説明

断熱パネル

【課題】本発明は、ゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%からなる配合物で1.0mm以下の厚さの断熱材を用いて肉厚の薄い断熱パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による断熱パネルは、一対の板材(1,2)間に設けられる板状断熱材(3)がゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%からなる配合物よりなると共に、板状断熱材(3)の肉厚が1.0mm以下である構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パネルに関し、特に、極薄形の板状断熱材(ゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%の配合物よりなる)を用いることにより、従来よりも大幅に薄形化され耐熱性及び難燃性にすぐれた断熱パネルを得るための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられいたこの種の一般的な例えば、住宅用断熱パネルとしては、図6に示されるように、一対の板材1,2間に設けられた断熱材は、グラスウール又はウレタンフォームからなる断熱材3が採用されていた。
さらに、現在、断熱材として用いられている有機系断熱材としては、JIS A 9511のポリスチレン保温材及びJIS A 9514の硬質ポリウレタン保温材があるが、これらは弾力性及び断熱性については優れているものの、耐熱性は100℃以下と乏しく、更に、伸縮性を有するものではない。また、JIS A 9507に規定されている炭化コルク板は耐熱温度は130℃であり、断熱性は0.035Kcal/m時間℃(0℃での値)と良好であるが、弾力性に乏しい。また、これらの材質は耐熱性に乏しいばかりでなく、燃え易いという性質も有している。
【0003】
また、発泡剤をゴム組成物に配合としたものとしては、例えば特許文献1には、エチレンーαーオレフィン系共重合体ゴムに発泡剤を内包した熱可塑性中空樹脂を配合することを特徴とする発泡ゴム組成物が開示されている。そして、該公報には、発泡剤を内包した熱可塑性中空樹脂が発泡剤として揮発性炭化水素、好ましくはイソブタンを内包した熱可塑性中空樹脂であり、熱可塑性中空樹脂としては塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体等であることも開示されている。尚、この発泡ゴム組成物は、ゴム成分に配合成分を混合した後、発泡及び加硫可能温度にて発泡・架橋させるものである。
【0004】
さらに、特許文献2には、ゴム・プラスチックにマイクロカプセル状発泡剤を混合し、加熱して発泡させることを特徴とする発泡体の製造方法が開示されている。そして、該公報には、マイクロカプセル状発泡剤として、イソブタン等の炭化水素系の発泡剤を塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体等のガスバリヤー性の大きいポリマーで包んでものを使用することも例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−1541号公報
【特許文献2】特開昭59−138420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の住宅用断熱パネルは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述のグラスウール、ウレタンフォーム等は、その厚さが厚く、パネル化した時の総肉厚が極めて厚く、薄形化が困難であった。
また、燃えやすく、耐熱、難燃性に問題があった。また、特許文献1及び特許文献2に記載されているような材質は、肉厚が厚くなる反面、断熱性は良好であり、弾力性を有するものであるが、耐熱性は70℃程度と乏しく、燃え易いという性質を有している。従って、断熱性が良好で、且つ耐熱性及び弾力性に富み、更に、難燃性を有している有機性断熱材ではなく、住宅パネルに適用できるものではない。即ち、上記用途へ使用される断熱材は、無機材料から構成されるものが殆んどであり、JIS A 9505のグラスウール保温材はほぼ100%繊維から構成されているため、切断すると、作業性の悪化や作業環境に悪影響を及ぼす。また、弾力性及び伸縮性を有しておらず、その使用範囲は自ずから限定されてくる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による断熱パネルは、一対の板材間に板状断熱材を有する構成の断熱パネルにおいて、前記板状断熱材はゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%からなる配合物よりなる構成であり、また、前記板状断熱材の肉厚は1.0mm以下であり、前記板状断熱材を複数枚重ねて用いる構成であり、また、前記板状断熱材は、平板形状の平板体に形成されている構成であり、また、前記板状断熱材は、多数の凹部を有する少なくとも一対の凹部付き板体よりなり、前記各凹部付き板体を重合させ、前記各凹部を球状に重合させて内部に空隙が形成された構成であり、また、前記樹脂発泡体は、膨張性樹脂を加熱、発泡することにより得られている構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による断熱パネルは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、断熱パネルを構成する各板材の間に設ける板状断熱材が、ゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%からなる配合物より構成されているため、肉厚が1.0mm以下でも可能となると共に、曲折性、弾性、加工の容易性を有しているため、3次元成形が可能で、種々の形状に自在に加工し、薄型の断熱パネルを得ることができる。
また、板状断熱材が十分な弾性等を有しているため、防振、弾性効果、ビビリ音の防止、たてつけの向上を得ることができる。
また、板状断熱材が成形物でかつ肉薄であるため、従来のグラスウール等に比べると施工工事が容易で、スペースを取らず、人にも優しい工事及び仕上げとなる。
また、板状断熱材が+200℃から−60℃まで耐温度特性を有しているため、板状断熱材の適用範囲が従来よりも広くなる。
また、従来のウレタンフォームに比べると経年変化が少なく、信頼性が高くなる。
また、従来の断熱材よりも重量が大幅に軽くなる。
また、板状断熱材が極薄であるため、従来用いることが困難であった薄い部分又は狭い部分への適用が可能となると共に、商品が大幅に薄形化される。
また、板状断熱材が薄いため、形状のデザインが自由となり、着色も容易となる。
また、適用先としては、住宅の内装用、自動車の内装用、コンクリート(ALC等)の内装用、屋根材(瓦、スレート等)の断熱用として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による断熱パネルを示す断面図である。
【図2】図1の他の形態を示す断面図である。
【図3】本発明の施工例を示す断面図である。
【図4】図3の他例の断面図である。
【図5】図3の他例の断面図である。
【図6】従来の断熱パネルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、弾力性、伸縮性に富み、優れた断熱性を有し、難燃性でかつ折り曲げ自在で軽量であると共に、極薄形の断熱材(ゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%の配合物よりなる)を用いることにより、従来よりも大幅に薄形化され耐熱性及び難燃性に優れた断熱パネルを提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による断熱パネルの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号1,2で示されるものは石膏ボード、金属板、耐熱性樹脂等の耐熱性板等からなる板材であり、各板材1,2間には板状断熱材3が設けられている。
前記板状断熱材3は、一対の曲折自在な弾性を有する平板体3a,3bにより構成されている。従って、図1の断熱パネル10の構成の場合、従来の図6の断熱パネル10と比較するとその全体の総肉厚が実際には1/3〜1/5となる。
【0012】
また、図2で示される図1の他の実施の形態の場合、前記板状断熱材3が多数の例えば半球状の凹部11を有する凹部付き板体3A,3Bが互いに球状に重合して内部に空隙20を有する状態で各板材1,2間に設けられている。
前記板状断熱材3は、弾性を有しているため、各板体1,2を外側から内方へ向けて力を加えると、この断熱材3の各凹部11が変形して各板材1,2間の変形を吸収することができるように構成されている。この図2の構成の場合も、その全体の総肉厚は、図6の従来構成の例えば1/3から1/5位となる。尚、前述の断熱パネル10は、住宅の壁、床、天井、屋根、バス、バスユニットの壁、床、システムキッチンの保温庫、冷蔵庫等の壁の他に、断熱材3としては瓦やタイルのクッション及び断熱材に適用可である。すなわち、図3のように表面材10aを貼り付けて壁クロス材及び自動車内装材として利用でき、図4ではコンクリート壁10bに貼り付けて内装とし、図5のように屋根下地材10cと屋根材10dとの間に設けてクッションと断熱を得ることができる。
【0013】
さらに、断熱パネルを構成する各板材の間に設ける板状断熱材が、ゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%からなる配合物より構成されているため、肉厚が1.0mm以下(1.0mm以上2mm位でも可)でも可能となると共に、曲折性、弾性、加工の容易性を有しているため、3次元成形が可能で、種々の形状に自在に加工し、薄型の断熱パネルを得ることができる。
また、板状断熱材が十分な弾性等を有しているため、防振、弾性効果、ビビリ音の防止、たてつけの向上を得ることができる。
また、板状断熱材が形成物でかつ肉薄であるため、従来のグラスウール等に比べると施工工事が容易で、スペースを取らず、人にも優しい工事及び仕上げとなる。
また、板状断熱材が+200℃から−60℃まで耐温度特性を有しているため、板状断熱材の適用範囲が従来よりも広くなる。
また、従来のウレタンフォームに比べると経年変化が少なく、信頼性が高くなる。
また、従来の断熱材よりも重量が大幅に軽くなる。
また、板状断熱材が極薄であるため、従来用いることが困難であった薄い部分又は狭い部分への適用が可能となると共に、商品が大幅に薄形化される。
また、板状断熱材が薄いため、形状のデザインが自由となり、着色も容易となる。
また、バネ性(弾性)を有しているため、組立てた時に、各部品のガタ(クリアランス)を吸収することができ、不快な異音や共振によるビビリ音等をなくすことができる。
【0014】
前述の板状断熱材3の材質は、本発明において特に採用されているものである。すなわち、ゴムの配合量は、20〜90質量%、好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは50〜75質量%の範囲内である。ゴムの配合量が90質量%を超えると、得られる断熱材の密度が増加して熱伝導度が大きくなるために好ましくない。また、該配合量が20質量%未満となると、成形性が低下し、更に、伸縮性も低下するために好ましくない。なお、本発明の板状断熱材に使用可能なゴムとしては、例えばポリブタジエンゴム、アルフィンゴム、ハイスチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロプレンアクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム等を挙げることができる。これらのうち、耐熱性、電気絶縁性、低温での弾力性を考慮するとブチルゴムを使用することが好ましい。なお、上記ゴムは1種または2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。また、ゴムの分散性を向上させるために溶剤を併用してもよい。
【0015】
次に、本発明の板状断熱材3において、樹脂発泡体の配合量は、10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは25〜50質量%の範囲内である。樹脂発泡体の配合量が80質量%を超えると、成形性や伸縮性が低下し、更に、難燃化も難しくなるために好ましくない。また、該配合量が10質量%未満であると、得られる断熱材の密度が大きくなり、熱伝導度が高くなるために好ましくない。なお、本発明の断熱材に使用する樹脂発泡体は、例えば膨張性樹脂を100〜220℃の温度で3〜10分間程度に加熱処理して嵩比重を0.1g/cm以下、好ましくは0.05g/cm以下、粒径を15〜90μm程度、好ましくは50〜80μmの範囲内となるように発泡させたものである。ここで、膨張性樹脂としては、例えばイソブタン等の炭化水素系の発泡剤を塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体等のガスバリヤー性の大きい物質が包んだものを使用することができる。なお、このような膨張性樹脂としては例えば日本フィライト社製の「エクスパンセル」、松本油脂製製薬の「マイクロスフィアー」等を挙げることができ。
【0016】
本発明の板状断熱材3は、上述のような成分配合を有する配合物をニーダー、ワーナー、ミキサー等で充分に混練した後、押出成形機等で所定の厚さに成形し、その後50〜110℃で5〜60分程度乾燥することにより製造することができる。また、射出成形機等により所定形状に成形、乾燥することもできる。
【0017】
また、本発明の板状断熱材3には、必要に応じて無機フィラーを配合することができる。無機フィラーの配合量は、前記配合物100質量部に対して外割りで150質量部以下(ゼロを含まず)、好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは30〜70質量部の範囲内である。無機フィラーの配合量が外割りで150質量部を超えると、得られる断熱材の密度が大きくなるため、熱伝導率が高くなり、更に、ゴムのバインダーとしての効果が低下するために好ましくない。なお、無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カーボン、シリカ等を挙げることができる。これらの中で、離型性を考慮すると、タルクを使用することが好ましい。なお、これら無機フィラーは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
更に、本発明の板状断熱材3には、必要に応じて繊維を配合することができる。繊維の配合量は、前記配合物100質量部に対して外割りで50質量部以下(ゼロを含まず)、好ましくは2〜30質量部、更に好ましくは5〜15質量部の範囲内である。繊維の配合量が50質量部を超えると、成形時の原料の流れが悪くなり、成形性が低下するために好ましくない。本発明の板状断熱材に使用可能な繊維としては、例えばグラスファイバー、シリカファイバー、アルミナファイバー、ジルコニアファイバー、スラグウール、ロックウール、塩基性硫酸マグネシウム、ゾノトライト、硼酸アルミニウムウィスカー、二チタン酸カリウムウィスカー、四チタン酸カリウムウィスカー、六チタン酸カリウムウィスカー、八チタン酸カリウムウィステータカー等の人造無機繊維、ウォラストナイト、セビオライト、アタパルジャイト、繊維状石膏、モルデナイト等の天然無機繊維、ビニロン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリクラール、アラミド等の人造有機繊維、絹等の天然有機繊維等を挙げることができる。これらの中で、強度、難燃性、耐熱性の面からグラスファイバーを使用することが好ましい。まお、これらの繊維は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
更に、本発明の板状断熱材3には、必要に応じて難燃剤を配合することができる。難燃剤の配合量は、前記配合物100質量部に対して外割りで100質量部以下(ゼロを含まず)、好ましくは20〜80質量部、更に好ましくは35〜65質量部の範囲である。難燃剤の配合量が100質量部を超えてもそれに伴う添加効果の向上は認められないために好ましくない。尚、本発明の断熱材に使用可能な難燃剤としては、例えば三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ホウ酸亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、TBA−エポキシオリゴマー/ポリマー、TBA−カーボネートオリゴマー、TBA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル),TBA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS(TBS)、TBS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、臭素化フェニルグリシジルエーテル、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、テトラブロモ無水フタル酸、臭素化(アルキル)フェノール、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、臭素化ポリスチレン、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレートモノマー/ポリマー、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ビス(トリブロモフェノキシエタン)、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、芳香族燐酸エステル類、芳香族縮合燐酸エステル類、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスβークロロプロピルホスフェート、含ハロゲン燐酸エステル類、含ハロゲン縮合燐酸エステル類、ポリ燐酸アンモニウム/アミド、ポリ燐酸塩類、赤燐系を挙げることができる。これらの中で、本発明の断熱材3に使用するゴム、樹脂発泡体の融点より10℃程度低い融点をもつ難燃剤を使用することが好ましい。なお、上記難燃剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
また、本発明の板状断熱材3には、必要に応じて脂肪酸系金属石鹸を配合することができる。脂肪酸系金属石鹸の配合量は、前記配合物100質量部に対して外割りで50質量部以下(ゼロを含まず)、好ましくは5〜30質量部、更に好ましくは10〜15質量部の範囲内である。脂肪酸系金属石鹸の配合量が50質量部を超えても、それに伴うだけの撥水性の向上は期待できないために好ましくない。本発明の板状断熱材に使用可能な脂肪酸系金属石鹸としては、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸銅、オレイン酸カルシウム等を挙げることができる。これらの中で、滑剤としての効果を考慮すると、ステアリン酸カルシウムを使用することが好適である。なお、これらの脂肪酸系金属石鹸は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
更に、本発明の板状断熱材3には、必要に応じてゴム配合剤を配合することができる。ゴム配合剤の配合量は、前記配合物100質量部に対して外割りで50質量部以下(ゼロを含まず)、好ましくは1〜30質量部、更に好ましくは3〜10質量部の範囲内である。ゴム配合剤の配合量が50質量部を超えても、それに見合うだけの配合効果が得られないために好ましくない。なお、本発明の断熱材に使用可能なゴム配合剤としては、例えば可塑剤、老化防止剤、滑剤、加硫剤、加硫促進剤、促進助剤、加硫遅延剤、着色剤等を挙げることができる。なお、これらのゴム配合剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明の板状断熱材3には、必要に応じて上述のような無機フィラー、繊維、難燃剤、脂肪酸系金属石鹸並びにゴム配合剤等を配合することができるが、これらの成分は単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0023】
なお、上述のような成分配合を有する配合物をニーダー、ワーナー、ミキサー等で充分に混練した後、押出成形機等で所定の厚さに成形し、その後50〜110℃で5〜60分程度乾燥することにより本発明の断熱材を製造することができる。また、射出成形機等により所定形状に成形、乾燥することもできる。
【0024】
実施例
以下の表1に示す配合割合を有する配合物を、ニーダーにて混練後、得られた混練物を押出成形機で厚さ1.0mmのシート状に押出し、得られたシートを70℃で6分間乾燥することにより、本発明品の板状断熱材3を得た。得られた板状断熱材3の諸特性を表1に併記する。
【表1】

【0025】
なお、表1中、樹脂発泡体は、日本フィライト社製の「エクスパンセル」を180℃で6分間に加熱処理して発泡させ、粒径50〜80μm、嵩比重0.02g/cm以下としたものを使用した。
また、難燃剤1としては、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)/三酸化アンチモン混合物〔(株)鈴裕化学社製:ファイヤーカットPー1590〕を、難燃剤2としては、TBA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)〔帝人化成(株)社製:ファイヤーガード3100〕を、難燃剤3としては、TBA−カーボネートオリゴマー〔帝人化成(株)社製:ファイヤーガード8500〕を、難燃剤4としては、三酸化アンチモン〔(株)鈴裕化学社製:ファイヤーカットAT−3〕をそれぞれ使用した。
また、ゴム配合剤としては、カヤセットブラックA−N〔日本化薬(株)社製(商品名):有機系黒色着色剤〕を使用した。
【0026】
また、表1中の断熱性は、JIS A 1412に準じて測定したものであり、○は0.025Kcal/m時間℃以下、△は0.025〜0.050Kcal/m時間℃、×は0.050Kcal/m時間℃以上をそれぞれ示す。
また、伸縮性は、100mm×20mm×1.0mmの寸法の供試体を手で引張ることにより観察したものであり、○は手で引張っても元の長さに戻る、△は手で軽く引張っても元の長さに戻る、×は手で軽く引張ると切れてしまうをそれぞれ示す。
また、引張強度は、JIS R 3453に準じて測定したものであり、○は0.6MPa以上、△は0.2〜0.6MPa、×は0.2MPa以下をそれぞれ示す。
また、難燃性は、150mm×50mm×1.0mmの寸法の供試体を水平に置き、端部からバーナーで火を着け、破損した長さを測定することにより評価したものであり、○は破損した長さが60mm以下で、残炎時間2秒以下、△は破損した長さが60mm以下で、残炎時間10秒以下、×は破損した長さが60mm以上で、残炎時間10秒以上をそれぞれ示す。
また、撥水性は、50×50×1.0mmの供試体を水に24時間浸漬した前後の質量を測定することにより吸水率を測定したものであり、○は吸水率が3%以下、△は吸水率が3〜10%、×は吸水率が10%以上をそれぞれ示す。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明による断熱パネルは、住宅の壁等に限ることなく、天井、屋根、バス、バスユニット、システムキッチン、冷蔵庫、自動車等のあらゆる断熱個所に適用できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1,2 板材
3 板状断熱材
3A,3B 凹部付き板体
11 凹部
20 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の板材(1,2)間に板状断熱材(3)を有する構成の断熱パネルにおいて、前記板状断熱材(3)はゴム20〜90質量%及び樹脂発泡体10〜80質量%からなる配合物よりなることを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
前記板状断熱材(3)の肉厚は1.0mm以下であり、前記板状断熱材(3)を複数枚重ねて用いることを特徴とする請求項1記載の断熱パネル。
【請求項3】
前記板状断熱材(3)は、平板形状の平板体(3a,3b)に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の断熱パネル。
【請求項4】
前記板状断熱材(3)は、多数の凹部(11)を有する少なくとも一対の凹部付き板体(3A,3B)よりなり、前記各凹部付き板体(3A,3B)を重合させ、前記各凹部(11)を球状に重合させて内部に空隙が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の断熱パネル。
【請求項5】
前記樹脂発泡体は、膨張性樹脂を加熱、発泡することにより得られていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168966(P2011−168966A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31120(P2010−31120)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(510042792)
【Fターム(参考)】