説明

新しいクラスのガンマデルタT細胞アクチベーターおよびその使用

本発明は、式(I)で示されるγδT細胞活性化特性を有する新しいクラスの化合物と、これらの化合物を含む組成物と、これらの化合物を投与する工程を含む、被験者における免疫応答をレギュレートする方法と、に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γδT細胞活性化特性を有する新しいクラスの化合物と、これらの化合物を含む組成物と、これらの化合物を投与する工程を含む、被験者における免疫応答をレギュレートする方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのヒト末梢血γδT細胞は、Vγ9/Vδ2遺伝子によりコードされるγδTCRヘテロダイマーとMHCクラスIに対するいくつかのNK系列受容体とを発現し、CD4やCD8をほとんど発現しない。これらの細胞は、ウイルス感染細胞(ポッシア(Poccia)ら(1999年))、寄生生物感染細胞(コンスタント(Constant)ら(1995年))、または腫瘍細胞(フルニ(Fournie)およびボネヴィル(Bonneville)(1996年))に対して強いMHC非拘束性細胞溶解活性を呈することが明らかにされている。これらの細胞はまた、結核、マラリア、野兎病、大腸菌症のようないくつかの無関係の感染症の状況下で生理学的に増幅され、さらにはB細胞腫瘍によっても生理学的に増幅される(レビューについては、ヘイデイ(Hayday)、2000年を参照されたい)。
【0003】
それらの抗感染活性のほかに、Vγ9/Vδ2T細胞は、B細胞系列、T細胞系列、または骨髄細胞系列に由来するリンパ腫および白血病(フィッシュ(Fisch)ら、1997年;セリン(Selin)ら、1992年;シカール(Sicard)ら、2001年;シュトゥルム(Sturm)ら、1990年;チェン(Zheng)ら、2001年a)、乳癌(バンク(Bank)ら、1993年)、膠芽腫(フジミヤ(Fujimiya)ら、1997年;ヤマグチ(Yamaguchi)ら、1997年)、腎細胞癌(チョウダリー(Choudhary)ら、1995年;コバヤシ(Kobayashi)ら、2001年;ミトロプーロス(Mitropoulos)ら、1994年)、鼻咽腔癌(チェン(Zheng)ら、2001年b)、肺腺癌(フェラリーニ(Ferrarini)ら、1996年)などの非常にさまざまな起源の多種多様な腫瘍細胞系を溶解しうることが短期細胞傷害性アッセイで明らかにされた。
【0004】
微生物の場合、Vγ9/Vδ2リンパ球は、構造上関連のある一連の非ペプチド抗原(天然ホスホ抗原と呼ばれる)およびアルキルアミンを自発的に認識する。B細胞腫瘍の場合、γδT細胞に対する抗原の特性は、いまだに特定されていない。Vγ9/Vδ2リンパ球はまた、事前暴露を行うことなく、さまざまなウイルス感染細胞タイプ、ウイルス活性化細胞タイプ、または腫瘍細胞タイプに応答する。これらの状況下においても、関与する抗原は、まだわかっていない(レビューについては、フィッシュ(Fisch)、2000年を参照されたい)。in vitroで、Vγ9/Vδ2 2リンパ球は、治療剤アミノビスホスホネートのような合成薬剤(エスピノサ(Espinosa)、2001年にレビューされている)に応答して、それらのin vitro活性化を引き起こすことが明らかにされている。天然非ペプチド抗原の認識は、Vγ9−CDR3領域とVδ2−CDR3領域の両方に位置するアミノ酸残基を介してγδTCRにより媒介される。CD1分子やMHC分子による処理も提示も関与しないが、非ペプチド抗原によるVγ9/Vδ2リンパ球の活性化は、細胞間の接触を必要とするように思われる(ラング(Lang)、1995年;モリタ(Morita)、1995年;ミヤガワ(Miyagawa)、2001年、ロハス(Rojas)、2002年)。
【0005】
刺激性細菌抗原は、ほとんどの場合にリン酸基が存在することから慣例的にホスホ抗原と呼ばれる小さい非ペプチド化合物であることが明らかにされている(ベール(Behr)ら、1996年;ベルマント(Belmant)ら、2000年;コンスタント(Constant)ら、1994年;ポケ(Poquet)ら、1998年;タナカ(Tanaka)ら、1995年)。
【0006】
Vγ9/Vδ2T細胞はまた、微生物と哺乳動物細胞の両方により共有される通常のメバロン酸経路を介して産生されるイソペンテニルピロリン酸すなわちIPPのような内因性代謝産物(マイクロモル範囲内で作用する)によっても活性化されうる(エスピノサ(Espinosa)ら、2001年b;タナカ(Tanaka)ら、1995年)。後者の細胞におけるIPPの産生は、細胞ストレスやトランスフォーメーションの状況下でアップレギュレートされうる。とくに、最近の研究では、腫瘍細胞におけるIPPの内因性産生レベルとVγ9/Vδ2T細胞媒介性溶解に対するそれらの感受性との間の相関が報告されている(ゴバー(Gober)ら、2003年)。
【0007】
また、メバロン酸経路の内因性代謝産物がVγ9/Vδ2T細胞認識に直接寄与することに一致して、IPP生合成を阻止する薬理剤(たとえばスタチン)またはIPP蓄積を引き起こす薬理剤(たとえばアミノビスホスホネート、以下を参照されたい)で細胞を処理すると、それぞれ、処理された細胞のVγ9/Vδ2T細胞刺激性の減少または増強が起こる(ゴバー(Gober)ら、2003年;カトウ(Kato)ら、2001年)。
【0008】
アミノビスホスホネートは、FPPシンターゼ(メバロン酸経路の酵素)を阻害し、この阻害によりIPPのような上流のイソプレノイド脂質の蓄積および放出を引き起こすと考えられる。アミノビスホスホネート化合物は、癌患者における骨転移を治療すべくヒト治療に使用されてきており、ホスホ抗原アゴニストにより誘導されるヒトVγ9/Vδ2リンパ球のin vivo増殖を示す最初の一連の証拠を提供した。その報告によると、多発性骨髄腫を有するヒト成人において60〜90mgのパミドロネートの治療剤静脈内注射を行った後1〜3週間以内に循環γδT細胞が増加した(クンツマン(Kunzmann)ら、1999年)。しかしながら、そのような化合物は、抗原提示細胞による提示を必要とするため、純粋なVγ9/Vδ2T細胞培養物におけるサイトカイン分泌により評価されるようなVγ9/Vδ2T細胞活性の実質的刺激を引き起こすことはできない。さらに、パミドロネートは非常に低いγδT細胞活性化能を示し、γδT細胞数はよくても2倍の増加が達成されるにすぎないと報告されている(ヴィルヘルム(Wilhelm)ら、2003年)。
【0009】
最近、γδT細胞を直接活性化させるいくつかのきわめて強力なγδT細胞活性化ピロホスフェート含有化合物が報告された。とくに、ホスホハロヒドリン化合物およびホスホエポキシド化合物がJ.J.フルニ(J.J.Fournie)のグループにより報告された。BrHPP(ブロモヒドリンピロホスフェート)とも呼ばれる(R,S)−3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェートは、ex vivoでγδT細胞の増殖を促進すべく進行中のヒト臨床試験で現在使用されている。高い比活性(ナノモル範囲内またはより良好な範囲内のEC50)を有する他のピロホスフェート含有化合物は、原核微生物および真核微生物に特異的な「ロメール(Rohmer)」経路または「非メバロン酸」経路と呼ばれるイソプレノイド生合成経路を介して産生される(フォイルレ(Feurle)ら、2002年;ジョマー(Jomaa)ら(2003年);ジョマー(Jomaa)ら、1999年a;ジョマー(Jomaa)ら、1999年b;ロメール(Rohmer)ら、1993年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の状況にもかかわらず、γδT細胞の活性化を提供する新しい化合物、とくに、増大された効力および/または好ましい薬力学的性質を有する化合物が、依然として必要とされている。そのような化合物は、療法が毒性を有するものであってはならない命には別条のない治療適応症または慢性の治療適応症においてとくに利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このたび、本発明により、γδT細胞活性化特性を有する新しいクラスの化合物を開示する。この新しいクラスの化合物は、ホスホルアミデートエステルを含む。本発明者らは、本明細書に記載されているクラスの化合物が本発明者らによりこれまで試験されたγδT細胞活性をモジュレートする他の化合物よりも増大された効力を有することを見いだした。さらに、本化合物は、それらのEC100(γδT細胞のそのような活性に関して最大の応答または効果を引き起こす組成物の有効濃度)において他の化合物よりも大きいγδT細胞活性化効果を達成しうる。
【0012】
これらの化合物を用いれば、被験者においてin vivoで、γδT細胞の活性、とくに、γδT細胞(好ましくはVγ9/Vδ2T細胞)の活性化および増殖、を効率的にレギュレートすることが可能である。これらの新しいγδT細胞アクチベーターは、本明細書に記載の方法のいずれかで使用可能である。これらの化合物は、とくに、腫瘍を有する被験者または他の疾患(とくに、感染性疾患、自己免疫性疾患、またはアレルギー性疾患)を患っている被験者を治療すべく、免疫療法を施すのにとくに適している。本発明に係る化合物はまた、ワクチンアジュバントとしても使用可能である。
【0013】
一態様において、本発明は、式(I):
【化1】

式(I)
〔式中、
Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し;
mは、1〜3の整数であり;
Bは、O、NH、または加水分解可能な任意の基であり;
Y=OCat+、C〜Cアルキル基、−A−R基であるか、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖、オリゴ糖、多糖、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポキシド、およびハロヒドリンよりなる群から選択される基であり;
Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり;そして
Rは、少なくとも1個のヘテロ原子が介在していてもよい、線状、分枝状、もしくは環状の、芳香族もしくは非芳香族の、飽和もしくは不飽和のC〜C50炭化水素基{ここで、該炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH)、アミド(−CONH)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびそれらの組合せよりなる群から選択される1個もしくは数個の置換基により置換可能な、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくは、アルキルまたはアルキレンを含む}である〕
で示される化合物(γδT細胞アクチベーター)を提供する。
【0014】
好ましい実施形態では、該アクチベーターは、式(X):
【化2】

〔式中、R、R、およびRは、同一であるかもしくは異なり、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは、−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコール、または(C〜C)エステルであり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である〕
で示される化合物である。
【0015】
さらなる態様において、該アクチベーターは、
式(XI):
【化3】

式(XII):
【化4】

および式(II):
【化5】

〔該式II、XI、およびXII中、Xは、ハロゲン(好ましくは、I、Br、およびClから選択される)であり、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、そしてnは、2〜20の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である〕
よりなる群から選択される化合物である。
【0016】
さらなる実施形態では、γδT細胞アクチベーターは、式(III)
【化6】

で示される化合物である。
【0017】
さらなる実施形態では、γδT細胞アクチベーターは、式(V)
【化7】

で示される化合物である。
【0018】
さらなる実施形態では、γδT細胞アクチベーターは、式(VI):
【化8】

〔式中、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、そしてnは、2〜20の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である〕
で示される化合物である。
【0019】
本発明はまた、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに基づくγδT細胞アクチベーターを含む医薬組成物を提供する。また、γδT細胞をモジュレートする(好ましくは活性化させる)方法を提供する。該方法は、γδT細胞を本明細書に記載のγδT細胞活性化化合物に接触させることを含む。わかるであろうが、本発明に係る化合物は、in vitroまたはin vivoでγδT細胞を活性化させるべく使用可能である。in vitroで活性化されるγδT細胞は、たとえば、疾患の治療または予防において、活性化後に任意の好適な方法により使用可能である。好ましい一例では、活性化されたγδT細胞は、哺乳動物(好ましくはヒト)に投与される。好ましい態様において、本発明は、(a)γδT細胞を本明細書に記載のγδT細胞活性化化合物に接触させることと、(b)工程(a)のγδT細胞を被験者に投与することと、を含む治療方法を包含する。そのような投与に供されるγδT細胞の調製方法は、当技術分野で公知であり、たとえば、2004年8月19日出願の米国特許出願第10/505,252号明細書および2003年2月21日出願のPCT/FR03/00585号パンフレット(いずれも、ロマーニュ(Romagne)およびラプラス(Laplace)による出願であり、それらの開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されているように実施可能である。
【0020】
また、本明細書に記載のγδT細胞アクチベーターを被験者に投与することを含む、γδT細胞をモジュレートする(好ましくは活性化させる)方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、疾患を改善または予防するのに十分な量で本明細書に記載のγδT細胞アクチベーターを被験者に投与することを含む、疾患を治療または予防する方法を提供する。また、ヒト被験者においてγδT細胞をレギュレートするための医薬組成物を製造するための、本発明に係るγδT細胞アクチベーターの使用を提供する。好ましくは、該疾患は、腫瘍もしくは増殖性障害、感染性疾患、自己免疫性疾患、またはアレルギー性疾患である。
【0021】
本発明はさらに、ホスホロアミデート化合物の合成方法を提供する。一態様において、本発明は、
(a)カップリング工程でアルキルハライドR−Xをジエチルホスホルアミデート試薬またはジエチルクロロホスフェート試薬と反応させることと;
(b)工程(a)で調製された化合物を鹸化工程で反応させることによりO−エチル基を除去することと;
(c)工程(b)で調製された化合物をリン酸化工程で反応させることによりジホスホルアミデートモノエステルを調製することと;
を含む、ジホスホルアミデートモノエステル化合物の調製方法を提供する。ただし、Rは、少なくとも1個のヘテロ原子が介在していてもよい、線状、分枝状、もしくは環状の、芳香族もしくは非芳香族の、飽和もしくは不飽和のC1〜C50炭化水素基{ここで、該炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびそれらの組合せよりなる群から選択される1個もしくは数個の置換基により置換可能な、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくは、アルキルまたはアルキレンを含む}であり、そしてXは、好適な条件下でジエチルホスホルアミデート基により置換可能な部分である。Rにより提供される官能基のタイプおよび反応性に依存して、当業者であれば、必要であれば、影響を受けやすい官能基またはカップリング反応と相互作用しうる官能基の保護/脱保護の段階を含めて、以下の例を適合化させうる。一実施形態では、Xは、NH2基であり、かつ該R−X化合物は、カップリング工程でジエチルクロロホスフェート化合物と反応させる。他の実施形態では、Xは、I、Br、およびClよりなる群から選択される。他の態様において、本発明は、(E)−2−(4−クロロ−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン化合物を提供することと、相間移動触媒の存在下で水−ペンタン二相混合物中で該化合物をナトリウムアジドと反応させることと、を含む、(E)−2−(4−アジド−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン化合物の調製方法を提供する。
【0022】
他の実施形態および詳細事項を本明細書中にさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
定義
本発明に関連する範囲内で、「γδT細胞の活性をレギュレートする」という表現は、被験者においてそのような細胞の数および/または生物学的活性の増大を引き起こすかまたは助長することを意味する。したがって、レギュレートすることは、被験者においてそのような細胞の増殖をモジュレートすること(たとえば刺激すること)および/またはたとえばサイトカイン分泌(たとえばTNFαまたはIFNγ)を誘発することを包含するが、これらに限定されるものではない。示唆されるように、γδT細胞は、通常、健常成人ヒト被験者において全循環リンパ球の約1〜10%を占める。本発明は、被験者においてγδT細胞集団を有意に増加させるように、とくに、全循環リンパ球の少なくとも10%、12%、15%、20%、または30〜90%、典型的には40〜90%、より好ましくは50〜90%に達するように、使用可能である。典型的な実施形態では、本発明は、全循環リンパ球の60〜90%、好ましくは70〜90%、より好ましくは80〜90%に達するように、被験者においてγδT細胞の選択的増殖を可能にする。また、レギュレートすることは、追加的または代替的に、被験者において、γδT細胞の生物学的活性、とくに、それらの細胞溶解活性またはそれらのサイトカイン分泌活性をモジュレーションすることを包含する。本発明は、標的細胞に対するγδT細胞の生物学的活性を増大させるための新規な条件およびストラテジーを規定する。
【0024】
「〜を含む」が使用される場合、これは、好ましくは「〜より本質的になる」、より好ましくは「〜よりなる」で置き換え可能である。
【0025】
以上および以下で数値を示す用語が使用される場合、それらは、上限および下限を表す数を包含するものとする。たとえば、「1〜3」は、「1以上3以下」の範囲を表し、「1〜3の範囲内」は、「1以上3以下」を表すことになる。数(たとえば3)の代わりに数を表す単語(たとえば三)が使用される場合にも、同じことが言える。
【0026】
数に関連して「約」が使用される場合、これは、好ましくは数±15%、より好ましくは数+5%、最も好ましくは「約」の付かないその数自体を意味する。たとえば、「約100」は、「85以上115以下」を表すことになる。数値範囲に関連して「約」が使用される場合、たとえば、「約1〜約3」または「約一〜約三」の場合、好ましくは、範囲の開始および終了を個々に規定するそれぞれの数に対して、最後の文で数に対して与えられた「約」の定義が適用される。好ましくは、いかなる数値に関連して「約」が使用される場合にも、「約」は省略可能である。
【0027】
「毎週」とは、「1週間に約1回」を表し(約1週間の治療間隔で2回以上の治療を施すことを意味し)、この場合、約とは、好ましくは±1日(すなわち、言い換えれば「6〜8日間ごと」)を意味し;最も好ましくは、「毎週」とは、「7日間ごとに1回」を表す。
【0028】
本明細書中で使用する場合、γδT細胞の活性をレギュレートすることに関して、「EC50」という用語は、γδT細胞のそのような活性に関してその最大の応答または効果の50%を引き起こす当該組成物の有効濃度を意味する。
【0029】
本明細書中で使用する場合、γδT細胞の活性をレギュレートすることに関して、「EC100」という用語は、γδT細胞のそのような活性に関してその最大の応答または効果を引き起こす当該組成物の有効濃度を意味する。
【0030】
新しいクラスのγδTリンパ球アクチベーター:ホスホルアミデートエステル
本発明者らにより記載された新しいクラスの化合物は、ホスホルアミデートエステルを含む。本発明者らは、このクラスの化合物が本発明者らによりこれまで試験されたγδT細胞活性をモジュレートする他の化合物よりも増大された効力を示すことを見いだした。さらに、本発明に係る化合物は、それらのEC100(γδT細胞のそのような活性に関して最大の応答または効果を引き起こす組成物の有効濃度)において他の化合物よりも大きいγδT細胞活性化効果を達成しうる。理論により拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、NH基の存在により、たとえばピロホスフェートエステル化合物と比較して、おそらくH結合が加わることに基づいて、化合物の標的への結合を改変しうる(一般的には結合の強度を増大させうる)ことを提案する。H結合が加わることに基づくこの改変により、卓越した薬理学的性質、たとえば、標的結合親和性、ADME特性(吸収、分布、代謝、および排泄)を提供しうる。さらなる好ましい実施形態では、本発明に係る化合物はまた、望ましいin vivo安定性、好ましくは他の利用可能な化合物よりも長い半減期を有する。血液中における増大された安定性は、改良された全生体内γδT細胞刺激を達成するのに有用でありうる。
【0031】
本発明に係る新しいクラスのγδTリンパ球アクチベーターは、式(I):
【化9】

式(I)
〔式中、
Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し;
mは、1〜3の整数であり;
Bは、O、NH、または加水分解可能な任意の基であり;
Y=OCat+、C〜Cアルキル基、−A−R基であるか、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖、オリゴ糖、多糖、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポキシド、およびハロヒドリンよりなる群から選択される基であり;
Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり;そして
Rは、少なくとも1個のヘテロ原子が介在していてもよい、線状、分枝状、もしくは環状の、芳香族もしくは非芳香族の、飽和もしくは不飽和のC〜C50炭化水素基{ここで、該炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH)、アミド(−CONH)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびそれらの組合せよりなる群から選択される1個もしくは数個の置換基により置換可能な、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくは、アルキルまたはアルキレンを含む}である〕
で示される化合物を含む。
【0032】
特定の実施形態では、先に定義した置換基は、少なくとも1個の先に指定した置換基により置換される。
【0033】
好ましくは、置換基は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキレニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)エポキシアルキル、アリール、ヘテロ環、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アシル、(C〜C)アルコール、カルボン酸基(−COOH)、(C〜C)エステル、(C〜C)アミン、アミノ基(−NH)、アミド(−CONH)、(C〜C)イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、(C〜C)ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、(C〜C)チオアルキル、(C〜C)スルホン、(C〜C)スルホキシド、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
【0034】
より好ましくは、置換基は、(C〜C)アルキル、(C〜C)エポキシアルキル、(C〜C)アルキレニル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アシル、(C〜C)アルコール、(C〜C)エステル、(C〜C)アミン、(C〜C)イミン、ヒドロキシル、アルデヒド基、ハロゲン、(C〜C)ハロゲノアルキル、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
【0035】
さらにより好ましくは、置換基は、(C〜C)エポキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アシル、(C〜C)アルコール、(C〜C)エステル、(C〜C)アミン、(C〜C)イミン、ヒドロキシル、ハロゲン、(C〜C)ハロゲノアルキル、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。好ましくは、Rは、(C〜C25)炭化水素基、より好ましくは(C〜C10)炭化水素基である。
【0036】
本発明に関連して、「アルキル」という用語は、より特定的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、およびそれらの他の異性体形のような基を意味する。(C〜C)アルキルは、より特定的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびそれらの他の異性体形を意味する。(C〜C)アルキルは、より特定的には、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルを意味する。
【0037】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の不飽和エチレン結合を有する以上に定義されたアルキル基を意味し、「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の不飽和アセチレン結合を有する以上に定義されたアルキル基を意味する。(C〜C)アルキレンは、エテニル、プロペニル(1−プロペニルまたは2−プロペニル)、1−または2−メチルプロペニル、ブテニル(1−ブテニル、2−ブテニル、または3−ブテニル)、メチルブテニル、2−エチルプロペニル、ペンテニル(1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル)、ヘキセニル(1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル)、およびそれらの他の異性体形を包含する。(C〜C)アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、または5−ヘキシニル、およびそれらの他の異性体形を包含する。
【0038】
「エポキシアルキル」という用語は、エポキシド基を有する以上に定義されたアルキル基を意味する。より特定的には、(C〜C)エポキシアルキルは、エポキシエチル、エポキシプロピル、エポキシブチル、エポキシペンチル、エポキシヘキシル、およびそれらの他の異性体形を包含する。(C〜C)エポキシアルキルは、エポキシエチルおよびエポキシプロピルを包含する。
【0039】
「アリール」基とは、6〜18個の炭素原子を有する単環式、二環式、もしくは三環式の芳香族炭化水素である。例としては、とくに、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、またはアントラセニル基が挙げられる。
【0040】
「ヘテロ環」基とは、1個以上のヘテロ原子、好ましくは1〜5個の環内ヘテロ原子を含む5〜18員環を含有する基である。それらは、単環式、二環式、もしくは三環式でありうる。それらは、芳香族もしくは非芳香族でありうる。好ましくは、より特定的にRについては、それらは、芳香族ヘテロ環である。芳香族ヘテロ環の例としては、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、フラン基、チオフェン基、ピロール基、オキサゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、イミダゾール基、ピラゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、チアジアゾール基、およびトリアジン基が挙げられる。二環の例としては、とくに、キノリン基、イソキノリン基、およびキナゾリン基(2個の6員環の場合)、ならびにインドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびインダゾール(1個の6員環と1個の5員環の場合)が挙げられる。非芳香族ヘテロ環は、とくに、ピペラジン、ピペリジンなどを包含する。
【0041】
「アルコキシ」基は、−O−(エーテル)結合により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、およびイソプロピルオキシが挙げられる。
【0042】
「アシル」基は、−CO−(カルボニル基により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)アシルとしては、アセチル、プロピルアシル、ブチルアシル、ペンチルアシル、ヘキシルアシル、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)アシルとしては、アセチル、プロピルアシル、およびイソプロピルアシルが挙げられる。
【0043】
「アルコール」基は、少なくとも1個のヒドロキシル基を含有する以上に定義されたアルキル基に対応する。アルコールは、第一級、第二級、もしくは第三級でありうる。(C〜C)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。
【0044】
「エステル」基は、−COO−(エステル)結合により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)エステルとしては、メチルエステルおよびエチルエステルが挙げられる。
【0045】
「アミン」基は、−N−(アミン)結合により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、およびプロピルアミンが挙げられる。
【0046】
「イミン」基は、(−C=N−)結合を有する以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、プロピルイミン、ブチルイミン、ペンチルイミン、ヘキシルイミン、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、およびプロピルイミンが挙げられる。
【0047】
ハロゲンは、Cl、Br、I、またはF、より好ましくはBrまたはFでありうる。
【0048】
「ハロゲノアルキル」基は、少なくとも1個のハロゲンを有する以上に定義されたアルキル基に対応する。該基は、同一のもしくは異なるハロゲン原子を含有してモノハロゲン化またはポリハロゲン化されたものでありうる。たとえば、該基は、トリフルオロアルキル(CF−R)でありうる。(C〜C)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、ハロゲノプロピル、ハロゲノブチル、ハロゲノペンチル、ハロゲノヘキシル、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、およびハロゲノプロピルが挙げられる。
【0049】
「チオアルキル」基は、−S−(チオエーテル)結合により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、チオプロピル、チオブチル、チオペンチル、チオヘキシル、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、およびチオプロピルが挙げられる。
【0050】
「スルホン」基は、−SOO−(スルホン)結合により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホン、ブチルスルホン、ペンチルスルホン、ヘキシルスルホン、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、およびプロピルスルホンが挙げられる。
【0051】
「スルホキシド」基は、−SO−(スルホキシド)基により分子に結合された以上に定義されたアルキル基に対応する。(C〜C)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、ブチルスルホキシド、ペンチルスルホキシド、ヘキシルスルホキシド、およびそれらの他の異性体形が挙げられる。(C〜C)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、およびイソプロピルスルホキシドが挙げられる。
【0052】
「ヘテロ原子」は、N、S、またはOを表す。
【0053】
「ヌクレオシド」としては、アデノシン、チミン、ウリジン、シチジン、およびグアノシンが挙げられる。
【0054】
特定の実施形態では、炭化水素基は、シクロアルキレニル(たとえば、シクロペンタジエンもしくはフェニル)またはヘテロ環(たとえば、フラン、ピロール、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラン、もしくはピラジン)である。好ましくは、シクロアルキレニルまたはヘテロ環は、シクロペンタジエン、ピロール、またはイミダゾールよりなる群から選択される。好ましい実施形態では、シクロアルキレニルまたはヘテロ環は、アルコールにより置換される。好ましくは、該アルコールは、(C〜C)アルコールである。
【0055】
他の実施形態では、炭化水素基は、1個もしくは数個の二重結合を有するアルキレニルである。好ましくは、アルキレニル基は、1個の二重結合を有する。好ましくは、アルキレニル基は、(C〜C10)アルキレニル基、より好ましくは(C〜C)アルキレニル基である。好ましくは、該アルキレニル基は、少なくとも1個の官能基により置換される。より好ましくは、官能基は、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アルデヒド、(C〜C)アシル、または(C〜C)エステルよりなる群から選択される。より好ましい実施形態では、炭化水素基は、−CHOH基により置換されたブテニルである。アルケニル基は、異性体形のトランス(E)またはシス(Z)、より好ましくはトランス異性体形(E)であってもよい。最も好ましい実施形態では、アルキレニル基は、(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルである。他の好ましい実施形態では、アルキレニル基は、イソペンテニル、ジメチルアリル、またはヒドロキシジメチルアリルである。
【0056】
他の実施形態では、炭化水素基は、アシルにより置換されたアルキル基である。より好ましくは、炭化水素基は、(C〜C)アシルにより置換された(C〜C)アルキル基である。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、Rは、
1)
【化10】

〔式中、nは、2〜20の整数であり、Rは、(C〜C)アルキル基であり、そしてRは、ハロゲン化(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、ハロゲン化(C〜C)アシル、または(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アシルである。好ましくは、Rは、メチル基またはエチル基であり、そしてRは、ハロゲン化メチル(−CH−X、ただし、Xはハロゲンである)、ハロゲン化(C〜C)アセチル、または(C〜C)アルコキシ−アセチルである。ハロゲン化メチルまたはアセチルは、モノ−、ジ−、もしくはトリ−ハロゲン化されうる。好ましくは、nは、2〜10または2〜5の整数である。より好ましい実施形態では、nは2である。最も好ましい実施形態では、nは2であり、Rはメチルであり、そしてRはハロゲン化メチル、より好ましくはモノハロゲン化メチル、さらに好ましくはブロミドメチルである。とくに好ましい実施形態では、nは2であり、Rはメチルであり、R2はメチルブロミドである。最も好ましい実施形態では、Rは、3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イルである〕
2)
【化11】

〔式中、nは、2〜20の整数であり、そしてRはメチル基またはエチル基である。好ましくは、nは、2〜10または2〜5の整数である。より好ましい実施形態では、nは2であり、そしてR1はメチルである〕
3)
【化12】

〔式中、R、R、およびRは、同一であるかもしくは異なり、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは、−CH−または−N−であり、そしてRは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコール、または(C〜C)エステルである。より好ましくは、Rはメチルであり、そしてRおよびRは水素である。より好ましくは、Rは、−CH−OH、−CHO、−CO−CH、または−CO−OCHである。さらにより好ましくは、Rは−CH−OHである。より好ましくは、Wは−CH−である。WとCの間の二重結合は、トランス(E)またはシス(Z)のコンフォメーションをとってもよい。より好ましくは、WとCの間の二重結合は、トランス(E)のコンフォメーションをとる〕
よりなる群から選択される。
【0058】
Y基は、プロドラッグのデザインに利用可能である。したがって、Yは、被験者の特定領域において開裂されうる酵素感受性基である。Y基はまた、ターゲッティング基でありうる。好ましい実施形態では、Yは、OCat+、−A−R基であるか、またはヌクレオシド、単糖、エポキシド、およびハロヒドリンよりなる群から選択される基である。好ましくは、Yは酵素感受性基である。好ましくは、Yは、OCat+、−A−R基、またはヌクレオシドである。第1の好ましい実施形態では、YはOCat+である。第2の好ましい実施形態では、Yはヌクレオシドである。
【0059】
好ましい実施形態では、Catは、H、Na、NH、K、Li、(CHCHNH、リシン、または任意の他の好適な製薬上許容されるカチオンである。
【0060】
好ましい実施形態では、Aは、O、CHF、CF、またはCHである。より好ましくは、Aは、OまたはCHである。
【0061】
好ましい実施形態では、Bは、OまたはNHである。より好ましくは、BはOである。
【0062】
好ましい実施形態では、mは、1または2である。より好ましくは、mは1である。
【0063】
特定の一実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(II):
【化13】

〔式中、Xは、ハロゲン(好ましくは、I、Br、およびClから選択される)であり、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、そしてnは、2〜20の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である。好ましくは、Yは、OCat+またはヌクレオシドである。より好ましくは、YはOCat+である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、nは2である。好ましくは、Xはブロミドである。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは、1または2である。より好ましくは、mは1である〕
で示される化合物を含む。
【0064】
たとえば、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(III):
【化14】

〔式中、X、R1、n、m、およびYは、先に記載した意味を有する〕
で示される化合物を含む。
【0065】
好ましい一実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(IV):
【化15】

〔式中、Xは、ハロゲン(好ましくは、I、Br、およびClから選択される)であり、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、そしてnは、2〜20の整数である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、nは2である。好ましくは、Xはブロミドである〕
で示される化合物を含む。
【0066】
最も好ましい実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(V):
【化16】

で示される化合物を含む。
【0067】
好ましくは、xCat+は、1個もしくは2個のNaである。
【0068】
特定の一実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(VI):
【化17】

〔式中、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、そしてnは、2〜20の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である。好ましくは、Yは、OCat+またはヌクレオシドである。より好ましくは、YはOCat+である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、nは2である。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは、1または2である。より好ましくは、mは1である〕
で示される化合物を含む。
【0069】
たとえば、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(VII):
【化18】

〔式中、R1、n、m、およびYは、先に記載した意味を有する〕
で示される化合物を含む。
【0070】
好ましい一実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(VIII):
【化19】

〔式中、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、そしてnは、2〜20の整数である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、nは2である〕
で示される化合物を含む。
【0071】
最も好ましい実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(IX):
【化20】

で示される化合物を含む。
【0072】
好ましくは、xCat+は、1個もしくは2個のNaである。
【0073】
特定の一実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(X):
【化21】

〔式中、R、R、およびRは、同一であるかもしくは異なり、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは、−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコール、または(C〜C)エステルであり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である。好ましくは、Yは、OCat+またはヌクレオシドである。より好ましくは、YはOCat+である。より好ましくは、RおよびRは水素であり、そしてRはメチルである。より好ましくは、Rは、−CH−OH、−CHO、CO−NH、−NH、または−CO−OCHである。さらにより好ましくは、Rは−CH−OHである。より好ましくは、Wは−CH−である。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは、1または2である。より好ましくは、mは1である。WとCの間の二重結合は、トランス(E)またはシス(Z)のコンフォメーションをとってもよい。より好ましくは、WとCの間の二重結合は、トランス(E)のコンフォメーションをとる〕
で示される化合物を含む。
【0074】
たとえば、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(XI):
【化22】

〔式中、R3、R4、R5、R6、W、m、およびYは、先に記載した意味を有する。好ましくは、Wは、−CH−または−N−である。好ましくは、R3およびR4は水素である。好ましくは、R5はメチルである。好ましくは、R6は−CH−OHである〕
で示される化合物を含む。
【0075】
最も好ましい実施形態では、本発明に係るホスホルアミデートエステルは、式(XII):
【化23】

で示される化合物を含む。
【0076】
これらの化合物は、種々の技法により、たとえば、PCT公開国際公開第00/12516号パンフレット、国際公開第00/12519号パンフレット、国際公開第03/050128号パンフレット、および国際公開第03/009855号パンフレット(それらの開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に開示されている方法を用いて、製造可能である。
【0077】
最も好ましい実施形態では、合成γδTリンパ球活性化化合物は、N−HDMAPP、N−Epox−PP、およびN−BrHPP、より好ましくはN−HDMAPPおよびN−BrHPP、さらに好ましくはN−HDMAPPよりなる群から選択される。
【0078】
本発明に係るホスホルアミデートエステルは、たとえば、以下の反応(反応A、A(1)、A(2)、A(3)、B、C、またはC(1))により調製可能である。
【0079】
ジホスホルアミデートモノエステルのスキーム:反応A
【化24】

【0080】
ジホスホルアミデートモノエステルの代替的スキーム:反応A(1)
【化25】

【0081】
本発明に係るジホスホルアミデートモノエステルはまた、以下の2つの反応(反応A(2)、A(3))を用いて調製することも可能である。これらの合成スキームは、ジホスホルアミデートモノエステルをより大量に調製するのに好適であり、代謝産物または分解産物の可能性があると考えられることから医薬開発用として興味深いモノホスホルアミデートモノエステル中間体の生成を含む。
【0082】
ジホスホルアミデートモノエステルの代替的スキーム:反応A(2):
出発アルキル前駆体(R−NH)が容易に利用できないために出発分子が好ましくはアルキルハライドR−X(ただし、X=I、Br、またはCl)である場合、反応A(2)を有利に使用しうる。
【化26】

【0083】
A(2)のカップリング工程は、市販のジエチルホスホルアミデート(NH−P(OEt))の脱プロトン化によるリチウム塩のin situ調製を含む。このカップリング工程は、コックス(Cox)ら(2002年)(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)により報告された手順に従って実施可能である。
【0084】
反応A(2)の鹸化工程は、二段階手順によるO−エチルエステル官能基の完全除去を含む。この反応は、ホスホルアミデート結合(P−NH結合)の加水分解を防止するために好ましくは中性または塩基性の条件下で行わなければならない。この反応は、ヴァレンタイン(Valentijn)ら(1991年)に記載されているように、トリメチルシリルブロミド(TMSBr)を使用し、その後、得られたTMS−エステルをテトラブチルアンモニウムフルオリド(BuNF)で除去することにより、またはヴァレンタイン(Valentijn)(1995年)に記載されているように、Sym−コリジン(酸掃去剤)の存在下でTMSBrを使用し、その後、得られたTMS−エステルをテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(BuNOH)で塩基加水分解することにより、行うことが可能である。上記の参考文献の開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0085】
反応A(2)のリン酸化工程は、以下の2つの方法で実施可能である:
(i)モノホスホルアミデート中間体とモルホリノホスフェート試薬(テトラブチルアンモニウム塩)(市販のジメチルクロロホスフェートからのその調製については以下で詳述する(反応A(2)(a)))との反応。この反応は、ピロホスホネート類似体の合成に適用されたヴァレンタイン(Valentijn)ら(1991年)の手順に従って行うことが可能である;または
(ii)モノホスホルアミデート中間体とカップリング試薬としてのトリクロロアセトニトリル(CClCN)および2当量未満の市販のテトラブチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート(BuN)HPOとの反応。
【0086】
モルホリノホスフェート試薬の調製:反応A(2)(a):
【化27】

【0087】
ジホスホルアミデートモノエステルの代替的スキーム:反応A(3):
【化28】

【0088】
反応A(3)のカップリング工程は、トリエチルアミン(TEA)の存在下におけるアルキルアミン前駆体と市販のジエチルクロロホスフェートとの反応を含む。この反応は、ニコライデス(Nikolaides)ら(「Conversion of Amines to Phosphoesters:decyl diethyl phosphate」、Organic Syntheses、第CV9巻,194頁)に記載されている手順に従って行うことが可能である。鹸化工程およびリン酸化工程の条件は、先に報告した条件に類似している(反応A(2))。
【0089】
Rにより提供される官能基のタイプおよび反応性に依存して、当業者であれば、所要により、影響を受けやすい官能基またはカップリング反応と相互作用しうる官能基の保護/脱保護の段階を含めて、本明細書中に提示される合成例を適合化させうる。
【0090】
イミド−ジホスホルアミデートモノエステルのスキーム:反応B
【化29】

【0091】
トリホスホルアミデートモノエステルのスキーム:反応C
【化30】

【0092】
トリホスホルアミデートモノエステルの代替的スキーム:反応C’
【化31】

【0093】
A、B、およびCの反応は、カップリング試薬として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)を用いてサトウ(Sato)ら(1990年)およびチュー(Chu)ら(1983年)に記載されているように行うことが可能である。無機試薬のNaHP(ピロリン酸二ナトリウム)、NaHNO(イミド二リン酸四ナトリウム)、およびNa10(三リン酸五ナトリウム)は、市販品として入手可能である。N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)は、EDCの存在下でカルボジイミドカップリングを支援するためにしばしば使用される(セグハル(Seghal)およびビジェイ(Vijay)、1994年)。上記の参考文献の開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0094】
A、B、およびCの反応はまた、二リン酸または三リン酸の有機塩を用いてDCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)のようなカルボジイミド試薬により非水溶媒中で行うことも可能である。カルボジイミドは、オルトリン酸エステルおよびピロリン酸エステル、ヌクレオチド、環状リン酸、オリゴリボヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ヌクレオシド−5’−ホスホロアミデート、ならびに混合無水物の合成で広く利用されてきた(アッツィ(Azzi)ら、1984年)(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)。
【0095】
代替的反応のA(1)およびC’は、カップリング試薬としてトリクロロアセトニトリル(CClCN)を用いてチャン(Zhang)およびポウルター(Poulter)(1993年)(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されている手順に従って行うことが可能である。無機試薬のテトラブチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート(BuN)HPOは、市販品として入手可能である。
【0096】
上記の反応では、化合物R−NH中の影響を受けやすい官能基の保護を含むか、またはカルボジイミド(EDC)試薬もしくはトリクロロアセトニトリル(CClCN)試薬との反応が可能である。
【0097】
ホスホルアミデートモノエステルは、チャン(Zhang)およびポウルター(Poulter)(1993年)により報告された方法に従ってC18分取HPLCにより精製可能である。または2002年12月5日出願の国際公開第03/050128号パンフレットの方法に従ってアンモニア性イソプロパノール溶出液を用いてシリカゲル分取クロマトグラフィーにより精製可能である。上記の参考文献の開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0098】
Y基としてヌクレオシドを含む化合物は、たとえば、以下の反応により調製可能である。Yにより提供される官能基のタイプおよび反応性に依存して、当業者であれば、所要により、影響を受けやすい官能基またはカップリング反応と相互作用しうる官能基の保護/脱保護の段階を含めて、以下の例を適合化させうる。
【化32】

または
【化33】

〔式中、−O−Vは、Vで開始される良好な脱離基であり、Vは、たとえば、トシル、メシル、トリフリル、ブロシル、または臭素の中から選択され、PPは、ピロリン酸基を表し、PPPは、三リン酸基を表し、R−は、先に記載した意味を有し、そしてNuclは、ヌクレオシドである。好ましくは、Nucl−O−Vは、5’−O−トシルアデノシン、5’−O−トシルウリジン、5’−O−トシルシチジン、5’−O−トシルチミジン、または5’−O−トシル−2’−デオキシアデノシンよりなる群から選択される〕
【0099】
たとえば、グループ1)のRを有する化合物の場合、反応手順は、以下のとおりでありうる。
【化34】

〔式中、−O−Vは、Vで開始される良好な脱離基であり、Vは、たとえば、トシル、メシル、トリフリル、ブロシル、または臭素の中から選択され、PPは、ピロリン酸基を表し、そしてNuclは、ヌクレオシドである。好ましくは、Nucl−O−Vは、デイヴィソン(Davisson)ら、(1987年)(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されているような5’−O−トシルアデノシン、5’−O−トシルウリジン、5’−O−トシルシチジン、5’−O−トシルチミジン、または5’−O−トシル−2’−デオキシアデノシンよりなる群から選択される〕
【0100】
求核置換反応は、デイヴィソン(Davisson)ら、(1987年);およびデイヴィソン(Davisson)ら(1986年)(それらの開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)により記載されたのと類似の条件で行うことが可能である。
【0101】
この反応はまた、Y基として単糖を含む化合物を調製するために使用することも可能である。この場合、Nucl−O−Vは、MonoSac−O−V(ただし、Monosacは単糖である)と置き換えられる。たとえば、ニルソン(Nilsson)およびモスバッハ(Mosbach)、(1980年)の論文(参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されているようなメチル−6−O−トシル−アルファ−D−ガラクトピラノシド化合物または市販のマンノーストリフレート化合物に対応するMonoSac−O−Y基を使用することが可能である。
【0102】
この反応はさらに、Y基としてオリゴ糖を含む化合物を調製するために使用することも可能である。この場合、Nucl−O−Vは、oligoSac−O−V(ただし、oligoSacはオリゴ糖である)と置き換えられる。たとえば、論文(Organic syntheses、第77巻、225−228頁(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする))に記載されているような6−O−p−トルエンスルホニル−β−シクロデキストリン化合物に対応するoligoSac−O−Y基を使用することが可能である。
【0103】
この反応は、Y基として多糖を含む化合物を調製するために使用することが可能である。この場合、Nucl−O−Vは、polySac−O−V(ただし、polySacは多糖である)と置き換えられる。たとえば、ニルソン(Nilsson)ら、(1981年);ならびにニルソン(Nilsson)およびモスバッハ(Mosbach)、(1980年)(それらの開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)の論文に記載されているようなトシル化多糖に対応するpolySac−O−Y基を使用することが可能である。トシル化による多糖担体のヒドロキシル基の活性化に基づくこのカップリング技術を用いれば、水性または有機性の媒体中で共有結合カップリングを行うことが可能である。
【0104】
この反応はまた、Nuclの代わりに、アセタールの形態の保護されたアルデヒド官能基またはこの官能基を保護する任意の他の基を含む誘導体を選択することにより、Y基としてアルデヒド誘導体を含む化合物を調製するために使用することも可能である。
【0105】
他の選択肢として、以下の反応により、Y基としてヌクレオシドを含む化合物を調製することが可能である。
【化35】

〔式中、PPPは、三リン酸基を表し、R−は、先に記載した意味を有し、DMFは、ジメチルホルムアミドであり、そしてNuclは、ヌクレオシドである。この反応は、クノーレ(Knorre)ら(1976年)またはブルーム(Bloom)ら、米国特許第5,639,653号明細書(1997年)(それらの開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)により記載されたのと類似の条件で、アルコールおよび式Nucl−O−PPPを有するヌクレオチドから、行うことが可能である〕
【0106】
たとえば、グループ1)のRを有する化合物の場合、反応手順は、以下のとおりでありうる。
【化36】

〔式中、PPPは、三リン酸基を表し、DMFは、ジメチルホルムアミドであり、そしてNuclは、ヌクレオシドである〕
【0107】
この反応はまた、クノーレ(Knorre)ら(1976年)の論文の著者らにより示されたようなオリゴヌクレオチド5’−三リン酸?−エステルの調製に適用することも可能である。
【0108】
Y基として核酸(より特定的にはリボ核酸)を含む化合物は、F.ホァン(F.Huang)ら(1997年)の論文に記載されているのと類似の条件で調製可能である。著者らは、遊離の末端リン酸基を含む任意の分子に適用可能な触媒RNAからの汎用的方法を記載している。イソペンテニルピロリン酸またはチアミンピロリン酸のようにホスホハロヒドリン基に構造上関連のある化合物は、これらの著者らにより使用されているかまたは記載されている(F.ホァン(F.Huang)ら(1997年)の8968頁を参照されたい)。8965頁の《単離物6のpppRNAとリン酸含有求核剤との反応》の節に記載されているカップリング手順の実験条件(とくにpH条件)はハロヒドリン官能基の存在と適合性があることにも注目すべきである。
【0109】
Y基としてアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質の誘導体を含む化合物は、エポキシド官能基に対するそれらの第一級アミン官能基または第一級チオール官能基の周知の反応性を用いて取得可能である(S2反応)。このタイプのカップリングは、慣例的に、エポキシド官能基を保有する中間体基(いまだに「リンカー」と呼ばれている)を含む。このタイプのカップリングを用いる反応手順の例を以下に提供する。
【化37】

〔式中、PPは、ピロリン酸基を表し、R−は、先に記載した意味を有し、そしてR’−SHは、アミノ酸、ペプチド、またはタンパク質の誘導体である。第1の段階は、出発化合物のテトラブチルアンモニウム塩とグリシジルトシレートまたはエピクロロヒドリンのような市販の化合物とから、デイヴィソン(Davisson)ら(1987年)およびデイヴィソン(Davisson)ら(1986年)(それらの開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)により記載されたのと類似の条件で行うことが可能である。この反応はまた、三リン酸化合物を用いて行うことも可能である。他の選択肢として、R’−SHの代わりに第一級アミンR’−NHを使用することも可能である。R’−SHとの反応を行わずに、エポキシド誘導体を含む化合物を調製するように最初の反応を使用することが可能である〕
【0110】
他の選択肢として、以下の反応により、Y基としてアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質の誘導体を含む化合物を調製することが可能である。
【化38】

〔式中、PPPは、三リン酸基を表し、PPは、ピロリン酸基を表し、Pは、リン酸基を表し、R−は、先に記載した意味を有し、そしてR’−NHは、アミノ酸、ペプチド、またはタンパク質の誘導体である。反応は、化合物(R−NH−PPP)と、式R’−NHを有するアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質とから、クノーレ(Knorre)ら(1976年)(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)により記載されたのと類似の条件で行うことが可能である。この反応は、化合物R’−NH中の影響を受けやすい官能基の保護を含むか、またはカルボジイミドとの反応が可能である(とくにカルボキシル官能基)〕
【0111】
リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、またはポリリン酸のトリまたはテトラ−n−ブチルアンモニウム塩は、市販の対応する酸から調製可能である。本反応手順に従って、リュー(Liu)ら(1999年)の論文(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されているメタントリスホスホン酸の誘導体のような関連構造を有する誘導体を調製することも可能である。
【0112】
以上に記載した反応は、ヒドロキシル官能基、アミン官能基、リン酸官能基、またはチオール官能基の反応性を利用することにより、非常に広範にわたる分子または生体分子にあてはめることが可能である。その結果、ヒドロキシル官能基の活性化により反応DまたはEに従ってイノシトール誘導体を調製することが可能である。第一級アミン官能基の反応性を引き出すことにより、反応GまたはHに従って、葉酸(ビタミンB9)またはテトラヒドロ葉酸の誘導体を調製することが可能である。
【0113】
当然ながら、他のタイプのカップリングを考慮することが可能であり、当業者であれば、多岐にわたる選択肢の中から反応を選んで利用することが可能である。
【0114】
その結果、カルボン酸基またはフェノール基のリン酸化によるカップリングを用いて、脂肪酸、脂質、または特定のフラボノイドの誘導体を生成させることが可能である。
【0115】
ホスホルアミデートエステルγδTリンパ球活性化化合物は、ex vivoまたはin vitroで産生される分子でありうる。それは、精製されるかまたは他の方法で人為的に産生される(たとえば、化学合成によりまたは微生物学的過程により)内因性のリガンドまたはその断片もしくは誘導体あるいは実質的に同一の抗原特異性を有する抗体でありうる。本発明に係るホスホルアミデートエステルは、好ましくは、Vγ9Vδ2Tリンパ球を選択的に活性化させうる。Vγ9Vδ2Tリンパ球の選択的活性化とは、化合物が特定の細胞集団に対して選択的作用を有しかつVδ1T細胞のような他のT細胞サブタイプを本質的に活性化させないことを意味する。そのような選択性は、本出願で開示されるように、好ましい化合物がVγ9Vδ2Tリンパ球の増殖または生物学的活性の選択的活性化または標的活性化を引き起こしうることを示唆する。
【0116】
好ましい態様において、γδT細胞アクチベーターは、γδT細胞の増殖を刺激することも伴ってまたは伴わずに、γδT細胞の生物学的活性の増大、好ましくはγδT細胞の活性化の増大、とくにγδT細胞からのサイトカイン分泌の増大またはγδT細胞の細胞溶解活性の増大を惹起しうる。典型的な実施形態では、γδT細胞アクチベーターは、in vitroで測定した場合、γδT細胞によるサイトカイン分泌を少なくとも2倍、3倍、4倍、10倍、50倍、100倍に増大させうる。
【0117】
サイトカイン分泌および細胞溶解活性は、任意の適切なin vitroアッセイまたは本明細書の実施例に提供されるアッセイを用いて、評価可能である。たとえば、サイトカイン分泌は、TNF−α感受性細胞を用いてバイオアッセイによりTNF−α放出の測定を記述しているエスピノサ(Espinosa)ら(J.Biol.Chem.、2001年、第276巻、第21号、18337−18344頁)に記載の方法に従って測定可能である。簡潔に述べると、37℃で24時間にわたり100μlの培地中で刺激を加えてかつ25単位のIL2/ウェルを用いて、10γδT細胞/ウェルをインキュベートする。次に、アクチノマイシンD(2μg/ml)およびLiCl(40mM)を加えた培地を用いて3×10細胞/ウェルでプレーティングされた50μlのWEHI細胞に50μlの上清を添加し、37℃で20時間インキュベートする。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイを用いて、TNF−α感受性細胞の生存率を測定する。1ウェルあたり50μlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(Sigma;リン酸緩衝食塩水中2.5mg/ml)を添加し、37℃で4時間インキュベートした後、50μlの可溶化緩衝液(20%SDS、66%ジメチルホルムアミド、pH4.7)を添加し、そして吸光度(570nm)を測定する。次に、精製ヒトrTNF−α(ペプロテック(PeproTech,Inc.)、Rocky Hill、ニュージャージー州)を用いて得られた標準曲線から、TNF−α放出のレベルを計算する。サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイにより、活性化T細胞により放出されたインターフェロン−γを測定する。37℃で24時間にわたり100μlの培地中で刺激を加えてかつ25単位のIL2/ウェルを用いて、5×10γδT細胞/ウェルをインキュベートする。次に、マウスモノクロナール抗体(バイオソース(BIOSOURCE)、Camarillo、カリフォルニア州)を用いる酵素結合免疫吸着アッセイに供すべく、50μlの上清を採取する。
【0118】
細胞溶解活性の好ましいアッセイは、51Cr放出アッセイである。例示的なアッセイでは、γδT細胞の細胞溶解活性は、自己由来の正常標的細胞系および腫瘍標的細胞系、またはダウディ(Daudi)のような対照の感受性標的細胞系およびラジ(Raji)のような対照の耐性標的細胞系に対して、4時間51Cr放出アッセイにより測定される。特定例では、標的細胞を2×10細胞/ウェルの量で使用し、60分間かけて100μCiの51Crで標識化した。エフェクター/標的(E/T)比は、30:1〜3.75:1の範囲内であった。標準式[(実験自発放出/全自発放出)×100]を用いて特異的溶解(パーセントで表される)を計算する。
【0119】
本発明に係るγδTリンパ球アクチベーターの使用
本発明は、本発明に係るγδT細胞アクチベーターを含む医薬組成物に関する。より特定的には、該医薬組成物は、製薬上許容される担体と共に、治療上有効な量のγδT細胞アクチベーターを含んでもよい。医薬調剤(好ましくは、癌、感染性疾患、自己免疫性疾患、またはアレルギー性疾患を治療するための医薬調剤)を製造するための本発明に係るγδTアクチベーターの使用もまた、本発明に包含される。
【0120】
一態様において、本発明は、ヒト被験者においてγδT細胞をレギュレートする方法を開示する。該方法は、少なくとも1回の治療において、製薬上許容される担体と共に、治療上有効な量の本発明に係るγδT細胞アクチベーターを投与する工程を含んでもよい。より特定的には、該方法は、ヒト被験者においてγδT細胞を刺激することを目的とする。
【0121】
特定の実施形態では、該γδT細胞アクチベーターの量は、全循環リンパ球の少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、もしくは60%、または30〜90%に達するように被験者においてγδT細胞集団を増加させるのに十分な量である。他の実施形態では、該γδT細胞アクチベーターの量は、被験者においてγδT細胞集団を少なくとも10倍に増加させるのに十分な量である。好ましくは、該γδT細胞集団は、該γδT細胞アクチベーターの投与後の4日目〜8日目に、より好ましくは該γδT細胞アクチベーターの投与後の5日目、6日目、または7日目に、評価される。好ましくは、該γδT細胞集団は、フローサイトメトリーにより評価される。好ましくは、該γδT細胞は、Vγ9/Vδ2T細胞である。
【0122】
好ましい実施形態では、本発明は、被験者において、癌、感染性疾患、自己免疫性疾患、またはアレルギー性疾患を治療する方法に関する。該方法は、少なくとも1回の治療において、製薬上許容される担体と共に、治療上有効な量の本発明に係るγδT細胞アクチベーターを投与する工程を含んでもよい。
【0123】
上記の方法および使用において、被験者は、好ましくは、癌、感染性疾患、自己免疫性疾患、またはアレルギー性疾患を有する被験者のようなヒト被験者である。本発明は、γδT細胞溶解に対して感受性を有する病理学的細胞の存在により引き起こされるかまたはそれに関連付けられるすべての症状を治療するのに確かに好適である。
【0124】
本発明は、固形腫瘍または造血器腫瘍を有する被験者の抗腫瘍免疫を刺激するのにとくに適している。好ましくは、該腫瘍は、肺腫瘍、結腸直腸腫瘍、前立腺腫瘍、乳房腫瘍、または頭部もしくは頸部の類表皮腫瘍よりなる群から選択される。本発明の好ましい態様において、該腫瘍は、腎臓癌、好ましくは転移性腎臓癌である。他の選択肢として、該腫瘍は、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽細胞腫、頭部癌もしくは頸部癌、膀胱癌、腎臓癌、脳癌、および胃癌よりなる群から選択される。好ましい実施形態では、本化合物は、2003年12月2日出願の国際特許出願PCT/IB2003/006375号パンフレット(その開示内容は本明細書に援用されるものとする)に記載されているような癌を治療するために使用しうる。
【0125】
本発明はまた、HIV、CMV、EBV、インフルエンザウイルス、HCV、HBVなどから選択されるウイルスによる感染症を有する被験者において抗ウイルス免疫応答を刺激するうえでも好適である。
【0126】
本発明に係る化合物はまた、結核、マラリア、野兎病、大腸菌症などを引き起こす病原体による感染症を有する被験者において免疫応答を刺激する方法にも好適である。
【0127】
本発明に係る化合物はまた、糖尿病、多発性硬化症、リウマチ様関節炎などのような自己免疫性疾患を有する被験者または喘息、気道過敏症などをはじめとするアレルギー性疾患を有する被験者を治療する(たとえば、該被験者において免疫応答を刺激する)方法にも好適である。好ましい実施形態では、本化合物は、ゲルファント(Gelfand)、ボルン(Born)、ラーン(Lahn)、およびカネヒロ(Kanehiro)により2000年9月28日に出願された国際特許出願WO2000US0026684号パンフレット;ジョマー(Jomaa)により1999年6月24日に出願された国際公開第00/00182号パンフレット;ならびにティオリエ(Tiollier)により2004年4月26日に出願された米国仮特許出願第60/564,959号明細書(各参考文献の開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)の教示に従って治療適応症に使用される。
【0128】
好ましくは、治療に供される本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物の投与量(単回投与)は、約1μg/kg〜約1.2g/kgである。
【0129】
上記の投与量が化合物グループに関連付けられることおよび例示的化合物に対して本明細書にさらに説明されているように各特定化合物の最適用量が変化しうることは理解されよう。しかしながら、好ましくは、化合物は、γδT細胞の生物学的活性を有意に増大させるのに十分な用量で、または被験者においてγδT細胞集団を有意に増加させるのに十分な用量で、投与される。好ましくは、該用量は、2〜180分間にわたり、好ましくは2〜120分間にわたり、より好ましくは約5〜約60分間にわたり、最も好ましくは約30分間にわたりまたは約60分間にわたり、静脈内(i.v.)投与によりヒトに投与される。
【0130】
好ましい例示的化合物では、式II〜XIIで示される化合物は、約1μg/kg〜約1.2g/kg、好ましくは約10μg/kg〜約1.2g/kg、より好ましくは約20μg/kg〜約100mg/kgの投与量(単回投与)で投与される。最も好ましくは、三週間ごとのまたは四週間ごとの治療(三週間に一回のまたは二週間おきの治療)に供される投与量(単回投与)は、約1μg/kg〜約1.2g/kg、好ましくは約10μg/kg〜約20mg/kg、より好ましくは約10μg/kg〜約100mg/kgである。好ましくは、この用量は、2〜180分間にわたり、好ましくは2〜120分間にわたり、より好ましくは約5〜約60分間にわたり、最も好ましくは約30分間にわたりまたは約60分間にわたり、静脈内(i.v.)投与によりヒトに投与される。
【0131】
活性成分は、さまざまな経路を介して、典型的には注射または経口投与により、投与されうる。注射は、たとえば、静脈内注射、腹腔内注射、動脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、皮下注射などにより、種々の組織中に施しうる。アクチベーターの好ましい投与経路は、静脈内および筋肉内である。サイトカインの好ましい投与経路は、皮下、静脈内、および筋肉内である。
【0132】
本発明は、哺乳動物被験者においてγδT細胞の活性をレギュレートする方法を提供する。該方法は、それを必要とする被験者に治療サイクルに従って有効量のγδT細胞アクチベーターを投与することを含む。この場合、化合物の2回目の投与を行う前に、γδT細胞活性、好ましくはγδT細胞比率(γδT細胞数)を実質的に基礎比率に戻すことが可能である。本明細書にさらに説明されているように、好ましい実施形態では、患者のγδT細胞比率を実質的基礎比率に戻すのに、少なくとも約1週間(ただし、より好ましくは少なくとも約2週間)を要する。
【0133】
約7日間よりも短いサイクルでは、γδT細胞活性の好適な刺激を行いえない。好ましいサイクルコースは、少なくとも1週間ごとのサイクルであるが、より好ましくは少なくとも2週間ごとのサイクル(少なくとも約14日間)またはより好ましくは少なくとも3週間もしくは4週間ごとのサイクルであり、ただし、2週間〜4週間ごとのサイクルの範囲内のいずれかが好ましい。同様に効果的で考慮の対象となるのは、最大8週間ごとのサイクル、たとえば、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、または8週間ごとのサイクルである。
【0134】
好ましい一実施形態では、γδT細胞アクチベーターの投与は、2週間〜4週間ごとのサイクル(すなわち、約14〜28日単位の週反復サイクル)の初日に行われる。好ましい実施形態では、γδT細胞アクチベーターは、2週間〜4週間ごとのサイクルまたは好ましくは3週間ごとのサイクルの初日にだけ投与される。
【0135】
記載のごとく、被験者は、好ましくは少なくとも2サイクルにわたりまたはより好ましくは少なくとも3サイクルにわたり治療される。他の態様において、より多数のサイクルにわたり治療を継続することも可能であり、たとえば、少なくとも4、5、6サイクルまたはそれ以上も想定されうる。
【0136】
本発明に係るγδT細胞アクチベーターをサイトカインと組み合わせて使用することも可能である。好ましくは、該サイトカインは、インターロイキン2(IL−2)(プロリュウキン(Proleukin)TM、カイロン(Chiron)、Emeryville、カリフォルニア州、米国)またはその任意の生物学的に活性な断片、変異体、もしくは類似体、すなわち、本発明に係る方法においてIL−2レセプターに結合してγδT細胞の活性化を誘導しうる任意の断片、変異体、もしくは類似体である。好ましくは、該γδTアクチベーターおよびインターロイキン−2ポリペプチドは、被験者に別々に投与される。
【0137】
したがって、本発明に係る方法は、サイトカインをさらに投与することを含む。さらなる投与と組み合わせてまたは組み合わせずに本発明に係る化合物を使用しうるが、好ましい態様において、サイトカインを投与しうる。ただし、該サイトカインは、γδT細胞アクチベーター化合物で処理されたγδT細胞集団の増殖を増大させることが可能であり、好ましくは、該サイトカインは、該サイトカインの不在下でγδT細胞アクチベーター化合物の投与の結果として生じる増殖よりも大きいγδT細胞集団の増殖を誘導することが可能である。好ましいサイトカインは、インターロイキン−2ポリペプチドである。
【0138】
γδT細胞増殖誘導活性を有するサイトカイン、最も好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドは、典型的には1〜10日間にわたり、低用量で投与される。γδT細胞アクチベーターは、好ましくは一回用量で、典型的にはサイクルの開始時に投与される。好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドは、1日あたり0.2〜2MU、さらにより好ましくは0.2〜1.5MU、さらに好ましくは0.2〜1MUの一日用量で投与される。サイトカイン、好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドの一日用量は、一回注射としてまたは二回注射で投与される。
【0139】
好ましい態様において、サイトカイン、最も好ましくはIL−2は、約10日間まで、好ましくは約3〜10日間、最も好ましくは約7日間にわたり、毎日投与される。好ましくは、サイトカインの投与は、γδT細胞アクチベーターの投与と同一日(たとえば24時間以内)に開始される。たとえば、一態様において、サイトカインは、毎日投与されるが、他の態様において、サイトカインは、毎日投与する必要はない。サイトカインを約7〜約14日間投与する場合、4週間ごとの治療サイクルが好ましい。第1の成分を約4日間投与する場合、3週間ごとの治療日サイクルが好ましい。好ましい実施形態では、本化合物は、2003年12月2日出願の国際特許出願PCT/IB2003/006375号パンフレット(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されている方法のいずれかに従って使用しうる。
【0140】
上記の方法および治療は、単独でまたは他の活性作用剤もしくは治療と組み合わせて使用可能である。たとえば、腫瘍を治療する場合、他の抗腫瘍剤または治療、たとえば、化学療法、放射線療法、または遺伝子療法と組み合わせて、本発明を使用することが可能である。
【0141】
本発明はまた、哺乳動物被験者においてγδT細胞の活性をレギュレートするための、別々に使用される本発明に係るγδT細胞アクチベーターとインターロイキン−2ポリペプチドとを含む製品に関する。
【0142】
本発明は、本発明に係るγδT細胞アクチベーターを含むワクチン組成物に関する。本発明はまた、ワクチンアジュバントとしての本発明に係るγδT細胞アクチベーターの使用に関する。
【0143】
したがって、本発明は、(i)抗原を含む組成物と(ii)本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物を含むアジュバントとを用いる哺乳動物の共同免疫化を包含する、哺乳動物(とくにヒト)において抗原に対する免疫応答を増強および/または増大させるための方法および組成物を開示する。好ましくは、抗原を含む該組成物は、死滅、不活性化、または弱毒化された病原体、微生物、または寄生生物を含む。他の態様において、抗原を含む該組成物は、好ましくは、富化または精製されたポリペプチド、脂質、多糖、糖タンパク質、糖脂質、または核酸の抗原を含む。好ましくは、該組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、10、もしくは15種の異なる抗原、たとえば、少なくとも1、2、3、4、5、10、もしくは15種の異なるポリペプチド、またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を含む。好ましい実施形態では、本化合物は、2004年4月26日出願の米国仮特許出願第60/564,959号明細書(その開示内容は、参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されているように使用しうる。
【0144】
アジュバント組成物は、有効量の本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物を含むであろう。ただし、該量は、少なくとも1種の抗原に対するアジュバント組成物の体液性応答の誘導、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の誘導、または体液性応答とCTL応答の両方の誘導を可能にするのに有効な量である。好ましくは、本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物は、抗原と共同的に投与された場合、体液性応答、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答、または体液性応答とCTL応答の両方を誘導する点に関して、アジュバントの不在下で該抗原が投与された場合に生じる免疫学的効果よりも大きい免疫学的効果を引き起こすのに有効な量で存在する。
【0145】
組成物の抗原成分は、医学的または獣医学的に関心の対象となる実質的に任意の抗原、抗原決定基、またはハプテンから選択可能であり、とくに、免疫原性の増加が望まれる抗原を選択可能である。
【0146】
したがって、本発明は、ワクチンアジュバントとしての本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物、より好ましくはN−HDMAPPまたはN−BrHPPの使用に関する。本発明はさらに、抗原または抗原の組合せと、本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物、より好ましくはN−HDMAPPまたはN−BrHPPと、を含むワクチン組成物に関する。好ましくは、該組成物は、治療上有効な量の抗原と、免疫応答を増強するかまたは免疫応答を増大させる量のホスホルアミデートエステルγδT細胞アクチベーターと、を含む。好ましくは、該ワクチン組成物は、微生物感染を予防する。該微生物感染は、ウイルス、真菌、寄生生物、酵母、細菌、および原生動物よりなる群から選択される微生物により引き起こされる。特定の実施形態では、該ワクチン組成物は、BCGワクチン組成物である。他の選択肢として、該ワクチン組成物は、腫瘍を予防するか、または腫瘍に対する治療剤である。
【0147】
本発明はさらに、本発明に係るワクチン組成物、より特定的には、抗原または抗原の組合せと、本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物、より好ましくはN−HDMAPPまたはN−BrHPPと、を含む本発明に係るワクチン組成物、の入った好適な容器を含むワクチンキットに関する。該ワクチンは、2つの別々の好適な容器に収容されてもよい。この場合、一方の容器には、抗原または抗原の組合せが入れられ、他方の容器には、本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物、より好ましくはN−HDMAPPまたはN−BrHPPが入れられる。該容器は、注射器であってもよい。他の選択肢として、該ワクチンキットは、1つまたは2つの容器と1つの注射器とを含む。
【0148】
本発明は、被験者においてワクチンの効力を向上させるかまたは疾患(より特定的には微生物感染)に対して被験者を免疫化する方法に関する。該方法は、
該被験者に抗原または抗原の組合せを含む組成物を投与する工程と;
該被験者に、本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物、より好ましくはN−HDMAPPまたはN−BrHPPを、より特定的には免疫応答を増強するそれらの量を、共同的に投与する工程と;
を含む。好ましくは、γδT細胞アクチベーターは、抗原を含む組成物と共同的に投与される場合、γδT細胞アクチベーターの不在下で抗原を含む該組成物を用いて観測されるよりも免疫応答を増強するのに十分な量で投与される。好ましくは、抗原を含む該組成物は、死滅、不活性化、または弱毒化された病原体、微生物、または寄生生物を含む。他の態様において、抗原を含む該組成物は、好ましくは、富化または精製されたポリペプチド、脂質、多糖、糖タンパク質、糖脂質、または核酸の抗原を含む。
【0149】
本発明はまた、被験者における疾患(より特定的には微生物感染)に対して被験者を免疫化する方法に関する。該方法は、該被験者に、(i)抗原を含む組成物と(ii)本発明に係るホスホルアミデートエステル化合物、より好ましくはN−HDMAPPまたはN−BrHPPとを投与することを含む。好ましくは、γδT細胞アクチベーターは、免疫応答を増強する量で投与される。好ましくは、γδT細胞アクチベーターおよび抗原含有組成物は、治療上有効な量で単一ワクチン組成物として投与される。
【0150】
好ましくは、該γδT細胞アクチベーターは、製薬上許容される担体と一体化される。第1の態様において、該抗原または抗原の組合せと該γδT細胞アクチベーターとの該投与は、同時に行われる。第2の態様において、該抗原または抗原の組合せと該γδT細胞アクチベーターとの該投与は、逐次的に行われる。より特定的には、該γδT細胞アクチベーターは、免疫化を目的として、抗原または抗原の組合せを投与する前、投与と同時、または投与した後、被験者に投与しうる。好ましくは、該抗原または抗原の組合せは、微生物抗原、好ましくは、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、酵母、または寄生生物の抗原である。好ましい実施形態では、該抗原は、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)の抗原である。該抗原または抗原の組合せは、腫瘍抗原であってもよい。
【0151】
本発明のさらなる態様および利点を以下の実施例で開示するが、それらは、例示とみなされるべきものであり、本出願の範囲の限定とみなされるべきものではない。
【実施例】
【0152】
実施例1
(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エニルピロホスホルアミデート(N−HDMAPP)の製造
(E)−4−クロロ−2−メチルブト−2−エン−1−オールの調製:
16ml(179mmol)のTiClを360mlのCHClに窒素下で添加した。溶液を90℃まで冷却させ、温度を−80℃未満に保持しながら、50mlのCHCl中の10.0g(119mmol)の2−メチル−2−ビニルオキシランの溶液を滴下した。次に、赤色の溶液を80℃で2時間攪拌し、600mlの1M HClでクエンチした。有機相を分離し、水相を3×500mlのEtOで抽出した。合わせた有機相をMgSOで脱水し、濾過し、25℃、350mbarでエバポレートし、12.02g(99.7mmol、収率84%)の4−クロロ−2−メチルブト−2−エン−1−オールを帯褐色の油として得た。粗生成物を次の工程で直接使用した。
【0153】
(E)−2−(4−クロロ−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの調製:
120mlのCHCl中の11.5g(95.37mmol)の4−クロロ−2−メチルブト−2−エン−1−オールの溶液に26ml(286.11mmol)のジヒドロピラン(DHP)を添加した。溶液を0℃に冷却させ、2.4g(9.53mmol)のピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)を少しずつ添加した。溶液を0℃で3時間攪拌した。有機相を3×50mlの水で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮し、粗生成物を得た。次に、溶出液としてヘプタン/EtOAc(9/1)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより生成物を精製した。12.35g(60.33mmol、収率64%)の保護されたアリル型アルコールを無色の油として単離した。
【0154】
(E)−2−(4−アジド−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの調製:
60mlの水中の11.43g(175.86mmol)のナトリウムアジド(NaN)および2.20g(6.45mmol)のテトラブチルアンモニウムヒドロゲノスルフェートの溶液を、300mlのペンタン中の12.0g(58.62mmol)の(E)−2−(4−クロロ−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの溶液に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。有機相を分離し、水相を3×150mlのEtOで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮し、11.21g(53.06mmol、収率90%)のアジド異性体の混合物を得た。シリカゲルで実行不可能な分離が観測されたので、精製を行わなかった。さらなる精製を行うことなく生成物を次の工程に使用した。
【0155】
(E)−3−メチル−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブト−2−エン−1−アミンの調製:
180mlのTHF中の11.0g(52.07mmol)の前の工程で得られた粗製のアジドおよび18mlの水の溶液に、26g(98.8mmol)のトリフェニルホスフィン(PPh)を添加した。溶液を室温で一晩攪拌し、そして溶媒をエバポレートした。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH/EtN 9/1/0.5)により精製し、6.47g(34.91mmol、収率67%)の精製アリル系アミンを黄色の油として得た。精製された生成物中の異性体比(E:Z)は、H−NMR分析に基づいて約90:10であった。
【0156】
(E)−3−メチル−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブト−2−エニルピロホスホルアミデートの調製:
ピロリン酸二ナトリウム(0.25mmol−1eq.)および(E)−3−メチル−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブト−2−エン−1−アミン(46mg−0.25mmol−1eq.)を3mlの1/1(v/v)脱イオン水/アセトニトリル混合物に溶解させてガラス反応槽中に導入した。室温で攪拌しながらシリンジを用いて1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.5mmol−10eq)の12.5mlの0.2M脱イオン水/アセトニトリル溶液を滴下した。次に、イオンクロマトグラフィー(HPAEC)により反応の進行を監視した。約3時間後、反応混合物を約5mlの最終体積になるように減圧下で濃縮し、そして過剰のダウエックス(DOWEX) 50WX8−200(NH形)樹脂の入ったカラムに水溶液を通して2カラム体積の脱イオン水で溶出させることにより、この段階で得られた粗製物質をアンモニウム形に変換した。この処理ではまた、反応媒体から未反応カルボジイミドおよびカチオン副生成物を除去することが可能であった。次に、減圧(20mbar−40℃)下で水を蒸発させることにより、捕集溶液を約5mlの最終体積になるように濃縮し、次の工程に直接使用した。
【0157】
(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エニルピロホスホルアミデート(N−HDMAPP)の調製:
前の工程で得られた粗製の溶液を(10g−24meq)のダウエックス(DOWEX) 50 WX8−200(H形)樹脂の入ったカラムに通して2カラム体積の脱イオン水で溶出させることにより、保護用テトラヒドロピラニル(THP)基の完全除去を達成した。得られた酸性溶液を氷浴中に配置された50ml−ファルコン(Falcon)(登録商標)チューブ中に捕集した。得られた溶液をただちに10%水酸化アンモニウム溶液でpH8になるように中和させた。次に、イオンクロマトグラフィー(HPAEC)により溶出画分を監視しながら、5gのセップパック・アクセル・プラスQMA(Sep−Pak Accell Plus QMA)(ウォーターズ(Waters)の登録商標)カートリッジに通して、5mM、10mM、25mM、50mM、75mM、100mM、および200mMの水性ヒドロゲノカーボネート溶液でそれぞれ逐次的に溶出させる陰イオン交換クロマトグラフィーにより、生成物を精製した。次に、精製された生成物に対応する画分を合わせ、アンモニウムヒドロゲノカーボネートを除去するために凍結乾燥させた。精製された生成物中の異性体比(E:Z)は、HPAEC分析に基づいて87:13であった。
【0158】
イオンパック(IonPac)(登録商標)AS11カラムに通してクロマトグラフィー精製(HPAEC)を行い、複数のクロマトグラフィー通過物を合わせることにより、純粋な(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エニルピロホスホルアミデートを得た。
【0159】
生物学的試験を行う目的で、0.2μmフィルターに通して濾過することにより生成物の中性水溶液を滅菌し、そして−20℃で保存した。in vivoで行われる試験の場合、あらかじめ溶液をダウエックス(DOWEX) 50WX8−200陽イオン樹脂カラム(Na形)に通して2カラム体積の脱イオン水で溶出させる。
【0160】
(E)−4−ヒドロキシ−3−メチルブト−2−エニルピロホスホルアミデート(N−HDMAPP)の合成は、以下のスキームに従って行った。この合成スキームの各工程に関して、さらなる参考として次の参考文献を使用しうる。工程1:ヘクト(Hecht)ら、Tetrahedron Letters、第43巻(2002年)、8929−8933頁;工程2:ミヤシタ(Miyashita)ら、J.Org.Chem.、第42巻(1977年)、3772−3774頁、ソラディー(Solladie)ら、J.Org.Chem.、1993年、第58巻、2181−2185頁、マーシャル(Marshall)ら、J.Org.Chem.、1985年、第50巻(第10号)、1602−1606頁;工程3:デスロングチャンプス(Deslongchamps)ら、Can.J.Chem.、1979年、第57巻、3262−3271頁;工程4:コペレット(Coperet)ら、Tetrahedron、1996年、第52巻(第35号)、11520−11544頁;工程5:サトウ(Sato)ら、Chem.Pharm.Bull、第38巻(第8号)、2287−2289頁(1990年);および工程6:ミヤシタ(Miyashita)ら、J.Org.Chem.、第42巻(1977年)、3772−3774頁(脱保護反応のみ)。
【化39】

【0161】
実施例2
3−メチルブト−3−エニルピロホスホルアミデート(N−IPP)の製造
3−メチル−3−ブテン−1−イル−トシレートの調製:
トシルクロリド(4.8g、25mmol)および4−(N,N−ジメチルアミノ−)ピリジン(3.4g、27.5mmol)を、氷浴中で冷却された250ml三口フラスコ中の90mlの無水ジクロロメタンと磁気攪拌下で混合した。次に、約10mlの無水ジクロロメタン中の3−メチル−3−ブテン−1−オール(2.2g、25mmol)の溶液を注射器でセプタムに通してフラスコ中に導入し、その後、氷浴を除去した。シリカゲルTLC(ペンタン/エチルアセテート、85:15(v/v))により反応を監視した。2時間後、一定した攪拌を行いながら1リットルのヘキサン中に希釈することにより混合物を沈殿させ、そして濾過し、さらに減圧下で濾液を濃縮させた。ジエチルエーテルを用いてこの濾過/懸濁工程を反復し、そして得られた油をシリカゲル液体クロマトグラフィー(ペンタン/エチルアセテート、85:15(v/v))により精製して3−メチル−3−ブテン−1−イル−トシレート(5.6g、23.5mmol、収率94%)の黄色の油を生成させ、これを乾燥N下で4℃に保持した。
【0162】
4−アジド−2−メチル−1−エンの調製:
20mlのDMSO中の2.0g(8.32mmol)の3−メチル−3−ブテン−1−イル−トシレートの溶液に820mg(12.48mmol)のナトリウムアジド(NaN)および125mg(触媒量)のNaIを添加した。反応混合物を55℃で一晩攪拌した。反応混合物を室温まで冷却させ、120mlの水を添加した。溶液を3×100mlのEtOで抽出した。合わせた有機相を100mlの水、100mlのブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、そして室温において300mmHgで濃縮させた。875mg(7.87mmol、収率95%)の4−アジド−2−メチル−1−エンを褐色の油として単離した。
【0163】
3−メチル−3−エン−1−アミンの調製:
27mlのTHF中の500mg(4.50mmol)の4−アジド−2−メチル−1−エン、3.92g(14.95mmol)のトリフェニルホスフィンPPh、および2.7mlの水の溶液を、室温で一晩攪拌し、そして溶媒を蒸発させた。次に、CHCl/MeOH/EtN 9/1/0.5を溶出液として使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより、得られた粗生成物を精製した。125mg(1.47mmol)の3−メチル−3−エン−1−アミンを32%の単離収率で黄色の油として単離した。精製アミンを乾燥N下に保持し、次の工程に供すべく−20℃で保存した。
【0164】
3−メチルブト−3−エニルピロホスホルアミデート(N−IPP)の調製:
3−メチル−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブト−2−エニルピロホスホルアミデートを調製するための実施例1で報告した手順に従って、3−メチルブト−3−エニルピロホスホルアミデートを調製する。ピロリン酸二ナトリウム(0.25mmol−1eq.)および3−メチル−3−エン−1−アミン(0.25mmol−1eq.)を3mlの1/1(v/v)脱イオン水/アセトニトリル混合物に溶解させてガラス反応槽中に導入する。室温で攪拌しながらシリンジを用いて1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.5mmol−10eq)の12.5mlの0.2M脱イオン水/アセトニトリル溶液を滴下する。0.1NHCl水溶液を添加することにより、最終的にpHを6〜6.5の範囲内に調整し保持する。次に、イオンクロマトグラフィー(HPAEC)により反応の進行を監視する。約3時間後、反応混合物を約5mlの最終体積になるように減圧下で濃縮し、そして過剰のダウエックス(DOWEX) 50WX8−200(NH形)樹脂の入ったカラムに水溶液を通して2カラム体積の脱イオン水で溶出させることにより、この段階で得られた粗製物質をアンモニウム形に変換する。
【0165】
N−HDMAPPを調製するための実施例1で報告した手順に従って、セップパック・アクセル・プラスQMA(Sep−Pak Accell Plus QMA)(ウォーターズ(Waters)の登録商標)カートリッジに通して、陰イオン交換クロマトグラフィーにより、粗製の溶液の精製を達成する。
【0166】
N−IPP、5−ブロモ−4−ヒドロキシ−4−メチルペンチルピロホスホルアミデート(N−BrHPP)(実施例3)、およびN−EpoxPP(実施例4)の合成は、以下のスキームに従って行われる。この合成スキームの各工程に関して、さらなる参考として次の参考文献を使用しうる。工程1:デイヴィソン(Davisson)ら、J.Org.Chem.、1986年、第51巻、4768−4779頁;工程2:グリエコ(Grieco)ら、Tetrahedron、1986年、第42巻(第11号)、2847−2853頁およびサハスラブデ,K.(Sahasrabudhe,K.)ら、J.Am.Chem.Soc.、2003年;第125巻(第26号);7914−7922頁;工程3:ブレトル R.(Brettle R.)ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、第6巻、291頁(1996年);工程4:サトウ(Sato)ら、Chem.Pharm.Bull、第38巻(第8号)、2287−2289頁(1990年);工程5:エスピノサ(Espinosa)ら、(2001年a)、J Biol Chem、第276巻、18337−18344頁;および工程6:国際公開第00/012519号パンフレット。
【化40】

【0167】
実施例3
5−ブロモ−4−ヒドロキシ−4−メチルペンチルピロホスホルアミデート(N−BrHPP)の製造
以下の合成スキームに示されるように、アルケン官能基に臭素水を付加させた後でダウエックス(DOWEX) 50WX8−200(Na形)樹脂を用いて中和させることにより、実施例2に記載されている化合物N−IPPから開始して、化合物N−BrHPPを調製することが可能である。ブロモヒドリン官能基の生成およびそれに続く粗生成物の精製は、3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル二リン酸(BrHPP)を調製すべく国際公開第00/012516号パンフレットに提供された実験プロトコルに従って、またはエスピノサ(Espinosa)ら、J Biol Chem、第276巻、(2001年)18337−18344頁に記載されているように、行うことが可能である。
【化41】

【0168】
実施例4
2−(2−メチルオキシラン−2−イル)エチルピロホスホルアミデート(N−EpoxPP)の製造
以下の合成スキームに示されるように、1M水酸化アンモニウム溶液による処理(エポキシ化反応)を行った後でダウエックス(DOWEX)50WX8−200(Na形)樹脂を用いて陽イオン交換工程を行うことにより、実施例3に記載されている化合物N−BrHPPから開始して、化合物N−EpoxPPを調製することが可能である。エポキシ化反応およびそれに続く粗生成物の精製は、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−二リン酸(EpoxPP)を調製すべく国際公開第00/012519号パンフレットに提供された実験プロトコルに従って行うことが可能である。
【化42】

【0169】
実施例5
N−HDMAPP化合物のin vitroおよびin vivo投与応答
サイトカイン放出アッセイ
細胞(in vitroで増殖させて増殖の12〜15日目に凍結保存された一次ポリクロナールヒトVγ9Vδ2T細胞)を解凍して2回濯ぎ、そして遠心分離する。上清を除去して細胞を再懸濁させた後、100IU/ml(最終濃度)のIL2の存在下、37℃で、細胞を24時間インキュベートする。細胞を洗浄してから遠心分離し、その後、上清を除去して細胞を再懸濁させ、そして適正最終濃度になるように調整する。細胞を96ウェルプレートのウェルに添加する。
【0170】
1列のウェルに3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(BrHPP)の一連の標準希釈液を添加する。試験対象化合物(この場合は(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルピロホスフェート(HDMAPP)および本発明に係るN−HDMAPP化合物)を数回希釈後に実験ウェルに添加する。
【0171】
以下にさらに記載されているように、試験化合物および参照化合物(この場合は、N−HDMAPP、BrHPP、およびHDMAPP)でγδ細胞を刺激すべく、全プレートを37℃で24時間インキュベートする。この後、TNFα量を調べるために、100μlの培養物上清を採取する。放出されたTNFα量の測定は、TNFαエンザイムイムノアッセイキット(照会番号11121、イムノテック(Immunotech)−ベックマン・コ−ルタ−(Beckman Coulter))を用いて製造業者の説明書に記載されているように行われる。405nmにおけるODを読み取る。このODは、培養物上清中に放出されたTNFαの濃度に比例する。試験化合物の濃度とTNFαの濃度とを比較するために、および各試験化合物のEC50を計算するために、エクセル(Excel)ソフトウェアを用いてデータを処理する。
【0172】
N−HDMAPPのin vitro生物活性
先に記載したようにTNFα放出アッセイを用いて化合物N−HDMAPPの生物活性を評価した。in vitro活性を図1に示す。比較する目的で化合物BrHPPおよびHDMAPPが含まれていた。次に、このin vitro相対的スクリーニング試験でin vitro EC50を評価した。ただし、BrHPP標準組成物を用いて検量細胞で行った事前のアッセイでは、BrHPPは約15nMのEC50を呈した。当然のことであろうが、細胞増幅のような任意の他の好適なアッセイを化合物の評価に使用することが可能である。N−HDMAPPのEC50を測定したところ、0.63nMであった。一方、HDMAPPのin vitro EC50は2.1nMであり、BrHPPのin vitro EC50は37.7nMであった。アッセイは絶対的EC50値ではなく相対的結果を提供するので、N−HDMAPP化合物はこれまでに試験された最も強力な化合物の3〜4倍の効力を有することが結果から示唆される。
【0173】
TNFα放出の最大レベルについても評価した。図1に示されるように、N−HDMAPP化合物は、他の試験化合物よりも大きい最大TNFα放出を引き起こした。他の試験化合物は効力(EC50)が異なっていたが、それらは、類似の最大TNFα放出レベル(約1200〜1500pg/mlのTNFα放出)を示した。しかしながら、N−HDMAPP化合物は、約1800pg/mlのTNFα放出を超える統計的に有意な最大TNFα放出の増加を引き起こしたことから、N−HDMAPPはいかなる濃度の他の化合物で得られるよりも大きい絶対的Vγ9Vδ2T細胞活性化をin vivoで引き起こしうることが示唆される。
【0174】
参考文献
引用文献はすべて、参照により本明細書に援用されるものとする。
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【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明に係る化合物N−HDMAPPならびに参照化合物BrHPPおよびHDMAPPのin vitro用量応答曲線およびEC50値を示している。本発明に係る化合物は、次に最も強力な化合物よりも3〜4倍増大された効力を示すだけでなく、TNFα放出により観測したときにγδT細胞の増大された絶対活性化をも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式(I)
〔式中、
Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し;
mは、1〜3の整数であり;
Bは、O、NH、または加水分解可能な任意の基であり;
Y=OCat+、C〜Cアルキル基、−A−R基であるか、またはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、単糖、オリゴ糖、多糖、脂肪酸、単純脂質、複合脂質、葉酸、テトラヒドロ葉酸、リン酸、イノシトール、ビタミン、補酵素、フラボノイド、アルデヒド、エポキシド、およびハロヒドリンよりなる群から選択される基であり;
Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり;そして
Rは、少なくとも1個のヘテロ原子が介在していてもよい、線状、分枝状、もしくは環状の、芳香族もしくは非芳香族の、飽和もしくは不飽和のC〜C50炭化水素基{ここで、該炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH)、アミド(−CONH)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびそれらの組合せよりなる群から選択される1個もしくは数個の置換基により置換可能な、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくは、アルキルまたはアルキレンを含む}である〕
で示されるγδT細胞アクチベーター。
【請求項2】
前記アクチベーターが、式(X):
【化2】

〔式中、R、R、およびRは、同一であるかもしくは異なり、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは、−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコール、または(C〜C)エステルであり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である〕
で示される化合物である、請求項1に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項3】
前記アクチベーターが、式(XI)
【化3】

で示される化合物である、請求項2に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項4】
前記アクチベーターが、式(XII)
【化4】

で示される化合物である、請求項3に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項5】
前記アクチベーターが、式(II):
【化5】

〔式中、Xは、ハロゲン(好ましくは、I、Br、およびClから選択される)であり、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、そしてnは、2〜20の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である〕
で示される化合物である、請求項1に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項6】
前記アクチベーターが、式(III)
【化6】

で示される化合物である、請求項5に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項7】
前記アクチベーターが、式(V)
【化7】

で示される化合物である、請求項5に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項8】
前記アクチベーターが、式(VI):
【化8】

〔式中、R1は、メチル基またはエチル基であり、Cat+は、1種の(もしくは数種の、同一のもしくは異なる)有機または無機のカチオン(プロトンを含む)を表し、Bは、OまたはNHであり、mは、1〜3の整数であり、そしてnは、2〜20の整数であり、そしてYは、OCat+、ヌクレオシド、または−A−R基{ここで、Aは、O、NH、CHF、CF、またはCHであり、そしてRは、1)、2)、または3)よりなる群から選択される}である〕
で示される化合物である、請求項1に記載のγδT細胞アクチベーター。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のγδT細胞アクチベーターを含む医薬組成物。
【請求項10】
ヒト被験者においてγδT細胞をレギュレートするための医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載のγδT細胞アクチベーターの使用。
【請求項11】
癌、感染性疾患、自己免疫性疾患、またはアレルギー性疾患を患っているかまたは患いやすい被験者を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載のγδT細胞アクチベーターの使用。
【請求項12】
前記癌が固形腫瘍である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ワクチンアジュバントとしての、請求項1〜8のいずれか1項に記載のγδT細胞アクチベーターの使用。
【請求項14】
ワクチンアジュバントとして請求項1〜8のいずれか1項に記載のγδT細胞アクチベーターを含むワクチン組成物。
【請求項15】
(a)カップリング工程でアルキルハライドR−Xをジエチルホスホルアミデート試薬またはジエチルクロロホスフェート試薬と反応させることと;
(b)工程(a)で調製された化合物を鹸化工程で反応させることによりO−エチル基を除去することと;
(c)工程(b)で調製された化合物をリン酸化工程で反応させることによりジホスホルアミデートモノエステルを調製することと;
を含む、ジホスホルアミデートモノエステル化合物の調製方法であって、
Rが、少なくとも1個のヘテロ原子が介在していてもよい、線状、分枝状、もしくは環状の、芳香族もしくは非芳香族の、飽和もしくは不飽和のC1〜C50炭化水素基{ここで、該炭化水素基は、アルキル、アルキレニル、アルキニル、エポキシアルキル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、アシル、アルコール、カルボン酸基(−COOH)、エステル、アミン、アミノ基(−NH2)、アミド(−CONH2)、イミン、ニトリル、ヒドロキシル(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、ハロゲン、ハロゲノアルキル、チオール(−SH)、チオアルキル、スルホン、スルホキシド、およびそれらの組合せよりなる群から選択される1個もしくは数個の置換基により置換可能な、アルキル、アルキレニル、またはアルキニル、好ましくは、アルキルまたはアルキレンを含む}であり、そして
Xが、好適な条件下でジエチルホスホルアミデート基により置換可能な部分である、方法。
【請求項16】
Xが、NH2基であり、かつ前記R−X化合物が、カップリング工程でジエチルクロロホスフェート化合物と反応される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Xが、I、Br、およびClよりなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
(E)−2−(4−クロロ−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン化合物を提供することと、相間移動触媒の存在下で水−ペンタン二相混合物中で該化合物をナトリウムアジドと反応させることと、を含む、(E)−2−(4−アジド−2−メチルブト−2−エニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン化合物の調製方法。
【請求項19】
γδT細胞を活性化させる方法であって、γδT細胞を請求項1〜8のいずれか1項に記載のγδT細胞アクチベーターと接触させることを含む、方法。
【請求項20】
γδT細胞が前記γδT細胞アクチベーターにin vitroで接触される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法に従って活性化されたγδT細胞。
【請求項22】
医薬組成物を製造するための、請求項21に記載のγδT細胞の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−516244(P2007−516244A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542053(P2006−542053)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004311
【国際公開番号】WO2005/054258
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506000184)イナート・ファルマ・ソシエテ・アノニム (15)
【氏名又は名称原語表記】INNATE PHARMA S.A.
【Fターム(参考)】