説明

新しい吸着器格子分配器箱の設計

2つの吸着剤床間で供給流体を処理流体と混合する機器が示される。この機器には、これら2つの吸着剤床間で流体を混合し、流体混合物を再分配するための空間がある。処理流体は上側吸着剤床から入り、分配器箱は供給流体を吸着剤床間の空間に通過させ、供給流体を処理流体と混合させる。次いで、混合物は再分配され、通過して下側吸着剤床に達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、吸着剤床の断面全体にわたって液体を均一に混合し分配する装置に関する。この装置は、2つの吸着剤床間に位置し、そこで、上側の床から流出する液体が集められ、供給流体と混合され、下側の床の最上部全体にわたって再分配される。
【背景技術】
【0002】
[0002]化学・石油処理産業では、化学物質を処理かつ/または精製するのに多くのタイプの容器を使用する。この処理および/または精製では、流体を混合し、得られた流体混合物を吸着床や反応器床全体にわたって通過させるか、または、これらの流体を蒸留塔内のトレイ全体にわたって通過させることがしばしば必要である。1つの特定のタイプの容器は、処理流体および供給流体からなる並流とともに用いる複数床反応器である。一連の固体粒子床を含む複数床反応器であり、固体粒子床はこれらの床の上を流れる処理流体と反応する触媒粒子からなる。触媒床の効率および寿命は、その床の上を流れる流体の分布の影響を受ける。触媒床の上を流れる処理流に対して供給流体を反応剤または失活流体として加えることができる。再分配および混合は、触媒床の寿命を最大にするのに重要であり、使用されない区域をなくすことによって、あるいは、触媒床内の流量が少ない区域をなくすことによって触媒が最大限に活用される。
【0003】
[0003]他のタイプの容器には、例えば、向流反応器、並流を有する分離容器、または向流がある。これらの処理の多くは、反応、分離、その他のやり方で処理される流体が容器内でどのように分配されるかの影響を受ける。
【0004】
[0004]1つの重要なタイプの処理は吸着分離処理である。吸着分離処理は、吸着分離処理を連続して行える疑似移動床(SMB)技術により開発されたものである。(Broughtonらによる)米国特許第2,985,589号に、移動吸着剤床の疑似試験が記載されている。この疑似試験を行うには、供給流を一連の床に順に、すなわち、最初に床1、次いで床2、以下同様に多数の床に接続することが必要であり、床の数は12〜24とすることが多い。これらの床はそれぞれ、動きを疑似試験する単一の大きな床の一部とみなし得る。供給流の行き先を変えるたびに、床に流入する流れ、例えば供給流や床から流出する流れとし得る少なくとも他の3つの流れの行き先(または起点)を変更することも必要である。移動床疑似試験は、床を一連の固定床に分割し、これら一連の固定床に液体の流れを導入場所および一連の固定床を通過する液体の流れを回収する場所を移動させる(導入・回収場所を通過してこれらの床を移動させるのではなく)こととして簡単に説明することができる。
【0005】
[0005]移動床疑似試験の処理では多くの異なる処理要件があり、その結果、流れの様態がそれぞれ異なる。例えば、Broughtonの文献(米国特許第2,985,589号)に記載の4つの基本流に加えて、1つまたは複数の流れを利用して、1つまたは複数の管路をパージングまたはフラッシングすることが望ましいことがある。フラッシング流を使用して成分の望ましくない混合を防ぐ。このフラッシング液は、主流、パージングされる流れ、フラッシング完了後に管路に入る流れのいずれとも混合されるのが望ましくないものでないように選択する。Broughton(米国特許第2,985,589号)による処理に適用されるフラッシング管路に関する情報は、米国特許第3,201,491号(Stineら)を参考にされたい。さらに、この処理の効率には多くの因子が関与しており、それらは、1つの床から次の床までの流体の再分配、2つの床の間での処理流体と供給流の1つとの混合および再配分などである。
【0006】
[0006]流体分配器を改善することにより、吸着分離システムにおける吸着剤の効率を改善し寿命を延ばすことができる。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明は、2つの吸着剤床間で供給流体を処理流体と混合する機器を提供する。この機器は、これら2つの吸着剤床間で流体を混合し、流体混合物再分配するための空間を作り出す。処理流体は上側吸着剤床から入り、分配器箱は供給流体を吸着剤床間の空間に通過させ、供給流体を処理流体と混合させる。次いで、混合物は再分配され、通過して下側吸着剤床に達する。この機器は、上側吸着剤床からの処理流体を流すための内部に分布した開口を有する上側スクリーンを備える。供給流体を受け入れる入口および複数の流体出口を有する分配器箱は、上側スクリーンの下に吊される。この機器は、分配器箱の流体出口の下に位置するバッフルを備え、処理流体が出口を通って流れ出し、直交流混合パターンで供給流体と混合される。この機器は、バッフルの下に位置し、流体混合物を下側吸着剤床に分配するための下側スクリーンをさらに備える。下側スクリーンは、バッフル間の隙間の下に位置し流体混合物が流れるスプラッシ板を備え、スプラッシ板により下側スクリーンの上を流れるように流体混合物が送られる。
【0008】
[0008]本発明の他の目的、利点、および応用例は、以下の詳細な説明および図面から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]流れ再分配機器における分配器箱およびその位置を示す本発明の1つの設計を示す図である。
【図2】[0010]部分的に上側スクリーンの上にある分配器箱およびその位置を示す本発明の1つの設計を示す図である。
【図3】[0011](a)既存の分配器箱設計について、(b)新規の分配器箱設計について、流れパターンの比較を示す図である。
【図4】[0012]既存および新規の分配器箱設計についての床深さに対する軸流の偏差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]極めて多くの処理で、流体と固体を接触させるために並流反応器や、単相流体が粒子材料の固体床の上を流れる反応器が使用される。吸着分離システムでは、固体は通常、混合物中の1つまたは複数の成分を優先的に吸着する吸着材料からなる。次いで、脱着剤を固体床の上を通過させることによって吸着剤から吸着された材料を取り除き、脱着された1つまたは複数の成分を収集する。流体は、液体、蒸気、または液体と蒸気の混合物とし得る。
【0011】
[0014]固定床を備える並流吸着器は、反応器内で流体が吸着剤床の上を流れるように構成される。流体が液体の場合には、流体は通常、吸着器を下向きに通過して流れるようになされる。流体と固体を良好に接触させるために数多くの態様がある。複数床吸着器もよく使用され、その場合、吸着剤容器内で吸着剤床が連続して重ねられる。典型的には、これらの吸着剤床は、それぞれの床の間にいくらか空間を空けて重ねられる。
【0012】
[0015]複数床吸着器では、床間の空間は簡便な混合区域になる。1つの床から次の床に通過する流体を再混合することに加えて、床間の空間を利用して追加の流体を加えたり、流体を抜き取ったりすることがしばしばある。これは特に、疑似移動床システムでそうであり、このシステムでは、2本の供給流と2本の抜取り流が存在する。供給流は、分離すべき成分を含む処理流および脱着剤流であり、2本の抜取り流は、優先的に吸着された成分を含む抽出物流および優先的に吸着されなかった成分を含むラフィネート流である。
【0013】
[0016]現在の液体分配器は、環状またはリング状の装置であり、断面形状が矩形すなわち箱状である。格子分配器箱は供給管に接続されており、箱の底には中実スプラッシ板があり、箱の側面には出口穴がある。供給流が入口供給管を通って箱に入り、箱の側面の穴から流れ出る。この分配器箱は、吸着剤床間の混合区域内にある。処理流がこの混合区域に入り、そこで、バッフルが処理流を分配箱に向かわせ、処理流は供給流と混合される。
【0014】
[0017]この分配器箱は、バッフルの上下にそれぞれ一連の穴を有する。処理流は、バッフルをその上から下に通過するときに分配箱に当たり、バッフルの上の穴から出る供給流と向流混合の形で混合され、バッフルの下の穴から出る供給流と並流混合の形で混合される。次いで、得られた混合物は、バッフルの下のスクリーン上で再分配される。スプラッシ板は、バッフルと分配器箱の隙間から噴流が導入されないように設計される。こうすると、粒子床が局所的に流動化して微粉が生じる危険性が小さくなる。
【0015】
[0018]現在の設計に関連する問題には以下のものがある。(1)供給流と処理流の混合がうまくいかない。(2)噴流および軸流の分配不良を考慮して隙間のサイズが設計される。(3)中実スプラッシ板の影が生じ、スプラッシ板の下での流れの分配がうまくいかず、そのため、スプラッシ板の下の床領域の一部がうまく利用されない。
【0016】
[0019]本発明では、これらの問題を解決する手段を提供する。本発明は、供給流体と処理流体を分配し混合する機器である。図1に示すように、この機器は、内部に分布した開口を有する上側スクリーン10と、入口12および複数の流体出口22を有し、一部が上側スクリーン10の下につり下がる分配器箱20と、分配器箱20の一部の下に配設される少なくとも1つのバッフル30と、少なくとも1つのバッフル30の下に配設され、内部に分布した開口を有する下側スクリーン40とを備える。バッフル30は、供給流体と処理流体の混合物が通過する隙間32を形成しており、通過した混合物は下側スクリーン40に達する。下側スクリーン40は、バッフル30によって形成された隙間32の下に配設されるスプラッシ板42を含む。図1では、分配器箱20は、上側スクリーン10と分配器箱20の間に隙間14が生じるように上側スクリーン10の下に配設される。この隙間が、分配機器の上の床からの処理流体を分配器箱20の周りに流すための空間になる。
【0017】
[0020]一実施形態では、分配器箱20は底面24を有し、流体出口22は、底面24全体にわたって面24の縁26、28に向かって分布する穴である。バッフル30は流体出口22の下に位置しており、処理流体はバッフル30と分配器箱20の間の隙間34を横切って流れる。バッフル30は、混合がうまくなされるように流体出口ポート22に重なるようにすべきである。これは、出口ポート22からバッフル30の縁まで少なくとも30mmの空隙を設けることによって実現される。供給流体は、直交流混合環境で処理流体と混合し、得られた混合物はバッフル隙間32を通過して下側スクリーン40に達する。バッフル隙間32は、流体が噴流化されてスプラッシ板42に当たらないように十分に大きく寸法設定することができ、スプラッシ板42の幅は、バッフル隙間32の幅よりも大きいことが好ましい。
【0018】
[0021]スプラッシ板42は、混合物の一部が通過して下側スクリーン40の下の吸着剤床に達するように開口を含むことができる。好ましい実施形態では、開口によるスプラッシ板42の百分率開口面積は、下側スクリーン40の百分率開口面積よりも小さい。百分率開口面積を小さくする一実施形態では、下側スクリーン40の開口よりもスプラッシ板42の開口が小さく寸法設定されている。開口面積を小さくすると、すなわち開口を小さくすると、流体混合物が下側スクリーン40全体にわたって分配されやすくなり、それによって下側スクリーン40下の床に通過する流れがより均一になる一方で、流体混合物の一部がスプラッシ板42を通過することができる。一実施形態では、下側スクリーン40およびスプラッシ板42の内部の開口を十分に小さく寸法設定して、これらの開口の下から吸着剤粒子が通過しないようにしている。
【0019】
[0022]この機器は、任意選択で、下側スクリーン40の下に位置し、吸着剤床の最上部に配置される(図示しない)流れ分配器板をさらに備えることができる。この流れ分配器板は、流れをさらに均一にすることができ、床の最上部における吸着剤の動きを制限するのに寄与し得る。流れ分配器板は、吸着剤が流れ分配器板を通過しないように十分に小さく寸法設定された開口を有する。流れ分配器板を含む実施形態では、吸着剤が流れ分配器板を通過しないようになっているので、下側スクリーン40およびスプラッシ板42の内部の開口をより大きくすることができる。
【0020】
[0023]分配器箱20は、矩形の断面形状を有する環形状になるように全体が設計されており、上側スクリーン10および下側スクリーン40は、全体的に円形の構成となっている。この機器は円筒形容器内に配設され、その中で個体粒子床間に配置される。分配器箱20は、その断面の中心が上側スクリーン10の中心から上側スクリーン10の外縁までの距離の50〜80%になるように配置される。この中心から外縁までの距離は、スクリーン10の半径である。好ましい設計では、断面の中心は、上側スクリーン10の中心から上側スクリーン10の外縁までの距離の70〜72%に位置している。
【0021】
[0024]処理流体の流れは上側スクリーン10を通過するが、第1の部分は分配器箱20の内縁の内側に位置するスクリーン10の中心部分を通過し、第2の部分は分配器箱20の外縁とスクリーン10の外縁の間の部分のスクリーンを通過する。理想的には、第1の部分および第2の部分はほぼ同じ量であり、そうすると、分配器箱20とバッフル30の間の隙間34を横切る流れのバランスがとれる。こうすると、分配器箱20の断面の中心が上側スクリーン10の半径の0.707倍のところに位置することになる。
【0022】
[0025]この機器は、供給流がより均一に分布するように複数の入口を含み得る。こうすると、供給流と処理流の混合がよりうまくなされる。分配器箱をバッフルの上で移動させ、出口22をバッフルの上に配置することによって、供給流および処理流は直交流の形で混合される。本発明では、向流混合用の流体出口22を備えることもできる。分配器箱20の側面には流体出口22が配設される。こうすると、分配器箱20に向かって流れる処理流体と混合される向流が得られ、分配器箱の側面に沿って流れ落ちる流体と混合される直交流が得られる。
【0023】
[0026]本発明の上側スクリーン10は、分配器箱20を覆う領域を含む。この領域では、そこを塞いでいる分配器箱20のために、スクリーン10を横切る流れがほとんどまたは全くない。上側スクリーンは、この位置に中実材料片を含めることもできるし、分配器箱20の一部をスクリーン10の上に突出させることもできる。分配器箱20の上部は、分配器箱20の周りの流れを促す形状、例えば三角形とし得る。こうすると、処理流が分配器箱20の周りに向けられる。
【0024】
[0027]ある実施形態では、図2に示すように、分配器箱20は、上側スクリーン10の下に部分的に配設される。分配器箱20の最上部38は、平坦とすることもできるし、上側スクリーン10の上の床における処理流体の流れが分配器箱20の縁に向かうように促す形状とすることもできる。図2ではこの形状は先端をとがらせて示しているが、分配器箱20の最上部はこの形状に限定されるものではなく任意の可能な形状にし得る。分配器箱20は、供給流を分配して処理流と混合させるための出口ポート22を含む。この機器は、分配器箱20の周りに嵌る上側スクリーン10と、分配器箱20の出口ポート22の下に位置するバッフル30とを備える。隙間32は、そこを通る処理流と供給流の混合物の流れを最大に維持するように寸法設定し得る。分配器箱20は、幅と高さの実質的なアスペクト比が得られるように設計することができ、それによって、出口ポート22がバッフル30の上に位置するように維持し、隙間32の寸法設定を制御することができる。このアスペクト比を用いて、機器の全体の高さ、あるいは上側スクリーン10、分配器箱20、バッフル30、および下側スクリーン40の大きさを最小限に抑えながら、供給流の状態を維持することもできる。
【0025】
[0028]より大きな吸着分離システムでは、大きな円形スクリーンおよび大きな環状ユニットを製造するとき、製造上および構造上の問題が生じ得る。一実施形態では、本機器は複数のほぼ楔形の部分からなり、この部分は8〜40個ある。本機器を小さなユニットに細分割し、次いで、これらのユニットを合わせて締結することにより、構造上および製造上の問題が解決される。典型的には、楔形部分設計を採用すると、20〜30個の部分、より典型的には24〜28個の部分ができる。楔形部分による設計の場合、分配器箱は、上からみたときに台形形状の箱の集合になる。そのため、これらの箱を嵌め合わせると、環形状を近似する多角形の形状ができる。これら楔形部分は、これらの部分を合わせて取り付けるための側部フランジを含む。側部フランジは、構造上の剛性を機器に与える役目も担う。この側部フランジは中実とすることもできるし、動作中に部分間に直交流を生じさせる開口を含むこともできる。
【0026】
[0029]本機器は、供給流を処理流と混合して、その後、本機器の下の吸着剤床の表面全体にわたって混合物を分配するためのものである。演算による流体力学を用いて流れを理論的にモデル化することによってこの設計を試験した。図3に、この処理を演算によりシミュレーションしたものを示す。図3aに、既存の分配器設計について、機器の下の吸着剤床の最上部における供給流部分の分布を示す。図3bに、本発明の分配器について供給流部分の分布を示す。理論的に完全な混合物では、供給成分の0.223分が床の表面全体にわたって存在することになる。本発明により、混合がよりうまくなされ、スプラッシ板の周りの領域における供給流部分の濃度が比較的高い値からかなり低くなる。既存の分配器設計では、吸着剤床に送られる供給流部分の濃度が、0.17よりも低いか、0.265よりも高い範囲にあり、これは所望の範囲から相当外れている。新規な設計では、混合処理が、吸着剤床に送られる供給流部分の濃度が0.2〜0.24であるという十分に高品質なものになる。この結果は、流体の混合処理が大きく改善されることを示している。
【0027】
[0030]この改善の別の測り方は、流れ速度のばらつきである。図4に、最大軸方向速度の平均流速からの偏差を2つの場合について示す。既存の設計では、軸方向速度が比較的速い領域が生じる。局所的に速度が速いと、吸着剤が流動化することがあり、そのため、過剰な微粉が生じ、吸着剤の寿命が短くなる恐れがある。図4は、流れが吸着剤床を下向きに通過するときの最大軸方向速度の平均流速からの偏差の計算結果を示すものである。床を下向きに通過する距離は、床の最上部から、または下側スクリーン40の直下の位置から、1m厚の床を下向きに通過するときの距離である。この結果から、床の最上部において偏差が大きく減少することがわかる。これは、床の最上部において吸着剤が流動化する危険性が大きく減少することを示している。
【0028】
[0031]より小さな吸着分離システムでは、分配器設計の設計は、全体的に矩形のプリズム形状のものであり、環形状のものではない。この場合の機器は、上側スクリーン10と、流体入口12および複数の流体出口22を有する少なくとも1つの分配器箱20とを備えることができる。分配器箱20は、上側スクリーン10の下に配設することが好ましいが、流体出口ポート22がスクリーン10の下に配設された状態で、部分的に上側スクリーン10の上になり、部分的にスクリーン10の下になるように配設することもできる。この機器は、少なくとも2つのバッフル30を備え、各バッフルは分配器箱20の流体出口ポート22の下に配設され、2つのバッフル30は間隔を空けて配置されて、分配器箱20の下であるが流体出口ポート22に対して水平にずれた位置にバッフル隙間32が形成される。下側スクリーン40は、バッフル30の下に位置し、下側スクリーン40内に配置されたスプラッシ板42を備える。スプラッシ板42は、その内部に分布した開口を含み得る。これらの開口は、開口面積がスプラッシ板の15%になるように寸法設定され、そのため、流れがスプラッシ板を通過し、かつ、下側スクリーン40全体にわたって分配される。
【0029】
[0032]この吸着分離システムが、全体的に矩形の分配器箱20を配置し得るほど十分に小さいと、上側スクリーン10の下に複数の分配器箱20を分布させることができ、それによって、流れの分布がより均一になり、供給流と処理流がより均一に混合される。
【0030】
[0033]分配器箱20は、箱20の側面に出口ポート22を含み得る。分配器箱20をバッフル30の上で移動させ、出口ポート22をバッフル隙間32から離すことによって、処理流と供給流の混合が改善される。
【0031】
[0034]本発明は、流体再分配装置として設計され、特に、流体が混合され、流体混合物が下側吸着剤床全体にわたって再分配されるように設計される。本機器は、疑似移動床式吸着分離システムにおける収集装置としても使用することができる。この疑似移動床システムは、処理流体が連続した複数の吸着剤床を通過するときのそれぞれ異なる供給流用の入口および出口を移動させることを含む。したがって、これらの流体用の入口ポートは、処理の様々な段階において、抽出物流およびラフィネート流を回収するポートとして使用されることになる。これらの抽出物流およびラフィネート流は、分配機器の出口ポート22を通過し、入口ポートから出る。処理が疑似移動床吸着分離処理の様々な段階を経るときに、流体がシステムに加えられるか、分配器箱を介してシステムから回収される。
【0032】
[0035]好ましい実施形態と現在考えられるものを参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記で開示した実施形態に限定されるものではなく、様々な改変および等価な配置が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給流体および処理流体を分配し、供給流体を処理流体と混合する機器であって、前記機器は、
内部に分布した開口を有する上側スクリーンを備え、前記開口は、前記上側スクリーンの上から前記上側スクリーンの下に前記処理流体を流すために設けられ、
前記機器はさらに、
前記供給流体を受け入れる入口および複数の流体出口を有する分配器箱を備え、前記分配器箱の一部は前記上側スクリーンの下に吊されるか、前記分配器箱は前記上側スクリーンの下に配設され、
前記機器はさらに、
前記分配器箱の前記流体出口の下に配設される少なくとも1つのバッフルを備え、前記バッフルは、前記処理流体が前記分配器箱と前記バッフルの間を流れるほど十分に空間を空けて配置され、
前記機器はさらに、
前記少なくとも1つのバッフルの下に配設される下側スクリーンであって、前記処理流体と供給流体の混合物が流れるように内部に分布した下側スクリーン開口を有し、前記バッフルの縁の下に配設されるスプラッシ板を有する下側スクリーンを備える、機器。
【請求項2】
前記スプラッシ板は開口を含み、前記スプラッシ板の百分率開口面積は前記下側スクリーンの百分率開口面積よりも小さい、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記上側スクリーンおよび下側スクリーンは、円筒形容器内に配設される全体的に円形の構成を有し、前記分配器箱は、断面が矩形の環形状を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記分配器箱の断面の中心は、前記上側スクリーンの中心から前記上側スクリーンの外縁までの距離の50〜80%に位置する、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記分配器箱は複数の流体入口を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記分配器箱は側面を有し、前記流体出口は前記側面に配設される、請求項3に記載の機器。
【請求項7】
前記分配器箱は底面を有し、前記流体出口は前記底面に配設される、請求項3に記載の機器。
【請求項8】
前記分配器箱の底面は内縁および外縁を有し、前記流体出口は前記底面に前記内縁および前記外縁に向かって分布する、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
2つのバッフルを備え、第1のバッフルは前記内縁に向かって分布した前記分配器箱流体出口の下に配設され、第2のバッフルは前記外縁に向かって分布した前記分配器箱流体出口の下に配設される、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記2つのバッフルは分離しており、それによってバッフル隙間が形成され、前記スプラッシ板の幅は前記バッフルの隙間よりも広い、請求項9に記載の機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−520762(P2012−520762A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500801(P2012−500801)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/023276
【国際公開番号】WO2010/107524
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】