説明

新規なクラスのEPSPシンターゼの同定

細菌、植物、植物細胞、組織、および種子にグリフォセート耐性を付与する組成物および方法が提供される。組成物には、クラスIIIと名付けられた新規なクラスのEPSPS酵素、当該酵素をコードするポリヌクレオチド、そのポリヌクレオチドを有するベクター、およびそのベクターを有する宿主細胞がある。この新規なタンパク質は、本明細書に提供されるクラスHIドメインから選択される少なくとも1つの配列ドメインを有する。これらの配列ドメインを使用して、グリフォセート抵抗活性を有するEPSPシンターゼを同定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年4月8日に出願された米国仮特許出願番号第60/669,686;2005年5月6日に出願された第60/678,348;2005年6月29日に出願された第60/695,193;2005年10月11日に出願された第60/725,182の利益を主張し、その内容は、本明細書中にその全体を参考として援用する。
【0002】
(発明の分野)
発明は、植物分子生物学、特に除草剤であるグリフォセートに対する抵抗性を付与する新規なクラスのEPSPシンターゼに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
N−ホスホノメチルグリシンは一般にグリフォセートと呼ばれ、重要な農用化学物質である。グリフォセートは、ホスホエノールピルビン酸(PEP)および3−ホスホシキミ酸(S3P)を5−エノールピルビル−3−ホスホシキミ酸に変換する酵素を阻害する。この酵素(5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ、本明細書において「EPSPシンターゼ」または「EPSPS」と呼ぶ)の阻害は、シキミ酸経路を妨害することにより芳香族アミノ酸の生合成を阻害することによって植物細胞を死滅させる。
【0004】
グリフォセート系除草剤は、芳香族アミノ酸の生合成を阻害し、植物細胞を死滅させるだけでなく、細菌細胞にも有毒である。グリフォセートは、多数の細菌EPSPシンターゼを阻害することから、これらの細菌に有毒である。しかし、ある種の細菌EPSPシンターゼはグリフォセートに高度の耐性を有する。
【0005】
グリフォセートの毒性に抵抗性の植物細胞は、植物細胞を形質転換してグリフォセート抵抗性の細菌EPSPシンターゼを発現させることにより産生することができる。特に、アグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)CP4株由来の細菌遺伝子は、植物における発現に続いて、植物細胞に除草剤抵抗性を付与するために使用されてきた。ネズミチフス菌CT7株由来の突然変異EPSPシンターゼは細菌細胞においてグリフォセート抵抗性を付与し、植物細胞にグリフォセート抵抗性を付与する(特許文献1、特許文献2、および特許文献3)。
【0006】
EPSPシンターゼ(Mr46000)は、それぞれβαβαββフォールディングユニットの3つのコピーを有する2つの類似のドメインに折り畳まれる(非特許文献1)。Lys−22、Arg−124、Asp−313、Arg−344、Arg−386、およびLys−411は、大腸菌由来EPSPシンターゼの保存された残基である(非特許文献2)。EPSPS活性に重要な保存された残基には、Arg−100、Asp−242、およびAsp−384もある(非特許文献3)。Arg−27はS3Pに結合する(非特許文献4)。EPSPSのアミノ酸コード配列における改変の結果としてグリフォセート耐性な、野生型EPSPS酵素の変異体が単離された(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。非特許文献8は、大腸菌EPSPS遺伝子とネズミチフス菌EPSPS遺伝子との間の突然変異誘発および組換えによりグリフォセート耐性が増加したEPSPシンターゼを開発した。そして、位置42(T42M)および位置230(Q230K)での突然変異が、観察された抵抗性を担うと思われることが示唆されている。その後の研究(非特許文献9)は、T42M突然変異(トレオニンからメチオニン)が大腸菌およびネズミチフス菌両方の酵素の耐性を向上させるために十分であることを示している。
【特許文献1】米国特許第4535060号
【特許文献2】米国特許第4769061号
【特許文献3】米国特許第5094945号
【非特許文献1】Stallingsら(1991年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 885046〜5050頁
【非特許文献2】Schonbrunnら(2001年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.98巻:1376〜1380頁
【非特許文献3】Selvapandiyanら(1995年)FEBS Letters374巻:253〜256頁
【非特許文献4】Shuttleworthら(1999年)Biochemistry38巻:296〜302頁
【非特許文献5】KishoreおよびShah(1988年)Annu. Rev. Biochem.57巻:627〜63頁
【非特許文献6】Wangら(2003年)J. Plant Res.116巻:455〜60頁
【非特許文献7】Eschenburgら(2002年)Planta216巻:129〜35頁
【非特許文献8】Heら(2001年)Biochim et Biophysica Acta1568巻:1〜6頁
【非特許文献9】Heら(2003年)Biosci. Biotech. Biochem.67巻:1405〜1409頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
除草剤抵抗性植物がもたらす多くの利点の故に、グリフォセート抵抗活性を有する除草剤抵抗性遺伝子を同定する方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
細菌、植物、植物細胞、組織、および種子にグリフォセート耐性を付与する組成物および方法が提供される。組成物には、クラスIIIと呼ばれる新規なクラスのEPSPS酵素、当該酵素をコードするポリヌクレオチド、そのポリヌクレオチドを有するベクター、およびそのベクターを有する宿主細胞がある。この新規なタンパク質は、以下のドメイン(クラスIIIドメイン)から選択される少なくとも1つの配列ドメインを有する:
ドメインI
【0009】
【化100】

(配列番号13)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表し、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIa
【0010】
【化101】

(配列番号14)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表す);
ドメインIb
【0011】
【化102】

(配列番号15)(ここで、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIc
【0012】
【化103】

(配列番号16);
ドメインII
【0013】
【化104】

(配列番号17)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIIa
【0014】
【化105】

(配列番号18)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインIIb
【0015】
【化106】

(配列番号19)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIII
【0016】
【化107】

(配列番号20);
ドメインIV
【0017】
【化108】

(配列番号21)または
【0018】
【化109】

(ここで、Xはグリシンまたはメチオニンまたはロイシンを表す);
ドメインV
【0019】
【化110】

(配列番号22)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインVI
【0020】
【化111】

(配列番号23)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンまたはロイシンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインVII
【0021】
【化112】

(配列番号24)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンを表し、Xはアラニンまたはヒスチジンまたはグルタミン酸またはセリンを表し、Xはプロリンまたはアラニンを表す);
ドメインVIII
【0022】
【化113】

(配列番号25)(ここで、Xはアラニンまたはグリシンを表し、Xはグルタミン酸またはグルタミンを表し、Xはバリンまたはロイシンまたはアラニンを表す);
ドメインVIIIa
【0023】
【化114】

(配列番号26);
ドメインIX
【0024】
【化115】

(配列番号27)(ここで、Xはイソロイシンまたはロイシンを表す);
ドメインX
【0025】
【化116】

(配列番号28)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインXI
【0026】
【化117】

(配列番号29)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIa
【0027】
【化118】

(配列番号30)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表す);
ドメインXIb
【0028】
【化119】

(配列番号31)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIc
【0029】
【化120】

(配列番号32);
ドメインXII
【0030】
【化121】

(配列番号33)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIa
【0031】
【化122】

(配列番号34);
ドメインXIIb
【0032】
【化123】

(配列番号35)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIc
【0033】
【化124】

(配列番号36);
ドメインXIII
【0034】
【化125】

(配列番号37)(ここで、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIV
【0035】
【化126】

(配列番号38)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアスパラギンを表し、Xはアラニンまたはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインXV
【0036】
【化127】

(配列番号39)(ここで、Xはロイシンまたはセリンまたはグルタミン酸を表し、Xはトレオニンまたはセリンを表し、Xはヒスチジンまたはフェニルアラニンを表し、Xはアラニンまたはセリンを表す);
ドメインXVI
【0037】
【化128】

(配列番号40)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVIa
【0038】
【化129】

(配列番号41)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表す);
ドメインXVIb
【0039】
【化130】

(配列番号42)(ここで、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVII
【0040】
【化131】

(配列番号43)(ここで、Xはアスパラギンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはグリシンを表す);および
ドメインXVIII
【0041】
【化132】

(配列番号44)(ここで、Xはアラニンまたはセリンまたはプロリンを表す)。
【0042】
配列番号13〜44に示す上記ドメインは、少なくとも50%の配列同一性を共有するクラスIIIの配列を整列させることによって同定された。これらの配列ドメインの少なくとも1つが存在することは、グリフォセート抵抗活性を予測するものである。
【0043】
除草剤抵抗性付与核酸配列に対応する単離された核酸分子が提供される。そのうえ、そのポリヌクレオチドに対応するアミノ酸配列が包含される。特に、本発明は、配列番号9、11、55、57、および58に示すヌクレオチド配列、配列番号10、12、56、および59に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、受託番号B−30833およびB−30838として細菌受け入れ先に寄託された除草剤抵抗性ヌクレオチド配列、ならびにその変異体および断片を含めた、クラスIIIドメインを有する単離された核酸分子を用意する。本発明のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列または本発明の配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列もまた包含される。これらの配列は、関心対象の植物にその後形質転換するための発現ベクターの構築に、他のグリフォセート抵抗性遺伝子の単離のためのプローブとして、そして選択マーカーなどとして用途を見い出す。
【0044】
組成物には、そのポリペプチドに対する抗体および除草剤抵抗性ポリペプチドをコードする合成ポリヌクレオチドもまたある。コード配列は、微生物および植物を含めた生物に形質転換して発現させるためのDNA構築物または発現カセットに使用することができる。組成物は、本発明の組成物を生物のゲノムに導入することによりグリフォセート耐性な形質転換された細菌、植物、植物細胞、組織、および種子もまた有する。その生物が植物である場合には、その配列の導入は、グリフォセート含有除草剤を作物に適用して、形質転換された生物ではなくグリフォセート感受性の雑草を選択的に死滅させることができるようにする。
【0045】
グリフォセート抵抗活性を有するEPSPシンターゼを同定する方法がそのうえ提供される。その方法は、EPSPシンターゼについてのアミノ酸配列を得ること、およびそのアミノ酸配列が本発明の配列ドメインを少なくとも1つ有するかどうかを同定することを含む。
【0046】
本明細書に記載するEPSPシンターゼは、以下にクラスIII EPSPS酵素として呼ぶ新しいクラスのEPSPS酵素に相当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(発明の詳細な説明)
本発明は組成物に向けられており、生物に除草剤耐性、特にグリフォセート耐性を付与する方法が提供される。その方法は、本発明のクラスIIIグリフォセート耐性遺伝子をコードするヌクレオチド配列を用いて生物を形質転換することを伴う。特に、本発明は、グリフォセート耐性を付与するクラスの酵素およびその酵素をコードするヌクレオチド配列を認めている。その配列は、除草剤グリフォセートに対する耐性増大を示す植物を調製することに用途を見出している。したがって、形質転換された細菌、植物、植物細胞、植物組織、および種子が提供される。
【0048】
クラスIII酵素は、本明細書において以下に挙げる、クラスIIIドメインと呼ぶドメインから選択されるドメインを少なくとも1つ有することを特徴とする:
ドメインI
【0049】
【化133】

(配列番号13)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表し、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIa
【0050】
【化134】

(配列番号14)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表す);
ドメインIb
【0051】
【化135】

(配列番号15)(ここで、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIc
【0052】
【化136】

(配列番号16);
ドメインII
【0053】
【化137】

(配列番号17)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIIa
【0054】
【化138】

(配列番号18)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインIIb
【0055】
【化139】

(配列番号19)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIII
【0056】
【化140】

(配列番号20);
ドメインIV
【0057】
【化141】

(配列番号21)または
【0058】
【化142】

(ここで、Xはグリシンまたはメチオニンまたはロイシンを表す);
ドメインV
【0059】
【化143】

(配列番号22)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインVI
【0060】
【化144】

(配列番号23)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンまたはロイシンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインVII
【0061】
【化145】

(配列番号24)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンを表し、Xはアラニンまたはヒスチジンまたはグルタミン酸またはセリンを表し、Xはプロリンまたはアラニンを表す);
ドメインVIII
【0062】
【化146】

(配列番号25)(ここで、Xはアラニンまたはグリシンを表し、Xはグルタミン酸またはグルタミンを表し、Xはバリンまたはロイシンまたはアラニンを表す);
ドメインVIIIa
【0063】
【化147】

(配列番号26);
ドメインIX
【0064】
【化148】

(配列番号27)(ここで、Xはイソロイシンまたはロイシンを表す);
ドメインX
【0065】
【化149】

(配列番号28)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインXI
【0066】
【化150】

(配列番号29)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIa
【0067】
【化151】

(配列番号30)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表す);
ドメインXIb
【0068】
【化152】

(配列番号31)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIc
【0069】
【化153】

(配列番号32);
ドメインXII
【0070】
【化154】

(配列番号33)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIa
【0071】
【化155】

(配列番号34);
ドメインXIIb
【0072】
【化156】

(配列番号35)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIc
【0073】
【化157】

(配列番号36);
ドメインXIII
【0074】
【化158】

(配列番号37)(ここで、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIV
【0075】
【化159】

(配列番号38)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアスパラギンを表し、Xはアラニンまたはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインXV
【0076】
【化160】

(配列番号39)(ここで、Xはロイシンまたはセリンまたはグルタミン酸を表し、Xはトレオニンまたはセリンを表し、Xはヒスチジンまたはフェニルアラニンを表し、Xはアラニンまたはセリンを表す);
ドメインXVI
【0077】
【化161】

(配列番号40)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVIa
【0078】
【化162】

(配列番号41)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表す);
ドメインXVIb
【0079】
【化163】

(配列番号42)(ここで、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVII
【0080】
【化164】

(配列番号43)(ここで、Xはアスパラギンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはグリシンを表す);および
ドメインXVIII
【0081】
【化165】

(配列番号44)(ここで、Xはアラニンまたはセリンまたはプロリンを表す)。
【0082】
配列番号13〜44に示す上記ドメインは、少なくとも50%の配列同一性を共有するクラスIII配列を整列させることにより同定された。いくつかの実施形態では、これらの配列ドメインの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32個が存在する。
【0083】
本発明の方法および同定されたドメインを使用して、グリフォセート耐性を付与する追加的なタンパク質(例えば配列番号2、4、46、および48)を同定することができる。これらのタンパク質には、公知のタンパク質および新たに同定されたタンパク質(例えば配列番号10、12、56、および59)が含まれる。
【0084】
「グリフォセート」により、任意の除草形態のN−ホスホノメチルグリシン(その任意の塩を含む)、および植物においてグリフォセート陰イオンの産生を招くその他の形態を意味する。「除草剤抵抗性タンパク質」、「除草剤耐性タンパク質」、または「除草剤抵抗性」もしくは「除草剤耐性」をコードするポリヌクレオチドの発現に起因するタンパク質には、そのタンパク質を発現していない細胞よりも高濃度の除草剤に耐える能力、またはそのタンパク質を発現していない細胞よりも長期間、ある濃度の除草剤に耐える能力を細胞に付与するタンパク質が含まれる。「グリフォセート抵抗性タンパク質」または「グリフォセート耐性タンパク質」には、そのタンパク質を発現していない細胞よりも高濃度のグリフォセートに耐える能力、またはそのタンパク質を発現していない細胞よりも長期間、ある濃度のグリフォセートに耐える能力を細胞に付与するタンパク質が含まれる。「耐える」または「耐性」により、未処理の細胞と容易に見分けが付かない方法で、生存するか、またはタンパク質合成および呼吸などの不可欠な細胞機能を行うかのいずれかを意味する。
【0085】
単離されたポリヌクレオチド、ならびにその変異体および断片
本発明の一態様は、配列番号1、3、7、45、47、および53に挙げられるポリヌクレオチド配列以外の、本発明のクラスIII配列ドメインの少なくとも1つを有するEPSPシンターゼ酵素をコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。「以外の」により、本発明が、配列番号に列挙するポリヌクレオチド配列を含まないことを意味する。
【0086】
本発明の単離されたポリヌクレオチドは、除草剤抵抗性タンパク質およびそのポリペプチドまたは生物学的に活性な部分をコードするヌクレオチド配列、ならびに除草剤抵抗性をコードするポリヌクレオチドを同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するために十分なポリヌクレオチドを有する。本明細書に使用する用語「ポリヌクレオチド」は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRNA)、ならびにヌクレオチドアナログを使用して作製された、そのDNAまたはRNAのアナログを含むことを意味する。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖DNAでありうる。
【0087】
本発明のヌクレオチド配列には、上記に含まれるドメインを特徴とするヌクレオチド配列がある。これらのドメインの同定に使用される情報には、グリフォセート感受性EPSPS分子の配列アラインメントがある。この配列アライメントは、配列間の相同性領域を同定するために、そしてクラスIII EPSP酵素に特徴的なクラスIIIドメインを同定するために使用された。
【0088】
このドメインの変異体(例えば配列番号55)もまた本発明の範囲内に包含される。当該変異体には、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有する配列があり、グリフォセート耐性を与えるDNA分子に含まれる。
【0089】
「単離」もしくは「精製」されたポリヌクレオチドもしくはタンパク質、またはその生物学的に活性な部分は、組換え技法により産生された場合に他の細胞物質または培地を実質的に有さず、また、化学合成された場合に化学前駆物質または他の化学物質を実質的に有さない。好ましくは、「単離された」ポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが由来する生物のゲノムDNA中に、そのポリヌクレオチドに自然に隣接する配列(すなわちそのポリヌクレオチドの5’および3’末端に位置する配列)(例えばタンパク質をコードする配列)を有さない。本発明のために、ポリヌクレオチドを表すために使用する場合の「単離された」は、単離された染色体を除外する。例えば様々な実施形態において、グリフォセート抵抗性をコードする単離されたポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが由来する細胞のゲノムDNA中に、そのポリヌクレオチドに自然に隣接するヌクレオチド配列を約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満含みうる。細胞物質を実質的に有さない除草剤抵抗性タンパク質には、除草剤非抵抗性タンパク質(本明細書において「混入タンパク質」とも呼ぶ)を(乾燥重量で)約30%、20%、10%、または5%未満有するタンパク質の調製物がある。
【0090】
除草剤抵抗性をコードするこれらのヌクレオチド配列の断片であるポリヌクレオチド(例えば配列番号57、58、および60)もまた、本発明に包含される。「断片」により、除草剤抵抗性タンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分(例えば配列番号59)を意味する。ヌクレオチド配列の断片は、除草剤抵抗性タンパク質の生物学的に活性な部分をコードすることがあるし、下記に開示される方法を使用したハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして使用することができる断片のことがある。除草剤抵抗性ヌクレオチド配列の断片であるポリヌクレオチドは、本明細書に開示する除草剤抵抗性をコードする完全長ヌクレオチド配列に存在する少なくとも約15、20、50、75、100、200、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950個の連続するヌクレオチド、または最長でその完全長配列のヌクレオチド数まで有する。「連続する」ヌクレオチドにより、相互に直接隣接したヌクレオチド残基を意味する。
【0091】
本発明のヌクレオチド配列の断片は、一般に本明細書に記載するクラスIIIドメインを少なくとも1つ有するであろうし、完全長グリフォセート抵抗性タンパク質の生物学的活性、すなわち除草剤抵抗活性を保持するタンパク質断片をコードするであろう。「除草剤抵抗活性を保持する」により、その断片が、配列番号6として本明細書に開示する完全長グリフォセート抵抗性タンパク質の除草剤抵抗活性の少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%を有するであろうことを意味する。除草剤抵抗活性を測定する方法は、当技術分野において十分に公知である。例えば米国特許第4535060号および第5188642号を参照されたい。このそれぞれの特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0092】
本発明のタンパク質の生物学的に活性な部分をコードする、除草剤抵抗性をコードするヌクレオチド配列の断片は、本発明の完全長除草剤抵抗性タンパク質に存在する少なくとも約15、25、30、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400個の連続するアミノ酸、または最長でその完全長タンパク質に存在するアミノ酸の総数をコードするであろう。重要なことに、この断片は、本明細書に記載するクラスIIIドメインを少なくとも1つ有するであろう。
【0093】
本発明の除草剤抵抗性タンパク質は、クラスIIIと特徴付けられるタンパク質、または活性を保持するその断片もしくは変異体である。用語「十分に同一」は、本明細書に記載するアライメントプログラムの1つを使用して、標準的なパラメータを使用して、参照配列に対して少なくとも約60%もしくは65%の配列同一性、少なくとも約70%もしくは75%の配列同一性、少なくとも約80%もしくは85%の配列同一性、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。当業者は、コドンの縮重、アミノ酸の類似性、リーディングフレームの位置などを考慮することにより、2つのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、これらの値を適切に調整することができることを認識しているであろう。
【0094】
2つのアミノ酸配列または2つのポリヌクレオチドの同一率を決定するために、最適な比較を行う目的で配列が整列される。2つの配列の間の同一率は、それらの配列が共に同一である位置数の関数である(すなわち同一率=同一である位置数/位置の総数(例えば重なる位置)×100)。一実施形態において、これら2つの配列は同じ長さである。2つの配列の間の同一率は、下記の技法に類似した技法を使用して、ギャップを見込んで、またはギャップを見込まずに決定することができる。同一率を計算するにあたり、典型的には完全一致が計数される。
【0095】
2つの配列の間の同一率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して実現することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、KarlinおよびAltschul(1990年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA87巻:2264〜2268頁のアルゴリズムを、KarlinおよびAltschul(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA90巻:5873〜5877頁のように変更したものである。当該アルゴリズムは、Altschulら(1990年)J. Mol. Biol.215巻:403〜410頁のBLASTNプログラムおよびBLASTXプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード長=12で行って、本発明のGDC様ポリヌクレオチドに相同のヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、BLASTXプログラム、スコア=50、ワード長=3で行って、本発明の除草剤耐性タンパク質分子に相同のアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のギャップ付きアライメントを得るために、Gapped BLASTは、Altschulら(1997年)Nucleic Acids Res.25巻:3389〜2402頁に記載されているように利用することができる。あるいは、PSI−Blastを使用して、分子間の距離関係を検出する反復検索を行うことができる。Altschulら(1997年)、上記を参照されたい。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラム(例えばBLASTXおよびBLASTN)のデフォルトパラメータを使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、ClustalWアルゴリズムである(Higginsら(1994年)Nucleic Acids Res.22巻:4673〜4680頁)。ClustalWは、配列を比較し、アミノ酸またはDNA配列全体を整列させるので、アミノ酸配列全体の配列の保存についてのデータを提供することができる。ClustalWアルゴリズムは、Vector NTI Program SuiteのALIGNXモジュール(Invitrogen Corporation、カールズバッド、カリフォルニア州)などのいくつかの市販されているDNA/アミノ酸分析ソフトウェアパッケージに使用されている。ClustalWを用いてアミノ酸配列を整列させた後に、アミノ酸同一率を評価することができる。ClustalWアライメントの解析に有用なソフトウェアプログラムの非限定的な例はGENEDOC(商標)である。GENEDOC(商標)(Karl Nicholas)は、多数のタンパク質間のアミノ酸(またはDNA)の類似性および同一性を評価できるようにする。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、MyersおよびMiller(1988年)CABIOS4巻:11〜17頁のアルゴリズムである。当該アルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージ(カリフォルニア州サンディエゴのAccelrys,Inc.から入手できる)の一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合には、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用することができる。
【0096】
別に述べない限り、NeedlemanおよびWunsch(1970年)J. Mol. Biol.48巻(3):443〜453頁のアルゴリズムを使用しているGAPバージョン10を使用して、以下のパラメータを使用して配列の同一性または類似性が決定されるであろう:GAP重み50および長さ重み3、ならびにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを使用したヌクレオチド配列についての同一%および類似%;GAP重み8および長さ重み2、ならびにBLOSUM62スコアリングプログラムを使用した、アミノ酸配列についての同一%または類似%。同等のプログラムもまた使用することができる。「同等のプログラム」により、GAPバージョン10により生成した対応するアライメントに比べた場合に、問題となる任意の2つの配列について、同一のヌクレオチド残基の一致および同一の配列同一率を有するアライメントを作製する任意の配列比較プログラムを意味する。本発明は、変異体ポリヌクレオチドもまた包含する。除草剤抵抗性をコードするヌクレオチド配列の「変異体」には、本明細書に開示する除草剤抵抗性タンパク質をコードするが、遺伝子コードの縮重のせいで保存的に異なる配列、および上に論じるように十分に同一の配列がある。天然対立遺伝子変異体は、下記に概説するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびハイブリダイゼーション技法などの十分に公知の分子生物学的技法を使用して同定することができる。変異体ヌクレオチド配列には、例えば下に論じるように部位特異的突然変異誘発を使用して作製されたが、本発明に開示する除草剤抵抗性タンパク質を依然としてコードする、合成により得られたヌクレオチド配列もまたある。本発明に包含される変異体タンパク質は、生物学的に活性であり、すなわちその変異体タンパク質は天然タンパク質の所望の生物学的活性、すなわち除草剤抵抗活性を保持する。「除草剤抵抗活性を保持する」により、その変異体が、天然タンパク質の除草剤抵抗活性の少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%を有するであろうと意味する。除草剤抵抗活性を測定するための方法は、当技術分野において十分に公知である。例えば、米国特許第4535060号および第5188642号を参照されたい。これら特許のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0097】
当業者は、突然変異により本発明のヌクレオチド配列に変化を導入することにより、コードされる除草剤抵抗性タンパク質の生物学的活性を改変せずに、そのタンパク質のアミノ酸配列に変化を誘導することができることをさらに認識しているであろう。このように、単離された変異体ポリヌクレオチドは、本明細書に開示する対応するヌクレオチド配列に1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、または欠失を、導入することにより生み出すことができ、それにより、コードされるタンパク質に1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加、または欠失が導入される。突然変異は、部位特異的突然変異誘発およびPCR介在性突然変異誘発などの標準的な技法により導入することができる。当該変異体ヌクレオチド配列もまた、本発明に包含される。
【0098】
例えば、1つまたは複数の予測される可欠アミノ酸残基に保存的アミノ酸置換を行うことができる。「可欠」アミノ酸残基は、生物学的活性を改変せずに野生型配列の除草剤抵抗性タンパク質から改変することができる残基であり、「不可欠」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要とされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と交換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電の極性側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)がある。アミノ酸置換は、機能を保持する非保存的領域に行うことができる。一般に、当該置換は、保存されたアミノ酸残基について、または保存されたモチーフ内に存在するアミノ酸残基については行われないであろう(当該残基はタンパク質の活性に不可欠である)。しかし、当業者は、機能的変異体が、保存された残基に小さな保存的または非保存的改変を有しうることを了解しているであろう。
【0099】
あるいは、変異体ヌクレオチド配列は、飽和突然変異誘発などにより、コード配列の全てまたは一部に沿って突然変異をランダムに導入することにより行うことができ、結果として生じた突然変異体を、除草剤抵抗活性を付与する能力についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発後に、コードされるタンパク質を組換え発現させて、そのタンパク質の活性を標準的なアッセイ技法を使用して決定することができる。
【0100】
PCR、ハイブリダイゼーションなどの方法を使用して、本発明の保存されたドメインを探すことにより、対応する除草剤抵抗性配列を同定することができる。例えば、SambrookおよびRussell(2001年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)、ならびにInnisら(1990年)PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications(Academic Press、セントルイス、ミズーリ州)を参照されたい。
【0101】
ハイブリダイゼーション法では、除草剤抵抗性ヌクレオチド配列またはドメインの全てまたは一部を使用して、cDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることができる。当該cDNAおよびゲノムライブラリーを構築する方法は、当技術分野において一般的に公知であり、SambrookおよびRussell(2001年、上記)に開示されている。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNA断片、cDNA断片、RNA断片、または他のオリゴヌクレオチドのことがあり、32Pなどの検出可能な基、または他の放射性同位体、蛍光化合物、酵素、もしくは酵素補因子などの他の任意の検出可能なマーカーで標識されていることがある。本明細書に開示する除草剤抵抗性をコードする公知のヌクレオチドに基づく合成オリゴヌクレオチドを標識することによって、ハイブリダイゼーション用プローブを作製することができる。そのヌクレオチド配列またはコードするアミノ酸配列中の保存されたヌクレオチド残基またはアミノ酸残基に基づいて設計した縮重プライマーをそのうえ使用することができる。このプローブは、典型的には除草剤抵抗性をコードする本発明のヌクレオチド配列またはその断片もしくは変異体の少なくとも約12、少なくとも約25、または少なくとも約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800個の連続するヌクレオチドに、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を有する。ハイブリダイゼーション用のプローブを調製する方法は、当技術分野において一般に公知であり、SambrookおよびRussell、2001年、上記、ならびにSambrookら(1989年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)に開示されており、これら文献の両方が参照により本明細書に組み込まれている。
【0102】
当該配列のハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件で行うことができる。「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」により、プローブが、その標的配列と、他の配列よりも検出可能に大きな程度で(例えばバックグラウンドに比べて少なくとも2倍で)ハイブリダイズするであろう条件を意味する。ストリンジェントな条件は配列に依存し、異なる状況では異なるであろう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄条件を制御することにより、プローブに100%相補的な標的配列を同定することができる(相同的プロービング(homologous probing))。あるいは、配列にいくつかの不一致を可能にするようにストリンジェンシー条件を調整することにより、より低い程度の類似性を検出することができる(非相同的プロービング(heterologous probing))。一般に、プローブは長さ約1000ヌクレオチド未満または長さ500ヌクレオチド未満である。
【0103】
典型的には、ストリンジェントな条件は、pH7.0から8.3で塩濃度がNaイオン濃度約1.5M未満、典型的にはNaイオン(または他の塩)濃度0.01から1.0Mで、短いプローブ(例えば10から50ヌクレオチド)について温度が少なくとも約30℃で、そして長いプローブ(例えば50ヌクレオチドを超える)について少なくとも約60℃の条件であろう。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により実現することもできる。低ストリンジェンシー条件の例は、37℃で30から35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液を用いたハイブリダイゼーション、および50から55℃で1×から2×SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中での洗浄を含む。中程度のストリンジェンシー条件の例は、37℃で40から45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中でハイブリダイゼーション、および55から60℃で0.5×から1×SSC中での洗浄を含む。高ストリンジェンシー条件の例は、37℃で50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および60から65℃で0.1×SSC中での洗浄を含む。場合により、洗浄緩衝液は、約0.1%から約1%のSDSを含んでもよい。ハイブリダイゼーションの持続時間は、一般に約24時間未満、通常は約4から約12時間である。
【0104】
特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、重大な因子は最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリッドについて、Tは、MeinkothおよびWahl(1984年)Anal. Biochem.138巻:267〜284頁の式、すなわちT=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/Lから近似することができ、式中、Mは一価陽イオンのモル濃度、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドの百分率であり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの百分率であり、Lは塩基対中のハイブリッドの長さである。Tは、(所定のイオン強度およびpHで)相補的標的配列の50%が完全一致のプローブとハイブリダイズする温度である。Tはそれぞれ1%のミスマッチについて約1℃減少し、したがって、T、ハイブリダイゼーション、および/または洗浄条件を調整して、所望の同一性の配列にハイブリダイズさせることができる。例えば、≧90%の同一性を有する配列が探索されるならば、Tは10℃減少しうる。一般に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度およびpHで、特異的配列およびその相補体についての熱融解温度(T)よりも約5℃低くなるように選択される。しかし、重度にストリンジェントな条件は、熱融解温度(T)よりも1、2、3、または4℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、中程度にストリンジェントな条件は、熱融解温度(T)よりも6、7、8、9、または10℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、低ストリンジェンシー条件は、熱融解温度(T)よりも11、12、13、14、15、または20℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。当業者は、この式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件、ならびに所望のTを使用して、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーにおける変動が説明されることを了解しているであろう。所望の程度の不一致が45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTを生じるならば、SSC濃度を増加させることにより、高温を使用できるようにすることが好ましい。ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションの詳細な手引きは、Tijssen(1993年)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章(Elsevier、ニューヨーク)およびAusubelら編、(1995年)Current Protocols in Molecular Biology、第2章(Greene Publishing and Wiley−Interscience、ニューヨーク)に見出される。Sambrookら(1989年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)を参照されたい。
【0105】
単離されたタンパク質ならびにその変異体および断片
除草剤抵抗性タンパク質もまた本発明に包含される。「除草剤抵抗性タンパク質」により、例えば、上記ドメインの少なくとも1つを有する、配列番号10、12、56、および59を含めたクラスIIIタンパク質を意味する。その断片、生物学的に活性な部分、および変異体もまた提供され、それらを使用して本発明の方法を実施することができる。
【0106】
「断片」または「生物学的に活性な部分」には、除草剤抵抗性タンパク質をコードしており、除草剤抵抗活性を保持するアミノ酸配列の部分を有する、ポリペプチド断片がある。除草剤抵抗性タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば10、25、50、100、またはそれを超えるアミノ酸長のポリペプチドでありうる。そのような生物学的に活性な部分は、組換え技法により調製することができ、除草剤抵抗活性について評価することができる。除草剤抵抗活性を測定するための方法は、当技術分野において十分に公知である。例えば、米国特許第4535060号および第5188642号を参照されたい。これら特許のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0107】
「変異体」により、クラスIII酵素に少なくとも約60%、65%、約70%、75%、約80%、85%または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドを意味する。変異体には、ストリンジェントな条件でクラスIII酵素をコードするポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドもまたある。変異体には、突然変異誘発によりアミノ酸配列が異なるポリペプチドがある。本発明に包含される変異体タンパク質は生物学的に活性で、すなわち、この変異体タンパク質は天然タンパク質の所望の生物学的活性を有し続け、すなわち除草剤抵抗活性を保持する。除草剤抵抗活性を測定する方法は、当技術分野において十分に公知である。例えば、米国特許第4535060号および第5188642号を参照されたい。これら特許のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0108】
細菌遺伝子は、オープンリーディングフレームの開始部近くで多数のメチオニン開始コドンを有することが実に多い。多くの場合、これら開始コドンのうち1つまたは複数での翻訳開始が機能的タンパク質の発生をもたらすであろう。これらの開始コドンには、ATGコドンが含まれることがある。しかし、バチルス種(Bacillus sp.)などの細菌は、開始コドンとしてコドンGTGもまた認識し、GTGコドンで翻訳を開始するタンパク質は、最初のアミノ酸にメチオニンを有する。さらに、その細菌においてこれらのコドンのどれが自然に使用されるかは先験的にあまり多くは決定されていない。したがって、選択的メチオニンコドンの1つの使用が除草剤抵抗性を付与する変異体(例えば配列番号58によりコードされる配列番号59)の発生をもたらしうることが了解されている。これらの除草剤抵抗性タンパク質は、本発明に包含され、本発明の方法に使用することができる。
【0109】
本発明のポリペプチドまたはその変異体もしくは断片に対する抗体もまた包含される。抗体を生産する方法は、当技術分野において十分に公知である(例えば、HarlowおよびLane(1988年)Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州;米国特許4196265号参照)。
【0110】
細菌細胞または植物細胞の形質転換
細菌細胞の形質転換は、エレクトロポレーションまたは化学的形質転換に限らない、当技術分野において公知のいくつかの技法の1つにより実現される(例えばAusubel(編)(1994年)Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons, Inc.、インディアナポリス、インディアナ州)。毒性物質に対する抵抗性を付与するマーカーは、非形質転換細胞(被験DNAを含まず、発現もしていない)から形質転換された細胞(被験DNAを取り上げて発現している)を見分けるために有用である。本発明の一態様では、遺伝子は、細菌細胞または植物細胞の形質転換を評価するためのマーカーとして有用である。
【0111】
植物細胞の形質転換は、類似の方法で実現することができる。「植物」により、植物全体、植物器官(例えば葉、茎、根など)、種子、植物細胞、繁殖体、胚、およびその後代を意味される。植物細胞は、分化または未分化(例えばカルス、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉細胞、根細胞、篩部細胞、花粉)のことがある。「トランスジェニック植物」または「形質転換植物」または「安定に形質転換された」植物もしくは細胞もしくは組織は、植物細胞に取り込まれたか、または組み込まれた外来ポリヌクレオチド配列またはDNA断片を有する植物を表す。「安定形質転換」により、植物に導入されたヌクレオチド構築物がその植物のゲノムに組み込まれ、その後代に遺伝することができることを意味する。
【0112】
本発明の遺伝子を変更して、植物細胞における発現を得るか、または高めることができる。本発明の除草剤抵抗性配列は、関心対象の植物に発現させるための発現カセット中に用意してもよい。「植物発現カセット」には、植物細胞においてオープンリーディングフレームからタンパク質の発現を生じることができるDNA構築物が含まれる。そのカセットは、5’から3’の転写方向、本発明のDNA配列に作動可能に連結した転写開始領域(すなわちプロモーター)、および植物において機能的な転写翻訳終止領域(すなわち終止領域)に含まれるであろう。いくつかの実施形態では、転写開始領域は、コードされるEPSPS酵素の十分な発現を見込んだRNA配列の産生を引き起こして、そのポリヌクレオチドを用いて形質転換された植物細胞のグリフォセート耐性を高めるであろう。「十分な発現」により、そのタンパク質を有さず、発現もしない植物もしくは細胞よりも高濃度のグリフォセートに耐える能力、またはそのタンパク質を有さず、発現もしない植物もしくは細胞よりも長期間ある濃度のグリフォセートに耐える能力を植物または細胞に付与するであろう量の本発明のグリフォセート抵抗性ポリペプチド(例えばクラスIIIドメインを有するポリペプチド)の発現を、転写開始領域が与えるであろうということを意味する。
【0113】
そのカセットは、そのうえ選択マーカー遺伝子などの、生物に同時形質転換するための少なくとも1つの追加の遺伝子を有してもよい。あるいは、その追加の遺伝子は多数の発現カセットに用意することができる。当該発現カセットは、調節領域の転写調節下にある除草剤抵抗性配列を挿入するための複数の制限部位を備える。
【0114】
プロモーターは、植物宿主および/または本発明のDNA配列に対して天然または類似であってもよいし、外来または異種であってもよい。そのうえ、プロモーターは、天然配列または合成配列であってもよい。プロモーターが、植物宿主に対して「天然」または「同種」である場合には、そのプロモーターは、そのプロモーターが導入された天然植物に見出されることを意味する。プロモーターが、本発明のDNA配列に対して「外来」または「異種」である場合には、そのプロモーターは、作動可能に連結した本発明のDNA配列についての天然プロモーターでも自然発生的プロモーターでもないことを意味する。「異種」は一般に、細胞にも、ポリヌクレオチド配列が存在する天然ゲノムの部分にも内因性でなく、感染、トランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、マイクロプロジェクションなどにより細胞に加えられたポリヌクレオチド配列を表す。「作動可能に連結した」により、プロモーターと第2配列との間の機能的連結を意味し、ここで、プロモーター配列は、第2配列に対応するDNA配列の転写を開始し仲介する。一般に、作動可能に連結したは、連結されつつあるポリヌクレオチド配列が連続的で、必要に応じて2つのタンパク質コード領域を連続して同じリーディングフレームに繋ぐことを意味する。
【0115】
そのような構築物は、5’および3’未翻訳領域もまた有することが多いものである。当該構築物は、「シグナル配列」または「リーダー配列」を有し、関心対象のポリペプチドを、クロロプラスト(または他の色素体)、小胞体、もしくはゴルジ装置などのある種の細胞内構造に同時翻訳輸送または翻訳後輸送するのを容易にするか、または分泌される「シグナル配列」または「リーダー配列」を有しうる。例えば、遺伝子を操作して、ペプチドを小胞体に移入するのを促進するシグナルペプチドを有するようにすることができる。「シグナル配列」により、細胞膜を通過する同時翻訳ペプチド輸送または翻訳後ペプチド輸送を招くことが公知であるか、またはその疑いのある配列を意味する。真核生物では、この配列は、典型的にはゴルジ装置への分泌を伴い、結果としていくらかのグリコシル化が生じる。「リーダー配列」により、翻訳された場合に、細胞内小器官へのペプチド鎖の同時翻訳輸送の誘因となるのに十分なアミノ酸を生じる任意の配列を意味する。したがって、これには、小胞体内への運搬、液胞、クロロプラストを含めた色素体、およびミトコンドリアなどへの運搬により輸送および/またはグリコシル化を標的付けるリーダー配列が含まれる。植物発現カセットもまたイントロンを有するように操作することにより、発現にイントロンのmRNAプロセシングが必要となるようにすることもできる。
【0116】
「3’非翻訳領域」により、コード配列下流に位置するヌクレオチド配列を意味する。ポリアデニル化シグナル配列(例えばポリアデニル化ヌクレオチド)、およびmRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸区域の付加に影響することができる調節シグナルをコードするその他の配列は、3’非翻訳領域である。「5’非翻訳領域」により、コード配列上流に位置するヌクレオチド配列を意味する。
【0117】
他の上流または下流の非翻訳エレメントにはエンハンサーがある。エンハンサーは、プロモーター領域の発現を増加させるように作用するヌクレオチド配列である。エンハンサーは当技術分野において十分に公知であり、エンハンサーには、SV40エンハンサー領域および35Sエンハンサーエレメントがあるが、それに限定されるわけではない。
【0118】
終止領域は、転写開始領域と共に天然であってもよく、本発明の除草剤抵抗性配列と共に天然であってもよく、また別の起源に由来してもよい。好都合な終止領域は、A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)のTiプラスミドから得ることができ、オクトピンシンターゼおよびノパリンシンターゼの終止領域などである。Guerineauら(1991年)Mol. Gen. Genet.262:141〜144;Proudfoot(1991年)Cell64巻:671〜674頁;Sanfaconら(1991年)Genes Dev.5巻:141〜149頁;Mogenら(1990年)Plant Cell2巻:1261〜1272頁;Munroeら(1990年)Gene91巻:151〜158頁;Ballasら(1989年)Nucleic Acids Res.17巻:7891〜7903頁;およびJoshiら(1987年)Nucleic Acid Res.15巻:9627〜9639頁も参照されたい。
【0119】
適切な場合には、形質転換された宿主細胞での発現増大のために、遺伝子を最適化してもよい。すなわち、発現の向上のために宿主細胞に好まれるコドンを使用して遺伝子を合成することができるし、宿主に好まれるコドン利用頻度でコドンを使用して合成してもよい。一般に、遺伝子のGC含量は増大するであろう。例えば、宿主に好まれるコドン利用の考察についてはCampbellおよびGowri(1990年)Plant Physiol.92巻:1〜11頁を参照されたい。宿主に好まれる遺伝子を合成するための方法は当技術分野において公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6320100号;第6075185号;第5380831号;および第5436391号、米国出願公開第20040005600号および第20010003849号、ならびにMurrayら(1989年)Nucleic Acids Res.17巻:477〜498頁を参照されたい。
【0120】
一実施形態において、関心対象のポリヌクレオチドは、発現のためにクロロプラストに標的付けられる。このように、関心対象のポリヌクレオチドがクロロプラストに直接挿入されない場合には、発現カセットは、そのうえクロロプラストに関心対象の遺伝子産物を方向付ける輸送ペプチドをコードするポリヌクレオチドを有するであろう。当該輸送ペプチドは、当技術分野において公知である。例えば、Von Heijneら(1991年)Plant Mol. Biol. Rep.9巻:104〜126頁;Clarkら(1989年)J. Biol. Chem.264巻:17544〜17550頁;Della−Cioppaら(1987年)Plant Physiol.84巻:965〜968頁;Romerら(1993年)Biochem. Biophys. Res. Commun.196巻:1414〜1421頁;およびShahら(1986年)Science233巻:478〜481頁を参照されたい。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、アミノ末端クロロプラスト輸送ペプチドおよびEPSPS酵素を有する融合ポリペプチドをコードする。「融合ポリペプチド」は、例えば第1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列から終止コドン除去すること、次に第2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をフレーム内に付属させることにより作製することができ、それにより、次に結果として生じたポリヌクレオチド配列が、単一ポリペプチドとして細胞により発現されるであろう。
【0121】
植物の核とクロロプラストとの間のコドン利用の差を説明するために、クロロプラストに標的付けられた関心対象のポリヌクレオチドを、この小器官での発現について最適化してもよい。このようにして、関心対象のポリヌクレオチドをクロロプラストに好まれるコドンを使用して合成してもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5380831号を参照されたい。
【0122】
典型的には、この「植物発現カセット」は、「植物形質転換ベクター」に挿入されるであろう。「形質転換ベクター」により、細胞の効率的な形質転換に必要なDNA分子を意味する。当該分子は、1つまたは複数の発現カセットからなることがあり、1つを超える「ベクター」DNA分子に組織化されうる。例えば、バイナリーベクターは、植物細胞の形質転換のために要求される全てのシス作用機能およびトランス作用機能をコードする2つの非連続DNAベクターを利用する植物形質転換ベクターである(HellensおよびMullineaux(2000年)Trends in Plant Science5巻:446〜451頁)。「ベクター」は、異なる宿主細胞の間で移動させるように設計されたポリヌクレオチド構築物を表す。「発現ベクター」は、外来細胞に異種DNA配列または断片を取り込み、組み込み、かつ発現させる能力を有するベクターを表す。
【0123】
この植物形質転換ベクターは、植物形質転換を実現するために必要な1つまたは複数のDNAベクターから構成されてもよい。例えば、1つを超える連続DNAセグメントから構成される植物形質転換ベクターを利用することは、当技術分野における慣行である。これらのベクターは、当技術分野において「バイナリーベクター」と呼ばれることが多い。バイナリーベクターおよびヘルパープラスミドを有するベクターは、ほとんどの場合アグロバクテリウム介在性形質転換に使用され、その形質転換では効率的な形質転換の実現に必要なDNAセグメントのサイズおよび複雑性は極めて大きく、別々のDNA分子に機能を分離することが好都合である。バイナリーベクターは、典型的にはT−DNA移入に必要なシス作用配列(左境界および右境界など)、植物細胞に発現できるように操作された選択マーカー、および「関心対象の遺伝子」(トランスジェニック植物の作製が望まれる植物細胞に発現できるように操作された遺伝子)を有するプラスミドベクターを有する。このプラスミドベクターには、細菌での複製に必要な配列もまた存在する。このシス作用配列は、植物細胞内へ効率的に移入させ、その細胞で発現させるように配列される。例えば、選択マーカー遺伝子および関心対象の遺伝子は、左境界と右境界との間に位置する。第2プラスミドベクターは、アグロバクテリウムから植物細胞へのT−DNA移入を仲介するトランス作用因子を有することが多い。このプラスミドは、病原性機能(Vir遺伝子)を有することが多く、その機能は、当技術分野において了解されているようにアグロバクテリウムにより植物細胞を感染させ、境界配列の開裂およびvir介在性DNA移入によりDNAを移入させる(HellensおよびMullineaux(2000年)Trends in Plant Science、5巻:446〜451頁)。いくつかの種類のアグロバクテリウム株(例えばLBA4404、GV3101、EHA101、EHA105など)を植物形質転換に使用することができる。マイクロプロジェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、ポリエチレングリコールなどの他の方法により植物を形質転換するために、第2プラスミドベクターは必要ではない。
【0124】
植物形質転換
本発明の方法は、植物にヌクレオチド構築物を導入することを伴う。「導入する」により、ヌクレオチド構築物が植物細胞の内部にアクセスする方法で、その植物にその構築物を提示することを意味する。本発明の方法は、ヌクレオチド構築物を植物に導入する特定の方法を使用する必要がなく、植物の少なくとも1つの細胞の内部にヌクレオチド構築物がアクセスすることだけが必要である。植物にヌクレオチド構築物を導入する方法は、安定形質転換法、一過性形質転換法、およびウイルス介在法を含めて当技術分野において公知であるが、それに限定されるわけではない。
【0125】
一般に、植物形質転換法は、標的植物細胞(例えば未熟または成熟胚、懸濁培養物、未分化カルス、プロトプラストなど)に異種DNAを移入し、続いて(選択マーカー遺伝子と、この場合は「グリフォセート」に応じて)最大閾値レベルの適切な選択を適用して、一群の未形質転換細胞塊から形質転換された植物細胞を回収することを伴う。この工程において、本発明の1つまたは複数のクラスIIIドメインを有するグリフォセート抵抗性ポリペプチドは、選択マーカーとして使用してもよい。
【0126】
外植片は、典型的には同じ培地の新鮮供給物に移植され、日常的に培養される。続いて、形質転換細胞は、最大閾値レベルの選択剤(例えば「グリフォセート」)を補充した再生培地上に置かれた後にシュートに分化する。次にシュートは、発根したシュートまたは小植物体を回収するための選択発根培地に移植される。次に、このトランスジェニック小植物体を成熟植物に生育させ、稔性種子を生産する(例えばHieiら(1994年)The Plant Journal6巻:271〜282頁;Ishidaら(1996年)Nature Biotechnology14巻:745〜750頁)。外植片は、典型的には同じ培地の新鮮供給物に移植され、日常的に培養される。トランスジェニック植物を作製する技法および方法の一般的な説明は、AyresおよびPark(1994年)Critical Reviews in Plant Science13巻:219〜239頁ならびにBommineniおよびJauhar(1997年)Maydica42巻:107〜120頁に見出される。形質転換された材料が多数の細胞を有することから、形質転換細胞および非形質転換細胞の両方が、供された標的カルスまたは組織または細胞群の任意の一部分に存在する。非形質転換細胞を死滅させ、形質転換細胞に増殖させることができる結果として、形質転換植物の培養物が生じる。非形質転換細胞を除去できることは、形質転換された植物細胞の迅速な回収およびトランスジェニック植物の作製成功への制限となる。次に、トランスジェニック植物のゲノムに組み込まれた関心対象の異種遺伝子の存在を確認するために、分子法および生化学法が使用されるであろう。
【0127】
トランスジェニック植物の作製は、アグロバクテリウムによる植物細胞への異種DNAの導入(アグロバクテリウム介在性形質転換)、粒子に接着した異種外来DNAを用いた植物細胞の衝撃、およびDNAを移入するための様々な他の非粒子直接−介在法を含むが、それに限定されるわけではないいくつかの方法の1つによって行ってもよい(例えばHieiら(1994年)The Plant Journal6巻:271〜282頁;Ishidaら(1996年)Nature Biotechnology14巻:745〜750頁;AyresおよびPark(1994年)Critical Reviews in Plant Science13巻:219〜239頁;BommineniおよびJauhar(1997年)Maydica42巻:107〜120頁)。
【0128】
クロロプラストの形質転換細胞のための方法は当技術分野において公知である。例えば、Svabら(1990年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA87巻:8526〜8530頁;SvabおよびMaliga(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA90巻:913〜917頁;SvabおよびMaliga(1993年)EMBO J.12巻:601〜606頁を参照されたい。この方法は、選択マーカーを有するDNAの粒子銃による送達、および相同組換えによる色素体ゲノムへのDNAの標的付けに頼っている。そのうえ、色素体の形質転換は、核にコードされる色素体に特異的RNAポリメラーゼの組織選好的発現によるサイレントな色素体媒介導入遺伝子のトランス活性化により実現することができる。そのような系は、McBrideら(1994年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA91巻:7301〜7305頁に報告されている。
【0129】
形質転換された細胞は、従来方法により植物の中で生育させることができる。例えばMcCormickら(1986年)Plant Cell Reports5巻:81〜84頁を参照されたい。次にこれらの植物を生育させ、同じ形質転換株または異なる株のいずれかを用いて受粉させ、結果として生じた、所望の表現型の特徴を構成的に発現する雑種を同定してもよい。2世代以上生育させて、所望の表現型の特徴の発現が安定に維持され、遺伝されることを確認し、次に種子を収穫して所望の表現型の特徴発現が実現されたことを確認してもよい。このようにして、本発明は、本発明のヌクレオチド構築物、例えば本発明の発現カセットがゲノムに安定に取り込まれた形質転換種子(「トランスジェニック種子」とも呼ばれる)を提供する。
【0130】
植物
本発明は、単子葉類および双子葉類を非限定的に含めた任意の植物種の形質転換のために使用してもよい。関心対象の植物の例には、トウモロコシ、モロコシ、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、コショウ、ジャガイモ、ワタ、イネ、ダイズ、サトウダイコン、サトウキビ、タバコ、オオムギ、ナタネ、アブラナ属種(Brassica sp.)、アルファルファ、ライムギ、ミレット、サフラワー、ラッカセイ、サツマイモ、キャッサバ、コーヒー、ココナッツ、パイナップル、柑橘類植物、ココア、チャ、バナナ、アボカド、イチジク、グアバ、マンゴー、オリーブ、パパイヤ、カシュー、マカダミア、アーモンド、カラスムギ、野菜、観賞植物、および針葉樹があるが、それに限定されるわけではない。
【0131】
野菜には、トマト、レタス、グリーンビーンズ、アオイマメ、エンドウ、およびクルクミス(Curcumis)属のメンバー(キュウリ、カンタロープ、およびマスクメロンなど)があるが、それに限定されるわけではない。観賞植物には、アザレア、アジサイ、フヨウ、バラ、チューリップ、スイセン、ペチュニア、カーネーション、ポインセチア、およびキクがあるが、それに限定されるわけではない。好ましくは、本発明の植物は、作物植物(例えば、トウモロコシ、モロコシ、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、コショウ、ジャガイモ、ワタ、イネ、ダイズ、サトウダイコン、サトウキビ、タバコ、オオムギ、ナタネなど)である。
【0132】
本発明は、トウモロコシ、イネ、オオムギ、カラスムギ、コムギ、モロコシ、ライムギ、サトウキビ、パイナップル、ヤムイモ、タマネギ、バナナ、ココナッツ、およびナツメヤシを非限定的に含めた単子葉類植物の科の任意のメンバーに特に適する。
【0133】
植物形質転換の評価
異種外来DNAを植物細胞に導入した後に、植物ゲノム中の異種遺伝子の形質転換または組み込みは、組み込まれた遺伝子に関連するポリヌクレオチド、タンパク質、および代謝物の分析などの様々な方法により確認される。
【0134】
PCR分析は、土壌に移植する前の初期段階に、取り込まれた遺伝子の存在について形質転換された細胞、組織、またはシュートをスクリーニングする迅速法である(SambrookおよびRussell(2001年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州)。PCRは、関心対象の遺伝子またはアグロバクテリウムベクターのバックグラウンドなどに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して行う。
【0135】
植物形質転換は、ゲノムDNAのサザンブロット分析(SambrookおよびRussell、2001年、上記)により確認してもよい。一般に、総DNAを形質転換体から抽出し、適切な制限酵素で消化し、アガロースゲルで分画し、ニトロセルロース膜またはナイロン膜に移行させる。次に、その膜すなわち「ブロット」は、例えば放射標識32P標的DNA断片を用いて探査し、導入された遺伝子が植物ゲノムに組み込まれていることを標準技法により確認される(SambrookおよびRussell、2001年、上記)。
【0136】
ノーザン分析では、RNAを形質転換体の特異的組織から単離し、ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、当技術分野において日常的に使用されている標準的な手順によりナイロンフィルターにブロットする(SambrookおよびRussell、2001年、上記)。次に、当技術分野において公知の方法によりGDC由来の放射性プローブにフィルターをハイブリダイズすることにより、本発明の配列によりコードされるRNAの発現を試験する(SambrookおよびRussell、2001年、上記)。
【0137】
トランスジェニック植物に関してウエスタンブロットおよび生化学アッセイなどを行って、除草剤抵抗性タンパク質に存在する1つまたは複数のエピトープに結合する抗体を使用する標準的な手順(SambrookおよびRussell、2001年、上記)により、除草剤抵抗性遺伝子によりコードされるタンパク質の存在を決定してもよい。
【0138】
本発明は、グリフォセート抵抗活性を有するEPSPシンターゼを同定する方法にもまた向けられている。その方法は、ある保存された配列ドメインがEPSPシンターゼのアミノ酸配列に存在するかどうかを決定することを伴う。上に挙げた1つまたは複数のドメインの存在である。
【0139】
配列からタンパク質の機能を予測
本発明の方法および同定されたドメインを使用して、グリフォセート耐性を付与する追加的なポリペプチド(例えば配列番号2、4、46、および48)を同定することができる。これらの追加的なポリペプチドは、EPSPシンターゼ配列を有する配列データベースを検索することにより、および/またはクラスIIIドメインの存在を検索するためのEPSPシンターゼのポリペプチド配列のアライメントにより同定することができる。これらのポリペプチドには、公知のポリペプチドおよび新たに同定されたポリペプチドがある。これらのドメインの幾分かの変更は、これらのドメインがグリフォセート抵抗性を付与する性質を破壊せずに事実上許容されるため、本明細書に挙げるドメインと等価であることが了解されている。
【0140】
一般に、4つのレベルのタンパク質構造、すなわちアミノ酸直鎖配列すなわちポリペプチド配列からなる一次構造、αヘリックス、βストランド、およびタンパク質が折り畳まれるターンにより示される二次構造、組み合わされて小型球状ドメインを形成する単純なモチーフから構成される三次構造、ならびに数個のアミノ酸鎖またはサブユニットを含みうる四次構造がある。配列から機能を予測する場合には、機能的に重要なモチーフまたはパターンを同定することが重要である。類似の折畳みを有するタンパク質ドメインは、同じ分子機能を共有することが多い(HegyiおよびGerstein(1999年)J. Mol. Biol.288巻:147〜164頁;MoultおよびMelamud(2000年)Curr. Opin. Struct. Biol.10巻:384〜389頁;Shakhnovichら(2003年)J. Mol. Biol.326巻:1〜9頁)。タンパク質の機能に重要なドメインの同定は、多配列アライメントにより行うことができる。
【0141】
ホモロジーモデリング、すなわち実験的に決定された3D構造を有する配列ホモログ(同一性>25%)を使用することによって、三次元構造を予測することができる。例えば大腸菌EPSPシンターゼ(AroA)の三次元構造は十分に公知である(Shonbrunnら(2001年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA98巻:1375〜1380頁)。この構造は、AroAとグリフォセートおよびシキミ酸3−リン酸との結晶化に基づく。
【0142】
以下の実施例は、限定としてではなく例証として提供されるものである。
【実施例】
【0143】
(実施例1)
EPSPS遺伝子の単離
クラスIII EPSPS酵素をコードする遺伝子は、7つの異なる細菌(肺炎桿菌、アグロバクテリウムラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、リゾビウム種(Rhizobium sp.)、ブレブンドモナスベシキュラリス(Brevundomonas vesicularis)、アグロバクテリウムツメファシエンス、シュードモナスシリンゲ(Pseudomonas syringae)、およびブルセラ(Brucella)/オクロバクトラム(Ochrobactrum)から単離されている。
【0144】
grg8オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、2004年12月29日に出願された米国特許出願第60/640195号に提供され、本出願のそれぞれ配列番号7および配列番号8に提供される。
【0145】
grg12オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、本出願のそれぞれ配列番号57および10、ならびに配列番号58および59に提供される。
【0146】
grg15オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、本出願のそれぞれ配列番号11および配列番号12に提供される。
【0147】
grg6オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、GenBank受託番号AE016853の塩基1140091から1141347に提供され、本出願のそれぞれ配列番号1および配列番号2に提供される。
【0148】
grg9オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、GenBank受託番号NC_003304の塩基628398から629675に提供され、本出願のそれぞれ配列番号3および配列番号4に提供される。
【0149】
grg7オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、本出願のそれぞれ配列番号45および配列番号46に提供される。
【0150】
grg5オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、GenBank受託番号NC_005773の塩基1から1257に書いてあり、本出願のそれぞれ配列番号47および配列番号48に提供される。
【0151】
トウモロコシEPSPSオープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、GenBank受託番号X63374(gi:1524383)の塩基1から1335に提供され、タンパク質の配列は本出願の配列番号50に提供される。
【0152】
国際特許出願WO2005014820に開示されている細菌EPSPSのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、本出願のそれぞれ配列番号53および配列番号54に提供される。
【0153】
grg7m1オープンリーディングフレームのDNAコード配列およびアミノ酸配列は、本出願のそれぞれ配列番号55および配列番号56に提供される。
(実施例2)
シュードモナスシリンゲpvトマト(Pseudomonas syringae pv tomato)DC3000株由来EPSPシンターゼ遺伝子をクローニングする
次のプライマーを使用して、シュードモナスシリンゲpvトマトDC3000株(ATCC BAA−871)のゲノムDNAからEPSPシンターゼのコード配列をPCR増幅した:
【0154】
【化166】

(上流、配列番号61)および
【0155】
【化167】

(下流、配列番号62)。結果として生じた1.3kbのPCR産物をBglIIおよびAscIで消化し、BamHIおよびArcIで消化した変更pUC18に連結し、次にDH5α細胞にエレクトロポレーションした。アンピシリン耐性コロニーからプラスミドDNAを調製し、制限消化により分析した。さらに分析するために1つのクローンを選択した。当技術分野において十分に公知の技法を使用して挿入部のDNA配列を決定し、DC3000株について公表された配列(Genbank受託番号AE016853の塩基1140091から1141347)と100%同一であることを見出した。このプラスミドをpAX703と名付け、EPSPSのORFをgrg6と名付けた。
【0156】
プラスミドpAX703をΔaroA大腸菌細胞に形質転換し、欠失を相補することを見出した。これにより、grg6が機能的EPSPシンターゼをコードすることを実証した。
(実施例3)
アグロバクテリウムラジオバクターC58株からEPSPシンターゼ遺伝子をクローニングする
次のプライマーを使用して、アグロバクテリウムツメファシエンスC58株(ATCC 33970)のゲノムDNAからEPSPシンターゼのコード配列をPCR増幅した:
【0157】
【化168】

(上流、配列番号63)および
【0158】
【化169】

(下流、配列番号64)。結果として生じた1.3kbのPCR産物をBamHIおよびAscIで消化し、BamHIおよびArcIで消化した変更pUC18に連結し、次にDH5α細胞にエレクトロポレーションした。アンピシリン耐性コロニーからプラスミドDNAを調製し、制限消化により分析した。さらに分析するために1つのクローンを選択した。当技術分野において十分に公知の技法を使用して挿入部のDNA配列を決定し、C58株について公表された配列(Genbank受託番号NC_003304の塩基628398から629675)と100%同一であることを見出した。このプラスミドをpAX702と名付け、C58 EPSPSのORFをgrg9と名付けた。
【0159】
プラスミドpAX702をΔaroA大腸菌細胞に形質転換し、欠失を相補することを見出した。これにより、grg9が機能的EPSPシンターゼをコードすることを実証した。
(実施例4)
グリフォセート抵抗性についてgrg6およびgrg9を試験する
大腸菌細胞にそれぞれgrg6およびgrg9を有するプラスミドpAX703およびpAX702を形質転換し、様々な濃度のグリフォセートを含有するM63寒天培地に画線した。ベクタープラスミドpUC18をグリフォセート感受性対照として使用した。結果を下の表1に示す。この結果は、grg6またはgrg9の発現が高レベルのグリフォセートに対する抵抗性を付与することを実証している。
【0160】
表1
【0161】
【表1】

(実施例5)
シュードモナスシリンゲpvシリンゲ(Pseudomonas syringae pv syringae)B728a株からEPSPシンターゼ遺伝子をクローニングする
次のプライマーを使用して、シュードモナスシリンゲpvシリンゲB728a株の単一ウェル単離コロニーからEPSPシンターゼコード配列をPCR増幅した:
【0162】
【化170】

(上流、配列番号65)および
【0163】
【化171】

(下流、配列番号66)。結果として生じた1.26kbのPCR産物を適切な制限酵素で消化し、ベクターpRSF1bに連結し、次に大腸菌細胞にエレクトロポレーションした。アンピシリン耐性コロニーからプラスミドDNAを調製し、これを制限消化により分析した。さらに分析するために1つのコロニーを選択し、pAX1923と名付けた。pAX1923のオープンリーディングフレームのDNA配列を決定し、シュードモナスシリンゲpvシリンゲB728a株由来EPSPSの公表された配列と同一であることを見出した。したがって、このオープンリーディングフレームをgrg7と名付けた。
【0164】
同様に、別の1.26kbのPCR産物をBamHIおよびAscIで消化し、BamHIおよびAscIで消化した変更pUC18に連結し、次に、DH5α細胞にエレクトロポレーションした。アンピシリン抵抗性コロニーからプラスミドDNAを調製し、制限消化により分析した。さらに分析するために1つのコロニーを選択した。当技術分野において十分に公知の技法を使用してpAX712の挿入部のDNA配列を決定し、シュードモナスシリンゲpvシリンゲB728a株(Genbank受託番号NZ_AABP02000003の塩基39901から41400)の公表されたDNA配列と比べた場合に3つのヌクレオチド変化を有することを見出した。これらの3つのヌクレオチド変化は、公表された配列にコードされる仮説的タンパク質に対して1つのアミノ酸変化を有するタンパク質を生じる。プラスミドpAX712において同定された、EPSPSをコードするB728a株由来のオープンリーディングフレームをgrg7m1(配列番号55、grg7m1のタンパク質配列は配列番号56に示す)と名付けた。
(実施例6)
シュードモナスシリンゲpvファセオリコラ(Pseudomonas syringae pv phaseolicola)1148a株からのEPSPシンターゼ遺伝子のクローニング
シュードモナスシリンゲpvファセオリコラ1148a株のEPSPSについての配列データは、www.tigr.orgのThe Institute for Genomic Researchのホームページから得た。The Institute for Genomic Research(「TIGR」)から入手できるDNA配列(個人的に得た情報)に基づき設計された次のプライマーを使用して、シュードモナスシリンゲpvファセオリコラ1148a株(ATCC BAA−978)のゲノムDNAからシュードモナスシリンゲpvファセオリコラ1148a株のEPSPシンターゼのコード配列をPCR増幅した:
【0165】
【化172】

(上流、配列番号67)および
【0166】
【化173】

(下流、配列番号68)。結果として生じた1.26kbのPCR産物をBamHIおよびAscIで消化し、BamHIおよびAscIで消化した変更pUC18に連結し、次にDH5α細胞にエレクトロポレーションした。アンピシリン抵抗性コロニーからプラスミドDNAを調製し、制限消化により分析した。さらに分析するために1つのコロニーを選択し、pAX713と名付けた。当技術分野において十分に公知の技法を使用してpAX713の挿入部のDNA配列を決定し、シュードモナスシリンゲpvファセオリコラ1148a株の公表されたDNA配列と100%同一であると見出した(The Institute for Genomic Research(TIGR)が実施し、www.tigr.orgからオンラインで電子形態として入手できる)。このプラスミドをpAX713と命名し、プラスミドpAX713において同定されたEPSPSをコードする、1448a株由来のオープンリーディングフレームをgrg5と名付けた。
(実施例7)
グリフォセート抵抗性についてのgrg5およびgrg7の試験
それぞれgrg5、grg7、およびgrg7m1を有するプラスミドpAX713、pAX1923、およびpAX712を大腸菌細胞に形質転換し、様々な濃度のグリフォセートを含有するM63寒天培地に画線した。ベクタープラスミドpUC18をグリフォセート感受性対照として使用した。結果を下の表2に示す。この結果は、grg5、grg7、またはgrg7m1の発現が高レベルのグリフォセートに対する抵抗性を付与することを実証している。
【0167】
表2
【0168】
【表2】

(実施例8)
ATX20019の単離
唯一のリン源としてグリフォセートを含有するHEPES無機塩培地(HMSM)のプレートに土壌試料を蒔くことによりATX20019を単離した。HMSMは芳香族アミノ酸を有さないことから、この培地上で成長するためには、株はグリフォセートに抵抗性でなければならない。
【0169】
土壌2gを水約10mlに懸濁し、15秒間ボルテックスし、15分間沈降させた。10mMグリフォセート(pH7.0)を補充したHMSM3mlにこの懸濁液1白金耳(10μl)を加えた。HMSMは、(1リットルあたり)グルコース10g、NHSO 2g、HEPES9.53g、0.8M MgSO 1.0ml、0.1M CaCl 1.0ml、微量元素溶液1.0ml(1000×溶液100ml中にFeSO・7HO 0.1g、CuSO・5HO 0.5mg、HBO 1.0mg、MnSO・5HO 1.0mg、ZnSO・7HO 7.0mg、MoO 1.0mg、KCl 4.0g)を含有する。培養物を振盪培養器で28℃で4日間生育させ、次に20μlを使用して、唯一のリン源として10mMグリフォセートを含有する新鮮HMSM2.5mlに接種した。2日後に、20μlを使用して別の新鮮2.5ml培養物に接種した。5日後に20μlを使用して新鮮培養液2.5mlに接種した。十分に生育した後で、唯一のリン源として10mMグリフォセートを含有するHMSM寒天が入った寒天プレート表面に1白金耳(1μl)を画線することにより、固形培地上に培養物を蒔き、28℃で保管した。次に、単離するために培養物をもう一度プレートに蒔いた。高グリフォセート濃度の存在下で生育できる能力が原因で、ATX20019と呼ばれる特定の一株を選択した。16S rDNAの配列決定およびデータベースとの比較により、ATX20019はオクロバクトラム種(Ochrobactrum sp.)/ブルセラ種(Brucella sp.)のメンバーであると決定した。
(実施例9)
コスミドライブラリーの調製およびスクリーニング
当技術分野において一般に公知の方法を使用して、ATX20019の培養物から総DNAを抽出した。制限酵素Sau3A1でDNAを部分消化し、製造業者の指示に従ってSuperCos(Stratagene)ベクター断片に連結した。GigaPack III XLパッケージング抽出物(Stratagene)を使用して連結産物をファージ粒子にパッケージし、大腸菌aroA−細胞にトランスフェクトした。大腸菌aroA−は、EPSPシンターゼをコードする天然aroA遺伝子が欠失した株である。この株は、外部から供給した芳香族アミノ酸を必要とするため、M63培地上では生育できない。EPSPシンターゼ遺伝子を有するコスミドが存在すると、AroA−表現型を遺伝的に相補でき、すなわち、外部から供給した芳香族アミノ酸なしにこの株をM63培地上で生育させる。
【0170】
100mM KHPO、15mM (NHSO、50μM CaCl、1μM FeSO、50μM MgCl、55mMグルコース、25mg/l L−プロリン、10mg/lチアミンHCl、pHを7.0に調整するのに十分なNaOH、および15g/l寒天を含有する、50μg/mlカナマイシンを含有するM63寒天培地のプレートにトランスフェクトされた細胞を蒔いた。この培地上で生育した2つのコロニーを確認した。これらのコロニーのそれぞれからコスミドDNAを調製し、大腸菌AroA−細胞にもう一度形質転換した。それぞれの場合で、コスミドDNAを用いてもう一度形質転換した細胞は、0または10mMグリフォセート存在下でM63培地上で生育したが、空のSuperCosベクターを有する細胞は生育しなかった。これは、コスミドがaroA−表現型を相補することができ、グリフォセートに対する抵抗性を付与することができることを確認している。これらのコスミドをpAX1100およびAX1101と命名した。2つの異なる酵素を使用した制限消化分析によると、これらのコスミドは同一と思われた。さらに特徴付けるために、一方のコスミドであるpAX1101を選択した。
(実施例10)
コスミドpAX1101におけるgrg12の同定
コスミドpAX1101により示されるグリフォセート抵抗性を担う遺伝子を同定するために、このクローン由来のDNAを転移因子を用いて突然変異誘発した。この方法では、トランスポゾンの挿入を受け、グリフォセート抵抗性を付与する能力を失ったクローンが同定される。トランスポゾン挿入部の位置により、グリフォセート抵抗性表現型を担うオープンリーディングフレームが同定される。
【0171】
EZ::TN Insertion Kit(Epicentre、マディソン、ウィスコンシン州)および製造業者のプロトコールを使用したin vitroトランスポゾン突然変異誘発にコスミドpAX1101を供した。この工程により、コスミドDNAにトランスポゾン断片がランダムに挿入され、したがって、コスミド中の遺伝子の機能がランダムに破壊される。トランスポゾンは、抗生物質に対する抵抗性をコードする遺伝子を有するので、その抗生物質の存在下で生育できる能力により、トランスポゾン挿入クローンを選択することができる。トランスポゾン挿入部の位置は、制限断片のマッピングにより、またトランスポゾン中でアニールするプライマーを用いた配列決定により決定することができる。
【0172】
トランスポゾン挿入クローンpAX1101を大腸菌株DH5αに形質転換し、グリフォセート含有M63培地のプレートに蒔いた。グリフォセート存在下で生育できる能力を失った多数のクローンが見出され、これは、トランスポゾンが抵抗性を担う遺伝子を破壊したことを示している。
【0173】
当技術分野において十分に公知の配列決定法を使用して、トランスポゾン挿入部を有するpAX1101の領域についてDNA配列を決定した。それを配列番号9として提示する。オープンリーディングフレーム(ORF)を、配列番号9の塩基46から1380に同定した。このヌクレオチド配列は配列番号57として提供され、対応するアミノ酸配列は配列番号58として提供される。グリフォセート抵抗性を失ったえり抜きの8つのトランスポゾン挿入部からの配列データの解析により、全てがORF内であることが明らかになった。これは、そのORFがコスミドにより付与されたグリフォセートに対する抵抗性をコードすることを示す。この遺伝子をgrg12と命名した。grg12のORFを有するコスミドpAX1101は、2005年4月4日にthe Agricultural Research Service Culture Collection(NRRL)に寄託され、受託番号B−30833を割り当てられた。
(実施例11)
他のタンパク質とのGRG12の相同性
GRG12は、EPSPシンターゼ酵素と相同性を有する。GRG12のアミノ酸配列(配列番号10)と、他のEPSPシンターゼのアミノ酸配列とのアライメントを図1に示す。表3に様々なEPSPシンターゼとのGRG12の同一率を挙げる。アミノ酸配列(配列番号10)の調査により、それがクラスII EPSPシンターゼ酵素に典型的な4つのドメインを有さないことが明らかとなった。したがって、GRG12は新規な、クラスIIではないグリフォセート抵抗性EPSPシンターゼである。
【0174】
GRG12は、WO2005014820(配列番号54)に記載されたEPSPSと最高のアミノ酸相同性を有する。GRG12(配列番号10)は、WO2005014820に記載されたEPSPSと92%のアミノ酸同一性を有する。
【0175】
表3.他のEPSPシンターゼとのGRG12のアミノ酸同一性
【0176】
【表3】

grg12のDNA配列(配列番号9)のさらなる解析から、配列番号9のヌクレオチド142のGTG開始コドンで始まる第2の短いオープンリーディングフレーム(配列番号58)の存在が明らかとなった。このオープンリーディングフレームの翻訳の結果としてタンパク質(配列番号59)が生じ、そのタンパク質は、配列番号10に存在するバリンの代わりに配列番号59の開始コドンがメチオニンである以外は、配列番号10の残基33〜444と同一である。公知のEPSPSタンパク質との配列番号59のアライメントにより、このタンパク質がEPSPSとしての機能に重大であることが公知である全ての残基を有することが示された。したがって、このタンパク質は機能的なグリフォセート抵抗性EPSPS酵素を含むと思われる一方で、高度に保存されたドメイン内部の開始コドンからの翻訳開始に起因するタンパク質は機能的ではなさそうに思われる。配列番号59は、WO2005014820に記載されたEPSPS(配列番号54)と97%同一である。
【0177】
両方のオープンリーディングフレーム(配列番号57および58)が機能的EPSPS活性をコードする能力は、PCRにより各オープンリーディングフレームを増幅すること、適切なプロモーターの制御下で結果として生じたPCR断片をプラスミドベクターにクローニングすること、当技術分野において公知のオープンリーディングフレームからのタンパク質発現を誘導すること、および発現したタンパク質が大腸菌におけるaroA−表現型を相補し、グリフォセート抵抗性を付与する能力を比較することにより試験することができる。
(実施例12)
大腸菌にGRG12タンパク質を発現させるためのgrg12の操作
grg12のオープンリーディングフレーム(ORF)をPCRにより増幅し、やや変更したバージョンのプラスミドベクターpUC18にクローニングし、大腸菌DH5α株に形質転換した。pUC18への変更は次の通りであった:ストップコドンをlacZオープンリーディングフレームに挿入し、(挿入したgrg12 ORFの翻訳開始を最適化するための)リボソーム結合部位をBamHI制限部位上流に挿入した。プラスミドDNAを調製し、grg12挿入部の存在および方向を制限消化により決定した。ベクター中でlacプロモーターに関して順方向にORFを有する一クローンをpAX1106と名付け、グリフォセートに対する抵抗性を付与できる能力について試験した。0から200mMグリフォセートを含有するM63寒天プレート上に、pAX1106または空のベクタープラスミドを有する大腸菌細胞を画線した。結果を下の表4に示す。これらの結果は、grg12が高レベルのグリフォセートに対する抵抗性を付与することを実証している。
【0178】
表4.M63グリフォセート寒天上でのpAX1106の成長
【0179】
【表4】

(実施例13)
大腸菌に6×Hisタグ付きタンパク質として発現したGRG12の精製
PFUULTRA(商標)DNAポリメラーゼ(Stratagene)を使用したPCRによりgrg12のコード領域を増幅する。PCRを刺激するために使用するオリゴヌクレオチドは、結果として生じるPCR産物の5’末端および3’末端近くに制限酵素認識部位を導入するように設計する。適切な制限酵素を用いて、結果として生じるPCR産物を消化し、消化産物を6×Hisタグ発現ベクターpRSF1b(Novagen)にクローニングする。結果として生じるクローンは、6×Hisタグと同じ翻訳リーディングフレーム中に、そして6×Hisタグに直接隣接するC末端にgrg12を有する。当該クローンを作製するための、そして6×Hisタグを有するタンパク質を発現させるための一般的な戦略は、当技術分野において十分に公知である。
【0180】
GRG12タンパク質の発現レベルは、SDS−PAGEタンパク質ゲル上で決定することができる。GRG12タンパク質は、例えばNi−NTA Superflow Resin(Qiagen)を製造業者の説明書通りに用いたクロマトグラフィーにより、誘導されたGRG12タンパク質を精製することにより単離することができる。
(実施例14)
ATX4150の単離
ATX4150は、唯一のリン源としてグリフォセートを含有する強化最少培地(EMM)のプレートに土壌試料を蒔くことにより単離した。EMMは芳香族アミノ酸を含有しないことから、この培地上で生育するためには、株はグリフォセートに抵抗性でなければならない。
【0181】
土壌2gを水約30mlに懸濁し、Aquasonic超音波処理器の水浴中で30秒間超音波処理した。この試料を5秒間ボルテックスし、60秒間沈降させた。この工程を3回繰り返した。4mMグリフォセート(pH6.0)を補充したEMM3mlにこの懸濁液100μlを加えた。EMMは、(900mlあたり)スクロース10g、NaNO 2g、0.8M MgSO 1.0ml、0.1M CaCl 1.0ml、微量元素溶液1.0ml(1000×溶液100ml中にFeSO・7HO 0.1g、CuSO・5HO 0.5mg、HBO 1.0mg、MnSO・5HO 1.0mg、ZnSO・7HO 7.0mg、MoO 1.0mg、KCl 4.0g)を含有する。培養物を組織培養用ローラードラムで21℃で16日間振盪し、次に100μlを使用して、唯一のリン源として4mMグリフォセートを含有する新鮮EMM3mlに接種した。5日後に、100μlを使用して別の新鮮培養物3mlに接種した。2、3日後に、唯一のリン源として5mMグリフォセートを含有するEMM寒天が入った寒天プレート表面に1白金耳(1μl)を画線することにより、固形培地のプレートに培養物を蒔いた。2、3日後に、唯一のリン源として5mMグリフォセートを有するEMMのプレートに、単離するためにコロニーをもう一度蒔いた。高グリフォセート濃度の存在下で生育できる能力から、ATX4150と呼ばれる特定の一株を選択した。
(実施例15)
コスミドライブラリーの調製およびスクリーニング
当技術分野において一般に公知の方法を使用して、ATX4150の培養物から総DNAを抽出した。DNAを制限酵素Sau3A1で部分消化し、SuperCos(Stratagene)ベクター断片を製造業者の指示通りに用いて連結した。GigaPack III XLパッケージング抽出物(Stratagene)を使用して連結産物をファージ粒子にパッケージし、大腸菌aroA−細胞にトランスフェクトした。大腸菌aroA−は、EPSPシンターゼをコードする天然aroA遺伝子が欠失した株である。この株は、外部から供給した芳香族アミノ酸を必要とするため、M63培地上では生育できない。EPSPシンターゼ遺伝子を有するコスミドが存在すると、AroA−表現型を遺伝的に相補でき、すなわちコスミドは外部から供給した芳香族アミノ酸なしにこの株をM63培地上で生育させる。
【0182】
100mM KHPO、15mM (NHSO、50μM CaCl、1μM FeSO、50μM MgCl、55mMグルコース、25mg/l L−プロリン、10mg/lチアミンHCl、pHを7.0に調整するために十分なNaOH、および15g/l寒天を含有する、50μg/mlカナマイシンを含有するM63寒天培地のプレートに、トランスフェクトされた細胞を蒔いた。この培地上で生育した5つのコロニーを確認した。これらのコロニーのそれぞれからコスミドDNAを調製し、大腸菌aroA−細胞にもう一度形質転換した。それぞれの場合で、コスミドDNAを用いてもう一度形質転換した細胞は、0または10mMグリフォセート存在下でM63培地上で生育したが、空のSuperCosベクターを有する細胞は生育しなかった。これは、コスミドがaroA−表現型を相補することができ、グリフォセートに対する抵抗性を付与することができることを確認している。さらに特徴付けるために、1つのコスミドを選択し、pAX305と名付けた。
(実施例16)
コスミドpAX305中のgrg15の同定
コスミドpAX305により示されるグリフォセート抵抗性を担う遺伝子を同定するために、転移因子を用いてこのクローン由来のDNAを突然変異誘発した。EZ::TN Insertion Kit(Epicentre、マディソン、ウィスコンシン州)および製造業者のプロトコールを使用したin vitroトランスポゾン突然変異誘発にコスミドpAX305を供した。pAX305のトランスポゾン挿入クローンを大腸菌に形質転換し、グリフォセートを含有するM63培地のプレートに蒔いた。グリフォセートの存在下で生育できる能力を失った多数のクローンが見出された。これは、トランスポゾンが、抵抗性を担う遺伝子を破壊したことを示している。
【0183】
当技術分野において十分に公知の配列決定法を使用して、トランスポゾン挿入部を有するpAX305の領域についてDNA配列を決定し、それを配列番号61に示す。オープンリーディングフレーム(ORF、配列番号61のヌクレオチド塩基77から1354)を同定した。グリフォセート抵抗性を失ったえり抜きの全部で8つのトランスポゾン挿入部からの配列データの解析は、全てがORF内であることを明らかにした。これは、そのORFがコスミドにより付与されたグリフォセートに対する抵抗性をコードすることを示す。この遺伝子をgrg15と命名した。grg15のORF(配列番号11)を有するコスミドpAX305は、2005年4月20日にthe Agricultural Research Service Culture Collection(NRRL)に寄託され、受託番号NRRL B−30838を割り当てられた。
(実施例17)
GRG15と他のタンパク質との相同性
GRG15はEPSPシンターゼ酵素に相同性を有する。GRG15のアミノ酸配列(配列番号12)と、他のEPSPシンターゼのアミノ酸配列とのアライメントを図1に示す。表5に様々なEPSPシンターゼとのGRG15の同一率を挙げる。アミノ酸配列(配列番号12)の調査により、それがクラスII EPSPシンターゼ酵素に典型的な4つのドメインを有さないことが明らかとなった。したがって、GRG15は新規な、クラスIIではないグリフォセート抵抗性EPSPシンターゼである。
【0184】
表5.他のEPSPシンターゼとのGRG15のアミノ酸同一性
【0185】
【表5】

(実施例18)
グリフォセート抵抗性非クラスII酵素(クラスIII)間の相同性ブロック
GRGタンパク質(非クラスIIグリフォセート抵抗性タンパク質)のアミノ酸配列の比較は、GRGタンパク質が相互に有意な相同性を有し、以前に同定されたグリフォセート抵抗性EPSPシンターゼとは別個であることを示している(図1参照)。
(実施例19)
保存されたドメインの同定
7つの公知のEPSPシンターゼのアミノ酸配列を、クラスIまたはクラスII EPSPシンターゼのいずれにも存在しない保存されたドメインについて解析した。これらのEPSPシンターゼに次のドメインが見出される(太字はこのクラスの間だけに保存されている残基を表し、斜体字は全てのEPSPS酵素で保存されている残基を表す)。
ドメインI
【0186】
【化174】

(配列番号13)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表し、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す)。
ドメインIa
【0187】
【化175】

(配列番号14)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表す)。
ドメインIb
【0188】
【化176】

(配列番号15)(ここで、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す)。
ドメインIc
【0189】
【化177】

(配列番号16)。
ドメインII
【0190】
【化178】

(配列番号17)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す)。
ドメインIIa
【0191】
【化179】

(配列番号18)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す)。
ドメインIIb
【0192】
【化180】

(配列番号19)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す)。
ドメインIII
【0193】
【化181】

(配列番号20)。
ドメインIV
【0194】
【化182】

(配列番号21)または
【0195】
【化183】

(ここで、Xはグリシンまたはメチオニンまたはロイシンを表す)。
ドメインV
【0196】
【化184】

(配列番号22)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す)。
ドメインVI
【0197】
【化185】

(配列番号23)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンまたはロイシンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す)。
ドメインVII
【0198】
【化186】

(配列番号24)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンを表し、Xはアラニンまたはヒスチジンまたはグルタミン酸またはセリンを表し、Xはプロリンまたはアラニンを表す)。
ドメインVIII
【0199】
【化187】

(配列番号25)(ここで、Xはアラニンまたはグリシンを表し、Xはグルタミン酸またはグルタミンを表し、Xはバリンまたはロイシンまたはアラニンを表す)。
ドメインVIIIa
【0200】
【化188】

(配列番号26)。
ドメインIX
【0201】
【化189】

(配列番号27)(ここで、Xはイソロイシンまたはロイシンを表す)。
ドメインX
【0202】
【化190】

(配列番号28)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す)。
ドメインXI
【0203】
【化191】

(配列番号29)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す)。
ドメインXIa
【0204】
【化192】

(配列番号30)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表す)。
ドメインXIb
【0205】
【化193】

(配列番号31)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す)。
ドメインXIc
【0206】
【化194】

(配列番号32)。
ドメインXII
【0207】
【化195】

(配列番号33)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す)。
ドメインXIIa
【0208】
【化196】

(配列番号34)。
ドメインXIIb
【0209】
【化197】

(配列番号35)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す)。
ドメインXIIc
【0210】
【化198】

(配列番号36)。
ドメインXIII
【0211】
【化199】

(配列番号37)(ここで、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す)。
ドメインXIV
【0212】
【化200】

(配列番号38)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアスパラギンを表し、Xはアラニンまたはセリンまたはトレオニンを表す)。
ドメインXV
【0213】
【化201】

(配列番号39)(ここで、Xはロイシンまたはセリンまたはグルタミン酸を表し、Xはトレオニンまたはセリンを表し、Xはヒスチジンまたはフェニルアラニンを表し、Xはアラニンまたはセリンを表す)。
ドメインXVI
【0214】
【化202】

(配列番号40)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す)。
ドメインXVIa
【0215】
【化203】

(配列番号41)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表す)。
ドメインXVIb
【0216】
【化204】

(配列番号42)(ここで、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す)。
ドメインXVII
【0217】
【化205】

(配列番号43)(ここで、Xはアスパラギンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはグリシンを表す)。
ドメインXVIII
【0218】
【化206】

(配列番号44)(ここで、Xはアラニンまたはセリンまたはプロリンを表す)。
(実施例20)
植物形質転換のためのgrg12の操作
完全長cDNAテンプレートからPCRによりgrg12のオープンリーディングフレーム(ORF)を増幅する。PCRの間にORFの各末端にHindIII制限部位を付加する。そのうえ、この遺伝子の開始コドンの5’に直接、ヌクレオチド配列ACCを付加して、翻訳効率を増大させる(Kozak(1987年)Nucleic Acids Research15巻:8125〜8148頁;Joshi(1987年)Nucleic Acids Research15巻:6643〜6653頁)。当技術分野において十分に公知の技法を使用してPCR産物をクローニングおよび配列決定し、PCRの間に突然変異が導入されていないことを確認する。
【0219】
例えばHindIIIを用いて、grg12のPCR産物を有するプラスミドを消化し、無傷のORFを有する断片を単離する。この実施例では、イネアクチンプロモーター(McElroyら(1991年)Molec. Gen. Genet.231巻:150〜160頁)およびPinIIターミネーター(Anら(1989年)The Plant Cell1巻:115〜122頁)を有する植物発現ベクターであるpAX200などのプラスミドのHindIII部位にこの断片をクローニングする。次に、この中間体プラスミドからのプロモーター−遺伝子−ターミネーター断片をpSB11(Japan Tobacco,Inc.)などのプラスミドにサブクローニングし、本明細書においてpSB11GRG12と呼ぶ最終プラスミドを形成させる。プロモーター−grg12−ターミネーター構築物を有するDNA断片を適切な制限酵素により切断できるようにpSB11GRG12は構成されており、このプラスミドは例えばエアロゾルビーム入射による植物への形質転換にも使用される。pSB11GRG12の構造は、制限消化およびゲル電気泳動により、そして様々なクローニング接合部を経て配列決定することにより検証される。
【0220】
当技術分野において十分に公知の3親交配(triparental mating)手順を使用して、抗生物質を含有する培地の平板に蒔いて、プラスミドpSB1(Japan Tobacco,Inc.)もまた有するアグロバクテリウムツメファシエンスLBA4404株にこのプラスミドを動員する。プラスミドpSB11GRG12はスペクチノマイシン抵抗性を有するが、宿主範囲の狭いプラスミドであり、アグロバクテリウムでは複製することができない。pSB11GRG12が相同組換えにより広宿主範囲のプラスミドpSB1に組み込まれる場合に抗生物質抵抗性コロニーが生じる。結果として生じた共組み込み産物をサザンハイブリダイゼーションにより検証する。共組み込み体を有するアグロバクテリウム株は、例えばPureIntro法(Japan Tobacco)によりトウモロコシを形質転換するために使用することができる。
(実施例21)
植物細胞へのgrg12の形質転換
受粉の8〜12日後にトウモロコシの穂を最もよく採集する。穂から胚を単離する。形質転換に使用するためには大きさ0.8〜1.5mmの胚が好ましい。DN62A5S培地(3.98g/L N6塩類、1mL/L N6ビタミン類(1000×原液)、800mg/L L−アスパラギン、100mg/Lミオイノシトール、1.4g/L L−プロリン、100mg/Lカザミノ酸、50g/Lスクロース、1mL/L 2,4−D(1mg/mL原液))などの適切なインキュベーション培地のプレート上に胚を胚盤側を上にして蒔く。しかし、DN62A5S以外の培地および塩類も当技術分野において公知である。暗条件で25℃で一晩胚をインキュベートする。しかし、胚を一晩インキュベートすることは本質的に必要ない。
【0221】
結果として生じた外植片を網目状の区画(プレート1枚あたり30〜40区画)に移し、約30〜45分間、浸透圧培地上に移し、次にビーム照射プレートに移す(例えばPCT公報WO/0138514および米国特許第5240842号を参照されたい)。
【0222】
エアロゾルビーム加速器を使用して、本質的にPCT公報WO/0138514に記載された条件を使用して、植物細胞にGRG12を発現するように設計されたDNA構築物を加速して、植物組織に入れる。ビーム照射後に、浸透圧培地上で胚を約30分間インキュベートし、暗条件で25℃で一晩インキュベーション培地上に置く。ビーム照射された外植片が過度に損傷することを避けるために、外植片を少なくとも24時間インキュベートしてから回復培地に移す。すると、胚は暗条件で25℃で5日間、回復期培地上で伸展するので、次にこれを選択培地に移す。利用する特定の選択の性質および特徴に応じて、外植片を選択培地中で最長8週間インキュベートする。選択期の後に、成熟体細胞胚の形成が観察されるまで、結果として生じたカルスを胚成熟培地に移す。次に、結果として生じた成熟体細胞胚を微光下に置き、当技術分野において公知の方法により再生過程を開始する。結果として生じたシュートを発根培地上で発根させ、結果として生じた植物を育苗ポットに移植し、トランスジェニック植物として繁殖させる。
【0223】
(材料)
表6.DN62A5S培地
【0224】
【表6】

溶液のpHを1N KOH/1N KClでpH5.8に調整し、ゲルライト(Sigma)を最高3g/Lの濃度まで添加し、培地をオートクレーブ処理する。50℃に冷却後に、5mg/ml硝酸銀原液(Phytotechnology Labs)を2ml/Lで添加する。
(実施例22)
アグロバクテリウム介在性形質転換によるトウモロコシ植物細胞へのgrg12の形質転換
受粉の8〜12日後にトウモロコシの穂を最もよく採集する。穂から胚を単離する。形質転換に使用するためには大きさ0.8〜1.5mmの胚が好ましい。適切なインキュベーション培地のプレート上に胚を胚盤側を上にして蒔き、暗条件で25℃で一晩インキュベートする。しかし、胚を一晩インキュベートすることは本質的に必要ではない。Tiプラスミド介在導入を約5〜10分間行うために、適切なベクターを有するアグロバクテリウム株と胚を接触させ、次に同時培養培地のプレート上にその胚を約3日間蒔く(25℃暗条件)。同時培養後に、外植片を回復期培地に約5日間(25℃暗条件)移す。利用する特定の選択の性質および特徴に応じて、外植片を選択培地中で最長8週間インキュベートする。選択期の後に、結果として生じたカルスを、成熟体細胞胚の形成が観察されるまで胚成熟培地に移す。次に、結果として生じた成熟体細胞胚を微光下に置き、当技術分野において公知の再生過程を開始させる。結果として生じたシュートを発根培地上で発根させ、結果として生じた植物を育苗ポットに移植し、トランスジェニック植物として繁殖させる。
【0225】
本明細書に言及する全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する技術分野の技術者の熟練度を示すものである。全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれていると示されたかの如く、それと同程度に参照により本明細書に組み込まれている。
【0226】
理解を明確にするための例証および例として、上述の発明を幾分詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲の範囲内で、ある種の変化および変更を実施できることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1A】図1は、EPSPシンターゼのアミノ酸配列のアライメントを示す。基質の結合およびEPSPS活性に重要であると確認された保存された残基を四角で囲む。この囲みは、クラスIIIドメインのアミノ酸位置を表す。囲み上部のローマ数字はクラスIIIドメインに対応する。
【図1B】図1は、EPSPシンターゼのアミノ酸配列のアライメントを示す。基質の結合およびEPSPS活性に重要であると確認された保存された残基を四角で囲む。この囲みは、クラスIIIドメインのアミノ酸位置を表す。囲み上部のローマ数字はクラスIIIドメインに対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、3、7、45、47、および53に挙げるポリヌクレオチド配列以外の、以下からなる群から選択される少なくとも1つの配列ドメインを有するEPSPS酵素をコードする単離されたポリヌクレオチド:
ドメインI
【化1】

(配列番号13)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表し、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIa
【化2】

(配列番号14)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表す);
ドメインIb
【化3】

(配列番号15)(ここで、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIc
【化4】

(配列番号16);
ドメインII
【化5】

(配列番号17)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸、またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIIa
【化6】

(配列番号18)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインIIb
【化7】

(配列番号19)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIII
【化8】

(配列番号20);
ドメインIV
【化9】

(配列番号21)
【化10】

(ここで、Xはグリシンまたはメチオニンまたはロイシンを表す);
ドメインV
【化11】

(配列番号22)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインVI
【化12】

(配列番号23)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンまたはロイシンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインVII
【化13】

(配列番号24)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンを表し、Xはアラニンまたはヒスチジンまたはグルタミン酸またはセリンを表し、Xはプロリンまたはアラニンを表す);
ドメインVIII
【化14】

(配列番号25)(ここで、Xはアラニンまたはグリシンを表し、Xはグルタミン酸またはグルタミンを表し、Xはバリンまたはロイシンまたはアラニンを表す);
ドメインVIIIa
【化15】

(配列番号26);
ドメインIX
【化16】

(配列番号27)(ここで、Xはイソロイシンまたはロイシンを表す);
ドメインX
【化17】

(配列番号28)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインXI
【化18】

(配列番号29)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIa
【化19】

(配列番号30)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表す);
ドメインXIb
【化20】

(配列番号31)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIc
【化21】

(配列番号32);
ドメインXII
【化22】

(配列番号33)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIa
【化23】

(配列番号34);
ドメインXIIb
【化24】

(配列番号35)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIc
【化25】

(配列番号36);
ドメインXIII
【化26】

(配列番号37)(ここで、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIV
【化27】

(配列番号38)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアスパラギンを表し、Xはアラニンまたはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインXV
【化28】

(配列番号39)(ここで、Xはロイシンまたはセリンまたはグルタミン酸を表し、Xはトレオニンまたはセリンを表し、Xはヒスチジンまたはフェニルアラニンを表し、Xはアラニンまたはセリンを表す);
ドメインXVI
【化29】

(配列番号40)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVIa
【化30】

(配列番号41)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表す);
ドメインXVIb
【化31】

(配列番号42)(ここで、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVII
【化32】

(配列番号43)(ここで、Xはアスパラギンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはグリシンを表す);
ドメインXVIII
【化33】

(配列番号44)(ここで、Xはアラニンまたはセリンまたはプロリンを表す)。
【請求項2】
a)配列番号9、11、55、57、58、もしくは60のヌクレオチド配列、またはその相補体、
b)配列番号9、11、57、59、もしくは61のヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその相補体、
c)受託番号B−30833もしくはB−30838として寄託されたプラスミドのDNA挿入物の除草剤抵抗性ヌクレオチド配列またはその相補体、
d)配列番号10、12、56、または59のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および
e)配列番号10、12、または59のアミノ酸配列と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
からなる群から選択される、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
植物細胞において機能するプロモーターに連結して、コードされるEPSPS酵素の十分な発現を可能にするRNA配列の産生を引き起こし、前記ポリヌクレオチドを用いて形質転換された植物細胞のグリフォセート耐性を高める、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
植物細胞において前記RNA配列の3’末端へのひと続きのポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き起こすように機能する3’非翻訳領域をさらに含む、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記プロモーターが、前記ポリヌクレオチドに対して異種である、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
アミノ末端クロロプラスト輸送ペプチドおよび前記EPSPS酵素を含む融合ポリペプチドをコードする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
a)植物細胞のゲノムに、
i)植物細胞においてRNA配列の産生を引き起こすように機能するプロモーター、
ii)配列番号7または53に挙げたポリヌクレオチド配列以外の、以下からなる群から選択される少なくとも1つの配列ドメインを有するEPSPS酵素をコードするRNA配列の産生を引き起こすポリヌクレオチド、および
iii)植物細胞において前記RNA配列の3’末端へのひと続きのポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き起こすように機能する3’非翻訳ポリヌクレオチド
を含むポリヌクレオチドを挿入する工程と、
b)形質転換された植物細胞を得る工程と、
c)前記形質転換された植物細胞から、グリフォセート除草剤に対して増大した耐性を有する遺伝的に形質転換された植物を再生する工程とを含む、グリフォセート除草剤に対して耐性を有する、遺伝的に形質転換された植物を作出する方法:
ドメインI
【化34】

(配列番号13)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表し、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIa
【化35】

(配列番号14)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表す);
ドメインIb
【化36】

(配列番号15)(ここで、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIc
【化37】

(配列番号16);
ドメインII
【化38】

(配列番号17)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸、またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIIa
【化39】

(配列番号18)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインIIb
【化40】

(配列番号19)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIII
【化41】

(配列番号20);
ドメインIV
【化42】

(配列番号21)
【化43】

(ここで、Xはグリシンまたはメチオニンまたはロイシンを表す);
ドメインV
【化44】

(配列番号22)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインVI
【化45】

(配列番号23)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンまたはロイシンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインVII
【化46】

(配列番号24)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンを表し、Xはアラニンまたはヒスチジンまたはグルタミン酸またはセリンを表し、Xはプロリンまたはアラニンを表す);
ドメインVIII
【化47】

(配列番号25)(ここで、Xはアラニンまたはグリシンを表し、Xはグルタミン酸またはグルタミンを表し、Xはバリンまたはロイシンまたはアラニンを表す);
ドメインVIIIa
【化48】

(配列番号26);
ドメインIX
【化49】

(配列番号27)(ここで、Xはイソロイシンまたはロイシンを表す);
ドメインX
【化50】

(配列番号28)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインXI
【化51】

(配列番号29)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIa
【化52】

(配列番号30)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表す);
ドメインXIb
【化53】

(配列番号31)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIc
【化54】

(配列番号32);
ドメインXII
【化55】

(配列番号33)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIa
【化56】

(配列番号34);
ドメインXIIb
【化57】

(配列番号35)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIc
【化58】

(配列番号36);
ドメインXIII
【化59】

(配列番号37)(ここで、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIV
【化60】

(配列番号38)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアスパラギンを表し、Xはアラニンまたはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインXV
【化61】

(配列番号39)(ここで、Xはロイシンまたはセリンまたはグルタミン酸を表し、Xはトレオニンまたはセリンを表し、Xはヒスチジンまたはフェニルアラニンを表し、Xはアラニンまたはセリンを表す);
ドメインXVI
【化62】

(配列番号40)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVIa
【化63】

(配列番号41)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表す);
ドメインXVIb
【化64】

(配列番号42)(ここで、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVII
【化65】

(配列番号43)(ここで、Xはアスパラギンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはグリシンを表す);
ドメインXVIII
【化66】

(配列番号44)(ここで、Xはアラニンまたはセリンまたはプロリンを表す)。
【請求項8】
前記形質転換された植物を得る工程が、グリフォセート除草剤に対する耐性の増強についてスクリーニングすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリヌクレオチドが、アミノ末端クロロプラスト輸送ペプチドおよびEPSPS酵素を含む融合ポリペプチドをコードする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の異種ポリヌクレオチドを含む、グリフォセート耐性植物細胞。
【請求項11】
トウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、ダイズ、ワタ、サトウダイコン、ナタネ、カノーラ、アマ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウ、レンズマメ、ブドウ、およびシバクサからなる群から選択される、請求項10に記載のグリフォセート耐性植物細胞。
【請求項12】
請求項10に記載の植物細胞を有するグリフォセート耐性植物。
【請求項13】
請求項12に記載の植物の形質転換された種子。
【請求項14】
トウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、ダイズ、ワタ、サトウダイコン、ナタネ、カノーラ、アマ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウ、レンズマメ、ブドウ、およびシバクサからなる群から選択される、請求項12に記載のグリフォセート耐性植物。
【請求項15】
a)配列番号10、12、56、または59のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
b)配列番号9、11、55、57、58、または60のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド;
c)配列番号10、12、または59のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、除草剤抵抗活性を有するポリペプチド;
d)配列番号9、11、57、58、または60のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドであって、除草剤抵抗活性を有するポリペプチド;および
e)受諾番号B−30833またはB−30838として寄託されたプラスミドのDNA挿入部の除草剤抵抗性ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド
からなる群から選択される、単離されたポリペプチド。
【請求項16】
異種アミノ酸配列をさらに含む、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
植物種子または植物を有する圃場での雑草を選択的に制御する方法であって、
a)i)植物細胞においてRNA配列の産生を引き起こすように機能するプロモーター、
ii)配列番号7または53に挙げるポリヌクレオチド配列以外の、以下からなる群から選択される少なくとも1つの配列ドメインを有するEPSPS酵素をコードするRNA配列の産生を引き起こすポリヌクレオチド、および
iii)植物細胞において前記RNA配列の3’末端にひと続きのポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き起こすように機能する3’非翻訳ポリヌクレオチド
を有する異種ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドがゲノムに組み込まれている、グリフォセート耐性の前記種子または植物を定植する工程ならびに、
b)前記植物に有意に影響を与えずに、前記雑草を制御するために十分な量のグリフォセート除草剤を、前記圃場の前記植物および前記雑草に適用する工程
を含む方法:
ドメインI
【化67】

(配列番号13)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表し、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIa
【化68】

(配列番号14)(ここで、Xはリシンまたはトレオニンを表す);
ドメインIb
【化69】

(配列番号15)(ここで、Xはアルギニンまたはヒスチジンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインIc
【化70】

(配列番号16);
ドメインII
【化71】

(配列番号17)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸、またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIIa
【化72】

(配列番号18)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアラニンを表し、Xはセリンまたはトレオニンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインIIb
【化73】

(配列番号19)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはリシンを表し、Xはセリンまたはグリシンを表し、Xはグルタミンまたはセリンまたはグルタミン酸またはトレオニンを表す);
ドメインIII
【化74】

(配列番号20);
ドメインIV
【化75】

(配列番号21)
【化76】

(ここで、Xはグリシンまたはメチオニンまたはロイシンを表す);
ドメインV
【化77】

(配列番号22)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインVI
【化78】

(配列番号23)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンまたはロイシンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインVII
【化79】

(配列番号24)(ここで、Xはアルギニンまたはリシンを表し、Xはアラニンまたはヒスチジンまたはグルタミン酸またはセリンを表し、Xはプロリンまたはアラニンを表す);
ドメインVIII
【化80】

(配列番号25)(ここで、Xはアラニンまたはグリシンを表し、Xはグルタミン酸またはグルタミンを表し、Xはバリンまたはロイシンまたはアラニンを表す);
ドメインVIIIa
【化81】

(配列番号26);
ドメインIX
【化82】

(配列番号27)(ここで、Xはイソロイシンまたはロイシンを表す);
ドメインX
【化83】

(配列番号28)(ここで、Xはトレオニンまたはセリンを表す);
ドメインXI
【化84】

(配列番号29)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表し、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIa
【化85】

(配列番号30)(ここで、Xはグルタミンまたはリシンまたはセリンを表し、Xはアスパラギンまたはヒスチジンを表し、Xはメチオニンまたはロイシンを表し、Xはプロリンまたはグルタミンを表す);
ドメインXIb
【化86】

(配列番号31)(ここで、Xはトレオニンまたはグルタミン酸またはバリンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表し、Xはアスパラギン酸またはバリンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIc
【化87】

(配列番号32);
ドメインXII
【化88】

(配列番号33)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIa
【化89】

(配列番号34);
ドメインXIIb
【化90】

(配列番号35)(ここで、Xはバリンまたはトレオニンを表し、Xはグルタミン酸またはグリシンを表し、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはアラニンまたはグルタミン酸を表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表す);
ドメインXIIc
【化91】

(配列番号36);
ドメインXIII
【化92】

(配列番号37)(ここで、Xはロイシンまたはイソロイシンを表し、Xはバリンまたはイソロイシンを表す);
ドメインXIV
【化93】

(配列番号38)(ここで、Xはアスパラギン酸またはアスパラギンを表し、Xはアラニンまたはセリンまたはトレオニンを表す);
ドメインXV
【化94】

(配列番号39)(ここで、Xはロイシンまたはセリンまたはグルタミン酸を表し、Xはトレオニンまたはセリンを表し、Xはヒスチジンまたはフェニルアラニンを表し、Xはアラニンまたはセリンを表す);
ドメインXVI
【化95】

(配列番号40)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表し、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVIa
【化96】

(配列番号41)(ここで、Xはグリシンまたはアラニンを表す);
ドメインXVIb
【化97】

(配列番号42)(ここで、Xはイソロイシンまたはバリンを表し、Xはセリンまたはグリシンまたはアラニンまたはリシンを表す);
ドメインXVII
【化98】

(配列番号43)(ここで、Xはアスパラギンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはアスパラギン酸を表し、Xはアラニンまたはグリシンを表す);
ドメインXVIII
【化99】

(配列番号44)(ここで、Xはアラニンまたはセリンまたはプロリンを表す)。
【請求項18】
前記植物または植物種子が作物植物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロモーターが、前記ポリヌクレオチドに対して異種であり、前記ポリヌクレオチドを用いて形質転換された植物のグリフォセート耐性を高めるために前記EPSPS酵素の十分な発現を引き起こすように適合されている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
a)植物細胞のゲノムに請求項1に記載のポリヌクレオチドを挿入する工程、
b)形質転換された植物細胞を得る工程、および
c)前記形質転換された植物細胞から、グリフォセート除草剤に対して増大した耐性を有する、遺伝的に形質転換された植物を再生する工程
を含む、グリフォセート除草剤に対して耐性を有する、遺伝的に形質転換された植物を作出する方法。
【請求項21】
配列番号1、3、9、11、45、47、55、57、58、または60からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含むDNA構築物を用いて植物細胞を形質転換すること、および形質転換された植物を再生することを含む、グリフォセートに耐性の、遺伝的に形質転換された植物を作出する方法。
【請求項22】
前記DNA構築物が、植物細胞において機能するプロモーターをさらに含み、コードされるEPSPS酵素の十分な発現を可能にするRNA配列の産生を引き起こし、前記ポリヌクレオチドを用いて形質転換された植物細胞のグリフォセート耐性を高める、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリヌクレオチドが、アミノ末端クロロプラスト輸送ペプチドおよびEPSPS酵素を含む融合ポリペプチドをコードする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
配列番号1、3、9、11、45、47、55、57、58、および60からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む、グリフォセート耐性植物細胞。
【請求項25】
トウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、ダイズ、ワタ、サトウダイコン、ナタネ、カノーラ、アマ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウ、レンズマメ、ブドウ、およびシバクサからなる群から選択される、請求項24に記載のグリフォセート耐性植物細胞。
【請求項26】
請求項24に記載の植物細胞を含むグリフォセート耐性植物。
【請求項27】
トウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、ダイズ、ワタ、サトウダイコン、ナタネ、カノーラ、アマ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウ、レンズマメ、ブドウ、およびシバクサからなる群から選択される、請求項26に記載のグリフォセート耐性植物。
【請求項28】
請求項26に記載の植物の形質転換された種子。
【請求項29】
定植された種子または植物を有する圃場における雑草を選択的に制御する方法であって、
a)請求項26に記載の植物、またはそれから得られた形質転換された種子を定植する工程、および
b)前記植物に有意に影響を与えずに、前記雑草を制御するために十分量のグリフォセート除草剤を、前記圃場の前記植物および雑草に適用する工程
を含む方法。
【請求項30】
前記植物または植物種子が作物植物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリヌクレオチドが、アミノ末端クロロプラスト輸送ペプチドおよびEPSPS酵素を含む融合ポリペプチドをコードする、請求項29に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate


【公表番号】特表2008−535495(P2008−535495A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505604(P2008−505604)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/013161
【国際公開番号】WO2006/110586
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(504405534)アセニクス コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】