説明

文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラム

【課題】複数の文字を対象として、1文字サイズの合成文字を生成することができる文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】複数の合成対象文字を入力する入力手段と、入力された複数の合成対象文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成する縮小文字生成手段と、複数の縮小文字を合成して、1文字サイズの複合文字を生成する複合文字生成手段と、複合文字と、選択された合成記号と、を合成して、1文字サイズの合成文字を生成する合成文字生成手段と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記号と文字を合成した合成文字を生成可能な文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「丸」、「四角」および「禁止記号」などを示す記号(合成用文字)と、文字とを合成した合成文字を生成する文字処理装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のテープ印刷装置では、「丸」を示す記号と、「禁」の文字(全角文字)とを合成した合成文字や、「丸」を示す記号と、半角数字「2」,「4」とを合成した合成文字などを作成することが可能である。
【特許文献1】特開平10−166667号公報(図7等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に記載のテープ印刷装置では、全角文字1文字や、半角文字2文字など、全角1文字分以下の文字を対象として合成文字を生成することができるが、全角1文字分を超える複数の文字を対象として合成文字を生成することができない。つまり、「受付」、「回覧」、「確認」などの文字(全角2文字分)を、合成用文字である全角1文字分の記号(「丸」、「四角」および「禁止記号」など)と合成することができないといった問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑み、複数の文字を対象として、全角1文字分の合成文字を生成することができる文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の文字処理装置は、複数の文字を入力する入力手段と、入力された各文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成する縮小文字生成手段と、複数の縮小文字を合成して、1文字サイズの複合文字を生成する複合文字生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、入力された複数の文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成し、当該複数の縮小文字を合成して、1文字サイズの複合文字を生成することができる。つまり、当該1文字サイズの複合文字を、合成用文字である1文字分の記号と合成することで、複数の文字を対象として、1文字サイズの合成文字を生成することが可能となる。
【0007】
上記に記載の文字処理装置において、複合文字生成手段は、入力手段により入力された複数の文字の入力順序に応じて、対応する複数の縮小文字を合成することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、入力手段による複数の文字の入力順序に応じて、異なる合成文字(複合文字)を生成することができる。例えば、「1」→「2」と入力された場合に複合文字「12」を生成し、「2」→「1」と入力された場合に複合文字「21」を生成する、といったことが可能となる。
【0009】
上記に記載の文字処理装置において、複合文字生成手段は、入力手段により入力された複数の文字の文字数に応じて、1文字分の配置領域を均等分割した複数個の部分配置領域を設定し、当該複数個の部分配置領域に、複数の文字の入力順序に応じて、対応する各縮小文字を配置することにより、複数の縮小文字を合成することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば、入力手段により「1」→「2」と入力された場合、1文字分の配置領域(例えば、正方形)を均等2分割して、複数個の部分配置領域(例えば、正方形を左右2分割した2つの長方形)を設定し、当該複数個の部分配置領域に、対応する各縮小文字(「1」と「2」を、横方向1/2に縮小した文字)を配置することで、1文字サイズの複合文字「12」を生成することが可能となる。また、入力された文字数が3文字の場合は、正方形を「左・中央・右」に3分割した部分配置領域を設定し、入力された文字数が4文字の場合は、マトリクス状に正方形を4分割した部分配置領域を設定する、といったことも可能である。
【0011】
上記に記載の文字処理装置において、複合文字の文字方向を指定する文字方向指定手段をさらに備え、縮小文字生成手段は、文字方向指定手段により指定された文字方向に応じて、各文字を縮小し、複合文字生成手段は、文字方向指定手段により指定された文字方向に応じて、複数の縮小文字を合成することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザの好みに応じて、文字方向(横方向、縦方向など)を指定することができる。なお、縮小文字生成手段は、文字方向が横方向に指定された場合、各文字を横方向に縮小し、文字方向が縦方向に指定された場合、各文字を縦方向に縮小することとなる。また、複合文字生成手段は、文字方向が横方向に指定された場合、1文字分の配置領域を横方向に均等分割し、文字方向が縦方向に指定された場合、1文字分の配置領域を縦方向に均等分割することとなる。但し、入力された文字数が多く、各縮小文字を一方向に配置できない場合(例えば、入力された文字数が4文字であって、配置領域をマトリクス状に4分割するような場合)は、この限りではない。
なお、「文字方向」とは、文字の並び方向を指すものである。
【0013】
上記に記載の文字処理装置において、複合文字生成手段により生成された複合文字と、合成するための合成記号を選択する合成記号選択手段と、複合文字と、合成記号選択手段により選択された合成記号と、を合成して、1文字サイズの合成文字を生成する合成文字生成手段と、をさらに備えたことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、複数の文字を合成した1文字サイズの複合文字と、選択された合成記号(例えば、「丸」、「四角」および「禁止記号」などを示す記号)とを合成して、合成文字を生成することができる。
【0015】
本発明のテープ印刷装置は、上記に記載の文字処理装置における各手段と、複合文字生成手段により生成された複合文字を、テープ上に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、複数の文字を合成して1文字サイズの複合文字を生成することができるため、結果的に、複数の文字を対象として1文字サイズの合成文字を生成し、印刷することができるテープ印刷装置を提供することができる。
【0017】
本発明の文字処理装置の制御方法は、入力手段を有する文字処理装置の制御方法であって、文字処理装置が、入力手段により入力された複数の文字を取得するステップと、取得した各文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成するステップと、複数の縮小文字を、入力された複数の文字の入力順序および文字数に応じて合成し、1文字サイズの複合文字を生成するステップと、を実行することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、入力された複数の文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成し、当該複数の縮小文字を合成して、1文字サイズの複合文字を生成することができるため、当該複合文字を用いて、1文字サイズの合成文字を生成することができる。また、複数の文字の入力順序および文字数に応じて、複合文字を生成するため、複数の縮小文字の配置位置をユーザが指定する必要が無く、見栄えの良い複合文字を簡単に生成することができる。
【0019】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の文字処理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0020】
このプログラムを用いることにより、複数の文字を対象として、1文字サイズの合成文字を生成することができる文字処理装置の制御方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、文字処理装置および文字処理装置の制御方法を、情報入力からテープ状媒体への印刷(ラベル作成)までの一連の処理を行うテープ印刷装置に適用した場合を例示する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係るテープ印刷装置1の開閉蓋21を開いた状態の外観斜視図である。図1に示すようにテープ印刷装置1は、装置ケース2により外郭が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3が配置されると共に、後部上面には、その左部に開閉蓋21が取り付けられ、その右部には表示画面41が配設されている。開閉蓋21の内側にはテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋21を開放した状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋21にはこれを閉じた状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓21aが形成されている。
【0023】
キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、JIS配列に基づいたフルキー構成であり、操作するキー数の増加を抑えるためのシフトキーを備えるなど、一般のワードプロセッサ等と同様である。また、機能キー群3bには、「印刷キー」、「カーソルキー」、「選択キー」、および「記号キー」が含まれる。
【0024】
「印刷キー」は、印刷実行を指示するためのキーである。「カーソルキー」は、上下左右キー([↑],[↓],[←],[→])から成り、カーソル移動やスクロール操作を行うためのキーである。また、「選択キー」は、選択候補の選択および確定操作を行うためのキーである。また、「記号キー」は、記号メニュー(図4のD02等参照)を表示させるためのキーであり、本実施形態では、「合成文字」を生成する際に操作される。なお、「合成文字」とは、一般的に、合成用文字となる各種記号(「禁止記号」、「丸」、「バツ」、および「四角」など,以下、「合成記号」と称する,図4のD04等参照)と、入力された文字とを合成した文字を指すものである。但し、本実施形態では、入力された文字が複数あり、それらを合成した「複合文字」と、「合成記号」とを合成したものを「合成文字」と称するものとする。
【0025】
表示画面41は、液晶ディスプレイであり、ユーザがキーボード3を用いて入力した入力情報に基づく編集結果、および当該編集結果に基づいて生成された印刷データ等を確認したりする際に用いられる。
【0026】
装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通するテープ排出口22が形成され、このテープ排出口22には、送り出した印刷テープTを切断するためのテープカッター23が臨んでいる。そして、テープ排出口22から印刷済みの印刷テープTが所定長さだけ送り出され、送りを一旦停止させた状態で、この印刷済みの印刷テープTをテープカッター23により切断して、短冊状のラベルL(図4の右下部参照)を作成する。なお、切断処理については、自動カットを「する」または「しない」の選択肢によりカッターモーター25(図2参照)の駆動を設定できる。
【0027】
一方、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー61a内にサーマルタイプの印刷ヘッド7が内蔵されたヘッドユニット61と、印刷ヘッド7に対峙するプラテン駆動軸62と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸63と、後述のテープリール17の位置決め突起64とを備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸62および巻き取り駆動軸63を回転させるテープ送りモーター26(図2参照)が内蔵されている。
【0028】
テープカートリッジCは、カートリッジケース51内部の上部中央部に、一定の幅(4mm〜48mm程度)の印刷テープTを巻回したテープリール17と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール19とを収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール17の左下部には前記ヘッドユニット61を覆うヘッドカバー61aが差し込まれるための貫通孔55が形成されている。さらに、貫通孔55に差し込まれたヘッドユニット61は、印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、前記プラテン駆動軸62に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ53が配置されている。一方、前記リボンリール19に近接してリボン巻き取りリール54が配置され、リボンリール19から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー61aを周回するように配置され、リボン巻き取りリール54に巻き取られるようになっている。
【0029】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー61aに貫通孔55が、位置決め突起64にテープリール17の中心孔が、巻き取り駆動軸63にリボン巻き取りリール54の中心孔がそれぞれ差し込まれ、印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテンローラ53に当接して印刷が可能になる。その後、ユーザが表示画面41の編集結果を確認しながらキーボード3により所望のテキスト(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクター)や画像を入力し、「印刷キー」の押下によって印刷を指示すると、テープ印刷装置1は、テープ送りモーター26によりテープカートリッジCから印刷テープTを繰り出し、印刷ヘッド7の発熱素子を選択的に発熱させることにより印刷テープTに所望の印刷を行う。印刷テープTの印刷済み部分はテープ排出口22から随時外部に送り出され、印刷を完了すると、テープ送りモーター26は、余白分を含むテープ長さの位置まで印刷テープTの送りを行った後、その送りを停止する(その後、切断処理に移行する)。
【0030】
一方、印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaに貼り付けられた剥離テープTbとから構成されている。そして、印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース51内に収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、テープの地色、地模様、材質など)が異なる複数種のものが用意されており、各カートリッジケース51には、このうち1種類の印刷テープT(およびインクリボンR)が収容されている。また、カートリッジケース51の裏面にはテープカートリッジCの種別を特定する複数の孔(図示省略)が設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサー(マイクロスイッチ等)27(図2参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサー27により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0031】
次に、図2の制御ブロック図を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。テープ印刷装置1は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)110、RAM(Random Access Memory)120、ROM(Read Only Memory)130、表示画面41、キーボード3、カッターモーター25、テープカッター23、テープ送りモーター26、印刷ヘッド7およびテープ識別センサー27を備え、各構成要素は、バス150を介して接続されている。
【0032】
RAM120は、CPU110と直接接続されており、CPU110が各種制御を行う際のワークエリアとして用いられる。また、RAM120は、合成文字を生成する過程で生成される縮小文字および複合文字を、それぞれ一時的に記憶する縮小文字記憶領域121および複合文字記憶領域122を有している。ROM130は、CPU110が各種制御を行うための制御プログラムおよび各種情報を記憶している。制御プログラムとしては、具体的に、表示画面41の表示制御を行うための表示制御プログラム、合成文字を生成するための合成文字生成プログラム、および印刷処理を行うための印刷処理プログラム等を記憶している(図示省略)。また、ROM130は、表示画面41への表示、および印刷テープTへの印刷に用いられる多数のフォントデータを記憶するフォントデータ記憶領域131を有している。合成文字を生成する際に用いられる合成記号のフォントデータも、当該フォントデータ記憶領域131に記憶されている。
【0033】
表示画面41は、編集結果や印刷レイアウトを表示するための表示手段として機能する。キーボード3は、ユーザが情報を入力するための入力手段、削除操作を含む編集処理を行うための編集手段、各種設定を行うための設定手段、などとして機能する。
【0034】
カッターモーター25は、テープカッター23と接続され、切断手段として機能する。なお、特に図示しないが、本実施形態のテープ印刷装置1は、記録テープTaおよび剥離テープTbの両方を切断するためのフルカット用カッターモーターおよびフルカット用テープカッターと、記録テープTaのみを切断するためのハーフカット用カッターモーターおよびハーフカット用テープカッターと、を有している。ハーフカット用テープカッターにより、記録テープTaのみに切り込みを入れることで(ハーフカット線HC,図4のラベルL参照)、剥離テープTbから記録テープTaを剥離し易くなるといった利点がある。
【0035】
また、テープ送りモーター26および印刷ヘッド7は、印刷テープT上に印刷を行うための印刷手段として機能する。上記のとおり、印刷ヘッド7およびテープ識別センサー27は、カートリッジ装着部6に設けられ、テープ識別センサー27は、テープカートリッジCに収容された印刷テープTの種別を検出する。CPU110は、このテープ識別センサー27の検出結果に基づいて(テープ幅等に基づいて)、テキストとして入力可能な行数および文字数の制限や、装着されたテープカートリッジCの適合性の判別、などの制御を行う。その他、CPU110は、表示画面41の表示処理、編集処理および印刷処理を制御する。
【0036】
次に、図3および図4を参照し、合成文字の生成処理について説明する。ここでは、2つの全角文字「フ」,「ァ」を入力して、合成文字を生成する場合(2文字処理の場合)について説明する。例えば、キーボード3を用いて、「フ」→「ァ」の順に合成の対象となる文字(以下、「合成対象文字」と称する)が入力されると、CPU110は、1文字目「フ」と2文字目「ァ」に対応するフォントデータを、それぞれ横方向に1/2縮小した縮小文字を生成する(縮小文字生成手段)。生成した2つの縮小文字は、縮小文字記憶領域121に記憶しておく。続いて、CPU110は、1文字分の配置領域Eを左右に均等2分割した2つの部分配置領域E1,E2を設定し、左側の部分配置領域E1に1文字目「フ」の縮小文字を配置し、右側の部分配置領域E2に2文字目「ァ」の縮小文字を配置して、全角1文字サイズの「複合文字(ファ)」を生成する(複合文字生成手段)。生成した複合文字は、複合文字記憶領域122に記憶しておく。さらに、CPU110は、生成した複合文字と、ユーザによって選択された「合成記号(全角1文字サイズ)」(図示の例では、「丸」)と、を合成し、合成文字を生成する(合成文字生成手段)。なお、上記の処理においては、合成記号と複合文字をそのまま合成することとしているが、複合文字の一部が合成記号からはみ出してしまう虞がある場合に、複合文字をさらに縮小して合成するサイズ変更処理を行うようにする。このとき、合成記号の中心と複合文字の中心を一致させるようにする。
【0037】
図4は、図3に示した合成文字を生成する際の操作方法を示す画面遷移図(表示画面41の表示例)である。画面D01は、テキスト編集画面であり、符号M1は、行頭マークを示している。行頭マークが白色で表示(行数を示す数字が黒色で表示)されている行は、文字が入力されておらず、行頭マークが黒色で表示(行数を示す数字が白色で表示)されている行は、文字が入力されていることを意味している(後者の行頭マークについては、図9のD27等参照)。また、符号Kは、編集位置を表すカーソルを示している。
【0038】
画面D01の状態で、「記号キー」が押下されると、記号メニュー画面を表示する(D02)。なお、図面上、表示画面41の枠外に[]で示される文言([記号]など)は、キー名称を示している。記号メニュー画面では、登録されている外字を呼び出す「外字呼出」、各種省略記号を選択する「省略」、各種記述記号を選択する「記述」、各種括弧記号を選択する「カッコ」など、複数の選択候補の中から1の候補を選択可能となっている。記号メニュー画面において、「シフトキー」と下方向を示す「カーソルキー」(以下、単に「↓」と記載する)が同時押下されると、記号メニューの最終候補「合成」を点滅表示し(D03)、この状態で「選択キー」が押下されると、合成記号選択画面を表示する(D04)。
【0039】
合成記号選択画面では、「禁止記号」、「丸」、「バツ」、および「四角」などの選択候補を表示し、選択対象となっている候補(反転表示されている候補)を、画面右側に拡大表示する。画面D04の状態から、「→」が押下されると、合成記号「丸」を選択対象として拡大表示し(D05)、この状態で「選択キー」が押下されると(合成記号選択手段)、合成対象文字入力画面を表示する(D06)。合成対象文字入力画面では、最大4文字(全角4文字分)が入力可能となっており、例えばアルファベットキー[F]、[A]が押下されると、「ふぁ」を変換対象文字として表示し(D07,変換対象文字には、点線下線TRが付加される)、「無変換キー」が2回押下されると、合成対象文字として、「ファ」を確定する(D08)。
【0040】
ここで、「印刷キー」が押下されると、合成文字印刷の確認画面を表示し(D09)、さらに「選択キー」が押下されると、合成文字印刷実行画面を表示して(D10)、印刷処理を行う。当該印刷処理により、図4の右下部に示すラベルLが作成される。ここで、符号HCはハーフカット線を示す。
【0041】
なお、上記の画面遷移図において、画面D08の後、一旦テキスト編集画面に戻し、その後「印刷キー」の押下によって印刷処理を行うようにしても良い。この場合、「シフトキー」と「選択キー」との同時押下によって、テキスト編集画面に戻し、画面上では、「ファ」が合成文字の対象であることを明示することが好ましい(図9のD27参照)。
【0042】
次に、図5のフローチャートを参照し、合成文字生成処理の流れについて説明する。ここでは、合成対象文字として、全角文字が入力される(半角文字は入力されない)ものとして説明する。テープ印刷装置1(CPU110)は、合成対象文字が入力され(S01)、「選択キー」の押下を確認すると(S02)、文字数を検出し(S03)、その検出結果に応じた処理を行う。例えば、文字数が1文字の場合は(S04:Yes)、本実施形態における合成文字が生成できないため(直接的には、複合文字が生成できないため)、エラー報知を行う(S05)。
【0043】
また、文字数が2文字の場合は(S06:Yes)、2文字処理を行う(S07)。当該、2文字処理とは、図3にて説明した処理(縮小文字生成処理、複合文字生成処理および合成文字生成処理から成る)を指すものである。また、文字数が3文字の場合は(S08:Yes)、3文字処理を行い(S09)、文字数が4文字の場合は(S10:Yes)、4文字処理を行う(S11)。なお、3文字処理および4文字処理については、後述する。また、文字数が4文字ではない場合(すなわち、5文字以上の場合,S10:No)、合成文字(複合文字)が生成できないものとして、エラー報知を行う(S12)。
【0044】
ここで、図6を参照し、3文字処理(図5のS09に相当)について説明する。例えば、キーボード3から、「回」→「覧」→「中」の順に合成対象文字が入力されると、1文字目「回」に対応するフォントデータを横方向に1/3縮小した縮小文字を、1文字分の配置領域Eを横方向に均等3分割した3つの部分配置領域E1,E2,E3のうち、左側の領域E1に配置する。また、2文字目「覧」に対応するフォントデータを横方向に1/3縮小した縮小文字を、中央の部分配置領域E2に配置し、3文字目「中」に対応するフォントデータを横方向に1/3縮小した縮小文字を、右側の部分配置領域E3に配置する。これにより、全角1文字サイズの「複合文字(回覧中)」を生成する。さらに、生成した複合文字と、任意の合成記号(図示の例では、「丸」)と、を合成し、合成文字を生成する。
【0045】
続いて、図7を参照し、4文字処理(図5のS11に相当)について説明する。例えば、キーボード3から、「合」→「格」→「発」→「表」の順に合成対象文字が入力されると、1文字目「合」に対応するフォントデータを縦横方向にそれぞれ1/2縮小した縮小文字を、1文字分の配置領域Eをマトリクス状に均等4分割した4つの部分配置領域E1,E2,E3,E4のうち、左上の領域E1に配置する。また、2文字目「格」に対応するフォントデータを縦横方向にそれぞれ1/2縮小した縮小文字を、右上の部分配置領域E2に配置し、3文字目「発」に対応するフォントデータを縦横方向にそれぞれ1/2縮小した縮小文字を、左下の部分配置領域E3に配置し、4文字目「表」に対応するフォントデータを縦横方向にそれぞれ1/2縮小した縮小文字を、右下の部分配置領域E4に配置する。これにより、全角1文字サイズの「複合文字(合格発表)」を生成する。さらに、生成した複合文字と、任意の合成記号(図示の例では、「四角」)と、を合成し、合成文字を生成する。
【0046】
なお、特に図示しないが、4文字処理において、例えば2文字目および3文字目をスペースキー(空白)とすれば、部分配置領域E1,E4のみに、縮小文字が配置された(結果的に、2文字が、斜めに配置された)複合文字を生成することが可能である。
【0047】
以上、説明したとおり、本発明の第1実施形態に係るテープ印刷装置1によれば、入力された複数の合成対象文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成し、当該複数の縮小文字を合成して、1文字サイズの複合文字を生成することができる。この複合文字の生成について、ユーザは複数の合成対象文字を所望の順序で入力するだけで良いため、その操作は極めて容易である。また、当該複合文字を、1文字分の合成記号と合成することで、1文字サイズの合成文字を生成することができる。つまり、複数の合成対象文字を入力し、1の合成記号を選択するだけで、容易に1文字サイズの合成文字を生成することができる。
【0048】
また、入力された複数の合成対象文字の文字数に応じて、1文字分の配置領域Eを均等分割した複数個の部分配置領域E1,E2・・・を設定し、当該複数個の部分配置領域E1,E2・・・に、複数の合成対象文字の入力順序に応じて、それぞれの合成対象文字に対応する縮小文字を配置するため、ユーザは、連続して複数の合成対象文字を入力するだけで(複数の縮小文字を配置するための部分配置領域E1,E2・・・をそれぞれ指定することなく)、見栄えの良い複合文字を生成することができる。
【0049】
次に、図8および図9を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、合成記号との合成がない文字合成のみの場合を例として、合成対象文字を縮小する際の縮小方向、すなわち、複合文字の文字方向を指定可能となっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、「文字方向」とは、文字の正位置を基準とした場合の文字の並び方向を指すものであり、印刷テープTを基準とした場合の文字の列記方向を指すものではない。
【0050】
図8は、合成対象文字に対応するフォントデータを縦方向に縮小して縮小文字を生成する場合(複合文字の文字方向が「縦方向」に指定された場合)の、2文字処理を示す図である。例えば、キーボード3から、「回」→「覧」の順に合成対象文字が入力されると、1文字目「回」に対応するフォントデータを縦方向に1/2縮小した縮小文字を、1文字分の配置領域Eを上下に均等2分割した2つの部分配置領域E1,E2のうち、上側の領域E1に配置する。一方、2文字目「覧」に対応するフォントデータを縦方向に1/2縮小した縮小文字を、下側の部分配置領域E2に配置する。これにより、全角1文字サイズの「複合文字(回覧)」を生成する。このように、合成対象文字を縦方向に縮小する場合は、合成対象文字を横方向に縮小する場合と比較して、縮小方向と、配置領域Eの分割パターンが異なる。
【0051】
次に、図9の画面遷移図を参照し、文字方向を指定して複合文字を生成する際の操作方法について説明する。テキスト編集画面D21から、例えば、文字合成用の専用キーである「文字合成キー」が設けられている場合に、当該「文字合成キー」が押下されると、合成対象文字入力画面を表示する(D22)。合成対象文字入力画面では、最大4文字(全角4文字分)が入力可能となっており、例えば文字「かいらん」が入力されると、これらを変換対象文字として反転表示する(D23)。この状態で「変換キー」が押下されると、漢字変換候補を表示し(D24)、「選択キー」が押下されると、合成対象文字として、「回覧」を確定する(D25)。
【0052】
ここで、「選択キー」が押下されると、文字方向指定画面を表示し(D26)、選択候補として、「横方向」および「縦方向」を表示する。「縦方向」が反転表示されている状態で、「選択キー」が押下されると(文字方向指定手段)、テキスト編集画面に戻り、「回覧」が複合文字の対象であることを表示する(D27)。すなわち、文字「回覧」を網掛け表示し、さらにその左側部に、複合文字であることを示す合成マークMCを表示する。ここで、「印刷キー」が押下されると、印刷実行画面を表示して(D28)、印刷処理を行う。当該印刷処理により、図9の下部(a)に示すラベルLが作成される。また、文字方向指定画面(D26)において、「横方向」が選択された場合は、図9の下部(b)に示すラベルLが作成される。これらの両ラベルLにおいて、符号HCはハーフカット線を示す。
【0053】
なお、特に図示しないが、文字方向として「縦方向」が選択された場合の3文字処理は、入力された合成対象文字に対応するフォントデータを全て縦方向に1/3縮小し、1文字分の配置領域Eを上下に均等3分割した3つの部分配置領域E1,E2,E3(上側、中央、下側)に、入力順序にしたがって配置する。また、文字方向として「縦方向」が選択された場合の4文字処理は、入力された合成対象文字に対応するフォントデータを全て縦横方向にそれぞれ1/2縮小し、1文字分の配置領域Eをマトリクス状に均等4分割した4つの部分配置領域E1,E2,E3,E4(左上、左下、右上、右下)に、入力順序にしたがって配置する。すなわち、「縦方向」が選択された場合の4文字処理は、「横方向」が選択された場合の4文字処理と比較して、部分配置領域E2,E3の配置順序が異なるだけである。
【0054】
以上、説明したとおり、本発明の第2実施形態に係るテープ印刷装置1によれば、ユーザの好みに応じて、文字方向(横方向または縦方向)を指定することができる。つまり、複数の合成対象文字を入力し、文字方向を指定するだけで、所望する複合文字を容易に生成することができる。
【0055】
なお、上記の各実施形態では、文字処理装置の一例として、テープ印刷装置1を例示したが、これに限らず、本実施形態における合成文字生成プログラムにしたがって、合成文字または複合文字を生成可能な情報処理装置に、本発明を適用可能である。
【0056】
また、上記の各実施形態に示した、テープ印刷装置1の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピュータを、テープ印刷装置1の各手段として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】開蓋状態のテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】テープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る2文字処理(横方向縮小の場合)の一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る合成文字を生成する際の操作方法を示す画面遷移図である。
【図5】合成文字生成処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る3文字処理の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る4文字処理の一例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る2文字処理(縦方向縮小の場合)の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る複合文字を生成する際の操作方法を示す画面遷移図である。
【符号の説明】
【0058】
1…テープ印刷装置 3…キーボード 41…表示画面 110…CPU 120…RAM 121…縮小文字記憶領域 122…複合文字記憶領域 130…ROM 131…フォントデータ記憶領域 E…配置領域 E1,E2,E3,E4…部分配置領域 HC…ハーフカット線 K…カーソル L…ラベル M1…行頭マーク MC…合成マーク T…印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文字を入力する入力手段と、
入力された各文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成する縮小文字生成手段と、
前記複数の縮小文字を合成して、1文字サイズの複合文字を生成する複合文字生成手段と、を備えたことを特徴とする文字処理装置。
【請求項2】
前記複合文字生成手段は、前記入力手段により入力された前記複数の文字の入力順序に応じて、対応する前記複数の縮小文字を合成することを特徴とする請求項1に記載の文字処理装置。
【請求項3】
前記複合文字生成手段は、前記入力手段により入力された前記複数の文字の文字数に応じて、1文字分の配置領域を均等分割した複数個の部分配置領域を設定し、当該複数個の部分配置領域に、前記複数の文字の入力順序に応じて、対応する各縮小文字を配置することにより、前記複数の縮小文字を合成することを特徴とする請求項2に記載の文字処理装置。
【請求項4】
前記複合文字の文字方向を指定する文字方向指定手段をさらに備え、
前記縮小文字生成手段は、前記文字方向指定手段により指定された文字方向に応じて、各文字を縮小し、
前記複合文字生成手段は、前記文字方向指定手段により指定された文字方向に応じて、前記複数の縮小文字を合成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の文字処理装置。
【請求項5】
前記複合文字生成手段により生成された前記複合文字と、合成するための合成記号を選択する合成記号選択手段と、
前記複合文字と、前記合成記号選択手段により選択された前記合成記号と、を合成して、1文字サイズの合成文字を生成する合成文字生成手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の文字処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の文字処理装置における各手段と、
前記複合文字生成手段により生成された前記複合文字を、テープ上に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項7】
入力手段を有する文字処理装置の制御方法であって、
前記文字処理装置が、
前記入力手段により入力された複数の文字を取得するステップと、
取得した各文字に対応するフォントデータを、縦方向および横方向の少なくとも一方向に縮小して、複数の縮小文字を生成するステップと、
前記複数の縮小文字を、入力された前記複数の文字の入力順序および文字数に応じて合成し、1文字サイズの複合文字を生成するステップと、を実行することを特徴とする文字処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の文字処理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−152437(P2010−152437A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326867(P2008−326867)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】