説明

散布装置

【課題】 粉粒流体を対象物の対象面に対して満遍なく均一に散布することができる散布装置を提供する。
【解決手段】 気体Aと共に粉粒流体Sを噴射する噴射手段21により、粉粒流体Sを対象物1の対象面1a,1bに対して散布する散布装置5A,5Bであって、噴射手段21から対象物1に対する散布口Nまでに亘る案内流路22を、その途中部分において直角又はほぼ直角に折り曲げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と共に粉粒流体を噴射する噴射手段により、粉粒流体を対象物の対象面に対して散布する散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における散布装置は、噴射手段から噴射された粉粒流体及び気体を、噴射手段から対象物に対する散布口までに亘る直管状の案内流路を通じて散布口から対象物の対象面に散布する構成であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、散布口には、噴射手段により噴射された粉粒流体及び気体の流れの勢いを緩和するための網体が配設されており、この網体による減勢よって対象物との衝突の際における粉粒流体の反射を抑制していた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−141004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来装置であると、粉粒流体及び気体が整流状態のまま散布口から散布され、このため、粉粒流体が十分に拡散されず、対象物の対象面に対して粉粒流体を満遍なく散布することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、散布口に網体が設けて粉粒流体及び気体の流れの勢いを緩和する構成のものでは、網体に粉粒流体が衝突することで、ある程度の粉粒流体の拡散が見られるが、それにしても対象物の対象面に対して粉粒流体を満遍なく均一に散布することは難しかった。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良を以って、上記の問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕本発明の第1特徴構成は、粉粒流体の散布装置に係り、その特徴は、
気体と共に粉粒流体を噴射する噴射手段により、粉粒流体を対象物の対象面に対して散布する散布装置において、
前記噴射手段から前記対象物に対する散布口までに亘る案内流路を、その途中部分において直角又はほぼ直角に折り曲げてある点にある。
【0009】
つまり、この構成であれば、噴射手段から対象物に対する散布口までに亘る案内流路が、その途中部分において直角又はほぼ直角に折り曲げられてあるため、噴射手段から噴射された粉粒流体及び気体の流れは、その折り曲げ箇所において流れ方向が変化し、それによって、折り曲げ箇所よりも上流側の流路部分を流れていた粉粒流体及び気体は、それまで整流状態にあるとしても、折り曲げ箇所において流路壁に衝突して、その流路壁との衝突により乱流状態となって折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分を散布口に向かって流れることとなり、この乱流化により、粉粒流体及び気体が散布口から効果的に拡散された状態で散布されることにより、粉粒流体を対象物の対象面に満遍なく散布することができる。
【0010】
なお、粉粒流体とは、粉状固体や粒状固体だけに限らず、霧状液体(つまり、細粒状の液体)や粉粒状の固液混合物等も包含する。
【0011】
〔2〕本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記散布口の開口面積が、前記案内流路における折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分の断面積よりも大となるように構成されているとともに、
前記案内流路における折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分の流路中心部が、前記散布口の中心軸上に位置する構成にしてある点にある。
【0012】
つまり、この構成であれば、案内流路における折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分を前述の乱流状態で流れる粉粒流体及び気体が、その下流側流路部分の断面積よりも開口面積が大きな散布口に到って圧力的に開放されることで、粉粒流体を散布口の中心部から放射状に効果的に拡散させた状態で散布することができ、これにより、粉粒流体を対象物の対象面に対して一層満遍なく均一に散布することができる。
【0013】
〔3〕本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記案内流路が、前記散布口を下部に備えた縦向き流路と、その縦向き流路の上部に連通する横向き流路とから構成されている点にある。
【0014】
つまり、案内流路を途中部分において直角又はほぼ直角に折り曲げる構成では、その折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分が横向き流路、又は、散布口を上部に備えた縦向き流路であると、その下流側の流路部分において、自重のために気流から離脱して下流側流路部分内に堆積残留する粉粒流体が生じる恐れがあり、そして、特に噴射手段において粉粒流体の噴射量を所定量となるようにして制御してある装置であると、その制御に関わらず、残留粉粒流体の発生によって、散布口より散布される粉粒流体の散布量にばらつきが生じてしまう恐れがある。
【0015】
この点、上記第3特徴構成であれば、上流側の流路部分である横向き流路を通過した粉粒流体及び気体は、前述したように流路壁への衝突により乱流化された状態で折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分である縦向き流路に流入し、その縦向き流路を下部の散布口に向かって乱流状態で流れていくが、その際、乱流化のために縦向き流路の流路へ着に接して一度は気流から離脱する状態となる粉粒流体が生じるとしても、その粉粒流体は自重により縦向き流路内での振興が継続されるので、再び気流に乗る状態となって気体と共に散布口に至り、これにより、粉粒流体が案内流路内に残留することを効果的に防止することができて、散布装置としての散布性能を一層向上させることができる。
【0016】
〔4〕本発明の第4特徴構成は、粉粒流体の散布装置に係り、その特徴は、
気体と共に粉粒流体を噴射する噴射手段により、粉粒流体を対象物の対象面に対して散布する散布装置において、
前記噴射手段から前記対象物に対する散布口までに亘る案内流路の途中箇所に、その案内流路を流れる粉粒流体及び気体の流れを撹乱する撹乱手段が設けられてある点にある。
【0017】
つまり、この構成であれば、噴射手段から噴射された粉粒流体及び気体の流れは、それまで整流状態にあるとしても、撹乱手段により撹乱されることで乱流状態となって撹乱手段の配設箇所よりも下流側の流路部分を散布口に向かって流れることとなり、この乱流化により、粉粒流体及び気体が散布口から効果的に拡散された状態で散布されることにより、粉粒流体を対象物の対象面に満遍なく散布することができる。
【0018】
なお、粉粒流体とは、粉状固体や粒状固体だけに限らず、霧状液体(つまり、細粒状の液体)や粉粒状の固液混合物等も包含する。
【0019】
〔5〕本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記撹乱手段が、前記噴射手段から噴射された前記粉粒流体及び気体を衝突させることで、粉粒流体及び気体の流れを乱流状態にする邪魔板である点にある。
【0020】
つまり、この構成であれば、案内流路の途中箇所に、噴射手段から噴射された粉粒流体及び気体を衝突させる邪魔板を設けるといった簡素な構造でありながら、粉粒流体及び気体の流れを邪魔板への衝突により効果的に乱流状態にすることができて、その乱流化により、粉粒流体を散布口から効果的に拡散させた状態で対象物の対象面に対して満遍なく散布することができる。
【0021】
〔6〕本発明の第6特徴構成は、第5特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記案内流路がその途中部分で直角又はほぼ直角に折り曲げられて形成され、
前記邪魔板が、前記案内流路の折り曲げ箇所よりも上流側の流路部分における粉粒流体及び気体の流れに対して直交する姿勢で、前記折り曲げ箇所の中央又はほぼ中央位置に設けられてあるとともに、
前記上流側流路部分における粉粒流体及び気体の流れ方向視において、前記邪魔板の側部に非閉塞部を設けてある点にある。
【0022】
つまり、この構成であれば、上流側流路部分を流れていた粉粒流体及び気体の一部は、邪魔板に衝突することで乱流化され、また他部は、邪魔板の側部の非閉塞部を通じて邪魔板の裏側(つまり、衝突面とは反対の面側)に迂回することで、さらには、それら迂回したものが折り曲げ箇所の流路壁に衝突したり、迂回したものどうしが衝突したりすることで乱流化され、これによって、折り曲げ箇所を通過した粉粒流体及び気体の流れは乱流状態となって下流側の流路部分を散布口に向かって流れることとなる。
【0023】
すなわち、上記のように複合的な乱流化により、粉粒流体及び気体を散布口から一層効果的に拡散させた状態で散布することができ、これにより、粉粒流体を対象物の対象面により一層均一に満遍なく散布することができる。
【0024】
〔7〕本発明の第7特徴構成は、第4〜第6特徴構成のいずれか1つの特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、前記散布口の開口面積が、前記案内流路の断面積よりも大となるように構成されているとともに、
前記案内流路の流路中心部が、前記散布口の中心軸上に位置する構成にしてある点にある。
【0025】
つまり、この構成であれば、案内流路における折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分を前述の乱流状態で流れる粉粒流体及び気体が、その下流側流路部分の断面積よりも開口面積が大きな散布口に到って圧力的に開放されることで、粉粒流体を散布口の中心部から放射状に効果的に拡散させた状態で散布することができ、これにより、粉粒流体を対象物の対象面に対して一層満遍なく均一に散布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔実施形態〕
図1〜図6は、対象物であるおにぎり飯1の対象面1a,1bに対して粉粒流体である塩Sを均一に満遍なく散布する本発明の散布装置5A,5Bの実施形態を示し、おにぎり飯製造装置2において三角形状に製造されたおにぎり飯1を搬送コンベア3に載置された状態で包装装置10に搬送するおにぎり製造・包装工程における搬送経路上において、おにぎり飯1の対象面1a,1bの両面それぞれに所定量の塩Sを振りかける散布装置5A,5Bが二箇所設けられている。
【0027】
おにぎり飯製造装置2から包装装置10までのおにぎり製造・包装工程は、おにぎり飯製造装置2、搬送経路の二箇所に設けられた2台の散布装置(第1散布装置5A,第2散布装置5B)、並びに、包装装置10のほか、おにぎり飯1を搬送する搬送コンベア3、搬送されているおにぎり飯1を搬送コンベア3の幅方向中央に位置させるセンタリング装置4、搬送経路の上流側に位置する第1散布装置5Aを通過したおにぎり飯1を下流側の第2散布装置5Bの前に反転させる反転装置6、おにぎり飯1の搬送経路に海苔11が収容された海苔袋12を供給する供給装置7、海苔袋12をおにぎり飯1に対して包むように接当させる上部コンベア8、及び、海苔袋12の内側面(おにぎり飯1の接当面)どうしを部分的に熱融着して、海苔袋12がおにぎり飯1を包んだ状態にするポイントヒーター9から構成されている。
【0028】
搬送コンベア3上をセンタリング装置4に向かって搬送されるおにぎり飯1は、寝かせた状態で三角形の一頂点部1cが搬送方向に向くように配置されて搬送されており、センタリング装置4のコンベア幅方向に開閉する2本のアーム4aによってコンベア幅方向中央に位置させ、搬送コンベア3の上のおにぎり飯1の搬送姿勢を一定化する。
【0029】
第1散布装置5A及び第2散布装置5Bは、搬送コンベア3上のおにぎり飯1の対象面1a,1bの両面に対して上方から所定量の塩Sを振りかけるように設けられ、搬送経路における第1散布装置5Aと第2散布装置5Bとの間に設けられた反転装置6が、搬送経路の上流側に位置する第1散布装置5Aを通過し、おにぎり飯1の一方側対象面1aに塩Sを振りかけた後、おにぎり飯1を挟持アーム6aで挟持してその挟持アーム6aをコンベア幅方向を回転軸心Xとして反転させ、第1散布装置5Aにより塩Sを振りかけたおにぎり飯1の一方側対象面1aが下側に来るように引っ繰り返した状態にしておにぎり飯1を搬送し、搬送経路の下流側に位置する第2散布装置5Bによって他方側対象面1bに所定量の塩Sが振りかけられる。
【0030】
対象面1a,1bの両面に所定量の塩Sが振りかけられたおにぎり飯1は、搬送方向において三角形の底辺側面1dを先頭にして搬送され、供給装置7によって搬送経路に供給されている海苔11を収容した海苔袋12と接当する。
【0031】
供給装置7は、海苔11を完全密封状態で収容した海苔袋12を、吸引保持部7aによって吸引保持された状態で、コンベア幅方向が海苔袋12の左右方向(つまり、開封方向)となるように搬送経路に供給され、搬送されているおにぎり飯1の底辺側面1dと海苔袋12とが接当した後、上部コンベア8に引っ張られることで吸引保持部7aによる吸引保持が解除され、吸引保持部7aは次の海苔袋12を吸引保持して搬送経路に供給する。
【0032】
上部コンベア8は、搬送手段である搬送コンベア3との間で海苔袋12とその底辺側面1dで接当したおにぎり飯1を挟みこんで、海苔袋12をおにぎり飯1に対して全体的に接当させる。
【0033】
おにぎり飯1に対して上下両面に接当している海苔袋12の搬送方向下流側端部を、ポイントヒーター9で部分的に加熱して、海苔袋12の内側面どうしを熱融着させて、おにぎり飯1を海苔11を収容した海苔袋12で包んだ形態にして、おにぎり飯1及び海苔袋12を、空気と共に外袋13に完全密封状態で封入する包装装置10に搬送する。
【0034】
包装装置10は、おにぎり飯1及びおにぎり飯1を包んだ状態の海苔袋12を外袋13に収容して、外袋13を外袋13内に空気が入っている状態で熱融着して完全密封し、その後、外袋13の一部を挟扼加熱して外袋13内の空気を圧縮して、外袋13内の空気圧を上昇させる。
【0035】
おにぎり飯1の対象面1a,1bに対して塩Sを振りかける第1及び第2散布装置5A,5Bはそれぞれ、塩Sを加圧空気Aと共に噴射する噴射手段21と、噴射手段21から塩Sを散布するおにぎり飯1の対象面1a,1bに対する散布口Nまでに亘る案内流路22とから構成されており、案内流路22は、噴射手段21の噴射流路管23から連続する折り曲げ箇所よりも上流側の流路部分である直径約2cmの横向き流路管24と、下部に散布口Nを備えると共に上部において横向き流路管24と連通する折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分である直径約5cm縦向き流路管25とから構成されている。
【0036】
案内流路22の折り曲げ箇所である縦向き流路管25の上端部25aの中央位置には、横向き流路管24との連通孔26に対向し、横向き流路管24内における塩S及び加圧空気Aの流れに対して直交する姿勢で、噴射手段21から噴射された塩Sと加圧空気Aとを衝突させてそれら塩S及び加圧空気Aの流れを乱流状態にする邪魔板27が、縦向き流路25の上端部25aから下方に向かう吊下げ状態で延設されており、邪魔板27の下端部27aが連通孔26の下側縁部26aと同じ高さ位置となるように設定されている。
【0037】
そして、横向き流路管24における塩S及び加圧空気Aの流れ方向視において、邪魔板27の両側部に非閉塞部27cを設けている。
【0038】
噴射手段21は、加圧空気Aを噴射する加圧空気噴射装置28と、塩Sを収容してある容器29と、加圧空気噴射装置28から案内流路22の横向き流路管24と直管状に連通する噴射流路管23と、噴射流路管23の途中部分に連通し容器29内の塩Sを噴射流路管23に供給する塩供給管30と、塩供給管30の途中部分に連結するように設けられた真空解除装置31と、加圧空気噴射装置28と真空解除装置31の運転制御を行う制御装置32とから構成されており、加圧空気噴射装置28から加圧空気Aを噴射することで噴射流路管23内を排気減圧させた状態(つまり、真空状態)にし、これによって、噴射流路管23の途中部分に連通している塩供給管30を通じて容器29内の塩Sが所定量吸引されて噴射流路管23に供給され、加圧空気Aと共に噴射流路管23から案内流路22の横向き流路管24に噴射される構成(エゼクタ効果を用いた構成)になっている。
【0039】
塩供給管30の途中部分に連結するように設けられた真空解除装置31は、真空状態解除用の加圧空気Aを塩供給管30に送ることでエゼクタ効果による真空状態を解除する構成で、制御装置32により加圧空気噴射装置28による加圧空気Aの噴射停止と同時に真空解除装置31を作動させて、塩供給管30から噴射流路管23に加圧空気Aを送り、真空解除装置31よりも下流側の塩供給管30内の塩Sを案内流路22に排出しながらエゼクタ効果により減圧(真空)状態となった噴射流路管23内の真空状態を解除し、それと同時に真空解除装置31よりも上流側の塩供給管30に残った塩Sを容器29に戻すようになっている。
【0040】
加圧空気噴射装置28による加圧空気Aの噴射時間を調整することで、噴射流路管23内における真空時間(つまり、塩Sの吸引時間)を調整することができ、よって、塩Sの供給量(散布量)を調整することができる。
【0041】
なお、噴射手段21により噴射され、散布口Nよりおにぎり飯1の対象面1a,1bに散布される塩Sの散布量は、それぞれの面に対して1gに調整されている。
【0042】
また、噴射手段21とは別に、容器29内に攪拌用の加圧空気Aを噴射することで、容器29の塩Sを攪拌及び乾燥させて塩Sが固まるのを防止し、スムーズに塩供給管30から吸引されるようにするための攪拌乾燥装置33が設けられている。
【0043】
噴射手段21から噴射された塩S及び加圧空気Aは、整流状態で噴射手段21の噴射流路管23と直管状に連通する横向き流路管24から連通孔26を通じて縦向き流路管25に流入し、塩S及び加圧空気Aの一部は、縦向き流路管25の上端部25aに設けられた邪魔板27の衝突面27bに衝突して乱流化され、他部は、邪魔板27の両側部の非閉塞部27cを通じて邪魔板27の裏側(つまり、衝突面27bとは反対の面側)に迂回し、さらには、それら迂回した塩S及び気流Aが縦向き流路管25の流路壁に衝突したり、迂回した塩S及び気流Aどうしが衝突したりすることで乱流化された状態となって縦向き流路管25内を縦向き流路管25の下部の散布口Nに向かって流れ、散布口Nからおにぎり飯1の対象面1a,1bに散布される。
【0044】
散布口Nを備えた縦向き流路管25の下部は、内周面34aがおにぎり飯1の全周面にほぼ当接する大きさの三角形状で、かつ、散布口Nの中心軸Pが縦向き流路管25の中心部Qと同軸心上に位置するように拡張された三角筒状カバー34に形成されており、おにぎり飯1の厚みの約2倍の高さに形成されている。
【0045】
そして、三角筒状カバー34は、搬送コンベア3上で散布口Nの下方位置に搬送されてきたおにぎり飯1を覆い被さることができるように上下方向に可動自在に形成されており、おにぎり飯1が散布口Nの真下に位置し噴射手段21から塩S及び加圧空気Aが噴射されるときに下降しておにぎり飯1に覆い被さり、このおにぎり飯1に三角筒状カバー34が覆い被さった状態で塩Sが散布される。
【0046】
つまり、このように直径約5cmの縦向き流路管25内の塩S及び加圧空気Aの流れは、高い流圧を維持したまま乱流状態で流れ、おにぎり飯1とほぼ同じ大きさの三角筒状カバー34内で拡散させることができるので、三角筒状カバー34で覆われたおにぎり飯1の対象面1a,1bに対して所定量の塩Sを均一に満遍なく、かつ、確実に散布することができる。
【0047】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を列記する。
【0048】
上述の実施形態では、案内流路22が折り曲げ箇所よりも上流側の流路部分としての横向き流路管24と下流側の流路部分としての縦向き流路管25とから構成されているが、案内流路22はその途中部分で直角又はほぼ直角に折り曲げてあればよく、上流側流路部分が縦向きの流路で下流側流路部分が横向きの流路である構成や、上流側並びに下流側の両流路部分が横向きの流路である構成(すなわち、左右方向の流路部分と奥行き方向の流路部分とからなる構成)など、その他、種々の構成を採用することができる。
【0049】
上述の実施形態では、粉粒流体及び気体の流れを撹乱する撹乱手段が案内流路22の折り曲げ箇所に設けられた邪魔板27であったが、撹乱手段としてはこの構成に限るものではなく、粉粒流体及び気体の流れを撹乱する回転体など、種々の構成を採用することができる。
【0050】
そして、上述の実施形態では、撹乱手段としての邪魔板27を横向き流路管24と縦向き流路管25との連通部分である折り曲げ箇所に設けたが、邪魔板27の配設位置はこの位置に限るものではなく、種々の位置に配設することができる。
【0051】
また、案内流路22の途中部分に撹乱手段を設ける構成であれば、案内流路22を噴射手段21から散布口Nまで一直線状に構成してもよい。
【0052】
上述の実施形態では、散布装置5A,5Bで散布する粉粒流体として塩Sを散布するようにしてあるが、粉粒流体としては塩Sに限るものではなく、小麦粉等の粉体やグラニュー糖等の粒体、又は、霧等の細粒状の液体など、種々の粉粒流体を散布するのに使用することができる。
【0053】
また、噴射手段21により噴射する気体は加圧した空気Aに限るものではなく、窒素や二酸化炭素など、用途に合わせて種々の気体を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の散布装置の実施形態であるおにぎり製造・包装工程を示す図
【図2】おにぎり製造・包装工程における散布装置を示す図
【図3】散布装置における粉粒流体を散布している状態を示す図
【図4】散布装置における粉粒流体を散布している状態を示す図
【図5】散布装置における粉粒流体を攪拌している状態を示す図
【図6】散布装置の案内流路の折り曲げ箇所の拡大断面図
【符号の説明】
【0055】
1 対象物
1a 対象面
1b 対象面
5A 散布装置
5B 散布装置
21 噴射手段
22 案内流路
24 上流側流路部分(横向き流路)
25 下流側流路部分(縦向き流路)
25a 折り曲げ箇所
27 撹乱手段(邪魔板)
27c 非閉塞部
A 気体
N 散布口
P 散布口の中心軸
Q 流路の中心部
S 粉粒流体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と共に粉粒流体を噴射する噴射手段により、粉粒流体を対象物の対象面に対して散布する散布装置であって、
前記噴射手段から前記対象物に対する散布口までに亘る案内流路を、その途中部分において直角又はほぼ直角に折り曲げてある散布装置。
【請求項2】
前記散布口の開口面積が、前記案内流路における折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分の断面積よりも大となるように構成されているとともに、
前記案内流路における折り曲げ箇所よりも下流側の流路部分の流路中心部が、前記散布口の中心軸上に位置する構成にしてある請求項1記載の散布装置。
【請求項3】
前記案内流路が、前記散布口を下部に備えた縦向き流路と、その縦向き流路の上部に連通する横向き流路とから構成されている請求項1又は2記載の散布装置。
【請求項4】
気体と共に粉粒流体を噴射する噴射手段により、粉粒流体を対象物の対象面に対して散布する散布装置であって、
前記噴射手段から前記対象物に対する散布口までに亘る案内流路の途中箇所に、その案内流路を流れる粉粒流体及び気体の流れを撹乱する撹乱手段が設けられてある散布装置。
【請求項5】
前記撹乱手段が、前記噴射手段から噴射された前記粉粒流体及び気体を衝突させることで、粉粒流体及び気体の流れを乱流状態にする邪魔板である請求項4記載の散布装置。
【請求項6】
前記案内流路がその途中部分で直角又はほぼ直角に折り曲げられて形成され、
前記邪魔板が、前記案内流路の折り曲げ箇所よりも上流側の流路部分における粉粒流体及び気体の流れに対して直交する姿勢で、前記折り曲げ箇所の中央又はほぼ中央位置に設けられてあるとともに、
前記上流側流路部分における粉粒流体及び気体の流れ方向視において、前記邪魔板の側部に非閉塞部を設けてある請求項5記載の散布装置。
【請求項7】
前記散布口の開口面積が、前記案内流路の断面積よりも大となるように構成されているとともに、
前記案内流路の流路中心部が、前記散布口の中心軸上に位置する構成にしてある請求項4〜6のいずれか1項に記載の散布装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−798(P2007−798A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184957(P2005−184957)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(503390732)株式会社東和システムサービス (3)
【Fターム(参考)】