断熱壁とそれを適用した建物および住宅
【課題】容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を提供する。
【解決手段】断熱壁1は、室内空間を構成する面材で断熱改修部位となる既存の建物の内壁2と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に固形化無機繊維芯材12が減圧密封され内壁2の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12がある芯材部の厚みより厚く真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように内壁2に固定された胴縁6と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8とからなる。
【解決手段】断熱壁1は、室内空間を構成する面材で断熱改修部位となる既存の建物の内壁2と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に固形化無機繊維芯材12が減圧密封され内壁2の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12がある芯材部の厚みより厚く真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように内壁2に固定された胴縁6と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁に真空断熱材を用いた断熱壁と、それを適用した建物および住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制(地球環境保護)の観点より、家電製品や産業機器の省エネルギー化と並び住宅等の建物の省エネルギー化も取り組むべき重要な課題となっている。そのため、様々な断熱材の適用や各種断熱壁が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に示されているように、昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅(築24年の木造在来軸組工法2階建て住宅)の2階天井及び1階床下の断熱改修を行った場合、天井では小屋裏の既存断熱を残し、その上に新規断熱材を吹き込み、また床では床下から根太間に断熱材を充填し根太下にも同様の断熱材の充填を行う。施工はそれぞれ作業員3名(約5時間)・監督1名、作業員5名(約10時間)・監督2名で行い、約16万円と約37万円の費用がかかっている。
【0004】
図29は、特許文献1により開示されている従来の断熱壁の概略断面図である。図29に示すように、特許文献1における従来の断熱壁は、躯体α上にボード102を形成した下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成し、次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103上に乾式壁材107を施工している。
【非特許文献1】齋藤宏昭ら、”昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅を対象とする実用的断熱改修方法の検証”、独立行政法人 建築研究所、2006年
【特許文献1】特開平7−11717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の断熱改修(非特許文献1)では、2階天井の施工においては作業員3名(約5時間)・監督1名で約16万円の費用を要し、1階床下の施工においては作業員5名(約10時間)・監督2名で約37万円の費用を要する。
【0006】
また特許文献1による従来の断熱壁では、住宅駆体の断熱性能を向上させるため、下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地101全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成する。次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103の表面に貼付した粘着テープによって、胴縁103上に防水シート106と乾式壁材107を施工する。
【0007】
このように、断熱改修については本格的な工事が伴い、簡易に高性能な断熱改修を行うことが困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の断熱壁は、室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に固形化無機繊維芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材がある芯材部の厚みより厚く前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように前記面材に固定された胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなる。
【0010】
これにより、室内空間を構成する面材(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に真空断熱材を設け(固定し)、次に、胴縁を、真空断熱材における外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように固定し、次に、真空断熱材と胴縁とを室内側から覆い隠すボード材を、胴縁の室内側の面と接触するように胴縁に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0011】
また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0012】
また、胴縁を面材に固定した後は、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定を、胴縁を面材に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0013】
また、胴縁の厚みが芯材部の厚みより厚いので、ボード材が真空断熱材の芯材部により圧迫されることがない。これにより、ボード材を平面状態に施工することができる。また、ボード材による負荷が芯材部にかかりにくいため、外被材が損傷し難くなり真空断熱材の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁を維持することができる。
【0014】
また、胴縁と芯材部の厚みの差を、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨む場合の芯材部の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨れ厚くなった時に、ボード材と芯材部との隙間で、芯材部の厚みの増加分を吸収でき、ボード材が芯材部により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0015】
なお、ボード材と芯材部との隙間は、15mm以下であることが好ましく、上記隙間が15mm以下であれば、隙間の空気の対流を抑えることができ、隙間の空気の対流による断熱壁の断熱性の悪化を抑えることができる。
【0016】
また、真空断熱材の芯材が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材よりも、真空断熱材の膨らみが小さい。
【0017】
また、真空断熱材を面材に配置(固定)後に胴縁を面材に固定するため、胴縁を面材に固定した後に真空断熱材を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0018】
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の断熱壁は、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0020】
また、真空断熱材を用いているので、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0021】
また、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定を、胴縁を面材に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0022】
また、胴縁の厚みが芯材部の厚みより厚いので、ボード材が真空断熱材の芯材部により圧迫されることがない。これにより、ボード材を平面状態に施工することができる。また、ボード材による負荷が芯材部にかかりにくいため、外被材が損傷し難くなり真空断熱材の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁を維持することができる。
【0023】
また、胴縁と芯材部の厚みの差を、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨む場合の芯材部の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨れ厚くなった時に、ボード材と芯材部との隙間で、芯材部の厚みの増加分を吸収でき、ボード材が芯材部により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0024】
また、真空断熱材の芯材が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材よりも、真空断熱材の膨らみが小さい。
【0025】
また、真空断熱材を面材に配置(固定)後に胴縁を面材に固定するため、胴縁を面材に固定した後に真空断熱材を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0026】
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の請求項1に記載の断熱壁の発明は、室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に固形化無機繊維芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材がある芯材部の厚みより厚く前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように前記面材に固定された胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなる。
【0028】
これにより、室内空間を構成する面材(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に真空断熱材を設け(固定し)、次に、胴縁を、真空断熱材における外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように固定し、次に、真空断熱材と胴縁とを室内側から覆い隠すボード材を、胴縁の室内側の面と接触するように胴縁に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0029】
また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0030】
また、胴縁を面材に固定した後は、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定を、胴縁を面材に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0031】
また、胴縁の厚みが芯材部の厚みより厚いので、ボード材が真空断熱材の芯材部により圧迫されることがない。これにより、ボード材を平面状態に施工することができる。また、ボード材による負荷が芯材部にかかりにくいため、外被材が損傷し難くなり真空断熱材の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁を維持することができる。
【0032】
また、胴縁と芯材部の厚みの差を、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨む場合の芯材部の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨れ厚くなった時に、ボード材と芯材部との隙間で、芯材部の厚みの増加分を吸収でき、ボード材が芯材部により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0033】
なお、ボード材と芯材部との隙間は、15mm以下であることが好ましく、上記隙間が15mm以下であれば、隙間の空気の対流を抑えることができ、隙間の空気の対流による断熱壁の断熱性の悪化を抑えることができる。
【0034】
また、真空断熱材の芯材が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材よりも、真空断熱材の膨らみが小さい。
【0035】
また、真空断熱材を面材に配置(固定)後に胴縁を面材に固定するため、胴縁を面材に固定した後に真空断熱材を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0036】
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0037】
また、請求項2に記載の断熱壁の発明は、請求項1に記載の発明において、胴縁に、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁を用いたものであり、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁は、合板製胴縁よりも熱伝導率が約1/4程度は小さく良好である。このため、合板製の胴縁を用いる場合に比べて断熱壁の断熱性能を向上できる。
【0038】
また、請求項3に記載の断熱壁の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記真空断熱材に、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されている真空断熱材を用いたものである。
【0039】
これにより、請求項1または2に記載の発明の作用効果に加えて、本発明に用いる真空断熱材は、外被材同士が密着する全ての部分の外被材同士が熱溶着されている真空断熱材であり、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広く、それにより胴縁と熱溶着部との接触面積を広くできるため、胴縁と熱溶着部との接触面積を広くして胴縁と面材とによって真空断熱材をより確実に固定できる。
【0040】
また、熱溶着部が胴縁から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁と熱溶着部との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁と熱溶着部との接触面積を広くして胴縁による真空断熱材の熱溶着部の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、胴縁と熱溶着部との接触で熱溶着部が損傷したり、真空断熱材を芯材部から所定間隔以上離れた熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定したり、胴縁を胴縁と芯材部から所定間隔以上離れた熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定したり、ボード材をボード材と胴縁と芯材部から所定間隔以上離れた熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定した場合でも、熱溶着部の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材側に充分な幅の熱溶着部が残るので、真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
【0041】
また、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚みに垂直な方向で外被材の間に芯材がある部分と胴縁との間隔を狭くしても、外被材の損傷で真空断熱材の断熱性能が悪化する可能性が少なく、そのため、芯材部(外被材の間に芯材がある部分)と胴縁との間隔を狭くして断熱壁における真空断熱材の有効断熱部である芯材部の被覆率を高めて断熱壁の全体の断熱性能を高めることができる。
【0042】
また、請求項4に記載の断熱壁の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記真空断熱材が、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定されるものであり、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材としては、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材を用いることができる。
【0043】
また、請求項5に記載の建物の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用したものであり、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。
【0044】
また、請求項6に記載の住宅の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用したものであり、請求項5に記載の建物の発明の効果に加え、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0045】
次に、真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
【0046】
芯材に使用する固形化している無機繊維体は、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料であり、固形化の方法例としては、前記無機繊維体がグラスウールの場合、350〜500℃の温度で芯材の密度が150〜250kg/m3になるように5〜15分加圧することにより、固形化された芯材を作製する。その後、前記芯材を所定寸法に切断することにより、真空断熱材に使用する固形化された芯材が得られる。
【0047】
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
【0048】
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
【0049】
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
【0050】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0051】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における断熱壁を水平な平面で上下に切断し下側の切断面を上から見た場合の要部断面図、図2は同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の断面図、図3は同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の平面図である。
【0052】
図4は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定した状態を示す平面図、図5は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の三列と中段の左側の列にそれぞれ真空断熱材を固定した状態を示す平面図、図6は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に複数の真空断熱材を固定し終えた状態を示す平面図である。
【0053】
図7は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定した状態を示す平面図、図8は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定した状態を示す平面図、図9は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁にボード材を固定し終えた状態を室内側から見た平面図である。
【0054】
図10は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を配置した状態を示す断面図、図11は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図、図12は図4のA−A断面図である。
【0055】
図13は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図、図14は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図、図15は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図である。
【0056】
図16は図6のB−B断面図、図17は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定している状態を示す断面図、図18は図7のD−D断面図、図19は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定している状態を示す断面図、図20は図8のF−F断面図、図21は図9のG−G断面図、図22は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図、図23は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図、図24は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図、図25は図6のC−C断面図、図26は図7のE−E断面図、図27は図9のH−H断面図である。
【0057】
図1から図27に示すように、本発明の実施の形態1における断熱壁1は、室内空間を構成する面材で断熱改修部位となる既存の建物の内壁2と、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな長方形の外被材11の間にガラス繊維などの無機繊維の積層体を固形化した厚さが8mm前後の長方形の板状の二つの芯材12が厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置されて、二つの芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置するように減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)に外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向(三段)と横方向(三列)に碁盤目状に並べて設けられ、外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16における芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた箇所を貫通して内壁2に突き刺さるタッカー3で内壁2に固定された複数(九枚)の真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように設けられた樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる幅約16mmの胴縁6と、胴縁6と芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16とを貫通して内壁2に突き刺さることにより胴縁6を内壁2に固定する固定部材であるタッカー5と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠す石膏ボードからなる二枚のボード材8と、ボード材8と胴縁6と芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16とを貫通して内壁2に突き刺さることによりボード材8を胴縁6と内壁2とに固定する固定部材である釘7と、釘7で胴縁6と内壁2とに固定されたボード材8の室内側面を覆う内装材となる壁紙(図示せず)とからなる。
【0058】
本実施の形態の真空断熱材4は、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されており、真空断熱材4の外周部分には外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された幅約22mmのヒレ部18がある。
【0059】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なっている。
【0060】
また、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なっている。
【0061】
本実施の形態における内壁2は、室内側からコの字形の金属製の固定具であるタッカーやネジや釘を打ち込み可能な材料からなり所定の厚みを有するものである。
【0062】
内壁2の裏面(反室内側の面)には鉛直方向に柱9が複数(外枠となる2本を含めて合計7本)あり、水平方向に外枠となる2本の柱9があり、タッカー5と釘7は、内壁2を貫通して柱9に突き刺ささっている。換言すれば、タッカー5と釘7は、できるだけ、内壁2の裏面(反室内側の面)に柱9がある部分を狙って打ち込むことができるように断熱壁1を構成する各部材の寸法を設定している。もし、内壁2の厚みと強度が充分にあれば、タッカー5または釘7を内壁2の裏面(反室内側の面)に柱9がない部分に打ち込んでも構わない。
【0063】
本実施の形態では、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を用いているが、熱伝導し難くタッカーやネジや釘を打ち込み可能な材料で構成されたコルク等の他の胴縁を用いても構わない。
【0064】
胴縁7の厚みは、真空断熱材4がボード材8から強い押圧力を受けないように、真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄くしている。図面では、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設ける胴縁6の厚さが、真空断熱材4の厚み方向にヒレ部18が重なっていない部分に設ける胴縁6の厚さより、ヒレ部18の厚さの分だけ薄くなっているが、実際のヒレ部18の厚さは、真空断熱材4の密封された状態の芯材12の厚みと比較して充分に薄いため、胴縁6の厚さを全て同じにしても、問題はない。
【0065】
本実施の形態では、ボード材8に石膏ボードを用いているが、剛性を有し、断熱壁1の室内側面を仕上ることができるものであれば、他のボードを選定しても構わない。
【0066】
真空断熱材4は、ヒレ部18の幅を広くするほど、熱溶着部16を貫通する固定用の部材によってできた貫通孔から外気が芯材12を密閉する空間に侵入して時間の経過によって断熱壁1(または真空断熱材4)の断熱性能が低下する可能性が低くなる。
【0067】
真空断熱材4における外被材11(熱溶着層10)の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅を狭くすればする程、ヒレ部18の端部から外被材11同士を熱溶着した部分を通じて芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材12を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部15の断熱性能が低下する。
【0068】
本実施の形態で用いる真空断熱材4は、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なり、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に重なるように設けたので、真空断熱材4の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部18の幅(真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する内壁2(面材)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
【0069】
本実施の形態の真空断熱材4は、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なるように設けるので、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18が他方の下側の真空断熱材4の上側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なるように設ける実施の形態1の真空断熱材4よりも、芯材部15の縦方向の寸法が10mm前後大きくなる。
【0070】
したがって、本実施の形態の断熱壁1は、真空断熱材4のヒレ部18の幅を実施の形態1と同じにしながら、室内空間を構成する内壁2(面材)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を、実施の形態1よりも大きくすることができる。したがって、実施の形態1よりも断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
【0071】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なっている部分に幅約16mmの胴縁6が固定されている。
【0072】
また、内壁2(面材)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4は、自身の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)と、内壁2(面材)との間にある別の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して内壁2(面材)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定される。
【0073】
本実施の形態の真空断熱材4の芯材12の厚みは8mm前後であるが、8mm前後の厚みに限定するものではない。芯材12の厚みが薄いほど、芯材12の周囲に外被材11の皺ができにくく、外被材11同士を芯材12の近くまで容易に熱溶着できるが、芯材12の厚みが薄い分、真空断熱材4の断熱性能は低下する。逆に、芯材12の厚みが厚いほど、芯材12の周囲に外被材11の皺ができやすく、外被材11同士を芯材12の近くまで熱溶着することが難しくなるが、芯材12の厚みが厚い分、真空断熱材4の断熱性能は高くなる。
【0074】
芯材12は、繊維の長手方向が真空断熱材4(芯材12)の厚み方向(伝熱方向)に対して略垂直になっているグラスウール等の無機繊維集合体を所定厚みになるように積層したものをバインダーを用いずに無機繊維同士の接触点が架橋部とならずに圧縮時の形状を保持できるよう所定の加熱加圧条件(例えば、350〜500℃の温度で芯材12の密度が150〜250kg/m3になるように5〜15分加圧)で加熱加圧成形したものを使用している。
【0075】
繊維の長手方向が厚み方向に対して略垂直になるように抄造法で成形したものや、繊維の長手方向が厚み方向に対して略垂直になっている無機繊維集合体を所定厚みになるように積層したものを無機バインダーを用いて成形したもの、繊維の長手方向が厚み方向に対して略垂直になっている無機繊維集合体を所定厚みになるように積層したものに水または酸性の水溶液を噴霧して無機繊維からの溶出物を無機繊維同士の接触点に集めて成形したもの、バインダーの働きをする無機粉体を無機繊維に混合して成形したものでも構わないが、本実施の形態の芯材12よりは、断熱性能が劣る。
【0076】
また、無機材料からなる芯材の方が、有機材料からなる芯材よりも、ガスの発生量が少ないという点で有利であり、繊維材料からなる芯材の方が、粒や粉からなる芯材よりも、製造時や真空断熱材または断熱壁の廃棄の取り扱いの点で有利である。
【0077】
本実施の形態における外被材11は、図2に示すように、熱溶着層10と保護層13との間にガスバリア層14を有するラミネートフィルムからなり、芯材12側の熱溶着層10としてはポリエチレン等が用いられ、ガスバリア層14としては10μm以下のアルミ箔が用いられ、ガスバリア層14の外側の保護層13としてはナイロンまたはポエチレンテレフタレート等が用いられる。なお、保護層13はナイロンまたはポエチレンテレフタレートからなるフィルムを二層重ねて構成することもある。なお、ガスバリア層14としては、アルミ箔等の金属箔の他に、樹脂フィルムの表面に蒸着または塗布または蒸着と塗布の組み合わせによりガスバリア層を形成したものでも構わない。
【0078】
真空断熱材4は、内面に熱溶着層10を有するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材11内に二つの芯材12を厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置して例えば0.1Torr以下の減圧空間内において減圧密封した後、外被材11の外圧を大気圧にして外被材11の外圧と内圧との差圧で外被材11の間に芯材12がない部分の外被材11同士を密着させ、前記差圧で外被材11同士が密着している部分に熱溶着層10が溶融するのに必要な熱を非接触で加えて、密着している外被材11同士を熱溶着する製造方法により得られる。
【0079】
ここで、減圧空間内において外被材11内に芯材12を減圧密封する工程は、例えば0.1Torr以下に減圧された真空包装機の減圧チャンバー内で、芯材12が挿入された袋状の外被材11の開口部を、一対の熱溶着バーで挟んで加熱加圧により熱溶着するものであっても、真空包装機の減圧チャンバー内で、芯材12を覆う二枚の外被材11の外周部同士を全周に亘って一対の熱溶着バーで挟んで加熱加圧により熱溶着するものであっても構わない。
【0080】
また、外被材11内に芯材12を減圧密封する工程と、外被材11の外圧を大気圧にして外被材11の外圧と内圧との差圧で密着している外被材11同士を熱溶着する工程とを、内部空間の真空排気と真空開放が可能なチャンバー内で行っても良いし、減圧空間内において外被材11内に芯材12を減圧密封したものを、減圧空間から取り出すことにより、外被材11の外圧を大気圧にしても良い。
【0081】
また、非接触で加える熱溶着層10が溶融するのに必要な熱は、ヒータの輻射熱と周囲の温度とすることができ、また、非接触で加える熱溶着層10が溶融するのに必要な熱は、外被材11全体を加熱するものであっても構わない。
【0082】
また、真空断熱材4の外周にできる外被材11の外周部同士が熱溶着された外周ヒレ部18は、外周ヒレ部18の幅が必要以上に広い場合は、芯材12の周囲に所定幅(例えば22mm)の外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16が残るように切り落としている。このとき、真空断熱材4の外周ヒレ部18の四つの角が、作業者や他の部材(特に、重ねる他の真空断熱材4)を傷つけないように、真空断熱材4の外周ヒレ部の四つの角を丸くすることが好ましい。
【0083】
また、真空断熱材4は、図3に示すように、外被材11(熱溶着層10)の間に芯材12がある芯材部15と、外被材11(熱溶着層10)の間に芯材12が無く外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16とを有しており、本実施の形態で用いる真空断熱材4は、芯材部15が、縦方向に長い長方形で横方向に二つ並んでおり、熱溶着部16が、二つの芯材部15の間に位置する幅約26mmの芯材間熱溶着部17と、真空断熱材4の外周ヒレ部18(二つの芯材部15及び芯材間熱溶着部17の外周)に位置する幅約22mmの外周熱溶着部とからなる。
【0084】
本実施の形態で用いる真空断熱材4は、芯材部15が横方向に二つ並んでいるものであるが、これに限らず、芯材部15が横方向に三つ以上並んでいるものでも、芯材部15が縦方向に二つ以上並んでいるものでも、芯材部15が横方向と縦方向に複数列複数段碁盤目状に配置されているものでも構わない。また、本実施の形態で用いる真空断熱材4は、一種類であるが、大きさや形状の異なる複数種類の真空断熱材を組み合わせたり、芯材部15が一つの真空断熱材を組み合わせても構わない。また、真空断熱材4の配置が困難な箇所に、真空断熱材4の代わりに、所定形状の発泡断熱材を設けても構わない。
【0085】
本実施の形態では、芯材間熱溶着部17の幅を約26mm、外周ヒレ部18(外周熱溶着部)の幅を約22mmとしているが、20mm〜40mm(好ましくは22mm〜32mm)であれば良い。
【0086】
熱溶着部16の芯材部15側の端部の位置が、真空断熱材4の厚み方向の中央にある場合は、芯材12または芯材部15の厚みが厚くなる程、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅と芯材間熱溶着部17を広くする必要がある。例えば、真空断熱材の芯材部の厚さが8mmで、真空断熱材の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部までのヒレ部18の幅が20mmの場合は、真空断熱材の外周部分のヒレ部18が面材に密着可能な幅は、約13mmから約15mmとなり、真空断熱材の芯材部の厚さが12mmで、真空断熱材の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅が40mmの場合は、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18が面材(内壁2)に密着可能な幅は、約31mmから約33mmとなる。
【0087】
また、胴縁6は、真空断熱材4における外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16でのみ真空断熱材4と接触している。
【0088】
また、隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側には胴縁6があり、隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側に位置する胴縁6には、隣接する一方のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7と隣接する他方のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7の両方が貫通している。
【0089】
以下、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2を本実施の形態の断熱壁1にする手順を、図4から図27を参照しながら説明する。
【0090】
まず、図4に示すように、既存の建物の内壁2の角部(例えば左下の角部)から、図3に示す真空断熱材4を、芯材部15が横方向(左右方向)に並ぶような向きで、図10に示すように芯材部15の片面が密着し、さらに芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)が建物の内壁2に可能な限り広い幅で密着するように芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)を折り曲げて設置位置を決定し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、図11と図12に示すように、芯材間熱溶着部17の中心線上と、ヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着し芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた部分(ヒレ部18における内壁2に密着している部分の幅方向中央部分より約1〜2mm程度外側)をタッカー3で内壁2に固定する。
【0091】
このとき、既存の建物の内壁2の表面の突起物や内壁2の表面に付着した異物で、内壁2に密着する芯材部15の外被材11が傷つかないように、予め、真空断熱材4を配設する面を平滑面にしておくことが望ましい。また、真空断熱材4を配設する面を平滑面にする代わりに、真空断熱材4の配設位置などを記した紙などの保護シートを、内壁2における真空断熱材4を配設する面に設けても構わない。
【0092】
タッカー3は、タッカー3に近接する芯材部15の縁(辺)とタッカー3の二つの先端部を結ぶ線が、略平行になるように打ち込む。本実施の形態では、左下の角部(下段の左側の列)に固定する一枚目の真空断熱材4を、芯材間熱溶着部17と左側のヒレ部18と右側のヒレ部18を、それぞれ四つのタッカー3で固定し、上側のヒレ部18と下側のヒレ部18を、それぞれ六つのタッカー3で固定した。その結果、芯材部15は、上側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、下側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、芯材間熱溶着部17を貫通する四つのタッカー3と、左側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3と、右側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3とで固定される。
【0093】
また、ヒレ部18(外周熱溶着部)に釘7を打ち込む領域を確保するために、上側のヒレ部18と芯材間熱溶着部17が交差する部分と、下側のヒレ部18と芯材間熱溶着部17が交差する部分と、上側のヒレ部18と左側のヒレ部18が交差する部分と、下側のヒレ部18と左側のヒレ部18が交差する部分と、上側のヒレ部18と右側のヒレ部18が交差する部分と、下側のヒレ部18と右側のヒレ部18が交差する部分には、タッカー3を打ち込まないようにしている。
【0094】
また、隣接するタッカー3同士は、所定間隔あけており、芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)にタッカー5を打ち込む領域を確保している。
【0095】
既存の建物の内壁2の角部(左下の角部)に一枚目の真空断熱材4をタッカー3で固定し終えたら、次の二枚目の真空断熱材4を、図13に示すように、芯材部15が横方向(左右方向)に並ぶような向きで、芯材部15の片面が密着し、左側のヒレ部18(外周熱溶着部)が左側(一枚目)の真空断熱材4の右側のヒレ部18における内壁2に密着した部分と密着し、さらに芯材間熱溶着部17と上側と下側と右側のヒレ部18(外周熱溶着部)が建物の内壁2に可能な限り広い幅で密着するように芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)を折り曲げて、左側(一枚目)の真空断熱材4の右側のヒレ部18と右側(二枚目)の真空断熱材4の左側のヒレ部18が真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なるように配置し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、図14と図15に示すように、芯材間熱溶着部17の中心線上と、ヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着し芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた部分(ヒレ部18における内壁2に密着している部分の幅方向中央部分より約1〜2mm程度外側)を、一枚目の真空断熱材4の場合と同様に、タッカー3で内壁2に固定する。
【0096】
なお、二枚目の真空断熱材4における左側(一枚目の真空断熱材4側)のヒレ部18を固定するタッカー3は、二枚目の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)と、一枚目の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して内壁2(面材)に突き刺さることになるが、一枚目の真空断熱材4のヒレ部18を固定したタッカー3とは位置がずれているので、タッカー3同士は衝突しない。
【0097】
二枚目の真空断熱材4をタッカー3で固定し終えたら、次の三枚目の真空断熱材4を、二枚目の真空断熱材4の場合と同様に、タッカー3で内壁2に固定する。三枚目の真空断熱材4を、図16に示すような状態に、タッカー3で固定し終えたら、下段の三列が終了する。
【0098】
本実施の形態では、ヒレ部18が重なる部分において、タッカー3同士が衝突しないように、近接するタッカー3同士の位置をヒレ部18(外周熱溶着部)の幅方向にずらしたが、周方向に(真空断熱材4または芯材部15の辺に沿って)ずらしても構わない。
【0099】
三枚目の真空断熱材4をタッカー3で固定し終え、下段の三列が終了したら、図5に示すように、中段の左側(一列目)に四枚目の真空断熱材4を、芯材部15が横方向(左右方向)に並ぶような向きで、芯材部15の片面が密着し、下側のヒレ部18(外周熱溶着部)の端部が下側(一枚目)の真空断熱材4の芯材部15の上に重なり、さらに芯材間熱溶着部17と上側と左側と右側のヒレ部18(外周熱溶着部)が建物の内壁2に可能な限り広い幅で密着するように芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)を折り曲げて、上側(四枚目)の真空断熱材4の芯材部15と下側(一枚目)の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、上側(四枚目)の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が下側(一枚目)の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なるように配置し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、芯材間熱溶着部17と左側のヒレ部18と右側のヒレ部18を、それぞれ四つのタッカー3で内壁2に固定し、上側のヒレ部18を、六つのタッカー3で内壁2に固定する。その結果、芯材部15は、上側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、芯材間熱溶着部17を貫通する四つのタッカー3と、左側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3と、右側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3で内壁2に固定される。
【0100】
五枚目の真空断熱材4は、左側(四枚目)の真空断熱材4の右側のヒレ部18と右側(五枚目)の真空断熱材4の左側のヒレ部18が真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なり、上側(五枚目)の真空断熱材4の芯材部15と下側(二枚目)の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、上側(五枚目)の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が下側(二枚目)の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なるように配置し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、芯材間熱溶着部17と左側のヒレ部18と右側のヒレ部18を、それぞれ四つのタッカー3で内壁2に固定し、上側のヒレ部18を、六つのタッカー3で内壁2に固定する。その結果、芯材部15は、上側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、芯材間熱溶着部17を貫通する四つのタッカー3と、左側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3と、右側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3で内壁2に固定される。
【0101】
六枚目の真空断熱材4は、五枚目の真空断熱材4と同様にして、内壁2の中段の右側(三列目)にタッカー3で内壁2に固定し、七枚目の真空断熱材4は、四枚目の真空断熱材4と同様にして、内壁2の上段の左側(一列目)タッカー3で内壁2に固定し、八枚目、九枚目の真空断熱材4は、五枚目の真空断熱材4と同様にして、タッカー3で内壁2に固定して、図6と図16と図25に示すように、縦に三段、横に三列の真空断熱材4で、内壁2の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)を覆う。
【0102】
本実施の形態で、中段と上段の真空断熱材4の下側のヒレ部18をタッカー3で固定しないのは、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭いために、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18をタッカー3で固定すると、縦方向に隣接する他方の下側の真空断熱材4の芯材部15または下側の真空断熱材4の芯材部15近傍(芯材部15から所定間隔(例えば12mm)離れていない部分)の上側のヒレ部18をタッカー3が貫通するため、下側の真空断熱材4の芯材部15の芯材12を密閉する空間に外気が侵入して下側の真空断熱材4の断熱性能が悪化する虞があるためである。
【0103】
本実施の形態では、内壁2の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)を、縦に三段、横に三列の九枚の真空断熱材4で覆ったが、真空断熱材4の段数、列数、枚数は、これに限るものではない。
【0104】
また、本実施の形態では、左下の角部から、真空断熱材4の固定を始めたが、これに限らず、右下、左上、右上のいずれかから始めても構わない。
【0105】
また、本実施の形態では、一つ目の段の各列に真空断熱材4の固定してから、次の段に移ったが、一つ目の列の各段に真空断熱材4の固定してから、次の列に移っても構わない。
【0106】
なお、本実施の形態では、複数の真空断熱材4を内壁2の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)に固定した状態で、真空断熱材4の左右二つの芯材部15の間隔と、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側の芯材部15と他方の右側の真空断熱材4の左側の芯材部15との間隔が略同じになるように、芯材間熱溶着部17の幅(約26mm)と、外周ヒレ部18(外周熱溶着部)の幅(約22mm)と、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18と他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18とが真空断熱材4の厚み方向に重なる幅(約18mm)とを設定している。
【0107】
次に、図7と図17と図18と図26に示すように、最下段の真空断熱材4の下側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、横方向(左右方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の下の縁と最下段の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0108】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、最下段の真空断熱材4の各芯材部15の下側に三つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0109】
また、最上段の真空断熱材4の上側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、横方向(左右方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の上の縁と最上段の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0110】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、最上段の真空断熱材4の各芯材部15の上側に三つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0111】
また、左端の真空断熱材4の左側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の左の縁と左端の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0112】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、左端の真空断熱材4の左側の各芯材部15の左側に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0113】
また、右端の真空断熱材4の右側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の右の縁と右端の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0114】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、右端の真空断熱材4の右側の各芯材部15の右側に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0115】
また、各真空断熱材4の芯材間熱溶着部17における内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2に固定された状態の各真空断熱材4の二つの芯材部15の間隔と同じか若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材間熱溶着部17の幅方向の略中心線上と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0116】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、各真空断熱材4の左右二つの芯材部15の間に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0117】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なって内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2に固定された状態の横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側の芯材部15と他方の右側の真空断熱材4の左側の芯材部15との間隔と同じか若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、横方向に隣接する一方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18で芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16と、横方向に隣接する他方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18で芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0118】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側の芯材部15と他方の右側の真空断熱材4の左側の芯材部15との間に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0119】
なお、図面では、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設ける胴縁6の厚さが、真空断熱材4の厚み方向にヒレ部18が重なっていない部分に設ける胴縁6の厚さより、ヒレ部18の厚さの分だけ薄くなっているが、実際のヒレ部18の厚さは、真空断熱材4の密封された状態の芯材12の厚みと比較して充分に薄いため、胴縁6の厚さを全て同じにしても、問題はない。また、図面のように、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設ける胴縁6の厚さを、真空断熱材4の厚み方向にヒレ部18が重なっていない部分に設ける胴縁6の厚さより、ヒレ部18の厚さの分だけ薄くしても構わない。
【0120】
胴縁6と内壁2の室内側の面とで真空断熱材4の熱溶着部16を挟むように胴縁6を内壁2の室内側の面に固定することによって、真空断熱材4を内壁2の室内側の面にしっかりと固定できる。
【0121】
なお、内壁2の厚みと強度が充分にある場合は、タッカー5は、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16とを貫通して、内壁2に突き刺さることにより、胴縁6を固定するものであっても構わない。
【0122】
壁面に垂直な方向が重力方向に対して略垂直になる内壁2に対しては、特にボード材8を胴縁6を介して内壁2に固定する場合は、縦方向(上下方向)に長い胴縁6の割合を横方向(左右方向)に長い胴縁6の割合より少なくするよりは、縦方向(上下方向)に長い胴縁6の割合を横方向(左右方向)に長い胴縁6の割合より多くする方が、安定する。
【0123】
また、胴縁6における真空断熱材4と接触する面は、胴縁6の表面の突起物や胴縁6の表面に付着した異物で、真空断熱材4が傷つかないように、特に胴縁6が硬質の場合は、予め、真空断熱材4と接触する面を平滑面にしておくことが望ましい。
【0124】
本実施の形態では、ヒレ部18が重なっている部分に設ける胴縁6におけるヒレ部18と接触する面は、胴縁6の全幅に亘ってヒレ部18が重なってる部分に接触するものであり、そのようにすることが好ましい。
【0125】
しかし、胴縁6の幅を広くしたり、ヒレ部18が重なっている部分の幅を狭くしたりしたことにより、胴縁6の幅方向の中央部分のみヒレ部18が重なっている部分に接触し、胴縁6の幅方向の端ではヒレ部18が重なっていないものであっても、その胴縁6を固定するタッカー5が、ヒレ部18が重なっている部分を貫通するものであれば、構わない。
【0126】
次に、図8と図19と図20に示すように、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の左半分(断熱壁1の左半分)の大きさに切断された石膏ボードからなるボード材8を、ボード材8の左端を断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の左端に合わせて、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すように胴縁6の室内側の面と接触させて位置決めし、長方形の芯材部15の角の外周の位置で、ボード材8と、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さる部材(釘7)で固定する。
【0127】
次に、図9と図21と図27に示すように、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の右半分(断熱壁1の右半分)の大きさに切断された石膏ボードからなるボード材8を、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の右端にボード材8の右端を合わせるか、または先に内壁2の左半分に固定したボード材8の右端に左端を合わせて、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すように胴縁6の室内側の面と接触させて位置決めし、長方形の芯材部15の角の外周の位置で、ボード材8と、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さる部材(釘7)で固定する。
【0128】
隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側に位置する胴縁6には、隣接する一方の左側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7と隣接する他方の右側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7の両方が貫通している。
【0129】
二枚のボード材8は胴縁6の室内側の面と接触するように配設され、左右方向に隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側には胴縁6があり、左右方向に隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側に位置する胴縁6には、左右方向に隣接する一方の左側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7と左右方向に隣接する他方の右側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7の両方が貫通しており、左右方向に隣接する一方の左側のボード材8の突合せ部近傍が胴縁6に接触する面と左右方向に隣接する他方の右側のボード材8の突合せ部近傍が胴縁6に接触する面とは、同一面上に位置するので、左右方向に隣接する二枚のボード材8を安定的に固定できるとともに、左右方向に隣接する二枚のボード材8の突合せ部において、室内側より押圧されても左右方向に隣接する二枚のボード材8間に段差が発生することがなく、施工構造の品位を確保することができる。
【0130】
本実施の形態では、二枚の長方形のボード材8は、それぞれ、四隅と、各辺を三等分する位置と、二つの対角線をそれぞれ三等分する位置の合計16箇所に釘7が打ち込まれるが、タッカー3とタッカー5は、予め、釘7が打ち込まれる予定の箇所を避けて内壁2に打ち込まれているので、釘7が、タッカー3またはタッカー5に衝突することはない。
【0131】
真空断熱材4の芯材部15がボード材8と接触する可能性がある場合は、ボード材8における真空断熱材4側の表面の突起物や表面に付着した異物で、芯材部15の外被材11が傷つかないように、予め、ボード材8における真空断熱材4側の表面を平滑面にしておくことが望ましい。また、ボード材8における真空断熱材4側の表面を平滑面にする代わりに、ボード材8における真空断熱材4側の表面に、真空断熱材4を保護する保護シートを設けても構わない。
【0132】
なお、ボード材8は、ボード材8の各辺の縁を釘7で固定することが望ましい。
【0133】
その後、隣接するボード材8の間の凸凹等をパテで埋め、ボード材8の室内側面を壁紙などの内装材(図示せず)で覆って釘7が見えないようにする。ボード材8の室内側面を壁紙などの内装材(図示せず)で覆って釘7が見えないようにすることにより、断熱壁1の外観品位が向上する。
【0134】
本実施の形態では、胴縁6をタッカー3で内壁2に固定しているが、胴縁6と熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる(または、胴縁6と熱溶着部16と内壁2を貫通して柱9に突き刺さる)釘やネジを代わりに用いても構わない。また、ボード材8を釘7で胴縁6と内壁2に固定しているが、ボード材8と胴縁6と熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる(または、ボード材8と胴縁6と熱溶着部16と内壁2を貫通して柱9に突き刺さる)タッカーやネジを代わりに用いても構わない。
【0135】
本実施の形態における断熱壁1は、室内空間を構成する面材(内壁2)と、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に固形化無機繊維芯材12が減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12がある芯材部15の厚みより厚く真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように面材(内壁2)に固定された胴縁6と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8とからなる。
【0136】
これにより、室内空間を構成する内壁2(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に真空断熱材4を設け(固定し)、次に、胴縁6を、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように固定し、次に、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8を、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁1を得ることができ、既存壁を断熱壁1にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0137】
また、真空断熱材4はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁1を薄くできる。また、真空断熱材4を固定する内壁2を既存壁にする場合は、断熱壁1とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0138】
また、胴縁6を内壁2に固定した後は、胴縁6によって真空断熱材4の熱溶着部16を、内壁2に固定できるので、胴縁6を内壁2に固定する前の真空断熱材4の内壁2への固定を、胴縁6を内壁2に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁6を内壁2に固定する前の真空断熱材4の内壁2への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0139】
また、胴縁6の厚みが芯材部15の厚みより厚いので、ボード材8が真空断熱材4の芯材部15により圧迫されることがない。これにより、ボード材8を平面状態に施工することができる。また、ボード材8による負荷が芯材部15にかかりにくいため、外被材11が損傷し難くなり真空断熱材4の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁1を維持することができる。
【0140】
また、胴縁6と芯材部15の厚みの差を、真空断熱材4(芯材部15)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部15が膨む場合の芯材部15の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材4(芯材部15)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部15が膨れ厚くなった時に、ボード材8と芯材部15との隙間で、芯材部15の厚みの増加分を吸収でき、ボード材8が芯材部15により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0141】
なお、ボード材8と芯材部15との隙間は、15mm以下であることが好ましく、上記隙間が15mm以下であれば、隙間の空気の対流を抑えることができ、隙間の空気の対流による断熱壁1の断熱性の悪化を抑えることができる。
【0142】
また、真空断熱材4の芯材12が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材4の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材4よりも、真空断熱材4の膨らみが小さい。
【0143】
また、真空断熱材4を内壁2に配置(固定)後に胴縁6を内壁2に固定するため、胴縁6を内壁2に固定した後に真空断熱材4を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材4の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0144】
また、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6は、合板製の胴縁よりも熱伝導率が約1/4程度は小さく良好である。このため、合板製の胴縁を用いる場合に比べて断熱壁1の断熱性能を向上できる。
【0145】
また、真空断熱材4に、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4を用いたことにより、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部16の幅が広く、それにより胴縁6と熱溶着部16との接触面積を広くできるため、胴縁6と熱溶着部16との接触面積を広くして胴縁6と内壁2とによって真空断熱材4をより確実に固定できる。
【0146】
また、熱溶着部16が胴縁6から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁6と熱溶着部16との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁6と熱溶着部16との接触面積を広くして胴縁6による真空断熱材4の熱溶着部16の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、胴縁6と熱溶着部16との接触で熱溶着部16が損傷したり、真空断熱材4を芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる部材(タッカー3)で固定したり、胴縁6を胴縁6と芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる部材(タッカー5)で固定したり、ボード材8をボード材8と胴縁6と芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる部材(釘7)で固定した場合でも、熱溶着部16の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材12側に充分な幅の熱溶着部16が残るので、真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁1になる。
【0147】
また、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚みに垂直な方向で外被材11の間に芯材12がある部分と胴縁6との間隔を狭くしても、外被材11の損傷で真空断熱材4の断熱性能が悪化する可能性が少なく、そのため、芯材部15(外被材11の間に芯材12がある部分)と胴縁6との間隔を狭くして断熱壁1における真空断熱材4の有効断熱部である芯材部15の被覆率を高めて断熱壁1の全体の断熱性能を高めることができる。
【0148】
また、本実施の形態における断熱壁1は、室内空間を構成する面材(内壁2)と、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に芯材12が減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部に外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設けられた複数の真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように設けられた胴縁6と、胴縁6と芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより胴縁6を面材(内壁2)に固定する固定部材(タッカー5)と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8とからなり、真空断熱材4は、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されており、真空断熱材4の外周部分には外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着されたヒレ部18があり、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっており、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に重なっている。
【0149】
これにより、室内空間を構成する内壁2(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材4を、外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設け(固定し)、次に、胴縁6を、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように配置して、胴縁6と、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー5)により胴縁6を面材(内壁2)に固定し、次に、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8を、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁1を得ることができ、既存壁を断熱壁1にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0150】
また、真空断熱材4の芯材部15の熱伝導率は、平均温度24℃において、0.0015〜0.0040W/m・Kであり、汎用的な断熱材である硬質ウレタンフォームの約6〜16倍の断熱性能で、熱伝導率が0.030W/mK前後のスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁1を薄くできる。また、真空断熱材4を固定する面材(内壁2)を既存壁にする場合は、断熱壁1とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0151】
また、胴縁6を面材(内壁2)に固定した後は、胴縁6によって真空断熱材4の熱溶着部16を、面材(内壁2)に固定できるので、胴縁6を面材(内壁2)に固定する前の真空断熱材4の面材(内壁2)への固定を、胴縁6を面材(内壁2)に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁6を面材(内壁2)に固定する前の真空断熱材4の面材(内壁2)への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0152】
また、本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部16の幅が広く、それにより胴縁6と真空断熱材4との接触面積を広くできるため、胴縁6と真空断熱材4との接触面積を広くして胴縁6によって真空断熱材4をより確実に固定できる。
【0153】
また、真空断熱材4が胴縁6から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁6と真空断熱材4との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁6と真空断熱材4との接触面積を広くして胴縁6による真空断熱材4の熱溶着部16の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)の近傍まで熱溶着されているので、胴縁6と真空断熱材4との接触で熱溶着部16が損傷したり、真空断熱材4を熱溶着部16を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定した場合でも、熱溶着部16の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材12側に充分な幅の熱溶着部16が残る可能性が高いので、真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
【0154】
また、胴縁6と熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより胴縁6を面材(内壁2)に固定する固定部材(タッカー5)は、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通するので、固定部材(タッカー5)によってできる貫通孔で真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどなく、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材4に比べて熱溶着部16の幅が広いので、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材で、容易に胴縁6を面材(内壁2)に固定できる。
【0155】
また、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚さ方向に対して垂直な方向で外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)と胴縁6との間隔を狭くしても、外被材11の損傷で真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、そのため、外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)と胴縁6との間隔を狭くして断熱壁1における真空断熱材4の被覆率を高めて断熱壁1の全体の断熱性能を高めることができる。
【0156】
また、面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材4を、芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設けたので、例えば、断熱壁1にボード材8の厚さより長い釘が打ち込まれて、釘の先端が真空断熱材4に突き刺さり、真空断熱材4の外被材11が破損(破袋)して真空断熱材4の内圧が上昇する場合でも、外被材11が破損(破袋)して内圧が上昇した特定の真空断熱材4の断熱性能が低下するだけで、その特定の真空断熱材4の断熱性能の低下は、外被材11が破損(破袋)していない他の真空断熱材4には広がらないので、断熱壁1全体の断熱性能の低下を少なく抑えることができる。
【0157】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、その外周部分に外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着されたヒレ部18がある。そして、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅を狭くすればする程、ヒレ部18の端部から外被材11同士を熱溶着した部分を通じて芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材12を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部15の断熱性能が低下する。
【0158】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に芯材12が減圧密封され、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されており、外周部分には外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着されたヒレ部18があり、複数の真空断熱材4が、室内空間を構成する面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設けられるものであるが、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なり、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に重なるように設けたので、真空断熱材4の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部18の幅(真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する面材(内壁2)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を(実施の形態1よりも)大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
【0159】
また、本実施の形態の断熱壁1は、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔を胴縁6の幅より狭くすることにより、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅以上であるものより、室内空間を構成する面材(内壁2)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を大きくでき、断熱壁1の断熱性能を向上させることができる。
【0160】
また、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭い部分(胴縁6を設けるための充分な間隔が無い部分)には無理に胴縁6を設けないようにすることで、真空断熱材4における芯材部15近傍に固定部材による貫通孔ができることによる真空断熱材4の断熱性能の長期信頼性の低下を防止できる。
【0161】
また、本実施の形態の断熱壁1は、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に胴縁6が固定されているものであり、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁6は、一つの胴縁6で、互いにヒレ部18が重なっている複数の真空断熱材4を、面材(内壁2)に押さえつけて、胴縁6の幅を広くすることなく固定でき、一つの胴縁6で固定される複数の真空断熱材4のそれぞれを最大で胴縁6の幅で広く押さえて固定でき、面材(内壁2)における真空断熱材4で覆う部分(断熱性能を向上させたい部分)の周縁6に設ける外枠となる胴縁6と外枠の胴縁6に囲まれた部分に設ける胴縁6の幅を同じにできる。
【0162】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁6を、ヒレ部18が重なっている部分を貫通する固定部材(タッカー5)で面材(内壁2)に固定することができるので、ヒレ部18が重なっている部分を貫通する固定部材(タッカー5)で、互いにヒレ部18が重なっている複数の真空断熱材4を、面材(内壁2)に平行な方向にずれないように固定できる。
【0163】
また、本実施の形態の断熱壁1は、真空断熱材4が、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定される。
【0164】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材4に比べて熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)の幅が広く、熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)は、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)を貫通するので、真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)によってできる貫通孔で真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどなく、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の部材で、容易に真空断熱材4を面材(内壁2)に固定できる。
【0165】
また、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4は、自身の芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)と、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定されるものであり、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4を、熱溶着部16(ヒレ部18)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定する場合は、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4の芯材部15から所定間隔以上離れ、且つ、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔以上離れた箇所を固定し、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)が、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4における芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)を貫通する(中段と上段の真空断熱材4の下側のヒレ部18をタッカー3で固定しない)ので、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)によって、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどない。
【0166】
また、本実施の形態の断熱壁1では、ボード材8が、ボード材8と、胴縁6と、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(釘7)で固定されるものであり、ボード材8がボード材8のみ貫通して胴縁6に突き刺さり面材(内壁2)には達しない部材で固定される場合よりも、しっかりとボード材8を固定できる。
【0167】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材4に比べて熱溶着部16の幅が広く、ボード材8と胴縁6と熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより、ボード材8を胴縁6と面材(内壁2)とに固定する部材(釘7)は、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通するので、ボード材8を胴縁6と面材(内壁2)とに固定する部材(釘7)によってできる貫通孔で真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどなく、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の部材で、容易にボード材8を胴縁6と面材(内壁2)とに固定できる。
【0168】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、複数(二つ)の芯材12が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置されて、複数(二つ)の芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置するように、隣接する芯材12と芯材12との間に外被材11同士が熱溶着された芯材間熱溶着部17を設けたものであり、隣接する芯材12と芯材12との間の芯材間熱溶着部17の幅は胴縁6の幅より広く、複数(二つ)の芯材12が横方向に並ぶように面材(内壁2)の室内側の面に設けられ、横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に胴縁6が固定されている。
【0169】
これにより、複数(二つ)の芯材12を有し面材(内壁2)の室内側の面に設けられた各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に胴縁6を固定できるので、複数の芯材12を有し面材(内壁2)の室内側の面に設けられた各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に設ける胴縁6により、真空断熱材4の芯材12間の芯材間熱溶着部17を面材(内壁2)に固定でき、複数の芯材12を有し面材(内壁2)の室内側の面に設けられた各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に設ける胴縁6は、胴縁6と各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17とを貫通する固定部材(タッカー5)で面材(内壁2)に固定することができるので、各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17を貫通する固定部材(タッカー5)で、各真空断熱材4を、面材(内壁2)に平行な方向にずれないように固定できる。
【0170】
また、各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17を貫通する固定部材(タッカー3とタッカー5)により、各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に貫通孔ができるが、その貫通孔ができた部分の芯材12側に充分な幅の熱溶着部16が残る可能性が高いので、真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁1になる。
【0171】
また、本実施の形態に用いる真空断熱材4は、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に、複数(二つ)の板状の芯材12が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置されて、複数(二つ)の芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置するように、外被材11の間に芯材12がない部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、複数の芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置しており、隣接する芯材12と芯材12との間において外被材11の間に芯材12がない部分の外被材11同士が熱溶着されて芯材間熱溶着部17を形成しているので、同じ大きさで芯材11が一つの真空断熱材を用いた場合と比べて、外被材11にピンホールができたり外被材11が破損(破袋)したりして芯材12を減圧密封した空間の内圧が上昇して断熱性能が悪化する場合でも、ピンホールや破損(破袋)の影響を直接受ける特定の芯材12を減圧密封した空間内の圧力が高くなって断熱性能が悪化するだけで、断熱性能の悪化が真空断熱材4全体に広がらず、真空断熱材4としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、芯材11が一つの真空断熱材を複数用いた場合より、配設(位置決めと固定)が簡単になる。また、外周のヒレ部18だけでなく、隣接する芯材11と芯材11との間の芯材間熱溶着部17にも胴縁6を配設して隣接する芯材11と芯材11との間の芯材間熱溶着部17を貫通する釘7でボード材8を固定できる。
【0172】
また、本実施の形態の断熱壁1に用いるボード材8に石膏ボードを使用していることにより、安価で優れた耐火性を有することができる効果(断熱改修費用を安くできると共に、火事発生の場合における延焼を防ぐことができる効果)が得られる。また、石膏ボードの厚みが9mm以上の場合は、断熱壁1に二重画鋲によりポスター等を固定したときに、ボード材8と真空断熱材4の芯材部15との間に隙間がない場合でも、二重画鋲の針の先が真空断熱材4に届かず、真空断熱材4の破袋および破袋による断熱性能の低下を防止できる効果が得られる。
【0173】
なお、汎用の石膏ボードは9.5mm以上の厚みを有しているため、汎用の石膏ボードをボード材8に用いれば、断熱壁1に二重画鋲によりポスター等を固定しても二重画鋲の針の先が真空断熱材4に届くことがなく、真空断熱材4の破袋を防止できる効果が得られる。
【0174】
また、断熱壁1に、室内側から人・物等が接触した場合においても、石膏ボードからなるボード材8は十分な厚みと剛性を有するため、その衝撃等によりボード8の内部に配置されている真空断熱材4の破袋を防止することができる効果が得られる。
【0175】
また、本実施の形態の断熱壁1では、内壁2に固定した胴縁6により真空断熱材4を内壁2の室内側の面により強固に固定でき、真空断熱材4のヒレ部18の波打ちによるボード材8の変形を防止できる効果が得られる。また、真空断熱材4を内壁2に固定した後に胴縁6を内壁2に固定する方が、胴縁6を内壁2に固定した後に真空断熱材4を内壁2に固定するよりも、真空断熱材4の寸法バラツキに対応しやすい。
【0176】
また、本実施の形態の断熱壁1は、複数の真空断熱材4を用いているので、特定の真空断熱材4の外被材11にピンホールができて断熱性能が悪化する場合でも、その断熱性能が悪化した特定の真空断熱材4を配置した部分の断熱性能が悪化するだけで、断熱性能の悪化が断熱壁1全体に広がらず、断熱壁1の断熱性の悪化を小さくできる。
【0177】
本実施の形態の断熱壁1は、室内空間を構成する壁(重力方向に略平行な壁)に限らず、室内空間を構成する床や天井にも適用できる。天井に適用する場合は、ボード材8、胴縁6、真空断熱材4、釘7、タッカー3,5等の構成要素が落下しないようにしっかりと固定する必要があり、床に適用する場合は、重力方向の荷重に耐えられるように、ボード材8の材料や厚みや構造、胴縁6の材料や構造や幅や隣接する胴縁6同士の間隔を選定する必要がある。
【0178】
また、本実施の形態の断熱壁1を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0179】
(実施の形態2)
図28は本発明の実施の形態2の建物の一例としての住宅の概略縦断面図である。本実施の形態の住宅(建物)19は、実施の形態1の断熱壁1を、室内空間を構成する壁20、天井21、床22のいずれかに適用したものであり、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。
【0180】
実施の形態1の断熱壁1を、室内空間を構成する壁20、天井21、床22のいずれかに適用した建物が、住宅19である場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0181】
断熱壁1を天井21に適用する場合は、ボード材8、胴縁6、真空断熱材4、釘7、タッカー3,5等の構成要素が落下しないようにしっかりと固定する。断熱壁1を床22に適用する場合は、重力方向の荷重に耐えられるように、ボード材8の材料や厚みや構造、胴縁6の材料や構造や幅や隣接する胴縁6同士の間隔を選定する。
【産業上の利用可能性】
【0182】
以上のように本発明の断熱壁は、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁であり、既存の建物の内壁を解体することなくリフォーム(断熱改修)して断熱壁にする場合に最適であるが、新築の建物の壁にも適用可能で、住宅用の建物や商業用の建物、その他、断熱が必要な建物に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱壁を水平な平面で上下に切断し下側の切断面を上から見た場合の要部断面図
【図2】同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の断面図
【図3】同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の平面図
【図4】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定した状態を示す平面図
【図5】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の三列と中段の左側の列にそれぞれ真空断熱材を固定した状態を示す平面図
【図6】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に複数の真空断熱材を固定し終えた状態を示す平面図
【図7】実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定した状態を示す平面図
【図8】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定した状態を示す平面図
【図9】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁にボード材を固定し終えた状態を室内側から見た平面図
【図10】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を配置した状態を示す断面図
【図11】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図
【図12】図4のA−A断面図
【図13】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図
【図14】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図
【図15】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図
【図16】図6のB−B断面図
【図17】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定している状態を示す断面図
【図18】図7のD−D断面図
【図19】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定している状態を示す断面図
【図20】図8のF−F断面図
【図21】図9のG−G断面図
【図22】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図
【図23】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図
【図24】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図
【図25】図6のC−C断面図
【図26】図7のE−E断面図
【図27】は図9のH−H断面図
【図28】本発明の実施の形態2の建物の一例としての住宅の概略縦断面図
【図29】従来の断熱壁の概略断面図
【符号の説明】
【0184】
1 断熱壁
2 内壁
3 タッカー
4 真空断熱材
6 胴縁
8 ボード材
10 熱溶着層
11 外被材
12 芯材
15 芯材部
16 熱溶着部
19 住宅
20 壁
21 天井
22 床
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁に真空断熱材を用いた断熱壁と、それを適用した建物および住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制(地球環境保護)の観点より、家電製品や産業機器の省エネルギー化と並び住宅等の建物の省エネルギー化も取り組むべき重要な課題となっている。そのため、様々な断熱材の適用や各種断熱壁が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に示されているように、昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅(築24年の木造在来軸組工法2階建て住宅)の2階天井及び1階床下の断熱改修を行った場合、天井では小屋裏の既存断熱を残し、その上に新規断熱材を吹き込み、また床では床下から根太間に断熱材を充填し根太下にも同様の断熱材の充填を行う。施工はそれぞれ作業員3名(約5時間)・監督1名、作業員5名(約10時間)・監督2名で行い、約16万円と約37万円の費用がかかっている。
【0004】
図29は、特許文献1により開示されている従来の断熱壁の概略断面図である。図29に示すように、特許文献1における従来の断熱壁は、躯体α上にボード102を形成した下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成し、次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103上に乾式壁材107を施工している。
【非特許文献1】齋藤宏昭ら、”昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅を対象とする実用的断熱改修方法の検証”、独立行政法人 建築研究所、2006年
【特許文献1】特開平7−11717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の断熱改修(非特許文献1)では、2階天井の施工においては作業員3名(約5時間)・監督1名で約16万円の費用を要し、1階床下の施工においては作業員5名(約10時間)・監督2名で約37万円の費用を要する。
【0006】
また特許文献1による従来の断熱壁では、住宅駆体の断熱性能を向上させるため、下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地101全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成する。次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103の表面に貼付した粘着テープによって、胴縁103上に防水シート106と乾式壁材107を施工する。
【0007】
このように、断熱改修については本格的な工事が伴い、簡易に高性能な断熱改修を行うことが困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の断熱壁は、室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に固形化無機繊維芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材がある芯材部の厚みより厚く前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように前記面材に固定された胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなる。
【0010】
これにより、室内空間を構成する面材(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に真空断熱材を設け(固定し)、次に、胴縁を、真空断熱材における外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように固定し、次に、真空断熱材と胴縁とを室内側から覆い隠すボード材を、胴縁の室内側の面と接触するように胴縁に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0011】
また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0012】
また、胴縁を面材に固定した後は、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定を、胴縁を面材に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0013】
また、胴縁の厚みが芯材部の厚みより厚いので、ボード材が真空断熱材の芯材部により圧迫されることがない。これにより、ボード材を平面状態に施工することができる。また、ボード材による負荷が芯材部にかかりにくいため、外被材が損傷し難くなり真空断熱材の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁を維持することができる。
【0014】
また、胴縁と芯材部の厚みの差を、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨む場合の芯材部の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨れ厚くなった時に、ボード材と芯材部との隙間で、芯材部の厚みの増加分を吸収でき、ボード材が芯材部により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0015】
なお、ボード材と芯材部との隙間は、15mm以下であることが好ましく、上記隙間が15mm以下であれば、隙間の空気の対流を抑えることができ、隙間の空気の対流による断熱壁の断熱性の悪化を抑えることができる。
【0016】
また、真空断熱材の芯材が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材よりも、真空断熱材の膨らみが小さい。
【0017】
また、真空断熱材を面材に配置(固定)後に胴縁を面材に固定するため、胴縁を面材に固定した後に真空断熱材を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0018】
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の断熱壁は、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0020】
また、真空断熱材を用いているので、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0021】
また、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定を、胴縁を面材に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0022】
また、胴縁の厚みが芯材部の厚みより厚いので、ボード材が真空断熱材の芯材部により圧迫されることがない。これにより、ボード材を平面状態に施工することができる。また、ボード材による負荷が芯材部にかかりにくいため、外被材が損傷し難くなり真空断熱材の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁を維持することができる。
【0023】
また、胴縁と芯材部の厚みの差を、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨む場合の芯材部の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨れ厚くなった時に、ボード材と芯材部との隙間で、芯材部の厚みの増加分を吸収でき、ボード材が芯材部により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0024】
また、真空断熱材の芯材が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材よりも、真空断熱材の膨らみが小さい。
【0025】
また、真空断熱材を面材に配置(固定)後に胴縁を面材に固定するため、胴縁を面材に固定した後に真空断熱材を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0026】
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の請求項1に記載の断熱壁の発明は、室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に固形化無機繊維芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材がある芯材部の厚みより厚く前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように前記面材に固定された胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなる。
【0028】
これにより、室内空間を構成する面材(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に真空断熱材を設け(固定し)、次に、胴縁を、真空断熱材における外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように固定し、次に、真空断熱材と胴縁とを室内側から覆い隠すボード材を、胴縁の室内側の面と接触するように胴縁に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0029】
また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0030】
また、胴縁を面材に固定した後は、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定を、胴縁を面材に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁を面材に固定する前の真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0031】
また、胴縁の厚みが芯材部の厚みより厚いので、ボード材が真空断熱材の芯材部により圧迫されることがない。これにより、ボード材を平面状態に施工することができる。また、ボード材による負荷が芯材部にかかりにくいため、外被材が損傷し難くなり真空断熱材の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁を維持することができる。
【0032】
また、胴縁と芯材部の厚みの差を、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨む場合の芯材部の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材(芯材部)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部が膨れ厚くなった時に、ボード材と芯材部との隙間で、芯材部の厚みの増加分を吸収でき、ボード材が芯材部により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0033】
なお、ボード材と芯材部との隙間は、15mm以下であることが好ましく、上記隙間が15mm以下であれば、隙間の空気の対流を抑えることができ、隙間の空気の対流による断熱壁の断熱性の悪化を抑えることができる。
【0034】
また、真空断熱材の芯材が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材よりも、真空断熱材の膨らみが小さい。
【0035】
また、真空断熱材を面材に配置(固定)後に胴縁を面材に固定するため、胴縁を面材に固定した後に真空断熱材を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0036】
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0037】
また、請求項2に記載の断熱壁の発明は、請求項1に記載の発明において、胴縁に、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁を用いたものであり、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁は、合板製胴縁よりも熱伝導率が約1/4程度は小さく良好である。このため、合板製の胴縁を用いる場合に比べて断熱壁の断熱性能を向上できる。
【0038】
また、請求項3に記載の断熱壁の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記真空断熱材に、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されている真空断熱材を用いたものである。
【0039】
これにより、請求項1または2に記載の発明の作用効果に加えて、本発明に用いる真空断熱材は、外被材同士が密着する全ての部分の外被材同士が熱溶着されている真空断熱材であり、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広く、それにより胴縁と熱溶着部との接触面積を広くできるため、胴縁と熱溶着部との接触面積を広くして胴縁と面材とによって真空断熱材をより確実に固定できる。
【0040】
また、熱溶着部が胴縁から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁と熱溶着部との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁と熱溶着部との接触面積を広くして胴縁による真空断熱材の熱溶着部の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、胴縁と熱溶着部との接触で熱溶着部が損傷したり、真空断熱材を芯材部から所定間隔以上離れた熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定したり、胴縁を胴縁と芯材部から所定間隔以上離れた熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定したり、ボード材をボード材と胴縁と芯材部から所定間隔以上離れた熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定した場合でも、熱溶着部の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材側に充分な幅の熱溶着部が残るので、真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
【0041】
また、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚みに垂直な方向で外被材の間に芯材がある部分と胴縁との間隔を狭くしても、外被材の損傷で真空断熱材の断熱性能が悪化する可能性が少なく、そのため、芯材部(外被材の間に芯材がある部分)と胴縁との間隔を狭くして断熱壁における真空断熱材の有効断熱部である芯材部の被覆率を高めて断熱壁の全体の断熱性能を高めることができる。
【0042】
また、請求項4に記載の断熱壁の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記真空断熱材が、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定されるものであり、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材としては、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材を用いることができる。
【0043】
また、請求項5に記載の建物の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用したものであり、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。
【0044】
また、請求項6に記載の住宅の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用したものであり、請求項5に記載の建物の発明の効果に加え、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0045】
次に、真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
【0046】
芯材に使用する固形化している無機繊維体は、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料であり、固形化の方法例としては、前記無機繊維体がグラスウールの場合、350〜500℃の温度で芯材の密度が150〜250kg/m3になるように5〜15分加圧することにより、固形化された芯材を作製する。その後、前記芯材を所定寸法に切断することにより、真空断熱材に使用する固形化された芯材が得られる。
【0047】
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
【0048】
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
【0049】
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
【0050】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0051】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における断熱壁を水平な平面で上下に切断し下側の切断面を上から見た場合の要部断面図、図2は同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の断面図、図3は同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の平面図である。
【0052】
図4は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定した状態を示す平面図、図5は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の三列と中段の左側の列にそれぞれ真空断熱材を固定した状態を示す平面図、図6は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に複数の真空断熱材を固定し終えた状態を示す平面図である。
【0053】
図7は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定した状態を示す平面図、図8は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定した状態を示す平面図、図9は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁にボード材を固定し終えた状態を室内側から見た平面図である。
【0054】
図10は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を配置した状態を示す断面図、図11は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図、図12は図4のA−A断面図である。
【0055】
図13は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図、図14は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図、図15は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図である。
【0056】
図16は図6のB−B断面図、図17は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定している状態を示す断面図、図18は図7のD−D断面図、図19は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定している状態を示す断面図、図20は図8のF−F断面図、図21は図9のG−G断面図、図22は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図、図23は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図、図24は同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図、図25は図6のC−C断面図、図26は図7のE−E断面図、図27は図9のH−H断面図である。
【0057】
図1から図27に示すように、本発明の実施の形態1における断熱壁1は、室内空間を構成する面材で断熱改修部位となる既存の建物の内壁2と、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな長方形の外被材11の間にガラス繊維などの無機繊維の積層体を固形化した厚さが8mm前後の長方形の板状の二つの芯材12が厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置されて、二つの芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置するように減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)に外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向(三段)と横方向(三列)に碁盤目状に並べて設けられ、外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16における芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた箇所を貫通して内壁2に突き刺さるタッカー3で内壁2に固定された複数(九枚)の真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように設けられた樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる幅約16mmの胴縁6と、胴縁6と芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16とを貫通して内壁2に突き刺さることにより胴縁6を内壁2に固定する固定部材であるタッカー5と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠す石膏ボードからなる二枚のボード材8と、ボード材8と胴縁6と芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16とを貫通して内壁2に突き刺さることによりボード材8を胴縁6と内壁2とに固定する固定部材である釘7と、釘7で胴縁6と内壁2とに固定されたボード材8の室内側面を覆う内装材となる壁紙(図示せず)とからなる。
【0058】
本実施の形態の真空断熱材4は、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されており、真空断熱材4の外周部分には外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された幅約22mmのヒレ部18がある。
【0059】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なっている。
【0060】
また、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なっている。
【0061】
本実施の形態における内壁2は、室内側からコの字形の金属製の固定具であるタッカーやネジや釘を打ち込み可能な材料からなり所定の厚みを有するものである。
【0062】
内壁2の裏面(反室内側の面)には鉛直方向に柱9が複数(外枠となる2本を含めて合計7本)あり、水平方向に外枠となる2本の柱9があり、タッカー5と釘7は、内壁2を貫通して柱9に突き刺ささっている。換言すれば、タッカー5と釘7は、できるだけ、内壁2の裏面(反室内側の面)に柱9がある部分を狙って打ち込むことができるように断熱壁1を構成する各部材の寸法を設定している。もし、内壁2の厚みと強度が充分にあれば、タッカー5または釘7を内壁2の裏面(反室内側の面)に柱9がない部分に打ち込んでも構わない。
【0063】
本実施の形態では、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を用いているが、熱伝導し難くタッカーやネジや釘を打ち込み可能な材料で構成されたコルク等の他の胴縁を用いても構わない。
【0064】
胴縁7の厚みは、真空断熱材4がボード材8から強い押圧力を受けないように、真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄くしている。図面では、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設ける胴縁6の厚さが、真空断熱材4の厚み方向にヒレ部18が重なっていない部分に設ける胴縁6の厚さより、ヒレ部18の厚さの分だけ薄くなっているが、実際のヒレ部18の厚さは、真空断熱材4の密封された状態の芯材12の厚みと比較して充分に薄いため、胴縁6の厚さを全て同じにしても、問題はない。
【0065】
本実施の形態では、ボード材8に石膏ボードを用いているが、剛性を有し、断熱壁1の室内側面を仕上ることができるものであれば、他のボードを選定しても構わない。
【0066】
真空断熱材4は、ヒレ部18の幅を広くするほど、熱溶着部16を貫通する固定用の部材によってできた貫通孔から外気が芯材12を密閉する空間に侵入して時間の経過によって断熱壁1(または真空断熱材4)の断熱性能が低下する可能性が低くなる。
【0067】
真空断熱材4における外被材11(熱溶着層10)の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅を狭くすればする程、ヒレ部18の端部から外被材11同士を熱溶着した部分を通じて芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材12を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部15の断熱性能が低下する。
【0068】
本実施の形態で用いる真空断熱材4は、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なり、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に重なるように設けたので、真空断熱材4の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部18の幅(真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する内壁2(面材)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
【0069】
本実施の形態の真空断熱材4は、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なるように設けるので、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18が他方の下側の真空断熱材4の上側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なるように設ける実施の形態1の真空断熱材4よりも、芯材部15の縦方向の寸法が10mm前後大きくなる。
【0070】
したがって、本実施の形態の断熱壁1は、真空断熱材4のヒレ部18の幅を実施の形態1と同じにしながら、室内空間を構成する内壁2(面材)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を、実施の形態1よりも大きくすることができる。したがって、実施の形態1よりも断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
【0071】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なっている部分に幅約16mmの胴縁6が固定されている。
【0072】
また、内壁2(面材)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4は、自身の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)と、内壁2(面材)との間にある別の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して内壁2(面材)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定される。
【0073】
本実施の形態の真空断熱材4の芯材12の厚みは8mm前後であるが、8mm前後の厚みに限定するものではない。芯材12の厚みが薄いほど、芯材12の周囲に外被材11の皺ができにくく、外被材11同士を芯材12の近くまで容易に熱溶着できるが、芯材12の厚みが薄い分、真空断熱材4の断熱性能は低下する。逆に、芯材12の厚みが厚いほど、芯材12の周囲に外被材11の皺ができやすく、外被材11同士を芯材12の近くまで熱溶着することが難しくなるが、芯材12の厚みが厚い分、真空断熱材4の断熱性能は高くなる。
【0074】
芯材12は、繊維の長手方向が真空断熱材4(芯材12)の厚み方向(伝熱方向)に対して略垂直になっているグラスウール等の無機繊維集合体を所定厚みになるように積層したものをバインダーを用いずに無機繊維同士の接触点が架橋部とならずに圧縮時の形状を保持できるよう所定の加熱加圧条件(例えば、350〜500℃の温度で芯材12の密度が150〜250kg/m3になるように5〜15分加圧)で加熱加圧成形したものを使用している。
【0075】
繊維の長手方向が厚み方向に対して略垂直になるように抄造法で成形したものや、繊維の長手方向が厚み方向に対して略垂直になっている無機繊維集合体を所定厚みになるように積層したものを無機バインダーを用いて成形したもの、繊維の長手方向が厚み方向に対して略垂直になっている無機繊維集合体を所定厚みになるように積層したものに水または酸性の水溶液を噴霧して無機繊維からの溶出物を無機繊維同士の接触点に集めて成形したもの、バインダーの働きをする無機粉体を無機繊維に混合して成形したものでも構わないが、本実施の形態の芯材12よりは、断熱性能が劣る。
【0076】
また、無機材料からなる芯材の方が、有機材料からなる芯材よりも、ガスの発生量が少ないという点で有利であり、繊維材料からなる芯材の方が、粒や粉からなる芯材よりも、製造時や真空断熱材または断熱壁の廃棄の取り扱いの点で有利である。
【0077】
本実施の形態における外被材11は、図2に示すように、熱溶着層10と保護層13との間にガスバリア層14を有するラミネートフィルムからなり、芯材12側の熱溶着層10としてはポリエチレン等が用いられ、ガスバリア層14としては10μm以下のアルミ箔が用いられ、ガスバリア層14の外側の保護層13としてはナイロンまたはポエチレンテレフタレート等が用いられる。なお、保護層13はナイロンまたはポエチレンテレフタレートからなるフィルムを二層重ねて構成することもある。なお、ガスバリア層14としては、アルミ箔等の金属箔の他に、樹脂フィルムの表面に蒸着または塗布または蒸着と塗布の組み合わせによりガスバリア層を形成したものでも構わない。
【0078】
真空断熱材4は、内面に熱溶着層10を有するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材11内に二つの芯材12を厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置して例えば0.1Torr以下の減圧空間内において減圧密封した後、外被材11の外圧を大気圧にして外被材11の外圧と内圧との差圧で外被材11の間に芯材12がない部分の外被材11同士を密着させ、前記差圧で外被材11同士が密着している部分に熱溶着層10が溶融するのに必要な熱を非接触で加えて、密着している外被材11同士を熱溶着する製造方法により得られる。
【0079】
ここで、減圧空間内において外被材11内に芯材12を減圧密封する工程は、例えば0.1Torr以下に減圧された真空包装機の減圧チャンバー内で、芯材12が挿入された袋状の外被材11の開口部を、一対の熱溶着バーで挟んで加熱加圧により熱溶着するものであっても、真空包装機の減圧チャンバー内で、芯材12を覆う二枚の外被材11の外周部同士を全周に亘って一対の熱溶着バーで挟んで加熱加圧により熱溶着するものであっても構わない。
【0080】
また、外被材11内に芯材12を減圧密封する工程と、外被材11の外圧を大気圧にして外被材11の外圧と内圧との差圧で密着している外被材11同士を熱溶着する工程とを、内部空間の真空排気と真空開放が可能なチャンバー内で行っても良いし、減圧空間内において外被材11内に芯材12を減圧密封したものを、減圧空間から取り出すことにより、外被材11の外圧を大気圧にしても良い。
【0081】
また、非接触で加える熱溶着層10が溶融するのに必要な熱は、ヒータの輻射熱と周囲の温度とすることができ、また、非接触で加える熱溶着層10が溶融するのに必要な熱は、外被材11全体を加熱するものであっても構わない。
【0082】
また、真空断熱材4の外周にできる外被材11の外周部同士が熱溶着された外周ヒレ部18は、外周ヒレ部18の幅が必要以上に広い場合は、芯材12の周囲に所定幅(例えば22mm)の外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16が残るように切り落としている。このとき、真空断熱材4の外周ヒレ部18の四つの角が、作業者や他の部材(特に、重ねる他の真空断熱材4)を傷つけないように、真空断熱材4の外周ヒレ部の四つの角を丸くすることが好ましい。
【0083】
また、真空断熱材4は、図3に示すように、外被材11(熱溶着層10)の間に芯材12がある芯材部15と、外被材11(熱溶着層10)の間に芯材12が無く外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16とを有しており、本実施の形態で用いる真空断熱材4は、芯材部15が、縦方向に長い長方形で横方向に二つ並んでおり、熱溶着部16が、二つの芯材部15の間に位置する幅約26mmの芯材間熱溶着部17と、真空断熱材4の外周ヒレ部18(二つの芯材部15及び芯材間熱溶着部17の外周)に位置する幅約22mmの外周熱溶着部とからなる。
【0084】
本実施の形態で用いる真空断熱材4は、芯材部15が横方向に二つ並んでいるものであるが、これに限らず、芯材部15が横方向に三つ以上並んでいるものでも、芯材部15が縦方向に二つ以上並んでいるものでも、芯材部15が横方向と縦方向に複数列複数段碁盤目状に配置されているものでも構わない。また、本実施の形態で用いる真空断熱材4は、一種類であるが、大きさや形状の異なる複数種類の真空断熱材を組み合わせたり、芯材部15が一つの真空断熱材を組み合わせても構わない。また、真空断熱材4の配置が困難な箇所に、真空断熱材4の代わりに、所定形状の発泡断熱材を設けても構わない。
【0085】
本実施の形態では、芯材間熱溶着部17の幅を約26mm、外周ヒレ部18(外周熱溶着部)の幅を約22mmとしているが、20mm〜40mm(好ましくは22mm〜32mm)であれば良い。
【0086】
熱溶着部16の芯材部15側の端部の位置が、真空断熱材4の厚み方向の中央にある場合は、芯材12または芯材部15の厚みが厚くなる程、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅と芯材間熱溶着部17を広くする必要がある。例えば、真空断熱材の芯材部の厚さが8mmで、真空断熱材の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部までのヒレ部18の幅が20mmの場合は、真空断熱材の外周部分のヒレ部18が面材に密着可能な幅は、約13mmから約15mmとなり、真空断熱材の芯材部の厚さが12mmで、真空断熱材の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅が40mmの場合は、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18が面材(内壁2)に密着可能な幅は、約31mmから約33mmとなる。
【0087】
また、胴縁6は、真空断熱材4における外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16でのみ真空断熱材4と接触している。
【0088】
また、隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側には胴縁6があり、隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側に位置する胴縁6には、隣接する一方のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7と隣接する他方のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7の両方が貫通している。
【0089】
以下、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2を本実施の形態の断熱壁1にする手順を、図4から図27を参照しながら説明する。
【0090】
まず、図4に示すように、既存の建物の内壁2の角部(例えば左下の角部)から、図3に示す真空断熱材4を、芯材部15が横方向(左右方向)に並ぶような向きで、図10に示すように芯材部15の片面が密着し、さらに芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)が建物の内壁2に可能な限り広い幅で密着するように芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)を折り曲げて設置位置を決定し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、図11と図12に示すように、芯材間熱溶着部17の中心線上と、ヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着し芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた部分(ヒレ部18における内壁2に密着している部分の幅方向中央部分より約1〜2mm程度外側)をタッカー3で内壁2に固定する。
【0091】
このとき、既存の建物の内壁2の表面の突起物や内壁2の表面に付着した異物で、内壁2に密着する芯材部15の外被材11が傷つかないように、予め、真空断熱材4を配設する面を平滑面にしておくことが望ましい。また、真空断熱材4を配設する面を平滑面にする代わりに、真空断熱材4の配設位置などを記した紙などの保護シートを、内壁2における真空断熱材4を配設する面に設けても構わない。
【0092】
タッカー3は、タッカー3に近接する芯材部15の縁(辺)とタッカー3の二つの先端部を結ぶ線が、略平行になるように打ち込む。本実施の形態では、左下の角部(下段の左側の列)に固定する一枚目の真空断熱材4を、芯材間熱溶着部17と左側のヒレ部18と右側のヒレ部18を、それぞれ四つのタッカー3で固定し、上側のヒレ部18と下側のヒレ部18を、それぞれ六つのタッカー3で固定した。その結果、芯材部15は、上側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、下側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、芯材間熱溶着部17を貫通する四つのタッカー3と、左側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3と、右側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3とで固定される。
【0093】
また、ヒレ部18(外周熱溶着部)に釘7を打ち込む領域を確保するために、上側のヒレ部18と芯材間熱溶着部17が交差する部分と、下側のヒレ部18と芯材間熱溶着部17が交差する部分と、上側のヒレ部18と左側のヒレ部18が交差する部分と、下側のヒレ部18と左側のヒレ部18が交差する部分と、上側のヒレ部18と右側のヒレ部18が交差する部分と、下側のヒレ部18と右側のヒレ部18が交差する部分には、タッカー3を打ち込まないようにしている。
【0094】
また、隣接するタッカー3同士は、所定間隔あけており、芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)にタッカー5を打ち込む領域を確保している。
【0095】
既存の建物の内壁2の角部(左下の角部)に一枚目の真空断熱材4をタッカー3で固定し終えたら、次の二枚目の真空断熱材4を、図13に示すように、芯材部15が横方向(左右方向)に並ぶような向きで、芯材部15の片面が密着し、左側のヒレ部18(外周熱溶着部)が左側(一枚目)の真空断熱材4の右側のヒレ部18における内壁2に密着した部分と密着し、さらに芯材間熱溶着部17と上側と下側と右側のヒレ部18(外周熱溶着部)が建物の内壁2に可能な限り広い幅で密着するように芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)を折り曲げて、左側(一枚目)の真空断熱材4の右側のヒレ部18と右側(二枚目)の真空断熱材4の左側のヒレ部18が真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なるように配置し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、図14と図15に示すように、芯材間熱溶着部17の中心線上と、ヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着し芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた部分(ヒレ部18における内壁2に密着している部分の幅方向中央部分より約1〜2mm程度外側)を、一枚目の真空断熱材4の場合と同様に、タッカー3で内壁2に固定する。
【0096】
なお、二枚目の真空断熱材4における左側(一枚目の真空断熱材4側)のヒレ部18を固定するタッカー3は、二枚目の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)と、一枚目の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して内壁2(面材)に突き刺さることになるが、一枚目の真空断熱材4のヒレ部18を固定したタッカー3とは位置がずれているので、タッカー3同士は衝突しない。
【0097】
二枚目の真空断熱材4をタッカー3で固定し終えたら、次の三枚目の真空断熱材4を、二枚目の真空断熱材4の場合と同様に、タッカー3で内壁2に固定する。三枚目の真空断熱材4を、図16に示すような状態に、タッカー3で固定し終えたら、下段の三列が終了する。
【0098】
本実施の形態では、ヒレ部18が重なる部分において、タッカー3同士が衝突しないように、近接するタッカー3同士の位置をヒレ部18(外周熱溶着部)の幅方向にずらしたが、周方向に(真空断熱材4または芯材部15の辺に沿って)ずらしても構わない。
【0099】
三枚目の真空断熱材4をタッカー3で固定し終え、下段の三列が終了したら、図5に示すように、中段の左側(一列目)に四枚目の真空断熱材4を、芯材部15が横方向(左右方向)に並ぶような向きで、芯材部15の片面が密着し、下側のヒレ部18(外周熱溶着部)の端部が下側(一枚目)の真空断熱材4の芯材部15の上に重なり、さらに芯材間熱溶着部17と上側と左側と右側のヒレ部18(外周熱溶着部)が建物の内壁2に可能な限り広い幅で密着するように芯材間熱溶着部17とヒレ部18(外周熱溶着部)を折り曲げて、上側(四枚目)の真空断熱材4の芯材部15と下側(一枚目)の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、上側(四枚目)の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が下側(一枚目)の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なるように配置し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、芯材間熱溶着部17と左側のヒレ部18と右側のヒレ部18を、それぞれ四つのタッカー3で内壁2に固定し、上側のヒレ部18を、六つのタッカー3で内壁2に固定する。その結果、芯材部15は、上側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、芯材間熱溶着部17を貫通する四つのタッカー3と、左側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3と、右側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3で内壁2に固定される。
【0100】
五枚目の真空断熱材4は、左側(四枚目)の真空断熱材4の右側のヒレ部18と右側(五枚目)の真空断熱材4の左側のヒレ部18が真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なり、上側(五枚目)の真空断熱材4の芯材部15と下側(二枚目)の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、上側(五枚目)の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が下側(二枚目)の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に約6mm〜約16mmの幅で重なるように配置し、動かないように手で真空断熱材4を押さえながら、芯材間熱溶着部17と左側のヒレ部18と右側のヒレ部18を、それぞれ四つのタッカー3で内壁2に固定し、上側のヒレ部18を、六つのタッカー3で内壁2に固定する。その結果、芯材部15は、上側のヒレ部18を貫通する三つのタッカー3と、芯材間熱溶着部17を貫通する四つのタッカー3と、左側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3と、右側のヒレ部18を貫通する四つのタッカー3で内壁2に固定される。
【0101】
六枚目の真空断熱材4は、五枚目の真空断熱材4と同様にして、内壁2の中段の右側(三列目)にタッカー3で内壁2に固定し、七枚目の真空断熱材4は、四枚目の真空断熱材4と同様にして、内壁2の上段の左側(一列目)タッカー3で内壁2に固定し、八枚目、九枚目の真空断熱材4は、五枚目の真空断熱材4と同様にして、タッカー3で内壁2に固定して、図6と図16と図25に示すように、縦に三段、横に三列の真空断熱材4で、内壁2の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)を覆う。
【0102】
本実施の形態で、中段と上段の真空断熱材4の下側のヒレ部18をタッカー3で固定しないのは、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭いために、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18をタッカー3で固定すると、縦方向に隣接する他方の下側の真空断熱材4の芯材部15または下側の真空断熱材4の芯材部15近傍(芯材部15から所定間隔(例えば12mm)離れていない部分)の上側のヒレ部18をタッカー3が貫通するため、下側の真空断熱材4の芯材部15の芯材12を密閉する空間に外気が侵入して下側の真空断熱材4の断熱性能が悪化する虞があるためである。
【0103】
本実施の形態では、内壁2の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)を、縦に三段、横に三列の九枚の真空断熱材4で覆ったが、真空断熱材4の段数、列数、枚数は、これに限るものではない。
【0104】
また、本実施の形態では、左下の角部から、真空断熱材4の固定を始めたが、これに限らず、右下、左上、右上のいずれかから始めても構わない。
【0105】
また、本実施の形態では、一つ目の段の各列に真空断熱材4の固定してから、次の段に移ったが、一つ目の列の各段に真空断熱材4の固定してから、次の列に移っても構わない。
【0106】
なお、本実施の形態では、複数の真空断熱材4を内壁2の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)に固定した状態で、真空断熱材4の左右二つの芯材部15の間隔と、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側の芯材部15と他方の右側の真空断熱材4の左側の芯材部15との間隔が略同じになるように、芯材間熱溶着部17の幅(約26mm)と、外周ヒレ部18(外周熱溶着部)の幅(約22mm)と、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18と他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18とが真空断熱材4の厚み方向に重なる幅(約18mm)とを設定している。
【0107】
次に、図7と図17と図18と図26に示すように、最下段の真空断熱材4の下側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、横方向(左右方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の下の縁と最下段の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0108】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、最下段の真空断熱材4の各芯材部15の下側に三つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0109】
また、最上段の真空断熱材4の上側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、横方向(左右方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の上の縁と最上段の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0110】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、最上段の真空断熱材4の各芯材部15の上側に三つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0111】
また、左端の真空断熱材4の左側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の左の縁と左端の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0112】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、左端の真空断熱材4の左側の各芯材部15の左側に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0113】
また、右端の真空断熱材4の右側のヒレ部18(外周熱溶着部)における内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2の右の縁と右端の真空断熱材4の芯材部15との間隔より若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0114】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、右端の真空断熱材4の右側の各芯材部15の右側に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0115】
また、各真空断熱材4の芯材間熱溶着部17における内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2に固定された状態の各真空断熱材4の二つの芯材部15の間隔と同じか若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、芯材間熱溶着部17の幅方向の略中心線上と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0116】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、各真空断熱材4の左右二つの芯材部15の間に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0117】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に約18mmの幅で重なって内壁2に密着する部分に、縦方向(上下方向)に長く真空断熱材4の芯材部15の厚みより厚く、真空断熱材4の芯材部15の厚みに5mm加えた厚みより薄い厚みで内壁2に固定された状態の横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側の芯材部15と他方の右側の真空断熱材4の左側の芯材部15との間隔と同じか若干狭い幅約16mmの樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6を接触させて、胴縁6と、横方向に隣接する一方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18で芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16と、横方向に隣接する他方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18で芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さるタッカー5で固定する。
【0118】
このとき、タッカー5は、胴縁6の幅方向の略中心線上で、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側の芯材部15と他方の右側の真空断熱材4の左側の芯材部15との間に四つ並んだタッカー3の間を狙って、タッカー5の二つの先端部を結ぶ線が、胴縁6の長手方向に略平行になるように、また、タッカー5が内壁2に対して垂直になるように内壁2に打ち込む。
【0119】
なお、図面では、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設ける胴縁6の厚さが、真空断熱材4の厚み方向にヒレ部18が重なっていない部分に設ける胴縁6の厚さより、ヒレ部18の厚さの分だけ薄くなっているが、実際のヒレ部18の厚さは、真空断熱材4の密封された状態の芯材12の厚みと比較して充分に薄いため、胴縁6の厚さを全て同じにしても、問題はない。また、図面のように、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設ける胴縁6の厚さを、真空断熱材4の厚み方向にヒレ部18が重なっていない部分に設ける胴縁6の厚さより、ヒレ部18の厚さの分だけ薄くしても構わない。
【0120】
胴縁6と内壁2の室内側の面とで真空断熱材4の熱溶着部16を挟むように胴縁6を内壁2の室内側の面に固定することによって、真空断熱材4を内壁2の室内側の面にしっかりと固定できる。
【0121】
なお、内壁2の厚みと強度が充分にある場合は、タッカー5は、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16とを貫通して、内壁2に突き刺さることにより、胴縁6を固定するものであっても構わない。
【0122】
壁面に垂直な方向が重力方向に対して略垂直になる内壁2に対しては、特にボード材8を胴縁6を介して内壁2に固定する場合は、縦方向(上下方向)に長い胴縁6の割合を横方向(左右方向)に長い胴縁6の割合より少なくするよりは、縦方向(上下方向)に長い胴縁6の割合を横方向(左右方向)に長い胴縁6の割合より多くする方が、安定する。
【0123】
また、胴縁6における真空断熱材4と接触する面は、胴縁6の表面の突起物や胴縁6の表面に付着した異物で、真空断熱材4が傷つかないように、特に胴縁6が硬質の場合は、予め、真空断熱材4と接触する面を平滑面にしておくことが望ましい。
【0124】
本実施の形態では、ヒレ部18が重なっている部分に設ける胴縁6におけるヒレ部18と接触する面は、胴縁6の全幅に亘ってヒレ部18が重なってる部分に接触するものであり、そのようにすることが好ましい。
【0125】
しかし、胴縁6の幅を広くしたり、ヒレ部18が重なっている部分の幅を狭くしたりしたことにより、胴縁6の幅方向の中央部分のみヒレ部18が重なっている部分に接触し、胴縁6の幅方向の端ではヒレ部18が重なっていないものであっても、その胴縁6を固定するタッカー5が、ヒレ部18が重なっている部分を貫通するものであれば、構わない。
【0126】
次に、図8と図19と図20に示すように、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の左半分(断熱壁1の左半分)の大きさに切断された石膏ボードからなるボード材8を、ボード材8の左端を断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の左端に合わせて、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すように胴縁6の室内側の面と接触させて位置決めし、長方形の芯材部15の角の外周の位置で、ボード材8と、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さる部材(釘7)で固定する。
【0127】
次に、図9と図21と図27に示すように、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の右半分(断熱壁1の右半分)の大きさに切断された石膏ボードからなるボード材8を、断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の右端にボード材8の右端を合わせるか、または先に内壁2の左半分に固定したボード材8の右端に左端を合わせて、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すように胴縁6の室内側の面と接触させて位置決めし、長方形の芯材部15の角の外周の位置で、ボード材8と、胴縁6と、芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れたヒレ部18の熱溶着部16と、内壁2とを貫通して柱9に突き刺さる部材(釘7)で固定する。
【0128】
隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側に位置する胴縁6には、隣接する一方の左側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7と隣接する他方の右側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7の両方が貫通している。
【0129】
二枚のボード材8は胴縁6の室内側の面と接触するように配設され、左右方向に隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側には胴縁6があり、左右方向に隣接するボード材8の端部同士を突き合わせた突合せ部の反室内側に位置する胴縁6には、左右方向に隣接する一方の左側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7と左右方向に隣接する他方の右側のボード材8の突合せ部近傍を貫通する釘7の両方が貫通しており、左右方向に隣接する一方の左側のボード材8の突合せ部近傍が胴縁6に接触する面と左右方向に隣接する他方の右側のボード材8の突合せ部近傍が胴縁6に接触する面とは、同一面上に位置するので、左右方向に隣接する二枚のボード材8を安定的に固定できるとともに、左右方向に隣接する二枚のボード材8の突合せ部において、室内側より押圧されても左右方向に隣接する二枚のボード材8間に段差が発生することがなく、施工構造の品位を確保することができる。
【0130】
本実施の形態では、二枚の長方形のボード材8は、それぞれ、四隅と、各辺を三等分する位置と、二つの対角線をそれぞれ三等分する位置の合計16箇所に釘7が打ち込まれるが、タッカー3とタッカー5は、予め、釘7が打ち込まれる予定の箇所を避けて内壁2に打ち込まれているので、釘7が、タッカー3またはタッカー5に衝突することはない。
【0131】
真空断熱材4の芯材部15がボード材8と接触する可能性がある場合は、ボード材8における真空断熱材4側の表面の突起物や表面に付着した異物で、芯材部15の外被材11が傷つかないように、予め、ボード材8における真空断熱材4側の表面を平滑面にしておくことが望ましい。また、ボード材8における真空断熱材4側の表面を平滑面にする代わりに、ボード材8における真空断熱材4側の表面に、真空断熱材4を保護する保護シートを設けても構わない。
【0132】
なお、ボード材8は、ボード材8の各辺の縁を釘7で固定することが望ましい。
【0133】
その後、隣接するボード材8の間の凸凹等をパテで埋め、ボード材8の室内側面を壁紙などの内装材(図示せず)で覆って釘7が見えないようにする。ボード材8の室内側面を壁紙などの内装材(図示せず)で覆って釘7が見えないようにすることにより、断熱壁1の外観品位が向上する。
【0134】
本実施の形態では、胴縁6をタッカー3で内壁2に固定しているが、胴縁6と熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる(または、胴縁6と熱溶着部16と内壁2を貫通して柱9に突き刺さる)釘やネジを代わりに用いても構わない。また、ボード材8を釘7で胴縁6と内壁2に固定しているが、ボード材8と胴縁6と熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる(または、ボード材8と胴縁6と熱溶着部16と内壁2を貫通して柱9に突き刺さる)タッカーやネジを代わりに用いても構わない。
【0135】
本実施の形態における断熱壁1は、室内空間を構成する面材(内壁2)と、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に固形化無機繊維芯材12が減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12がある芯材部15の厚みより厚く真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように面材(内壁2)に固定された胴縁6と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8とからなる。
【0136】
これにより、室内空間を構成する内壁2(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に真空断熱材4を設け(固定し)、次に、胴縁6を、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように固定し、次に、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8を、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁1を得ることができ、既存壁を断熱壁1にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0137】
また、真空断熱材4はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁1を薄くできる。また、真空断熱材4を固定する内壁2を既存壁にする場合は、断熱壁1とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0138】
また、胴縁6を内壁2に固定した後は、胴縁6によって真空断熱材4の熱溶着部16を、内壁2に固定できるので、胴縁6を内壁2に固定する前の真空断熱材4の内壁2への固定を、胴縁6を内壁2に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁6を内壁2に固定する前の真空断熱材4の内壁2への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0139】
また、胴縁6の厚みが芯材部15の厚みより厚いので、ボード材8が真空断熱材4の芯材部15により圧迫されることがない。これにより、ボード材8を平面状態に施工することができる。また、ボード材8による負荷が芯材部15にかかりにくいため、外被材11が損傷し難くなり真空断熱材4の内圧上昇を低減することが可能となるため、長期間にわたって高断熱性能な断熱壁1を維持することができる。
【0140】
また、胴縁6と芯材部15の厚みの差を、真空断熱材4(芯材部15)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部15が膨む場合の芯材部15の厚みの増加分以上にすれば、真空断熱材4(芯材部15)の内圧が大気圧近くまで上昇して、芯材部15が膨れ厚くなった時に、ボード材8と芯材部15との隙間で、芯材部15の厚みの増加分を吸収でき、ボード材8が芯材部15により押されて室内側に膨らむ問題をなくすことが可能となる。
【0141】
なお、ボード材8と芯材部15との隙間は、15mm以下であることが好ましく、上記隙間が15mm以下であれば、隙間の空気の対流を抑えることができ、隙間の空気の対流による断熱壁1の断熱性の悪化を抑えることができる。
【0142】
また、真空断熱材4の芯材12が固形化無機繊維芯材であるので、真空断熱材4の内圧が上昇した場合に、固形化されていない無機繊維芯材を用いた真空断熱材4よりも、真空断熱材4の膨らみが小さい。
【0143】
また、真空断熱材4を内壁2に配置(固定)後に胴縁6を内壁2に固定するため、胴縁6を内壁2に固定した後に真空断熱材4を配置(固定)するものと比較して、真空断熱材4の寸法バラツキの許容範囲を広くとっても問題が生じ難いという効果がある。
【0144】
また、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる胴縁6は、合板製の胴縁よりも熱伝導率が約1/4程度は小さく良好である。このため、合板製の胴縁を用いる場合に比べて断熱壁1の断熱性能を向上できる。
【0145】
また、真空断熱材4に、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4を用いたことにより、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部16の幅が広く、それにより胴縁6と熱溶着部16との接触面積を広くできるため、胴縁6と熱溶着部16との接触面積を広くして胴縁6と内壁2とによって真空断熱材4をより確実に固定できる。
【0146】
また、熱溶着部16が胴縁6から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁6と熱溶着部16との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁6と熱溶着部16との接触面積を広くして胴縁6による真空断熱材4の熱溶着部16の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、胴縁6と熱溶着部16との接触で熱溶着部16が損傷したり、真空断熱材4を芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる部材(タッカー3)で固定したり、胴縁6を胴縁6と芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる部材(タッカー5)で固定したり、ボード材8をボード材8と胴縁6と芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通して内壁2に突き刺さる部材(釘7)で固定した場合でも、熱溶着部16の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材12側に充分な幅の熱溶着部16が残るので、真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁1になる。
【0147】
また、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚みに垂直な方向で外被材11の間に芯材12がある部分と胴縁6との間隔を狭くしても、外被材11の損傷で真空断熱材4の断熱性能が悪化する可能性が少なく、そのため、芯材部15(外被材11の間に芯材12がある部分)と胴縁6との間隔を狭くして断熱壁1における真空断熱材4の有効断熱部である芯材部15の被覆率を高めて断熱壁1の全体の断熱性能を高めることができる。
【0148】
また、本実施の形態における断熱壁1は、室内空間を構成する面材(内壁2)と、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に芯材12が減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部に外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設けられた複数の真空断熱材4と、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように設けられた胴縁6と、胴縁6と芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより胴縁6を面材(内壁2)に固定する固定部材(タッカー5)と、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定され真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8とからなり、真空断熱材4は、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されており、真空断熱材4の外周部分には外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着されたヒレ部18があり、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっており、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭くなるように、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に重なっている。
【0149】
これにより、室内空間を構成する内壁2(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材4を、外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設け(固定し)、次に、胴縁6を、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着された熱溶着部16の室内側の面の一部と接触するように配置して、胴縁6と、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー5)により胴縁6を面材(内壁2)に固定し、次に、真空断熱材4と胴縁6とを室内側から覆い隠すボード材8を、胴縁6の室内側の面と接触するように胴縁6に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁1を得ることができ、既存壁を断熱壁1にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
【0150】
また、真空断熱材4の芯材部15の熱伝導率は、平均温度24℃において、0.0015〜0.0040W/m・Kであり、汎用的な断熱材である硬質ウレタンフォームの約6〜16倍の断熱性能で、熱伝導率が0.030W/mK前後のスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁1を薄くできる。また、真空断熱材4を固定する面材(内壁2)を既存壁にする場合は、断熱壁1とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
【0151】
また、胴縁6を面材(内壁2)に固定した後は、胴縁6によって真空断熱材4の熱溶着部16を、面材(内壁2)に固定できるので、胴縁6を面材(内壁2)に固定する前の真空断熱材4の面材(内壁2)への固定を、胴縁6を面材(内壁2)に固定するまでの仮固定にすることができ、胴縁6を面材(内壁2)に固定する前の真空断熱材4の面材(内壁2)への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
【0152】
また、本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部16の幅が広く、それにより胴縁6と真空断熱材4との接触面積を広くできるため、胴縁6と真空断熱材4との接触面積を広くして胴縁6によって真空断熱材4をより確実に固定できる。
【0153】
また、真空断熱材4が胴縁6から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁6と真空断熱材4との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁6と真空断熱材4との接触面積を広くして胴縁6による真空断熱材4の熱溶着部16の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)の近傍まで熱溶着されているので、胴縁6と真空断熱材4との接触で熱溶着部16が損傷したり、真空断熱材4を熱溶着部16を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定した場合でも、熱溶着部16の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材12側に充分な幅の熱溶着部16が残る可能性が高いので、真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
【0154】
また、胴縁6と熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより胴縁6を面材(内壁2)に固定する固定部材(タッカー5)は、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通するので、固定部材(タッカー5)によってできる貫通孔で真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどなく、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材4に比べて熱溶着部16の幅が広いので、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材で、容易に胴縁6を面材(内壁2)に固定できる。
【0155】
また、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚さ方向に対して垂直な方向で外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)と胴縁6との間隔を狭くしても、外被材11の損傷で真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、そのため、外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)と胴縁6との間隔を狭くして断熱壁1における真空断熱材4の被覆率を高めて断熱壁1の全体の断熱性能を高めることができる。
【0156】
また、面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材4を、芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設けたので、例えば、断熱壁1にボード材8の厚さより長い釘が打ち込まれて、釘の先端が真空断熱材4に突き刺さり、真空断熱材4の外被材11が破損(破袋)して真空断熱材4の内圧が上昇する場合でも、外被材11が破損(破袋)して内圧が上昇した特定の真空断熱材4の断熱性能が低下するだけで、その特定の真空断熱材4の断熱性能の低下は、外被材11が破損(破袋)していない他の真空断熱材4には広がらないので、断熱壁1全体の断熱性能の低下を少なく抑えることができる。
【0157】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、その外周部分に外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着されたヒレ部18がある。そして、真空断熱材4における外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までのヒレ部18の幅を狭くすればする程、ヒレ部18の端部から外被材11同士を熱溶着した部分を通じて芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材12を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材12を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部15の断熱性能が低下する。
【0158】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に芯材12が減圧密封され、外被材11の間に芯材12が無い部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されており、外周部分には外被材11の間に芯材12が無く対向する外被材11同士が熱溶着されたヒレ部18があり、複数の真空断熱材4が、室内空間を構成する面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、外被材11の間に芯材12がある芯材部15が重ならないように縦方向と横方向に碁盤目状に並べて設けられるものであるが、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なり、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の下側のヒレ部18の端部が他方の下側の真空断熱材4の芯材部15と真空断熱材4の厚み方向に重なるように設けたので、真空断熱材4の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部18の幅(真空断熱材4の外周部分のヒレ部18の端部から芯材部15までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する面材(内壁2)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を(実施の形態1よりも)大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
【0159】
また、本実施の形態の断熱壁1は、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔を胴縁6の幅より狭くすることにより、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅以上であるものより、室内空間を構成する面材(内壁2)における真空断熱材4を設ける部分の面積における真空断熱材4の有効断熱部である外被材11の間に芯材12がある部分(芯材部15)で覆われる面積の割合を大きくでき、断熱壁1の断熱性能を向上させることができる。
【0160】
また、縦方向に隣接する一方の上側の真空断熱材4の芯材部15と他方の下側の真空断熱材4の芯材部15との間隔が胴縁6の幅より狭い部分(胴縁6を設けるための充分な間隔が無い部分)には無理に胴縁6を設けないようにすることで、真空断熱材4における芯材部15近傍に固定部材による貫通孔ができることによる真空断熱材4の断熱性能の長期信頼性の低下を防止できる。
【0161】
また、本実施の形態の断熱壁1は、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に胴縁6が固定されているものであり、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁6は、一つの胴縁6で、互いにヒレ部18が重なっている複数の真空断熱材4を、面材(内壁2)に押さえつけて、胴縁6の幅を広くすることなく固定でき、一つの胴縁6で固定される複数の真空断熱材4のそれぞれを最大で胴縁6の幅で広く押さえて固定でき、面材(内壁2)における真空断熱材4で覆う部分(断熱性能を向上させたい部分)の周縁6に設ける外枠となる胴縁6と外枠の胴縁6に囲まれた部分に設ける胴縁6の幅を同じにできる。
【0162】
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材4の右側のヒレ部18が他方の右側の真空断熱材4の左側のヒレ部18と真空断熱材4の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁6を、ヒレ部18が重なっている部分を貫通する固定部材(タッカー5)で面材(内壁2)に固定することができるので、ヒレ部18が重なっている部分を貫通する固定部材(タッカー5)で、互いにヒレ部18が重なっている複数の真空断熱材4を、面材(内壁2)に平行な方向にずれないように固定できる。
【0163】
また、本実施の形態の断熱壁1は、真空断熱材4が、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定される。
【0164】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材4に比べて熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)の幅が広く、熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)は、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(芯材間熱溶着部17とヒレ部18)を貫通するので、真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)によってできる貫通孔で真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどなく、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の部材で、容易に真空断熱材4を面材(内壁2)に固定できる。
【0165】
また、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4は、自身の芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)と、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定されるものであり、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4を、熱溶着部16(ヒレ部18)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(タッカー3)で固定する場合は、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4の芯材部15から所定間隔以上離れ、且つ、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4の芯材部15から所定間隔以上離れた箇所を固定し、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)が、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4における芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)を貫通する(中段と上段の真空断熱材4の下側のヒレ部18をタッカー3で固定しない)ので、面材(内壁2)との間に別の真空断熱材4がある真空断熱材4を面材(内壁2)に固定する部材(タッカー3)によって、面材(内壁2)との間にある別の真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどない。
【0166】
また、本実施の形態の断熱壁1では、ボード材8が、ボード材8と、胴縁6と、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16(ヒレ部18)とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材(釘7)で固定されるものであり、ボード材8がボード材8のみ貫通して胴縁6に突き刺さり面材(内壁2)には達しない部材で固定される場合よりも、しっかりとボード材8を固定できる。
【0167】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、外被材11同士が密着する部分は外被材11の間に芯材12がある部分の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材11同士のみ熱溶着された真空断熱材4に比べて熱溶着部16の幅が広く、ボード材8と胴縁6と熱溶着部16とを貫通して面材(内壁2)に突き刺さることにより、ボード材8を胴縁6と面材(内壁2)とに固定する部材(釘7)は、芯材部15から所定間隔以上離れた熱溶着部16を貫通するので、ボード材8を胴縁6と面材(内壁2)とに固定する部材(釘7)によってできる貫通孔で真空断熱材4の断熱性能を低下させることがほとんどなく、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の部材で、容易にボード材8を胴縁6と面材(内壁2)とに固定できる。
【0168】
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材4は、複数(二つ)の芯材12が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置されて、複数(二つ)の芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置するように、隣接する芯材12と芯材12との間に外被材11同士が熱溶着された芯材間熱溶着部17を設けたものであり、隣接する芯材12と芯材12との間の芯材間熱溶着部17の幅は胴縁6の幅より広く、複数(二つ)の芯材12が横方向に並ぶように面材(内壁2)の室内側の面に設けられ、横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に胴縁6が固定されている。
【0169】
これにより、複数(二つ)の芯材12を有し面材(内壁2)の室内側の面に設けられた各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に胴縁6を固定できるので、複数の芯材12を有し面材(内壁2)の室内側の面に設けられた各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に設ける胴縁6により、真空断熱材4の芯材12間の芯材間熱溶着部17を面材(内壁2)に固定でき、複数の芯材12を有し面材(内壁2)の室内側の面に設けられた各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に設ける胴縁6は、胴縁6と各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17とを貫通する固定部材(タッカー5)で面材(内壁2)に固定することができるので、各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17を貫通する固定部材(タッカー5)で、各真空断熱材4を、面材(内壁2)に平行な方向にずれないように固定できる。
【0170】
また、各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17を貫通する固定部材(タッカー3とタッカー5)により、各真空断熱材4の横方向に隣接する左側の芯材12と右側の芯材12との間の芯材間熱溶着部17に貫通孔ができるが、その貫通孔ができた部分の芯材12側に充分な幅の熱溶着部16が残る可能性が高いので、真空断熱材4の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁1になる。
【0171】
また、本実施の形態に用いる真空断熱材4は、熱溶着層10同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材11の間に、複数(二つ)の板状の芯材12が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔離して配置されて、複数(二つ)の芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置するように、外被材11の間に芯材12がない部分の外被材11同士を密着させて、密着した外被材11同士を熱溶着してなり、外被材11同士が密着する全ての部分の外被材11同士が熱溶着されている真空断熱材4であり、複数の芯材12のそれぞれが独立した空間内に位置しており、隣接する芯材12と芯材12との間において外被材11の間に芯材12がない部分の外被材11同士が熱溶着されて芯材間熱溶着部17を形成しているので、同じ大きさで芯材11が一つの真空断熱材を用いた場合と比べて、外被材11にピンホールができたり外被材11が破損(破袋)したりして芯材12を減圧密封した空間の内圧が上昇して断熱性能が悪化する場合でも、ピンホールや破損(破袋)の影響を直接受ける特定の芯材12を減圧密封した空間内の圧力が高くなって断熱性能が悪化するだけで、断熱性能の悪化が真空断熱材4全体に広がらず、真空断熱材4としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、芯材11が一つの真空断熱材を複数用いた場合より、配設(位置決めと固定)が簡単になる。また、外周のヒレ部18だけでなく、隣接する芯材11と芯材11との間の芯材間熱溶着部17にも胴縁6を配設して隣接する芯材11と芯材11との間の芯材間熱溶着部17を貫通する釘7でボード材8を固定できる。
【0172】
また、本実施の形態の断熱壁1に用いるボード材8に石膏ボードを使用していることにより、安価で優れた耐火性を有することができる効果(断熱改修費用を安くできると共に、火事発生の場合における延焼を防ぐことができる効果)が得られる。また、石膏ボードの厚みが9mm以上の場合は、断熱壁1に二重画鋲によりポスター等を固定したときに、ボード材8と真空断熱材4の芯材部15との間に隙間がない場合でも、二重画鋲の針の先が真空断熱材4に届かず、真空断熱材4の破袋および破袋による断熱性能の低下を防止できる効果が得られる。
【0173】
なお、汎用の石膏ボードは9.5mm以上の厚みを有しているため、汎用の石膏ボードをボード材8に用いれば、断熱壁1に二重画鋲によりポスター等を固定しても二重画鋲の針の先が真空断熱材4に届くことがなく、真空断熱材4の破袋を防止できる効果が得られる。
【0174】
また、断熱壁1に、室内側から人・物等が接触した場合においても、石膏ボードからなるボード材8は十分な厚みと剛性を有するため、その衝撃等によりボード8の内部に配置されている真空断熱材4の破袋を防止することができる効果が得られる。
【0175】
また、本実施の形態の断熱壁1では、内壁2に固定した胴縁6により真空断熱材4を内壁2の室内側の面により強固に固定でき、真空断熱材4のヒレ部18の波打ちによるボード材8の変形を防止できる効果が得られる。また、真空断熱材4を内壁2に固定した後に胴縁6を内壁2に固定する方が、胴縁6を内壁2に固定した後に真空断熱材4を内壁2に固定するよりも、真空断熱材4の寸法バラツキに対応しやすい。
【0176】
また、本実施の形態の断熱壁1は、複数の真空断熱材4を用いているので、特定の真空断熱材4の外被材11にピンホールができて断熱性能が悪化する場合でも、その断熱性能が悪化した特定の真空断熱材4を配置した部分の断熱性能が悪化するだけで、断熱性能の悪化が断熱壁1全体に広がらず、断熱壁1の断熱性の悪化を小さくできる。
【0177】
本実施の形態の断熱壁1は、室内空間を構成する壁(重力方向に略平行な壁)に限らず、室内空間を構成する床や天井にも適用できる。天井に適用する場合は、ボード材8、胴縁6、真空断熱材4、釘7、タッカー3,5等の構成要素が落下しないようにしっかりと固定する必要があり、床に適用する場合は、重力方向の荷重に耐えられるように、ボード材8の材料や厚みや構造、胴縁6の材料や構造や幅や隣接する胴縁6同士の間隔を選定する必要がある。
【0178】
また、本実施の形態の断熱壁1を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0179】
(実施の形態2)
図28は本発明の実施の形態2の建物の一例としての住宅の概略縦断面図である。本実施の形態の住宅(建物)19は、実施の形態1の断熱壁1を、室内空間を構成する壁20、天井21、床22のいずれかに適用したものであり、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。
【0180】
実施の形態1の断熱壁1を、室内空間を構成する壁20、天井21、床22のいずれかに適用した建物が、住宅19である場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
【0181】
断熱壁1を天井21に適用する場合は、ボード材8、胴縁6、真空断熱材4、釘7、タッカー3,5等の構成要素が落下しないようにしっかりと固定する。断熱壁1を床22に適用する場合は、重力方向の荷重に耐えられるように、ボード材8の材料や厚みや構造、胴縁6の材料や構造や幅や隣接する胴縁6同士の間隔を選定する。
【産業上の利用可能性】
【0182】
以上のように本発明の断熱壁は、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁であり、既存の建物の内壁を解体することなくリフォーム(断熱改修)して断熱壁にする場合に最適であるが、新築の建物の壁にも適用可能で、住宅用の建物や商業用の建物、その他、断熱が必要な建物に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱壁を水平な平面で上下に切断し下側の切断面を上から見た場合の要部断面図
【図2】同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の断面図
【図3】同実施の形態の断熱壁に用いる真空断熱材の平面図
【図4】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定した状態を示す平面図
【図5】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の三列と中段の左側の列にそれぞれ真空断熱材を固定した状態を示す平面図
【図6】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に複数の真空断熱材を固定し終えた状態を示す平面図
【図7】実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定した状態を示す平面図
【図8】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定した状態を示す平面図
【図9】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁にボード材を固定し終えた状態を室内側から見た平面図
【図10】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を配置した状態を示す断面図
【図11】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の左側の列に一枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図
【図12】図4のA−A断面図
【図13】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図
【図14】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図
【図15】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の下段の中央の列に二枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図
【図16】図6のB−B断面図
【図17】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に真空断熱材の室内側から胴縁を固定している状態を示す断面図
【図18】図7のD−D断面図
【図19】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁に固定した胴縁の左半分にボード材を固定している状態を示す断面図
【図20】図8のF−F断面図
【図21】図9のG−G断面図
【図22】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を配置している状態を示す断面図
【図23】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定している状態を示す断面図
【図24】同実施の形態の断熱壁の面材となる既存の建物の内壁の中段の左側の列に四枚目の真空断熱材を固定し終えた状態を示す断面図
【図25】図6のC−C断面図
【図26】図7のE−E断面図
【図27】は図9のH−H断面図
【図28】本発明の実施の形態2の建物の一例としての住宅の概略縦断面図
【図29】従来の断熱壁の概略断面図
【符号の説明】
【0184】
1 断熱壁
2 内壁
3 タッカー
4 真空断熱材
6 胴縁
8 ボード材
10 熱溶着層
11 外被材
12 芯材
15 芯材部
16 熱溶着部
19 住宅
20 壁
21 天井
22 床
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に固形化無機繊維芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材がある芯材部の厚みより厚く前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように前記面材に固定された胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなる断熱壁。
【請求項2】
前記胴縁は、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる請求項1に記載の断熱壁。
【請求項3】
前記真空断熱材は、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されている真空断熱材である請求項1または2に記載の断熱壁。
【請求項4】
前記真空断熱材は、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定される請求項1から3のいずれか一項に記載の断熱壁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した住宅。
【請求項1】
室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に固形化無機繊維芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材がある芯材部の厚みより厚く前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように前記面材に固定された胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなる断熱壁。
【請求項2】
前記胴縁は、樹脂製の硬質発泡断熱材または硬質押出断熱材からなる請求項1に記載の断熱壁。
【請求項3】
前記真空断熱材は、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されている真空断熱材である請求項1または2に記載の断熱壁。
【請求項4】
前記真空断熱材は、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定される請求項1から3のいずれか一項に記載の断熱壁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した住宅。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2010−13798(P2010−13798A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172051(P2008−172051)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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