放電用電極
【課題】 耐久性の高い放電電極の提供
【解決手段】 光触媒を及び微量添加剤を含むチタン合金で作成された放電用電極
【選択図面】 なし
【解決手段】 光触媒を及び微量添加剤を含むチタン合金で作成された放電用電極
【選択図面】 なし
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電を利用したイオンの発生などに用いられる電極に関する。
【背景技術】
【0002】
放電現象を利用したイオン発生装置は、集塵装置やマイナスイオン発生装置などに用いられている。本願発明の対象となる放電電極は、高電圧を印加することによって放電する放電現象を発生させる電極である。放電は、対向する複数の放電電極間で発生させることができるし、一つの放電電極でも可能である。
通常は、針状や線状の電極に放電間隔を置いて対向する平板や筒状の電極を配置し、両電極間に高電圧を印加すると、両電極間に放電が生ずることとなる。直流でも交流でも発生し、プラス放電かマイナス放電かによって放電現象に差異が生ずる。針状電極のみに高電圧を印加した場合には、空中へ向かって放電が発生する。
電極材質は、主として陰極はタングステン線を使用し、陽極は腐蝕の問題が発生するため、ガラス管を誘電体として被覆する形状にし陽極板を保護する通常ガラス管方式なるものが使用されていたが、誘電体そのものが絶縁体に属するので、多大のエネルギーを必要とした。
【0003】
それでも陰極側は空気に接触しているため、これに高電圧がかかることにより化学的に腐蝕を防止することは不可能な状態である。即ち、タングステン線は自然と痩せ衰え断線という大きな問題が残っていた。
その後、開発が一段と進化し、セラミックスの焼成技術が開発され、このセラミックスとアルミナ粉体との結合により半導体の如く性質を利用し、セラミックス電極が生まれた。しかしながら、セラミックスといっても必ずや焼成により内部構造がボーラスの状態になるため、内部の多孔部分にオゾンガスが浸透することによってアルミナ粉体が酸化アルミに還元され、これが大きな抵抗体となることにより寿命が短縮する欠点が生じるものである。
【0004】
提案されている放電電極としては、次のようなものがある。
特許文献1(特許第3321187号公報)には、タングステン電極の表面にニッケル被覆を施して高電圧を印加してコロナ放電させてイオン発生する電極の摩耗を防止する放電電極が開示されている。
特許文献2(特許第3115664号公報)には、消耗を防止できる非金属製の放電電極として珪素を芯としてその周囲に炭化珪素を被覆した電極が開示されている。
特許文献3(特許第3046951号公報)には、針状電極と環状電極の表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を蒸着した電極が開示され、コロナ放電によってマイナスイオンとオゾンを発生させ、光触媒機能を発揮せしめることが開示されている。
【0005】
本出願人は、マイナスイオン発生装置について、研究開発を長年継続しており、電極の構成について特許文献4(特許第3017146号公報)に示す簡単な構造でありながら独創的で効果的な発明を提案してきた。本発明者はさらに研究開発を継続し、マイナスイオン発生量、耐久性などの性能改善に努めている。
【0006】
【特許文献1】特許第3321187号公報
【特許文献2】特許第3115664号公報
【特許文献3】特許第3046951号公報
【特許文献4】特許第3017146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光触媒について着目した従来の発明は、電極材料とは別に光触媒層を設けるものである。電極の耐久性を向上させ、寿命の長い高性能な電極を提供するものは見あたらない。
本願発明は、電極の耐久性を向上させ、寿命の長い高性能な電極であって、成形性の高い放電電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を基本とするものである。
(1) 光触媒及び微量添加剤を含むチタン合金で作成されたことを特徴とする放電用電極。
(2)光触媒が酸化チタンであることを特徴とする(1)記載の放電用電極。
(3)微量添加剤が、Fe、C、Ni、Zy、Cr、Pd、Inから選ばれた1又は複数を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載された放電用電極。
(4)微量添加剤の添加量が0.4〜30重量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載された放電用電極。
(5)酸化チタンが4.0〜30重量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載された放電用電極。
(6)放電電極は、形状を針状、鋸歯状、先端を尖端状、線状、棒状、板状、メッシュ状、穴開き板状、リング状、筒状、円筒状のいずれかであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載された放電用電極。
(7)板状電極又は穴開き板状電極の板は、厚みが1〜7mmであることを特徴とする(6)記載の放電用電極。
(8)厚みが3〜7mmであることを特徴とする(7)記載の放電用電極。
(9)放電がコロナ放電であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の放電用電極。
【発明の効果】
【0009】
1.耐久性の高い放電用電極である。
2.光触媒が素材の一部となっているので、光触媒層の破損や放電腐食による脱落が発生せず、光触媒の機能も放電電極の寿命と同じになる。
3.機械加工性を向上させた光触媒を取り込んだチタン合金を利用した放電電極である。地金を作っておけば、電極の設計に応じて成形加工ができる。
4.本発明の放電電極を利用した放電に伴い、マイナスイオンの発生量の増加、風速の増加、紫外線の発光、オゾンの発生があるので、これらの生成物等の機能を利用した作用・効果が提供できる。
5.耐久性の向上、マイナスイオンとオゾンの生成、紫外線の発光及び光触媒の機能を併せ持っているので、これらの複数の要素の相乗効果を発揮する。
6.小型、軽量、静穏、省エネルギーのマイナスイオン発生器を提供でき、限定された空間や他の機器、壁や天井などに組み込むことができる。例えば、自動車の車内、トイレ、便座、タンス、生鮮食品保存ケース、厨房、居住空間、事務室、喫煙所、病院、美容・理容室、電車内、ペット飼育室、ペットショップ、飲食店、生鮮食品店、娯楽施設等が挙げられる。
7.消臭、消煙、除菌、環境改善、環境保全などの作用効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<電極の組成>
本発明に用いられる電極の組成は、チタンを主とし、光触媒及び微量元素を添加したチタン合金である。
組成例を次の表1に示す。
組成例1〜6、9は、鍛造して板厚0.8mmまでひび割れも無く、圧延することができた。薄板から筒状への成形加工もでき、機械加工性に優れている。
組成例7、8は、薄く圧延することは困難で、ヒビ割れが生じやすい。厚手の板状の電極として利用可能である。
【0011】
【表1】
【0012】
<光触媒>
光触媒としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、センレン化カドミウム、硫化カドミウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛を利用することができる。
光触媒の添加量は、4〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。特に、酸化チタンが実用的である。
【0013】
<微量元素>
微量添加剤として、Fe、C、Ni、Zy、Cr、Pd、Inが挙げられる。
微量添加剤の添加量は、全体としては0.4〜30重量%、好ましくは、1.5〜26重量%、さらに好ましくは4.0〜6.0重量%である。
【0014】
<電極の物理的特性>
本発明の放電用電極に用いる酸化チタン及び微量元素を含むチタン合金の物理的な性質は、前記組成例4を例に採ると次のようなものである。この特性は、組成比によって変化するので、例示にすぎない。
熔解点(℃) 約900〜1200℃
密度(g/cm3 ) 4.2
ヤング率(kgf/mm2) 11×102
電気抵抗(μΩcm) 160
電気伝導率(Cuに比較%) 1.0
比重 4.51
比熱 0.13
透磁率 1.0
【0015】
<放電電極素材の微細組織構造>
鍛造圧延後の断面顕微鏡写真を図1に示す。その模試的作図を図2に示す。
これによると各元素が均一に分布していることが解り、酸化チタンも内部に取り込まれている様子が解る。これによって、放電電極の表面が破壊されても、酸化チタンが無くなることはなく継続して光触媒機能を発揮できることが解る。
【0016】
<放電電極素材の製造方法>
本発明の電極素材の製造方法は、チタン合金の製法に準じて行われる。次に一例を示す。
組成物を微粉化して混合し、溶解し、冷却し、鋳塊を製造し、圧錬し、分塊を圧延してスラブを製作する。
【0017】
筒状の電極などの薄い素材を用いる放電電極用には、このスラブを熱間圧延し、焼鈍し、酸洗い、冷間圧延して所望の厚みの薄板とする。この薄板を、筒状電極であれば、パイプ状に形成し、溶接して所定径の長尺のパイプが完成する。さらに、所定の長さに切断して筒状の放電電極を作成することができる。針状や線状の場合は、薄板を線状に切断して、さらに成形加工を施して所定の形状、大きさに加工して得られる。
【0018】
また、数ミリメートルの厚さの板状体を作成する場合は、前記のスラブを熱間圧延して所望の厚さの板と成し、これを空冷及び湯入れして作成する。実用の電極加工は、さらに、所望の大きさに裁断し、穴開け加工などを施して加工する。
【0019】
<焼鈍処理>
一般的に金属の焼鈍は内部ひずみの除去と加工組織の回復、再結晶をおこさせる処理である。チタン合金の焼鈍処理は、組織の安定化、製品寸法の安定化切削性及び機械的性質の向上のため実施する。高温に曝し、それから徐々に空冷を施し、溶体化処理をする。これは、元素をマトリックス中にとけ込ませ均一な固溶体にする熱処理である。やや高温に曝した後に水冷を施して完成する。
【0020】
<機械加工特性>
プレス加工は、約500〜700℃の範囲が容易である。プレスによる成型は、パイプ加工や線状の断面成型にも有用な手段である。
チタンは熱伝導度が低く比熱が小さく、切削に伴う摩擦熱の発生量が多くなり、局所的に温度が上昇し易い性質があって、加工精度が悪く、機械加工が難しい材料である。本発明の放電用電極素材は、切削性が向上しており、ダイヤモンド工具、エンドミル用工具などの超硬合金バイスを用いることができる。
その様子を示すのが、切りくずの状態であって、切りくずの状態を純チタン材と本願発明の酸化チタンを含むチタン合金切りくずの状態を比較すると、従来の純チタン材では、切削切りくずの状態が、大きな鋸歯状となっているのに対して、本願発明の電極素材の切りくずは、小さな鋸歯状となっている。これから、本発明の配合の酸化チタンを含むチタン合金は、粘着度が向上した状態が示されており、切削加工面が滑らかに仕上がり、機械加工性が向上したことが示されている。
このため、プレスや切削・研削加工の他、鍛造ができ、機械加工性能の向上によって、筒状や針状の酸化チタンを含むチタン合金製の放電電極を製造することが容易に可能となった。
【0021】
本願発明は、機械加工性を向上させた光触媒を取り込んだチタン合金を利用した放電電極である。地金を作っておけば、電極の設計に応じて成形加工ができるものである。この放電電極は、放電に対する耐久性が向上し、長期間に渡って使用が可能である。光触媒層を別途に設ける工程が必要なく、光触媒が素材の一部となっているので、光触媒層の破損や放電腐食による脱落が発生しない。光触媒の機能も放電電極の寿命と同じになる。
【0022】
<放電電極の形状>
放電は単独の電極に高電圧を負荷して行う場合と対向放電電極間で行う場合とが想定され、本発明の電極は双方に用いることができる。具体的な形状は特に限定されるものではないが、放電劣化が激しい先端が尖っている針状や尖端形状、線状、鋸歯状、棒状などがある。これらに対向して設ける電極の形状としては、板状、メッシュ状、穴開き板状、リング状、筒状、円筒状があげられる。
特に、耐久性が求められる電極は先端が尖っているもの、筒、穴、リングなどでは主な放電箇所であるが角部である。放電によって角部は蚕食に劣化するものである。
放電電極の形状例を図3に示す。
【0023】
<応用>
本発明の放電電極の応用としては、放電特性を利用する各種の利用形態が挙げられる。マイナスイオン発生器、オゾン発生器、空気清浄器、集塵機、脱臭器、除菌・殺菌装置、除塵機等が挙げられ、そしてこれらを各種の設備や機器に組み込んで使用することができる。
マイナスイオンには、レナード効果といわれる環境改善効果、脱臭、殺菌、除菌、消臭、浮遊する塵埃にマイナス電荷を付与して電荷的に中和あるいはマイナス化して床や壁などのプラス電位(アース電位)に吸着させることによる沈着作用による除塵効果などがある。
オゾンには殺菌、脱臭、除菌、有害物質の分解作用などがある。ただし、オゾンは毒性が高いので、高濃度オゾンは、住環境へ拡散しないように密閉空間で使用するか、吸収分解して放出を防止することが必要である。ただし、微量のオゾンを一般生活環境へ放出する場合は有害菌の制菌効果が期待できるので、制御して放出する工夫を施すことが重要である。
【0024】
本発明の電極を利用してマイナス放電した場合には、多量のマイナスイオン、微量のオゾンを発生させることができ、生活環境に有用な機器を提供できる。
例えば、消臭作用、消煙作用、脱臭作用、除塵作用、除菌作用、制菌作用、殺菌作用は、マイナスイオン、オゾンによる機能に加えて、紫外線及び光触媒の機能による分解機能の相乗作用による効果を上げることができる。さらに、筒や穴状の形状など電極構造に工夫を加えることによって、マイナスイオンとオゾンをファンなしで、放出拡散できるので、その波及空間を広げることができる。
例えば、自動車の車内、トイレ、便座、タンス、生鮮食品保存ケース、厨房、居住空間、事務室、喫煙所、病院、美容・理容室、電車内、ペット飼育室、ペットショップ、飲食店、生鮮食品店、娯楽施設等が挙げられる。特に、マイナス放電に利用した場合には、電子ノイズの発生を抑えることができるので、電子機器や電子制御機器を使用する環境に適する。特に、機器の誤作動を防止する必要がある環境としては、自動車、電車、病院などを挙げることができる。
【0025】
<特性>
本発明の電極は、光触媒が素材中に均一に分布しているので、新たに光触媒物質を塗布などの手段により形成する必要が無く、破損や腐食した場合でも新たな面に光触媒が出現するので安定し、継続した光触媒が作用するマイナスイオン等の発生電極として機能する。
また、機械加工性を向上させたので、素材を必要な電極形状に後加工できる加工性を向上させることができた。
また、放電電極としては、マイナスイオン発生量が多く、耐久性が向上し、その他の性能においても優れている。
筒状や孔を設けた電極形状にあっては、マイナスイオンを含む風が発生し、ファンなどの送風器機を用いることなく放出が可能である。その結果、小型で省力化し、多用途への応用が可能となった。
【実施例1】
【0026】
組成例4の素材を用いて、穴を形成した板状電極1と同素材を用いた針状電極2を対向して放電電極を構成した。模式図を図4に示す。穴の直径φは19mmとする通し孔、対向間隔Sは3mmとした。板厚tを1〜7mmの7種類準備し、周波数4KC、電圧7.5KVの直流電圧を負極を針状電極2とし、正極を板状電極1として印加して、発生するマイナスイオン、オゾン、風速、付着塵埃量などを計測した。
【0027】
マイナスイオンの発生量を図5に示す。
マイナスイオン測定は、(株)ファインウェイ製 同軸二重円筒型タイプのFMイオンカウンターを使用した。
1mm厚の200,000個弱から7mm厚の600,000個弱まで、板厚の増加に伴って増加していることが解る。
【0028】
電流の変化を図6に示す。板厚1mmと板厚5mmについて、シンクロスコープを用いて計測した。
両者は、最高放電電流は約50μAと同じ程度であるが、5mm厚の方が長時間流れており、放電量としては、板厚の厚い方が多い結果を示している。この放電状態を模式的に示したのが、図7である。穴の内壁まで放電がなされ、放電面積が多い厚い板のほうが放電量が多くなったと考えられる。この結果が、図5のマイナスイオンの発生量とも関係するものと思われる。深さが深くなるに従い放電抵抗が大きくなるので、板厚の増加に従い増加量が減少する状況も図5によって示されている。
【0029】
オゾンの発生量を図8に示す。
オゾンの測定は、SEKIELECTRONICCOP社製 SOZ−3501モデルを使用した。
1mm厚の0.02ppmから3mm厚まで急激に減少して0.003ppmとなり、5mm厚の0.002ppmまで暫減し、6mm厚ではほぼ0に近くなるまで減少していることが解る。なお、別の実験によって針状電極を近づける(対向間隔を小さくする)とオゾンの発生量が増加することを確認した。
【0030】
筒状などの穴開き電極と針状電極を対向配置することにより、マイナスイオンを伴った風を発生させることができることは本発明者が先に提案している。本実施例の板厚の変化に応じた風速の変化を計測し、結果を図9に示す。測定器は、USA EMPEX社製 ウインドメッセを使用した。
1mm厚では、約1m/秒の風速が観測され、板厚が増加するにつれ風速も増し、7mm厚では4m/秒弱を観測した。ほぼ同程度の傾きで増加しているが、4mm厚以上では少し増加傾向が大きくなっている。
【0031】
コロナ放電によってマイナスに電荷した塵埃などの浮遊微小粒子が正電極側に引きつけられ一部が付着することになる。この塵埃の付着量を計測した結果を図10に示す。測定は化学天秤1/1000を使用し、6月間の連続放電の後に計測した。
1mm厚では、0.05g、4mm厚で0.1gを越え、7mm厚では0.3gを計測した。厚みが増すに従って増加量は大きくなり、4mm厚以上では増加傾向が大きくなっている。
【0032】
[比較例1]
比較例としてステンレスを用いた実験をした。電極形状は実施例と同じである。
実施例1のマイナスイオンの計測と同様の計測を行った結果を図11に示す。
1〜4mm厚までは極わずかであり、5mm厚で10000個/ccとなり、7mm厚では17000個/ccとなっている。
【0033】
この実施例1と比較例1とから、マイナスイオンの発生量に関しては、格段に実施例1の方が多いことが判明した。そして、連続放電を続けるとステンレス電極は蚕食された状態の腐食が発生するが、本実施例ではそのような腐食は観察されていない。別途、薄厚の筒状電極でステンレス電極と本発明の電極を比較した実験では、365日の連続放電の結果、ステンレス素材は約20〜28%の腐食率(重量減少率)に対し本発明の素材を用いたものは腐食が0%とほぼ観測されず、放電に対する耐久性が高いことが確認された。
また、本実施例の針状電極から、紫外線が発生していることも確認できた。例えば、波長365nmで1μWであり、この紫外線は酸化チタンが吸収する波長であるので、光触媒機能を活性化するものである。
【0034】
この実施例1の各データから、マイナスイオン量と風速を確保しオゾンの量を少なく押さえるためには3mm厚以上、即ち、穴の深さが3mmが好ましく、塵埃の吸着量を加味すると4mm以上がさらに好ましいという結果が得られた。
本実施例は、板状体に穴を研削する方法により作成した。この方法は、同じ径の筒を製作する場合、薄板になるまで圧延をかけ、パイプ状に曲げ加工して溶接、長さ切断をする必要があるのに対し、圧延工程を短くし、研削により穴を穿つことは、加工が容易であり、加工手段も少なくて済み、コストも削減できる。
【実施例2】
【0035】
組成例2に挙げた素材を用いた円筒状の筒状電極と針状電極を組み合わせた実施例である。図12に電極断面を、簡略図として説明する。
この実施例では、筒状電極の外径を19mm、内径17mm、筒の厚み1mm、長さLを20mmに形成した筒状電極1とし、針状電極の基部径を1.0mm、長さを13〜14mmに形成した針状電極2とした。この針状電極の先端をこの筒状電極の開口面から間隔Sをおいて配置している。この両電極間に直流の高電圧を高電圧な発生装置EVから印加して以下に述べる各種の試験を行い性能を確認した。針状電極の先端は、筒の中心軸及びその延長上に位置するようにする。
【0036】
<マイナスイオン、オゾン、風速の発生試験>
この電極構成を用いて、電圧7.5KVで周波数4KCの直流電圧を針状電極2にマイナス電圧、筒状電極にプラス電圧を印加し、両電極間の距離Sを変化させて、発生する風速、マイナスイオン量及びオゾン量を筒状電極の放出側開口部で測定した。
結果は、風速は、Sが3mmで最大の3m/secとなるほぼ放物線状の結果を示している。S=0では1m/sec以下の風速、針状電極2の先端が筒電極侵入が深くなると風速は減少する。
マイナスイオンの発生は、針状電極2が筒電極内部に侵入した位置では、約5万個/cc、外側では、5mmまではほぼ距離に比例して増加して60万個/cc、それ以上の距離では増加量が鈍る。
オゾンの発生は、S=マイナス4mmで、0.008ppmの最高値を示し、5mmで0.001ppmと、離れるに従い減少している。
マイナスイオンとオゾンの挙動とは逆であるので、どちらの活用を重視するかによって、両電極間の距離を決定することができる。風速を重視するならば3mm前後を選択する。ファン無しで、マイナスイオンを遠くへ放出するには、3mm前後の間隔を離して両電極を設置すると、50万個/ccのマイナスイオンを約3m/secの風速で放出し、オゾンは0.003ppm弱とのバランスで発生させることできる装置を提供できる。
【0037】
<印加電圧、周波数とマイナスイオン発生との関係試験>
実施例2の電極配置において、両電極間隔を3mmとして印加する電圧を6〜9.5KV、周波数6〜12KCとして、マイナスイオンと風速を測定した。その結果を表2に示す。 高電圧、高周波数であるほど、マイナスイオン量、風速も大きくなる結果が得られた。
【0038】
【表2】
【0039】
<紫外線計測試験>
実施例2の電極配置において、両電極間隔を3mmとして、13KCと9KCの2種類の周波数を5〜10KVの間で電圧を変化させて発光する紫外線を測定した。結果を図13に示す。
13KCの周波数では、250nm〜500nm以下の波長の紫外線を計測し、9KCでは、250nm未満〜400nm未満の波長の紫外線を計測した。この結果200nm〜500nmの波長の紫外線を発光することができ、光触媒もこの波長に合わせて選択することができる。酸化チタンは、400nm以下の紫外線を吸収するので、9KCの周波数では、10KV以下の電圧、13KCの周波数では、9KV以下の電圧を使用することが適している。計測機器は、米国ウルトラバイオレット社製紫外線強時計(UVX型)を使用した。
【0040】
<電極材質によるマイナスイオン発生量比較試験>
実施例2の電極配置において、両電極間隔を3mmとし、同放電条件として、電極の材質を変えてマイナスイオン量の発生量を測定した。比較として、純チタン、ステンレスを用いた。
本実施例は50万個/ccを計測したのに対して、純チタンは21万個/cc、ステンレスは8.5万個/ccを計測した。本実施例の電極は、純チタンの2.4倍、ステンレスの5.9倍のマイナスイオンが発生していることがわかる。
【0041】
<消煙、消臭試験等>
実施例2の装置の電極間隔を3mmとし、同じ構成の電極、放電条件の放電装置を利用して、密閉容器内に煙草の煙を導入して消煙状況をカルモア臭気測定器を用いて測定した、測定結果を図14に示す。
煙草の煙が導入時に1150であったものが、3秒後に660とほぼ半減した。
このケースでは、30×40×30mm=36cm3という極めて狭い密閉空間で行った実験であったので、消臭は、煙が筒状電極を通過するときに、針状電極からの紫外線と筒状電極の光触媒機能が働いたものと推定される。同時にマイナスイオンとオゾンの機能もある。
トイレ臭の消臭試験も行い、速やかな消臭感が得られた。また、アンモニア、アセトアルデヒドなどの代表的な悪臭源に対する消臭試験も実施し、効果があることを確認した。ペットの飼育室でも試験を行い効果があることを確認した。その他、菌の増殖抑制効果、集塵効果も確認した。
【0042】
<放電耐食性試験>
電極の放電耐食性を調べる実験を行った。実施例2の装置の電極間隔を3mmとし、同じ構成の電極、同じ放電条件で60日間の連続放電試験を行った。筒状電極の腐食結果を腐食率の推移として図15に示す。
電極材料:本実施例、アルミ、ステンレス、チタン
測定方法:化学天秤 1/1000g
結果は、本実施例は、60日後も殆ど腐食が見られなかった。チタンは、60日後に3%程度の腐食が見られた。アルミとステンレスは、30日後に10%前後腐食が進み、60日後にはアルミ、ステンレス共に20%を超えている。
本実施例の電極には放電耐久性があり、長期間使用に耐えうることが裏付けられた。
【0043】
<連続使用性能試験>
電極の材質の違いによるマイナスイオン発生量の比較試験を行った。実施例2の装置の電極間隔を3mmとし、同じ構成の電極、同じ放電条件で90日間の連続放電を行いマイナスイオンの発生の経過試験を行った。筒状電極の放出側開口部で測定したマイナスイオン測定数の推移を図16に示す。
電極材料:本実施例、ステンレス、真鍮
結果は、本実施例は、50万個から最初はやや減少が見られるが、30日以降は約45万個で安定した。ステンレスパイプは15日後に40万個を切り、連続して減少し60日間後には約30万個、90日後には25万個となり半減した。真鍮パイプは、10日後には40万個を切り、その後も連続して減少し30日後には約30万個、60日後には20万個を切り、90日後には約10万個と急速に減少した。
これは、放電による腐食の影響と塵埃の吸着による放電の変化及び紫外線、光触媒の総合作用による効果と思われる。
本実施例の電極に放電には耐久性があり、長期間安定して使用に耐えうることが裏付けられた。
1mm厚の薄い材料を使用しているので、特に放電が端面に集中し、耐久性などの材質の特性が顕著に現れた結果であると推測される。
【実施例3】
【0044】
組成例2に挙げた素材を用いて針状電極を製造した例である。基部径を1.5mm、長さを25mmとして実施例2に示した針状電極よりも大きく形成した例である。対向電極を配置せずに負の高電圧を印加すると、短ビーム状の放電が発生しマイナスイオンが大量に生成されることが確認された。マイナスイオンの量は、離れる程減衰することも確認され、指向性は弱く、放電に伴う風速も発生しないので、マイナスイオンを分散させるためには、他の送風機器と組み合わせて用いることに適している。
図17に、本実施例3の針状電極2と実施例2に示した筒状電極1と針状電極2と対向配置したものを組み合せたマイナスイオン発生器の例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】電極素材断面顕微鏡写真
【図2】模式図
【図3】放電電極の形状例
【図4】実施例1の穴開き板状電極と針状電極を組み合せた放電電極の構成図
【図5】マイナスイオン発生量を示すグラフ
【図6】放電電流を示すグラフ
【図7】放電状態模式図
【図8】オゾン発生量を示すグラフ
【図9】風速を示すグラフ
【図10】塵埃付着量を示すグラフ
【図11】比較例1におけるマイナスイオン発生量を示すグラフ
【図12】実施例2の筒状電極と針状電極を組み合せた放電電極の構成図
【図13】紫外線の発生状態を示すグラフ
【図14】カルモア消臭測定グラフ
【図15】電極の腐食を示すグラフ
【図16】マイナスイオン発生量の経過日数変化を示すグラフ
【図17】マイナスイオン発生器の例
【符号の説明】
【0046】
1 筒状電極
2 針状電極
3 針状電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電を利用したイオンの発生などに用いられる電極に関する。
【背景技術】
【0002】
放電現象を利用したイオン発生装置は、集塵装置やマイナスイオン発生装置などに用いられている。本願発明の対象となる放電電極は、高電圧を印加することによって放電する放電現象を発生させる電極である。放電は、対向する複数の放電電極間で発生させることができるし、一つの放電電極でも可能である。
通常は、針状や線状の電極に放電間隔を置いて対向する平板や筒状の電極を配置し、両電極間に高電圧を印加すると、両電極間に放電が生ずることとなる。直流でも交流でも発生し、プラス放電かマイナス放電かによって放電現象に差異が生ずる。針状電極のみに高電圧を印加した場合には、空中へ向かって放電が発生する。
電極材質は、主として陰極はタングステン線を使用し、陽極は腐蝕の問題が発生するため、ガラス管を誘電体として被覆する形状にし陽極板を保護する通常ガラス管方式なるものが使用されていたが、誘電体そのものが絶縁体に属するので、多大のエネルギーを必要とした。
【0003】
それでも陰極側は空気に接触しているため、これに高電圧がかかることにより化学的に腐蝕を防止することは不可能な状態である。即ち、タングステン線は自然と痩せ衰え断線という大きな問題が残っていた。
その後、開発が一段と進化し、セラミックスの焼成技術が開発され、このセラミックスとアルミナ粉体との結合により半導体の如く性質を利用し、セラミックス電極が生まれた。しかしながら、セラミックスといっても必ずや焼成により内部構造がボーラスの状態になるため、内部の多孔部分にオゾンガスが浸透することによってアルミナ粉体が酸化アルミに還元され、これが大きな抵抗体となることにより寿命が短縮する欠点が生じるものである。
【0004】
提案されている放電電極としては、次のようなものがある。
特許文献1(特許第3321187号公報)には、タングステン電極の表面にニッケル被覆を施して高電圧を印加してコロナ放電させてイオン発生する電極の摩耗を防止する放電電極が開示されている。
特許文献2(特許第3115664号公報)には、消耗を防止できる非金属製の放電電極として珪素を芯としてその周囲に炭化珪素を被覆した電極が開示されている。
特許文献3(特許第3046951号公報)には、針状電極と環状電極の表面に酸化チタン又は酸化亜鉛を蒸着した電極が開示され、コロナ放電によってマイナスイオンとオゾンを発生させ、光触媒機能を発揮せしめることが開示されている。
【0005】
本出願人は、マイナスイオン発生装置について、研究開発を長年継続しており、電極の構成について特許文献4(特許第3017146号公報)に示す簡単な構造でありながら独創的で効果的な発明を提案してきた。本発明者はさらに研究開発を継続し、マイナスイオン発生量、耐久性などの性能改善に努めている。
【0006】
【特許文献1】特許第3321187号公報
【特許文献2】特許第3115664号公報
【特許文献3】特許第3046951号公報
【特許文献4】特許第3017146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光触媒について着目した従来の発明は、電極材料とは別に光触媒層を設けるものである。電極の耐久性を向上させ、寿命の長い高性能な電極を提供するものは見あたらない。
本願発明は、電極の耐久性を向上させ、寿命の長い高性能な電極であって、成形性の高い放電電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を基本とするものである。
(1) 光触媒及び微量添加剤を含むチタン合金で作成されたことを特徴とする放電用電極。
(2)光触媒が酸化チタンであることを特徴とする(1)記載の放電用電極。
(3)微量添加剤が、Fe、C、Ni、Zy、Cr、Pd、Inから選ばれた1又は複数を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載された放電用電極。
(4)微量添加剤の添加量が0.4〜30重量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載された放電用電極。
(5)酸化チタンが4.0〜30重量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載された放電用電極。
(6)放電電極は、形状を針状、鋸歯状、先端を尖端状、線状、棒状、板状、メッシュ状、穴開き板状、リング状、筒状、円筒状のいずれかであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載された放電用電極。
(7)板状電極又は穴開き板状電極の板は、厚みが1〜7mmであることを特徴とする(6)記載の放電用電極。
(8)厚みが3〜7mmであることを特徴とする(7)記載の放電用電極。
(9)放電がコロナ放電であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の放電用電極。
【発明の効果】
【0009】
1.耐久性の高い放電用電極である。
2.光触媒が素材の一部となっているので、光触媒層の破損や放電腐食による脱落が発生せず、光触媒の機能も放電電極の寿命と同じになる。
3.機械加工性を向上させた光触媒を取り込んだチタン合金を利用した放電電極である。地金を作っておけば、電極の設計に応じて成形加工ができる。
4.本発明の放電電極を利用した放電に伴い、マイナスイオンの発生量の増加、風速の増加、紫外線の発光、オゾンの発生があるので、これらの生成物等の機能を利用した作用・効果が提供できる。
5.耐久性の向上、マイナスイオンとオゾンの生成、紫外線の発光及び光触媒の機能を併せ持っているので、これらの複数の要素の相乗効果を発揮する。
6.小型、軽量、静穏、省エネルギーのマイナスイオン発生器を提供でき、限定された空間や他の機器、壁や天井などに組み込むことができる。例えば、自動車の車内、トイレ、便座、タンス、生鮮食品保存ケース、厨房、居住空間、事務室、喫煙所、病院、美容・理容室、電車内、ペット飼育室、ペットショップ、飲食店、生鮮食品店、娯楽施設等が挙げられる。
7.消臭、消煙、除菌、環境改善、環境保全などの作用効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<電極の組成>
本発明に用いられる電極の組成は、チタンを主とし、光触媒及び微量元素を添加したチタン合金である。
組成例を次の表1に示す。
組成例1〜6、9は、鍛造して板厚0.8mmまでひび割れも無く、圧延することができた。薄板から筒状への成形加工もでき、機械加工性に優れている。
組成例7、8は、薄く圧延することは困難で、ヒビ割れが生じやすい。厚手の板状の電極として利用可能である。
【0011】
【表1】
【0012】
<光触媒>
光触媒としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、センレン化カドミウム、硫化カドミウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛を利用することができる。
光触媒の添加量は、4〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。特に、酸化チタンが実用的である。
【0013】
<微量元素>
微量添加剤として、Fe、C、Ni、Zy、Cr、Pd、Inが挙げられる。
微量添加剤の添加量は、全体としては0.4〜30重量%、好ましくは、1.5〜26重量%、さらに好ましくは4.0〜6.0重量%である。
【0014】
<電極の物理的特性>
本発明の放電用電極に用いる酸化チタン及び微量元素を含むチタン合金の物理的な性質は、前記組成例4を例に採ると次のようなものである。この特性は、組成比によって変化するので、例示にすぎない。
熔解点(℃) 約900〜1200℃
密度(g/cm3 ) 4.2
ヤング率(kgf/mm2) 11×102
電気抵抗(μΩcm) 160
電気伝導率(Cuに比較%) 1.0
比重 4.51
比熱 0.13
透磁率 1.0
【0015】
<放電電極素材の微細組織構造>
鍛造圧延後の断面顕微鏡写真を図1に示す。その模試的作図を図2に示す。
これによると各元素が均一に分布していることが解り、酸化チタンも内部に取り込まれている様子が解る。これによって、放電電極の表面が破壊されても、酸化チタンが無くなることはなく継続して光触媒機能を発揮できることが解る。
【0016】
<放電電極素材の製造方法>
本発明の電極素材の製造方法は、チタン合金の製法に準じて行われる。次に一例を示す。
組成物を微粉化して混合し、溶解し、冷却し、鋳塊を製造し、圧錬し、分塊を圧延してスラブを製作する。
【0017】
筒状の電極などの薄い素材を用いる放電電極用には、このスラブを熱間圧延し、焼鈍し、酸洗い、冷間圧延して所望の厚みの薄板とする。この薄板を、筒状電極であれば、パイプ状に形成し、溶接して所定径の長尺のパイプが完成する。さらに、所定の長さに切断して筒状の放電電極を作成することができる。針状や線状の場合は、薄板を線状に切断して、さらに成形加工を施して所定の形状、大きさに加工して得られる。
【0018】
また、数ミリメートルの厚さの板状体を作成する場合は、前記のスラブを熱間圧延して所望の厚さの板と成し、これを空冷及び湯入れして作成する。実用の電極加工は、さらに、所望の大きさに裁断し、穴開け加工などを施して加工する。
【0019】
<焼鈍処理>
一般的に金属の焼鈍は内部ひずみの除去と加工組織の回復、再結晶をおこさせる処理である。チタン合金の焼鈍処理は、組織の安定化、製品寸法の安定化切削性及び機械的性質の向上のため実施する。高温に曝し、それから徐々に空冷を施し、溶体化処理をする。これは、元素をマトリックス中にとけ込ませ均一な固溶体にする熱処理である。やや高温に曝した後に水冷を施して完成する。
【0020】
<機械加工特性>
プレス加工は、約500〜700℃の範囲が容易である。プレスによる成型は、パイプ加工や線状の断面成型にも有用な手段である。
チタンは熱伝導度が低く比熱が小さく、切削に伴う摩擦熱の発生量が多くなり、局所的に温度が上昇し易い性質があって、加工精度が悪く、機械加工が難しい材料である。本発明の放電用電極素材は、切削性が向上しており、ダイヤモンド工具、エンドミル用工具などの超硬合金バイスを用いることができる。
その様子を示すのが、切りくずの状態であって、切りくずの状態を純チタン材と本願発明の酸化チタンを含むチタン合金切りくずの状態を比較すると、従来の純チタン材では、切削切りくずの状態が、大きな鋸歯状となっているのに対して、本願発明の電極素材の切りくずは、小さな鋸歯状となっている。これから、本発明の配合の酸化チタンを含むチタン合金は、粘着度が向上した状態が示されており、切削加工面が滑らかに仕上がり、機械加工性が向上したことが示されている。
このため、プレスや切削・研削加工の他、鍛造ができ、機械加工性能の向上によって、筒状や針状の酸化チタンを含むチタン合金製の放電電極を製造することが容易に可能となった。
【0021】
本願発明は、機械加工性を向上させた光触媒を取り込んだチタン合金を利用した放電電極である。地金を作っておけば、電極の設計に応じて成形加工ができるものである。この放電電極は、放電に対する耐久性が向上し、長期間に渡って使用が可能である。光触媒層を別途に設ける工程が必要なく、光触媒が素材の一部となっているので、光触媒層の破損や放電腐食による脱落が発生しない。光触媒の機能も放電電極の寿命と同じになる。
【0022】
<放電電極の形状>
放電は単独の電極に高電圧を負荷して行う場合と対向放電電極間で行う場合とが想定され、本発明の電極は双方に用いることができる。具体的な形状は特に限定されるものではないが、放電劣化が激しい先端が尖っている針状や尖端形状、線状、鋸歯状、棒状などがある。これらに対向して設ける電極の形状としては、板状、メッシュ状、穴開き板状、リング状、筒状、円筒状があげられる。
特に、耐久性が求められる電極は先端が尖っているもの、筒、穴、リングなどでは主な放電箇所であるが角部である。放電によって角部は蚕食に劣化するものである。
放電電極の形状例を図3に示す。
【0023】
<応用>
本発明の放電電極の応用としては、放電特性を利用する各種の利用形態が挙げられる。マイナスイオン発生器、オゾン発生器、空気清浄器、集塵機、脱臭器、除菌・殺菌装置、除塵機等が挙げられ、そしてこれらを各種の設備や機器に組み込んで使用することができる。
マイナスイオンには、レナード効果といわれる環境改善効果、脱臭、殺菌、除菌、消臭、浮遊する塵埃にマイナス電荷を付与して電荷的に中和あるいはマイナス化して床や壁などのプラス電位(アース電位)に吸着させることによる沈着作用による除塵効果などがある。
オゾンには殺菌、脱臭、除菌、有害物質の分解作用などがある。ただし、オゾンは毒性が高いので、高濃度オゾンは、住環境へ拡散しないように密閉空間で使用するか、吸収分解して放出を防止することが必要である。ただし、微量のオゾンを一般生活環境へ放出する場合は有害菌の制菌効果が期待できるので、制御して放出する工夫を施すことが重要である。
【0024】
本発明の電極を利用してマイナス放電した場合には、多量のマイナスイオン、微量のオゾンを発生させることができ、生活環境に有用な機器を提供できる。
例えば、消臭作用、消煙作用、脱臭作用、除塵作用、除菌作用、制菌作用、殺菌作用は、マイナスイオン、オゾンによる機能に加えて、紫外線及び光触媒の機能による分解機能の相乗作用による効果を上げることができる。さらに、筒や穴状の形状など電極構造に工夫を加えることによって、マイナスイオンとオゾンをファンなしで、放出拡散できるので、その波及空間を広げることができる。
例えば、自動車の車内、トイレ、便座、タンス、生鮮食品保存ケース、厨房、居住空間、事務室、喫煙所、病院、美容・理容室、電車内、ペット飼育室、ペットショップ、飲食店、生鮮食品店、娯楽施設等が挙げられる。特に、マイナス放電に利用した場合には、電子ノイズの発生を抑えることができるので、電子機器や電子制御機器を使用する環境に適する。特に、機器の誤作動を防止する必要がある環境としては、自動車、電車、病院などを挙げることができる。
【0025】
<特性>
本発明の電極は、光触媒が素材中に均一に分布しているので、新たに光触媒物質を塗布などの手段により形成する必要が無く、破損や腐食した場合でも新たな面に光触媒が出現するので安定し、継続した光触媒が作用するマイナスイオン等の発生電極として機能する。
また、機械加工性を向上させたので、素材を必要な電極形状に後加工できる加工性を向上させることができた。
また、放電電極としては、マイナスイオン発生量が多く、耐久性が向上し、その他の性能においても優れている。
筒状や孔を設けた電極形状にあっては、マイナスイオンを含む風が発生し、ファンなどの送風器機を用いることなく放出が可能である。その結果、小型で省力化し、多用途への応用が可能となった。
【実施例1】
【0026】
組成例4の素材を用いて、穴を形成した板状電極1と同素材を用いた針状電極2を対向して放電電極を構成した。模式図を図4に示す。穴の直径φは19mmとする通し孔、対向間隔Sは3mmとした。板厚tを1〜7mmの7種類準備し、周波数4KC、電圧7.5KVの直流電圧を負極を針状電極2とし、正極を板状電極1として印加して、発生するマイナスイオン、オゾン、風速、付着塵埃量などを計測した。
【0027】
マイナスイオンの発生量を図5に示す。
マイナスイオン測定は、(株)ファインウェイ製 同軸二重円筒型タイプのFMイオンカウンターを使用した。
1mm厚の200,000個弱から7mm厚の600,000個弱まで、板厚の増加に伴って増加していることが解る。
【0028】
電流の変化を図6に示す。板厚1mmと板厚5mmについて、シンクロスコープを用いて計測した。
両者は、最高放電電流は約50μAと同じ程度であるが、5mm厚の方が長時間流れており、放電量としては、板厚の厚い方が多い結果を示している。この放電状態を模式的に示したのが、図7である。穴の内壁まで放電がなされ、放電面積が多い厚い板のほうが放電量が多くなったと考えられる。この結果が、図5のマイナスイオンの発生量とも関係するものと思われる。深さが深くなるに従い放電抵抗が大きくなるので、板厚の増加に従い増加量が減少する状況も図5によって示されている。
【0029】
オゾンの発生量を図8に示す。
オゾンの測定は、SEKIELECTRONICCOP社製 SOZ−3501モデルを使用した。
1mm厚の0.02ppmから3mm厚まで急激に減少して0.003ppmとなり、5mm厚の0.002ppmまで暫減し、6mm厚ではほぼ0に近くなるまで減少していることが解る。なお、別の実験によって針状電極を近づける(対向間隔を小さくする)とオゾンの発生量が増加することを確認した。
【0030】
筒状などの穴開き電極と針状電極を対向配置することにより、マイナスイオンを伴った風を発生させることができることは本発明者が先に提案している。本実施例の板厚の変化に応じた風速の変化を計測し、結果を図9に示す。測定器は、USA EMPEX社製 ウインドメッセを使用した。
1mm厚では、約1m/秒の風速が観測され、板厚が増加するにつれ風速も増し、7mm厚では4m/秒弱を観測した。ほぼ同程度の傾きで増加しているが、4mm厚以上では少し増加傾向が大きくなっている。
【0031】
コロナ放電によってマイナスに電荷した塵埃などの浮遊微小粒子が正電極側に引きつけられ一部が付着することになる。この塵埃の付着量を計測した結果を図10に示す。測定は化学天秤1/1000を使用し、6月間の連続放電の後に計測した。
1mm厚では、0.05g、4mm厚で0.1gを越え、7mm厚では0.3gを計測した。厚みが増すに従って増加量は大きくなり、4mm厚以上では増加傾向が大きくなっている。
【0032】
[比較例1]
比較例としてステンレスを用いた実験をした。電極形状は実施例と同じである。
実施例1のマイナスイオンの計測と同様の計測を行った結果を図11に示す。
1〜4mm厚までは極わずかであり、5mm厚で10000個/ccとなり、7mm厚では17000個/ccとなっている。
【0033】
この実施例1と比較例1とから、マイナスイオンの発生量に関しては、格段に実施例1の方が多いことが判明した。そして、連続放電を続けるとステンレス電極は蚕食された状態の腐食が発生するが、本実施例ではそのような腐食は観察されていない。別途、薄厚の筒状電極でステンレス電極と本発明の電極を比較した実験では、365日の連続放電の結果、ステンレス素材は約20〜28%の腐食率(重量減少率)に対し本発明の素材を用いたものは腐食が0%とほぼ観測されず、放電に対する耐久性が高いことが確認された。
また、本実施例の針状電極から、紫外線が発生していることも確認できた。例えば、波長365nmで1μWであり、この紫外線は酸化チタンが吸収する波長であるので、光触媒機能を活性化するものである。
【0034】
この実施例1の各データから、マイナスイオン量と風速を確保しオゾンの量を少なく押さえるためには3mm厚以上、即ち、穴の深さが3mmが好ましく、塵埃の吸着量を加味すると4mm以上がさらに好ましいという結果が得られた。
本実施例は、板状体に穴を研削する方法により作成した。この方法は、同じ径の筒を製作する場合、薄板になるまで圧延をかけ、パイプ状に曲げ加工して溶接、長さ切断をする必要があるのに対し、圧延工程を短くし、研削により穴を穿つことは、加工が容易であり、加工手段も少なくて済み、コストも削減できる。
【実施例2】
【0035】
組成例2に挙げた素材を用いた円筒状の筒状電極と針状電極を組み合わせた実施例である。図12に電極断面を、簡略図として説明する。
この実施例では、筒状電極の外径を19mm、内径17mm、筒の厚み1mm、長さLを20mmに形成した筒状電極1とし、針状電極の基部径を1.0mm、長さを13〜14mmに形成した針状電極2とした。この針状電極の先端をこの筒状電極の開口面から間隔Sをおいて配置している。この両電極間に直流の高電圧を高電圧な発生装置EVから印加して以下に述べる各種の試験を行い性能を確認した。針状電極の先端は、筒の中心軸及びその延長上に位置するようにする。
【0036】
<マイナスイオン、オゾン、風速の発生試験>
この電極構成を用いて、電圧7.5KVで周波数4KCの直流電圧を針状電極2にマイナス電圧、筒状電極にプラス電圧を印加し、両電極間の距離Sを変化させて、発生する風速、マイナスイオン量及びオゾン量を筒状電極の放出側開口部で測定した。
結果は、風速は、Sが3mmで最大の3m/secとなるほぼ放物線状の結果を示している。S=0では1m/sec以下の風速、針状電極2の先端が筒電極侵入が深くなると風速は減少する。
マイナスイオンの発生は、針状電極2が筒電極内部に侵入した位置では、約5万個/cc、外側では、5mmまではほぼ距離に比例して増加して60万個/cc、それ以上の距離では増加量が鈍る。
オゾンの発生は、S=マイナス4mmで、0.008ppmの最高値を示し、5mmで0.001ppmと、離れるに従い減少している。
マイナスイオンとオゾンの挙動とは逆であるので、どちらの活用を重視するかによって、両電極間の距離を決定することができる。風速を重視するならば3mm前後を選択する。ファン無しで、マイナスイオンを遠くへ放出するには、3mm前後の間隔を離して両電極を設置すると、50万個/ccのマイナスイオンを約3m/secの風速で放出し、オゾンは0.003ppm弱とのバランスで発生させることできる装置を提供できる。
【0037】
<印加電圧、周波数とマイナスイオン発生との関係試験>
実施例2の電極配置において、両電極間隔を3mmとして印加する電圧を6〜9.5KV、周波数6〜12KCとして、マイナスイオンと風速を測定した。その結果を表2に示す。 高電圧、高周波数であるほど、マイナスイオン量、風速も大きくなる結果が得られた。
【0038】
【表2】
【0039】
<紫外線計測試験>
実施例2の電極配置において、両電極間隔を3mmとして、13KCと9KCの2種類の周波数を5〜10KVの間で電圧を変化させて発光する紫外線を測定した。結果を図13に示す。
13KCの周波数では、250nm〜500nm以下の波長の紫外線を計測し、9KCでは、250nm未満〜400nm未満の波長の紫外線を計測した。この結果200nm〜500nmの波長の紫外線を発光することができ、光触媒もこの波長に合わせて選択することができる。酸化チタンは、400nm以下の紫外線を吸収するので、9KCの周波数では、10KV以下の電圧、13KCの周波数では、9KV以下の電圧を使用することが適している。計測機器は、米国ウルトラバイオレット社製紫外線強時計(UVX型)を使用した。
【0040】
<電極材質によるマイナスイオン発生量比較試験>
実施例2の電極配置において、両電極間隔を3mmとし、同放電条件として、電極の材質を変えてマイナスイオン量の発生量を測定した。比較として、純チタン、ステンレスを用いた。
本実施例は50万個/ccを計測したのに対して、純チタンは21万個/cc、ステンレスは8.5万個/ccを計測した。本実施例の電極は、純チタンの2.4倍、ステンレスの5.9倍のマイナスイオンが発生していることがわかる。
【0041】
<消煙、消臭試験等>
実施例2の装置の電極間隔を3mmとし、同じ構成の電極、放電条件の放電装置を利用して、密閉容器内に煙草の煙を導入して消煙状況をカルモア臭気測定器を用いて測定した、測定結果を図14に示す。
煙草の煙が導入時に1150であったものが、3秒後に660とほぼ半減した。
このケースでは、30×40×30mm=36cm3という極めて狭い密閉空間で行った実験であったので、消臭は、煙が筒状電極を通過するときに、針状電極からの紫外線と筒状電極の光触媒機能が働いたものと推定される。同時にマイナスイオンとオゾンの機能もある。
トイレ臭の消臭試験も行い、速やかな消臭感が得られた。また、アンモニア、アセトアルデヒドなどの代表的な悪臭源に対する消臭試験も実施し、効果があることを確認した。ペットの飼育室でも試験を行い効果があることを確認した。その他、菌の増殖抑制効果、集塵効果も確認した。
【0042】
<放電耐食性試験>
電極の放電耐食性を調べる実験を行った。実施例2の装置の電極間隔を3mmとし、同じ構成の電極、同じ放電条件で60日間の連続放電試験を行った。筒状電極の腐食結果を腐食率の推移として図15に示す。
電極材料:本実施例、アルミ、ステンレス、チタン
測定方法:化学天秤 1/1000g
結果は、本実施例は、60日後も殆ど腐食が見られなかった。チタンは、60日後に3%程度の腐食が見られた。アルミとステンレスは、30日後に10%前後腐食が進み、60日後にはアルミ、ステンレス共に20%を超えている。
本実施例の電極には放電耐久性があり、長期間使用に耐えうることが裏付けられた。
【0043】
<連続使用性能試験>
電極の材質の違いによるマイナスイオン発生量の比較試験を行った。実施例2の装置の電極間隔を3mmとし、同じ構成の電極、同じ放電条件で90日間の連続放電を行いマイナスイオンの発生の経過試験を行った。筒状電極の放出側開口部で測定したマイナスイオン測定数の推移を図16に示す。
電極材料:本実施例、ステンレス、真鍮
結果は、本実施例は、50万個から最初はやや減少が見られるが、30日以降は約45万個で安定した。ステンレスパイプは15日後に40万個を切り、連続して減少し60日間後には約30万個、90日後には25万個となり半減した。真鍮パイプは、10日後には40万個を切り、その後も連続して減少し30日後には約30万個、60日後には20万個を切り、90日後には約10万個と急速に減少した。
これは、放電による腐食の影響と塵埃の吸着による放電の変化及び紫外線、光触媒の総合作用による効果と思われる。
本実施例の電極に放電には耐久性があり、長期間安定して使用に耐えうることが裏付けられた。
1mm厚の薄い材料を使用しているので、特に放電が端面に集中し、耐久性などの材質の特性が顕著に現れた結果であると推測される。
【実施例3】
【0044】
組成例2に挙げた素材を用いて針状電極を製造した例である。基部径を1.5mm、長さを25mmとして実施例2に示した針状電極よりも大きく形成した例である。対向電極を配置せずに負の高電圧を印加すると、短ビーム状の放電が発生しマイナスイオンが大量に生成されることが確認された。マイナスイオンの量は、離れる程減衰することも確認され、指向性は弱く、放電に伴う風速も発生しないので、マイナスイオンを分散させるためには、他の送風機器と組み合わせて用いることに適している。
図17に、本実施例3の針状電極2と実施例2に示した筒状電極1と針状電極2と対向配置したものを組み合せたマイナスイオン発生器の例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】電極素材断面顕微鏡写真
【図2】模式図
【図3】放電電極の形状例
【図4】実施例1の穴開き板状電極と針状電極を組み合せた放電電極の構成図
【図5】マイナスイオン発生量を示すグラフ
【図6】放電電流を示すグラフ
【図7】放電状態模式図
【図8】オゾン発生量を示すグラフ
【図9】風速を示すグラフ
【図10】塵埃付着量を示すグラフ
【図11】比較例1におけるマイナスイオン発生量を示すグラフ
【図12】実施例2の筒状電極と針状電極を組み合せた放電電極の構成図
【図13】紫外線の発生状態を示すグラフ
【図14】カルモア消臭測定グラフ
【図15】電極の腐食を示すグラフ
【図16】マイナスイオン発生量の経過日数変化を示すグラフ
【図17】マイナスイオン発生器の例
【符号の説明】
【0046】
1 筒状電極
2 針状電極
3 針状電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒及び微量添加剤を含むチタン合金で作成されたことを特徴とする放電用電極。
【請求項2】
光触媒が酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載の放電用電極。
【請求項3】
微量添加剤が、Fe、C、Ni、Zy、Cr、Pd、Inから選ばれた1又は複数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載された放電用電極。
【請求項4】
微量添加剤の添加量が0.4〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された放電用電極。
【請求項5】
酸化チタンが4.0〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された放電用電極。
【請求項6】
放電電極は、形状を針状、鋸歯状、先端を尖端状、線状、棒状、板状、メッシュ状、穴開き板状、リング状、筒状、円筒状のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された放電用電極。
【請求項7】
板状電極又は穴開き板状電極の板は、厚みが1〜7mmであることを特徴とする請求項6記載の放電用電極。
【請求項8】
厚みが3〜7mmであることを特徴とする請求項7記載の放電用電極。
【請求項9】
放電がコロナ放電であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の放電用電極。
【請求項1】
光触媒及び微量添加剤を含むチタン合金で作成されたことを特徴とする放電用電極。
【請求項2】
光触媒が酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載の放電用電極。
【請求項3】
微量添加剤が、Fe、C、Ni、Zy、Cr、Pd、Inから選ばれた1又は複数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載された放電用電極。
【請求項4】
微量添加剤の添加量が0.4〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された放電用電極。
【請求項5】
酸化チタンが4.0〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された放電用電極。
【請求項6】
放電電極は、形状を針状、鋸歯状、先端を尖端状、線状、棒状、板状、メッシュ状、穴開き板状、リング状、筒状、円筒状のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された放電用電極。
【請求項7】
板状電極又は穴開き板状電極の板は、厚みが1〜7mmであることを特徴とする請求項6記載の放電用電極。
【請求項8】
厚みが3〜7mmであることを特徴とする請求項7記載の放電用電極。
【請求項9】
放電がコロナ放電であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の放電用電極。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−49227(P2006−49227A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231765(P2004−231765)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(591068517)共立電器産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(591068517)共立電器産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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