説明

整髪剤組成物およびその使用方法

【課題】 スタイル形成能に優れ、毛髪に良好なやわらかさを付与でき、かつ洗髪時に良好に洗い流し得る整髪剤組成物と、その使用方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、両性樹脂、エステル、融点が25℃以下の酸および炭素数が2〜4のアルコールが配合された原液と、噴射剤とを含有することを特徴とする整髪剤組成物により、上記課題を解決する。上記両性樹脂としては、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体が好ましい。また、本発明の整髪剤組成物の使用方法は、ヘアアイロンを使用する前の毛髪に本発明の整髪剤組成物を塗布することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のスタイル形成能に優れ、毛髪に良好なやわらかさを付与でき、かつ洗髪時に良好に洗い流し得る整髪剤組成物およびその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘアスタイルを整える機能を確保するために、両性樹脂を使用した整髪剤が知られている(特許文献1〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−175959号公報
【特許文献2】特開2005−154315号公報
【特許文献3】特開2005−314365号公報
【特許文献5】特開2006−69903号公報
【特許文献6】特開2006−69904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、両性樹脂が毛髪に多量に付着した場合、ごわつきを感じるようになりやすく、シャンプーなどを用いて洗浄しても毛髪表面に残存しやすいため、特に両性樹脂を配合した整髪剤を継続的に使用すると、両性樹脂が毛髪表面に蓄積して、その感触を低下させてしまうといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スタイル形成能に優れ、毛髪に良好なやわらかさを付与でき、かつ洗髪時に良好に洗い流し得る整髪剤組成物と、その使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成し得た本発明の整髪剤組成物は、少なくとも、両性樹脂、エステル、融点が25℃以下の酸および炭素数が2〜4のアルコールが配合された原液と、噴射剤とを含有することを特徴とするものである。
【0007】
また、ヘアアイロンを使用する前の毛髪に本発明の整髪剤組成物を塗布することを特徴とする整髪剤組成物の使用方法も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スタイル形成能に優れ、毛髪に良好なやわらかさを付与でき、かつ洗髪時に良好に洗い流し得る整髪剤組成物を提供することができる。また、本発明法によれば、例えばカールスタイルの毛髪において、良好なスタイル形成が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の整髪剤組成物は、有効成分を含む原液と、噴射剤とを含有しており、スプレー式(エアゾール式)の形態を取るものである。
【0010】
本発明の整髪剤組成物に係る原液は、媒体に炭素数が2〜4のアルコールを使用し、更に両性樹脂、エステルおよび融点が25℃以下の酸を配合したものである。
【0011】
両性樹脂は、整髪剤組成物にセット力を付与し得る成分であり、かかる成分をエステルと組み合わせて使用することによって、塗布後の毛髪を良好にやわらかくしつつ、毛髪のスタイル形成を容易にし得る整髪剤組成物を構成できる。また、本発明の整髪剤組成物を用いて形成したヘアスタイルは、その形状が長時間にわたって良好に保持される。
【0012】
両性樹脂としては、その効果が特に良好である点で、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体がより好ましい。N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体としては、例えば、大阪有機化学工業社製の「RAMレジン(商品名)」シリーズや、三菱化学社製の「ユカフォーマー(商品名)」シリーズなどの市販品を使用することができる。
【0013】
整髪剤組成物に係る原液における両性樹脂の配合量は、両性樹脂の使用による効果(塗布後の毛髪を良好にやわらかくしつつ、毛髪のスタイル形成を容易にする効果)を良好に確保する観点から、1質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪剤組成物中の両性樹脂量が多すぎると、原液を噴射剤に溶解し難くなる傾向があることから、整髪剤組成物に係る原液における両性樹脂の配合量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0014】
整髪剤組成物に使用されるエステルとしては、常温(25℃)で液体のもの、固体のもの、およびペースト状のものがある。
【0015】
常温で液体のエステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2−ジエチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2−ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、イソパルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2−オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸2−オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2−エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジステアリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、テトラオレイン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0016】
また、常温で固体のエステルとしては、例えば、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ミルスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、乳酸セチル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリルなどが挙げられる。
【0017】
更に、常温でペースト状のエステルとしては、例えば、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル[ジペンタエリスリトールとステアリン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールとイソステアリン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと12−ヒドロキシステアリン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと混合脂肪酸(ステアリン酸やイソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などを含む混合脂肪酸など)とのエステル]などの糖アルコールと脂肪酸とのエステル;グリセリンと混合脂肪酸(ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸およびアジピン酸などを含む混合脂肪酸や、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸などを含む混合脂肪酸)とのエステルなどのグリセリンと脂肪酸とのエステル;ステロール類(コレステロール、フィトステロールなど)と脂肪酸(オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸など)とのエステル;などが挙げられる。
【0018】
エステルは、上記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、が、本発明の効果をより良好に確保し得る点で、常温でペースト状のエステルを用いることが好ましい。また、上記例示の常温でペースト状のエステルの中でも、その効果(毛髪のスタイル形成能を高めつつ、毛髪へやわらかさを付与する効果)が更に良好である点で、糖アルコールと脂肪酸とのエステルが好ましい。
【0019】
整髪剤組成物に係る原液におけるエステルの配合量は、エステルを両性樹脂と共に使用することによる上記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪剤組成物中のエステル量が多すぎると、両性樹脂のスタイル形成能を低下させる傾向があり、本発明の効果が小さくなる虞があることから、整髪剤組成物に係る原液におけるエステルの配合量は、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
また、本発明の整髪剤組成物では、融点が25℃以下、すなわち常温で液体の酸を使用する。かかる酸の使用によって、毛髪に付着した両性樹脂を洗髪時に良好に洗い流すことができるようになる。そのため、本発明の整髪剤組成物は、継続的に使用しても、毛髪表面の両性樹脂の蓄積を抑制でき、毛髪の感触の低下を抑えることができる。
【0021】
上記酸としては、酢酸、乳酸などが好ましく、不快なにおいが生じ難く、より品質の高い整髪剤組成物の調製が容易となる点で、乳酸が特に好ましい。
【0022】
整髪剤組成物に係る原液における融点が25℃以下の酸の配合量は、例えば、使用する両性樹脂の種類や量に応じて適宜調整すればよいが、原液を水で10倍希釈[a(g)の原液と水とを混合して、その合計量が10×a(g)になるように希釈すること。以下、同じ。]した場合に、そのpHが、5.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、また、8.5以下であることが好ましく、7.5以下であることがより好ましく、このようなpHとなる量で上記酸を使用することで、整髪剤組成物の洗い流しやすさがより向上する。なお、整髪剤組成物に係る原液における上記酸の具体的な配合量は、上記の通り、例えば使用する両性樹脂の種類や量に応じて変動し得るが、その目安としては、例えば、0.01質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましく、また、3.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明の整髪剤組成物に係る原液の媒体には炭素数2〜4のアルコール、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノールなどを使用する。整髪剤組成物に係る原液における炭素数が2〜4のアルコールの配合量は、例えば、50〜99質量%であることが好ましい。なお、本発明の原液は、2質量%以下程度で水を含有していてもよいが、実質的に水を含有しないことが好ましい。
【0024】
また、本発明の整髪剤組成物に係る原液には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常の毛髪化粧料などの各種化粧料に使用されている各種成分を、適宜配合することができる。このような成分としては、例えば、高級アルコール、脂肪酸、シリコーン、動植物油、多価アルコール、粉体(粘土鉱物などの無機粉体や有機粉体)などが挙げられる。
【0025】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコ−ル、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデカノール、テトラデシルオクタデカノール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、ラノリンアルコールなどの、炭素数が12〜24のアルコールが挙げられる。脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。シリコーンとしては、例えば、ジメチルシリコーン、ジメチコノール、環状シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、メチルフェニルシリコーンなどが挙げられる。
【0026】
動植物油としては、例えば、エミュー油、馬油、ミンク油、オレンジラフィー油などの動物油;ホホバ油、シア脂、ローズヒップ油、ヒマワリ油、綿実油、アルガン油、ツバキ油、サザンカ油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、ヒマシ油、グレープシード油、ヤシ油、硬化油などの植物油;が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
【0027】
本発明の整髪剤組成物の製品形態は、スプレー式である。スプレー式整髪剤組成物とは、圧力の作用によって整髪剤たる原液を噴射して毛髪に塗布するものであり、これには、噴射剤の圧力を利用して原液の噴射を行うエアゾール式毛髪化粧料と、噴射剤を利用しない形態のスプレー式毛髪化粧料が含まれるが、本発明の整髪剤組成物では、噴射剤を使用し、これを原液と混合し、エアゾール容器に充填して製品とされる。こうしたスプレー式(エアゾール式)の形態を採ることで、有効成分を含む原液を毛髪に均一に塗布することができる。
【0028】
整髪剤組成物に係る噴射剤には、エアゾール製品に利用されている公知の各種噴射剤が使用できる。例えば、各種の液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテルなどや、これらの混合物のような液化ガス;窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガス;などが挙げられる。なお、整髪剤組成物においては、原液と噴射剤との混合比を、例えば、原液/噴射剤=20/80〜80/20(質量比)とすることが一般的である。
【0029】
なお、本発明の整髪剤組成物を使用するにあたっては、毛髪に噴射して塗布し、所望のスタイルを形成すればよい。特にヘアアイロンを用いるスタイリングの前に、毛髪に整髪剤組成物を噴射して塗布しておくことが好ましく、この場合には、毛髪がやわらかさをより良好に保ったままスタイル形成できる。本発明の整髪剤組成物は、特にカールスタイルの毛髪のスタイル形成に好ましく使用できる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例などにおいて、「%」は「質量%」を意味している。また、整髪剤組成物に係る原液の配合量としては、全体で100%となるように各成分の配合量を%で示し、後記の表1および表2中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0031】
実施例1〜5および比較例1〜6
実施例1〜5および比較例1〜6の整髪剤組成物に係る原液を、表1および表2に示す組成で調製し、これらの各原液と、噴射剤(LPG)とを1:1(質量比)で混合して、実施例1〜5および比較例1〜6の整髪剤組成物を調製した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
表1および表2におけるエタノールの欄の「計100とする」とは、原液を構成するエタノール以外の各成分の合計量に、エタノールの量を加えて100%となるようにしたことを意味している。また、表1および表2において、「モノオレイン酸POE(20)ソルビタン」の「POE」は、「ポリオキシエチレン」の略であり、POEの後の括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数である。
【0035】
なお、実施例1〜5および比較例1〜6の整髪剤組成物に係る原液の調製に用いた原材料は、以下の通りである。
(1)「RAMレジン4000(商品名)」:N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体を30%、エタノールを70%含有(大阪有機化学工業社製)。
(2)「RAMレジン1000(商品名)」:N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体を30%、エタノールを70%含有(大阪有機化学工業社製)。
(3)「ユカフォーマーSM(商品名)」:N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体を30%、エタノールを70%含有(三菱化学社製)。
(4)「プラスサイズL−9540B(商品名)」:互応化学工業社製で、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP(アニオン性樹脂)を40%、無水エタノールを60%含有。
(5)「コスモール168M(商品名)」:ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(日清オイリオグループ社製)。
(6)「コスモール168ARV(商品名)」:ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(日清オイリオグループ社製)。
(7)「BY11−018(商品名)」:トリメチルシロキシケイ酸を30%、デカメチルシクロペンタシロキサンを70%含有(東レ・ダウコーニング社製)。
【0036】
実施例1〜5および比較例1〜6の整髪剤組成物、およびそれらに用いた原液について、下記の評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0037】
<原液のpH測定>
実施例1〜5および比較例1〜6の整髪剤組成物に用いた原液3gに水を27g加えて混合することで、原液を10倍に希釈してpHを測定した。
【0038】
<整髪剤組成物による毛髪のスタイル形成能および毛髪のやわらかさ評価>
実施例1〜5および比較例1〜6の整髪剤組成物のそれぞれを、エアゾール容器に充填した。評価用ウィッグを複数用意し、それぞれのウィッグの左半分の毛髪に比較例1の整髪剤組成物5gをスプレーし、右半分の毛髪には、実施例1〜5および比較例2〜6の各整髪剤組成物5gをスプレーした。各整髪剤組成物を塗布した毛髪に、180℃程度のヘアカールアイロンによってカールをつけた。そして、そのときの毛髪のスタイル形成能と、毛髪のやわらかさについて、比較例1の整髪剤組成物をスプレーした左半分の毛髪におけるそれらを基準として、専門の評価者5名のそれぞれが下記評価基準に従って点数付けし、全評価者の点数を合計して評価した。
【0039】
(毛髪のスタイル形成能の評価基準)
比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪よりも、スタイルを形成しやすい・・・2点。
比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪と、スタイル形成のしやすさが同等である・・・1点。
比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪よりも、スタイルを形成し難い・・・0点。
【0040】
(毛髪のやわらかさの評価基準)
比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪よりも、やわらかい・・2点。
比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪と、やわらかさが同等である・・・1点。
比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪よりも、やわらかさが劣っている・・・0点。
【0041】
<整髪剤組成物の洗い流しやすさの評価>
評価用ウィッグを複数用意し、それぞれのウィッグの左半分の毛髪に比較例1の整髪剤組成物5gをスプレーし、右半分の毛髪には、実施例1〜5および比較例2〜6の各整髪剤組成物5gをスプレーした。その後、各整髪剤組成物を塗布した毛髪に、190℃程度のヘアカールアイロンによってカールをつけた。その後各ウィッグの毛髪を、シャンプーを用いて洗浄し、トリートメントを塗布し洗い流した後、ドライヤーで乾燥させた。なお、シャンプーおよびトリートメントには、ミルボン社製「ディーセス ノイ シルキーリュクス(商品名)」を用いた。
【0042】
上記の、ウィッグへの整髪剤組成物のスプレー、ヘアカールアイロンによるカールつけ、シャンプーによる洗浄、トリートメント処理および乾燥を1工程として、これを5回繰り返し、5回目のシャンプーでの洗浄時における整髪剤組成物の洗い流しやすさについて、比較例1の整髪剤組成物をスプレーした左半分の毛髪におけるそれを基準として、上記専門の評価者5名のそれぞれが下記評価基準に従って点数付けし、全評価者の点数を合計して評価した。
【0043】
(整髪剤組成物の洗い流しやすさの評価基準)
比較例1の整髪剤組成物よりも洗い流しやすい・・2点。
比較例1の整髪剤組成物と、洗い流しやすさが同等である・・・1点。
比較例1の整髪剤組成物よりも洗い流し難い・・・0点。
【0044】
なお、整髪剤組成物中の樹脂(両性樹脂、アニオン性樹脂)が毛髪表面に蓄積していた場合、毛髪が硬くがさがさとした感触になる。よって、上記の整髪剤組成物の洗い流しやすさの評価においては、比較例1の整髪剤組成物よりも毛髪の感触が硬くがさがさとしていなかった場合に、洗い流しやすいとし、比較例1の整髪剤組成物よりも毛髪の感触が硬くがさがさとしていた場合に、洗い流し難いとした。
【0045】
【表3】

【0046】
表3から明らかなように、両性樹脂とエステルと融点が25℃以下の酸と炭素数が2〜4のアルコールとを配合した原液を用いた実施例1〜5の整髪剤組成物で処理した毛髪は、融点が25℃以下の酸を配合していない比較例1の整髪剤組成物で処理した毛髪よりも、スタイル形成能が良好で、やわらかである。また、実施例1〜5の整髪剤組成物は、洗い流しやすさも、比較例1の整髪剤組成物よりも良好である。
【0047】
一方、エステルに代えて高級アルコールを配合した比較例2および比較例3の整髪剤組成物は、毛髪のスタイル形成能が劣っており、また、比較例2の整髪剤組成物は毛髪にやわらかさを付与する作用が劣っている。更に、エステルに代えてシリコーンを配合した比較例4の整髪剤組成物は、毛髪のスタイル形成能が大きく劣っており、また、毛髪にやわらかさを付与する作用も劣っている。そして、融点が25℃以下の酸の代わりに界面活性剤を用いた比較例5の整髪剤組成物は、毛髪のスタイル形成能および洗い流しやすさが劣っている。
【0048】
また、比較例6の整髪剤組成物は、両性樹脂に代えて、より高いセット力を確保可能なアニオン性樹脂を使用した例であり、毛髪のスタイル形成能は優れているが、毛髪にやわらかさを付与する作用および洗い流しやすさが劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、両性樹脂、エステル、融点が25℃以下の酸および炭素数が2〜4のアルコールが配合された原液と、噴射剤とを含有することを特徴とする整髪剤組成物。
【請求項2】
両性樹脂が、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体である請求項1に記載の整髪剤組成物。
【請求項3】
原液を水で10倍に希釈したときのpHが、5.0〜8.5である請求項1または2に記載の整髪剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の整髪剤組成物を使用する方法であって、
ヘアアイロンを使用する前の毛髪に上記整髪剤組成物を塗布することを特徴とする整髪剤組成物の使用方法。

【公開番号】特開2011−98932(P2011−98932A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255653(P2009−255653)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】