説明

散薬分配装置

【課題】散薬が散薬分配皿から飛散するのを防止する。
【解決手段】断面円弧状の窪み部を備えたドーナツ状の散薬分配皿5を所定のピッチ角度で回転することにより、窪み部に堆積した散薬を掻出装置により1包分ずつ掻き出し可能とする散薬分配装置において、散薬分配皿5に散薬を供給するトラフ3の先端部に誘導溝3a,3bを備え。誘導溝3a,3bは、散薬分配皿5の窪み部の最下点を挟んで内周側と外周側に配置されており、トラフ3を振動させながら誘導溝3a,3bから散薬を散薬分配皿5に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方された散薬を1服用づつに包装するため、散薬を分配皿に分配した後、掻き出し装置で掻き出して分割する散薬分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の散薬分配装置では、掻き出し装置の掻き出し方向が分配皿の回転軸に対して外周方向へ掻き出しており、掻き出し装置で掻き出した散薬を包装ホッパーに投入できるように、分配皿のR形状の窪み部の外径縁の高さを低く押さえるため、外径縁のすくい角を23度前後に形成し、掻き出し装置のディスク直径を110mmとしていた。
【0003】
このため、散薬をこの分配皿に堆積させるとき、分配皿の直径が500mmのもので1分間に30回転前後に押さえて回転させなければ、顆粒などの散薬は分配中に分配皿の窪み部から遠心力で飛散してしまう問題が生じる。
【0004】
散薬分割包装装置では、散薬の分割精度が求められ、この分割精度を向上させる手段の1つとして、分配皿をできるだけ高速回転させて散薬フィーダから分配皿に供給する事が望ましく、そのような技術として、特開昭57-86401号の技術を開示している。
【0005】
この特開昭57-86401号の技術は、散薬フィーダからV字形状の環状枡に散薬を堆積させ、この後V字形状の環状枡のV字先端部を開放して、R分配皿に堆積散薬を落とし、掻き出し装置でR分配皿に堆積した散薬を掻き出して包装ホッパーに落として包装している。散薬フィーダからV字形状の環状枡に散薬を堆積させる場合、V字形状の環状枡のため、1分間に60回転前後で回しても散薬が遠心力で飛散する事はない反面、分配工程と、掻き出し工程の2工程を散薬が通過する過程で、微粉末状の散薬が散薬フィーダやR分配皿等の面に残り、処方された散薬が包装された時には、目減りする欠点がある。
【0006】
この欠点を克服するため、出願人は特開平8-85502を開示している。
【0007】
この特開平8-85502号には、散薬分配皿の外周部に環状のR形状の窪み部を設けると共に、R形状の窪み部の内径部分をドーナツ状に形成した分配皿を高速回転させて、前記R形状の窪み部に散薬を堆積させた後、R形状の窪み部に堆積した散薬を掻き出す掻き出し装置の掻き出し方向を前記ドーナツ状に抜いた散薬分配皿の回転中心方向として分配皿を一定角度づつ回転させて散薬を分配供給する分配供給装置が開示されている。
【0008】
また、機械のコンパクト化にともない従来は掻き出し機構や包装ホッパーがR分配皿5の外周部に設置されていることで機械のコンパクト化の支障となっていた。
【特許文献1】特開昭57-86401号公報
【特許文献2】特開平8-85502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特開平8-85502を開示しているような散薬分配皿を低価格で製造するには、散薬分配皿をプレス加工する事が望ましく、散薬と接触するため、耐久性や清潔度を保つ上でも、ステンレスを用いたものが望ましい。
【0010】
また散薬分配皿は、高度な精度が要求され、特に、散薬分配皿のR形状の窪み部径の軸と、散薬分配皿を回転させた時の回転軸の精度や散薬分配皿の回転軸の振れ、騒音や低振動、散薬分配皿のたわみやねじれ等が要求される。
【0011】
また、R分配皿を高速回転させるとフィーダからの分配中に飛散する一部の散薬が、回転遠心力で飛ばされ、この飛ばされた顆粒等の散薬が回転支持リングと前記回転支持リングに接触するローラの接触部分に噛み込む結果、突然の騒音発生やR分配皿のがたつき、耐久性の低下が伺えるためこれらの問題が発生しないことが要求される。
【0012】
更に、機械のコンパクト化の問題も課題の1つである。
【0013】
本発明は、散薬分配皿を安く、散薬分配皿をプレス加工可能で高精度を維持できるような形状を保ち、実際に、散薬分配皿を回転させた場合に、散薬分配皿のR形状の窪み部径の軸と、散薬分配皿を回転させた時の回転軸の精度や散薬分配皿の回転軸の振れ、または、散薬分配皿を高速回転させた時の騒音や振動の軽減等の要求される精度に対して、容易に組立や調整が可能であって、フィーダからの分配中に飛散する一部の散薬が、回転遠心力で飛ばされ、回転支持リングと前記回転支持リングに接触するローラの接触部分に噛み込み、発生する問題等の課題を解決する為に成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために、断面円弧状の窪み部を備えたドーナツ状の散薬分配皿を所定のピッチ角度で回転することにより、前記窪み部に堆積した散薬を掻出装置により1包分ずつ掻き出し可能とする散薬分配装置において、前記散薬分配皿の外周側縁が内周側縁よりも高く形成されている構成とした。
また、前記散薬分配皿の外周側縁には鍔部が設けられており、前記散薬分配皿は、前記鍔部を介して回転可能に支持されている構成とした。
【0015】
このことにより、散薬分配皿を高速回転さられる分配皿をプレス加工で高精度を維持して低価格で製造する事ができる。
【0016】
また、R形状の窪み部外周側縁の外側に備えた鍔部と、散薬分配皿のR形状の窪み部最下点が回転支持リングを支持して回転させた回転軸と同心軸になるように鍔部に沿って固定され、前記散薬分配皿の回転支持リングを回転可能に支持する構成とした。
【0017】
このことにより、実際に、散薬分配皿を回転させた場合に、散薬分配皿のR形状の窪み部径の軸と、散薬分配皿を回転させた時の回転軸の精度や散薬分配皿の回転軸の振れ、または、散薬分配皿を高速回転させた時の騒音や振動の軽減等の要求される精度に対して、容易に組立や調整が可能にする等の課題を解決する事ができる。
【0018】
更に、前記支持リングと前記ローラの接触部を、前記散薬分配皿の回転時に飛散する散薬が噛み込み不能な位置に設けた。
【0019】
これにより、フィーダから散薬を配分中、R分配皿5を1分間に60回転ほどの速度で回転させてもR分配皿の遠心力により飛散した顆粒等の散薬が、回転支持リングに接触するローラの接触部分に噛み込まないため、騒音や回転のがたつきが防止できる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、断面円弧状の窪み部を備えたドーナツ状の散薬分配皿を所定のピッチ角度で回転することにより、前記窪み部に堆積した散薬を掻出装置により1包分ずつ掻き出し可能とする散薬分配装置において、前記散薬分配皿の外周側縁が内周側縁よりも高く形成されている構成とした。また、前記散薬分配皿の外周側縁には鍔部が設けられており、前記散薬分配皿は、前記鍔部を介して回転可能に支持されている構成とした。
【0021】
このことにより、散薬分配皿を高速回転さられる分配皿をプレス加工で高精度を維持して低価格で製造する事ができる。
【0022】
また、R形状の窪み部外径縁の外側に備えた鍔部と、散薬分配皿の回転軸と同心軸に回転支持リングを前記鍔部に沿って設けられ、回転支持リングに前記鍔部を固定すると共に、前記散薬分配皿の回転支持リングを回転可能に支持する構成とした。
【0023】
このことにより、実際に、散薬分配皿を回転させた場合に、散薬分配皿のR形状の窪み部径の軸と、散薬分配皿を回転させた時の回転軸の精度や散薬分配皿の回転軸の振れ、または、散薬分配皿を高速回転させた時の騒音や振動の軽減等の要求される精度に対して、容易に組立や調整が可能にする等の課題を解決する事ができる。
さらに、散薬分配皿に散薬を供給するトラフの先端部に誘導溝を備え、トラフを振動させながら誘導溝から散薬を散薬分配皿に供給するようにしたので、散薬が散薬分配皿から飛散することがない。
誘導溝は散薬分配皿の窪み部の最下点を挟んで内周側と外周側に配置されているので、誘導溝から落下した散薬は窪み部最下点の方向に跳ね、跳ねた散薬同士が当たり窪み部最下点の位置に堆積する結果、散薬が散薬分配皿から飛散することがない。
トラフの先端部を2段階に下げて散薬分配皿への散薬の落下高さを押さえたので、散分配皿上で薬剤が跳ね難くなり、散薬を分散して堆積させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0025】
図1は本発明の散薬分配装置を備えた散薬分割包装装置の例を示す。この装置は、投入ホッパー2に散薬を入れて、フィーダ1を作動させると同時に、R分配皿5を1分間に60回転ほどの速度で回転させた状態で、トラフ3の先端部から散薬をR分配皿に供給している。
【0026】
フィーダ1は図2に示すように構成され、トラフ3下に固定された2枚の圧電素子4により、約100Hzの周波数で振動する。トラフ3下の支持板20には、圧電素子4の振動方向に平行して振動センサー21が取り付けられている。圧電素子4の下部は固定台座22に固定されていて、固定台座22はバネ23でフィーダ1の振動を吸収するようにして散薬分割包装装置本体に取り付けられる。
【0027】
図3はホッパー角度支持装置を示す。トラフ3の上方には投入ホッパー2がホッパー角度支持装置の支持部材24に支持されており、この支持部材24は支柱25を軸にして回動し支持部が昇降するようになっている。この支持部材24を回動させるアーム部材26は、モータ27により回転する図示しないクランク軸に接続されている。モータ27によりクランク軸が回転すると投入ホッパー2の開口角度を可変させることができる。
【0028】
モータ27はステッピングモータを採用しており、目的の開口角度に合わせた位置で投入ホッパー2を停止させて保持できる。また、散薬の供給が終了した際、投入ホッパー2表面に付着した散薬は、前記モータ27を細かい角度(約15の範囲)で制御して投入ホッパー2を振動させることにより、トラフ3に落とされる。また、ソレノイド部材により投入ホッパー2を打撃することで、投入ホッパー2に付着した散薬をトラフ3に落としてもよい。
【0029】
このフィーダ1の投入ホッパー2の投入口付近には、図4(a)(b)に示す集塵装置28を備えることが好ましい。
【0030】
この集塵装置28は投入ホッパー2の投入口の外周部より大きい筒状の枠で形成され、支持パイプ29に回転自在に支持されているため、図4(b)のように、集塵装置28が投入ホッパー2より離反するように設けられている。
【0031】
集塵装置28の筒状枠の内周には、集塵口30が設けられ、散薬を投入ホッパー2内に投入したときに発生する薬粉塵が集塵口30から集塵装置28に吸引されるようになっている。
【0032】
この集塵装置28は図5に示すようにクリーナ装置40に接続されている。クリーナ装置40は、フィルター41とファン42で構成され、切り替えバルブ43に接続されている。
【0033】
前記集塵装置28の集塵口30から吸い込まれた散薬粉塵は、支持パイプ29を通して切り替えバルブ43を経てクリーナ装置40に導かれる。途中流量調整装置44により、集塵装置28の集塵口30から吸い込む流量が調整される。
【0034】
この他、切り替えバルブ43に接続されているユニットに、R分配皿5の表面を清掃する回転ブラシ付きクリーナー45や、掃除機46が設けられているが説明を省略する。
【0035】
図1に示すR分配皿5は、プレス加工で形成され、R形状(断面円弧状)の窪み部を備えている。窪み部の内周側はドーナツ状に開口しており、その内周側縁5aのRの反り上がり角度は約23.5度に設定されている。
【0036】
一方、R形状の窪み部の最下点5bより外周側の外周側縁5cは、Rの反り上がり角度が約50度に設定され、内周側縁5aのRの反り上がり高さより外周側縁5cの反り上がり高さが高く設定されている。これは、フィーダ1から分配される散薬が、R分配皿5を前記条件の回転速度で回転させても散薬がR分配皿5の遠心力で飛散しないようにするためである。
【0037】
外周側縁5cの更に外周部には、R分配皿5を回転させるための支持リング6を保持する鍔5dがR分配皿5と一体に形成されている。
【0038】
図6は、フィーダ1の配置を示す図である。
【0039】
ここで示すトラフ3は、図7に示すように先端部が2段階に下がっており、トラフ3の先端部は更に2つの誘導溝3a,3bを備えている。
【0040】
この2つの誘導溝3a,3bは、それぞれR形状の窪み部最下点5bを挟んで内外周の位置に配置されている。これにより、トラフ3の先端部から落下する散薬は、誘導溝3a,3bから多く落下し、R分配皿5に誘導溝3a,3bからそれぞれ落下した散薬は、R形状の窪み部最下点5bの方向に跳ね、跳ねた散薬同士が当たってR形状の窪み部最下点5bの位置に堆積する。
【0041】
このため、散薬はR分配皿5から飛散する事が少ない。またトラフ3は、先端部が2段階に下がっていて落下高さが押さえられるので、散薬は跳ね難くなる。R分配皿5に堆積する散薬は、R形状の窪み部最下点5bの上方を頂点に高く積もり難く、左右に分散して堆積する。
【0042】
本発明のようにR分配皿5を高速回転させるためには、フィーダ1のトラフ3の落下口とR分配皿5をできるだけ接近させるか、R分配皿5の最下点を挟んだ内外径のそれぞれの傾斜面に散薬を落として、回転しているR分配皿5から飛び跳ねないようにする工夫が必要である。
【0043】
このようにして散薬がR分配皿5に分配されると、R分配皿5を一定の角度毎に送り込み、その1回に送り込まれた範囲の散薬が掻き出し装置7で包装ホッパー8に掻き落とされる。包装ホッパー8のシャッターを解放すると、散薬が包装紙10に投入され、シール装置11の回転により包装紙10が順次引き込まれて包装されるようになっている。
【0044】
前記掻き出し装置7は、分配中は上方に待避しており、分配が終了すると降下してR分配皿5に接触するようになっており、掻き出し装置7が1回転するとR分配皿5の内径方向に散薬を掻き落とすようになっている。
【0045】
これらの分配や分割動作が終了すると、図5に示す回転ブラシ付きクリーナー45を作動してR分配皿5のR形状の窪み部表面を清掃して次の処方を待機する。
【0046】
掻き出し装置7の動作は次のように行われる。
【0047】
図8(a)に示すように掻き出し装置7は、デイスク12によりR分配皿5に堆積した散薬を切り出し、R分配皿5を回転させて送った範囲の散薬がディスク12に掻き寄せられた後に、掻き出し装置7の回転によりガイド板13がR分配皿5に堆積した散薬を仕切り、前記ディスク12とガイド板13の間にもうけた掻き板14によりR分配皿5から掻き落とすようになっており、これらの駆動はモータ15によって行われる。
【0048】
図8(b)や(c)に示すように掻き板14の先端部はR分配皿5の内面を接触しながら掻き出し装置7の回転にしたがって、R内面を移動する事になるが、図8(c)に示すように掻き板14の先端部に切り込みを入れると、R分配皿5から離反するときに、掻き板のゴム材の反発が押さえられ、顆粒状の散薬が飛び跳ねにくくなる。
【0049】
図9の(a)(b)は掻き出し装置の側面図である。
【0050】
掻き出し装置7のディスク12の回転は一定速度で回転するのではなく、所定の決まった範囲を設定された速度で回転する。
【0051】
図9の(b)に示すように、掻き出し中の動作は次のように範囲が分断されている。R分配皿5の内周側縁5aの位置で、掻き出し装置7は停止するか最低速度に減速されている。
【0052】
このR分配皿5の内周側縁5aの位置を通過して、しばらくは回転速度を加速し、一定の位置からはほぼ一定の速度で回転軸xが回転する。加速終了からR分配皿5の外周側縁5cの範囲を速度調整区間として設定している。
【0053】
この速度調整区間は、回転基準として掻き板14がR分配皿5の外周側縁5cに到達したことを基準としているのではなく、ガイド板13の先端部が到達しているかがポイントである。たとえばR分配皿5の分割送り角度が小さい場合、ガイド板13の先端部がR分配皿5の外周側縁5cの位置まで到達するより早く分割送り角度が次の停止点に到達する。
【0054】
このため回転軸x速度調整区間で減速する必要はないが、設定された包装数が少なくなると、それに対応してR分配皿5の分割送り角度が大きくなってくるため、回転軸x速度調整区間で一定速度で回転させると、分割送り角度が次の停止点に到達するより早くガイド板13の先端部がR分配皿5の外周側縁5cの位置まで到達してしまい、そのまま回転軸xを回転させると堆積する散薬にガイド板13が接触しながらもなお、R分配皿5が送り込まれ、分割に必要なR分配皿5に堆積する散薬範囲をディスク12とガイド板13の間に取り込むことができず、分包誤差が生じる。
【0055】
このため、包装数やR分配皿5の送り角度の増減に対応した時間データを記憶しておき、ガイド板13の先端部がR分配皿5の外周側縁5cの位置まで到達する時間が前記記憶される時間より早いことが予測される場合には、回転軸xの回転速度を速度調整区間で減速して回転するように制御している。
【0056】
図1に示すようにR分配皿5上方には、錠剤を手撒きして分割包装する錠剤分割機37が備えられており、包装ホッパー8に落下させるシャッター38を備えた錠剤シュート39が分割機の幅に対応して備えられている。
【0057】
錠剤分割機37は小さな枡目状に配置した容器であり、各枡の底面にもそれぞれ図示しない底板シャッターが設けられている。
【0058】
この底板シャッターは錠剤分割機37の移動方向に対して底に接触しながら移動するため、シュート39の開口部に達すると錠剤分割機37の底板シャッターが自然解放して、容器内の錠剤をシュート39に落とすようになっている。このシュート39の開口部は錠剤分割機37の移動方向に対して、錠剤分割機37の移送方向の1つの枡を幅方向に設けた枡の数で割ったピッチで、階段状のスリットを設けており、錠剤分割機37を前記錠剤分割機37の移送方向の1つの枡を幅方向に設けた枡の数で割ったピッチで移送しているため、手前の角から幅方向に順に錠剤分割機37の底板シャッターが解放する。
【0059】
シュート39の出口に設けたシャッター38はこれらの一連の動作に伴ったタイミングで作動するようになっている。
【0060】
図14は従来の掻き出し装置7及びR分配皿5の駆動や包装ホッパー8等の配置を示す。掻き出し装置7のディスク12を昇降させる昇降アーム7aの回転軸や包装ホッパー8はR分配皿5の外側に設けられ、R分配皿5はR分配皿駆動モータ16で駆動され、フィーダ1は、R分配皿5の外側に配置され、投入ホッパー2に散薬を入れると、トラフ3を通じてR分配皿5のR部分に供給される。
【0061】
図10に示すR分配皿5の中心方向に散薬を掻き出して包装する装置の場合、前記図14に示すようにR分配皿5の回転駆動は中心部に持つ事ができないため、R分配皿5の外周部に支持リング6を設け、支持リング6をローラ17で回転支持している。
【0062】
R分配皿5の支持は、このような装置において重要な役割を果たしており、回転支持の手段に問題があると、R分配皿5の回転中に発生する振動により、分配中に散薬がR形状の窪み部最下点5bの同心円上からそれて蛇行や偏心して分配されたり、または、円周上の一部分に散薬が集中してくる現象が発生し、分割精度に直接影響する。
【0063】
この回転支持に関する問題を解決する技術として、R分配皿5の回転中心軸で支持することで容易に解決する事ができるが、本発明のようにR分配皿5の回転中心軸方向に散薬を掻き出す場合は、少なくともR分配皿5の内周側縁5aより外側でR分配皿5の回転支持を行う制約を受けることになり、R分配皿5の内周側縁5aより外側でR分配皿5の回転支持を行う場合、R形状の窪み部最下点5bと回転支持手段の関係からR分配皿5の回転軸の同心度を組み立て時に調整するのが困難となる上、支持リング6をR分配皿5の回転軸から外周方向に離反させればさせるほど、R分配皿5の回転軸の同心度を組み立て時に調整する難易度が高くなる関係がある。
【0064】
また、従来、R分配皿5を1分間に30回転で回転させる場合では、R分配皿5の回転支持部をある程度、回転軸から外周方向に離反させて支持する事も可能である。しかし、1分間に60回転で回転させる本発明の場合、R分配皿5をプレス加工する精度や形状が厳しく求めなければならず、支持構造についても周速度が早い位置をローラ17などで支持するなど条件があり、さらにはこのローラ17の配置を工夫しなければ飛散する散薬が支持リング6とローラ17間に噛み込み、従来では考えられなかった騒音を発生させる条件を含んでいる。(従来は、R分配皿5の支持構造では、散薬分配皿の落下位置より内側で回転速度が低速であり、ローラの配置にそれほど気にしなくても飛散する散薬が支持リングとローラ間に噛み込む問題も発生しない。)
【0065】
これらの事から、前記支持リング6とローラ17間に散薬が噛み込むと、R分配皿5を振動させるため、分配中に散薬がR形状の窪み部最下点5bの同心円上からそれて蛇行や偏心して分配されたり、または、円周上の一部分に散薬が集中してくる現象が発生する問題が生じる。本発明では、図7に示すように、支持リング6とローラ17との接触部をR分配皿5の鍔5dの位置より下方で、鍔5dの外周径の略内側径方向に、内周側縁5aより外側径の位置とすることで、分配中の散薬が飛散した時に、支持リング6とローラ17との接触部に噛み込む事はない。
【0066】
また、支持リング6のローラ17との接触部をR分配皿5の鍔5dの位置より下方で、鍔5dの外周径の略外側径方向の位置とする場合、R分配皿5から遠心力などの条件で、飛散する散薬の飛来放物範囲の内側に設ける場合、極まれに支持リング6とローラ17との接触部に散薬が噛み込む事があるがそれほどの問題とはならず、このような場合でも、支持リング6のローラ17との接触部を図6に示すようなブラシ等で挟まって支持リング6に張りついている散薬を除去すれば連続的な振動を発生させることはできる。
【0067】
しかし、支持リング6のローラ17との接触部をR分配皿5の鍔5dの位置より同じか上方で、鍔5dの外周径の略外側径方向の位置とする場合や、R分配皿5から遠心力などの条件で、飛散する散薬の飛来放物範囲の外側に設ける場合は、支持リング6とローラ17との接触部に散薬が噛み込む事が頻繁に発生するようになるため、たとえ、支持リング6とローラ17との接触部を図6に示すようなブラシ部材36等で挟まって支持リング6に張りついている散薬を除去しても、短時間に除去できないで張り付く散薬が溜まり、連続的な振動が発生するようになるため好ましくない。
【0068】
図11の(a)(b)(c)は支持リング6とローラ17の支持形態を示す図である。
【0069】
図11の(a)の支持リング6とローラ17の支持形態は、支持リング6の内径側を外周方向の下方に向かって押しつけるローラ17と、支持リング6が搭載されるローラ17とにより、2方向から支持するようになっており、R分配皿5の裏面側に支持リング6とローラ17が配置されている。
【0070】
図11の(b)の支持リング6とローラ17の支持形態は、支持リング6の外径側を内周方向の下方に向かって押しつけるローラ17と、支持リング6が搭載されるローラ17とにより、2方向から支持するようになっており、R分配皿5の外周部に備えた鍔5dの更に外側から上方に向かって支持リングから延びる支持リングガイド6aを備えている。
【0071】
このため、R分配皿5の表面から飛散する散薬は、前記支持リングガイド6aによりR分配皿5の外周側に飛散する事が極力少なくなり、偶然にも支持リング6とローラ17の間に散薬が挟まることはほとんど発生しない。
【0072】
ここで、支持リングガイド6aの形状は上方に向かって延びる支持リングとしたが、ローラ17の上方に被さるように外周方向へ延びる支持リングガイド6aとしてもよく、支持リングガイド6aの代わりに、R分配皿5の外周部に備えた鍔5dによって、ローラ17の上方に被さるようにしてもよい。
【0073】
図11の(c)の支持リング6とローラ17の支持形態は、支持リング6の外径側を内周方向の下方に向かって押しつけるローラ17と、支持リング6が搭載されるローラ17とにより、2方向から支持するようになっており、R分配皿5の外周部に備えた鍔5dの裏面に、鍔5dと支持リング6の間に間隙を設け、この間隙を起点としてローラ17の上方に被さるように設けられたカバー部材18によって、ローラ17が支持リング6に接触しない周囲を覆っている。
【0074】
このように、カバー部材18によってローラ17が覆われているため、偶然にも支持リング6とローラ17の間に散薬が挟まることはほとんど発生しない。
【0075】
また、ローラ17の当たり面は、樹脂などの材料により、振動を吸収できる柔らかい材質を前記支持リングに固着しても良く、逆に、ローラ17の表面材質を樹脂、またはゴム係の材質を用いることで、R分配皿5の高速化に対応する事が可能となる。
【0076】
更に、ローラ17は、可能な限り、直径の大きいものを採用すれば、ローラ17の回転速度が下がり、耐久性や騒音、振動を押さえることが可能になる。
【0077】
なお、ここで開示した図11の(a)(b)(c)は実施に当たり示した手段であって、散薬分配皿の回転支持リングと前記回転支持リングに接触するローラの接触部分に、R分配皿の遠心力により飛散した顆粒等の散薬が噛み込まない位置に配置したとは、カバーで覆う等のあらゆる手段が発明の趣旨に含まれている。
【0078】
図12は、R分配皿5の取り付けについての形態が違う形式を示すものである。
【0079】
ここで上げるR分配皿5の鍔5dには、支持リング6と締め付けるネジ穴を持たない形態であり、R分配皿5の鍔5dは水平ラインより下方向に環状に折り曲げられている。
【0080】
このように鍔5dを下方に曲げることにより、曲げ角度が水平方向から垂直方向に曲げ角度がきつくなるに従い、R分配皿5の曲げ強度が向上するが、反面支持リング6に取り付ける構造に難点が生じる。
【0081】
しかし、図12のように支持リング6と鍔5dを接触させ、締め付けネジ19を皿ネジまたは支持リング6と鍔5dの勾配傾斜を備えた止め具を締め付けネジ19で締め付ける事でその問題を解決している。
【0082】
図13は、本発明が使用される包装装置の制御ブロック図である。
【0083】
なお、各ユニットにおける符号については、前記説明と共通の符号を使用してここでの詳細な説明は省略する。
【0084】
この包装装置では、キーボードなどの入力手段32により、分割数や動作条件などが入力される。分割数は、処方箋情報を基に計量調合を完了した薬剤を投入ホッパー2に投入した後、日の服用回数と処方された日数から設定される。動作条件とは、主にフィーダの供給量を薬剤の種類が変わる毎に調整する事や包装形態等の設定を行う事である。
【0085】
ここで入力された情報は、コンピュータ33に送り、それぞれの情報別に対応するシーケンサーに伝送される。コンピュータ33はマイコンからパソコン間での概念を含む物とする。
【0086】
包装スタートの開始をもって、投入ホッパー2に投入された散薬は、入力手段32により設定した条件で圧電素子4が動作して散薬をトラフ3からR分配皿5に供給すると同時に、R分配皿5を1分間に60回転の早さでモータ16を回転させる。
【0087】
トラフ3の先端部には散薬の供給を監視するセンサー31を備え、散薬の供給が終了したことを、検出の無しで判断し、次工程の投入ホッパー2内に付着した散薬のクリーニング、及び圧電素子4をフル稼働させてトラフ3の残薬を供給する。
【0088】
動作終了後、R分配皿5の回転を停止させて、掻き出し装置7のデイスク12をR分配皿5上に降下させる。
【0089】
分割範囲の角度分R分配皿5を送り込み、続いて掻き出し装置7の駆動はモータ15を回転させ、掻き出し装置7の掻き板14が内周側縁5a離脱するのを受けて、次の分割範囲の角度分R分配皿5を送り込み、設定された包装数の数だけ動作を繰り返す。
【0090】
この分割動作と対応して、ヒータローラ11a,11bが動作するようになっており、11aは袋を幅方向に一定間隔で区切るようにシールし、11bは長手方向に筒状にシールする。
【0091】
散薬は、包装紙を2つ折りにして広げた位置に設けた包装ホッパー8を介して包装され、この包装紙の表面には印字装置34によって必要な患者名や服用時期などが印字される。
【0092】
また、ホストコンピュータ35から必要な情報を受信して動作させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明を示す分割包装装置の斜視図。
【図2】本発明に使用するフィーダ側面図。
【図3】本発明に使用する投入ホッパーの開閉装置側面図。
【図4】本発明の投入ホッパー集塵装置の正面図と側面図。
【図5】本発明の集塵装置の経路図。
【図6】本発明に使用するフィーダの配置を示す図。
【図7】本発明のトラフから落下する散薬の落とし方について示す図。
【図8】本発明に使用する掻き出し装置を示す図。
【図9】本発明に使用する掻き出し装置を示す図。
【図10】本発明を示す分割包装装置の側面図。
【図11】本発明を示すR分配皿の支持断面図。
【図12】本発明のR分配皿の支持手段を示す断面図。
【図13】本発明を示す分割包装装置のブロック図。
【図14】従来例を示す分割包装装置の側面図。
【符号の説明】
【0094】
3. トラフ
3a.誘導溝
3b.誘導溝
5. R分配皿
5a.内周側縁
5b.R形状の窪み部最下点
5c.外周側縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円弧状の窪み部を備えたドーナツ状の散薬分配皿を所定のピッチ角度で回転することにより、前記窪み部に堆積した散薬を掻出装置により1包分ずつ掻き出し可能とする散薬分配装置において、
前記散薬分配皿に散薬を供給するトラフの先端部に誘導溝を備え、前記誘導溝は、前記散薬分配皿の窪み部の最下点を挟んで内周側と外周側に配置されており、前記トラフを振動させながら前記誘導溝から散薬を前記散薬分配皿に供給することを特徴とすることを特徴とする散薬分配装置。
【請求項2】
前記トラフの先端部を2段階に下げて前記散薬分配皿への散薬の落下高さを押さえたことを特徴とする請求項1に記載の散薬分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−24374(P2008−24374A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238925(P2007−238925)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【分割の表示】特願平10−256224の分割
【原出願日】平成10年9月10日(1998.9.10)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】