説明

整髪用化粧料

【課題】 水性系で低粘度でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)糖アルコール及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、(b)ポリアルキレングリコール1種又は2種以上とを、合計で3〜30質量%含有する化粧料であって、さらに(c)紫外線吸収剤を配合したことを特徴とする整髪用化粧料。
【効果】 整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れ、なおかつ毛髪保護効果を有し、特に霧状に噴霧して用いるのに適した整髪用化粧料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪用化粧料に関する。さらに詳しくは、低粘度でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料であって、さらに毛髪保護効果にも優れた整髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整髪用化粧料においては、スタイリングのために毛髪固定用高分子、皮膜形成性高分子等の毛髪セット樹脂を配合している。しかし毛髪セット樹脂は、ごわつき、皮膜の非均一性、高湿度下におけるスタイリング保持力低下をもたらす等の不具合がある。そこでこの不具合を解消するために、種々の対応策が採られてきた。
【0003】
例えば特開2007−217314号公報(特許文献1)には、毛髪固定用高分子化合物、多価アルコール、一価のアルコール、および噴射剤をそれぞれ特定量配合した霧状粉末化粧料が、再整髪性に優れ、べたつき感がなく、自然な艶感を有するということが記載されている。
【0004】
特開平11−100312号公報(特許文献2)には、特定の低粘度ポリエーテル化合物と、高分子樹脂化合物をそれぞれ特定量配合した毛髪化粧料が、整髪力および整髪キープ力を有し、べたつき、ごわつきがなく、ドライ後でも手ぐし等で再整髪可能であるということが記載されている。
【0005】
特開平3−261713号公報(特許文献3)には、特定のポリオキシアルキレン系化合物および/またはポリオキシアルキレンアルキルグリコシドと、毛髪固定用高分子化合物と、高分子量のポリエチレングリコール(分子量6,000〜30,000)を配合した毛髪化粧料が、整髪性、平滑性(滑らかさ)を有するということが記載されている。
【0006】
特開2002−167317号公報(特許文献4)には、両性高分子、糖アルコール、糖アルコール誘導体(例えば糖アルコールのポリオキシアルキレン付加物など)を配合した毛髪化粧料組成物が、整髪力、セット保持力を有し、べたつき感やごわつき感がないということが記載されている。
【0007】
特表2004−505902号公報(特許文献5)には、特定の水溶性ポリアルキレングリコールと皮膜形成ポリマーを特定の比率で配合し、さらに液体キャリアを配合したヘアケ組成物が、再スタイリング性、感触に優れるということが記載されている。
【0008】
しかし上記公報には、特に水系で低粘度の整髪用化粧料において整髪力と再整髪力をともに十分に満足し得る程度に得るということ、およびそれに加えてさらに、べたつき感がなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れるという効果を奏する整髪用化粧料を得るという目的や課題についての記載・示唆がない。粘度の低い水系の整髪用化粧料においては、セット力とアレンジ力の両立は特に難しい。そのため、十分なセット力およびアレンジ力を併せ持ち、しかも良好な使用感を有する水系低粘度の整髪用化粧料の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−217314号公報
【特許文献2】特開平11−100312号公報
【特許文献3】特開平3−261713号公報
【特許文献4】特開2002−167317号公報
【特許文献5】特表2004−505902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の事情に鑑みてなされたもので、水性系で低粘度でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料であって、毛髪保護効果にも優れた化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち本発明は、
(a)糖アルコール及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、
(b)ポリアルキレングリコール1種又は2種以上とを、
合計で3〜30質量%含有する化粧料であって、
さらに(c)紫外線吸収剤を配合したことを特徴とする整髪用化粧料を提供する。
【0012】
本発明の整髪用化粧料は、粘度が100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であり、かつ、該化粧料を用いて0.1mmの厚みの皮膜を形成させ、25℃・湿度50%にて1日乾燥した後の、傾斜式ボールタック試験(傾斜角10度、25℃、湿度50%)におけるボールナンバーが1〜30である粘着性を有するものが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の整髪用化粧料は、糖アルコール又はその誘導体及びポリアルキレングリコールという特定の成分を所定量配合し、水性系でありながら整髪力および再整髪力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れている。さらに、紫外線吸収剤を配合したことにより毛髪を紫外線等の外的刺激から保護することができる。特に、100mPa・s以下の低粘度とし、なおかつ所定範囲の粘着性を持たせた場合には、霧状に噴霧して使用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ボールタック試験のための装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の整髪用化粧料は、(a)糖アルコール及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、(b)ポリアルキレングリコール1種又は2種以上とを必須成分として含有している。
【0016】
本発明で用いられる糖アルコールは、糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールである。具体的には、マルチトール(「マルビット」;物産フードサイエンス(株)製)、ソルビトール(「ソルビトールC」;物産フードサイエンス(株)製)、リビトール、マンニトール、アラビトール、ガラクチトール、キシリトール、エリトリトール、イノシトール等を例示することができる。
また本発明では、糖アルコールの誘導体を用いることもできる。例えばPOE・POP付加(オレイン酸ポリオキシエチレンソルビット「レオドール430V」:花王株式会社、ポリオキシプロピレンソルビット「ユニオールHS−1600D」:日油株式会社)、アルキル基付加、カチオン化、アニオン化、シリル化類などを例示することができる。
中でもべたつき、ごわつきのなさ等の点からソルビトール、マルチトールが好ましく用いられる。
【0017】
本発明で用いられるポリアルキレングリコール、およびその誘導体としては、エチレンオキシド(EO)構成単位が重合したEO重合体、プロピレンオキシド(PO)構成単位が重合したPO重合体、ブチレンオキシド(BO)構成単位が重合したBO重合体、あるいは上記の構成単位が共重合した各共重合体等が好適例として挙げられる。特にはEO重合体、EO構成単位とPO構成単位を含むEO・PO共重合体、EO構成単位とBO構成単位を含むEO・BO共重合体等が好ましい。共重合の形式は特に限定されるものでなく、ブロック共重合、グラフト共重合、ランダム共重合等、任意である。
【0018】
本発明で用いられるポリアルキレングリコール類は市販のものを利用することができ、例えば、EO付加重合体:PEG200、PEG300(表示名称:PEG−6)、PEG400(表示名称:PEG−8)、PEG600、PEG1000、PEG1540(表示名称:PEG−32)、PEG2000、PEG4000、PEG6000、PEG11000、PEG20000(日油株式会社または東邦化学社)PO付加重合体:ユニオールD−700、ユニオールD−1000、ユニオールD−1200、ユニオールD−2000(以上日油株式会社)などを挙げることができる。
ポリアルキレングリコールの中でも室温で液状のものが好ましい。固体状のものを配合する際には液状のものとの併用が好ましい。
本発明で用いられるポリアルキレングリコール類は限定されないが、それらの中でもポリエチレングリコールが最適である。
【0019】
本発明で用いられるポリアルキレングリコール誘導体は、下記の整髪油分などを包含する。整髪油分とは、一価〜四価のアルコール、または一価〜三価のカルボン酸のEO/PO付加体を意味する。市販のものを利用することができ、例えば、ユニルーブ50 MB 168、ユニルーブMB370、トリオールG−40、サボンドールSGP−7、サボンドールGP−9(以上日油株式会社)などを挙げることができる。
【0020】
本発明の化粧料における糖アルコール、ポリアルキレングリコール、及び/又はそれらの誘導体(成分a)の配合量は3〜30質量%、より好ましくは 5〜25質量%である。配合量が3質量%より少ないと所望の効果が得られない場合があり、30質量%を越えて配合するとべたつきやゴワツキを生ずる場合がある。
【0021】
本発明の整髪用化粧料は、前記(a)及び(b)に加えて(c)紫外線防止剤を必須成分として含有する。
本発明で使用される紫外線吸収剤は特に限定されず、化粧料などに従来から使用されているものから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロへキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン;トリアジン誘導体(例えば、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン)らが挙げられる。
【0022】
本発明の整髪用化粧料は水系であるため、上記したような紫外線吸収剤を配合する際、水溶性の吸収剤は、そのまま配合することが可能である。水溶性の紫外線吸収剤には、2−フェニルベンゾミダゾール−5−スルホン酸、例えば「ネオ・ヘリパン・ハイドロ(Neo Heliopan Hydro)」(シムライズ(Symrise)社製)、「オーソレックス232(Eusolex232)」(メルク(Merck)社製)等、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸;一ナトリウム塩(ベンゾフェノン−5)、例えば「ASL−24S」が含まれる。
【0023】
一方、油溶性の紫外線吸収剤(上記具体例の多くは油溶性である)を配合する際は、整髪料がエタノール高配合であって、そのまま配合可能な場合を除き、可溶化剤を併用するのが好ましい。
可溶化剤としては、HLBが10以上ある界面活性剤が好ましい。例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル(エマレックス107・エマレックス110・エマレックス112・エマレックス115・エマレックス117・エマレックス120(日本エマルジョン株式会社製))ポリオキシエチレンオレイル(エマレックス508・エマレックス510・エマレックス512・エマレックス515・エマレックス520(日本エマルジョン株式会社製)、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(例えばエマレックス OD−16、エマレックス OD−20、エマレックス OD−25(日本エマルジョン社製)、ノニオンIP−220(日油株式会社製))、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ニッコールHCO−40、ニッコールHCO−50、ニッコールHCO−60(日本サーファクタント工業株式会社社製)、エマレックスHC−40、エマレックスHC−50、エマレックスHC−60(日本エマルジョン株式会社製)、エマノーンCH−40、エマノーンCH−60(花王株式会社製))、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(例えば、エスセーフ1020、エスセーフ1324、エスセーフ1520、エスセーフ1525(日油株式会社製))ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系活性剤(例えば、エマゾール120シリーズ(花王株式会社製)、レオドールTWシリーズ(花王株式会社製)、ソルホンTシリーズ(東邦化学社製))、ラウリン酸ポリオキシエチレングリセリル(例えばユニグリML−220、ユニグリML−230(日油株式会社製))、オレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(例えばユニグリMO−220、ユニグリMO−230(日油株式会社製)、ポリオキシエチレンフィトステロール(例えば、ニッコール BPS−20、ニッコール BPS−25、ニッコールBPS−30(以上日光ケミカルズ株式会社製)、ベルポールDC−30(日本精化株式会社製)、SUNBRIGHT CS−010、SUNBRIGHT CS−020、SUNBRIGHT CS−050(以上日本油脂株式会社製)などが挙げられる。
【0024】
本発明の整髪用化粧料は、前記成分(a)〜(c)に加えて、(d)皮膜形成樹脂を含有するのが好ましい。皮膜形成樹脂を配合することにより耐湿性が向上する。
本発明における皮膜形成樹脂は、以下に挙げる毛髪セット樹脂及び粘着性樹脂から選択するのが特に好ましい。
【0025】
本発明の化粧料に配合されうる毛髪セット樹脂とは、セット剤又はセット樹脂等とも呼ばれるアニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性の皮膜形成高分子であり、従来からヘアスタイリング剤に配合されているものでよい。具体例としては、以下のようなものを挙げることができる。
【0026】
アクリル系及びビニル系毛髪セット樹脂:
アニオン性のものとして、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL−53P、プラスサイズL−9909B、プラスサイズL−9948B等(いずれも互応化学工業株式会社製))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(Dermacryl 79(日本エヌエスシー株式会社製))、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体(ルビフレックスSILK(BASF社製))、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(BASF社製))、アクリル酸アルキル共重合体(アニセットNF−1000,アニセットHS−3000など(大阪有機化学工業株式会社製))等。
【0027】
両性毛髪セット樹脂:
アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV−71(日本エヌエスシー株式会社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(三菱化学株式会社製)、RAMレジン−1000、RAMレジン−2000、RAMレジン−3000、RAMレジン−4000(大阪有機化学工業株式会社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(ナルコ社製))等。
【0028】
カチオン性毛髪セット樹脂:
ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(大阪有機化学工業株式会社製)、ガフコート755N(ISP社製))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイリーゼW−20(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(コスカットGA467,コスカットGA468(大阪有機化学工業株式会社製)、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ナルコ社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート550(ナルコ社製))、塩化トリメチルアミノプロピルアクリルアミド・ジメチルアクリルアミド共重合体等。
【0029】
ノニオン性毛髪セット樹脂:
ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(BASF社製)、PVP K(ISP社製))、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(PVP/VA S−630、PVP/VA E−735、PVP/VA E−335(以上ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上BASF社製)、PVA−6450(大阪有機化学工業株式会社製))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA−425、ガントレッツES−225、ガントレッツES−335など(ISP社製))、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製))、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社製))等。
【0030】
ウレタン系毛髪セット樹脂:
ヨドゾールPUD(日本エヌエスシー株式会社製)、ルビセットP.U.R.(BASF社製)、特開2006−213706号公報に記載されたポリマー等、アクリル−ウレタン系として、DynamX(日本エヌエスシー株式会社製)、特願2006−183144号公報に記載されたポリマー等。
【0031】
多糖類系毛髪セット樹脂:
アラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等。
【0032】
本発明の整髪用化粧料に配合される毛髪セット樹脂は特に限定されず、上記に列挙したような毛髪セット樹脂の1種又は2種以上を適宜選択して用いることができるが、アクリル系、ビニル系、又はウレタン系の毛髪セット樹脂が特に好ましい。
【0033】
本発明の整髪用化粧料における毛髪セット樹脂の配合量は、一般的には0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。0.1質量%未満であると耐湿性が十分でない場合があり、30質量%を越えて配合すると髪がごわつく場合がある。
【0034】
本発明において使用される粘着性樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂としては、例えば、アクロナールYJ2720D、アクロナールV215ap、アクロナールN285、アクロナールV210、アクロナールV212(以上、BASF社製)、NCOR38―088A、Duro−Tak87−200A、Duro−Tak387−2054/87−2054(以上、National Starch&Chemical社製)、MG−0560、MG−0580(以上、Dow Corning社製)、アクリル酸アルキルエステルであるダイトゾール5000AD(大東化成工業社製)、メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステルコポリマーに属するヨドゾールAH955、PRIMAL PS83−D(Rohm&HAAS社製)等を挙げることができる。
【0035】
また、本発明で使用される粘着性樹脂として、下記のモノマーA及び/又はモノマーB及びモノマーC及びモノマーDを重合させて得られる粘着性セット樹脂を選択してもよい。
モノマーA:下記式:
【化1】

(式中、R1はH又はCHであり、nは0〜30の整数であって(CHは分岐鎖を含み、R2はH、OH、OCH、OCHCH又はフェニルである)で表されるモノマーの少なくとも1種。
【0036】
モノマーB:下記式:
【化2】

(式中、R3はH又はCHであり、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、H又は(CHR’であって、lは1〜3の整数であり、R’はH、OH又は-NR”R’”であって、R”及びR’”は同一でも異なっていてもよく、H又はC1〜C3のアルキル基である)で表されるモノマーの少なくとも1種。
【0037】
モノマーC:下記式:
【化3】

(式中、R6はH又はCHであり、pは1〜100の整数であり、mは0〜30の整数であり、R7はH、OH、OCH、OCHCH、又はフェニルであり、Xはオキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)、オキシブチレン基(BO)、又はグリセリルである)で表されるモノマーの少なくとも1種。
【0038】
モノマーD:下記式:
【化4】

(式中、R8はH又はCHであり、qは1〜100の整数であり、Yはオキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)、オキシブチレン基(BO)、炭素数5以上の直鎖または分岐のオキシアルキレン基、又はグリセリルである(但し、Yが炭素数5以上のオキシアルキレン基であるときは、qは1である)で表されるモノマーの少なくとも1種。
【0039】
本発明で使用される粘着性セット樹脂としては、下記式(I)で表される構造を有するものが特に好ましい。
【化5】

上記式(I)において、R1〜R9、n、m、p、qは、上記式A〜Dと同じ意味である。なお、本明細書における用語は通常の意味で使用され、例えば、オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)、オキシブチレン基(BO)は、各々、炭素数2、3及び4の直鎖又は分岐のオキシアルキレン基を意味する。また、上記式(I)におけるaは40<a<400、bは80≦b<300、cは30<c<300、dは0<d<10の範囲の数である。
上記の条件を満たす粘着性セット樹脂(式(I)のポリマー)における各モノマーの質量%は、およそ次のようになる。7.5<A<62.5、20≦B<45、7.5<C<60、0<D<5。
【0040】
本発明で使用される粘着性セット樹脂は、上記モノマーA及び/又はB及びC及びDを適切な比率で混合し、必要に応じて適当な溶媒中において、標準的な方法を用いて重合反応させることにより調製することができる。例えば、エタノール中で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を用い、約80℃において8時間熱重合させることによって得得ることができ、得られたポリマーを適宜精製して使用することができる。
【0041】
シリコーン系の粘着性樹脂としては、付加反応型シリコーンであるSD4584、SD4560、SD4570、SD4580、SD4585、SD4587L(以上、東レダウシリコーン社製)、TSR1512、TSR1516(以上、MOMENTIVE社製)等を挙げることができる。
本発明においては、上記に列挙した具体例に限られるものではなく、それらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
本発明の化粧料における粘着性樹脂の配合量は、0.1〜10質量%、より好ましくは 0.5〜7.5質量%である。0.1質量%未満では所望の効果が得られず、10質量%を越えるとべたつきを生じる。
【0043】
本発明の整髪用化粧料は、上記した成分(a)〜(d)に加えて、水及びアルコールを含有しているのが好ましい。
本発明の整髪用化粧料におけるアルコールとしては、エタノール等の化粧品で一般に使用されているアルコール類から選択される1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。水及びアルコールの配合量は、特に限定されるものではなく、上記所定の粘着性及び粘度となる範囲内で適宜調節される。
【0044】
本発明の整髪用化粧料は、化粧料中の溶媒が揮発することにより粘着性が発現し、所定の粘着性を有する用になるのが好ましい。本明細書においては、この化粧料の粘着性を、JIS Z 0237に準じたボールタック試験により特定する。
ボールタック試験とは、図1に示すような測定装置を用いて測定する粘着性の試験方法である。具体的には、被測定試料(粘着性物質)を図1の測定装置の傾斜面に配置し傾斜面の頂部から10cmの部分までを非粘着性のシートで被覆して助走路とし、所定の材質及び大きさのボールを傾斜面の頂部から転がしたとき、粘着面上のいずれかの位置において停止したボールのうち、最大の大きさのボールのナンバーで粘着性を特定する。
【0045】
本発明の整髪用化粧料は、該化粧料を用いて0.1mmの厚みの皮膜を形成させ、25℃・湿度50%にて1日乾燥させた後、図1に示した測定装置における傾斜面の傾斜角を10度とし、25℃・湿度50%にておいて、JIS Z 0237に準じたボールタック試験によって、該皮膜を測定した場合のボールナンバーが1〜30、より好ましくは3〜25である粘着性を有するのが好ましい。
ボールナンバー1が停止しないほど低い粘着性では再整髪力が不足し、ボールナンバー30より大きなボールが停止するほど大きな粘着性では毛髪にべたつきが生じてしまう。
【0046】
更に、本発明の整髪用化粧料は、毛髪への塗布時に速やかに粘着性を生じさせ、組成物の溶媒が揮発することにより粘着性が出るために、25℃でB型粘度計で測定したときの粘度が100mPa・s以下であるのが好ましい。このような低粘度とすることにより、霧状に噴霧して使用するのに特に適したものとなり、例えば噴霧装置のノズルが詰まる等の問題を生じない。
【0047】
本発明の整髪用化粧料は、ヘアリキッド、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアワックス等の様々な態様で提供することができるが、糖アルコール及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、ポリアルキレングリコール1種又は2種以上とを所定量含有し、限定された粘着性及び粘度を有する化粧料とすることが可能であるため、特に、使用時に霧状に噴霧して用いる形態に適している。霧状にして用いることで、溶媒の揮発が速く、速やかに粘着性・整髪力を発揮することができる。さらに、整髪された毛髪表面には、配合された紫外線吸収剤が存在するため、毛髪を紫外線から有効に保護することができる。
【0048】
本発明の整髪用化粧料は、例えば、その形態に応じて、従来から整髪用化粧料に使用されている他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【実施例】
【0049】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0050】
(製造例及び比較製造例)
下記表1に示したモノマー組成で重合を行い、本発明で使用しうる粘着性セット樹脂(製造例1〜6)及びモノマーCを含まない比較製造例1及びモノマーDを含まない比較製造例2を調製した。
具体的には、モノマー類100部を混合した混合物をあらかじめ用意し、この混合物の入った滴下漏斗、還流冷却気、温度計、窒素置換用管および、撹拌機が取り付けられた容量1Lの五つ口フラスコに、エタノール100部を仕込み、窒素気流下、昇温し、還流状態(約80℃)になったところで、このエタノール中に重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)1部を添加し、上記混合物を2時間連続して滴下する。その後、還流状態にて、8時間放置し重合反応を進行させた。次に五つ口フラスコ中の溶液から溶媒を留去および、エタノールを加えることでこの溶液の溶媒含有量を調整し、固形分濃度50%の化粧料基剤の溶液を得た。
【0051】
【表1】

【0052】
(実施例及び比較例)
下記表2及び3に掲げた組成の試料(整髪用化粧料)を調製し、当該試料を使用したときの固定力、アレンジ力、再整髪力、なめらかさ、紫外線防御効果について評価した(各試料に配合した紫外線吸収剤及び可溶化剤の配合量は表4に示す)。
各特性の評価方法及び評価基準は以下の通りである。
【0053】
1.固定力
黒色バージンヘア(長さ15cm,重さ1g)に、試料を0.4g塗布し、くしを使いなじませ、まっすぐになるよう形を整え、1試料あたり5本のストランドを作製した。これを50℃で1時間乾燥させた後目盛りの付いたボードに吊り下げ、温度30℃,湿度90%RHの恒温恒湿器にてストランドの撓んだ長さを(b)を測定した。試料未塗布時にあらかじめ測定しておいた、撓んだストランドの長さ(a)を用い、次式に従い固定力(キープ力)を求めた。数値が100%に近いほど固定力が高く、耐湿性に優れることを示している。
ヘアスタイルキープ力(%)={(a−b)/a}×100
<評価基準>
◎:値が90%以上
○:値が70〜90%未満
△:値が50〜70%未満
×:値が50%未満
【0054】
2.アレンジ力
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、アレンジのしやすさを専門パネラーによる官能試験にて評価した。
3.再整髪力
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm,質量2g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、塗布直後に整髪を行い、その後1時間後に再度整髪した際のしやすさ(再整髪力)を専門パネラーによる官能試験にて評価した。
4.なめらかさ
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませ仕上げた後の毛髪表面の滑らかさについて、専門パネラーによる官能試験にて評価した。
【0055】
<評価点基準(評価項目2〜4について)>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通(どちらともいえない)
2点:やや良くない
1点:良くない
<評価基準>
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30点以上40点未満
○△:合計点が20点以上30点未満
△:合計点が10点以上20点未満
×:合計点が20点未満
【0056】
また、各資料の粘度及び粘着性を測定した。それらの値を表2及び3に併せて示す。
粘度は、試料(100〜200mL)をB型粘度計(ローターNo.2、回転数60rpm、25±2℃)に入れ、ローター回転開始から1分間経過後の試料粘度を測定した。
粘着性はボールタック試験により測定した。なお、表中、ボールタック試験の結果が「−」とされているものは、粘着性が低くナンバー1のボールも停止しなかったことを示す。
【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
表2及び3に示した結果から明らかなように、本発明の整髪用化粧料は、水系で低粘度でありながら、固定力、アレンジ力、再整髪力に優れ、毛髪に滑らかさを付与でき、なおかつ紫外線防御効果を発揮する。
【0061】
(処方例1)霧状整髪料
【表5】

【0062】
製造方法:
1に3、4、5、11、12、13を順に添加し、水パーツとする。2に6、7、10、14を順に添加し、さらに9に8を加温しながら溶解させたものを加えアルコールパーツとする。水パーツにアルコールパーツを撹拌混合し、霧状整髪剤を得る。
【0063】
(処方例2)霧状整髪料
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)糖アルコール及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、
(b)ポリアルキレングリコール1種又は2種以上とを、
合計で3〜30質量%含有する化粧料であって、
さらに(c)紫外線吸収剤を配合したことを特徴とする整髪用化粧料。
【請求項2】
該化粧料の粘度が100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であり、かつ、該化粧料を用いて0.1mmの厚みの皮膜を形成させ、25℃・湿度50%にて1日乾燥した後の、傾斜式ボールタック試験(傾斜角10度、25℃、湿度50%)におけるボールナンバーが1〜30である粘着性をすることを特徴とする請求項1に記載の整髪用化粧料。
【請求項3】
(d)0.1〜10質量%の皮膜形成樹脂を更に含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の整髪用化粧料。
【請求項4】
使用時に霧状に噴霧して用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の整髪用化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−63578(P2011−63578A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50084(P2010−50084)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】