文書管理システムおよびサーバ
【課題】ユーザの利便性を向上させることが可能な文書管理システムおよびそれに関連する技術を提供する。
【解決手段】文書管理システム1は、MFP10とサーバ50とを備える。サーバ50は、ネットワークを介して携帯端末70と通信可能である。MFP10は、複数の電子文書のうちの或る電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像GD(バーコード画像等)を電子文書に付加して印刷出力し、当該電子文書に対応する紙文書DPを生成する。サーバ50は、携帯端末70の撮像部を用いて紙文書DPを撮影した撮影画像GC内の識別用画像GDから抽出される文書IDに基づいて、対応する電子文書を特定する。そして、サーバ50は、携帯端末70からの押印指示に応じて、携帯端末70に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、当該電子文書に対する押印情報として、当該電子文書に関連付けて記憶する。
【解決手段】文書管理システム1は、MFP10とサーバ50とを備える。サーバ50は、ネットワークを介して携帯端末70と通信可能である。MFP10は、複数の電子文書のうちの或る電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像GD(バーコード画像等)を電子文書に付加して印刷出力し、当該電子文書に対応する紙文書DPを生成する。サーバ50は、携帯端末70の撮像部を用いて紙文書DPを撮影した撮影画像GC内の識別用画像GDから抽出される文書IDに基づいて、対応する電子文書を特定する。そして、サーバ50は、携帯端末70からの押印指示に応じて、携帯端末70に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、当該電子文書に対する押印情報として、当該電子文書に関連付けて記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書を管理する文書管理システムおよびそれに関連する技術に関し、特に電子印鑑技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子印鑑技術においては、たとえば特許文献1に記載の技術が存在する。
【0003】
特許文献1には、電子文書を表示端末で表示し、電子的な押印処理を行う電子印鑑システム(文書管理システム)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−50608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような技術において、利用者端末として携帯端末を利用する場合、当該携帯端末の表示部に電子文書が表示され、ユーザが当該携帯端末の表示部における表示内容を確認して押印するなどの処理が行われる。
【0006】
しかしながら、携帯端末の表示部は、比較的小さいものが多く、たとえば実際の文書(紙文書)の1ページの大きさよりも小さいことが多い。そのため、1ページ全体を視認しようとして、或る電子文書の1ページ全体を比較的小さな当該表示部に表示すると、当該ページ内の文字等は非常に小さくなり、視認性が低下する(見難くなる)。あるいは、複数ページに亘る文書の内容を確認する場合において、文書の全体を表示しようとすると、各ページの領域が非常に小さくなり視認性が低下する。このように、利用者の利便性が低下する、という問題が生じる。
【0007】
そこで、この発明は、ユーザの利便性を向上させることが可能な文書管理システムおよびそれに関連する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、文書管理システムであって、文書を印刷出力する印刷出力手段と、ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバとを備え、前記印刷出力手段は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、前記サーバは、前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、前記携帯端末の撮像部を用いて前記紙文書を撮影した撮影画像内の前記識別用画像から抽出される前記文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記文書IDに基づいて特定された前記電子文書に対する前記押印情報を、前記管理情報に基づいて取得し、取得された前記押印情報を、前記撮影画像に対する重畳表示用情報として前記携帯端末に向けて送信する通信手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報は、ユーザ毎に予め登録された複数の電子印鑑情報の中から、前記電子文書の種類に応じて決定されることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2の発明に係る文書管理システムにおいて、前記識別用画像は、前記電子文書の更新時刻に関する情報が埋め込まれた状態で形成され、前記サーバは、各電子文書に関する更新情報をも管理するとともに、前記紙文書に印刷出力された前記識別用画像に埋め込まれている文書更新時刻である第1の時刻と前記電子文書の現時点での最新の文書更新時刻である第2の時刻とを比較し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも後の時刻であるときには、前記第1の時刻と前記現時点との間に更新された更新内容をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示に応じて、前記電子文書に対する前記特定アクションを実行することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末からの前記押印指示に応じて、前記携帯端末から送信されてくる音声データを、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記音声データの再生が不可能な前記携帯端末に対して、前記音声データを音声認識技術により文字列に変換して生成されたデータを、前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の次の承認者に対する承認依頼メールを送信することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の位置情報である第1の位置情報と次の承認者の位置情報である第2の位置情報とを取得し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との関係に基づき前記次の承認者への連絡手法を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記印刷出力手段は、前記電子文書に対する承認処理後において、前記電子文書に対する印刷出力指示に応じて、前記押印情報が重畳された状態で前記電子文書を印刷出力することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバであって、複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、前記複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の印刷出力物である紙文書を携帯端末により撮影した撮像画像から抽出される文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段とを備えるサーバ。
【0020】
請求項13の発明は、文書管理システムであって、電子文書を印刷出力する画像形成装置と、撮像部と表示部とを有する携帯端末と、ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバとを備え、前記画像形成装置は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、前記携帯端末は、前記識別用画像を含む前記紙文書を、前記撮像部を用いて撮影して撮影画像を生成し、前記撮影画像内の前記識別用画像から抽出した前記文書IDを前記サーバに送信し、前記サーバは、前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、前記携帯端末から送信されてきた前記文書IDに基づいて、前記承認対象の前記電子文書を特定する特定手段と、前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし請求項13に記載の発明によれば、印刷出力された紙文書が携帯端末により撮影され、撮影画像内の識別用画像から抽出される文書IDに基づいて、紙文書に対応する電子文書がサーバにより特定される。そして、サーバにおいて、携帯端末からの押印指示に応じて、携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報が、当該電子文書に対する押印情報として、当該電子文書に関連付けて記憶される。したがって、紙文書を撮影した撮影画像内の識別用画像から抽出される文書IDに基づいて、紙文書に対応する電子文書がサーバにより特定され、当該電子文書に対する電子的な押印処理を行うことが可能である。さらに、ユーザは、紙文書を用いて文書を閲覧することによって高い視認性を確保しつつ文書の内容を確認することもできる。すなわち、電子的な押印処理を行うに際して、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0022】
特に、請求項2に記載の発明によれば、各ユーザは、承認者による押印処理の有無を容易に確認することが可能である。
【0023】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、各承認ユーザは、自らの複数の電子印鑑を容易に使い分けることが可能である。
【0024】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、携帯端末において更新内容が容易に表示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る文書管理システムを示す図である。
【図2】MFPの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】サーバおよび携帯端末の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るワークフローを示す図である。
【図5】或る電子文書に対応して出力された紙文書を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る動作を示す図である。
【図7】最初の承認者に関する承認処理等を示す図である。
【図8】承認用画面を示す図である。
【図9】2番目の承認者に関する承認処理等を示す図である。
【図10】承認用画面を示す図である。
【図11】3番目の承認者に関する承認処理等を示す図である。
【図12】承認用画面を示す図である。
【図13】承認後に出力される印刷出力物(紙文書)を示す図である。
【図14】文書IDと押印情報との関連付けを記憶したデータテーブル(管理情報)を示す図である。
【図15】各ユーザの印鑑情報を記憶したデータテーブルを示す図である。
【図16】各文書の更新情報を記憶したデータテーブルを示す図である。
【図17】第2実施形態に係る動作を示す図である。
【図18】更新内容が表示された承認用画面を示す図である。
【図19】第3実施形態に係る動作を示す図である。
【図20】処理メニューが表示された承認用画面を示す図である。
【図21】コメント追加処理を示す図である。
【図22】各ユーザに対する許可処理等を記憶したデータテーブルを示す図である。
【図23】第4実施形態に係る動作を示す図である。
【図24】第4実施形態に係る動作を示す図である。
【図25】音声メッセージの録音開始確認画面を示す図である。
【図26】音声メッセージの録音終了受付画面を示す図である。
【図27】押印情報の表示動作等における一部の動作を示す図である。
【図28】テキストデータ化された音声メッセージの表示画面を示す図である。
【図29】音声データの再生開始画面を示す図である。
【図30】文書の承認者に関する情報を記録したデータテーブルを示す図である。
【図31】ユーザ相互間の距離等と承認依頼アクションとの対応関係を規定したデータテーブルである。
【図32】第5実施形態に係る動作を示す図である。
【図33】承認依頼に関する指示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、第1実施形態に係る文書管理システム1(1A)を示す図である。この文書管理システム1は、電子文書に係る押印情報(電子的に押印された印鑑情報)等を管理するシステムであり、電子印鑑システムとも称される。図1に示すように、文書管理システム1は、画像形成装置10とサーバ50と複数の携帯情報端末(携帯端末とも称する)70(詳細には70a,70b,70c)とを備える。画像形成装置10とサーバ50と複数の携帯端末70とは、互いにネットワークNWを介して通信を行うことが可能である。ネットワークNWに対する接続態様は、有線接続であってもよく、或いは無線接続であってもよい。ここでは、画像形成装置10およびサーバ50はネットワークNWに対して有線接続され、複数の携帯端末70のそれぞれはネットワークNWに対して無線接続されている。
【0028】
<1−2.画像形成装置の構成>
この実施形態等においては、画像形成装置10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。
【0029】
図2は、MFP10の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0031】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像なしいスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
【0032】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0033】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークNWを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(携帯端末70、サーバ50およびその他のコンピュータ等)との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0034】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
【0035】
入出力部6は、MFP10に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
【0036】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PG1を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラムPG1は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0037】
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、入力制御部11と表示制御部12と通信制御部15と動作制御部16とを含む各種の処理部を実現する。入力制御部11は、操作入力部6aと協働して、MFP10に対する入力(操作入力)を受け付ける処理部である。表示制御部12は、表示部6bにおける表示出力動作等を制御する処理部である。通信制御部15は、通信部4と協働して、外部機器との通信を行う処理部である。動作制御部16は、各種のジョブ(スキャンジョブ、コピージョブ、印刷出力ジョブ、ファクシミリ通信ジョブ等)の動作等を制御する処理部である。
【0038】
<1−3.サーバ50の構成>
サーバコンピュータ(サーバ)50は、CPU等を備えるコンピュータシステムとして構成される。具体的には、サーバ50は、図3に示すように、通信部54、格納部55およびCPU59等を備える。
【0039】
通信部54は、ネットワーク通信等により携帯端末70との通信等を行う処理部である。
【0040】
格納部55は、ハードディスク等により構成され、各種の情報を格納処理部である。格納部55には、各電子文書DEのファイルデータが格納される。また、格納部55には、各電子文書DEの各文書ID(文書識別情報)と各押印情報との関連付けを記憶したデータテーブルTB1(管理情報)(図14参照)等も格納される。なお、押印情報は、承認対象文書に対して押下されている印鑑の情報(対象文書を承認する旨を示す情報)であり、「承認情報」などとも表現される。
【0041】
CPU59は、所定のソフトウエアプログラム(プログラム)PG2を実行することによって、各種の処理部を実現する。具体的には、サーバ50のCPU59にてプログラムPG2が実行されることにより、通信制御部65と取得部66と登録部67とを含む各種の処理部が実現される。なお、当該プログラムPG2は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してサーバ50にインストールされればよい。
【0042】
取得部66は、電子文書DE(DE1)の印刷出力物である紙文書DPを携帯端末70の撮像部73を用いて撮影した撮像画像から抽出される文書IDに基づいて、当該電子文書DEを特定する処理を行う。また、取得部66は、当該文書IDに関連付けられた押印情報をデータテーブルTB1(図14)から取得する処理をも行う。
【0043】
登録部67は、携帯端末70からの押印指示に応じて、当該携帯端末70に対応する承認ユーザの電子印鑑情報(印影画像等)を、電子文書DEに対する押印情報として、電子文書DEに関連付けてデータテーブルTB1に記憶(登録)する。
【0044】
また、通信制御部65は、通信部54と協働して、外部機器(MFP10および携帯端末70等)との通信を行う処理部である。通信制御部65は、携帯端末70からの文書識別情報(文書ID)および携帯端末識別情報等を受信する。また、通信制御部65は、取得部66により取得された押印情報等を、撮影画像に対する重畳表示用の情報(重畳表示用情報)として携帯端末70に向けて送信する。
【0045】
<1−4.携帯端末70の構成>
図3には、携帯端末70の概略構成も示されている。図3に示すように、携帯端末70は、操作入力部71、表示部72、撮像部73、通信部74、格納部75およびコントローラ79等を有している。
【0046】
撮像部73は、CCDなどの光電変換素子を備えて構成されており、被写体(ここでは紙文書DP)に関する光像に基づいて画像データ(撮影画像)を生成する処理部である。
【0047】
操作入力部71は、ユーザからの各種の操作入力を受け付ける処理部であり、表示部72は、種々の情報等(撮像部73等による撮影画像を含む)を表示する処理部である。この携帯端末70においては、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されたタッチスクリーン71S(図1参照)が設けられている。このタッチスクリーン71Sは、操作入力部71の一部としても機能するとともに、表示部72の一部としても機能する。
【0048】
通信部74は、ネットワーク通信を行うことが可能である。当該ネットワーク通信を利用することによって、携帯端末70は、所望の相手先(サーバ50等)との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0049】
格納部75は、不揮発性の半導体メモリ等の記憶装置で構成される。格納部75は、各種のデータファイル等を記憶する。
【0050】
コントローラ79は、CPUおよび各種の半導体メモリ等を備えるコンピュータシステムとして構成される。
【0051】
コントローラ79は、そのCPUにおいて、格納部75内に格納されているプログラムを実行することによって、各種の処理部を実現する。
【0052】
より詳細には、携帯端末70には所定のOS(オペレーティングシステム)、たとえばアンドロイド(商標)などのOSが搭載されており、複数のアプリケーションソフトウエアプログラム(アプリケーションプログラムなどとも称する)を当該OS上で実行することが可能である。
【0053】
これらの複数のアプリケーションプログラムの中には、アプリケーションソフトウエアPG3が含まれる。携帯端末70は、当該アプリケーションプログラムPG3を実行し、サーバ50との間で各種の情報を授受することによって、サーバ50との連携を図ることができる。当該アプリケーションプログラムPG3の実行によって、図3に示すように、コントローラ79は、入力制御部81と表示制御部82と通信制御部85と動作制御部86とを含む各種の処理部を実現する。
【0054】
入力制御部81は、操作入力部71(タッチスクリーン71S(図1参照)等)と協働して、携帯端末70に対する入力(操作入力)を受け付ける処理部である。
【0055】
表示制御部82は、表示部72(タッチスクリーン71S等)における表示出力動作等を制御する処理部である。
【0056】
通信制御部85は、通信部74と協働して、外部機器(サーバ50およびMFP10等)との通信を行う処理部である。
【0057】
動作制御部86は、プログラムPG3に固有のジョブ(たとえば、撮影画像の転送処理)等を制御する処理部である。
【0058】
<1−5.動作概要>
以下では、図4に示すようなワークフロー、すなわち或る文書(詳細には電子文書DE)に対する3人のユーザUA,UB,UC(たとえば、それぞれ、課長、部長、社長)による承認処理(押印処理)を伴うワークフローが実現される場合を例示する。このワークフローにおいては、ユーザUA,UB,UCが、電子文書DEに対する承認処理(押印処理)を順次に行っていく。
【0059】
さて、上述のように、サーバ50は、その格納部55に複数の文書、詳細には電子文書DE(DE1,DE2,DE3,...(図1参照))を格納するとともに、当該複数の文書に関するデータテーブルTB1(図14)をも格納部55に格納する。当該データテーブルTB1においては、各電子文書DEについて、文書ID(文書識別情報)と押印情報との関連付け等が記憶されている。具体的には、文書IDと文書データファイル名と文書種類と3つの押印欄の押印情報とが関連付けて記憶されている。この時点では、押印処理の対象文書DEに関しては、文書ID(例えば「001」)と、文書データファイル名(例えば「企画書.doc」)と文書種類(「社内向け文書」)が記録されている。一方、当該対象文書DEに関する3つの押印欄に対しては未だ押印情報は記録されていないものとする。
【0060】
まず、これらの複数の文書のうちの或る文書(詳細には電子文書DE)がMFP10により印刷出力される(時刻T11)。
【0061】
具体的には、MFP10は、操作ユーザによる印刷出力操作を受け付ける。当該操作中において、MFP10の表示部6bに印刷出力対象書類の一覧画面(不図示)が表示される。当該一覧画面には、対象文書DEを含む1又は複数の文書名が列挙されている。操作ユーザは、当該一覧画面の中から、所望の電子文書DE(DE1)を印刷出力対象ファイルとして選択する。印刷出力対象ファイルが指定(決定)されると、MFP10は、サーバ50と通信し、印刷出力対象ファイルとして指定された電子文書DEのファイルデータと当該電子文書DEの識別情報である文書IDとを含む情報を受信する。
【0062】
MFP(画像形成装置)10は、当該電子文書DEのファイルデータに基づいて電子文書DEを印刷出力し、当該電子文書DEに対応する紙文書DP(当該電子文書の印刷出力物)を生成する(図5参照)。この印刷出力においては、出力対象の電子文書DEの識別情報である文書IDを含む識別用画像GD(たとえば、二次元バーコード画像)が生成され、当該識別用画像GDが電子文書DEに対して付加されて、紙文書DPとして印刷出力される。また、識別用画像GDは、「文書ID」のみならず、各ページの「ページ番号」に関する情報をも含むことが好ましい。なお、ここでは識別用画像GDとして二次元バーコード画像を例示するが、これに限定されない。たとえば、一次元バーコード等の他のバーコード画像が識別用画像GDとして用いられてもよい。あるいは、地紋画像等のその他の画像が識別用画像GDとして用いられてもよい。
【0063】
このようにして、電子文書DE(DE1)に対応する紙文書DPが生成される。ここでは、3人のユーザUA,UB,UCがそれぞれ1部ずつ紙文書DP(DPa,DPb,DPc)を所持するものとする。各ユーザUA,UB,UCは、当該紙文書DP(DPa,DPb,DPc)を利用して、(実空間で)文書の内容を確認することができる。換言すれば、紙文書DP(DPa,DPb,DPc)は、承認ユーザ(UA,UB,UC)による承認対象の文書に関する(実空間における)閲覧用(確認用)の印刷出力物である。ただし、この時点では、図5に示すように、当該各紙文書DP(詳細にはそれぞれの押印欄SC1,SC2,SC3)には、未だ押印がなされていない。また、紙文書DPの余白領域(ここでは紙文書DP内の右下部分)においては、識別用画像GDが付加されて印刷出力されている。なお、ここでは、各ユーザUA,UB,UCは、それぞれ、個別の紙文書DPa,DPb,DPcを利用して、文書の内容を確認する場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、各ユーザUA,UB,UCは、同一(単一)の紙文書DP(たとえばDPa)を利用して、電子文書DEの内容を確認するようにしてもよい。
【0064】
その後、図6に示すような動作が複数のユーザUA,UB,UCについて繰り返し実行される。
【0065】
まず、最初の承認者であるユーザUA(課長)に関する承認処理について図7および図8をも参照しながら説明する。
【0066】
ユーザUAは、識別用画像GDを含む紙文書DPを携帯端末70aを用いて撮影する(ステップS11)。詳細には、ユーザUAの撮影操作に応じて、携帯端末70aは、その撮像部73を用いて紙文書DPを撮影し、紙文書DPに係る撮影画像GC(GCa)を取得する。
【0067】
携帯端末70aは、撮影画像GCa内の識別用画像GDに含まれる文書IDを当該識別用画像GDから抽出し、抽出した文書IDをサーバ50に送信する(ステップS12)。
【0068】
サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、携帯端末70から送信されてきた文書IDに基づいて承認対象文書DE1(「企画書.doc」)を特定するとともに当該文書IDに関連付けられている押印情報をも取得する。そして、サーバ50は、取得された押印情報を重畳表示用情報として携帯端末70aに送信する(ステップS13)。
【0069】
一方、携帯端末70aは、電子文書DEに対応する紙出力文書DPの撮影画像GCを、その表示部72(タッチスクリーン71S)に表示するとともに、サーバ50から送信されてきた押印情報を当該撮影画像GCに重畳して表示する(ステップS14)。ただし、この時点では、3人のユーザUA,UB,UCのいずれもが未だ承認処理(押印処理)を行っていないため、当該文書IDに関連付けられている押印情報は未だ存在せず、撮影画像GCの押印欄(承認欄)SC1,SC2,SC3は空欄のままである(図8も参照)。
【0070】
また、上記のステップS12においては、携帯端末70aは、自装置の識別番号をもサーバ50に送信する。当該識別番号(ユーザUAが所持する携帯端末の識別情報)は、押印者(承認者)情報として利用される。
【0071】
ステップS13においては、サーバ50は、ステップS12で携帯端末70aから送信されてきた(携帯端末70aの)識別番号と、データテーブルTB2(後述、図15参照)とに基づいて、送信元ユーザ(携帯端末70aの使用者)を特定する。そして、サーバ50は、当該送信元ユーザに対応する電子印鑑の印影画像(詳細にはその画像データ)をも、携帯端末70aに送信する。
【0072】
一方、ステップS14においては、図8に示すように、携帯端末70aは、タッチスクリーン71S内において、押印ボタンBN1を表示する。押印ボタンBN1は、次述する押印操作用のボタンである。また、押印ボタンBN1の上部には、ユーザUAに関する電子印鑑の印影画像MAが表示される。この印影画像MAは、押印ボタンBN1の押下操作に応じて押印される予定の電子印鑑(印影画像)である。たとえば、図8においては、「竹内」(ユーザUA)の文字が刻まれた印影画像MA1が、押印ボタンBN1の直上位置に表示されている。
【0073】
押印ボタンBN1の押下操作に応じて押印される電子印鑑は、サーバ50の格納部55内のデータテーブルTB2等に基づいて決定される。データテーブルTB2には、各ユーザに関して複数の電子印鑑情報(印影画像)MP1,MP2,MP3が予め登録されている。当該複数の印影画像の中から、電子文書の種類に応じた印影画像が(自動的に)選択され、選択された印影画像が当該電子文書に対応付けられて記憶される。ここでは、印影画像MP1は、「社外向け文書」で使用される印影画像であり、印影画像MP2は、「社内向け文書」で使用される印影画像である。また、印影画像MP3は、「その他の文書」で使用される印影画像である。図15においては、データテーブルTB2において、ユーザUAに関する印影画像MP1(MA1),MP2(MA2),MP3(MA3)が登録されている状態が示されている。また、図15においては、ユーザUBに関しては印影画像MP1(MB1),MP2(MB2)が登録されており、ユーザUCに関しては印影画像MP1(MC1),MP2(MC2)が登録されている。
【0074】
また、サーバ50は、データテーブルTB1にて文書ID「001」に関連付けて記憶されている文書種類情報(「社外向け文書」、「社内向け文書」、「その他」)を参照し、当該文書種類情報に応じた印影画像を複数の印影画像MP1,MP2,MP3の中から選択する。たとえば、文書ID「001」の文書種類情報が「社外向け文書」であることに基づいて、ユーザUAに関する印影画像MP1(MA1)が使用画像(使用すべき印影画像)として決定される。
【0075】
このようにして、ユーザUAに関する電子印鑑の印影画像MA(MA1)が、携帯端末70aのタッチスクリーン71S内(詳細にはボタンBN1の直上位置)に確認用の画像として仮表示される。
【0076】
ここでは、ユーザUA(課長)は、紙文書DPを用いて予め内容を確認しており、電子文書DE(換言すれば、紙文書DP)を承認することを既に決定しているものとする。そして、この意志決定に従って、ユーザUA(課長)が携帯端末70aを用いて電子的な押印操作(承認操作)を行う。具体的には、携帯端末70aのタッチスクリーン71S内に設けられた押印ボタンBN1(図8参照)がユーザUAによって押下される。
【0077】
ステップS15においては、携帯端末70aは、押印ボタンBN1の押下操作に応答して、押印指示DR(DR1)をサーバ50に向けて送信する。当該押印指示DR1には押印対象(承認対象)の文書ID(「001」)と押印者(承認者)情報(ここではユーザUAが所持する携帯端末の識別情報)とが含まれている。
【0078】
ステップS16においては、サーバ50は、当該押印指示DR1に応じて、データテーブルTB1(図14)を更新する。具体的には、サーバ50は、文書ID「001」の電子文書DE(DE1)に対して、ユーザUAの押印情報MAを付加する。より詳細には、電子文書DE1の押印欄SC1に対応する情報として、ユーザUAに関する電子印鑑の印影画像MA1が付加される。このように、携帯端末70aに対応する承認ユーザの電子印鑑情報が、電子文書DE1に対する押印情報として、電子文書DE1に関連付けてデータテーブルTB1に記憶される。
【0079】
また、データテーブルTB1の更新完了がサーバ50から携帯端末70aに通知されると、携帯端末70aは、携帯端末70aの表示部6bに表示されている撮影画像GCの押印欄SC1に対して、印影画像MA1を重畳して表示する(ステップS17)。
【0080】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUA(課長)による承認処理(押印処理)等が実行される。
【0081】
つぎに、第2の承認者であるユーザUB(部長)に関する承認処理について、図6、図9および図10等を参照しながら説明する。
【0082】
ユーザUBは、識別用画像GDを含む紙文書DPbを、携帯端末70bを用いて撮影する(ステップS11)。詳細には、ユーザUBの撮影操作に応じて、携帯端末70bは、その撮像部73を用いて紙文書DPを撮影し、紙文書DPに係る撮影画像GC(GCb)を取得する。
【0083】
携帯端末70bは、撮影画像GCb内の識別用画像GDに含まれる文書IDを当該識別用画像GDから抽出し、抽出した文書IDをサーバ50に送信する(ステップS12)。このとき、携帯端末70bは、自装置の識別番号をもサーバ50に送信する。
【0084】
サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、携帯端末70bから送信されてきた文書IDに基づいて対象文書を特定するとともに当該文書IDに関連付けられている押印情報をも特定する。紙文書DPbと紙文書DPaとは同じ電子文書DEに関する印刷出力物であり、紙文書DPbの文書IDと紙文書DPaの文書IDとは同じである。そのため、ここでは、押印情報(詳細には印影画像MA1(「竹内」の文字が刻まれた印影画像))が、文書IDに関連付けられている押印情報として、特定される。そして、サーバ50は、特定された押印情報を携帯端末70bに送信する(ステップS13)。
【0085】
一方、携帯端末70bは、電子文書DEに対応する紙出力文書DPbの撮影画像GCを、その表示部72(タッチスクリーン71S)に表示するとともに、サーバ50から送信されてきた押印情報を当該撮影画像GCに重畳して表示する(ステップS14)。この時点では、ユーザUAのみ承認処理(押印処理)を行っており、当該文書IDに関連付けられている押印情報(詳細には印影画像MA1(「竹内」の文字が刻まれた印影画像))が、撮影画像GCの押印欄(承認欄)SC1に重畳表示される(図10も参照)。
【0086】
また、上記のステップS12においては、携帯端末70bは、自装置の識別番号をもサーバ50に送信する。当該識別番号(ユーザUBが所持する携帯端末の識別情報)は、押印者(承認者)情報として利用される。
【0087】
ステップS13においては、サーバ50は、ステップS12で携帯端末70bから送信されてきた(携帯端末70bの)識別番号と、データテーブルTB2とに基づいて、送信元ユーザ(携帯端末70bの使用者)を特定する。そして、サーバ50は、当該送信元ユーザに対応する電子印鑑の印影画像(詳細にはその画像データ)をも、携帯端末70bに送信する。
【0088】
一方、ステップS14においては、図8に示すように、携帯端末70bは、タッチスクリーン71S内において、押印ボタンBN1を表示する。押印ボタンBN1は、次述する押印操作用のボタンである。また、押印ボタンBN1の上部には、ユーザUBに関する電子印鑑の印影画像MBが表示される。この印影画像MBは、押印ボタンBN1の押下操作に応じて押印される予定の電子印鑑(印影画像)である。たとえば、図10においては、「岡本」の文字が刻まれた印影画像MB1が、押印ボタンBN1の直上位置に表示されている。この印影画像MB1は、データテーブルTB2等に基づいて決定される。たとえば、文書ID「001」の文書種類情報が「社外向け文書」であることに基づいて、ユーザUBに関する印影画像MP1(MB1)が使用画像として決定される。
【0089】
ここでは、ユーザUBは、紙文書DPbを用いて予め内容を確認しており、電子文書DE(換言すれば、紙文書DP)を承認することを既に決定しているものとする。そして、この意志決定に従って、ユーザUBが携帯端末70bを用いて電子的な押印操作(承認操作)を行う。具体的には、携帯端末70bのタッチスクリーン71S内に設けられた押印ボタンBN1(図10参照)がユーザUBによって押下される。
【0090】
ステップS15においては、携帯端末70bは、押印ボタンBN1の押下操作に応答して、押印指示DR(DR2)をサーバ50に向けて送信する。当該押印指示DR2には押印対象の文書ID(「001」)と押印者(承認者)情報(ここではユーザUBが所持する携帯端末の識別情報)とが含まれている。
【0091】
ステップS16においては、サーバ50は、当該押印指示DR2に基づいて、データテーブルTB1を更新する。具体的には、文書ID「001」の電子文書DEに対して、ユーザUBの押印情報(MB)を付加する。
【0092】
また、携帯端末70bは、データテーブルTB1の更新完了がサーバ50から携帯端末70bに通知されると、その表示部6bに表示されている撮影画像GCの押印欄SC2に対して、印影画像MB1を重畳して表示する(ステップS17)。
【0093】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUB(部長)による承認処理(押印処理)等が実行される。
【0094】
つぎに、第3の承認者であるユーザUB(部長)に関する承認処理も同様に実行される(図6、図11および図12等参照)。
【0095】
具体的には、ユーザUC(例えば社長)は、ユーザUA,UBが電子的に押印した後、識別用画像GDを含む紙文書DPcを携帯端末70cで撮影し、携帯端末70cは、紙文書DPcに係る撮影画像GCcを取得する。携帯端末70cは、当該撮影画像GCc内の識別用画像GDに含まれる文書IDを抽出し、抽出した文書IDをサーバ50に送信する。サーバ50は、当該文書IDに基づいて文書を特定し、特定した電子文書DEを携帯端末70cに表示する。このとき、ユーザUA,UBによる押印情報に基づいて、押印済みのユーザUA,UBに係る2つの印影画像MA1,MB1が電子文書DEに重畳表示される。その後、当該携帯端末70cを用いて、ユーザUCが印影画像MC1による押印処理をさらに施すと、電子文書DE上での押印処理が完了する。
【0096】
これにより、サーバ50内のデータテーブルTB1においては、3つの押印処理が電子文書DEに対して施された旨が記憶される。
【0097】
また、上記のような各ユーザUA,UB,UCによる電子文書に対する承認処理後において電子文書DEに対する印刷出力指示が付与されると、MFP10は図13に示すような印刷出力物を生成(出力)する。この印刷出力物においては、押印情報が電子文書DEに重畳された状態で印刷出力される。詳細には、電子印鑑に係る印影画像MA1,MB1,MC1がそれぞれ押印欄SC1,SC2,SC3に重畳されて印刷出力されている。なお、このような印刷出力指示は、たとえば、携帯端末70からサーバ50を経由してMFP10に対して付与されればよい。また、この場合には、携帯端末70による紙文書DPの撮影画像GCに基づいて、電子文書DEが印刷対象文書として特定されるようにしてもよい。あるいは、MFP10に対する直接的な操作によって、印刷出力対象の電子文書が指定されるとともに、印刷出力指示がユーザからMFP10へと直接的に付与されるようにしてもよい。
【0098】
以上のような動作によれば、MFP10(詳細には印刷出力部3)によって印刷出力された紙文書が携帯端末70の撮像部73を用いて撮影され、撮影画像GC内の識別用画像GDから抽出される文書IDに基づいて、紙文書DPに対応する電子文書DEがサーバ50により特定される。そして、サーバ50において、携帯端末70からの押印指示に応じて、携帯端末70に対応するユーザの電子印鑑情報(印影画像等)が、当該電子文書に対する押印情報として、当該電子文書DEに関連付けて記憶される。したがって、紙文書DPを撮影した撮影画像GC内の識別用画像GDから抽出される文書IDに基づいて、紙文書DPに対応する電子文書DEがサーバ50により特定され、電子文書DEに対する電子的な押印処理を行うことが可能である。さらに、承認ユーザは、紙文書DPを用いて文書を閲覧することによって、高い視認性を確保しつつ文書の内容を確認することもできる。詳細には、承認ユーザは、携帯端末の表示部の大きさの制約を受けることなく、紙文書DPを用いることによって1つのページおよび/または複数のページを全体的にあるいは詳細に確認することができる。このように、電子的な押印処理を行うに際して、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0099】
また、サーバ50は、文書IDに基づいて特定された電子文書DEに対する押印情報を、データテーブルTB1に基づいて取得し、取得された押印情報を携帯端末70に向けて、撮影画像に対する重畳表示用情報として送信する。これによれば、携帯端末70において、当該押印情報が撮影画像GCに重畳されて表示され得る。したがって、各ユーザは、承認者による押印処理(承認処理)の有無を容易に確認することが可能である。
【0100】
さらに、携帯端末70に対応するユーザの電子印鑑情報は、ユーザ毎に予め登録された複数の電子印鑑情報の中から、電子文書DEの種類(「社内向け文書」、「社外向け文書」等)に応じて(自動的に)決定される。したがって、各承認者(承認ユーザ)は、自らの複数の電子印鑑を容易に使い分けることが可能である。
【0101】
また、上記実施形態では、携帯端末70においては電子文書DEのデータを用いて当該電子文書の内容が表示されるのではなく、当該電子文書に対応する紙文書DPの撮影画像GCが携帯端末70に表示されている。これによれば、電子データDE自体のデータをサーバ50から携帯端末70へとダウンロードすることを要しないため、データ通信量を抑制することができる。
【0102】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0103】
この第2実施形態においては、紙文書の印刷出力時刻以後の変更内容をユーザに提示することが可能な態様を例示する。
【0104】
第2実施形態においては、携帯端末70以外の装置によって電子文書DEの更新が行われる。たとえば、電子文書DEに対する更新処理(文書内容の変更等)は、サーバ50にネットワーク接続可能な他のコンピュータ(不図示)等によって行われ、更新後の電子文書がサーバ50に上書き保存される。なお、これに限定されず、文書に対する更新処理は、携帯端末70を利用して行われるようにしてもよい(後述)。
【0105】
第2実施形態に係るサーバ50は、データテーブルTB3(図16参照)をも有している。データテーブルTB3には、電子文書DEの更新時刻および更新内容(差分情報)に関する更新情報が記録されている。電子文書DEに対する更新処理が行われるごとに、このデータテーブルTB3が更新される。このように、サーバ50は、各電子文書に関する更新情報(各電子文書の更新時刻および更新内容等を含む)をも管理する。
【0106】
図16には、データテーブルTB3における記録内容の一例が示されている。図16では、時刻T10(「2011年7月10日13時05分00秒」)においてデータが最初に作成(更新)された後、時刻T20,T30,時刻T40にもデータが更新されたことが示されている。ただし、以下では、まず、時刻T10,T20,T30,時刻T40に関するデータのうち、時刻T10におけるデータのみが記録されている状態を想定して説明を開始する。
【0107】
時刻T10の後の紙文書DPの印刷出力時点T11において、紙文書DPに印字された識別用画像GDは、当該紙文書DPに対応する電子文書DEの更新時刻に関する情報をも有する状態で形成される。具体的には、当該識別用画像GDにおいては、紙文書DPの印刷出力時点での最新の文書更新時刻がコード化されて含まれている。たとえば、印刷出力時点T11(「2011年7月10日15時10分00秒」)における最新の文書更新時刻T10(「2011年7月10日13時05分00秒」)がコード化されて、識別用画像GD(二次元バーコード)の一部として埋め込まれる。
【0108】
その後、時刻T20(「2011年7月11日10時45分00秒」)において電子文書DEが更新されると、電子文書DEに関する更新時刻および更新内容が、データテーブルTB3に格納される。たとえば、文章の内容変更が存在する場合(文章中における文字「8000円」が「5000円」へと変更される場合)には、更新時刻T20が格納されるとともに、更新前後での相違部分に関する差分情報が更新内容(文章の変更内容)として格納される。
【0109】
さらに、その後の時刻T25以降において、図6と同様にして、携帯端末70の表示部72において電子文書DEの表示処理等が実行される。
【0110】
図17は、第2実施形態に係る動作を示す図である。図17においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等を例示する。
【0111】
図17に示すように、この第2実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS21〜S27)が実行される。ただし、次述するように、紙文書DPに印刷出力された識別用画像GDに埋め込まれている文書更新時刻である時刻T10から、現時点(時刻T25)までの更新内容(現時点に対する直前の文書更新時刻T20(電子文書の現時点での最新の文書更新時刻)での更新内容を含む)も、携帯端末70bとサーバ50との間で授受される。
【0112】
具体的には、撮影処理(ステップS21)後のステップS22においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDが抽出される。さらに、ここでは、文書更新時刻T10およびページ番号も識別用画像GDから抽出されるものとする。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号、文書更新時刻)と携帯端末70bの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0113】
ステップS23においては、サーバ50は、データテーブルTB1を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報(承認情報)を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報(たとえば押印済みの印影画像MA1(「竹内」))を携帯端末70に送信する。
【0114】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB2とに基づいて、携帯端末70bの端末識別情報に対応するユーザUBの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑の情報(押印用の印影画像)をも携帯端末70に送信する。
【0115】
さらに、サーバ50は、データテーブルTB3(図16)を参照して、当該電子文書に係る現時点での最新の更新時刻(たとえば時刻T20)をも取得する。そして、当該最新の更新時刻T20が上記の時刻T10よりも後の時刻である場合(換言すれば、時刻T10よりも後の時刻T20に更新処理が行われている場合)には、時刻T10から現時点までの間に更新された更新内容(詳細には、差分情報)も、重畳表示用情報としてサーバ50から携帯端末70bへと送信される。具体的には、時刻T20での更新内容(差分情報)が重畳表示用情報として送信される。
【0116】
ステップS24においては、携帯端末70bは、表示対象ページが押印ページ(例えば第1ページ)である場合には、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)を撮影画像GCに重畳して表示する。なお、図17および図18に示す例では、表示対象ページが押印ページ以外のページ(例えば第2ページ)であり、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)は表示されていない。また、携帯端末70bは、ユーザUBの電子印鑑の画像(たとえば、「岡本」の文字を含む印影画像)とボタンBN1とを画面内に表示する。さらに、更新内容が存在する場合には、携帯端末70bは、更新内容(差分情報)をも撮影画像GCに重畳して表示する。
【0117】
図18においては、紙文書DPの第2ページの撮影画像GCおよびボタンBN1等に加えて、時刻T20での更新内容(差分情報)もが、携帯端末70bの表示画面に表示されている。ここでは、第2ページの第3行第5文字〜第9文字の位置において、文字「8000円」が「5000円」へと変更されたことが示されている。
【0118】
その後、ステップS25以降においては、ステップS15以降と同様の押印処理等が実行される。
【0119】
また、上記においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等を中心に説明したが、その他のユーザUA,UCに関しても同様の処理が実行される。
【0120】
以上のような態様によれば、サーバ50は、現時点での最新の更新時刻T20が印刷出力時点T11での最新の時刻T10よりも後の時刻であるときには、時刻T10と現時点との間に更新された更新内容(具体的には、時刻T20での更新内容)をも、重畳表示用情報として携帯端末70に向けて送信する。したがって、携帯端末70において更新内容が容易に表示され得る。そのため、ユーザ(承認ユーザ等)は、紙文書DPを用いて確認を行うとともに、部分的な変更内容(更新内容)については、携帯端末70表示される内容で確認を行うことが可能である。さらに、その後、承認ユーザは、電子的な押印処理を行うことが可能である。
【0121】
なお、上記においては、文章の内容変更が存在する場合(文章中における文字「8000円」が「5000円」へと変更される場合)に差分情報(更新内容)が表示される態様が例示されているが、これに限定されない。たとえば、「追加コメント」(第3実施形態も参照)が当該更新内容(差分情報)として表示されるようにしてもよい。
【0122】
また、時刻T11に紙文書が印刷され、且つ、時刻T40よりも後の時刻T45においてステップS21〜S27の処理が実行される場合には、ステップS23,S24において、時刻T10と時刻T45との間の期間における変更内容(差分情報)が授受され表示される。具体的には、時刻T20における変更内容と時刻T30における変更内容と時刻T40における変更内容とが、サーバ50から携帯端末70に送信されるとともに、携帯端末70に表示される。なお、図面に関する変更は、携帯端末70の表示部72において、「図面が変更されています」などの文字とともに、変更後の新たな図面が更新内容として示されればよい。
【0123】
また、時刻T20と時刻T30との間の時刻T21に紙文書DPが印刷され、その後の時刻T35(時刻T30と時刻T40との間の時刻)にステップS21〜S27の処理が実行されるようにしてもよい。この場合には、ステップS23,S24において、時刻T30の変更内容がサーバ50と携帯端末70との間で授受され、携帯端末70に表示される。
【0124】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0125】
この第3実施形態においては、電子文書に対する更新動作等が携帯端末70を利用して実行される態様を例示する。
【0126】
また、ここでは、許容される更新動作等がユーザごと(携帯端末70ごと)に異なる場合を例示する。より詳細には、サーバ50は、携帯端末70から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、重畳表示用情報として送信する。そして、サーバ50は、処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示(具体的には、文書の変更指示、およびコメント追加)に応じて、電子文書DEに対する特定アクションの処理を実行する。
【0127】
図19は、第3実施形態に係る動作を示す図である。図19においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等を例示する。
【0128】
図19に示すように、この第3実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS31〜S37)が実行される。ただし、次述するように、この第3実施形態では、押印指示のみならず、電子文書に対するその他の各種アクションをも実行することが可能である。
【0129】
図19の撮影処理(ステップS31)後のステップS32においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDとページ番号とが抽出される。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号)と携帯端末70bの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0130】
ステップS33においては、サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報(たとえば押印済みの印影画像MA1(「竹内」))を携帯端末70に送信する。
【0131】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB22(図22)とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑情報を携帯端末70に送信する。なお、この第3実施形態では、データテーブルTB2として、データテーブルTB22が設けられているものとする。
【0132】
さらに、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB22とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザUBに許可された処理(許可処理)を特定し、当該許可処理を含む処理メニューMN(詳細には処理項目等)を携帯端末70に送信する。図22に示すように、データテーブルTB22には、ユーザごとの許可処理情報が記憶されている。たとえば、ユーザUBに対する許可処理として、「コメント追加」、「文書変更」および「押印処理」の3つの処理(処理項目)が記憶されている。サーバ50は、当該データテーブルTB22に基づいて、これら3つの処理を許可処理として特定する。
【0133】
ステップS34においては、携帯端末70bは、表示対象ページが押印ページ(例えば第1ページ)である場合には、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)を撮影画像GCに重畳して表示する。なお、図19〜図21に示す例では、表示対象ページが押印ページ以外のページ(例えば第2ページ)であり、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)は表示されていない。
【0134】
また、携帯端末70bは、処理メニューMNを画面内に表示する。
【0135】
具体的には、図20に示すように、紙文書DPの第2ページの撮影画像GCに加えて、処理メニューMNもが、携帯端末70bの表示画面に表示されている。ここでは、ユーザUBに許可された3つの処理(「コメント追加」、「文書変更」および「押印処理」)を含む処理メニューMNが表示されている。
【0136】
その後、ステップS35において、処理メニューMNを用いてアクション実行指示が付与され、ステップS36においてアクション実行指示に基づく情報更新動作が行われ、ステップS37において携帯端末70における表示内容の更新動作が実行される。
【0137】
たとえば、ステップS35において、ユーザUBが処理メニューMN内のコメント追加のチェックボックスにチェック印を付与する(図21参照)と、追加ボタンBN5が携帯端末70bに表示されるとともに、ユーザUBによるコメントの追加操作(次述)が受け付けられる。具体的には、ユーザUBは、撮影画像GC内の所望の位置をタップするとともに、当該タップ位置を基準点として表示される吹き出し画像内に任意の文字列(たとえば「数値修正が必要」)を入力する。そして、追加ボタンBN5が押下される。このようにして、アクション実行指示(具体的には、コメント追加指示)が付与される。また、この実行指示に応じて、携帯端末70は、入力された文字列を、撮影画像GC内のタップ位置に対応する文書内位置に関連付けたデータを作成して、当該データをサーバ50に送信する。
【0138】
サーバ50は、アクション実行指示(コメント追加指示)に基づく情報更新動作を実行する(ステップS36)。詳細には、電子文書DEに関する変更内容(追加コメントの内容およびコメント追加位置等)をデータテーブルTB3(図16)等に記憶するなどの動作が実行される。また、携帯端末70は、アクション実行指示に基づく変更内容を反映した内容を、その表示部72(タッチスクリーン71S)に表示する。具体的には、追加コメント(たとえば「数値修正が必要」の文字列)を撮影画像GCに重畳表示するとともに、追加ボタンをBN5を消去する(ステップS37)。そして、再び図20の状態に復帰し、ステップS35〜S37の動作が繰り返し実行される。
【0139】
また、他のアクション「文書変更」および「押印処理」についても同様の処理が実行される。
【0140】
このような態様によれば、サーバ50は、携帯端末70から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、重畳表示用情報として送信する。したがって、携帯端末70には、当該携帯端末の使用者に許容されている処理メニューが適切に表示される。また、許可処理をユーザごとに設定することが可能である。
【0141】
さらに、サーバ50は、処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示(具体的には、文書の変更指示、およびコメント追加)に応じて、電子文書DEに対する特定アクションに係る処理を実行する。したがって、ユーザは特定アクションの実行指示を携帯端末70を用いて容易に付与することができる。
【0142】
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0143】
この第4実施形態においては、携帯端末70を利用して入力された音声メッセージが電子文書に関連付けてサーバ50にて記憶される態様を例示する。
【0144】
図23および図24は、第4実施形態に係る動作を示す図である。図23においては、ユーザUAによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等が示され、図24においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等が示される。
【0145】
図23および図24に示すように、この第4実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS41〜S47)が実行される。ただし、この第3実施形態では、電子押印が実現されるのみならず電子押印に伴って音声メッセージの保存等を行うことも可能である。
【0146】
図23の撮影処理(ステップS41)後のステップS42においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDとページ番号とが抽出される。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号)と携帯端末70aの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0147】
ステップS43においては、サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報を携帯端末70aに送信する。
【0148】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB2(図15)とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑情報を携帯端末70aに送信する。
【0149】
ステップS44においては、携帯端末70aは、電子文書DEに対する押印済みの電子印鑑が存在し、且つ、表示対象ページが押印ページ(例えば第1ページ)である場合には、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像を撮影画像GCに重畳して表示する。なお、押印情報が未だ存在しない場合等においては、印影画像は表示されない。また、携帯端末70aは、ユーザUAの電子印鑑の画像(たとえば、「竹内」の文字を含む印影画像MA1)とボタンBN1とを画面内に表示する(図8も参照)。
【0150】
その後、ステップS45において、ユーザUAは、携帯端末70aを用いて電子的な押印操作(承認操作)を行う。携帯端末70aのタッチスクリーン71S内に設けられた押印ボタンBN1(図8参照)がユーザUAによって押下される。ボタンBN1が押下されると、携帯端末70aは、当該押下操作に応答して、押印指示DR(DR1)をサーバ50に向けて送信する。
【0151】
また、携帯端末70aのタッチスクリーン71Sには、図25に示すような確認画面GA4が引き続いて表示される。確認画面GA4は、「音声メッセージを録音しますか?」の文字列とボタンBN6,BN7とを表示する表示画像で構成される。ユーザUAが「YES」ボタンBN6を押下すると、携帯端末70aに対して音声録音開始指示を付与することができる。この音声録音開始指示に応答して、携帯端末70aは、携帯端末70aのタッチスクリーン71Sに画面GA5(図26)を表示するとともに、携帯端末70aのマイク(不図示)を利用して音声録音を開始する。画面GA5には「録音中」である旨が表示される。また、画面GA5には終了ボタンBN8が設けられる。ユーザUAは、音声メッセージ(たとえば「7月15日までに××のご確認をお願いします」)を話し終えると、終了ボタンBN8を押下する。
【0152】
携帯端末70aは、当該押印操作(終了ボタンBN8の押下操作)に応答して、音声メッセージをサーバ50に送信する。
【0153】
ステップS46において、サーバ50は、受信した音声メッセージおよび押印指示DR1に基づいて、データテーブルTB1を更新する。具体的には、文書ID「001」の電子文書DEに対して、ユーザUAの押印情報(MA)および音声メッセージ(音声データ)を付加する。すなわち、サーバ50は、携帯端末70からの押印指示DR1に応じて携帯端末70から送信されてくる音声データを、電子文書DE(DE1)に関連付けてデータテーブルTB1(管理情報)に記憶する。
【0154】
また、携帯端末70aは、データテーブルTB1の更新完了がサーバ50から携帯端末70aに通知されると、携帯端末70aの表示部6bに表示されている撮影画像GCの押印欄SC1に対して、印影画像MA1を重畳して表示する(ステップS47)。
【0155】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUA(課長)による承認処理(押印処理)等が実行される。
【0156】
つぎに、第2の承認者であるユーザUB(部長)に関する承認処理について、図24等を参照しながら説明する。
【0157】
図24の撮影処理(ステップS41)後のステップS42においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDとページ番号とが抽出される。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号)と携帯端末70bの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0158】
ステップS43においては、サーバ50は、データテーブルTB1を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報を携帯端末70bに送信する。
【0159】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB2とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑情報を携帯端末70bに送信する。
【0160】
さらに、サーバ50は、音声メッセージをテキスト化(文字列化)したデータVT(後述)をも重畳表示用情報として携帯端末70bに送信する。データVTは、音声認識技術によって音声メッセージ(音声データ)からテキストデータに変換されたデータである。当該データVTは、サーバ50等によって生成される。
【0161】
ステップS44においては、図27に示すサブルーチン処理(ステップS70)にしたがって、携帯端末70bは、押印情報等に関する表示動作を実行する。
【0162】
具体的には、ステップS71において、電子文書DE(DE1)に関連付けられた音声メッセージが存在しないと判定されると、ステップS74に進む。
【0163】
ステップS74においては、携帯端末70bは、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像(たとえば、「竹内」の文字を含む印影画像MA1)を撮影画像GC(詳細には押印欄SC1)に重畳して表示する。また、携帯端末70bは、ユーザUBの電子印鑑の画像(たとえば、「岡本」の文字を含む印影画像MB1)とボタンBN1とを画面内に表示する(図10参照)。
【0164】
一方、ステップS71において、電子文書DE(DE1)に関連付けられた音声メッセージが存在すると判定されると、ステップS72に進む。
【0165】
ステップS72においては、その携帯端末70bによる音声再生が可能か否か(当該携帯端末70bが音声データの再生機能を有しているか否か)が判定される。当該携帯端末70bによる音声再生が可能でないときには、ステップS75に進む。また、当該携帯端末70bによる音声再生が可能であるときには、ステップS76に進む。
【0166】
ステップS75においては、図28に示すような画面GA7が表示される。画面GA7においては、図10と同様に、押印済みの印影画像(「竹内」の文字を含む印影画像MA1)が撮影画像GCに重畳して表示されるとともに、ユーザUBの電子印鑑の画像(「岡本」の文字を含む印影画像MB1)とボタンBN1とが表示される。さらに、画面GA7においては、ユーザUAからの音声メッセージをテキスト化したデータVTもが、撮影画像GCに重畳して表示される。より詳細には、当該データVTは、ユーザUAの押印欄SC1を起点とする吹き出し画像とともに表示される。
【0167】
ステップS76においては、図29に示すような画面GA8が表示される。画面GA8においては、図10と同様の表示内容に加えて、音声メッセージの再生に関するメニューMVがさらに表示される。当該メニューMVには、「音声メッセージがあります。再生しますか?」の文字が表示されるとともに、「YESボタン」(音声開始ボタン)および「NOボタン」(キャンセルボタン)も併せて表示されている。
【0168】
ユーザUBが「YESボタン」を押下すると、携帯端末70bからサーバ50へと音声メッセージの転送指令が送信される。その後、当該転送指令に応答して、サーバ50から携帯端末70bに向けて音声メッセージ(音声データ)が転送され、受信された音声メッセージが携帯端末70bにおいて再生される。
【0169】
その後、ステップS45以降においては上記と同様の動作が実行される。これにより、ユーザUBによる押印操作(承認操作)に基づく押印処理等が行われるとともに、音声メッセージ(音声データ)の録音、転送、記憶処理等が実行される。
【0170】
このようにして、電子文書DEに関して、ユーザUBによる撮影画像GCの表示処理および承認処理(押印処理)等が実行される。
【0171】
このような態様によれば、サーバ50は、携帯端末70を利用して入力された音声メッセージを電子文書DEに関連付けて記憶する。したがって、音声メッセージを電子文書DEに関連付けて電子的に管理することが可能である。
【0172】
また、携帯端末70の再生機能の有無に応じて、音声データに関する音声再生動作と当該音声データをテキストデータ化したデータVTの表示動作とが自動的に切り換えられる。したががって、音声データを簡易に且つ有効に利用することが可能である。
【0173】
なお、上記においては、音声データをテキスト化したデータVTがサーバ50によって生成される場合が例示されているが、これに限定されず、例えば、データVTは携帯端末70bによって生成されるようにしてもよい。
【0174】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0175】
第5実施形態においては、各承認者の位置情報等に基づいて、或る承認者の次の承認者に対して「承認依頼」をも送信する態様について説明する。なお、電子文書DEに対する承認順序はあらかじめ定められており、例えばデータテーブルTB1(TB15)(図30)に格納されているものとする。図30においては、ユーザUA,UB,UCが電子文書DEに対する承認者であり、かつ、この順序で承認が行われることが記録されている。また、ユーザUEがユーザUAの代理承認者であり、ユーザUFがユーザUBの代理承認者であることも記録されている。
【0176】
また、第5実施形態における各携帯端末70a,70b,70cはGPS(Global Positioning System)機能を有している。各携帯端末70a,70b,70cのGPS機能によって、各ユーザーの位置情報が取得される。取得された位置情報は、たとえば、データテーブルTB2(図15)において各ユーザ(携帯端末)に関連付けて保存される。この実施形態では、或る承認者の承認が終了した直後に、当該或る承認者の位置情報と次の承認者の位置情報とが、各携帯端末70からサーバ50に送信されることによって、サーバ50が各携帯端末の位置情報を把握する。ただし、これに限定されず、各ユーザーの位置情報は、各携帯端末70とサーバ50との定期的な通信動作等によってサーバ50にて常時把握されるようにしてもよい。
【0177】
また、この実施形態においては、「承認依頼」は、両ユーザの存在位置の関係(詳細には両ユーザ間の距離および次のユーザーの存在位置の種別(属性)等)に基づいて、互いに異なる態様で次の承認者等に対して実行される。例えばデータテーブルTB5(図31)に基づく手法で、次の承認者に対して、承認依頼が通知される。データテーブルTB5は、サーバ50等に格納されるデータである。
【0178】
図31のデータテーブルTB5においては、両ユーザ間の距離と次のユーザーの存在位置の属性情報とに応じた承認依頼動作が定められている。
【0179】
データテーブルTB5の最上段に示されるように、条件CN1が成立する場合には、承認依頼アクションAN1が採用される。条件CN1は、2人のユーザ間の距離(或る承認者(承認ユーザ)の存在位置と次の承認者の存在位置との距離)が所定距離TH5(たとえば数百メートル)よりも小さく(距離「小」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置と直前の承認者の存在位置とがいずれも社内の同一サイトであること、である。また、承認依頼アクションAN1は、「ハンドキャリーによる書類受け渡しを促すメールを送信する」旨の動作である。
【0180】
また、データテーブルTB5の上から2段目に示されるように、条件CN2が成立する場合には、承認依頼アクションAN2が採用される。条件CN2は、2人のユーザ間の距離が所定距離TH5よりも大きく(距離「大」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置と直前の承認者の存在位置とが「いずれも社内ではあるが互いに異なるサイト」であること、である。また、承認依頼アクションAN2は、「(次の承認者の)最寄りの印刷出力デバイス(MFP等)で電子文書を印刷出力し、さらに承認依頼メールを(次の承認者に向けて)送信する」旨の動作である。
【0181】
また、データテーブルTB5の上から3段目に示されるように、条件CN3が成立する場合には、承認依頼アクションAN3が採用される。条件CN3は、2人のユーザ間の距離が所定距離TH5よりも大きく(距離「大」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置が「社外での移動中」であること、である。また、承認依頼アクションAN3は、「承認依頼メールを(次の承認者に向けて)送信する」旨の動作である。
【0182】
さらに、データテーブルTB5の最下段に示されるように、条件CN4が成立する場合には、承認依頼アクションAN4が採用される。条件CN4は、2人のユーザ間の距離が所定距離TH5よりも大きく(距離「大」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置が「自宅(社外)」であること、である。また、承認依頼アクションAN4は、「代理承認者に向けて代理承認依頼メールを送信する。」旨の動作である。
【0183】
図32は、第5実施形態に係る動作を示す図である。図32においては、ユーザUAによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理および押印処理等が示されている。
【0184】
図32に示すように、この第5実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS51〜S57)が実行される。ただし、この第5実施形態では、次述するように、ユーザUAによる承認処理等(ステップS55〜S57)の後に、ユーザUBに対する承認依頼処理等(ステップS61〜S65)が実行される。
【0185】
具体的には、押印処理等(ステップS55〜S57)の完了に応じて、ステップS61において、サーバ50は、ユーザUAの携帯端末70aと次の承認者であるユーザUBの携帯端末70bとのそれぞれに対して、各携帯端末の位置情報の送信を要求する。
【0186】
当該送信要求に応答して、ステップS62において、各携帯端末70a、70bは、サーバ50に対して、各携帯端末の位置情報を送信する。たとえば、携帯端末70aは、会社CAの大阪サイト内の位置を示す位置情報をサーバ50に送信し、携帯端末70bは、同じ会社CAの東京サイト内の位置を示す位置情報をサーバ50に送信する。
【0187】
サーバ50は、受信した位置情報とデータテーブルTB5とに基づいて、承認依頼手法に関する提案内容を決定する。
【0188】
具体的には、上記の条件CN1〜CN4のいずれに該当するかが携帯端末70a,70bの位置情報に基づいて決定されるとともに、該当条件CNiに対応する承認依頼アクションをユーザUA(現在の承認者(承認操作者))に提案すること、が決定される。
【0189】
たとえば、条件CN2を充足することが判定されると、条件CN2に対応する承認依頼アクションAN2が提案内容として決定される。
【0190】
そして、サーバ50は、携帯端末70aに対して、当該提案内容に関する表示用データを送信する(ステップS63)。携帯端末70aは、受信した当該表示用データを用いて、携帯端末70aの表示部72(タッチスクリーン71S)の表示内容を更新する(図33参照)。
【0191】
図33は、承認依頼アクションAN2を提案する表示画面GA9を示す図である。画面GA9においては、承認依頼手法に関する提案内容が表示されている。具体的には、「次の承認者ば別サイトにいます。最寄りの印刷出力デバイスで印刷出力するとともに、承認依頼メールを送信しますか?」の文字が表示されるとともに、「YESボタン」(提案受諾ボタン)および「NOボタン」(キャンセルボタン)も併せて表示されている。
【0192】
「YESボタン」が押下されて提案内容が受諾されると、携帯端末70aはサーバ50に対して、提案された承認依頼アクションAN2を実行すべき旨を指示する。すなわち、承認依頼アクションの実行指示が携帯端末70aからサーバ50に対して付与される。
【0193】
サーバ50は、次の承認者であるユーザUBの存在位置の最も近傍に存在する印刷出力装置(例えばMPF等)を特定し、当該特定された印刷出力装置で電子文書DEを印刷出力する。このような態様は、ユーザUBが紙文書DPを手元に所持していない場合(あるいは所持しているか否かが不明である場合)に特に有用である。また、この時点で出力される紙文書DPにも識別用画像GDが付与されることが好ましい。
【0194】
また、サーバ50は、承認依頼メールを携帯端末70bに向けて送信する。具体的には、ユーザUBの登録メールアドレスに向けて送信する。承認依頼メールには、たとえば、「書類を作成し、最寄りの印刷出力装置(装置番号×××)で当該書類を印刷出力しましたので、ご確認の上、ご承認願います。」などの文言が含まれる。
【0195】
一方、ユーザUBは、携帯端末70bで当該承認依頼メールを確認する。これによれば、ユーザUAは、次の承認者(ユーザUB)に対する承認依頼を電子メールにより簡易に伝達することが可能である。
【0196】
なお、ここでは、条件CN2が充足される場合に承認依頼アクションAN2が実行される態様について主に説明したが、他の条件が充足される場合には、それぞれ対応する承認依頼アクションが実行される。
【0197】
たとえば、条件CN3が充足される場合には、承認依頼アクションAN3が実行される。具体的には、提案内容が受諾され承認依頼アクションAN3の実行が指示される(ステップS64)と、サーバ50は、承認依頼メールを次の承認者に対応する携帯端末70に向けて送信する。承認依頼メールには、たとえば、「書類を作成しましたので、ご確認の上、ご承認願います。」などの文言が含まれる。
【0198】
また、条件CN1が充足される場合には、承認依頼アクションAN1が実行される。具体的には、提案内容が受諾され承認依頼アクションAN1の実行が指示される(ステップS64)と、サーバ50は、承認依頼メッセージに関する表示用データを元の承認者UAの携帯端末70aに向けて送信する。当該承認依頼メッセージには、たとえば、「次の承認者は同一サイトに居るので、(必要があれば)紙文書を手渡ししてください。」などの文言が含まれる。ユーザUAは、携帯端末70aの表示部72に表示された当該メッセージを確認して、必要に応じて、同一サイト内に存在する次のユーザUBに対して、紙文書DPを手渡しする。
【0199】
また、条件CN4が充足される場合には、承認依頼アクションAN4が実行される。具体的には、提案内容が受諾され承認依頼アクションAN4の実行が指示される(ステップS64)と、サーバ50は、承認依頼メールを次の承認者の代理承認者をデータテーブルTB15(図30)等に基づいて特定し、当該代理承認者に対応する携帯端末70に向けて送信する。承認依頼メールには、たとえば、「文書ID(×××××)の書類を作成しましたので、ご確認の上、次の承認者である岡本さんに代わって、代理承認願います。」などの文言が含まれる。
【0200】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUA(課長)による承認処理(押印処理)が実行されるとともに、次の承認者であるユーザUBに対する承認依頼処理もが実行される。したがって、複数の人物による承認手続をより確実に進めることが可能である。
【0201】
また、同様にして、ユーザUBによる承認処理等(ステップS51〜S57)の後においても、上記と同様のステップS61〜S65の処理が実行される。これにより、ユーザUBの次の承認者であるユーザUCに対する承認依頼処理もが実行される。
【0202】
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0203】
たとえば、上記各実施形態においては、電子文書DEがサーバ50に格納される場合が例示されているが、これに限定されず、MFP10等において電子文書DEが格納されるようにしてもよい。
【0204】
また、上記各実施形態におけるサーバ50の動作の一部または全部がMFP10において実行されるようにしてもよい。
【0205】
また、上記各実施形態においては、データテーブルTB2がサーバ50内に格納され、サーバ50に各ユーザの電子印鑑(印影画像)が登録される場合が例示されているが、これに限定されず、印影画像はサーバ50に格納されることを要しない。たとえば、携帯端末70側にのみ各ユーザの電子印鑑(各携帯端末の所持者の印影画像)が登録されるようにしてもよい。
【0206】
また、上記各実施形態においては、サーバ50とMFP10とが互いに別の装置として構成される場合が例示されているが、これに限定されず、MFP内部において上記サーバが構築されるようにしてもよい。換言すれば、上記サーバの機能がMFP10内部において実現されるようにしてもよい。
【0207】
また、上記各実施形態においては、最終的な承認処理後に電子文書DEが印刷出力される場合には、押印情報のみが電子文書に重畳されて印刷される態様が例示されているが、これに限定されない。最終的な承認処理後に電子文書DEが印刷出力される場合において、押印情報に代えて(あるいは加えて)、更新内容(差分情報)等が電子文書に重畳されて印刷されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0208】
1 文書管理システム
10 MFP(画像形成装置)
50 サーバ
70,70a,70b,70c 携帯端末
71S タッチスクリーン
DE 電子文書
DP 紙文書
MP1,MP2,MP3,MA1,MB1,MC1 印影画像
SC1,SC2,SC3 押印欄
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書を管理する文書管理システムおよびそれに関連する技術に関し、特に電子印鑑技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子印鑑技術においては、たとえば特許文献1に記載の技術が存在する。
【0003】
特許文献1には、電子文書を表示端末で表示し、電子的な押印処理を行う電子印鑑システム(文書管理システム)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−50608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような技術において、利用者端末として携帯端末を利用する場合、当該携帯端末の表示部に電子文書が表示され、ユーザが当該携帯端末の表示部における表示内容を確認して押印するなどの処理が行われる。
【0006】
しかしながら、携帯端末の表示部は、比較的小さいものが多く、たとえば実際の文書(紙文書)の1ページの大きさよりも小さいことが多い。そのため、1ページ全体を視認しようとして、或る電子文書の1ページ全体を比較的小さな当該表示部に表示すると、当該ページ内の文字等は非常に小さくなり、視認性が低下する(見難くなる)。あるいは、複数ページに亘る文書の内容を確認する場合において、文書の全体を表示しようとすると、各ページの領域が非常に小さくなり視認性が低下する。このように、利用者の利便性が低下する、という問題が生じる。
【0007】
そこで、この発明は、ユーザの利便性を向上させることが可能な文書管理システムおよびそれに関連する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、文書管理システムであって、文書を印刷出力する印刷出力手段と、ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバとを備え、前記印刷出力手段は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、前記サーバは、前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、前記携帯端末の撮像部を用いて前記紙文書を撮影した撮影画像内の前記識別用画像から抽出される前記文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記文書IDに基づいて特定された前記電子文書に対する前記押印情報を、前記管理情報に基づいて取得し、取得された前記押印情報を、前記撮影画像に対する重畳表示用情報として前記携帯端末に向けて送信する通信手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報は、ユーザ毎に予め登録された複数の電子印鑑情報の中から、前記電子文書の種類に応じて決定されることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2の発明に係る文書管理システムにおいて、前記識別用画像は、前記電子文書の更新時刻に関する情報が埋め込まれた状態で形成され、前記サーバは、各電子文書に関する更新情報をも管理するとともに、前記紙文書に印刷出力された前記識別用画像に埋め込まれている文書更新時刻である第1の時刻と前記電子文書の現時点での最新の文書更新時刻である第2の時刻とを比較し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも後の時刻であるときには、前記第1の時刻と前記現時点との間に更新された更新内容をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示に応じて、前記電子文書に対する前記特定アクションを実行することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末からの前記押印指示に応じて、前記携帯端末から送信されてくる音声データを、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記音声データの再生が不可能な前記携帯端末に対して、前記音声データを音声認識技術により文字列に変換して生成されたデータを、前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の次の承認者に対する承認依頼メールを送信することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の位置情報である第1の位置情報と次の承認者の位置情報である第2の位置情報とを取得し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との関係に基づき前記次の承認者への連絡手法を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る文書管理システムにおいて、前記印刷出力手段は、前記電子文書に対する承認処理後において、前記電子文書に対する印刷出力指示に応じて、前記押印情報が重畳された状態で前記電子文書を印刷出力することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバであって、複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、前記複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の印刷出力物である紙文書を携帯端末により撮影した撮像画像から抽出される文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段とを備えるサーバ。
【0020】
請求項13の発明は、文書管理システムであって、電子文書を印刷出力する画像形成装置と、撮像部と表示部とを有する携帯端末と、ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバとを備え、前記画像形成装置は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、前記携帯端末は、前記識別用画像を含む前記紙文書を、前記撮像部を用いて撮影して撮影画像を生成し、前記撮影画像内の前記識別用画像から抽出した前記文書IDを前記サーバに送信し、前記サーバは、前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、前記携帯端末から送信されてきた前記文書IDに基づいて、前記承認対象の前記電子文書を特定する特定手段と、前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし請求項13に記載の発明によれば、印刷出力された紙文書が携帯端末により撮影され、撮影画像内の識別用画像から抽出される文書IDに基づいて、紙文書に対応する電子文書がサーバにより特定される。そして、サーバにおいて、携帯端末からの押印指示に応じて、携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報が、当該電子文書に対する押印情報として、当該電子文書に関連付けて記憶される。したがって、紙文書を撮影した撮影画像内の識別用画像から抽出される文書IDに基づいて、紙文書に対応する電子文書がサーバにより特定され、当該電子文書に対する電子的な押印処理を行うことが可能である。さらに、ユーザは、紙文書を用いて文書を閲覧することによって高い視認性を確保しつつ文書の内容を確認することもできる。すなわち、電子的な押印処理を行うに際して、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0022】
特に、請求項2に記載の発明によれば、各ユーザは、承認者による押印処理の有無を容易に確認することが可能である。
【0023】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、各承認ユーザは、自らの複数の電子印鑑を容易に使い分けることが可能である。
【0024】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、携帯端末において更新内容が容易に表示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る文書管理システムを示す図である。
【図2】MFPの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】サーバおよび携帯端末の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るワークフローを示す図である。
【図5】或る電子文書に対応して出力された紙文書を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る動作を示す図である。
【図7】最初の承認者に関する承認処理等を示す図である。
【図8】承認用画面を示す図である。
【図9】2番目の承認者に関する承認処理等を示す図である。
【図10】承認用画面を示す図である。
【図11】3番目の承認者に関する承認処理等を示す図である。
【図12】承認用画面を示す図である。
【図13】承認後に出力される印刷出力物(紙文書)を示す図である。
【図14】文書IDと押印情報との関連付けを記憶したデータテーブル(管理情報)を示す図である。
【図15】各ユーザの印鑑情報を記憶したデータテーブルを示す図である。
【図16】各文書の更新情報を記憶したデータテーブルを示す図である。
【図17】第2実施形態に係る動作を示す図である。
【図18】更新内容が表示された承認用画面を示す図である。
【図19】第3実施形態に係る動作を示す図である。
【図20】処理メニューが表示された承認用画面を示す図である。
【図21】コメント追加処理を示す図である。
【図22】各ユーザに対する許可処理等を記憶したデータテーブルを示す図である。
【図23】第4実施形態に係る動作を示す図である。
【図24】第4実施形態に係る動作を示す図である。
【図25】音声メッセージの録音開始確認画面を示す図である。
【図26】音声メッセージの録音終了受付画面を示す図である。
【図27】押印情報の表示動作等における一部の動作を示す図である。
【図28】テキストデータ化された音声メッセージの表示画面を示す図である。
【図29】音声データの再生開始画面を示す図である。
【図30】文書の承認者に関する情報を記録したデータテーブルを示す図である。
【図31】ユーザ相互間の距離等と承認依頼アクションとの対応関係を規定したデータテーブルである。
【図32】第5実施形態に係る動作を示す図である。
【図33】承認依頼に関する指示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、第1実施形態に係る文書管理システム1(1A)を示す図である。この文書管理システム1は、電子文書に係る押印情報(電子的に押印された印鑑情報)等を管理するシステムであり、電子印鑑システムとも称される。図1に示すように、文書管理システム1は、画像形成装置10とサーバ50と複数の携帯情報端末(携帯端末とも称する)70(詳細には70a,70b,70c)とを備える。画像形成装置10とサーバ50と複数の携帯端末70とは、互いにネットワークNWを介して通信を行うことが可能である。ネットワークNWに対する接続態様は、有線接続であってもよく、或いは無線接続であってもよい。ここでは、画像形成装置10およびサーバ50はネットワークNWに対して有線接続され、複数の携帯端末70のそれぞれはネットワークNWに対して無線接続されている。
【0028】
<1−2.画像形成装置の構成>
この実施形態等においては、画像形成装置10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。
【0029】
図2は、MFP10の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0031】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像なしいスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
【0032】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0033】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークNWを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(携帯端末70、サーバ50およびその他のコンピュータ等)との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0034】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
【0035】
入出力部6は、MFP10に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
【0036】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PG1を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラムPG1は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0037】
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、入力制御部11と表示制御部12と通信制御部15と動作制御部16とを含む各種の処理部を実現する。入力制御部11は、操作入力部6aと協働して、MFP10に対する入力(操作入力)を受け付ける処理部である。表示制御部12は、表示部6bにおける表示出力動作等を制御する処理部である。通信制御部15は、通信部4と協働して、外部機器との通信を行う処理部である。動作制御部16は、各種のジョブ(スキャンジョブ、コピージョブ、印刷出力ジョブ、ファクシミリ通信ジョブ等)の動作等を制御する処理部である。
【0038】
<1−3.サーバ50の構成>
サーバコンピュータ(サーバ)50は、CPU等を備えるコンピュータシステムとして構成される。具体的には、サーバ50は、図3に示すように、通信部54、格納部55およびCPU59等を備える。
【0039】
通信部54は、ネットワーク通信等により携帯端末70との通信等を行う処理部である。
【0040】
格納部55は、ハードディスク等により構成され、各種の情報を格納処理部である。格納部55には、各電子文書DEのファイルデータが格納される。また、格納部55には、各電子文書DEの各文書ID(文書識別情報)と各押印情報との関連付けを記憶したデータテーブルTB1(管理情報)(図14参照)等も格納される。なお、押印情報は、承認対象文書に対して押下されている印鑑の情報(対象文書を承認する旨を示す情報)であり、「承認情報」などとも表現される。
【0041】
CPU59は、所定のソフトウエアプログラム(プログラム)PG2を実行することによって、各種の処理部を実現する。具体的には、サーバ50のCPU59にてプログラムPG2が実行されることにより、通信制御部65と取得部66と登録部67とを含む各種の処理部が実現される。なお、当該プログラムPG2は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してサーバ50にインストールされればよい。
【0042】
取得部66は、電子文書DE(DE1)の印刷出力物である紙文書DPを携帯端末70の撮像部73を用いて撮影した撮像画像から抽出される文書IDに基づいて、当該電子文書DEを特定する処理を行う。また、取得部66は、当該文書IDに関連付けられた押印情報をデータテーブルTB1(図14)から取得する処理をも行う。
【0043】
登録部67は、携帯端末70からの押印指示に応じて、当該携帯端末70に対応する承認ユーザの電子印鑑情報(印影画像等)を、電子文書DEに対する押印情報として、電子文書DEに関連付けてデータテーブルTB1に記憶(登録)する。
【0044】
また、通信制御部65は、通信部54と協働して、外部機器(MFP10および携帯端末70等)との通信を行う処理部である。通信制御部65は、携帯端末70からの文書識別情報(文書ID)および携帯端末識別情報等を受信する。また、通信制御部65は、取得部66により取得された押印情報等を、撮影画像に対する重畳表示用の情報(重畳表示用情報)として携帯端末70に向けて送信する。
【0045】
<1−4.携帯端末70の構成>
図3には、携帯端末70の概略構成も示されている。図3に示すように、携帯端末70は、操作入力部71、表示部72、撮像部73、通信部74、格納部75およびコントローラ79等を有している。
【0046】
撮像部73は、CCDなどの光電変換素子を備えて構成されており、被写体(ここでは紙文書DP)に関する光像に基づいて画像データ(撮影画像)を生成する処理部である。
【0047】
操作入力部71は、ユーザからの各種の操作入力を受け付ける処理部であり、表示部72は、種々の情報等(撮像部73等による撮影画像を含む)を表示する処理部である。この携帯端末70においては、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されたタッチスクリーン71S(図1参照)が設けられている。このタッチスクリーン71Sは、操作入力部71の一部としても機能するとともに、表示部72の一部としても機能する。
【0048】
通信部74は、ネットワーク通信を行うことが可能である。当該ネットワーク通信を利用することによって、携帯端末70は、所望の相手先(サーバ50等)との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0049】
格納部75は、不揮発性の半導体メモリ等の記憶装置で構成される。格納部75は、各種のデータファイル等を記憶する。
【0050】
コントローラ79は、CPUおよび各種の半導体メモリ等を備えるコンピュータシステムとして構成される。
【0051】
コントローラ79は、そのCPUにおいて、格納部75内に格納されているプログラムを実行することによって、各種の処理部を実現する。
【0052】
より詳細には、携帯端末70には所定のOS(オペレーティングシステム)、たとえばアンドロイド(商標)などのOSが搭載されており、複数のアプリケーションソフトウエアプログラム(アプリケーションプログラムなどとも称する)を当該OS上で実行することが可能である。
【0053】
これらの複数のアプリケーションプログラムの中には、アプリケーションソフトウエアPG3が含まれる。携帯端末70は、当該アプリケーションプログラムPG3を実行し、サーバ50との間で各種の情報を授受することによって、サーバ50との連携を図ることができる。当該アプリケーションプログラムPG3の実行によって、図3に示すように、コントローラ79は、入力制御部81と表示制御部82と通信制御部85と動作制御部86とを含む各種の処理部を実現する。
【0054】
入力制御部81は、操作入力部71(タッチスクリーン71S(図1参照)等)と協働して、携帯端末70に対する入力(操作入力)を受け付ける処理部である。
【0055】
表示制御部82は、表示部72(タッチスクリーン71S等)における表示出力動作等を制御する処理部である。
【0056】
通信制御部85は、通信部74と協働して、外部機器(サーバ50およびMFP10等)との通信を行う処理部である。
【0057】
動作制御部86は、プログラムPG3に固有のジョブ(たとえば、撮影画像の転送処理)等を制御する処理部である。
【0058】
<1−5.動作概要>
以下では、図4に示すようなワークフロー、すなわち或る文書(詳細には電子文書DE)に対する3人のユーザUA,UB,UC(たとえば、それぞれ、課長、部長、社長)による承認処理(押印処理)を伴うワークフローが実現される場合を例示する。このワークフローにおいては、ユーザUA,UB,UCが、電子文書DEに対する承認処理(押印処理)を順次に行っていく。
【0059】
さて、上述のように、サーバ50は、その格納部55に複数の文書、詳細には電子文書DE(DE1,DE2,DE3,...(図1参照))を格納するとともに、当該複数の文書に関するデータテーブルTB1(図14)をも格納部55に格納する。当該データテーブルTB1においては、各電子文書DEについて、文書ID(文書識別情報)と押印情報との関連付け等が記憶されている。具体的には、文書IDと文書データファイル名と文書種類と3つの押印欄の押印情報とが関連付けて記憶されている。この時点では、押印処理の対象文書DEに関しては、文書ID(例えば「001」)と、文書データファイル名(例えば「企画書.doc」)と文書種類(「社内向け文書」)が記録されている。一方、当該対象文書DEに関する3つの押印欄に対しては未だ押印情報は記録されていないものとする。
【0060】
まず、これらの複数の文書のうちの或る文書(詳細には電子文書DE)がMFP10により印刷出力される(時刻T11)。
【0061】
具体的には、MFP10は、操作ユーザによる印刷出力操作を受け付ける。当該操作中において、MFP10の表示部6bに印刷出力対象書類の一覧画面(不図示)が表示される。当該一覧画面には、対象文書DEを含む1又は複数の文書名が列挙されている。操作ユーザは、当該一覧画面の中から、所望の電子文書DE(DE1)を印刷出力対象ファイルとして選択する。印刷出力対象ファイルが指定(決定)されると、MFP10は、サーバ50と通信し、印刷出力対象ファイルとして指定された電子文書DEのファイルデータと当該電子文書DEの識別情報である文書IDとを含む情報を受信する。
【0062】
MFP(画像形成装置)10は、当該電子文書DEのファイルデータに基づいて電子文書DEを印刷出力し、当該電子文書DEに対応する紙文書DP(当該電子文書の印刷出力物)を生成する(図5参照)。この印刷出力においては、出力対象の電子文書DEの識別情報である文書IDを含む識別用画像GD(たとえば、二次元バーコード画像)が生成され、当該識別用画像GDが電子文書DEに対して付加されて、紙文書DPとして印刷出力される。また、識別用画像GDは、「文書ID」のみならず、各ページの「ページ番号」に関する情報をも含むことが好ましい。なお、ここでは識別用画像GDとして二次元バーコード画像を例示するが、これに限定されない。たとえば、一次元バーコード等の他のバーコード画像が識別用画像GDとして用いられてもよい。あるいは、地紋画像等のその他の画像が識別用画像GDとして用いられてもよい。
【0063】
このようにして、電子文書DE(DE1)に対応する紙文書DPが生成される。ここでは、3人のユーザUA,UB,UCがそれぞれ1部ずつ紙文書DP(DPa,DPb,DPc)を所持するものとする。各ユーザUA,UB,UCは、当該紙文書DP(DPa,DPb,DPc)を利用して、(実空間で)文書の内容を確認することができる。換言すれば、紙文書DP(DPa,DPb,DPc)は、承認ユーザ(UA,UB,UC)による承認対象の文書に関する(実空間における)閲覧用(確認用)の印刷出力物である。ただし、この時点では、図5に示すように、当該各紙文書DP(詳細にはそれぞれの押印欄SC1,SC2,SC3)には、未だ押印がなされていない。また、紙文書DPの余白領域(ここでは紙文書DP内の右下部分)においては、識別用画像GDが付加されて印刷出力されている。なお、ここでは、各ユーザUA,UB,UCは、それぞれ、個別の紙文書DPa,DPb,DPcを利用して、文書の内容を確認する場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、各ユーザUA,UB,UCは、同一(単一)の紙文書DP(たとえばDPa)を利用して、電子文書DEの内容を確認するようにしてもよい。
【0064】
その後、図6に示すような動作が複数のユーザUA,UB,UCについて繰り返し実行される。
【0065】
まず、最初の承認者であるユーザUA(課長)に関する承認処理について図7および図8をも参照しながら説明する。
【0066】
ユーザUAは、識別用画像GDを含む紙文書DPを携帯端末70aを用いて撮影する(ステップS11)。詳細には、ユーザUAの撮影操作に応じて、携帯端末70aは、その撮像部73を用いて紙文書DPを撮影し、紙文書DPに係る撮影画像GC(GCa)を取得する。
【0067】
携帯端末70aは、撮影画像GCa内の識別用画像GDに含まれる文書IDを当該識別用画像GDから抽出し、抽出した文書IDをサーバ50に送信する(ステップS12)。
【0068】
サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、携帯端末70から送信されてきた文書IDに基づいて承認対象文書DE1(「企画書.doc」)を特定するとともに当該文書IDに関連付けられている押印情報をも取得する。そして、サーバ50は、取得された押印情報を重畳表示用情報として携帯端末70aに送信する(ステップS13)。
【0069】
一方、携帯端末70aは、電子文書DEに対応する紙出力文書DPの撮影画像GCを、その表示部72(タッチスクリーン71S)に表示するとともに、サーバ50から送信されてきた押印情報を当該撮影画像GCに重畳して表示する(ステップS14)。ただし、この時点では、3人のユーザUA,UB,UCのいずれもが未だ承認処理(押印処理)を行っていないため、当該文書IDに関連付けられている押印情報は未だ存在せず、撮影画像GCの押印欄(承認欄)SC1,SC2,SC3は空欄のままである(図8も参照)。
【0070】
また、上記のステップS12においては、携帯端末70aは、自装置の識別番号をもサーバ50に送信する。当該識別番号(ユーザUAが所持する携帯端末の識別情報)は、押印者(承認者)情報として利用される。
【0071】
ステップS13においては、サーバ50は、ステップS12で携帯端末70aから送信されてきた(携帯端末70aの)識別番号と、データテーブルTB2(後述、図15参照)とに基づいて、送信元ユーザ(携帯端末70aの使用者)を特定する。そして、サーバ50は、当該送信元ユーザに対応する電子印鑑の印影画像(詳細にはその画像データ)をも、携帯端末70aに送信する。
【0072】
一方、ステップS14においては、図8に示すように、携帯端末70aは、タッチスクリーン71S内において、押印ボタンBN1を表示する。押印ボタンBN1は、次述する押印操作用のボタンである。また、押印ボタンBN1の上部には、ユーザUAに関する電子印鑑の印影画像MAが表示される。この印影画像MAは、押印ボタンBN1の押下操作に応じて押印される予定の電子印鑑(印影画像)である。たとえば、図8においては、「竹内」(ユーザUA)の文字が刻まれた印影画像MA1が、押印ボタンBN1の直上位置に表示されている。
【0073】
押印ボタンBN1の押下操作に応じて押印される電子印鑑は、サーバ50の格納部55内のデータテーブルTB2等に基づいて決定される。データテーブルTB2には、各ユーザに関して複数の電子印鑑情報(印影画像)MP1,MP2,MP3が予め登録されている。当該複数の印影画像の中から、電子文書の種類に応じた印影画像が(自動的に)選択され、選択された印影画像が当該電子文書に対応付けられて記憶される。ここでは、印影画像MP1は、「社外向け文書」で使用される印影画像であり、印影画像MP2は、「社内向け文書」で使用される印影画像である。また、印影画像MP3は、「その他の文書」で使用される印影画像である。図15においては、データテーブルTB2において、ユーザUAに関する印影画像MP1(MA1),MP2(MA2),MP3(MA3)が登録されている状態が示されている。また、図15においては、ユーザUBに関しては印影画像MP1(MB1),MP2(MB2)が登録されており、ユーザUCに関しては印影画像MP1(MC1),MP2(MC2)が登録されている。
【0074】
また、サーバ50は、データテーブルTB1にて文書ID「001」に関連付けて記憶されている文書種類情報(「社外向け文書」、「社内向け文書」、「その他」)を参照し、当該文書種類情報に応じた印影画像を複数の印影画像MP1,MP2,MP3の中から選択する。たとえば、文書ID「001」の文書種類情報が「社外向け文書」であることに基づいて、ユーザUAに関する印影画像MP1(MA1)が使用画像(使用すべき印影画像)として決定される。
【0075】
このようにして、ユーザUAに関する電子印鑑の印影画像MA(MA1)が、携帯端末70aのタッチスクリーン71S内(詳細にはボタンBN1の直上位置)に確認用の画像として仮表示される。
【0076】
ここでは、ユーザUA(課長)は、紙文書DPを用いて予め内容を確認しており、電子文書DE(換言すれば、紙文書DP)を承認することを既に決定しているものとする。そして、この意志決定に従って、ユーザUA(課長)が携帯端末70aを用いて電子的な押印操作(承認操作)を行う。具体的には、携帯端末70aのタッチスクリーン71S内に設けられた押印ボタンBN1(図8参照)がユーザUAによって押下される。
【0077】
ステップS15においては、携帯端末70aは、押印ボタンBN1の押下操作に応答して、押印指示DR(DR1)をサーバ50に向けて送信する。当該押印指示DR1には押印対象(承認対象)の文書ID(「001」)と押印者(承認者)情報(ここではユーザUAが所持する携帯端末の識別情報)とが含まれている。
【0078】
ステップS16においては、サーバ50は、当該押印指示DR1に応じて、データテーブルTB1(図14)を更新する。具体的には、サーバ50は、文書ID「001」の電子文書DE(DE1)に対して、ユーザUAの押印情報MAを付加する。より詳細には、電子文書DE1の押印欄SC1に対応する情報として、ユーザUAに関する電子印鑑の印影画像MA1が付加される。このように、携帯端末70aに対応する承認ユーザの電子印鑑情報が、電子文書DE1に対する押印情報として、電子文書DE1に関連付けてデータテーブルTB1に記憶される。
【0079】
また、データテーブルTB1の更新完了がサーバ50から携帯端末70aに通知されると、携帯端末70aは、携帯端末70aの表示部6bに表示されている撮影画像GCの押印欄SC1に対して、印影画像MA1を重畳して表示する(ステップS17)。
【0080】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUA(課長)による承認処理(押印処理)等が実行される。
【0081】
つぎに、第2の承認者であるユーザUB(部長)に関する承認処理について、図6、図9および図10等を参照しながら説明する。
【0082】
ユーザUBは、識別用画像GDを含む紙文書DPbを、携帯端末70bを用いて撮影する(ステップS11)。詳細には、ユーザUBの撮影操作に応じて、携帯端末70bは、その撮像部73を用いて紙文書DPを撮影し、紙文書DPに係る撮影画像GC(GCb)を取得する。
【0083】
携帯端末70bは、撮影画像GCb内の識別用画像GDに含まれる文書IDを当該識別用画像GDから抽出し、抽出した文書IDをサーバ50に送信する(ステップS12)。このとき、携帯端末70bは、自装置の識別番号をもサーバ50に送信する。
【0084】
サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、携帯端末70bから送信されてきた文書IDに基づいて対象文書を特定するとともに当該文書IDに関連付けられている押印情報をも特定する。紙文書DPbと紙文書DPaとは同じ電子文書DEに関する印刷出力物であり、紙文書DPbの文書IDと紙文書DPaの文書IDとは同じである。そのため、ここでは、押印情報(詳細には印影画像MA1(「竹内」の文字が刻まれた印影画像))が、文書IDに関連付けられている押印情報として、特定される。そして、サーバ50は、特定された押印情報を携帯端末70bに送信する(ステップS13)。
【0085】
一方、携帯端末70bは、電子文書DEに対応する紙出力文書DPbの撮影画像GCを、その表示部72(タッチスクリーン71S)に表示するとともに、サーバ50から送信されてきた押印情報を当該撮影画像GCに重畳して表示する(ステップS14)。この時点では、ユーザUAのみ承認処理(押印処理)を行っており、当該文書IDに関連付けられている押印情報(詳細には印影画像MA1(「竹内」の文字が刻まれた印影画像))が、撮影画像GCの押印欄(承認欄)SC1に重畳表示される(図10も参照)。
【0086】
また、上記のステップS12においては、携帯端末70bは、自装置の識別番号をもサーバ50に送信する。当該識別番号(ユーザUBが所持する携帯端末の識別情報)は、押印者(承認者)情報として利用される。
【0087】
ステップS13においては、サーバ50は、ステップS12で携帯端末70bから送信されてきた(携帯端末70bの)識別番号と、データテーブルTB2とに基づいて、送信元ユーザ(携帯端末70bの使用者)を特定する。そして、サーバ50は、当該送信元ユーザに対応する電子印鑑の印影画像(詳細にはその画像データ)をも、携帯端末70bに送信する。
【0088】
一方、ステップS14においては、図8に示すように、携帯端末70bは、タッチスクリーン71S内において、押印ボタンBN1を表示する。押印ボタンBN1は、次述する押印操作用のボタンである。また、押印ボタンBN1の上部には、ユーザUBに関する電子印鑑の印影画像MBが表示される。この印影画像MBは、押印ボタンBN1の押下操作に応じて押印される予定の電子印鑑(印影画像)である。たとえば、図10においては、「岡本」の文字が刻まれた印影画像MB1が、押印ボタンBN1の直上位置に表示されている。この印影画像MB1は、データテーブルTB2等に基づいて決定される。たとえば、文書ID「001」の文書種類情報が「社外向け文書」であることに基づいて、ユーザUBに関する印影画像MP1(MB1)が使用画像として決定される。
【0089】
ここでは、ユーザUBは、紙文書DPbを用いて予め内容を確認しており、電子文書DE(換言すれば、紙文書DP)を承認することを既に決定しているものとする。そして、この意志決定に従って、ユーザUBが携帯端末70bを用いて電子的な押印操作(承認操作)を行う。具体的には、携帯端末70bのタッチスクリーン71S内に設けられた押印ボタンBN1(図10参照)がユーザUBによって押下される。
【0090】
ステップS15においては、携帯端末70bは、押印ボタンBN1の押下操作に応答して、押印指示DR(DR2)をサーバ50に向けて送信する。当該押印指示DR2には押印対象の文書ID(「001」)と押印者(承認者)情報(ここではユーザUBが所持する携帯端末の識別情報)とが含まれている。
【0091】
ステップS16においては、サーバ50は、当該押印指示DR2に基づいて、データテーブルTB1を更新する。具体的には、文書ID「001」の電子文書DEに対して、ユーザUBの押印情報(MB)を付加する。
【0092】
また、携帯端末70bは、データテーブルTB1の更新完了がサーバ50から携帯端末70bに通知されると、その表示部6bに表示されている撮影画像GCの押印欄SC2に対して、印影画像MB1を重畳して表示する(ステップS17)。
【0093】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUB(部長)による承認処理(押印処理)等が実行される。
【0094】
つぎに、第3の承認者であるユーザUB(部長)に関する承認処理も同様に実行される(図6、図11および図12等参照)。
【0095】
具体的には、ユーザUC(例えば社長)は、ユーザUA,UBが電子的に押印した後、識別用画像GDを含む紙文書DPcを携帯端末70cで撮影し、携帯端末70cは、紙文書DPcに係る撮影画像GCcを取得する。携帯端末70cは、当該撮影画像GCc内の識別用画像GDに含まれる文書IDを抽出し、抽出した文書IDをサーバ50に送信する。サーバ50は、当該文書IDに基づいて文書を特定し、特定した電子文書DEを携帯端末70cに表示する。このとき、ユーザUA,UBによる押印情報に基づいて、押印済みのユーザUA,UBに係る2つの印影画像MA1,MB1が電子文書DEに重畳表示される。その後、当該携帯端末70cを用いて、ユーザUCが印影画像MC1による押印処理をさらに施すと、電子文書DE上での押印処理が完了する。
【0096】
これにより、サーバ50内のデータテーブルTB1においては、3つの押印処理が電子文書DEに対して施された旨が記憶される。
【0097】
また、上記のような各ユーザUA,UB,UCによる電子文書に対する承認処理後において電子文書DEに対する印刷出力指示が付与されると、MFP10は図13に示すような印刷出力物を生成(出力)する。この印刷出力物においては、押印情報が電子文書DEに重畳された状態で印刷出力される。詳細には、電子印鑑に係る印影画像MA1,MB1,MC1がそれぞれ押印欄SC1,SC2,SC3に重畳されて印刷出力されている。なお、このような印刷出力指示は、たとえば、携帯端末70からサーバ50を経由してMFP10に対して付与されればよい。また、この場合には、携帯端末70による紙文書DPの撮影画像GCに基づいて、電子文書DEが印刷対象文書として特定されるようにしてもよい。あるいは、MFP10に対する直接的な操作によって、印刷出力対象の電子文書が指定されるとともに、印刷出力指示がユーザからMFP10へと直接的に付与されるようにしてもよい。
【0098】
以上のような動作によれば、MFP10(詳細には印刷出力部3)によって印刷出力された紙文書が携帯端末70の撮像部73を用いて撮影され、撮影画像GC内の識別用画像GDから抽出される文書IDに基づいて、紙文書DPに対応する電子文書DEがサーバ50により特定される。そして、サーバ50において、携帯端末70からの押印指示に応じて、携帯端末70に対応するユーザの電子印鑑情報(印影画像等)が、当該電子文書に対する押印情報として、当該電子文書DEに関連付けて記憶される。したがって、紙文書DPを撮影した撮影画像GC内の識別用画像GDから抽出される文書IDに基づいて、紙文書DPに対応する電子文書DEがサーバ50により特定され、電子文書DEに対する電子的な押印処理を行うことが可能である。さらに、承認ユーザは、紙文書DPを用いて文書を閲覧することによって、高い視認性を確保しつつ文書の内容を確認することもできる。詳細には、承認ユーザは、携帯端末の表示部の大きさの制約を受けることなく、紙文書DPを用いることによって1つのページおよび/または複数のページを全体的にあるいは詳細に確認することができる。このように、電子的な押印処理を行うに際して、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0099】
また、サーバ50は、文書IDに基づいて特定された電子文書DEに対する押印情報を、データテーブルTB1に基づいて取得し、取得された押印情報を携帯端末70に向けて、撮影画像に対する重畳表示用情報として送信する。これによれば、携帯端末70において、当該押印情報が撮影画像GCに重畳されて表示され得る。したがって、各ユーザは、承認者による押印処理(承認処理)の有無を容易に確認することが可能である。
【0100】
さらに、携帯端末70に対応するユーザの電子印鑑情報は、ユーザ毎に予め登録された複数の電子印鑑情報の中から、電子文書DEの種類(「社内向け文書」、「社外向け文書」等)に応じて(自動的に)決定される。したがって、各承認者(承認ユーザ)は、自らの複数の電子印鑑を容易に使い分けることが可能である。
【0101】
また、上記実施形態では、携帯端末70においては電子文書DEのデータを用いて当該電子文書の内容が表示されるのではなく、当該電子文書に対応する紙文書DPの撮影画像GCが携帯端末70に表示されている。これによれば、電子データDE自体のデータをサーバ50から携帯端末70へとダウンロードすることを要しないため、データ通信量を抑制することができる。
【0102】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0103】
この第2実施形態においては、紙文書の印刷出力時刻以後の変更内容をユーザに提示することが可能な態様を例示する。
【0104】
第2実施形態においては、携帯端末70以外の装置によって電子文書DEの更新が行われる。たとえば、電子文書DEに対する更新処理(文書内容の変更等)は、サーバ50にネットワーク接続可能な他のコンピュータ(不図示)等によって行われ、更新後の電子文書がサーバ50に上書き保存される。なお、これに限定されず、文書に対する更新処理は、携帯端末70を利用して行われるようにしてもよい(後述)。
【0105】
第2実施形態に係るサーバ50は、データテーブルTB3(図16参照)をも有している。データテーブルTB3には、電子文書DEの更新時刻および更新内容(差分情報)に関する更新情報が記録されている。電子文書DEに対する更新処理が行われるごとに、このデータテーブルTB3が更新される。このように、サーバ50は、各電子文書に関する更新情報(各電子文書の更新時刻および更新内容等を含む)をも管理する。
【0106】
図16には、データテーブルTB3における記録内容の一例が示されている。図16では、時刻T10(「2011年7月10日13時05分00秒」)においてデータが最初に作成(更新)された後、時刻T20,T30,時刻T40にもデータが更新されたことが示されている。ただし、以下では、まず、時刻T10,T20,T30,時刻T40に関するデータのうち、時刻T10におけるデータのみが記録されている状態を想定して説明を開始する。
【0107】
時刻T10の後の紙文書DPの印刷出力時点T11において、紙文書DPに印字された識別用画像GDは、当該紙文書DPに対応する電子文書DEの更新時刻に関する情報をも有する状態で形成される。具体的には、当該識別用画像GDにおいては、紙文書DPの印刷出力時点での最新の文書更新時刻がコード化されて含まれている。たとえば、印刷出力時点T11(「2011年7月10日15時10分00秒」)における最新の文書更新時刻T10(「2011年7月10日13時05分00秒」)がコード化されて、識別用画像GD(二次元バーコード)の一部として埋め込まれる。
【0108】
その後、時刻T20(「2011年7月11日10時45分00秒」)において電子文書DEが更新されると、電子文書DEに関する更新時刻および更新内容が、データテーブルTB3に格納される。たとえば、文章の内容変更が存在する場合(文章中における文字「8000円」が「5000円」へと変更される場合)には、更新時刻T20が格納されるとともに、更新前後での相違部分に関する差分情報が更新内容(文章の変更内容)として格納される。
【0109】
さらに、その後の時刻T25以降において、図6と同様にして、携帯端末70の表示部72において電子文書DEの表示処理等が実行される。
【0110】
図17は、第2実施形態に係る動作を示す図である。図17においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等を例示する。
【0111】
図17に示すように、この第2実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS21〜S27)が実行される。ただし、次述するように、紙文書DPに印刷出力された識別用画像GDに埋め込まれている文書更新時刻である時刻T10から、現時点(時刻T25)までの更新内容(現時点に対する直前の文書更新時刻T20(電子文書の現時点での最新の文書更新時刻)での更新内容を含む)も、携帯端末70bとサーバ50との間で授受される。
【0112】
具体的には、撮影処理(ステップS21)後のステップS22においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDが抽出される。さらに、ここでは、文書更新時刻T10およびページ番号も識別用画像GDから抽出されるものとする。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号、文書更新時刻)と携帯端末70bの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0113】
ステップS23においては、サーバ50は、データテーブルTB1を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報(承認情報)を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報(たとえば押印済みの印影画像MA1(「竹内」))を携帯端末70に送信する。
【0114】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB2とに基づいて、携帯端末70bの端末識別情報に対応するユーザUBの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑の情報(押印用の印影画像)をも携帯端末70に送信する。
【0115】
さらに、サーバ50は、データテーブルTB3(図16)を参照して、当該電子文書に係る現時点での最新の更新時刻(たとえば時刻T20)をも取得する。そして、当該最新の更新時刻T20が上記の時刻T10よりも後の時刻である場合(換言すれば、時刻T10よりも後の時刻T20に更新処理が行われている場合)には、時刻T10から現時点までの間に更新された更新内容(詳細には、差分情報)も、重畳表示用情報としてサーバ50から携帯端末70bへと送信される。具体的には、時刻T20での更新内容(差分情報)が重畳表示用情報として送信される。
【0116】
ステップS24においては、携帯端末70bは、表示対象ページが押印ページ(例えば第1ページ)である場合には、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)を撮影画像GCに重畳して表示する。なお、図17および図18に示す例では、表示対象ページが押印ページ以外のページ(例えば第2ページ)であり、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)は表示されていない。また、携帯端末70bは、ユーザUBの電子印鑑の画像(たとえば、「岡本」の文字を含む印影画像)とボタンBN1とを画面内に表示する。さらに、更新内容が存在する場合には、携帯端末70bは、更新内容(差分情報)をも撮影画像GCに重畳して表示する。
【0117】
図18においては、紙文書DPの第2ページの撮影画像GCおよびボタンBN1等に加えて、時刻T20での更新内容(差分情報)もが、携帯端末70bの表示画面に表示されている。ここでは、第2ページの第3行第5文字〜第9文字の位置において、文字「8000円」が「5000円」へと変更されたことが示されている。
【0118】
その後、ステップS25以降においては、ステップS15以降と同様の押印処理等が実行される。
【0119】
また、上記においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等を中心に説明したが、その他のユーザUA,UCに関しても同様の処理が実行される。
【0120】
以上のような態様によれば、サーバ50は、現時点での最新の更新時刻T20が印刷出力時点T11での最新の時刻T10よりも後の時刻であるときには、時刻T10と現時点との間に更新された更新内容(具体的には、時刻T20での更新内容)をも、重畳表示用情報として携帯端末70に向けて送信する。したがって、携帯端末70において更新内容が容易に表示され得る。そのため、ユーザ(承認ユーザ等)は、紙文書DPを用いて確認を行うとともに、部分的な変更内容(更新内容)については、携帯端末70表示される内容で確認を行うことが可能である。さらに、その後、承認ユーザは、電子的な押印処理を行うことが可能である。
【0121】
なお、上記においては、文章の内容変更が存在する場合(文章中における文字「8000円」が「5000円」へと変更される場合)に差分情報(更新内容)が表示される態様が例示されているが、これに限定されない。たとえば、「追加コメント」(第3実施形態も参照)が当該更新内容(差分情報)として表示されるようにしてもよい。
【0122】
また、時刻T11に紙文書が印刷され、且つ、時刻T40よりも後の時刻T45においてステップS21〜S27の処理が実行される場合には、ステップS23,S24において、時刻T10と時刻T45との間の期間における変更内容(差分情報)が授受され表示される。具体的には、時刻T20における変更内容と時刻T30における変更内容と時刻T40における変更内容とが、サーバ50から携帯端末70に送信されるとともに、携帯端末70に表示される。なお、図面に関する変更は、携帯端末70の表示部72において、「図面が変更されています」などの文字とともに、変更後の新たな図面が更新内容として示されればよい。
【0123】
また、時刻T20と時刻T30との間の時刻T21に紙文書DPが印刷され、その後の時刻T35(時刻T30と時刻T40との間の時刻)にステップS21〜S27の処理が実行されるようにしてもよい。この場合には、ステップS23,S24において、時刻T30の変更内容がサーバ50と携帯端末70との間で授受され、携帯端末70に表示される。
【0124】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0125】
この第3実施形態においては、電子文書に対する更新動作等が携帯端末70を利用して実行される態様を例示する。
【0126】
また、ここでは、許容される更新動作等がユーザごと(携帯端末70ごと)に異なる場合を例示する。より詳細には、サーバ50は、携帯端末70から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、重畳表示用情報として送信する。そして、サーバ50は、処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示(具体的には、文書の変更指示、およびコメント追加)に応じて、電子文書DEに対する特定アクションの処理を実行する。
【0127】
図19は、第3実施形態に係る動作を示す図である。図19においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等を例示する。
【0128】
図19に示すように、この第3実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS31〜S37)が実行される。ただし、次述するように、この第3実施形態では、押印指示のみならず、電子文書に対するその他の各種アクションをも実行することが可能である。
【0129】
図19の撮影処理(ステップS31)後のステップS32においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDとページ番号とが抽出される。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号)と携帯端末70bの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0130】
ステップS33においては、サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報(たとえば押印済みの印影画像MA1(「竹内」))を携帯端末70に送信する。
【0131】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB22(図22)とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑情報を携帯端末70に送信する。なお、この第3実施形態では、データテーブルTB2として、データテーブルTB22が設けられているものとする。
【0132】
さらに、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB22とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザUBに許可された処理(許可処理)を特定し、当該許可処理を含む処理メニューMN(詳細には処理項目等)を携帯端末70に送信する。図22に示すように、データテーブルTB22には、ユーザごとの許可処理情報が記憶されている。たとえば、ユーザUBに対する許可処理として、「コメント追加」、「文書変更」および「押印処理」の3つの処理(処理項目)が記憶されている。サーバ50は、当該データテーブルTB22に基づいて、これら3つの処理を許可処理として特定する。
【0133】
ステップS34においては、携帯端末70bは、表示対象ページが押印ページ(例えば第1ページ)である場合には、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)を撮影画像GCに重畳して表示する。なお、図19〜図21に示す例では、表示対象ページが押印ページ以外のページ(例えば第2ページ)であり、押印済みの印影画像MA1(「竹内」)は表示されていない。
【0134】
また、携帯端末70bは、処理メニューMNを画面内に表示する。
【0135】
具体的には、図20に示すように、紙文書DPの第2ページの撮影画像GCに加えて、処理メニューMNもが、携帯端末70bの表示画面に表示されている。ここでは、ユーザUBに許可された3つの処理(「コメント追加」、「文書変更」および「押印処理」)を含む処理メニューMNが表示されている。
【0136】
その後、ステップS35において、処理メニューMNを用いてアクション実行指示が付与され、ステップS36においてアクション実行指示に基づく情報更新動作が行われ、ステップS37において携帯端末70における表示内容の更新動作が実行される。
【0137】
たとえば、ステップS35において、ユーザUBが処理メニューMN内のコメント追加のチェックボックスにチェック印を付与する(図21参照)と、追加ボタンBN5が携帯端末70bに表示されるとともに、ユーザUBによるコメントの追加操作(次述)が受け付けられる。具体的には、ユーザUBは、撮影画像GC内の所望の位置をタップするとともに、当該タップ位置を基準点として表示される吹き出し画像内に任意の文字列(たとえば「数値修正が必要」)を入力する。そして、追加ボタンBN5が押下される。このようにして、アクション実行指示(具体的には、コメント追加指示)が付与される。また、この実行指示に応じて、携帯端末70は、入力された文字列を、撮影画像GC内のタップ位置に対応する文書内位置に関連付けたデータを作成して、当該データをサーバ50に送信する。
【0138】
サーバ50は、アクション実行指示(コメント追加指示)に基づく情報更新動作を実行する(ステップS36)。詳細には、電子文書DEに関する変更内容(追加コメントの内容およびコメント追加位置等)をデータテーブルTB3(図16)等に記憶するなどの動作が実行される。また、携帯端末70は、アクション実行指示に基づく変更内容を反映した内容を、その表示部72(タッチスクリーン71S)に表示する。具体的には、追加コメント(たとえば「数値修正が必要」の文字列)を撮影画像GCに重畳表示するとともに、追加ボタンをBN5を消去する(ステップS37)。そして、再び図20の状態に復帰し、ステップS35〜S37の動作が繰り返し実行される。
【0139】
また、他のアクション「文書変更」および「押印処理」についても同様の処理が実行される。
【0140】
このような態様によれば、サーバ50は、携帯端末70から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、重畳表示用情報として送信する。したがって、携帯端末70には、当該携帯端末の使用者に許容されている処理メニューが適切に表示される。また、許可処理をユーザごとに設定することが可能である。
【0141】
さらに、サーバ50は、処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示(具体的には、文書の変更指示、およびコメント追加)に応じて、電子文書DEに対する特定アクションに係る処理を実行する。したがって、ユーザは特定アクションの実行指示を携帯端末70を用いて容易に付与することができる。
【0142】
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0143】
この第4実施形態においては、携帯端末70を利用して入力された音声メッセージが電子文書に関連付けてサーバ50にて記憶される態様を例示する。
【0144】
図23および図24は、第4実施形態に係る動作を示す図である。図23においては、ユーザUAによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等が示され、図24においては、ユーザUBによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理等が示される。
【0145】
図23および図24に示すように、この第4実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS41〜S47)が実行される。ただし、この第3実施形態では、電子押印が実現されるのみならず電子押印に伴って音声メッセージの保存等を行うことも可能である。
【0146】
図23の撮影処理(ステップS41)後のステップS42においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDとページ番号とが抽出される。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号)と携帯端末70aの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0147】
ステップS43においては、サーバ50は、データテーブルTB1(図14)を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報を携帯端末70aに送信する。
【0148】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB2(図15)とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑情報を携帯端末70aに送信する。
【0149】
ステップS44においては、携帯端末70aは、電子文書DEに対する押印済みの電子印鑑が存在し、且つ、表示対象ページが押印ページ(例えば第1ページ)である場合には、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像を撮影画像GCに重畳して表示する。なお、押印情報が未だ存在しない場合等においては、印影画像は表示されない。また、携帯端末70aは、ユーザUAの電子印鑑の画像(たとえば、「竹内」の文字を含む印影画像MA1)とボタンBN1とを画面内に表示する(図8も参照)。
【0150】
その後、ステップS45において、ユーザUAは、携帯端末70aを用いて電子的な押印操作(承認操作)を行う。携帯端末70aのタッチスクリーン71S内に設けられた押印ボタンBN1(図8参照)がユーザUAによって押下される。ボタンBN1が押下されると、携帯端末70aは、当該押下操作に応答して、押印指示DR(DR1)をサーバ50に向けて送信する。
【0151】
また、携帯端末70aのタッチスクリーン71Sには、図25に示すような確認画面GA4が引き続いて表示される。確認画面GA4は、「音声メッセージを録音しますか?」の文字列とボタンBN6,BN7とを表示する表示画像で構成される。ユーザUAが「YES」ボタンBN6を押下すると、携帯端末70aに対して音声録音開始指示を付与することができる。この音声録音開始指示に応答して、携帯端末70aは、携帯端末70aのタッチスクリーン71Sに画面GA5(図26)を表示するとともに、携帯端末70aのマイク(不図示)を利用して音声録音を開始する。画面GA5には「録音中」である旨が表示される。また、画面GA5には終了ボタンBN8が設けられる。ユーザUAは、音声メッセージ(たとえば「7月15日までに××のご確認をお願いします」)を話し終えると、終了ボタンBN8を押下する。
【0152】
携帯端末70aは、当該押印操作(終了ボタンBN8の押下操作)に応答して、音声メッセージをサーバ50に送信する。
【0153】
ステップS46において、サーバ50は、受信した音声メッセージおよび押印指示DR1に基づいて、データテーブルTB1を更新する。具体的には、文書ID「001」の電子文書DEに対して、ユーザUAの押印情報(MA)および音声メッセージ(音声データ)を付加する。すなわち、サーバ50は、携帯端末70からの押印指示DR1に応じて携帯端末70から送信されてくる音声データを、電子文書DE(DE1)に関連付けてデータテーブルTB1(管理情報)に記憶する。
【0154】
また、携帯端末70aは、データテーブルTB1の更新完了がサーバ50から携帯端末70aに通知されると、携帯端末70aの表示部6bに表示されている撮影画像GCの押印欄SC1に対して、印影画像MA1を重畳して表示する(ステップS47)。
【0155】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUA(課長)による承認処理(押印処理)等が実行される。
【0156】
つぎに、第2の承認者であるユーザUB(部長)に関する承認処理について、図24等を参照しながら説明する。
【0157】
図24の撮影処理(ステップS41)後のステップS42においては、紙文書DPの識別用画像GDから、文書IDとページ番号とが抽出される。そして、抽出されたこれらの情報(文書ID、ページ番号)と携帯端末70bの識別情報(端末識別情報)とがサーバ50に送信される。
【0158】
ステップS43においては、サーバ50は、データテーブルTB1を参照して、文書IDに対応する電子文書を特定し、当該電子文書に係る押印情報を取得する。押印情報が存在する場合には、サーバ50は、当該押印情報を携帯端末70bに送信する。
【0159】
また、サーバ50は、携帯端末識別情報とデータテーブルTB2とに基づいて、携帯端末識別情報に対応するユーザの電子印鑑を特定し、当該電子印鑑情報を携帯端末70bに送信する。
【0160】
さらに、サーバ50は、音声メッセージをテキスト化(文字列化)したデータVT(後述)をも重畳表示用情報として携帯端末70bに送信する。データVTは、音声認識技術によって音声メッセージ(音声データ)からテキストデータに変換されたデータである。当該データVTは、サーバ50等によって生成される。
【0161】
ステップS44においては、図27に示すサブルーチン処理(ステップS70)にしたがって、携帯端末70bは、押印情報等に関する表示動作を実行する。
【0162】
具体的には、ステップS71において、電子文書DE(DE1)に関連付けられた音声メッセージが存在しないと判定されると、ステップS74に進む。
【0163】
ステップS74においては、携帯端末70bは、押印情報に基づいて、押印済みの印影画像(たとえば、「竹内」の文字を含む印影画像MA1)を撮影画像GC(詳細には押印欄SC1)に重畳して表示する。また、携帯端末70bは、ユーザUBの電子印鑑の画像(たとえば、「岡本」の文字を含む印影画像MB1)とボタンBN1とを画面内に表示する(図10参照)。
【0164】
一方、ステップS71において、電子文書DE(DE1)に関連付けられた音声メッセージが存在すると判定されると、ステップS72に進む。
【0165】
ステップS72においては、その携帯端末70bによる音声再生が可能か否か(当該携帯端末70bが音声データの再生機能を有しているか否か)が判定される。当該携帯端末70bによる音声再生が可能でないときには、ステップS75に進む。また、当該携帯端末70bによる音声再生が可能であるときには、ステップS76に進む。
【0166】
ステップS75においては、図28に示すような画面GA7が表示される。画面GA7においては、図10と同様に、押印済みの印影画像(「竹内」の文字を含む印影画像MA1)が撮影画像GCに重畳して表示されるとともに、ユーザUBの電子印鑑の画像(「岡本」の文字を含む印影画像MB1)とボタンBN1とが表示される。さらに、画面GA7においては、ユーザUAからの音声メッセージをテキスト化したデータVTもが、撮影画像GCに重畳して表示される。より詳細には、当該データVTは、ユーザUAの押印欄SC1を起点とする吹き出し画像とともに表示される。
【0167】
ステップS76においては、図29に示すような画面GA8が表示される。画面GA8においては、図10と同様の表示内容に加えて、音声メッセージの再生に関するメニューMVがさらに表示される。当該メニューMVには、「音声メッセージがあります。再生しますか?」の文字が表示されるとともに、「YESボタン」(音声開始ボタン)および「NOボタン」(キャンセルボタン)も併せて表示されている。
【0168】
ユーザUBが「YESボタン」を押下すると、携帯端末70bからサーバ50へと音声メッセージの転送指令が送信される。その後、当該転送指令に応答して、サーバ50から携帯端末70bに向けて音声メッセージ(音声データ)が転送され、受信された音声メッセージが携帯端末70bにおいて再生される。
【0169】
その後、ステップS45以降においては上記と同様の動作が実行される。これにより、ユーザUBによる押印操作(承認操作)に基づく押印処理等が行われるとともに、音声メッセージ(音声データ)の録音、転送、記憶処理等が実行される。
【0170】
このようにして、電子文書DEに関して、ユーザUBによる撮影画像GCの表示処理および承認処理(押印処理)等が実行される。
【0171】
このような態様によれば、サーバ50は、携帯端末70を利用して入力された音声メッセージを電子文書DEに関連付けて記憶する。したがって、音声メッセージを電子文書DEに関連付けて電子的に管理することが可能である。
【0172】
また、携帯端末70の再生機能の有無に応じて、音声データに関する音声再生動作と当該音声データをテキストデータ化したデータVTの表示動作とが自動的に切り換えられる。したががって、音声データを簡易に且つ有効に利用することが可能である。
【0173】
なお、上記においては、音声データをテキスト化したデータVTがサーバ50によって生成される場合が例示されているが、これに限定されず、例えば、データVTは携帯端末70bによって生成されるようにしてもよい。
【0174】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0175】
第5実施形態においては、各承認者の位置情報等に基づいて、或る承認者の次の承認者に対して「承認依頼」をも送信する態様について説明する。なお、電子文書DEに対する承認順序はあらかじめ定められており、例えばデータテーブルTB1(TB15)(図30)に格納されているものとする。図30においては、ユーザUA,UB,UCが電子文書DEに対する承認者であり、かつ、この順序で承認が行われることが記録されている。また、ユーザUEがユーザUAの代理承認者であり、ユーザUFがユーザUBの代理承認者であることも記録されている。
【0176】
また、第5実施形態における各携帯端末70a,70b,70cはGPS(Global Positioning System)機能を有している。各携帯端末70a,70b,70cのGPS機能によって、各ユーザーの位置情報が取得される。取得された位置情報は、たとえば、データテーブルTB2(図15)において各ユーザ(携帯端末)に関連付けて保存される。この実施形態では、或る承認者の承認が終了した直後に、当該或る承認者の位置情報と次の承認者の位置情報とが、各携帯端末70からサーバ50に送信されることによって、サーバ50が各携帯端末の位置情報を把握する。ただし、これに限定されず、各ユーザーの位置情報は、各携帯端末70とサーバ50との定期的な通信動作等によってサーバ50にて常時把握されるようにしてもよい。
【0177】
また、この実施形態においては、「承認依頼」は、両ユーザの存在位置の関係(詳細には両ユーザ間の距離および次のユーザーの存在位置の種別(属性)等)に基づいて、互いに異なる態様で次の承認者等に対して実行される。例えばデータテーブルTB5(図31)に基づく手法で、次の承認者に対して、承認依頼が通知される。データテーブルTB5は、サーバ50等に格納されるデータである。
【0178】
図31のデータテーブルTB5においては、両ユーザ間の距離と次のユーザーの存在位置の属性情報とに応じた承認依頼動作が定められている。
【0179】
データテーブルTB5の最上段に示されるように、条件CN1が成立する場合には、承認依頼アクションAN1が採用される。条件CN1は、2人のユーザ間の距離(或る承認者(承認ユーザ)の存在位置と次の承認者の存在位置との距離)が所定距離TH5(たとえば数百メートル)よりも小さく(距離「小」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置と直前の承認者の存在位置とがいずれも社内の同一サイトであること、である。また、承認依頼アクションAN1は、「ハンドキャリーによる書類受け渡しを促すメールを送信する」旨の動作である。
【0180】
また、データテーブルTB5の上から2段目に示されるように、条件CN2が成立する場合には、承認依頼アクションAN2が採用される。条件CN2は、2人のユーザ間の距離が所定距離TH5よりも大きく(距離「大」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置と直前の承認者の存在位置とが「いずれも社内ではあるが互いに異なるサイト」であること、である。また、承認依頼アクションAN2は、「(次の承認者の)最寄りの印刷出力デバイス(MFP等)で電子文書を印刷出力し、さらに承認依頼メールを(次の承認者に向けて)送信する」旨の動作である。
【0181】
また、データテーブルTB5の上から3段目に示されるように、条件CN3が成立する場合には、承認依頼アクションAN3が採用される。条件CN3は、2人のユーザ間の距離が所定距離TH5よりも大きく(距離「大」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置が「社外での移動中」であること、である。また、承認依頼アクションAN3は、「承認依頼メールを(次の承認者に向けて)送信する」旨の動作である。
【0182】
さらに、データテーブルTB5の最下段に示されるように、条件CN4が成立する場合には、承認依頼アクションAN4が採用される。条件CN4は、2人のユーザ間の距離が所定距離TH5よりも大きく(距離「大」)、且つ、次の承認者(承認ユーザ)の存在位置が「自宅(社外)」であること、である。また、承認依頼アクションAN4は、「代理承認者に向けて代理承認依頼メールを送信する。」旨の動作である。
【0183】
図32は、第5実施形態に係る動作を示す図である。図32においては、ユーザUAによる撮影動作を伴う電子文書の表示処理および押印処理等が示されている。
【0184】
図32に示すように、この第5実施形態においても、図6の各ステップS11〜S17の処理と同様の処理(ステップS51〜S57)が実行される。ただし、この第5実施形態では、次述するように、ユーザUAによる承認処理等(ステップS55〜S57)の後に、ユーザUBに対する承認依頼処理等(ステップS61〜S65)が実行される。
【0185】
具体的には、押印処理等(ステップS55〜S57)の完了に応じて、ステップS61において、サーバ50は、ユーザUAの携帯端末70aと次の承認者であるユーザUBの携帯端末70bとのそれぞれに対して、各携帯端末の位置情報の送信を要求する。
【0186】
当該送信要求に応答して、ステップS62において、各携帯端末70a、70bは、サーバ50に対して、各携帯端末の位置情報を送信する。たとえば、携帯端末70aは、会社CAの大阪サイト内の位置を示す位置情報をサーバ50に送信し、携帯端末70bは、同じ会社CAの東京サイト内の位置を示す位置情報をサーバ50に送信する。
【0187】
サーバ50は、受信した位置情報とデータテーブルTB5とに基づいて、承認依頼手法に関する提案内容を決定する。
【0188】
具体的には、上記の条件CN1〜CN4のいずれに該当するかが携帯端末70a,70bの位置情報に基づいて決定されるとともに、該当条件CNiに対応する承認依頼アクションをユーザUA(現在の承認者(承認操作者))に提案すること、が決定される。
【0189】
たとえば、条件CN2を充足することが判定されると、条件CN2に対応する承認依頼アクションAN2が提案内容として決定される。
【0190】
そして、サーバ50は、携帯端末70aに対して、当該提案内容に関する表示用データを送信する(ステップS63)。携帯端末70aは、受信した当該表示用データを用いて、携帯端末70aの表示部72(タッチスクリーン71S)の表示内容を更新する(図33参照)。
【0191】
図33は、承認依頼アクションAN2を提案する表示画面GA9を示す図である。画面GA9においては、承認依頼手法に関する提案内容が表示されている。具体的には、「次の承認者ば別サイトにいます。最寄りの印刷出力デバイスで印刷出力するとともに、承認依頼メールを送信しますか?」の文字が表示されるとともに、「YESボタン」(提案受諾ボタン)および「NOボタン」(キャンセルボタン)も併せて表示されている。
【0192】
「YESボタン」が押下されて提案内容が受諾されると、携帯端末70aはサーバ50に対して、提案された承認依頼アクションAN2を実行すべき旨を指示する。すなわち、承認依頼アクションの実行指示が携帯端末70aからサーバ50に対して付与される。
【0193】
サーバ50は、次の承認者であるユーザUBの存在位置の最も近傍に存在する印刷出力装置(例えばMPF等)を特定し、当該特定された印刷出力装置で電子文書DEを印刷出力する。このような態様は、ユーザUBが紙文書DPを手元に所持していない場合(あるいは所持しているか否かが不明である場合)に特に有用である。また、この時点で出力される紙文書DPにも識別用画像GDが付与されることが好ましい。
【0194】
また、サーバ50は、承認依頼メールを携帯端末70bに向けて送信する。具体的には、ユーザUBの登録メールアドレスに向けて送信する。承認依頼メールには、たとえば、「書類を作成し、最寄りの印刷出力装置(装置番号×××)で当該書類を印刷出力しましたので、ご確認の上、ご承認願います。」などの文言が含まれる。
【0195】
一方、ユーザUBは、携帯端末70bで当該承認依頼メールを確認する。これによれば、ユーザUAは、次の承認者(ユーザUB)に対する承認依頼を電子メールにより簡易に伝達することが可能である。
【0196】
なお、ここでは、条件CN2が充足される場合に承認依頼アクションAN2が実行される態様について主に説明したが、他の条件が充足される場合には、それぞれ対応する承認依頼アクションが実行される。
【0197】
たとえば、条件CN3が充足される場合には、承認依頼アクションAN3が実行される。具体的には、提案内容が受諾され承認依頼アクションAN3の実行が指示される(ステップS64)と、サーバ50は、承認依頼メールを次の承認者に対応する携帯端末70に向けて送信する。承認依頼メールには、たとえば、「書類を作成しましたので、ご確認の上、ご承認願います。」などの文言が含まれる。
【0198】
また、条件CN1が充足される場合には、承認依頼アクションAN1が実行される。具体的には、提案内容が受諾され承認依頼アクションAN1の実行が指示される(ステップS64)と、サーバ50は、承認依頼メッセージに関する表示用データを元の承認者UAの携帯端末70aに向けて送信する。当該承認依頼メッセージには、たとえば、「次の承認者は同一サイトに居るので、(必要があれば)紙文書を手渡ししてください。」などの文言が含まれる。ユーザUAは、携帯端末70aの表示部72に表示された当該メッセージを確認して、必要に応じて、同一サイト内に存在する次のユーザUBに対して、紙文書DPを手渡しする。
【0199】
また、条件CN4が充足される場合には、承認依頼アクションAN4が実行される。具体的には、提案内容が受諾され承認依頼アクションAN4の実行が指示される(ステップS64)と、サーバ50は、承認依頼メールを次の承認者の代理承認者をデータテーブルTB15(図30)等に基づいて特定し、当該代理承認者に対応する携帯端末70に向けて送信する。承認依頼メールには、たとえば、「文書ID(×××××)の書類を作成しましたので、ご確認の上、次の承認者である岡本さんに代わって、代理承認願います。」などの文言が含まれる。
【0200】
このようにして、電子文書DEに関してユーザUA(課長)による承認処理(押印処理)が実行されるとともに、次の承認者であるユーザUBに対する承認依頼処理もが実行される。したがって、複数の人物による承認手続をより確実に進めることが可能である。
【0201】
また、同様にして、ユーザUBによる承認処理等(ステップS51〜S57)の後においても、上記と同様のステップS61〜S65の処理が実行される。これにより、ユーザUBの次の承認者であるユーザUCに対する承認依頼処理もが実行される。
【0202】
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0203】
たとえば、上記各実施形態においては、電子文書DEがサーバ50に格納される場合が例示されているが、これに限定されず、MFP10等において電子文書DEが格納されるようにしてもよい。
【0204】
また、上記各実施形態におけるサーバ50の動作の一部または全部がMFP10において実行されるようにしてもよい。
【0205】
また、上記各実施形態においては、データテーブルTB2がサーバ50内に格納され、サーバ50に各ユーザの電子印鑑(印影画像)が登録される場合が例示されているが、これに限定されず、印影画像はサーバ50に格納されることを要しない。たとえば、携帯端末70側にのみ各ユーザの電子印鑑(各携帯端末の所持者の印影画像)が登録されるようにしてもよい。
【0206】
また、上記各実施形態においては、サーバ50とMFP10とが互いに別の装置として構成される場合が例示されているが、これに限定されず、MFP内部において上記サーバが構築されるようにしてもよい。換言すれば、上記サーバの機能がMFP10内部において実現されるようにしてもよい。
【0207】
また、上記各実施形態においては、最終的な承認処理後に電子文書DEが印刷出力される場合には、押印情報のみが電子文書に重畳されて印刷される態様が例示されているが、これに限定されない。最終的な承認処理後に電子文書DEが印刷出力される場合において、押印情報に代えて(あるいは加えて)、更新内容(差分情報)等が電子文書に重畳されて印刷されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0208】
1 文書管理システム
10 MFP(画像形成装置)
50 サーバ
70,70a,70b,70c 携帯端末
71S タッチスクリーン
DE 電子文書
DP 紙文書
MP1,MP2,MP3,MA1,MB1,MC1 印影画像
SC1,SC2,SC3 押印欄
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書管理システムであって、
文書を印刷出力する印刷出力手段と、
ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバと、
を備え、
前記印刷出力手段は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、
前記サーバは、
前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、
前記携帯端末の撮像部を用いて前記紙文書を撮影した撮影画像内の前記識別用画像から抽出される前記文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、
前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段と、
を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、
前記文書IDに基づいて特定された前記電子文書に対する前記押印情報を、前記管理情報に基づいて取得し、取得された前記押印情報を、前記撮影画像に対する重畳表示用情報として前記携帯端末に向けて送信する通信手段、
をさらに備えることを特徴とする文書管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報は、ユーザ毎に予め登録された複数の電子印鑑情報の中から、前記電子文書の種類に応じて決定されることを特徴とする文書管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の文書管理システムにおいて、
前記識別用画像は、前記電子文書の更新時刻に関する情報が埋め込まれた状態で形成され、
前記サーバは、
各電子文書に関する更新情報をも管理するとともに、
前記紙文書に印刷出力された前記識別用画像に埋め込まれている文書更新時刻である第1の時刻と前記電子文書の現時点での最新の文書更新時刻である第2の時刻とを比較し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも後の時刻であるときには、前記第1の時刻と前記現時点との間に更新された更新内容をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示に応じて、前記電子文書に対する前記特定アクションを実行することを特徴とする文書管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末からの前記押印指示に応じて、前記携帯端末から送信されてくる音声データを、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶することを特徴とする文書管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記音声データの再生が不可能な前記携帯端末に対して、前記音声データを音声認識技術により文字列に変換して生成されたデータを、前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の次の承認者に対する承認依頼メールを送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の位置情報である第1の位置情報と次の承認者の位置情報である第2の位置情報とを取得し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との関係に基づき前記次の承認者への連絡手法を決定することを特徴とする文書管理システム。
【請求項11】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記印刷出力手段は、前記電子文書に対する承認処理後において、前記電子文書に対する印刷出力指示に応じて、前記押印情報が重畳された状態で前記電子文書を印刷出力することを特徴とする文書管理システム。
【請求項12】
ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバであって、
複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、
前記複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の印刷出力物である紙文書を携帯端末により撮影した撮像画像から抽出される文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、
前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段と、
を備えるサーバ。
【請求項13】
文書管理システムであって、
電子文書を印刷出力する画像形成装置と、
撮像部と表示部とを有する携帯端末と、
ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバと、
を備え、
前記画像形成装置は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、
前記携帯端末は、前記識別用画像を含む前記紙文書を、前記撮像部を用いて撮影して撮影画像を生成し、前記撮影画像内の前記識別用画像から抽出した前記文書IDを前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、
前記携帯端末から送信されてきた前記文書IDに基づいて、前記承認対象の前記電子文書を特定する特定手段と、
前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段と、
を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項1】
文書管理システムであって、
文書を印刷出力する印刷出力手段と、
ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバと、
を備え、
前記印刷出力手段は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、
前記サーバは、
前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、
前記携帯端末の撮像部を用いて前記紙文書を撮影した撮影画像内の前記識別用画像から抽出される前記文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、
前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段と、
を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、
前記文書IDに基づいて特定された前記電子文書に対する前記押印情報を、前記管理情報に基づいて取得し、取得された前記押印情報を、前記撮影画像に対する重畳表示用情報として前記携帯端末に向けて送信する通信手段、
をさらに備えることを特徴とする文書管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報は、ユーザ毎に予め登録された複数の電子印鑑情報の中から、前記電子文書の種類に応じて決定されることを特徴とする文書管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の文書管理システムにおいて、
前記識別用画像は、前記電子文書の更新時刻に関する情報が埋め込まれた状態で形成され、
前記サーバは、
各電子文書に関する更新情報をも管理するとともに、
前記紙文書に印刷出力された前記識別用画像に埋め込まれている文書更新時刻である第1の時刻と前記電子文書の現時点での最新の文書更新時刻である第2の時刻とを比較し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも後の時刻であるときには、前記第1の時刻と前記現時点との間に更新された更新内容をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末から送信されてくる端末識別情報に基づき、当該携帯端末の使用者に許容される処理メニューを特定し、当該処理メニューに関する情報をも、前記重畳表示用情報として送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記処理メニューに含まれる特定アクションの実行指示であって押印指示以外の実行指示に応じて、前記電子文書に対する前記特定アクションを実行することを特徴とする文書管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末からの前記押印指示に応じて、前記携帯端末から送信されてくる音声データを、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶することを特徴とする文書管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記音声データの再生が不可能な前記携帯端末に対して、前記音声データを音声認識技術により文字列に変換して生成されたデータを、前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の次の承認者に対する承認依頼メールを送信することを特徴とする文書管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記サーバは、前記携帯端末の使用者である現在の承認者からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応するユーザの電子印鑑情報を前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶するとともに、前記現在の承認者の位置情報である第1の位置情報と次の承認者の位置情報である第2の位置情報とを取得し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報との関係に基づき前記次の承認者への連絡手法を決定することを特徴とする文書管理システム。
【請求項11】
請求項1に記載の文書管理システムにおいて、
前記印刷出力手段は、前記電子文書に対する承認処理後において、前記電子文書に対する印刷出力指示に応じて、前記押印情報が重畳された状態で前記電子文書を印刷出力することを特徴とする文書管理システム。
【請求項12】
ネットワークを介して携帯端末と通信可能なサーバであって、
複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、
前記複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の印刷出力物である紙文書を携帯端末により撮影した撮像画像から抽出される文書IDに基づいて、前記電子文書を特定する特定手段と、
前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段と、
を備えるサーバ。
【請求項13】
文書管理システムであって、
電子文書を印刷出力する画像形成装置と、
撮像部と表示部とを有する携帯端末と、
ネットワークを介して前記携帯端末と通信可能なサーバと、
を備え、
前記画像形成装置は、複数の電子文書のうちの承認対象の電子文書の識別情報である文書IDを含む識別用画像を前記電子文書に付加して印刷出力し、前記電子文書に対応する紙文書を生成し、
前記携帯端末は、前記識別用画像を含む前記紙文書を、前記撮像部を用いて撮影して撮影画像を生成し、前記撮影画像内の前記識別用画像から抽出した前記文書IDを前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記複数の電子文書を管理する管理情報を格納する格納手段と、
前記携帯端末から送信されてきた前記文書IDに基づいて、前記承認対象の前記電子文書を特定する特定手段と、
前記携帯端末からの押印指示に応じて、前記携帯端末に対応する承認ユーザの電子印鑑情報を、前記電子文書に対する押印情報として、前記電子文書に関連付けて前記管理情報に記憶する登録手段と、
を有することを特徴とする文書管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−46146(P2013−46146A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181512(P2011−181512)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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