説明

新規なアルコキシエノンおよびエナミノケトンおよびその調製方法

本発明は、新規なアルコキシエノンおよびエナミノケトン、ならびにこれらを調製するための新規な方法に関する。アルコキシエノンおよびエナミノケトンは、殺虫剤として使用できるピラゾールおよびアントラニルアミドの調製に有益な中間体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアルコキシエノンおよびエナミノケトン、ならびにこれらを調製するための新規な方法に関する。アルコキシエノンおよびエナミノケトンは、殺虫剤として使用できるピラゾールおよびアントラニルアミドの調製に有益な中間体である。
【背景技術】
【0002】
文献では、5−ブロモ−1,1,1−トリハロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オンが、求核剤のタイプおよび状態によって、異なる様式で反応し得る3つの反応部位(カルボニル炭素上ならびにC4およびC5炭素上に)を有することを開示している。例えば、Gerusら(Coll.Czech Chem.Comm、2009、v.74、N2、p.335−346)は、アルコキシケトンが、亜リン酸トリエチルと反応して、式(IX)の「アルブゾフ」生成物または式(X)の「パーコー(Perkov)」生成物(以下のスキーム(A)を参照)を形成することを述べている。
【0003】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Gerusら(Coll.Czech Chem.Comm、2009、v.74、N2、p.335−346)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、例えば5−ハロ−1,1,1−トリハロ−4−(アルコキシ)ペンタ−3−エン−2−オンまたは5−ハロ−1,1,1−トリハロ−4−(ジアルキルアミノ)ペンタ−3−エン−2−オン化合物の5位のハロゲン原子を、カルボニル炭素上のトリハロメチル基を攻撃することなく、O−求核剤と選択的に交換することができる方法を提供することである。この方法は、この生成物の工業生産に適切なはずである。本発明のさらなる目的は、ピラゾールおよびアントラニルアミドのさらなる調製のために、アルコキシエノンおよびエナミノケトンを十分な量および純度で提供することができる方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、式(I)のアルコキシエノンおよびエナミノケトン
【0007】
【化2】

(式中、
は、水素、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SO−ハロアルキル、SO−アリールであり、
Xはハロゲンであり、
は、アルコキシであり、アルキル基が、O、N、Sの群からの1−2個のさらなるヘテロ原子を場合によって含んでいてもよい環を場合によって形成し得るジアルキルアミノであり、またはシクロアルキルアミノであり、チオアルキルである。)
を調製するための方法であって、
一般式(III)の化合物
【0008】
【化3】

(式中、Rは、上で定義した通りであり、Xは、独立に、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。)
が、一般式(II)の化合物
【0009】
【化4】

(式中、Katは陽イオンであり、Li、Na、K、Cs、(アルキル)N、(アルキル)P、(アリール)Pであり、
は、水素、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SO−ハロアルキル、SO−アリールであり、
は、好ましくは、−(C=O)(C−C)アルキル、(C=O)ハロ(C−C)アルキル、−(C=O)O−(C−C)アルキル、SO(C−C)アルキル、SO−ハロ(C−C)アルキル、SO−アリールであり、
は、より好ましくは−(C=O)(C−C)アルキルであり、
は、最も好ましくは−(C=O)CHである。)
と反応して、さらに処理すればピラゾールおよびアントラニルアミドを生成することができる、式(I)の本発明のアルコキシエノンおよびエナミノケトンを生成することを特徴とする方法によって、本発明に従って達成された。
【0010】
この方法は、副反応を起こさずに式(I)の本発明の化合物をもたらし、したがって、先行技術に記載されている欠点を有していない。
【0011】
より特定すれば、5−ハロ−1,1,1−トリハロ−4−アルコキシ−または−(ジアルキルアミノ)ペンタ−3−エン−2−オンが、式(II)の化合物と位置選択的に反応し、トリハロメチル基XCO−を攻撃することなく、5位のハロゲン原子をO−求核剤、例えばOR基と交換することは、全く驚くべきことであると考えられる。
【0012】
【化5】

(式中、Kat、X、R、Rは、それぞれ上で定義した通りである。)
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般的定義
本発明に関して、用語「ハロゲン(X)」は、別段の定義がなければ、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される元素を包含し、フッ素、塩素および臭素の使用が優先され、とりわけフッ素および塩素の使用が優先される。置換される基は、一置換または多置換されてもよく、多置換の場合の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0014】
1つまたは複数のハロゲン原子(−X)によって置換されるアルキル基(=ハロアルキル基)は、例えば、トリフルオロメチル(CF)、ジフルオロメチル(CHF)、CCl、CFCl、CFCH、ClCH、CFCClから選択される。
【0015】
本発明に関して、異なる定義がなければ、アルキル基は、直鎖または分枝の炭化水素基である。
【0016】
定義「アルキル」および「C−C12−アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−、iso−プロピル、n−、iso−、sec−およびt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルの意味を包含する。
【0017】
本発明に関して、シクロアルキル基は、異なる定義がなければ、O、N、Sの群からの1から3個のヘテロ原子を場合によって含んでいてもよい環状飽和炭化水素基である。
【0018】
本発明に関して、アリールラジカルは、異なる定義がなければ、C−C10芳香族炭化水素ラジカルならびにO、N、PおよびSから選択される1個、2個またはそれを超えるヘテロ原子を有してもよい芳香族炭化水素ラジカルであり、さらなる基によって場合によって置換されていてもよい。
【0019】
本発明の化合物は、異なる可能な異性体、特に立体異性体、例えばEおよびZ、トレオおよびエリトロならびに光学異性体、しかし適切な場合、さらに互変異性体の混合物として、場合によって存在してもよい。EおよびZ異性体の両方、またトレオおよびエリトロ異性体も、また光学異性体も、これらの異性体の任意の所望の混合物、ならびに可能な互変異性体は、開示され、特許請求されている。
【0020】
式(III)の化合物
本発明による方法の実行において出発物質として使用される化合物は、概括的に言えば式(III)によって定義される:
【0021】
【化6】

(式中、
Xは、独立に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素であり、より好ましくは塩素または臭素であり、
は、アルコキシ、アルキル基が、O、N、Sの群からの1−2個のさらなるヘテロ原子を場合によって含んでいてもよい環を場合によって形成し得るジアルキルアミノであり、またはシクロアルキルアミノ、チオアルキル、好ましくはアルコキシ、より好ましくは(C−C)アルコキシである。)
5−ハロ−1,1,1−トリハロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オンは、Gerusら、Synthesis 2001、3、431−436の方法によって調製され得る。
【0022】
本発明による適切な式(III)の化合物の例は、例えば:
5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、5−クロロ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、5−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−エトキシペンタ−3−エン−2−オン、5−クロロ−1,1,1−トリフルオロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、5−クロロ−1,1,1−トリフルオロ−4−ジメチルアミノ−ペンタ−3−エン−2−オン
である。
【0023】
式(II)の化合物
本発明による方法の実行の過程で出発物質として使用される化合物は、概括的に言えば式(II)によって定義される。
【0024】
【化7】

(式中、KatおよびRは、それぞれ上で定義した通りである。)
以下の式(II)の化合物が、例示的であるが非限定的に羅列される:NaOAc、KOAc、CsOAc、CFCOONa、CFCOOK、CClCOONa、CHSONa、フェニルSONa、BuNOCOCH
【0025】
式(II)の化合物は、市販されている。
【0026】
本発明のプロセスステップは、好ましくは10℃から100℃の温度範囲内で、より好ましくは20℃から80℃の温度で、実行される。本発明のプロセスステップは、一般に、標準気圧下で実行される。
【0027】
反応時間は肝要ではなく、バッチサイズおよび温度に応じて、30分および数時間の間の範囲内で選択することができる。
【0028】
本発明のプロセスステップの実行において、1モルの式(III)のハロエノンは、0.8モルから1.5モル、好ましくは0.9モルから1.2モル、より好ましくは等モル量の式(II)の化合物と反応させられる。
【0029】
適した溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素、例えば、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、ならびにハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホラミドなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシドまたはスルホランなどのスルホン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールである。アセトニトリル、トルエン、エタノール、THF、ジグリム、N−メチルピロリドン、1,2−ジエトキシエタンの使用が特に優先される。
【0030】
この反応は、触媒の添加によって促進され得る。
【0031】
使用される触媒は、O−求核剤との反応を一般に促進する物質とすることができる。例えば、アルカリ金属臭化物またはアルカリ金属ヨウ化物、例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウムまたはヨウ化アンモニウム;テトラアルキルアンモニウムヨージド、テトラアルキルアンモニウムブロミドまたはテトラアルキルアンモニウムスルフェート、例えばテトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリドまたはテトラブチルアンモニウムブロミド;テトラアルキル−またはテトラアリールホスホニウムクロリドまたはブロミドまたはヨージド、例えばビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチリウムブロミド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド、ステアリルトリブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラオクチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリドまたはブロミド;クラウンエーテル、例えば18−クラウン−6を使用することが可能である。
【0032】
触媒の量は、使用される式(II)の化合物に基づいて、0.1から15重量%まで変更し得る。触媒の量を増やすことは、可能であるが、不経済である。
【0033】
Martinsら(Synthesis 2001、13、1959)は、5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オンが、アセトニトリル中、80℃、炭酸カリ(potash)の存在下でフェノールと反応し、Br/OPh交換を起こすことを述べている。
【0034】
本事例では、この反応は、いくつかの生成物の複雑な混合物を生じ、CCl基の分解が支配的であった。
【0035】
ハロホルム分解を防ぐために(とりわけCClエノンの場合において)、酸を反応混合物に添加して、これによって反応混合物の塩基性を低下させる。このことは、CCl基の分解の結果としての副産物の形成を著しく抑える。酸の量は、使用される式(III)の化合物に基づいて、0.05から1当量まで変更し得る。有用な添加物としては、HCl、HSO、CHCOOH、CFCOOHが挙げられ、CHCOOH、HClおよびHSOが優先される。
【0036】
反応混合物は、塩の混合物を取り出し(濾過)、減圧下で溶媒を除去することによって、無水で後処理される。水性後処理も可能である。中間体単離を行わずに混合物をさらに変換することも可能である。
【0037】
式(I)の化合物の純度は非常に高く、95−97%の範囲であり、これにより、精製ステップを行わずに化合物をさらに使用することが可能になる。より特定すれば、本発明の反応は、安価な原料の使用、およびとりわけ工業規模でさえ効率よく、簡易に実行できるプロセス方法が優れている。
【0038】
式(I)の本発明の化合物は、スキーム(C)によるピラゾールの調製に重要な中間体であり、同様に、アントラニルアミドの合成における有益な中間体である(WO2007/112893、WO2007/144100)。
【0039】
【化8】

(式中、
Zは、CH、Nであり、
は、H、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり、
、RおよびXは、それぞれ上で定義した通りである。)
【実施例】
【0040】
調製例
[実施例1]
5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オンを、Gerusら、Synthesis 2001、3、431−436の方法によって調製し、収率90%であった。
【0041】
[実施例2]
5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテート
29.6g(0.1モル)の5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、17gの酢酸カリウム、5gのテトラブチルアンモニウムブロミドおよび8gの酢酸を、300mlのアセトニトリル中で、40℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、水を残渣に添加した。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機相を水で洗浄し、溶媒を、減圧下で完全に除去した。
【0042】
これによって、LC純度が97%、m.p.が53−55℃の淡褐色の固体として25.4g(85%)の生成物を得た。
H NMR(DMSO d)δ:2.05(s,3H)、3.85(s,3H)、5.2(s,2H)、6.1(s,1H)ppm。GC/MS:m/z274。
【0043】
[実施例3]
5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテート
29.6g(0.1モル)の5−ブロモ−1,1,1−トリクロロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、19.1gの酢酸セシウム、5gのテトラブチルアンモニウムブロミドおよび8gの酢酸を、300mlのアセトニトリル中で、25℃で8時間撹拌した。沈殿物を濾別して、有機相を減圧下で濃縮した。
【0044】
これによって、LC純度が98%、m.p.が54−55℃の淡褐色の固体として、26.8g(90%)の生成物を得た。
【0045】
[実施例4]
5,5,5−トリフルオロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテート
24.8g(0.1モル)の5−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−4−メトキシペンタ−3−エン−2−オン、20gの酢酸カリウム、5gのテトラブチルアンモニウムブロミドおよび8gの酢酸を、300mlのアセトニトリル中で、40℃で20時間撹拌した。沈殿物を濾別して、溶媒を減圧下で完全に除去した。
【0046】
これによって、純度が85%の淡褐色の油として15.8g(70%)を得た。
H NMR(DMSO d)δ:2.17(s,3H)、3.80(s,3H)、5.28(s,2H)、6.15(s,1H)ppm。GC/MS:m/z226。
【0047】
[実施例4b]
[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテート
38.7gの[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテートを、200mlのメチルtert−ブチルエーテルに溶解し、12.6gの塩化オキサリルを、2時間以内で滴下した(ガスが活発に発生)。混合物を、25℃でさらに5時間撹拌し、減圧下で完全に濃縮した。
【0048】
これによって、室温で約10時間後に結晶化した(m.p.40−42℃)粘性の油として、36gの生成物を得た。
H NMR(DMSO d)δ:2.0(s,3H)、5.1(dd,2H)、7.0(s,1H)、7.6(dd,1H)、8.1(dd,1H)、8.5(dd,1H)ppm。
【0049】
[実施例5]
[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテート
27.5g(0.1モル)の5,5,5−トリクロロ−2−メトキシ−4−オキソペンタ−2−エン−1−イルアセテートおよび14.4g(0.1モル)の3−クロロ−2−ヒドラジノピリジンを、200mlのエタノール中に最初に投入し、混合物を、25℃で3時間撹拌した。沈殿物を濾別し、シクロヘキサンで洗浄した。
【0050】
これによって、融点が105−106℃の白色の固体として、34gの生成物(収率90%)を得た。
H NMR(DMSO d)δ:2.07(s,3H)、3.30(dt,1H)、3.78(dt,1H)、4.79(dt,1H)、4.84(dt,1H)、7.23(dd,1H)、7.95(dd,1H)、8.22(dd,1H)、9.46(br.s,1H)ppm。
【0051】
[実施例5b]
[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール
36.9gの[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテートを、100mlのエタノールに溶解し、20gのNaOH(水中40%溶液として)を添加した。1時間後、混合物を、300mlの水で希釈し、生成物を濾別し、水で洗浄して、乾燥させた。これによって、白色の固体として30g(95%)の生成物を得た。
m.p.109−111℃
H NMR(DMSO d)δ:4.55(2H);6.95(1H);7.55(dd,1H);8.05(dd,1H);8.5(dd,1H)ppm。
【0052】
[実施例6]
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸の塩酸塩
38.7g(0.1モル)の[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノールおよび10gのHSO(水中10%溶液として)を、80℃で3時間撹拌した。
【0053】
混合物を0℃に冷却し;沈殿物を濾別し、アセトニトリルで洗浄して、乾燥させた。
収率90%、m.p.173−175℃。
H NMR(DMSO d)δ:3.5(b.s,1H)4.50,(2H);5.2(b.s)、6.95(1H);7.55(dd,1H);8.05(dd,1H);8.5(dd,1H)、13(b.s)ppm。
【0054】
[実施例7]
2−[5−カルボキシ−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−クロロピリジニウム塩酸塩
この手順は、[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテートを使用する以外は、実施例6に記載の通りである。
収率95%、m.p.173−175℃。
【0055】
[実施例8]
3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸
4.4gの2−{3−[(ベンジルオキシ)メチル]−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル}−3−クロロピリジンおよび30mlの20%HSOを、100℃で24時間加熱した。
沈殿物を濾別して、水で洗浄した。収率は92%であった。
【0056】
特性決定:
H NMR(CDCl)δ:4.61(2H,s);4.63(m,2H)、6.97(1H,s);7.2−7.4(5H,m);7.42(1H,m);7.96(1H,d,2Hz.);8.5(1H,d,2Hz)ppm。
【0057】
[実施例9]
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸塩酸塩
3.43gの3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸および20mlのHCl(37.5%)を、100℃で2時間加熱し、次いで、反応混合物を、10mbarの減圧下で、完全に濃縮した。これによって、塩酸塩として、1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸を得た。NaHCOでの中和が、白色の固体として遊離酸をもたらした。収率は94%であった。
【0058】
[実施例10]
メチル3−(クロロメチル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸塩酸塩(0.1モル)を、100mlのトルエンに最初に投入した。24gのSOClを、60℃で少しずつ添加した。混合物を、70℃で3時間加熱している間に、沈殿物は、溶液に完全に溶けた。メタノール(30ml)を、混合物にゆっくり滴下し、溶液を、30℃でさらに1時間撹拌した。続いて、溶液を、減圧下で濃縮した。これによって、純度96%の生成物を95%で得た。
【0059】
特性決定
H NMR(CDCl)δ:3.7(3H,s);4.7(2H,s);7.1(1H,s);7.5(1H,m);8.05(1H,m);8.5(1H,m)ppm。
【0060】
[実施例11]
メチル1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
32.6gの[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノールおよび300mlのメタノールを、90℃で3時間、オートクレーブ中で加熱した。メタノールを減圧下で除去して、沈殿物を水で洗浄した。収率、25g、94%、m.p.104℃。
【0061】
[実施例12]
メチル3−(クロロメチル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
メチル1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(26.7g、0.1モル)を、150mlのCHClに溶解し、溶液を5℃に冷却した。30mlのCHCl中のSOCl(0.12モル)を、この温度でゆっくりと滴下した。混合物を、40℃でさらに4時間撹拌して、減圧下で濃縮した。この生成物は、精製することなくさらに使用することができる。
【0062】
分析特性決定
H NMR(CDCN)δ:8.52(1H,d);8.06(1H,d)、7.55(1H,dd);7.10(1H,s);4.75(2H,s);3.75(3H,s)ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】

(式中、
は、水素、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SO−ハロアルキル、SO−アリールであり、
Xはハロゲンであり、
はアルコキシであり、アルキル基が、O、N、Sの群からの1−2個のさらなるヘテロ原子を場合によって含んでいてもよい環を場合によって形成し得るジアルキルアミノであり、またはシクロアルキルアミノであり、チオアルキルである。)
を調製する方法であって、
一般式(III)の化合物
【化2】

(式中、Rは、上で定義した通りであり、Xは、独立に、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。)
が、一般式(II)の化合物
【化3】

(式中、
Katは陽イオンであり、Li、Na、K、Cs、(アルキル)N、(アルキル)P、(アリール)Pであり、
は、水素、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SO−ハロアルキル、SO−アリールである。)
と反応して、式(I)の化合物を生成することを特徴とする、方法。
【請求項2】
が、水素、−(C=O)アルキル、(C=O)ハロアルキル、−(C=O)O−アルキル、SOアルキル、SO−ハロアルキル、SO−アリールであり、
Xがハロゲンであり、
がアルコキシであり、アルキル基が、O、N、Sの群からの1−2個のさらなるヘテロ原子を場合によって含んでいてもよい環を場合によって形成し得るジアルキルアミノであり、またはシクロアルキルアミノであり、チオアルキルである
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
が、−(C=O)(C−C)アルキル、(C=O)ハロ(C−C)アルキル、−(C=O)O−(C−C)アルキル、SO(C−C)アルキル、SO−ハロ(C−C)アルキル、SO−アリールであり、
Xが、フッ素、塩素または臭素であり、
がアルコキシである
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
が、−(C=O)(C−C)アルキルであり、
Xが、塩素または臭素であり、
が(C−C)アルコキシである
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
酸が追加として添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸が、HCl、HSO、CHCOOHおよびCFCOOHから選択されることを特徴とする、請求項1から5に記載の方法。
【請求項7】
触媒が使用されることを特徴とする、請求項1、5および6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
使用される酸がCHCOOHであり、触媒がテトラブチルアンモニウムブロミドであることを特徴とする、請求項1、5から7のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−533581(P2012−533581A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520931(P2012−520931)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004286
【国際公開番号】WO2011/009552
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】