説明

文書配信システム

【課題】各ユーザが入力した値を次回以降の配信時に反映できる文書配信システムを提供すること。
【解決手段】文書配信システムは、ユーザが入力した値を保存するかどうかの判定を促すダイアログをポップアップ表示する(S13)。ユーザが「保存」を選択すると(S13;Y)、今回設定した値を当該ユーザの設定値として保存する(S14)。データを保存したユーザが再度ログイン(S20)すると、配信Projectの一覧が表示され、前回データを保存した配信Projectを選択する(S21)。保存したデータ一覧の選択画面をポップアップ表示する(S22)。ユーザは一覧の中から自分の使用するデータを選択する(S23)。選択すると、保存したデータが、あらかじめ設定された設定項目として表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP等の機器を利用して作成したデータを文書配信するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、MFP等の機器を利用した文書配信システムで、あらかじめ設定された方法で文書配信を行うシステムが広く利用されている。図1には、このような文書配信システムの構成を示したブロック図が示してある。
このような文書配信システムにおいて、MFP機器での文書配信に関する技術として、特許文献1をあげることができる。
また、MFP等の機器で文書配信を行う設定において、安全に配信先を変更する技術として、特許文献2に記載の技術をあげることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−189687公報
【特許文献2】特開2006−254353公報
【0004】
ところで、このような文書配信システムにおいて、文書配信の設定を記述したものが配信Projectと呼ばれている。この配信Projectには、配信時に使用されるパラメータを設定できるようになっている。例えば、E−mail配信を行う場合には、配信先のメールアドレスやメールの件名を、Folder配信を行う場合には、配信先Folderアドレスや配信対象のファイル名などを設定するようになっている。
このような文書配信システムでは、管理者が配信Projectを作成し、デフォルトのパラメータ値を設定可能となっている。作成された配信Projectは、MFPに割り付けられ、ユーザはあらかじめ用意された配信Projectを実行する。
このとき、オペレーションパネルで管理者が設定したデフォルトのパラメータを上書きすることができる。上書きされたパラメータ値を使用して配信が行われるのは、上書きされた1回分の配信のみである。図2には、オペレーションパネルの項目設定の例を示してある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この文書配信システムの管理者は、配信ProjectをOne Action配信に設定することができる。これは、管理者があらかじめ全ての配信パラメータを設定した配信Projectである。ユーザがオペレーションパネルでOne Action配信の配信Projectを選択すると、配信の設定値はオペレーションパネル上に表示されずに配信が開始される。
このような配信システムにおいて、通常の配信Projectを実行する場合、ユーザは毎回パラメータを設定する必要が生じる。そのため、同様の設定を用いた配信しか行わないユーザが存在した場合、何度も同じ設定をしなければならない必要が生じ、作業効率が著しく低下する。また、1つの配信Projectをさまざまな用途で繰り返し使用するユーザが存在していた場合、複数個の設定を毎回行わなければならないのは大変面倒である。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、各ユーザが入力した値を次回以降の配信時に反映できる文書配信システムを提供することである。
本発明の第2の目的は、複数個の配信設定を保存することで、同じ配信Projectをさまざまな用途に使い分けることができる文書配信システムを提供することである。
本発明の第3の目的は、同一サーバ内に管理される配信Projectに対してユーザが行った固有の設定を、サーバが管理する他の配信Projectに対しても反映することで、サーバ内に管理されるどのMFPを使用しても設定操作が必要なくなる文書配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、所定の機器からネットワークを介して文書データを送信する文書配信システムにおいて、前記所定の機器からネットワークを介して他の機器へ文書データを送信する送信部と、前記送信部が送信を行う際、配信先の設定を受け付ける配信先受付部と、前記配信先受付部で受け付けた配信先を記憶する記憶部と、前記配信先受付部で受け付けた配信先に前記送信部が送信を行うよう制御する配信制御部と、を備え、前記配信制御部は、次回の配信から前記記憶部に記憶された配信先を設定値として使用して配信を行うことにより、前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、ユーザから前記記憶部に配信先の設定の保存を行うかどうかの指定を受け付ける設定指示受付部を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記配信先受付部での受け付けを検知し、一定条件以上の受け付けがあった場合、前記配信制御部は、自動的に当該配信先を設定値として使用して配信を行うことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項1記載の発明において、各ユーザ毎に前記記憶部に複数個の配信先の設定を保存できることにより、前記第2の目的を達成する。
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明において、所定のデフォルトの配信設定と、ユーザが独自に保存した複数の設定から、使用する設定を配信時に選択を受け付けることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項4記載の発明において、全ての設定項目を設定している場合、ユーザがその配信ProjectをOne Action配信に指定する選択も受け付けることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記所定の機器がサーバで管理されたMFPであり、任意のMFPの保存部に、ユーザによる特定の配信先の設定を保存した場合、保存された配信先の設定を同一サーバ上にある他のMFPに反映させることをにより、前記第3の目的を達成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各ユーザが入力した値を次回以降の配信時に反映できるので、何度も同様の設定をする必要がなくなり、効率的な作業ができる。
また、複数個の配信設定を保存することで、同じ配信Projectをさまざまな用途に使い分けるユーザが何度も配信設定する作業をなくし、効率的な作業ができるようになる。
さらに、同一サーバ内に管理される配信Projectに対してユーザが固有の設定を行った場合、その設定をサーバが管理する他の配信Projectに対しても反映することで、サーバ内に管理されるどのMFPを使用しても設定操作が必要なくなり、効率的な作業ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1から図6を参照して詳細に説明する。
図1は、文書配信システムの構成を示したブロック図である。MFP10とDB(データベース)12とが接続されている。そして、配信時に使用されるパラメータを設定可能であり、文書配信の設定を記述した配信Projectが用意されている。
図2は、オペレーションパネルでの項目設定の例を示している。ここでは、E−mail配信を行う場合の項目設定の例を示している。
図3は、サーバ16により管理されるMFP10を示したブロック図である。
【0010】
次に、本発明の実施例の処理手順を図4のフローチャートを参照して、説明する。
まず、ユーザがMFP10でログインすると、オペレーションパネルには配信Projectの選択画面が表示される。この選択画面で、ユーザが配信Projectを選択すると、オペレーションパネルには、図2に示すような対象の配信Projectの設定項目が表示される(ステップ10)。ここで、ユーザは各設定項目に値を入力する。全ての入力項目が設定されると(ステップ11)、MFP10のハードキー、スタートボタンが押下可能となる。
配信する文書をMFP10にセットして、スタートボタンを押下する(ステップ12)。ここで、この文書配信システムは、ユーザが入力した値を保存するかどうかの判定を促すダイアログをポップアップ表示する(ステップ13)。
【0011】
そして、ユーザが「保存」を選択すると(ステップ13;Y)、この文書配信システムは、今回設定した値を当該ユーザの設定値として保存する(ステップ14)。一方、ユーザが「保存」を選択しなかった場合には(ステップ13;N)、そのまま文書配信が実行される(ステップ15)。
ここで、保存するかどうかの判定をユーザが行うのではなく、同一の設定が繰り返し行われたのをシステム側で検出した場合に、自動的に保存を行うようにすることもできる。例えば、3回以上同一の設定が繰り返し行われた場合、自動的に保存を行うようにする。
また、1つのデータだけでなく、複数個の保存を行うようにすることもできる。
さらに、全ての設定項目を設定している場合、「保存」ではなく、「One Actionにする」という選択肢を付加すれば、ユーザがその配信ProjectをOne Action配信に指定できるようになる。
【0012】
次に、図5のフローチャートを参照して、図4の処理の続きの再度ログインした際の処理を説明する。
図4のフローチャートが実行された後、データを保存したユーザが再度ログインする(ステップ20)。すると、配信Projectの一覧が表示されるので、前回データを保存した配信Projectを選択する(ステップ21)。ここで、保存したデータ一覧の選択画面をポップアップする。一覧には、管理者が作成したデフォルトの設定も含まれるようにしてもよい(ステップ22)。そして、デフォルトの配信設定と、ユーザが独自に保存した複数の設定から、使用する設定を配信時に選択するようにすることもできる。
ユーザは一覧の中から自分の使用するデータを選択する(ステップ23)。選択すると、保存したデータが、あらかじめ設定された設定項目として表示される。そのままスタートキーを押下すれば、保存された設定での再配信を行うことができる(ステップ24)。
【0013】
続いて、他の実施例を図6のフローチャートを参照して説明する。
この実施例では、図3に示すサーバ16で管理された任意のMFP10で、ユーザが特定の配信設定を保存した場合、保存された設定を同一サーバ16上にある他のMFPに反映するようにしている。
ここでは、MFP10でユーザがデータ保存を選択するところから処理が開始する。
まず、MFP10でユーザのデータが保存されると(ステップ30)、MFP10からサーバ16にユーザのデータが保存されたことが通知される(ステップ31)。そして、サーバ16では、対象の配信Projectのユーザデータをサーバ16内に保存し(ステップ32)、管理下にあるMFP10から、IDが同じ配信Projectを持つMFPを検索する(ステップ33)。この検索の結果、当てはまるMFP10が見つかった場合、見つかったMFP10に保存されたユーザデータを割り付ける(ステップ34)。
このように、同一サーバ内に管理される配信Projectに対してユーザが固有の設定を行った場合、その設定をサーバが管理する他の配信Projectに対しても反映することで、サーバ内に管理されるどのMFPを使用しても設定操作が必要なくなり、効率的な作業ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】文書配信システムの構成を示したブロック図である。
【図2】オペレーションパネルでの項目設定を示した図である。
【図3】サーバで管理されるMFPを示したブロック図である。
【図4】本実施例の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本実施例の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】他の実施例の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0015】
10 MFP
12 DB
16 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機器からネットワークを介して文書データを送信する文書配信システムにおいて、
前記所定の機器からネットワークを介して他の機器へ文書データを送信する送信部と、
前記送信部が送信を行う際、配信先の設定を受け付ける配信先受付部と、
前記配信先受付部で受け付けた配信先を記憶する記憶部と、
前記配信先受付部で受け付けた配信先に前記送信部が送信を行うよう制御する配信制御部と、を備え、
前記配信制御部は、次回の配信から前記記憶部に記憶された配信先を設定値として使用して配信を行うことを特徴とする文書配信システム。
【請求項2】
ユーザから前記記憶部に配信先の設定の保存を行うかどうかの指定を受け付ける設定指示受付部を備えたことを特徴とする文書配信システム。
【請求項3】
前記配信先受付部での受け付けを検知し、一定条件以上の受け付けがあった場合、前記配信制御部は、自動的に当該配信先を設定値として使用して配信を行うことを特徴とする請求項1記載の文書配信システム。
【請求項4】
各ユーザ毎に前記記憶部に複数個の配信先の設定を保存できることを特徴とする請求項1記載の文書配信システム。
【請求項5】
所定のデフォルトの配信設定と、ユーザが独自に保存した複数の設定から、使用する設定を配信時に選択を受け付けることを特徴とする請求項4記載の文書配信システム。
【請求項6】
全ての設定項目を設定している場合、ユーザがその配信ProjectをOne Action配信に指定する選択も受け付けることを特徴とする請求項4記載の文書配信システム。
【請求項7】
前記所定の機器がサーバで管理されたMFPであり、任意のMFPの保存部に、ユーザによる特定の配信先の設定を保存した場合、保存された配信先の設定を同一サーバ上にある他のMFPに反映させることを特徴とする請求項1記載の文書配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−223794(P2009−223794A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69938(P2008−69938)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】