説明

料理袋

【課題】鍋料理などで具にだし汁をよく浸透させて美味しい料理とするには、具が煮えた後で約70℃前後の温度の中に15乃至30分間放置することである。ところが70℃前後の温度を必要時間保つことは難しい。高温で煮過ぎると煮崩れを起こす。低過ぎては味がしみない。コンロの火を着火と消火を繰り返すか、弱火にして今にも消えそうな小さな火を見ながら、コンロの側から離れるわけには行かなかった。本発明はゆっくり冷却させることで具にだし汁をよく浸透させて、美味しい料理とする簡単な料理袋を提供する。
【解決手段】そこで煮あがった鍋料理をゆっくり冷やす過程で、75℃〜65℃の温度を通過するが、この間の時間を15〜30分間持続することで解決した。表面が精密加工された金属膜と補強膜を重ねた多層膜で内袋を形成し、この内袋の外側を断熱材で被い、この断熱材の外面を外袋で被って、この外袋の入り口を、既記内袋の入り口近辺に接合し、内袋の入り口の内側に、止め具と密閉具を設ける。以上のような特徴の料理袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋料理等の仕上げの段階で、具材に味をしみこませるには、鍋の中の温度を最適とされる、約70度Cに15分から30分間保つ目的でなされたものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、具材に味をしみこませるには、コンロの火を極弱火や、着火と消火を繰り返しながら鍋の中の適温を保つ必要があった。
また、保温効果をもたらす袋として、アルミ蒸着フイルムと不織布と接合した材料で、作成した手提げ袋がある。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−29465
【特許文献2】実登3088384
【特許文献3】特開2006−204865
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのために次のような問題点があった。
(イ)鍋の中の温度を適温に保つには、温度制御装置付きの電気鍋やコンロを使用する必要があった。
(ロ)鍋の中の具材は普通数種類使用するが、具の種類によって仕上げの温度も多少異なる。
(ハ)ガスコンロの火を極弱火や、着火と消火を繰り返しながら役70度Cの温度を保つ必要があったが、どうしても温度の上下のぶれがあり手動制御は困難であった。
(ニ)仕上げの段階での15分ないし30分の間、火の側を離れるわけには行かなかった。煮詰め過ぎて煮崩れや、焦がしてしまう事があった。
(ホ)料理が冷えるのを防ぐための用具はあるにはあるが、料理の具材に味を浸み込ませるために、作られた用具はなかった。故に従来の保温袋では完全に目的を果たすことが出来ず、それぞれ何かの構成が不足していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
表面が精密加工された金属膜と補強膜を重ねた多層膜で内袋を形成し、この内袋の外側を断熱材で被い、この断熱材の外面を被った外袋の入り口を、既記内袋の入り口近辺に接合密閉し、内袋の入り口の内側に、止め具と密閉具を設ける。以上のような特徴の料理袋。
【発明の効果】
【0006】
鍋の中の具が煮えたなら、すぐ本料理袋に鍋ごと入れて、入り口を閉じて密閉するだけで、すべて仕上げてくれる。それで次のような効果が出る。
(イ)料理仕上げ段階の、光熱費は余熱利用であるからゼロである。
(ロ)料理仕上げの時間は、火の側に付き添う必要がなく時間が節約できる。
(ハ)具材によって、味の浸透する温度や時間に違いがあっても、保温効果によるゆっくりした自然冷却であるので、すべての具材を、味の浸透適温の中に必要時間滞在させることが出来る。誰でも間違いなくおいしい料理が出来る。
(ニ)冷凍食品などの買い物袋や、飲料食品の野外持ち出し利用時にも使用できる。
(ホ)内袋の内側はアルミ箔やクローム鍍金なので、耐水、耐蒸気性があり、掃除も簡単で清潔である。
(ヘ)内袋の入り口に、簡単に閉じて且つ完全に密閉する止め具と密閉具を設けたことにより、中の温まった空気を逃がさないため、内袋の中の温度を効率よく保つことが出来る。このことは本発明の目的達成のための重要な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明の組み立て実施図
【図3】本発明の図2のA−A断面図
【図4】図3のB部の拡大図
【図5】図3のC部の拡大図
【図6】本発明の使用状態図
【図7】本発明の実施例の一部切載図
【発明を実施するための形態】
【008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)料理袋(1)の内側は、アルミ箔またはアルミ鍍金やクローム鍍金等の精密加工された金属膜(3)と、合成樹脂フイルムや布等との補強膜(4)を重ねた多層膜の内袋(13)である。
(ロ)さらにこの内袋(13)の外側を断熱材(11)で被う。断熱材(11)は綿、毛、羽毛、発砲材等断熱効果のできるだけ高いものを使用する。
(ハ)さらにこの断熱材(11)の外側を外袋(14)で被う。外袋(14)は合成樹脂フイルムや綿や麻などの布や、アルミ箔等である。これらの内袋(13)と外袋(14)の入り口付近を合わせて閉じる。
(ニ)内袋の入り口の内側に止め具(7)(8)を設ける。一例として止め具は平面ファスナーである。止め具(7)には鉤状の係具(9)が多数設けてあり、同様に止め具(8)にも環状の係具(10)が設けてある。止め具(7)と(8)は対である。この一対の止め具(7)と(8)を押し付けると双方の係具(9)と(10)が絡み合い強力に係りあう。離すときは強く引き剥がすと外れる。これらの止め具は通称マジックテープと呼ばれている。
(ホ)同様に内袋(1)の入り口の内側片面に密閉具(5)を、他面に密閉具(6)を設ける。密閉具(5)と(6)は対である。密閉具(5)と(6)の少なくとも片方の材質は合成ゴムなどの弾性体である。密閉具(5)は凸になっており、密閉具(6)は平面板である。前記止め具(7)と(8)を押し付けて料理袋(1)の入り口を閉じると、密閉具(5)の凸が密閉具(6)に押し付けられ密着して気密を保ち空気の流通を遮断する。
(ヘ)以上のような料理袋(1)に買い物袋(2)を被せると、アイスクリームや生鮮食品などの買い物袋として使用できる。外気を遮断して保温してくれる。
本発明を使用する時は、煮えた料理を鍋ごと料理袋(1)の中に入れて、料理袋(1)の入り口を外から圧力を加えると止め具(7)と(8)が係りあい入り口を閉じる。しかしこのままでは、中の空気は係具(9)と(10)の隙間から流通可能だが、この時密閉具(5)(6)が密着して入り口全幅を密閉する。中の鍋の大きさや、位置によって密閉具(5)と(6)の位置が多少ずれても、凸と平面の当たりなのでどこかで接触して密封できる。料理袋(1)の入り口が曲がって変形しても、少なくとも片方の密閉具が弾性体なので柔軟に対応できて密閉する。これで、使用中の料理袋(1)の中の温まった空気が外に漏れることも無く、保温効果を保つことが出来る。
内袋(13)に金属膜(3)と補強膜(4)との異種の薄膜を重ねた多層にすると、熱伝道率の違う物質同士では熱の伝導がしにくい。よって各膜の境界で熱の伝導を防止する効果がある。また、金属膜(3)の精密加工された鏡面仕上げの方を内側にすることにより、鍋(12)から発する輻射熱を反射して内袋(13)の中の熱が外へ逃げるのを防止する。
この際の止め具(15)は衣服でよく使用されるジッパーを使用した。この止め具(15)を締めると内袋(13)が閉じ、この時密閉具(5)(6)が密着して入り口全幅を密閉する。
実際使用したテスト結果を下記に記す。
料理名 おでん
使用鍋 内径160mm、高さ80mm ステンレス材
材料 ジャガイモ 長径65mm、短径45 厚25mm 個数3
大根 径75 厚25 個数2、
昆布 個数3、
こんにゃく 幅25mm 長さ80mm 厚15mm 一度茹でたもの, 個数 2個
さつま揚げ 長兄75 短径40 個数 1個
がんもどき 長兄55、短径40、厚20 1個
竹輪 径40 内径10 長さ55 1個
テスト時の室温 13.2℃
だし汁800CCを鍋に入れ、ジャガイモ、大根、昆布を入れて弱火で着火。20分後こんにゃくを入れる。残りの材料もこの時に入れた。
菜箸で大根の煮えたのを確認後、鍋を本発明の料理袋の中に入れて、鍋の中の使用温度を70±5℃と決めて、その間の経過時間を測定した。実際は75℃から64,6℃となったが、所要時間40分であった。またすべての材料の味見試験では、味覚は十分に浸透していた。
【符号の説明】
【0009】
1 料理袋
2 買い物袋
3 金属膜
4 補強膜
5 密閉具
6 密閉具
7 止め具
8 止め具
9 係具
10係具
11断熱材
12鍋
13内袋
14外袋
15止め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属膜と補強膜を重ねた多層膜で内袋を形成し、この内袋の外側を断熱材で被い、内袋の入り口に、止め具と密閉具を設けたことを特徴とする料理袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−188164(P2012−188164A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73498(P2011−73498)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(503469348)
【Fターム(参考)】