放電装置及び空気浄化装置
複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、該放電部(61)に対峙する複数の対向部(62)を有する対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置において、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置と、この放電装置を備えた空気浄化装置に係るものであり、特にこの放電装置におけるスパーク抑制技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電装置を備えた空気浄化装置は、放電によって生じたプラズマにより、空気中の臭気成分や有害成分などを分解除去する手段として利用されている。この空気浄化装置の中で、ストリーマ放電方式の空気浄化装置は、比較的低い電力で高い空気浄化効率が得られるため、有害成分の分解や脱臭を行うのに好適な技術である。
【0003】
例えば特許文献1(特開2002−336689号公報)に示すように、ストリーマ放電方式の空気浄化装置は、放電装置として、複数の針状の放電部を有する放電電極と、この放電部に対峙する対向部を有する対向電極と、両電極に電圧を印加する電源手段とを備えている。このような放電装置の構成において、電源手段より両電極に電圧を印加すると、両電極間でストリーマ放電が行われ、低温プラズマが発生する。そして、この低温プラズマの発生に伴い生成した活性種(高速電子、イオン、ラジカル、その他の励起分子等)に、被処理空気中の有害成分や臭気成分を通気接触させることで、これらの成分が分解除去される。
【0004】
−解決手段−
しかしながら、特許文献1に開示されたストリーマ放電方式の放電装置は、臭気成分や有害成分に対して高い分解効率を有する反面、ストリーマ放電の状態(ストリーマ放電の発生量や発生状況)が種々の影響因子によって敏感に左右されやすい。これらの影響因子として、放電部と対向部との間の距離、放電部の形状、放電部や対向部の表面における塵埃の付着などが挙げられる。そして、これらの影響因子によって、放電部の放電特性が変化すると放電部より対向部に向かってスパークが生じる可能性がある。その結果、ストリーマ放電が行われず、低音プラズマの生成量が低減され、空気浄化効率が低下するという問題がある。加えて、このスパークが使用者に対して騒音となってしまったり、スパークの発生に伴い生じる電磁波が放電装置近傍の電子機器を誤作動させてしまったりする問題がある。したがって、ストリーマ放電方式の放電装置において、その高い空気浄化効率を有効活用するためには、上述したスパークの発生を抑制し、安定したストリーマ放電を行えるようにすることが必要不可欠であると考えられる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストリーマ放電方式の放電装置におけるスパークの発生を抑制し、この放電装置を備えた空気浄化装置で安定したストリーマ放電を行えるようにすることである。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置において、電源手段と放電部、あるいは電源手段と対向部との間の通電経路に抵抗器を設けることで、ストリーマ放電時におけるスパークの発生を抑制できるようにしたものである。
【0007】
具体的に、第1の発明は、複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、該放電部(61)に対峙する複数の対向部(62)を有する対向電極(42)とを備え、電源手段(45)より両電極(41,42)へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置を前提としている。そして、この放電装置は、上記電源手段(45)と上記放電部(61)との間の通電経路に、抵抗器(60)が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、ストリーマ放電時に両電極(41,42)の間でスパークが発生する要因について説明する。
【0009】
複数の放電部(61)と、この放電部(61)に対応する複数の対向部(62)とを備えた放電装置において、一対の放電部(61)と対向部(62)とは、例えば図1のグラフに示すようなそれぞれの放電特性(放電時に流れる放電電流(I)と電圧(V)との関係)を有している。このような放電特性は、放電部(61)と対向部(62)との間の距離、放電部(61)の形状、放電部(61)と対向部(62)との間の絶縁抵抗値などによって変化する。したがって、例えば放電装置の製造時に、両電極部(61,62)の間の距離や、放電部(61)の形状に誤差が生じてしまったり、放電装置の長期使用によって放電部(61)や対向部(62)の表面に塵埃などが付着し、両電極部(61,62)の間の絶縁抵抗値が変わってしまったりすると、両電極部(61,62)におけるそれぞれの放電特性には、図1のC1〜C4に示すようなバラツキが生じる。
【0010】
ここで、例えば図1のVaで示す電圧が電源手段(45)より両電極部(61,62)へ印加される場合、上述した放電特性の変化によって、一本の放電部(61)(図1においてC1の特性を有する放電部S)を流れる電流が高くなり、この電流値が例えば図1の斜線で示すスパーク領域まで達してしまうと、この放電部(61)では、ストリーマ放電が行われず、対向電極(42)の対向部(62)に向かってスパークが発生してしまう。
【0011】
そして、例えば図2(A)(放電装置の概略回路図)に示すように、このようなスパークが一つの放電部Sで発生すると、電源手段(45)によって各放電部(61)に溜まっている電荷が、この放電部Sへ集中して流れてしまう。その結果、スパークの発生量が大きくなり、このスパークの発生に伴う騒音も大きくなってしまう。
【0012】
上記第1の発明では、電源手段(45)と放電電極(41)の放電部(61)との間の通電経路に、抵抗器(60)が設けられる。このため、放電部(61)に印加される電圧を低減することができる(例えば図1のVb)。その結果、ストリーマ放電時における電流値を低減することができ、スパークの発生を抑制することができる。
【0013】
また仮に、例えば一つの放電部Sでスパークが発生する場合にも、抵抗器(60)によって、他の放電部(60)の電荷が放電部Sへ流れることが抑制される(例えば図2(B))。したがって、スパークの発生量を小さくすることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の放電装置において、抵抗器(60)が導電性の樹脂材料で構成され、上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
上記第2の発明では、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に、導電性の樹脂材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。本発明においても、第1の発明で上述した作用効果によってスパークの発生を抑制することができ、スパークの発生量も小さくすることができる。
【0016】
また、第2の発明では、抵抗器(60)を発火温度より低い温度で溶融する樹脂材料で構成することによって、放電装置における両電極部(61,62)の短絡を解消するとともに、この抵抗器(60)の発火、発煙を抑制することができる。
【0017】
具体的に、例えば放電装置において、図2(B)のような抵抗器(60)を設けた場合、仮に放電部Sが何らかの理由(例えば放電装置の長期使用における電極の変形など)で対向部と接触してしまうと、両電極部(61,62)で短絡(ショート)が生じる(例えば図2(C)の状態)。この場合、各放電部(61)に溜まっている電荷が、この短絡した両電極部(61,62)に集中して流れてしまうため、各両電極部(61,62)において所定のストリーマ放電が行われなくなる。
【0018】
一方、本発明では、例えば放電部Sを備えた両電極部(61,62)で短絡が生じると、放電部Sの直前に設けられた抵抗器(60)を流れる電流によって、抵抗器(60)の温度が上昇する。そして、抵抗器(60)の温度上昇によって、この抵抗器(60)が溶融すると、両電極部(61,62)が絶縁され、この短絡を解消することができる(例えば図2(D))。
【0019】
この際、この抵抗器(60)は、発火温度より低い温度で溶融する樹脂材料で構成されているため、抵抗器(60)の温度上昇に伴い、この抵抗器(60)が発煙、発火することを抑制できる。
【0020】
第3の発明は、第1の発明の放電装置において、抵抗器(60)が、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とするものである。ここで、「電気的拡散性材料」とは、米国のEIA(Electronic Industries Association)で規格化されている「Dispative」(拡散性)を有する材料(帯電防止材料)を意味し、その体積抵抗率が105から1012Ωcmまでの範囲のものが好適である。
【0021】
上記第3の発明では、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に、電気的拡散性材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。本発明においても、第1の発明で上述した作用効果によってスパークの発生を抑制することができ、スパークの発生量も小さくすることができる。
【0022】
特に、電気的拡散性材料は、例えば導電性材料と比較してその体積抵抗率が高いため、通電経路に流れる電流を一層低減することができる。したがって、スパークの発生を効果的に抑制できる。
【0023】
また、第2の発明で上述したように、両電極部(61,62)で短絡が生じ抵抗器(60)に電流が集中して流れる場合、例えば導電性の樹脂と比較すると抵抗器(60)を流れる電流値又は電流密度を低減できる。このため、本発明では、両電極部(61,62)の短絡時における抵抗器(60)の温度上昇を抑制することができる。したがって、抵抗器(60)の発煙、発火を確実に防止することができる。
【0024】
第4の発明は、第1から第3のいずれか1の発明の放電装置において、放電電極(41)が複数の放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)を備え、上記放電側支持部材(43)は抵抗器(60)で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
上記第4の発明では、複数の放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)が、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に設けられ、この放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能する。したがって、スパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0026】
また、上記放電側支持部材(43)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成した場合には、両電極部(61,62)で短絡が生じると、この放電側支持部材(43)が発火する前に溶融し、この短絡を解消することができる。
【0027】
第5の発明は、第4の発明の放電装置において、放電電極(41)が複数の放電部(61)と、各放電部(61)を支持する複数の放電側支持部材(43)で構成されていることを特徴とするものである。
【0028】
上記第5の発明では、電源手段(45)と複数の放電部(61)との間の通電経路に、それぞれの放電部(61)に対応する複数の放電側支持部材(43)が設けられる。そして、各放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能する。したがって、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークの発生を抑制することができるとともに、両電極部(61,62)のそれぞれにおけるスパークの発生量を低減することができる。
【0029】
第6の発明は、第1の発明の放電装置において、複数の放電部(61)が放電側支持部材(43)に保持され、上記放電側支持部材(43)には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材(44)が備えられ、上記樹脂材(44)には、電源手段(45)と上記放電部(61)とに通電する通電部(50)が形成され、上記通電部(50)には、抵抗器(60)が備えられていることを特徴とするものである。
【0030】
上記第6の発明では、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に、放電側支持部材(43)に形成された通電部(50)が設けられる。そして、この通電部(50)の少なくとも一部が抵抗器(60)として機能する。したがって、第1の発明で上述した作用効果によりスパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0031】
また、例えば両電極部(61,62)で短絡が生じ、抵抗器(60)である通電部(50)の温度が上昇すると、この通電部(50)が形成された放電側支持部材(43)の樹脂材(44)が溶融する。そして、樹脂材(44)が溶融することで、この樹脂材(44)に形成された通電部(50)が切断され、両電極部(61,62)が絶縁される。したがって、この短絡を解消することができる。
【0032】
さらに、上記放電側支持部材(43)は、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材(44)で構成されているため、短絡が解消されるまでの間に上記樹脂材(44)が発火、発煙することを抑制できる。
【0033】
第7の発明は、複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、該放電部(61)に対峙する複数の対向部(62)を有する対向電極(42)とを備え、電源手段(45)より両電極(41,42)へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置を前提としている。そして、この放電装置は、上記電源手段(45)と上記対向部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)が設けられていることを特徴とするものである。なお、ここで通電経路は、対向部(62)を含むものであり、抵抗器(60)が対向部(62)自体に設けられていてもよい。
【0034】
上記第7の発明では、第1の発明とは逆に、電源手段(45)と対向電極(41)の対向部(62)との間の通電経路に、抵抗器(60)が設けられる。この場合にも、上記抵抗器(60)によって放電部(61)に印加される電圧を低減することができ、スパークの発生を抑制することができる。
【0035】
また仮に、一つの放電部でスパークが発生する場合にも、抵抗器(60)によって、この放電部へ他の放電部に溜まった電荷が集中して流れることが抑制される。したがって、スパークの発生量を小さくすることができる。
【0036】
第8の発明は、第7の発明の放電装置において、抵抗器(60)が導電性の樹脂材料で構成され、上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とするものである。
【0037】
上記第8の発明では、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に、導電性の樹脂材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。したがって、スパークの発生を抑制することができるとともに、スパークの発生量も小さくすることができる。
【0038】
また、この抵抗器(60)は、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成されているため、両電極部(61,62)で短絡が生じると、この抵抗器(60)が発火、発煙する前に溶融する。したがって、抵抗器(60)が発火、発煙することなく、両電極部(61,62)における短絡を解消することができる。
【0039】
第9の発明は、第7の発明の放電装置において、抵抗器(60)が、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0040】
上記第9の発明は、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に、電気的拡散性材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。したがって、スパークの発生を効果的に抑制することができるとともに、スパークの発生量も効果的に小さくできる。
【0041】
また、両電極部(61,62)の短絡時において、抵抗器(60)の温度上昇を低減できるため、抵抗器(60)の発火や発煙を回避することができる。
【0042】
第10の発明は、第7から第9の発明の放電装置において、対向電極(42)が複数の対向部(62)を有する対向側支持部材(63)を備え、該対向側支持部材(63)は抵抗器(60)で構成されていることを特徴とするものである。
【0043】
上記第10の発明では、複数の対向部(62)を有する対向側支持部材(63)が、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に設けられ、この対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能する。したがって、スパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0044】
また、上記対向側支持部材(63)が、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成されている場合、両電極部(61,62)で短絡が生じると、この対向側支持部材(63)が溶融し、この短絡を解消することができる。
【0045】
第11の発明は、第10の発明の放電装置において、対向電極(42)が、複数の対向部(62)と、各対向部(62)を支持する複数の対向側支持部材(63)で構成されていることを特徴とするものである。
【0046】
上記第11の発明では、電源手段(45)と複数の対向部(62)との間の通電経路に、それぞれの対向部(62)に対応する複数の対向側支持部材(63)が設けられる。そして、各対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能する。したがって、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークの発生を抑制することができるとともに、スパークの発生量を低減することができる。
【0047】
第12の発明は、第7の発明の放電装置において、対向電極(42)には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材(44)が備えられ、上記樹脂材(44)には、電源手段(45)と対向部(62)とに通電する通電部(50)が形成され、上記通電部(50)には、抵抗器(60)が備えられていることを特徴とするものである。
【0048】
上記第12の発明では、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に、対向電極(42)に形成された通電部(50)が設けられる。そして、この通電部(50)の少なくとも一部が抵抗器(60)として機能する。したがって、スパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0049】
また、例えば両電極部(61,62)で短絡が生じ、抵抗器(60)である通電部(50)の温度が上昇すると、対向電極(42)の樹脂材(44)が溶融する。そして、樹脂材(44)が溶融することで、この樹脂材(44)に形成された通電部(50)が散らされ、両電極部(61,62)が絶縁される。したがって、この短絡を解消することができる。
【0050】
第13の発明は、放電電極(41)と対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置を備え、両電極(41,42)との間に被処理空気を流通させ、被処理空気の清浄化を行う空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、上記放電装置が、請求項1から12のいずれか1に記載の放電装置であることを特徴とするものである。
【0051】
上記第13の発明では、第1から第12のいずれか1の発明の放電装置を空気浄化装置に適用したので、この空気浄化装置におけるスパークの発生を抑制できるとともに、このスパークの発生量を低減できる。
【0052】
−効果−
上記第1の発明によれば、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設けることにより、放電装置におけるスパークの発生を抑制できるようにしている。このため、ストリーマ放電を安定して行うことができる。
【0053】
また、スパークの発生を抑制することにより、スパーク時に生じる騒音も抑制することができる。さらに、スパークの発生に伴い生じる電磁波が、放電装置近傍の電子機器に不具合を与えることも抑止できる。
【0054】
また仮に、一対の放電部(61)と対向部(62)との間でスパークが発生した場合にも、抵抗器(60)によって、このスパークの発生量を小さくすることができる。したがって、スパークの発生に伴う騒音を低音化する、あるいはスパークの発生に伴い生じる電磁波を低減することができる。
【0055】
上記第2の発明によれば、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成している。このため、両電極部(61,62)で短絡が生じた場合に、抵抗器(60)が溶融することで、この短絡を解消することができる。この際、この抵抗器(60)は、発火温度より低い温度で溶融するため、抵抗器(60)における発火、発煙を抑制できる。したがって、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0056】
上記第3の発明によれば、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を電気的拡散性材料で構成している。したがって、スパークの発生、あるいはスパークの発生に伴う騒音や電磁波の発生を効果的に抑制することができる。
【0057】
また、本発明によれば、両電極部(61,62)の短絡時において、抵抗器(60)の温度上昇を効果的に抑制できる。このため、抵抗器(60)における発火、発煙を防止でき、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
上記第4の発明によれば、放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)を抵抗器(60)で構成し、スパークの発生頻度及び発生量を低減できるようにしている。したがって、上記放電側支持部材(43)と上記抵抗器(60)とを一体的に形成し、この放電装置をコンパクトに設計することができる。
【0059】
上記第5の発明によれば、複数の放電部(61)に対応する複数の放電側支持部材(43)を設け、これら複数の放電側支持部材(43)を抵抗器(60)で構成している。このため、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークの発生を抑制でき、スパークの発生量も低減できる。したがって、この放電装置における騒音や、電磁波に伴う周辺機器の不具合を確実に抑制することができる。さらに、全ての両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制することで、ストリーマ放電の安定性の向上を図ることができる。
【0060】
上記第6の発明によれば、両電極部(61,62)で短絡が生じた際に、放電支持部材(43)の樹脂材(44)が溶融することで、両電極部(61,62)を絶縁するようにしている。したがって、通電層(60)の近傍に形成された樹脂材(44)を溶融させるだけで、確実に両電極部(61,62)の短絡を解消することができる。
【0061】
上記第7の発明によれば、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)を設けることにより、放電装置におけるスパークの発生を抑制できるようにしている。このため、スパークの発生に伴い生じる騒音が抑制できる。さらに、スパークの発生に伴い生じる電磁波が、放電装置近傍の電子機器に不具合を与えることも抑止できる。
【0062】
また仮に、一対の放電部(61)と対向部(62)との間でスパークが発生した場合にも、抵抗器(60)によって、このスパークの発生量を小さくすることができる。したがって、スパークの発生に伴う騒音を低音化する、あるいはスパークの発生に伴い生じる電磁波を低減することができる。
【0063】
このように、本発明では、スパークの発生頻度及びスパークの発生量を低減できるようにしたので、この放電装置において、安定したストリーマ放電を行うことができる。
【0064】
上記第8の発明によれば、電源手段(45)と放電部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成している。このため、両電極部(61,62)で短絡が生じた場合に、抵抗器(60)が溶融することで、この短絡を解消することができる。この際、この抵抗器(60)は、発火温度より低い温度で溶融するため、抵抗器(60)における発火、発煙を抑制できる。したがって、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0065】
上記第9の発明によれば、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を電気的拡散性材料で構成している。このため、スパークの発生、あるいはスパークの発生に伴う騒音や電磁波の発生を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、両電極部(61,62)の短絡時において、抵抗器(60)の温度上昇を効果的に抑制できる。このため、抵抗器(60)における発火、発煙を防止でき、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0067】
上記第10の発明によれば、対向部(62)を支持する対向側支持部材(63)を抵抗器(60)で構成し、スパークの発生頻度及び発生量を低減できるようにしている。したがって、上記対向側支持部材(63)と上記抵抗器(60)とを一体的に形成し、この放電装置をコンパクトに設計することができる。
【0068】
上記第11の発明によれば、複数の対向部(62)に対応する複数の対向側支持部材(63)を設け、これら複数の対向側支持部材(63)を抵抗器(60)で構成している。このため、全ての両電極部(61,62)において、確実にスパークの発生を抑制でき、スパークの発生量も低減できる。したがって、この放電装置における騒音や、電磁波に伴う周辺機器の不具合を確実に抑制することができる。さらに、全ての両電極部(61,62)におけるスパークを抑制することで、ストリーマ放電の安定性の向上を図ることができる。
【0069】
上記第12の発明によれば、両電極部(61,62)で短絡が生じた際に、対向電極(42)の樹脂材(44)が溶融することで、両電極部(61,62)を絶縁するようにしている。したがって、通電部(50)の近傍の樹脂材(44)を溶融させるだけで、確実に両電極部(61,62)の短絡を解消することができる。
【0070】
上記第13の発明によれば、第1から第12のいずれか1の放電装置を空気浄化装置に適用することで、スパークの発生頻度及びスパークの発生量を低減できるようにしている。このため、スパークの発生に伴う放電音を低減し、この空気浄化装置の低騒音化を図ることができる。
【0071】
また、スパークの発生に伴う電磁波を低減でき、この電磁波によって放電装置近傍の電子機器が誤作動することを抑制することができる。したがって、この放電装置の信頼性を向上させることができる。
【0072】
さらに、スパークの発生を低減することで、ストリーマ放電を安定して行うことができるため、この空気浄化装置の空気浄化効率の向上を図ることができる。
【0073】
また、抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成する場合には、両電極(61,62)における短絡を確実に解消することができるため、この空気浄化装置の安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】放電装置におけるストリーマ放電時の放電特性を示すグラフである。
【図2】放電装置におけるストリーマ放電例を示す概略回路図である。
【図3】実施形態1に係る空気浄化装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図4】実施形態1に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図5】実施形態1に係る放電装置の短絡時における要部拡大斜視図である。
【図6】実施形態1の変形例に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図7】実施形態2に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図8】実施形態2の変形例に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図9】実施形態3に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図10】実施形態4に係る放電装置の要部を上方から視た図である。
【図11】実施形態4に係る放電装置の要部を側方から視た図である。
【図12】その他の実施形態に係る放電装置の要部拡大斜視図の一例である。
【図13】その他の実施形態に係る放電装置の要部拡大斜視図の一例ある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0076】
《発明の実施形態1》
まず、実施形態1について、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0077】
図3は、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の分解斜視図である。この空気浄化装置(10)は、一般家庭や小規模店舗などで用いられる民生用の空気浄化装置である。また、この空気浄化装置(10)は、ストリーマ放電により低温プラズマを生成して被処理空気を清浄化する空気浄化装置である。
【0078】
この空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング本体(21)と、その開放端面に装着される前面プレート(22)とからなるケーシング(20)を備えている。ケーシング(20)の前面プレート(22)側の両側面には吸込口(空気吸込口)(23)が形成されている。また、ケーシング本体(21)には、天板の背板寄りに吹出口(空気吹出口)(24)が形成されている。
【0079】
ケーシング(20)内には、空気吸込口(23)から空気吹出口(24)までの間に、被処理空気である室内空気が流れる空気通路(25)が形成されている。この空気通路(25)には、被処理空気の流れの上流側から順に、空気浄化を行う各種の機能部品(30)と、該空気通路(25)に室内空気を流通させるための遠心送風機(26)とが配置されている。
【0080】
上記機能部品(30)には、前面プレート(22)側から順に、プレフィルタ(31)、イオン化部(32)、静電フィルタ(33)、そして触媒フィルタ(34)が含まれている。イオン化部(32)には、低温プラズマを発生させるための放電装置(40)が一体的に組み込まれている。また、空気浄化装置(10)のケーシング本体(21)の後部下側寄りには、放電装置(40)の電源手段(45)が設けられている。
【0081】
プレフィルタ(31)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集する前処理用のフィルタである。
【0082】
イオン化部(32)は、プレフィルタ(31)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃を、イオン化部(32)の下流側に配置されている静電フィルタ(33)により捕集するためのものである。このイオン化部(32)は、複数のイオン化線(35)と、複数の対向電極(42)とから構成されている。複数のイオン化線(35)は、イオン化部(32)の上端から下端まで等間隔で張架されていて、それぞれが静電フィルタ(33)に平行な一枚の仮想面上に位置している。対向電極(42)は、水平断面が「コ」の字形となった長尺部材で構成され、その開放部が後方側に位置している。この対向電極(42)は、各イオン化線(35)の間に該イオン化線(35)と平行に配列されている。そして、各対向電極(42)は、1枚のメッシュ板(37)にそれぞれの開放部が接合されている。
【0083】
放電装置(40)は、図3の要部拡大斜視図である図4に示すように、複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、対向電極(42)とを備えている。そして、対向電極(42)の対向部(62)が、上記放電電極(41)の放電部(61)と対峙している。なお、上記対向電極(42)は、上記イオン化部(32)の対向電極(42)として共用されており、各放電電極(41)がこの放電電極(41)に対峙する各対向電極(42)の内側に配置されている。
【0084】
放電電極(41)は、ストリーマ放電の基点となる上記放電部(61)と、この放電部(61)を保持する放電側支持部材(43)を備えている。この放電側支持部材(43)は、上下方向に延在する角柱状の角形部材(43a)と、この角柱部材(43a)に所定の間隔で保持された平板部材(43b)とを備えている。そして、上記平板部材(43b)の上下面に、棒状ないし線状の放電針(放電部)(61)が支持されている。この放電針(61)は、対向電極(42)の前面と略並行になるように配置されている。
【0085】
なお、上記角柱部材(43a)は、絶縁性の樹脂材(44)であるポリプロピレンで構成されている。この樹脂材(44)は、発火温度よりも低い温度で溶融する特性を有している。一方、上記平板部材(43b)は、導電性の金属材料で構成されている。
【0086】
また、樹脂材である上記角柱部材(43a)には、上記電源手段(45)と図示しない通電経路を介して通電する印刷通電部(通電部)(50)が形成されている。この印刷通電部(50)は、上記平板部材(43b)を介して放電針(61)と通電するように構成されている。
【0087】
具体的に、印刷通電部(50)は、角柱部材(43a)の前面に位置する第1印刷通電部(51)と、角柱部材(43a)の側面に位置する第2印刷通電部(52)とで構成されている。第1印刷通電部(51)は、平板部材(43b)の支持部の近傍に形成されている。そして、第1印刷通電部(51)は、平板部材(43b)を介して放電針(61)と通電するように構成されている。一方、第2印刷通電部(52)は、その前端が第1印刷通電部(51)の側縁部と接触し、第1印刷通電部と通電するように構成されている。また、第2印刷通電部(52)の後端は、図示しない通電経路と接触しており、この通電経路を介して電源手段(45)と通電するように構成されている。なお、第2印刷通電部(52)は、第1印刷部(51)よりも上下方向の長さが短くなっている。そして、第2印刷通電部(52)は、印刷通電部(50)を流れる電流に対する抵抗器(60)として機能している。なお、本実施形態において、この抵抗器(60)の抵抗値は、5MΩ以上となっている。
【0088】
以上のような放電装置(40)の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して上記角柱部材(43a)の第2印刷通電部(52)へ電流が流れる。そして、この電流は、第2印刷通電部(52)より第1印刷通電部(51)へ流れた後、平板部材(43b)を介して放電針(61)へ流れる。その結果、放電針(61)の先端より、この放電針(61)に対峙する対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、このストリーマ放電によって低温プラズマが生成する。
【0089】
触媒フィルタ(34)は、静電フィルタ(33)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(34)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持したものである。この触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒など、放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質をさらに活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進するものが用いられる。
【0090】
−運転動作−
次に、本実施形態の空気浄化装置(10)の運転動作について説明する。
【0091】
空気浄化装置(10)の運転中は、図3に示す遠心送風機(26)が起動し、室内空気がケーシング(20)内の空気通路(25)を流通する。また、この状態において、イオン化部(32)及び放電装置(40)に電源手段(45)から電圧が印加される。
【0092】
室内空気がケーシング(20)内に導入されると、まずプレフィルタ(31)において比較的大きな塵埃が除去される。そして、室内空気は、さらにイオン化部(32)を通過する際に、この室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電した状態となって下流側へ流れ、この塵埃は静電フィルタ(33)に捕集される。以上により、空気中の塵埃は、大きなものから小さなものまでプレフィルタ(31)と静電フィルタ(33)で概ね除去される。
【0093】
イオン化部(32)に一体的に組み込まれた放電装置(40)では、図4に示すように、放電電極(41)の放電針(61)の先端より、対向電極(42)の対向部(62)に向かって低温プラズマが発生することで、反応性の高い活性種(電子、イオン、オゾン、ラジカルなど)が生じる。そして、これらの活性種が、触媒フィルタ(41)まで達すると、さらに活性化して空気中の有害成分や臭気成分を分解除去する。以上のようにして塵埃が除去されるとともに、有害成分や臭気成分も除去された清浄な室内空気は、空気吹出口(24)から室内へ吹き出される。
【0094】
ところで、このような空気浄化装置(10)の運転時において、放電装置(40)の放電針(61)や対向部(62)の表面に塵埃が付着したり、両電極部(61,62)の間の距離に誤差が生じたりすると、各両電極部(61,62)における放電特性にバラツキが生じてしまう。この場合、例えば図1に示すように、一本の放電針Sにおける放電電流が高くなり、その結果、スパークが発生してしまう可能性がある。
【0095】
このため、本実施形態に係る空気浄化装置(10)の放電装置(40)では、上記スパークの発生を、抵抗器(60)によって抑制するようにしている。
【0096】
具体的に、実施形態1の放電装置(40)において、放電電極(41)の放電側支持部材(43)には、抵抗器(60)として機能する第2印刷通電部(52)が設けられている。このため、放電電極(41)の放電針(61)に印加される電圧は、例えば図1のVbのように、抵抗器(60)がない場合と比較して小さくなる。したがって、上述した理由などによって複数の放電針(61)の放電特性にバラツキが生じた場合にも、一本の放電針(61)(例えば図2(B)の放電部S)に流れる電流値が小さくなり、スパークの発生が抑制される。
【0097】
また仮に、例えば一本の放電針Sの放電電流が高くなり、スパークが発生する場合にも、抵抗器(60)によって、他の放電針に溜まった電荷が、この放電針Sに集中して流れることが抑制される。したがって、抵抗器(60)がない場合と比較して、スパーク発生時におけるスパークの発生量が小さくなる。
【0098】
−実施形態1の効果−
本実施形態1に係る放電装置(40)を備えた空気浄化装置(10)では、以下の効果が発揮される。
【0099】
本実施形態1において、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路には、抵抗器(60)として機能する印刷通電部(50)が設けられている。このため、両電極部(61,62)のそれぞれにおける放電特性にバラツキが生じた際にも、この抵抗器(60)によって放電電流が低減され、スパークの発生を抑制することができる。したがって、スパークの発生に伴う騒音を低減できる。また、スパークの発生に伴い生じる電磁波が、放電装置(40)の周辺機器に不具合を与えてしまうことも抑制できる。
【0100】
また、仮に一つの両電極部(61,62)においてスパークが発生した際にも、抵抗器(60)によって、他の放電部に溜まった電荷がこの両電極部(61,62)へ流れることが抑制できるため、スパークの発生量を低減することができる。
【0101】
このように、本実施形態では、抵抗器(60)によりスパークの発生を効果的に抑制できるため、ストリーマ放電を安定して行い、この放電装置(40)が備えられる空気浄化装置(10)の空気浄化効率の向上を図ることができる。
【0102】
また、本実施形態1では、図4に示すように、放電側支持部材(43)の角柱部材(43a)をポリプロピレンからなる樹脂材(44)で構成している。このため、例えば図5に示すように、放電部(61)と対向部(62)とが接触してしまい、この両電極部(61,62)において短絡が生じた際には、抵抗器(60)である第2印刷通電部(52)の温度が上昇し、その結果、第2印刷通電部(52)近傍の樹脂材(44)が溶融する。このため、第2印刷通電部(52)は、樹脂材の溶融によって散らされ、電源手段(45)と放電針(61)とは絶縁状態となり、両電極部(61,62)における短絡を解消することができる。
【0103】
この際、樹脂材(44)は発火温度よりも低い温度で溶融するため、両電極部(61,62)が短絡して、第2印刷通電部(52)の温度が上昇した際にも、この樹脂材(44)は発煙、発火する前に溶融する。したがって、両電極部(61,62)における短絡時に樹脂材(44)が発火、発煙することを確実に防止することができる。
【0104】
−実施形態1の変形例−
次に、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の変形例について、図6を参照しながら説明する。この変形例の放電装置(40)は、放電電極(41)の放電部(61)を保持する放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能するものであり、それ以外の構成及び運転動作は、実施形態1と同様となっている。
【0105】
具体的に、この変形例の放電電極(41)は、複数の放電部(61)とこれらの放電部(61)を保持する複数の放電側支持部材(43)とで構成されている。上記放電側支持部材(43)は、四角柱の形状をしており、この放電側支持部材(43)の後面側に、電源手段(45)と図示しない通電経路を介して通電する通電板(46)が設けられている。また、放電側支持部材(43)の上下面には、実施形態1と同様の放電針(放電部)(61)が支持されている。なお、放電側支持部材(43)は、導電性の樹脂材料で構成されており、通電板(46)より放電針(61)へ流れる電流に対する抵抗器(60)として機能している。また、この放電側支持部材(43)は、発火温度よりも低い温度で溶融する特性を有している。
【0106】
以上の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して通電板(46)へ電流が流れる。そして、この電流は、抵抗器(60)として機能する放電側支持部材(43)を流れた後、放電針(61)へ流れる。その結果、放電針(61)より、この放電針(61)に対峙する対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、それに伴い低温プラズマが発生する。
【0107】
この変形例においては、放電針(61)を支持する放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能し、実施形態1と同様の作用効果によって、両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制するようにしている。この変形例では、抵抗器(60)と放電側支持部材(43)とを一体的に形成できるため、部品点数が少なくなり、この放電装置(40)をコンパクトに設計することができる。
【0108】
また、抵抗器(60)として機能する放電側支持部材(43)は、複数の放電部(61)に対応して複数設けられているため、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークを抑制することができる。
【0109】
さらに、両電極部(61,62)において、短絡が生じた際には、この電極保持部材(43)が溶融することで、両電極部(61,62)が絶縁され、この短絡が解消できる。なお、この変形例においても、抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成しているため、短絡時における抵抗器(60)の発火、発煙を防止することができる。
【0110】
《発明の実施形態2》
次に、実施形態2に係る空気浄化装置(10)について図7を参照しながら説明する。実施形態2に係る空気浄化装置(10)は、実施形態1の放電装置(40)の構成が異なるものである。具体的に、実施形態1の放電装置(40)では、抵抗器(60)が電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に設けられているのに対し、実施形態2の放電装置(40)では、抵抗器(60)が電源手段(45)と対向部(62)との間に設けられている。
【0111】
実施形態2の放電装置(40)において、放電電極(41)は、ストリーマ放電の基点となる上記放電部(61)と、この放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)を備えている。放電側支持部材(43)は、上下方向に延在する板状の支持部材(43a)と、この支持部材(43a)に所定の間隔で保持された固定部材(43b)とを備えている。そして、上記固定部材(43b)の上下面に、棒状ないし線状の放電針(放電部)(61)が支持されている。この放電針(61)は、対向電極(42)の前面と略並行になるように配置されている。そして、この放電電極(41)は、図示しない通電経路を介して、電源手段(45)と通電している。
【0112】
一方、対向電極(42)は、実施形態1と同様、水平断面が「コ」の字形となった長尺部材で構成され、その開放部が後方側(図7において左側)に位置している。この対向電極(42)は、絶縁性の樹脂材(44)であるポリプロピレンで構成されている。なお、この樹脂材(44)は、発火温度よりも低い温度で溶融する特性を有している。
【0113】
また、この対向電極(42)には、対向部(62)と電源手段(45)とを図示しない通電経路を介して通電させる印刷通電部(通電部)(50)が形成されている。この印刷通電部(50)は、対向電極(42)の後面に形成された第1印刷通電部(51)と、対向電極(42)の側面に形成された第2印刷通電部(52)とで構成されている。
【0114】
第1印刷通電部(51)は、放電電極(41)の放電部(61)と対峙する対向部(62)の近傍に形成された放電印刷通電部(51a)と、この放電印刷通電部(51a)より対向電極(42)の側面に延びて形成された第1印刷通電経路(51b)とで構成されている。上記放電印刷通電部(51a)は、それぞれの放電部(61)に対応して複数設けられている。一方、上記第1印刷通電経路(51b)は、放電印刷通電部(51a)よりも上下方向の幅が狭くなっている。そして、第1印刷通電経路(51b)は、印刷通電部(50)を流れる電流に対する抵抗器(60)として機能している。
【0115】
第2印刷通電部(52)は、2本の第1印刷通電経路(51b)の側縁部と接触するように複数形成された第2印刷通電経路(52a)と、この複数の第2印刷通電経路(52b)を一つの経路に合流させている主印刷通電経路(52b)とで構成されている。そして、この主印刷通電経路(52b)が、図示しない通電経路を介して電源手段(45)と接続されている。
【0116】
以上のような放電装置(40)の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電流が、所定の通電経路を介して放電電極(41)の放電針(61)へ流れる。その結果、放電針(61)の先端より、この放電針(61)に対峙する対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、このストリーマ放電によって低温プラズマが生成する。一方、このストリーマ放電によって対向部(62)へ流れた電流は、上記第1印刷通電部(51)の放電印刷通電部(51a)より順に、第1印刷通電経路(51b)、第2印刷通電経路(52a)、主印刷通電経路(52b)を流れ、さらに図示しない通電経路を介して電源手段(45)へ流れ込む。
【0117】
ここで、実施形態2の放電装置(40)においては、対向電極(42)に形成された第1印刷通電経路(51b)が抵抗器(60)として機能している。このため、放電針(61)や対向部(62)の表面に塵埃が付着したり、両電極部(61,62)の間の距離に誤差が生じたりして、両電極部(61,62)における放電特性にバラツキが生じた場合にも、例えば図2(B)に示すように、一本の放電針Sにおける放電電流を低減し、スパークの発生を抑制するようにしている。
【0118】
また仮に、例えば一本の放電針Sの放電電流が高くなり、スパークが発生する場合にも、対向電極(42)に形成された抵抗器(60)によって、他の放電針に溜まった電荷が、この放電針(61)に集中して流れることが抑制される。したがって、抵抗器(60)がない場合と比較して、スパーク発生時におけるスパークの発生量が小さくなる。
【0119】
さらに、実施形態2では、放電電極(42)をポリプロピレンからなる樹脂材(44)で構成している。このため、この放電装置(40)において、放電部(61)と対向部(62)とが接触してしまい、この両電極部(61,62)において短絡が生じると、抵抗器(60)である第1印刷通電経路(51b)の温度が上昇し、その結果、第1印刷通電経路(51b)近傍の樹脂材(44)が溶融する。したがって、第1印刷通電経路(51b)は、樹脂材(44)の溶融によって散らされ、電源手段(45)と対向部(62)とは絶縁状態となり、両電極部(61,62)における短絡を解消することができる。
【0120】
この際、樹脂材(44)は発火温度よりも低い温度で溶融するため、両電極部(61,62)が短絡し、抵抗器(60)である第1印刷通電経路(51b)の温度が上昇した際にも、この樹脂材(44)が発煙したり、発火したりすることを防止できる。
【0121】
−実施形態2の変形例−
次に、実施形態2に係る空気浄化装置(10)の変形例について、図8を参照しながら説明する。この変形例は、対向電極(42)の後面に、複数の対向部(62)を支持する複数の対向側支持部材(63)が設けられている。そして、それぞれの対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能するものである。この対向側支持部材(63)は、四角柱の形状をしており、その後面に放電電極(41)の放電針(放電部)(61)に対峙する対向部(62)が形成されている。なお、対向側支持部材(63)は、導電性の樹脂材料で構成されている。
【0122】
以上の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して放電電極(41)の放電針(61)へ電流が流れる。そして、放電針(61)より対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、それに伴い低温プラズマが発生する。このようにして対向部(62)へ流れた電流は、抵抗器(60)として機能する対向側支持部材(63)を流れた後、対向電極(42)を介して電源手段(45)へ流れ込む。
【0123】
この変形例では、対向電極(42)に形成された対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能し、両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制することができる。また、両電極部(61,62)において、短絡が生じた際には、この放電側支持部材(63)が温度上昇に伴い溶融することで、この短絡が解消できる。なお、この変形例においても、抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成しているため、短絡時における抵抗器(60)の発火、発煙を防止することができる。
【0124】
《発明の実施形態3》
次に、実施形態3に係る空気浄化装置(10)について図9を参照しながら説明する。実施形態3に係る空気浄化装置(10)は、実施形態1の放電装置(40)と構成が異なるものである。
【0125】
図9に示すように、実施形態3の放電装置(40)は、抵抗器(60)がABS樹脂(アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン樹脂)に炭素ファイバーを添加することにより合成された電気的拡散性材料で構成されている。なお、この電気的拡散性材料の体積抵抗率は、105から1012Ωcmの範囲となっている。
【0126】
この例では、電気的拡散性材料からなる抵抗器(60)が放電側支持部材(43)の支持部材(43a)を構成している。そして、この支持部材(43a)には、上記実施形態1と同様にして、固定部材(43b)及び放電針(放電部)(61)が支持されている。一方、対向電極(42)は、板状の対向側支持部材(63)で構成されており、放電部(61)と対峙する面に対向部(62)が形成されている。
【0127】
また、実施形態3においては、電源手段(45)に図示しないアーク検知手段が設けられている。このアーク検知手段は、例えば抵抗器(60)となる電気的拡散性材料に塵埃などが付着して抵抗器(60)の抵抗値が上昇し、その結果、両電極部(61,62)でスパークが生じてしまった場合に、このスパークを検知し、電源手段(45)による電圧の印加を停止する安全装置として機能している。
【0128】
以上のように、実施形態3では、電源手段(45)から放電部(61)までの間の通電経路に、抵抗器(60)として電気的拡散性材料を用いている。この電気的拡散性材料は、上述した導電性の樹脂と比較して体積抵抗率が高いため、放電部(61)に流れる電流を一層効果的に低減できる。したがって、スパークの発生頻度、及びスパーク発生量を一層効果的に低減することができる。
【0129】
また、両電極部(61,62)で短絡が生じ抵抗器(60)に電流が集中して流れる場合、本実施形態の抵抗器(60)は、電気的拡散性材料で構成されているため、導電性材料と比較して抵抗器(60)の電流値又は電流密度を低減できる。このため、両電極部(61,62)の短絡時における抵抗器(60)の温度上昇自体を抑制することができる。したがって、抵抗器(60)における発火、発煙を防止でき、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0130】
《発明の実施形態4》
次に、実施形態4に係る空気浄化装置(10)のについて図10及び図11を参照しながら説明する。この実施形態4は、上記実施形態と対向電極(42)側の構造が異なるものである。なお、図10は、放電装置(40)の要部を上方から視た図であり、図11は放電装置(40)を側方から視た図である。
【0131】
実施形態4の放電装置(40)には、放電電極(41)と対向して対向電極(42)及びアース電極(70)が設けられている。上記対向電極(42)及びアース電極(70)は、それぞれ板状に形成されている。上記対向電極(42)の所定部位には、複数の絶縁部材(71)が覆われており、絶縁部材(71)で覆われていない部位が対向部(62)として放電針(61)の先端に対峙している。一方、アース電極(70)は、電源手段(45)の負極側と接続されている。そして、対向電極(42)とアース電極(70)との間に、導電性の樹脂材料で構成される抵抗器(60)が介設されている。
【0132】
以上の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して放電電極(41)の放電針(61)へ電流が流れる。そして、放電針(61)より対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、それに伴い低温プラズマが発生する。このようにして対向部(62)へ流れた電流は、抵抗器(60)を流れた後、アース電極(70)を介して電源手段(45)へ流れ込む。
【0133】
実施形態4では、対向電極(42)とアース電極(70)との間に配置される導電性の樹脂材料が抵抗器(60)として機能し、その結果、両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制することができる。この実施形態4では、対向電極(42)とアース電極(70)との間に抵抗体(60)をコンパクトに配置することができ、放電装置(40)の薄型化を図ることができる。
【0134】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0135】
本実施形態では、抵抗器(60)を導電性の樹脂材料で構成し、この樹脂材料を発火温度よりも低い温度で溶融するように構成している。しかしながら、この抵抗器(60)は、必ずしも樹脂材料である必要はなく、例えば金属製のヒューズのように、所定の温度以上になるとで断線し、両電極部(61,62)における短絡を解消できるものであってもよい。
【0136】
また、本実施形態では、印刷通電部(50)が形成される樹脂材(44)をポリプロピレンで構成している。しかしながら、この樹脂材(44)は、例えばその他のオレフィン系の樹脂材料のように、絶縁性で発火温度よりも低い温度で溶融するものであれば、如何なるものであってもよい。
【0137】
また、本実施形態における放電装置(40)では、例えば図2に示すように、樹脂材(44)に印刷通電部(50)を形成し、両電極部(61,62)で短絡が生じた際には、樹脂材(44)を溶融させてこの短絡を解消できるようにしている。しかしながら、これ以外に、印刷通電部(50)を発火温度より低い温度で溶融するインクなどで構成し、短絡時には、この印刷通電部(50)を溶融させることで、この短絡を解消できるようにしてもよい。
【0138】
さらに本実施形態における放電装置(40)では、放電電極(41)に、棒状ないし針状の放電針(放電部)(61)を用いている。しかしながら、この放電部(61)は、必ずしも棒状である必要はなく、例えば先端が尖った三角形状あるいは、円筒状など如何なる形状であってもよい。
【0139】
さらに、上記実施形態3では、電気的拡散性材料として炭素ファイバーを添加したABS樹脂を用いている。しかしながら、電気的拡散性材料は、これに限らず、例えばブチルゴムなどの合成ゴムやその他の材料を用いるようにしてもよい。
【0140】
また、上記実施形態3では、電気的拡散性材料である抵抗器(60)を放電部(61)と電源手段(45)との間の通電経路に設けている。しかしながら、図12に示すように、電気的拡散性材料である抵抗器(60)を対向部(62)との間の通電経路である対向側支持部材(63)に設けるようにしてもよい。この場合にも、実施形態3と同様に、スパークの発生抑制効果、あるいは抵抗器(60)の発煙、発火防止効果を得ることができる。
【0141】
さらに、図13に示すように、電気的拡散性材料である抵抗器(60)を放電部(61)側と対向部(62)側との双方に設けることもできる。この場合には、抵抗器(60)によって、放電電流を一層効果的に低減できるため、スパークの発生抑制効果、あるいは抵抗器(60)の発煙、発火防止効果も更に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上説明したように、本発明は、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置と、この放電装置を備えた空気浄化装置について有用である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置と、この放電装置を備えた空気浄化装置に係るものであり、特にこの放電装置におけるスパーク抑制技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電装置を備えた空気浄化装置は、放電によって生じたプラズマにより、空気中の臭気成分や有害成分などを分解除去する手段として利用されている。この空気浄化装置の中で、ストリーマ放電方式の空気浄化装置は、比較的低い電力で高い空気浄化効率が得られるため、有害成分の分解や脱臭を行うのに好適な技術である。
【0003】
例えば特許文献1(特開2002−336689号公報)に示すように、ストリーマ放電方式の空気浄化装置は、放電装置として、複数の針状の放電部を有する放電電極と、この放電部に対峙する対向部を有する対向電極と、両電極に電圧を印加する電源手段とを備えている。このような放電装置の構成において、電源手段より両電極に電圧を印加すると、両電極間でストリーマ放電が行われ、低温プラズマが発生する。そして、この低温プラズマの発生に伴い生成した活性種(高速電子、イオン、ラジカル、その他の励起分子等)に、被処理空気中の有害成分や臭気成分を通気接触させることで、これらの成分が分解除去される。
【0004】
−解決手段−
しかしながら、特許文献1に開示されたストリーマ放電方式の放電装置は、臭気成分や有害成分に対して高い分解効率を有する反面、ストリーマ放電の状態(ストリーマ放電の発生量や発生状況)が種々の影響因子によって敏感に左右されやすい。これらの影響因子として、放電部と対向部との間の距離、放電部の形状、放電部や対向部の表面における塵埃の付着などが挙げられる。そして、これらの影響因子によって、放電部の放電特性が変化すると放電部より対向部に向かってスパークが生じる可能性がある。その結果、ストリーマ放電が行われず、低音プラズマの生成量が低減され、空気浄化効率が低下するという問題がある。加えて、このスパークが使用者に対して騒音となってしまったり、スパークの発生に伴い生じる電磁波が放電装置近傍の電子機器を誤作動させてしまったりする問題がある。したがって、ストリーマ放電方式の放電装置において、その高い空気浄化効率を有効活用するためには、上述したスパークの発生を抑制し、安定したストリーマ放電を行えるようにすることが必要不可欠であると考えられる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストリーマ放電方式の放電装置におけるスパークの発生を抑制し、この放電装置を備えた空気浄化装置で安定したストリーマ放電を行えるようにすることである。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置において、電源手段と放電部、あるいは電源手段と対向部との間の通電経路に抵抗器を設けることで、ストリーマ放電時におけるスパークの発生を抑制できるようにしたものである。
【0007】
具体的に、第1の発明は、複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、該放電部(61)に対峙する複数の対向部(62)を有する対向電極(42)とを備え、電源手段(45)より両電極(41,42)へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置を前提としている。そして、この放電装置は、上記電源手段(45)と上記放電部(61)との間の通電経路に、抵抗器(60)が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、ストリーマ放電時に両電極(41,42)の間でスパークが発生する要因について説明する。
【0009】
複数の放電部(61)と、この放電部(61)に対応する複数の対向部(62)とを備えた放電装置において、一対の放電部(61)と対向部(62)とは、例えば図1のグラフに示すようなそれぞれの放電特性(放電時に流れる放電電流(I)と電圧(V)との関係)を有している。このような放電特性は、放電部(61)と対向部(62)との間の距離、放電部(61)の形状、放電部(61)と対向部(62)との間の絶縁抵抗値などによって変化する。したがって、例えば放電装置の製造時に、両電極部(61,62)の間の距離や、放電部(61)の形状に誤差が生じてしまったり、放電装置の長期使用によって放電部(61)や対向部(62)の表面に塵埃などが付着し、両電極部(61,62)の間の絶縁抵抗値が変わってしまったりすると、両電極部(61,62)におけるそれぞれの放電特性には、図1のC1〜C4に示すようなバラツキが生じる。
【0010】
ここで、例えば図1のVaで示す電圧が電源手段(45)より両電極部(61,62)へ印加される場合、上述した放電特性の変化によって、一本の放電部(61)(図1においてC1の特性を有する放電部S)を流れる電流が高くなり、この電流値が例えば図1の斜線で示すスパーク領域まで達してしまうと、この放電部(61)では、ストリーマ放電が行われず、対向電極(42)の対向部(62)に向かってスパークが発生してしまう。
【0011】
そして、例えば図2(A)(放電装置の概略回路図)に示すように、このようなスパークが一つの放電部Sで発生すると、電源手段(45)によって各放電部(61)に溜まっている電荷が、この放電部Sへ集中して流れてしまう。その結果、スパークの発生量が大きくなり、このスパークの発生に伴う騒音も大きくなってしまう。
【0012】
上記第1の発明では、電源手段(45)と放電電極(41)の放電部(61)との間の通電経路に、抵抗器(60)が設けられる。このため、放電部(61)に印加される電圧を低減することができる(例えば図1のVb)。その結果、ストリーマ放電時における電流値を低減することができ、スパークの発生を抑制することができる。
【0013】
また仮に、例えば一つの放電部Sでスパークが発生する場合にも、抵抗器(60)によって、他の放電部(60)の電荷が放電部Sへ流れることが抑制される(例えば図2(B))。したがって、スパークの発生量を小さくすることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の放電装置において、抵抗器(60)が導電性の樹脂材料で構成され、上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
上記第2の発明では、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に、導電性の樹脂材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。本発明においても、第1の発明で上述した作用効果によってスパークの発生を抑制することができ、スパークの発生量も小さくすることができる。
【0016】
また、第2の発明では、抵抗器(60)を発火温度より低い温度で溶融する樹脂材料で構成することによって、放電装置における両電極部(61,62)の短絡を解消するとともに、この抵抗器(60)の発火、発煙を抑制することができる。
【0017】
具体的に、例えば放電装置において、図2(B)のような抵抗器(60)を設けた場合、仮に放電部Sが何らかの理由(例えば放電装置の長期使用における電極の変形など)で対向部と接触してしまうと、両電極部(61,62)で短絡(ショート)が生じる(例えば図2(C)の状態)。この場合、各放電部(61)に溜まっている電荷が、この短絡した両電極部(61,62)に集中して流れてしまうため、各両電極部(61,62)において所定のストリーマ放電が行われなくなる。
【0018】
一方、本発明では、例えば放電部Sを備えた両電極部(61,62)で短絡が生じると、放電部Sの直前に設けられた抵抗器(60)を流れる電流によって、抵抗器(60)の温度が上昇する。そして、抵抗器(60)の温度上昇によって、この抵抗器(60)が溶融すると、両電極部(61,62)が絶縁され、この短絡を解消することができる(例えば図2(D))。
【0019】
この際、この抵抗器(60)は、発火温度より低い温度で溶融する樹脂材料で構成されているため、抵抗器(60)の温度上昇に伴い、この抵抗器(60)が発煙、発火することを抑制できる。
【0020】
第3の発明は、第1の発明の放電装置において、抵抗器(60)が、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とするものである。ここで、「電気的拡散性材料」とは、米国のEIA(Electronic Industries Association)で規格化されている「Dispative」(拡散性)を有する材料(帯電防止材料)を意味し、その体積抵抗率が105から1012Ωcmまでの範囲のものが好適である。
【0021】
上記第3の発明では、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に、電気的拡散性材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。本発明においても、第1の発明で上述した作用効果によってスパークの発生を抑制することができ、スパークの発生量も小さくすることができる。
【0022】
特に、電気的拡散性材料は、例えば導電性材料と比較してその体積抵抗率が高いため、通電経路に流れる電流を一層低減することができる。したがって、スパークの発生を効果的に抑制できる。
【0023】
また、第2の発明で上述したように、両電極部(61,62)で短絡が生じ抵抗器(60)に電流が集中して流れる場合、例えば導電性の樹脂と比較すると抵抗器(60)を流れる電流値又は電流密度を低減できる。このため、本発明では、両電極部(61,62)の短絡時における抵抗器(60)の温度上昇を抑制することができる。したがって、抵抗器(60)の発煙、発火を確実に防止することができる。
【0024】
第4の発明は、第1から第3のいずれか1の発明の放電装置において、放電電極(41)が複数の放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)を備え、上記放電側支持部材(43)は抵抗器(60)で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
上記第4の発明では、複数の放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)が、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に設けられ、この放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能する。したがって、スパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0026】
また、上記放電側支持部材(43)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成した場合には、両電極部(61,62)で短絡が生じると、この放電側支持部材(43)が発火する前に溶融し、この短絡を解消することができる。
【0027】
第5の発明は、第4の発明の放電装置において、放電電極(41)が複数の放電部(61)と、各放電部(61)を支持する複数の放電側支持部材(43)で構成されていることを特徴とするものである。
【0028】
上記第5の発明では、電源手段(45)と複数の放電部(61)との間の通電経路に、それぞれの放電部(61)に対応する複数の放電側支持部材(43)が設けられる。そして、各放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能する。したがって、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークの発生を抑制することができるとともに、両電極部(61,62)のそれぞれにおけるスパークの発生量を低減することができる。
【0029】
第6の発明は、第1の発明の放電装置において、複数の放電部(61)が放電側支持部材(43)に保持され、上記放電側支持部材(43)には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材(44)が備えられ、上記樹脂材(44)には、電源手段(45)と上記放電部(61)とに通電する通電部(50)が形成され、上記通電部(50)には、抵抗器(60)が備えられていることを特徴とするものである。
【0030】
上記第6の発明では、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に、放電側支持部材(43)に形成された通電部(50)が設けられる。そして、この通電部(50)の少なくとも一部が抵抗器(60)として機能する。したがって、第1の発明で上述した作用効果によりスパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0031】
また、例えば両電極部(61,62)で短絡が生じ、抵抗器(60)である通電部(50)の温度が上昇すると、この通電部(50)が形成された放電側支持部材(43)の樹脂材(44)が溶融する。そして、樹脂材(44)が溶融することで、この樹脂材(44)に形成された通電部(50)が切断され、両電極部(61,62)が絶縁される。したがって、この短絡を解消することができる。
【0032】
さらに、上記放電側支持部材(43)は、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材(44)で構成されているため、短絡が解消されるまでの間に上記樹脂材(44)が発火、発煙することを抑制できる。
【0033】
第7の発明は、複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、該放電部(61)に対峙する複数の対向部(62)を有する対向電極(42)とを備え、電源手段(45)より両電極(41,42)へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置を前提としている。そして、この放電装置は、上記電源手段(45)と上記対向部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)が設けられていることを特徴とするものである。なお、ここで通電経路は、対向部(62)を含むものであり、抵抗器(60)が対向部(62)自体に設けられていてもよい。
【0034】
上記第7の発明では、第1の発明とは逆に、電源手段(45)と対向電極(41)の対向部(62)との間の通電経路に、抵抗器(60)が設けられる。この場合にも、上記抵抗器(60)によって放電部(61)に印加される電圧を低減することができ、スパークの発生を抑制することができる。
【0035】
また仮に、一つの放電部でスパークが発生する場合にも、抵抗器(60)によって、この放電部へ他の放電部に溜まった電荷が集中して流れることが抑制される。したがって、スパークの発生量を小さくすることができる。
【0036】
第8の発明は、第7の発明の放電装置において、抵抗器(60)が導電性の樹脂材料で構成され、上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とするものである。
【0037】
上記第8の発明では、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に、導電性の樹脂材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。したがって、スパークの発生を抑制することができるとともに、スパークの発生量も小さくすることができる。
【0038】
また、この抵抗器(60)は、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成されているため、両電極部(61,62)で短絡が生じると、この抵抗器(60)が発火、発煙する前に溶融する。したがって、抵抗器(60)が発火、発煙することなく、両電極部(61,62)における短絡を解消することができる。
【0039】
第9の発明は、第7の発明の放電装置において、抵抗器(60)が、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0040】
上記第9の発明は、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に、電気的拡散性材料で構成された抵抗器(60)が設けられる。したがって、スパークの発生を効果的に抑制することができるとともに、スパークの発生量も効果的に小さくできる。
【0041】
また、両電極部(61,62)の短絡時において、抵抗器(60)の温度上昇を低減できるため、抵抗器(60)の発火や発煙を回避することができる。
【0042】
第10の発明は、第7から第9の発明の放電装置において、対向電極(42)が複数の対向部(62)を有する対向側支持部材(63)を備え、該対向側支持部材(63)は抵抗器(60)で構成されていることを特徴とするものである。
【0043】
上記第10の発明では、複数の対向部(62)を有する対向側支持部材(63)が、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に設けられ、この対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能する。したがって、スパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0044】
また、上記対向側支持部材(63)が、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成されている場合、両電極部(61,62)で短絡が生じると、この対向側支持部材(63)が溶融し、この短絡を解消することができる。
【0045】
第11の発明は、第10の発明の放電装置において、対向電極(42)が、複数の対向部(62)と、各対向部(62)を支持する複数の対向側支持部材(63)で構成されていることを特徴とするものである。
【0046】
上記第11の発明では、電源手段(45)と複数の対向部(62)との間の通電経路に、それぞれの対向部(62)に対応する複数の対向側支持部材(63)が設けられる。そして、各対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能する。したがって、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークの発生を抑制することができるとともに、スパークの発生量を低減することができる。
【0047】
第12の発明は、第7の発明の放電装置において、対向電極(42)には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材(44)が備えられ、上記樹脂材(44)には、電源手段(45)と対向部(62)とに通電する通電部(50)が形成され、上記通電部(50)には、抵抗器(60)が備えられていることを特徴とするものである。
【0048】
上記第12の発明では、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に、対向電極(42)に形成された通電部(50)が設けられる。そして、この通電部(50)の少なくとも一部が抵抗器(60)として機能する。したがって、スパークの発生を抑制できるとともに、スパークの発生量も低減できる。
【0049】
また、例えば両電極部(61,62)で短絡が生じ、抵抗器(60)である通電部(50)の温度が上昇すると、対向電極(42)の樹脂材(44)が溶融する。そして、樹脂材(44)が溶融することで、この樹脂材(44)に形成された通電部(50)が散らされ、両電極部(61,62)が絶縁される。したがって、この短絡を解消することができる。
【0050】
第13の発明は、放電電極(41)と対向電極(42)との間でストリーマ放電を行う放電装置を備え、両電極(41,42)との間に被処理空気を流通させ、被処理空気の清浄化を行う空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、上記放電装置が、請求項1から12のいずれか1に記載の放電装置であることを特徴とするものである。
【0051】
上記第13の発明では、第1から第12のいずれか1の発明の放電装置を空気浄化装置に適用したので、この空気浄化装置におけるスパークの発生を抑制できるとともに、このスパークの発生量を低減できる。
【0052】
−効果−
上記第1の発明によれば、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設けることにより、放電装置におけるスパークの発生を抑制できるようにしている。このため、ストリーマ放電を安定して行うことができる。
【0053】
また、スパークの発生を抑制することにより、スパーク時に生じる騒音も抑制することができる。さらに、スパークの発生に伴い生じる電磁波が、放電装置近傍の電子機器に不具合を与えることも抑止できる。
【0054】
また仮に、一対の放電部(61)と対向部(62)との間でスパークが発生した場合にも、抵抗器(60)によって、このスパークの発生量を小さくすることができる。したがって、スパークの発生に伴う騒音を低音化する、あるいはスパークの発生に伴い生じる電磁波を低減することができる。
【0055】
上記第2の発明によれば、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成している。このため、両電極部(61,62)で短絡が生じた場合に、抵抗器(60)が溶融することで、この短絡を解消することができる。この際、この抵抗器(60)は、発火温度より低い温度で溶融するため、抵抗器(60)における発火、発煙を抑制できる。したがって、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0056】
上記第3の発明によれば、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を電気的拡散性材料で構成している。したがって、スパークの発生、あるいはスパークの発生に伴う騒音や電磁波の発生を効果的に抑制することができる。
【0057】
また、本発明によれば、両電極部(61,62)の短絡時において、抵抗器(60)の温度上昇を効果的に抑制できる。このため、抵抗器(60)における発火、発煙を防止でき、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
上記第4の発明によれば、放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)を抵抗器(60)で構成し、スパークの発生頻度及び発生量を低減できるようにしている。したがって、上記放電側支持部材(43)と上記抵抗器(60)とを一体的に形成し、この放電装置をコンパクトに設計することができる。
【0059】
上記第5の発明によれば、複数の放電部(61)に対応する複数の放電側支持部材(43)を設け、これら複数の放電側支持部材(43)を抵抗器(60)で構成している。このため、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークの発生を抑制でき、スパークの発生量も低減できる。したがって、この放電装置における騒音や、電磁波に伴う周辺機器の不具合を確実に抑制することができる。さらに、全ての両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制することで、ストリーマ放電の安定性の向上を図ることができる。
【0060】
上記第6の発明によれば、両電極部(61,62)で短絡が生じた際に、放電支持部材(43)の樹脂材(44)が溶融することで、両電極部(61,62)を絶縁するようにしている。したがって、通電層(60)の近傍に形成された樹脂材(44)を溶融させるだけで、確実に両電極部(61,62)の短絡を解消することができる。
【0061】
上記第7の発明によれば、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)を設けることにより、放電装置におけるスパークの発生を抑制できるようにしている。このため、スパークの発生に伴い生じる騒音が抑制できる。さらに、スパークの発生に伴い生じる電磁波が、放電装置近傍の電子機器に不具合を与えることも抑止できる。
【0062】
また仮に、一対の放電部(61)と対向部(62)との間でスパークが発生した場合にも、抵抗器(60)によって、このスパークの発生量を小さくすることができる。したがって、スパークの発生に伴う騒音を低音化する、あるいはスパークの発生に伴い生じる電磁波を低減することができる。
【0063】
このように、本発明では、スパークの発生頻度及びスパークの発生量を低減できるようにしたので、この放電装置において、安定したストリーマ放電を行うことができる。
【0064】
上記第8の発明によれば、電源手段(45)と放電部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成している。このため、両電極部(61,62)で短絡が生じた場合に、抵抗器(60)が溶融することで、この短絡を解消することができる。この際、この抵抗器(60)は、発火温度より低い温度で溶融するため、抵抗器(60)における発火、発煙を抑制できる。したがって、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0065】
上記第9の発明によれば、電源手段(45)と対向部(62)との間の通電経路に抵抗器(60)を設け、この抵抗器(60)を電気的拡散性材料で構成している。このため、スパークの発生、あるいはスパークの発生に伴う騒音や電磁波の発生を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、両電極部(61,62)の短絡時において、抵抗器(60)の温度上昇を効果的に抑制できる。このため、抵抗器(60)における発火、発煙を防止でき、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0067】
上記第10の発明によれば、対向部(62)を支持する対向側支持部材(63)を抵抗器(60)で構成し、スパークの発生頻度及び発生量を低減できるようにしている。したがって、上記対向側支持部材(63)と上記抵抗器(60)とを一体的に形成し、この放電装置をコンパクトに設計することができる。
【0068】
上記第11の発明によれば、複数の対向部(62)に対応する複数の対向側支持部材(63)を設け、これら複数の対向側支持部材(63)を抵抗器(60)で構成している。このため、全ての両電極部(61,62)において、確実にスパークの発生を抑制でき、スパークの発生量も低減できる。したがって、この放電装置における騒音や、電磁波に伴う周辺機器の不具合を確実に抑制することができる。さらに、全ての両電極部(61,62)におけるスパークを抑制することで、ストリーマ放電の安定性の向上を図ることができる。
【0069】
上記第12の発明によれば、両電極部(61,62)で短絡が生じた際に、対向電極(42)の樹脂材(44)が溶融することで、両電極部(61,62)を絶縁するようにしている。したがって、通電部(50)の近傍の樹脂材(44)を溶融させるだけで、確実に両電極部(61,62)の短絡を解消することができる。
【0070】
上記第13の発明によれば、第1から第12のいずれか1の放電装置を空気浄化装置に適用することで、スパークの発生頻度及びスパークの発生量を低減できるようにしている。このため、スパークの発生に伴う放電音を低減し、この空気浄化装置の低騒音化を図ることができる。
【0071】
また、スパークの発生に伴う電磁波を低減でき、この電磁波によって放電装置近傍の電子機器が誤作動することを抑制することができる。したがって、この放電装置の信頼性を向上させることができる。
【0072】
さらに、スパークの発生を低減することで、ストリーマ放電を安定して行うことができるため、この空気浄化装置の空気浄化効率の向上を図ることができる。
【0073】
また、抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成する場合には、両電極(61,62)における短絡を確実に解消することができるため、この空気浄化装置の安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】放電装置におけるストリーマ放電時の放電特性を示すグラフである。
【図2】放電装置におけるストリーマ放電例を示す概略回路図である。
【図3】実施形態1に係る空気浄化装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図4】実施形態1に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図5】実施形態1に係る放電装置の短絡時における要部拡大斜視図である。
【図6】実施形態1の変形例に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図7】実施形態2に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図8】実施形態2の変形例に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図9】実施形態3に係る放電装置の要部拡大斜視図である。
【図10】実施形態4に係る放電装置の要部を上方から視た図である。
【図11】実施形態4に係る放電装置の要部を側方から視た図である。
【図12】その他の実施形態に係る放電装置の要部拡大斜視図の一例である。
【図13】その他の実施形態に係る放電装置の要部拡大斜視図の一例ある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0076】
《発明の実施形態1》
まず、実施形態1について、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0077】
図3は、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の分解斜視図である。この空気浄化装置(10)は、一般家庭や小規模店舗などで用いられる民生用の空気浄化装置である。また、この空気浄化装置(10)は、ストリーマ放電により低温プラズマを生成して被処理空気を清浄化する空気浄化装置である。
【0078】
この空気浄化装置(10)は、一端が開放された箱形のケーシング本体(21)と、その開放端面に装着される前面プレート(22)とからなるケーシング(20)を備えている。ケーシング(20)の前面プレート(22)側の両側面には吸込口(空気吸込口)(23)が形成されている。また、ケーシング本体(21)には、天板の背板寄りに吹出口(空気吹出口)(24)が形成されている。
【0079】
ケーシング(20)内には、空気吸込口(23)から空気吹出口(24)までの間に、被処理空気である室内空気が流れる空気通路(25)が形成されている。この空気通路(25)には、被処理空気の流れの上流側から順に、空気浄化を行う各種の機能部品(30)と、該空気通路(25)に室内空気を流通させるための遠心送風機(26)とが配置されている。
【0080】
上記機能部品(30)には、前面プレート(22)側から順に、プレフィルタ(31)、イオン化部(32)、静電フィルタ(33)、そして触媒フィルタ(34)が含まれている。イオン化部(32)には、低温プラズマを発生させるための放電装置(40)が一体的に組み込まれている。また、空気浄化装置(10)のケーシング本体(21)の後部下側寄りには、放電装置(40)の電源手段(45)が設けられている。
【0081】
プレフィルタ(31)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を捕集する前処理用のフィルタである。
【0082】
イオン化部(32)は、プレフィルタ(31)を通過した比較的小さな塵埃を帯電させ、この塵埃を、イオン化部(32)の下流側に配置されている静電フィルタ(33)により捕集するためのものである。このイオン化部(32)は、複数のイオン化線(35)と、複数の対向電極(42)とから構成されている。複数のイオン化線(35)は、イオン化部(32)の上端から下端まで等間隔で張架されていて、それぞれが静電フィルタ(33)に平行な一枚の仮想面上に位置している。対向電極(42)は、水平断面が「コ」の字形となった長尺部材で構成され、その開放部が後方側に位置している。この対向電極(42)は、各イオン化線(35)の間に該イオン化線(35)と平行に配列されている。そして、各対向電極(42)は、1枚のメッシュ板(37)にそれぞれの開放部が接合されている。
【0083】
放電装置(40)は、図3の要部拡大斜視図である図4に示すように、複数の放電部(61)を有する放電電極(41)と、対向電極(42)とを備えている。そして、対向電極(42)の対向部(62)が、上記放電電極(41)の放電部(61)と対峙している。なお、上記対向電極(42)は、上記イオン化部(32)の対向電極(42)として共用されており、各放電電極(41)がこの放電電極(41)に対峙する各対向電極(42)の内側に配置されている。
【0084】
放電電極(41)は、ストリーマ放電の基点となる上記放電部(61)と、この放電部(61)を保持する放電側支持部材(43)を備えている。この放電側支持部材(43)は、上下方向に延在する角柱状の角形部材(43a)と、この角柱部材(43a)に所定の間隔で保持された平板部材(43b)とを備えている。そして、上記平板部材(43b)の上下面に、棒状ないし線状の放電針(放電部)(61)が支持されている。この放電針(61)は、対向電極(42)の前面と略並行になるように配置されている。
【0085】
なお、上記角柱部材(43a)は、絶縁性の樹脂材(44)であるポリプロピレンで構成されている。この樹脂材(44)は、発火温度よりも低い温度で溶融する特性を有している。一方、上記平板部材(43b)は、導電性の金属材料で構成されている。
【0086】
また、樹脂材である上記角柱部材(43a)には、上記電源手段(45)と図示しない通電経路を介して通電する印刷通電部(通電部)(50)が形成されている。この印刷通電部(50)は、上記平板部材(43b)を介して放電針(61)と通電するように構成されている。
【0087】
具体的に、印刷通電部(50)は、角柱部材(43a)の前面に位置する第1印刷通電部(51)と、角柱部材(43a)の側面に位置する第2印刷通電部(52)とで構成されている。第1印刷通電部(51)は、平板部材(43b)の支持部の近傍に形成されている。そして、第1印刷通電部(51)は、平板部材(43b)を介して放電針(61)と通電するように構成されている。一方、第2印刷通電部(52)は、その前端が第1印刷通電部(51)の側縁部と接触し、第1印刷通電部と通電するように構成されている。また、第2印刷通電部(52)の後端は、図示しない通電経路と接触しており、この通電経路を介して電源手段(45)と通電するように構成されている。なお、第2印刷通電部(52)は、第1印刷部(51)よりも上下方向の長さが短くなっている。そして、第2印刷通電部(52)は、印刷通電部(50)を流れる電流に対する抵抗器(60)として機能している。なお、本実施形態において、この抵抗器(60)の抵抗値は、5MΩ以上となっている。
【0088】
以上のような放電装置(40)の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して上記角柱部材(43a)の第2印刷通電部(52)へ電流が流れる。そして、この電流は、第2印刷通電部(52)より第1印刷通電部(51)へ流れた後、平板部材(43b)を介して放電針(61)へ流れる。その結果、放電針(61)の先端より、この放電針(61)に対峙する対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、このストリーマ放電によって低温プラズマが生成する。
【0089】
触媒フィルタ(34)は、静電フィルタ(33)の下流側に配置されている。この触媒フィルタ(34)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持したものである。この触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒など、放電によって生成される低温プラズマ中の反応性の高い物質をさらに活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進するものが用いられる。
【0090】
−運転動作−
次に、本実施形態の空気浄化装置(10)の運転動作について説明する。
【0091】
空気浄化装置(10)の運転中は、図3に示す遠心送風機(26)が起動し、室内空気がケーシング(20)内の空気通路(25)を流通する。また、この状態において、イオン化部(32)及び放電装置(40)に電源手段(45)から電圧が印加される。
【0092】
室内空気がケーシング(20)内に導入されると、まずプレフィルタ(31)において比較的大きな塵埃が除去される。そして、室内空気は、さらにイオン化部(32)を通過する際に、この室内空気中の比較的小さな塵埃が帯電した状態となって下流側へ流れ、この塵埃は静電フィルタ(33)に捕集される。以上により、空気中の塵埃は、大きなものから小さなものまでプレフィルタ(31)と静電フィルタ(33)で概ね除去される。
【0093】
イオン化部(32)に一体的に組み込まれた放電装置(40)では、図4に示すように、放電電極(41)の放電針(61)の先端より、対向電極(42)の対向部(62)に向かって低温プラズマが発生することで、反応性の高い活性種(電子、イオン、オゾン、ラジカルなど)が生じる。そして、これらの活性種が、触媒フィルタ(41)まで達すると、さらに活性化して空気中の有害成分や臭気成分を分解除去する。以上のようにして塵埃が除去されるとともに、有害成分や臭気成分も除去された清浄な室内空気は、空気吹出口(24)から室内へ吹き出される。
【0094】
ところで、このような空気浄化装置(10)の運転時において、放電装置(40)の放電針(61)や対向部(62)の表面に塵埃が付着したり、両電極部(61,62)の間の距離に誤差が生じたりすると、各両電極部(61,62)における放電特性にバラツキが生じてしまう。この場合、例えば図1に示すように、一本の放電針Sにおける放電電流が高くなり、その結果、スパークが発生してしまう可能性がある。
【0095】
このため、本実施形態に係る空気浄化装置(10)の放電装置(40)では、上記スパークの発生を、抵抗器(60)によって抑制するようにしている。
【0096】
具体的に、実施形態1の放電装置(40)において、放電電極(41)の放電側支持部材(43)には、抵抗器(60)として機能する第2印刷通電部(52)が設けられている。このため、放電電極(41)の放電針(61)に印加される電圧は、例えば図1のVbのように、抵抗器(60)がない場合と比較して小さくなる。したがって、上述した理由などによって複数の放電針(61)の放電特性にバラツキが生じた場合にも、一本の放電針(61)(例えば図2(B)の放電部S)に流れる電流値が小さくなり、スパークの発生が抑制される。
【0097】
また仮に、例えば一本の放電針Sの放電電流が高くなり、スパークが発生する場合にも、抵抗器(60)によって、他の放電針に溜まった電荷が、この放電針Sに集中して流れることが抑制される。したがって、抵抗器(60)がない場合と比較して、スパーク発生時におけるスパークの発生量が小さくなる。
【0098】
−実施形態1の効果−
本実施形態1に係る放電装置(40)を備えた空気浄化装置(10)では、以下の効果が発揮される。
【0099】
本実施形態1において、電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路には、抵抗器(60)として機能する印刷通電部(50)が設けられている。このため、両電極部(61,62)のそれぞれにおける放電特性にバラツキが生じた際にも、この抵抗器(60)によって放電電流が低減され、スパークの発生を抑制することができる。したがって、スパークの発生に伴う騒音を低減できる。また、スパークの発生に伴い生じる電磁波が、放電装置(40)の周辺機器に不具合を与えてしまうことも抑制できる。
【0100】
また、仮に一つの両電極部(61,62)においてスパークが発生した際にも、抵抗器(60)によって、他の放電部に溜まった電荷がこの両電極部(61,62)へ流れることが抑制できるため、スパークの発生量を低減することができる。
【0101】
このように、本実施形態では、抵抗器(60)によりスパークの発生を効果的に抑制できるため、ストリーマ放電を安定して行い、この放電装置(40)が備えられる空気浄化装置(10)の空気浄化効率の向上を図ることができる。
【0102】
また、本実施形態1では、図4に示すように、放電側支持部材(43)の角柱部材(43a)をポリプロピレンからなる樹脂材(44)で構成している。このため、例えば図5に示すように、放電部(61)と対向部(62)とが接触してしまい、この両電極部(61,62)において短絡が生じた際には、抵抗器(60)である第2印刷通電部(52)の温度が上昇し、その結果、第2印刷通電部(52)近傍の樹脂材(44)が溶融する。このため、第2印刷通電部(52)は、樹脂材の溶融によって散らされ、電源手段(45)と放電針(61)とは絶縁状態となり、両電極部(61,62)における短絡を解消することができる。
【0103】
この際、樹脂材(44)は発火温度よりも低い温度で溶融するため、両電極部(61,62)が短絡して、第2印刷通電部(52)の温度が上昇した際にも、この樹脂材(44)は発煙、発火する前に溶融する。したがって、両電極部(61,62)における短絡時に樹脂材(44)が発火、発煙することを確実に防止することができる。
【0104】
−実施形態1の変形例−
次に、実施形態1に係る空気浄化装置(10)の変形例について、図6を参照しながら説明する。この変形例の放電装置(40)は、放電電極(41)の放電部(61)を保持する放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能するものであり、それ以外の構成及び運転動作は、実施形態1と同様となっている。
【0105】
具体的に、この変形例の放電電極(41)は、複数の放電部(61)とこれらの放電部(61)を保持する複数の放電側支持部材(43)とで構成されている。上記放電側支持部材(43)は、四角柱の形状をしており、この放電側支持部材(43)の後面側に、電源手段(45)と図示しない通電経路を介して通電する通電板(46)が設けられている。また、放電側支持部材(43)の上下面には、実施形態1と同様の放電針(放電部)(61)が支持されている。なお、放電側支持部材(43)は、導電性の樹脂材料で構成されており、通電板(46)より放電針(61)へ流れる電流に対する抵抗器(60)として機能している。また、この放電側支持部材(43)は、発火温度よりも低い温度で溶融する特性を有している。
【0106】
以上の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して通電板(46)へ電流が流れる。そして、この電流は、抵抗器(60)として機能する放電側支持部材(43)を流れた後、放電針(61)へ流れる。その結果、放電針(61)より、この放電針(61)に対峙する対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、それに伴い低温プラズマが発生する。
【0107】
この変形例においては、放電針(61)を支持する放電側支持部材(43)が抵抗器(60)として機能し、実施形態1と同様の作用効果によって、両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制するようにしている。この変形例では、抵抗器(60)と放電側支持部材(43)とを一体的に形成できるため、部品点数が少なくなり、この放電装置(40)をコンパクトに設計することができる。
【0108】
また、抵抗器(60)として機能する放電側支持部材(43)は、複数の放電部(61)に対応して複数設けられているため、両電極部(61,62)の全てにおいて、確実にスパークを抑制することができる。
【0109】
さらに、両電極部(61,62)において、短絡が生じた際には、この電極保持部材(43)が溶融することで、両電極部(61,62)が絶縁され、この短絡が解消できる。なお、この変形例においても、抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成しているため、短絡時における抵抗器(60)の発火、発煙を防止することができる。
【0110】
《発明の実施形態2》
次に、実施形態2に係る空気浄化装置(10)について図7を参照しながら説明する。実施形態2に係る空気浄化装置(10)は、実施形態1の放電装置(40)の構成が異なるものである。具体的に、実施形態1の放電装置(40)では、抵抗器(60)が電源手段(45)と放電部(61)との間の通電経路に設けられているのに対し、実施形態2の放電装置(40)では、抵抗器(60)が電源手段(45)と対向部(62)との間に設けられている。
【0111】
実施形態2の放電装置(40)において、放電電極(41)は、ストリーマ放電の基点となる上記放電部(61)と、この放電部(61)を支持する放電側支持部材(43)を備えている。放電側支持部材(43)は、上下方向に延在する板状の支持部材(43a)と、この支持部材(43a)に所定の間隔で保持された固定部材(43b)とを備えている。そして、上記固定部材(43b)の上下面に、棒状ないし線状の放電針(放電部)(61)が支持されている。この放電針(61)は、対向電極(42)の前面と略並行になるように配置されている。そして、この放電電極(41)は、図示しない通電経路を介して、電源手段(45)と通電している。
【0112】
一方、対向電極(42)は、実施形態1と同様、水平断面が「コ」の字形となった長尺部材で構成され、その開放部が後方側(図7において左側)に位置している。この対向電極(42)は、絶縁性の樹脂材(44)であるポリプロピレンで構成されている。なお、この樹脂材(44)は、発火温度よりも低い温度で溶融する特性を有している。
【0113】
また、この対向電極(42)には、対向部(62)と電源手段(45)とを図示しない通電経路を介して通電させる印刷通電部(通電部)(50)が形成されている。この印刷通電部(50)は、対向電極(42)の後面に形成された第1印刷通電部(51)と、対向電極(42)の側面に形成された第2印刷通電部(52)とで構成されている。
【0114】
第1印刷通電部(51)は、放電電極(41)の放電部(61)と対峙する対向部(62)の近傍に形成された放電印刷通電部(51a)と、この放電印刷通電部(51a)より対向電極(42)の側面に延びて形成された第1印刷通電経路(51b)とで構成されている。上記放電印刷通電部(51a)は、それぞれの放電部(61)に対応して複数設けられている。一方、上記第1印刷通電経路(51b)は、放電印刷通電部(51a)よりも上下方向の幅が狭くなっている。そして、第1印刷通電経路(51b)は、印刷通電部(50)を流れる電流に対する抵抗器(60)として機能している。
【0115】
第2印刷通電部(52)は、2本の第1印刷通電経路(51b)の側縁部と接触するように複数形成された第2印刷通電経路(52a)と、この複数の第2印刷通電経路(52b)を一つの経路に合流させている主印刷通電経路(52b)とで構成されている。そして、この主印刷通電経路(52b)が、図示しない通電経路を介して電源手段(45)と接続されている。
【0116】
以上のような放電装置(40)の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電流が、所定の通電経路を介して放電電極(41)の放電針(61)へ流れる。その結果、放電針(61)の先端より、この放電針(61)に対峙する対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、このストリーマ放電によって低温プラズマが生成する。一方、このストリーマ放電によって対向部(62)へ流れた電流は、上記第1印刷通電部(51)の放電印刷通電部(51a)より順に、第1印刷通電経路(51b)、第2印刷通電経路(52a)、主印刷通電経路(52b)を流れ、さらに図示しない通電経路を介して電源手段(45)へ流れ込む。
【0117】
ここで、実施形態2の放電装置(40)においては、対向電極(42)に形成された第1印刷通電経路(51b)が抵抗器(60)として機能している。このため、放電針(61)や対向部(62)の表面に塵埃が付着したり、両電極部(61,62)の間の距離に誤差が生じたりして、両電極部(61,62)における放電特性にバラツキが生じた場合にも、例えば図2(B)に示すように、一本の放電針Sにおける放電電流を低減し、スパークの発生を抑制するようにしている。
【0118】
また仮に、例えば一本の放電針Sの放電電流が高くなり、スパークが発生する場合にも、対向電極(42)に形成された抵抗器(60)によって、他の放電針に溜まった電荷が、この放電針(61)に集中して流れることが抑制される。したがって、抵抗器(60)がない場合と比較して、スパーク発生時におけるスパークの発生量が小さくなる。
【0119】
さらに、実施形態2では、放電電極(42)をポリプロピレンからなる樹脂材(44)で構成している。このため、この放電装置(40)において、放電部(61)と対向部(62)とが接触してしまい、この両電極部(61,62)において短絡が生じると、抵抗器(60)である第1印刷通電経路(51b)の温度が上昇し、その結果、第1印刷通電経路(51b)近傍の樹脂材(44)が溶融する。したがって、第1印刷通電経路(51b)は、樹脂材(44)の溶融によって散らされ、電源手段(45)と対向部(62)とは絶縁状態となり、両電極部(61,62)における短絡を解消することができる。
【0120】
この際、樹脂材(44)は発火温度よりも低い温度で溶融するため、両電極部(61,62)が短絡し、抵抗器(60)である第1印刷通電経路(51b)の温度が上昇した際にも、この樹脂材(44)が発煙したり、発火したりすることを防止できる。
【0121】
−実施形態2の変形例−
次に、実施形態2に係る空気浄化装置(10)の変形例について、図8を参照しながら説明する。この変形例は、対向電極(42)の後面に、複数の対向部(62)を支持する複数の対向側支持部材(63)が設けられている。そして、それぞれの対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能するものである。この対向側支持部材(63)は、四角柱の形状をしており、その後面に放電電極(41)の放電針(放電部)(61)に対峙する対向部(62)が形成されている。なお、対向側支持部材(63)は、導電性の樹脂材料で構成されている。
【0122】
以上の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して放電電極(41)の放電針(61)へ電流が流れる。そして、放電針(61)より対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、それに伴い低温プラズマが発生する。このようにして対向部(62)へ流れた電流は、抵抗器(60)として機能する対向側支持部材(63)を流れた後、対向電極(42)を介して電源手段(45)へ流れ込む。
【0123】
この変形例では、対向電極(42)に形成された対向側支持部材(63)が抵抗器(60)として機能し、両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制することができる。また、両電極部(61,62)において、短絡が生じた際には、この放電側支持部材(63)が温度上昇に伴い溶融することで、この短絡が解消できる。なお、この変形例においても、抵抗器(60)を発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材料で構成しているため、短絡時における抵抗器(60)の発火、発煙を防止することができる。
【0124】
《発明の実施形態3》
次に、実施形態3に係る空気浄化装置(10)について図9を参照しながら説明する。実施形態3に係る空気浄化装置(10)は、実施形態1の放電装置(40)と構成が異なるものである。
【0125】
図9に示すように、実施形態3の放電装置(40)は、抵抗器(60)がABS樹脂(アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン樹脂)に炭素ファイバーを添加することにより合成された電気的拡散性材料で構成されている。なお、この電気的拡散性材料の体積抵抗率は、105から1012Ωcmの範囲となっている。
【0126】
この例では、電気的拡散性材料からなる抵抗器(60)が放電側支持部材(43)の支持部材(43a)を構成している。そして、この支持部材(43a)には、上記実施形態1と同様にして、固定部材(43b)及び放電針(放電部)(61)が支持されている。一方、対向電極(42)は、板状の対向側支持部材(63)で構成されており、放電部(61)と対峙する面に対向部(62)が形成されている。
【0127】
また、実施形態3においては、電源手段(45)に図示しないアーク検知手段が設けられている。このアーク検知手段は、例えば抵抗器(60)となる電気的拡散性材料に塵埃などが付着して抵抗器(60)の抵抗値が上昇し、その結果、両電極部(61,62)でスパークが生じてしまった場合に、このスパークを検知し、電源手段(45)による電圧の印加を停止する安全装置として機能している。
【0128】
以上のように、実施形態3では、電源手段(45)から放電部(61)までの間の通電経路に、抵抗器(60)として電気的拡散性材料を用いている。この電気的拡散性材料は、上述した導電性の樹脂と比較して体積抵抗率が高いため、放電部(61)に流れる電流を一層効果的に低減できる。したがって、スパークの発生頻度、及びスパーク発生量を一層効果的に低減することができる。
【0129】
また、両電極部(61,62)で短絡が生じ抵抗器(60)に電流が集中して流れる場合、本実施形態の抵抗器(60)は、電気的拡散性材料で構成されているため、導電性材料と比較して抵抗器(60)の電流値又は電流密度を低減できる。このため、両電極部(61,62)の短絡時における抵抗器(60)の温度上昇自体を抑制することができる。したがって、抵抗器(60)における発火、発煙を防止でき、この放電装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0130】
《発明の実施形態4》
次に、実施形態4に係る空気浄化装置(10)のについて図10及び図11を参照しながら説明する。この実施形態4は、上記実施形態と対向電極(42)側の構造が異なるものである。なお、図10は、放電装置(40)の要部を上方から視た図であり、図11は放電装置(40)を側方から視た図である。
【0131】
実施形態4の放電装置(40)には、放電電極(41)と対向して対向電極(42)及びアース電極(70)が設けられている。上記対向電極(42)及びアース電極(70)は、それぞれ板状に形成されている。上記対向電極(42)の所定部位には、複数の絶縁部材(71)が覆われており、絶縁部材(71)で覆われていない部位が対向部(62)として放電針(61)の先端に対峙している。一方、アース電極(70)は、電源手段(45)の負極側と接続されている。そして、対向電極(42)とアース電極(70)との間に、導電性の樹脂材料で構成される抵抗器(60)が介設されている。
【0132】
以上の構成において、電源手段(45)より放電装置(40)へ電圧が印加されると、電源手段(45)より所定の通電経路を介して放電電極(41)の放電針(61)へ電流が流れる。そして、放電針(61)より対向部(62)に向かってストリーマ放電が発生し、それに伴い低温プラズマが発生する。このようにして対向部(62)へ流れた電流は、抵抗器(60)を流れた後、アース電極(70)を介して電源手段(45)へ流れ込む。
【0133】
実施形態4では、対向電極(42)とアース電極(70)との間に配置される導電性の樹脂材料が抵抗器(60)として機能し、その結果、両電極部(61,62)におけるスパークの発生を抑制することができる。この実施形態4では、対向電極(42)とアース電極(70)との間に抵抗体(60)をコンパクトに配置することができ、放電装置(40)の薄型化を図ることができる。
【0134】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0135】
本実施形態では、抵抗器(60)を導電性の樹脂材料で構成し、この樹脂材料を発火温度よりも低い温度で溶融するように構成している。しかしながら、この抵抗器(60)は、必ずしも樹脂材料である必要はなく、例えば金属製のヒューズのように、所定の温度以上になるとで断線し、両電極部(61,62)における短絡を解消できるものであってもよい。
【0136】
また、本実施形態では、印刷通電部(50)が形成される樹脂材(44)をポリプロピレンで構成している。しかしながら、この樹脂材(44)は、例えばその他のオレフィン系の樹脂材料のように、絶縁性で発火温度よりも低い温度で溶融するものであれば、如何なるものであってもよい。
【0137】
また、本実施形態における放電装置(40)では、例えば図2に示すように、樹脂材(44)に印刷通電部(50)を形成し、両電極部(61,62)で短絡が生じた際には、樹脂材(44)を溶融させてこの短絡を解消できるようにしている。しかしながら、これ以外に、印刷通電部(50)を発火温度より低い温度で溶融するインクなどで構成し、短絡時には、この印刷通電部(50)を溶融させることで、この短絡を解消できるようにしてもよい。
【0138】
さらに本実施形態における放電装置(40)では、放電電極(41)に、棒状ないし針状の放電針(放電部)(61)を用いている。しかしながら、この放電部(61)は、必ずしも棒状である必要はなく、例えば先端が尖った三角形状あるいは、円筒状など如何なる形状であってもよい。
【0139】
さらに、上記実施形態3では、電気的拡散性材料として炭素ファイバーを添加したABS樹脂を用いている。しかしながら、電気的拡散性材料は、これに限らず、例えばブチルゴムなどの合成ゴムやその他の材料を用いるようにしてもよい。
【0140】
また、上記実施形態3では、電気的拡散性材料である抵抗器(60)を放電部(61)と電源手段(45)との間の通電経路に設けている。しかしながら、図12に示すように、電気的拡散性材料である抵抗器(60)を対向部(62)との間の通電経路である対向側支持部材(63)に設けるようにしてもよい。この場合にも、実施形態3と同様に、スパークの発生抑制効果、あるいは抵抗器(60)の発煙、発火防止効果を得ることができる。
【0141】
さらに、図13に示すように、電気的拡散性材料である抵抗器(60)を放電部(61)側と対向部(62)側との双方に設けることもできる。この場合には、抵抗器(60)によって、放電電流を一層効果的に低減できるため、スパークの発生抑制効果、あるいは抵抗器(60)の発煙、発火防止効果も更に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上説明したように、本発明は、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置と、この放電装置を備えた空気浄化装置について有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放電部を有する放電電極と、該放電部に対峙する複数の対向部を有する対向電極とを備え、
電源手段より両電極へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置であって、
上記電源手段と上記放電部との間の通電経路には、抵抗器が設けられていることを特徴とする放電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電装置において、
抵抗器は、導電性の樹脂材料で構成され、
上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放電装置において、
抵抗器は、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1に記載の放電装置において、
放電電極は、複数の放電部を支持する放電側支持部材を備え、
上記放電側支持部材は、抵抗器で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放電装置において、
放電電極は、複数の放電部と、各放電部を支持する複数の放電側支持部材で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放電装置において、
複数の放電部が、放電側支持部材に保持され、
上記放電側支持部材には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材が備えられ、
上記樹脂材には、電源手段と上記放電部とに通電する通電部が形成され、
上記通電部には、抵抗器が備えられていることを特徴とする放電装置。
【請求項7】
複数の放電部を有する放電電極と、該放電部に対峙する複数の対向部を有する対向電極とを備え、
電源手段より両電極へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置であって、
上記電源手段と上記対向部との間の通電経路には、抵抗器が設けられていることを特徴とする放電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放電装置において、
抵抗器は、導電性の樹脂材料で構成され、
上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項9】
請求項7に記載の放電装置において、
抵抗器は、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1に記載の放電装置において、
対向電極は、複数の対向部を有する対向側支持部材を備え、
上記対向側支持部材は、抵抗器で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の放電装置において、
対向電極は、複数の対向部と、各対向部を支持する複数の対向側支持部材で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項12】
請求項7に記載の放電装置において、
対向電極には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材が備えられ、
上記樹脂材には、電源手段と対向部とに通電する通電部が形成され、
上記通電部には、抵抗器が備えられていることを特徴とする放電装置。
【請求項13】
放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置を備え、
両電極の間に被処理空気を流通させ、被処理空気の清浄化を行う空気浄化装置であって、
上記放電装置は、請求項1から12のいずれか1に記載の放電装置であることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項1】
複数の放電部を有する放電電極と、該放電部に対峙する複数の対向部を有する対向電極とを備え、
電源手段より両電極へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置であって、
上記電源手段と上記放電部との間の通電経路には、抵抗器が設けられていることを特徴とする放電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電装置において、
抵抗器は、導電性の樹脂材料で構成され、
上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放電装置において、
抵抗器は、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1に記載の放電装置において、
放電電極は、複数の放電部を支持する放電側支持部材を備え、
上記放電側支持部材は、抵抗器で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放電装置において、
放電電極は、複数の放電部と、各放電部を支持する複数の放電側支持部材で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放電装置において、
複数の放電部が、放電側支持部材に保持され、
上記放電側支持部材には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材が備えられ、
上記樹脂材には、電源手段と上記放電部とに通電する通電部が形成され、
上記通電部には、抵抗器が備えられていることを特徴とする放電装置。
【請求項7】
複数の放電部を有する放電電極と、該放電部に対峙する複数の対向部を有する対向電極とを備え、
電源手段より両電極へ電圧を印加して、ストリーマ放電を行う放電装置であって、
上記電源手段と上記対向部との間の通電経路には、抵抗器が設けられていることを特徴とする放電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放電装置において、
抵抗器は、導電性の樹脂材料で構成され、
上記樹脂材料は、発火温度よりも低い温度で溶融するように構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項9】
請求項7に記載の放電装置において、
抵抗器は、電気的拡散性材料で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1に記載の放電装置において、
対向電極は、複数の対向部を有する対向側支持部材を備え、
上記対向側支持部材は、抵抗器で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の放電装置において、
対向電極は、複数の対向部と、各対向部を支持する複数の対向側支持部材で構成されていることを特徴とする放電装置。
【請求項12】
請求項7に記載の放電装置において、
対向電極には、発火温度よりも低い温度で溶融する樹脂材が備えられ、
上記樹脂材には、電源手段と対向部とに通電する通電部が形成され、
上記通電部には、抵抗器が備えられていることを特徴とする放電装置。
【請求項13】
放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を行う放電装置を備え、
両電極の間に被処理空気を流通させ、被処理空気の清浄化を行う空気浄化装置であって、
上記放電装置は、請求項1から12のいずれか1に記載の放電装置であることを特徴とする空気浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際公開番号】WO2005/069460
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517036(P2005−517036)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000230
【国際出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2005/000230
【国際出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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