯Laとが混在している状態(以下、「半点灯状態」と呼ぶ。)では未点灯の放電灯Laへの入力電圧を増加させて点灯状態への移行を促進させ、点灯状態では放電灯La間での入力電力の不均衡を抑えて光出力を平均化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−218333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、上記の半点灯状態では、二次電圧|Vo|と動作周波数fとの関係は、図17に曲線bで示すように、消灯状態での曲線aの共振周波数fr1よりも高い共振周波数fr2を有するものとなる。この結果、動作点がB1で示すようなものとなって二次電圧|Vo|が消灯状態での値Vsよりも高い値Vs1となり、未点灯の放電灯Laに過剰な電気的ストレスがかかってしまう可能性があった。また、上記のような二次電圧Vs1により、点灯中の放電灯Laに流れる電流も増加するから、このとき光出力が一時的に高くなることで使用者に不快感を与える可能性もある。
【0016】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、始動時に放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる放電灯点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の放電灯点灯装置は、複数個の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、それぞれ一端が一個ずつの前記放電灯の一端に接続される複数本の巻線を有するバランサと、前記バランサの各巻線についてそれぞれ前記巻線と前記放電灯との直列回路の両端間に接続されて前記各直列回路とともに共振回路を構成する共振部と、直流電源と前記共振部との間に介在して少なくとも1個のスイッチング素子を含み該スイッチング素子のオンオフに伴って前記直流電源と前記共振部との接続を切り替えるスイッチング部と、前記スイッチング部の前記各スイッチング素子をそれぞれオンオフ駆動することによって前記共振部から前記バランサの巻線を介して前記各放電灯に交流電力を供給させる駆動部と、前記駆動部の動作の周波数を制御することによって前記各放電灯に出力される交流電力の周波数を制御する制御部と、前記複数個の放電灯のうち一部の放電灯での点灯の開始を検出する点灯検出部とを備え、前記制御部は、前記点灯検出部によって点灯の開始が検出されたとき、前記駆動部の動作の周波数を高くするものであって、前記周波数を高くする幅は、前記周波数を変化させなかった場合よりも前記共振部の出力電圧の実効値が低下する程度に充分に大きくされていることを特徴とする。
【0018】
また、この放電灯点灯装置において、両端がそれぞれ前記バランサの一本ずつの巻線と前記放電灯との接続点に接続されたコンデンサを備えることが望ましい。
【0019】
さらに、この放電灯点灯装置において、全ての放電灯が消灯した消灯状態の開始を検出する消灯検出部を備え、前記制御部は前記消灯検出部によって消灯状態の開始が検出されてから所定の遅延時間が経過したときに、前記駆動部の動作の周波数を、前記点灯検出部において半点灯状態の開始が検出される前の周波数まで低下させることが望ましい。
【0020】
また、この放電灯点灯装置において、前記バランサは検出用巻線を有し、前記点灯検出部は、前記検出用巻線の両端電圧の実効値が所定の点灯判定電圧を上回ったときに点灯の開始を検出するものであることが望ましい。
【0021】
さらに、この放電灯点灯装置において、前記制御部は、前記検出用巻線の両端電圧の実効値が所定の消灯判定電圧を下回ったときに、前記駆動部の動作の周波数を低くするものであって、前記消灯判定電圧は、前記点灯判定電圧よりも低くされていることが望ましい。
【0022】
また、この放電灯点灯装置において、前記制御部は、前記検出用巻線の両端電圧の実効値と前記点灯判定電圧との差が大きいほど、前記駆動部の動作の周波数を高くすることが望ましい。
【0023】
さらに、この放電灯点灯装置において、前記点灯検出部は前記放電灯側から前記共振部への入力電流の実効値が所定の点灯判定電流を上回ったときに半点灯状態の開始を検出することが望ましい。
【0024】
本発明の照明器具は、上記いずれかの放電灯点灯装置と、この放電灯点灯装置を保持する器具本体とを備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
点灯の開始が検出されたとき、スイッチング部の各スイッチング素子を駆動する駆動部の動作の周波数を高くすることで共振部の出力電圧の実効値を低下させるので、駆動部の動作の周波数を高くしない場合に比べ、始動時に放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1を示す回路ブロック図である。
【図2】同上において動作周波数fと共振部の出力電圧Voの実効値|Vo|との関係を示す説明図である。
【図3】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図4】同上の変更例を示す回路ブロック図である。
【図5】放電灯が2個である場合における図4の例の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態2を示す回路ブロック図である。
【図7】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態3を示す回路ブロック図である。
【図9】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Vaと、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態4を示す回路ブロック図である。
【図11】放電灯が2個である場合における同上の動作を示す説明図であり、先に点灯した放電灯における両端電圧VL1及び電流値IL1と、後に点灯した放電灯における両端電圧VL2及び電流値IL2と、検出電圧Va及び閾値電圧Vthと、トランジスタQ3のオンオフ状態と、動作周波数fとの時間変化を示す説明図である。
【図12】同上の変更例を示す回路ブロック図である。
【図13】同上の別の変更例を示す回路ブロック図である。
【図14】同上の更に別の変更例を示す回路ブロック図である。
【図15】同上を用いた照明器具の一例を示す斜視図である。
【図16】従来例を示す回路ブロック図である。
【図17】同上において動作周波数fと共振部の出力電圧Voの実効値|Vo|との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
なお、以下では点灯させる放電灯Laが2個の場合を例に挙げているが、バランサTの巻線と放電灯Laとの直列回路を適宜追加すれば、3個以上の放電灯Laを点灯させる構成とすることもできる。
【0029】
(実施形態1)
本実施形態の基本構成は、図16で説明した従来例と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0030】
本実施形態においては、図1に示すように、制御部4は、2個の抵抗R1,R2の直列回路を介してグランドに接続され少なくとも始動スイープ動作の終了後は一定電圧に維持される制御端子Rstrを有し、この制御端子Rstrから流出する電流が多いほど動作周波数fを高くするように駆動部3を制御する。つまり、上記の制御端子Rstrとグランドとの間のインピーダンスが低いほど、動作周波数fが高くされる。
【0031】
また、本実施形態は、放電灯Laの点灯を検出する点灯検出部5を備える。本実施形態における点灯検出部5は、放電灯Laの点灯状態に応じた検出電圧Vaを出力する光センサ51と、抵抗を介して検出電圧Vaがベースに入力されたnpn形のトランジスタQ3とを備える。上記の光センサ51は、出力電圧(以下、「検出電圧」と呼ぶ。)Vaを、放電灯Laのうち少なくとも1個が点灯している期間にはHレベルとし、全ての放電灯Laが消灯している期間にはLレベルとするものである。このような光センサ51は、例えばフォトダイオードのような感光素子を用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。上記のトランジスタQ3は、コレクタが上記の抵抗R1,R2の接続点に接続されるとともにエミッタがグランドに接続されている。
【0032】
つまり、検出電圧VaがHレベルである期間(すなわち放電灯Laの点灯が検出されている期間)にはトランジスタQ3がオンされることで動作周波数fが高くされる。すなわち、検出電圧VaがLレベルからHレベルとなった直後は一方の放電灯Laのみが点灯した半点灯状態であると見なしている。
【0033】
以下、図2及び図3を用いて本実施形態の動作を説明する。なお、図3は、横軸は全て時間であり、縦軸は、上から順に、一方の放電灯Laの両端電圧VL1、一方の放電灯Laに流れる電流IL1、他方の放電灯Laの両端電圧VL2、他方の放電灯Laに流れる電流IL2、検出電圧Va、動作周波数fである。
【0034】
制御部4は、放電灯Laの点灯を開始させる際、従来例と同様に、消灯時共振周波数fr1よりも充分に高い初期周波数fpから、消灯時共振周波数fr1よりも高く且つ初期周波数fpよりも低い所定の始動周波数fs1まで所定の時間(図3でのt1〜t2)をかけて徐々に動作周波数fを低下させるという始動スイープ動作を行う。
【0035】
また、制御部4は、始動スイープ動作の終了後、点灯検出部5において放電灯Laの点灯が検出されて検出電圧VaがHレベルとなるタイミングt4までは動作周波数fを始動周波数fs1に維持する。
【0036】
さらに、制御部4は、一方の放電灯Laが点灯したタイミングt3の直後のタイミングt4において点灯検出部5において放電灯Laの点灯が検出されて検出電圧VaがHレベルとなりトランジスタQ3がオンされると(つまり半点灯状態の開始が検出されると)、動作周波数fを始動周波数fs1よりも高い第2始動周波数fs2とする。この第2始動周波数fs2は、半点灯状態での共振周波数(以下、「半点灯時共振周波数」と呼ぶ。)fr2よりも高く、且つ、動作周波数fを始動周波数fs1のままとした場合の二次電圧(すなわち図2での動作点B1での二次電圧)Vs1よりも低い二次電圧Vs2となるような動作周波数fとされる。これにより、動作点は図2に点B2で示すものとなり、その後に点灯状態に移行すると動作点は点C2で示すものとなる。
【0037】
さらに、点灯状態の開始を検出する点灯完了検出手段(図示せず)を設けるとともに、点灯完了検出手段によって点灯状態の開始が検出された後には制御部4が外部から入力される調光信号に従って駆動部3を制御するようにしたり、動作開始から所定時間が経過しても点灯状態の開始が検出されない場合に制御部4が駆動部3の動作を停止させてスイッチング部1の各スイッチング素子Q1,Q2をそれぞれオフ状態に維持するようにしてもよい。上記のような点灯完了検出手段は周知技術で実現可能であるので、図示並びに説明は省略する。
【0038】
上記構成によれば、半点灯状態の開始が検出されたときに動作周波数fが変更されない場合に比べ、半点灯状態の開始時に二次電圧|Vo|が抑えられることで各放電灯Laにかかる電気的ストレスが抑えられる。同時に、先に点灯した放電灯Laに流れる電流も抑えられることになるから、光出力が一時的に高くなることでの不快感を使用者に与えにくい。
【0039】
なお、点灯検出部5は、上記のような光センサ51が出力する検出電圧Vaに代えて、図4に示すように、放電灯La側から共振部2への入力電流(すなわち、全ての放電灯Laに流れる電流IL1,IL2が合成された電流)IL1+IL2をダイオードにより半波整流した電流を抵抗により変換してコンデンサにより平滑した検出電圧Vaを用いるものとしてもよい。この場合、図5に示すように、上記の検出電圧Vaが、トランジスタQ3においてオンに必要なベース−エミッタ電圧(以下、「オン電圧」と呼ぶ。)Vbeに達したときt4に、トランジスタQ3がオンされて動作周波数fが高くされる。つまり、トランジスタQ3のオン電圧Vbeを、上記の入力電流IL1+IL2の実効値に対する検出電圧Vaの比で除した電流が、点灯判定電流である。
【0040】
ここで、図1の例と図4の例とのいずれにおいても、半点灯状態から放電灯Laの立ち消えにより消灯状態に移行すると、動作周波数fは即座に始動周波数fs1に戻る。従って、消灯状態と半点灯状態との間での移行が頻繁に発生すると、動作周波数fの切替も頻繁に行われることとなり、二次電圧Voの振幅が不安定となって各放電灯Laや各回路部品に過剰な電気的ストレスがかかってしまう可能性がある。そこで、トランジスタQ3のゲートの前段に適宜の遅延回路(図示せず)を挿入し、消灯状態と判定されるような検出電圧Vaの低下状態が所定の遅れ時間だけ継続するまでは動作周波数fが第2始動周波数fs2のままに維持され、検出電圧Vaの低下状態が上記の遅れ時間だけ継続したときに動作周波数fが始動周波数fs1に戻されるようにしてもよい。この構成を採用すれば、上記のような過剰な電気的ストレスを避けつつも、消灯状態の継続時間が上記の遅れ時間以上に及んだときには動作周波数fが始動周波数fs1に戻されることで再度の始動が可能となる。図1の例と図4の例とのいずれでも、上記構成が採用された場合、検出電圧Vaを生成する回路(図1の例では光センサ51)が消灯検出部となり、検出電圧VaがトランジスタQ3のオン電圧Vbeを下回ったことが消灯状態の開始の検出を意味する。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、図6に示すように、バランサTにおいて、それぞれ放電灯Laに接続された他の巻線に対し例えば共通の鉄心に巻回されることで磁気的に結合された検出用巻線が設けられている。
【0043】
また、本実施形態の点灯検出部5は、光センサ51を用いる代わりに、上記の検出用巻線の両端電圧を半波整流及び平滑することで、検出用巻線の両端電圧の実効値に比例する電圧である検出電圧Vaを生成するものである。また、検出電圧Vaは、ツェナーダイオードZDと抵抗とを介してトランジスタQ3のベースに接続されている。すなわち、上記の検出電圧VaがツェナーダイオードZDのツェナー電圧VZDとトランジスタQ3のオン電圧Vbeとの和(以下、「基準電圧」と呼ぶ。)VZD+Vbeを上回っている期間にのみ、トランジスタQ3がオンされて動作周波数fが高くされる。つまり、上記の基準電圧VZD+Vbeを、検出用巻線の両端電圧の実効値に対する検出電圧Vaの比(以下、「検出比」と呼ぶ。)で除した電圧が、点灯判定電圧である。上記のツェナー電圧VZDは、少なくとも消灯状態から半点灯状態への移行時にトランジスタQ3がオンされるように決定されている。つまり、本実施形態でも、トランジスタQ3がオフ状態からオフ状態に切り替えられたことが、半点灯状態の開始が検出されたことを意味する。
【0044】
ここで、本実施形態における検出電圧Vaは、図7に示すように、消灯状態や点灯状態では略0Vとなり、半点灯状態では消灯状態や点灯状態よりも高い値となる。そして、本実施形態では、半点灯状態でのみトランジスタQ3がオンされるように、各回路部品が選択されている。つまり、本実施形態では、消灯状態から半点灯状態への移行直後t4に動作周波数fが高くされた分だけ、半点灯状態から点灯状態への移行直後t6に動作周波数fが低くされる。
【0045】
なお、トランジスタQ3がオン状態になった後に検出電圧Vaに関わらずトランジスタQ3のオン状態を維持するような適宜のラッチ回路(図示せず)を追加すれば、半点灯状態から点灯状態への移行直後t6の放電灯Laの光出力の変化を防ぐことも可能である。上記のようなラッチ回路は例えばRSフリップフロップ回路を用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0046】
(実施形態3)
本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、トランジスタQ3を用いる代わりに、図8に示すように、オペアンプOPを用いて構成された反転増幅回路を用いている。すなわち、上記のオペアンプOPは、反転入力端子に抵抗を介して検出電圧Vaが入力され、非反転入力端子に所定の参照電圧Vref1が入力され、出力端子と反転入力端子とがコンデンサを介して接続され、出力端子はカソードをオペアンプOPに向けたダイオードと抵抗R4とを介して制御部4の制御端子Rstrに接続されている。また、制御部4の制御端子Rstrは、実施形態1や実施形態2での抵抗R1,R2の直列回路と同等の抵抗値を有する抵抗R3を介してグランドに接続されている。つまり、検出電圧Vaが参照電圧Vref1を上回ってオペアンプOPの出力端子が負電圧となることが、半点灯状態が検出されたことを意味し、参照電圧Vref1がすなわち点灯判定電圧である。
【0048】
ここで、定格電力が互いに異なる(つまりインピーダンスが互いに異なる)複数種類の放電灯Laを接続可能とする場合、半点灯状態において、既に点灯した放電灯Laのインピーダンスが低いほど、未点灯の放電灯Laの両端電圧VL2が高くなりやすい。
【0049】
これに対し、本実施形態では、図9に示すように、既に点灯した放電灯Laの両端電圧VL1の実効値と未点灯の放電灯Laの両端電圧VL2の実効値との差が大きいほど、検出電圧Vaと点灯判定電圧としての参照電圧Vref1との差が大きくなることにより、オペアンプOPの出力端子の電圧が低くなって制御部4の制御端子Rstrから流出する電流が増加し、動作周波数fが高くされる。
【0050】
すなわち、半点灯状態において、既に点灯した放電灯Laのインピーダンスが低いほど、動作周波数fが高くされて未点灯の放電灯Laの両端電圧VL2が抑えられる。
【0051】
(実施形態4)
本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、図10に示すように、非反転入力端子に検出電圧Vaが入力され、反転入力端子に所定の制御電圧Vccが抵抗により分圧された閾値電圧Vthが入力されるとともに、出力端子が抵抗を介してトランジスタQ3のベースに接続されたコンパレータCPを備える。
【0053】
また、上記の閾値電圧Vthを分圧する抵抗のうち低電圧側の抵抗には、ベースがコンパレータCPの出力端子に接続されたnpn型のトランジスタ(以下、「閾値変更用トランジスタ」と呼ぶ。)Q4と抵抗との直列回路が並列に接続されている。すなわち、コンパレータCPの出力がHレベルである期間には閾値変更用トランジスタQ4がオンされることで、図11に示すように、閾値電圧Vthが、コンパレータCPの出力がLレベルである期間の閾値電圧(以下、「点灯判定電圧」と呼ぶ。)Vth1よりも低い閾値電圧(以下、「消灯判定電圧」と呼ぶ。)Vth2とされる。つまり、トランジスタQ3がオフ状態である期間中に検出電圧Vaが上昇して点灯判定電圧Vth1に達したときにトランジスタQ3がオンされ、トランジスタQ3がオン状態である期間中に検出電圧Vaが低下して消灯判定電圧Vth2に達したときにトランジスタQ3がオフされる。
【0054】
さらに、トランジスタQ3と抵抗R2との並列回路には、さらに、コンデンサ(以下、「時定数用コンデンサ」と呼ぶ。)C4が並列に接続されている。この時定数用コンデンサC4の時定数により、トランジスタQ3がオフされた直後には動作周波数fは始動周波数fs1まで徐々に低下する。
【0055】
上記構成によれば、点灯検出部5によって点灯の開始が検出された(つまりトランジスタQ3がオンされた)後に検出電圧Vaが低下してトランジスタQ3のオン時の条件を満たさなくなった(つまり、検出電圧Vaが点灯判定電圧Vth1を下回った)タイミングから、トランジスタQ3がオフされて制御部4が動作周波数fを低下させるタイミングまでの時間が、実施形態2よりも長くなる。また、先に点灯した一方の放電灯Laにおいて瞬間的な立ち消えが発生して検出電圧Vaが点灯判定電圧Vth1に達しても、検出電圧Vaがより低い消灯判定電圧Vth2に達しなければ、動作周波数fは、始動周波数fs1に低下されることなく、第2始動周波数fs2に維持される。これにより、閾値電圧Vthの変更が行われない場合に比べ、半点灯状態から立ち消えで消灯状態に移行するといったことが繰り返されたときに各放電灯Laや各回路部品にかかる電気的なストレスが抑えられる。また、検出電圧Vaが消灯判定電圧Vth2まで低下すれば動作周波数fが始動周波数fs1に戻されるので、動作周波数fが始動周波数fs1に戻されることがない場合と違い、半点灯状態から立ち消えが発生して消灯状態に移行した場合であっても再始動が可能である。
【0056】
なお、上記のように閾値電圧Vthが変化する構成を採用する代わりに、コンパレータCPの出力がHレベルからLレベルに変化してから所定の遅れ時間後にトランジスタQ3をオフするような適宜の遅延回路をコンパレータCPとトランジスタQ3との間に挿入しても、同様の効果が得られる。上記のような遅延回路は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明並びに図示は省略する。
【0057】
ところで、バランサTのインダクタンスを大きくすると、点灯状態での放電灯La間の光出力の差をより小さくすることができるが、半点灯状態で未点灯の放電灯Laにかかる電圧も大きくなってしまう。そこで、特許文献1と同様に、上記の各実施形態において、それぞれ、図12に示すように、両端がそれぞれバランサTの一本ずつの巻線と放電灯Laとの接続点に接続されたコンデンサC3を追加してもよい。この構成を採用すれば、バランサTのインダクタンスを過剰に大きくすることなく、点灯状態での放電灯La間の光出力の差を小さくすることができる。ここで、図1のように上記のコンデンサC3を設けない場合、半点灯状態では、未点灯の放電灯La及びバランサTにおいて未点灯の放電灯Laに接続された巻線には電流が流れないことにより、共振部2は、点灯した放電灯LaとバランサTの巻線との直列回路とともに共振回路を構成する。これに対し、上記のコンデンサC3を設けた場合には、半点灯状態で構成される共振回路は、上記の共振回路において、バランサTの巻線のうち未点灯の放電灯Laに接続された巻線と上記のコンデンサC3との直列回路が、バランサTの巻線のうち点灯した放電灯Laに接続された巻線に対して並列に接続されたものとなる。また、上記の場合においては、特許文献1にも記載されているように、想定される動作周波数fの最大値fdimと、バランサTのインダクタンスと上記のコンデンサC3との並列共振周波数f0とが、0.8×fdim≦f0≦1.6×fdimとなるように、コンデンサC3の容量値を決定することが望ましい。
【0058】
さらに、共振部2においてインダクタL1とバランサTの各巻線との間に第2コンデンサC2を設ける代わりに、図13や図14に示すように、バランサTの各巻線と放電灯Laとの間に、それぞれ第2コンデンサC2が等分(図の場合は2等分)されたキャパシタンスを有するコンデンサC2a,C2bを挿入してもよい。
【0059】
ここで、図12〜図14には、それぞれ、実施形態1における図1の例に変更を適用した場合について図示しているが、実施形態1における図4の例や実施形態2〜実施形態4にも同様の変更が適用可能である。
【0060】
なお、回路構成は上記に限られず、例えば、スイッチング部1を1個のスイッチング素子で構成した一石式のインバータ回路を用いてもよい。又は、2個ずつのスイッチング素子からなる直列回路が2個並列に接続されたスイッチング部1と、上記の各直列回路のスイッチング素子同士の接続点間に接続された共振部2とを有する、いわゆるフルブリッジ形のインバータ回路を用いてもよい。さらに、制御部4と点灯検出部5とについても、制御部4は点灯検出部5の出力を直接入力されて該出力に応じて動作周波数fを切り替えるような構成としてもよい。上記のような変更は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0061】
上記の各種の放電灯点灯装置は、図15に示すような照明器具6に用いることができる。詳しく説明すると、図15の照明器具6は、放電灯点灯装置を構成するスイッチング部1や共振部2やバランサT等の各回路部品をそれぞれ収納及び保持した直方体形状の器具本体61と、それぞれ直接又はバランサTの巻線を介して共振部2の出力端に電気的に接続されるとともに器具本体61の一面側に保持されて直管型の放電灯Laの一端ずつに電気的且つ機械的に接続される4個のソケット62とを備える。器具本体61において各ソケット62を保持した面(すなわち各放電灯Laがそれぞれ配置される側の面であり、図15での下面)は、放電灯Laの光を乱反射又は全反射する。上記のような照明器具6は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0062】
1 スイッチング部
2 共振部
3 駆動部
4 制御部
5 点灯検出部
6 照明器具
61 器具本体
E 直流電源
La 放電灯
Q1,Q2 スイッチング素子
T バランサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、
それぞれ一端が一個ずつの前記放電灯の一端に接続される複数本の巻線を有するバランサと、
前記バランサの各巻線についてそれぞれ前記巻線と前記放電灯との直列回路の両端間に接続されて前記各直列回路とともに共振回路を構成する共振部と、
直流電源と前記共振部との間に介在して少なくとも1個のスイッチング素子を含み該スイッチング素子のオンオフに伴って前記直流電源と前記共振部との接続を切り替えるスイッチング部と、
前記スイッチング部の前記各スイッチング素子をそれぞれオンオフ駆動することによって前記共振部から前記バランサの巻線を介して前記各放電灯に交流電力を供給させる駆動部と、
前記駆動部の動作の周波数を制御することによって前記各放電灯に出力される交流電力の周波数を制御する制御部と、
前記複数個の放電灯のうち一部の放電灯のみが点灯した半点灯状態の開始を検出する点灯検出部とを備え、
前記制御部は、前記点灯検出部によって半点灯状態の開始が検出されたとき、前記駆動部の動作の周波数を高くするものであって、前記周波数を高くする幅は、前記周波数を変化させなかった場合よりも前記共振部の出力電圧の実効値が低下する程度に充分に大きくされていることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
両端がそれぞれ前記バランサの一本ずつの巻線と前記放電灯との接続点に接続されたコンデンサを備えることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
全ての放電灯が消灯した消灯状態の開始を検出する消灯検出部を備え、
前記制御部は前記消灯検出部によって消灯状態の開始が検出されてから所定の遅延時間が経過したときに、前記駆動部の動作の周波数を、前記点灯検出部において半点灯状態の開始が検出される前の周波数まで低下させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記バランサは検出用巻線を有し、
前記点灯検出部は、前記検出用巻線の両端電圧の整流及び平滑により得られた検出電圧が所定の点灯判定電圧を上回ったときに半点灯状態の開始を検出するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出電圧が所定の消灯判定電圧を下回ったときに、前記駆動部の動作の周波数を低くするものであって、
前記消灯判定電圧は、前記点灯判定電圧よりも低くされていることを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出電圧と前記点灯判定電圧との差が大きいほど、前記駆動部の動作の周波数を高くすることを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記点灯検出部は前記放電灯側から前記共振部への入力電流の実効値が所定の点灯判定電流を上回ったときに半点灯状態の開始を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、この放電灯点灯装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【請求項1】
複数個の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、
それぞれ一端が一個ずつの前記放電灯の一端に接続される複数本の巻線を有するバランサと、
前記バランサの各巻線についてそれぞれ前記巻線と前記放電灯との直列回路の両端間に接続されて前記各直列回路とともに共振回路を構成する共振部と、
直流電源と前記共振部との間に介在して少なくとも1個のスイッチング素子を含み該スイッチング素子のオンオフに伴って前記直流電源と前記共振部との接続を切り替えるスイッチング部と、
前記スイッチング部の前記各スイッチング素子をそれぞれオンオフ駆動することによって前記共振部から前記バランサの巻線を介して前記各放電灯に交流電力を供給させる駆動部と、
前記駆動部の動作の周波数を制御することによって前記各放電灯に出力される交流電力の周波数を制御する制御部と、
前記複数個の放電灯のうち一部の放電灯のみが点灯した半点灯状態の開始を検出する点灯検出部とを備え、
前記制御部は、前記点灯検出部によって半点灯状態の開始が検出されたとき、前記駆動部の動作の周波数を高くするものであって、前記周波数を高くする幅は、前記周波数を変化させなかった場合よりも前記共振部の出力電圧の実効値が低下する程度に充分に大きくされていることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
両端がそれぞれ前記バランサの一本ずつの巻線と前記放電灯との接続点に接続されたコンデンサを備えることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
全ての放電灯が消灯した消灯状態の開始を検出する消灯検出部を備え、
前記制御部は前記消灯検出部によって消灯状態の開始が検出されてから所定の遅延時間が経過したときに、前記駆動部の動作の周波数を、前記点灯検出部において半点灯状態の開始が検出される前の周波数まで低下させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記バランサは検出用巻線を有し、
前記点灯検出部は、前記検出用巻線の両端電圧の整流及び平滑により得られた検出電圧が所定の点灯判定電圧を上回ったときに半点灯状態の開始を検出するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出電圧が所定の消灯判定電圧を下回ったときに、前記駆動部の動作の周波数を低くするものであって、
前記消灯判定電圧は、前記点灯判定電圧よりも低くされていることを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出電圧と前記点灯判定電圧との差が大きいほど、前記駆動部の動作の周波数を高くすることを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記点灯検出部は前記放電灯側から前記共振部への入力電流の実効値が所定の点灯判定電流を上回ったときに半点灯状態の開始を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、この放電灯点灯装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−233265(P2011−233265A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100260(P2010−100260)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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