説明

断熱パネル

【課題】十分な断熱性能を有しながら、薄型化を図ることができる断熱パネルを提供すること。
【解決手段】平板状の真空断熱材41を備えた断熱仕切板4であって、真空断熱材41の縁に沿って延在し、かつ真空断熱材41の縁部における表面及び裏面を覆う態様で配設された第1枠部材421を有する枠体42を備えてなり、第1枠部材421には、内方に突出する突部4211が真空断熱材41の外端面41aに接触することにより、真空断熱材41を構成するフィルム412の耳部分412a,412bを折り重ねることにより生ずるヒレ部分413を収納する収納域Sが画成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パネルに関し、より詳細には、平板状の真空断熱材(VIP:Vacuum Insulation Panel)を備えた断熱パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平板状の真空断熱材(VIP)を備えた断熱パネルとして、次のようなものが知られている。例えば、平板状の基材に形成された窪みに真空断熱材を配設し、該真空断熱材を覆うように基材に蓋材を接着させて平板状の遮熱体を構成し、かかる遮熱体を金属板等で挟み込むようにして形成した断熱パネルである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−057785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した特許文献1に提案されているような断熱パネルでは、基材に形成された窪みに真空断熱材を配設し、かかる真空断熱材を覆うように該基材に蓋材を接着させて遮熱体を構成し、更に遮熱体を金属板等で挟み込むようにして形成してあるので、厚み方向の寸法が過大なものとなる。
【0005】
このような断熱パネルを、自動販売機の商品収容庫を画成するための断熱材として用いると、商品収容庫自体の寸法が小さくなってしまい、商品の収納数の低下等を招来してしまう。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、十分な断熱性能を有しながら、薄型化を図ることができる断熱パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る断熱パネルは、平板状の真空断熱材を備えた断熱パネルであって、前記真空断熱材の縁に沿って延在し、かつ前記真空断熱材の縁部における表面及び裏面を覆う態様で配設された枠部材を有する枠体を備えてなり、前記枠部材には、内方に突出する突部が前記真空断熱材の外端面に接触することにより、前記真空断熱材を構成するフィルムの耳部分を折り重ねることにより生ずるヒレ部分を収納する収納域が画成してあることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る断熱パネルは、上述した請求項1において、前記枠体は、前記枠部材よりも軟質な材料から構成され、かつ該枠部材の外端部分を覆う態様で配設された軟質枠部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の断熱パネルによれば、枠体が、真空断熱材の縁に沿って延在し、かつ真空断熱材の縁部における表面及び裏面を覆う態様で配設された枠部材を有し、かつこの枠部材には、内方に突出する突部が真空断熱材の外端面に接触することにより、真空断熱材を構成するフィルムの耳部分を折り重ねることにより生ずるヒレ部分を収納する収納域が画成してあるので、断熱パネルの厚み寸法を枠体の厚みの大きさ程度にすることができ、しかも真空断熱材の露出面積を十分に確保することができる。従って、十分な断熱性能を有しながら、薄型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である断熱パネルが適用された自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である断熱パネルが適用された自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。
【図3】図3は、図1に示した断熱仕切板を示す説明図である。
【図4】図4は、図3に示した真空断熱材を示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図5】図5は、図4に示した断熱部材の長辺側耳部分及び短辺側耳部分を折り重ねた状態を示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図6】図6は、図6は、図3におけるA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る断熱パネルの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である断熱パネルが適用された自動販売機を示すものであり、図1は、自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図であり、図2は、自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
【0013】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成す自動販売機本体である。この本体キャビネット1には、天部、底部、背部及び両側部に敷設されたパネル状の断熱部材2a〜2dに囲繞される態様で商品収容室3が画成されている。そして、かかる商品収容室3の内部に例えば2つの断熱仕切板4によって仕切られた3つの独立した商品収容庫5が左右に並んだ態様で設けてある。この商品収容庫5は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
【0014】
図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉6及び内扉7が設けてある。外扉6は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉7は、商品収容庫5の前面を開閉するためのものである。この内扉7は、上下に分割してあり、上側の扉7aは商品を補充する際に開閉するものである。
【0015】
上記商品収容庫5には、商品収納ラック8、搬出機構9及び搬出シュータ10が設けてある。商品収納ラック8は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構9は、商品収納ラック8の下部に設けてあり、この商品収納ラック8に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ10は、搬出機構9から搬出された商品を外扉6に設けられた商品取出口6aに導くためのものである。
【0016】
そして搬出シュータ10の下方域には蒸発器24及びヒータHが配設してある。蒸発器24は背面ダクトDの前面側に配設してあり、機械室11に配設された圧縮機21、凝縮器22、キャピラリーチューブ23と冷媒配管25を通じて順次接続されて冷凍サイクル20を形成している。圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。凝縮器22は、通過する冷媒を凝縮させるものである。より詳細に説明すると、圧縮機21で圧縮され、かつ吐出口から吐出されて冷媒配管25を通じて送出された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。キャピラリーチューブ23は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
【0017】
これら冷凍サイクル20で冷媒を循環させることにより、圧縮機21で圧縮された冷媒が凝縮器22で凝縮され、その後にキャピラリーチューブ23で断熱膨張されて蒸発器24を通過する。冷媒が蒸発器24を通過する際に、該蒸発器24が配設された商品収容庫5の内部空気との間で熱交換が行われて、自身が蒸発して内部空気を冷却する。蒸発した冷媒は圧縮機21に吸引される。
【0018】
冷却された内部空気は庫内送風ファンFの駆動により商品収容庫5の内部を移動し、これにより該商品収容庫5の商品収納ラック8に収納された商品は所望の温度(例えば5℃)に冷却されることになる。
【0019】
ヒータHは、蒸発器24の前面側に配設してある。このヒータHは通電状態となることにより周囲空気を加熱するものである。
【0020】
ヒータHにより加熱された空気は、庫内送風ファンFの駆動により商品収容庫5の内部を移動し、これにより該商品収容庫5の商品収納ラック8に収納された商品は所望の温度(例えば55℃)に加熱されることになる。
【0021】
図3は、図1に示した断熱仕切板4を示す説明図である。ここで例示する断熱仕切板4は、断熱パネルにより構成してある。尚、本実施の形態においては、断熱パネルの適用例として断熱仕切板4について説明するが、本発明においては、かかる断熱仕切板4だけに限られず、商品収容室3を画成するパネル状の断熱部材2a〜2dについても断熱パネルにより構成されていてもよい。この場合、断熱仕切板4とは長さ寸法や幅寸法等が異なるだけであり、基本的な構成は同じである。ここで例示する断熱仕切板(断熱パネル)4は、真空断熱材(VIP)41と、枠体42とを備えて構成してある。
【0022】
真空断熱材41は、図4に示すように、例えばガラス繊維等の熱伝導率が低い材料からなるコア411を例えばポリアミド等のフィルム412にて被包して脱気密封した矩形状のものである。かかる真空断熱材41においては、製造工程の特性上、コア411の長辺に沿って延びるフィルム412の長辺側耳部分412aと、コア411の短辺に沿って延びるフィルム412の短辺側耳部分412bとが形成される。そして、図5に示すように、長辺側耳部分412aと、短辺側耳部分412bとを順に、コア被覆部分411cに折り重ねることにより、全縁部にフィルム412によるヒレ部分413が形成された真空断熱材41が形成される。
【0023】
図6は、図3におけるA−A線断面図である。かかる図6を適宜用いながら枠体42の構成について説明する。
【0024】
枠体42は、ヒレ部分413が形成された真空断熱材41の縁部を覆う態様で構成されたもので、第1枠部材421と第2枠部材(軟質枠部材)422とを備えて構成してある。
【0025】
第1枠部材421は、硬質な樹脂材、すなわち硬質な樹脂素材やゴム素材から構成されたもので、縦断面がコ字状をなすものである。かかる第1枠部材421は、真空断熱材41の縁に沿って延在し、かつ真空断熱材41の縁部における表面及び裏面を覆う態様で配設されている。ここで第1枠部材421による真空断熱材41の表面を覆う大きさであるが、長辺側耳部分412a及び短辺側耳部分412bの折り重なり部分を覆うことが可能な大きさに調整されている。
【0026】
このような第1枠部材421の内端部分421aには、内方に突出する態様で突部4211が該第1枠部材421の延在方向に沿って配設してある。突部4211は、自身の突端面4211aが真空断熱材41の外端面41a、すなわちヒレ部分413が形成された部位の裏面側に位置する端面に図示せぬ接着材を介して接着するものであり、その突出高さは、真空断熱材41のヒレ部分413を収納するのに必要十分な収納域Sを画成できる大きさに調整してある。
【0027】
第2枠部材422は、第1枠部材421よりも軟質な樹脂材、すなわち軟質な樹脂素材やゴム素材から構成されたものである。この第2枠部材422は、第1枠部材421の外端部分421bを覆う態様で、該第1枠部材421の周縁に配設してある。ここで第2枠部材422は、第1枠部材421の外端部分421bに図示せぬ接着材等により貼付してもよいし、射出成形等により第1枠部材421と一体的に形成してもよい。
【0028】
このような断熱仕切板(断熱パネル)4においては、フィルム412の長辺側耳部分412a及び短辺側耳部分412bを折り重ねた真空断熱材41の縁部を枠体42で覆うことにより構成してあるだけなので、断熱仕切板4の厚み寸法を枠体42の厚みの大きさ程度にすることができる。しかも真空断熱材41の露出面積を十分に確保することができる。
【0029】
従って、本発明の実施の形態である断熱仕切板(断熱パネル)4によれば、十分な断熱性能を有しながら、薄型化を図ることができる。これにより商品収容庫5の容積を十分に確保することができ、商品の収納数の低減を招来する虞れがない。
【0030】
また上記断熱仕切板4においては、枠体42を構成する第1枠部材421の突部4211が真空断熱材41の外端面41aに接触して真空断熱材41のヒレ部分413を収納する収納域Sを画成しているので、ヒレ部分413に破損等が生じて断熱性能が劣化してしまうことを防止することができる。
【0031】
また上記断熱仕切板4においては、枠体42を構成する第2枠部材422が第1枠部材421の外端部分421bを覆う態様で配設され、かつ第1枠部材421よりも軟質な樹脂材から形成されているので、自身が弾性変形を行うことにより、本体キャビネット1の歪みや真空断熱材41の歪み等を吸収することができ、商品収容庫5の気密性を十分に確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明に係る断熱パネルは、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機に有用である。
【符号の説明】
【0033】
1 本体キャビネット
2a〜2d 断熱部材
3 商品収容室
4 断熱仕切板
5 商品収容庫
6 外扉
7 内扉
8 商品収納ラック
9 搬出機構
10 搬出シュータ
11 機械室
20 冷凍サイクル
21 圧縮機
22 凝縮器
23 キャピラリーチューブ
24 蒸発器
25 冷媒配管
41 真空断熱材(VIP)
41a 外端面
411 コア
412 フィルム
412a 長辺側耳部分
412b 短辺側耳部分
413 ヒレ部分
42 枠体
421 第1枠部材
421a 内端部分
421b 外端部分
4211 突部
4211a 突端面
422 第2枠部材(軟質枠部材)
D 背面ダクト
F 庫内送風ファン
H ヒータ
S 収納域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の真空断熱材を備えた断熱パネルであって、
前記真空断熱材の縁に沿って延在し、かつ前記真空断熱材の縁部における表面及び裏面を覆う態様で配設された枠部材を有する枠体を備えてなり、
前記枠部材には、内方に突出する突部が前記真空断熱材の外端面に接触することにより、前記真空断熱材を構成するフィルムの耳部分を折り重ねることにより生ずるヒレ部分を収納する収納域が画成してあることを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
前記枠体は、前記枠部材よりも軟質な材料から構成され、かつ該枠部材の外端部分を覆う態様で配設された軟質枠部材を有することを特徴とする請求項1に記載の断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−133096(P2011−133096A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295535(P2009−295535)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】