説明

敷石体基盤、敷石体の製造方法、敷石体基盤の製造方法

【課題】本発明では、曲線状に敷石を敷き並べる場合であっても、全体の作業効率を向上し、かつ、容易に敷石体を並べることができる敷石体基盤及び敷石の敷設方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の敷石体基盤は、設置した状態で表面から加える力で自身を敷石体に分断可能とするための溝を裏面に設けた敷石体基盤を提供する。本発明の敷石体基盤では、工場等においても敷石体を一つずつ並べる手間が省けるため、敷石体基盤の製造工程が簡易であり、かつ、効率的に敷石体を敷き並べることができる。このため、敷石体基盤の製造から敷石体の敷設までの全体を通した作業効率を大幅に向上することができる。また、敷石体は、溝の部分で割ることで形成され、同時に敷き並べ作業も行うことができ、敷石体の敷き並べ作業に熟練した者ではなくとも容易に敷き並べを行うことができるという優れた効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷石等を敷設する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、敷石等を敷設するためには、配置した敷石がずれないように正確な位置合わせを行いながら手作業で敷設箇所に一つずつ配置しなければならなかった。そこで、特許文献1では、予め1枚のシートに複数の敷石をマトリックス状に並べ、敷石が配置された状態のシートを施工箇所へ配置することで敷設を行う方法が開示されている。しかしながら、上記技術においても、次のような課題が存在する。
【特許文献1】特開2002−129534
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の複数の敷石がマトリックス状に配置されたシート(以下、これを「従来シート」という)の概略を図13(a)に示す。図13(a)に示す従来シート(1301)では、一度に複数の敷石(1302)を配置できるという利点を有する。
【0004】
しかし、当該シートを施工現場において利用する場合には敷石を敷き並べる必要は無いものの、当該シートを製造するためには、工場等において一つずつ敷石を整然と敷き並べてシートに固定する作業が必要であった。このため、当該シートは施工現場における作業効率を向上することはできるとしても、当該シートを製造するために別の作業工程が必要となり、全体の作業効率を飛躍的に向上するものではなかった。
【0005】
また、図13(b)に示すように、曲線状に敷石を敷設したい場合には、従来シートの形状の制約より、シートとシートの隙間(1303)が大きくなってしまう。このため、間詰めに必要となるモルタルの施工量が増大するだけでなく、隣接するシートの敷石間の距離が広くなり景観上も好ましくないという課題が生じていた。
【0006】
本発明では、上記課題に鑑み、敷石体の製造が容易で、かつ、敷き並べを効率的に行うことができる敷石体基盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第一発明では、設置した状態で表面から加える力で自身を敷石体に分断可能とするための溝を裏面に設けた敷石体基盤を提供する。第二発明では、前記溝深さは、敷石体基盤の厚さの略半分の深さである敷石体基盤を提供する。第三発明では、前記溝は、碁盤目状に配置されている敷石体基盤を提供する。
【0008】
また、第四発明では、第一発明から第三発明のいずれか一に記載の敷石体基盤であって、帯状シートをさらに有し、前記分断後に敷石体となる各部は、分断後の各敷石体の移動規制をするために帯状シートで連結されている敷石体基盤を提供する。第五発明では、前記分断後に敷石体となる各部は、帯状シートの端部からはみ出して固定されている敷石体基盤を提供する。第六発明では、前記帯状シートは、伸縮性を有する材料からなることを特徴とする敷石体基盤を提供する。第七発明では、前記帯状シートは、メッシュ状である敷石体基盤を提供する。第八発明では、前記連結は、点連結である敷石体基盤を提供する。
【0009】
第九発明では、第一発明から第八発明のいずれか一に記載の敷石体基盤を用いて、敷石体を曲線状又は曲面状に敷き並べる敷石体の敷設方法を提供する。第十発明では、第一発明から第八発明のいずれか一に記載の敷石体基盤の表面から力を加える加圧工程により複数の敷石体を形成する敷石体の製造方法を提供する。
【0010】
第十一発明では、敷石体ブロックを所定の厚さにスライスするスライス工程と、スライスされた敷石体ブロックの裏面に溝を設ける溝設置工程と、からなる敷石体基盤の製造方法を提供する。第十二発明では、前記分断後に敷石体となる各部に分断後の各敷石体の移動規制をするために帯状シートを連結する帯状シート連結工程をさらに有する敷石体基盤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
以上のような構成をとる本発明の敷石体基盤では、工場等においても敷石体を一つずつ並べる手間が省けるため、敷石体基盤の製造工程が簡易であり、かつ、効率的に敷石体を敷き並べることができる。このため、敷石体基盤の製造から敷石体の敷設までの全体を通した作業効率を大幅に向上することができる。また、敷石体は、溝の部分で割ることで形成され、同時に敷き並べ作業も行うことができ、敷石体の敷き並べ作業に熟練した者ではなくとも容易に敷き並べを行うことができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施形態1は主として請求項1、2、3、9について説明する。実施形態2は主として請求項4、5、6、9について説明する。実施形態3は主として請求項7、8、9について説明する。実施形態4は主として請求項10、11、12について説明する。
【0013】
≪実施形態1≫
【0014】
(実施形態1の概念)図12は、本実施形態の敷石体基盤を用いて敷石体を敷設した場合の概念図である。図12に示すように、敷石体基盤は、住宅(1202)などの玄関アプローチの部分などに敷石体(1201)を敷設する際などに利用される。なお、以降の実施形態における概念においても共通する。
【0015】
(実施形態1の構成)図1に本実施形態における敷石体基盤の構成を示す。図1は敷石体基盤の裏面側斜視図である。敷石体基盤(0100)は、分断された後に敷石体となる部分(0101)と、敷石体基盤を分断可能な溝(0102)とからなる。
【0016】
(実施形態1の構成の説明)「敷石体基盤」(0100)は、設置した状態で表面から加える力で自身を敷石体に分断可能とするための溝を裏面に設けていることを特徴とする。「敷石体」とは、敷石、舗石、ピンコロ、縁石、タイル、レンガ、疑石、採石、砕石、砂利等の石を素材とするものに加えて、樹脂やセラミックを素材とした擬似レンガや、木を素材とした角材など、敷石に類似した機能を備えるものも含む。
【0017】
敷石体基盤には、裏面に複数の溝を設けておき、表面から力を加えることで分断することができる。これを、図2を用いてさらに詳説する。図2(a)に示すように、敷石体基盤(0200)を設置した状態で、敷石体基盤の表面(0203)から力を加えると、裏面(0201)に設けられた溝(0202)が広がり、図2(b)に示すように、溝(0202)の部分で敷石体基盤(0200)が分断される。分断された敷石体基盤の各部分は、複数の敷石体として設置箇所に配列して設置された状態と同じ状態となる。このため、この状態で分断箇所の空隙にモルタル等を注入すると、図12に示した玄関アプローチ等を容易に形成することができるのである。
当該溝(0202)の形状は、特定の形状に限られない。図2(c)に溝の形状の一例を示す。溝の形状は、U字状(0202)であっても良いし、V字状(0205)であっても良いし、コ字状(0206)であっても良い。また、表面から溝の位置を視認し易くし、分断を容易にするために、表面にも溝(0208)を設けても良い。これらの溝は、敷石体の裏面をカッター等で切削することで設けることができる。また、水圧切断機、酸等の薬品による浸食で溝を設けても良い。
【0018】
裏面に設ける溝(0202)の深さlは、敷石体基盤(0200)の厚さLの略半分程度の深さであることが望ましい。敷石体基盤の分断を容易にするためには溝は深い方が良いが、あまり溝を深くすると施工箇所への設置前に運搬等による衝撃で分断されてしまう可能性があるためである。
【0019】
敷石体基盤(0200)の裏面に設けた溝(0202)は表面までは貫通していないため、敷石体基盤を分断すると、必ず表面付近の分断面(0204)は粗くなる。このため、分断箇所の空隙にモルタル等を流し込んで敷石体を固定する場合、モルタルと敷石体とが接する面積が大きくなり、モルタルが敷石体に馴染み易い。また、分断面の粗さにより、自然石に近い風合いを醸し出すこともできる。
【0020】
なお、敷石体基盤(0200)は、敷石体基盤の表面(0203)をハンマー等で叩くことで分断させることができるが、敷石体基盤を施工箇所に設置した状態でダンパーや振動ローラ等で表面から振動を加えながら加圧することとしても良い。分断した直後の敷石体基盤の分断面は、角部が尖っている可能性があるが、振動を加えながら加圧すると、分断と同時に尖っている角部を丸めることも可能である。
【0021】
(実施形態1の具体例)図1乃至図3を用いて本実施形態における敷石体基盤を具体的に説明する。図1に示す敷石体基盤では、板状の基盤に縦横に碁盤目状の溝を配置している。このため、図1に示す敷石体基盤を分断すると、長手方向、幅方向に複数列の敷石体を敷き並べることができる。また、図3(a)に示すように、敷石体基盤(0300)の幅方向のみに溝(0302)を設けることとしても良い。図3(a)に示す敷石体基盤を溝で分断すると、一列に敷石体(0301)を敷き並べることができる。また、図3(b)に示すように、斜めの溝を設けて、分断後の敷石体が三角形となるようにしてもよい。さらに、図4に示すように、敷石体基盤(0400)を予め曲線状に形成しても良い。図4に示す敷石体基盤を溝(0402)で分断すると、曲線状に敷石体(0401)を敷き並べることができる。
【0022】
次に、例えば、図12に示すような玄関アプローチを形成するために敷石体基盤の施工方法を説明する。図12のように玄関アプローチが曲線状であっても、必要な寸法が設計上明らかであれば、図4に示したように、これに応じた曲線状の寸法で敷石体基盤を成形することができる。そして、これを図2に示すように溝が設けられた裏面が下向きとなるように施工位置に配置する。施工位置には、予め均しコンクリートを施工したり、地盤を固めたりして下地を施しておくことが望ましい。敷石体基盤を施工位置に配置する際には、敷石体基盤が下地に固定されるように、下地に接着剤や接着用のモルタルを流すと良い。そして、敷石体基盤を配置した後、ダンパー等で表面から力を加えると、敷石体基盤の溝で敷石体基盤が分断され、容易に敷石体を曲線状に敷き並べた状態とすることができる。そして、この分断箇所にモルタルや接着剤等を注入することで、敷き並べられた各敷石体を固定することができる。
【0023】
上記具体例では、敷石体を曲線状に敷き並べる場合について説明したが、敷石体を直線状に敷き並べる場合であっても同様に、容易に敷石体を敷き並べることができる。
【0024】
(実施形態1の効果)以上のような構成をとる本実施形態の敷石体基盤では、工場等においても敷石体を一つずつ並べる手間が省けるため、敷石体基盤の製造工程が簡易であり、かつ、効率的に敷石体を敷き並べることができる。また、敷石体は、溝の部分で割ることで形成され、同時に敷き並べ作業も行うことができ、敷石体の敷き並べ作業に熟練した者ではなくとも容易に敷き並べを行うことができるという優れた効果を奏する。
【0025】
≪実施形態2≫
【0026】
(実施形態2の概念)本実施形態の敷石体基盤は、実施形態1の敷石体基盤を基本とし、さらに、分断後に敷石体となる各部が帯状シートで連結されていることを特徴とする。
【0027】
(実施形態2の構成)図5(a)に本実施形態における敷石体基盤の構成を示す。図5(a)は敷石体基盤の裏面側斜視図である。敷石体基盤(0500)は、分断後に敷石体となる各部(0501)と、敷石体基盤を分断可能な溝(0502)とからなり、さらに、分断後に敷石体となる各部(0501)が帯状シート(0503)で連結されていることを特徴とする。分断後に敷石体となる各部(0501)、帯状シート(0503)以外の構成については実施形態1にて説明したので、説明を省略する。
【0028】
(実施形態2の構成の説明)「分断後に敷石体となる各部」(0501)とは、敷石体基盤に設けられた溝にて分断された後に敷石体となる予定の部分をいう。分断後に敷石体となる各部は、分断後の各敷石体の移動規制をするために帯状シート(0503)で連結されている。
【0029】
「帯状シート」(0503)とは、帯状のシートをいう。帯状のシートとは、帯状の樹脂製、紙製、布製などの薄い一枚のものをいう。なお、複数枚のシートを連結して一枚のシートを形成しても良い。帯状シートは、伸縮性を有する素材が望ましいため、ビニール製、ゴム製などの合成樹脂製のものが望ましいがこれに限られるものではない。また、帯状シートを伸縮性の高い材料にて形成することで、帯状シートを曲線状に配置した場合の内側と外側の伸張差に伴う帯状シートへの負担を軽減することができる。伸縮性を有する材料とは、例えば、ゴム等の弾粘性を有する素材を含む材料である。また、帯状シートをメッシュ状としても良い。メッシュ状とすることで、素材自体は伸縮性が小さい部材であっても、メッシュを構成している矩形の一つ一つが変形することで帯状シートの変形を容易に行うことが可能となり、曲線状や曲面状に敷石体基盤を配置することができる。また、帯状シートがメッシュ状であると、下地と馴染み易い等の利点も有する。
【0030】
分断後に敷石体となる各部(0501)は、前記帯状シート(0503)に連結される。帯状シートと分断後に敷石体となる各部との連結は、モルタル(0504)や接着剤や敷石体に設けられた金具などで連結されるが、少なくとも敷石体基盤の敷設時に敷石体が帯状シートから離れてしまわない程度に連結されていれば良い。
【0031】
帯状シート(0503)に連結された敷石体(0501)は、隣接する敷石体と溝(0502)を隔てて区画されている。言い換えれば、溝で区切られた分断後に敷石体となる各部の一つひとつが少なくとも一箇所にて帯状シートと連結されている。
【0032】
また、敷石体が帯状シートにて連結されているため、敷石体基盤は、施工箇所において分断するのみならず、予め分断してから施工箇所に搬入することもできる。このとき、敷石体基盤が分断されて形成された各敷石体は、帯状シートに連結されているため、これを容易に施工現場に敷き並べることができる。
【0033】
なお、図5(a)は敷石体が複数列となるように敷石体基盤に碁盤目状の縦横の溝を配置している場合であるが、図5(b)に示すように、敷石体が一列となるように敷石体基盤の幅方向のみに溝を配置しても良い。敷石体が複数列となるように溝を配置した場合には、敷石体の列が増加するほど敷石体を曲線状に敷設した場合の曲線の内側と外側における帯状シートの伸張差が大きくなってしまう。このため、敷石体が複数列となるように溝を配置した場合には、帯状シートをより伸縮性の高い素材とすることが望ましい。
【0034】
また、分断後に敷石体となる各部(0501)は、帯状シート(0503)からはみ出すようにして連結されていても良い。帯状シートの端部からからはみ出すように敷石体を連結すると、敷石体基盤を複数敷き並べた場合に、隣り合う敷石体基盤の敷石体同士を隙間なく配置することができる。
【0035】
(実施形態2の具体例)図5(b)に本実施形態における敷石体基盤の具体的な寸法の一例を示す。図5(b)に示す敷石体基盤の分断後に敷石体となる各部(0501)の形状は、縦a=90mm、横b=90mm、高さh=30mmとし、敷石体基盤には溝幅c=10mmの溝(0502)が配されている。そして、分断後に敷石体となる各部は帯状シート(0503)に連結されている。複数の分断後に敷石体となる各部は全て帯状シートに連結されており、これを予め分断した場合には、運搬時に帯状シート(0503)を丸めて運搬することもできる。
【0036】
図6に本実施形態の敷石体基盤の縦断面図を示す。図6(a)に示すように、敷石体基盤(0600)は、裏面に溝(0602)を配し、分断後に敷石体となる各部(0601)は裏面において帯状シート(0603)にモルタル(0604)等で連結されている。そして、表面から敷石体基盤に力を加えると溝(0602)の部分で敷石体基盤が分断され、分断後に敷石体となる各部(0601)が敷石体となる。しかし、分断後に敷石体となる各部は連結されているため、各敷石体に分断された後も帯状シートに連結されたままである。このため、敷石体基盤を溝で分断した後に帯状シートを曲線状とすることで、敷石体を容易に曲線状に敷き並べることができる。
【0037】
次に、敷石体基盤の具体的な敷設方法を示す。まず、敷石体基盤を施工箇所に設置した状態又は設置する前に、敷石体基盤を分断し、複数の敷石体を形成する。本実施形態の敷石体基盤は、帯状シートにより分断後に敷石体となる各部が連結されているため、分断後の敷石体も帯状シートに連結された状態となる。そして、例えば図12に示すような、形成したい玄関アプローチ等の形状に沿って帯状シートを曲線状、あるいは曲面状に配置する。このとき、各敷石体は帯状シートに連結されているため、敷き並べた敷石体がずれて配置されてしまうことはなく、整列した状態で容易に曲線状に配置することができる。図7に分断後に敷石体となる各部(0701)が溝で分断されて曲線状に配置されている状態を示す。そして、間詰めコンクリート、モルタルなどで敷石体と敷石体の間を埋めて養生することで、敷石体の敷設を行うことができる。間詰めは土などを用いても良い。なお、曲線状とは、一の平面上において、曲がりを有した線を描いた形状をいい、曲面状とは、一の空間内において、曲がりを有した面を形成した形状をいう。敷石体基盤は、曲線状又は曲面状に配置することができるため、曲面上において曲線状に配置することも可能である。
【0038】
(実施形態2の効果)以上のような構成をとる本実施形態の敷石体基盤では、実施形態1に記載の効果に加えて、分断後に敷石体となる各部が帯状シートにて連結されており、敷石体を容易に敷設することができるのみならず、敷石体基盤を予め曲線状にしなくとも容易に曲線状又は曲面状に敷設することができる。また、敷石体が帯状シートからはみ出して固定されている場合には、複数の敷石体基盤を並列して配置した場合であっても隣り合う敷石体基盤の敷石体同士の隙間を少なく配置することができる。このため、敷石体を容易に曲線状に敷き並べるのみならず、デザイン性が高い舗道等を容易に形成することができる。
【0039】
≪実施形態3≫
【0040】
(実施形態3の概念)本実施形態の敷石体基盤は、実施形態1および2の敷石体基盤を基本とし、さらに、分断後に敷石体となる各部と帯状シートの連結に特徴を有する。
【0041】
(実施形態3の構成の説明)本実施形態における敷石体基盤を図8に例示する。図8(a)は敷石体基盤の縦断面図、図8(b)は敷石体基盤の裏面図である。図8(b)に示すように、本実施形態における分断後に敷石体となる各部(0801)は帯状シート(0803)に点連結(0804)されている。点連結とは、連結箇所の面積が敷石体の面積に比して小さく、敷石体が帯状シートに対して回転しやすいように連結されていることをいう。例えば、図8に示す敷石体基盤では、敷石体の底面積の略9分の1以下の面積にて接着剤等で帯状シートに連結されている。このように、分断後に敷石体となる各部を点連結すると、帯状シートの変形が妨げられる箇所の面積が小さくなり、より分断後の敷石体基盤を曲線状又は曲面状に配置しやすくなる。
【0042】
また、敷石体が回転可能となるように点連結することも可能である。これを図9に示す。図9は、敷石体(0901)に取り付けられたフランジ付金具(0904)にて敷石体が帯状シート(0903)に連結されている敷石体基盤を例示している。図9(a)は当該敷石体基盤の縦断面図、図9(b)は敷石体基盤の裏面図である。帯状シートは、フランジ付き金具を取り付けるために、図9に示すようなメッシュ状のものとするか、所定の貫通穴を設けておく必要がある。敷石体に固着されたフランジ付金具をメッシュに形成されている矩形状の隙間又は貫通穴に貫通させ、フランジ付き金具(0904)のフランジ部を折り曲げることで、フランジ部が帯状シートに引っかかり敷石体が連結される。敷石体は、フランジ付き金具にて帯状シートから離れないように連結されるが、フランジ付き金具自体は帯状シートのメッシュの穴に引っ掛かっているのみであり、回転は妨げられていない。このようにして敷石体を帯状シートに対して回転可能に点連結すると、帯状シートと敷石体との連結箇所において帯状シートの変形が妨げられるということが少なく、帯状シートに対する分断後の敷石体の敷設方向も制限されないため、より容易に分断後の敷石体を曲線状又は曲面状に敷設することができる。
【0043】
なお、上記例では、敷石体が一列に配列されるように敷石体基盤に溝が配置された場合を例示しているが、敷石体が複数列配列されるように敷石体基盤に縦横に溝が配置された場合についても同様である。
【0044】
(実施形態3の効果)以上のような構成をとる本実施形態の敷石体基盤では、帯状シートへの敷石体の連結を点連結とすることで、より効率的にかつ容易に敷石体を曲線状又は曲面状に敷設することができる。このため、敷石体を容易に曲線状に敷き並べるのみならず、デザイン性が高い舗道等を容易に形成することができる。
【0045】
≪実施形態4≫
【0046】
(実施形態4の概要)実施形態4では、敷石体及び敷石体基盤の製造方法について説明する。
【0047】
(実施形態4の構成)本実施形態における敷石体基盤及び敷石体の製造方法を、図10を用いて説明する。敷石体及び敷石体基盤の製造方法は、スライス工程(S1001)、溝設置工程(S1002)、帯状シート連結工程(S1003)、加圧工程(S1004)からなる。
【0048】
(実施形態4の構成の説明)「スライス工程」(S1001)とは、敷石体ブロックを所定の厚さにスライスする工程である。所定の厚さとは、敷石体の厚さに相当する厚さであり、より具体的には、2cm〜5cm程度である。例えば、図11(a)に示すような敷石体ブロックである大きな岩(1105)から3cm程度の厚さの石をスライスする。
【0049】
「溝設置工程」(S1002)とは、スライスした敷石体ブロックに溝を設ける工程である。敷石体ブロックに溝(1102)を設けることで、図11(b)に示すような敷石体基盤(1100)が製造される。該工程により、実施形態1に記載の敷石体基盤を製造することができる。
【0050】
「帯状シート連結工程」(S1003)は、前記分断後に敷石体となる各部に分断後の各敷石体の移動規制をするために帯状シートを連結する工程である。帯状シート連結工程では、図11(c)に示すように、この分断後に敷石体となる各部(1101)を帯状シート(1103)にモルタル(1104)や接着剤等で連結する。該工程により、実施形態2又は3に記載の敷石体基盤を製造することができる。
【0051】
「加圧工程」(S1004)は、上記工程により製造された敷石体基盤の表面から力を加える工程である。敷石体基盤では分断後に敷石体となる各部が整然と配列されており、該工程により、敷石体となる各部(1101)が溝(1102)で分断されると、敷き並べた状態の敷石体を製造することができる。このため、複数の敷石体を容易に製造することができ、かつ、効率的に敷き並べることができる。
【0052】
(実施形態4の効果)本実施形態の敷石体基盤の製造方法によると、敷石体基盤の製造工程が簡易であり、かつ、製造された敷石体基盤にて効率的に敷石体を敷き並べることができる。また、本実施形態の敷石体の製造方法は、敷石体の敷き並べ作業に熟練した者ではなくとも容易に製造が可能で、かつ、敷き並べを効率的に行うことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1の敷石体基盤の斜視図
【図2】実施形態1の敷石体基盤の側面図
【図3】実施形態1の敷石体基盤の他の形態を例示する図(1)
【図4】実施形態1の敷石体基盤の他の形態を例示する図(2)
【図5】実施形態2の敷石体基盤の斜視図
【図6】実施形態2の敷石体基盤の側面図
【図7】実施形態2の敷石体基盤を分断後に曲線状に配置した図
【図8】実施形態3の敷石体基盤の側面図及び裏面図
【図9】実施形態3の敷石体基盤の他の形態を例示する図
【図10】敷石体基盤及び敷石体の製造方法の流れ図
【図11】敷石体基盤及び敷石体の製造方法を説明する図
【図12】実施形態に共通する概念図
【図13】従来シートを示す図
【符号の説明】
【0054】
0500 敷石体基盤
0501 分断後に敷石体となる各部
0502 溝
0503 帯状シート
0504 モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置した状態で表面から加える力で自身を敷石体に分断可能とするための溝を裏面に設けた敷石体基盤。
【請求項2】
前記溝深さは、厚さの略半分の深さである請求項1に記載の敷石体基盤。
【請求項3】
前記溝は、碁盤目状に配置されている請求項1又は2に記載の敷石体基盤。
【請求項4】
帯状シートをさらに有し、
前記分断後に敷石体となる各部は、分断後の各敷石体の移動規制をするために帯状シートで連結されている請求項1から3のいずれか一に記載の敷石体基盤。
【請求項5】
前記分断後に敷石体となる各部は、帯状シートの端部からはみ出して固定されている請求項4に記載の敷石体基盤。
【請求項6】
前記帯状シートは、伸縮性を有する材料からなることを特徴とする請求項4又は5に記載の敷石体基盤。
【請求項7】
前記帯状シートは、メッシュ状である請求項4から6のいずれか一に記載の敷石体基盤。
【請求項8】
前記連結は、点連結である請求項4から7のいずれか一に記載の敷石体基盤。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の敷石体基盤を用いて、敷石体を曲線状又は曲面状に敷き並べる敷石体の敷設方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一に記載の敷石体基盤の表面から力を加える加圧工程により複数の敷石体を形成する敷石体の製造方法。
【請求項11】
敷石体ブロックを所定の厚さにスライスするスライス工程と、
スライスされた敷石体ブロックの裏面に溝を設ける溝設置工程と、
からなる敷石体基盤の製造方法。
【請求項12】
前記分断後に敷石体となる各部に分断後の各敷石体の移動規制をするために帯状シートを連結する帯状シート連結工程をさらに有する請求項11に記載の敷石体基盤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−69579(P2008−69579A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250178(P2006−250178)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000114086)ミサワホーム株式会社 (288)
【Fターム(参考)】