説明

整列供給装置

【課題】煩雑な調整作業が不要で、極めて微細な物品をも整列させることが可能な整列供給装置を提供する。
【解決手段】水平に配設された回転板3と、回転板3の下面を支持する支持盤5と、回転板3を保持して回転させる回転駆動機構15と、回転板3の上面との間に隙間をもって上方に配設され、整列対象物を回転板3の周縁に向けて案内し、整列させるガイド部材10,11と、ガイド部材10,11を支持するガイド支持部材21と、整列された整列対象物を外部に導く排出機構とを備える。支持盤5は、その上面に開口するように形成された複数の吐出孔を備え、各吐出孔には、加圧気体供給機構30から加圧気体が供給される。回転板3は、各吐出孔に供給された加圧気体によってガイド部材10,11の下面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入された整列対象物を一列に整列した状態で排出して、外部の他の装置に供給する整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記整列供給装置は、例えば、自動検査装置や自動包装装置などに付設され、供給された検査対象物や包装対象物(整列対象物)を一列に整列した後、次工程たる前記自動検査装置や自動包装装置に供給する。尚、具体的な検査対象物及び包装対象物の一例としては、錠剤,カプセル,キャンディなどの菓子類,ワッシャ,ボタン,電池,電子素子といった比較的小さい物品を挙げることができる。
【0003】
そして、このような整列供給装置の一例として、従来、国際公開第2009/150960号に開示されたものが知られている。
【0004】
この整列供給装置は、水平回転自在に設けられた回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる駆動手段と、整列対象物を回転テーブル上に供給する供給機構と、回転テーブルによって搬送される搬送対象物の搬送経路を画定するガイド機構とを備えている。
【0005】
前記ガイド機構は、搬送経路の上流側から下流側に向けて順次配設された導入ガイド、第1整列ガイド対、第2整列ガイド対及び排出ガイド対を備え、各ガイドは、それぞれ整列対象物が摺接する案内面を有しており、回転テーブル上面との間に、整列対象物が通過できないような僅かな隙間をもって、当該回転テーブルの上方に固定されている。
【0006】
この整列供給装置によれば、供給機構によって回転テーブル上に供給された整列対象物は、回転テーブルの回転によって同回転方向に搬送され、順次、導入ガイド、第1整列ガイド対、第2整列ガイド対に経由し、これらによって一列に整列された後、排出ガイド対を経由して外部に搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009/150960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来の整列供給装置では、上述したように、前記各ガイドは前記回転テーブル上面との間に、整列対象物が通過できないような僅かな隙間をもって、当該回転テーブルの上方に固定されている。
【0009】
整列対象物を確実に各ガイドの案内面に摺接させて、これらを一列に整列させるという観点からすると、前記各ガイドと前記回転テーブル上面との間の隙間は、これが存在しない方が好ましいが、かかる隙間を無くして前記各ガイドと回転テーブルとが摺接するように各ガイドを固定すると、当該摺接によって回転テーブルが損傷するおそれを生じる。このような損傷は、回転テーブルの平面精度を高精度に仕上げると共に、各ガイドの高さ寸法精度をバラツキなく高精度に仕上げて、回転テーブル上面と各ガイド下面との間の接圧力を、当該損傷を生じない程度の接圧力に調節することによって、回避可能であるかもしれないが、このような調整は、極めて厳密且つ煩雑なものであって、現実的な対応とは言えない。従来の整列供給装置では、このような背景から、前記各ガイドと回転テーブルとの間に、僅かな隙間を設けるようにしている。
【0010】
ところが、近年では、取り扱い物品たる整列対象物の微小化が進んでおり、整列対象物としてこのような微小な物品を取り扱う場合には、前記ガイドと回転テーブルとの隙間を、例えば0.05mm程度に、しかも各ガイド間における誤差範囲を10μm以内に抑えて調整する必要があり、その調整作業が極めて繊細且つ煩雑であるため、上記従来例に係る整列供給装置においては、当該隙間の調整作業に長時間を要するという根本的な問題があった。前記ガイドの数は、取り扱う整列対象物の性状によって様々であるが、この数が多いほど、上述した問題が顕著となる。
【0011】
更に、電子素子の分野では、厚さが僅か0.08mmのものもあり、このような微細な電子素子を整列させるためには、かかる電子素子が前記各ガイドと回転テーブルとの間に咬み込むのを防止すべく、隙間を0.05mm以下にする必要があり、人手によって、このような隙間に調整することは、事実上不可能であった。即ち、上記従来の整列供給装置では、このような微細な電子素子については、これを整列させることができなかった。
【0012】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたもので、整列作業にあたって煩雑な調整作業が不要であり、しかも厚さが1mm以下という極めて微細な物品であっても、これを整列させることが可能な整列供給装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明は、
円形をした板材からなり、水平面に対する設置角度が、上面に載置された整列対象物が自然滑動しない角度に設定された回転板と、
前記回転板の下面を支持する支持盤と、
前記回転板の中心部に接続して該回転板を保持するとともに、前記中心部に設定された軸線を中心として該回転板を回転させる回転駆動機構と、
前記回転板の上方に、該回転板上面との間に隙間をもって配設される部材であって、前記回転板の回転方向と交差する案内面を有し、前記回転板上に投入された整列対象物を、前記案内面により、前記回転板の周縁に向けて案内しつつ整列させるガイド部材と、
前記ガイド部材を支持するガイド支持部材と、
前記ガイド部材によって整列された整列対象物を、前記回転板上からその外部へと導く排出機構とを備えた整列供給装置において、
前記回転駆動機構は、前記回転板を前記軸線に沿った方向に移動可能に保持し、
前記支持盤は、その上面に開口するように形成された複数の吐出孔を備えてなり、
更に、前記各吐出孔に加圧気体を供給する加圧気体供給手段を備えた整列供給装置に係る。
【0014】
本発明に係る整列供給装置によれば、前記加圧気体供給手段により、前記支持盤に形成された各吐出孔に加圧気体が供給される。各吐出孔に供給された加圧気体は、前記支持盤の上面に形成された開口部から吐出し、前記回転板をその軸線方向に押し上げつつ当該回転板の下面と支持盤の上面との間に流入して、当該回転板の下面に作用する気圧と、その上面に作用する気圧とに圧力差を生じさせる。斯くして、この回転板の下面には、上面に作用する気圧(大気圧)よりも高い圧力が作用し、この圧力差によって、回転板はその軸線に沿った方向(軸線方向)に更に上昇(移動)して、その上面がガイド部材の下面に隙間なく当接した状態となる。
【0015】
一方、前記回転板は、前記回転駆動機構により駆動され、その軸線を中心として所定方向に回転する。
【0016】
以上により、回転板は、その軸線方向に浮上し、その上面がガイド部材の下面に当接した状態で、所定方向に回転せしめられる。
【0017】
尚、加圧気体供給手段による各吐出孔への加圧気体の供給と、前記回転駆動機構による回転板の回転駆動とは、いずれが先であっても良く、また同時でも良い。
【0018】
このようにして回転駆動される回転板上に、人手により又は適宜供給装置を介して整列対象物が供給されると、整列対象物は回転板の回転により同回転方向に移動して前記ガイド部材の案内面に当接し、かかる案内面の作用によって回転板の周縁に向けて案内されつつ一列に整列される。
【0019】
その際、上記のように、回転板は、軸線方向に浮上して、その上面がガイド部材の下面に隙間なく当接(摺接)した状態となっているので、整列対象物は、その厚さが1mm以下の極微細なものであっても、これが回転板上面とガイド部材の下面との間に咬み込むといった不都合を生じることがなく、当該整列対象物は確実にガイド部材の案内面に当接し、一列に整列される。
【0020】
そして、上記のようにして一列に整列された整列対象物は、前記排出機構によって、当該整列供給装置からその外部へと排出される。
【0021】
尚、本発明においては、回転板上面とガイド部材下面とが摺接した状態となるので、これによって、回転板上面が損傷するといった問題が懸念されるが、前記各吐出孔に供給される加圧気体の圧力を適宜適切に調整して、回転板とガイド部材との接圧力を適宜調整することにより、このような問題が生じるのを防止することができる。また、前記ガイド部材下面のエッジ部分に傾斜面又はR面の面取りを施せば、前記回転板上面の損傷をより確実に防止することができる。
【0022】
また、本発明では、前記回転板は、その中心部が回転駆動機構に連結され、これに固定されていても良い。この場合、回転板は可撓性を備えている必要があり、例えば、厚さが0.05〜0.2mmの樹脂シートから構成されていることが好ましい。
【0023】
この場合、前記加圧気体供給手段によって各吐出孔に加圧気体が供給されると、上記と同様にして、支持盤の上面に形成された開口部から吐出し、回転板を押し上げつつ当該回転板の下面と支持盤の上面との間に流入して、当該回転板の下面に作用する気圧と、その上面に作用する気圧とに圧力差を生じさせる。そして、この圧力差によって、回転板は更に上方に撓んで、その上面がガイド部材の下面に隙間なく当接した状態となる。
【0024】
斯くして、このような態様でも、回転板は、その上面がガイド部材の下面に隙間なく当接(摺接)した状態となり、厚さが1mm以下の極微細な整列対象物であっても、回転板上面とガイド部材の下面との間に咬み込むといった不都合を生じることがなく、これを確実にガイド部材の案内面に当接させ、一列に整列させることができる。
【0025】
尚、回転板の上面をガイド部材の下面に隙間なく当接させるという観点からすると、前記吐出孔は、その開口部が、少なくとも前記ガイド部材の下方の領域に開口するように形成されていればよいが、回転板の挙動の全体的なバランスを考慮すると、前記吐出孔は、回転板と対向する領域全体に分散して開口するように形成されているのが好ましい。
【0026】
また、回転板を、その全体を均等に上方に変位させる、即ち、回転板の下面全体に均等な圧力を作用させるという観点から、前記吐出孔の開口部の口径は、10〜100μmの範囲内であるのが好ましく、20〜50μmの範囲内であるのがより好ましい。最も好ましい口径は、30μmである。
【0027】
また、前記各吐出孔に加圧気体を供給する態様としては、加圧気体供給手段から直接各吐出孔に加圧気体を供する態様もあるが、支持盤の内部に空間を形成し、各吐出孔を前記空間と連通するように形成するとともに、加圧気体供給手段から前記空間に加圧気体を供給するように構成して、当該空間を介して前記各吐出孔に加圧気体を供給する態様としても良い。
【0028】
このようにすれば、前記空間がアキュームレータとして機能するため、前記各吐出孔に供給される加圧気体の圧力が均一化され、前記各吐出孔から吐出される加圧気体によって前記回転板に作用する押上げ力が均一化されたものとなる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、回転板が軸線方向に浮上して、その上面がガイド部材の下面に隙間なく当接(摺接)した状態となるので、整列対象物は、その厚さが1mm以下の極微細なものであっても、これが回転板上面とガイド部材の下面との間に咬み込むといった不都合を生じることがなく、当該整列対象物を確実にガイド部材の案内面に当接させて、一列に整列することができる。
【0030】
また、本発明によれば、回転板とガイド部材との間の隙間を調整するといった煩雑な調整作業が不要であり、整列対象物を整列させるために要する作業時間の短縮化を図ることができ、これに要するコストを低減することができる。また、ガイド部材の高さ方向の加工精度、並びに支持盤上面の平面精度を従来より緩和した精度に設定することができ、その製造コストを低減することができる。
【0031】
また、回転板とガイド部材の摺接により、回転板上面が損傷するといった問題が懸念されるが、各吐出孔に供給される加圧気体の圧力を適宜適切に調整して、回転板とガイド部材との接圧力を適宜調整することで、このような問題が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る整列供給装置を示した斜視図である。
【図2】図1に示した整列供給装置の平面図である。
【図3】図1における矢視A−A方向の断面図である。
【図4】本実施形態に係る整列供給装置の作用を説明するための説明図である。
【図5】図3におけるB部を拡大した拡大図であり、本実施形態における作用を説明するための説明図である。
【図6】図3におけるB部を拡大した拡大図であり、本実施形態における作用を説明するための説明図である。
【図7】図3におけるB部を拡大した拡大図に相当するもので、本発明の他の実施形態を説明するための拡大図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る整列供給装置を示した、図3と同様の断面図である。
【図9】図8に示した整列供給装置の中心部を拡大して示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。尚、本例における整列対象物Pは、厚さが0.08mmの直方体状をした電子素子とする。また、各図は、本実施形態に係る整列供給装置1の概略を図示したものであり、言うまでもなく、その寸法及び縮尺等については、厳密な意味で正確なものではなく、整列対象物Pについても、説明の都合上、これを拡大した状態で図示している。
【0034】
図1乃至3に示すように、本例の整列供給装置1は、水平に設けられた回転板3と、この回転板3の上方に配設された第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11及び外周ガイド12と、前記回転板3を支持する支持盤5と、前記回転板3を水平回転させる回転駆動機構15と、前記第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11を支持するガイド支持部材21と、前記回転板3上の整列対象物を系外に排出する排出機構25と、加圧した気体を供給する加圧気体供給機構30とを備えている。
【0035】
前記回転板3は、可撓性を有する薄い樹脂製の円形シートからなる。尚、この樹脂シートの厚さは、適当な可撓性が発現されれば、厳密な意味における制限はないが、本発明者等の知見によれば、0.05〜0.2mmの範囲内であるのが好ましい。
【0036】
前記支持盤5は、上下に配設され且つ相互に結合される、平面視略矩形状をした上プレート6及び下プレート7からなり、四方の角部の内、一つの角部が切欠かれた切欠部5aを備えている。尚、この支持盤5は、その下面に接続される4本の支柱35によって支持されている。
【0037】
前記回転駆動機構15は、支持盤5の下面中央部に固設される駆動モータ16と、当該駆動モータ16の出力軸16aの先端部に固設される上固定板17と、この上固定板17の下方に配設され、当該上固定板17と協働して前記回転板13を挟持する下固定板18とからなる。
【0038】
前記下プレート7の中心部には、前記駆動モータ16の出力軸16aが挿通される小径部と、ベアリング19が挿入される大径部とからなる中心穴7aが形成されており、前記駆動モータ16はその出力軸16aが前記小径部及びベアリング19に挿通された状態で前記下プレート7の下面に固設されている。
【0039】
また、上プレート6の中心部には、前記下プレート7の中心穴7aと同軸、且つ同じく大径部及び小径部からなる中心穴6aが形成されており、この中心穴6aの大径部内に前記下固定板18が位置している。
【0040】
そして、前記回転板3は、その中心部に前記駆動モータ16の出力軸16aが軸通された状態で、前記上固定板17及び下固定板18によって挟持され、上プレート6上に載置された状態となっている。斯くして、前記回転板3は、この状態で前記駆動モータ16によって回転駆動されると、上プレート6に当接した状態で水平回転し、本例では、図4に示す矢示方向に回転(右回転)する。
【0041】
また、前記下プレート7には、前記回転板3と対向する部分(図2において、一点差線のハッチングを付した領域)に凹部7bが形成され、当該下プレート7は、前記上プレート6に対し、その接合部分が気密状態となるように接合されている。一方、上プレート6には、同じく前記回転板3と対向する部分(図2において、一点差線のハッチングを付した領域)全域に均一に分散して、上下に貫通する複数の吐出孔6bが穿孔されており、吐出孔6bは前記凹部7bに連通した状態となっている(図5参照)。
【0042】
前記ガイド支持部材21は、門形をした部材からなり、両柱部分が前記支持盤5の側面に固設され、ビーム部分が前記回転板3の上方に位置するように配設されている。
【0043】
前記第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11は、略直方体状をした部材からなり、各下面が前記回転板3との間に隙間を有するように当該回転板3の上方に配置され、それぞれ上面が前記ガイド支持部材21によって支持されている。また、この第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11は、回転板3の回転方向と交差する側面がそれぞれ案内面10a,11aとなっており、当該第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11は、各案内面10a,11aが、径方向に対して前記回転方向に傾斜した状態で前記ガイド支持部材21により支持されている。また、当該第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11は、回転板3の径方向において、その案内面11aの案内始端が案内面10aの案内終端よりも中心側に位置し、且つ案内面11aの案内終端が案内面10aの案内終端よりも外周側に位置するように、それぞれ配置されている。
【0044】
前記外周ガイド12は、帯状の板材から成形され、前記回転板3の外周周縁部の上方に、所定の隙間をもって前記周縁部に沿って配設される、平面視略円弧状をした部材からなり、前記支持盤5の切欠部5aに対応する部分が切り欠かれた切欠部12aを有する。
【0045】
前記排出機構25は、直方体状の形状を有し、前記外周ガイド12の切欠部12aに設けられた第1排出ガイド26及び第2排出ガイド27と、前記支持盤5の切欠部5aにおいて、前記回転板3の下方に設けられた排出コンベア28とからなる。
【0046】
前記第1排出ガイド26は、前記外周ガイド12の切欠部12aにおける一方端部に接続して、同部における前記回転板3の回転接線方向に沿って配設され、前記第2排出ガイド27は、第1排出ガイド26と平行に、これとの間に前記整列対象物Pが通過可能な間隔をもって、前記切欠部12aの他方端部に接続するように前記回転板3の中心側寄りに配設されている。
【0047】
また、前記排出コンベア28は、その搬送方向が前記第1排出ガイド26及び第2排出ガイド27の長手方向に沿い、その上面が前記回転板3の下面に当接するように配設されている。
【0048】
前記加圧気体供給機構30は、空気を圧縮して加圧するコンプレッサを有し、この圧縮空気の圧力を所定圧力に調整して外部に供給する加圧気体供給部31と、一端が前記下プレート7の凹部7bに連通するように当該下プレート7に接続され、他端が前記加圧気体供給部31に接続された配管32とからなり、所定圧力に調整した圧縮空気を前記支持盤5の凹部7b空間に供給する。
【0049】
以上のように構成された本例の整列供給装置1によれば、まず、前記加圧気体供給機構30から所定圧力に調整された圧縮空気が前記支持盤5の凹部7b空間内に供給される。凹部7b空間内に供給された圧縮空気は、前記上プレート6に穿孔された各吐出孔6bの開口部から吐出して、回転板3を上方に押し上げつつ、当該回転板3の下面と上プレート6の上面との間に流入する。
【0050】
そして、回転板3と上プレート6との間に圧縮空気が流入すると、回転板3の上面に作用する気圧(大気圧)と、回転板3の下面に作用する気圧(圧縮空気の圧力)との圧力差によって、当該回転板3は更に上方に押圧され、その可撓性から更に上方に撓み、変位する。これにより、回転板3の上面は第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27の下面に対し、これとの間に隙間なく当接した状態となる一方、支持盤5との間では、前記上固定板17及び下固定板18によって挟持される中心部分を除いて隙間を生じた状態となる(図5参照)。
【0051】
尚、前記加圧気体供給機構30から供給される前記圧縮空気の圧力は、回転板3を第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27に当接させ得る圧力であれば足り、回転板3を過度に撓ませる必要はなく、この意味において、当該圧力は回転板3の可撓性との関係、及び前記各ガイド10,11,27との適当な接圧力から適宜設定される。
【0052】
つぎに、前記回転板3が前記回転駆動機構15により駆動され、当該回転板3はその中心軸を中心として、図2及び図4に示す矢示方向に回転する。
【0053】
以上により、回転板3は、その上面が第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27の下面に当接した状態で、前記矢示方向に回転せしめられる。
【0054】
尚、前記加圧気体供給機構30による前記支持盤5への圧縮空気の供給と、前記回転駆動機構15による回転板3の回転駆動とは、いずれが先でも、また同時でも良いが、前記回転板3と支持盤5と間の接触面積は、当該回転板3と前記各ガイド10,11,12,27との間の接触面積よりかなり大きいため、当該回転板3と支持盤5と摺接摩擦を回避するという観点からすると、上述のように、先に支持盤5に圧縮空気を供給するのが好ましい。
【0055】
このようにして回転板3が回転駆動されると、ついで、前記第1外寄せガイド10より回転方向上流側の前記回転板3上に設定された投入部2に、人手により又は適宜供給装置を介して複数の整列対象物Pが供給される。そして、回転板3上に供給された整列対象物Pは当該回転板3の回転により、これと共に同回転方向に移動して、順次、前記第1外寄せガイド10の案内面10aに係合し、この案内面10aの作用によりこれに沿って当該回転板3の周縁に向けて案内され、その過程で徐々に整列された後、当該案内面10aの案内終端に至ると、案内面10aから排出され、再び、回転板3と共に前記矢示方向に移動する(図4参照)。
【0056】
ついで、第1外寄せガイド10から排出された整列対象物Pは、順次、前記第2外寄せガイド11の案内面11aに係合し、この案内面11aの作用によりこれに沿って当該回転板3の周縁に向けて案内され、その過程で最終的に一列に整列され、案内面11aの案内終端に至ると、当該案内面11aから排出され、回転板3と共に前記外周ガイド12の内周面に沿って前記矢示方向に移動する(図4参照)。
【0057】
そして、外周ガイド12の内周面に沿って移動した整列対象物Pは、前記排出機構25の第1排出ガイド26と第2排出ガイド27との間に導入され、排出コンベア28によって、系外に搬出される(図4参照)。
【0058】
以上のように、本例に係る整列供給装置1によれば、回転板3の上面が、第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27の下面に隙間なく当接(摺接)した状態となっているので、整列対象物Pは、その厚さが1mm以下の極微細なものであっても、これが回転板3の上面と前記各ガイド10,11,12,27の下面との間に咬み込むといった不都合を生じることがなく、当該整列対象物Pを一列に整列させて外部に供給することができる。図5には、回転板3の上面が第2外寄せガイド11の下面に隙間なく当接した状態を示しており、図6には、回転板3の上面と第2外寄せガイド11の下面との間に隙間があり、整列対象物Pがこれらの間に咬み込んだ状態を示している。
【0059】
尚、前記第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27の下面と前記回転板3の上面との間の初期状態における隙間は、必ずしも厳密な意味において均一である必要は無く、前記吐出孔6bから吐出される圧縮空気によって、回転板3を前記各ガイド10,11,12,27に対して適切に当接させることができる、所定の許容範囲内の隙間であれば良い。
【0060】
したがって、本例の整列供給装置1では、前記第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27の高さ方向の加工精度、並びに支持盤5上面の平面精度を従来より緩和した精度に設定することができ、その製造コストを低減することができる。
【0061】
また、従来必要とされた前記回転板3と各ガイド10,11,12,27との間の隙間を調整する作業が不要であることから、整列対象物Pを整列させる作業時間を従来に比べて短縮することができ、当該整列作業に要するコストを低減することができる。
【0062】
また、本例の整列供給装置1では、支持盤5に凹部7bを形成し、この凹部7bを介して各吐出孔6bに圧縮空気を供給するようにしているので、この凹部7bがアキュームレータの機能を果たし、各吐出孔6bに均一な圧力の圧縮空気を供給することができ、前記回転板3を全体的に均一に上方に変位させることができる。尚、このような効果を適切に発現させるためには、前記各吐出孔6bの開口部の口径は、10〜100μmの範囲内であるのが好ましく、20〜50μmの範囲内であるのがより好ましい。最も好ましい口径は、30μmである。
【0063】
例えば、50μm程度の厚みのPETフィルムなどのシート材料を前記回転板3として用いる場合、前記各吐出孔6bの口径を、例えば、500μmとして、この吐出孔6bから圧縮空気を吐出すると、圧縮空気の勢いが強よ過ぎて、前記回転板3を大きく撓ませることになり、各吐出孔6bの上部に第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11等がない場合には、この撓みによって、当該回転板3の水平が崩されて、その搬送性が悪化し、逆に、第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11等がある場合には、回転板3がこれらのガイド10,11に強く押し付けられることになる。
【0064】
そこで、こういった剛性の低いシート材料を前記回転板3として用いる場合には特に、上述した如く、前記各吐出孔6bの開口部の口径を、10〜100μmの範囲内に設定して、この微細な各吐出孔6bを多数(250個〜300個)設けることで、各吐出孔6bから吐出される圧縮空気の勢いを弱め、前記回転板3の下面に、広範囲に力を加えるようにするのが好ましい。この意味で、前記吐出孔6bは、1個/(5〜8mm)設けるのが好ましい。因みに、上記のような軽いPETシートであれば、100kPa程度の微圧の圧縮空気でこれを持ち上げることが可能である。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な構成は、何らこれに限定されるものではない。
【0066】
例えば、前記各吐出孔6bを、その開口部の口径が10〜100μmであるような微細孔とする場合、その孔深さが深いと、加工コスト高くなる。この場合、図7に示すように、適宜大きさの裏ざぐり加工を施して、この裏座ぐり部6cに吐出孔6bを穿孔するようにすると良い。
【0067】
また、回転板3を圧縮空気によって上方に変形、変位させるという当該回転板3の挙動において、その全体的なバランスを考慮すると、前記吐出孔6bは、回転板3と対向する領域全体に分散して穿孔されているのが好ましいが、回転板3の上面を前記第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12の下面に隙間なく当接させるという観点からすると、前記吐出孔6bは、その開口部が、少なくとも前記各ガイド10,11,12の下方の領域に穿孔されていれば良い。
【0068】
また、上例では、前記回転板3及び支持盤5を水平に配設したが、これに限るものではなく、当該回転板3及び支持盤5を、その水平面に対する設置角度が、回転板3の上面に載置された整列対象物Pが自然滑動しない角度となるように、配設しても良い。
【0069】
また、上例では、第1外寄せガイド10及び第2外寄せガイド11によって、整列対象物Pを整列させるようにしたが、当該ガイドの形状及び設置数は、これに限るものではなく、これらを整列対象物Pの性状に応じて適宜設定することができる。
【0070】
また、上例では、回転板3を上固定板17及び下固定板18により挟持して、駆動モータ16の出力軸16aに固着させる構成としたが、図8及び図9に示すように、回転板3を上下方向に移動自在に保持した構成としても良い。
【0071】
尚、この例の整列供給装置1’は、上例の上固定板17及び下固定板18に代えて、駆動モータ16の出力軸16aに固定される保持板17’を設けた点以外は、上例の整列供給装置1と同じ構成である。したがって、図7及び図8では、当該同じ構成部分については同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0072】
同図7及び図8に示すように、前記保持板17’は軸部17a’とフランジ部17b’とを備えており、この軸部17a’が前記駆動モータ16の出力軸16aに固定される。この軸部17a’の外周面には、例えば、キー又は歯部が形成され、回転板3の中心穴に形成された、例えば、キー溝又は歯部に、この軸部17a’が挿通されることで、当該回転板3は、上下方向に移動可能に当該保持板17’によって保持されるとともに、前記駆動モータ16によって、水平回転せしめられる。
【0073】
尚、この場合、前記回転板3は可撓性を有するものでも、可撓性を有しないものでも、どちらでも良い。
【0074】
斯くして、整列供給装置1’によれば、前記加圧気体供給機構30から前記支持盤5の凹部7b空間内に圧縮空気が供給されると、当該圧縮空気が、前記各吐出孔6bの開口部から吐出して、前記回転板3を上方に押し上げつつ、当該回転板3の下面と上プレート6の上面との間に流入し、回転板3の上面に作用する気圧(大気圧)と、回転板3の下面に作用する気圧(圧縮空気の圧力)との圧力差によって、当該回転板3は、全体的に更に上方に移動する。これにより、回転板3の上面は前記第1外寄せガイド10,第2外寄せガイド11,外周ガイド12及び第2排出ガイド27の下面に対し、これとの間に隙間なく当接した状態となる。図9には、回転板3が上方に移動して、その上面が第1外寄せガイド10の下面の当接した状態を示している。
【0075】
したがって、この整列供給装置1’によっても、整列対象物Pが厚さ1mm以下の極微細なものであっても、これが回転板3上面と各ガイド10,11,12,27の下面との間に咬み込むといった不都合を生じることがなく、当該整列対象物Pを確実に一列に整列して、外部の装置に供給することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 整列供給装置
3 回転板
5 支持盤
6 上プレート
6b 吐出孔
7 下プレート
7b 凹部
10 第1外寄せガイド
11 第2外寄せガイド
12 外周ガイド
15 駆動機構
16 駆動モータ
17 上固定板
18 下固定板
21 ガイド支持部材
25 排出機構
30 加圧気体供給機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形をした板材からなり、水平面に対する設置角度が、上面に載置された整列対象物が自然滑動しない角度に設定された回転板と、
前記回転板の下面を支持する支持盤と、
前記回転板の中心部に接続して該回転板を保持するとともに、前記中心部に設定された軸線を中心として該回転板を回転させる回転駆動機構と、
前記回転板の上方に、該回転板上面との間に隙間をもって配設される部材であって、前記回転板の回転方向と交差する案内面を有し、前記回転板上に投入された整列対象物を、前記案内面により、前記回転板の周縁に向けて案内しつつ整列させるガイド部材と、
前記ガイド部材を支持するガイド支持部材と、
前記ガイド部材によって整列された整列対象物を、前記回転板上からその外部へと導く排出機構とを備えた整列供給装置において、
前記回転駆動機構は、前記回転板を前記軸線に沿った方向に移動可能に保持し、
前記支持盤は、その上面に開口するように形成された複数の吐出孔を備えてなり、
更に、前記各吐出孔に加圧気体を供給する加圧気体供給手段を備えていることを特徴とする整列供給装置。
【請求項2】
円形をした板材からなり、水平面に対する設置角度が、上面に載置された整列対象物が自然滑動しない角度に設定された回転板と、
前記回転板の下面を支持する支持盤と、
前記回転板の中心部に連結され、該中心部に設定された軸線を中心として前記回転板を回転させる回転駆動機構と、
前記回転板の上方に、該回転板上面との間に隙間をもって配設される部材であって、前記回転板の回転方向と交差する案内面を有し、前記回転板上に投入された整列対象物を、前記案内面により、前記回転板の周縁に向けて案内しつつ整列させるガイド部材と、
前記ガイド部材を支持するガイド支持部材と、
前記ガイド部材によって整列された整列対象物を、前記回転板上から外部に導く排出機構とを備えた物品整列装置において、
前記回転板は、可撓性を有し、
前記支持盤は、その上面に開口するように形成された複数の吐出孔を備えてなり、
更に、前記各吐出孔に加圧気体を供給する加圧気体供給手段を備えていることを特徴とする整列供給装置。
【請求項3】
前記回転板は、厚さが0.05〜0.2mmの樹脂シートから構成されていることを特徴とする請求項2記載の整列供給装置。
【請求項4】
前記吐出孔は、その開口部が、少なくとも前記ガイド部材の下方の領域に開口するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの整列供給装置。
【請求項5】
前記吐出孔は、その開口部が、前記回転板と対向する領域に分散して開口するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの整列供給装置。
【請求項6】
前記吐出孔は、その開口部の口径が、10〜100μmμmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの整列供給装置。
【請求項7】
前記吐出孔は、その開口部の口径が、20〜50μmμmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの整列供給装置。
【請求項8】
前記支持盤は、その内部に空間を有するとともに、
前記吐出孔は、前記空間と連通するように形成され、
前記加圧気体供給手段は、前記支持盤の空間に前記加圧気体を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれかの整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−75767(P2013−75767A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183253(P2012−183253)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(305021292)第一実業ビスウィル株式会社 (23)
【出願人】(592245568)東レ・プレシジョン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】