説明

断熱性を備えた筒状ラベル

【課題】断熱性を備えた筒状ラベルについて、繊維質シート層による断熱性を充分に確保することができ、且つ、読取記号を機械により確実に読み取れるようにする。
【解決手段】機械により読み取られる読取記号2が設けられた樹脂製のフィルム層11に対して、読取記号2を設けた部分のフィルム層11の表面側では、フィルム層11の上に、読取記号5を透視可能な繊維質シート層15を積層すると共に、繊維質シート層15の上に、読取記号2を透視可能で、且つ、JIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)が7μmよりも小さな表面を有する表面平滑層16を積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶やPETボトルのような容器の胴部に装着される筒状のラベルに関し、特に、熱収縮性フィルムのような樹脂製のフィルムに不織布のような繊維質のシートが積層された積層シートからなり、機械により読み取られるバーコードのような読取記号が設けられた、断熱性を備えた筒状ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
金属缶やPETボトル等の容器にコーヒー・お茶等の飲料が充填された容器入り飲料製品では、加温あるいは冷温された状態で販売するような場合に対応して、容器の胴部に装着される筒状のラベルに断熱性を持たせるということが提案されており、例えば、意匠印刷層が形成された熱収縮性フィルムの表面側に不織布や和紙などを積層した積層シート(積層フィルム)からなる筒状ラベルというものが下記の特許文献1により従来公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コーヒー・お茶等を内容物とする容器入り飲料製品では、製品を管理するために、機械により読み取られるバーコードのような読取記号が一般的に広く使用されているが、断熱性を持たせるために表面側に不織布のような繊維質のシートが積層された積層シートからなる筒状ラベルでは、繊維質シート層の表面には凹凸が多く、高精度な印刷が施しにくいため、繊維質シート層の表面に読取記号を印刷しても、機械による読み取りが確実に行えないような虞がある。
【0005】
一方、積層シートの基板となる樹脂製のフィルム(熱収縮性フィルム)に読取記号を印刷した場合でも、読取記号の部分でフィルム層の表面側が繊維質シート層により覆われていると、たとえ読取記号の部分での繊維質シート層が透過性を有するものであり、繊維質シート層を透してその下の読取記号が見えたとしても、読取機械からのレーザー光を読取記号の上に照射して走査し、その反射光により読取記号を読み取る際に、繊維質シート層の表面の凹凸によりレーザー光が乱反射することから、やはり機械による読み取りが確実に行えないような虞がある。
【0006】
これに対して、上記の特許文献1には、筒状のラベルを形成するための積層シート(積層フィルム)において、樹脂製のフィルム(第1フィルム)に積層する繊維質のシート(第2フィルム)を、積層シート(積層フィルム)の両側の端部同士を重ね合わせて接着する部分で、一方の側の重ね代に相当する部分の繊維質シート(第2フィルム)を除くようにしているのに対して、この繊維質シート(第2フィルム)が非積層な範囲の幅を、バーコードなどの機械的読取記号や、細かい文字による内容物表示や、説明書き等のような印刷表示ができる程度に形成しても良いということが記載されている。しかしながら、そのように繊維質シートが非積層な範囲を広く設定すると、繊維質シートによる断熱効果が損なわれるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、断熱性を備えた筒状ラベルについて、繊維質シート層による断熱性を充分に確保することができ、且つ、読取記号を機械により確実に読み取れるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するために、樹脂製のフィルムに繊維質のシートが積層された積層シートを、繊維質シート層が表面側となるように筒状に丸めて、その重ね合わされた両端部同士を接着することで形成された筒状ラベルにおいて、機械により読み取られる読取記号が設けられた樹脂製のフィルム層に対して、読取記号が設けられた部分のフィルム層の表面側では、フィルム層の上に、読取記号を透視可能な繊維質シート層が積層されていると共に、繊維質シート層の上に、読取記号を透視可能で、且つ、JIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)が7μmよりも小さな表面を有する表面平滑層が積層されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記のような本発明の断熱性を備えた筒状ラベルによれば、筒状ラベルの表面(外面)全体に繊維質シート層を設けることで、繊維質シート層による断熱性を充分に確保できるようにした場合に、読取記号が設けられた部分も繊維質シート層によって完全に覆われることとなるが、そのように読取記号が繊維質シート層で覆われていても、機械により読取記号を読み取る際には、繊維質シート層と表面平滑層とを透して読取記号が透視可能であり、且つ、表面平滑層の表面で読取機械からのレーザー光が乱反射されないことから、読取記号を確実に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の断熱性を備えた筒状ラベルの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した筒状ラベルの材料となる積層シートの両端付近を模式的に示す斜視説明図である。
【図3】図2に示した積層シートの読取記号が設けられた部分の断面構造を模式的に示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
断熱性を備えた筒状ラベルについて、繊維質シート層による断熱性を充分に確保することができ、且つ、読取記号を機械により確実に読み取れるようにするという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、樹脂製のフィルムに繊維質のシートが積層された積層シートを、繊維質シート層が表面側となるように筒状に丸めて、その重ね合わされた両端部同士を接着することで形成された筒状ラベルにおいて、機械により読み取られる読取記号が設けられた樹脂製のフィルム層に対して、読取記号を設けた部分のフィルム層の表面側では、フィルム層の上に、読取記号を透視可能な繊維質シート層を積層すると共に、繊維質シート層の上に、読取記号を透視可能で、且つ、JIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)が7μmよりも小さな表面を有する表面平滑層を積層する、ということで実現した。
【0012】
本発明の断熱性を備えた筒状ラベルは、樹脂製のフィルムに繊維質のシートが積層された積層シートを、繊維質シート層が表面側となるように筒状に丸めて、その重ね合わされた両端部同士を接着する(製袋シールする)ことにより形成されるものであって、飲料等が収容された容器の胴部に対して、装飾性や断熱性を付与するために装着されるものである。
【0013】
積層シートの基板となる樹脂製のフィルムとしては、熱収縮性のフィルムだけでなく、ストレッチフィルムやストレッチシュリンクラベル等も使用できるが、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等のような熱可塑性樹脂からなる熱収縮性のフィルムが好適に使用できる。
【0014】
樹脂製のフィルムに積層される繊維質のシートとしては、不織布や和紙などが好適に使用できる。不織布としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン、キュプラなどの適宜の繊維を素材として、接着法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、メルトブロー法等の適宜の方法によりシート状に製造した不織布や、パルプ繊維から紙漉き法により製造した和紙調の不織布などがある。また、和紙としては、雲竜紙、楮紙、三椏紙などがあり、特に雲竜紙が好適に使用できる。
【0015】
不織布の素材となる繊維としては、中実繊維、中空繊維、或いは、それらの混合繊維があるが、断熱性という観点からは、中空繊維、或いは、中空繊維を含む混合繊維を使用するのが好ましい。また、繊維長については、繊維同士の絡み合いにより形成される強度やシートの取扱い性という観点からは長繊維が好ましく、シートのカット適正という観点からは短繊維が好ましい。
【0016】
なお、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のような難接着性素材の繊維からなる不織布の場合には、基板のフィルムと接着される側の不織布の面に、コロナ放電処理、プライマー処理、その他、接着剤との密着性を高めるための活性化処理を予め施すようにしておくことが好ましい。
【0017】
不織布や和紙などによる繊維質のシートには、その表面(外面)に必要に応じて外面印刷を施すようにしても良く、例えば、樹脂製のフィルムに繊維質のシートを積層した後で、積層シートの繊維質シート層の表面に、商品名や模様等の所定の図柄を凸版印刷することで、外面印刷層を形成するようにしても良い。更には、繊維質シートのケバ立ちやこすれによる繊維のほつれを防止するために、外面印刷が施された繊維質シート層の表面(外面)に、繊維質シートの触感や美観を損なわない程度に透明なメジウムインキを塗布して、保護層を形成するようにしても良い。
【0018】
繊維質のシートを積層するために樹脂製フィルムの表面(外面側)に設けられる接着剤層としては、通常のドライラミネート法やウェットラミネート法などで用いられている接着剤が使用でき、例えば、アクリル系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ゴム系などの溶剤型接着剤又は水溶性接着剤などが好適に使用できる。
【0019】
そのような接着剤層を介してフィルム層と繊維質シート層とが積層された積層シートからなる本発明の断熱性を備えた筒状ラベルの一実施例について以下に説明する。
【実施例】
【0020】
筒状ラベルの材料となる積層シートの積層構造について、本実施例では、図2に示すように、積層シート10の基板となるフィルム層11の裏面(筒状ラベルで内面となる面)側には、一端側に接着剤層13のみを設けた状態で、ベース印刷層12が形成されている。また、フィルム層11の表面(筒状ラベルで外面となる面)側には、接着剤層14を介して繊維質シート層15が形成されている。
【0021】
積層シート10の基板となるフィルム層11は、特に限定されるものではないが、本実施例では、熱可塑性縦一軸収縮タイプの無色透明又は有色透明の熱収縮性フィルムからなり、90℃での加熱による熱収縮率が、機械的流れ方向(MD方向)では5〜80%(好ましくは10〜75%)の範囲に設定され、また、機械的流れ方向に直交する方向(TD方向)では10%以下(好ましくは3%以下)に設定されている。このような熱収縮性フィルムによるフィルム層11を有する積層シート10を筒状ラベルに成形する際には、フィルム層11の収縮方向となる熱収縮性フィルムのMD方向が筒状ラベルの周方向(横方向)となり、TD方向が筒状ラベルの高さ方向(縦方向)となるようにしている。
【0022】
フィルム層11の裏面に形成されるベース印刷層12は、裏地となる図柄や、機械により読み取るバーコードのような読取記号等を、グラビア印刷等により印刷することによって形成されるものであって、印刷インキとしては、ポリエーテル・ポリウレタン系インキやアルコール可溶のアクリル系インキ等が使用できる。
【0023】
フィルム層11の裏面側で、積層シートの一端側には、本実施例では、ベース印刷層12を設けることなく、溶着シール可能な接着剤層13を設けており、この接着剤層13によって、筒状に丸めた積層シートの側端部同士が溶着シールされて接着されることで、積層シートが筒状ラベルに形成される。溶着シールの方法としては、ヒートシール、インパルスシール、レーザーシール、超音波シール等の適宜の方法が可能である。
【0024】
フィルム層11の裏面側の接着剤層13については、フィルム層11と繊維質シート層15の双方の材質に対して接着性を有する接着剤を使用して、積層シート10の両端同士を重ね合わせて筒状に成形する際に、重ね合わせた部分の上側に位置する積層シート10の一端側裏面に接着剤を塗布することで形成されるものであるが、ベース印刷層12を印刷する際に、ベース印刷層12と同時にフィルム層11の裏面に接着剤を塗布することで形成しても良く、そうした場合には接着剤の塗布工程を簡略化することができる。
【0025】
フィルム層11の表面側に接着剤層14を介して積層される繊維質シート層15は、本実施例では、基板となるフィルム層11と略同じ大きさで、フィルム層11の収縮性能に迫従して収縮が可能で、且つ、ベース印刷層12に印刷された図柄やバーコード等を透視可能なものとなっている。即ち、この繊維質シート層15は、繊維質の質感と断熱性を確保しつつ、ベース印刷層12の印刷内容が透視可能となっていて、具体的には、繊維質シート層15の坪量は、3〜20g/m(好ましくは、5〜15g/m)の範囲に設定されている。
【0026】
ところで、上記のような各層が積層された積層シート10を、フィルム層11が内側で繊維質シート層15が外側となり、且つ、積層シート10の収縮方向(フィルム層11の熱収縮性フィルムの収縮方向)が筒状ラベルの周方向となるように筒状に折り曲げて、その両側の端部同士、即ち、積層シート10の一端側の裏面に形成された接着剤層13と、積層シート10の他端側の繊維質シート層15の表面とを、所要の幅寸法で重ね合わせて、溶着シールにより接着(製袋シール)することで、筒状の内側から外側に向けてベース印刷層12、フィルム層11、接着剤層14、繊維質シート層15の順に積層された本実施例の筒状ラベルが形成される。
【0027】
そのような本実施例の筒状ラベルには、図1に示すように、筒状ラベル1の下部でシート端部同士の接合部の近傍に、機械により読み取られるバーコード等のような読取記号2が設けられている。この読取記号2は、フィルム層11の裏面側でベース印刷層12の印刷内容の一つとして印刷されたものであるため、フィルム層11の表面側に積層された繊維質シート層15によって覆われた状態となっているが、この繊維質シート層15は、ベース印刷層12の印刷内容を透視できるものであるため、筒状ラベルを表面側から目視した際には、繊維質シート層15を透して読取記号2は目視可能となっている。
【0028】
しかしながら、繊維質シート層15には、その表面に繊維による不規則な凹凸があるため、この繊維質シート層15を透して読取記号2を目視できたとしても、機械により読取記号2を読み取ろうとした場合には、機械からのレーザー光を読取記号2の上に照射して走査し、その反射光により読取記号2を読み取る際に、繊維質シート層15の表面の凹凸によりレーザー光が乱反射することから、読み取りが行えない虞がある。
【0029】
これに対して、本実施例では、図3に示すように、フィルム層11の裏面側に設けられた読取記号2の部分と対応する繊維質シート層15の表面の一部分(換言すると、フィルム層11と接合されている繊維質シート層15のうちで、読取記号2とフィルム層11を介して対面する部分)に、繊維質シート層15の表面を覆うように表面平滑層16が設けられている。
【0030】
表面平滑層16は、読取記号2を透視可能な無色透明又は有色透明で、且つ、読取記号2を読み取れる平滑な表面を有するものである。即ち、読取記号2の部分では、その上を覆っている繊維質シート層15の表面(繊維による不規則な凹凸)を覆うように表面平滑層16が設けられて、表面平滑層16の表面は、レーザー光が乱反射し難いような平滑面となっている。
【0031】
具体的には、本実施例では、表面平滑層16が形成された箇所での全光線透過率は、80%以上(JIS K−7137に準拠させた濁度計[日本電色工業株式会社製のNDH−2000]を使用)の範囲となるように設定されている。また、表面平滑層16の表面の平滑性については、表面平滑層16の表面でのJIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)が1〜7μmの範囲となるように設定されている。
【0032】
なお、表面平滑層16の表面でのJIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)を1〜7μmの範囲に設定している理由については、算術平均粗さ(Ra)が7μmより大きいと、レーザー光の乱反射により読取記号の読み取りを確実に行うことができない虞があり、一方、算術平均粗さ(Ra)を1μmより小さくしようとすると、過度に平滑な層を作るための製造コストが増大する虞があるからである。
【0033】
表面平滑層16については、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリアミド系樹脂等を主成分とした熱可塑性樹脂による塗膜層として形成されるものであって、前記の樹脂材料を有機系溶剤と混和し溶解することで作成したコーティング液を、繊維質シート層の上に直接塗布し、この塗布液層から溶剤を蒸発除去することで、表面平滑層16が形成されており、そのように、樹脂を液体状にした上で繊維質シート層15の上に塗布することで、繊維の隙間に樹脂を入り込ませて、繊維質シート層15の表面の凹凸を塗膜層により隙間無く埋めるようにしている。
【0034】
樹脂材料を溶解する溶剤の種類については、特に限定されるものではないが、例えば、アルコール系溶剤、メチルエチルケトン等のエステル系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、へキサンやオクタン等の脂肪族炭化水素等を単独又は混合したものが好適に使用できる。
【0035】
上記のような本実施例の筒状ラベル1について、その材料となる積層シート10の一具体例として、裏面にグラビア印刷によりバーコード2を設けた厚さ18μmの熱収縮性ポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム層11の表面に、塗布量2g/mのウレタン系接着剤による接着剤層14を介して、繊維質シート層15として坪量9g/mの丸林製紙株式会社製の雲竜紙#1−1を積層し、フィルム層11の裏面側に印刷されたバーコード2に対応する繊維質シート層15の表面の一部分に、大東ペイント株式会社製のポリエステル樹脂溶液(ダイトロン0B05)30gと溶剤(ダイトロンシンナー#903[トルエン25%、MEK75%])40gとを配合したコーティング液を1.3g/m塗布して溶剤を蒸発除去することで、表面のJIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)が6.8μmである表面平滑層16が形成された積層シート10を製造した。そして、バーコードリーダーにより、表面平滑層16の上から繊維質シート層15を透してバーコード2の読み取りを行った結果、問題なく読み取ることができた。
【0036】
上記のような積層シート10からなる本実施例の筒状ラベル1によれば、読取機械(バーコードリーダー等)により読取記号(バーコード等)2を読み取るために、読取機械からレーザー光を照射し、表面平滑層16と繊維質シート層15を透過させて読取記号2の上を走査し、その反射光を光電素子等により読み取ることで読取記号2を読み取る際に、読取記号2が設けられた部分に対応する繊維質シート層15の表面の一部分に、平滑な表面を有する表面平滑層16が形成されていることから、読取機械から照射されたレーザー光が筒状ラベル1の表面(表面平滑層16の表面)で乱反射されないため、確実に読取記号2を読み取ることができる。
【0037】
しかも、フィルム層11の表面側全体に繊維質シート層15が積層されていることにより、読取記号2が設けられた部分でも繊維質シート層15による断熱性や質感を確保することができて、繊維質シート層15による断熱性や質感をラベル全体で確保することができると共に、読取記号2を読み取るために繊維質シート層15を部分的に取り除くような成形を行う必要がないため、積層シートの生産性を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の断熱性を備えた筒状ラベルの一実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に示した具体的な構成にのみ限定されるものではなく、例えば、樹脂製のフィルム層に設けられる読取記号について、上記の実施例では、フィルム層の裏面側のベース印刷層に印刷しているが、フィルム層の表面側に印刷したり、或いは、直接印刷ではなく別体シートに読取記号を印刷したものを貼付したりしても良いものである。また、上記の実施例では、表面平滑層を設けた部分以外の繊維質シート層の表面には何も設けていないが、表面平滑層を設けた部分以外の繊維質シート層の表面に外面印刷層や保護層を形成しても良く、そうする場合には、読取記号の部分と対応する繊維質シート層の一部分に対して、その部分の繊維質シート層の表面には外面印刷層や保護層を形成しないようにしておく方が良い等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 筒状ラベル
2 読取記号
10 積層シート
11 フィルム層
12 ベース印刷層
13 接着剤層
14 接着剤層
15 繊維質シート層
16 表面平滑層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のフィルムに繊維質のシートが積層された積層シートを、繊維質シート層が表面側となるように筒状に丸めて、その重ね合わされた両端部同士を接着することで形成された筒状ラベルにおいて、機械により読み取られる読取記号が設けられた樹脂製のフィルム層に対して、読取記号が設けられた部分のフィルム層の表面側では、フィルム層の上に、読取記号を透視可能な繊維質シート層が積層されていると共に、繊維質シート層の上に、読取記号を透視可能で、且つ、JIS B−0601で規定される算術平均粗さ(Ra)が7μmよりも小さな表面を有する表面平滑層が積層されていることを特徴とする筒状ラベル。
【請求項2】
表面平滑層の表面での算術平均粗さ(Ra)が1〜7μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の筒状ラベル。
【請求項3】
樹脂製のフィルム層の表面側全体に繊維質シート層が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の筒状ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−254304(P2010−254304A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102845(P2009−102845)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】