説明

料理用容器のための温度表示断熱スリーブ

開口を中に提供され、その開口を覆ってスクリーンを配された、料理用容器の側壁カバーが提供され、スクリーンは、カバー開口と容器との間に、非不透明な基材と、所定の温度に曝されたときに不透明な色から非不透明な色に変化するサーモクロミック着色剤の層と、サーモクロミックインクが非不透明な色に変化すると基材開口の外側から見ることが可能な指標材料の層と、を含む層状構造を含む。カバーは、また、開口の両側に保護用の透明又は半透明の窓部材を含んでもよく、基材は、接着剤によって取り付けられてよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2009年1月8日に出願され「Temperature Indicating Insulating Sleeve For A Cooking Vessel(料理用容器のための温度表示断熱スリーブ)」と題された米国仮特許出願第61/143,226号の優先権を主張する。該出願の内容は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる。
【0002】
<背景技術>
本発明は、総じて、料理用容器に関するものであり、特に、容器内の液体の温度のインジケータを含む断熱スリーブに関するものである。
【0003】
キャンパー、ハイカー、及びその他のアウトドア活動に従事する人々の間で近年人気が高まっている製品に、容器内の液体/食料品を迅速に且つ効率良く加熱するために使用できる携帯用コンロがある。このようなコンロ及び容器の1つが、本発明の譲受人に譲渡された同時係属米国特許出願第10/603,947号に記載されている。
【0004】
その特許出願に記載されているように、大気中に熱を逃さないように容器を断熱するために、及び使用者が熱い表面に触れずに自在に容器を扱えるようにするために、容器の外側を取り巻く断熱カバーが提供される。しかしながら、断熱カバーがあってもなくても、総じて、使用者は、内包される材料が所望の温度に達したかどうかを判定するために、容器の中を覗く必要があった。すなわち、例えばコーヒーの場合は、容器内のお湯の温度が摂氏100度の沸点に達することが望まれる。もし使用者が蓋を開けてお湯を見て、その温度を判断する必要があると、そのたびに、大気中に熱が逃げることになる。更に、もし所望の温度が沸騰レベルよりも低い場合は、容器の中の液体の温度をこの方法で判定することが困難である。
【0005】
必要とされるのは、容器の中の材料の温度がいつ所定の温度レベルに達したかを単純で且つ効果的なやり方で使用者に示すための方法/装置である。
【0006】
簡潔に言うと、本発明の一態様にしたがうと、料理用容器の中の材料の温度によって容器の壁が加熱されるにつれて、それに応答して色を変化させ、容器の中の材料の温度がいつ所定の温度に達するかを使用者に示すように、容器の外側表面の近くに温度センサスクリーンが配される。
【0007】
本発明の別の態様にしたがうと、断熱カバーの中に開口が設けられ、この開口には、外側から使用者が見ることが可能なように開口を覆って温度感受性のスクリーンが取り付けられる。
【0008】
本発明の更に別の態様にしたがうと、温度感受性のスクリーンは、非加熱状態では不透明に見えるが所定の温度に達するとクリアな色に変化するサーモクロミックインクを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を取り入れた料理用容器及びその断熱カバーの斜視図である。
【図2】その分解組立図である。
【図3】本発明のスクリーン部分の分解斜視図である。
【図4A】器具にあてがわれる前の本発明のスクリーン部分の斜視図である。
【図4B】器具にあてがわれる前の本発明のスクリーン部分の斜視図である。
【図4C】あてがわれたスクリーンが色を変化させるときの斜視図である。
【0010】
図1を参照すると、本発明は、総じて、料理用容器13の外側表面12を取り巻く断熱カバー11にあてがわれるものとして10で示されている。
【0011】
料理用容器13は、加熱されるべき又は料理されるべき液体飲料又は食料品を入れるための開口上端14を有する。容器の片側には、加熱/料理の過程で料理用器具13を扱う目的のために、及び飲料/食料の調理後に開口上端14から飲食するために、持ち手16が提供される。料理用容器13の下端には、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/603,947号に示されるようにバーナと境界を接するように適応された移行部材17が提供される。簡潔に言うと、バーナは、移行部材17の下に配され、熱は、料理用容器13の下側に固定された熱伝達部材18に熱を伝えるために移行部材17を伝って上昇し、このとき、排熱は、開口19を通して放射状に外向きなされる。
【0012】
本発明にしたがうと、図示されているように、断熱カバー11に温度表示窓21が設けられる。図示されている特定の実施形態は、耐水性の保護シールドを提供する外側のプラスチック窓20を含み、該窓20の下には、容器の外側の部分22と、後ほど更に詳しく説明されるように、図示されているような不透明な色からクリアな色に変化してその下の画像又は指標を露わにするために容器の外側表面の温度に対して感受性である温度表示材料23とが示されている。簡潔に言うと、料理用容器13内の物質が所定のレベルに加熱されると、その熱は、加熱容器の外側表面12に、したがって温度感受性材料23に伝わる。その温度が所定のレベルに達すると、材料は、図示されているような暗い色からクリアな色に変化してその下の画像/指標を露わにすることによって、液体が所望の温度にされたことを観察者に示す。
【0013】
温度感受性材料23の配合設計よって予め定められる温度は、様々な要因に依存する。例えば、使用者は、微温から沸騰までの間の範囲のどの温度であれ、容器内の液体/食料の温度がいつその温度に達するかを知らされることに関心がありえる。更に、料理用容器13の中身が加熱されるにつれて、容器の外側表面12における温度の上昇にラグが生じることを考慮する必要がある。一例として、出願者らは、料理用容器13内のお湯の温度が100℃の沸点に達するときに、温度感受性材料23が暗色から透明に変化する代表的な所定の温度が60℃であることを見出した。
【0014】
温度感受性材料が変化する所定の温度の判定に寄与するその他の要因には、容器の設計、バーナの出力、容器内の液体/食料の体積、容器内の材料の種類などがある。したがって、所定の温度は、40℃から100℃の範囲のどこでもありえる。
【0015】
温度表示窓21の特定の特徴を更に詳しく検討するために、特定の一実施形態にしたがった様々な層を示された図2が参照される。以上に記載されている断熱カバー11と等価である断熱材6が、料理用容器13にあてがわれるものとして示されている。断熱材6の中には、開口24が形成され、該開口には、それを覆って温度表示窓21が取り付けられる。温度表示窓の内側部分を保護するために、外の湿気や汚れなどの浸入からその領域を遮断するための内側窓5及び/又は外側窓6が提供される。窓は、プラスチックやガラスなどの任意の適切な材料からなることができる。例えば、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、又はその他の熱可塑性材料が使用されてよく、その縁は、超音波溶接などの工程によって断熱材6の周囲部分に固定される。
【0016】
内側窓5の内側に位置するのは、やはりポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステルなどの透明又は半透明の材料である基材3である。組み立て工程を促進するために、内
側窓5と基材3との間に接着剤層4が配されてよい。すなわち、それは、組み立て工程において、内側窓5の内側又は基材3の外側のいずれかに予めあてがわれてよい。
【0017】
基材3の内側表面にあてがわれるのは、第1には、所定の温度に達すると不透明から透明に変化するサーモクロミック着色剤であり、第2には、サーモクロミック着色剤2が不透明から透明に変化すると使用者が外側窓7を通して自身の視点から観察することが可能な画像又は指標1である。
【0018】
図示されている実施形態では、断熱材は、先ず、開口24と、内側窓5及び/又は外側窓7とを伴って作成される。次いで、以下で説明されるやり方で、内側窓5の内側表面にその他の層があてがわれる。
【0019】
本発明は、また、図2の下部に示されているように、その他の様々な実施形態でも実現されえる。例えば、第2の実施形態としては、外側窓が排除されてよい。第3の実施形態としては、基材3及び接着剤が排除され、層1及び層2が内側窓5の内側に直接あてがわれてよい。第4の実施形態では、外側窓7が排除されてよい。第5の実施形態では、内側窓5が排除され、基材3が外側窓7の内側に接着剤によって接着されてよい。第6の実施形態では、内側窓5及び外側窓7の両方が排除され、基材3が断熱材6の内側の縁に接着剤によって接着されてよい。
【0020】
次に、温度表示窓21の構成を考える。図3には、断熱材6に又はその窓5若しくは7の一方にあてがわれるステッカを構成する各種の材料層が示されている。ステッカの外側、すなわち上部3層は、Mylarとして市販されている合成品であり、取り外し可能なステッカ裏張り26と、ステッカ接着剤4と、透明なステッカ基材3とを含む。
【0021】
基材3の内側に(すなわち、図3に示されているように下側に)添付されるのは、サーモクロミックインクの層2である。サーモクロミックインクのコーティングを覆ってあてがわれるのは、図に示されているようにPMS810Cインクの層27とホワイトインクの層とを含む画像又は指標1である。
【0022】
断熱材6に又は好ましくはその窓5若しくは7の一方にステッカをあてがうために、ステッカ裏張り26は、単純に取り外され、残りの層は、断熱材の内側に又は窓5若しくは7の内側に接着剤によって取り付けられる。層を取り外す工程の1つが、図4A及び図4Bに更に詳しく示されている。
【0023】
図4Cには、温度感受性材料23が所定の温度に達するときに何が起きるかの実証が示されている。図からわかるように、所定の温度が摂氏60度である場合は、温度感受性材料は、そのレベルよりも下の温度では暗いまま又は不透明なままであるのに対し、摂氏60度を超える温度では透明な色に変化してその下の着色層を露わにする。
【0024】
本発明は、図面に示されているような好ましいモードを参照にして具体的に示されるとともに説明されてきたが、当業者にならば、特許請求の範囲に定められているような発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく詳細に対して各種の変更がなされえることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されるべき材料を入れるための内部空洞と、外側表面とを有する料理用容器のための温度インジケータであって、
前記容器外側表面にごく接近して配されるスクリーンであって、
非不透明な基材と、
前記基材の内側に配されるとともに、前記容器外側表面からの熱の伝達によってもたらされる所定の温度に曝されたときに暗い色からクリアな色に変化するように適応されたサーモクロミックインクの層と、
前記サーモクロミックインク層の内側に配されるとともに、前記サーモクロミックインクの層が透明な色に変化すると前記基材の外側から見ることが可能な指標を含む材料の層と、
を含むスクリーンを備える温度インジケータ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度インジケータであって、
前記スクリーンは、前記料理用容器外側表面を覆うための断熱材の中に形成される開口の内側を覆って配される、温度インジケータ。
【請求項3】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記基材の外側表面と前記断熱材との間に配される接着剤を備える温度インジケータ。
【請求項4】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記基材と前記断熱材開口との間に配される内側窓を備える温度インジケータ。
【請求項5】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記断熱材開口の外側に配される外側窓を備える温度インジケータ。
【請求項6】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記断熱材開口の内側及び外側のそれぞれに配される透明内側窓及び外側窓の両方を備える温度インジケータ。
【請求項7】
請求項4に記載の温度インジケータであって、
前記基材と前記内側窓との間に配される接着材料を備える温度インジケータ。
【請求項8】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記基材は、前記開口の内側の位置で前記断熱材に固定される内側窓を含む、温度インジケータ。
【請求項9】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記基材は、前記開口の外側の位置で前記断熱材に固定される外側窓を含む、温度インジケータ。
【請求項10】
請求項2に記載の温度インジケータであって、
前記基材は、前記断熱材の内側に固定される、温度インジケータ。
【請求項11】
加熱されるべき材料を入れるための内部空洞と、外側表面とを有する料理用容器のための温度インジケータを構成する方法であって
前記容器の側面を覆って配されるカバーであって、前記容器側面の領域を露出させるためにその中に開口を有するカバーを提供する工程と、
非不透明な基材を提供する工程と、
所定の温度に曝されたときに暗い色からクリアな色に変化するように適応されたサーモクロミックインクの層を前記基材の内側に提供する工程と、
前記サーモクロミックインクの層が非不透明な色に変化すると前記基材の外側から見ることが可能な指標を含む指標材料の層を前記サーモクロミックインク層の内側に提供する工程と、
前記基材と、前記サーモクロミックインクの層と、前記指標材料の層との組み合わせを前記断熱材開口の内側に位置付ける工程と、
を備える方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記基材の外側表面と前記断熱材との間に接着剤層を提供する工程を備える方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記基材と前記断熱材開口との間に内側窓を提供する工程を備える方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、
前記断熱材窓開口の外側に配される透明外側窓を備える方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、
前記断熱材開口の内側及び外側のそれぞれに内側窓及び外側窓の両方を提供する工程を備える方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記基材と前記内側窓との間に接着材料を提供する工程を備える方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、
前記基材は、前記開口の内側の位置で前記断熱材に固定される内側窓を含む、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、
前記基材は、前記開口の外側の位置で前記断熱材に固定される窓を含む、方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、
前記基材は、前記断熱材の内側に取り付けられる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2012−514754(P2012−514754A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545419(P2011−545419)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/020339
【国際公開番号】WO2010/080888
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511166725)ジェットボイル,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】