説明

文書印刷装置および方法

【課題】 従来の技術例では、印刷対象となる文書のタグは検出できるものの、印刷時における消費インク量を抑えることはできなかった。通常時の印刷においては、均一な塗りつぶし印刷が行われている。その結果、消費インク量が多くなってしまう、という課題がある。
【解決手段】 文書を印刷する装置であって、印刷する文書がHTMLあるいはXHTML文書であるか否かを判定し、文書中の塗りつぶし箇所を特定し、前記塗りつぶし箇所の濃度を検出し、前記塗りつぶし箇所の濃度を変更することによって、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書を印刷時における、印刷装置の消費インク量を抑えるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの発達により、ネットワークプロトコルであるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)ネットワーク上に形成されたWWW(World Wide Web)ページの情報共有が進んでいる。
【0003】
WWWでは、Webサーバ上に蓄積されたHTML(Hyper Text Markup Language)によって記述された文書を、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)に従い配信し情報を公開する。文書の閲覧者は、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータや携帯端末などに用意されたWebブラウザと呼ばれるHTML閲覧ソフトで、文書のURL(Uniform Resource Locator)を指定し、Webサーバに接続し、所望のHTML文書を得る。
【0004】
HTMLは、テキスト文書である。この文書では、文書の記述内容に加えて、タグと呼ばれる文書の構造情報指定子によって、構造を記述する。このため、閲覧する環境にWebブラウザが用意されていれば、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどプラットフォームに依存しない形で、文書を共有することができる。一般に、タグによって、文章の構造を規定することをマークアップすると言い、このような記述言語をマークアップ言語と呼ぶ。また、HTMLは文書の論理構造や見栄えなどを記述するために使用される。また、文書の中に画像や音声、動画、他の文書へのハイパーリンクなどを埋め込むことも可能である。
能である。
【0005】
HTMLはWorld Wide Web Consortium(W3C)により標準化が進められている。現在は、HTMLをXML(Extensible Markup Language)と呼ばれる、タグを使用者が任意の用途のために定義して使用できる言語に準拠した仕様になるよう改良したXHTMLをW3Cが勧告として公開されている。W3Cの仕様策定の主軸は既にXHTMLに移行しており、今後はXHTMLがHTMLに代わり、Webページ記述言語として徐々に浸透していくものと考えられている。
【0006】
上記のHTML文書の処理に方法においては、印刷時にのみ現れるコンテンツを含むHTML文書の処理を可能とする方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。また、タグを検出・変換して文書を整形する方法などがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献3】特開2002−132758
【特許文献4】特開2001−92615
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の技術例では、印刷対象となる文書のタグは検出できるものの、印刷時における消費インク量を抑えることはできなかった。通常時の印刷においては、均一な塗りつぶし印刷が行われている。その結果、消費インク量が多くなってしまうという課題がある。
【0008】
そこで本発明では、印刷時におけるHTMLあるいはXHTML文書のタグを検出し、前記塗りつぶし箇所を識別することで均一な塗りつぶし箇所にかかる消費インク量を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る文書印刷装置は、
印刷する文書がHTMLあるいはXHTML文書であるか否かを判定する文書判定手段と、
前記文書のタグ情報から文書中の塗りつぶし箇所を特定する塗りつぶし箇所特定手段と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を変更する濃度変更手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項に係る文書印刷方法は、
印刷する文書がHTMLあるいはXHTML文書であるか否かを判定する文書判定工程と、
前記文書のタグ情報から文書中の塗りつぶし箇所を特定する塗りつぶし箇所特定工程と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を検出する濃度検出工程と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を変更する濃度変更工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、印刷時におけるHTMLあるいはXHTML文書のタグを検出し、前記塗りつぶし箇所を識別することで均一な塗りつぶし箇所にかかる消費インク量を抑える効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明にかかる実施例としての印刷装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[装置構成]
図1は、印刷装置のハードウェア構成を示す外観図である。
【0014】
図1において、101はWebサーバである。102はインターネット網である。103はPCである。104は印刷装置である。
【0015】
図2は、本発明の印刷装置104の内部構成を示すブロック図である。本印刷装置104は、入力手段201、作業用メモリ202、プログラム格納メモリ203、HTML処理部204、ネットワークI/F部205、表示部207、画像処理部208、コントローラ209、プリンタユニット210、電源215、および各ブロックを制御するためのCPU206で構成されている。また、プリンタユニット210は、各種モータ213と各種モータ駆動部211、印字ヘッド214と印字ヘッド駆動部212で構成されている。
【0016】
図3は、印刷装置104のHTML処理部204の内部構成を示すブロック図である。
【0017】
図3に示すように、HTML文書処理部204は、HTML文書の文書判定手段301、塗りつぶし箇所特定手段302、塗りつぶし濃度検出手段303、塗りつぶし濃度変更手段304、という4つの手段から構成され各々CPU206にバスを介して接続されている。
【0018】
[動作手順]
図1において、本実施形態の印刷装置104は、Webサーバ101からインターネット接続網102に接続されたPC103からHTML文書の印刷ジョブを送信し、そのジョブを受信して印刷する。
【0019】
印刷装置104は、受信したジョブからその印刷対象をHTML処理部204で処理する。印刷対象の文書がHTML文書であるか否かを文書判定手段301で判断する。HTML文書である場合、均一塗りつぶし箇所をHTML文書のタグを識別することにより塗りつぶし箇所特定手段302で特定する。塗りつぶし箇所特定手段302によって特定された塗りつぶし箇所をHTML文書のテキストタグの属性より塗りつぶし濃度検出手段303で検出する。塗りつぶし濃度検出手段303によって検出された濃度をHTML文書のテキストタグの属性を利用して、濃度変更手段304によって変更する。
【0020】
図4に本印刷装置で印刷処理を行った場合の例を示す。
【0021】
図4(a)では、Webブラウザの背景色が処理前より薄く印刷される。具体的には、処理前の背景色が#00ff00であった。しかし、本印刷装置での処理後は#00ff99となる。図4(b)では、Webブラウザのテキストエリアにおけるテキスト中に、丸や四角といった塗りつぶし箇所があった場合、それらの箇所が薄く印刷される。具体的には、処理前の丸や四角の塗りつぶし色が#000000であった。しかし、本印刷装置での処理後は#000099となる。図4(c)では、Webブラウザにテーブルエリアがあり、テーブルに塗りつぶし箇所があった場合、その箇所が薄く印刷される。具体的には、処理前のテーブルの背景色が#ffff00であった。しかし、本印刷装置での処理後は#ffff99となる。
【0022】
それでは、HTML処理部204での印刷処理を図で説明する。図5は、HTML文書印刷時における印刷の処理手順を示すフローチャートである。
【0023】
まず、印刷装置のユーザが消費インク量を抑える機能をONにするか否かを常時、選択できる。Webサーバ103からインターネット網204を介してホストコンピュータ101のWebブラウザから印刷ジョブを送信する。印刷装置102において、インク量を抑える機能がONになっているか否かを判定する(S502)。
【0024】
次の処理では、印刷対象の文書がHTML文書あるいはXHTML文書であるかを判定する(ステップ503)。
【0025】
次の処理では、塗りつぶし箇所を塗りつぶし箇所特定手段302により特定する(ステップ504)。図8は、図5の文書中のタグに均一塗りつぶし箇所があるか否かを判定する(ステップ504)の処理手順を詳細に示すフローチャートである。塗りつぶし箇所の特定方法としては、HTML文書中のタグの属性を利用する。塗りつぶし箇所を検出するタグの種類は3種類ある。第1が<UL>タグ、第二が<body>タグ、第三が<table>タグである。
【0026】
まず、第1の<UL>タグが検出された場合を示す(ステップ802)。「<UL type=“キーワード”><LI>〜</LI></UL>」のように記述される(図6(b))。キーワードにはdisc、circle、squareのいずれかを指定することができる。リストの記号は何も指定しない場合は、塗りつぶし○(黒丸)であるが、type属性を使って指定すれば○(白丸)や塗りつぶし□(黒四角)にすることが可能である。白丸にしたい場合はtype属性の値にcircleを、黒四角にしたい場合はSquareを指定する。Type属性を<UL>タグにつけるとリスト全体の記号を指定することが、<LI>タグに付ければ、その項目だけの記号を指定することが出来る。上記のタグにおいて、黒丸や黒四角の場合をタグ中の“キーワード”を検出することによって、丸や四角などの塗りつぶし箇所を特定できる。
【0027】
次に、第2の<body>タグが検出された場合を示す(ステップ804)。<body>タグでは、背景色の指定は「<body bgcolor=“カラー名かRGB値”>」などのように記述される(図6(a))。背景の色はInternet Explorerの場合、初期設定は白であるが、HTML文書の本文の始まりに記入する<body>タグの中に半角のスペースを入れ、その後にbgcolor属性をつけて、その値に好きな色を指定すれば、背景の色を変えることが出来る。色の指定は#ff0000などのRGB値で指定することができる。<body>タグを検出し、且つ<body>タグのbgcolor属性を検出することで塗りつぶし箇所を特定できる。
【0028】
次に、第3の<table>タグが検出された場合を示す(ステップ805)。テーブルの背景に色をつける場合、次の「<table bgcolor=“カラー名またはRGB値”>〜</table>」のように記述される(図6(c))。テーブルの背景に色をつけるには、bgcolor属性を使用する。ページ全体の背景色を指定するには、<body>タグにbgcolor属性をつけて背景色を指定していたが、このbgcolor属性を<table>タグにつければ、そのテーブル全体の背景色を指定することが出来る。また、bgcolor属性を<tr>タグにつけることでその行の背景色を、<td>タグや<th>タグにつけることで、そのセルのみの背景色を指定することもできます。<table>タグを検出し、且つ<table>タグのbgcolor属性を検出することで塗りつぶし箇所を特定できる。
【0029】
次の処理では、塗りつぶし濃度検出手段303によって前処理で検出された塗りつぶし箇所の濃度を検出することができる(ステップ805)。前記における各タグの色属性の値を検出することでその色の濃度を検出することができる。各タグの色属性には、216色のWebセーフカラーが利用されて、色の値が定義されている。<body>タグにおいては、初期値が#ffffffで設定されている。<body>タグではbgcolor属性で色の設定が行われている。そのタグの属性の値により、濃度を検出することができる。
【0030】
次の処理では、塗りつぶし濃度変更手段304によって前処理で検出された塗りつぶし箇所の濃度を変更することができる(ステップ806からステップ811)。前記塗りつぶし箇所の検出された濃度の変更手段においては、Webセーフカラーを利用する。Webセーフカラーにおける上位5桁が同値として、下2桁が00の場合、66に変換し下2桁が33の場合、ccに変換し、下2桁が66の場合、ffに変換する。変換例を図7に示す。
【0031】
次の処理では、前記の濃度が変更された箇所を印刷する(ステップ506、ステップ812)。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】印刷装置をPCに接続した情報処理システムの外観図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるHTML処理部の内部ブロック図である。
【図4】(a)本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所特定手段の第1の対象となるHTML文書の例である。(b) 本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所特定手段の第2の対象となるHTML文書の例である。(c) 本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所特定手段の第3の対象となるHTML文書の例である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】(a) 本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所特定手段の第1の対象となるHTML文書の濃度変更処理後の例である。(b) 本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所特定手段の第2の対象となるHTML文書の濃度変更処理後の例である。(c) 本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所特定手段の第3の対象となるHTML文書の濃度変更処理後の例である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所の濃度変更テーブルの例である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる塗りつぶし箇所の特定、濃度検出、濃度変更の処理方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
101 Webサーバ
102 インターネット網
103 PC
104 印刷装置
201 入力手段
202 作業用メモリ
203 プログラム格納メモリ
204 HTML処理部
205 ネットワークI/F部
206 CPU
207 表示部
208 画像処理部
209 コントローラ
210 プリンタユニット
211 モータ駆動部
212 印字ヘッド駆動部
213 各種モータ
214 印字ヘッド
300 HTMLおよびXHTML文書の文書判定手段
301 塗りつぶし箇所特定手段
302 塗りつぶし箇所濃度検出手段
303 塗りつぶし箇所濃度変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書を印刷する装置であって、
印刷する文書がHTMLあるいはXHTML文書であるか否かを判定する文書判定手段と、
前記文書のタグ情報から文書中の塗りつぶし箇所を特定する塗りつぶし箇所特定手段と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を変更する濃度変更手段と、
を有することを特徴とする文書印刷装置。
【請求項2】
文書を印刷する方法であって、
印刷する文書がHTMLあるいはXHTML文書であるか否かを判定する文書判定工程と、
前記文書のタグ情報から文書中の塗りつぶし箇所を特定する塗りつぶし箇所特定工程と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を検出する濃度検出工程と、
前記塗りつぶし箇所の濃度を変更する濃度変更工程と、
を有することを特徴とする文書印刷方法。
【請求項3】
コンピュータにより、請求項1及至2に記載の文書処理方法における各工程を実行させるコンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読の記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−76242(P2006−76242A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265357(P2004−265357)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】