断線検出回路
【課題】断線検出時に負荷に流す電流を負荷のインピーダンスに合わせた適切な電流値とすることができ、断線検出時の負荷の誤動作、及び断線状態、非断線状態の誤検出をより確実に防止し得る構成を提供する。
【解決手段】断線検出回路1は、負荷3のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路と、負荷3に対し、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給する通電回路と、通電回路により負荷3に対して負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3が断線状態であるか否かを判定する断線判定回路とを備えている。
【解決手段】断線検出回路1は、負荷3のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路と、負荷3に対し、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給する通電回路と、通電回路により負荷3に対して負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3が断線状態であるか否かを判定する断線判定回路とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、負荷の断線(オープン状態)を検出する回路として様々な構成が提案されており、その一例としては、例えば図12のような構成が考えられている。この図12の回路では、所定の検出時期に負荷に対して定電流源101から一定の電流を流し、この通電時における負荷の一端側の電圧を基準電圧と比較しており、基準電圧を上回っている場合には、負荷がオープン状態であると判断し、基準電圧を下回っている場合には負荷がオープン状態ではないと判断している。なお、図11の構成では、定電流からの通電タイミングを制御する制御手段、スイッチ素子などは省略して示している。
【0003】
また、断線検出回路としては、特許文献1、2のようなものも提供されている。
特許文献1で開示される断線誤動作防止回路は、複数の論理回路(1)(2)を有する半導体集積回路内において、論理回路(1)(2)間の断線を検知する断線検知回路(4)と、この断線検知回路(4)の出力によって作動される誤動作防止手段(異常貫通電流防止回路(5))とが設けられている。そして、断線検知回路(4)は、前段論理回路(1)の出力と、後段論理回路(2)の出力との不一致の検出に基づいて作動する構成をなし、誤動作防止手段(異常貫通電流防止回路(5))は、信号線(3)が断線したときに作動して後段の論理回路(2)を流れる貫通電流を消滅させるように機能している。
【0004】
特許文献2で開示される負荷故障診断回路では、外部制御装置(2)によりスイッチ回路(11)をオフ状態からオン状態に切り替えたときに直前のオフ状態における第1の論理回路(16)の出力レベル(一方の出力レベル)を一定時間維持させるディレイ回路(17)と、このディレイ回路(17)の出力(E)と第1の論理回路(16)の出力レベル(他方の出力(D))を受けて負荷オープン又は負荷ショートに対応するフォルト信号を発生させる第2の論理回路(18)とが設けられている。そして、スイッチ回路(11)をオフ状態に切り換え、このときディレイ回路(17)により一定時間持続された出力(E)と第1の論理回路(16)の他方の出力(D)とを受けた第2の論理回路(18)から出力される信号のレベルにより、負荷オープンか否かを判別している。これにより、完全な断線と半断線状態とを正確に検出することを可能としている。
【0005】
特許文献3には、サーミスタの抵抗値に応じた電圧に基づいて環境温度を検出することにより火災を検知する熱感知器が開示されている。この技術では、検出温度領域毎に異なる電流値の定電流をサーミスタに印加する定電流回路(7)が設けられており、この定電流回路(7)は、環境温度検出時には温度測定範囲を複数の領域に分割した各領域毎にサーミスタの特性が立ったリニアな抵抗領域で検出が可能なように、異なる電流値をサーミスタに印加している。また、サーミスタの断線検出時には、サーミスタの抵抗が立ったリニアな抵抗領域で検出可能でかつ環境温度検出時とは相違する値の電流値をサーミスタに印加するように制御し、この状態のサーミスタの抵抗値に応じた電圧に基づいてサーミスタが断線か否かを判定している。この技術によれば、低温領域と高温領域では特性がリニアではないサーミスタの断線を正確に検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−196680号公報
【特許文献2】特開平6−331677号公報
【特許文献3】特許第3043934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような断線検出回路では、負荷の断線を検出する際に、負荷に対して検出用の電流を流す必要があるが、この電流値が高すぎると、検出時に動作停止状態或いは動作抑制状態とするべき負荷が大きく動作してしまうという問題が生じる。特に、LED等の小電流で動作する負荷(高インピーダンス負荷)では、このような誤動作の問題がより顕著となる。逆に断線検出時に流す電流値が低すぎると、負荷に印加される電圧が低くなりすぎて負荷の断線を正確に検出できなくなる虞がある。このような誤検出の問題は、特にインピーダンスが低い負荷で顕著となる。このような問題があるため、負荷の断線を検出する際には、負荷のインピーダンスに合わせた適切なレベルの電流を流す必要があるが、上述の従来技術は、いずれも負荷のインピーダンスを把握し得る構成ではなく、負荷インピーダンスに合わせた適切な負荷電流を供給し得る構成ではないため、断線検出時の誤動作或いは誤検出の問題を解消することはできなかった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、負荷等に生じる断線を検出する断線検出回路において、断線検出時に負荷に流す電流を負荷のインピーダンスに合わせた適切な電流値とすることができ、断線検出時の負荷の誤動作、及び断線状態、非断線状態の誤検出をより確実に防止し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、負荷又は負荷に接続された通電路の断線状態を検出する断線検出回路であって、
前記負荷のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、
前記インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路と、
前記負荷に対し、前記電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給する通電回路と、
前記通電回路により前記負荷に対して前記負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、前記負荷に印加される電圧の状態に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定する断線判定回路と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、負荷のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路とが設けられている。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときの負荷への印加電圧に基づいて負荷又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷のインピーダンスを検出することができ、断線検出時には負荷に対して検出されたインピーダンスに合わせた適切な値の電流を供給することができる。特に、負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくしているため、インピーダンスが大きく小電流で動作し易い負荷を断線検出対象とするときには、断線検出の際に供給電流を抑えて負荷を動作させ難くすることができる。逆に、負荷のインピーダンスが小さい場合には供給電流を大きく設定しているため、負荷への印加電圧を高めることができ、このような印加電圧に基づいて断線状態、非断線状態を正確に判定し易くなる。
【0011】
また、請求項2の発明では、インピーダンス検出回路において、負荷に対して電流を供給可能に構成され且つその供給電流を複数の段階に変化させ得る電流切替部と、電流切替部によって各段階の電流が負荷に供給されたときの負荷に印加される各電圧を基準電圧と比較する比較部と、比較部での比較結果に基づいて負荷のインピーダンスレベルを決定する決定部とが設けられている。
この構成によれば、負荷のインピーダンスレベルが予め設定された複数段階のいずれに該当するかを簡易に判別することができる。
【0012】
また、請求項3の発明では、インピーダンス検出回路を構成する電流切替部が、通電回路の一部として兼用され、負荷に供給する電流を、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに対応する段階に切り替え可能とされている。そして、インピーダンス検出回路を構成する比較部は、断線判定回路の一部として兼用され、電流切替部によって負荷インピーダンスに対応した段階の電流が供給されているときに負荷に印加される電圧と基準電圧とを比較するように構成されている。そして、断線判定回路は、比較部による比較結果に基づいて負荷又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、インピーダンスを検出するための回路と、断線を判定する回路の要部を兼用することができ、構成の簡素化、小型化を図りやすくなる。
【0013】
請求項4の発明は、インピーダンス検出回路で検出された負荷インピーダンスの情報を記憶する記憶部が設けられており、通電回路は、断線判定回路による判定に先立って記憶部を参照すると共に当該記憶部に記憶される負荷インピーダンスの情報に対応する電流を負荷に供給している。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスの情報に対応する電流が負荷に供給されているときの負荷に印加される電圧の状態に基づいて負荷又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷インピーダンスを実測する処理を行い、断線判定時には、直近で実測されたインピーダンス状態に対応する適切なレベルの電流に基づいて断線状態を判定することができる。従って、過剰電流による負荷の誤動作をより抑え易く、且つ適切に保たれた電流に基づいて断線判定をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。
【図2】図2は、図1の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図3】図3は、図1の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4は、図1の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、図1の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。
【図7】図7は、図6の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、図6の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、図6の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、図6の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、他の実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。
【図12】図12は、従来の断線検出回路の一例を概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の断線検出回路を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。図2は、図1の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。図3は、図1の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、図1の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。図5は、図1の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【0016】
図1に示す断線検出回路1は、ランプ、モータなどからなる車載用の負荷3の断線を検出する回路として構成されている。検出対象となる負荷3は、例えば、電源VBからの通電ラインに設けられ、スイッチ素子M1がオン動作したときに駆動電流が供給されて駆動し、スイッチ素子M1がオフ動作したときに駆動電流が遮断されて停止するように構成されている。なお、図1の例では、スイッチ素子M1がNチャネル型のMOSFETとして構成されており、ソースが負荷3の一端側に接続され、負荷3の他端側は接地されている。また、スイッチ素子M1のドレインは電源VBに接続され、ゲートには負荷駆動部5からの制御信号が入力されるようになっている。この構成では、負荷駆動部5がスイッチ素子M1に対するHレベル信号(オン信号)及びLレベル信号(オフ信号)を制御する駆動ドライバとして構成されており、負荷駆動部5からスイッチ素子M1のゲートにHレベル信号が入力されたときに負荷3が通電状態となって駆動し、スイッチ素子M1のゲートにLレベル信号が入力されたときに負荷3が非通電状態となって動作が停止するようになっている。
【0017】
断線検出回路1は、このような負荷3の断線を検出可能とされており、主として、比較部7、記憶部9、通電部10、制御部20を備えている。そして、負荷3の通電時に印加される電圧に基づいて負荷3又は負荷3に接続される通電路の断線(即ち、負荷電流が流れる経路の断線)を検出するように構成されている。
【0018】
通電部10は、定電流源11と、NPNバイポーラトランジスタとして構成されるトランジスタTr1,Tr2のベースを共通接続し、且つこれらベースをトランジスタTr1のコレクタに接続してなる第1のカレントミラー回路と、PNPバイポーラトランジスタとして構成されるトランジスタTr3,Tr4のベースを共通接続し、且つこれらベースをトランジスタTr3のコレクタに接続してなる第2のカレントミラー回路とを備えている。第1のカレントミラー回路において、トランジスタTr1のエミッタは接地されている。また、第2のカレントミラー回路において、トランジスタTr4のコレクタは、スイッチ素子M2を介して接地されている。スイッチ素子M2は、Nチャネル型のMOSFETとして構成されており、ソースが接地され、ドレインがトランジスタTr4のコレクタに接続されている。そして、スイッチ素子M2のゲートには、MOS制御信号出力部21からの制御信号が入力されるようになっている。また、トランジスタTr2のエミッタ側には、アナログスイッチSW1、SW2が並列に接続されている。アナログスイッチSW1は、抵抗R1を通る第1導通路の通電及び非通電を切り替えるように機能している。またスイッチSW2は、抵抗R1を通る第1導通路と並列に構成された第2導通路の通電及び非通電を切り替えるように機能している。抵抗R1の一端側及びスイッチSW2の一端側には、抵抗R2の一端側が接続され、抵抗R2の他端側は接地されている。この構成では、スイッチSW1がオン状態とされ、スイッチSW2がオフ状態とされたときに、直列の抵抗R1、R2を流れるように電流Iaが流れ、スイッチSW1がオフ状態とされ、スイッチSW2がオン状態とされたときには、抵抗R1には電流が流れず、抵抗R2のみに電流Ibが流れるように構成されている。抵抗R1側の第1通電路に電流Iaが流れるとき(第1の切り替え状態のとき)には、抵抗R1,R2を経由して電流が流れるため、第2通電路側のみに電流Ibが流れるとき(第2の切り替え状態のとき)と比較してトランジスタTr2のコレクタ電流は相対的に小さくなり、負荷3に流れる電流も相対的に小さくなる。逆に、スイッチSW2側の第2通電路に電流Ibが流れるとき(第2の切り替え状態のとき)には、抵抗R2のみを経由して電流が流れるため、第1通電路側に電流Iaが流れるとき(第1の切り替え状態のとき)と比較してトランジスタTr1のコレクタ電流は、相対的に大きくなり、負荷3に流れる電流も相対的に大きくなる。
【0019】
制御部20は、MOS制御信号出力部21、アナログスイッチ切替部22、記憶部9を有しており、断線検出回路1を全体的に制御するように機能している。MOS制御信号出力部21は、スイッチ素子M1にオン信号(Hレベル信号)又はオフ信号(Lレベル信号)を与えるように機能している。アナログスイッチ切替部22は、動作時にはアナログスイッチSW1又はアナログスイッチSW2を択一的にオン状態とし、非動作時にはアナログスイッチSW1、SW2をオフ状態とするように機能している。記憶部9は、公知の半導体メモリとして構成されており、断線検出回路1での検出結果(負荷インピーダンスの検出結果や負荷3の断線判定結果)等を記憶するように構成されている。なお、制御部20は、マイコンなどの単一の制御回路がこれらMOS制御信号出力部21、アナログスイッチ切替部22として機能していてもよく、これらMOS制御信号出力部21、アナログスイッチ切替部22、記憶部9がそれぞれ別々の回路として構成されていてもよい。
【0020】
比較部7は、負荷3の一端側の電圧を所定の基準電圧と比較するコンパレータと構成されており、負荷3の一端側の電圧(負荷3に印加される電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回る場合には出力端子(out)からLレベル信号を出力し、負荷3の一端側の電圧(負荷3に印加される電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下の場合には、出力端子(out)からHレベル信号を出力するように構成されている。
【0021】
次に、断線検出回路1で行われる負荷インピーダンス検出処理及び断線検出処理について説明する。
図1に示す負荷インピーダンス検出処理は、例えば工場出荷時やメンテナンス時などにおいて所定条件(例えばユーザによる指示操作や他の開始条件の成立等)をトリガとして行われる処理である。この処理では、まず、MOS制御信号出力部21によりスイッチ素子M2をオン状態に切り換え、アナログスイッチ切替部22によりアナログスイッチSW1をオン状態とすると共にアナログスイッチSW2をオフ状態に切り替える処理を行い、定電流源11から電流を流す。なお、スイッチ素子M1はオフ状態で維持される。このとき、負荷3には、上述の第2の切り替え状態のとき(即ち、アナログスイッチSW2がオン状態とされ、アナログスイッチSW1がオフ状態とされるとき)よりも小さな電流が流れることになる。
【0022】
そして、このように負荷3に電流を流した状態で、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)と基準電圧Vin+とを比較し、比較部7(比較器)の出力がHレベルであるかLレベルであるかを確認することで、いずれの電圧が高いかを判定する。負荷3のインピーダンスが大きい場合、負荷3に流れる電流が小さくても負荷3に印加される電圧が高くなるため、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも高い場合(即ち、S1でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7の出力がLレベルに変化した場合)には、負荷3のインピーダンスが大きいものとしてインピーダンスレベルを「1」に設定する(図4の負荷インピーダンス検出期間を参照)。逆に、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも低い場合には(即ち、S1でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7からHレベルの出力が維持されている場合)、負荷3のインピーダンスが小さいものとしてインピーダンスレベルを「2」に設定する(図5の負荷インピーダンス検出期間を参照)。そして、このように決められたインピーダンスレベルを記憶部9に記憶する(S5)。
【0023】
なお、本実施形態では、比較部7、通電部10、制御部20が「インピーダンス検出回路」の一例に相当し、負荷3のインピーダンスを検出するように機能する。また、通電部10及び制御部20は、「電流切替部」の一例に相当し、負荷3に対して電流を供給可能に構成され且つその供給電流を複数の段階に変化させるように機能している。比較部7は、「比較部」の一例に相当し、電流切替部によって各段階の電流が負荷に供給されたときの負荷に印加される各電圧Vin-を基準電圧Vin+と比較するように機能する。また、制御部20は、「決定部」の一例に相当し、比較部7での比較結果に基づいて負荷3のインピーダンスレベルを決定するように機能する。
【0024】
次に、断線検出処理について説明する。
図3に示す断線検出処理は、断線検出回路1を搭載した製品の実際の使用時において所定の検出条件成立時に、スイッチ素子M1をオフ状態に切り替えて行われる。この処理は、制御部20によって行われ、まず、記憶部9に記憶されるインピーダンスレベルを参照する処理を行う(S11)。S11、S12の処理では、断線判定回路による断線判定(即ち、S14又はS15での判定)に先立って、負荷インピーダンス検出処理(図2)のS3〜S5で検出、記憶された負荷インピーダンスの情報(インピーダンスレベル)を記憶部9から読み出し、記憶部9に記憶される負荷インピーダンスの情報に対応する電流を負荷に供給している。具体的には、記憶部9において負荷インピーダンスが「1」と記憶される場合、図2の処理で負荷3のインピーダンスが大きいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に小さい電流を流して検出を開始する(S12)。逆に、記憶部9において負荷インピーダンスが「2」と記憶される場合、図2の処理で負荷3のインピーダンスが小さいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に大きい電流を流して検出を開始する(S12)。
【0025】
そして、このように記憶部9に記憶されたインピーダンスレベル(負荷インピーダンスの情報)に対応する電流が負荷3に供給されているときの負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は負荷3に接続される通電路が断線状態であるか否かを判定する。例えば、図4のように負荷インピーダンス検出期間T1においてインピーダンスレベルが「1」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T2、T3(断線検出期間)等においてスイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2をオフ状態として負荷3に対して相対的に小さい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図4の期間T3のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図4の期間T2のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。
【0026】
また、図5のように負荷インピーダンス検出期間T4においてインピーダンスレベルが「2」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T5、T6(断線検出期間)等においてスイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1をオフ状態として負荷3に対して相対的に大きい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図5の期間T6のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図5の期間T5のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。
【0027】
なお、図4、図5のいずれの場合でも、負荷3がオープン状態と判断された場合には、所定のエラー処理を行うようにすればよく、例えば、負荷3がオープン状態である旨の情報を記憶部9に書き込むようにしてもよく、負荷3がオープン状態である旨の情報を図示しない外部装置9に出力するようにしてもよい。或いはその他の対応処理(所定の保護動作等)を行うようにしてもよい。
【0028】
本実施形態では、制御部20が「電流レベル決定回路」の一例に相当し、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定するように機能する。また、通電部10及び制御部20が「通電回路」の一例に相当し、負荷3に対し、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給するように機能する。また、比較部7、通電部10、制御部20が「断線判定回路」の一例に相当し、通電回路により負荷3に対して負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は負荷3が介在する通電路が断線状態であるか否かを判定するように機能する。
【0029】
(第1実施形態の主な効果)
図1等に示す断線検出回路1では、負荷3のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路とが設けられている。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときの負荷3への印加電圧に基づいて負荷3又は負荷3の通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷3のインピーダンスを検出することができ、断線検出時には負荷3に対して検出されたインピーダンスに合わせた適切な値の電流を供給することができる。特に、負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくしているため、インピーダンスが大きく小電流で動作し易い負荷を断線検出対象とするときには、断線検出の際に供給電流を抑えて負荷3を動作させ難くすることができる。逆に、負荷3のインピーダンスが小さい場合には供給電流を大きく設定しているため、負荷3への印加電圧を高めることができ、このような印加電圧に基づいて断線状態、非断線状態を正確に判定し易くなる。
【0030】
また、インピーダンス検出回路には、負荷3に対して電流を供給可能に構成され且つその供給電流を複数の段階に変化させ得る電流切替部と、電流切替部によって各段階の電流が負荷3に供給されたときの負荷3に印加される各電圧Vin-を基準電圧Vin+と比較する比較部7と、比較部7での比較結果に基づいて負荷3のインピーダンスレベルを決定する決定部とが設けられている。
この構成によれば、負荷3のインピーダンスレベルが予め設定された複数段階のいずれに該当するかを簡易に判別することができる。
【0031】
また、インピーダンス検出回路を構成する電流切替部が、通電回路の一部として兼用され、負荷3に供給する電流を、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに対応する段階に切り替え可能とされている。そして、インピーダンス検出回路を構成する比較部7は、断線判定回路の一部として兼用され、電流切替部によって負荷インピーダンスに対応した段階の電流が供給されているときに負荷3に印加される電圧と基準電圧とを比較するように構成されている。そして、断線判定回路は、比較部7による比較結果に基づいて負荷3又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、インピーダンスを検出するための回路と、断線を判定する回路の要部を兼用することができ、構成の簡素化、小型化を図りやすくなる。
【0032】
また、インピーダンス検出回路で検出された負荷インピーダンスの情報を記憶する記憶部9が設けられており、通電回路は、断線判定回路による判定に先立って記憶部9を参照すると共に当該記憶部9に記憶される負荷インピーダンスの情報に対応する電流を負荷3に供給している。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスの情報に対応する電流が負荷3に供給されているときの負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷インピーダンスの状態を実測することができ、断線判定時には、直近で実測されたインピーダンス状態に対応する適切なレベルの電流に基づいて断線状態を判定することができる。従って、過剰電流による負荷3の誤動作をより抑え易く、且つ適切に保たれた電流に基づいて断線判定をより正確に行うことができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。図7は、図6の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。図8は、図6の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。図9は、図6の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。図10は、図6の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【0034】
第1実施形態では、トランジスタTr2のエミッタ側に接続される通電路を2つの通電路に分岐させていたが、第2実施形態では、トランジスタTr2のエミッタ側に接続される通電路を3つに分岐させ、いずれかの通電路を選択可能としている。また、図2のインピーダンス検出処理を図7のような流れに変更し、図3の断線検出処理を図8の流れに変更している。なお、これら以外の第1実施形態と同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態に係る断線検出回路1では、図7のような流れで負荷インピーダンス検出処理が行われ、まず、MOS制御信号出力部21によりスイッチ素子M2をオン状態に切り換え、アナログスイッチ切替部22によりアナログスイッチSW1(以下、スイッチSW1ともいう)をオン状態とすると共にアナログスイッチSW2、SW3(以下、それぞれをスイッチSW2、SW3ともいう)をオフ状態に切り替える処理を行い、定電流源11から電流を流す。なお、スイッチ素子M1はオフ状態で維持される。このとき、図6のようにスイッチSW2,SW3を通らずにスイッチSW1を通る経路で電流Icが流れ、負荷3には、3段階に切り替え可能な断線検出時の負荷電流のうち、最も小さな電流が流れることになる(S21)
【0036】
そして、このように負荷3に電流を流した状態で、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)と基準電圧Vin+とを比較し、比較部7(比較器)の出力がHレベルであるかLレベルであるかを確認することで、いずれの電圧が高いかを判定する。負荷3のインピーダンスが相当大きい場合、負荷3に流れる電流が相当小さくても負荷3に印加される電圧が高くなるため、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも高い場合(即ち、S21でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7の出力がLレベルに変化した場合)には、負荷3のインピーダンスが相当大きいものとしてS27にてインピーダンスレベルを「1」に設定する(図9の負荷インピーダンス検出期間T21を参照)。逆に、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも低い場合には(即ち、S21でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7からHレベルの出力が維持されている場合)には、S23においてアナログスイッチの切り替え処理を行う。
【0037】
S23では、アナログスイッチ切替部22によりアナログスイッチSW2をオン状態とすると共にアナログスイッチSW1、SW3をオフ状態に切り替える処理を行い、定電流源11から電流を流す。このとき、図6のようにスイッチSW1,SW3を通らずにスイッチSW2を通る経路で電流Idが流れ、3段階に切り替え可能な断線検出時の負荷電流のうち中程度の電流が流れる。そして、このように負荷3に電流を流した状態で、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)と基準電圧Vin+とを比較し、比較部7(比較器)の出力がHレベルであるかLレベルであるかを確認することで、いずれの電圧が高いかを判定する。このとき比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも高い場合(即ち、S23でスイッチSW2をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7の出力がLレベルに変化した場合)には、負荷3のインピーダンスが中程度であるとしてS26にてインピーダンスレベルを「2」に設定する。逆に、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも低い場合(即ち、S23でスイッチSW2をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7からHレベルの出力が維持されている場合)には、負荷3のインピーダンスが小さいものとしてS25にてインピーダンスレベルを「3」に設定する(図10の負荷インピーダンス検出期間T25を参照)。そして、このように決められたインピーダンスレベルを記憶部9に記憶する(S28)。
【0038】
次に、断線検出処理について説明する。
本実施形態では図8のような流れで断線検出処理が行われ、まず、記憶部9に記憶されるインピーダンスレベルを参照する処理を行う(S31)。このS31の処理では、記憶部9に負荷インピーダンスが「1」と記憶される場合、図7の処理で負荷3のインピーダンスが大きいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2、SW3をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に小さい電流を流して検出を開始する(S31、S32)。また、記憶部9において負荷インピーダンスが「2」と記憶される場合、図7の処理で負荷3のインピーダンスが中程度と判定されているため、このような場合には、スイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW3をオフ状態とし、負荷3に対して中程度の電流を流して検出を開始する(S31、S32)。また、記憶部9において負荷インピーダンスが「3」と記憶される場合、図7の処理で負荷3のインピーダンスが小さいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW3をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW2をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に大きい電流を流して検出を開始する(S31、S32)。
【0039】
そして、このように記憶部9に記憶されたインピーダンスレベル(負荷インピーダンスの情報)に対応する電流が負荷3に供給されているときの負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は負荷3に接続される通電路が断線状態であるか否かを判定する。例えば、図9のように負荷インピーダンス検出期間T21においてインピーダンスレベルが「1」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T22、T23(断線検出期間)等においてスイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2、SW3をオフ状態として負荷3に対して相対的に小さい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図9の期間T23のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図9の期間T22のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。
【0040】
また、図10のように負荷インピーダンス検出期間T25においてインピーダンスレベルが「3」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T26、T27(断線検出期間)等においてスイッチSW3をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW2をオフ状態として負荷3に対して相対的に大きい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図10の期間T27のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図10の期間T26のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。なお、図9、図10では、インピーダンスレベルが「1」「3」の場合を例示したが、インピーダンスレベルが「2」の場合も同様であり、この場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間(断線検出期間)においてスイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW3をオフ状態として負荷3に対して相対的に大きい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断することになる。そして、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断し、そうでない場合には、負荷3がオープン状態でない(非断線状態)と判断することになる。
【0041】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0042】
第1実施形態では、インピーダンス検出回路と断線判定回路において共通の比較部が設けられ、且つ通電回路の要部が兼用された例を示したが、本発明はこのような構成に限られるものではなく、例えば図11のような構成であってもよい。
図11の断線検出回路200では、インピーダンス検出時に負荷3に定電流を流す定電流源211が設けられている。なお、定電流源211は、図示しないスイッチ手段によって定電流を流すタイミングを制御可能とされている。また、負荷3の一端側の電圧(印加電圧)は、コンパレータとして構成される比較部207の負側の入力端子に入力され、比較部207の正側の入力端子には、基準電圧が入力されるようになっている。この構成では、比較部207の基準電圧が切り替え可能とされており、スイッチS22がオン状態とされ、スイッチS21がオフ状態とされたときには、基準電圧が低く、スイッチS21がオン状態とされ、スイッチS22がオフ状態とされたときには基準電圧が大きくなるように構成されている。
この構成では、インピーダンス検出時には、スイッチ素子M1をオフにすると共に、定電流源212、213からの電流供給を停止させた状態(即ち、断線判定回路202の動作を停止させた状態)で、基準電圧を段階的に切り替え、且つ定電流源211から負荷3に対して電流を供給する。そして、比較部207の正側の入力電圧(基準電圧)が大きいとき(スイッチS21がオン状態とされ、スイッチS22がオフ状態とされるような第1の切り替え条件のとき)に、比較部207からLレベル信号が出力されるときには、負荷3のインピーダンスが大きいと判断できるため、このような場合には記憶部209にインピーダンスレベル「1」と記憶する。また、第1の切り替え条件のときには比較部207からLレベル信号が出力されず、スイッチS21がオフ、スイッチS22がオンとされるような第2の切り替え条件のとき(即ち、比較部207の正側の入力電圧(基準電圧)が小さいとき)に、比較部207からLレベル信号が出力されるときには、負荷3のインピーダンスが中程度と判断できるため、このような場合には記憶部209にインピーダンスレベル「2」と記憶する。また、スイッチS21がオフ、スイッチS22がオンとされるような第2の切り替え条件のとき(即ち、比較部207の正側の入力電圧(基準電圧)が小さいとき)に、比較部207からHレベル信号が出力されるときには、負荷3のインピーダンスが小さいと判断できるため、このような場合には記憶部209にインピーダンスレベル「3」と記憶する。
一方、断線検出時には、定電流源211からの電流供給を停止させて、インピーダンス検出回路201の動作を停止させ、断線判定回路202を動作させて断線判定を行う。定電流源212から供給される定電流は、定電流源213から供給される定電流よりも小さく設定されており、断線検出に先立って行われるインピーダンス検出処理においてインピーダンスレベルが「1」と判断されている場合には、スイッチMbをオン、スイッチMaをオフとして定電流源212のみから負荷3に電流(相対的に小さい電流)を供給する。このとき、コンパレータとして構成される比較部208からLレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態であると判断し、Hレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態でないと判断する。また、インピーダンス検出処理においてインピーダンスレベルが「2」と判断されている場合には、スイッチMaをオン、スイッチMbをオフとして定電流源213のみから負荷3に電流(中程度の電流)を供給する。このとき、比較部208からLレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態であると判断し、Hレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態でないと判断する。また、インピーダンス検出処理においてインピーダンスレベルが「3」と判断されている場合には、スイッチMa、Mbをオン状態として定電流源212、213から負荷3に電流(相対的に大きい電流)を供給する。このとき、比較部208からLレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態であると判断し、Hレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態でないと判断する。
【符号の説明】
【0043】
1,200…断線検出回路
3…負荷
7…比較部(インピーダンス検出回路、断線判定回路)
9…記憶部
10…通電部(インピーダンス検出回路、通電回路、断線判定回路、電流切替部)
20…制御部(インピーダンス検出回路、電流レベル決定回路、通電回路、断線判定回路、電流切替部、決定部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、負荷の断線(オープン状態)を検出する回路として様々な構成が提案されており、その一例としては、例えば図12のような構成が考えられている。この図12の回路では、所定の検出時期に負荷に対して定電流源101から一定の電流を流し、この通電時における負荷の一端側の電圧を基準電圧と比較しており、基準電圧を上回っている場合には、負荷がオープン状態であると判断し、基準電圧を下回っている場合には負荷がオープン状態ではないと判断している。なお、図11の構成では、定電流からの通電タイミングを制御する制御手段、スイッチ素子などは省略して示している。
【0003】
また、断線検出回路としては、特許文献1、2のようなものも提供されている。
特許文献1で開示される断線誤動作防止回路は、複数の論理回路(1)(2)を有する半導体集積回路内において、論理回路(1)(2)間の断線を検知する断線検知回路(4)と、この断線検知回路(4)の出力によって作動される誤動作防止手段(異常貫通電流防止回路(5))とが設けられている。そして、断線検知回路(4)は、前段論理回路(1)の出力と、後段論理回路(2)の出力との不一致の検出に基づいて作動する構成をなし、誤動作防止手段(異常貫通電流防止回路(5))は、信号線(3)が断線したときに作動して後段の論理回路(2)を流れる貫通電流を消滅させるように機能している。
【0004】
特許文献2で開示される負荷故障診断回路では、外部制御装置(2)によりスイッチ回路(11)をオフ状態からオン状態に切り替えたときに直前のオフ状態における第1の論理回路(16)の出力レベル(一方の出力レベル)を一定時間維持させるディレイ回路(17)と、このディレイ回路(17)の出力(E)と第1の論理回路(16)の出力レベル(他方の出力(D))を受けて負荷オープン又は負荷ショートに対応するフォルト信号を発生させる第2の論理回路(18)とが設けられている。そして、スイッチ回路(11)をオフ状態に切り換え、このときディレイ回路(17)により一定時間持続された出力(E)と第1の論理回路(16)の他方の出力(D)とを受けた第2の論理回路(18)から出力される信号のレベルにより、負荷オープンか否かを判別している。これにより、完全な断線と半断線状態とを正確に検出することを可能としている。
【0005】
特許文献3には、サーミスタの抵抗値に応じた電圧に基づいて環境温度を検出することにより火災を検知する熱感知器が開示されている。この技術では、検出温度領域毎に異なる電流値の定電流をサーミスタに印加する定電流回路(7)が設けられており、この定電流回路(7)は、環境温度検出時には温度測定範囲を複数の領域に分割した各領域毎にサーミスタの特性が立ったリニアな抵抗領域で検出が可能なように、異なる電流値をサーミスタに印加している。また、サーミスタの断線検出時には、サーミスタの抵抗が立ったリニアな抵抗領域で検出可能でかつ環境温度検出時とは相違する値の電流値をサーミスタに印加するように制御し、この状態のサーミスタの抵抗値に応じた電圧に基づいてサーミスタが断線か否かを判定している。この技術によれば、低温領域と高温領域では特性がリニアではないサーミスタの断線を正確に検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−196680号公報
【特許文献2】特開平6−331677号公報
【特許文献3】特許第3043934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような断線検出回路では、負荷の断線を検出する際に、負荷に対して検出用の電流を流す必要があるが、この電流値が高すぎると、検出時に動作停止状態或いは動作抑制状態とするべき負荷が大きく動作してしまうという問題が生じる。特に、LED等の小電流で動作する負荷(高インピーダンス負荷)では、このような誤動作の問題がより顕著となる。逆に断線検出時に流す電流値が低すぎると、負荷に印加される電圧が低くなりすぎて負荷の断線を正確に検出できなくなる虞がある。このような誤検出の問題は、特にインピーダンスが低い負荷で顕著となる。このような問題があるため、負荷の断線を検出する際には、負荷のインピーダンスに合わせた適切なレベルの電流を流す必要があるが、上述の従来技術は、いずれも負荷のインピーダンスを把握し得る構成ではなく、負荷インピーダンスに合わせた適切な負荷電流を供給し得る構成ではないため、断線検出時の誤動作或いは誤検出の問題を解消することはできなかった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、負荷等に生じる断線を検出する断線検出回路において、断線検出時に負荷に流す電流を負荷のインピーダンスに合わせた適切な電流値とすることができ、断線検出時の負荷の誤動作、及び断線状態、非断線状態の誤検出をより確実に防止し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、負荷又は負荷に接続された通電路の断線状態を検出する断線検出回路であって、
前記負荷のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、
前記インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路と、
前記負荷に対し、前記電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給する通電回路と、
前記通電回路により前記負荷に対して前記負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、前記負荷に印加される電圧の状態に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定する断線判定回路と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、負荷のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路とが設けられている。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときの負荷への印加電圧に基づいて負荷又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷のインピーダンスを検出することができ、断線検出時には負荷に対して検出されたインピーダンスに合わせた適切な値の電流を供給することができる。特に、負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくしているため、インピーダンスが大きく小電流で動作し易い負荷を断線検出対象とするときには、断線検出の際に供給電流を抑えて負荷を動作させ難くすることができる。逆に、負荷のインピーダンスが小さい場合には供給電流を大きく設定しているため、負荷への印加電圧を高めることができ、このような印加電圧に基づいて断線状態、非断線状態を正確に判定し易くなる。
【0011】
また、請求項2の発明では、インピーダンス検出回路において、負荷に対して電流を供給可能に構成され且つその供給電流を複数の段階に変化させ得る電流切替部と、電流切替部によって各段階の電流が負荷に供給されたときの負荷に印加される各電圧を基準電圧と比較する比較部と、比較部での比較結果に基づいて負荷のインピーダンスレベルを決定する決定部とが設けられている。
この構成によれば、負荷のインピーダンスレベルが予め設定された複数段階のいずれに該当するかを簡易に判別することができる。
【0012】
また、請求項3の発明では、インピーダンス検出回路を構成する電流切替部が、通電回路の一部として兼用され、負荷に供給する電流を、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに対応する段階に切り替え可能とされている。そして、インピーダンス検出回路を構成する比較部は、断線判定回路の一部として兼用され、電流切替部によって負荷インピーダンスに対応した段階の電流が供給されているときに負荷に印加される電圧と基準電圧とを比較するように構成されている。そして、断線判定回路は、比較部による比較結果に基づいて負荷又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、インピーダンスを検出するための回路と、断線を判定する回路の要部を兼用することができ、構成の簡素化、小型化を図りやすくなる。
【0013】
請求項4の発明は、インピーダンス検出回路で検出された負荷インピーダンスの情報を記憶する記憶部が設けられており、通電回路は、断線判定回路による判定に先立って記憶部を参照すると共に当該記憶部に記憶される負荷インピーダンスの情報に対応する電流を負荷に供給している。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスの情報に対応する電流が負荷に供給されているときの負荷に印加される電圧の状態に基づいて負荷又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷インピーダンスを実測する処理を行い、断線判定時には、直近で実測されたインピーダンス状態に対応する適切なレベルの電流に基づいて断線状態を判定することができる。従って、過剰電流による負荷の誤動作をより抑え易く、且つ適切に保たれた電流に基づいて断線判定をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。
【図2】図2は、図1の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図3】図3は、図1の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4は、図1の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、図1の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。
【図7】図7は、図6の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、図6の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、図6の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、図6の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、他の実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。
【図12】図12は、従来の断線検出回路の一例を概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の断線検出回路を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。図2は、図1の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。図3は、図1の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。図4は、図1の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。図5は、図1の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【0016】
図1に示す断線検出回路1は、ランプ、モータなどからなる車載用の負荷3の断線を検出する回路として構成されている。検出対象となる負荷3は、例えば、電源VBからの通電ラインに設けられ、スイッチ素子M1がオン動作したときに駆動電流が供給されて駆動し、スイッチ素子M1がオフ動作したときに駆動電流が遮断されて停止するように構成されている。なお、図1の例では、スイッチ素子M1がNチャネル型のMOSFETとして構成されており、ソースが負荷3の一端側に接続され、負荷3の他端側は接地されている。また、スイッチ素子M1のドレインは電源VBに接続され、ゲートには負荷駆動部5からの制御信号が入力されるようになっている。この構成では、負荷駆動部5がスイッチ素子M1に対するHレベル信号(オン信号)及びLレベル信号(オフ信号)を制御する駆動ドライバとして構成されており、負荷駆動部5からスイッチ素子M1のゲートにHレベル信号が入力されたときに負荷3が通電状態となって駆動し、スイッチ素子M1のゲートにLレベル信号が入力されたときに負荷3が非通電状態となって動作が停止するようになっている。
【0017】
断線検出回路1は、このような負荷3の断線を検出可能とされており、主として、比較部7、記憶部9、通電部10、制御部20を備えている。そして、負荷3の通電時に印加される電圧に基づいて負荷3又は負荷3に接続される通電路の断線(即ち、負荷電流が流れる経路の断線)を検出するように構成されている。
【0018】
通電部10は、定電流源11と、NPNバイポーラトランジスタとして構成されるトランジスタTr1,Tr2のベースを共通接続し、且つこれらベースをトランジスタTr1のコレクタに接続してなる第1のカレントミラー回路と、PNPバイポーラトランジスタとして構成されるトランジスタTr3,Tr4のベースを共通接続し、且つこれらベースをトランジスタTr3のコレクタに接続してなる第2のカレントミラー回路とを備えている。第1のカレントミラー回路において、トランジスタTr1のエミッタは接地されている。また、第2のカレントミラー回路において、トランジスタTr4のコレクタは、スイッチ素子M2を介して接地されている。スイッチ素子M2は、Nチャネル型のMOSFETとして構成されており、ソースが接地され、ドレインがトランジスタTr4のコレクタに接続されている。そして、スイッチ素子M2のゲートには、MOS制御信号出力部21からの制御信号が入力されるようになっている。また、トランジスタTr2のエミッタ側には、アナログスイッチSW1、SW2が並列に接続されている。アナログスイッチSW1は、抵抗R1を通る第1導通路の通電及び非通電を切り替えるように機能している。またスイッチSW2は、抵抗R1を通る第1導通路と並列に構成された第2導通路の通電及び非通電を切り替えるように機能している。抵抗R1の一端側及びスイッチSW2の一端側には、抵抗R2の一端側が接続され、抵抗R2の他端側は接地されている。この構成では、スイッチSW1がオン状態とされ、スイッチSW2がオフ状態とされたときに、直列の抵抗R1、R2を流れるように電流Iaが流れ、スイッチSW1がオフ状態とされ、スイッチSW2がオン状態とされたときには、抵抗R1には電流が流れず、抵抗R2のみに電流Ibが流れるように構成されている。抵抗R1側の第1通電路に電流Iaが流れるとき(第1の切り替え状態のとき)には、抵抗R1,R2を経由して電流が流れるため、第2通電路側のみに電流Ibが流れるとき(第2の切り替え状態のとき)と比較してトランジスタTr2のコレクタ電流は相対的に小さくなり、負荷3に流れる電流も相対的に小さくなる。逆に、スイッチSW2側の第2通電路に電流Ibが流れるとき(第2の切り替え状態のとき)には、抵抗R2のみを経由して電流が流れるため、第1通電路側に電流Iaが流れるとき(第1の切り替え状態のとき)と比較してトランジスタTr1のコレクタ電流は、相対的に大きくなり、負荷3に流れる電流も相対的に大きくなる。
【0019】
制御部20は、MOS制御信号出力部21、アナログスイッチ切替部22、記憶部9を有しており、断線検出回路1を全体的に制御するように機能している。MOS制御信号出力部21は、スイッチ素子M1にオン信号(Hレベル信号)又はオフ信号(Lレベル信号)を与えるように機能している。アナログスイッチ切替部22は、動作時にはアナログスイッチSW1又はアナログスイッチSW2を択一的にオン状態とし、非動作時にはアナログスイッチSW1、SW2をオフ状態とするように機能している。記憶部9は、公知の半導体メモリとして構成されており、断線検出回路1での検出結果(負荷インピーダンスの検出結果や負荷3の断線判定結果)等を記憶するように構成されている。なお、制御部20は、マイコンなどの単一の制御回路がこれらMOS制御信号出力部21、アナログスイッチ切替部22として機能していてもよく、これらMOS制御信号出力部21、アナログスイッチ切替部22、記憶部9がそれぞれ別々の回路として構成されていてもよい。
【0020】
比較部7は、負荷3の一端側の電圧を所定の基準電圧と比較するコンパレータと構成されており、負荷3の一端側の電圧(負荷3に印加される電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回る場合には出力端子(out)からLレベル信号を出力し、負荷3の一端側の電圧(負荷3に印加される電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下の場合には、出力端子(out)からHレベル信号を出力するように構成されている。
【0021】
次に、断線検出回路1で行われる負荷インピーダンス検出処理及び断線検出処理について説明する。
図1に示す負荷インピーダンス検出処理は、例えば工場出荷時やメンテナンス時などにおいて所定条件(例えばユーザによる指示操作や他の開始条件の成立等)をトリガとして行われる処理である。この処理では、まず、MOS制御信号出力部21によりスイッチ素子M2をオン状態に切り換え、アナログスイッチ切替部22によりアナログスイッチSW1をオン状態とすると共にアナログスイッチSW2をオフ状態に切り替える処理を行い、定電流源11から電流を流す。なお、スイッチ素子M1はオフ状態で維持される。このとき、負荷3には、上述の第2の切り替え状態のとき(即ち、アナログスイッチSW2がオン状態とされ、アナログスイッチSW1がオフ状態とされるとき)よりも小さな電流が流れることになる。
【0022】
そして、このように負荷3に電流を流した状態で、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)と基準電圧Vin+とを比較し、比較部7(比較器)の出力がHレベルであるかLレベルであるかを確認することで、いずれの電圧が高いかを判定する。負荷3のインピーダンスが大きい場合、負荷3に流れる電流が小さくても負荷3に印加される電圧が高くなるため、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも高い場合(即ち、S1でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7の出力がLレベルに変化した場合)には、負荷3のインピーダンスが大きいものとしてインピーダンスレベルを「1」に設定する(図4の負荷インピーダンス検出期間を参照)。逆に、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも低い場合には(即ち、S1でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7からHレベルの出力が維持されている場合)、負荷3のインピーダンスが小さいものとしてインピーダンスレベルを「2」に設定する(図5の負荷インピーダンス検出期間を参照)。そして、このように決められたインピーダンスレベルを記憶部9に記憶する(S5)。
【0023】
なお、本実施形態では、比較部7、通電部10、制御部20が「インピーダンス検出回路」の一例に相当し、負荷3のインピーダンスを検出するように機能する。また、通電部10及び制御部20は、「電流切替部」の一例に相当し、負荷3に対して電流を供給可能に構成され且つその供給電流を複数の段階に変化させるように機能している。比較部7は、「比較部」の一例に相当し、電流切替部によって各段階の電流が負荷に供給されたときの負荷に印加される各電圧Vin-を基準電圧Vin+と比較するように機能する。また、制御部20は、「決定部」の一例に相当し、比較部7での比較結果に基づいて負荷3のインピーダンスレベルを決定するように機能する。
【0024】
次に、断線検出処理について説明する。
図3に示す断線検出処理は、断線検出回路1を搭載した製品の実際の使用時において所定の検出条件成立時に、スイッチ素子M1をオフ状態に切り替えて行われる。この処理は、制御部20によって行われ、まず、記憶部9に記憶されるインピーダンスレベルを参照する処理を行う(S11)。S11、S12の処理では、断線判定回路による断線判定(即ち、S14又はS15での判定)に先立って、負荷インピーダンス検出処理(図2)のS3〜S5で検出、記憶された負荷インピーダンスの情報(インピーダンスレベル)を記憶部9から読み出し、記憶部9に記憶される負荷インピーダンスの情報に対応する電流を負荷に供給している。具体的には、記憶部9において負荷インピーダンスが「1」と記憶される場合、図2の処理で負荷3のインピーダンスが大きいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に小さい電流を流して検出を開始する(S12)。逆に、記憶部9において負荷インピーダンスが「2」と記憶される場合、図2の処理で負荷3のインピーダンスが小さいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に大きい電流を流して検出を開始する(S12)。
【0025】
そして、このように記憶部9に記憶されたインピーダンスレベル(負荷インピーダンスの情報)に対応する電流が負荷3に供給されているときの負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は負荷3に接続される通電路が断線状態であるか否かを判定する。例えば、図4のように負荷インピーダンス検出期間T1においてインピーダンスレベルが「1」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T2、T3(断線検出期間)等においてスイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2をオフ状態として負荷3に対して相対的に小さい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図4の期間T3のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図4の期間T2のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。
【0026】
また、図5のように負荷インピーダンス検出期間T4においてインピーダンスレベルが「2」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T5、T6(断線検出期間)等においてスイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1をオフ状態として負荷3に対して相対的に大きい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図5の期間T6のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図5の期間T5のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。
【0027】
なお、図4、図5のいずれの場合でも、負荷3がオープン状態と判断された場合には、所定のエラー処理を行うようにすればよく、例えば、負荷3がオープン状態である旨の情報を記憶部9に書き込むようにしてもよく、負荷3がオープン状態である旨の情報を図示しない外部装置9に出力するようにしてもよい。或いはその他の対応処理(所定の保護動作等)を行うようにしてもよい。
【0028】
本実施形態では、制御部20が「電流レベル決定回路」の一例に相当し、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定するように機能する。また、通電部10及び制御部20が「通電回路」の一例に相当し、負荷3に対し、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給するように機能する。また、比較部7、通電部10、制御部20が「断線判定回路」の一例に相当し、通電回路により負荷3に対して負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は負荷3が介在する通電路が断線状態であるか否かを判定するように機能する。
【0029】
(第1実施形態の主な効果)
図1等に示す断線検出回路1では、負荷3のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路とが設けられている。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときの負荷3への印加電圧に基づいて負荷3又は負荷3の通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷3のインピーダンスを検出することができ、断線検出時には負荷3に対して検出されたインピーダンスに合わせた適切な値の電流を供給することができる。特に、負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくしているため、インピーダンスが大きく小電流で動作し易い負荷を断線検出対象とするときには、断線検出の際に供給電流を抑えて負荷3を動作させ難くすることができる。逆に、負荷3のインピーダンスが小さい場合には供給電流を大きく設定しているため、負荷3への印加電圧を高めることができ、このような印加電圧に基づいて断線状態、非断線状態を正確に判定し易くなる。
【0030】
また、インピーダンス検出回路には、負荷3に対して電流を供給可能に構成され且つその供給電流を複数の段階に変化させ得る電流切替部と、電流切替部によって各段階の電流が負荷3に供給されたときの負荷3に印加される各電圧Vin-を基準電圧Vin+と比較する比較部7と、比較部7での比較結果に基づいて負荷3のインピーダンスレベルを決定する決定部とが設けられている。
この構成によれば、負荷3のインピーダンスレベルが予め設定された複数段階のいずれに該当するかを簡易に判別することができる。
【0031】
また、インピーダンス検出回路を構成する電流切替部が、通電回路の一部として兼用され、負荷3に供給する電流を、電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに対応する段階に切り替え可能とされている。そして、インピーダンス検出回路を構成する比較部7は、断線判定回路の一部として兼用され、電流切替部によって負荷インピーダンスに対応した段階の電流が供給されているときに負荷3に印加される電圧と基準電圧とを比較するように構成されている。そして、断線判定回路は、比較部7による比較結果に基づいて負荷3又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、インピーダンスを検出するための回路と、断線を判定する回路の要部を兼用することができ、構成の簡素化、小型化を図りやすくなる。
【0032】
また、インピーダンス検出回路で検出された負荷インピーダンスの情報を記憶する記憶部9が設けられており、通電回路は、断線判定回路による判定に先立って記憶部9を参照すると共に当該記憶部9に記憶される負荷インピーダンスの情報に対応する電流を負荷3に供給している。そして、断線判定回路は、負荷インピーダンスの情報に対応する電流が負荷3に供給されているときの負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は通電路が断線状態であるか否かを判定している。
この構成によれば、断線判定に先立って負荷インピーダンスの状態を実測することができ、断線判定時には、直近で実測されたインピーダンス状態に対応する適切なレベルの電流に基づいて断線状態を判定することができる。従って、過剰電流による負荷3の誤動作をより抑え易く、且つ適切に保たれた電流に基づいて断線判定をより正確に行うことができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る断線検出回路を概略的に例示する回路図である。図7は、図6の断線検出回路での負荷インピーダンス検出処理の流れを例示するフローチャートである。図8は、図6の断線検出回路での断線検出処理の流れを例示するフローチャートである。図9は、図6の断線検出回路において高インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。図10は、図6の断線検出回路において低インピーダンス負荷を検出対象とするときの負荷インピーダンス検出期間と、負荷オープン検出期間(断線検出期間)のタイミング等を示すタイミングチャートである。
【0034】
第1実施形態では、トランジスタTr2のエミッタ側に接続される通電路を2つの通電路に分岐させていたが、第2実施形態では、トランジスタTr2のエミッタ側に接続される通電路を3つに分岐させ、いずれかの通電路を選択可能としている。また、図2のインピーダンス検出処理を図7のような流れに変更し、図3の断線検出処理を図8の流れに変更している。なお、これら以外の第1実施形態と同様の点については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態に係る断線検出回路1では、図7のような流れで負荷インピーダンス検出処理が行われ、まず、MOS制御信号出力部21によりスイッチ素子M2をオン状態に切り換え、アナログスイッチ切替部22によりアナログスイッチSW1(以下、スイッチSW1ともいう)をオン状態とすると共にアナログスイッチSW2、SW3(以下、それぞれをスイッチSW2、SW3ともいう)をオフ状態に切り替える処理を行い、定電流源11から電流を流す。なお、スイッチ素子M1はオフ状態で維持される。このとき、図6のようにスイッチSW2,SW3を通らずにスイッチSW1を通る経路で電流Icが流れ、負荷3には、3段階に切り替え可能な断線検出時の負荷電流のうち、最も小さな電流が流れることになる(S21)
【0036】
そして、このように負荷3に電流を流した状態で、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)と基準電圧Vin+とを比較し、比較部7(比較器)の出力がHレベルであるかLレベルであるかを確認することで、いずれの電圧が高いかを判定する。負荷3のインピーダンスが相当大きい場合、負荷3に流れる電流が相当小さくても負荷3に印加される電圧が高くなるため、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも高い場合(即ち、S21でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7の出力がLレベルに変化した場合)には、負荷3のインピーダンスが相当大きいものとしてS27にてインピーダンスレベルを「1」に設定する(図9の負荷インピーダンス検出期間T21を参照)。逆に、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも低い場合には(即ち、S21でスイッチSW1をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7からHレベルの出力が維持されている場合)には、S23においてアナログスイッチの切り替え処理を行う。
【0037】
S23では、アナログスイッチ切替部22によりアナログスイッチSW2をオン状態とすると共にアナログスイッチSW1、SW3をオフ状態に切り替える処理を行い、定電流源11から電流を流す。このとき、図6のようにスイッチSW1,SW3を通らずにスイッチSW2を通る経路で電流Idが流れ、3段階に切り替え可能な断線検出時の負荷電流のうち中程度の電流が流れる。そして、このように負荷3に電流を流した状態で、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)と基準電圧Vin+とを比較し、比較部7(比較器)の出力がHレベルであるかLレベルであるかを確認することで、いずれの電圧が高いかを判定する。このとき比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも高い場合(即ち、S23でスイッチSW2をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7の出力がLレベルに変化した場合)には、負荷3のインピーダンスが中程度であるとしてS26にてインピーダンスレベルを「2」に設定する。逆に、比較部7の負側の入力電圧Vin-が基準電圧Vin+よりも低い場合(即ち、S23でスイッチSW2をオンして負荷3に電流を流したときに比較部7からHレベルの出力が維持されている場合)には、負荷3のインピーダンスが小さいものとしてS25にてインピーダンスレベルを「3」に設定する(図10の負荷インピーダンス検出期間T25を参照)。そして、このように決められたインピーダンスレベルを記憶部9に記憶する(S28)。
【0038】
次に、断線検出処理について説明する。
本実施形態では図8のような流れで断線検出処理が行われ、まず、記憶部9に記憶されるインピーダンスレベルを参照する処理を行う(S31)。このS31の処理では、記憶部9に負荷インピーダンスが「1」と記憶される場合、図7の処理で負荷3のインピーダンスが大きいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2、SW3をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に小さい電流を流して検出を開始する(S31、S32)。また、記憶部9において負荷インピーダンスが「2」と記憶される場合、図7の処理で負荷3のインピーダンスが中程度と判定されているため、このような場合には、スイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW3をオフ状態とし、負荷3に対して中程度の電流を流して検出を開始する(S31、S32)。また、記憶部9において負荷インピーダンスが「3」と記憶される場合、図7の処理で負荷3のインピーダンスが小さいと判定されているため、このような場合には、スイッチSW3をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW2をオフ状態とし、負荷3に対して相対的に大きい電流を流して検出を開始する(S31、S32)。
【0039】
そして、このように記憶部9に記憶されたインピーダンスレベル(負荷インピーダンスの情報)に対応する電流が負荷3に供給されているときの負荷3に印加される電圧の状態に基づいて負荷3又は負荷3に接続される通電路が断線状態であるか否かを判定する。例えば、図9のように負荷インピーダンス検出期間T21においてインピーダンスレベルが「1」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T22、T23(断線検出期間)等においてスイッチSW1をオン状態とすると共にスイッチSW2、SW3をオフ状態として負荷3に対して相対的に小さい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図9の期間T23のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図9の期間T22のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。
【0040】
また、図10のように負荷インピーダンス検出期間T25においてインピーダンスレベルが「3」と判定された場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間T26、T27(断線検出期間)等においてスイッチSW3をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW2をオフ状態として負荷3に対して相対的に大きい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断する。図10の期間T27のように比較部7の出力がLレベルに変化し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断する。また、図10の期間T26のように比較部7の出力がHレベルで維持され、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+以下であると判定される場合には、負荷3はオープン状態でない(非断線状態)と判断する。なお、図9、図10では、インピーダンスレベルが「1」「3」の場合を例示したが、インピーダンスレベルが「2」の場合も同様であり、この場合、その後に到来する所定の負荷オープン検出期間(断線検出期間)においてスイッチSW2をオン状態とすると共にスイッチSW1、SW3をオフ状態として負荷3に対して相対的に大きい電流を流し、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったか否かを判断することになる。そして、負荷3に印加される電圧(負側の入力電圧Vin-)が基準電圧Vin+を上回ったと判定される場合には、負荷3がオープン状態(負荷断線状態)であると判断し、そうでない場合には、負荷3がオープン状態でない(非断線状態)と判断することになる。
【0041】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0042】
第1実施形態では、インピーダンス検出回路と断線判定回路において共通の比較部が設けられ、且つ通電回路の要部が兼用された例を示したが、本発明はこのような構成に限られるものではなく、例えば図11のような構成であってもよい。
図11の断線検出回路200では、インピーダンス検出時に負荷3に定電流を流す定電流源211が設けられている。なお、定電流源211は、図示しないスイッチ手段によって定電流を流すタイミングを制御可能とされている。また、負荷3の一端側の電圧(印加電圧)は、コンパレータとして構成される比較部207の負側の入力端子に入力され、比較部207の正側の入力端子には、基準電圧が入力されるようになっている。この構成では、比較部207の基準電圧が切り替え可能とされており、スイッチS22がオン状態とされ、スイッチS21がオフ状態とされたときには、基準電圧が低く、スイッチS21がオン状態とされ、スイッチS22がオフ状態とされたときには基準電圧が大きくなるように構成されている。
この構成では、インピーダンス検出時には、スイッチ素子M1をオフにすると共に、定電流源212、213からの電流供給を停止させた状態(即ち、断線判定回路202の動作を停止させた状態)で、基準電圧を段階的に切り替え、且つ定電流源211から負荷3に対して電流を供給する。そして、比較部207の正側の入力電圧(基準電圧)が大きいとき(スイッチS21がオン状態とされ、スイッチS22がオフ状態とされるような第1の切り替え条件のとき)に、比較部207からLレベル信号が出力されるときには、負荷3のインピーダンスが大きいと判断できるため、このような場合には記憶部209にインピーダンスレベル「1」と記憶する。また、第1の切り替え条件のときには比較部207からLレベル信号が出力されず、スイッチS21がオフ、スイッチS22がオンとされるような第2の切り替え条件のとき(即ち、比較部207の正側の入力電圧(基準電圧)が小さいとき)に、比較部207からLレベル信号が出力されるときには、負荷3のインピーダンスが中程度と判断できるため、このような場合には記憶部209にインピーダンスレベル「2」と記憶する。また、スイッチS21がオフ、スイッチS22がオンとされるような第2の切り替え条件のとき(即ち、比較部207の正側の入力電圧(基準電圧)が小さいとき)に、比較部207からHレベル信号が出力されるときには、負荷3のインピーダンスが小さいと判断できるため、このような場合には記憶部209にインピーダンスレベル「3」と記憶する。
一方、断線検出時には、定電流源211からの電流供給を停止させて、インピーダンス検出回路201の動作を停止させ、断線判定回路202を動作させて断線判定を行う。定電流源212から供給される定電流は、定電流源213から供給される定電流よりも小さく設定されており、断線検出に先立って行われるインピーダンス検出処理においてインピーダンスレベルが「1」と判断されている場合には、スイッチMbをオン、スイッチMaをオフとして定電流源212のみから負荷3に電流(相対的に小さい電流)を供給する。このとき、コンパレータとして構成される比較部208からLレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態であると判断し、Hレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態でないと判断する。また、インピーダンス検出処理においてインピーダンスレベルが「2」と判断されている場合には、スイッチMaをオン、スイッチMbをオフとして定電流源213のみから負荷3に電流(中程度の電流)を供給する。このとき、比較部208からLレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態であると判断し、Hレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態でないと判断する。また、インピーダンス検出処理においてインピーダンスレベルが「3」と判断されている場合には、スイッチMa、Mbをオン状態として定電流源212、213から負荷3に電流(相対的に大きい電流)を供給する。このとき、比較部208からLレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態であると判断し、Hレベル信号が出力されている場合には負荷3がオープン状態でないと判断する。
【符号の説明】
【0043】
1,200…断線検出回路
3…負荷
7…比較部(インピーダンス検出回路、断線判定回路)
9…記憶部
10…通電部(インピーダンス検出回路、通電回路、断線判定回路、電流切替部)
20…制御部(インピーダンス検出回路、電流レベル決定回路、通電回路、断線判定回路、電流切替部、決定部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷又は負荷に接続された通電路の断線状態を検出する断線検出回路であって、
前記負荷のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、
前記インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路と、
前記負荷に対し、前記電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給する通電回路と、
前記通電回路により前記負荷に対して前記負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、前記負荷に印加される電圧の状態に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定する断線判定回路と、
を備えたことを特徴とする断線検出回路。
【請求項2】
前記インピーダンス検出回路は、
前記負荷に対して電流を供給可能に構成され、且つその供給電流を複数の段階に変化させ得る電流切替部と、
前記電流切替部によって各段階の電流が前記負荷に供給されたときの前記負荷に印加される各電圧を、基準電圧と比較する比較部と、
前記比較部での比較結果に基づいて前記負荷のインピーダンスレベルを決定する決定部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の断線検出回路。
【請求項3】
前記インピーダンス検出回路を構成する前記電流切替部は、前記通電回路の一部として兼用され、前記負荷に供給する電流を、前記電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに対応する段階に切り替え可能とされており、
前記インピーダンス検出回路を構成する前記比較部は、前記断線判定回路の一部として兼用され、前記電流切替部によって前記負荷インピーダンスに対応した段階の電流が供給されているときに前記負荷に印加される電圧と前記基準電圧とを比較し、
前記断線判定回路は、前記比較部による比較結果に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の断線検出回路。
【請求項4】
前記インピーダンス検出回路で検出された前記負荷インピーダンスの情報を記憶する記憶部を備え、
前記通電回路は、前記断線判定回路による判定に先立って前記記憶部を参照すると共に当該記憶部に記憶される前記負荷インピーダンスの情報に対応する電流を前記負荷に供給し、
前記断線判定回路は、前記前記負荷インピーダンスの情報に対応する電流が前記負荷に供給されているときの前記負荷に印加される電圧の状態に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の断線検出回路。
【請求項1】
負荷又は負荷に接続された通電路の断線状態を検出する断線検出回路であって、
前記負荷のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、
前記インピーダンス検出回路によって検出された負荷インピーダンスが大きいほど設定する電流レベルを小さくするように、その検出された負荷インピーダンスに対応する電流レベルを決定する電流レベル決定回路と、
前記負荷に対し、前記電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに応じた電流を供給する通電回路と、
前記通電回路により前記負荷に対して前記負荷インピーダンスに応じた電流が供給されているときに、前記負荷に印加される電圧の状態に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定する断線判定回路と、
を備えたことを特徴とする断線検出回路。
【請求項2】
前記インピーダンス検出回路は、
前記負荷に対して電流を供給可能に構成され、且つその供給電流を複数の段階に変化させ得る電流切替部と、
前記電流切替部によって各段階の電流が前記負荷に供給されたときの前記負荷に印加される各電圧を、基準電圧と比較する比較部と、
前記比較部での比較結果に基づいて前記負荷のインピーダンスレベルを決定する決定部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の断線検出回路。
【請求項3】
前記インピーダンス検出回路を構成する前記電流切替部は、前記通電回路の一部として兼用され、前記負荷に供給する電流を、前記電流レベル決定回路によって決定された電流レベルに対応する段階に切り替え可能とされており、
前記インピーダンス検出回路を構成する前記比較部は、前記断線判定回路の一部として兼用され、前記電流切替部によって前記負荷インピーダンスに対応した段階の電流が供給されているときに前記負荷に印加される電圧と前記基準電圧とを比較し、
前記断線判定回路は、前記比較部による比較結果に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の断線検出回路。
【請求項4】
前記インピーダンス検出回路で検出された前記負荷インピーダンスの情報を記憶する記憶部を備え、
前記通電回路は、前記断線判定回路による判定に先立って前記記憶部を参照すると共に当該記憶部に記憶される前記負荷インピーダンスの情報に対応する電流を前記負荷に供給し、
前記断線判定回路は、前記前記負荷インピーダンスの情報に対応する電流が前記負荷に供給されているときの前記負荷に印加される電圧の状態に基づいて前記負荷又は前記通電路が断線状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の断線検出回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−36863(P2013−36863A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173497(P2011−173497)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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