説明

断熱壁

【課題】真空断熱材をタッカーや釘、ビス等で固定しても破袋し難く施工し易い断熱壁を提供する。
【解決手段】複数の柱2と、柱2間に配置された間柱3と、柱2及び間柱3の室内側に設けられた内壁材4と、内壁材4の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材5と、胴縁6と、胴縁6の室内側に固定された突き刺し防止板7とを有する。真空断熱材5は、内面に熱溶着層11を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、芯材の厚み方向に見たときに外被材の間に芯材がある芯材部14と、外被材の間に芯材がない芯材なし部15と、芯材の外周の芯材なし部15に芯材を囲むように外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、胴縁6は真空断熱材5の芯材なし部15の室内側の面に配置される。また、内壁材4の芯材部14が位置する逆面の位置に柱2と間柱3のどちらも存在しないように芯材部14を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材を用いて断熱性能を向上させた断熱壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の真空断熱材を適用した断熱壁として図7に示すようなものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1により開示されている断熱壁の概略断面図である。図7に示すように、従来の断熱壁は、壁軸組み101の室内側に気密シートからなる気密層102を形成し、その室外側に通気胴縁をかねた桟部材103と桟部材104をそれぞれ取り付ける。また、気密層102の室外側に真空断熱パネル105を形成し、その室外側に防湿性防水シートと外装材106を取り付け、真空断熱パネル105と外装材106との間に通気層107を形成したものである。
【特許文献1】特開2004−204606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の断熱壁は、真空断熱材105を桟部材104で固定する必要があり、通常の施工に用いられるタッカーや釘、ビス等による固定方法でないため取り扱い難く工数がかかる問題があった。また、タッカーや釘、ビス等で固定すると真空断熱材が破袋し、断熱性能が低下する問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、真空断熱材をタッカーや釘、ビス等で固定しても破袋し難く施工し易い断熱壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の断熱壁は、複数の柱と、前記柱間に配置された間柱と、前記柱及び前記間柱の室内側に設けられた内壁材と、前記内壁材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材の室内側の面に配置された胴縁と、前記胴縁の室内側に固定された突き刺し防止板とを有する断熱壁であって、前記真空断熱材は、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がある芯材部と、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がない芯材なし部と、前記芯材の外周の前記芯材なし部に前記芯材を囲むように前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、前記胴縁は前記真空断熱材の前記芯材なし部の室内側の面に配置され、前記内壁材の前記芯材部が位置する逆面の位置に前記柱と前記間柱のどちらも存在しないように前記芯材部を配置したのである。
【0007】
また、別の本発明の断熱壁は、複数の柱と、前記柱間に配置された間柱と、前記柱及び前記間柱の室内側に設けられた内壁材と、前記内壁材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材の室内側の面に配置された胴縁と、前記胴縁の室内側に固定された突き刺し防止板とを有する断熱壁であって、前記真空断熱材は、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がある芯材部と、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がない芯材なし部と、前記芯材の外周の前記芯材なし部に前記芯材を囲むように前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、前記胴縁は前記真空断熱材の前記芯材なし部の室内側の面に配置され、少なくとも一部の前記間柱の室内側方向に前記芯材部と前記芯材なし部とが位置し、前記柱の室内側方向に前記芯材部が存在しないように位置したのである。
【0008】
これにより、真空断熱材をタッカーや釘、ビス等で固定しても破袋し難く施工し易い断熱壁となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の断熱壁では、真空断熱材を芯材部の垂直方向に柱や間柱が存在しない位置に配置しているので破袋の危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に記載の断熱壁の発明は、複数の柱と、前記柱間に配置された間柱と、前記柱及び前記間柱の室内側に設けられた内壁材と、前記内壁材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材の室内側の面に配置された胴縁と、前記胴縁の室内側に固定された突き刺し防止板とを有する断熱壁であって、前記真空断熱材は、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がある芯材部と、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がない芯材なし部と、前記芯材の外周の前記芯材なし部に前記芯材を囲むように前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、前記胴縁は前記真空断熱材の前記芯材なし部の室内側の面に配置され、前記内壁材の前記芯材部が位置する逆面の位置に前記柱と前記間柱のどちらも存在しないように前記芯材部を配置したものである。
【0011】
突き刺し防止板は、柱や間柱の位置にタッカー、釘、ビス等で突き刺して固定するので、柱や間柱の位置に芯材部があると誤って芯材部に刺してしまい破袋する可能性があるが、内壁材の芯材部が位置する逆面の位置に柱と間柱のどちらも存在しないように芯材部を配置したので、芯材部が刺され破袋する危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0012】
また、断熱改修を必要とする家の多くは無断熱住宅であり、柱と柱の間は断熱材が充填されておらず柱の部分よりも断熱性能が低い。そのため、反対側の面(逆面)に柱が存在しない内壁材の上に芯材部を配置することで効果的に断熱補強することができ、断熱性能を向上させることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の断熱壁の発明は、請求項1に記載の発明において、前記内壁材の前記真空断熱材が位置する逆面の位置に前記柱と前記間柱のどちらも存在しないように前記真空断熱材を配置したものである。
【0014】
これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、突き刺し防止板を固定するタッカー、釘、ビス等が真空断熱材に打たれなくなるので、さらに真空断熱材の破袋の危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の断熱壁の発明は、複数の柱と、前記柱間に配置された間柱と、前記柱及び前記間柱の室内側に設けられた内壁材と、前記内壁材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材の室内側の面に配置された胴縁と、前記胴縁の室内側に固定された突き刺し防止板とを有する断熱壁であって、前記真空断熱材は、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がある芯材部と、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がない芯材なし部と、前記芯材の外周の前記芯材なし部に前記芯材を囲むように前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、 前記胴縁は前記真空断熱材の前記芯材なし部の室内側の面に配置され、少なくとも一部の前記間柱の室内側方向に前記芯材部と前記芯材なし部とが位置し、前記柱の室内側方向に前記芯材部が存在しないように位置したものである。
【0016】
突き刺し防止板は、通常910mm幅であり、壁もしくは天井は複数枚の突き刺し防止板で施工される。突き刺し防止板は柱から柱に渡して柱と間柱に固定するため、2枚の突き刺し防止板の繋ぎ目の位置が固定される柱にはタッカー、釘、ビス等が間柱の2倍打たれることになり、誤って芯材部が刺され破袋する危険性が高くなる。しかし、本発明では、柱の室内側方向に芯材部が存在しないので、真空断熱材が破袋する危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0017】
また、請求項4に記載の断熱壁の発明は、請求項1または3に記載の発明において、前記真空断熱材が2つの前記芯材部を有し、前記芯材部同士の間に位置する前記芯材なし部を、前記間柱の室内側方向に配設したものである。
【0018】
これにより、請求項1または3に記載の発明の作用効果に加えて、真空断熱材を壁の間柱に固定するときに、芯材部が1つの真空断熱材を2枚固定するのに比べてタッカー、釘、ビス等による留め数を半減できるので破袋の危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。また、留め数が半分で済むので施工時間を短縮することができる。
【0019】
ここで真空断熱材とは、骨材となる気相比率の高い芯材を、ガスバリア性のフィルムや容器等の外被材で覆い内部を真空密封したものであり、内部を真空状態にすることにより、気体成分の熱伝導を低減させた断熱材をさす。
【0020】
次に、真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
【0021】
芯材に使用する材料は、気相比率90%前後の多孔体をシート状または板状に加工したものであり、工業的に利用できるものとして、発泡体、粉体、および繊維体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。
【0022】
このうち、発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
【0023】
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
【0024】
また、これら、発泡体、粉体、および繊維体等の混合物も適用することができる。
【0025】
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
【0026】
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
【0027】
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
【0028】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における断熱壁の断面図である。図2は同実施の形態の断熱壁に用いた真空断熱材の断面図である。
【0030】
本実施の形態の断熱壁1は、複数の柱2と、柱2間に配置された間柱3と、柱2及び間柱3の室内側に設けられた内壁材4と、内壁材4の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材5と、真空断熱材5の室内側の面に配置された合板製の胴縁6と、胴縁6の室内側に固定された厚み12mmの石膏ボードからなる突き刺し防止板7とを有する。
【0031】
真空断熱材5は、内面に熱溶着層11を有するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材9で繊維体からなる例えば厚さ3〜10mmの板状の芯材8を減圧密封してなり、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がある芯材部14と、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がない芯材なし部15と、芯材8の外周の芯材なし部15に芯材8を囲むように外被材9同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、胴縁6は真空断熱材5の芯材なし部15の室内側の面に配置される。
【0032】
また、芯材部14は内壁材4の室内側に配設してあり、内壁材4の芯材部14が位置する逆面の位置に柱2と間柱3のどちらも存在しないように芯材部14を配置してある。
【0033】
外被材9は、芯材8側より外側に向かって、ポリエチレンからなる熱溶着層11、10μm以下のアルミ箔からなるガスバリア層12、ナイロンからなる保護層13の順に構成されている。
【0034】
芯材なし部15における外被材9同士が熱溶着された熱溶着部または熱溶着部の外周側は、タッカー16や釘、ビス等によって内壁材4に固定されている。
【0035】
胴縁6は内壁材4の室内側の面の芯材部14が配設されていない箇所の一部もしくは全部に配設してある。芯材なし部15がある箇所では、芯材なし部15の上から胴縁6を配設している。なお、本仕様では芯材部14の厚みより胴縁6の厚みを厚くして配設している。
【0036】
突き刺し防止板7は、釘17もしくはビス等の固定材によって柱2もしくは間柱3に内壁材4と胴縁6とを介して固定してある。
【0037】
胴縁6は、本実施の形態では木製であるが、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン等による発泡断熱材を用いても構わない。発泡断熱材からなる胴縁6を用いた場合は、断熱壁1の断熱性能を向上させることができ、快適性が向上する。
【0038】
本実施の形態の内壁材4は、既存住宅の壁であり、合板や石膏ボード等の複層構造であっても構わない。
【0039】
次に具体的断熱改修方法について説明する。断熱改修を行う住宅の従来の壁に真空断熱材5を配設し、芯材なし部15にタッカー16留めすることで壁に固定する。
【0040】
次に芯材部14を配設していない壁の箇所に胴縁6をタッカー16で固定する。
【0041】
次に突き刺し防止板7を胴縁6の上に配設し、柱2と間柱3の位置に胴縁6、内壁材4を介して釘17もしくはビスにより固定する。以上により断熱改修が完了する。
【0042】
真空断熱材5の熱伝導率が0.0040W/m/Kで、真空断熱材5の厚みが3mmの場合、真空断熱材5のの熱抵抗は0.75m2・K/Wとなり、これはグラスウール10Kの厚み約38mmに相当する。この値は、1980年から1991年の住宅の旧省エネ基準の断熱性能を1992年の新省エネ基準の断熱性能に引き上げるレベルである。
【0043】
ちなみに、日本国内に前記旧省エネ基準の住宅は1500万戸、新省エネ基準の住宅は600万戸存在するが、前記旧省エネ基準よりも低い基準の住宅は3300万戸存在する。これより、真空断熱材55の厚みが3mmでも断熱性能の大きな改善を行うことができる。
【0044】
更に、厚みが10mmの真空断熱材5を断熱改修に使用した場合には、その熱抵抗は2.48m2・K/Wとなり、前記1980年から1991年の住宅の旧省エネ基準の断熱性能を1998年の次世代省エネ基準の断熱性能に一気に引き上げるレベルとなる高断熱化が図れる。
【0045】
突き刺し防止板7は、柱2や間柱3の位置に釘17、ビス等で突き刺して固定するので、柱2や間柱3の位置に芯材部14があると誤って芯材部14に刺してしまい真空断熱材5が破袋する可能性があるが、内壁材4の芯材部14が位置する逆面の位置に柱2と間柱3のどちらも存在しないように芯材部14を配置したので、芯材部14が刺され破袋する危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0046】
また、断熱改修を必要とする家の多くは無断熱住宅であり、柱2と柱2の間は断熱材が充填されておらず柱2の部分よりも断熱性能が低い。そのため、反対側の面(逆面)に柱2が存在しない内壁材4の上に芯材部14を配置することで効果的に断熱補強することができ、断熱性能を向上させることができる。
【0047】
なお、芯材なし部15全てを熱溶着した場合は、さらに釘17やタッカー16により破袋する危険性を低減することができる。また、ガスバリア性も向上することができ、長期において高断熱性能を維持することができる。
【0048】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における断熱壁の断面図である。図4は、同実施の形態の断熱壁に用いた真空断熱材の断面図である。
【0049】
本実施の形態の断熱壁1は、複数の柱2と、柱2間に配置された間柱3と、柱2及び間柱3の室内側に設けられた内壁材4と、内壁材4の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材5と、真空断熱材5の室内側の面に配置された合板製の胴縁6と、胴縁6の室内側に固定された厚み12mmの石膏ボードからなる突き刺し防止板7とを有する。
【0050】
真空断熱材5は、内面に熱溶着層11を有するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材9で繊維体からなる例えば厚さ3〜10mmの2つの板状の芯材8を減圧密封してなり、この2つの芯材8がそれぞれ独立した空間内に位置するように各芯材8の周囲に熱溶着部が設けられており、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がある芯材部14と、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がない芯材なし部15と、芯材8の外周の芯材なし部15に芯材8を囲むように外被材9同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、胴縁6は真空断熱材5の芯材なし部15の室内側の面に配置される。
【0051】
真空断熱材5の2つの芯材8は、それぞれが独立した空間内に位置するようにその周囲に熱溶着部が設けられており、それぞれ独立した真空断熱材5を形成している。
【0052】
内壁材4における間柱3が配設された箇所の室内側の位置に、2つの芯材部14の間にある芯材なし部15を配設してある。また、同じく内壁材4における間柱3が配設された箇所の室内側の位置に、芯材部14の一部を配設してある。
【0053】
間柱3の室内側方向に芯材部14の一部と2つの芯材部14の間で外被材9同士が熱溶着された芯材なし部15とが位置し、柱2の室内側方向に芯材部14が存在しない。
【0054】
芯材なし部15はタッカー16や釘、ビス等によって内壁材4に固定されている。
【0055】
胴縁6は内壁材4の室内側の面の芯材部14が配設されていない箇所の一部もしくは全部に配設してある。芯材なし部15がある箇所では、芯材なし部15の上から胴縁6を配設している。なお、本仕様では芯材部14の厚みより胴縁6の厚みを厚くして配設している。
【0056】
突き刺し防止板7は、釘17もしくはビス等の固定材によって柱2もしくは間柱3に内壁材4と胴縁6とを介して固定してある。間柱3においては内壁材4と胴縁とに加えて芯材なし部15も介して固定している。
【0057】
胴縁6は、本実施の形態では木製であるが、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン等による発泡断熱材を用いても構わない。発泡断熱材からなる胴縁6を用いた場合は、断熱壁1の断熱性能を向上させることができ、快適性が向上する。
【0058】
本実施の形態の内壁材4は、既存住宅の壁であり、合板や石膏ボード等の複層構造であっても構わない。
【0059】
突き刺し防止板7は通常910mm幅であり、壁もしくは天井は複数枚の突き刺し防止板7で施工される。突き刺し防止板7は柱2から柱2に渡して柱2と間柱3に固定するため、隣り合う2枚の突き刺し防止板7の繋ぎ目の位置が固定される柱2には釘17、ビス等が間柱3の2倍打たれることになるが、本実施の形態の仕様では柱2に芯材部14が位置しないので誤って芯材部14が刺されて破袋する危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0060】
また、真空断熱材5を壁の間柱3に固定するときに、芯材部14が1つの真空断熱材5を2枚固定するのに比べてタッカー16、釘、ビス等による留め数を半減できるので破袋の危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。また、留め数が半分で済むので施工時間を短縮することができる。
【0061】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における断熱壁の断面図である。
【0062】
本実施の形態の断熱壁1は、複数の柱2と、柱2間に配置された間柱3と、柱2及び間柱3の室内側に設けられた内壁材4と、内壁材4の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材5と、真空断熱材5の室内側の面に配置された合板製の胴縁6と、胴縁6の室内側に固定された厚み12mmの石膏ボードからなる突き刺し防止板7とを有する。
【0063】
真空断熱材5は、内面に熱溶着層11を有するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材9で繊維体からなる例えば厚さ3〜10mmの2つの板状の芯材8を減圧密封してなり、この2つの芯材8がそれぞれ独立した空間内に位置するように各芯材8の周囲に熱溶着部が設けられており、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がある芯材部14と、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がない芯材なし部15と、芯材8の外周の芯材なし部15に芯材8を囲むように外被材9同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、胴縁6は真空断熱材5の芯材なし部15の室内側の面に配置される。
【0064】
真空断熱材5の2つの芯材8は、それぞれが独立した空間内に位置するようにその周囲に熱溶着部が設けられており、それぞれ独立した真空断熱材5を形成している。
【0065】
間柱3の室内側方向に、2つの芯材部14の間で外被材9同士が熱溶着された芯材なし部15とが位置し、柱2の室内側方向に芯材部14が存在しない。
【0066】
芯材なし部15はタッカー16や釘、ビス等によって内壁材4に固定されている。
【0067】
胴縁6は内壁材4の室内側の面の芯材部14が配設されていない箇所の一部もしくは全部に配設してある。芯材なし部15がある箇所では、芯材なし部15の上から胴縁6を配設している。なお、本仕様では芯材部14の厚みより胴縁6の厚みを厚くして配設している。
【0068】
突き刺し防止板7は、釘17もしくはビス等の固定材によって柱2もしくは間柱3に内壁材4と胴縁とを介して固定してある。間柱3においては内壁材4と胴縁6とに加えて芯材なし部15も介して固定している。
【0069】
胴縁6は、本実施の形態では木製であるが、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン等による発泡断熱材を用いても構わない。発泡断熱材からなる胴縁6を用いた場合は、断熱壁1の断熱性能を向上させることができ、快適性が向上する。
【0070】
本実施の形態の内壁材4は、既存住宅の壁であり、合板や石膏ボード等の複層構造であっても構わない。
【0071】
突き刺し防止板7は、柱2や間柱3の位置に釘17、ビス等で突き刺して固定するので、柱2や間柱3の位置に芯材部14があると誤って芯材部14に刺してしまい真空断熱材5が破袋する可能性があるが、内壁材4の芯材部14が位置する逆面の位置に柱2と間柱3のどちらも存在しないように芯材部14を配置したので、芯材部14が刺され破袋する危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0072】
また、真空断熱材5を壁の間柱3に固定するときに、芯材部14が1つの真空断熱材5を2枚固定するのに比べてタッカー16、釘、ビス等による留め数を半減できるので破袋の危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。また、留め数が半分で済むので施工時間を短縮することができる。
【0073】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4における断熱壁の断面図である。
【0074】
本実施の形態の断熱壁1は、複数の柱2と、柱2間に配置された間柱3と、柱2及び間柱3の室内側に設けられた内壁材4と、内壁材4の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材5と、真空断熱材5の室内側の面に配置された合板製の胴縁6と、胴縁6の室内側に固定された厚み12mmの石膏ボードからなる突き刺し防止板7とを有する。
【0075】
真空断熱材5は、内面に熱溶着層11を有するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材9で繊維体からなる例えば厚さ3〜10mmの板状の芯材8を減圧密封してなり、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がある芯材部14と、芯材8の厚み方向に見たときに外被材9の間に芯材8がない芯材なし部15と、芯材8の外周の芯材なし部15に芯材8を囲むように外被材9同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、胴縁6は真空断熱材5の芯材なし部15の室内側の面に配置される。
【0076】
また、内壁材4の真空断熱材5が位置する逆面の位置に柱2と間柱3のどちらも存在しないように、内壁材4における柱2または間柱3のどちらかの室内側方向の位置に、真空断熱材5が存在しないように配置している。
【0077】
芯材なし部15はタッカー16や釘、ビス等によって内壁材4に固定されている。
【0078】
胴縁6は内壁材4の室内側の面の芯材部14が配設されていない箇所の一部もしくは全部に配設してある。芯材なし部15がある箇所では、芯材なし部15の上から胴縁6を配設している。なお、本仕様では芯材部14の厚みより胴縁6の厚みを厚くして配設している。
【0079】
突き刺し防止板7、釘17もしくはビス等の固定材によって柱2もしくは間柱3に内壁材4と胴縁6とを介して固定してある。
【0080】
胴縁6は、本実施の形態では木製であるが、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン等による発泡断熱材を用いても構わない。発泡断熱材からなる胴縁6を用いた場合は、断熱壁1の断熱性能を向上させることができ、快適性が向上する。
【0081】
本実施の形態の内壁材4は、既存住宅の壁であり、合板や石膏ボード等の複層構造であっても構わない。
【0082】
本実施の形態では、内壁材4の真空断熱材5が位置する逆面の位置に柱2と間柱3のどちらも存在せず、また、内壁材4における柱2または間柱3のどちらかの室内側方向の位置に、真空断熱材5が存在しないので、突き刺し防止板7を固定するタッカー16、釘、ビス等が真空断熱材5に打たれなくなるので、実施の形態1から3に比べて真空断熱材5の破袋の危険性を低減することができ、断熱性能の低下を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明にかかる断熱壁は、芯材部の破袋の危険性を低減して効率的に断熱補強をすることができるので、真空断熱材を建物の壁に適用することが可能となる。また、断熱改修だけでなく新築での適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱壁の断面図
【図2】同実施の形態の断熱壁に用いた真空断熱材の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における断熱壁の断面図
【図4】同実施の形態の断熱壁に用いた真空断熱材の断面図
【図5】本発明の実施の形態3における断熱壁の断面図
【図6】本発明の実施の形態4における断熱壁の断面図
【図7】従来の断熱壁の断面図
【符号の説明】
【0085】
1 断熱壁
2 柱
3 間柱
4 内壁材
5 真空断熱材
6 胴縁
7 突き刺し防止板
8 芯材
9 外被材
11 熱溶着層
14 芯材部
15 芯材なし部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱と、前記柱間に配置された間柱と、前記柱及び前記間柱の室内側に設けられた内壁材と、前記内壁材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材の室内側の面に配置された胴縁と、前記胴縁の室内側に固定された突き刺し防止板とを有する断熱壁であって、
前記真空断熱材は、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がある芯材部と、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がない芯材なし部と、前記芯材の外周の前記芯材なし部に前記芯材を囲むように前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、
前記胴縁は前記真空断熱材の前記芯材なし部の室内側の面に配置され、
前記内壁材の前記芯材部が位置する逆面の位置に前記柱と前記間柱のどちらも存在しないように前記芯材部を配置した断熱壁。
【請求項2】
前記内壁材の前記真空断熱材が位置する逆面の位置に前記柱と前記間柱のどちらも存在しないように前記真空断熱材を配置した請求項1に記載の断熱壁。
【請求項3】
複数の柱と、前記柱間に配置された間柱と、前記柱及び前記間柱の室内側に設けられた内壁材と、前記内壁材の室内側の面の少なくとも一部に配置された真空断熱材と、前記真空断熱材の室内側の面に配置された胴縁と、前記胴縁の室内側に固定された突き刺し防止板とを有する断熱壁であって、
前記真空断熱材は、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材で板状の芯材を減圧密封してなり、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がある芯材部と、前記芯材の厚み方向に見たときに前記外被材の間に前記芯材がない芯材なし部と、前記芯材の外周の前記芯材なし部に前記芯材を囲むように前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部とを有し、
前記胴縁は前記真空断熱材の前記芯材なし部の室内側の面に配置され、
少なくとも一部の前記間柱の室内側方向に前記芯材部と前記芯材なし部とが位置し、前記柱の室内側方向に前記芯材部が存在しないように位置した断熱壁。
【請求項4】
前記真空断熱材が2つの前記芯材部を有し、前記芯材部同士の間に位置する前記芯材なし部を、前記間柱の室内側方向に配設した請求項1または3に記載の断熱壁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−13818(P2010−13818A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172993(P2008−172993)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】